(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】タイヤ作用力検出装置
(51)【国際特許分類】
G01L 5/16 20200101AFI20240405BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20240405BHJP
G01M 17/02 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
G01L5/16
G01L5/00 Z
G01M17/02
(21)【出願番号】P 2020124636
(22)【出願日】2020-07-21
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】上田 祐輔
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-052918(JP,A)
【文献】特開2004-270832(JP,A)
【文献】特開2014-219270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00-5/28
G01M 17/00-17/10
B60G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のタイヤ(14)に作用するタイヤ作用力を検出するタイヤ作用力検出装置であって、
前記車両のサスペンションメンバ(11)とサスペンションアーム(12)とを連結する複数のボルト(13a、13b)のうち、1箇所のボルト(13a)の端部側に設けられて、前記サスペンションメンバに対する前記1箇所のボルトの端部の複数軸方向の変位量を検出する複数の変位量検出部(111、112)と、
複数の前記変位量検出部によってそれぞれ検出された前記変位量と、予め定めた係数とに基づいて、所望の軸方向の前記タイヤ作用力を算出する作用力算出部(120)と、を備えるタイヤ作用力検出装置。
【請求項2】
前記複数軸方向は、3次元空間座標を形成する3軸方向である請求項1に記載のタイヤ作用力検出装置。
【請求項3】
前記1箇所のボルトは、前記サスペンションメンバ(11)と前記サスペンションアーム(12)との連結部において、前記車両の前後方向に配置されるボルトである請求項1または請求項2に記載のタイヤ作用力検出装置。
【請求項4】
前記変位量検出部は、前記複数軸方向の前記変位量に加えて、複数軸に対する回転角度を検出する請求項1~請求項3のいずれか1つに記載のタイヤ作用力検出装置。
【請求項5】
前記変位量検出部は、前記変位量を検出する変位計(111、112)が、前記複数軸のそれぞれに対して交差する方向に複数並べて配置されて、並べられた距離と、それぞれの前記変位計による前記変位量の差から前記回転角度を検出する請求項4に記載のタイヤ作用力検出装置。
【請求項6】
前記作用力算出部は、前記変位量に加え、前記回転角度も考慮して、前記タイヤ作用力を算出する請求項4または請求項5に記載のタイヤ作用力検出装置。
【請求項7】
前記変位量検出部は、複数の前記軸方向のうち、変位の影響のある前記軸方向のみの前記変位量を検出するように予め設定された請求項1~請求項6のいずれか1つに記載のタイヤ作用力検出装置。
【請求項8】
前記変位量検出部は、複数の前記軸方向のうち、角度変位の影響のある前記軸方向のみの前記回転角度を検出するように予め設定された請求項4~請求項6のいずれか1つに記載のタイヤ作用力検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のタイヤに作用するタイヤ作用力を検出するタイヤ作用力検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のタイヤ作用力検出装置として、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1のタイヤ作用力検出装置では、サスペンションメンバと、サスペンションアームとの連結部の2箇所に、連結部における車両前後方向の変位を検出する距離センサを設け、2つの前後変位量からモーメント成分を除去して、ホイール(タイヤ)に作用する前後力を算出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、2箇所の距離センサによって、1軸方向(前後方向)のみの変位を検出するようにしている。
【0005】
実際のタイヤにおいては、1つの連結部において6軸の挙動(3軸方向の変位+3軸回りの角度変位)が発生しており、3軸方向の変位を検出しようとすると、6つ(2個×3か所)の距離センサが必要となってしまう。
【0006】
連結部の複数の箇所でセンサを設けると、配線の取り回しのためのコストが高くなる。また、実際の走行時には、前後方向のみではなく、石等の障害物を踏んだときの上下方向の作用力や、操舵時の左右方向の作用力等を受けるため、検出精度が低下する。
【0007】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、安価で、且つ、精度よくタイヤへの作用力を検出可能とするタイヤ作用力検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0009】
本開示では、車両のタイヤ(14)に作用するタイヤ作用力を検出するタイヤ作用力検出装置であって、
車両のサスペンションメンバ(11)とサスペンションアーム(12)とを連結する複数のボルト(13a、13b)のうち、1箇所のボルト(13a)の端部側に設けられて、サスペンションメンバに対する1箇所のボルトの端部の複数軸方向の変位量を検出する複数の変位量検出部(111、112)と、
複数の変位量検出部によってそれぞれ検出された変位量と、予め定めた係数とに基づいて、所望の軸方向のタイヤ作用力を算出する作用力算出部(120)と、を備えることを特徴としている。
【0010】
本開示によれば、1箇所のボルト(13a)の端部側に、変位量検出部(111、112)を設けるので、変位量検出部の配線経路が複数に別れることがなく、安価に対応ができる。また、作用力算出部(120)は、複数軸方向の変位量と、予め定めた係数とに基づいて、所望の軸方向のタイヤ作用力を算出できるので、タイヤ作用力の検出精度を高めることができる。
【0011】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態のタイヤ作用力検出装置の全体構成を示す説明図である。
【
図2】サスペンションメンバとサスペンションアームとの連結部におけるボルト、および変位計を示す説明図である。
【
図4】ボルト頭部に設けられる筐体と変位計との位置関係を示す説明図である。
【
図5】タイヤ作用力検出のメカニズムを示す説明図である。
【
図6】制動時におけるタイヤ作用力と、ボルト頭部の変位とを示す説明図である。
【
図7】右旋回時におけるタイヤ作用力と、ボルト頭部の変位とを示す説明図である。
【
図8】第2実施形態のタイヤ作用力検出装置を示す説明図である。
【
図9】第3実施形態のタイヤ作用力検出装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態のタイヤ作用力検出装置100について、
図1~
図7を用いて説明する。タイヤ作用力検出装置100は、走行中の車両のタイヤ14に作用するタイヤ作用力(前後力や横力等)を検出する装置である。検出されたタイヤ作用力は、例えば、横滑り防止装置、発進加速時のタイヤ空転防止装置、あるいは急ブレーキ時での車輪ロックによる滑走低減装置等の車両挙動安定制御装置に活用される。
【0015】
図1~
図4に示すように、タイヤ作用力検出装置100は、車両のサスペンションを形成するサスペンションメンバ11と、サスペンションアーム12とが連結される連結部の近傍に設けられている。尚、
図1では、サスペンションは、前輪側のサスペンションを例にして示している。タイヤ作用力検出装置100は、筐体110a、ブラケット110b、第1変位計111、第2変位計112、および作用力算出部120等を備えている。
【0016】
ここで、サスペンションメンバ11は、サスペンションの本体部を形成する部材であり、車体15に固定されている。サスペンションアーム12は、一端側(サスペンションメンバ11側)が二股に別れ、他端側(タイヤ14側)は、一本のアーム状に延びている。サスペンションアーム12の二股部は、複数のボルト、つまりボルト13a、およびボルト13bによって、サスペンションメンバ11に固定されている。サスペンションアーム12の他端側にはタイヤ14が接続されている。以下、サスペンションメンバ11をメンバ11と呼び、サスペンションアーム12をアーム12と呼ぶことにする。
【0017】
ここでは、
図1に示すように、車両の前後方向をx軸方向、車両の左右方向をy軸方向、更に、車両の上下方向をz軸方向と定義している。尚、各座標軸の設定にあたっては、任意の方向への設定が可能であり、車両の前後、左右、上下方向に完全に一致しない場合も含まれる。
【0018】
ボルト13aは、軸部がx軸方向に沿うように配置されて、メンバ11とアーム12とを連結している。また、ボルト13bは、軸部がz軸方向に沿うように配置されて、メンバ11とアーム12とを連結している。本実施形態では、ボルト13a、13bのうち、ボルト13a(1箇所のボルト)の端部側(ボルトの頭部側)に、筐体110a、ブラケット110b、第1変位計111、および第2変位計112、等が配置されている。
【0019】
筐体110aは、例えば、ブロック状の金属部材であり、6面のうちの1つの面が、ボルト13aの頭部に接合されている。筐体110aは、少なくともx軸に交差する第1面S1、y軸に交差する第2面S2、およびz軸に交差する第3面S3を有している。各面S1、S2、S3は、それぞれ、変位計111、112によって変位量が計測される被計測面となる。各面S1、S2、S3の変位量は、ボルト13aの頭部の変位量にほぼ等しい。
【0020】
ブラケット110bは、例えば、板状の金属部材であり、少なくとも、筐体110aの各面S1、S2、S3に対向する面部を有している。尚、
図2では、簡略化のために、ブラケット110bにおいて、第3面S3に対向する面部については、図の表示を省略している。ブラケット110bの一端部は、メンバ11と同様に、車体15(あるいはメンバ11)に固定されている。
【0021】
第1変位計111、第2変位計112は、ブラケット110bにおいて、各面S1、S2、S3に対向するそれぞれの面部(1個所のボルト13aの端部側)に固定されて、メンバ11に対する筐体110a(ボルト13aの頭部)のx、y、z軸方向(複数軸方向)の変位量(微小変位)を検出する距離センサ(変位量検出部)である。各変位計111、112は、各変位計111、112と、各面S1、S2、S3との距離の変化を検出することで変位量を検出する。複数軸方向は、本開示の3次元空間座標を形成する3軸方向に対応する。
【0022】
各変位計111、112としては、例えば、過電流式変位計、静電容量式変位計、ホール素子、磁気センサ、あるいはレーザ変位計等、微小変位が検出できるものであれば、種々のタイプのものを使用可能である。
【0023】
第1面S1に対向するブラケット110bの面部には、z軸方向に交差して、y軸方向に沿うように、第1変位計111、および第2変位計112が配置されている。第1変位計111と、第2変位計112との距離はlxである。第1変位計111と第1面S1との距離はDxとして得られる。また、第2変位計112と第1面S1との距離はDx’として得られる。
【0024】
また、第2面S2に対向するブラケット110bの面部には、x軸方向に交差して、z軸方向に沿うように、第1変位計111、および第2変位計112が配置されている。第1変位計111と、第2変位計112との距離はlyである。第1変位計111と第2面S2との距離はDyとして得られる。また、第2変位計112と第2面S2との距離はDy’として得られる。
【0025】
また、第3面S3に対向するブラケット110bの面部には、y軸方向に交差して、x軸方向に沿うように、第1変位計111、および第2変位計112が配置されている。第1変位計111と、第2変位計112との距離はlzである。第1変位計111と第2面S2との距離はDzとして得られる。また、第2変位計112と第2面S2との距離はDz’として得られる。
【0026】
各変位計111、112で検出された距離のデータ(Dx、Dx’、Dy、Dy’、Dz、Dz’)は、作用力算出部120に出力されるようになっている。
【0027】
作用力算出部120は、予め、以下の数式1~数式4を記憶している。作用力算出部120は、複数の各変位計111、112によってそれぞれ検出された各軸方向の変位量Dx、Dy、Dzを用いて、更には、各変位量Dx、Dx’、Dy、Dy’、Dz、Dz’から得られる各軸に対する回転角度θx、θy、θz(角度変位)も用いて、タイヤ作用力Fx、Fy、Fzを算出する(詳細後述)。
【0028】
【0029】
尚、数式1中のa11~a36は、予め実験によって、タイヤ作用力とボルト13aの頭部の変位量との関係を示す相関係数として、例えば、最小2乗法によって導出されたものである。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
尚、数式2における回転角度θxは、x軸に対する第2面S2の回転角度(x軸回りの角度変位)を示すものである。また、数式3における回転角度θyは、y軸に対する第3面S3の回転角度(y軸回りの角度変位)を示すものである。また、数式4における回転角度θzは、z軸に対する第1面S1の回転角度(z軸回りの角度変位)を示すものである。
【0034】
タイヤ作用力検出装置100の構成は、以上のようになっており、以下、
図5~
図7を加えて、作動、作用効果について説明する。
【0035】
図5に示すように、走行中において、車両の挙動に変化が生ずると、タイヤ14に作用するタイヤ作用力が変化する。そして、アーム12を介してサスペンション(メンバ11とアーム12)の連結部に作用する作用力が変化する。この作用力によって、連結部におけるボルト13aの頭部には、微小な変位(X)が発生する。一般的に、作用力F=ばね定数k・変位Xであり、aをばね定数kの逆数とすると、変位X=a・作用力Fである。
【0036】
例えば、
図6は、制動時の連結部におけるボルト13aの頭部の変位を示している。また、
図7は、右旋回時の連結部におけるボルト13aの頭部の変位を示している。
【0037】
ここで、本開発者らは、ボルト13aの頭部には、微小な6軸の挙動、つまり、3軸方向の変位(変位量)、および3軸回りの角度変位(回転角度)が発生しており、それらがタイヤ作用力と相関することを明らかにした。つまりサスペンションの連結部の1箇所において、3軸の作用力に切り分けてタイヤ作用力の算出が可能であることを見出した。
【0038】
タイヤ作用力は、複数のサスペンションの連結部から車体15へと伝達する。複数の連結部にはそれぞれの役割があり、タイヤ作用力が伝達され易い方向性をもっている。いずれの連結部も1軸のみの作用力を伝達する構造にはなっておらず、連結部には少なからず3軸方向の力が作用する。よって、連結部の1個所に着目することでも、3軸の作用力の検出が可能である。
【0039】
各変位計111、112は、走行時に、ボルト13aの頭部に接合された筐体110aの各面S1、S2、S3における変位量Dx、Dx’、Dy、Dy’、Dz、Dz’を計測し、そのデータを作用力算出部120に出力する。
【0040】
作用力算出部120には、上記で説明した数式1~数式4が予め記憶されている。数式1は、各軸方向の変位量Dx、Dy、Dzに加えて、各軸に対する回転角度θx、θy、θzも用いたタイヤ作用力算出用の行列式となっている。数式2~数式4は、各回転角度θx、θy、θzを求める数式となっている。
【0041】
作用力算出部120は、数式2~数式4を用いて、距離lx、ly、lz、および変位量Dx、Dx’、Dy、Dy’、Dz、Dz’から、各軸に対する回転角度θx、θy、θzを算出する。そして、作用力算出部120は、数式1を用いて、タイヤ作用力Fx、Fy、Fzを算出する。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、1箇所のボルト13aの頭部側に、各変位計111、112(3箇所)を設けるので、変位計111、112の配線経路が複数に別れることがなく、安価に対応ができる。
【0043】
また、作用力算出部120は、1箇所のボルト13aの頭部において、複数の変位計111、112(3箇所)によってそれぞれ検出された3軸方向の変位量Dx、Dy、Dzと、更には3軸に対する回転角度θx、θy、θzと、予め定めた係数a11~a36とに基づいて、3軸方向(所望の軸方向)のタイヤ作用力Fx、Fy、Fzの算出を可能としており、タイヤ作用力の検出精度を高めることができる(数式1)。
【0044】
タイヤ作用力Fx、Fy、Fzの算出にあたって、変位量Dx、Dy、Dzに対して、回転角度θx、θy、θzを加味する(考慮する)ことで、より検出精度を高めることができる。
【0045】
また、1個所のボルト13aは、メンバ11とアーム12との連結部において、車両の前後方向に配置されるボルト13aとしている。よって、特に、車両の前後方向および左右方向に変位を受けやすい部位での変位量、角度変位量の検出が可能となり、タイヤ作用力の検出精度を高めることができる。
【0046】
また、作用力算出部120は、各変位計111、112を、複数軸のそれぞれに対して交差する方向に複数並べて配置して、並べられた距離lx、ly、lzと、それぞれの変位計111、112による変位量Dx、Dx’の差(Dy、Dy’の差、およびDz、Dz’の差)から回転角度θx、θy、θzを検出するようにしている(数式2~数式4)。これにより、各変位計111、112を用いて、容易に回転角度θx、θy、θzを検出することができる。
【0047】
(第2実施形態)
第2実施形態のタイヤ作用力検出装置100Aを
図8に示す。第2実施形態は、上記第1実施形態に対して、第2変位計112を、角度計113に変更したものである。
【0048】
角度計113は、変位量検出部であり、それぞれ対向する第1面S1、第2面S2、第3面S3の角度変位(
図8中の回転角度θx、θy、θz)を直接的に検出する。よって、本実施形態では、上記第1実施形態で説明した数式2~数式4を不要として、作用力算出部120は、数式1において、変位量Dx、Dy、Dz、および回転角度θx、θy、θzと、各係数a11~a36とを用いて、各タイヤ作用力Fx、Fy、Fzを算出する。これにより、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0049】
(第3実施形態)
第3実施形態のタイヤ作用力検出装置100Bを
図9に示す。第3実施形態は、上記第1実施形態に対して、第2変位計112を廃止したものである。
【0050】
作用力算出部120は、数式1に代えて、数式5を予め記憶している。数式5は、各軸方向の変位量Dx、Dy、Dzと、係数a11~a33と、を用いて、タイヤ作用力Fx、Fy、Fzを算出する行列式となっている。尚、数式5中のa11~a33は、予め実験によって、タイヤ作用力とボルト13aの頭部の変位量との関係を示す相関係数として、例えば、最小2乗法によって導出されたものである。
【0051】
【0052】
本実施形態では、第2変位計112を廃止して、各軸に対する回転角度θx、θy、θzを用いない分、上記第1実施形態に対して、各タイヤ作用力Fx、Fy、Fzの検出精度は、ある程度、低下するものの、第2変位計112を廃止できるので、コスト低減することができる。
【0053】
(第4実施形態)
上記第1~第3実施形態に対して、変位計111、112、あるいは角度計113は、複数の軸方向のうち、変位の影響のある軸方向のみの変位量を検出する、あるいは、角度変位の影響のある軸方向のみの回転角度を検出するように設定してもよい。
【0054】
これにより、変位量や回転角度に影響のない方向の変位計111、112、あるいは角度計113を廃止して、タイヤ作用力の検出精度を落とさずに、コスト低減することができる。
【0055】
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、筐体110aは、ボルト13aの頭部に接合されるものとして説明したが、例えば、ボルト13aの頭部に凹部が設けられて、筐体110aがこの凹部にはめ込まれたものとしてもよい。
【0056】
また、上記各実施形態では、筐体110aは、ブロック状の部材としたが、これに限定することなく、少なくとも各面S1、S2、S3を有しボルト13aの頭部に接合されて、他の面が削除されたものとしてもよい。
【0057】
また、変位計111、112、角度計113を覆うケースを設け、このケースをブラケット110b代わりに使用するようにしてもよい。また、変位計111、112、角度計113が電子基板に取り付けられ、この電子基板が上記のケースに取り付けされてもよい。
【0058】
また、本開示に記載の制御部(作用力算出部120)およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つないしは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ、およびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。
【0059】
あるいは、本開示に記載の制御部およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア理論回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。
【0060】
もしくは、本開示に記載の制御部およびその手法は、一つないしは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと、一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合せにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。
【0061】
また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0062】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0063】
11 サスペンションメンバ
12 サスペンションアーム
13a ボルト(1箇所のボルト)
13b ボルト
14 タイヤ
100 タイヤ作用力検出装置
111 第1変位計(変位量検出部)
112 第2変位計(変位量検出部)
113 角度計(変位量検出部)
120 作用力算出部