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特許7466468超薄型プリプレグシート及びその複合材料
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】超薄型プリプレグシート及びその複合材料
(51)【国際特許分類】
   B29B 11/16 20060101AFI20240405BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20240405BHJP
【FI】
B29B11/16
B29K105:08
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020569996
(86)(22)【出願日】2019-06-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2019066328
(87)【国際公開番号】W WO2019243488
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】18178979.3
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517149209
【氏名又は名称】テープ、ウィービング、スウェーデン、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】TAPE WEAVING SWEDEN AB
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】ナンダン、コーカー
(72)【発明者】
【氏名】ダービィド、カールステット
(72)【発明者】
【氏名】ソライア、ピメンタ
(72)【発明者】
【氏名】レイフ、アスペー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ、エム.グレーザー
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム、モロー
(72)【発明者】
【氏名】フロランス、リン
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック、オールソン
【審査官】武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-208457(JP,A)
【文献】特開2018-062638(JP,A)
【文献】国際公開第2012/081407(WO,A1)
【文献】特表2012-521450(JP,A)
【文献】特開2005-232224(JP,A)
【文献】特開平09-327536(JP,A)
【文献】特開平11-254562(JP,A)
【文献】実開平04-096331(JP,U)
【文献】RYO UMEKI、AYA TANAKA、ET AL,A NEW UNIDIRECTIONAL FIBER PREPREG USING PHYSICALLY MODIFIED EPOXY MATRIX WITH CELLULOSE NANO FIBERS AND SPREAD TOWS,COMPOSITE:PART A,2016年,Vol.90,p.400-409
【文献】笹山秀樹、川邊和正、et al,多方向強化複合材料積層板の初期破損に関する層厚さの影響,日本複合材料学会誌,2004年,Vol.30, No.4,p.142-148
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 11/16;15/08-15/14
C08J 5/04- 5/10;5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維補強体と、熱硬化性又は熱可塑性のマトリックス材料と、を含むプリプレグシートであって、前記繊維補強体は一方向広がり繊維を含み、前記プリプレグシートは100マイクロメートル未満の厚さを有し、
前記マトリックス材料が、連続又は不連続の線の形態を有し、前記繊維の方向とは異なる方向に少なくとも部分的に延び、又は分離されたドット又は斑点の形態を有し、前記マトリックス材料が、前記繊維補強体の少なくとも1つの面に取り付けられた、層の形態で提供され、前記層には、前記層を通して前記繊維補強体の繊維を露出させるための細孔又は開口部が設けられている、プリプレグシート。
【請求項2】
前記厚さが10~70マイクロメートルの範囲であり、好ましくは15~50マイクロメートルの範囲であり、最も好ましくは20~40マイクロメートルの範囲である、請求項1に記載のプリプレグシート。
【請求項3】
前記プリプレグシートは、5mmを超える長さ及び2mmを超える幅を有するテープの形態である、請求項1又は2に記載のプリプレグシート。
【請求項4】
その繊維のクリンプ角度が3度未満であり、好ましくは2度未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載のプリプレグシート。
【請求項5】
前記プリプレグシート内の繊維の体積分率が40%以上であり、好ましくは50%以上であり、最も好ましくは60%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のプリプレグシート。
【請求項6】
前記プリプレグシート内の繊維の体積分率が90%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のプリプレグシート。
【請求項7】
前記マトリックス材料の重量が、前記プリプレグシートの総重量の5~50%の範囲内であり、好ましくは20~50%の範囲内であり、最も好ましくは20~40%の範囲内である、請求項1~6のいずれか一項に記載のプリプレグシート。
【請求項8】
それは、5~100g/mの繊維面積重量を有し、好ましくは10~80g/mの繊維面積重量を有し、最も好ましくは15~50g/mの繊維面積重量を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のプリプレグシート。
【請求項9】
前記繊維が、炭素繊維を含み、好ましくは超高弾性率炭素繊維(UHMCF)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のプリプレグシート。
【請求項10】
熱硬化性の前記マトリックス材料が第1温度未満で固体状態にあり、前記第1温度を超えると柔らかく粘着性であり、前記マトリックス材料が、第2温度を超えてある時間加熱されると不可逆的に硬化し、前記第1温度が20℃以上であり、前記第2温度が前記第1温度よりも高い、請求項1~9のいずれか一項に記載のプリプレグシート。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のプリプレグシートを少なくとも2つ備える多層構成体であって、前記プリプレグシートが少なくとも部分的に互いに重なり合って配置され、前記重なり合うプリプレグシートが、相互に異なる方向に配向されたそれらの繊維を有する、多層構成体。
【請求項12】
前記プリプレグシートの少なくともいくつかは、前記多層構成体の全幅及び/又は全長にわたって延びるテープである、請求項11に記載の多層構成体。
【請求項13】
前記プリプレグシートの少なくともいくつかは、5~80mmの長さ及び2~30mmの幅を有するテープである、請求項11に記載の多層構成体。
【請求項14】
複合材料の製造のための請求項1~10のいずれか一項に記載のプリプレグシートの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、プリプレグと呼ばれるマトリックス材料が事前に含浸された繊維/布補強体及びそれらの複合材料に関する。特に、本発明は、比較的大きな利点と利便性を有する複雑な形状の複合材料製品を製造するためのテープで構成される新規の超薄型プリプレグシートに関する。
【背景技術】
【0002】
プリプレグは、複合材料の製造において何十年にもわたって広く使用されてきた。多くの分野で複合材料の使用が増えるにつれ、複雑な形状の製品を経済的に製造する必要も伴っている。様々なタイプの利用可能な繊維補強体は比較的厚く、場合によっては必要以上に非常に長く、複雑な形状を有する複合材料部品を作りたい場合にドレープの困難性が示される。この問題は、特にCO2排出を削減してエネルギー利用を増やすための輸送のための手段において、複合材料のより多くの使用を可能にするために、克服される必要がある。輸送用途での複合材料の使用はまた、それらが安全性を高め、比較的迅速又は短いサイクル時間で大量に生産可能であり、製造の利便性を与え、そして低い製造コストを有することを必然的に伴う。
【0003】
したがって、複雑な形状の複合材料部品の製造とそれらの経済的な製造を可能にするには、薄い繊維補強体の使用が必要である。特定の用途及び状況に関する最適な長さの補強体の使用とともに、薄い補強体は、例えば、狭いコーナー内への、非常に小さな半径の曲げ部/エッジにわたって、同時に複数の曲率などにおいて、最も良好なドレープを実現できる。しかしながら、そのような薄い繊維補強体の使用は、面倒で、退屈で、費用がかかる。また、従来の乾燥した「薄い」繊維補強シートは、それらは連続繊維を含む一方向に織物、多軸などのタイプ又はランダムな方向のカット/刻まれた繊維を含む有機タイプでさえも、比較的厚く、通常は約0.15~0.2mmである。そのような刻まれた繊維はまた、時々、必要以上に長くなる傾向があり、例えば、20mmより長い。複数のそのようないわゆる「薄い」補強体とマトリックス材料を含むプリプレグシートは、さらに厚くなる傾向があり、通常は約0.25~0.3mmである。そのような利用可能な「薄い」プリプレグシートは、複雑な形状物内に無理やり押し込まれると樹脂又はマトリックス材料に亀裂が生じることを原因として、横方向に裂けて、ギャップを生じて材料の性能及び信頼性が低下する傾向も有する。
【0004】
改善された面内等方性特性を作り出して、分割を減らすために、「薄い」一方向連続繊維性トウ(tow)は、通常、プリプレグシートにおいて相互に異なる多軸配向、通常は4つ(0°、90°、±45°)、で接合される。プリプレグシートにおける4つの補強体のそのような積み重ねられた配置の合計の厚さは、図らずも、少なくとも0.6~1mmである。そのようなシートをより多く重ねると、それに応じたより厚い積み重ねの状態にされる。したがって、現在、合計で0.5mm未満の厚さ、例えば、0.08~0.16mmの厚さ、の4つの補強体を含む平面等方性複合材料の製造には制限があり、それは、現在利用可能なものよりも少なくとも80%薄い。さらに、利用可能な「薄い」プリプレグシートの樹脂含有量が比較的高いと、繊維の体積分率が低下し、それらの面積重量が増加する。この制限は、有機タイプのプリプレグにも当てはまり、4層の布地又は繊維性トウのいずれかの使用されている刻まれた/カットされたピースは、少なくとも0.5~1mmの厚さをもたらす。薄い面内等方性複合材料の製造を可能にするには、極薄の補強体の使用が必要である。
【0005】
(一方向布、織物布、バイアス布、多軸布などにおけるような)接合された連続繊維と、(規則的又はランダムな配向配置のいずれかにおけるような)刻まれた/カットされたピースとは、1つ又は複数の場所で相互に異なる配向でのオーバーラップが生じるため、それらは、結果として生じるプリプレグにおいていくつかの皺を生成する傾向がある。繊維性トウによって作り出されるクリンプ角度(crimp angle)は、プリプレグにおいて別の繊維性トウの上/下に積み重ねられることが生じる繊維性トウの相対的なピースの数及び/又は厚さに応じて、大きいものから小さいものまで変化しうる。最小のクリンプ角度は、1つの繊維性トウが他の繊維性トウと重なる際に生じ、それは典型的には、それらの間の角度形成の所定の距離に関して約4°~8°である。単一の刻まれた繊維性トウは、それがたまたま一つ以上の繊維性トウの上/下にある場合、時々、複数のクリンプ角度さえも示しうる。より高い材料特性を実現するには、クリンプ角度ができるだけ小さいことが重要であり、例えば超薄型補強体を使って3°未満である。低いクリンプ角度は、高い面内剛性を実現するために有利である。低いクリンプ角度は、重なり合う繊維間の面外のずれ角度を低減し、例えば複合材料ラミネートにおいて、完全に真っ直ぐな繊維の可能な限り高い剛性に近づけることを達成することを可能にする。
【0006】
これまで考慮されていなかった別の重要な側面は、硬い炭素繊維、特にピッチ型炭素繊維(pitch type carbon fibres)などの超高弾性炭素繊維(UHMCFs)、を使用して、薄い複合材料の機械的特性を増大させることである。UHMCFは、横方向の力を受けるとそれらが脆く壊れるため、使用されていない。UHMCFの利用可能ないわゆる「薄い」プリプレグは、比較的厚いトウを使用して製造されるため、薄い複合材料ではそれらの極度な性能はほとんど利用されないままである。そのような「薄い」プリプレグは、UHMCFの広がり繊維(spread fibres)を含まず、含むことができない。
【0007】
さらに、これまで見過ごされてきたさらに別の側面は、採用された方法に起因する、利用可能な「薄い」プリプレグにおける過剰な樹脂又はマトリックス材料の存在であり、当該採用された方法は、繊維シートを完全に覆って過剰飽和にする樹脂を適用する。その樹脂は、繊維を濡らすのにちょうど十分な量では適用されない。また樹脂は、繊維を濡らすための熱及び圧力の適用の際にその迅速な拡散及び相互合体/結合を容易にするために適切なパターンでそれが分布して存在するように、適用されない。したがって、いくつかの領域において適切なパターンで配置され、それによってその後の迅速な広がりが繊維を濡らして他の領域において繊維を乾燥させることを可能にすることによる、ちょうど十分な量の樹脂を含むプリプレグは、まだ知られていない。
【0008】
さらに、比較的厚いプリプレグは、隣り合って接合されたプリプレグシートの繊維間に存在する不必要に比較的過剰な樹脂を有する。過剰な樹脂は、その層の構成繊維間の距離を増加させる。この増大された距離は、次に、(a)接合されたシートにおいて、その層間のマトリックスの亀裂(層間剥離)をもたらす高い面外せん断応力を生じさせ、それは複合材料の性能と信頼性を低下させ、(b)プレス成形プロセス中の、特に急な折り曲げにおいて、繊維の、とりわけ内側層の、割裂及び座屈/屈曲をもたらしつつ、重ねられた繊維が相互に異なる配向及び面で生じ、それは特性の低下に再度つながる。繊維、特にUHMCFのような脆いタイプ、の屈曲及び割裂は、それらの特性をより高く実現するために防止され又は最小限に抑えられる必要があり、それによって複合材料の性能が向上させられる。したがって、接合されたプリプレグシートの繊維間の距離は、可能な限り小さくした方がよい。接合された繊維の相互滑りを可能にするために、すべり面として機能する樹脂の非常に薄い層/フィルムのみが必要である。
【0009】
刻まれた/カットされたトウ又はランダムな方向に配置されたプリプレグのピースを含むプリプレグシートの使用は、例えばEP 2796604、EP 2671991、EP 2669081、EP 3013546、EP 2716693などに記載されており、複雑な形状のパーツを作り出すために考慮されるルートも、当然、上記のすべての不備を有する。
【0010】
したがって、従来技術の上記で論じた欠点の少なくともいくつかに対処する、改良されたプリプレグシートが必要である。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、新しいプリプレグシート及びそのようなプリプレグシートを含む多層構成体を提供することであり、これまでに知られている解決策に関連する上記の問題の少なくともいくつかを軽減する。
【0012】
この目的は、添付の特許請求の範囲において定められているようなプリプレグシート及び多層構成体によって達成される。
【0013】
発明の第1態様によれば、繊維補強体又は熱可塑性マトリックス材料の熱硬化性樹脂を含むプリプレグシートが提供され、繊維補強体は一方向広がり繊維を含み、プリプレグシートは100マイクロメートルよりも小さい厚さを有する。
【0014】
一実施形態において、その厚さは、10~70マイクロメートルの範囲であり、好ましくは15~50マイクロメートルの範囲であり、最も好ましくは20~40マイクロメートルの範囲である。
【0015】
一実施形態において、プリプレグシートは、5mmを超える長さと、2mmを超える幅とを有するテープの形態である。
【0016】
一実施形態において、その繊維のクリンプ角度は、3度未満、好ましくは2度未満、である。
【0017】
一実施形態において、プリプレグシート内の繊維の体積分率は、40%以上、好ましくは50%以上、最も好ましくは60%以上、である。
【0018】
一実施形態において、プリプレグシート内の繊維の体積分率は、90%以下である。
【0019】
一実施形態において、マトリックス材料の重量は、プリプレグシートの総重量の5~50%の範囲内であり、好ましくは20~50%の範囲内であり、最も好ましくは20~40%の範囲内である。
【0020】
実施形態において、プリプレグシートは、5~100g/m2、好ましくは10~80g/m2、最も好ましくは15~50g/m2の範囲の繊維面積重量を有する。
【0021】
一実施形態において、繊維は、炭素繊維、好ましくは超高弾性率炭素繊維(UHMCF)、を含む。
【0022】
一実施形態において、熱硬化性マトリックス材料は、第1温度未満で固体状態であり、前記温度を超えると柔らかく粘着性であり、マトリックス材料は、第2の温度を超えてある時間加熱されると不可逆的に硬化し、第1温度が20℃以上であり、第2温度が前記第1温度よりも高い。
【0023】
一実施形態において、マトリックス材料は、繊維の方向とは異なる方向に少なくとも部分的に延びる、連続又は不連続の線の形態で提供される。
【0024】
一実施形態において、マトリックス材料は、分離されたドット又はスペックルの形態で提供される。
【0025】
一実施形態において、熱硬化性又は熱可塑性マトリックス材料は、繊維補強体の少なくとも1つの表面に取り付けられた層の形態で提供され、前記層には、前記層を通して補強体の繊維を露出するための細孔又は開口部が設けられている。
【0026】
発明の別の態様によれば、上記のタイプの少なくとも2つのプリプレグシートを含む多層構成体が提供され、プリプレグシートは、少なくとも部分的に互いに重なり合って配置され、重なり合うプリプレグシートは、お互いに異なる方向に配向されたそれらの繊維を有する。
【0027】
一実施形態において、プリプレグシートの少なくともいくつかは、多層構成体の幅及び/又は長さの全体にわたって延びるテープである。
【0028】
一実施形態において、プリプレグシートの少なくともいくつかは短いテープであり、当該短いテープは、好ましくは5~80mmの長さ及び2~30mmの幅を有し、最も好ましくは20~50mmの長さ及び5~20mmの幅を有する。
【0029】
発明のさらに別の態様によれば、複合材料の製造のための上記で論じたようなプリプレグシートの使用が提供される。
【0030】
本発明は、少なくとも部分的に、以下の集合的特徴を備えた、好ましくはテープの形態の、プリプレグシートを提供することによって、上記で論じたような、既知の解決策に関連する欠点を克服することに留意される:
(i)それは、広がり繊維(spread fibres)で構成されているため、現在利用可能なプリプレグよりも薄い;
(ii)その薄い広がり繊維は、好ましくは、現在可能なものよりも小さいクリンプ角度を作り出す;
(iii)それは、好ましくは、極度な性能を得るために、硬い炭素繊維で、好ましくはUHMCFで、構成される;
(iv)それは、好ましくは、ちょうど十分な量の樹脂を有し、当該樹脂は、熱及び圧力がかけられたときに繊維を濡らすためにその迅速な拡散/分散を容易にするのに適切なパターンで配置される;及び
(v)それは、好ましくは、プリプレグシートの重なり合う層の繊維間に非常に短い距離を作りだし、例えばドレープ中に、その中に存在する樹脂の薄層によってそれらの相互滑りを容易にする。
【0031】
したがってこの発明は、好ましくは連続繊維テープ又はテープの刻まれた部分のいずれかを含む、新規のプリプレグシートを提供する。そのようなテープは、幅よりも大きなそれらの長さを有し、幅はここで明確にされたテープの厚さよりも大幅に大きい。ここでの「テープ」という用語は、一般に認識されている著しく長く、比較的狭くて薄い繊維状集合体のシート構造を意味することを、除外するものでもないし、必ずしも限定するものでもない。これは、幅を指す「狭い」という態様が、数ミリメートルから1mを超える範囲、例えば1mm~2000mmの範囲、にある可能性があるためである。任意の幅のこれらすべての超薄型プリプレグテープ/シートは一方向繊維を含み、つまり、ほとんどの繊維はテープ/シートの長手方向への実質的に配向が生じる。繊維の配向のわずかな変動/偏差は、混合、ねじれ、クリンプなどの他の側面と同様に、それらの柔軟な性質のために固有のものである。繊維の直線性におけるそのような自然に発生する変化は、ここでは一方向繊維の範囲内に含まれる。重要かつ特異的なことに、そのような単一のプリプレグテープの厚さは、20~40マイクロメートル(すなわち、0.02~0.04mm)の範囲であると定められ、以後、超薄型プリプレグテープと呼ばれる。そのような超薄型プリプレグテープは、一方向に配向された繊維、好ましくは、特にUHMCFタイプの、広がり炭素繊維(spread carbon fibres)、と、以下で明確にされる量でちょうど十分である適切な樹脂と、を含む。これらの超薄型プリプレグテープは、織り、バイアス、多軸などの補強体を製造するために使用されうる。これらのカスタマイズされたテープは、同じ形状又は異なる形状に刻まれる/カットされることもでき、ランダムに配置されたタイプと整然と配置されたタイプの両方の有機タイプの補強体を製造するために使用されることができる。
【0032】
したがって、超薄型プリプレグテープは、連続長さの形態又は不連続長さの形態で使用されることができる。連続長さの超薄型プリプレグテープによって、単一ユニットとして1つのエッジから別のエッジまで延びるストレートテープが意味され、当該エッジは、例えば、織り、バイアス、多軸などの適切な配置から生じるシートの対向エッジ又は隣接エッジとしうる。不連続長さの超薄型プリプレグテープによって、有機シートなどのそれらのランダムな散乱及び配向の配置から生じるシートのエッジ間で単一のユニットとしては延びないストレートテープが意味される。連続長さ及び不連続長さの超薄型プリプレグテープの配置は、必要な熱と圧力を加えることによって複合材料に変換できる。
【0033】
新しい超薄型プリプレグテープは、それらの薄さ及び適切な長さが、非常に小さな半径のエッジと鋭い曲げで、同時に複数の曲率などに、曲がること及び狭いコーナーへの構成を保証するので、高いドレープ能力を保証する。織物、バイアス、多軸などの補強材製品において、構成要素である超薄型プリプレグテープが、相互に異なる方向に積まれて重ねられて存在する。有機プリプレグシートを製造するために、規則的又は不規則な形状のカットされた/刻まれたピースの形態の超薄型プリプレグテープが使用される。カットピースはランダムに又は整然と配向されることが生じ、シートの表面で互いに部分的に重なり合う。超薄型プリプレグテープのそのような規則的及び不規則な形状のカットされた/刻まれたピースは、好ましくは、5~80mmの長さ及び2~30mmの幅、最も好ましくは20~50mmの長さ及び5~20mmの幅、及び望ましい性能と形状形成能力を実現するために20~40マイクロメートルの厚さの範囲の全体寸法を有する。
【0034】
独自に、結果として得られる有機タイプのプリプレグにおいて刻まれた/カットされたプリプレグによって作られるクリンプ角度が大幅に減少する。トウを含む利用可能な有機プリプレグで得られるクリンプ角度と比較して、超薄型の刻まれた/カットされたプリプレグテープを含む有機プリプレグは、非常に小さい、実質的にほとんど無視できる、典型的には3°未満のクリンプ角度を示す。プリプレグテープの極薄に起因するそのような小さいクリンプ角度の重要な利点は、繊維複合材料でのせん断応力の発生が大幅に減少することであり、それは、それに応じて複合材料の性能と信頼性を向上させる。小さなクリンプ角度のもう1つの利点は、重なり合う細かく刻まれた超薄型プリプレグ間にちょうど十分な樹脂が存在することである。
【0035】
超薄型プリプレグテープはちょうど十分な量の樹脂を含み、つまり、個々のテープに適用される樹脂の量が、0.02~0.04mm(20~40マイクロメートル)の範囲の厚さを有する超薄型プリプレグテープをもたらしつつ、個々のプリプレグテープにおける繊維体積分率が少なくとも40%であることを意味する。超薄型プリプレグテープの圧縮スタックの繊維体積分率は90%を超えない。超薄型プリプレグテープを製造するのに使用される樹脂又はマトリックス材料は、熱硬化性又は熱可塑性のいずれかのタイプにすることができる。有利には、ちょうど十分な樹脂の使用は、環境への害を比較的小さくすることを促進する。
【0036】
樹脂又はマトリックス材料のちょうど十分な量は、検討中の繊維補強体の面積重量及び/又は体積に関連して好ましいパターンで計算された量の樹脂を適用することによって実現され、それは熱及び圧力の適用の際の樹脂のより迅速な拡散/分散及び相互合体/結合を支援する。適用される樹脂のパターンは、樹脂の粘度及び組成を考慮することを要する。樹脂はパターンにおいて間隔が空けられているため、超薄型の広がり繊維におけるその分布は、熱及び圧力を加えた際のその広がり及び相互合体のための最短経路が素早く繊維を濡らすことを保証する。有利には、超薄型プリプレグテープはその繊維の大部分が表面に露出して存在しており、樹脂がそれらを濡らすために繊維塊に深く流れ込む必要がないので、過剰な量の樹脂は必要とされない。超薄型プリプレグテープに存在する樹脂の量は、好ましくは、超薄型プリプレグテープを構成する繊維の20~50重量%の範囲である。超薄型プリプレグテープの繊維面積重量は、好ましくは10~80g/mの範囲である。超薄型プリプレグは今のところ知られていない。
【0037】
樹脂又はマトリックス材料は、複合材料の意図された最終使用に応じて、熱硬化性又は熱可塑性のいずれかのタイプにすることもできる。使用される熱硬化性配合物は、好ましくは、一般に利用可能な熱硬化性ベース樹脂システム(エポキシ、ベンゾオキサジン、ビスマレイミド(BMI)、ポリイミドなど)のうちの1つを使用し、それを、水性タイプの養生剤/硬化剤を含む養生剤/硬化剤(例えば、第一級アミン(例えば、芳香族、脂環式、脂肪族タイプ)、第二級アミン、第三級アミン、ポリアミド樹脂、イミダゾール、無水物、ポリマーカプタン、過酸化物、潜在硬化剤など)及びその他の選択が自由な成分(触媒、促進剤、難燃剤、充填剤、強化剤など)と、適切な重量比率で組み合わせることで、化学の当業者が作ることができる組成物であり、それによって、もたらされる配合物は、50cP~1000000cPの様々な粘度の範囲及び50℃~250℃の様々な養生/硬化温度の範囲、及び1ミリ秒~2週間の様々な養生/硬化時間の範囲を得るように調整される。
【0038】
得られた新規の超薄型プリプレグは、20℃~200℃の温度範囲で繰り返し軟化する能力を独自に発揮する。使用される配合物に応じて、樹脂配合物の養生/硬化温度は、典型的には、50℃から180℃まで、又はベース樹脂システムBMIが使用されている場合は最大250℃まで、の範囲にある。樹脂の養生/硬化温度が上記の範囲を超えると、粘性のある養生剤/硬化剤が液化し、化学反応又は重合を引き起こす。そして配合物は、必要な加熱時間の後に永久にセット及び養生/硬化し、薄い層の補強体を封入する。養生/硬化に必要な時間は、作られるパーツの形状(例えば相対的な厚さ-薄さ)に加えて、採用されるベース樹脂システムの配合物、養生剤/硬化剤、及び使用されるその他の成分の組成に依存する。
【0039】
熱可塑性樹脂を使用したい場合、それは、最終用途の要件に応じて、次の選択肢から選択されることが好ましい、例えばエアロ用途に関してはPEEK、PEKK、PPSなど; 自動車用途に関してはPA、PA6、PA6.6、PA12;スポーツ用途に関してはPC、ABS、PP、PEなど。
【0040】
使用される熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂の配合物によっては、それは必要に応じて加熱することで粘着性を持たせられることができる。したがって、得られた超薄型プリプレグは、いくつかの部分において樹脂含浸繊維を示し、他の部分においてそれらの間に無数の細かい微細孔/開口部/隙間を有する乾燥繊維を示す。
【0041】
超薄型プリプレグは、必要に応じて(例えばドレープして形状を形成するために)、任意の所望のエリア/領域で全体的又は部分的に柔らかくされることができ、前述のとおり、必要な期間、配合物の温度閾値を超えることによって養生/硬化され又は固化されることができる。
【0042】
超薄型プリプレグを、例えばモールド内にある際に、必要な温度、時間、圧力にさらすと、制御された体積と方法(例えばモールド内)で、一定量のパターン化された樹脂の粘度が低下し、液化し、拡散し、すべての場所で一度に合体し、硬化/固化時に繊維を封入する。薄層補強体の繊維のほとんどが表面に露出して存在しており、樹脂が補強体内に深く浸透する必要がないため、液化樹脂は、薄い補強体の繊維を、全ての場所において、均一かつ迅速に巻き込み且つ埋め込む。誘導加熱法では、他の加熱方法に比べて、樹脂の液化とそれによる超薄型プリプレグの含浸が、よりスピーディーに実現される。それにより、超薄型プリプレグの複合材料への変換が、有利には、時間及びエネルギーをあまり必要としない。有利には、樹脂が液化及び拡散し始めると、薄層樹脂パターン補強繊維/布の空気が、無数の細かい微細孔/隙間/開口部などを通って簡単かつ迅速に逃げる。気泡の閉じ込めが事実上排除され、ボイドのない複合材料製品が得られる。今想像できるように、超薄型プリプレグの複合材料製品への変換は、かなり整然として、経済的で、便利である。
【0043】
2つの相互に重なり合うか又は接合された/積み重ねられた超薄型プリプレグテープの繊維間の樹脂又はマトリックス材料の厚さは、好ましくは2~4マイクロメートル(すなわち、0.002~0.004mm)の範囲である。したがって、樹脂又はマトリックス材料の超薄層/フィルムが、2つのテープの繊維間に存在する。そのようなそれらの間の極薄の樹脂は、例えばプレス成形プロセス中に、接合されたテープにおける繊維の相互滑りを可能にするスリップ面として機能するのに十分である。
【0044】
新規の超薄型プリプレグシートの使用によるいくつかの利点を、この発明の理論的根拠を示すためにここで例示することができる。面内等方性構造に関するバランスの取れたレイアップ(lay-up)を得るために、2つの繰り返しシーケンスでの通常の4つの配向で積み重ねられた8枚の超薄型プリプレグテープの構成体は、0.16~0.32mmの範囲である。同じ8層構造の典型的な「薄い」多軸プリプレグの厚さは約1~2mmである。比較すると、この発明の超薄型プリプレグを含む多軸材料は、平均して、現在利用可能な典型的な「薄い」多軸材料よりも、少なくとも80%薄い。クリンプ角度における対応する減少もあり、それによって面内剛性が増加する。さらに、UHMCFの特性が非UHMCF(つまり、通常の炭素繊維)の特性よりもはるかに大きいため、同様の厚さと繊維配向のそれらの層は、対応する増大した特性を示す。したがって、UHMCFを含む超薄型プリプレグシートの層を必要数使用することで、非常に高い特性を示す比較的薄い複合材料が得られるということになる。例えば、少なくとも150GPaの面内剛性及び700MPaを超える面内引張強度を有する複合材料薄層である。さらに、超薄型プリプレグシートは、典型的な「薄い」シートよりも薄く、したがって、接合された繊維間で比較的短い距離を有するので、それらは、タイトなコーナー、鋭い曲がり、複数の曲率等に簡単にドレープされるのにも役立つ。さらに、超薄型プリプレグシートは、その迅速な拡散/分散及び合体を可能にするパターンに配置されたちょうど十分な樹脂を含むので、その新規な超薄型プリプレグシートは、複雑な形状の複合材料製品に比較的迅速に変えられることができる。したがって、この発明の超薄型プリプレグは、独自に、経済的な生産を可能にする。
【0045】
さらに、対応する多方向耐荷重能力を付与するために超薄型プリプレグテープが2つ以上の方向に交差接合(cross-plied)されると、交差接合の繊維の相互横方向変位に対する増大された抵抗があり、それは、以下のように簡単に説明される「シンプライ効果(Thin-Ply Effect)」と呼ばれる。超薄型プリプレグテープの繊維の大部分は表面に露出して存在しているため、ちょうど十分な樹脂又はマトリックス材料が、これらの繊維を互いに非常に密接に交差接合繊維配置で結合/接着する。このようにして、相互にオーバーラップ又は接合された/重ねられた2つの超薄型プリプレグテープの繊維間の距離は、2~4マイクロメートル(つまり、0.002~0.004mm)の範囲に、極度に短くされる。交差接合された繊維間の大幅に短縮された距離は、樹脂の裂けに大きく抵抗するのに役立ち、それによって微小亀裂の進行を抑制し、結果としてそれが、得られる複合材料の信頼性/耐久性を増大させる。
【0046】
新規の超薄型プリプレグテープは、織り、バイアス、多軸などの材料を製造するのに使用できる。また、それは刻まれてピースにされて、適切なタイプの複合材料製品を製造するために、有機シートと呼ばれるランダムに配向した繊維マットを作り出すために使用されることができる。
【0047】
上記の説明は、新規の超薄型プリプレグテープが(a)UHMCFのみを含むという仮定につながるべきではなく;それらはまた、非UHMCF、又はUHMCFと非UHMCFの両方のブレンドを含みうるものであり、(b)従来のプロセスによって複合材料製品を作る際における使用には不適切である。新規の超薄型プリプレグテープの有利な側面は、必要に応じて、それらが部分的なプリプレグにされることもでき、すなわち、樹脂又はマトリックス材料のうちの1つ又は複数の成分を含み、樹脂トランスファー成形、真空アシスト樹脂トランスファー成形、樹脂フィルム注入、プレス成形、引抜成形、フィラメントワインディングなどの従来の方法によって適切に処理されることができることであり、(熱硬化性樹脂による)ポリマー硬化又は(熱可塑性樹脂による)固化を実現するように残りの樹脂成分が含まれる。
【0048】
ここで、超薄型プリプレグテープとそれらの織物、バイアス、多軸などの製品は、複合材料でさえ、現場で遺産やその他の建物、橋、柱などの強化コンクリート構造物を強化する際の使用に非常に適していることが示されうる。それは必要な数の層に適用されて、必要な熱及び圧力の適用によって又は適切な接着剤を使用することによって準備した表面に接着されることができる。UHMCFの使用に由来する超薄型プリプレグテープの比較的軽量で極度な性能は、それが構造物に過度の負担をかけることなく弱い構造物に比較的高い強度を与えるため、古い歴史的建造物での使用に関して及び比較的軽量で現場での取り扱いと使用が簡単であることに関して、特に有利である。
【0049】
本発明による示された集合的特徴を有する超薄型プリプレグテープ、及び結果として得られるその複合材料は、まだ知られていない。したがって、新規の超薄型プリプレグテープ及びその複合材料は、以下に説明される実施形態に言及してさらに明確化される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
例示の目的で、発明は、添付の図面に示されるその実施形態を参照して、以下でより詳細に説明される:
図1図1は、様々な分布パターンでちょうど十分な量の樹脂を持つ一方向広がり繊維テープの形態の超薄型プリプレグシートを例示する。
図2a図2a及び図2bは、異なるタイプの織られたプリプレグシートを例示する; 前者は、織布において縦糸及び横糸として存在する様々なタイプの超薄型プリプレグテープを例示し、後者は、超薄型広がり繊維テープを含む織布プリプレグを例示する。
図2b図2a及び図2bは、異なるタイプの織られたプリプレグシートを例示する; 前者は、織布において縦糸及び横糸として存在する様々なタイプの超薄型プリプレグテープを例示し、後者は、超薄型広がり繊維テープを含む織布プリプレグを例示する。
図3a図3a及び図3bは、異なるタイプのバイアスプリプレグシートを例示する;前者は、バイアス材料において相互に角度のある向きで存在している異なるタイプの超薄型プリプレグテープを例示し、後者は、超薄型広がり繊維テープを含むバイアス材料プリプレグを例示する。
図3b図3a及び図3bは、異なるタイプのバイアスプリプレグシートを例示する;前者は、バイアス材料において相互に角度のある向きで存在している異なるタイプの超薄型プリプレグテープを例示し、後者は、超薄型広がり繊維テープを含むバイアス材料プリプレグを例示する。
図4a図4は、ランダムな配向で存在している超薄型プリプレグテープの様々に刻まれたピースを含む有機補強材を例示する。
図4b図4は、ランダムな配向で存在している超薄型プリプレグテープの様々に刻まれたピースを含む有機補強材を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下の詳細な説明において、本発明の好ましい実施形態が開示される。しかしながら、様々な実施形態の特徴は、実施形態間で交換可能であり、他に特に示されない限り、様々な方法で組み合わせられることができることが、理解されるものとする。明確にするために、図面に示されているある構成要素の寸法は、発明の実際の実施における対応する寸法とは異なる場合があることにも留意されうる。以下の説明において、本発明のより完全な理解を提供するために多くの具体的な詳細が示されているが、これらの具体的な詳細なしで本発明が実施されうることは当業者には明らかである。他の例では、本発明を曖昧にしないために、周知の構造又は機能が詳細に説明されていない。
【0052】
この発明の新規な超薄型プリプレグテープは、まず炭素繊維性トウを広げることによって作られ、1つ又は複数の適切な既知の方法、例えば圧力接触(GB 841098、GB 1395925、GB 1476929、US 4989799、US 5101542、EP 1652978、US 7536761)、振動(US 3798095、US 4959895、JP 2036236、US 5042122)、横方向の拡張(GB 694789、GB 1112578、US 3961396、US 4301579、JP 2145830、US 6049956)、流体(US 3431602、US 3698039、GB 1312455、US 3713590、US 3873389、US 4421584、US 6032342、JP 3382603、US 7571524)、放電(US 3358436、US 3657871、DE 19650608)など、に基づく修正された方法が採用される。
【0053】
得られた超薄型広がりトウは、次に、新規のパターン化含浸プロセスにかけられ、熱硬化性か熱可塑性かを問わず、必要な樹脂又はマトリックス材料が、制御され計算された量でパターン化された形態で適用される。有利には、そのようなパターン化された超薄型プリプレグテープは、例えば織物捺染産業で見られるものなどの従来の装置及び方法を使用して、製造可能である。そのような既知の方法及び装置は、ここで説明することは不要である。熱可塑性フィルムを使用したい場合は、計算された量の熱可塑性樹脂の適用を達成するために、その適切に穴があけられたタイプ又はフィルムから転写可能な小さなピースが、超薄型の広がり繊維に接着されることができる。とにかく、熱硬化性と熱可塑性のどちらを使用する場合でも、樹脂パターンは超薄型広がり繊維の片面又は両面に配置されているため、適用されたちょうど十分な量の樹脂の分配配置が、必要な熱及び圧力を加える際の、その迅速な広がり及び繊維を濡らすための合体のための最短経路を保証する。適用される樹脂のパターンには、樹脂の粘度及び組成を考慮にいれることが伴う。
【0054】
新規の超薄型プリプレグテープ/シートのいくつかの構成が図1に例示されており、図1はいくつかの異なるタイプの超薄型プリプレグテープの非常に拡大された図を示す。
【0055】
図1aには、超薄型プリプレグテープを得るための基礎となる乾燥した極薄のテープが示されている。そこにおける繊維は、それらがテープの長手方向に実質的に配向されていることを表す又は伝えるだけのために、互いから分離して示されていることに留意されうる。互いに接触して存在しているそれらを示すことは、要点を明確に説明するのに役立たない立体図を作り出すだけである。個々のテープの厚さは、前に明確にした範囲である。極薄のテープのため、テープの表面及び裏面にはかなりの数のテープの繊維が露出して存在している。これは、樹脂又はマトリックス材料が繊維塊内に深く流れ込んでそれらを濡らす必要がないため、非常に有利である。したがって、繊維の濡れは、簡単、迅速、均一、そして徹底的に独自に達成される。
【0056】
図1bには、樹脂が部分的に適用された超薄型プリプレグテープが示されており、例えば、細かいスプレーや印刷によって、小さなドット/スペックル/ダブ(dab)/ブログ斑点/ビーズ/フレック斑点などが適切なパターンで両面に形成される。好ましくは、2つの表面上のドット/スペックルなどは、相互にオフセットして存在するが、圧力下で加熱された際に、同時的に両面側から繊維のより迅速かつ均一な濡れを達成するように、適切に接近して且つ均一に分布される。樹脂の適用されたドット/スペックルは、極薄テープの繊維に付着し/くっついている。これらのドット/スペックルの各々は、超薄型テープの厚さの方向及び幅の方向に多数の繊維/フィラメントを接続する。これらの繊維は一般に非常に細かいため(それらの直径はマイクロメートル単位である)、そのような繊維の一部は、テープの2つの表面に存在する樹脂のドット/スペックルに一般的に接続されて存在しうる。したがって、図1bの超薄型プリプレグテープの図は、大まかな表現なだけである。
【0057】
図1cには、複数の旋回/スパイラル/コイルストランド状パターンで適用された樹脂を有する別のタイプの超薄型プリプレグテープが示されている。処理の便宜のために、樹脂の旋回/コイルストランドは、好ましくは、テープの長さ方向に沿って実質的に延在し、好ましくは、テープの両面上に近接して交互にオフセットしたやり方で延在し、それによって2つの表面上の旋回樹脂ストランドが好ましくはお互いに重ならないようにする。適用された樹脂の旋回/コイルストランドはテープに付着し/くっつく。これらの旋回樹脂ストランドは連続的に湾曲した形態で延びるので、それらは、テープの厚み方向及び幅方向に多数の非常に細かい繊維/フィラメントを接続する。したがって、繊維の多くは、それらの長さ方向に沿ったある点又はその他で、テープの両方の表面に存在する樹脂の旋回/らせんに対して、一般的に接続されて存在する。そのようなストランドはまた、不連続的に適用されうる。繰り返すが、図1cは大まかな表現にすぎない。
【0058】
図1dには、複数の直線ストライプ状パターンで適用された樹脂を有するさらに別のタイプの超薄型プリプレグテープが示されている。加工の便宜のために、直線ストライプ状樹脂は、好ましくはテープの長さ方向に実質的に沿って、好ましくは、直線ストライプ状樹脂が好ましくは2つの表面上で近接して交互に配置されて存在するようにテープの両面に、好ましくは、繊維の均一且つ迅速な濡らしのために、図に示されているように、相互に重なり合うことなく、適用される。或いは、直線ストライプ状樹脂は、別の配向で、例えば、斜めに又は垂直を含む極薄テープの長手方向の縁に対して任意の角度で、適用されることもできる。適用された直線ストライプ状樹脂は、テープの2つの表面に付着し/くっつく。これらの直線ストライプ状樹脂は、連続的に実質的に真っ直ぐに走るので、それらはテープの厚さの方向及び幅の方向で多数の非常に細かい繊維/フィラメントと接続する。直線ストライプ状樹脂がテープの長手方向のエッジに対してある角度で適用される場合、テープ幅方向の繊維のいくつかは、ある点又は他の点で、テープの両表面に存在するストライプ状樹脂に対し、一般に接続されて存在しうる。そのようなストライプは、不連続にも適用されうる。繰り返すが、図1dは大まかな表現にすぎない。
【0059】
図1eには、複数の非線形又は曲線ストライプ状パターンで適用された樹脂を有するさらに別のタイプの超薄型プリプレグテープが示されている。加工の便宜のために、曲線ストライプ状樹脂は、好ましくは、実質的にテープの長さ方向に沿って、好ましくは、2つの表面上の非線形曲線ストライプ状樹脂が好ましくは接近して交互に配置されて図に示されるようにお互いにオーバーラップすることなく均一な分布で存在するようにテープの両面に、適用される。適用された曲線ストライプ状樹脂は、テープの両面に付着し/くっつく。これらのストライプ状樹脂は連続的な様態で湾曲した形で延びるため、それらの各々がテープの厚さの方向及び幅の方向に多数の非常に細かい繊維/フィラメントと接続する。繊維のいくつかは、テープの両面に存在する曲線ストライプ状樹脂に対し、ある点又は他の点で、一般的に接続されて存在しうる。そのような非直線的なストライプは、不連続にも適用されうる。繰り返すが、図1eは大まかな表現にすぎない。
【0060】
ドット/スペックル、ストライプ状、ストランド状などの上記で開示された様々なスタイルの樹脂適用とは別に、最終用途及び経済的考慮に応じて、他のタイプも考えられうる。例えば、樹脂がストランド又はストライプとして継続的に延びるのではなく、不連続的なジグザグ形態、又は一連のドット/スペックルで作られる繰り返しモチーフであり、或いはそれは、正方形、円、リング状、線状などの形態、又はギャップのある又は穴あきのあるストライプ状形態、又は他の平行線形態、又は様々な記載されたタイプのいくつかの組み合わせ、又は他の異なるタイプなどが、規則的に且つ均一に繰り返し分布された個別のパターンである。そのような樹脂パターンはすべて、超薄型プリプレグテープの一方の面又は両面に存在しうる。
【0061】
同じ種類又は異なる種類の樹脂配合物が、ある最終用途のために特定の特性を設計するために、超薄型プリプレグテープの一方又は両方の表面に対して有利に適用されうることに留意されうる。また様々なタイプの樹脂配合物が、それらの様々な異なる特性の組み合わせ効果のために、超薄型テープの一方の面又は両面に、適用されうる。
【0062】
比較的狭い超薄型プリプレグテープ、例えば100mmまでの幅、が製造される場合、それらは、連続長のテープ状の縦糸及び横糸として直接的に使用されて、双方向の織物を製造することができる。そのような織物は、最終用途の要件を満たすように、クローズ構造構成で又はオープン構造構成で作られうる。テープ状の縦糸と横糸を使用した織布の製造は、例えばUS8,129,294(B2)から知られている。
【0063】
図2aには、この発明の超薄型プリプレグテープを使用して製造された織布が例示されている。説明のために、縦糸と横糸としての超薄型プリプレグテープは、それらを区別しやすくするために異なる構造であるように示されている。実際には、縦糸と横糸は同じタイプの超薄型プリプレグテープとしうる。図示の例において、樹脂は、縦糸テープでは旋回/コイル巻きストランドとして存在し、横糸テープでは非線形/湾曲ストランド状のものとして存在する。示されている織物は、オープン構造構成のものである。それは、クローズ構造構成でも製造されうる。そのような織られた超薄型プリプレグテープは、対応して薄い織られたプリプレグをもたらす。それは、必要に応じて、取り扱いの便宜のために縦糸テープ-横糸テープを一時的に互いに接着するために、全体的に又は選定された箇所で、暖められうる。そのような織られたプリプレグは、最終用途の要件に応じて、個別的に又はそれらのうちの2以上を接合する/重ねることによって、直接的に使用されることができる。さらに、そのような織られたプリプレグは、必要とされる形状及び寸法のピースに切断されることができ、相互に異なる配向でドレープされて及び接合されて、最終的な複合材料の改良された多軸耐荷重能力及び容量を得ることができる。さらに、そのような織られたプリプレグは、他の適切な種類の超薄型プリプレグと組み合わせられて、最終的な複合材料の必要とされる性能特性を達成することができる。
【0064】
図2bでは、適切な標準装置を使用して、その一方の面又は両面にパターン化された方法で樹脂を適用することによる、超薄型テープから構成されるテープ織物の織プリプレグへの変換が例示される。図において、樹脂は、その両方の表面によく分布したドット/スペックルの形態で適用されるように示されている。製造された超薄型プリプレグは、必要に応じて、取り扱いの便宜のために縦糸テープ-横糸テープを一時的に互いに接着するために、全体的に又は選定箇所で、暖められうる。そのような織られたプリプレグは、最終用途の要件に応じて、個別的に又はそれらのうちの2以上を接合する/重ねることによって、直接的に使用されることができる。さらに、そのような織られたプリプレグは、必要とされる形状及び寸法のピースに切断されることができ、ドレープされることができ、相互に異なる配向で接合されて、最終的な複合材料の改良された多軸耐荷重能力及び容量を得ることができる。さらに、そのようなテープ織りプリプレグは、他の適切な種類のプリプレグと組み合わせられて、最終的な複合材料の必要とされる性能特性を達成することができる。
【0065】
例えば100mmまでの幅の狭い超薄型プリプレグテープが直接的に使用されて、連続長テープが布の長手方向に対して鋭角/鈍角で存在する双方向バイアス配向布も作製しうる。そのようなバイアス布は、最終用途の要件を満たすように、クローズ構造構成又はオープン構造構成のいずれかで製造されうる。テープを使用した双方向バイアス布の製造は、例えば EP2479327から知られている。OFTと呼ばれるそのようなバイアス布は、そこで詳細に説明されているように技術的には織られても編まれてもいないが、一般に前述の従来の名前によって誤って呼ばれていることに留意されうる。
【0066】
図3aには、超薄型プリプレグテープを使用して製造された双方向バイアス配向プリプレグが例示されている。説明のために、超薄型プリプレグテープの異なる構成が、それらを区別しやすくするために2つの異なるバイアス配向で示されている。実際には、これらのバイアステープは同じタイプの超薄型プリプレグテープとしうる。樹脂は、バイアス配向のうちの1つ、すなわち+45°配向で、のテープでの旋回/コイルストランド状の形態として、且つ、他のバイアス方向、すなわち-45°配向で、のテープでの非線形/湾曲ストライプ状の形態として、存在する。示されている双方向バイアス布は、クローズ構造構成である。それは、オープン構造構成でも製造されうる。そのようなバイアスプリプレグは超薄型である。それは、必要に応じて、取り扱いの便宜のためにバイアス配向テープを一時的に互いに接着するために、全体的に又は選定箇所で、暖められうる。そのようなバイアス超薄型プリプレグは、最終用途の要件に応じて、個別的に又はそれらのうちの2以上を接合する/重ねることによって、直接的に使用されることができる。さらに、そのようなバイアス超薄型プリプレグは、必要とされる形状及び寸法のピースに切断されることができ、ドレープされることができ、相互に異なる配向で接合されることができ、最終的な複合材料の改良された多軸耐荷重能力及び容量を得ることができる。さらに、そのようなバイアス超薄型プリプレグは、他の適切な種類の超薄型プリプレグと組み合わせられて、最終的な複合材料の必要とされる性能特性を達成することができる。
【0067】
図3bには、超薄型テープから構成される双方向バイアス布の超薄型プリプレグシートへの変換が例示されている。そのようなバイアス布は超薄型であり、従来の装置を使用してその一方の面又は両面にパターン化された方法で樹脂を部分的に適用することにより、プリプレグシートに変換される。その図では、樹脂が、業界で、例えば織物捺染業界で、よく知られており実践されている方法によって、よく分散されたドット/スペックルの形態で両方の表面に適用されることが示されている。それは、必要に応じて、取り扱いの便宜のためにバイアステープを一時的に互いに接着するために、全体的に又は選定箇所で、暖められうる。そのようなバイアス超薄型プリプレグシートは、最終用途の要件に応じて、個別的に又はそれらのうちの2以上を接合する/重ねることによって、直接的に使用されることができる。さらに、そのようなバイアス超薄型プリプレグシートは、必要とされる形状及び寸法のピースに切断されることができ、ドレープされることができ、相互に異なる配向で接合されることができ、最終的な複合材料の改良された多軸耐荷重能力及び容量を得ることができる。さらに、そのようなバイアス超薄型プリプレグシートは、他の適切な種類の超薄型プリプレグと組み合わせられて、最終的な複合材料の必要とされる性能特性を達成することができる。
【0068】
図4aには、超薄型プリプレグテープの同じ形状の刻まれたピースから構成される超薄型有機タイププリプレグシートが例示されている。超薄型テープの同じ形状の刻まれたピースは、例えば、間欠的に稼働して振動するベルト上に散乱してそれらのランダムな配向を実現するために、揺動フィーダーから落下される。堆積されてランダムに配向された刻まれたピースは、好ましくはそれらのほとんどが必要とされる製品の寸法のエリアをカバーするように少なくとも部分的に重なり合って存在するように、配置される。好ましくは、それらは、実質的に均一な厚さを実現するために、均一に分布して、すなわち一の領域でその他よりも互いに積み重なるピースが多すぎないように、存在する。刻まれたピースの作られた構成体は、好ましくは、作られたアセンブリの取り扱いを可能にするように、必要に応じて、それらを一時的に互いに接着するために、ある圧力下で暖められる。業界で知られている適切な道具の助けを借りて前述のステップに従って、この発明のプリプレグシートは、適切な寸法及び形状の個々のシートの形態で又はロール形態の連続シートとして得られる。或いは、超薄型プリプレグテープの異なる形状、異なる寸法の刻まれたピースが使用されてランダムな配向で散乱させられることができ、ちょうど説明されているようなプリプレグシートが得られる。或いは、異なる形状の刻まれたピース及び同じ形状の刻まれたピースの両方が、組み合わされて使用されてもよく、ちょうど説明したように対応するプリプレグシートを得るためにランダムに配向されてもよい。或いは、異なる寸法又は同じ寸法を有する同じ形状の刻まれたピースが、例えば図4bに示されるレンガレイアップ配置で、シートを形成する正しく並べられた方法で配置されることができる。刻まれたテープで製造するには、必要な数の部分的に重なり合うプリプレグテープが並行して供給され、相対的に異なる位置で個別にカットされ、走行するベルト上に密接に配置され、当該ベルトは、それから、カットされたピースを往復作業ベッド上に連続的に移送して1つの層を他の上に形成する。必要な数のそのような層を接合/積み重ねることが、所望の超薄型プリプレグシートをもたらす。そのような刻まれたピースの層を置く場合、個々の層における刻まれたピースが、他の層における刻まれたピースに対して異なる方向に配向されて存在することが好ましい。これは、例えば各層の構築のために作業ベッドと走行ベルトとの間の相対的な供給方向を変更することによって、達成される。
【0069】
刻まれたピースの全てが同じ一方向に配向されたままにすることを適用が必要とするケースでは、異なる層における刻まれたテープの重なり合う部分が互いに一致して位置しないように、異なる層が相互にオフセットされることが好ましい。或いは、個々の層は、層間の刻まれたテープの同じ場所にあるオーバーラップ部分の積み重ねを防ぐように、比較的適切な異なる寸法の超薄型プリプレグテープの刻まれたピースを使用して構成されうる。
【0070】
プリプレグシートの更に別の構成は、刻まれた超薄型プリプレグテープの異なる形状のピース及び同じ形状のピースを使用することによって製造されうる。例えば、個々の層で、異なる形状の刻まれたピースと同じ形状の刻まれたピースとの両方が、部分的にオーバーラップする整然とした配向で存在する。或いは、同じ形状のピースが、1つの層において部分的にオーバーラップする整然とした配向で存在し、異なる形状のピースが別の層で同様に存在する。超薄プリプレグテープの刻まれたピースのそのような配置構成の各々は、好ましくは、それらを一時的に互いに接着してプリプレグ層を形成するために暖められる。複数のそのような層が接合されて/重ねられて、所望の超薄型プリプレグシートを得る。
【0071】
そのような超薄型プリプレグシートは、最終用途の要件に応じて、個別に又は更に接合されて/重ねられて、直接的に使用されうる。そのような超薄型プリプレグシートは、柔軟性が高く、ドレープ性がある。このタイプの超薄型プリプレグシートは、他の適切な種類のプリプレグシートと組み合わせられて、例えば最終的な複合材料に必要とされる性能特性を実現することができる。そのような材料の重要な利点は、刻まれた/カットされた超薄型プリプレグテープを十分によく活用できるため、廃棄物が発生しないも同然であることである。
【0072】
前述の例は、超薄型の一方向プリプレグシート及び双方向プリプレグシート(すなわち、織られたタイプ及びバイアスタイプ)のいくつかの構成を示しているが、他のタイプの多方向プリプレグシート、例えば異なるタイプの多方向プリプレグシート、も製造可能であることが理解されるものである。例えば、例示された織られたバイアス超薄型プリプレグシートは、従来行われているように、適切な配向で相互に接合され/重ねられ、対応する超薄型多方向プリプレグシートを得ることができる。或いは、一方向超薄型プリプレグシートは、織られた超薄型プリプレグシート、又はバイアス超薄型プリプレグシート、又はそれらの組み合わせのいずれかと組み合わせられて、他のタイプの多方向超薄型プリプレグシートを得ることができる。
【0073】
得られた超薄型プリプレグシートは、複合材料の製造に直接的に使用されることができる。前述のように、新しい超薄型プリプレグは、必要とされる形状及び寸法のパターン化されたピースにカットされ、ドレープされ、及び適切な配向で接合され/重ねられて、所望の複合材料製品の必要とされる性能及び形状を実現することができる。製造されることが必要とされるオブジェクトのサイズ及び形状に応じて、超薄型プリプレグシートの必要な数のカットされたパターン化されたピースが、モールドに直接的にドレープされることができ、当該モールドはクローズタイプ又はオープンタイプとしうる。そのような超薄型プリプレグのシートは、それらが必要とされる形態で一時的に互いに接着/支持することを可能にするように、接合する手順/重ねる手順の間に、局所的に、すなわち必要な場所で、暖められ/加熱されることができる。
【0074】
ドレープ手順が完了した後、モールドは、クローズタイプである場合は、閉じられて必要な時間加熱される。知られているように、閉じているモールドが重ねられたシートを押し、必要な圧力を均一にかける。或いは、成形された超薄型プリプレグがオープンモールド上で作られる場合、それはオートクレーブに入れられて既知の手順に従って加熱されることができ、それにより、オープンモールド上にある重ねられたシートに高い空気圧と熱がかけられる。これらの及び他の従来の方法、例えば加熱されたローラーを使ってオープンモールドにドレープされるプリプレグに圧力がかけられるもの、は、この分野でよく知られており、更なる説明を必要としない。気づくことができるように、複合材料製造の既存の装置及び実行は、有利には、改良された複合材料を製造するために超薄型プリプレグシートと共に用いられうる。
【0075】
冷却すると、複合材料製品は通常の方法でモールドから引き出される。理解できるように、この発明の超薄型プリプレグは、迅速かつ整然とした生産を可能にする。
【0076】
発明は、超薄型プリプレグテープ及びシートの具体的な実施形態、その製造、及び超薄型プリプレグによって強化された複合材料製品の製造を参照して説明されてきた。当業者には、いくつかの可能性を検討する動機がここにはあるであろう。例えば、繊維の種類、それらの構造、組成、寸法、配向配置などの変更に関連するものである。更に、樹脂は、図示/例示されたもの以外の異なるスタイル/形態で適用されうる。更に、製造のあるステップの順序は、例えば段階的又は同時に、異なるように実行されうるものであり、又は超薄型プリプレグ及びその複合材料の製造ステップは、異なるやり方などで組み合わせられうる。更に、マトリックス材料のための微細な熱可塑性ネット又はベールを使用して超薄型プリプレグを製造する可能性も明らかである。
【0077】
建物、遺産モニュメント、橋などを強化するために、それらをそのような構造物に適用して圧力下でそれらを加熱し、構造物に対するそれらの接着を実現することによって超薄型プリプレグを使用する可能性は、技術的には、それをモールドでドレープしてそれを圧力下で加熱して複合材料製品を形成することに似ている。超薄型プリプレグのそのような使用及び適用、及び、それを他の適切な接着剤によって建物構造物に接着することは、開示された発明の範囲から除外されない。
【0078】
以下の特許請求の範囲では、括弧内に配置された記号への言及は、特許請求の範囲を限定するものとは解釈されないものとする。「含む」という言葉は、特許請求の範囲に記載されているもの以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。要素に先行する「a」又は「an」という単語は、そのような要素の複数の存在を排除するものではない。更に、単一のユニットが、特許請求の範囲に記載されたいくつかの手段の機能を実行しうる。
図1(a)】
図1(b)】
図1(c)】
図1(d)】
図1(e)】
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b