(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】硬化性高屈折率組成物及びそれらから調製された物品
(51)【国際特許分類】
C08F 220/38 20060101AFI20240405BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240405BHJP
C08F 220/20 20060101ALI20240405BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
C08F220/38
B32B27/30 A
C08F220/20
G02B5/20
(21)【出願番号】P 2020564108
(86)(22)【出願日】2019-05-10
(86)【国際出願番号】 IB2019053880
(87)【国際公開番号】W WO2019220288
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-05-10
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】マホニー,ウェイン エス.
(72)【発明者】
【氏名】チャクラボーティ,サスワタ
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ,エヴァン エル.
(72)【発明者】
【氏名】ハートマン-トムソン,クレア
(72)【発明者】
【氏名】シリマン,タビサ エー.
【審査官】藤原 研司
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2012-0040799(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0349295(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0361284(US,A1)
【文献】特表2016-513146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B
C08F
C08J
C09D
G02B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのアクリレートと、
【化1】
縮合芳香族基、ヘテロ-アリーレン基、ヘテロアルキレン基、アルキレン基、又はアラルキレン基を有する少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートと、
光開始剤と、を含む硬化性組成物であって、
前記少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートは、式II:
H
2C=CR2-(CO)-O-A-O-(CO)-R2C=CH
2 式II
(式中、
R2は水素又はメチルであり、
(CO)はカルボニル基C=Oであり、
Aは、縮合芳香族基、ヘテロ-アリーレン基、ヘテロアルキレン基、アルキレン基、又はアラルキレン基
から選択される二価の基であ
り、ここで、前記ヘテロ-アリーレン基は、芳香族の炭素環を含み、かつヘテロ原子を含有する二価の基である)
の化合物を含み、
前記組成物は、硬化した際、532ナノメートルにて1.63以上の屈折率を有し、かつ250℃で1時間加熱した際に重量損失が3.5%以下となるような熱安定性を有する、硬化性組成物。
【請求項2】
Aが、フルオレニル基から選択される縮合芳香族基、又は構造:
-(L-O)
m-B-(O-L)
m-
(式中、Bはフェニル置換フルオレニル基、アルキレン置換フルオレニル基、ナフタレン基、若しくは-Ar-Ar-基であり、各Ar基はナフタレン基であり、
Lは2~12個の炭素原子を含むアルキレン基であり、
mは1~10の範囲の整数である)を有する基
を含む二価の基である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートが、式III、IV、又はV:
【化2】
の構造を有する化合物を含む、請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートが、式IIA:
【化3】
(式中、各R2は独立して水素又はメチルであり、
ZはS又は単結合であり、
各Qは独立してO又はSであり、
Lは2~12個の炭素原子を含むアルキレン基であり、
nは0~10の範囲の整数である)の化合物を含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートが、式VI、VII、又はVIII:
【化4】
の構造を有する化合物を含む、請求項4に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
第1の主面と第2の主面とを有する基材と、
前記基材の前記第2の主面の少なくとも一部に隣接した硬化有機層であって、架橋(メタ)アクリレート系層を含み、532ナノメートルにて1.63以上の屈折率を有し、かつ250℃で1時間加熱した際に重量損失が3.5%以下となるような熱安定性を有する、前記硬化有機層とを含み、
前記硬化有機層は、前記基材の前記第2の主面の少なくとも一部上に配置されて硬化された硬化性組成物を含み、
前記硬化性組成物は、
式Iのアクリレートと、
【化5】
縮合芳香族基、ヘテロ-アリーレン基、ヘテロアルキレン基、アルキレン基、又はアラルキレン基を有する少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートと、
光開始剤と、を含み、
前記少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートは、式II:
H
2C=CR2-(CO)-O-A-O-(CO)-R2C=CH
2 式II
(式中、
R2は水素又はメチルであり、
(CO)はカルボニル基C=Oであり、
Aは縮合芳香族基、ヘテロ-アリーレン基、ヘテロアルキレン基、アルキレン基、又はアラルキレン基
から選択される二価の基であ
り、ここで、前記ヘテロ-アリーレン基は、芳香族の炭素環を含み、かつヘテロ原子を含有する二価の基である)
の化合物を含む、物品。
【請求項7】
前記物品が、前記基材の前記第2の主面上に配置され、かつ前記硬化有機層に隣接したデバイスを更に含む、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記デバイスがOLED(有機発光ダイオード)を含む、請求項7に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、典型的なポリマー組成物と比較して高い屈折率を有し、硬化して物品を形成することができる硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
光学デバイスはますます複雑化し、ますます多くの機能層を伴うようになりつつある。光が光学デバイスの層を通って移動するとき、光は、多種多様な方法で層によって変化させることができる。例えば、光は、反射し、屈折し、又は吸収され得る。多くの場合、非光学的理由で光学デバイスに含まれる層は、光学特性に悪影響を及ぼす。例えば、光学的に透明ではない支持層が含まれる場合、この光学的に透明でない支持層による光の吸収は、デバイス全体の光透過率に悪影響を及ぼし得る。
【0003】
多層光学デバイスに関する1つの一般的な難点は、屈折率の異なる層が互いに隣接していると、それらの界面で光の屈折が起こり得ることである。この光の屈折が望ましいデバイスもあるが、屈折が望ましくないデバイスもある。2つの層の間の界面におけるこの光の屈折を最小化するか又は排除するために、界面を形成する2つの層の間の屈折率の差を最小化する努力がなされてきた。しかし、光学デバイス内でより広範囲の材料が使用されるにつれて、屈折率の整合はますます困難になってきている。光学デバイスにおいて頻繁に使用される有機ポリマーフィルム及びコーティングは、限定された範囲の屈折率を有する。屈折率のより高い材料が光学デバイスにますます使用されるにつれて、望ましい屈折率及び光学的透明度などの好適な光学特性を有し、更に加工の容易性、可撓性などの有機ポリマーの望ましい特徴を保持する有機ポリマー組成物を調製することがますます困難になってきている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、典型的な有機ポリマー組成物と比較して高い屈折率を有する硬化性組成物、これら硬化性組成物の硬化層を含有する物品、及び物品を形成する方法に関する。
【0005】
いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、式Iのアクリレートと、
【化1】
少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートであって、多官能性(メタ)アクリレートは、縮合芳香族基、ヘテロ
-アリーレン基、ヘテロアルキレン基、アルキレン基、又はアラルキレン基を含む、多官能性(メタ)アクリレートと、を含み、組成物は光開始剤もまた含む。組成物は、硬化した際、532ナノメートルにて1.63以上の屈折率を有し、光学的に透明であり、かつ250℃で1時間加熱した際に重量損失が3.5%以下となるような熱安定性を有する。
【0006】
物品もまた開示される。いくつかの実施形態では、物品は、第1主面と第2主面とを有する基材と、基材の第2主面の少なくとも一部に隣接した硬化有機層と、を含む。硬化有機層は架橋(メタ)アクリレート系層を含み、532ナノメートルにて1.63以上の屈折率を有し、光学的に透明であり、かつ250℃で1時間加熱した際に重量損失が3.5%以下となるような熱安定性を有する。
【0007】
物品を調製する方法もまた開示される。いくつかの実施形態では、物品を調製する方法は、第1主面と第2主面とを有する基材を提供することと、硬化性組成物を提供することと、硬化性組成物を基材の第2主面の少なくとも一部に配置して、硬化性層を形成することと、硬化性層を硬化させて、硬化有機層を形成することと、を含む。硬化性組成物は、式Iのアクリレートと、
【化2】
少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートであって、多官能性(メタ)アクリレートは、縮合芳香族基、ヘテロ
-アリーレン基、ヘテロアルキレン基、アルキレン基、又はアラルキレン基を含む、多官能性(メタ)アクリレートと、を含み、組成物は光開始剤もまた含む。硬化性組成物は、配置されて硬化した際、532ナノメートルにて1.63以上の屈折率を有し、光学的に透明であり、かつ250℃で1時間加熱した際に重量損失が3.5%以下となるような熱安定性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
光学デバイスはますます複雑になりつつあり、このことは光学デバイスに使用される材料に影響を与える。特に、有機ポリマー材料は、光学デバイスにおいて広く用途を見出してきたが、これらは依然として、性能に必要とされる厳格な要件及び要求を満たさなければならない。
【0009】
例えば、薄い有機ポリマーフィルムは、接着剤、保護層、スペーサ層などの光学デバイスにおける広範な用途に望ましい。物品がより複雑になるにつれて、これらの層に対する物理的要求が高まっている。例えば、光学デバイスがよりコンパクトになるにつれて、それらは多くの場合、追加の層を含み、このためにより薄い層に対する必要性が高まっている。同時に、層はより薄いので、層は精度がより高い必要もある。例えば、薄いスペーサ層(厚さ1マイクロメートル)は、適切な間隔機能を提供するために、平坦でありかつ間隙及び孔を含まない必要がある。これには、精度の高いかつ一貫した方法で有機層を堆積させる必要がある。
【0010】
更に、これらの層は、それらの物理的な役割(接着、保護、間隔など)を満たさなければならないだけでなく、必要な光学特性も提供しなければならない。ますます重要になりつつある特性の中には屈折率がある。光が多層物品の層を通って移動するとき、層同士の間の界面に遭遇する。層の屈折率が異なる場合、光を屈折させることがある。したがって、この屈折を最小限に抑えるために、多層物品内の層の屈折率を整合させることが望ましい。
【0011】
更に、上記の光学特性を有する有機ポリマー層が必要であるだけではなく、有機ポリマー層は、広範な使用条件にわたりそれらの特性を維持する必要もある。特に、有機ポリマー層が経時的に又は高温に曝露された際に劣化しないよう、有機ポリマー層は高い熱安定性を有する必要がある。
【0012】
薄膜層を利用する光学デバイスの一例は、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode、OLED)デバイスである。特に、有機発光デバイスは、水蒸気及び酸素などの特定の液体及び気体の透過による劣化を受けやすい。これらの液体及び気体に対する透過性を低下させるために、バリア層をOLEDデバイスに適用する。これは当該技術分野において薄膜封止として知られている。典型的には、これらのバリア層は、高屈折率を有する無機層である。典型的には、無機バリア層は単独では使用せず、むしろ複数のダイアドを含むことができるバリアスタックを使用する。ダイアドは、バリア層及びデカップリング層(decoupling layer)を含む2層構造である。デカップリング層は、無機バリア層の堆積のための平坦化された及び/又は滑らかな表面を提供する。
【0013】
光学デバイスの高屈折率層として使用するため、様々な材料及び材料組成物が開発されてきた。これらの開発は各々、利点及び欠点を有する。例えば、米国特許公開第2015/0349295号(Boesch et al.)にはバリアコーティングとしてダイアドを利用するデバイスが記載されており、ダイアドは、有機-無機ハイブリッド材料である第1の層(デカップリング層)を含み、第2の層が無機バリア層である。有機-無機ハイブリッドデカップリング層は、有機金属ポリマー又は無機ナノ粒子のいずれかを有する有機マトリックスを含み、それによって無機材料が屈折率を上昇させ、無機バリア層の屈折率とより良好に整合する。
【0014】
また、2016年12月29日に出願された米国仮特許出願第62/439973号には、高屈折率を有する硬化性インク組成物が記載されている。この明細書に記載された硬化性インク組成物は、例えばインクジェット印刷により印刷が可能な、芳香族(メタ)アクリレートの混合物を含む反応性液体混合物である。
【0015】
既に開示された材料組成物において取り組まれていない問題は、硬化性、高屈折率、及び高い熱安定性の組み合わせである。この望ましい一連の特徴は、前述した材料の組み合わせでは実現することができない。したがって、高屈折率を有し、光学的に透明であり、かつ熱的に安定である有機ポリマー層を形成するための硬化性材料が依然として必要とされている。
【0016】
本開示では硬化性組成物が記載されており、この硬化性組成物には、これらを多層光学デバイス内の層の形成に好適なものとする多くの特色がある。組成物は、硬化した際、532ナノメートルにて1.63以上の比較的高い屈折率を有する。組成物はまた、250℃の温度に1時間加熱した際に重量損失が3.5%以下となるような、高い熱安定性を有する。
【0017】
本明細書では、特に多層フィルム、基材及びコーティングを含む光学物品も開示する。本開示の物品の中には、基材と、基材に隣接した硬化有機層と、任意に硬化有機層上に配置された無機バリア層と、を含む物品がある。硬化有機層は、1~16マイクロメートルの厚さを有し、532ナノメートルにて1.63以上の屈折率を有し、光学的に透明である架橋(メタ)アクリレート系層を含む。
【0018】
別途指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で用いる構造寸法、量、及び物理的特性を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されていると理解するものとする。したがって、特に反対の指示がない限り、上記明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本明細書で開示される教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変動し得る近似値である。端点による数値範囲の記載には、その範囲内に包含される全ての数(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)及びその範囲内の任意の範囲が含まれる。
【0019】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が別途明示していない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。例えば、「層」は、1つ又は2つ以上の層を有する実施形態を包含する。本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合、用語「又は」は、内容が別途明示していない限り、「及び/又は」を含む意味で通常用いられる。
【0020】
本明細書で使用するとき、「隣接する」という用語は、別の層に近接している2つの層を指す。隣接する層は互いに直接接触していてもよく、又は介在層があってもよい。隣接する層同士の間にはなにもない空間は存在しない。
【0021】
典型的には、硬化性組成物は、「100%固形分」として記載される。本明細書で使用するとき、「100%固形分」とは、揮発性溶剤を含まず、表面に堆積した全ての塊がそこに残り、コーティングから揮発性の塊が失われない硬化性インク組成物を指す。
【0022】
用語「Tg」及び「ガラス転移温度」は、互換的に使用される。測定される場合、Tg値は、実施例の項に記載されるような示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)により求める。本開示では概ねコポリマーのTg値が測定されるが、典型的にはTg値は測定されず、当業者に理解されるように、それらのモノマーから調製されたホモポリマーに関してモノマー供給者により提供されるTg値を使用し、周知のFox式を用いて計算される。
【0023】
用語「室温」及び「周囲温度」は、互換的に使用され、それらの従来の意味、すなわち20~25℃の温度を有する。
【0024】
硬化層を指すために本明細書で使用する「有機」という用語は、層が有機材料から調製され、無機材料を含まないことを意味する。
【0025】
用語「(メタ)アクリレート」は、アルコールのアクリル系エステル又はメタクリル系エステルのモノマーを指す。アクリレート及びメタクリレートモノマー又はオリゴマーは、本明細書で「(メタ)アクリレート」と総称される。本明細書で使用するとき、「(メタ)アクリレート系」という用語は、少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーを含み、追加の(メタ)アクリレート又は非(メタ)アクリレート共重合性エチレン性不飽和モノマーを含み得るポリマー組成物を指す。(メタ)アクリレート系のポリマーは、大部分(すなわち50重量%を超える)の(メタ)アクリレートモノマーを含む。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「硬化」(“curing”及び“cured”)は、重合した組成物を指す。典型的には、本明細書に記載の硬化組成物は架橋されているが、硬化という用語と架橋という用語は同義ではない。
【0027】
用語「フリーラジカル重合可能」及び「エチレン性不飽和」は、互換的に使用され、フリーラジカル重合機構を介して重合できる炭素-炭素二重結合を含有する反応性基を指す。
【0028】
用語「炭化水素基」は、本明細書で使用するとき、主に又は排他的に炭素原子及び水素原子を含有する任意の一価の基を指す。アルキル及びアリール基が、炭化水素基の例である。
【0029】
用語「アルキル」は、飽和炭化水素であるアルカンのラジカルである一価の基を指す。アルキルは、直鎖状、分枝状、環状、又はこれらの組み合わせであってもよく、典型的には、1~20個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~18個、1~12個、1~10個、1~8個、1~6個、又は1~4個の炭素原子を含有する。アルキル基の例としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、及びエチルヘキシルが挙げられる。
【0030】
用語「アリール」は、芳香族及び炭素環である一価の基を指す。アリールは、芳香環に接続している又は縮合している、1~5個の環を有し得る。その他の環状構造は、芳香族、非芳香族、又はこれらの組み合わせであってもよい。アリール基の例としては、限定されるものではないが、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、アントリル、ナフチル、アセナフチル、アントラキノニル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、ペリレニル、及びフルオレニルが挙げられる。
【0031】
「アルキレン」という用語は、アルカンのラジカルである二価の基を指す。アルキレンは、直鎖状、分枝状、環状、又はこれらの組み合わせであってもよい。アルキレンは、多くの場合、1~20個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルキレンは、1~18個、1~12個、1~10個、1~8個、1~6個、又は1~4個の炭素原子を含有する。アルキレンのラジカル中心は、同一の炭素原子上にあってもよく(すなわち、アルキリデン)、又は異なる炭素原子上にあってもよい。
【0032】
「ヘテロアルキレン」という用語は、チオ、オキシ、又は-NR-(式中、Rはアルキルである)によって接続された、少なくとも2つのアルキレン基を含む、二価の基を指す。ヘテロアルキレンは、直鎖状であるか、分枝状であるか、環状であるか、アルキル基によって置換されているか、又はこれらの組み合わせであってもよい。一部のヘテロアルキレンは、ヘテロ原子が酸素であるポリオキシアルキレン、例えば、
-CH2CH2(OCH2CH2)nOCH2CH2-などである。
【0033】
「ヘテロ芳香族」又は「ヘテロアリール」という用語は、互換的に使用され、本明細書で使用するとき、環状構造中に少なくとも1つのヘテロ原子を含有する芳香環を指す。
【0034】
用語「アリーレン」は、炭素環でありかつ芳香族である二価の基を指す。この基は、接続しているか、縮合しているか、又はこれらの組み合わせである、1~5個の環を有する。その他の環は、芳香族、非芳香族、又はこれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、アリーレン基は、最大5個の環、最大4個の環、最大3個の環、最大2個の環、又は1個の芳香環を有する。例えば、アリーレン基は、フェニレンであってもよい。
【0035】
「ヘテロ-アリーレン」という用語は、芳香族の炭素環を含み、かつヘテロ原子、例えば硫黄、酸素、窒素を含有する二価の基を指す。
【0036】
用語「アラルキレン」は、式、-Ra-Ara-(式中、Raはアルキレンであり、Araはアリーレン又はヘテロ-アリーレンである(すなわち、アルキレンがアリーレン又はヘテロ-アリーレンに結合している))の二価の基を指す。
【0037】
別途指示がない限り、「光学的に透明な」とは、可視光スペクトル(約400~約700nm)の少なくとも一部にわたって高い光透過率を有する層、フィルム、又は物品を指す。典型的には、光学的に透明な層、フィルム、又は物品は、少なくとも80%の視感透過率を有する。
【0038】
別途指示がない限り、「光学的に透明」とは、可視光スペクトル(約400~約700nm)の少なくとも一部にわたって高い光透過率を有し、低いヘイズを呈する、層、フィルム、又は物品を指す。典型的には、光学的に透明な層、フィルム、又は物品は、少なくとも80%、多くの場合少なくとも90%の可視光透過率値を有し、かつ5%以下、多くの場合2%以下のヘイズ値を有する。視感透過率及びヘイズは、当該技術分野において周知の技術及び装置を用いて測定できる。
【0039】
以下の式Iのアクリレート:
【化3】
を、縮合芳香族基、ヘテロ
-アリーレン基、ヘテロアルキレン基、アルキレン基、アラルキレン基、又はこれらの基の組み合わせを有する少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレート、及び光開始剤と共に含む混合物である硬化性組成物が、本明細書に開示される。式Iの化合物は、実施例の項に記載されるようにして合成することができる。
【0040】
硬化性組成物は、硬化した際、多種多様な又は有用な特性を有する。これらの特性の中には、機械的特性に加えて光学特性がある。硬化性組成物は、硬化した際、532ナノメートルにて1.63以上の屈折率を有し、光学的に透明であり、かつ250℃で1時間加熱した際に重量損失が3.5%以下となるような熱安定性を有する。光学特性及び熱安定性は、実施例の項に記載された技術により測定することができる。いくつかの実施形態では、屈折率は、少なくとも1.64、少なくとも1.65、少なくとも1.66、少なくとも1.67、少なくとも1.68、少なくとも1.69、又は少なくとも1.70である。いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、硬化した際に光学的に透明である。
【0041】
広範な混合組成物が、本開示の硬化性組成物を調製するのに好適である。典型的には、式Iのアクリレートが硬化性組成物の主要成分であり、これは、式Iのアクリレートが少なくとも50重量%の量で存在することを意味する。重量%は、硬化性組成物における硬化性成分の総重量の百分率を指す。いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、50重量%を超える式Iのアクリレートを含む。いくつかの実施形態では、式Iのアクリレートの量は、60重量%超、70重量%超、75重量%超、80重量%超、最大90重量%、又は更には90重量%超である。
【0042】
硬化性組成物はまた、縮合芳香族基、ヘテロ-アリーレン基、ヘテロアルキレン基、アルキレン基、又はアラルキレン基を有する少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートは、硬化性組成物の10重量%以下を構成する。
【0043】
広範な多官能性(メタ)アクリレートが、本開示の硬化性組成物での使用に好適である。いくつかの実施形態では、多官能性(メタ)アクリレートは、式II:
H2C=CR2-(CO)-O-A-O-(CO)-R2C=CH2
式II
(式中、R2は水素又はメチル基であり、(CO)はカルボニル基C=Oであり、Aは縮合芳香族基、ヘテロ-アリーレン基、ヘテロアルキレン基、アルキレン基、アラルキレン基、又はこれらの組み合わせを含む二価の基である)の化合物を含む。
【0044】
式IIの多官能性(メタ)アクリレートにおけるいくつかの実施形態では、基Aはフルオレニル基から選択される縮合芳香族基を含む二価の基である。他の実施形態では、基Aは、一般構造:-(L-O)
m-B-(O-L)
m-(式中、Bはフェニル置換フルオレニル基、アルキレン置換フルオレニル基、ナフタレン基、又は-Ar-Ar-基であり、各Ar基はナフタレン基であり、Lは2~12個の炭素原子を含むアルキレン基であり、mは1~10の範囲の整数である)を有する。このような(メタ)アクリレートの例としては、以下の式III、IV、及びVに記載されるものが挙げられる:
【化4】
【0045】
式IIIの化合物であるフルオレンジアクリレート(FDA)は、実施例の項に記載されるようにして合成することができる。式IVの化合物である[1.1’-ビナフタレン]-2.2’-ジイルビス(オキシ)ビス(エタン-2,1-ジイル)ジアクリレートは、日本化薬株式会社、東京、日本からKAYARAD BNP-1として得ることができる。式Vの化合物であるエトキシ化ビスフェノールフルオレンジアクリレート(BPEFDA)は、BPEFDA60%とオルト-フェニルフェノール(EO)アクリレート(OPPEA)40%との混合物として、KONOMER D0241としてKPX Green Chemical Co,Ltd.,Seoul,Koreaから市販されている。
【0046】
いくつかの実施形態では、多官能性(メタ)アクリレートは、以下の式IIA:
【化5】
(式中、各R2は独立して水素又はメチルであり、ZはS又は単結合であり、各Qは独立してO又はSであり、Lは2~12個の炭素原子を含むアルキレン基であり、nは0~10の範囲の整数である)の化合物を含む。このような(メタ)アクリレートの例としては、以下の式VI、VII、及びVIII:
【化6】
【化7】
に記載されるものが挙げられる。
【0047】
化合物VI、VII、及びVIIIは、実施例の項に記載されるようにして合成することができる。
【0048】
上記の芳香族(メタ)アクリレートに加えて、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートはヘテロアルキレン基及びアルキレン基などの非芳香族基を含んでもよい。このような広範な多官能性(メタ)アクリレートは公知であり、多くは市販されている。多官能性(メタ)アクリレートは少なくとも二官能性であるが、いくつかの実施形態では、例えば三官能性、四官能性などのより官能性が高いものであってもよい。特に好適な非芳香族多官能性(メタ)アクリレートの例としては、SR833S(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)、SR351H(トリメチロールプロパントリアクリレート)、及びSR454(エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート)などの、Sartomerから入手可能なものが挙げられる。
【0049】
硬化性組成物はまた、少なくとも1つの光開始剤を含む。これは、開始剤は光、概ね紫外(UV)光により活性化されるが、そのような可視光開始剤、赤外光開始剤などの開始剤を適切に選択することで他の光源を使用することができる、ということを意味する。典型的には、UV光開始剤を使用する。
【0050】
有用な光開始剤としては、多官能性(メタ)アクリレートをフリーラジカル的に光硬化するのに有用であることが公知のものが挙げられる。例示的な光開始剤としては、α-メチルベンゾイン;α-フェニルベンゾイン;α-アリルベンゾイン;αベンジルベンゾインなどのベンゾイン及びその誘導体;ベンジルジメチルケタール(例えば、IGM Resins USA Inc.,St.Charles,ILからの「OMNIRAD BDK」)、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテルなどのベンゾインエーテル;2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン(例えば、IGM Resins USA Inc.,St.Charles,ILからOMNIRAD 1173の商標名で入手可能)及び1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、IGM Resins USA Inc.,St.Charles,ILからOMNIRAD 184の商標名で入手可能)などのアセトフェノン及びその誘導体;2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン(例えば、IGM Resins USA Inc.,St.Charles,ILからOMNIRAD 907の商標名で入手可能);2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(例えば、IGM Resins USA Inc.,St.Charles,ILからOMNIRAD 369の商標名で入手可能)、並びにエチル-2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート(例えば、IGM Resins USA Inc.,St.Charles,ILからTPO-Lの商標名で入手可能)及びビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(例えば、IGM Resins USA Inc.,St.Charles,ILからOMNIRAD 819の商標名で入手可能)などのホスフィンオキシド誘導体、が挙げられる。
【0051】
他の有用な光開始剤としては、例えば、ピバロインエチルエーテル、アニソインエチルエーテル、アントラキノン類(例えば、アントラキノン、2-エチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、1,4-ジメチルアントラキノン、1-メトキシアントラキノン、又はベンズアントラキノン)、ハロメチルトリアジン、ベンゾフェノン及びその誘導体、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩、ビス(エタ5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル]チタン(例えば、BASF,Florham Park,NJからCGI 784DCの商標名で入手可能)などのチタン錯体;ハロメチル-ニトロベンゼン(例えば、4-ブロモメチルニトロベンゼン)、並びに1つの成分がモノ-又はビス-アシルホスフィンオキシドである光開始剤の組み合わせ(例えば、BASF,Florham Park,NJからIRGACURE 1700、IRGACURE 1800、及びIRGACURE 1850の商標名で入手可能、並びにIGM Resins USA Inc.,St.Charles,ILからOMNIRAD 4265の商標名で入手可能)、が挙げられる。
【0052】
概ね、光開始剤は、全反応性成分100重量部に対して、0.01~10重量部、より典型的には、0.1~2.0重量部の量で使用する。
【0053】
硬化性組成物は追加の反応性又は非反応性成分を含有してもよいが、そのような成分は必須ではなく、これらの成分が形成された(メタ)アクリレート系ポリマーの最終特性に対して有害でないことが確実なよう、注意して使用する必要がある。硬化性組成物はまた、必要又は所望に応じて、重合禁止剤、光安定剤(例えばヒンダードアミン)、相乗剤、酸化防止剤、触媒、分散剤、レベリング剤などを含有してもよい。典型的には、硬化性組成物は、追加の反応性又は非反応性成分を含有しない、又は必要としないが、所望であればそのような成分を使用することができる。
【0054】
本開示はまた、上記で調製した硬化性組成物から調製された物品を含む。第1主面と第2主面とを有する基材と、基材の第2主面の少なくとも一部に隣接した硬化有機層と、を含む物品が、本明細書に開示される。硬化有機層は、連続層、不連続層であり得る。更に、硬化有機層は平坦(すなわち、構造化されていない)であってもよく、又はパターン化若しくはランダムであり得る構造的特徴を含んでもよく、例えば線、ポスト、ピラー、半球、角錐などの広範な形状を有していてもよい。構造化された硬化有機層を有する物品の例としては、例えば、マイクロレンズなどのレンズが挙げられる。
【0055】
硬化有機層は架橋(メタ)アクリレート系層を含み、532ナノメートルにて1.63以上の屈折率を有し、光学的に透明であり、かつ250℃で1時間加熱した際に重量損失が3.5%以下となるような熱安定性を有する。いくつかの実施形態では、屈折率は、少なくとも1.64、少なくとも1.65、少なくとも1.66、少なくとも1.67、少なくとも1.68、少なくとも1.69、又は少なくとも1.70である。いくつかの実施形態では、硬化有機層は光学的に透明である。
【0056】
多様な可撓性及び非可撓性基材が、本開示の物品での使用に好適である。例えば、基材は、ガラス、又は、PMMA(ポリメチルメタクリレート)若しくはPC(ポリカーボネート)などのポリマー材料の比較的厚い層であり得る。あるいは、基材は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、ポリイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などのフィルムといった可撓性ポリマーフィルムであってもよい。
【0057】
物品はまた、広範な追加の基材及び層を含むことができる。いくつかの実施形態では、物品は、硬化有機層と接触した無機バリア層を更に含む。
【0058】
硬化有機層は、基材の第2主面の少なくとも一部に配置されて硬化された硬化性組成物を含む。硬化性組成物については、上に記載してきた。硬化性組成物は、式Iのアクリレートと、
【化8】
縮合芳香族基、ヘテロ
-アリーレン基、ヘテロアルキレン基、アルキレン基、又はアラルキレン基を有する少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートと、光開始剤と、を含む。
【0059】
硬化性組成物は、広範な技術により基材の第2主面に配置することができる。ナイフコーティング、グラビアコーティング、エアナイフコーティング、スロットダイコーティング、及び印刷などのコーティング方法が好適であり得る。スクリーン印刷及びインクジェット印刷などの印刷技術は、基材の第2主面に硬化性組成物を配置するのに特に好適な方法である。
【0060】
典型的には、硬化有機層は比較的薄い層である。典型的には、硬化有機層は1ミル厚(25マイクロメートル)未満である。いくつかの実施形態では、硬化有機層は、1~16マイクロメートルの厚さを有する。
【0061】
上記の硬化性組成物から調製された硬化有機層を利用する特に望ましい物品の中には、電子デバイス及び光学デバイスがある。いくつかの実施形態では、開示の物品は、基材の第2主面に配置され、かつ硬化有機層に隣接したデバイスを更に含む。広範なデバイスが好適である。特に好適な用途の一例は、デバイスがOLED(有機発光ダイオード)を含む物品である。
【0062】
物品を調製する方法も開示する。いくつかの実施形態では、物品を調製する方法は、第1主面と第2主面とを有する基材を提供することと、硬化性組成物を提供することと、硬化性組成物を基材の第2主面の少なくとも一部に配置して、硬化性層を形成することと、硬化性層を硬化させて、硬化有機層を形成することと、を含む。硬化有機層は架橋(メタ)アクリレート系層を含み、532ナノメートルにて1.63以上の屈折率を有し、光学的に透明であり、かつ250℃で1時間加熱した際に重量損失が3.5%以下となるような熱安定性を有する。いくつかの実施形態では、屈折率は、少なくとも1.64、少なくとも1.65、少なくとも1.66、少なくとも1.67、少なくとも1.68、少なくとも1.69、又は少なくとも1.70である。いくつかの実施形態では、硬化有機層は光学的に透明である。
【0063】
多様な可撓性及び非可撓性基材が、本開示の方法での使用に好適である。例えば、基材は、ガラス、又は、PMMA(ポリメチルメタクリレート)若しくはPC(ポリカーボネート)などのポリマー材料の比較的厚い層であり得る。あるいは、基材は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、ポリイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などのフィルムといった可撓性ポリマーフィルムであってもよい。
【0064】
硬化性組成物については、上に記載してきた。硬化性組成物は、式Iのアクリレートと、
【化9】
縮合芳香族基、ヘテロ
-アリーレン基、ヘテロアルキレン基、アルキレン基、又はアラルキレン基を有する少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートと、光開始剤と、を含む。
【0065】
硬化性組成物は、広範な技術により基材の第2主面に配置することができる。ナイフコーティング、グラビアコーティング、エアナイフコーティング、スロットダイコーティング、及び印刷などのコーティング方法が好適であり得る。スクリーン印刷及びインクジェット印刷などの印刷技術は、基材の第2主面に硬化性組成物を配置するのに特に好適な方法である。
【0066】
硬化性組成物層の硬化は、硬化性組成物層を適切な波長の化学線に曝露させて、光開始剤を活性化させることにより行うことができる。典型的には、当該技術分野において周知であるように、UVランプ又はUV光により供給されるUV線が使用される。使用するUV線の種類及び線量は、例えば、光開始剤の特性、光開始剤の濃度、硬化性組成物層の厚さなどの多数の要因に依存する。
【0067】
典型的には、硬化有機層は比較的薄い層である。典型的には、硬化有機層は1ミル厚(25マイクロメートル)未満である。いくつかの実施形態では、硬化有機層は、1~16マイクロメートルの厚さを有する。
【0068】
本開示の方法から調製される物品はまた、広範な追加の基材及び層を含むことができる。いくつかの実施形態では、本方法は、硬化有機層上に無機バリア層を堆積させることを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、デバイスを提供することと、硬化性組成物を基材の第2主面に配置して硬化性層を形成する前に、デバイスを基材の第2主面に配置することと、を更に含む。特に好適なデバイスの中には、OLEDデバイスがある。
本願発明は、以下の態様を包含する。
(項目1)
式Iのアクリレートと、
【化14】
縮合芳香族基、ヘテロアリーレン基、ヘテロアルキレン基、アルキレン基、又はアラルキレン基を有する少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートと、
光開始剤と、を含む硬化性組成物であって、
前記組成物は、硬化した際、532ナノメートルにて1.63以上の屈折率を有し、光学的に透明であり、かつ250℃で1時間加熱した際に重量損失が3.5%以下となるような熱安定性を有する、硬化性組成物。
(項目2)
前記式Iの芳香族アクリレートが、前記硬化性組成物の50重量%超を構成する、項目1に記載の硬化性組成物。
(項目3)
縮合芳香族基、ヘテロアリーレン基、ヘテロアルキレン基、アルキレン基、又はアラルキレン基を有する前記少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートが、前記硬化性組成物の10重量%以下を構成する、項目1に記載の硬化性組成物。
(項目4)
前記少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートが、式II:
H
2
C=CR2-(CO)-O-A-O-(CO)-R2C=CH
2
式II
(式中、R2は水素又はメチルであり、
(CO)はカルボニル基C=Oであり、
Aは縮合芳香族基、ヘテロアリーレン基、ヘテロアルキレン基、アルキレン基、又はアラルキレン基を含む二価の基である)の化合物を含む、項目1に記載の硬化性組成物。
(項目5)
Aが、フルオレニル基から選択される縮合芳香族基、又は構造:
-(L-O)
m
-B-(O-L)
m
-
(式中、Bはフェニル置換フルオレニル基、アルキレン置換フルオレニル基、ナフタレン基、若しくは-Ar-Ar-基であり、各Ar基はナフタレン基であり、
Lは2~12個の炭素原子を含むアルキレン基であり、
mは1~10の範囲の整数である)を有する基
を含む二価の基である、項目4に記載の硬化性組成物。
(項目6)
前記少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートが、式III、IV、又はV:
【化15】
の構造を有する化合物を含む、項目5に記載の硬化性組成物。
(項目7)
前記少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートが、式IIA:
【化16】
(式中、各R2は独立して水素又はメチルであり、
ZはS又は単結合であり、
各Qは独立してO又はSであり、
Lは2~12個の炭素原子を含むアルキレン基であり、
nは0~10の範囲の整数である)の化合物を含む、項目1に記載の硬化性組成物。
(項目8)
前記少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートが、式VI、VII、又はVIII:
【化17】
の構造を有する化合物を含む、項目7に記載の硬化性組成物。
(項目9)
前記組成物が、硬化した際に光学的に透明である、項目1に記載の硬化性組成物。
(項目10)
第1の主面と第2の主面とを有する基材と、
前記基材の前記第2の主面の少なくとも一部に隣接した硬化有機層であって、架橋(メタ)アクリレート系層を含み、532ナノメートルにて1.63以上の屈折率を有し、光学的に透明であり、かつ250℃で1時間加熱した際に重量損失が3.5%以下となるような熱安定性を有する、前記硬化有機層とを含む、物品。
(項目11)
前記硬化有機層と接触した無機バリア層を更に含む、項目10に記載の物品。
(項目12)
前記硬化有機層が、前記基材の前記第2の主面の少なくとも一部上に配置されて硬化された硬化性組成物を含み、
前記硬化性組成物は、
式Iのアクリレートと、
【化18】
縮合芳香族基、ヘテロアリーレン基、ヘテロアルキレン基、アルキレン基、又はアラルキレン基を有する少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートと、
光開始剤と、を含む、項目10に記載の物品。
(項目13)
前記硬化有機層が、1~16マイクロメートルの厚さを有する、項目10に記載の物品。
(項目14)
前記物品が、前記基材の前記第2の主面上に配置され、かつ前記硬化有機層に隣接したデバイスを更に含む、項目10に記載の物品。
(項目15)
前記デバイスがOLED(有機発光ダイオード)を含む、項目14に記載の物品。
(項目16)
物品を調製する方法であって、
第1の主面と第2の主面とを有する基材を提供することと、
硬化性組成物を提供することであって、前記硬化性組成物は、
式Iのアクリレートと、
【化19】
縮合芳香族基、ヘテロアリーレン基、ヘテロアルキレン基、アルキレン基、又はアラルキレン基を有する少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートと、
光開始剤と、を含み、
前記硬化性組成物は、配置されて硬化した際、532ナノメートルにて1.63以上の屈折率を有し、光学的に透明であり、かつ250℃で1時間加熱した際に重量損失が3.5%以下となるような熱安定性を有する、硬化性組成物を提供することと、
前記硬化性組成物を前記基材の前記第2の主面の少なくとも一部上に配置して、硬化性層を形成することと、
前記硬化性層を硬化させて、硬化有機層を形成することと、を含む、方法。
(項目17)
前記硬化有機層上に無機バリア層を堆積させることを更に含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記硬化性組成物を前記基材の前記第2の主面上に配置して、硬化性層を形成することが、1マイクロメートル~16マイクロメートルの厚さにコーティングすることを含む、項目16に記載の方法。
(項目19)
デバイスを提供することと、
前記硬化性組成物を前記基材の前記第2の主面上に配置して硬化性層を形成する前に、前記デバイスを前記基材の前記第2の主面上に配置することと、
を更に含む、項目16に記載の方法。
【実施例】
【0069】
特に記載のない限り、実施例及び本明細書のその他の箇所における全ての部、百分率、比などは、重量によるものである。別段の指示がない限り、他の全ての試薬はSigma-Aldrich Company(St.Louis,Missouri)などのファインケミカル業者から入手したか、又は入手可能であり、あるいは公知の方法で合成することができる。表1(以下)に、実施例で使用した材料及びそれらの供給元を一覧で示す。
【表1】
【0070】
試験方法
重量損失実験(ガス放出)試験方法
重量損失実験は、Discovery series(TA Instruments,New Castle,DE)の熱重量分析器(thermogravimetric analyzer、TGA)で、空気又は窒素雰囲気下のいずれかで実施した。サンプルを室温付近(25℃)から所定の温度まで10℃/分の昇温速度を使用して加熱し、その後様々な温度で60分間保持した(表3を参照)。
【0071】
液体の屈折率測定試験方法
Bausch and Lomb Abbe屈折計(Bausch and Lomb,Rochester,New York)を使用して、液体未硬化配合物の屈折率測定値を得た。
【0072】
硬化配合物フィルムの屈折率試験方法
硬化配合物フィルム(光学コーティング)の屈折率は、Metricon 2010プリズムカップラー(Metricon Corporation Inc.,Pennington,New Jersey)を使用して、632.8ナノメートル(nm)、405nm、及び532nmにて測定した。測定する光学コーティングを、0.1マイクロメートルオーダーの空気間隙を残した状態で、ルチルプリズムの基部と接触させた。
【0073】
ガラス転移(Tg)測定試験方法
TA Instruments(New Castle,DE)からのQ2000 Series DSCにて変調示差走査熱量測定を使用し、以下のパラメータを用いて硬化フィルムのガラス転移温度(Tg)を得た:-30.00℃で平衡化、60秒毎に±0.48℃で変調、15分間恒温、3.00℃/分で150.00℃まで昇温。ガラス転移温度は、転移の半分の高さから求めた。
【0074】
配合物調製の基本手順
白色ポリプロピレンのMAX20DACカップ(Flack Teck Inc,Landrum SC)に適切な量のPI-1光開始剤を添加し、続いて適切な量の二官能性(メタ)アクリレートを添加し、最後に適切な量の単官能性(メタ)アクリレート化合物Aを添加した(表2を参照)。木製の塗布用スティックを使用して混合物を手で撹拌し、続いてDAC 150 FVZ-Kスピードミキサー(FlackTek Inc.,Landrum SC)を使用して、1750回転/分(rpm)で30秒間高剪断混合した。
【0075】
コーティング及び硬化の基本手順
混合後、各サンプルを、シリコーン処理したPET剥離ライナー(Siliconature USA,Chicago,IL(SILPHAN S36 M 1R1003 CLEAR))の片上にピペットを介して付着させた。PET剥離ライナーの第2の層をインク上に積み、PETライナーの重量を用いて配合物を広げた。材料を15ワットのGE F15T8BLブラックライト蛍光灯2つの下で30秒間硬化させて材料をゲル化し、続いてD-バルブを備えたFUSION LIGHT HAMMER 10(Heraeus Noblelight America,Gaithersburg,MD)を用いて追加で光曝露を行った。各配合物を、1回の通過当たりおよそ500ミリジュール/平方センチメートル(mJ/cm2)にて、Fusion D-バルブの下を4度通過させた。Fusion D-バルブの下で各サンプルを2回通過させて照射し、次いでサンプルを裏返し、反対側から照射して2回通過させた。
【0076】
調製例
パラ-チオフェニルベンジルアクリレート(PTPBA)の合成
【化10】
2リットル(L)の2つ口丸底フラスコに100グラム(g)(0.463モル(mol))のパラ-(フェニルチオ)ベンジルアルコール(S1)を加え、続いて350ミリリットル(mL)のジクロロメタン(DCM)を加えた。溶液を撹拌し、77mL(56g、0.5556mol)のトリメチルアミン(TEA)を加えた。次いでフラスコを氷浴内に置き、溶液を窒素(N
2)雰囲気下で撹拌した。100mLのジクロロメタン(DCM)中の56.3mL(62.7g、0.6944mol)の塩化アクリロイルを、DRIERITE(W A Hammond Drierite Co.,LTD,Xenia,OH)を含む乾燥管に接続された添加漏斗を用いて、(氷浴下で)撹拌溶液に滴加した。添加が完了した後、溶液を室温にまで温め、室温でN
2雰囲気下にて一晩撹拌した。
【0077】
反応の完了を、5:1のS2:S3を移動相として用いた粗反応の薄層クロマトグラフィーによって評価した。フラスコを氷浴内に置き、飽和重炭酸ナトリウムを用いて反応をクエンチした。回転蒸発を用いて、DCMの大部分を蒸発させた。次いで、粗溶液をS3に取り、有機部分を水(2回)及び食塩水(1回)を用いて抽出した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させて、粗生成物を褐色油状物として得た。粗生成物の拭き取りフィルム(wiped film)蒸発蒸留(条件:140℃ジャケット、22mTorr真空、10℃低流量凝縮器)、続いてカラムクロマトグラフィー(移動相として5:1のS2:S3)により、無色油状物として76gの純生成物を得た。BHT阻害剤(7ミリグラム(mg))を、最終アクリレートに添加した。1H NMR(500MHz、CDCl3):7.24-7.4(9H、m)、6.44(1H、m)、6.15(1H、m)、5.84(1H、m)、5.16(2H、s)。13C NMR(125MHz、CDCl3):δ=166.9、136.4、135.0、134.5、131.5、131.3、130.6、129.3、129、128.1、127.4、65.8。
【0078】
9,9-ビス[(アクリロイルオキシ)メチル]フッ素(FDA)の合成
【化11】
500mLの2つ口丸底フラスコに9H-フルオレン-9,9-ジメタノール(8g、35.4mmol)を添加し、続いて85mLのジクロロメタン(DCM)を添加した。溶液を撹拌し、そこにトリエチルアミン(8.6g、22mmol)を添加した。次いで、フラスコを氷浴内に置き、溶液をN
2雰囲気下で撹拌した。20mLのジクロロメタン中の塩化アクリロイル(9.55g、106ミリモル(mmol))を、DRIERITEを含む乾燥管に接続した滴下漏斗を用いて、(氷浴下で)撹拌溶液に滴下した。添加が完了した後、溶液を室温にまで温め、室温でN
2雰囲気下にて一晩撹拌した。
【0079】
反応転化率は、5:1(v/v)のヘキサン:酢酸エチルを移動相として用いた粗反応の薄層クロマトグラフィー(thin layer chromatography、TLC)によって評価した。フラスコを氷浴内に置き、飽和NaHCO3を用いて反応をクエンチした。ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)イソフタレート(およそ5mg)(米国特許第5,574,163号の実施例14に従って調製することができる)を加え、回転蒸発を用いてDCMの大部分を蒸発させた。次いで、粗溶液を酢酸エチルに取り、有機部分を水(25mLを使用して2回)及び食塩水(25mL)を用いて抽出した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させて、粗生成物を褐色油状物として得た。粗生成物のカラムクロマトグラフィー(移動相として、5:1のヘキサン:酢酸エチル)により、7.4g(63%)の生成物を淡黄色油状物として得た。BHT(阻害剤)(約7mg)を最終生成物に添加した。1H NMR(500MHZ、CDCl3):δ=7.69~7.84(2H、m)、7.60~7.62(2H、m)、7.42~7.46(2H、m)、7.31~7.34(2H、m)、6.39~6.43(2H、m)、6.14~6.20(2H、m)、5.86~5.89(2H、m)、4.48(4H、s)。13C NMR(125MHz、CDCl3):δ=165.8、144.4、140.8、131.4、128.7、128.0、127.4、125.0、120.3、65.9、52.9。
【0080】
(2-プロペン酸,1,1’-(チオジ-4,1-フェニレン)エステル)(BAPS)の合成
【化12】
4-(4-ヒドロキシフェニル)スルファニルフェノール(Millipore Sigma,St.Louis,MO)(150g、687mmol)を、2.2当量のトリエチルアミン(153g)及び0.005当量のジメチルアミノピリジン(Millipore Sigma,St.Louis,MO)(0.424g)と共に、1000mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた。溶液を氷浴で0℃に冷却し、2.16当量の塩化アクリロイル(Millipore Sigma,St.Louis,MO)(133g)を、15度未満の温度を維持するためにゆっくりと添加した。添加完了後、反応生成物を一晩で室温にした。回転蒸発によりTHFを除去し、得られた固体を水及び酢酸エチルで洗浄した。有機相を回収してMgSO
4で乾燥させ、次いで濾過して溶媒を除去した。以下の条件で、回転膜蒸発により最終精製を実施した:粗生成物を85℃に保持し、150℃のジャケット、85℃の凝縮器、及び5mTorrの真空状態で蒸発器に供給した。生成物は、室温で白色固体である。
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ=7.37(4H、m)、7.10(4H、m)、6.6(2H、dd)、6.3(2H、dd)、6.0(2H、dd)。
【0081】
1,3,4-チアジアゾール-2,5-ジイル)ビス(スルファンジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ジアクリレート(TDZDA)の合成
【化13】
工程1:2,2’-((1,3,4-チアジアゾール-2,5-ジイル)ビス(スルファンジイル))ビス(エタン-1-オール)(TDZ-OH)の合成
水酸化ナトリウム(21.0g、525mmol)を、撹拌棒を取り付けた丸底フラスコに入れ、水(80mL)に溶解した。1,3,4-チアジアゾール-2,5-ジチオール(Millipore Sigma,St.Louis,MO)(38.6g、257mmol)をゆっくりと添加し、溶液が均質になるまで混合物を1時間撹拌した。その後、2-クロロエタノール(Millipore Sigma,St.Louis,MO)(40mL、600mmol)を滴下した。混合物を60℃まで2時間加熱し、次いで室温まで放冷した。生成物が溶液から沈殿し、これを濾過し、真空オーブン(60℃、1torr)内で一晩乾燥させた。白色結晶性固体を得た(53.2g、87%収率)。
【0082】
工程2:1,3,4-チアジアゾール-2,5-ジイル)ビス(スルファンジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ジアクリレート(TDZDA)の合成
撹拌棒及び滴下漏斗を取り付けた、フレームドライした2つ口フラスコに、TDZ-OH(50.0g、210mmol)を入れた。ジクロロメタン(DCM)(400mL)を、4-ジメチルアミノピリジン(2.56g、20.7mmol)及びトリメチルアミン(TEA)(80mL、574mmol)と共に加えた。系をN2でフラッシュし、塩化アクリロイル(65mL、799mmol)とジクロロメタン(DCM)(100mL)との混合物を添加漏斗に加えた。反応フラスコを氷浴で0℃まで冷却し、塩化アクリロイル/CH2Cl2混合物をゆっくりと数時間かけて滴下した。反応混合物を一晩撹拌し、室温まで温めた。その後、混合物を0℃まで冷却し、次いでメタノール(20mL)でクエンチし、続いて重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチした。有機層を水層から分離し、水で洗浄し、続いて食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。得られた粘稠油を、S2/S3を用いた自動フラッシュクロマトグラフィー(Biotage Isolera)によって精製し、淡黄色の液体を単離した(41.1g、収率57%)。
【0083】
4,4’-ビス[(アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルフィド](BADS)の合成
BADSは、You et al.,Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.48,2604-2609(2010)に記載の方法に従って合成した。
【表2】
【表3】