IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社NTTドコモの特許一覧

<>
  • 特許-口腔画像取得装置 図1
  • 特許-口腔画像取得装置 図2
  • 特許-口腔画像取得装置 図3
  • 特許-口腔画像取得装置 図4
  • 特許-口腔画像取得装置 図5
  • 特許-口腔画像取得装置 図6
  • 特許-口腔画像取得装置 図7
  • 特許-口腔画像取得装置 図8
  • 特許-口腔画像取得装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】口腔画像取得装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/24 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
A61B1/24
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020187842
(22)【出願日】2020-11-11
(65)【公開番号】P2022077149
(43)【公開日】2022-05-23
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】豊岡 継泰
(72)【発明者】
【氏名】檜山 聡
(72)【発明者】
【氏名】土井 千章
(72)【発明者】
【氏名】荒木 尊士
【審査官】小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-179173(JP,A)
【文献】特開2009-231879(JP,A)
【文献】国際公開第2015/016377(WO,A1)
【文献】特開2018-134418(JP,A)
【文献】国際公開第2018/061412(WO,A1)
【文献】特開2016-151584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
G06T 1/00、7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに向けて空気を噴射するように構成された送風装置と、前記ユーザの顔を撮像するように構成された撮像装置とを制御し、前記撮像装置によりユーザの口腔画像を取得する口腔画像取得装置であって、
前記撮像装置により撮像されたユーザの顔画像を取得する第1画像取得部と、
前記顔画像から口腔の位置を推定する認識部と、
前記顔画像の前記口腔の内部における歯及び歯茎の視認性を判断する視認性判断部であって、視認されない歯及び歯茎の位置並びに視認性の程度の少なくともいずれか一方を判断する、視認性判断部と、
前記認識部により認識された口腔の位置に空気が噴射されるように、前記送風装置の噴射位置を制御する送風装置制御部であって、前記視認性が向上されるように、前記送風装置から空気を噴射する力である風力及び前記噴射位置の少なくともいずれか一方を制御する、送風装置制御部と、
前記視認性判断部により前記視認性が所定の程度以上であることが判断されたときに、前記顔画像のうちの少なくとも口腔の部分を含む口腔画像を取得する第2画像取得部と、
を備える口腔画像取得装置。
【請求項2】
前記送風装置制御部は、口腔の内部における視認されていない位置に空気が噴射されるように前記噴射位置を設定する、
請求項1に記載の口腔画像取得装置。
【請求項3】
前記送風装置制御部は、前記視認性の程度が所定の程度未満である場合に、前記風力を上げる、
請求項1または2に記載の口腔画像取得装置。
【請求項4】
前記口腔の内部における光の反射の有無を判定する反射判断部、を更に備え、
前記送風装置制御部は、前記反射判断部により光の反射があると判定された場合に、前記送風装置に空気の噴射を継続させ又は前記風力を上げさせ、
前記第2画像取得部は、前記反射判断部により光の反射が所定の程度未満になったと判定された場合に、前記口腔画像を取得する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の口腔画像取得装置。
【請求項5】
前記反射判断部は、前記顔画像を構成する画素の輝度値に基づいて反射の有無を判断する、
請求項4に記載の口腔画像取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔画像取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの口腔内を撮像した口腔画像に基づいて、歯及び歯茎等における口腔疾患等の診断が行われている。また、既存の携帯端末により撮影対象(ユーザ)の異変部を撮影するための装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/016377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
口腔画像に基づく診断のためには、診断対象である口腔内の歯及び歯茎等が口腔画像に明確に表されていることが好ましい。口腔内の診断のために、口を開けた状態に保つための開口器といった器具が存在するが、撮像装置及び開口器に唾液が付着すること等の衛生面の問題、及び、使い捨ての消耗品であるというコスト面の問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、歯及び歯茎等の視認性が良好な口腔画像を取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一形態に係る口腔画像取得装置は、ユーザに向けて空気を噴射するように構成された送風装置と、ユーザの顔を撮像するように構成された撮像装置とを制御し、撮像装置によりユーザの口腔画像を取得する口腔画像取得装置であって、撮像装置により撮像されたユーザの顔画像を取得する第1画像取得部と、顔画像から口腔の位置を推定する認識部と、顔画像の口腔の内部における歯及び歯茎の視認性を判断する視認性判断部であって、視認されない歯及び歯茎の位置並びに視認性の程度の少なくともいずれか一方を判断する、視認性判断部と、認識部により認識された口腔の位置に空気が噴射されるように、送風装置の噴射位置を制御する送風装置制御部であって、視認性が向上されるように、送風装置から空気を噴射する力である風力及び噴射位置の少なくともいずれか一方を制御する、送風装置制御部と、視認性判断部により視認性が所定の程度以上であることが判断されたときに、顔画像のうちの少なくとも口腔の部分を含む口腔画像を取得する第2画像取得部と、を備える。
【0007】
上記の形態によれば、顔画像の認識により得られた口腔の位置の情報に基づいて、口腔の位置に空気が噴射されるように、送風装置の噴射位置が制御される。そして、顔画像に基づいて判断された歯及び歯茎の視認性に基づいて、視認性が向上されるように、ユーザの口腔に向けて噴射される空気の風力及び噴射位置の少なくとも一方が制御され、視認性が所定の程度以上になったときに、口腔画像が取得される。従って、歯及び歯茎等の視認性が良好な口腔画像の取得が可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一形態によれば、歯及び歯茎等の視認性が良好な口腔画像を取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の口腔画像取得システムの装置構成を示す図である。
図2】本実施形態の口腔画像取得装置の機能的構成を示すブロック図である。
図3】口腔画像取得装置のハードブロック図である。
図4】顔画像の例を示す図である。
図5】顔画像の一部の口腔部分の例を示す図である。
図6】口腔部分の一部の視認性が良好ではない顔画像の例を示す図である。
図7】口腔部分の視認性が良好ではない顔画像の例を示す図である。
図8】口腔画像取得装置における口腔画像取得方法の処理内容を示すフローチャートである。
図9】口腔画像取得プログラムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る口腔画像取得装置の実施形態について図面を参照して説明する。なお、可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る口腔画像取得装置を含む口腔画像取得システムの装置構成を示す図である。図1に示されるように、口腔画像取得システム1は、口腔画像取得装置10、撮像装置C、送風装置Fを含む。口腔画像取得装置10は、口腔画像記憶部20といった記憶手段にアクセス可能に構成されている。
【0012】
口腔画像取得装置10は、撮像装置Cによりユーザの口腔画像を取得する装置である。口腔画像は、ユーザの口腔疾患の診断等に供される画像であって、歯及び歯茎等の視認性が良好であることが求められる。
【0013】
撮像装置Cは、例えば光学センサ等により画像を取得する装置であって、口腔画像取得装置10により制御される。具体的には、撮像装置Cは、撮像のタイミング、被写体の撮像位置及び焦点調整等を口腔画像取得装置10により制御される。
【0014】
送風装置Fは、被写体であるユーザに向けて空気を噴射するように構成された装置である。具体的には、本実施形態の送風装置Fは、ユーザの口を開かせるためにユーザの口の部分に空気を噴射することにより、口腔内の視認性を向上させる。送風装置Fは、被写体における空気が吹きつけられる噴射位置を調整するために、口腔画像取得装置10の制御に基づいて噴射方向を変更できる。また、送風装置Fは、各々が異なる噴射位置に対応付けられた複数の噴射口を備えていてもよい。
【0015】
口腔画像記憶部20は、口腔画像取得装置10により取得された口腔画像を記憶させるための記憶手段である。
【0016】
図2は、本実施形態に係る口腔画像取得装置10の機能的構成を示す図である。図2に示すように、口腔画像取得装置10は、機能的には、第1画像取得部11、認識部12、視認性判断部13、反射判断部14、送風装置制御部15及び第2画像取得部16を備える。口腔画像取得装置10の各機能部11~16は、一つの装置に構成されてもよいし、複数の装置に分散されて構成されてもよい。
【0017】
なお、図2に示したブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0018】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0019】
例えば、本発明の一実施の形態における口腔画像取得装置10は、コンピュータとして機能してもよい。図3は、本実施形態に係る口腔画像取得装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。口腔画像取得装置10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0020】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。口腔画像取得装置10のハードウェア構成は、図3に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0021】
口腔画像取得装置10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信や、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
【0022】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。例えば、図2に示した各機能部11~16などは、プロセッサ1001で実現されてもよい。
【0023】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールやデータを、ストレージ1003及び/又は通信装置1004からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、口腔画像取得装置10の各機能部11~16は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001で動作する制御プログラムによって実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001で実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップで実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0024】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本発明の一実施の形態に係る口腔画像取得方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0025】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及び/又はストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0026】
通信装置1004は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0027】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0028】
また、プロセッサ1001やメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0029】
また、口腔画像取得装置10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
【0030】
次に、口腔画像取得装置10の各機能部について説明する。第1画像取得部11は、撮像装置Cにより撮像されたユーザの顔画像を取得する。図4は、撮像装置Cにより取得され、第1画像取得部11により取得された顔画像の例を示す図である。
【0031】
図4に示すように、顔画像Aは、口腔疾患の診断の対象であるユーザを被写体として撮像された画像であって、後述されるように、口腔の内部の視認性の判断に供される。時間の経過と共に変化する視認性の判断のために、顔画像Aは、動画像として撮像及び取得されてもよい。また、顔画像Aは、所定の時間間隔で撮像及び取得された静止画であってもよい。
【0032】
認識部12は、顔画像Aから、口腔の位置を推定する。具体的には、認識部12は、周知の画像認識技術により、顔画像Aから顔を認識する。周知の画像認識技術は限定されないが、例えば、予め記憶されている顔画像データとの照合により顔を認識するパターンマッチング技術であってもよい。また、認識部12は、顔画像を教師データとして機械学習により構築された学習済みの認識モデルを用いて、顔画像Aから顔を認識及び抽出してもよい。
【0033】
認識部12は、さらに、顔画像Aから認識された顔の中の口腔の位置を推定する。具体的には、認識部12は、周知の推定技術により、顔画像Aから認識された顔の中の口腔(口)の位置を推定するが、その推定手法は限定されない。例えば、認識部12は、予め記憶されている口の画像データとの照合により、口腔の位置を推定してもよい。認識部12は、顔画像Aから認識された顔の中の口腔の位置を示す情報を出力してもよい。例えば、認識部12は、顔画像Aに対してローカルに設定された位置を示す情報(例えば、2次元座標)により、口腔の位置を示す情報を出力してもよい。
【0034】
視認性判断部13は、顔画像Aの口腔の内部における歯及び歯茎の視認性を判断する。具体的には、視認性判断部13は、顔画像Aに基づいて、視認されない歯及び歯茎の位置及び視認の程度の少なくともいずれか一方を判断する。
【0035】
視認性判断部13は、例えば、顔画像Aから抽出された口腔の部分の画像を、歯及び歯茎が十分に表され予め有している口腔部分の画像と照合することにより、歯及び歯茎等が視認されない箇所を判断してもよい。視認性判断部13は、顔画像A中における、歯及び歯茎等が視認されない箇所の位置を示す情報を出力する。
【0036】
例えば、視認性判断部13は、顔画像Aにおける、歯及び歯茎等が視認されない箇所を示す位置情報を、顔画像Aに対してローカルに設定された位置を示す情報(例えば、2次元座標)として出力してもよい。
【0037】
図5は、口腔部分が拡大された顔画像の例を示す図である。図5に示される例では、顔画像B1の口腔部分には、各位置に対応付けられた複数(4×4)の部分領域Lが設定されている。このように部分領域Lが設定されている場合には、視認性判断部13は、歯及び歯茎等が視認されない箇所に対応する部分領域Lを識別する情報を、歯及び歯茎等が視認されない位置を示す情報として出力してもよい。
【0038】
反射判断部14は、口腔の内部における光の反射の有無を判定する。口腔の内部において唾液等の存在に起因する光の反射が発生すると、口腔画像における歯及び歯茎等の視認性が低下するので、本実施形態の口腔画像取得装置10では、診断のための口腔画像の取得に先立って、口腔内部の光の反射の有無及び程度が判断される。
【0039】
具体的には、反射判断部14は、顔画像Aに表された口腔部分を構成する画素の輝度値に基づいて、光の反射の有無及び程度を判断してもよい。即ち、反射判断部14は、輝度値が所定値以上である場合には、光の反射が発生していると判断し、輝度値が所定値未満である場合には、光の反射が発生していないと判断してもよい。
【0040】
送風装置制御部15は、認識部12により認識されたユーザの口腔の位置に空気が噴射されるように、送風装置Fの噴射位置を制御する。本実施形態の口腔画像取得装置10においては、撮像装置Cの画角と送風装置Fが設けられている位置とが相対的に固定されていてもよい。そして、口腔画像取得装置10は、撮像装置Cにより取得された顔画像A中の位置(座標)と、送風装置Fからの空気の噴射位置とを予め関連付けておき、設定情報として有することができる。顔画像A中の位置を示す情報は、顔画像Aに対してローカルに設定された座標であってもよいし、図5に例示したような部分領域Lを識別する情報であってもよい。
【0041】
送風装置制御部15は、認識部12から口腔の位置を示す情報を取得し、顔画像中の位置と噴射位置とを関連付けた設定情報を参照し、口腔の位置に対応する噴射位置の情報に基づいて、送風装置Fの噴射位置を制御する。噴射位置の制御は、前述のとおり、例えば、噴射方向の調整及び複数の噴射口のうちの1または複数の噴射口の選択であってもよい。
【0042】
送風装置制御部15は、さらに、視認性判断部13による歯及び歯茎等の視認性の判断に基づいて、視認性が向上されるように、送風装置Fから空気を噴射する力である風力及び噴射位置の少なくともいずれか一方を制御する。具体的には、送風装置制御部15は、口腔の内部における視認されていない位置に空気が噴射されるように噴射位置を設定する。また、送風装置制御部15は、視認性の程度が所定の程度未満である場合に、風力を上げるように制御する。
【0043】
図6は、口腔部分が拡大された顔画像の例を示す図である。図6に示される顔画像B2では、部分V1の口の開き方が十分ではなく、部分V1近傍における歯及び歯茎が視認されない。このような場合において、視認性判断部13は、部分V1近傍における歯及び歯茎の視認性が所定の程度未満であることを判断すると共に、顔画像B2における部分V1の位置を示す情報を出力する。視認性判断部13は、部分V1が対応する部分領域Lを識別する情報を出力してもよい。
【0044】
送風装置制御部15は、視認性判断部13からの部分V1の位置を示す情報に基づいて、部分V1に空気が噴射されるように、送風装置Fの噴射位置を制御する。具体的には、送風装置制御部15は、顔画像中の位置と噴射位置とを関連付けた設定情報を参照して、部分V1の位置を示す情報に対応する噴射位置を取得し、取得した噴射位置に基づいて、送風装置Fの噴射方向を調整したり、複数の噴射口のうちの1または複数の噴射口を選択したりする。
【0045】
図7は、口腔部分が拡大された顔画像の例を示す図である。図7に示される顔画像B3では、口全体に相当する部分V2の口の開き方が十分ではなく、部分V2近傍における歯及び歯茎の視認性の程度が十分ではない。このような場合において、視認性判断部13は、歯及び歯茎の視認性の程度が所定の程度未満であることを示す情報を出力する。送風装置制御部15は、視認性判断部13からの視認性の程度を示す情報に基づいて、送風装置Fにおける空気を噴射する風力を上げるように制御する。
【0046】
また、送風装置制御部15は、反射判断部14による光の反射の有無の判断の結果に基づいて、送風装置Fを制御してもよい。具体的には、送風装置制御部15は、反射判断部14により光の反射が発生していると判断された場合には、送風装置Fに空気の噴射を継続させる。また、送風装置制御部15は、反射判断部14により光の反射が発生していると判断された場合には、送風装置Fに風力を上げさせる。このような送風装置Fの制御により、唾液の蒸発が促進される。
【0047】
第2画像取得部16は、視認性判断部13により口腔内の歯及び歯茎の視認性が所定の程度以上であることが判断されたときに、口腔画像を取得する。口腔画像は、顔画像のうちの少なくとも口腔の部分を含む画像である。
【0048】
本実施形態では、前述のとおり、撮像装置Cにより動画像または時系列の複数の静止画が撮像されているので、第2画像取得部16は、視認性に関する条件が充足された時に撮像装置Cにより撮像された動画像または静止画を、口腔画像として記録してもよい。
【0049】
さらに、第2画像取得部16は、取得した口腔画像を口腔画像記憶部20に記憶させてもよい。視認性が所定の程度以上になったときに口腔画像が取得されるので、歯及び歯茎等の視認性が良好な口腔画像の取得が可能となる。
【0050】
また、第2画像取得部16は、反射判断部14により光の反射が所定の程度未満になったと判定された場合に、口腔画像を取得することとしてもよい。このように口腔画像が取得されることにより、視認性の良好な口腔画像の取得が可能となる。
【0051】
図8は、口腔画像取得装置10における口腔画像取得方法の処理内容を示すフローチャートである。
【0052】
ステップS1において、第1画像取得部11は、撮像装置Cにより撮像されたユーザの顔画像を取得する。ステップS2において、認識部12は、ステップS1において取得された顔画像からユーザの顔を認識する。さらに、認識部12は、顔画像から認識された顔の中の口腔の位置を推定及び認識する。
【0053】
ステップS3において、視認性判断部13は、顔画像の口腔の内部における歯及び歯茎の視認性を判断する。具体的には、視認性判断部13は、顔画像に基づいて、視認されない歯及び歯茎の位置及び視認の程度の少なくともいずれか一方を判断する。
【0054】
ステップS4において、視認性判断部13は、歯及び歯茎の視認性が所定の程度以上であるか否かを判定する。視認性が所定の程度以上であると判定された場合には、処理はステップS6に進む。一方、視認性が所定の程度以上であると判定されなかった場合には、処理はステップS5に進む。
【0055】
ステップS5において、送風装置制御部15は、口腔の内部における視認されていない位置に空気が噴射されるように噴射位置を設定する。また、送風装置制御部15は、視認性の程度が所定の程度未満である場合に、送風装置Fの風力を上げるように制御する。送風装置Fの制御の後に処理はステップS3に戻り、再び視認性の判断が実施される。
【0056】
ステップS6において、反射判断部14は、口腔の内部における唾液の存在に起因する光の反射の有無を判定する。ステップS7において、反射判断部14は、反射の有無を判定する。反射があると判定された場合には、処理はステップS8に進む。一方、反射があると判定されなかった場合には、処理はステップS9に進む。
【0057】
ステップS8において、送風装置制御部15は、空気の噴射を継続し、処理はステップS6の反射の有無の判定に戻る。
【0058】
ステップS9において、第2画像取得部16は、歯及び歯茎の視認性が所定の程度以上であり且つ光の反射が所定の程度未満になったことをもって、口腔画像を取得する。
【0059】
次に、コンピュータを、本実施形態の口腔画像取得装置10として機能させるための口腔画像取得プログラムについて説明する。図9は、口腔画像取得プログラムの構成を示す図である。
【0060】
口腔画像取得プログラムP1は、口腔画像取得装置10における口腔画像取得処理を統括的に制御するメインモジュールm10、第1画像取得モジュールm11、認識モジュールm12、視認性判断モジュールm13、反射判断モジュールm14、送風装置制御モジュールm15及び第2画像取得モジュールm16を備えて構成される。そして、各モジュールm11~m16により、第1画像取得部11、認識部12、視認性判断部13、反射判断部14、送風装置制御部15及び第2画像取得部16のための各機能が実現される。
【0061】
なお、口腔画像取得プログラムP1は、通信回線等の伝送媒体を介して伝送される態様であってもよいし、図9に示されるように、記録媒体M1に記憶される態様であってもよい。
【0062】
以上説明した本実施形態の口腔画像取得装置10、口腔画像取得方法及び口腔画像取得プログラムP1では、顔画像の認識により得られた口腔の位置の情報に基づいて、口腔の位置に空気が噴射されるように、送風装置の噴射位置が制御される。そして、顔画像に基づいて判断された歯及び歯茎の視認性に基づいて、視認性が向上されるように、ユーザの口腔に向けて噴射される空気の風力及び噴射位置の少なくとも一方が制御され、視認性が所定の程度以上になったときに、口腔画像が取得される。従って、歯及び歯茎等の視認性が良好な口腔画像の取得が可能となる。
【0063】
また、別の形態に係る口腔画像取得装置では、送風装置制御部は、口腔の内部における視認されていない位置に空気が噴射されるように噴射位置を設定することとしてもよい。
【0064】
上記形態によれば、口腔内部における視認されていない位置に空気が噴射されるので、口腔内に歯及び歯茎の視認性を向上させることが可能となる。
【0065】
また、別の形態に係る口腔画像取得装置では、送風装置制御部は、視認性の程度が所定の程度未満である場合に、風力を上げることとしてもよい。
【0066】
上記形態によれば、視認性の程度が不十分である場合に、風力が上げられるので、ユーザの口の開口が促され、視認性をより向上させることが可能となる。
【0067】
また、別の形態に係る口腔画像取得装置は、口腔の内部における光の反射の有無を判定する反射判断部、を更に備え、送風装置制御部は、反射判断部により光の反射があると判定された場合に、送風装置に空気の噴射を継続させ又は風力を上げさせ、第2画像取得部は、反射判断部により光の反射が所定の程度未満になったと判定された場合に、口腔画像を取得することとしてもよい。
【0068】
上記形態によれば、主に唾液に起因する光の反射が有ると判定された場合に、送風装置による空気の噴射が継続されたり送風装置の風力が上げられたりすることにより唾液の蒸発が促進される。そして、光の反射が所定の程度未満になったときに口腔画像が取得されるので、視認性の良好な口腔画像の取得が可能となる。
【0069】
また、別の形態に係る口腔画像取得装置では、反射判断部は、顔画像を構成する画素の輝度値に基づいて反射の有無を判断することとしてもよい。
【0070】
上記形態によれば、顔画像中の画素の輝度値が光の反射の判定に用いられるので、光の反射の有無及び程度が適切に判断される。
【0071】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、当業者にとっては、本実施形態が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本実施形態は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本実施形態に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0072】
本明細書で説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
【0073】
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0074】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0075】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0076】
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0077】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0078】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0079】
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0080】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0081】
なお、本開示において説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
【0082】
本明細書で使用する「システム」および「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0083】
また、本明細書で説明した情報、パラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。
【0084】
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0085】
本開示で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0086】
本明細書で「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した場合においては、その要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1および第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0087】
「含む(include)」、「含んでいる(including)」、およびそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0088】
本明細書において、文脈または技術的に明らかに1つのみしか存在しない装置である場合以外は、複数の装置をも含むものとする。
【0089】
本開示の全体において、文脈から明らかに単数を示したものではなければ、複数のものを含むものとする。
【符号の説明】
【0090】
1…口腔画像取得システム、10…口腔画像取得装置、11…第1画像取得部、12…認識部、13…視認性判断部、14…反射判断部、15…送風装置制御部、16…第2画像取得部、20…口腔画像記憶部、C…撮像装置、F…送風装置、M1…記録媒体、m10…メインモジュール、m11…第1画像取得モジュール、m12…認識モジュール、m13…視認性判断モジュール、m14…反射判断モジュール、m15…送風装置制御モジュール、m16…第2画像取得モジュール、P1…口腔画像取得プログラム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9