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特許7466449コアシースフィラメント及び接着剤をプリントする方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】コアシースフィラメント及び接着剤をプリントする方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 8/08 20060101AFI20240405BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20240405BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20240405BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240405BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240405BHJP
【FI】
D01F8/08 Z
B29C64/118
B33Y70/00
B33Y10/00
B33Y30/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020544243
(86)(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 US2019017162
(87)【国際公開番号】W WO2019164678
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-02-07
(31)【優先権主張番号】62/633,140
(32)【優先日】2018-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ニャリボ,エリック オー.
(72)【発明者】
【氏名】チャステック,トーマス キュー.
(72)【発明者】
【氏名】ワイド,ロバート ディー.
(72)【発明者】
【氏名】デヴォルダー,ロス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,ジャコブ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェスト,シャウン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ベルキン,ミハイル エー.
(72)【発明者】
【氏名】ディンゲルダイン,ジョーゼフ シー.
(72)【発明者】
【氏名】エシュ,ジャイ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ナピエラーラ,マーク イー.
【審査官】印出 亮太
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-036047(JP,A)
【文献】特開2016-084481(JP,A)
【文献】特表2007-526410(JP,A)
【文献】特開平01-308471(JP,A)
【文献】国際公開第2017/199547(WO,A1)
【文献】特開2002-338933(JP,A)
【文献】特表2018-523762(JP,A)
【文献】国際公開第2016/090164(WO,A1)
【文献】特開2016-008272(JP,A)
【文献】特表平05-503724(JP,A)
【文献】特表2017-500432(JP,A)
【文献】特開2017-087718(JP,A)
【文献】特開2015-004003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F 8/00 - 8/18
D01D 1/00 - 13/02
B29C 64/118
B33Y 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプールと、
前記スプールに巻き取られた、接着性コアと非粘着性シースとを含むコアシースフィラメントであって、前記シースが、10分当たり15グラム(g/10分)未満のメルトフローインデックスを示す、コアシースフィラメントとを含み、
前記コアシースフィラメントは、平均直径が3mm以上で、少なくとも6メートルの長さを有し、
前記接着性コアはスチレンブロックコポリマーを含む感圧接着剤を含んでいる、
物品。
【請求項2】
前記コアが、粘着付与剤を含む、請求項1に記載の物品
【請求項3】
前記シースが、スチレンブロックコポリマー、ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレンブタジエンコポリマー、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の物品
【請求項4】
前記シースが、前記コアシースフィラメントの総重量の最大5重量パーセント(重量%)の量の高密度ポリエチレン(HDPE)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の物品
【請求項5】
前記シースが、60パーセント(%)以上又は90%以上の破断伸びを呈する、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品
【請求項6】
前記フィラメントが溶融され、前記コアと前記シースとが一緒に混合されて混合物を形成するとき、前記混合物が0℃以下のガラス転移温度(T)を呈する、請求項1~5のいずれか一項に記載の物品
【請求項7】
接着剤をプリントする方法であって、
a.接着性コア及び非粘着性シースを含むコアシースフィラメントを、ペレット化することなく押出に基づく堆積システムに供給することと、
b.前記コアシースフィラメントをノズル内で溶融させて、溶融組成物を形成することと、
c.前記溶融組成物を、ノズルを通して基材上に分配することと
を含み、
前記コアシースフィラメントは、平均直径が3mm以上で、少なくとも6メートルの長さを有し、
前記接着性コアはスチレンブロックコポリマーを含む感圧接着剤を含んでおり、
工程a.及びb.を1回以上行って、プリントされた接着剤を形成する、
方法。
【請求項8】
前記プリントされた接着剤が、前記基材に垂直な軸における厚さが変化する一体形状を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記接着性コアが、粘着付与剤を含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
a.非一時的機械可読媒体から、物品の3Dモデルを表すデータを取得することと、
b.1つ以上のプロセッサによって、前記データを使用して製造デバイスとインタフェースする3Dプリンティングアプリケーションを実行することと、
c.前記製造デバイスによって、コアシースフィラメントを使用して前記物品の物理的オブジェクトを生成することであって、前記物品がプリントされた接着剤を含み、前記コアシースフィラメントが接着性コアと非粘着性シースとを含む、生成することと、
を含み、前記コアシースフィラメントがペレット化されずに押出に基づく堆積システムに供給され、前記コアシースフィラメントは、平均直径が3mm以上で、少なくとも6メートルの長さを有し、前記接着性コアはスチレンブロックコポリマーを含む感圧接着剤を含む、方法。
【請求項11】
a.1つ以上のプロセッサを有する製造デバイスによって、物品の複数の層を規定するデータを含むデジタルオブジェクトを受信することと、
b.前記製造デバイスを用いて、付加製造プロセスにより、コアシースフィラメントを使用して、前記デジタルオブジェクトに基づき、プリントされた接着剤を含む前記物品を生成することであって、前記コアシースフィラメントが、接着性コアと非粘着性シースとを含む、生成することと、
を含み、前記コアシースフィラメントがペレット化されずに押出に基づく堆積システムに供給され、前記コアシースフィラメントは、平均直径が3mm以上で、少なくとも6メートルの長さを有し、前記接着性コアはスチレンブロックコポリマーを含む感圧接着剤を含む、方法。
【請求項12】
a.物品の3Dモデルを表示するディスプレイと、
b.ユーザーによって選択された3Dモデルに応じて、コアシースフィラメントを使用して、プリントされた接着剤を含む物品の物理的オブジェクトを3Dプリンタに作製させる、1つ以上のプロセッサであって、前記コアシースフィラメントが、接着性コアと非粘着性シースとを含む、プロセッサと、
を含み、前記コアシースフィラメントがペレット化されずに押出に基づく堆積システムに供給され、前記コアシースフィラメントは、平均直径が3mm以上で、少なくとも6メートルの長さを有し、前記接着性コアはスチレンブロックコポリマーを含む感圧接着剤を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接着性コア及び非粘着性シースを含むコアシースフィラメント、並びに接着剤をプリントする方法、例えば、付加製造方法に広く関する。
【背景技術】
【0002】
3次元物品を製造するための溶融フィラメントファブリケーション(fused filament fabrication、FFF)の使用は比較的長年にわたって知られており、これらのプロセスは概して、いわゆる3Dプリンティング(又は付加製造)方法として知られている。FFFでは、プラスチックフィラメントを、移動するプリントヘッド中で溶融させて、層ごとに付加的にプリント物品を形成する。フィラメントは、多くの場合、ポリ乳酸、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(典型的にはグリコール変性)、又はアクリロニトリルブタジエンスチレンで構成される。
【発明の概要】
【0003】
例えば、溶融フィラメントファブリケーションにおいて、付加製造用の既存のポリマーフィラメントは、接着剤ではない。したがって、付加製造プロセス中に基材上にプリントされた接着剤を形成するのに使用することができる新しいフィラメントが必要とされている。
【0004】
第1の態様では、コアシースフィラメントが提供される。コアシースフィラメントは、接着性コアと非粘着性シースとを含み、シースは、10分当たり15グラム(g/10分)未満のメルトフローインデックスを示す。
【0005】
第2の態様では、接着剤をプリントする方法が提供される。方法は、a)コアシースフィラメントをノズル内で溶融させて溶融組成物を形成することと、b)溶融組成物を、ノズルを通して基材上に分配することと、を含む。工程a)及びb)を1回以上行って、プリントされた接着剤を形成する。コアシースフィラメントは、接着性コアと非粘着性シースとを含む。
【0006】
第3の態様では、非一時的機械可読媒体が提供される。非一時的機械可読媒体は、物品の3次元モデルを表すデータを有し、3Dプリンタとインタフェースする1つ以上のプロセッサによってアクセスされたときに、コアシースフィラメントを使用して、3Dプリンタに、プリントされた接着剤を含む物品を作製させる。コアシースフィラメントは、接着性コアと非粘着性シースとを含む。
【0007】
第4の態様では、方法が提供される。方法は、(a)非一時的機械可読媒体から、物品の3Dモデルを表すデータを取得することと、(b)1つ以上のプロセッサによって、このデータを使用して製造デバイスとインタフェースする3Dプリンティングアプリケーションを実行することと、(c)製造デバイスによって、コアシースフィラメントを使用して、物品の物理的オブジェクトを生成することであって、物品がプリントされた接着剤を含む、生成することと、を含む。コアシースフィラメントは、接着性コアと非粘着性シースとを含む。
【0008】
第5の態様では、別の方法が提供される。方法は、(a)1つ以上のプロセッサを有する製造デバイスによって、物品の複数の層を規定するデータを含むデジタルオブジェクトを受信することと、(b)製造デバイスを用いて、付加製造プロセスにより、コアシースフィラメントを使用して、デジタルオブジェクトに基づき、プリントされた接着剤を含む物品を生成することと、を含む。コアシースフィラメントは、接着性コアと非粘着性シースとを含む。
【0009】
第6の態様では、システムが提供される。システムは、(a)物品の3Dモデルを表示するディスプレイと、(b)ユーザーによって選択された3Dモデルに応じて、コアシースフィラメントを使用して、プリントされた接着剤を含む物品の物理的オブジェクトを3Dプリンタに作製させる、1つ以上のプロセッサと、を含む。コアシースフィラメントは、接着性コアと非粘着性シースとを含む。
【0010】
本開示の少なくとも特定の実施形態に従って調製されたコアシースフィラメントは、フィラメント自体(例えば、スプールに巻き取られたとき)又は他の表面へのフィラメントの接着を最小限に抑え、典型的には、スプールから容易に巻き出され、取り扱われ、好ましくは加熱ノズルを有する付加製造装置(例えば、3Dプリンタ)において使用されるのに十分な構造的一体性を有する。
【0011】
本開示の上記の概要は、開示されるそれぞれの実施形態、又は本開示の全ての実装形態を説明することを意図していない。以下の説明は、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本出願を通していくつかの箇所において、例を列挙することによって指針が示されるが、それらの例は様々な組み合わせで使用することができる。それぞれの事例において、記載された列挙項目は、代表的な群としての役割のみを果たすものであり、排他的な列挙として解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の方法に有用な押出ヘッドの一実施形態の概略断面図である。
図2】本開示の一実施形態による、コアシースフィラメントの断面の概略斜視分解図である。
図3】本開示の一実施形態による、コアシースフィラメントの概略断面図である。
図4a】比較例CF-3のプリントされた接着剤の斜視図である。
図4b】比較例CF-3のプリントされた接着剤の別の斜視図である。
図5a】実施例EF-1のプリントされた接着剤の斜視図である。
図5b】実施例EF-1のプリントされた接着剤の別の斜視図である。
図6】物品の付加製造のための一般化されたシステム600のブロック図である。
図7】物品のための一般化された製造プロセスのブロック図である。
図8】例示的な物品製造プロセスの高レベルフロー図である。
図9】例示的な物品付加製造プロセスの高レベルフロー図である。
図10】例示的なコンピューティングデバイス1000の概略正面図である。
【0013】
上記で特定された図は、本開示のいくつかの実施形態を記載するものであるが、本明細書で言及されるとおり、他の実施形態もまた企図される。図は必ずしも原寸に比例して描かれているとは限らない。全ての場合において、本開示は、限定ではなく代表例の提示によって、本発明を提示する。当業者によって多数の他の改変及び実施形態が考案され得、それらは、本発明の原理の範囲内及び趣旨内に含まれることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、接着剤を含むコアシースフィラメント、並びにコアシースフィラメントの作製方法及び使用方法、例えば、溶融フィラメントファブリケーション(FFF)を使用してコアシースフィラメントから接着剤をプリントする方法など、に関する。FFF分配に必要な材料特性は、ホットメルト接着剤の分配に必要な材料特性とは著しく異なることに留意されたい。例えば、従来のホットメルト接着剤分配の場合、接着剤をタンク内の液体に溶融させて、ホース及びノズルを通してポンプで送り出す。したがって、従来のホットメルト接着剤分配は、低溶融粘度接着剤を必要とし、これは多くの場合、高メルトフローインデックス(MFI)接着剤として定量化される。対照的に、FFFは、分配の時点においてノズル内でのみフィラメントを溶融することを伴うため、低溶融粘度接着剤に限定されない。実際に、高溶融粘度接着剤は、分配後に接着剤の幾何学的安定性を有利に提供することができ、これにより、接着剤を正確にかつ制御して配置することが可能になる。例えば、FFFプリンティング用の業界標準のアクリロニトリルブタジエンスチレン(acrylonitrile butadiene styrene、ABS)フィラメントは、10分当たり5グラム未満のMFI及び従来のホットメルト接着剤よりも1桁以上高い溶融粘度を有する。加えて、FFFでは、典型的には、好適なフィラメントが少なくとも特定の最小引張強度を有する必要があり、このことによって、大きなスプールのフィラメントを破断することなくノズルに連続的に供給することができる。FFFフィラメントは、通常、水平巻き取りロールにスプールされる。コアシースフィラメントが、水平巻き取りロールにスプールされる場合、コアに最も近い材料は、高い圧縮力を受けるであろう。このことにより、FFFにおいて実用的に使用するために、コアシースフィラメントは、恒久的な断面変形(すなわち、圧縮永久ひずみ)及び自己接着(すなわち、保存中のブロッキング)に耐えることが必要となる。
【0015】
用語解説:
感圧接着剤は、通常、室温で粘着性があり、軽い指圧を加えることによって表面に接着することができ、したがって、感圧性ではない他の種類の接着剤と区別することができる。感圧接着剤の一般的な説明は、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.13,Wiley-Interscience Publishers(New York,1988)に見出すことができる。感圧接着剤の更なる説明は、Encyclopedia of Polymer Science and Technology,Vol.1,Interscience Publishers(New York,1964)に見出すことができる。本明細書で使用される「感圧接着剤」又は「PSA」は、以下の特性、すなわち、(1)強力で恒久的な粘着性、(2)指圧以下でのフッ素熱可塑性フィルム以外の基材への接着、及び(3)基材からきれいに剥離されるのに十分な凝集力、を有する粘弾性材料を指す。感圧接着剤はまた、Handbook of Pressure-Sensitive Adhesive Technology,D.Satas,2nd ed.,page172(1989)に説明されるダールキスト評価基準(Dahlquist criterion)を満たし得る。この基準は、感圧接着剤を、使用温度において(例えば、15℃~35℃の範囲内の温度において)1×10-6cm/ダインを超える1秒クリープコンプライアンスを有する接着剤として定義する。
【0016】
本明細書で使用されるとき、「コアシースフィラメント」は、第1の材料(すなわち、コア)が第2の材料(すなわち、シース)によって取り囲まれ、コアとシースとが共通の長手軸を有する組成物を指す。好ましくは、コア及びシースは同心である。コアの端部は、シースによって取り囲まれている必要はない。
【0017】
本明細書で使用されるとき、「非粘着性」という用語は、「自己接着試験」に合格する材料を指し、この場合、材料を破砕することなく、材料を材料自体から引き剥がすのに必要な力は、所定の最大閾値量以下である。自己接着試験は以下に説明されており、典型的には、シースが非粘着性であるか否かを判定するために、シース材料の試料に対して行う。
【0018】
本明細書で使用されるとき、「メルトフローインデックス」は、指定された荷重を使用して指定された温度でダイを通って押し出され得るポリマーの量を指す。メルトフローインデックスは、ASTM 1238-13、手順Aを使用し、表7の条件を使用して(ポリマーが表7に記載されていない場合は、表X4.1の、最高荷重が記載され最高温度が記載されているポリマーについての条件を使用して)、決定することができる。
【0019】
本明細書で使用されるとき、「一体型」とは、同時に作製されること、又は(一体型)部品のうちの1つ以上を損傷することなく分離することが不可能であることを指す。
【0020】
本明細書で使用されるとき、「(メタ)アクリレート」はという用語は、アクリレート、メタクリレート、又はこれらの組み合わせを指す省略表現であり、「(メタ)アクリル」は、アクリル、メタクリル、又はこれらの組み合わせを指す省略表現であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル、メタクリロイル、又はこれらの組み合わせを指す省略表現である。本明細書で使用されるとき、「(メタ)アクリレート官能性化合物」は、とりわけ(メタ)アクリレート部分を含む化合物である。
【0021】
本明細書で使用されるとき、「アルキル」は、直鎖、分枝鎖、及び環状アルキル基を含み、非置換及び置換アルキル基の両方を含む。別段の指示がない限り、アルキル基は、典型的には、1~20個の炭素原子を有する。本明細書で使用される「アルキル」の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、イソブチル、t-ブチル、イソプロピル、n-オクチル、n-ヘプチル、エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル及びノルボルニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。別途記載のない限り、アルキル基は、一価であっても多価であってもよく、すなわち、一価アルキルであっても多価アルキレンであってもよい。
【0022】
本明細書で使用されるとき、「ヘテロアルキル」は、非置換アルキル基及び置換アルキル基の両方と共にS、O及びNから独立して選択される1つ以上のヘテロ原子を有する直鎖、分枝鎖、及び環状アルキル基をいずれも含む。別段の指示がない限り、ヘテロアルキル基は、典型的には、1~20個の炭素原子を含有する。本明細書で使用される「ヘテロアルキル」の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、3,6-ジオキサヘプチル、3-(トリメチルシリル)-プロピル、及び4-ジメチルアミノブチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。別途記載のない限り、ヘテロアルキル基は一価であっても多価であってもよく、すなわち、一価ヘテロアルキルであっても多価ヘテロアルキレンであってもよい。
【0023】
「カルボキシル」は-COOH基を意味し、このような基は、その中性(-COOH)形態で存在できるか、又はその脱プロトン化(-COO)形態で存在できると理解される。
【0024】
本明細書で使用されるとき、「ハロゲン」は、F、Cl、Br及びIを含む。
【0025】
本明細書で使用されるとき、「アリール」は、5~18個の環原子を含有する芳香族であり、縮合環を任意に含有してもよく、飽和であっても、不飽和であっても、芳香族であってもよい。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントリル、及びアントラシルが挙げられる。ヘテロアリールは、窒素、酸素、又は硫黄などの1~3個のヘテロ原子を含有するアリールであり、縮合環を含有してもよい。ヘテロアリール基のいくつかの例は、ピリジル、フラニル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、及びベンゾチアゾリル(benzthiazolyl)である。別途記載のない限り、アリール基及びヘテロアリール基は、一価であっても多価であってもよく、すなわち、一価アリールであっても多価アリーレンであってもよい。
【0026】
本発明で使用されるとき、「ヘテロ芳香族」は、窒素、酸素、又は硫黄などの1~3個のへテロ原子を含有する芳香族基であり、置換フェニル基といった縮合環を含有してもよい。
【0027】
本発明で使用されるとき、「アクリロイル」は一般的な意味で用いられ、アクリル酸の誘導体だけなくアミン誘導体及びアルコール誘導体もそれぞれ意味する。「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイル基の両方を含み、すなわち、エステル及びアミドの両方を含む。
【0028】
本明細書で使用されるとき、「オリゴマー」とは、単一の更なる繰り返し単位の添加時に変化する1つ以上の特性を有する分子を指す。
【0029】
本明細書で使用されるとき、「ポリマー」とは、単一の更なる繰り返し単位の添加時に変化しない1つ以上の特性を有する分子を指す。ポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどであり得る。「コポリマー」という用語は、ポリマーを形成するために使用された少なくとも2つのモノマーが存在することを意味する。
【0030】
本明細書で使用されるとき、「マクロマー」は、鎖末端に官能基を有するオリゴマー又はポリマーを指し、「高分子モノマー」という用語の短縮版である。
【0031】
本明細書で使用されるとき、「スチレン系」という用語は、スチレン又はスチレンと同様の別のモノビニル芳香族モノマーから誘導された材料、及び/又は成分、及び/又はコポリマー、及び/又はガラス状ブロックを指す。
【0032】
本明細書で使用されるとき、用語「ガラス転移温度」及び「T」は、互換可能に使用され、材料又は混合物のガラス転移温度を指す。別段の指定がない限り、ガラス転移温度値は、示差走査熱量計(Differential Scanning calorimetry、DSC)により測定される。
【0033】
本明細書で使用されるとき、「熱可塑性」とは、そのガラス転移点を十分に超えて加熱されると流動し、冷却されると固体になるポリマーを指す。
【0034】
「好ましい(preferred)」及び「好ましくは(preferably)」という言葉は、一定の状況下で一定の利益を提供できる、本開示の実施形態を指す。ただし、他の実施形態もまた、同じ又は他の状況において好ましい場合がある。更には、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用ではないことを示唆するものではなく、本開示の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0035】
本出願では、「a」、「an」、及び「the」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、一般分類を含み、その一般分類の具体例は、例示のために使用し得る。用語「a」、「an」、及び「the」は、用語「少なくとも1つの」と互換的に使用される。列挙に後続する「~のうちの少なくとも1つ」及び「~のうちの少なくとも1つを含む」という語句は、列挙内の項目のうちのいずれか1つ、及び、列挙内の2つ以上の項目のいずれかの組み合わせを指す。
【0036】
本明細書で使用されるとき、用語「又は」は、内容がそうでない旨を特に明示しない限り、概して「及び/又は」を含む通常の意味で使用される。
【0037】
用語「及び/又は」は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0038】
本明細書で使用されるとき、測定した量との関連において、用語「約」は、測定を行い、測定の目的及び使用される測定機器の精度に見合う水準の注意を払う当業者によって予測されるような測定量の変動を指す。更に本明細書では、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数及びその端点を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0039】
用語「実質的に」は、特に定めのない限り、高い近似度(例えば、定量化可能な特性に関しては、+/-10%の範囲内)を意味するが、この場合もまた、絶対的な精度又は完全な一致を必要とするものではない。同一の、等しい、均一な、一定の、厳密に、などの用語は、絶対的な精度又は完全な一致を必要とするものではなく、特定の状況に適用可能な、通常の許容誤差又は計測誤差の範囲内にあるものと理解される。
【0040】
コアシースフィラメント:
第1の態様では、コアシースフィラメントが提供される。コアシースフィラメントは、接着性コアと非粘着性シースとを含み、シースは、10分当たり15グラム(g/10分)未満のメルトフローインデックスを示す。図2を参照すると、コア22と、コア22の外面26を包み込むシース24と、を含むコアシースフィラメント20の断面の概略斜視分解図が提供される。
【0041】
典型的には、コアシースフィラメントは、比較的狭い直径を有し、このことにより、精密な用途に接着剤を使用することができる。例えば、コアシースフィラメントは、1ミリメートル(mm)以上、2mm以上、3mm以上、4mm以上、又は5mm以上の平均直径、及び10mm以下、8mm以下、6mm以下、又は4mm以下の平均直径を含み得る。言い換えれば、コアシースフィラメントは、1~10mm(両端の値を含む)、2~6mm(両端の値を含む)、又は3mmの平均直径、を含んでもよい。
【0042】
多くの場合、コアシースフィラメントは、50:1以上、100:1以上、又は250:1以上の長さ対直径のアスペクト比を有する。少なくとも約20フィート(6メートル)の長さを有するコアシースフィラメントは、本開示による方法において有用であり得る。コアシースフィラメントの使用用途に応じて、その長さにわたって比較的一定の直径を有することが望ましい場合がある。例えば、操作者は、所定の長さ当たりの予想されるフィラメントの質量を基準として溶融及び分配される材料の量を計算し得るが、長さ当たりの質量が広範にわたって変動する場合、分配される材料の量は計算された量と一致しない場合がある。いくつかの実施形態では、コアシースフィラメントは、50センチメートル(cm)の長さにわたって最大で20%の直径変動、又は更に50cmの長さにわたって最大で15%の直径変動を含む。
【0043】
本開示によるフィラメント若しくはストランド、及び/又は本開示の方法のいくつかの実施形態を実践するのに有用なフィラメント若しくはストランドは、一般に、フィラメントを製造する当技術分野において公知の技術を使用して製造することができる。フィラメント又はストランドは、コアシース構造を形成するために、同軸ダイなどのダイを通して押出成形することによって作製することができる。
【0044】
本明細書に記載のコアシースフィラメントは、調製されたものとしても接着剤としても両方において、様々な望ましい特性を呈することができる。形成されると、コアシースフィラメントは、人がシースを破砕することなく取り扱う場合に従う強度を有する。必要とされるコアシースフィラメントの構造的一体性の程度は、特定の使用用途に応じて異なる。好ましくは、コアシースフィラメントは、1つ以上の付加製造デバイス(例えば、3Dプリンティングシステム)の要求事項及びパラメータに従う強度を有する。しかし、ある付加製造装置は、フィラメントを堆積ノズルに供給する際に、別の装置よりも大きな力にポリマーフィラメントをさらす可能性がある。有利には、コアシースフィラメントのシース材料の破断伸びは、典型的には、50%以上、60%以上、80%以上、100%以上、250%以上、400%以上、750%以上、1000%以上、1400%以上、又は1750%以上であり、かつ2000%以下、1500%以下、900%以下、500%以下、又は200%以下である。言い換えれば、コアシースフィラメントのシース材料の破断伸びは、50%~2000%の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、破断伸びは少なくとも60%である。破断伸びは、例えば、ASTM D638-14に概説されている方法によって、試験片タイプIVを使用して測定することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、本開示によるフィラメント若しくはストランド、及び/又は本開示の方法のいくつかの実施形態を実践するのに有用なフィラメント若しくはストランドは、同軸ダイを通して押し出すことによって作製される。任意の添加剤は、添加剤の含有を可能にするサイドスタッファを備えた押出機(例えば、二軸押出機)内の接着剤組成物に加えることができる。同様に、押出機内のシース組成物に、任意の添加剤を添加することができる。接着性コアは、適切な直径を有する同軸ダイの中央層を通って押し出すことができ、非粘着性シースは、同軸ダイの外層を通って押し出すことができる。多くの場合、中心層の形状は円形又は楕円形であり、外層の形状は中心層の周りに同心である。1つの好適なダイは、米国特許第7,773,834号(Ouderkirkら)に記載のフィラメント紡糸ダイである。任意に、ストランドは、押し出されるときに水浴を使用して冷却され得る。フィラメントは、ベルトプラー(puller)を使用して長くすることができる。ベルトプラーの速度は、所望のフィラメント直径を達成するように調整することができる。
【0046】
コアシースフィラメントを溶融して混合した後、接着剤としてコアシースフィラメントを使用する少なくとも特定の実施形態によって提供される利点としては、低揮発性有機化合物(volatile organic compound、VOC)の特性、打抜きの回避、設計の柔軟性、複雑な非平面結合パターンの実現、薄い及び/又は繊細な基材上へのプリント、並びに不規則な及び/又は複雑なトポグラフィー上へのプリントのうちの1つ以上が挙げられる。
【0047】
理論に束縛されるものではないが、分配されたコアシースフィラメントの全体的な最終の接着材料特性は、粘弾性を示す、すなわち、経時的な応力緩和を示すと考えられる。一方、シース材料の望ましい特性は、静的負荷下でエネルギーを保持する能力であり、経時的な応力散逸が最小限であることを示す。低いMFI及び高い引張強度は、コアシースが巻き出され始めたときなど、高い慣性力を受けたときにコアシースフィラメントが破断するのを防ぐのに役立つ。
【0048】
場合によっては、接着剤全体で機能的な役割を果たすことができるシース材料を使用することにより、シース要件と全体的な接着性能とのバランスをとることが有利である。例えば、非粘着性のスチレンブロックコポリマー又はアクリルコポリマーは、分配されたフィラメントの接着全体に悪影響を与えることなく、比較的高濃度でシースに使用することができる。好ましくは、接着性コアは感圧接着剤を含む。特定の実施形態では、コアシースフィラメントが溶融し、コアとシースとが共に混合して混合物を形成すると、混合物は、0℃以下、-10℃以下、又は-20℃以下のガラス転移温度(T)を呈する。
【0049】
コアシースフィラメントの好適な構成成分は、以下に詳細に記載されている。
【0050】
コア
コアは、典型的には、コアシースフィラメント全体の50重量%以上、コアシースフィラメント総重量の55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上を、又は更に90重量%以上を占め、コアシースフィラメント総重量の96重量%以下、94重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、又は65重量%以下を占める。言い換えれば、シースは、コアシースフィラメントの50重量%~96重量%、60~90重量%、70~90重量%、50~70重量%、又は80~96重量%の量で存在し得る。
【0051】
接着性コアは、例えば、スチレンブロックコポリマー、(メタ)アクリル、(メタ)アクリルブロックコポリマー、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレン、エチレン酢酸ビニル、非晶質ポリ(α-オレフィン)、シリコーン、ポリビニルエーテル、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ブタジエン-アクリロニトリルゴム、ポリクロロプレン、ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、又はこれらの組み合わせなど、多数の異なる化学物質を使用して作製することができる。
【0052】
多くの実施形態では、接着性コアは、スチレンブロックコポリマー及び粘着付与剤を含む。任意の数のスチレンブロックコポリマーを接着性コアに組み込むことができ、1つ、2つ、3つ、4つ、又は更にはより多くの異なるスチレンブロックコポリマーを、接着性コアに含めてもよい。いくつかの実施形態では、好適なスチレンブロックコポリマーは、(メタ)アクリレートとスチレンマクロマーとのコポリマーを含む。選択された実施形態では、接着性コアは、(メタ)アクリルポリマーを含む。
【0053】
スチレンブロックコポリマー
好適なスチレンブロックコポリマーは、少なくとも1つのゴム状ブロック及び2つ以上のガラス状ブロックを有する。スチレンブロックコポリマーは、多くの場合、一般式(G-R)-G(式中、Gはガラス状ブロックであり、Rはゴム状ブロックであり、mは少なくとも1に等しい整数である)の直鎖状ブロックコポリマーである。変数mは、例えば、1~10の範囲、1~5の範囲、1~3の範囲であってもよく、1に等しくてもよい。多くの実施形態では、直鎖状ブロックコポリマーは、式(G-R)-G中の変数mが1に等しい、式G-R-Gのトリブロックコポリマーである。あるいは、スチレンブロックコポリマーは、一般式(G-R)-Y(式中、各R及びGは上で定義されるのと同じであり、nは少なくとも3に等しい整数であり、Yは、ラジアルブロックコポリマーの形成に使用される多官能性カップリング剤の残基である)のラジアル(すなわち、マルチアーム)ブロックコポリマーであってもよい。変数nは、ラジアルブロックコポリマーのアームの数を表し、少なくとも4、少なくとも5、又は少なくとも6であってもよく、多くの場合、最大10以上、最大8、又は最大6であってもよい。例えば、変数nは、3~10の範囲、3~8の範囲、又は3~6の範囲である。
【0054】
スチレンブロックコポリマーの直鎖状ブロックコポリマー及びラジアルブロックコポリマーの両方の形態において、ガラス状ブロックGは、同じ分子量を有してもよく、異なる分子量を有してもよい。同様に、2つ以上のゴム状ブロックRが存在する場合、ゴム状ブロックは、同じ分子量を有してもよく、異なる分子量を有してもよい。
【0055】
一般に、各ゴム状ブロックは、室温未満であるガラス転移温度(T)を有する。例えば、ガラス転移温度は、多くの場合、20℃未満、0℃未満、-10℃未満、又は-20℃未満である。いくつかの実施例では、ガラス転移温度は-40℃未満、又は更には-60℃未満である。
【0056】
直鎖状又はラジアルブロックコポリマー中の各ゴム状ブロックRは、典型的には、第1の重合共役ジエンの重合生成物、重合共役ジエンの水素添加誘導体、又はこれらの組み合わせである。共役ジエンは、多くの場合、4~12個の炭素原子を含有する。共役ジエンの例としては、ブタジエン、イソプレン、2-エチルブタジエン、1-フェニルブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、及び3-エチル-1,3-ヘキサジエンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
各ゴム状ブロックRは、ホモポリマーであってもよく、コポリマーであってもよい。ゴム状ブロックRは、多くの場合、ポリ(ブタジエン)、ポリ(イソプレン)、ポリ(2-エチルブタジエン)、ポリ(1-フェニルブタジエン)、ポリ(1,3-ペンタジエン)、ポリ(1,3-ヘキサジエン)、ポリ(2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン)、ポリ(3-エチル-1,3-ヘキサジエン)、ポリ(エチレン/プロピレン)、ポリ(エチレン/ブチレン)、ポリ(イソプレン/ブタジエン)などである。多くの実施形態では、ブロックRは、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(イソプレン/ブタジエン)、ポリ(エチレン/ブチレン)、又はポリ(エチレン/プロピレン)である。
【0058】
各ガラス状ブロックGのガラス転移温度は、一般に、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃、又は更には少なくとも100℃である。
【0059】
直鎖状又はラジアルブロックコポリマー中の各ガラス状ブロックGは、典型的には、第1のモノビニル芳香族モノマーの重合生成物である。モノビニル芳香族モノマーは、通常、例えば、少なくとも8個の炭素原子、少なくとも10個の炭素原子、又は少なくとも12個の炭素原子、及び最大18個の炭素原子、最大16個の炭素原子、又は最大14個の炭素原子を含有する。第1のモノビニル芳香族モノマーの例としては、スチレン、ビニルトルエン、アルファ-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、エチルスチレン、2,4-ジエチルスチレン、3,5-ジエチルスチレン、アルファ-2-メチルスチレン、4-tert-ブチルスチレン、4-イソプロピルスチレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
各ガラス状ブロックGは、ホモポリマーであってもよく、コポリマーであってもよい。ガラス状ブロックGは、多くの場合、ポリ(スチレン)、ポリ(ビニルトルエン)、ポリ(アルファ-メチルスチレン)、ポリ(2,4-ジメチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(2,4-ジエチルスチレン)、ポリ(3,5-ジエチルスチレン)、ポリ(アルファ-2-メチルスチレン)、ポリ(4-tert-ブチルスチレン)、ポリ(4-イソプロピルスチレン)、及びこれらのコポリマーなどである。
【0061】
多くの実施形態では、各ガラス状ブロックGは、ポリスチレンホモポリマーであるか、又はスチレンとスチレン相溶性モノマーとの混合物から誘導されたコポリマーであり、これはスチレンと混和性であるモノマーである。ガラス相がコポリマーであるほとんどの場合、少なくとも50重量パーセントのモノマー単位がスチレンから誘導される。例えば、ガラス状ブロックGのモノマー単位のうちの少なくとも60重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、少なくとも98重量パーセント、又は少なくとも99重量パーセントが、スチレンから誘導される。
【0062】
スチレンブロックコポリマーは、典型的には、少なくとも5重量パーセントのガラス状ブロックGを含有し、最大50重量パーセントのガラス状ブロックGを含有してもよい。ガラス状ブロックGの量が少なすぎると、十分な物理的架橋が存在しないため、凝集力が低すぎることがある。他方、ガラス状ブロックGの量が多すぎると、弾性率が高すぎることがあり(組成物は、硬すぎ得る及び/又は過度に弾性であり得る)、得られる組成物は、溶融した接着剤が基材に堆積したとき十分に湿潤しない(基材表面上などの表面上に広がる)。例えば、スチレンコポリマーは、多くの場合、少なくとも6重量パーセント、少なくとも7重量パーセント、少なくとも8重量パーセント、少なくとも9重量パーセント、又は少なくとも10重量パーセント、及び最大45重量パーセント、最大40重量パーセント、最大35重量パーセント、最大30重量パーセント、最大25重量パーセント、最大20重量パーセント、又は最大15重量パーセントのガラス状ブロックGを含有する。重量パーセント値は、スチレンブロックコポリマーの総重量に基づく。スチレンブロックコポリマーの重量の残部は、主にゴム状ブロックに帰することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、スチレンブロック化合物は、直鎖状トリブロックコポリマーであり、トリブロックコポリマーは、典型的には、少なくとも10重量パーセントのガラス状ブロックGを含有する。例えば、トリブロックコポリマーは、少なくとも15重量パーセント又は少なくとも20重量パーセントのガラス状ブロックを含有する。トリブロックコポリマー中のガラス状ブロックの量は、最大35重量パーセントであり得る。例えば、トリブロックコポリマーは、最大30重量パーセント又は最大25重量パーセントのガラス状ブロックGを含有してもよい。いくつかの実施例では、トリブロックコポリマーは、10~35重量パーセント、10~30重量パーセント、10~25重量パーセント、又は10~20重量パーセントのガラス状ブロックを含有する。これらの重量パーセント値は、トリブロックコポリマーの総重量に基づくものである。直鎖状トリブロックコポリマーの重量の残部は、ゴム状ブロックに帰することができる。例えば、直鎖状トリブロックコポリマーは、直鎖状トリブロックコポリマーの総重量を基準として、10~35重量パーセントのガラス状ブロック及び65~90重量パーセントのゴム状ブロック、10~30重量パーセントのガラス状ブロック及び70~90重量パーセントのゴム状ブロック、10~25重量パーセントのガラス状ブロック及び75~90重量パーセントのゴム状ブロック、又は10~20重量パーセントのガラス状ブロック及び80~90重量パーセントのゴム状ブロックを含有し得る。
【0064】
ガラス状ブロックG及びゴム状ブロックRに加えて、ラジアルブロックコポリマーであるスチレンブロックコポリマーは、多官能性カップリング剤Jを含む。カップリング剤は、多くの場合、複数の炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、又はラジアルブロックコポリマーを形成するために使用されるリビングポリマーのカルバニオンと反応することができる他の基を有する。多官能性カップリング剤は、脂肪族、芳香族、複素環、又はこれらの組み合わせであり得る。例としては、ポリビニルアセチレン、ジアセチレン、ジ(メタ)アクリレート(例えば、エチレンジメタクリレート)、ジビニルベンゼン、ジビニルピリジン、及びジビニルチオフェンが挙げられるが、これらに限定されない。他の例としては、多官能性シリルハライド(例えば、四官能性シリルハライド)、ポリエポキシド、ポリイソシアネート、ポリケトン、ポリ無水物、ポリアルケニル、及びジカルボン酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
スチレンブロックコポリマーの重量平均分子量は、多くの場合、1,200,000ダルトン(Dalton、Da)以下である。重量平均分子量が高すぎると、コポリマーは、その高い溶融粘度に起因して押出成形することが困難になり、他の材料とブレンドすることが困難になる。重量平均分子量は、多くの場合、1,000,000Da以下、900,000Da以下、800,000Da以下、600,000Da以下、又は500,000Da以下である。スチレンブロックコポリマーの重量平均分子量は、典型的には少なくとも75,000Daである。重量平均分子量が低すぎると、得られる接着剤の凝集力が許容できないほど低くなることがある。重量平均分子量は、多くの場合、少なくとも100,000Da、少なくとも200,000Da、少なくとも300,000Da、又は少なくとも400,000Daである。例えば、スチレンブロックコポリマーは、75,000~1,200,000Daの範囲、100,000~1,000,000Daの範囲、100,000~900,000Daの範囲、又は100,000~500,000Daの範囲であり得る。ラジアルブロックコポリマーは、多くの場合、直鎖状トリブロックコポリマーよりも高い重量平均分子量を有する。例えば、いくつかの実施形態では、ラジアルブロックコポリマーは、500,000~1,200,000の範囲、500,000~1,000,000Daの範囲、又は500,000~900,000Daの範囲の重量平均分子量を有し、一方、直鎖状トリブロックコポリマーは、75,000~500,000Daの範囲、75,000~300,000Daの範囲、100,000~500,000Daの範囲、又は100,000~300,000Daの範囲の重量平均分子量を有する。
【0066】
いくつかのスチレンブロックコポリマーは、多峰性ブロックコポリマーである。本明細書で使用されるとき、「多峰性」という用語は、2つ以上のガラス状ブロックが全て同じ重量平均分子量を有するとは限らないことを意味する。多峰性ブロックコポリマーは、通常「非対称」であり、これはアームが全て同一であるとは限らないことを意味する。そのようなブロックコポリマーは、少なくとも1つの「高」分子量ガラス状ブロック、及び少なくとも1つの「低」分子量ガラス状ブロックを有することにより特徴付けることができ、ここで高及び低という用語は互いに相対的である。いくつかの実施形態では、低分子量ガラス状ブロックの数平均分子量(Mn)に対する、高分子量ガラス状ブロックの数平均分子量(Mn)の比は、少なくとも1.25である。非対称性の多峰性スチレンブロックコポリマーを作製する方法は、例えば、米国特許第5,296,547号(Nestegardら)に記載されている。
【0067】
いくつかの特定のスチレンブロックコポリマーは、ポリスチレンであるガラス状ブロック、並びにポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリ(イソプレン/ブタジエン)、ポリ(エチレン/ブチレン)、及びポリ(エチレン/プロピレン)から選択される1つ以上のゴム状ブロックを有する。いくつかの更により特定のスチレンブロックコポリマーは、ポリスチレンであるガラス状ブロック、並びにポリイソプレン及びポリブタジエンから選択される1つ以上のゴム状ブロック、例えば、スチレンブタジエンゴム(styrene butadiene rubber、SBR)を有する。
【0068】
スチレンブロックコポリマーは、接着剤内に物理的架橋を生成し、(例えば、感圧)接着剤の全体的なエラストマー特性に寄与する。典型的には、ガラス状ブロックレベルがより高いと、生じる物理的架橋の量が向上する。物理的架橋が多いと、接着剤の剪断強度を増大させる傾向がある。
【0069】
上記に詳細に説明したスチレンブロックコポリマーに加えて、スチレンジブロックコポリマーを、コアに更に含めてもよい。この第2のスチレンコポリマーは、第1のスチレンブロックコポリマーに別個に添加することができるが、多くの市販の直鎖状スチレンブロックコポリマー(例えば、トリブロックコポリマー)は、いくつかのスチレンジブロックコポリマーを含む。ジブロックコポリマーは、単一のガラス状ブロックG及び単一のゴム状ブロックRを有する。ジブロックコポリマー(G-R)により、接着剤の粘度が低下し得、及び/又は典型的には可塑剤の添加によって得られる官能性をもたらすことができる。可塑剤のように、ジブロックコポリマーにより、得られる接着剤の粘着性及び低温性能を向上することができる。ジブロックコポリマーはまた、接着剤の流動を調節するために使用することができる。ジブロックの量は、接着剤の凝集力に悪影響を及ぼすことなく、所望の流動特性をもたらすように選択される必要がある。
【0070】
スチレンブロックコポリマー(例えば、トリブロック及びラジアルブロックコポリマー)における使用について上述の同じ種類のガラス状ブロックG及びゴム状ブロックRを、スチレンジブロックコポリマー)に使用することができる。しかし、多くの場合、コア内の粘着付与剤などの他の構成成分の溶解性を促進するために、両方のブロックコポリマーについて同じゴム状ブロックを選択しないことが有利であり得る。
【0071】
スチレンジブロックコポリマー中のガラス状ブロックGの量は、多くの場合、ジブロックコポリマーの重量を基準として少なくとも10重量パーセントである。いくつかの実施形態では、ジブロックは、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、又は少なくとも25重量パーセントのガラス状ブロックを含有する。ガラス状ブロックの量は、最大50重量パーセント、最大45重量パーセント、最大40重量パーセント、最大35重量パーセント、又は最大30重量パーセントであってもよい。例えば、ジブロックは、10~50重量パーセント、10~40重量パーセント、15~50重量パーセント、15~40重量パーセント、20~50重量パーセント、又は20~40重量パーセントのガラス状ブロックを含有し得る。これらの重量パーセント値は、ジブロックコポリマーの総重量に基づくものである。ジブロックコポリマーの重量の残部は、主にゴム状ブロックに帰することができる。
【0072】
スチレンジブロックコポリマーの重量平均分子量は、最大250,000Da、最大225,000Da、最大200,000Da、又は最大175,000Daであってもよい。分子量が高すぎると、ジブロックコポリマーは、所望の流動特性をもたらすように機能しないことがあり、又は、例えば、(例えば、感圧)接着剤の弾性率を低下させる、及び/若しくは粘着性を増加させるなどの他の所望の特性をもたらすように機能しないことがある。重量平均分子量は、多くの場合、少なくとも75,000Da、少なくとも100,000Da、少なくとも125,000Da、又は少なくとも150,000Daである。例えば、ジブロックコポリマーの重量平均分子量は、75,000~250,000Daの範囲、100,000~250,000Daの範囲、125,000~250,000Daの範囲、又は125,000~200,000Daの範囲であり得る。
【0073】
コアは、多くの場合、存在する全てのスチレン系材料の総重量を基準として、0~30重量パーセントのスチレンジブロックコポリマーを含有するスチレン系材料を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1重量%、又は少なくとも5重量%、及び最大25重量%、最大20重量%、最大15重量%、又は最大10重量%のスチレンジブロックコポリマーが存在する。過度に多くのジブロックが添加されると、(例えば、感圧)接着剤の剪断強度が、望ましくないほど低くなることがある。いくつかの例示的なコア組成物では、少なくとも1つのゴム状ブロック及び2つ以上のガラス状ブロックを有するスチレンブロックコポリマーは、全てのスチレン系材料の70~100重量%の量で存在し、スチレンジブロックコポリマーは、全てのスチレン系材料の0~30重量%の量で存在する。換言すれば、スチレン系材料は、70~100重量%のラジアルブロックコポリマー及び/又は直鎖状ブロックコポリマー(例えば、直鎖状トリブロックコポリマー)及び0~30重量%のジブロックコポリマーを含有し得る。
【0074】
コアにおいて単独で又は組み合わせてのいずれかで使用するのに好適なスチレン系材料は、商品名KRATON(例えば、KRATON D116 P、D1118、D1119、及びA1535)でKraton Performance Polymers(ヒューストン、TX、USA)から、商品名SOLPRENE(例えば、SOLPRENE S-1205)でDynasol(ヒューストン、TX、USA)から、商品名QUINTACでZeon Chemicals(ルイビル、KY、USA)から、並びに商品名VECTOR及びTAIPOLでTSRC Corporation(ニューオーリンズ、LA、USA)から市販されている。
【0075】
選択された実施形態では、スチレンブロックコポリマーは、(メタ)アクリレートとスチレンマクロマーとのコポリマーを含む。このスチレンコポリマーは、コアに別々に添加することができる。典型的には、このスチレンコポリマーは、非三級アルコールのモノマーアクリレートエステル又はメタクリレートエステルとスチレンマクロマー及び追加の任意のモノマーとの反応生成物を含む。好適なマクロマーとしては、スチレン/アクリロニトリルコポリマー及びポリスチレンマクロマーが挙げられる。有用なマクロマー及びそれらの調製の例は、米国特許第4,693,776号(Krampeら)に詳細に記載されている。
【0076】
コアがスチレン系材料を含む場合、(例えば、感圧)接着剤は、接着剤の総重量を基準として、40重量%~60重量%の1種以上のスチレンコポリマー、及び1種以上の粘着付与剤(及び任意に添加剤)を含有する。スチレン系材料の量が少なすぎると、特に可塑剤が存在しない場合、接着を成功させるには、粘着付与剤レベルが高すぎることがあり、得られる組成物のTが高すぎることがある。しかし、スチレン系材料の量が多すぎると、組成物は高すぎる弾性率を有することがあり(例えば、組成物は硬すぎ得る及び/又は過度に弾性であり得る)、コアシースフィラメントを溶融させ、混合して、基材に適用したときに十分に湿潤しない場合がある。スチレン系材料の量は、少なくとも45重量パーセント、又は少なくとも50重量パーセント、かつ最大55重量パーセント、又は最大50重量パーセントであってもよい。いくつかの実施形態では、スチレン系材料の量は、コアの総重量を基準として、40~60重量パーセント、40~55重量パーセント、40~50重量パーセント、45~60重量パーセント、45~55重量パーセント、又は50~60重量パーセントの範囲である。
【0077】
粘着付与剤
スチレン系材料がコアに組み込まれるとき、粘着付与剤は、典型的には接着剤に粘着性を付与するために使用される。好適な粘着付与剤の例としては、ロジン及びそれらの誘導体(例えば、ロジンエステル);ポリテルペン及び芳香族変性ポリテルペン樹脂;クマロン-インデン樹脂;炭化水素樹脂、例えば、αピネン系樹脂、βピネン系樹脂、リモネン系樹脂、脂肪族炭化水素系樹脂、芳香族変性炭化水素系樹脂、又はこれらの組み合わせが挙げられる。非水素化粘着付与剤は、典型的には、より着色性があり、耐久性(すなわち、耐候性)が低い。(部分的又は完全)水素化粘着付与剤を使用してもよい。水素化粘着付与剤の例としては、例えば、水素化ロジンエステル、水素化酸、水素化芳香族炭化水素樹脂、水素化芳香族変性炭化水素系樹脂、水素化脂肪族炭化水素系樹脂、又はこれらの組み合わせが挙げられる。合成粘着付与剤の例としては、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ポリ-t-ブチルスチレン、アクリル樹脂、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0078】
例示的な水素化炭化水素粘着付与剤としては、C9及びC5水素化炭化水素粘着付与剤が挙げられる。C9水素化炭化水素粘着付与剤の例としては、Eastman Chemical Co.、ミデルブルフ、オランダによって、商品名、REGALITE S-5100、REGALITE R-7100、REGALITE R-9100、REGALITE R-1125、REGALITE S-7125、REGALITE S-1100、REGALITE R-1090、REGALREZ 6108、REGALREZ 1085、REGALREZ 1094、REGALREZ 1126、REGALREZ 1139、及びREGALREZ 3103で販売されているもの;Eastman Chemical Co.によって販売されているPICCOTAC及びEASTOTAC;Arakawa Chemical Inc.、シカゴ、Illによって販売されているARKON P-140、ARKON P-125、ARKON P-115、ARKON P-100、ARKON P-90、ARKON M-135、ARKON M-115、ARKON M-100、及びARKON M-90;並びにExxon Mobil Corp.、アービング、Texによって販売されているESCOREZ 5000シリーズが挙げられる。
【0079】
いくつかの実施形態では、コアは、直鎖状(メタ)アクリル系ポリマー粘着付与剤を含む。本明細書で使用されるとき、「(メタ)アクリル系ポリマー粘着付与剤」という用語は、少なくとも60重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、少なくとも98重量パーセント、少なくとも99重量パーセント、又は100重量パーセントのモノマーが、式-(CO)-CR=CH(式中、Rは水素又はメチルである)の(メタ)アクリロイル基を有する、第1のモノマー組成物から形成されるポリマー材料を指す。(メタ)アクリル系ポリマー粘着付与剤は、少なくとも50℃に等しいガラス転移温度を有する。いくつかの実施形態では、ガラス転移温度(T)は、少なくとも75℃、又は少なくとも100℃である。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定又は動的機械分析などの技術を使用して測定することができる。
【0080】
いくつかの特定の(メタ)アクリル系ポリマー粘着付与剤は、最大100重量パーセントのメチルメタクリレートモノマー単位を含有する。他の特定の(メタ)アクリル系ポリマー粘着付与剤は、イソボルニル(メタ)アクリレートモノマー単位と、(メタ)アクリル酸モノマー単位又はN,N-ジメチルアクリルアミドモノマー単位などの極性モノマー単位との混合物を含有する。いくつかの好適な(メタ)アクリル系ポリマー粘着付与剤は、商品名ELVACITE(例えば、ELVACITE 2008C、E2013、E2043、及びE4402)でLucite International incorporated(コルドバ、TN、USA)から市販されている。
【0081】
任意の好適な量の1種以上の粘着付与剤を使用してもよい。いくつかの実施形態では、粘着付与剤の総量は、総スチレン系材料100重量部を基準として、30重量部以上の量でコア内に存在してもよい。任意に、粘着付与剤は、アクリル系ブロックコポリマーの重量を基準として、約40重量部~約400重量部、40重量部~約200重量部、60重量部~約140重量部、又は更には80重量部~約120重量部の量で存在してもよい。
【0082】
(メタ)アクリルポリマー
特定の実施形態では、コアは、1つ以上の(メタ)アクリル系接着性ポリマーを含む。(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば、以下の特許参考文献、すなわち、欧州特許出願第2072594(A1)号(Kondouら)、米国特許第5,648,425号(Everaertsら)、米国特許第6,777,079(B2)号(Zhouら)、及び米国特許出願公開第2011/04486(A1)号(Maら)に記載されている。
【0083】
いくつかの実施形態では、(メタ)アクリルポリマーは、連鎖移動剤、極性モノマー、及び少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレートを含む重合性組成物の反応生成物を含む。好適かつ代表的な連鎖移動剤、極性モノマー、及びアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、それぞれ下記で詳細に説明する。
【0084】
(メタ)アクリルポリマーに組み込まれる好適なアルキル(メタ)アクリレートモノマーの例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、sec-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチルアクリレート、n-オクチルメタクリレート、及び3,3,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0085】
好適な非酸性官能性極性モノマーの例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、アクリルアミド、モノ-又はジ-N-アルキル置換アクリルアミド、t-ブチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含むポリ(アルコキシアルキル)(メタ)アクリレート、ビニルメチルエーテルを含むアルキルビニルエーテル、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましい極性モノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びN-ビニルピロリジノンからなる群から選択されるものが挙げられる。
【0086】
好適な酸性官能性極性モノマーの例としては、酸官能基はカルボン酸などの酸そのものか、又は一部がアルカリ金属カルボン酸塩などの塩であってもよいモノマーが含まれるが、これらに限定されるものではない。有用な酸性官能性極性モノマーとしては、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和スルホン酸、エチレン性不飽和ホスホン酸、及びこれらの混合物から選択されたものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。このような化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、マレイン酸、オレイン酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-スルホエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸、及びこれらの混合物から選択されるものが挙げられる。入手が容易であることから、酸性官能性極性モノマーは(メタ)アクリル酸などのエチレン性不飽和カルボン酸から選択されるのが一般的である。更により強い酸が要求される場合は、エチレン性不飽和スルホン酸及びエチレン性不飽和ホスホン酸を含む酸極性モノマーを使用してもよい。酸性官能性極性モノマーは一般的に、100重量部の全モノマーを基準として、1~15重量部、好ましくは1~10重量部の量で使用される。
【0087】
好適なモノマー混合物には、50~99重量部のアルキル(メタ)アクリレートモノマーと、1~50重量部の極性モノマー(酸性官能性極性モノマーを含む)とが含まれていてもよく、ここでのモノマーの合計は100重量部となる。
【0088】
更に、重合性組成物は、生じた(メタ)アクリレートポリマーの分子量を制御するために、連鎖移動剤を任意に含んでもよい。有用な連鎖移動剤の例としては、四臭化炭素、アルコール、メルカプタン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。存在する場合、好ましい連鎖移動剤は、イソオクチルメルカプトアセテート(例えば、Evans Chemetics LP(Teaneck,NJ)より市販)及び四臭化炭素である。(メタ)アクリルポリマーを形成するための重合性組成物は、100重量部の全モノマー混合物を基準として、最大約0.5重量部の連鎖移動剤、典型的には約0.01~約0.5重量部、もし用いるならば、好ましくは約0.05重量部~約0.2重量部の連鎖移動剤を更に含んでもよい。
【0089】
特定の実施形態では、(メタ)アクリルブロックコポリマーを使用してもよい。好適な(メタ)アクリルブロックコポリマーは、ジブロック((A-B)構造)、トリブロック((A-B-A)構造)、マルチブロック(-(A-B)n-構造)、又は星形ブロック構造((A-B)n-構造)などのブロック構造を有し得る。ジブロック、トリブロック、及びマルチブロック構造は、直鎖状ブロックコポリマーとして分類してもよい。星形ブロックコポリマーは、分枝状構造を有するブロックコポリマー構造の一般部類に入る。星形ブロックコポリマーは、中心点を有し、そこから枝が伸びていることから、ラジアルコポリマー又はパームツリーコポリマーとも呼ばれる。本明細書のブロックコポリマーは、櫛形ポリマー構造及び他の分枝状コポリマーとは区別されるべきである。これらの他の分枝状構造は、枝が伸びている中心点を有さない。(メタ)アクリルブロックコポリマーは、上記の(メタ)アクリルモノマーのいずれかを含むことができる。(メタ)アクリルブロックコポリマーは、追加のモノマー単位、例えば、カルボキシル基を有するビニル基モノマー、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、若しくは(メタ)アクリルアミドなど;芳香族ビニル基モノマー、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、若しくはp-メチルスチレンなど;共役ジエン基モノマー、例えば、ブタジエン若しくはイソプレンなど;オレフィン基モノマー、例えば、エチレン若しくはプロピレンなど、又はラクトン基モノマー、例えば、εカプロラクトン若しくはバレロラクトンなど;並びにこれらの組み合わせを含んでもよい。(メタ)アクリルブロックコポリマーの例は、商標名クラリティ(Kurarity)(株式会社クラレ、東京、日本から入手可能)及びNanostrength(Arkema、コロンブ、フランスから入手可能)で入手可能である。
【0090】
コアに使用するための(メタ)アクリルポリマーの調製方法は特に限定されず、(メタ)アクリルポリマーは、当業者に知られているように、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、又は塊状重合によって、例えば、紫外線照射開始及び/又は熱開始の典型的な重合開始方法を使用して、上記の重合性組成物から形成することができる。
【0091】
追加のポリマー
ポリ(1-アルケン)ポリマーとも呼ばれるポリ(α-オレフィン)ポリマーは、一般に、米国特許第5,209,971号(Babuら)に記載されているように、その上にグラフトされた放射線活性化可能な官能基を有し得る未架橋ポリマーを含む。ポリマーは、粘着性であり、主に非晶質である。有用なポリ(α-オレフィン)ポリマーとしては、例えば、C~C18ポリ(1-アルケン)ホモポリマー、及びプロピレンとC~C12 1-アルケンとのコポリマー、例えばC~C12ポリ(1-アルケン)ポリマー、及びプロピレンとC~C 1-アルケンとのコポリマーが挙げられる。ポリ(α-オレフィン)の例は、商品名、Rexene(R Rextac LLC、オデッサ、テキサス州製);Eastoflex(Eastman Chemical Corp、キングスポート、テネシー州製)、及びVestoplast(Evonik、エッセン、ドイツ)で入手可能である。
【0092】
ポリウレタンは、多官能性イソシアネートと多官能性アルコールとを反応させてウレタン結合を形成することによって調製されるポリマーを説明するために使用される一般用語である。用語「ポリウレタン」はまた、ポリイソシアネートと多官能性アルコール、アミン及びメルカプタンを含む任意の多活性水素化合物との反応生成物を指すためにより総称的に使用されてきた。ポリイソシアネートは、直鎖状若しくは分枝鎖状、脂肪族、脂環式、複素環式、若しくは芳香族、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0093】
シリコーンポリマーは、例えば、脂肪族及び/又は芳香族置換基を有するシロキサン主鎖を示す以下の式によって記載される直鎖状物質を含む。
【化1】
(式中、R1、R2、R3,及びR4は、アルキル基及びアリール基からなる群から独立して選択され、各R5はアルキル基であり、n及びmは整数であり、m又はnのうちの少なくとも1つは0ではない。)いくつかの実施形態では、アルキル基又はアリール基のうちの少なくとも1つは、ハロゲン置換基(例えば、アルキル基のうちの少なくとも1つは例えば、フッ素、-CHCHであってもよい)を含有してもよい。いくつかの実施形態では、R5はメチル基である(すなわち、非官能化シリコーンポリマーは、トリメチルシロキシ基によって終端化される)。いくつかの実施形態では、R1及びR2はアルキル基であり、nは0である(すなわち、材料はポリ(ジアルキルシロキサン)である)。いくつかの実施形態では、アルキル基はメチル基である(すなわち、ポリ(ジメチルシロキサン)(「PDMS」))。いくつかの実施形態では、R1はアルキル基であり、R2はアリール基であり、nは0である(すなわち、材料はポリ(アルキルアリールシロキサン)である)。いくつかの実施形態では、R1はメチル基であり、R2はフェニル基である(すなわち、ポリマーはポリ(メチルフェニルシロキサン)である)。いくつかの実施形態では、R1及びR2はアルキル基であり、R3及びR4はアリール基である(すなわち、ポリマーはポリ(ジアルキルジアリールシロキサン)である)。いくつかの実施形態では、R1及びR2はメチル基であり、R3及びR4はフェニル基である(すなわち、ポリマーはポリ(ジメチルジフェニルシロキサン)又はポリ(メチルフェニルシロキサン)である)。いくつかの実施形態では、非官能化シリコーンポリマーは分枝鎖状であってもよい。例えば、R1、R2、R3、及び/又はR4基のうちの少なくとも1つは、アルキル又はアリール(ハロゲン化アルキル又はアリールを含む)置換基及び末端R5基を有する直鎖状又は分枝鎖状シロキサンであってもよい。本明細書で使用されるとき、「非官能基」は、炭素原子、水素原子、及びいくつかの実施形態では、ハロゲン(例えば、フッ素)原子からなるアルキル基又はアリール基のいずれかである。本明細書で使用されるとき、「非官能化シリコーン材料」は、R1、R2、R3、R4、及びR5基が非官能基であるものである。
【0094】
一般に、官能性シリコーンポリマーは、出発物質のシロキサン主鎖に結合した特定の反応基(例えば、水素基、ヒドロキシル基、ビニル基、アリル基、又はアクリル基)を含む。本明細書で使用されるとき、「官能化シリコーンポリマー」は、式2のR基のうちの少なくとも1つが官能基であるものである。
【化2】
【0095】
いくつかの実施形態では、官能性シリコーンポリマーは、R基のうちの少なくとも2つが官能基であるものである。一般に、式2のR基は、独立して選択されてもよい。いくつかの実施形態では、存在する唯一の官能基は、ヒドロキシル基(例えば、シラノール末端ポリシロキサン(例えば、シラノール末端ポリジメチルシロキサン))である。官能性R基に加えて、R基は、非官能基、(例えば、ハロゲン化(例えば、フッ素化)アルキル基及びアリール基を含む、アルキル基又はアリール基)であってよい。いくつかの実施形態では、R基のうちの少なくとも1つは、官能性及び/又は非官能性置換基を有する直鎖状又は分枝鎖状シロキサンであってもよい。
【0096】
シリコーンポリマーが非粘着性である実施形態では、上記の粘着付与剤を、シリコーンポリマーと共に含めてもよい。好適な粘着付与樹脂は、多くの場合、トリメチルシロキシ基及びシラノール官能基でエンドキャップされた3次元シリケート構造からなる。好適なシリケート粘着付与樹脂は、Dow Corning(例えば、DC2-7066)、並びにMomentive Performance Materials(例えば、SR545及びSR1000)などの供給元から市販されている。
【0097】
シース
物理的性能の観点から、シースの特性を考慮するべきである。シースは、コアシースフィラメントに構造的一体性を提供し、加えて接着性コアをそれ自体又は他の表面との接触から隔てる。シースの存在は、好ましくは、接着剤材料に比較的少量の充填材料をもたらす程度に十分に薄いこと、又は接着剤の機能性成分である材料で形成されることのいずれかによって、最終材料の接着性能に影響を与えない。シースは、フィラメントのフォームファクタを支持し、かつ好ましくはコアシースフィラメントを堆積位置へ送達することが可能である程度に十分な厚さである必要がある。
【0098】
上記のように、シース材料は、15g/10分未満のメルトフローインデックスを示す。このような低いメルトフローインデックスは、コアシースフィラメントが取り扱いのために、及び任意に付加製造装置で使用されるために必要な物理的操作に耐えるのに十分な強度を有するシース材料であることを示す。例えば、コアシースフィラメントは、コアシースフィラメントの破損を全く伴わずに、スプールから巻き出され、装置に導入され、溶融のためにノズルに進められる必要がある。特定の実施形態では、シース材料は、14g/10分以下、13g/10分以下、11g/10分以下、10g/10分以下、8g/10分以下、7g/10分以下、6g/10分以下、5g/10分以下、4g/10分以下、3g/10分以下、2g/10分以下、又は1g/10分以下のメルトフローインデックスを示す。強度を呈することに加えて、シース材料は非粘着性である。材料が「自己接着試験」に合格した場合、その材料は非粘着性であり、材料を破砕することなく、材料をそれ自体から引き剥がすのに必要な力は、所定の最大閾値量以下である。自己接着試験は、以下の実施例に説明されている。非粘着性シースを使用することにより、基材上への堆積前にいかなるものにも不必要に接着することなく、フィラメントを取り扱い、任意にプリントすることが可能になる。
【0099】
特定の実施形態では、シース材料は、低いMFI(例えば、15g/10分未満)、中程度の破断伸び(例えば、試験片タイプIVを使用してASTM D638-14により測定して100%以上)、低い破断時引張応力(例えば、試験片タイプIVを使用してASTM D638-14により測定して10MPa以上)、及び中程度のショアD硬度(例えば、ASTM D2240-15により測定して30~70)のうちの少なくとも2つの組み合わせを呈する。
【0100】
多くの実施形態では、構造的一体性及び非粘着性表面を提供するという目的を達成するために、シースは、スチレンブロックコポリマー、ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレンブタジエンコポリマーから選択される材料を、単独で、又は任意の2つ以上の組み合わせのいずれかで含む。特定の実施形態では、シースは、主成分としてこれらの列挙された材料のうちのいずれか1つを含む(例えば、シースはまた、1つ以上の添加剤を含んでもよい)。好適なスチレンブロックコポリマー及びスチレンブタジエンコポリマーの例は、コアに関して上述したとおりである。
【0101】
好適なポリオレフィンは、特に限定されない。好適なポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(例えば、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー、及び/又はポリプロピレンを含むブレンド)、ポリエチレン(例えば、ポリエチレンホモポリマー、ポリエチレンコポリマー、高密度ポリエチレン(high density polyethylene、HDPE)、中密度ポリエチレン(medium density polyethylene、MDPE)、低密度ポリエチレン(low density polyethylene、LDPE)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、好適な市販のLDPE樹脂としては、LyondellBasell(ロッテルダム、オランダ)から入手可能なPETROTHENE NA217000、及びChevron Phillips(ザ・ウッドランズ、TX)から入手可能なMARLEX 1122が挙げられる。
【0102】
本明細書で使用する「ポリウレタン」という用語は、本明細書で「イソシアネート」と呼ばれる少なくとも2個のイソシアネート基(-N=C=O)を含有する化合物と、少なくとも2個の活性水素含有基を含有する化合物との反応生成物から作製されるポリマーに適用される。活性水素含有基の例としては、第一級アルコール、第二級アルコール、フェノール、及び水が挙げられる。他の活性水素含有基としては、イソシアネートと反応して尿素結合を形成し、それによってポリウレアを作製する、第一級及び第二級アミンが挙げられる。様々なイソシアネート末端材料及び適切な共反応物が周知であり、多くが市販されている(例えば、Gunter Oertel,「Polyurethane Handbook」,Hanser Publishers,Munich(1985)を参照されたい)。好適な市販の熱可塑性ポリウレタンとしては、例えば、Lubrizol Corporation(Wickliffe、OH)から入手可能なESTANE 58213及びESTANE ALR 87Aが挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
シースに使用するのに好適なエチレン酢酸ビニル(EVA)ポリマー(すなわち、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー)としては、ELVAXの商品名で入手可能なDuPont(ウィルミントン、DE)製の樹脂が挙げられる。典型的なグレードは、酢酸ビニル含有量が9~40重量パーセントの範囲であり、メルトフローインデックスは1分当たり0.03グラム程度の低さである。(ASTM D1238に従って)。好適なEVAとしては、商品名ULTRATHENEで入手可能なLyondellBasell(ヒューストン、TX)製の高酢酸ビニルエチレンコポリマーも挙げられる。典型的なグレードは、酢酸ビニル含有量が12~18重量パーセントの範囲である。好適なEVAとしては、商品名ATEVAで入手可能なCelanese Corporation(ダラス、TX)製のEVAコポリマーも挙げられる。典型的なグレードは、酢酸ビニル含有量が2~26重量パーセントの範囲である。
【0104】
選択された実施形態では、シースは、接着性コアの接着剤の機能性成分である1つ以上の材料を含む。このような実施形態では、シースは、典型的には、スチレンブロックコポリマー又はスチレンブタジエンコポリマー、又はこれらの組み合わせを含む。有利には、このようなコアシースフィラメントを溶融させ、混合して、基材上に堆積させると、シース材料は、場合により接着特性を減損するのではなく、接着剤の接着特性に加わる。任意に、シース内に含まれる唯一の構造ポリマー材料(例えば、添加剤以外の構成成分)は機能性成分であり、このような実施形態では、シースは、接着性コアの接着剤の機能性成分である1つ以上の(例えば、ポリマー)材料からなる。
【0105】
他の実施形態では、シースは、接着性コアの接着剤の機能性成分ではない1つ以上の材料を含む。このような実施形態では、シース材料は、コアシースフィラメントを溶融させ、混合して、基材上に堆積させると、接着剤中の充填剤として作用することができる。シースが、接着剤の機能性成分ではない1つ以上の材料を含む場合、それらは典型的には、最終接着剤の接着特性との干渉を最小限に抑えるために、コアシースフィラメント全体の低重量パーセントに含まれる。例えば、一実施形態では、シースは、コアシースフィラメントの総重量の最大5重量%の量のHDPEを含む。
【0106】
シースは、典型的には、コアシースフィラメント全体の4重量%以上、コアシースフィラメントの総重量の5重量%以上、6重量%以上、7重量%以上、8重量%以上、9重量%以上、10重量%以上、12重量%以上、又は13重量%以上;及びコアシースフィラメントの総重量の20重量%以下、18重量%以下、16重量%以下、14重量%以下、12重量%以下、10重量%以下、又は8重量%以下を占める。言い換えれば、シースは、コアシースフィラメントの4重量%~20重量%、コアシースフィラメントの5~20重量%、5~14重量%、5~10重量%、又は4~8重量%の量で存在し得る。図3を参照すると、コアシースフィラメント30の概略断面図が提供されており、シース34よりも多量のコア32の典型的な存在を示している。
【0107】
添加剤
本明細書に記載のコアシースフィラメントは、場合によっては、1つ以上の添加剤、例えば充填剤、可塑剤、酸化防止剤、顔料、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の添加剤などを更に含む。典型的には、1つ以上の添加剤は、シースよりも大きな体積のためにコア内に提供されるが、特定の実施形態では、添加剤は、コアシースフィラメントのシース内に含まれ得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、コアシースフィラメントは、任意の可塑剤を含み得る。可塑剤は、多くの場合、スチレンブロックコポリマーの1つ以上のブロックと相溶性であるように選択される。粘着付与剤と同様に、可塑剤とブロックのうちの1つとの間の相溶性は、ブロックのガラス転移温度における変化(例えば、減少)によって示される。いくつかの実施形態では、可塑剤は、ナフテン系油、液体(室温で)ポリブテン樹脂、液体(室温で)ポリイソブチレン樹脂、液体(室温で)パラフィン、液体(室温で)イソプレンポリマー、又はリン酸エステルから選択される。
【0109】
添加され得るナフテン系油可塑剤の例としては、Nynas Naphthenics AB(ストックホルム、スウェーデン)から商品名NYFELX(例えば、NYFLEX 222B)で、及びCalumet Specialty Products Partners(インディアナポリス、IN、USA)から商品名CALSOL(例えば、CALSOL 5550)で市販されているものが挙げられるが、これらに限定されない。添加され得る液体パラフィン可塑剤の例としては、商品名FLEXON(例えば、FLEXON 845)でExxon(アービング、TX、USA)から、商品名KAYDOLでParaffinic Sonneborn(Parsippany、NJ、USA)から、商品名SUNPAR(例えば、SUNPAR 150)でSunoco(ダラス、TX、USA)から、及び商品名TUFFLO(例えば、TUFFLO 6056)でCITGO(ヒューストン、TX、USA)から市販されているものが挙げられるが、これらに限定されない。液体ポリブテン可塑剤の例としては、商品名OPPANOL(例えば、OPPANOL B12 SNF)でBASF(Florham Park、NJ、USA)から、及び商品名INDOPOL(例えば、INDOPOL H-8)でIneos Oligomers Products(League City、TX、USA)から市販されているものが挙げられるが、これらに限定されない。リン酸エステルの例としては、商品名SANTICIZER(例えば、SANTICIZER 141)でValtris Specialty Chemicals(インディペンデンス、OH、USA)から市販されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
本明細書に記載のコアシースフィラメントはまた、1つ以上のヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤、又はこれらの組み合わせを任意に含む。例えば、本開示の目的に反しない任意の酸化防止剤が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、好適な酸化防止剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含む種々のアリール化合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、酸化防止剤を使用する場合、1つ以上の酸化防止剤は、コアシースフィラメントの総重量を基準として、約0.001重量%~2重量%、0.001重量%~1重量%、又は0.01重量%~1重量%の量で存在する。更に、安定剤を使用する場合、安定剤は、コアシースフィラメントの総重量を基準として、約0.1重量%~5重量%、約0.5重量%~4重量%、又は約1重量%~3重量%の量で存在する。
【0111】
本明細書に記載のコアシースフィラメントはまた、BASF Corporation、Florham Park、NJから入手可能な、TINOPAL OB、ベンゾオキサゾール、2,2’-(2,5-チオフェンジイル)ビス[5-(1,1-ジメチルエチル)]などの、1つ以上の紫外線吸収剤(例えば、染料、蛍光増白剤、顔料、粒子状充填剤など)を含むことができる。紫外線吸収剤を使用する場合、紫外線吸収剤は、コアシースフィラメントの総重量を基準として、約0.001重量%~5重量%、約0.01重量%~1重量%、約0.1重量%~3重量%、又は約0.1重量%~1重量%の量で存在し得る。
【0112】
コアシースフィラメントは、ガラスバブル、膨張性微小球、シリカ、炭素、炭酸カルシウム、粘土、タルク、二酸化チタン、表面処理シリカ、導電性粒子、グラファイト、樹脂粒子、カオリン、ガラス繊維、又はこれらの組み合わせなどの充填剤を含んでもよい。好適な充填剤の例は自然発生又は合成の材料で、これらには、シリカ(SiO(例えば、石英))、アルミナ(Al)、ジルコニア、窒化物(例えば、窒化ケイ素)、例えばZr、Sr、Ce、Sb、Sn、Ba、Zn、及びAlから得られたガラス及び充填剤、長石、ホウケイ酸塩ガラス、カオリン(陶土)、タルク、ジルコニア、チタニア、並びにサブミクロンシリカ粒子(例えば、Degussa Corp.、アクロン、OHの「OX50」、「130」、「150」及び「200」シリカ、並びにCabot Corp.、Tuscola、ILのCAB-O-SIL M5及びTS-720シリカを含む、商品名AEROSILで入手可能なものなどの発熱性シリカ)が挙げられるが、これらに限定されない。国際公開第09/045752号(Kalgutkarら)に開示されるものなどの、ポリマー材料から製造される有機充填剤もまた可能である。
【0113】
特定の実施形態では、充填剤は、表面改質ナノ粒子を含む。一般的に、「表面改質ナノ粒子」は、コアの表面に結合した表面処理剤を含む。いくつかの実施形態では、コアは、実質的に球状である。いくつかの実施形態では、ナノ粒子コアは、少なくとも部分的又は実質的に結晶質である。いくつかの実施形態では、粒子は、実質的に非凝集である。いくつかの実施形態では、粒子は、例えば、ヒュームド又は発熱性シリカとは対照的に、実質的に非凝集である。一般的に、シリカナノ粒子の表面処理剤は、ナノ粒子の表面に共有化学結合することができる第1の官能基を有する有機種であり、結合した表面処理剤は、ナノ粒子の1つ以上の特性を変更する。いくつかの実施形態では、表面処理剤は、コアに結合するための3つ以下の官能基を有する。いくつかの実施形態では、表面処理剤は、低分子量、例えば、1000gm/モル未満の重量平均分子量を有する。
【0114】
いくつかの実施形態では、表面改質ナノ粒子は反応性であり、すなわち、本開示のナノ粒子を表面改質するために使用される表面処理剤の少なくとも1種は、接着性コアの、構成成分のうちの1種以上と反応可能な第2の官能基を含んでもよい。表面処理剤は、多くの場合、ナノ粒子の表面に結合可能な1つ以上の第1の官能基を含む。例えば、アルコキシ基は、表面処理剤とシリカ表面との間に共有結合を形成するシリカナノ粒子の表面上の遊離シラノール基と反応することができる共通の第1の官能基である。複数のアルコキシ基を有する表面処理剤の例としては、トリアルコキシアルキルシラン(例えば、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート)及びトリアルコキシアリールシラン(例えば、トリメトキシフェニルシラン)が挙げられる。
【0115】
コアシースフィラメントは、繊維強化材を更に含有してもよい。例えば、好適なガラス繊維としては、約2%未満のアルカリを含有するか、又は実質的にアルカリを含まないもの(すなわち、「Eガラス」繊維)である、アルミノボロシリケートガラス繊維が挙げられる。Eガラス繊維は、多数の商業的供給業者から入手可能である。
【0116】
コアシースフィラメントは、染料、顔料、及びピグメントダイ(pigment dye)などの着色剤を更に含有してもよい。米国特許第5,981,621号(Clarkら)に記載される好適な着色剤の例としては、1-ヒドロキシ-4-[4-メチルフェニルアミノ]-9,10-アントラセンジオン(FD&C紫色2号)、6-ヒドロキシ-5-[(4-スルホフェニル)オキソ]-2-ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩(FD&C黄色6号)、9-(o-カルボキシフェニル)-6-ヒドロキシ-2,4,5,7-テトラヨード-3H-キサンテン-3-オン、二ナトリウム塩、一水和物(FD&C赤色3号)などが挙げられる。
【0117】
有用な顔料の例としては、酸化チタン、リン酸亜鉛、硫化亜鉛、酸化亜鉛及びリトポンなどの白色顔料;酸化鉄(栗色、赤色、明るい赤色)、酸化鉄/酸化クロム、硫セレン化カドミウム及び水銀カドミウム(栗色、赤色、橙色)などの赤色及び赤橙色顔料;ウルトラマリン(青色、ピンク色及び紫色)、クロムスズ(ピンク色)、マンガン(紫色)、コバルト(紫色);チタン酸バリウム、硫化カドミウム(黄色)、クロム(橙色、黄色)、モリブデン酸塩(橙色)、クロム酸亜鉛(黄色)、チタン酸ニッケル(黄色)、酸化鉄(黄色)、ニッケルタングステンチタン、亜鉛フェライト及びチタン酸クロムなどの橙色、黄色及びバフ色の顔料;酸化鉄(バフ色、褐色)、酸化マンガン/酸化アンチモン/酸化チタン、チタン酸マンガン、天然シエナ(アンバー色)、チタンタングステンマンガンなどの褐色顔料;アルミン酸クロム(青色)、クロムコバルトアルミナ(ターコイズ色)、アイアンブルー(青色)、マンガン(青色)、クロム及び酸化クロム(緑色)及びチタングリーンなどの青緑色顔料;並びに酸化鉄ブラック及びカーボンブラックなどの黒色顔料が挙げられるが、これらに限定されない。コアシースフィラメント又はプリントされた接着剤で所望の色調を実現するために、一般的に、顔料の組み合わせが使用される。プリントされた組成物を不可視光下で見えるようにするときに、蛍光染料及び顔料の使用が有用な場合もある。特に有用な炭化水素可溶性蛍光染料は、2,5-ビス(5-tert-ブチル-2-ベンゾオキサゾリル)1チオフェンである。ローダミンなどの蛍光染料をカチオン性ポリマーに結合させ、フィラメントの一部として組み込んでもよい。
【0118】
特定の実施形態では、特定の色(例えば、黄色)を付与するために着色剤がコアに含まれ、特定の異なる色(例えば、青色)を付与するために着色剤がコアに含まれており、したがって、プリントされた接着剤の色(例えば、緑色)は、コア及びシース材料の効果的な混合を容易に示すことを観察することができる。選択された実施形態では、着色剤をフィラメントのコア部分及び/又はシース部分に含めて、プリントされた接着剤と、この接着剤がプリントされている基材又は最終用途に含まれる別の材料とのカラーマッチングを提供することができ、したがって、プリントされた接着剤の存在は、コアシースフィラメントに着色剤が含有されていない場合よりも、プリント後に見かけ上目立たない。
【0119】
上記の添加剤のうちの任意のものの組み合わせを用いてもよい。当業者であれば、所望の結果を達成するために、過度な実験を行うことなく、そのような添加剤のいずれか1種を選び、その量を選択することができる。
【0120】
方法
第2の態様では、接着剤をプリントする方法が提供される。方法は、
a.接着性コア及び非粘着性シースを含むコアシースフィラメントを、ノズル内で溶融させて、溶融組成物を形成することと、
b.溶融組成物を、ノズルを通して基材上に分配することと
を含み、
工程a.及びb.を1回以上行って、プリントされた接着剤を形成する。
【0121】
典型的には、溶融組成物を、ノズル内において、ノズルを通して分配する間において、又はその両方において混合する。ノズルは、多くの場合、3Dプリンタの一部である。しかし、特定の実施形態では、方法は、工程bの前に溶融組成物を混合する別個の工程を更に含むことができる。
【0122】
Stratasys,Inc.、Eden Prairie、Minn.による商品名「FUSED DEPOSITION MODELING(溶融堆積モデリング)」によっても知られている、溶融フィラメントファブリケーションは、高温容器を通って供給される熱可塑性ストランドを使用して、押出ヘッドから材料の溶融アリコートを製造するプロセスである。押出ヘッドは、設計図又は図面(例えば、コンピュータ支援図面(CADファイル))により求められるとおりに3D空間に材料のビーズを押し出す。押出ヘッドは、典型的には材料を層に配置し、材料は堆積された後、溶融される。
【0123】
接着剤を含むコアシースフィラメントを基材上にプリントするための1つの好適な方法は、連続した非ポンプ式フィラメント供給分配ユニットである。このような方法では、分配のスループットは、分配ヘッド内に許容されるコアシースフィラメントの線形供給速度によって調節される。現在市販されているFFF分配ヘッドでは、加熱されていないフィラメントが加熱ゾーンに機械的に押し込まれ、これは、フィラメントをノズルから押し出すのに十分な力を提供する。このアプローチの変形は、加熱ゾーンに搬送スクリューを組み込むことであり、これは、スプールからフィラメントを引き、またノズルを通して材料を分配するための圧力を発生させるように作用する。分配ヘッドに搬送スクリューを追加すると、コスト及び複雑性が加わるが、スループットの増大、並びに所望のレベルの成分の混合及び/又はブレンドの機会が得られる。フィラメント供給分配の特徴は、任意の所与の時点において分配ヘッド内にフィラメントの短いセグメントのみを有する、真の連続方式であることである。
【0124】
従来のホットメルト接着剤堆積と比較して、フィラメント供給分配には多くの利点が存在し得る。第1に、フィラメント供給分配により、異なる接着剤をより迅速に切り替えることができる。また、溶融タンクを使用するセミバッチモードでは動作しないため、これにより、接着剤の熱劣化の機会及び堆積した接着剤における関連する欠陥が最小限に抑えられる。フィラメント供給分配は、より高い溶融粘度を有する材料を使用することができ、これにより、別個の硬化又は架橋工程を必要とせずに、より高い幾何学的精度でより安定に堆積することができる接着ビーズが得られる。更に、許容溶融粘度がより高いため、接着剤内で高分子量の原材料を使用することができる。高分子量の原材料を含有する未硬化のホットメルト感圧接着剤は、応力散逸能力を維持しながら、高温保持力を大幅に改善することができるため、これは有利である。
【0125】
FFFフィラメントのフォームファクタは、通常、懸念事項である。例えば、均一な断面形状及び直径は、ABS又はポリ乳酸(polylactic acid、PLA)などの既存の標準化FFFフィラメントとコアシースフィラメントとの相互適合性を補助する。加えて、均一な断面直径は、FFF分配速度がフィラメントの直線長さの供給速度によって一般に決定されるため、接着剤の適切なスループットを確保するのに役立つ。FFFで使用される場合、少なくとも特定の実施形態によるコアシースフィラメントの好適な断面変化は、50cmの長さにわたって最大で20%の直径変動、又は更には50cmの長さにわたって最大で15%の直径変動を含む。
【0126】
押出に基づいた層状堆積システム(例えば、溶融フィラメントファブリケーションシステム)は、本開示の方法において、プリントされた接着剤を含む物品を作製するのに有用である。単軸押出機、2軸押出機、ホットエンド押出機(例えば、フィラメント供給システム用)、及び直接駆動式ホットエンド押出機(例えば、エラストマーフィラメント供給システム用)を含む、種々の押出タイプを有する堆積システムが市販されている。堆積システムはまた、XYZステージ、ガントリクレーン、及びロボットアームを使用することを含む、材料の堆積のための異なるモーションタイプを有することができる。付加製造堆積システムの一般的な製造業者としては、Stratasys、Ultimaker、MakerBot、Airwolf、WASP、MarkForged、Prusa、Lulzbot、BigRep、Cosin Additive、及びCincinnati Incorporatedが挙げられる。好適な市販の堆積システムとしては、例えば、限定するものではないが、Cincinnati Incorporated(Harrison、OH)から入手可能なペレット供給スクリュー押出機及びガントリー型モーションタイプを備えたBAAM;Interelab d.o.o.(Senovo、Slovenia)から入手可能な、加圧ペースト押出機及びガントリー型モーションタイプを備えたBETABRAMモデルP1;Cosine Additive Inc.(ヒューストン、TX)から入手可能な、ペレット供給スクリュー押出機又はギア駆動フィラメント押出機のいずれか、及びXYZステージモーションタイプを備えたAM1;KUKA(Sterling Heights、MI)から入手可能な、ロボットアームモーションタイプを備えたKUKAロボット;並びにAirWolf 3D(ファウンテンバレー、CA)から入手可能な、ギア駆動フィラメント押出機及びXYZステージモーションタイプを備えたAXIOMが挙げられる。
【0127】
プリントされた接着剤を含む3次元物品は、例えば、溶融接着剤を基材上に押し出すことによって、コンピュータ支援設計(CAD)モデルから層ごとに作製することができる。接着剤が押し出される基材に対する押出ヘッドの運動は、最終物品を表すビルドデータ(build data)に従ってコンピュータ制御により行われる。ビルドデータは、最初に3次元物品のCADモデルをスライスして、複数の水平にスライスされた層にすることによって得られる。次いで、各スライス層に関して、ホストコンピュータは、その上にプリントされた接着剤を有する3次元物品を形成するための、組成物の堆積経路用のビルドパスを生成する。選択された実施形態では、プリントされた接着剤は、プリントされた接着剤の表面上に形成された少なくとも1つの溝を含む。任意に、プリントされた接着剤は、基材上に不連続パターンを形成する。
【0128】
溶融接着剤が堆積される基材は、特に限定されない。多くの実施形態では、基材は、ポリマー部分、ガラス部分、又は金属部分を含む。基材上に接着剤をプリントするための付加製造の使用は、基材が非平坦な表面を有する場合、例えば、不規則又は複雑な表面トポグラフィーを有する基材である場合に特に有利であり得る。
【0129】
コアシースフィラメントを、押出ヘッドに設けたノズルを通して押し出し、基材上のx-y平面に経路配列として堆積させることができる。押出溶融接着剤は、温度が低下して固化する際、先に堆積した溶融接着剤と溶融する。これは、プリントされた接着剤の少なくとも一部を提供することができる。次に、基材に対する押出ヘッドの位置をz軸に沿って(x-y平面に対して垂直に)徐々に上げて、このプロセスを繰り返して、第1の層の少なくとも一部分の上に溶融接着剤の少なくとも第2の層を形成する。堆積した層に対する押出ヘッドの位置を変えることは、例えば、層が堆積される基材を下げることによって行ってもよい。このプロセスは、CADモデルに似たプリントされた接着剤を含む3次元物品を形成するために必要な回数だけ繰り返すことができる。更なる詳細は、例えば、Turner,B.N.ら、「A review of melt extrusion additive manufacturing processes:I.process design and modeling」;Rapid Prototyping Journal 20/3(2014)192-204において見出すことができる。特定の実施形態では、プリントされた接着剤は、基材に垂直な軸における厚さが変化する一体形状を有する。これは、接着剤の打抜きを使用して形成することができない接着剤の形状が望ましい場合に、特に有利である。
【0130】
いくつかの溶融フィラメントファブリケーション3Dプリンタが、本開示による方法を実行するのに有用であり得る。これらの多くは、Stratasys,Inc.、Eden Prairie、MN及びその子会社から商品名「FDM」で市販されている。着想及び設計開発用のデスクトップ3Dプリンタ、並びに直接デジタル製造のためのより大きなプリンタは、Stratasys及びその子会社から、例えば、商品名「MAKERBOT REPLICATOR」、「UPRINT」、「MOJO」、「DIMENSION」及び「FORTUS」で入手することができる。溶融フィラメントファブリケーション用の他の3Dプリンタは、例えば、3D Systems、ロックヒル、SC及びAirwolf 3D、コスタメサ、CAから市販されている。
【0131】
図1は、本開示の接着剤をプリントする方法に有用な押出ヘッド10の実施形態の断面図である。押出ヘッド10は、押出チャネル12、加熱ブロック14及び押出先端部16を含む。加熱ブロック14の複数のポート18は、例えば、必要に応じて加熱ブロック14の温度を測定及び制御するのに有用であり得る。押出ヘッド10は、例えば、上記の実施形態のいずれかに記載されたものを含む、押出に基づいた層状堆積システムの構成要素であり得る。
【0132】
押出チャネル12は、コアシースフィラメントを供給するために加熱ブロック14を通って延びているチャネルである。加熱ブロック14は、加熱ブロック14による好適な熱プロファイルに基づいて、コアシースフィラメントを所望の押出粘度に少なくとも部分的に溶融するのに有用である。加熱ブロック14の温度は、接着剤の溶融温度及び溶融粘度に基づいて調節することができる。いくつかの実施形態では、加熱ブロックは、少なくとも180℃、少なくとも200℃、少なくとも220℃、最大約300℃又は275℃の温度で加熱される。好適な加熱ブロック14の例としては、Stratasys,Inc.により商標「FDM TITAN」の「FUSED DEPOSITION MODELING(溶融堆積モデリング)」システムで市販されているものが挙げられる。
【0133】
押出先端部16は、押出チャネル12の先端延長部であり、これは、溶融形態の組成物を剪断して押し出し、溶融混合物を基材上に堆積させる。押出先端部のサイズ及び形状は、接着剤の押出経路のサイズ及び形状に所望されるように設計され得る。押出先端部16は、接着剤の堆積経路に有用な先端部内寸を有し、経路幅及び高さは、先端部内寸に部分的に基づいている。いくつかの実施形態では、押出先端部は円形開口部を有する。これらの実施形態のいくつかにおいて、押出先端部16の好適な先端内径は、約100マイクロメートル~約1000マイクロメートルの範囲であり得る。いくつかの寸法では、押出先端部は正方形又は矩形の開口部を有する。これらの実施形態のいくつかにおいて、押出先端部は、約100マイクロメートル~約1,000マイクロメートルの範囲の幅又は厚さのうちの少なくとも1つを有することができる。いくつかの実施形態では、押出先端部16は、押し出された材料の液滴を形成するのに有用であり得る。
【0134】
特定の実施形態では、方法は、溶融組成物を分配する前に、溶融組成物を(例えば、機械的に)混合することを更に含む。他の実施形態では、ノズル内で溶融させ、ノズルを通して分配するプロセスは、溶融組成物を、ノズル内において、ノズルを通して分配する間において、又はその両方において混合するように、組成物の十分な混合を提供し得る。
【0135】
接着剤を堆積させることができる基材の温度はまた、堆積接着剤の経路の溶融を促進するように調整されてもよい。本開示による方法では、基材の温度は、例えば、少なくとも約100℃、110℃、120℃、130℃、又は140℃、最大175℃、又は150℃であってもよい。
【0136】
揮発性有機化合物(VOC)下方制御が、特に、例えば、建設市場又は自動車若しくは電子工学産業などにおける各種の内装用途(労働衛生及び労働安全性)にとって、ますます重要となってきている。有利には、特定の実施形態では、プリントされた接着剤は、1000ppm以下のVOC値を呈するという利点を提供する。
【0137】
プリントされた接着剤は、以下の実施例で詳細に説明される、静的剪断強度試験に合格することができる。したがって、コアシースフィラメントは、最小量の静的剪断が必要な用途の静的剪断強度試験に合格するのに十分な静的剪断を有するプリントされた接着剤を提供するように配合することができる。
【0138】
本開示による方法によって調製されるプリントされた接着剤は、様々な産業、例えば、航空宇宙、衣料、建築、自動車、業務用機械製品、消費者、防衛、歯科、電子機器、教育機関、重機、宝飾物、医療及び玩具産業において有用な物品であり得る。
【0139】
物品(例えば、プリントされた接着剤を含む)を表すデータは、コンピュータ支援設計(CAD)データなどのコンピュータモデリングを使用して生成されてもよい。(例えば、ポリマー)物品の設計を表す画像データは、STLフォーマットで、又は任意の他の適切なコンピュータ処理可能なフォーマットで、付加製造機器にエクスポートすることができる。3次元オブジェクトを走査するための走査方法も、物品を表すデータの作成に使用することができる。データを取得するための1つの例示的な技法は、デジタル走査である。X線写真、レーザ走査、コンピュータ断層撮影(computed tomography、CT)、磁気共鳴映像法(magnetic resonance imaging、MRI)、及び超音波画像診断を含む、任意の他の好適な走査技法を、物品を走査するために使用できる。他の可能な走査方法が、例えば米国特許出願公開第2007/0031791号(Cinader,Jr.,et al.)に記載されている。走査オペレーションからの生データ、及び生データから導出した物品を表すデータの両方を含み得る初期デジタルデータセットを処理して、任意の周囲構造(例えば、物品用支持具)から物品の設計を分割することができる。本開示による方法は、付加製造によって部分的又は完全に形成される物品を含んでもよく、又は他の方法によって形成され、付加製造方法を使用して物品(例えば、基材)の一部上に堆積されたプリントされた接着剤を含む物品を含んでもよい。
【0140】
多くの場合、機械可読媒体は、コンピューティングデバイスの一部として提供される。コンピューティングデバイスは、1つ以上のプロセッサ、揮発性メモリ(RAM)、機械可読媒体を読み取るためのデバイス、並びに、例えば、ディスプレイ、キーボードなどの入力/出力デバイス、及びポインティングデバイスを有し得る。更に、コンピューティングデバイスは、オペレーティングシステム及び他のアプリケーションソフトウェアなどの他のソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせも含み得る。コンピューティングデバイスは、例えば、ワークステーション、ラップトップ、携帯情報端末(personal digital assistant、PDA)、サーバ、メインフレーム又は任意の他の汎用若しくは特定用途向けコンピューティングデバイスであってもよい。コンピューティングデバイスは、コンピュータ可読媒体(例えば、ハードドライブ、CD-ROM、又はコンピュータメモリなど)から実行可能なソフトウェアの命令を読み出してもよく、又は別のネットワーク化コンピュータなどの、コンピュータに論理的に接続された別のソースからの命令を受信してもよい。図10を参照すると、コンピューティングデバイス1000は、多くの場合、内部プロセッサ1080、ディスプレイ1100(例えば、モニタ)、並びにキーボード1140及びマウス1120などの1つ以上の入力デバイスを含む。図10では、プリントされた接着剤1130が、ディスプレイ1100に表示されている。
【0141】
図6を参照すると、特定の実施形態では、本開示はシステム600を提供する。システム600は、物品(例えば、図10のディスプレイ1100に表示されているようなプリントされた接着剤1130を含む)の3Dモデル610を表示するディスプレイ620と、ユーザーにより選択された3Dモデル610に応じて、コアシースフィラメントを使用して、プリントされた接着剤を含む物品660の物理的オブジェクトを、3Dプリンタ/付加製造デバイス650に作製させる、1つ以上のプロセッサ630と、を含む。多くの場合、入力デバイス640(例えば、キーボード及び/又はマウス)は、特にユーザーが3Dモデル610を選択するために、ディスプレイ620及び少なくとも1つのプロセッサ630と共に使用される。コアシースフィラメントは、接着性コア及び非粘着性シースを含む。
【0142】
図7を参照すると、プロセッサ720(又は2つ以上のプロセッサ)は、機械可読媒体710(例えば、非一時的媒体)、3Dプリンタ/付加製造デバイス740、及び任意にユーザーが見るためのディスプレイ730のそれぞれと通信する。3Dプリンタ/付加製造デバイス740は、機械可読媒体710から、物品750(例えば、図10のディスプレイ1100に表示されているようなプリントされた接着剤1130を含む)の3Dモデルを表すデータを提供するプロセッサ720からの命令に基づいて、1つ以上の物品750を製造するように構成されている。
【0143】
図8を参照すると、例えば、限定するものではないが、付加製造方法は、(例えば、非一時的)機械可読媒体から、プリントされた接着剤を含む物品の3Dモデルを表すデータを取得すること810を含む。方法は、1つ以上のプロセッサによって、データ及びコアシースフィラメントを使用して製造デバイスとインタフェースする付加製造アプリケーションを実行すること820と、製造デバイスによって、プリントされた接着剤を含む物品の物理的オブジェクトを生成すること830と、を更に含む。付加製造機器は、基材上に溶融接着剤を選択的に堆積させて、プリントされた接着剤を形成することができる。コアシースフィラメントは、接着性コア及び非粘着性シースを含む。任意に、物品は、プリントされた接着剤と接触している別の基材を配置して、2つの基材を一緒に接着することによって、後処理すること840ができる。更に、図9を参照すると、物品の製造方法は、1つ以上のプロセッサを有する製造デバイスによって、プリントされた接着剤を含む物品の複数の層を規定するデータを含むデジタルオブジェクトを受信すること910と、製造デバイスを用いて、付加製造プロセスにより、コアシースフィラメントを使用して、デジタルオブジェクトに基づき、物品を生成すること920と、を含む。任意に、物品は、後処理すること930ができる。
【0144】
本開示の選択された実施形態
実施形態1は、コアシースフィラメントである。コアシースフィラメントは、接着性コアと非粘着性シースとを含む。シースは、10分当たり15グラム(g/10分)未満のメルトフローインデックスを示す。
【0145】
実施形態2は、コアが感圧接着剤を含む、実施形態1に記載のコアシースフィラメントである。
【0146】
実施形態3は、コアがスチレンブロックコポリマー及び粘着付与剤を含む、実施形態1又は実施形態2に記載のコアシースフィラメントである。
【0147】
実施形態4は、スチレンブロックコポリマーが、(メタ)アクリレートとスチレンマクロマーとのコポリマーを含む、実施形態3に記載のコアシースフィラメントである。
【0148】
実施形態5は、コアが、2つ以上のスチレンブロックコポリマーを含む、実施形態3又は実施形態4に記載のコアシースフィラメントである。
【0149】
実施形態6は、コアが、(メタ)アクリルポリマーを含む、実施形態1又は実施形態2に記載のコアシースフィラメントである。
【0150】
実施形態7は、コアが、充填剤、可塑剤、酸化防止剤、顔料、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤、又はこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の添加剤を更に含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載のコアシースフィラメントである。
【0151】
実施形態8は、充填剤が、ガラスバブル、膨張性微小球、シリカ、炭素、炭酸カルシウム、粘土、タルク、二酸化チタン、表面処理シリカ、導電性粒子、グラファイト、樹脂粒子、カオリン、ガラス繊維、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態7に記載のコアシースフィラメントである。
【0152】
実施形態9は、シースが、スチレンブロックコポリマー、ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレンブタジエンコポリマー、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載のコアシースフィラメントである。
【0153】
実施形態10は、シースが、接着性コアの接着剤の機能性成分である1つ以上の材料を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載のコアシースフィラメントである。
【0154】
実施形態11は、シースが、接着性コアの接着剤の機能性成分である1つ以上の材料からなる、実施形態1~10のいずれか1つに記載のコアシースフィラメントである。
【0155】
実施形態12は、シースが、コアシースフィラメントの総重量の最大5重量パーセント(重量%)の量の高密度ポリエチレン(HDPE)を含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載のコアシースフィラメントである。
【0156】
実施形態13は、フィラメントが、1~10ミリメートル(mm)(両端の値を含む)の平均直径を有する、実施形態1~12のいずれか1つに記載のコアシースフィラメントである。
【0157】
実施形態14は、フィラメントが、2~6mm(両端の値を含む)の平均直径を有する、実施形態1~13のいずれか1つに記載のコアシースフィラメントである。
【0158】
実施形態15は、フィラメントが、約3mmの平均直径を有する、実施形態1~14のいずれか1つに記載のコアシースフィラメントである。
【0159】
実施形態16は、シースが、60パーセント(%)以上の破断伸びを呈する、実施形態1~15のいずれか1つに記載のコアシースフィラメントである。
【0160】
実施形態17は、シースが、90%以上の破断伸びを呈する、実施形態1~16のいずれか1つに記載のコアシースフィラメントである。
【0161】
実施形態18は、フィラメントが溶融され、コアとシースとが一緒に混合されて混合物を形成するとき、混合物が0℃以下のガラス転移温度(T)を呈する、実施形態1~17のいずれか1つに記載のコアシースフィラメントである。
【0162】
実施形態19は、フィラメントが、50センチメートル(cm)の長さにわたって最大で20%の直径変動を有する、実施形態1~18のいずれか1つに記載のコアシースフィラメントである。
【0163】
実施形態20は、シースが、13g/10分以下、10g/10分以下、8g/10分以下、5g/10分以下、又は2g/10分以下のメルトフローインデックスを示す、実施形態1~19のいずれか1つに記載のコアシースフィラメントである。
【0164】
実施形態21は、接着剤をプリントする方法である。方法は、a)コアシースフィラメントをノズル内で溶融させて、溶融組成物を形成することと、b)溶融組成物を、ノズルを通して基材上に分配することとを含む。工程a)及びb)を1回以上行って、プリントされた接着剤を形成する。コアシースフィラメントは、接着性コアと非粘着性シースとを含む。
【0165】
実施形態22は、工程bの前に溶融組成物を混合することを更に含む、実施形態21に記載の方法である。
【0166】
実施形態23は、溶融組成物を、ノズル内において、ノズルを通して分配する間において、又はその両方において混合する、実施形態21に記載の方法である。
【0167】
実施形態24は、プリントされた接着剤が、基材に垂直な軸における厚さが変化する一体形状を有する、実施形態21~23のいずれか1つに記載の方法である。
【0168】
実施形態25は、プリントされた接着剤が、プリントされた接着剤の表面上に形成された少なくとも1つの溝を有する、実施形態21~24のいずれか1つに記載の方法である。
【0169】
実施形態26は、基材が、ポリマー部分、ガラス部分、又は金属部分を含む、実施形態21~25のいずれか1つに記載の方法である。
【0170】
実施形態27は、プリントされた接着剤が、1000ppm以下の揮発性有機化合物(VOC)値を呈する、実施形態21~26のいずれか1つに記載の方法である。
【0171】
実施形態28は、プリントされた接着剤が、静的剪断強度試験に合格する、実施形態21~27のいずれか1つに記載の方法である。
【0172】
実施形態29は、プリントされた接着剤が、基材上に不連続パターンを形成する、実施形態21~28のいずれか1つに記載の方法である。
【0173】
実施形態30は、ノズルが、3Dプリンタの一部である、実施形態21~29のいずれか1つに記載の方法である。
【0174】
実施形態31は、接着性コアが、感圧接着剤を含む、実施形態21~30のいずれか1つに記載の方法である。
【0175】
実施形態32は、接着性コアが、スチレンブロックコポリマー及び粘着付与剤を含む、実施形態21~31のいずれか1つに記載の方法である。
【0176】
実施形態33は、スチレンブロックコポリマーが、(メタ)アクリレートとスチレンマクロマーとのコポリマーを含む、実施形態32に記載の方法である。
【0177】
実施形態34は、接着性コアが、2つ以上のスチレンブロックコポリマーを含む、実施形態32又は実施形態33に記載の方法である。
【0178】
実施形態35は、接着性コアが(メタ)アクリルポリマーを含む、実施形態21~31のいずれか1つに記載の方法である。
【0179】
実施形態36は、接着性コアが、充填剤、可塑剤、酸化防止剤、顔料、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤、又はこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の添加剤を更に含む、実施形態21~35のいずれか1つに記載の方法である。
【0180】
実施形態37は、充填剤が、ガラスバブル、膨張性微小球、シリカ、炭素、炭酸カルシウム、粘土、タルク、二酸化チタン、表面処理シリカ、導電性粒子、グラファイト、樹脂粒子、カオリン、ガラス繊維、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態36に記載の方法である。
【0181】
実施形態38は、非粘着性シースが、スチレンブロックコポリマー、ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレンブタジエンコポリマー、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態21~37のいずれか1つに記載の方法である。
【0182】
実施形態39は、非粘着性シースが、接着性コアの接着剤の機能性成分である1つ以上の材料を含む、実施形態21~38のいずれか1つに記載の方法である。
【0183】
実施形態40は、非粘着性シースが、接着性コアの接着剤の機能性成分である1つ以上の材料からなる、実施形態21~39のいずれか1つに記載の方法である。
【0184】
実施形態41は、非粘着性シースが、コアシースフィラメントの総重量の最大5重量パーセント(重量%)の量の高密度ポリエチレン(HDPE)を含む、実施形態21~40のいずれか1つに記載の方法である。
【0185】
実施形態42は、フィラメントが、1~10ミリメートル(mm)(両端の値を含む)の平均直径を有する、実施形態21~41のいずれか1つに記載の方法である。
【0186】
実施形態43は、フィラメントが、2~6mm(両端の値を含む)の平均直径を有する、実施形態21~42のいずれか1つに記載の方法である。
【0187】
実施形態44は、フィラメントが、約3mmの平均直径を有する、実施形態21~43のいずれか1つに記載の方法である。
【0188】
実施形態45は、シースが、60%以上の破断伸びを呈する、実施形態21~44のいずれか1つに記載の方法である。
【0189】
実施形態46は、シースが、90%以上の破断伸びを呈する、実施形態21~45のいずれか1つに記載の方法である。
【0190】
実施形態47は、フィラメントが溶融され、コアとシースとが一緒に混合されて混合物を形成するとき、混合物が0℃以下のガラス転移温度(T)を呈する、実施形態21~46のいずれか1つに記載の方法である。
【0191】
実施形態48は、フィラメントが、50cmの長さにわたって最大で20%の直径変動を有する、実施形態21~47のいずれか1つに記載の方法である。
【0192】
実施形態49は、非粘着性シースが、14g/10分以下、10g/10分以下、8g/10分以下、5g/10分以下、又は2g/10分以下のメルトフローインデックスを示す、実施形態21~48のいずれか1つに記載の方法である。
【0193】
実施形態50は、非一時的機械可読媒体である。非一時的機械可読媒体は、物品の3Dモデルを表すデータを有し、3Dプリンタとインタフェースする1つ以上のプロセッサによってアクセスされたときに、コアシースフィラメントを使用して3Dプリンタに、プリントされた接着剤を含む物品を作製させる。コアシースフィラメントは、接着性コアと非粘着性シースとを含む。
【0194】
実施形態51は、方法である。方法は、(a)非一時的機械可読媒体から、物品の3Dモデルを表すデータを取得することと、(b)1つ以上のプロセッサによって、このデータを使用して製造デバイスとインタフェースする3Dプリンティングアプリケーションを実行することと、(c)製造デバイスによって、コアシースフィラメントを使用して物品の物理的オブジェクトを生成することであって、物品がプリントされた接着剤を含む、生成することと、を含む。コアシースフィラメントは、接着性コアと非粘着性シースとを含む。
【0195】
実施形態52は、実施形態51に記載の方法を用いて生成された物品である。
【0196】
実施形態53は、プリントされた接着剤が、基材上に不連続パターンを有する、実施形態52に記載の方法である。
【0197】
実施形態54は、方法である。方法は、(a)1つ以上のプロセッサを有する製造デバイスによって、物品の複数の層を規定するデータを含むデジタルオブジェクトを受信することと、(b)製造デバイスを用いて、付加製造プロセスにより、コアシースフィラメントを使用して、デジタルオブジェクトに基づき、プリントされた接着剤を含む物品を生成することと、を含む。コアシースフィラメントは、接着性コアと非粘着性シースとを含む。
【0198】
実施形態55は、物品が、基材上に不連続パターンを有する接着剤を含む、実施形態54に記載の方法である。
【0199】
実施形態56は、システムである。システムは、(a)物品の3Dモデルを表示するディスプレイと、(b)ユーザーによって選択された3Dモデルに応じて、コアシースフィラメントを使用して、プリントされた接着剤を含む物品の物理的オブジェクトを3Dプリンタに作製させる、1つ以上のプロセッサと、を含む。コアシースフィラメントは、接着性コアと非粘着性シースとを含む。
【実施例
【0200】
本開示の目的及び利点を以下の実施例によって更に例示するが、これらの実施例に記載の特定の材料及びそれらの量並びに他の条件及び詳細は、本開示を不当に限定するものと解釈してはならない。
【表1】
【0201】
試験方法
静的剪断強度試験
摂氏150度でブレンドされたフィラメント接着剤を分配することによって、静的剪断強度を評価した。フィラメントを、ブラベンダー(Brabender)ミキサーで3分間バルクブレンドした。ブレンドされたフィラメントを、2つの陽極酸化アルミニウムパネルの間に分配した。アルミニウムパネルは、50ミリメートル×25.4ミリメートルであり、それぞれ幅方向の中央に直径6mmの穴があり、長さ方向の一端から2ミリメートルあった。0.6グラム量のブレンドされたフィラメントを第1のパネル上に分配し、第2のパネルを、直ちに1ミリメートルの間隙まで押し下げた。第2のパネルを、2つのパネルが実質的に接着剤で満たされた25×25ミリメートルの重なり合う領域を有するようにそろえた。第2のパネルは、各パネル上の穴が、結合試料の長さに沿って反対側の端部上に張り出すように、反対側の長さ方向に配置した。試験前に、接着したパネルを室温で24時間コンディショニングした。試験のために、試料を70℃のオーブン内に吊り下げた。基材1上の穴をフックに取り付け、250グラムの重りを基材2の穴に吊り下げた。破壊が10000分未満で生じた場合、結合が凝集破壊するまでの時間を記録した。静的剪断強度試験に合格するには、凝集破壊を伴わずに10000分以上の時間を達成する必要がある。
【0202】
繊維の機械的試験
50キロニュートンのロードセルを備えた引張試験機を使用して、室温で30.5センチメートル/分の分離速度で、シース材料の繊維の引張伸び特性の試験を行った。試験片タイプIVを使用して、ASTM D638-14に従って測定を行った。各繊維をリング固定具の周囲に巻き付け、繊維がほどけないように片面ビニルテープを適用した。リング間の初期間隙は25.4ミリメートルであり、繊維を更に153ミリメートル延ばした。破断時引張ひずみ(伸び%)及び破断時引張応力(メガパスカル)を記録した。繊維が破断しなかった場合、153伸び時の応力を記録した。各繊維のショアD硬度を、ASTM D2240に従って測定した。
【0203】
自己接着試験
保存中にコアシースフィラメントが一緒に融合しないことが重要である。シース材料は、コア接着剤を被覆する非接着面を提供する。候補のシース材料が「非粘着性」であるという要件を満たすか否かを判定するために、自己接着試験を、純粋なシース材料のフィルム上で実施した。クーポン(25ミリメートル×75ミリメートル×0.8ミリメートル)を切り取った。各材料について、2つのクーポンを互いに積み重ね、オーブン内の平らな表面上に置いた。750グラムの重り(直径43ミリメートル、平底)を2つのクーポンの上に置き、この重りをフィルムの中央に置いた。オーブンを摂氏50度に加熱し、試料をその条件で4時間放置した後、室温に冷却した。静的T剥離試験を使用して、合否を評価した。一方のクーポンの端部を不動フレームに固定し、250gの重りをもう一方のクーポンの対応する端部に取り付けた。フィルムが柔軟で剥がれ始めた場合、それらはT字型を形成した。第2のクーポンに重りを適用してから3分以内に、2つのクーポンを、静的な250グラムの荷重で分離することができた場合、合格と見なされ、非粘着性であった。そうでなければ、2つのクーポンが接着したままである場合、不合格と見なされた。
【表2】
【0204】
コアシースフィラメントの調製例
コアシースフィラメントを、以下の表2に記載されている組成例で、内側PSAコアの周囲に非粘着性の外側シース層を共押出しすることにより作製した。全ての試料について、全てのゾーンが摂氏160度~摂氏170度に加熱された18ミリメートルの同時回転二軸押出機(Coperian GmbH(シュトゥットガルト、ドイツ)から入手可能)を使用して、PSAコアを毎分200回転で配合した。PSAコアを以下の手順に従って配合した、すなわち、K1161を第1のゾーンに乾燥供給し、P125(又はK100)をPSAコア押出機の第3のゾーンに乾燥供給した。PSAコアを配合した後、3cc/revギアポンプ(Colfax Corporation(Annapolis Junction、MD)から入手可能)を使用して溶融物ストリームを計量した。非粘着性外側シースを溶融し、19.1ミリメートルの単軸押出機(HAAKEブランド、Thermo Fisher Scientific(Waltham、MA)から入手可能)を使用して押出成形した。両方の溶融物ストリームを、米国特許第7,773,834号(Ouderkirkら)に記載されている、約3.50ミリメートルの出口直径を有する同軸ダイに供給した。PSAを同軸ダイの内側コア層に供給し、非粘着性シース材料をダイの外側シースに供給して、最終的にコアシースフィラメントを作製した。フィラメントを、室温(摂氏22度)の水浴を介して、最終直径1.75又は3ミリメートルのいずれかに引き伸ばした。フィラメントを、保存のために直径75ミリメートルの管に巻き取った。
【表3】
【0205】
3Dプリンティング
PSAフィラメントの3Dプリンティングを、XYZ Printing(サンディエゴ、CA)製のDa Vinci Jr.1.0を使用して行った。押出機の温度を摂氏240度に設定し、床温度を摂氏0度に設定した。ビルドプレートへの接着には、3M Japan 3Dプリンタフィルム3099ABを使用した。供給速度は、毎秒10ミリメートルであり、層の高さは0.25ミリメートルであった。フィラメントを、押出機ヘッドに手動で供給した。初期層の高さは、0.5ミリメートルであった。CF-3のプリントを試みたが、接着剤は非常に厚く、ゆっくりと押し出された。特に、図4a及び図4bを参照すると、CF-3のプリントされた接着剤40は、接着剤が不均一にプリントされたいくつかの領域42を含んでいるのを見ることができる。対照的に、EF-1及びEF-2のプリントを試み、成功した。例えば、図5a及び図5bを参照すると、2つの正方形の角52及び2つの丸い角54の形状が明確であり、EF-1の接着剤が全体にわたって均一にプリントされていた。
【0206】
上記の特許及び特許出願の全てを、参照により本明細書に明示的に援用する。上述の実施形態は本発明を例示するものであり、他の構造もまた可能である。したがって、本発明は、上記に詳細に説明し、添付図面に示した実施形態に限定されるものと見なされるべきではなく、均等物を併せた以下の特許請求の範囲の正当な範囲によってのみ限定されるものである。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10