(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】勾配誘電率フィルム
(51)【国際特許分類】
H01B 3/00 20060101AFI20240405BHJP
H01Q 1/42 20060101ALI20240405BHJP
C09J 7/30 20180101ALI20240405BHJP
G01S 7/03 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
H01B3/00 G
H01Q1/42
C09J7/30
G01S7/03 246
(21)【出願番号】P 2020554403
(86)(22)【出願日】2019-04-05
(86)【国際出願番号】 US2019026106
(87)【国際公開番号】W WO2019195758
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-04-04
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】サレヒ,モフセン
(72)【発明者】
【氏名】エツコーン,スティーブン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジェウォン
(72)【発明者】
【氏名】シッター,ブレット ジェイ.
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-083741(JP,A)
【文献】特開2004-311326(JP,A)
【文献】特開平02-177602(JP,A)
【文献】米国特許第06406783(US,B1)
【文献】特開平03-119807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 3/00
H01Q 1/42
C09J 7/30
G01S 7/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
勾配誘電率フィルムであって、
第1の比誘電率(ε
r1)を有する第1の材料の第1の連続マトリックスと、前記第1の連続マトリックス中に分散された第2の比誘電率(ε
r2)を有する第2の構成要素と、を含む第1の誘電率層であって、第1の実効層比誘電率(ε
1)及び厚さ(T
1)を有する第1の誘電率層と、
前記第1の誘電率層上に配置された、第2の実効層比誘電率(ε
2)及び厚さ(T
2)を有する第2の誘電率層と、を備え、
前記第2の誘電率層は、接着剤であり、
前記勾配誘電率フィルムは、50%より大きいヘイズ、又は50%未満の可視光の透過率を有し、
ε
2
は、20GHz~300GHzの周波数範囲内の少なくとも1つの周波
数fについて、少なくとも10%だけε
1
よりも大きく、
ε
1=1.1~10であり、
ε
2=
1.21~
11であり、
T
1=0.8(t
1)~1.2(t
1)であり、式中、
【数1】
であり、
T
2=0.8(t
2)~1.2(t
2)であり、式中、
【数2】
であり、
ε
r1は、前記周波数fについてε
r2より大きい、
勾配誘電率フィルム。
【請求項2】
勾配誘電率フィルムであって、
第1の比誘電率(ε
r1)を有する第1の材料の第1の連続マトリックスと、前記第1の連続マトリックス中に分散された第2の比誘電率(ε
r2)を有する第2の構成要素と、を含む第1の誘電率層であって、第1の実効層比誘電率(ε
1)及び厚さ(T
1)を有する第1の誘電率層と、
前記第1の誘電率層上に配置された、第2の実効層比誘電率(ε
2)及び厚さ(T
2)を有する第2の誘電率層と、を備え、
前記第2の誘電率層は、接着剤であり、
前記勾配誘電率フィルムは、50%より大きいヘイズ、又は50%未満の可視光の透過率を有し、
ε
2
は、20GHz~300GHzの周波数範囲内の少なくとも1つの
周波数fについて、少なくとも10%だけε
1
よりも大きく、
ε
1=1.1~10であり、
ε
2=
1.21~
11であり、
T
1=0.8(t
1)~1.2(t
1)であり、式中、
【数3】
であり、
T
2=0.8(t
2)~1.2(t
2)であり、式中、
【数4】
であり、
ε
r1は、前記周波数fについてε
r2より大きい、
勾配誘電率フィルム。
【請求項3】
前記第2の誘電率層は、第4の比誘電率(ε
r4)を有する第4の材料の第2の連続マトリックスと、前記第2の連続マトリックス中に分散された第5の比誘電率(ε
r5)を有する第5の構成要素と、を含む、請求項
1または2に記載の勾配誘電率フィルム。
【請求項4】
ε
1は、1.3~1.6である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
【請求項5】
ε
2は、1.9~2.6である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
【請求項6】
fは、20GHz~120GHzの周波数範囲内にある、請求項1~
5のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
【請求項7】
T
1は、1400μm~2400μmであり、T
2は、400μm~900μmである、請求項1~
6のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
【請求項8】
前記第2の構成要素は、第3の比誘電率(ε
r3)を有する第3の構成要素内に配置されており、前記周波数fについて、ε
r2≦ε
r3である、請求項1~
7のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
【請求項9】
前記第3の構成要素は、ガラスであり、前記第2の構成要素は、空気である、請求項
8に記載の勾配誘電率フィルム。
【請求項10】
前記第1の
連続マトリックスは、ポリマー材料を含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
【請求項11】
前記第1の連続マトリックスは、不織布材料である、請求項1~
10のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
【請求項12】
前記第2の構成要素は、空気である、請求項1~
11いずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
【請求項13】
車両バンパーフェイシアまたは自動車用レドームに取り付けられた、請求項1~
12のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルムを備えるアセンブリ。
【請求項14】
前記勾配誘電率フィルムの前記車両バンパーフェイシアへの取り付け位置において、前記車両バンパーフェイシアの比誘電率は、ε
1から10%以内である、請求項
13に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電波発生及び受信ユニットを有するシステムにおいて有用な勾配誘電率フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
電波は、空気と比誘電率が比較的高い材料との間の鮮鋭な境界で反射されることがある。そのような反射は、特定の用途では望ましくない場合がある。
【発明の概要】
【0003】
簡潔には、一態様では、本発明は、(a)第1の比誘電率(ε
r1)を有する第1の材料の第1の連続マトリックスと、第1の連続マトリックス中に分散された第2の比誘電率(ε
r2)を有する第2の構成要素と、を含む第1の誘電率層であって、第1の実効層比誘電率(ε
1)及び厚さ(T
1)を有する第1の誘電率層と、(b)第1の誘電率層上に配置された、第2の実効層比誘電率(ε
2)及び厚さ(T
2)を有する第2の誘電率層と、を備える勾配誘電率フィルムを提供し、勾配誘電率フィルムは、50%より大きいヘイズ、又は50%未満の可視光の透過率を有し、
ε
1は、20GHz~300GHzの周波数範囲内の少なくとも1つの周波数(f)について、少なくとも10%だけε
2よりも大きく、
ε
1=1.1~10であり、
ε
2=1.11~10であり、
T
1=0.8(t
1)~1.2(t
1)であり、式中、
【数1】
であり、
T
2=0.8(t
2)~1.2(t
2)であり、式中、
【数2】
であり、
ε
r1は、周波数fについてε
r2より大きい。
【0004】
別の態様では、本発明は、(a)第1の比誘電率(ε
r1)を有する第1の材料の第1の連続マトリックスと、第1の連続マトリックス中に分散された第2の比誘電率(ε
r2)を有する第2の構成要素と、を含む第1の誘電率層であって、第1の実効層比誘電率(ε
1)及び厚さ(T
1)を有する第1の誘電率層と、(b)第1の誘電率層上に配置された、第2の実効層比誘電率(ε
2)及び厚さ(T
2)を有する第2の誘電率層と、を備える勾配誘電率フィルムを提供し、
勾配誘電率フィルムは、50%より大きいヘイズ、又は50%未満の可視光の透過率を有し、
ε
1は、20GHz~300GHzの周波数範囲内の少なくとも1つの周波数(f)について、少なくとも10%だけε
2よりも大きく、
ε
1=1.1~10であり、
ε
2=1.11~10であり、
T
1=0.8(t
1)~1.2(t
1)であり、式中、
【数3】
であり、
T
2=0.8(t
2)~1.2(t
2)であり、式中、
【数4】
であり、
ε
r1は、周波数fについてε
r2より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】勾配誘電率フィルムの側面立面断面図である。
【
図2】別の勾配誘電率フィルムの側面立面断面図である。
【
図3】勾配誘電率フィルムの不織布構成要素の側面立面断面図である。
【
図5】2層積層された1/4波長フィルムのモデリング結果を示す。
【
図6】積層された半波長及び1/4波長フィルムのモデリング結果を示す。
【
図7】2層積層された1/4波長フィルムのモデリング結果を示す。
【
図8】積層された半波長及び1/4波長フィルムのモデリング結果を示す。
【
図9】多層勾配誘電率テープの側面立面断面図である。
【
図10】表面に取り付けられた単一層の勾配誘電率フィルムの側面立面断面図である。
【
図11】比較例1からのレーダー信号プロットのグラフである。
【
図12】実施例1からのレーダー信号プロットのグラフである。
【
図13】実施例2からのレーダー信号プロットのグラフである。
【
図14】実施例3からのレーダー信号プロットのグラフである。
【
図15】比較例2からのレーダー信号プロットのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
レーダー(無線検出及び測距)ユニットなどの電波発生及び受信ユニットは、多様かつ成長する用途空間において有用であり得る。例えば、ドライバの安全を向上させ、車両周囲及び周囲条件に関して感知及び警告し、部分的又は完全な自律運転機能を可能にするために、自動車がますますセンサを組み込むにつれて、1つ以上のレーダーユニットが組み込まれることがある。自動車用レーダー用途では、マイクロ波発生及び受信ユニットを使用することができ、したがって、本出願の目的のために、「レーダー」及び「電波」は、マイクロ波範囲の周波数も含むものとする。電力消費、安全性、及び規制上の理由のために、これらのレーダーユニットは、一例として航空交通監視用途に使用されるものと比較して、比較的低電力であり得る。したがって、これらの低電力ユニットの信号対雑音比は、干渉又は減衰に対してより敏感であり得る。
【0007】
これらのレーダーユニットを汚れの蓄積若しくは雪及び雨などの気象要素から保護するために、又は、回転若しくは移動構成要素の場合には、怪我若しくは偶発的損傷から人々を保護するために、ユニットは、典型的にはカバーで保護される。場合によっては、この保護カバーは、レドームと呼ばれる。代わりに又は加えて、これらのユニットは、時には車両の本体内に埋め込まれる。いくつかの実施形態では、これらのユニットは、保護カバーとして機能するバンパーフェイシア又は別の車両フェイシアの背後又は内部に配置される。対象の方向に応じて、これらのレーダーユニットは、車両上の任意の位置に配置することができる。典型的には、それらは、レーダーユニットとその潜在的又は意図した検出標的との間に最少量の材料が配置されるように、構成される。
【0008】
しかし、保護カバーは、典型的には、これらレーダーユニットと共に使用することが必要である又は望ましいため、電波発生ユニットによって発生され電波受信ユニットによって受信される電波は、電気誘電率の急激な増加を含む境界面を通過しなければならない。本明細書で使用するとき、材料の誘電率と真空の誘電率との比である、所与の周波数に対する比誘電率は、材料自体の内部に電界を形成することに対する材料の抵抗を測定する。プラスチック車両フェイシアなどの非空気材料との境界面で空気中を移動する電波が遭遇することになるような、この値の急激な変化は、電波の少なくとも一部をこの境界で反射させることになる。これらの境界は、車両フェイシアを通過するたびに2回(材料に入るときに一回、材料を出るときに一回)発生するため(電波発生ユニットによって発生される電波に対して、電波発生ユニットに向かって戻る、及び電波受信ユニットにより受信されることになる電波に対して、電波受信ユニットから離れて戻る)、望ましくない方向の反射によって呈される損失が、顕著になり、信号を効果的でなくすることがある。具体的には、これは、戻り信号が電波受信ユニットによって検出される前に著しく減衰するため、又は送信された信号が反射して検出され、強い偽信号を与えるため、のいずれかで生じることがあり、いずれかのメカニズムは、雑音から望ましい信号を識別する能力を低減する。同様に、電気通信用のアンテナ、又は実際には、送信及び受信ユニットを含む任意の電子デバイスのアンテナは、同じ又は類似の問題に遭遇し得る。すなわち、信号損失又は雑音増加は、媒体誘電率間の急激な遷移に起因する。
【0009】
勾配誘電率フィルムは、光学界面の反射防止フィルム又はコーティングと類似して、第1の媒体から第2の媒体への(反射防止フィルムの屈折率の滑らかな又は段階的変化に対して)誘電率の滑らかな又は段階的変化を提供する。典型的には、勾配誘電率フィルムの誘電率は、第1の媒体の誘電率に最も近くから第2の媒体の誘電率に最も近くまで、変化する。例えば、勾配誘電率フィルムは、一方の側の空気の誘電率の近くから開始して(プラスチックの車両フェイシアに取り付けられることになる)他方の側のプラスチックの車両フェイシアの誘電率に遷移する、変化する誘電率を有することができる。この滑らかな又は段階的遷移は、そうでなければこれらの急激な遷移において生じる誘電体境界反射を大幅に低減することができる。
【0010】
以前の勾配誘電率フィルムは、典型的には、円錐又は角錐などの様々なバルク三次元形状を使用する。しかしながら、これらのフィルムが汚れの蓄積及び気象条件に曝され得る典型的な使用環境では、これらのフィルムは、誘電率の勾配を提供するために空気の存在に依拠するため、汚染されて効果的でなくなることがある。本明細書に記載されるフィルムは、空気又はガス部の限定された部分が外部要素に曝されるため、又はいくつかの実施形態では、ガス体積分率がフィルム内に完全に封止されているため、破片及び汚染物質の侵入の影響を受けにくくすることができる。換言すれば、勾配誘電率フィルムの両方の主表面は、主に連続マトリックス構成要素である。
【0011】
本明細書における材料の誘電率に対する全ての言及は、材料の比誘電率(すなわち、真空の誘電率に対する比として表されるその誘電率)に対してである。
【0012】
図1は、勾配誘電率フィルムの側面立面断面図である。勾配誘電率フィルム100は、第1の主表面112に最も近い第1の半分110Aと、第2の主表面114に最も近い第2の半分110Bと、第1の構成要素110の連続マトリックスとを含み、第2の構成要素120が、連続マトリックス内に配置され、また第3の構成要素130内に配置される。フィルムの厚さは、tによって示され、勾配誘電率フィルムの両方の半分を含む。勾配誘電率フィルム100は、勾配誘電率フィルムの単純な実施形態を表す。
図1の実施形態では、連続マトリックスは、第1の構成要素のバルク体積である。いくつかの実施形態では、この第1の構成要素は、樹脂、プラスチック、ポリマー材料、又はその誘電率、機械的特性、熱若しくは環境安定性、処理の容易さ、若しくは前述の任意の組み合わせのために選択される任意の他の好適な材料であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の構成要素の連続マトリックスは、その設計された用途に対して、取り付けられるように意図された材料の誘電率及び/又は組成と一致するように選択される。
【0013】
第1の構成要素の第1の連続マトリックスは、第1の比誘電率εr1を有する。第2の構成要素は、第2の比誘電率εr2を有し、εr1は、周波数範囲内の少なくとも1つの周波数についてεr2よりも大きい。いくつかの実施形態では、周波数範囲は、無線波長範囲及びマイクロ波波長範囲内の任意の周波数範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、周波数範囲は、20GHz~300GHzであってもよい。いくつかの実施形態では、周波数範囲は、20GHz~100GHzであってもよい。いくつかの実施形態では、周波数範囲は、20GHz~81GHzであってもよい。いくつかの実施形態では、周波数範囲は、76GHz~81GHzであってもよい。いくつかの実施形態では、周波数範囲は、20GHz~30GHzであってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、第2の構成要素は、空気又は別の不活性ガスである。いくつかの実施形態では、第2の構成要素は、不完全真空である。空気、ガス、又は不完全真空の低い比誘電率を考慮すると、勾配誘電率フィルム内に第2の構成要素を含めることにより、フィルムのその部分の実効誘電率が低下する。厚さのその部分の体積にわたって平均されると、第2の構成要素120のうちのより多くを含む勾配誘電率フィルム100の半分又は一部分は、第2の構成要素120のうちのより少なくを含む又は全く含まない勾配誘電率フィルム100の半分又は一部分よりも低い実効誘電率を有することになる。いくつかの実施形態では、誘電率のこの差は、少なくとも10%である。第2の半分110Bよりも低い誘電率を有するように設計された第1の半分110Aは、第1の構成要素110の連続マトリックス内に配置された第2の構成要素120を含み、一方、第2の半分110Bは、第2の構成要素120を含まない。
【0015】
図1の例示では、勾配誘電率フィルム100は、単一層として表されていることに留意されたい。特定の製造方法(本明細書の他の箇所でより詳細に説明する)により、誘電率の勾配を有する単一層フィルムを達成することが可能である。
【0016】
図1の例示では、第2の構成要素120は、第3の構成要素130内に配置される。いくつかの実施形態では、第2の構成要素120は、空気又は気泡の形態でなど、第1の構成要素の連続マトリックス内に自由に配置される。いくつかの実施形態では、シルセスキオキサンナノ粒子などのナノ粒子を使用して、エポキシ又はシリコーン層などのポリマー層に多孔性を加えることができる。
【0017】
しかしながら、いくつかの実施形態では、第2の構成要素120は、異なる材料内に配置される。例えば、いくつかの実施形態では、第2の構成要素120は、ガラス内に配置され、
図1の球体、ガラスバブル又はマイクロバブルを作製する。ガラスマイクロバブルは、一般に、ガラス形成構成要素の同時融合及び融合塊の膨張によって形成される。概して、米国特許第4,767,726号(Marshall)を参照されたい。同様に、ポリマー又はプラスチックのマイクロバブル(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メチルメタクリレート)など)を、不活性ガス又は空気で充填して使用してもよい。いくつかの実施形態では、セノスフェア(典型的にシリカ又はアルミナから形成され、空気又は他の不活性ガスで充填され、石炭燃焼の副生成物として生成される軽量球体)を使用することができる。いくつかの実施形態では、膨張性マイクロスフェアなどの粒子を使用して、ポリマー層に多孔性を加えることができる。膨張性マイクロスフェアは、ポリマー構成要素内に組み込まれ、熱の適用時に膨張して、連続マトリックス内に低密度体積を形成することができる。いくつかの実施形態では、セラミック粒子を使用することができる。これらのセラミック粒子は、多孔質であってもよく、空気又は別の不活性ガスを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される粒子のいずれかは、吸収体複合体でコーティングしてもよく、又は吸収体複合体を含んでもよい。吸収体複合体は、セラミック充填材、導電性充填材、又は磁気充填材のうちの少なくとも1つを含んでもよい。導電性充填材としては、例えば、カーボンブラック、カーボンバブル、カーボンフォーム、グラフェン、炭素繊維、黒鉛、カーボンナノチューブ、金属粒子、金属ナノ粒子、金属合金粒子、金属ナノワイヤ、ポリアクリロニトリル繊維、又は導電性コーティング粒子を挙げることができる。セラミック材料充填材としては、例えば、酸化銅又は一酸化チタンを挙げることができる。磁気充填材としては、例えば、センダスト、カルボニル鉄、パーマロイ、フェライト、又はガーネットを挙げることができる。第3の構成要素は、第3の比誘電率ε
r3を有し、周波数範囲内の周波数について、ε
r2≦ε
r3である。粒子と自由空隙若しくは気泡との任意の組み合わせ又はブレンドを、第1の構成要素の連続マトリックス内に使用することができる。
【0018】
厚さtは、物理的堅牢性及び環境安定性(熱冷却サイクル反りに対する耐性など)を考慮して、任意の好適な値であってもよい。加えて、好適な厚さはまた、電波が誘電率の中間変化に遭遇し、それと相互作用するように、最小厚さよりも大きいものとして範囲を定めることもできる。厚さが薄すぎる場合、入射電磁波は、勾配誘電率フィルムと相互作用しないことになる。あるいは、多層勾配誘電率フィルムの場合、電磁波は、所望に応じて、段階的誘電率のフィルムとしての代わりに、ブレンドされた実効誘電率の単一層であるかのように、多層勾配誘電率フィルムと相互作用することになる。フィルムが厚すぎる場合、フィルムは、表面に効果的に取り付けられないことがあり、又は表面に取り付けられたままでいないことがあり、所望よりも可撓性又は適合性が低いことがある。
【0019】
いくつかの実施形態では、層誘電率は、層体積を通して均質でなくてもよい。連続マトリックス内の第2の構成要素又はその体積分率の分布は、フィルムの1つ以上の非厚さ方向に沿って変化してもよい。いくつかの実施形態では、変化は、単調であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の構成要素の連続マトリックス内の第2の構成要素の必要なサイズ及び分布に起因して、本明細書に記載の勾配誘電率フィルムは、高い可視ヘイズ又は低い可視光透過率を有することができる。いくつかの実施形態では、可視ヘイズは、50%より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、可視光透過率は、50%未満であってもよい。
【0020】
図2は、別の勾配誘電率フィルムの側面立面断面図である。勾配誘電率フィルム200は、第1の主表面212に最も近い第1の半分210Aと、第2の主表面214に最も近く、接着剤270によって一緒にラミネートされた(laminated)第2の半分210Bと、第1の構成要素210の連続マトリックスとを含み、第2の構成要素が、連続マトリックス内に配置され、任意選択的に、第3の構成要素230内に配置される。
図2の勾配誘電率フィルム200は、
図1の勾配誘電率フィルム100と類似しており、それに概ね対応する。しかしながら、
図2は、
図1の一体構造の代わりに接着剤270によって互いにラミネートされた(laminated)、フィルムの2つの部分、第1の半分210A及び210Bを示す。更に、
図2は、第2の構成要素220が、第1の構成要素210の連続マトリックス内に自由に配置してもよく、第3の構成要素内には配置しなくてもよいことを示す。本明細書に記載される勾配誘電率フィルムでは、連続マトリックス中に存在するガラスマイクロバブル、膨張性マイクロスフェア、又はセノスフェアなどの気泡、空隙、又は他の構成要素のサイズ、形状、又は密度のいずれかを変化させることによって、第2の構成要素の体積分率は、勾配誘電率フィルムの厚さの一部分のいずれかの間で変化してもよい。いくつかの実施形態では、第2の構成要素の体積分率のこの差は、2つの半分の間で少なくとも10%である。
【0021】
任意の好適な接着剤を、接着剤270として使用してもよい。例えば、感圧性接着剤、紫外線硬化性接着剤、シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤、若しくは任意の他の好適な接着剤、又は接着剤の組み合わせを使用して、勾配誘電率フィルム200の半分を互いに接着してもよい。任意の厚さの接着剤を使用することができるが、フィルムの積層体設計の誘電率に対して可能な限り影響をほとんど有さないために、薄い接着剤(厚さ<λ/5)を使用することが好ましい場合がある。
【0022】
図3は、勾配誘電率フィルムの不織布構成要素300の側面立面断面図である。不織布構成要素300は、固有の多孔率を有し、不織布構成要素の連続マトリックス内に提供された少なくともいくらかの不活性ガス(例えば、空気)体積分率を含有する。勾配誘電率フィルムは、多層積層体の一部として不織布構成要素を使用することができ、フィルムは、不織布構成要素の様々な層の多孔率を制御又は選択することによって、実効誘電率が変化する。いくつかの実施形態では、単一の不織布層の多孔率は、誘電率の勾配が存在するように、厚さ方向に沿って制御することができる。好適な不織布構成要素としては、スパンボンド不織布、フラッシュスパン(flashspun)不織布、メルトブロー不織布、短繊維不織布を挙げることができ、ガラス又はプラスチックの繊維を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ガラス繊維又はプラスチック繊維は、それ自体が不活性ガス又は空気構成要素を含有することができ、これは、厚さ方向又は場合により1つ以上の非厚さ方向にも沿って誘電率勾配を更に調整又は制御するのに役立つことができる。不織布構成要素は、内部に配置された空隙又は気泡(プラスチック若しくはガラス又は自由)を有する樹脂マトリックスの1つ以上の層を含む、本明細書に記載の任意の他の層と組み合わせて使用してもよい。あるいは、特に、空隙又はマイクロバブルを含むガラス繊維又はポリマー繊維の場合、そのような繊維は、勾配誘電率フィルムを形成するように織る又は配置することができる。
【0023】
図4は、別の勾配誘電率フィルムの側面立面断面図である。勾配誘電率膜400は、第1の誘電率層410Aと、第2の誘電率層411Bとを含む。第1の誘電率層410Aは、材料410の連続マトリックスを含み、第2の構成要素420が、連続マトリックス内に配置され、また任意選択の第3の構成要素430内に配置される。第1の誘電率層410Aの厚さは、T
1で示される。第1の誘電率層410Aは、上記の材料のうちのいずれかを含むことができる。
【0024】
第2の誘電率層411Bは、材料411を含む。第2の誘電率層411Bの厚さは、T2で示される。いくつかの実施形態では、第2の誘電率層411Bは、材料の連続マトリックスを含み、第2の構成要素が、連続マトリックス内に配置され、また任意選択の第3の構成要素内に配置される。第2の誘電率層411Bは、上記の材料のうちのいずれかを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の誘電率層411Bは、接着剤である。有用な接着剤としては、3M Companyから入手可能な両面アクリルフォーム3M(商標)VHB(商標)Tapesなどのアクリルフォーム接着剤が挙げられる。
【0025】
第1の誘電率層410Aは、実効誘電率ε1を有する。第2の誘電率層411Bは、実効誘電率ε2を有し、ε1は、周波数範囲内の少なくとも1つの周波数についてε2より大きい。
【0026】
特定の実施形態では、誘電率層の厚さは、所望の周波数の材料内の波長の特定の部分に対して制御してもよい。このようにして、以下に説明するように、干渉効果も使用して、望ましくない反射を低減することができる。
【0027】
媒体中の定在波は、反射係数に比例する。反射を低減するための手法は、2つの媒体間のコントラストを最小化することである。例えば、空気誘電体境界面で反射が生じる場合、誘電率が小さければ(1に近い)、反射もより小さくなる。
【0028】
異なる手法は、反射場を相殺するために、1組の位相がずれた電界を導入することである。入射波が媒体1(インピーダンスη1を有する)を通って移動し、媒体2(インピーダンスη2を有する)に当たる境界の反射係数は、以下のように表すことができる。
Γ=(η2-η1)/(η2+η1) (式1)
【0029】
したがって、反射位相は、2つの媒体が入れ替えられた場合に、符号を変化させることができる(180度の位相差)。これは、厚さを有する誘電体スラブを有する場合、空気誘電体境界における反射係数は、誘電体空気境界面における反射係数と180度の位相差を有することを意味する。位相差を180度のままに維持するために、スラブ内に侵入して誘電体空気境界に衝突し、空気誘電体境界面に戻って、元の反射場と組み合わさる場の部分は、用途のための特定のレーダー周波数に対応する波長の整数乗算に等しい距離を移動すべきである。これは、誘電体スラブの最小厚さが「半波長」であることを意味する。この概念を使用して、例えば、レーダー信号が車両フェイシアに対して法線方向に伝搬するときに、車両フェイシアの表面からの反射を最小限に抑えることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、層厚さと誘電率との好ましい組み合わせにより、光学干渉層に類似した最適化された1/4波長及び半波長干渉構造体を使用することによって、改善された機能的堅牢性を提供する。各層厚さ及び誘電率を適切に選択することにより、各層境界からの反射の相対位相及び振幅は、全ての反射波に対する弱め合う干渉のための最大帯域幅を提供するように選択してもよい。具体的には、1/4波長干渉構造体に関して、より広い帯域幅有効範囲を有する積層体を形成するために、異なる誘電率で1/4波長厚さの複数の(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くの)隣接層を有することが有利であり得る。
【0031】
一実施形態は、式2で表されるような空気及びバンパーフェイシアの誘電率の幾何平均ε
centerに対して、それらの対応する誘電率が選択される、2つの1/4波長層からなる反射防止(anti-reflection、AR)フィルムを含む。
【数5】
この実施例では、空気に露出された第1の1/4波長層の誘電率は、式3を満たすように選択された誘電率ε
1を有する。
【数6】
誘電率ε
2は、式4を満たすように選択される。
【数7】
1/4波長層のそれぞれの対応する厚さは、式5の関係によって、それらの誘電率に依存する。
【数8】
式中、ε
rは、対応する層誘電率であり、fは、波の周波数であり、cは、光速定数である。
【0032】
通常のフェイシア厚さ(2.0~3.0mm)の場合について、第1及び第2の1/4波長構造体に対する誘電率及び厚さの最適値を、表1に示す。特定の用途では、層に大きな堅牢性が必要となることが理解されるであろう。これらの場合については、安定性のために空気とポリマーとの比を制限する、したがって、誘電率に下限を設けることが有利であり得る。
【0033】
【0034】
表2は、第1の1/4波長層の誘電率が1.45の値に制限された、そのような場合を示す。このシナリオでは、第2の1/4波長層のみを変化させて、反射率を最適化した。
【0035】
【0036】
式4からの理想的な場合の付近の厚さの範囲は、許容可能な性能を有することができる。場合によっては、理想的な厚さの付近の最大15%の変化又は20%の変化の範囲は、性能の利点を示している。
図5は、2層積層された1/4波長フィルムを有するバンパーフェイシアの背後に配置されたときのパッチアンテナの反射係数を示し、各層の厚さは、±10%の間で変化する。周波数シフトは、250MHzの範囲(中心周波数77GHzの約0.3%)内で変化する。この変化は、±10%の厚さの変化に対して周波数シフトが160MHz(中心周波数77GHzの約0.2%)未満である、
図6に示す積層された半波長及び1/4波長フィルムの場合では、更により著しくない。厚さの変化が公称厚さの±20%を越えて広がると、QW-QW及びHW-QWの場合について、
図7に示すような約340MHzの周波数シフト及び
図8に示すような320MHzの周波数シフトがそれぞれ観察される。
図5~
図8は、以下の実施例の項に記載されるレーダー反射変動性試験方法を使用してモデル化した。
【0037】
別の実施形態は、半波長層の誘電率ε
1/2waveが式6で表されるようにバンパーフェイシアの誘電率の半分に等しいように選択される、1つの半波長と、第2の1/4波長層とからなる反射防止(AR)フィルムを含む。
【数9】
式中、ε
centerは、式1から得られる。
【0038】
この実施形態では、1/4波長層は、式7で表されるように、半波長層の誘電率及びバンパーフェイシアの誘電率の幾何平均と等しいように選択された誘電率ε
1/4waveを有する。
【数10】
【0039】
先の実施形態のように、1/4波長層の厚さは、式8の関係によって、それらの誘電率に依存する。半波長層の好ましい厚さは、式9に従って選択される。
【数11】
【0040】
通常のフェイシア厚さ(2.0~3.0mm)の場合について、半波長及び1/4波長構造体に対する誘電率/厚さの最適値を、表3に示す。
【0041】
【0042】
表4は、誘電率の下限が1.45の値に固定されたときの計算された最適値を示す。このシナリオでは、1/4波長層のみを変化させて、反射率を最適化した。
【0043】
【0044】
半波長及び1/4波長層を組み込む理想化された干渉構造体は、レーダーアンテナと、反射防止積層体を有する車両フェイシアとの間の近接場相互作用を考慮するものではない。式2~9は、遠場の解を表し、この用途では、距離は、好ましい解を提供するための近接場の解を決定する。近接場条件に対するそれぞれの積層された構造体の誘電率及び厚さの最終的最適化に到達するために、Computer Stimulation Technology(CST)からの電磁シミュレーションソフトウェアを、これらの理想化された半波長及び1/4波長構造体から導出された開始値と共に使用した。最終的な最適化された条件及び式2~9によって予測されるものからの偏差は、最良の最終層構造と、式2~9の一次干渉モデルによって予測されるものとの間のずれに起因し、典型的には、誘電率及び厚さの値に対して15%未満である。例えば、εbumper=2.6に対して式6によって計算される半波長誘電率は、ε1/2wave=1.27を予測することになる。最適化された場合、CSTシミュレーションからの最良の結果は、ε1/2wave=1.3のときに達成される。この場合の差は、約2%である。別の例では、εbumper=2.6に対して式7から計算される1/4波長誘電率は、ε1/4wave=1.82を予測することになる。最適化された場合、CSTシミュレーションからの最良の結果は、ε1/4wave=1.70のときに達成される。この場合のこの差は、約7%である。各場合において、誘電率に対する近接場の最適化された解は、式2~9の遠場の解によって予測される値の15%以内であることが見出されている。表5は、フェイシアの様々な誘電率に対して近接場の最適化された結果を要約する。それぞれの場合において、近接場の解は、表3からの計算された結果の15%以内である。
【0045】
【0046】
図9は、多層勾配誘電率テープの側面立面断面図である。勾配誘電率テープ900は、第1の層910と、第2の層920と、第3の層930と、第4の層940と、第5の層950と、接着剤層960と、バッキング層970と、を含む。他の実施形態は、追加の層を含んでもよい。
図9の勾配誘電率テープ900は、第1の層910、第2の層920、第3の層930、及び第4の層940のそれぞれが異なる実効誘電率を有し、勾配誘電率テープの厚さ方向に沿って(
図9の基準座標系で上下に)移動する段階的変化を表す、多層積層体設計を示す。
図9の層のそれぞれは、接着剤若しくは熱によるラミネーション(lamination)などの別のプロセスによって別個に形成され取り付けてもよく、又はそれらは、様々なプロセス条件若しくは入力材料(例えば、異なる充填量のガラス又はプラスチックのマイクロバブルを有する異なる樹脂)によって連続的に形成してもよい。
図9は、簡略化された図であり、層のそれぞれの間の境界は、必ずしも平坦かつ実世界の製造物品において画定されるようではない。いくつかの実施形態では、各層の連続マトリックスは、同じ材料である。他の実施形態では、層のための連続マトリックス及び/又は二次構成要素は、異なる材料である。
【0047】
勾配誘電率テープはまた、接着剤層960及びバッキング層970を含む。接着剤層960は、感圧性接着剤、再配置可能な接着剤、又は引き伸ばし剥離性接着剤を含む、任意の好適な接着剤を含んでもよい。接着剤層960は、取り付けられる表面に対して確実な接触を提供するために、任意の好適な厚さであってもよい。接着剤層960は、代替的に、紫外線硬化性構成要素又は熱硬化性構成要素などの硬化性構成要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、接着層960はまた、誘電率勾配を更に制御するために、ガラス若しくはプラスチックのマイクロバブル、セノスフェア、セラミック粒子、又は自由空隙などの、不活性ガス又は空気を含む構成要素のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0048】
バッキング層970は、接着剤層960の接着特性を保護し、また勾配誘電率テープ900の望ましくない表面への偶発的な接着を防止するために、任意の好適なフィルム又は層を含んでもよい。バッキング層970に好適な材料としては、プラスチックフィルム、コーティングされた紙、又はコーティングされていない紙などが挙げられる。バッキング層970は、それ自体が接着剤層960に対して強力な接着性を有しないように選択してもよく、したがって、手又は限定されたツールで容易に取り外し可能である。
【0049】
図10は、表面に取り付けられた単一層の勾配誘電率フィルムの側面立面断面図である。勾配誘電率テープは、基材1020上に配置され、かつ接着剤層1030を介して表面1040に取り付けられた、単一層の勾配誘電率フィルム1010を含む。
図10の勾配誘電率1010は、単一層の勾配誘電率フィルムである。いくつかの実施形態では、単一層の勾配誘電率フィルムは、異なるサイズ若しくは形状のマイクロバブル(ガラス又はプラスチックの)、膨張性マイクロスフェア、セノスフェア、空気若しくは他の不活性ガス気泡、又はこれらの組み合わせを未硬化の流動性材料内に配置することによって形成してもよい。そのような流動性材料は、ディップコーティング、スピンコーティング、スプレー若しくはコンフォーマルコーティング、又は更に印刷などの任意の好適な方法によって、基材1020上に配置又はコーティングしてもよい。粒子又は気泡が材料内で流動することが可能である場合、平均して、より大きい空気又はガス体積分率を有するものは、材料の上部まで上昇し、一方、より小さい空気又はガス体積分率を有するものは、それらがいたところに留まる又は底部に向かって沈むことになる。したがって、単一層内に、厚さに沿って勾配誘電率を形成することが可能である。
図1の勾配誘電率フィルム100と同様に、勾配誘電率フィルム1010の上部半分と底部半分との間の誘電率の差は、少なくとも10%であってもよい。
【0050】
図10の勾配誘電率フィルムは、接着剤層1030を介して表面1040に取り付けられる。いくつかの実施形態では、勾配誘電率フィルム1010は、
図9に記載及び示されるように、表面1040に取り付ける前に、接着剤層が勾配誘電率フィルム上に配置された状態で、テープとして構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、勾配誘電率フィルム1010は、取り付け時又はその付近で接着剤層1030を適用することによって、表面1040に取り付けられる。任意の好適な接着剤を使用してもよい。
【0051】
表面1040は、いくつかの実施形態では、車両フェイシアであってもよい。表面1040は、レドームであってもよい。いくつかの実施形態では、表面1040は、アンテナカバー又は電子デバイスの外面などの、異なる保護カバー又はケーシングであってもよい。いくつかの実施形態では、
図10は表面に取り付けられた1つの勾配誘電率フィルムを示しているが、1つより多くの勾配誘電率テープが、同じ又は同様の方法で表面に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、第2の勾配誘電率フィルムが、表面1040の反対側に取り付けられ、その半分がより低い比誘電率を有し、表面1040から離れて配置される。表面1040は、湾曲していてもよく、又は非平面であってもよく、勾配誘電率フィルム又はそのようなフィルムを含むテープは、表面1040の形状に密接に接着するために、同様に形成してもよく、可撓性であってもよく、又は柔軟であってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、表面への勾配誘電率フィルムの取り付け位置において、表面の比誘電率は、連続マトリックスの比誘電率から10%以内である。特に、勾配誘電率フィルム内の異なる層が異なる連続マトリックス材料を有する場合、表面に最も近い連続マトリックスは、表面の比誘電率から10%以内であるものである。いくつかの実施形態では、表面の比誘電率は、連続マトリックスの比誘電率から5%以内であってもよい。
【0053】
本明細書に記載の勾配誘電率フィルムは、これらのフィルムの特性及び性能を更に調整するために後処理してもよい。例えば、本明細書に記載される勾配誘電率フィルムは、フィルム上の特定の点(単数又は複数)における特性を選択的に変化させるために加熱又は薄化してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の勾配誘電率フィルムは、フィルムの特定の点における誘電率特性を選択的に変化させるために穿孔してもよい。いくつかの実施形態では、これらの穿孔は、規則的な形状及び/又はサイズを有する。いくつかの実施形態では、これらの穿孔は、異なるサイズ又は形状である。いくつかの実施形態では、これらの穿孔は、円形である。いくつかの実施形態では、穿孔は、1つ以上の非厚さ方向にわたってサイズ、形状、又は密度が変化する。
【0054】
本発明の勾配誘電率フィルムは、アンテナと空気との間にある介在材料を反射防止するために使用することができる。これらの介在材料は、フェイシア(バンパー、車体パネル、グリル、エンブレムなど)であってもよい。自動車用フェイシアは、多くの場合、ポリプロピレン、ポリカーボネート、又は他のエンジニアリング熱可塑性樹脂などのポリマーから構成される。フェイシアを反射防止するために必要であることに加えて、レーダーユニット自体は、また望ましくない反射を形成することがある「レドーム」と呼ばれるカバー部品を有する。本発明の勾配誘電率フィルムは、これらの反射を最小化するために、レドームの内面上に組み込むことができる。
【0055】
多層光学フィルム又はインジウムなどの他の技術から作製されたものなどのレーダー透過性エンブレムは、本発明の使用によって、それらの透過率を更に向上させることができる。
【0056】
勾配誘電率フィルムの介在材料への適用は、多数の方法で行うことができる。フィルムは、薄化を伴わずに、フェイシアに事後適用してもよい。あるいは、フィルムは、接合するフェイシアの表面に適合するように、二次元又は三次元形状に形成してもよい。これを行うことができるいくつかの方法がある。例えば、接着テープとして適用することができる。別の方法は、圧力又は熱成形などの方法によってフィルムの一部を形成し、次いでそれを接合するフェイシア部に接着することである。また、フィルムが射出成形型に挿入され、次いでフェイシア部がフィルム上に射出成形される、インサート射出成形を行うことができる。
【0057】
レーダーユニットの別の潜在的配置は、自動車用ガラスの背後、具体的には、フロントガラスに向かって前方に向いているバックミラーモジュール内である。このモードでは、誘電率フィルムを調整して、自動車用ウィンドウ構造体を反射防止することができる。自動用ウィンドウ構造体は、ガラス/ポリビニルブチラール/ガラスラミネート(laminates)を含むことができる。
【実施例】
【0058】
物理的実施例の説明
4層構造のサンプルをコーティングして、レーダー透過測定を容易にし、試験構成のために、このサンプルを裸の又は塗装されたの、いずれかの1.7mmのポリプロピレンプレートに固定して、自動車用バンパー材料を模擬した。4層構造の3つの実施例の各層の空気体積は、55%シリコーンアクリレート(Sartomer CN990)及び45%テトラヒドロフルフリルアクリレート(Sartomer SR285)のマトリックスに埋め込まれた中空ガラスビーズ(3M Glass Bubbles K1)の形態で提供される。各実施例では、1mmの合計厚さに対して、構造体の各層は、250μmであった。
【0059】
3つの実施例は、体積%でのガラスビーズの密度が構造体の4つの層のそれぞれについて異なるという点で、互いに異なる。相対測定のために、比較例1(CE-1)は、裸の1.7mmポリプロピレンプレート(フィルムなし)として提供され、比較例2は、視覚的に不透明であるように、十分な厚さの金属灰色塗料層を有する同じ1.7mmポリプロピレンプレートとして提供される。金属灰色塗料混合物は、PPGから市販されている25%のDBC9700(黒色)及び25%のNissan銀色(Dupont P2929から入手可能なKYO Nissan相当)及びまたPPGからの50%のDT885減力剤/溶媒である。
【0060】
【0061】
上記の表に示されるように、各層の体積でのパーセントビーズ密度は、層の誘電率に直接影響することが予想される。ガラスビーズ体積%の関数として予想される誘電率を、表7に示す。
【0062】
【0063】
モデリング実施例の説明
モデル化された実施例を構築して、バンパーフェイシア厚さ及びレーダーユニットとバンパーフェイシア/ARフィルム積層体との間の空気間隙などのシステム要素の変化に対するシステム感受性を試験した。これらの計算に使用した市販のツールは、Computer Stimulation Technology(CST)からの電磁シミュレーションソフトウェアである。モデリングは、1つはパッチアンテナをソースとして使用して、2つ目は平面波源を用いて、2つの方法で実施した。実施例4は、スラブの誘電率が1.3であり、その厚さが1.75mmである、バンパーフェイシアとアンテナとの間の半波長単一層スラブから構成される。実施例5は、1/4波長層の誘電率が1.7であり、厚さが0.85mmであり、半波長スラブが実施例4と一致する、半波長と1/4波長の二重層である。実施例6、7、及び8は、表8に示す誘電率及び厚さを有する三層構造体である。実施例9は、各層が前述の1/4波長-1/4波長構造を目的にした、二重層構造体である。実施例10は、実施例9と比較してわずかに「最適から外れた」条件を実証するようにモデル化される。
【0064】
【0065】
試験方法
レーダー反射変動性試験方法(モデリング)
パッチアンテナモデルでは、バンパーフェイシア層の背後の規定の空気間隙距離に配置されたレーダー源/アンテナ平面を有する代表的なシステムは、理想的な構成を表す。この構成では、バンパーフェイシアの誘電率を2.6に設定した。モデリング実施例5~9の目標は、システム全体の堅牢性を、異なる反射防止層構造に対するこれら2つのパラメータの変化に対して比較することであった。この比較を行うために、ベースライン反射係数スペクトルを77GHzで放射するように最初に設計した。
図16は、70~84GHzの自由空間におけるアンテナの反射係数を示す。反射変動性試験方法に使用したシミュレーションは、表9に示す(12個の)条件にわたって、バンパーフェイシア厚さを厚さ2.8~3.2mmまで、及びバンパーフェイシアとアンテナとの空気間隙を0.4~1.2mmまで、段階的に変化させた。
【0066】
【0067】
各変化条件について、70~84GHzの反射係数スペクトルを計算し、プロットした。
図17は、表9の全ての(12個の)変化条件に対する任意のAR層を有さないアンテナバンパーフェイシアの全体反射係数スペクトルを示す。このベースラインから、これらの系統的変化は、任意の反射防止層構造体の欠如下で1.51GHzの周波数シフト(共振周波数の約2%)をもたらすことが分かる。所与の変化範囲に対するこの周波数シフトを、反射変動性試験の指標として使用した。
【0068】
バンパーフェイシアの近傍では、レーダーアンテナによって放射される電界の近接場プロファイルは、バンパーフェイシアの誘電特性に従って変化することになる。これは、バンパーフェイシアが、アンテナアレイの各素子に対して負荷効果を有して、アンテナアレイが動作するように設計された周波数を離調することを意味する。したがって、反射防止フィルムは、この影響を緩和して、観察された周波数シフトを引き起こす負荷効果を防止することができるべきである。
【0069】
レーダー減衰試験方法(実験的)
物理的サンプルの実験的結果のために、試験セットアップは、(A)レーダー試験ユニット、(B)このレーダーユニットから約20mmに配置されたサンプル、及び(C)検出標的の3つの必須部品を含んだ。
【0070】
レーダー試験ユニットは、MIMO 77GHzフロントエンドを有する市販のINRAS RadarBookであった。このユニットは、組み合わせたサンプル及び検出標的によって反射された検出されたレーダー信号の相対測定の尺度である、尺度、Rx信号[dBV]を提供する。試験ユニットからの出力は、試験ヘッドからの距離に対する測定された信号のシグネチャを提供する。これは、レーダー試験ユニットからの距離に対するRxのグラフを示す図の形態の測定結果セクションの「レーダー信号プロット」として単に報告される。
【0071】
レーダーユニットに対するサンプルの近接性及び1.7mm厚のポリプロピレンプレートへの多層の取り付けは、レーダー信号に対するバンパー/フェイシアの効果を模擬するように設計された。レーダーユニットからプレートまでの距離は名目上20mmであったが、これを測定間でわずかに調整して、最大標的信号及び最小標的信号の両方の場合を得た。典型的なわずかな調整は、名目距離20mmから約2mm未満であった。この調整は、レーダー源に対するサンプルの微妙な位置決めによる測定のばらつきを実証することが予想された。理想的な場合には、最小値と最大値との間の標的信号の差は、最小化されることになる。示した実施例では、この変化の低減は、裸のプレートのみに見られる変化と比較して、約5dBであることが分かる。サンプルがレーダー源に対して見えにくくなるにつれて、サンプルの調整によるばらつきがより少なくなることが観察される。
【0072】
検出標的として、銅板をレーダーユニットから約3.5mに配置した。この標的距離は、距離に対するRxのレーダーユニット出力のピークとして現れる。
【0073】
測定結果
いくつかの測定では、サンプルは、裸のポリプロピレンプレート(1~3)に取り付け、他の測定では、サンプルは、プレートからの反射を増加させるために(金属フレークを用いて)灰色に塗装されたポリプロピレンプレートに取り付けた。
図11は、比較例1(ベースラインの裸のポリプロピレンプレート)からのレーダー信号プロットを示す。
図12は、裸のポリプロピレンプレート上の実施例1からのレーダー信号プロットを示す。
図13は、裸のポリプロピレンプレート上の実施例2からのレーダー信号プロットを示す。
図14は、(比較例2に対応する)塗装されたポリプロピレンプレート上の実施例3からのレーダー信号プロットを示す。
図15は、比較例2(金属フレークを含む灰色の塗料で塗装されたポリプロピレンプレート)からのレーダー信号プロットを示す。レーダー反射変動性モデリング結果を、表10に示す。実施例5及び10のレーダー反射変動性モデリング結果を
図18及び
図19に示す。
【0074】
【0075】
図中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。上述の実施形態は、本発明の様々な態様の説明を容易にするために詳細に記載されたものであるため、本発明は、上述の特定の実施例及び実施形態に限定されるものと見なされるべきではない。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物によって定義される本発明の範囲内に含まれる様々な変形形態、同等のプロセス、及び代替的デバイスを含めた、本発明の全ての態様を包含するものと理解されるべきである。
以下、例示的実施形態を示す。
[項目1]
勾配誘電率フィルムであって、
第1の比誘電率(ε
r1
)を有する第1の材料の第1の連続マトリックスと、前記第1の連続マトリックス中に分散された第2の比誘電率(ε
r2
)を有する第2の構成要素と、を含む第1の誘電率層であって、第1の実効層比誘電率(ε
1
)及び厚さ(T
1
)を有する第1の誘電率層と、
前記第1の誘電率層上に配置された、第2の実効層比誘電率(ε
2
)及び厚さ(T
2
)を有する第2の誘電率層と、を備え、
前記勾配誘電率フィルムは、50%より大きいヘイズ、又は50%未満の可視光の透過率を有し、
ε
1
は、20GHz~300GHzの周波数範囲内の少なくとも1つの周波数(f)について、少なくとも10%だけε
2
よりも大きく、
ε
1
=1.1~10であり、
ε
2
=1.11~10であり、
T
1
=0.8(t
1
)~1.2(t
1
)であり、式中、
【数1】
であり、
T
2
=0.8(t
2
)~1.2(t
2
)であり、式中、
【数2】
であり、
ε
r1
は、前記周波数fについてε
r2
より大きい、
勾配誘電率フィルム。
[項目2]
前記第2の誘電率層は、接着剤である、項目1に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目3]
前記第2の誘電率層は、アクリルフォーム接着剤である、項目2に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目4]
前記第2の誘電率層は、第4の比誘電率(ε
r4
)を有する第4の材料の第2の連続マトリックスと、前記第2の連続マトリックス中に分散された第5の比誘電率(ε
r5
)を有する第5の構成要素と、を含む、項目1~3のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目5]
ε
1
は、1.3~1.6である、項目1~4のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目6]
ε
2
は、1.9~2.6である、項目1~5のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目7]
fは、20GHz~120GHzの周波数範囲内にある、項目1~6のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目8]
fは、20GHz~100GHzの周波数範囲内にある、項目7に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目9]
fは、20GHz~81GHzの周波数範囲内にある、項目8に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目10]
fは、76GHz~81GHzの周波数範囲内にある、項目9に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目11]
fは、20GHz~30GHzの周波数範囲内にある、項目9に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目12]
T
1
は、700μm~1200μmであり、T
2
が、400μm~900μmである、項目1~11のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目13]
T
1
は、800μm~900μmであり、T
2
が、600μm~800μmである、項目12に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目14]
前記第2の構成要素は、第3の比誘電率(ε
r3
)を有する第3の構成要素内に配置されており、前記周波数fについて、ε
r2
≦ε
r3
である、項目1~13のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目15]
前記第3の構成要素は、ガラスであり、前記第2の構成要素は、空気である、項目14に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目16]
前記第1の構成要素は、ポリマー材料を含む、項目1~15のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目17]
前記第1の連続マトリックスは、不織布材料である、項目1~16のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目18]
前記第2の構成要素は、空気である、項目1~17のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目19]
前記第1の誘電率層は、前記第2の誘電率層にラミネートされている、項目1~18のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目20]
前記第1の誘電率層の反対側の前記第2の誘電率層上に配置されたバッキング層を更に備える、項目1~19のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目21]
勾配誘電率フィルムであって、
第1の比誘電率(ε
r1
)を有する第1の材料の第1の連続マトリックスと、前記第1の連続マトリックス中に分散された第2の比誘電率(ε
r2
)を有する第2の構成要素と、を含む第1の誘電率層であって、第1の実効層比誘電率(ε
1
)及び厚さ(T
1
)を有する第1の誘電率層と、
前記第1の誘電率層上に配置された、第2の実効層比誘電率(ε
2
)及び厚さ(T
2
)を有する第2の誘電率層と、を備え、
前記勾配誘電率フィルムは、50%より大きいヘイズ、又は50%未満の可視光の透過率を有し、
ε
1
は、20GHz~300GHzの周波数範囲内の少なくとも1つの周波数(f)について、少なくとも10%だけε
2
よりも大きく、
ε
1
=1.1~10であり、
ε
2
=1.11~10であり、
T
1
=0.8(t
1
)~1.2(t
1
)であり、式中、
【数3】
であり、
T
2
=0.8(t
2
)~1.2(t
2
)であり、式中、
【数4】
であり、
ε
r1
は、前記周波数fについてε
r2
より大きい、
勾配誘電率フィルム。
[項目22]
前記第2の誘電率層は、接着剤である、項目21に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目23]
前記第2の誘電率層は、アクリルフォーム接着剤である、項目22に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目24]
前記第2の誘電率層は、第4の比誘電率(ε
r4
)を有する第4の材料の第2の連続マトリックスと、前記第2の連続マトリックス中に分散された第5の比誘電率(ε
r5
)を有する第5の構成要素と、を含む、項目21~23のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目25]
ε
1
は、1.3~1.6である、項目21~24のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目26]
ε
2
は、1.9~2.6である、項目21~25のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目27]
fは、20GHz~120GHzの周波数範囲内にある、項目21~26のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目28]
fは、20GHz~100GHzの周波数範囲内にある、項目27に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目29]
fは、20GHz~81GHzの周波数範囲内にある、項目28に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目30]
fは、76GHz~81GHzの周波数範囲内にある、項目29に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目31]
fは、20GHz~30GHzの周波数範囲内にある、項目29に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目32]
T
1
は、1400μm~2400μmであり、T
2
は、400μm~900μmである、項目21~31のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目33]
T
1
は、1600μm~1800μmであり、T
2
は、650μm~900μmである、項目32に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目34]
前記第2の構成要素は、第3の比誘電率(ε
r3
)を有する第3の構成要素内に配置されており、前記周波数fについて、ε
r2
≦ε
r3
である、項目21~33のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目35]
前記第3の構成要素は、ガラスであり、前記第2の構成要素は、空気である、項目34に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目36]
前記第1の構成要素は、ポリマー材料を含む、項目21~35のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目37]
前記第1の連続マトリックスは、不織布材料である、項目21~35のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目38]
前記第2の構成要素は、空気である、項目21~37いずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目39]
前記第1の誘電率層は、前記第2の誘電率層にラミネートされている、項目21~38のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目40]
前記第1の誘電率層の反対側の前記第2の誘電率層上に配置されたバッキング層を更に備える、項目21~39のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルム。
[項目41]
車両バンパーフェイシアに取り付けられた、項目1~40のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルムを備えるアセンブリ。
[項目42]
前記勾配誘電率フィルムの前記車両バンパーフェイシアへの取り付け位置において、前記車両バンパーフェイシアの比誘電率は、ε
1
から10%以内である、項目41に記載のアセンブリ。
[項目43]
前記車両バンパーフェイシアの前記比誘電率は、ε
1
から5%以内である、項目42に記載のアセンブリ。
[項目44]
自動車用レドームに取り付けられた、項目1~40のいずれか一項に記載の勾配誘電率フィルムを備えるアセンブリ。
[項目45]
前記勾配誘電率テープと前記自動車用レドームとの取り付け位置において、前記自動車用レドームの比誘電率は、ε
1
から10%以内である、項目44に記載のアセンブリ。
[項目46]
前記自動車用レドームの前記比誘電率は、ε
1
から5%以内である、項目45に記載のアセンブリ。