(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】吸入システム及び蒸気生成物品
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20240405BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240405BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20240405BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/465
A24D1/20
(21)【出願番号】P 2021516391
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2019078182
(87)【国際公開番号】W WO2020079130
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-07-15
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】ローガン,アンドリュー・ロバート・ジョン
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-170751(JP,A)
【文献】国際公開第2017/072147(WO,A2)
【文献】国際公開第2017/036954(WO,A1)
【文献】特表2016-525341(JP,A)
【文献】国際公開第2018/002084(WO,A1)
【文献】米国特許第05692526(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A24D 1/20
A24D 3/17
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが吸入するための蒸気を生成するための吸入システム(1)であって、
コントローラ(20)を含む吸入デバイス(10)と、
蒸気生成材料(26)及び加熱素子(28、52、54、62、64)を含む蒸気生成物品(24、50、60、90)と、を含み、
前記蒸気生成物品は第1及び第2の領域(44、46)を有し、前記第1の領域(44)と前記第2の領域(46)のそれぞれが前記蒸気生成
材料(26)を含み、前記第2の領域(46)は、前記第1の領域(44)よりも水分含有率が高い蒸気生成材料(26)、又は前記第1の領域よりもエアロゾル形成剤の含有率が高い蒸気生成材料(26)のうちの1つ又は複数を含み、前記加熱素子は前記第1の領域(44)よりも前記第2の領域(46)においてより多くの熱を生成するように構成される、吸入システム。
【請求項2】
前記蒸気生成物品は、前記蒸気生成材料(26)を取り囲む包装体(30)を含み、第1及び第2の端部(40、42)を有する概ね棒状であり、前記第1の端部(40)にはフィルタ(32)が配置され、前記第2の端部(42)には前記第2の領域(46)が配置される、請求項1に記載の吸入システム。
【請求項3】
前記加熱素子(28、52、54、62、64)は、誘導加熱可能サセプタを含む、請求項1又は2に記載の吸入システム。
【請求項4】
前記誘導加熱可能サセプタは、同じ種類の複数のサセプタ素子(28)を含み、前記第2の領域(46)には、前記第1の領域(44)よりも複数の前記サセプタ素子(28)が高密度に配置される、請求項3に記載の吸入システム。
【請求項5】
前記誘導加熱可能サセプタは、前記第1の領域には第1の種類のサセプタ素子(52、62)を含み、前記第2の領域には第2の種類のサセプタ素子(54、64)を含み、前記第2の種類のサセプタ素子は、前記第1及び前記第2の種類のサセプタ素子が使用時に同じ電磁場に曝されたときに、前記第1の種類のサセプタ素子(52、62)よりも単位時間あたりにより多くの熱を生成する、請求項3に記載の吸入システム。
【請求項6】
前記誘導加熱可能サセプタは、前記第1の領域には第1の種類のサセプタ素子(52、62)を含み、前記第2の領域には第2の種類のサセプタ素子(54、64)を含み、前記第2の種類のサセプタ素子は、前記第1及び前記第2の種類のサセプタ素子が使用時に同じ電磁場に曝されたときに、前記第1の種類のサセプタ素子(52、62)よりもより長い期間熱を生成する、請求項3又は5に記載の吸入システム。
【請求項7】
前記誘導加熱可能サセプタは、前記第1の領域には第1の種類のサセプタ素子(62)を含み、前記第2の領域には第2の種類のサセプタ素子(64)を含み、前記第1の種類のサセプタ素子(62)は、前記第1及び前記第2の種類のサセプタ素子(62、64)が使用時に同じ電磁場に曝されたときに、前記第2の種類のサセプタ素子(64)よりも前に破損して、それによってその電気経路を遮断するように構成される、請求項3、5、又は6の何れか一項に記載の吸入システム。
【請求項8】
前記誘導加熱可能サセプタは、前記第1の領域には第1の種類のサセプタ素子(62)を含み、前記第2の領域には第2の種類のサセプタ素子(64)を含み、
前記第1の種類のサセプタ素子(62)は、前記第1の種類のサセプタ素子(62)の他の部分よりも高い電気抵抗を有する脆弱部分(66)を有し、更に、
前記第2の種類のサセプタ素子(64)は、前記第2の種類のサセプタ素子(64)の他の部分よりも高い電気抵抗を有する脆弱部分(76)を有し、前記第2の種類のサセプタ素子(64)の前記脆弱部分(76)は、前記第1の種類のサセプタ素子(62)の前記脆弱部分(66)よりも強いか、又は、
前記第2の種類のサセプタ素子(64)は脆弱部分を有さない、請求項3又は5~7の何れか一項に記載の吸入システム。
【請求項9】
前記脆弱部分(66、76)は、前記サセプタ素子(62、64)の他の部分よりも小さな断面積を有する、請求項8に記載の吸入システム。
【請求項10】
前記誘導加熱可能サセプタは、リング形状のサセプタ(62、64)を含む、請求項3~9の何れか一項に記載の吸入システム。
【請求項11】
前記誘導加熱可能サセプタは、非同心の開口部(68、78)を含む、請求項3~10の何れか一項に記載の吸入システム。
【請求項12】
前記誘導加熱可能サセプタは、スリット(72)を含む、請求項3~11の何れか一項に記載の吸入システム。
【請求項13】
前記蒸気生成物品(24、50、60)は長手方向を有し、前記第1及び前記第2の領域(44、46)は前記長手方向に沿って配置される、請求項1~12の何れか一項に記載の吸入システム。
【請求項14】
前記蒸気生成物品(90)は軸を有し、前記第1及び前記第2の領域(44、46)は、前記軸を基準にして半径方向に沿って配置される、請求項1~12の何れか一項に記載の吸入システム。
【請求項15】
蒸気生成材料(26)及び加熱素子(28、52、54、62、64)を含む蒸気生成物品(24、50、60、90)であって、前記蒸気生成物品は第1及び第2の領域(44、46)を有し、前記第1の領域(44)と前記第2の領域(46)のそれぞれが前記蒸気生成
材料(26)を含み、前記第2の領域(46)は、前記第1の領域(44)よりも水分含有率が高い蒸気生成材料(26)、又は前記第1の領域よりもエアロゾル形成剤の含有率が高い蒸気生成材料(26)のうちの1つ又は複数を含み、前記加熱素子は前記第1の領域(44)よりも前記第2の領域(46)においてより多くの熱を生成するように構成される、蒸気生成物品。
【請求項16】
ユーザが吸入するための蒸気を生成するための吸入システム(1)であって、
コントローラ(20)を含む吸入デバイス(10)と、
蒸気生成材料(26)及び加熱素子(28、52、54、62、64)を含む蒸気生成物品(24、50、60、90)と、を含み、
前記蒸気生成物品は第1及び第2の領域(44、46)を有し、前記第1の領域(44)と前記第2の領域(46)のそれぞれは前記蒸気生成
材料(26)を含み、前記第2の領域(46)は、前記第1の領域(44)よりも高密度の前記蒸気生成材料(26)を含み、前記加熱素子は前記第1の領域(44)よりも前記第2の領域(46)においてより多くの熱を生成するように構成され、
前記加熱素子(28、52、54、62、64)は、誘導加熱可能サセプタを含み、
前記誘導加熱可能サセプタは、前記第1の領域には第1の種類のサセプタ素子(52、62)を含み、前記第2の領域には第2の種類のサセプタ素子(54、64)を含み、前記第2の種類のサセプタ素子は、前記第1及び前記第2の種類のサセプタ素子が使用時に同じ電磁場に曝されたときに、前記第1の種類のサセプタ素子(52、62)よりもより長い期間熱を生成する、吸入システム。
【請求項17】
ユーザが吸入するための蒸気を生成するための吸入システム(1)であって、
コントローラ(20)を含む吸入デバイス(10)と、
蒸気生成材料(26)及び加熱素子(28、52、54、62、64)を含む蒸気生成物品(24、50、60、90)と、を含み、
前記蒸気生成物品は第1及び第2の領域(44、46)を有し、前記第1の領域(44)と前記第2の領域(46)のそれぞれは前記蒸気生成
材料(26)を含み、前記第2の領域(46)は、前記第1の領域(44)よりも高密度の前記蒸気生成材料(26)を含み、前記加熱素子は前記第1の領域(44)よりも前記第2の領域(46)においてより多くの熱を生成するように構成され、
前記加熱素子(28、52、54、62、64)は、誘導加熱可能サセプタを含み、
前記誘導加熱可能サセプタは、前記第1の領域には第1の種類のサセプタ素子(62)を含み、前記第2の領域には第2の種類のサセプタ素子(64)を含み、前記第1の種類のサセプタ素子(62)は、前記第1及び前記第2の種類のサセプタ素子(62、64)が使用時に同じ電磁場に曝されたときに、前記第2の種類のサセプタ素子(64)よりも前に破損して、それによってその電気経路を遮断するように構成される、吸入システム。
【請求項18】
ユーザが吸入するための蒸気を生成するための吸入システム(1)であって、
コントローラ(20)を含む吸入デバイス(10)と、
蒸気生成材料(26)及び加熱素子(28、52、54、62、64)を含む蒸気生成物品(24、50、60、90)と、を含み、
前記蒸気生成物品は第1及び第2の領域(44、46)を有し、前記第1の領域(44)と前記第2の領域(46)のそれぞれは前記蒸気生成
材料(26)を含み、前記第2の領域(46)は、前記第1の領域(44)よりも高密度の前記蒸気生成材料(26)を含み、前記加熱素子は前記第1の領域(44)よりも前記第2の領域(46)においてより多くの熱を生成するように構成され、
前記加熱素子(28、52、54、62、64)は、誘導加熱可能サセプタを含み、
前記誘導加熱可能サセプタは、前記第1の領域には第1の種類のサセプタ素子(62)を含み、前記第2の領域には第2の種類のサセプタ素子(64)を含み、
前記第1の種類のサセプタ素子(62)は、前記第1の種類のサセプタ素子(62)の他の部分よりも高い電気抵抗を有する脆弱部分(66)を有し、更に、
前記第2の種類のサセプタ素子(64)は、前記第2の種類のサセプタ素子(64)の他の部分よりも高い電気抵抗を有する脆弱部分(76)を有し、前記第2の種類のサセプタ素子(64)の前記脆弱部分(76)は、前記第1の種類のサセプタ素子(62)の前記脆弱部分(66)よりも強いか、又は、
前記第2の種類のサセプタ素子(64)は脆弱部分を有さない、吸入システム。
【請求項19】
蒸気生成材料(26)及び加熱素子(28、52、54、62、64)を含む蒸気生成物品(24、50、60、90)であって、前記蒸気生成物品は第1及び第2の領域(44、46)を有し、前記第1の領域(44)と前記第2の領域(46)のそれぞれが前記蒸気生成
材料(26)を含み、前記第2の領域(46)は、前記第1の領域(44)よりも高密度の前記蒸気生成材料(26)、前記第1の領域(44)よりも水分含有率が高い蒸気生成材料(26)、又は前記第1の領域よりもエアロゾル形成剤の含有率が高い蒸気生成材料(26)のうちの1つ又は複数を含み、前記加熱素子は前記第1の領域(44)よりも前記第2の領域(46)においてより多くの熱を生成するように構成され、
前記加熱素子(28、52、54、62、64)は、誘導加熱可能サセプタを含み、
前記誘導加熱可能サセプタは、前記第1の領域には第1の種類のサセプタ素子(52、62)を含み、前記第2の領域には第2の種類のサセプタ素子(54、64)を含み、前記第2の種類のサセプタ素子は、前記第1及び前記第2の種類のサセプタ素子が使用時に同じ電磁場に曝されたときに、前記第1の種類のサセプタ素子(52、62)よりもより長い期間熱を生成する、蒸気生成物品。
【請求項20】
蒸気生成材料(26)及び加熱素子(28、52、54、62、64)を含む蒸気生成物品(24、50、60、90)であって、前記蒸気生成物品は第1及び第2の領域(44、46)を有し、前記第1の領域(44)と前記第2の領域(46)のそれぞれが前記蒸気生成
材料(26)を含み、前記第2の領域(46)は、前記第1の領域(44)よりも高密度の前記蒸気生成材料(26)、前記第1の領域(44)よりも水分含有率が高い蒸気生成材料(26)、又は前記第1の領域よりもエアロゾル形成剤の含有率が高い蒸気生成材料(26)のうちの1つ又は複数を含み、前記加熱素子は前記第1の領域(44)よりも前記第2の領域(46)においてより多くの熱を生成するように構成され、
前記加熱素子(28、52、54、62、64)は、誘導加熱可能サセプタを含み、
前記誘導加熱可能サセプタは、前記第1の領域には第1の種類のサセプタ素子(62)を含み、前記第2の領域には第2の種類のサセプタ素子(64)を含み、前記第1の種類のサセプタ素子(62)は、前記第1及び前記第2の種類のサセプタ素子(62、64)が使用時に同じ電磁場に曝されたときに、前記第2の種類のサセプタ素子(64)よりも前に破損して、それによってその電気経路を遮断するように構成される、蒸気生成物品。
【請求項21】
蒸気生成材料(26)及び加熱素子(28、52、54、62、64)を含む蒸気生成物品(24、50、60、90)であって、前記蒸気生成物品は第1及び第2の領域(44、46)を有し、前記第1の領域(44)と前記第2の領域(46)のそれぞれが前記蒸気生成
材料(26)を含み、前記第2の領域(46)は、前記第1の領域(44)よりも高密度の前記蒸気生成材料(26)、前記第1の領域(44)よりも水分含有率が高い蒸気生成材料(26)、又は前記第1の領域よりもエアロゾル形成剤の含有率が高い蒸気生成材料(26)のうちの1つ又は複数を含み、前記加熱素子は前記第1の領域(44)よりも前記第2の領域(46)においてより多くの熱を生成するように構成され、
前記加熱素子(28、52、54、62、64)は、誘導加熱可能サセプタを含み、
前記誘導加熱可能サセプタは、前記第1の領域には第1の種類のサセプタ素子(62)を含み、前記第2の領域には第2の種類のサセプタ素子(64)を含み、
前記第1の種類のサセプタ素子(62)は、前記第1の種類のサセプタ素子(62)の他の部分よりも高い電気抵抗を有する脆弱部分(66)を有し、更に、
前記第2の種類のサセプタ素子(64)は、前記第2の種類のサセプタ素子(64)の他の部分よりも高い電気抵抗を有する脆弱部分(76)を有し、前記第2の種類のサセプタ素子(64)の前記脆弱部分(76)は、前記第1の種類のサセプタ素子(62)の前記脆弱部分(66)よりも強いか、又は、
前記第2の種類のサセプタ素子(64)は脆弱部分を有さない、蒸気生成物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザが吸入するための蒸気を生成するための吸入システムに関する。本開示の実施形態は、加熱されると、ユーザが吸入するための蒸気又はエアロゾルを生成する、蒸気生成物品にも関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、蒸気生成材料を燃やすのではなく加熱して吸入用の蒸気又はエアロゾルを生成するデバイスが、消費者に人気になってきている。そのようなデバイスは、いくつかの異なる手法のうちの1つを使用して、蒸気生成材料に熱を供給することができる。
【0003】
1つの手法は、抵抗性加熱システムを採用する吸入デバイスを提供することである。そのようなデバイスでは、抵抗性加熱素子を設けて蒸気生成材料を加熱し、加熱素子から伝達される熱によって蒸気生成材料が加熱されると、蒸気又はエアロゾルが生成される。
【0004】
別の手法は、誘導加熱システムを採用する吸入デバイスを提供することである。そのようなデバイスでは、誘導コイルがデバイスに設けられ、サセプタが、通常、蒸気生成材料と共に設けられる。ユーザがデバイスを作動させると、電気エネルギーが誘導コイルに供給され、これにより交流電磁場が発生する。サセプタがこの電磁場と結合して熱を生成し、この熱が、例えば伝導によって、蒸気生成材料に伝達され、蒸気生成材料が加熱されると蒸気又はエアロゾルが生成される。
【0005】
蒸気生成材料を加熱するためにどの手法が用いられても、ユーザが吸入デバイスに挿入できる蒸気生成物品の形態で蒸気生成材料を提供すると好都合であり得る。本開示の実施形態は、蒸気の特性が最適化されたユーザ経験の向上をもたらそうとするものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様によれば、ユーザが吸入するための蒸気を生成するための吸入システムが提供され、この吸入システムは、
コントローラを含む吸入デバイスと、
蒸気生成材料及び加熱素子を含む蒸気生成物品と、を含み、
蒸気生成物品は第1及び第2の領域を有し、第2の領域は、第1の領域よりも高密度の蒸気生成材料、第1の領域よりも水分含有率が高い蒸気生成材料、又は第1の領域よりもエアロゾル形成剤の含有率が高い蒸気生成材料のうちの1つ又は複数を含み、加熱素子は第1の領域よりも第2の領域においてより多くの熱を生成するように構成される。
【0007】
本開示の第2の態様によれば、蒸気生成材料と加熱素子とを含む蒸気生成物品が提供され、蒸気生成物品は第1及び第2の領域を有し、第2の領域は、第1の領域よりも高密度の蒸気生成材料、第1の領域よりも水分含有率が高い蒸気生成材料、又は第1の領域よりもエアロゾル形成剤の含有率が高い蒸気生成材料のうちの1つ又は複数を含み、加熱素子は第1の領域よりも第2の領域においてより多くの熱を生成するように構成される。
【0008】
吸入システムは、蒸気生成材料を燃やすことなく蒸気生成材料を加熱して、蒸気生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させ、それにより吸入システムのユーザが吸入するための蒸気又はエアロゾルを生成するように適合される。
【0009】
一般論として、蒸気とは、臨界温度よりも低い温度で気相である物質である。これは、温度を低下させることなく圧力を増加させることにより、蒸気を液体に凝縮させることができることを意味する。一方、エアロゾルとは、空気中又は別のガス中の微細な固体粒子又は液滴の浮遊物である。しかしながら、本明細書では、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語は、特に、ユーザによる吸入のために生成される吸入可能媒体の形態に関して互換的に使用されることがあることに留意されたい。
【0010】
本開示の実施形態は、最も高い密度の蒸気生成材料、及び/又は最も高い水分含有率の蒸気生成材料、及び/又は最も高いエアロゾル形成剤含有率の蒸気生成材料、を含む領域(即ち、第2の領域)でより多くの熱を生成することにより、蒸気生成材料の選択的な(又は、ゾーンの)加熱をもたらす。このようにして蒸気生成材料を選択的に加熱すると、蒸気生成材料からの蒸気又はエアロゾルの一貫した放出を維持し、最適な特性を有する蒸気又はエアロゾルが吸入システムの使用中に確実に生成されるようにするのに役立つことができる。
【0011】
蒸気生成物品は、蒸気生成材料を囲む包装体を含むことがあり、第1及び第2の端部を有する概ね棒状であり得る。第1の端部にはフィルタが配置されることがあり、第2の端部には第2の領域が配置されることがある。実施形態によっては、より高い密度の蒸気生成材料を有することがある第2の領域を第2の端部に配置することにより、第1の領域におけるより低密度の蒸気生成材料を包装体の内部により確実に保持することができる。包装体は、非導電性で且つ非透磁性の材料を含むことがある。包装体は、例えば、包装紙を含むことがある。
【0012】
実施形態によっては、加熱素子は、抵抗性加熱素子を含むことがある。従って、蒸気生成物品は、蒸気生成材料及び抵抗性加熱素子を含むことがある。抵抗性加熱素子は、金属線を含むことがある。
【0013】
実施形態によっては、加熱素子は、誘導加熱可能サセプタを含むことがある。従って、蒸気生成物品は、蒸気生成材料及び誘導加熱可能サセプタを含むことがある。
【0014】
誘導加熱可能サセプタは、同じ種類の複数のサセプタ素子を含むことがあり、第2の領域は、第1の領域よりも高い密度のサセプタ素子を含むことがある。第1及び第2の領域において同じ種類のサセプタ素子を使用することにより、蒸気生成物品の構成を単純化することができる。
【0015】
誘導加熱可能サセプタは、第1の種類のサセプタ素子及び第2の種類のサセプタ素子を含むことがある。第1の種類のサセプタ素子は第1の領域に設けられることがあり、第2の種類のサセプタ素子は第2の領域に設けられることがある。第1及び第2の種類のサセプタ素子を使用すると、第1及び第2の領域に設けられるサセプタ素子の密度を制御する必要なく、第2の領域においてより多くの熱を生成できるようにすることにより、蒸気生成物品の製造が容易になることがある。第1及び第2の種類のサセプタ素子は、それぞれ第1及び第2のサセプタ材料を含むことがある。
【0016】
一実施形態では、第1及び第2の種類のサセプタ素子が使用時に同じ電磁場に曝された時に、第2の種類のサセプタ素子は、第1の種類のサセプタ素子よりも単位時間あたりにより多くの熱を生成することができる。この実施形態では、第1及び第2の領域を同時に加熱することができ、第2の領域は第1の領域よりもより多くの入熱によって加熱される。
【0017】
別の実施形態では、第1及び第2の種類のサセプタ素子が使用時に同じ電磁場に曝された時に、第2の種類のサセプタ素子は、第1の種類のサセプタ素子よりも長い期間熱を生成することができる。この実施形態では、第2の領域の加熱は、第1の領域の加熱が停止した後も継続することができる。
【0018】
更なる実施形態では、第1及び第2の種類のサセプタ素子が使用時に同じ電磁場に曝された時に、第1の種類のサセプタ素子は、第2の種類のサセプタ素子より前に破損してそれによって電気経路を遮断するように構成されることがある。この実施形態では、第2の領域の加熱は、第1の領域の加熱が停止した後も継続することができる。
【0019】
第1の種類のサセプタ素子は、第1の種類のサセプタ素子の他の部分よりも高い電気抵抗を有することがある脆弱部分を有することがある。一実施形態では、第2の種類のサセプタ素子は、第2の種類のサセプタ素子の他の部分よりも高い電気抵抗を有する脆弱部分を有することがあり、この第2の種類のサセプタ素子の脆弱部分は、第1の種類のサセプタ素子の脆弱部分よりも強いことがある。代替的な実施形態では、第2の種類のサセプタ素子は脆弱部分を有していないことがある。
【0020】
この構成では、脆弱部分の破損により生じる第1の種類のサセプタ素子の電気経路の遮断を通じて第1の領域の加熱が停止した後も、第2の領域の加熱が継続することができることを確実にするように、第1及び第2の種類のサセプタ素子が選択されることがある。
【0021】
脆弱部分は、サセプタ素子の他の部分よりも小さい断面積を有することがある。脆弱部分は、サセプタ素子を流れる電流の方向に垂直な平面内において、サセプタ素子の他の部分よりも小さい断面積を有することがある。第1及び任意選択的に第2の種類のサセプタ素子の脆弱部分は、サセプタ素子の断面積を単に低減することにより容易に作製することができ、脆弱さの程度は、断面積を適切に選択することにより容易に制御することができ、それによって、蒸気生成物品内部の熱の生成を最適化することができる。
【0022】
誘導加熱可能サセプタは、リング形状のサセプタを含むことがある。誘導加熱可能サセプタは、非同心の開口部を含むことがある。誘導加熱可能サセプタは、スリットを含むことがある。非同心の開口部又はスリットは、断面積の縮小をもたらし、従って、サセプタ素子の脆弱部分として機能する。従って、脆弱部分を容易に作製することができ、且つ脆弱さの程度を容易に制御することができ、それによって、蒸気生成物品内部の熱の生成を最適化することができる。
【0023】
蒸気生成物品は長手方向を有することがあり、第1及び第2の領域は、この長手方向に沿って配置されることがある。そのような配置により、例えば、従来の機械及び/又は組立ラインを使用した蒸気生成物品の製造が容易になることがある。
【0024】
蒸気生成物品は軸を有することがあり、第1及び第2の領域は、この軸を基準にして半径方向に沿って配置されることがある。そのような配置によっても、蒸気生成物品の製造が容易になることがある。
【0025】
誘導加熱可能サセプタは、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼及びそれらの合金、例えばニッケルクロム又はニッケル銅のうちの1つ又は複数を含み得るが、これらに限定はされない。サセプタの近傍に電磁場を印加すると、渦電流及び磁気ヒステリシス損失により電磁気から熱へのエネルギー変換がもたらされることに起因して、サセプタは熱を生成することができる。
【0026】
吸入デバイスは、電磁場を生成するように構成された誘導コイルを備えることがある。誘導加熱可能サセプタは電磁場の存在下で誘導加熱可能である。
【0027】
誘導コイルは、リッツ線又はリッツケーブルを含むことがある。ただし、他の材料も使用できることが理解されよう。誘導コイルは、実質的にらせん状の形状であることがあり、例えば蒸気生成物品が使用時に収容される空間の周りに延びることがある。
【0028】
らせん状の誘導コイルの断面が円形であることにより、吸入デバイスに、例えば蒸気生成物品が使用時に収容される空間に、蒸気生成物品を挿入することが容易になることがあり、且つ、蒸気生成材料を均一に加熱することが確実になり得る。
【0029】
誘導コイルは、使用時に、約20mT~(最高密度点で)約2.0Tの磁束密度を有する変動電磁場を伴って動作するように構成されることがある。
【0030】
吸入デバイスは、高周波で動作するように構成されることがある電源及び回路を含むことがある。電源及び回路は、約80kHz~500kHzの間、場合により約150kHz~250kHzの間、場合により約200kHzの周波数で動作するように構成されることがある。電源及び回路は、使用される誘導加熱可能サセプタの種類に応じて、例えばMHz範囲などのより高い周波数で動作するように構成されることがある。
【0031】
蒸気生成材料は、任意の種類の固体又は半固体の材料であり得る。蒸気生成固体の例示的な種類としては、粉末、顆粒、ペレット、細片、ストランド、粒子、ゲル、条片、ルーズリーフ、カットフィラー、多孔質材料、発泡材料、又はシートが挙げられる。蒸気生成材料は植物由来の材料を含むことがあり、特にタバコを含むことがある。
【0032】
発泡材料は、複数の微粒子(例えば、タバコ粒子)を含むことがあり、一定量の水及び/又は保湿剤などの水分添加物も含むことができる。発泡材料は、多孔性であることがあり、発泡材料を通る空気及び/又は蒸気の流れを可能にすることがある。
【0033】
上述したように、蒸気生成材料はエアロゾル形成剤を含むことがある。エアロゾル形成剤の例としては、グリセリン又はプロピレングリコールなどの多価アルコール及びその混合物が挙げられる。通常、蒸気生成材料は、乾燥重量ベースで約5%~約50%の間のエアロゾル形成剤含有率を含むことがある。実施形態によっては、蒸気生成材料は、乾燥重量ベースで約10%~約20%の間、場合により乾燥重量ベースで約15%のエアロゾル形成剤含有率を含むことがある。やはり上述したように、実施形態によっては、第2の領域にある蒸気生成材料は、第1の領域にある蒸気生成材料よりも高いエアロゾル形成剤含有率を含む。
【0034】
加熱すると、蒸気生成材料は、揮発性化合物を放出することができる。揮発性化合物は、ニコチン又はタバコ香料などのフレーバー化合物を含むことがある。
【0035】
蒸気生成物品は、蒸気生成材料を収容する通気性シェルを備えることがある。通気性シェルは、非導電性で非透磁性の通気性材料を含むことがある。この材料は、高い通気性を有し得て、高温に対する耐性を備えた状態で、この材料を通って空気が流れるようにする。適切な通気性材料の例としては、セルロース繊維、紙、綿、及び絹が挙げられる。通気性材料は、フィルタとしても機能することがある。或いは、蒸気生成材料は、通気性ではないが、空気が流れるようにするための適切な穿孔又は開口部を備える材料の内側に収容されることがある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】蒸気生成物品の第1の例を含む吸入システムの概略断面図である。
【
図2】蒸気生成物品の第2の例の概略断面図である。
【
図3】蒸気生成物品の第3の例の概略断面図である。
【
図4a】第1の種類のサセプタ素子の例の
図3における線A-Aに沿った概略図である。
【
図4b】第1の種類のサセプタ素子の例の
図3における線A-Aに沿った概略図である。
【
図4c】第1の種類のサセプタ素子の例の
図3における線A-Aに沿った概略図である。
【
図5a】第2の種類のサセプタ素子の例の
図3における線B-Bに沿った概略図である。
【
図5b】第2の種類のサセプタ素子の例の
図3における線B-Bに沿った概略図である。
【
図6a】蒸気生成物品の第4の例の概略断面図である。
【
図6b】
図6aにおける線C-Cに沿った概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
ここで、本開示の実施形態について、添付の図面を参照しながら単なる例として説明する。
【0038】
はじめに
図1を参照すると、吸入システム1の例が概略的に示されている。吸入システム1は、吸入デバイス10と蒸気生成物品24の第1の例とを備える。吸入デバイス10は、近位端12及び遠位端14を有し、高周波で動作するように構成されることがある電源(図示せず)及びコントローラ20を含むデバイス本体16を備える。電源は、通常、例えば誘導式で再充電可能であり得る1つ又は複数の電池を含む。
【0039】
吸入デバイス10は、概ね円筒形であり、例えば加熱コンパートメントの形態で、概ね円筒形の蒸気生成空間22を含む。円筒形の蒸気生成空間22は、蒸気生成材料26と粒子状の誘導加熱可能サセプタ材料28の形態をした加熱素子とを含む、対応した形状をした概ね円筒形の又は棒状の蒸気生成物品24を収容するように構成される。吸入デバイス10は、円形の断面を有し且つ円筒形の蒸気生成空間22の周りに延びる、らせん状の誘導コイル36を備える。誘導コイル36は、電源及びコントローラ20によって励磁することができる。コントローラ20は、電子部品の中でもとりわけ、電源からの直流を誘導コイル36のための交流高周波電流に変換するように構成されるインバータを含む。
【0040】
蒸気生成物品24は、例えば、蒸気生成材料26としてタバコを含むことがある、使い捨ての物品である。蒸気生成物品24は、蒸気生成材料26及び粒子状サセプタ材料28を囲む包装紙30を含み、第1及び第2の端部40、42を有する。蒸気生成物品24は、第1の端部40に、包装紙30と隣接して同軸に位置合わせされたフィルタ32を備える。フィルタ32は、マウスピースとして機能し、例えば酢酸セルロース繊維を含む通気性プラグを備える。包装紙30とフィルタ32の両方とも、典型的には先端を覆う紙を含む外側包装体34によって包まれている。
【0041】
蒸気生成物品24は、蒸気生成物品24の長手方向に沿って配置される第1及び第2の領域44、46を有する。
図1に概略的に示されるように、第1及び第2の領域44、46は異なる密度の蒸気生成材料26を含み、第2の領域46は、第1の領域44よりも高密度の蒸気生成材料26を含む。その代わりに又はこれに加えて、第2の領域46の蒸気生成材料26は、第1の領域44の蒸気生成材料26よりも高い水分含有率及び/又は高いエアロゾル形成剤含有率を有することがある。図示した蒸気生成物品24の第1の例では、より高密度の蒸気生成材料26を含む第2の領域46は第2の端部42に配置され、より低密度の蒸気生成材料26を含む第1の領域40はフィルタ32と第2の領域46との間に配置される。そのような配置は有利である、というのも、第2の端部42にある第2の領域46のより高密度の蒸気生成材料26は、第1の領域44からのより低密度の蒸気生成材料26の不都合な影響を防止するからである。
【0042】
図示した蒸気生成物品24の第1の例では、第1の領域44よりも高密度の粒子状サセプタ材料28が、第2の領域46に設けられる。この構成では、第1及び第2の領域44,46で同じ種類の粒子状サセプタ材料28を使用することができ、一方、第2の領域46におけるより高密度の粒子状サセプタ材料28は、第1の領域44におけるより低密度の粒子状サセプタ材料28よりも、第2の領域46においてより多くの熱を生成する。
【0043】
当業者には理解されるように、吸入システム1の使用中に誘導コイル36が励磁されると、交流の時間変化する電磁場が生成される。この電磁場は、第1及び第2の領域44、46の両方において粒子状サセプタ材料28と結合し、粒子状サセプタ材料28において渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失を生成し、サセプタ材料を加熱させる。この熱は、例えば伝導、放射、及び対流により、第1及び第2の領域44、46内で粒子状サセプタ材料28から蒸気生成材料26に伝達される。上述したように、第2の領域46におけるより高密度の粒子状サセプタ材料28に起因して、第1の領域44よりも第2の領域46においてより多くの熱が生成される。
【0044】
粒子状サセプタ材料28は、蒸気生成材料26と直接的に又は間接的に接触していることがあり、その結果、第1及び第2の領域44、46内の粒子状サセプタ材料28が誘導コイル36によって誘導的に加熱されると、第1及び第2の領域44、46内で粒子状サセプタ材料28から蒸気生成材料26に熱が伝達されて、蒸気生成材料26が加熱され、それによって蒸気又はエアロゾルが生成される。蒸気生成材料26の蒸発は、周囲環境から空気を加えることによって促進される。蒸気生成材料26を加熱することによって生成された蒸気は、フィルタ32を通って蒸気生成物品24を出てゆき、そこでデバイス10のユーザによって吸入されることがある。
【0045】
ここで
図2を参照すると、
図1を参照して上述した蒸気生成物品24の第1の例と同様の蒸気生成物品50の第2の例が示されており、対応する構成要素は、同じ参照番号を使用して示されている。
【0046】
蒸気生成物品50は、第1の領域44に第1の種類の誘導加熱可能サセプタ素子52を含み、第2の領域46に第2の種類の誘導加熱可能サセプタ素子54を含む。より具体的には、第1の種類のサセプタ素子52は、第1の領域44を通って長手方向に延びるバー又は棒の形態をした細長いサセプタ素子を含む。対照的に、第2の種類のサセプタ素子54は管状サセプタを含み、蒸気生成材料26は、管状サセプタの内側及び周囲の両方に配置される。この構成では、第1及び第2の種類のサセプタ素子52、54が、吸入デバイス10の誘導コイル36によって生成された同じ電磁場に曝されると、管状サセプタ(即ち、第2の種類のサセプタ素子54)は、第1の領域44内の細長いサセプタ(即ち、第1の種類のサセプタ素子52)よりも、第2の領域46において、単位時間あたりにより多くの熱を生成し、且つ/又はより長い期間に渡って熱を生成する。従って、第1の領域44よりも第2の領域46においてより多くの熱が生成される。
【0047】
ここで
図3~
図5を参照すると、
図1及び
図2を参照して上述した蒸気生成物品24、50の第1及び第2の例と同様の蒸気生成物品60の第3の例が示されており、対応する構成要素は、同じ参照番号を使用して示されている。
【0048】
蒸気生成物品60は、第1の領域44に複数の第1の種類の誘導加熱可能サセプタ素子62を含み、第2の領域46に第2の種類の誘導加熱可能サセプタ素子64を含む。
【0049】
より詳細には、第1の種類のサセプタ素子62の異なる例の
図3における線A-Aに沿った概略図である
図4a~
図4cを参照すると、第1の種類のサセプタ素子62は、第1の種類のサセプタ素子62の他の部分よりも高い電気抵抗を有する少なくとも1つの脆弱部分66を有することが分かる。脆弱部分66は、電流の流れ方向に垂直な平面内において、第1の種類のサセプタ素子62の他の部分よりも小さな断面積を有する第1の種類のサセプタ素子62の部分を設けることによって作製される。脆弱部分66のより高い電気抵抗を利用して、第2の種類のサセプタ素子64の破損が発生する前に、第1の種類のサセプタ素子62の破損、ひいてはその電気経路の遮断を引き起こすことができ、それによって第1の領域44よりも第2の領域46においてより多くの熱が生成されることが確実になる。
【0050】
図4aに示す例では、第1の種類のサセプタ素子62は、リング形状のサセプタであり、非同心の開口部68を含み、それにより、より小さな断面積の脆弱部分66を生成する。
図4bに示す例では、第1の種類のサセプタ素子62は、同心の開口部70を有するリング形状のサセプタであり、直径方向に反対の位置に一対のスリット72を含んで、より小さな断面積の2つの脆弱部分66を生成する。この例の変形例では、単一のスリット72又は2つより多くのスリット72が設けられる場合もある。
図4cに示す例では、第1の種類のサセプタ素子62は、同心の開口部70を有するリング形状のサセプタであり、直径方向に反対の位置に一対の開口部74を含んで、より小さな断面積の2つの脆弱部分66を生成する。この例の変形例では、単一の開口部74又は2つより多くの開口部74が設けられる場合もある。
【0051】
第1の種類のサセプタ素子62の破損が、第2の種類のサセプタ素子64の破損よりも前に発生することを確実にするために、第2の種類のサセプタ素子64は、第1の種類のサセプタ素子62の脆弱部分66よりも強い脆弱部分76を有することがある。
図5aには、脆弱部分76を有する第2の種類のサセプタ素子64の一例が示されている。第2の種類のサセプタ素子64は、リング形状のサセプタであり、非同心の開口部78を含み、それにより、より小さな断面積の脆弱部分76を生成する。
図5aに示した第2の種類のサセプタ素子64は、
図4aに示した第1の種類のサセプタ素子62と似ているが、脆弱部分76は脆弱部分66よりも強いという点が異なる、なぜなら、脆弱部分76は、脆弱部分66よりも大きな断面積を有するからであり、第1及び第2の種類のサセプタ素子62、64の他の寸法は同じである、ということが理解されよう。
【0052】
代案として、第1の種類のサセプタ素子62の破損が第2の種類のサセプタ素子64の破損より前に発生することを確実にするために、第2の種類のサセプタ素子64を、
図5bに示すようにすることができる。この例では、第2の種類のサセプタ素子64は、同心の開口部80を有するリング形状のサセプタであり、脆弱部分を有していない。
【0053】
ここで
図6を参照すると、
図1を参照して上述した蒸気生成物品24の第1の例と同様の蒸気生成物品90の第4の例が示されており、対応する構成要素は、同じ参照番号を使用して示されている。
【0054】
蒸気生成物品90は、物品90の第1の端部40と第2の端部42との間に延びる軸を有しており、第1及び第2の領域44、46は、この軸を基準にして半径方向に沿って配置されている。図示した例では、より低密度の蒸気生成材料26を含む第1の領域44は、より高密度の蒸気生成材料26を含む第2の領域46の半径方向外側に配置されている。従って、第1の領域44は、第2の領域46を取り囲む環状領域である。代替の例(図示せず)では、より高密度の蒸気生成材料26を含む第2の領域46が、より低密度の蒸気生成材料26を含む第1の領域44の半径方向外側に配置されることがある。この代替例では、第2の領域46は、第1の領域44を取り囲む環状領域である。
【0055】
図1を参照して上述した蒸気生成物品24の第1の例のように、蒸気生成物品90の第4の例は、加熱素子として粒子状サセプタ材料28を使用しており、第1の領域44よりも第2の領域46において、より高密度の粒子状サセプタ材料28を含む。この構成では、第1及び第2の領域44、46で同じ種類の粒子状サセプタ材料28を使用することができ、一方、第2の領域46におけるより高密度の粒子状サセプタ材料28は、第1の領域44におけるより低密度の粒子状サセプタ材料28よりも、第2の領域46においてより多くの熱を生成する。当然のことながら、必ずしも同じ種類の粒子状サセプタ材料28を第1及び第2の領域44、46において使用する必要はなく、第1の領域44には第1の種類のサセプタ素子(例えば、第1の種類の粒子状サセプタ)を設けることができ、第2の領域46には第2の種類のサセプタ素子(例えば、第2の種類の粒子状サセプタ)を設けることができることが、当業者には理解されるであろう。
【0056】
これまでの段落では、例示的な実施形態について説明してきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な修正を加えることができることを、理解されたい。従って、特許請求の広さ及び範囲は、上述した例示的な実施形態に限定されるべきではない。
【0057】
本明細書で特段の断りのない限り又は文脈に明らかに矛盾しない限り、すべての可能な変形形態における上述した特徴の任意の組み合わせが本開示によって包含される。
【0058】
文脈上、明らかに他の意味に解すべき場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、「含む」、「含んでいる」などの語は、排他的意味又は網羅的意味とは反対に、包括的に、すなわち「含むが、限定されない」という意味で解釈されるべきである。