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特許7466411部品供給フィーダ及びそれを備える部品実装機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】部品供給フィーダ及びそれを備える部品実装機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020148454
(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公開番号】P2022042836
(43)【公開日】2022-03-15
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 健一
(72)【発明者】
【氏名】本多 利充
(72)【発明者】
【氏名】原 朗
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-254895(JP,A)
【文献】特開2009-295829(JP,A)
【文献】特開2019-186486(JP,A)
【文献】特開2012-074749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基板に実装する部品実装機本体に着脱可能に取付けられ、前記部品実装機本体に電子部品を供給するテープ式の部品供給フィーダであって、
ボトムテープと、前記ボトムテープに貼り付けられたカバーテープとの間に前記電子部品を収容するテープと、
前記テープに収容される前記電子部品を供給位置に送る部品送り機構と、
前記テープから剥離された前記カバーテープを剥離位置から廃棄位置に送るカバーテープ送り機構と、
剥離された前記カバーテープにかかるテンションの有無を検出する検出機構と、
前記部品送り機構と前記カバーテープ送り機構を制御する制御部であって、
前記部品送り機構が、前記電子部品を送る方向である第1方向とは反対方向である第2方向に前記テープを移動させる場合に、前記検出機構が前記カバーテープにテンションがかかっていることを検出しないときは、前記カバーテープが前記廃棄位置に送る方向である第3方向とは反対方向である第4方向に移動するように前記カバーテープ送り機構を制御することなく、前記テープが前記第2方向に移動するように前記部品送り機構を制御し、
前記部品送り機構が、前記第2方向に前記テープを移動させる場合に、前記検出機構が前記カバーテープにテンションがかかっていることを検出するときは、前記カバーテープが前記第4方向に移動するように前記カバーテープ送り機構を制御すると共に、前記テープが前記第2方向に移動するように前記部品送り機構を制御する、制御部と、を備える、部品供給フィーダ。
【請求項2】
前記部品送り機構と前記カバーテープ送り機構の間に設けられ、前記部品送り機構が前記第1方向に前記テープを移動させ、かつ、前記カバーテープ送り機構が前記カバーテープを前記第3方向に移動させるときに、前記カバーテープにテンションをかけるテンショナーをさらに備え、請求項1に記載の部品供給フィーダ。
【請求項3】
前記検出機構は、前記剥離位置と前記廃棄位置との間に配置され、剥離された前記カバーテープにかかるテンションの有無を検出するセンサである、請求項2に記載の部品供給フィーダ。
【請求項4】
前記テンショナーは、前記カバーテープにテンションをかけない第1位置と、前記カバーテープにテンションをかける第2位置とに移動可能であり、
前記センサは、前記テンショナーが前記第1位置にあるか否かを検出する、請求項3に記載の部品供給フィーダ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の部品供給フィーダと、
前記部品供給フィーダが着脱可能に取り付けられ、前記部品供給フィーダから供給される電子部品を基板に実装する部品実装機本体と、を備える、部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、部品供給フィーダ及びそれを備える部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品を実装する部品実装機では、部品実装機本体に部品供給フィーダが着脱可能に取付けられ、部品供給フィーダから電子部品を供給するものがある。部品供給フィーダとしては、例えば、ボトムテープとカバーテープの間に複数の電子部品が収容されているテープ式の部品供給フィーダが知られている。テープ式の部品供給フィーダでは、電子部品が供給位置まで送り出される際に、供給位置の手前の剥離位置でカバーテープがボトムテープから剥離され、供給位置で電子部品が露出した状態となる。剥離されたカバーテープは、剥離位置から廃棄位置までカバーテープ送り機構により送られる。例えば、特許文献1の部品供給フィーダでは、カバーテープを剥離位置から廃棄位置まで適切に送るために、カバーテープ送り機構は、剥離されたカバーテープにテンションがかかった状態で、カバーテープを廃棄位置に送る。また、特許文献1の部品供給フィーダには、剥離されたカバーテープにテンションがかかっているか否かを検出する検出機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-92271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テープ式の部品供給フィーダでは、テープ(すなわち、電子部品を収容している状態のボトムテープとカバーテープ)が、電子部品を供給位置に送る方向とは反対の方向に送られることがある。テープを反対方向に送る場合とは、例えば、テープを供給位置に送る際に送り過ぎた場合や、テープを部品供給フィーダから取り外す場合等が挙げられる。以下、このようにテープを反対方向に送るための動作をテープの戻し動作ともいう。テープの戻し動作を実行すると、剥離されたカバーテープも剥離位置に向かう方向に戻される。このとき、特許文献1に開示されるような部品供給フィーダでは、剥離されたカバーテープにテンションがかかっているため、そのままテープの戻し動作を実行するとカバーテープが切れてしまうことがある。このため、テープの戻し動作を行う際には、カバーテープにテンションがかからない状態までカバーテープを緩めてからテープを反対方向に送っている。一方で、カバーテープにテンションがかかっていない場合(例えば、カバーテープが切られている場合)には、テープの戻し動作を実行する際にカバーテープを緩める必要はない。しかしながら、従来の技術では、テープの戻し動作を実行する際には、カバーテープにテンションがかかっているか否かに関わらず、カバーテープを緩めるための動作を実行した後に、テープを反対方向に送っていた。このため、テープの戻し動作を実行する際に不要に時間を要することがあった。
【0005】
本明細書は、テープ式の部品供給フィーダにおいて、テープを供給する方向とは反対の方向に戻す動作を適切に実行する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する部品供給フィーダは、電子部品を基板に実装する部品実装機本体に着脱可能に取付けられ、前記部品実装機本体に電子部品を供給するテープ式の部品供給フィーダである。部品供給フィーダは、ボトムテープと、ボトムテープに貼り付けられたカバーテープとの間に電子部品を収容するテープと、テープに収容される電子部品を供給位置に送る部品送り機構と、テープから剥離されたカバーテープを剥離位置から廃棄位置に送るカバーテープ送り機構と、部品送り機構とカバーテープ送り機構の間に設けられ、部品送り機構が電子部品を供給位置に送る方向である第1方向にテープを移動させ、かつ、カバーテープ送り機構がカバーテープを廃棄位置に送る方向である第3方向に移動させるときに、カバーテープにテンションをかけるテンショナーと、剥離されたカバーテープにかかるテンションの有無を検出する検出機構と、部品送り機構とカバーテープ送り機構を制御する制御部であって、部品送り機構が、第1方向とは反対方向である第2方向にテープを移動させる場合に、検出機構がカバーテープにテンションがかかっていることを検出するときは、カバーテープが第3方向とは反対方向である第4方向に移動するようにカバーテープ送り機構を制御すると共に、テープが第2方向に移動するように部品送り機構を制御し、検出機構がカバーテープにテンションがかかっていることを検出しないときは、カバーテープが第4方向に移動するようにカバーテープ送り機構を制御することなく、テープが第2方向に移動するように部品送り機構を制御する、制御部と、を備える。
【0007】
上記の部品供給フィーダでは、カバーテープにテンションがかかっている場合、テープを第2方向に送る際に、まず、カバーテープ送り機構によりカバーテープを第4方向に送る動作を実行する。これにより、カバーテープにかかるテンションが緩められ、テープを第2方向に送る際にカバーテープが切れてしまうことを回避できる。一方、カバーテープにテンションがかかっていない場合、カバーテープ送り機構によりカバーテープを第4方向に送る動作を実行せずにテープを第2方向に送る。これにより、カバーテープにテンションがかかっていないとき、例えば、カバーテープが既に切られているとき等には、カバーテープを緩ませる動作を実行することなく、テープが第2方向に送られ、テープを第2方向に送る動作にかかる時間を短縮できる。このように、カバーテープの状態に応じて適切にテープを第2方向に送る動作を実行することができる。
【0008】
本明細書に開示する部品実装機は、上記の部品供給フィーダと、部品供給フィーダが着脱可能に取り付けられ、部品供給フィーダから供給される電子部品を基板に実装する部品実装機本体と、を備える。
【0009】
上記の部品実装機は、上記の部品供給フィーダを備えている。このため、上記の部品供給フィーダと同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】部品実装機の概略構成を示す図。
図2図1のII-II線における断面図。
図3】部品供給フィーダの概略構成を示す図であり、剥離されたカバーテープにテンションが掛かっている状態を示す。
図4】部品供給フィーダの概略構成を示す図であり、剥離されたカバーテープにテンションが掛かっていない状態を示す。
図5】部品供給フィーダの制御系を示すブロック図。
図6】テープを逆方向に戻す処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0012】
本明細書に開示する部品供給フィーダでは、検出機構は、剥離位置と廃棄位置との間に配置され、剥離されたカバーテープにかかるテンションの有無を検出するセンサであってもよい。このような構成によると、カバーテープにかかるテンションを好適に検出することができる。
【0013】
本明細書に開示する部品供給フィーダでは、テンショナーは、カバーテープにテンションをかけない第1位置と、カバーテープにテンションをかける第2位置とに移動可能であってもよい。センサは、テンショナーが第1位置にあるか否かを検出してもよい。このような構成によると、カバーテープにテンションがかかっていないことを好適に検出することができる。
【実施例
【0014】
以下、実施例に係る部品実装機10について説明する。部品実装機10は、回路基板2に電子部品4を実装する装置である。部品実装機10は、電子部品装着装置やチップマウンタとも称される。通常、部品実装機10は、はんだ印刷機及び基板検査機といった他の基板作業機と共に併設され、一連の実装ラインを構成する。
【0015】
図1及び図2に示すように、部品実装機10は、複数の部品供給フィーダ30と、フィーダ保持部14と、装着ヘッド16と、ヘッド移動装置18と、基板コンベア20と、タッチパネル24と、制御装置26を備える。各々の部品供給フィーダ30は、複数の電子部品4を収容している。部品供給フィーダ30は、フィーダ保持部14に着脱可能に取り付けられ、装着ヘッド16へ電子部品4を供給する。なお、部品供給フィーダ30の具体的な構成については、後に詳述する。
【0016】
フィーダ保持部14は、複数のスロットを備えており、複数のスロットのそれぞれには部品供給フィーダ30を着脱可能に設置することができる。フィーダ保持部14は、部品実装機10に固定されたものであってもよいし、部品実装機10に対して着脱可能なものであってもよい。装着ヘッド16は、一又は複数の吸着ノズル6を着脱可能に保持し、吸着ノズル6を用いて部品供給フィーダ30が供給する電子部品4を取り上げ、当該電子部品4を回路基板2上へ装着する。このとき、ヘッド移動装置18が、部品供給フィーダ30及び回路基板2に対して、装着ヘッド16を移動させる。これによって、複数の部品供給フィーダ30のうち特定の部品供給フィーダ30から電子部品4が取り上げられ、回路基板2の予め定められた位置に電子部品4が装着される。基板コンベア20は、回路基板2の搬入、支持及び搬出を行う。タッチパネル24は、作業者に部品実装機10の各種の情報を提供する表示装置であるとともに、作業者からの指示や情報を受け付ける入力装置である。制御装置26は、CPU及び記憶装置を備えるコンピュータを用いて構成されている。制御装置26は、管理装置8から送信される生産プログラムに基づいて、部品実装機10の各部の動作を制御する。
【0017】
図3図5を参照して、部品供給フィーダ30の構成について説明する。図3図5に示すように、部品供給フィーダ30は、ハウジング32と、リール34と、リール支持部36と、テープ送出機構38と、ローラ52と、テンショナー54と、カバーテープ送り機構56と、センサ58と、制御装置60を備えている。
【0018】
リール34には、複数の電子部品4を一定の間隔で収容する長尺のテープ40が巻き付けられている。テープ40は、ベーステープ42とカバーテープ44を有しており、ベーステープ42とカバーテープ44の間に電子部品4が収容されている。リール34の中央には開口部34aが設けられており、開口部34aは、後述のリール支持部36の径方向の寸法より大きくされている。開口部34aにリール支持部36を挿入して係合させることによって、リール34は部品供給フィーダ30に設置される。リール34は、部品供給フィーダ30に対して交換可能となっている。
【0019】
リール支持部36は、円筒状であり、リール支持部36の一端は、ハウジング32に取付けられている。リール支持部36は、リール34を回転可能に支持する。
【0020】
テープ送出機構38は、リール支持部36で支持されるリール34に巻回されるテープ40を、リール34から一定量ずつ送り出す。テープ送出機構38によるテープ40の送り出し量は、テープ40に収容された電子部品4の間隔に応じて設定される。送り出されたテープ40は、所定の取り上げ位置(すなわち、供給位置)A(図1参照)よりリール34側の位置Bでカバーテープ44が剥離される(以下、位置Bは剥離位置Bともいう)。カバーテープ44が剥離されると、テープ40に収容された電子部品4は露出し、取り上げ位置Aにおいて装着ヘッド16により取り上げられる。テープ送出機構38は、テープ40を送り出す際には、リール34から取り上げ位置Aに向かう方向(すなわち、+Y方向)にテープ40を移動させる。また、テープ送出機構38は、テープ40を取り上げ位置Aからリール34に向かう方向(すなわち、-Y方向)に戻すことも可能である。以下、テープ送出機構38がテープ40を送り出す方向(+Y方向)を「順方向」や「第1方向」と称し、テープ送出機構38がテープ40を戻す方向(-Y方向)を「逆方向」や「第2方向」と称することがある。テープ送出機構38は、例えば、テープ40を順方向に移動させたときに、テープ40に収容される電子部品4が取り上げ位置Aより順方向側に送られた場合や、リール34を部品供給フィーダ30から取り外す際に、テープ40を逆方向に移動させることがある。なお、テープ送出機構38は、「部品送り機構」の一例である。
【0021】
カバーテープ44は、剥離位置Bで、テープ40の上方かつテープ40が送り出される第1方向とは反対に向かって(図3及び図4では、-Y方向に)剥離される。ベーステープ42から剥離されたカバーテープ44は、ローラ52及びテンショナー54を介してカバーテープ送り機構56に送られる。
【0022】
カバーテープ送り機構56は、剥離位置Bでベーステープ42から剥離されたカバーテープ44を廃棄位置Cに送る。カバーテープ送り機構56は、例えば、図示しないモータに接続された巻取りギアであり、下方の廃棄位置Cに向かう方向(図3及び図4の矢印Dの方向)に回転することによって、カバーテープ44を剥離位置Bから廃棄位置Cに送る。以下、カバーテープ送り機構56により、カバーテープ44が廃棄位置Cに向かって移動する方向を「順方向」や「第3方向」と称すると共に、このときのカバーテープ送り機構56の駆動を「カバーテープ送り機構56を順方向に駆動する」と称することがある。また、カバーテープ送り機構56は、上方のテンショナー54に向かう方向(図3及び図4の矢印Eの方向)に向かって回転することも可能であり、この方向に回転することによって、カバーテープ44を剥離位置Bの方向に戻すことができる。以下、カバーテープ送り機構56により、カバーテープ44が剥離位置Bに向かって移動する方向を「逆方向」や「第4方向」と称すると共に、このときのカバーテープ送り機構56の駆動を「カバーテープ送り機構56を逆方向に駆動する」と称することがある。
【0023】
テンショナー54は、ローラ52とカバーテープ送り機構56の間に配置されている。テンショナー54は、図4に示す第1位置から、第1位置よりカバーテープ送り機構56側(図3では-Z側)の図3に示す第2位置に、移動可能に構成されている。具体的には、テンショナー54は、図示しない付勢手段(バネ)によって、第2位置から第1位置に向かって付勢されている。カバーテープ44やテンショナー54にテンションがかかっていない状態では、付勢手段からの付勢力によって、テンショナー54は図4に示す第1位置に位置している。カバーテープ送り機構56(すなわち、巻取りギア)を矢印Dの方向に回転させるによってカバーテープ44にテンションがかかると、テンショナー54は、カバーテープ44からの外力が付勢手段の付勢力に打ち勝つため、図4に示す第1位置から図3に示す第2位置に移動する。カバーテープ44にテンションを付与することによって、カバーテープ44が緩むことなく、カバーテープ44を廃棄位置Cまで適切に送ることができる。
【0024】
センサ58は、カバーテープ44にテンションが付与されているか否かを検出する。センサ58は、発光部と受光部を有する光学式センサであり、テンショナー54が第1位置に位置しているか否かを検出する。具体的には、センサ58の受光部は、テンショナー54が第1位置に位置しているときに、テンショナー54によって発光部からの光の光路が遮られる位置に配置されている。テンショナー54が第1位置からずれると(すなわち、テンショナー54が第1位置から第2位置に向かって移動すると)、センサ58の受光部は受光し、テンショナー54が第1位置に位置していないことを検出する。これにより、カバーテープ44にテンションが付与されていることが検出される。以下、センサ58が受光した状態を「センサ58(又はその検出信号)がオンになる」と称し、センサ58の光路が遮られている状態を「センサ58(又はその検出信号)がオフになる」と称することがある。
【0025】
図5に示すように、制御装置60は、テープ送出機構38及びカバーテープ送り機構56に接続されており、テープ送出機構38及びカバーテープ送り機構56を制御している。また、制御装置60は、センサ58に接続されており、センサ58から検出信号を取得する。
【0026】
図6を参照して、テープ40を逆方向(すなわち、取り上げ位置Aからリール34に向かう方向)に戻す処理について説明する。上述したように、テープ送出機構38は、テープ40をリール34から取り上げ位置Aに送り出すだけでなく、テープ40を逆方向に戻すことができる。このとき、剥離されたカバーテープ44も逆方向(すなわち、廃棄位置Cから剥離位置Bに向かう方向)に戻されるが、カバーテープ44にはテンションがかかっているため、テープ40を逆方向に戻す前に、カバーテープ44にかかるテンションを緩める必要がある。一方で、テープ40を逆方向に戻す際にカバーテープ44が切られている場合には、カバーテープ44にかかるテンションを緩める必要がない。本実施例では、カバーテープ44の状態に応じて、テープ40を逆方向に戻す処理を実行する。
【0027】
図6に示すように、まず、制御装置60は、センサ58から検出信号を取得する(S12)。次いで、制御装置60は、ステップS12で取得した検出信号がオンであるか否かを判定する(S14)。検出信号がオンの場合(ステップS14でYES)、テンショナー54が第1位置に位置していないことを示している。これは、カバーテープ44にテンションが付与されていることを意味する。このため、制御装置60は、カバーテープ送り機構56を逆方向に予め設定された駆動量だけ駆動して、カバーテープ44を逆方向に予め設定された移動量だけ移動させる(S16)。例えば、制御装置60は、カバーテープ44を数mmずつ(例えば、4mmずつ)複数回(予め設定された回数)にわたり逆方向に移動させるように、カバーテープ送り機構56を制御する。なお、制御装置60は、ステップS16において、カバーテープ送り機構56を順方向に数mm(例えば、4mm)駆動した後で、カバーテープ44を数mmずつ複数回にわたり逆方向に移動させ、その後、カバーテープ送り機構56を順方向に数mm(例えば、4mm)駆動してもよい。ステップS16では、テープ40はまだ移動させず、停止させたままにする。すると、テンショナー54が第2位置から第1位置まで戻る。これにより、カバーテープ44に付与されているテンションが緩む。
【0028】
次いで、制御装置60は、テープ送出機構38を制御して、テープ40を逆方向に移動させる(S18)。このとき制御装置60は、テープ送出機構38を制御して、テープ40を逆方向に移動させると共に、カバーテープ送り機構56を制御して、カバーテープ44も逆方向に移動させる。これにより、テープ40が逆方向に移動する。このとき、剥離されたカバーテープ44にはテンションがかかっていないため、テープ40を逆方向に移動させたときにカバーテープ44が切れることを回避することができる。
【0029】
テープ40の逆方向への移動が完了すると、制御装置60は、カバーテープ送り機構56を順方向に駆動して、カバーテープ44を順方向に移動させる(S20)。これにより、剥離されたカバーテープ44に再びテンションが付与される。
【0030】
一方、検出信号がオフの場合(ステップS14でNO)、テンショナー54が第1位置に位置していることを示している。これは、カバーテープ44にテンションが付与されていないことを意味する。また、通常は剥離されたカバーテープ44にはテンションが付与されているため、カバーテープ44にテンションが付与されていない状態は、カバーテープ44が切られている状態となっていることが想定される。このため、制御装置60は、テープ送出機構38を制御して、テープ40を逆方向に移動させる(S22)。これにより、テープ40が逆方向に移動する。ステップS22では、カバーテープ44が切られているため、テープ40のみが逆方向に移動する。また、カバーテープ44が切られているため、センサ58がオンの場合に実行するステップS20の処理(カバーテープ44にテンションを付与する処理)は実行する必要がない。
【0031】
なお、検出信号がオフの場合(ステップS14でNO)、制御装置60は、テープ40を逆方向に移動させたが(S22)、制御装置60は、ステップS22の前にカバーテープ44が切られているか否かを判定してもよい。具体的には、検出信号がオフの場合(ステップS14でNO)、制御装置60は、カバーテープ送り機構56を順方向に駆動し、再びセンサ58から検出信号を取得してもよい。上述したように、ステップS14で検出信号がオフだった場合には、カバーテープ44が切られている状態となっていることが想定されるが、カバーテープ44が何らかの原因により緩んだ状態でセットされていることもあり得る。カバーテープ44が切られていることによってステップS14で検出信号がオフとなった場合には、カバーテープ送り機構56を順方向に駆動してもテンショナー54が移動しないため、検出信号は再びオフとなる。このため、カバーテープ送り機構56を順方向に駆動した後に検出信号が再びオフであった場合には、ステップS22に進む。一方、カバーテープ44が切られておらず、緩んでいたことによってステップS14で検出信号がオフとなった場合には、カバーテープ送り機構56を順方向に駆動すると、テンショナー54が移動してカバーテープ44にテンションが付与される。このため、カバーテープ送り機構56を順方向に駆動した後に検出信号はオンとなる。この場合には、ステップS22に進むとカバーテープが切れてしまう。このため、ステップS22には進まず、ステップS14で検出信号がオンであった場合と同様の処理である、ステップS16~ステップS20の処理を実行する。
【0032】
本実施例では、カバーテープ44にテンションが付与されているか否かに基づいて、テープ40を戻す処理をどのように実行するのかを選択している。センサ58がオンの場合には、カバーテープ44がカバーテープ送り機構56に取り付けられていることが想定される。このため、カバーテープ44にかかるテンションを緩めてからテープ40を戻している。これにより、カバーテープ44が切れることを回避することができる。一方、センサ58がオフの場合には、カバーテープ44が切られていることが想定される。このため、カバーテープ44に係るテンションを緩める処理と、カバーテープ44に再びテンションを付与する処理が省略される。これにより、不要な処理が省略され、テープ40を戻す処理にかかる時間を短縮することができる。
【0033】
なお、本実施例の部品実装機10は、光学式のセンサ58を備えていたが、このような構成に限定されない。剥離されたカバーテープ44にテンションが掛かっているか否かを検出できればよく、センサは光学式のセンサに限定されない。また、センサに代わり、例えば、カバーテープ送り機構56にかかる負荷を検出することによって、剥離されたカバーテープ44にテンションがかかっているか否かを検出してもよい。
【0034】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0035】
2:回路基板
4:電子部品
8:管理装置
10:部品実装機
14:フィーダ保持部
16:装着ヘッド
18:ヘッド移動装置
20:基板コンベア
24:タッチパネル
26:部品実装機の制御装置
30:部品供給フィーダ
32:ケーシング
34:リール
38:テープ送出機構
40:テープ
42:ボトムテープ
44:カバーテープ
54:テンショナー
56:カバーテープ送り機構
58:センサ
60:部品供給フィーダの制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6