IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セルジーン コーポレイションの特許一覧

<>
  • 特許-がん治療のための併用療法 図1A
  • 特許-がん治療のための併用療法 図1B
  • 特許-がん治療のための併用療法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】がん治療のための併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240405BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61K31/5377
A61K31/573
A61P35/00
A61P43/00 121
【請求項の数】 44
(21)【出願番号】P 2021542070
(86)(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 US2019053721
(87)【国際公開番号】W WO2020072334
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】62/739,809
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/773,980
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509307635
【氏名又は名称】セルジーン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ディー. アマタンジェロ
(72)【発明者】
【氏名】チャド ビョークルン
(72)【発明者】
【氏名】アンヤン タクルタ
(72)【発明者】
【氏名】シャンカン ホン
(72)【発明者】
【氏名】マリアンナ コタ
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-524478(JP,A)
【文献】特表2017-525713(JP,A)
【文献】特表2016-532657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K,A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多発性骨髄腫を治療または管理するための医薬組成物であって、化合物A-S
【化1】
たはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を含み、前記治療または管理が、そのような治療または管理を必要とする患者に(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形及び(ii)ダラツムマブを投与することを含む、前記医薬組成物。
【請求項2】
多発性骨髄腫を治療または管理するための医薬組成物であって、化合物A-S
【化2】
たはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を含み、前記治療または管理が、そのような治療または管理を必要とする患者に(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(ii)ダラツムマブ、及び(iii)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、を投与することを含む、前記医薬組成物。
【請求項3】
前記多発性骨髄腫は、くすぶり型骨髄腫、無症候性骨髄腫、活動型多発性骨髄腫、髄外形質細胞腫、骨の弧立性形質細胞腫、軽鎖骨髄腫、または非分泌型骨髄腫である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記多発性骨髄腫は、
(i)再発性または難治性であり;
(ii)薬物抵抗性であり;または
(iii)新たに診断されたものである、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
多発性骨髄腫を治療または管理するための医薬組成物であって、化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を含み、前記治療または管理が、
(i)(a)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(b)ダラツムマブ、を用いる治療に感受性の多発性骨髄腫を有する患者を特定すること、ならびに
(ii)前記患者に(a)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(b)ダラツムマブを投与すること、を含む、前記医薬組成物。
【請求項6】
多発性骨髄腫を治療または管理するための医薬組成物であって、化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を含み、前記治療または管理が、
(i)(a)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(b)ダラツムマブ、及び(c)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、を用いる治療に感受性の多発性骨髄腫を有する患者を特定すること、ならびに
(ii)(a)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(b)ダラツムマブ、及び(c)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、を前記患者に投与すること、を含む、前記医薬組成物。
【請求項7】
前記多発性骨髄腫は
(i)再発性または難治性であり;
(ii)薬物抵抗性であり;または
(iii)新たに診断されたものである、請求項またはに記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、約0.5~約100mg/日の量で投与され、かつ(ii)ダラツムマブが、約16~約200mg/kg/日の量で投与されるように使用される、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、約0.5~約100mg/日の量で投与され、(ii)ダラツムマブが、約16~約200mg/kg/日の量で投与され、かつ(iii)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、約20~約200mgの量で投与されるように使用される、請求項2~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬組成物は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、約0.5~約5mg/日の量で投与され、かつ(ii)ダラツムマブが、約16~約25mg/kg/日の量で投与されるように使用される、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、約0.5mg/日、1mg/日、2mg/日、2.5mg/日、3mg/日、4mg/日、5mg/日、7.5mg/日、10mg/日、15mg/日、20mg/日、25mg/日、50mg/日、または100mg/日の量で投与され、かつ(ii)ダラツムマブが、約16mg/kg/日、20mg/kg/日、25mg/kg/日、30mg/kg/日、35mg/kg/日、40mg/kg/日、45mg/kg/日、50mg/kg/日、75mg/kg/日、100mg/kg/日、150mg/kg/日、または200mg/kg/日の量で投与されるように使用される、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬組成物は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、経口投与され、かつ(ii)ダラツムマブが静脈内投与されるように使用される、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬組成物は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、カプセルまたは錠剤で投与され、かつ(ii)ダラツムマブが、注射または注入により投与されるように使用される、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記医薬組成物は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、10mgまたは25mgのカプセルで投与され、かつ(ii)ダラツムマブが、希釈された20mg/mlの単回投与バイアルの静脈内注入として投与されるように使用される、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記医薬組成物は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、約0.5~約5mg/日の量で投与され、(ii)ダラツムマブが、約16~約25mg/kg/日の量で投与され、かつ(iii)デキサメタゾンが、約20~約50mg/日の量で投与されるように使用される、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記医薬組成物は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、約0.5mg/日、1mg/日、2mg/日、2.5mg/日、3mg/日、4mg/日、5mg/日、7.5mg/日、10mg/日、15mg/日、20mg/日、25mg/日、50mg/日、または100mg/日の量で投与され、(ii)ダラツムマブが、約16mg/kg/日、20mg/kg/日、25mg/kg/日、30mg/kg/日、35mg/kg/日、40mg/kg/日、45mg/kg/日、50mg/kg/日、75mg/kg/日、100mg/kg/日、150mg/kg/日、または200mg/kg/日の量で投与され、かつ(iii)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、約20mg/日、25mg/日、30mg/日、35mg/日、40mg/日、45mg/日、50mg/日、75mg/日、100mg/日、150mg/日、または200mg/日の量で投与されるように使用される、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記医薬組成物は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、経口投与され、(ii)ダラツムマブが、静脈内投与され、かつ(iii)デキサメタゾンが、経口または注射で投与されるように使用される、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記医薬組成物は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、カプセルまたは錠剤で投与され、(ii)ダラツムマブが、注射または注入により投与され、かつ(iii)デキサメタゾンが、錠剤で投与されるように使用される、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記医薬組成物は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、10mgまたは25mgのカプセルで投与され、(ii)ダラツムマブが、希釈された20mg/mlの単回投与バイアルの静脈内注入として投与され、かつ(iii)デキサメタゾンが、0.5mgまたは0.75mgの錠剤として投与されるように使用される、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記多発性骨髄腫は、再発性、難治性または従来療法に抵抗性である、請求項1~19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記化合物は、28日サイクルで投与される、請求項1~20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記化合物は、化合物A-Sの塩酸塩である、請求項1~21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
多発性骨髄腫を治療または管理するための医薬の製造における化合物A-S
【化3】
たはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形の使用であって、前記治療または管理が、そのような治療または管理を必要とする患者に、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(ii)ダラツムマブを投与することを含む、前記使用。
【請求項24】
多発性骨髄腫を治療または管理するための医薬の製造における化合物A-S
【化4】
たはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形の使用であって、前記治療または管理が、そのような治療または管理を必要とする患者に、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(ii)ダラツムマブ、及び(iii)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を投与することを含む、前記使用。
【請求項25】
前記多発性骨髄腫は、くすぶり型骨髄腫、無症候性骨髄腫、活動型多発性骨髄腫、髄外形質細胞腫、骨の弧立性形質細胞腫、軽鎖骨髄腫、または非分泌型骨髄腫である、請求項23または24に記載の使用。
【請求項26】
前記多発性骨髄腫は
(i)再発性または難治性であり;
(ii)薬物抵抗性であり;または
(iii)新たに診断されたものである、請求項24または25に記載の使用。
【請求項27】
多発性骨髄腫を治療または管理するための医薬の製造における化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形の使用であって、前記治療または管理が、
(i)(a)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(b)ダラツムマブ、を用いる治療に感受性の多発性骨髄腫を有する患者を特定すること、ならびに
(ii)前記患者に(a)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(b)ダラツムマブを投与すること、を含む、前記使用。
【請求項28】
多発性骨髄腫を治療または管理するための医薬の製造における化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形の使用であって、前記治療または管理が、
(i)(a)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(b)ダラツムマブ、及び(c)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、を用いる治療に感受性の多発性骨髄腫を有する患者を特定すること、ならびに
(ii)(a)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(b)ダラツムマブ、及び(c)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を前記患者に投与すること、を含む、前記使用。
【請求項29】
前記多発性骨髄腫は
(i)再発性または難治性であり;
(ii)薬物抵抗性であり;または
(iii)新たに診断されたものである、請求項27または28に記載の使用。
【請求項30】
前記医薬は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、約0.5~約100mg/日の量で投与され、かつ(ii)ダラツムマブが、約16~約200mg/kg/日の量で投与されるように使用される、請求項23~29のいずれか一項に記載の使用。
【請求項31】
前記医薬は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、約0.5~約100mg/日の量で投与され、(ii)ダラツムマブが、約16~約200mg/kg/日の量で投与され、かつ(iii)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、約20~約200mgの量で投与されるように使用される、請求項24~29のいずれか一項に記載の使用。
【請求項32】
前記医薬は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、約0.5~約5mg/日の量で投与され、かつ(ii)ダラツムマブが、約16~約25mg/kg/日の量で投与されるように使用される、請求項30に記載の使用。
【請求項33】
前記医薬は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、約0.5mg/日、1mg/日、2mg/日、2.5mg/日、3mg/日、4mg/日、5mg/日、7.5mg/日、10mg/日、15mg/日、20mg/日、25mg/日、50mg/日、または100mg/日の量で投与され、かつ(ii)ダラツムマブが、約16mg/kg/日、20mg/kg/日、25mg/kg/日、30mg/kg/日、35mg/kg/日、40mg/kg/日、45mg/kg/日、50mg/kg/日、75mg/kg/日、100mg/kg/日、150mg/kg/日、または200mg/kg/日の量で投与されるように使用される、請求項30に記載の使用。
【請求項34】
前記医薬は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、経口投与され、かつ(ii)ダラツムマブが、静脈内投与されるように使用される、請求項30に記載の使用。
【請求項35】
前記医薬は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、カプセルまたは錠剤で投与され、かつ(ii)ダラツムマブが、注射または注入により投与されるように使用される、請求項30に記載の使用。
【請求項36】
前記医薬は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、10mgまたは25mgのカプセルで投与され、かつ(ii)ダラツムマブが、希釈された20mg/mlの単回投与バイアルの静脈内注入として投与されるように使用される、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
前記医薬は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、約0.5~約5mg/日の量で投与され、(ii)ダラツムマブが、約16~約25mg/kg/日の量で投与され、かつ(iii)デキサメタゾンが、約20~約50mg/日の量で投与されるように使用される、請求項31に記載の使用。
【請求項38】
前記医薬は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、約0.5mg/日、1mg/日、2mg/日、2.5mg/日、3mg/日、4mg/日、5mg/日、7.5mg/日、10mg/日、15mg/日、20mg/日、25mg/日、50mg/日、または100mg/日の量で投与され、(ii)ダラツムマブが、約16mg/kg/日、20mg/kg/日、25mg/kg/日、30mg/kg/日、35mg/kg/日、40mg/kg/日、45mg/kg/日、50mg/kg/日、75mg/kg/日、100mg/kg/日、150mg/kg/日、または200mg/kg/日の量で投与され、かつ(iii)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、約20mg/日、25mg/日、30mg/日、35mg/日、40mg/日、45mg/日、50mg/日、75mg/日、100mg/日、150mg/日、または200mg/日の量で投与されるように使用される、請求項31に記載の使用。
【請求項39】
前記医薬は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、経口投与され、(ii)ダラツムマブが、静脈内投与され、かつ(iii)デキサメタゾンが、経口または注射で投与されるように使用される、請求項31に記載の使用。
【請求項40】
前記医薬は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、カプセルまたは錠剤で投与され、(ii)ダラツムマブが、注射または注入により投与され、かつ(iii)デキサメタゾンが、錠剤で投与されるように使用される、請求項31に記載の使用。
【請求項41】
前記医薬は、(i)化合物A-S、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形が、10mgまたは25mgのカプセルで投与され、(ii)ダラツムマブが、希釈された20mg/mlの単回投与バイアルの静脈内注入として投与され、かつ(iii)デキサメタゾンが、0.5mgまたは0.75mgの錠剤として投与されるように使用される、請求項40に記載の使用。
【請求項42】
前記多発性骨髄腫は、再発性、難治性または従来療法に抵抗性である、請求項23~41のいずれか一項の請求項に記載の使用。
【請求項43】
前記化合物は、28日サイクルで投与される、請求項23~42のいずれか一項の請求項に記載の使用。
【請求項44】
前記化合物は、化合物A-Sの塩酸塩である、請求項23~43のいずれか一項の請求項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年10月1日に出願された米国仮出願第62/739,809号、及び2018年11月30日に出願された米国仮出願第62/773,980号の利益を主張するものであり、それらのいずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本明細書は、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(「化合物A」)、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を、ダラツムマブと組み合わせて患者に投与することを含む、がんを治療及び/または管理するための併用療法を提供する。また、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(「化合物A」)、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を、ダラツムマブ及びデキサメタゾンと組み合わせて患者に投与することを含む、がんを治療及び/または管理するための併用療法も提供する。本明細書ではさらに、前記併用療法での使用のための、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(「化合物A」)、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を提供する。
【背景技術】
【0003】
がんの病理生物学
がんは、所与の正常組織に由来する異常細胞の数の増加、これらの異常細胞による隣接組織への侵入、または所属リンパ節及び遠位部位へリンパもしくは血液により運ばれる悪性細胞の拡散(転移)を特徴とする。臨床データ及び分子生物学的研究では、がんはわずかな前がん性変化で始まり、それがある種の条件下で腫瘍に進行し得る多段階プロセスであることが示されている。腫瘍性病変は、特に、腫瘍性細胞が宿主の免疫監視を回避する条件下では、クローン性に発達し、侵入、増殖、転移、及び異質性のための増大能力を発達させ得る。Roitt,I.,Brostoff,J and Kale,D.,Immunology,17.1-17.12(3rd ed.,Mosby,St.Louis,Mo.,1993)。
【0004】
極めて多様な種類のがんがあり、それらは医学文献に詳述されている。例としては、肺、結腸、直腸、前立腺、乳房、脳、及び腸のがんが含まれる。がんの発生率は、一般集団が老齢化するにつれ、新たながんが発生するにつれ、また感受性集団(例えば、AIDS感染者または過度に太陽光に当たった人々)が増えるにつれ、上昇し続けている。したがって、がん患者を治療するために使用することができる、新たな方法及び組成物に対する非常に大きな必要性が存在する。
【0005】
多くの種類のがんは、血管新生として知られるプロセスである新血管形成を伴う。腫瘍誘導性血管新生に関与する機構のいくつかは解明されている。これらの機構のうち最も直接的なものは、腫瘍細胞による、血管新生能のあるサイトカインの分泌である。これらのサイトカインの例には、酸性及び塩基性の線維芽細胞増殖因子(a-FGF、b-FGF)、アンジオゲニン、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、及びTNF-αが含まれる。あるいは、腫瘍細胞は、プロテアーゼの産生、及びその後のいくつかのサイトカイン(例えば、b-FGF)が保存されている細胞外基質の分解を介して、血管新生ペプチドを放出することができる。血管新生はまた、炎症細胞(特に、マクロファージ)の動員及びそれらによるその後の血管新生サイトカイン(例えば、TNF-α、b-FGF)の放出を介して間接的に誘導され得る。
【0006】
血液癌は、骨髄等の造血組織、または免疫系の細胞で始まる。血液癌の例は、白血病、リンパ腫及び多発性骨髄腫である。血液癌(Hematologic cancer)は、血液癌(blood cancer)とも呼ばれる。
【0007】
リンパ腫とは、リンパ系に発生するがんを指す。リンパ腫は、リンパ球、すなわち、Bリンパ球及びTリンパ球(すなわち、B細胞及びT細胞)の悪性新生物を特徴とする。リンパ腫は一般に、リンパ節または胃もしくは腸が含まれるがこれらに限定されない臓器のリンパ組織の集積で始まる。リンパ腫は、場合によっては骨髄及び血液を侵す場合がある。リンパ腫は、ある部位から体の他の部分に広がる場合がある。
【0008】
様々な形態のリンパ腫の治療は、例えば、米国特許第7,468,363号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。そのようなリンパ腫には、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、活性化B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性中心リンパ腫、形質転換リンパ腫、中分化型リンパ球性リンパ腫、中間型リンパ球性リンパ腫(ILL)、びまん性低分化型リンパ球性リンパ腫(PDL)、中心細胞性リンパ腫、びまん性小切れ込み細胞性リンパ腫(DSCCL)、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、皮膚T細胞性リンパ腫及び外套帯リンパ腫ならびに低悪性度濾胞性リンパ腫が含まれるが、これらに限定されない。
【0009】
非ホジキンリンパ腫(NHL)は、米国で男女ともに5番目に多いがんであり、2007年における新規症例は63,190件、及び死亡者は18,660人と推定される。Jemal A,et al.,CA Cancer J Clin 2007;57(1):43-66。NHLを発症する確率は年齢とともに増加し、高齢者におけるNHLの発生率は過去10年間着実に増加しており、米国の人口の高齢化傾向についての懸念が生じている。同上。Clarke C A,et al.,Cancer 2002;94(7):2015-2023。NHLは白血球で始まるがんである。これは、ホジキンリンパ腫ではないと定義される。NHLはB細胞、NK細胞またはT細胞のリンパ腫であり得る。60を超えるNHLの亜型があり、最もよく見られるのは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、小リンパ球性リンパ腫、ダブルヒットリンパ腫、原発縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫(MALT)、節性辺縁帯B細胞リンパ腫及びリンパ形質細胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、原発性滲出性リンパ腫であり、最もよく見られるB細胞リンパ腫である。
【0010】
最もよく見られるT細胞リンパ腫には、未分化大細胞リンパ腫(全身型及び皮膚型)、末梢性T細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、成人T細胞リンパ腫/白血病及び節外性NK/T細胞リンパ腫が含まれる。
【0011】
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は非ホジキンリンパ腫の約3分の1を占める。一部のDLBCL患者は従来の化学療法で治癒するが、残りの患者はこの疾患で死亡する。抗癌薬は、おそらく成熟したT細胞及びB細胞の直接的なアポトーシス誘導によって、急速かつ持続的なリンパ球枯渇を引き起こす。K.Stahnke.et al.,Blood 2001,98:3066-3073を参照のこと。絶対リンパ球数(ALC)は、濾胞性非ホジキンリンパ腫の予後因子であることが示されており、最近の結果から、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫では診断時のALCが重要な予後因子であることが示唆されている。D.Kim et al.,Journal of Clinical Oncology,2007 ASCO Annual Meeting Proceedings Part I.Vol 25,No.18S(June 20 Supplement),2007:8082を参照のこと。
【0012】
白血病とは、造血組織の悪性新生物を指す。様々な形態の白血病が、例えば、2002年5月17日に出願された米国特許第7,393,862号及び米国仮特許出願第60/380,842号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。動物では、ウイルスがいくつかの形態の白血病を引き起こすと報告されているが、ヒトでの白血病の原因はほとんど解明されていない。Merck Manual,944-952(17th ed.1999)。悪性への転化は典型的に、2つ以上の段階を経て単一細胞で生じ、その後、増殖とクローン性増殖を伴う。一部の白血病において、一貫した白血病細胞形態及び特別な臨床的特徴(例えば、慢性骨髄性白血病では9番染色体と22番染色体の転座、急性前骨髄球性白血病では15番染色体と17番染色体の転座)を伴う特定の染色体転座が確認されている。急性白血病は主に未分化細胞集団であり、慢性白血病はより成熟した細胞形態である。
【0013】
急性白血病は、リンパ芽球性(ALL)と非リンパ芽球性(ANLL)の種類に分けられる。The Merck Manual,946-949(17th ed.1999)。それらはさらに、French-American-British(FAB)分類に従って、またはその分化の病型と程度に従って、その形態学的及び細胞化学的な外観により細かく分類され得る。B細胞とT細胞系及び骨髄系の抗原に特異的なモノクローナル抗体の使用は、分類に最も役立つ。ALLは、検査所見及び骨髄検査によって確定される、主に小児期の疾患である。急性骨髄性白血病または急性骨髄芽球性白血病(AML)としても知られるANLLは全年齢で発生し、成人でより多く見られる急性白血病であり、通常、原因因子としての放射線照射に関連した形態である。
【0014】
慢性白血病は、リンパ球性(CLL)または骨髄球性(CML)であるとして記載されている。The Merck Manual,949-952(17th ed.1999)。CLLは、血液、骨髄、及びリンパ器官における成熟リンパ球の出現を特徴とする。CLLの特徴は、持続的な絶対的リンパ球増加(5,000/μL超)及び骨髄中リンパ球の増加である。ほとんどのCLL患者には、B細胞の特徴を有するリンパ球のクローン性増殖もある。CLLは中高年の疾患である。CMLでは、特徴は、血液、骨髄、肝臓、脾臓、及び他の臓器において、分化のあらゆる段階の顆粒球細胞が優勢であることである。診断時に有症状の患者では、総白血球(WBC)数は通常約200,000/μLであるが、1,000,000/μLに達する場合がある。CMLは、フィラデルフィア染色体が存在するため診断は比較的容易である。
【0015】
急性と慢性のカテゴリー分類に加え、新生物はまた、そのような障害を生じさせる細胞に基づいて前駆細胞と末梢にカテゴリー分類される。例えば、開示が参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2008/0051379号を参照のこと。前駆細胞新生物にはALL及びリンパ芽球性リンパ腫が含まれ、T細胞またはB細胞のいずれかに分化してしまう前のリンパ球で生じる。末梢性新生物は、T細胞またはB細胞のいずれかに分化したリンパ球で生じるものである。そのような末梢性新生物には、B細胞性CLL、B細胞性前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯リンパ腫、節性辺縁帯リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫、有毛細胞白血病、形質細胞腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫及びバーキットリンパ腫が含まれるが、これらに限定されない。CLL症例のうち95パーセント超では、クローン性増殖はB細胞系列のものである。Cancer:Principles & Practice of Oncology(3rd Edition)(1989)(pp.1843-1847)を参照のこと。CLL症例のうち5パーセント未満では、腫瘍細胞はT細胞表現型を有する。しかしながら、これらの分類にもかかわらず、正常な造血の病理学的障害はすべての白血病の特徴である。
【0016】
多発性骨髄腫(MM)は、骨髄中の形質細胞のがんである。通常、形質細胞は、抗体を産生し、免疫機能において重要な役割を果たす。しかしながら、これらの細胞の制御されない増殖は、骨痛と骨折、貧血、感染、及び他の合併症を引き起こす。多発性骨髄腫は、2番目に多く見られる血液系悪性腫瘍であるが、多発性骨髄腫の正確な原因は不明なままである。多発性骨髄腫は、Mタンパク質及び他の免疫グロブリン(抗体)、アルブミン、ならびにβ2-ミクログロブリンが含まれるがこれらに限定されないタンパク質の、血液、尿、及び臓器における高レベルを引き起こす。パラプロテインとしても知られるモノクローナルタンパク質の略称であるMタンパク質は、骨髄腫形質細胞によって産生される特に異常なタンパク質であり、多発性骨髄腫のほぼすべての患者の血液または尿中に見ることができる。
【0017】
骨痛を含めた骨格系症状は、多発性骨髄腫の臨床上最も重要な症状に入る。悪性形質細胞は、破骨細胞刺激因子(IL-1、IL-6及びTNFを含む)を放出し、それにより骨からのカルシウム溶出が引き起こされて溶解性病変を生じさせる。高カルシウム血症はもう一つの症状である。サイトカインとも呼ばれる破骨細胞刺激因子は、アポトーシス、すなわち、骨髄腫細胞の死を妨げ得る。患者の50パーセントは、診断時、X線検査で検出可能な骨髄腫関連骨格病変を有する。多発性骨髄腫で他によく見られる臨床症状には、多発性神経障害、貧血、過粘稠、感染、及び腎不全が含まれる。
【0018】
がんの発生率は、一般集団が老齢化するにつれ、新たながんが発生するにつれ、また感受性集団(例えば、AIDS感染者、高齢者または過度に太陽光に当たった人々)が増えるにつれ、上昇し続けている。したがって、リンパ腫、NHL、多発性骨髄腫、AML、白血病、及び固形腫瘍が含まれるがこれらに限定されないがんの患者を治療するために使用することができる、新たな方法、治療及び組成物に対する非常に大きな必要性が存在する。
【0019】
したがって、望ましくない血管新生を制御及び/または阻害することができるか、あるいはTNF-αを含め、ある種のサイトカインの産生を阻害することができる化合物は、様々な形態のがんの治療及び予防のための併用療法において有用であり得る。
【0020】
がんの治療方法
現在のがん治療では、患者の腫瘍性細胞を根絶するために手術、化学療法、ホルモン療法及び/または放射線治療を伴い得る(例えば、Stockdale,1998,Medicine,vol.3,Rubenstein and Federman,eds.,Chapter 12,Section IVを参照のこと)。最近では、がん治療で生物学的療法または免疫療法を伴う場合もあり得る。これらの手法はいずれも患者にとって重要な欠点を生じ得る。例えば、手術は、患者の健康により禁忌となり得るか、または患者に受け入れられない場合がある。さらに、手術で腫瘍性組織が完全に除去されない場合がある。放射線療法は、腫瘍性組織が放射線に対して正常組織よりも高い感受性を示す場合にのみ有効である。放射線療法はまた、重篤な副作用をしばしば誘発し得る。ホルモン療法は、単剤として投与されることはほとんどない。ホルモン療法は有効であり得るが、これは、他の治療によりがん細胞の大部分を除去した後で、がんの再発を予防するかまたは遅延させるために使用されることが多い。ある種の生物学的及び他の療法は数が限られており、発疹もしくは腫脹、発熱、悪寒及び疲労を含む感冒様症状、消化管異常またはアレルギー反応等の副作用を生じ得る。
【0021】
化学療法に関しては、がんの治療に利用可能な様々な化学療法剤がある。いくつかのがん化学療法剤は、DNA合成を直接的に、またはデオキシリボヌクレオチド三リン酸前駆体の生合成を阻害することにより間接的に阻害して、DNAの複製と付随する細胞分裂を妨げることによって作用する。Gilman et al.,Goodman and Gilman’s:The Pharmacological Basis of Therapeutics,Tenth Ed.(McGraw Hill,New York)。
【0022】
様々な化学療法剤が利用可能であるにもかかわらず、化学療法には多くの欠点がある。Stockdale,Medicine,vol.3,Rubenstein and Federman,eds.,ch.12,sect.10,1998。ほとんどすべての化学療法剤は毒性であり、化学療法により、重度の悪心、骨髄抑制、及び免疫抑制を含む、重大かつしばしば危険な副作用が引き起こされる。さらに、化学療法剤の併用投与の場合であっても、多くの腫瘍細胞は化学療法剤に対して抵抗性であるかまたは抵抗性を生じる。事実、治療プロトコルで使用される特定の化学療法剤に抵抗性である細胞は、他の薬物に対しても、たとえそれらの薬剤が特定の治療で使用される薬物の機序とは異なる機序で作用するとしても、抵抗性と判明することが多い。この現象は多剤抵抗性と呼ばれる。薬物抵抗性のため、多くのがんが、標準的な化学療法治療プロトコルに対して難治性であると判明する。
【0023】
がん、特に、手術、放射線療法、化学療法及びホルモン療法等の標準治療に対して難治性のがんを治療、予防及び管理し、従来療法に伴う毒性及び/または副作用を低減または回避する、安全かつ有効な方法に対する大きなニーズが存在する。
【0024】
多発性骨髄腫
多発性骨髄腫(MM)は、依然として治癒不能の腫瘍性疾患であり、全血液系悪性腫瘍の12%を占める。2016年には、世界中でMMの新規症例が138,509件、MMによる死亡は98,437件発生したと推定されている(Cowan et al.,JAMA Oncol 2018,4(9),1221-1227)。
【0025】
ヒト形質細胞(PC)とその前駆細胞は、液性免疫応答において必須の役割を果たすが、同様に、多発性骨髄腫を含め、様々な悪性B細胞障害を引き起こす。B細胞の抗体分泌形質細胞への分化は、免疫応答の極めて重要な要素である。Jacob et al.,Autoimmunity 2010,43(1),84-97を参照のこと。形質細胞の分化をもたらす発生プログラムを導く少数の転写因子が同定されている。PAX5及びBCL6は活性化B細胞に発現し、主に分化を抑制することにより作用する。PAX5は、PRDM1(BLIMP-1タンパク質をコードする遺伝子)、XBP1、及びIgJ(J鎖)を含め、いくつかの遺伝子に関連した遺伝子を抑制する。BCL6は、PRDM1を抑制することによって形質細胞の発達を部分的に抑制する。Jourdan et al.,Blood 2009,114(10),5173-5181;Kallies et al.,Immunity 2007,26(5),555-566;Lenz et al.,N.Engl.J.Med.2010,362,1417-1429を参照のこと。分化及び免疫グロブリン(Ig)高分泌にもIRF-4、XBP-1、及びBLIMP-1を要する。分化時、IRF-4の発現は顕著に増加し、これは、形質細胞形成及びIg分泌にとって不可欠である。XBP-1は分泌経路の側面を直接制御し、PAX5媒介性遺伝子抑制の消失と転写後調節の組み合わせによって形質細胞で強く誘導される。BLIMP-1は形質細胞に発現するが、B細胞個体発生学の初期段階には存在しない。Jourdan et al.,Blood 2009,114(10),5173-5181;Kallies et al.,Immunity 2007,26(5),555-566;Lenz et al.,N.Engl.J.Med.2010,362,1417-1429を参照のこと。免疫調節化合物であるレナリドミドは、多発性骨髄腫及びABCリンパ腫の治療において有効であることが実証されている。正常なB細胞に対する免疫調節化合物の潜在的活性には、ナイーブCD19+ B細胞の活性化または阻害(刺激に応じて)が含まれる。B腫瘍細胞では、免疫調節化合物は、多発性骨髄腫及びリンパ腫の増殖、腫瘍抑制遺伝子誘導(サイクリン依存性キナーゼ阻害因子のp21、p27等)、F-アクチンの重合ならびにMCL及びCLLでのCD20のクラスター化を阻害し、また、MMでのC/EBPβ、IRF4、BLIMP-1、及びXBP-1の発現を阻害し、ABCリンパ腫細胞におけるNF-κBの活性化を阻害する。
【0026】
MMの治療においては、メルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾン(DEX)、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、シスプラチン、免疫調節剤、モノクローナル抗体及びプロテアソーム阻害剤の様々な組み合わせを用いて、または大量化学療法後の自家幹細胞移植を用いて著しい進歩が遂げられている(National Comprehensive Cancer Network [NCCN] Guidelines,2015はNCCNのウェブサイトhttp://www.nccn.org/professionals/physician_gls/PDF/myeloma.pdf.にて利用可能。アクセス日:2016年1月29日)。
【0027】
再発性及び難治性の多発性骨髄腫(RRMM)の適切な治療を選択する際の主な考慮事項は、前の治療法のリスクレベル、前の治療法の奏効期間、残留毒性、年齢、健康状態、及び患者が幹細胞移植の候補者であるか否か(NCCN Guidelines,2015)である。
【0028】
デキサメタゾンと共に使用されるかまたはレナリドミドとデキサメタゾンと共に使用されるプロテアソーム阻害剤であるカルフィルゾミブ、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンと組み合わせて使用されるヒストンデアセチラーゼ阻害剤であるパノビノスタット、ヒトCD38を標的とするモノクローナル抗体であるダラツムマブ、レナリドミド及びデキサメタゾンと共に使用されるSLAMF7タンパク質免疫刺激抗体であるエロツズマブ、レナリドミド及びデキサメタゾンと共に使用されるプロテアソーム阻害剤であるイキサゾミブ等、いくつかの化合物がRRMMの治療薬として最近承認されている。
【0029】
こうしたMMの治療選択肢の進歩にもかかわらず、治療レジメンまたは治療初期反応とは無関係に、疾患は大部分の患者において再発性の経過をたどる(Kumar et al.,Leukemia 2012,26(1),149-57)。多発性骨髄腫は、従来の治療を使用しても依然として治癒不能であり、全体の5年相対生存率は45%である(Howlader et al.、2014年11月のSEERデータ提出に基づく、2015年4月にSEERウェブサイトに投稿のSEERウェブサイトhttp://seer.cancer.gov/csr/1975_2012/にて利用可能)。したがって、最近の新たな治療承認にもかかわらず、RRMM患者を治療する別の療法が必要とされている。
【発明の概要】
【0030】
本明細書は、新たに診断されたがん、ならびに再発性であるか、従来の化学療法に対して難治性であるかもしくは抵抗性を示すがんを含めた、がんを治療及び管理する方法を提供し、これは、そのような治療または管理を必要とする患者に(i)治療的または予防的有効量の、以下の構造:
【化1】
を有する3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(ii)ダラツムマブ、を投与することを含む。本明細書では、新たに診断されたがん、及び再発性であるか、従来の化学療法に対して難治性であるかもしくは抵抗性を示すがんを含めた、がんを治療及び管理するそのような方法での使用のための、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(「化合物A」)またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を提供する。
【0031】
一実施形態では、新たに診断されたがん、及び再発性であるか、従来の化学療法に対して難治性であるかもしくは抵抗性を示すがんを含めた、がんを治療及び管理する方法は、そのような治療または管理を必要とする患者に(i)治療的または予防的有効量の、以下の構造:
【化2】
を有する3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(ii)ダラツムマブ、及び(iii)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、を投与することを含む。本明細書では、新たに診断されたがん、及び再発性であるか、従来の化学療法に対して難治性であるかもしくは抵抗性を示すがんを含めた、がんを治療及び管理するそのような方法での使用のための、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(「化合物A」)またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を提供する。
【0032】
一実施形態では、化合物Aは、以下の構造を有する鏡像異性体(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンである。
【化3】
【0033】
別の実施形態では、化合物Aは、以下の構造を有する鏡像異性体(R)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンである。
【化4】
【0034】
本明細書はまた、がんを管理する方法(例えば、その再発を予防すること、または寛解の時間を延長すること)も提供し、これは、そのような管理を必要とする患者に治療的または予防的に有効量の、(i)3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(ii)ダラツムマブ、を投与することを含む。本明細書では、がんを管理するそのような方法(例えば、その再発を予防すること、または寛解の時間を延長すること)での使用のための、(i)3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンまたはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を提供する。
【0035】
さらに本明細書は、がんを管理する方法(例えば、その再発を予防すること、または寛解の時間を延長すること)を提供し、これは、そのような管理を必要とする患者に治療的または予防的に有効量の、(i)3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(ii)ダラツムマブ、及び(iii)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、を投与することを含む。本明細書では、がんを管理するそのような方法(例えば、その再発を予防すること、または寛解の時間を延長すること)での使用のための、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を提供する。
【0036】
ある特定の実施形態では、がんの治療または管理のための方法を本明細書で提供する。一実施形態では、がんは、血液癌(例えば、多発性骨髄腫、リンパ腫または白血病)である。
【0037】
一実施形態では、多発性骨髄腫の治療または管理のための方法を本明細書で提供する。一実施形態では、多発性骨髄腫は、くすぶり型多発性骨髄腫である。一実施形態では、多発性骨髄腫は、活動型多発性骨髄腫である。一実施形態では、多発性骨髄腫は、髄外形質細胞腫である。一実施形態では、多発性骨髄腫は、骨の弧立性形質細胞腫である。一実施形態では、多発性骨髄腫は、軽鎖骨髄腫である。一実施形態では、多発性骨髄腫は、非分泌型骨髄腫である。
【0038】
一実施形態では、多発性骨髄腫は、再発性及び/または難治性である。一実施形態では、多発性骨髄腫は再発性である。一実施形態では、多発性骨髄腫は難治性である。一実施形態では、多発性骨髄腫は、従来の化学療法に抵抗性を示す。
【0039】
一実施形態では、リンパ腫の治療または管理のための方法を本明細書で提供する。ある特定の実施形態では、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、活性化B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性中心リンパ腫、形質転換リンパ腫、中分化型リンパ球性リンパ腫、中間型リンパ球性リンパ腫(ILL)、びまん性低分化型リンパ球性リンパ腫(PDL)、中心細胞性リンパ腫、びまん性小切れ込み細胞性リンパ腫(DSCCL)、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、皮膚T細胞性リンパ腫及び外套帯リンパ腫ならびに低悪性度濾胞性リンパ腫の治療または管理のための方法を本明細書で提供する。
【0040】
本明細書で提供される方法には、がん患者、例えば、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、及びAMLの患者を、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形と、ダラツムマブとを組み合わせて用いる治療のためにスクリーニングまたは特定するための方法が包含される。特に、本明細書では、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形と、ダラツムマブとを組み合わせて用いる療法の奏効率がより高い患者を選択するための方法を提供する。
【0041】
本明細書で提供される方法には、がん患者、例えば、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病及びAMLの患者を、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形と、ダラツムマブとを組み合わせて用いる治療のためにスクリーニングまたは特定するための方法が包含される。特に、本明細書では、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形と、ダラツムマブ及びデキサメタゾンとを組み合わせて用いる療法の奏効率がより高い患者を選択するための方法を提供する。
【0042】
一実施形態では、本明細書で、多発性骨髄腫を治療または管理するための方法を提供し、
(i)3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形と、ダラツムマブとを組み合わせて用いる治療に感受性の多発性骨髄腫を有する患者を特定すること、及び
(ii)治療的有効量の3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形と、ダラツムマブとを組み合わせて患者に投与すること、を含む。
本明細書では、多発性骨髄腫を治療または管理するためのそのような方法での使用のための、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を提供する。
【0043】
一実施形態では、本明細書で、多発性骨髄腫を治療または管理するための方法を提供し、
(i)3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形と、ダラツムマブ及びデキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形とを組み合わせて用いる治療に感受性の多発性骨髄腫を有する患者を特定すること、及び
(ii)治療的有効量の3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形と、ダラツムマブ及びデキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形とを組み合わせて患者に投与すること、を含む。
本明細書では、多発性骨髄腫を治療または管理するためのそのような方法での使用のための、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を提供する。
【0044】
本明細書では、約0.5~100mgの3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形と、1つ以上の追加の活性物質とを含む医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態では、1つ以上の追加の活性物質は、オブリメルセン、メルファラン、G-CSF、GM-CSF、GC-CSF、BCG、EPO、インターロイキン、モノクローナル抗体、がん抗体、cox-2阻害薬、トポテカン、ペントキシフィリン、シプロフロキサシン、ダラツムマブ、タキソテール、イリノテカン、デキサメタゾン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、IL2、IFN、ダカルバジン、Ara-C、ビノレルビン、イソトレチノイン、プロテアソーム阻害剤、HDAC阻害剤、タキサン、リツキサン、及びプレドニゾンから選択される。
【0045】
本明細書ではまた、(i)約0.5~100mgの3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(ii)約16mg/kg~200mg/kgのダラツムマブ、を含む医薬組成物も提供する。
【0046】
本明細書ではさらに、(i)約0.5~100mgの3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(ii)約16mg/kg~200mg/kgのダラツムマブ、及び(iii)約20~200mgのデキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、を含む医薬組成物を提供する。
【0047】
本明細書ではまた、(i)3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(ii)ダラツムマブ、を含む医薬組成物を含むキットも提供する。
【0048】
一実施形態では、(i)3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(ii)ダラツムマブ、及び(iii)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、を含む医薬組成物を含むキットを本明細書で提供する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1A】化合物A-S、ダラツムマブ、及び化合物A-Sとダラツムマブの組み合わせのMM細胞株H929に対する効果を示す。
【0050】
図1B】化合物A-S、ダラツムマブ、及び化合物A-Sとダラツムマブの組み合わせのMM細胞株MM1.Sに対する効果を示す。
【0051】
図2】補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイでの化合物A-Sとダラツムマブの組み合わせのMM細胞株H929に対する効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
定義
本明細書で使用される場合、「または」という用語は、任意の1つまたは任意の組み合わせを意味する包括的な「または」として解釈される。したがって、「A、BまたはC」とは、「A;B;C;A及びB;A及びC;B及びC;A、B及びC」のうちのいずれかを意味する。この定義の例外は、要素、機能、ステップまたは行為の組み合わせが、何らかの形で本質的に互いに排他的な場合にのみ生じる。
【0053】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「対象」または「患者」という用語は、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、またはマウスを含めた哺乳類が含まれるがこれらに限定されない動物を指す。「対象」及び「患者」という用語は本明細書では、例えば、ヒト対象等の哺乳類の対象に関して同じ意味で使用される。
【0054】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「治療する」、「治療すること」及び「治療」という用語は、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害に関連した1つ以上の症状の、根絶または改善を指す。ある特定の実施形態では、かかる用語は、疾患または障害を有する患者への1つ以上の予防的または治療的薬剤の投与により引き起こされる、そのような疾患または障害の拡大または悪化を最小限に抑えることを指す。いくつかの実施形態では、かかる用語は、特定の疾患の症状の発症後、本明細書で提供される化合物の投与を、他の追加の活性物質と併せて、または併せずに行うことを指す。
【0055】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「予防する」、「予防すること」及び「予防」という用語は、疾患もしくは障害、またはその1つ以上の症状の、発症、再発または拡大の予防を指す。ある特定の実施形態では、かかる用語は、特に、本明細書に記載される疾患または障害のリスクのある患者に対し、症状の発症前に本明細書で提供される化合物を用いた治療またはその投与を、他の追加の活性化合物と併せて、または併せずに行うことを指す。かかる用語は、特定の疾患の症状の阻害または低減を包含する。疾患の家族歴のある患者は特に、ある特定の実施形態では予防的レジメンの候補者である。さらに、症状再発の既往のある患者もまた、予防の潜在的候補者である。これに関し、「予防」という用語は「予防的治療」という用語と同じ意味で使用される場合がある。
【0056】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「管理する」、「管理すること」及び「管理」という用語は、疾患もしくは障害、またはその1つ以上の症状の、進行、拡大または悪化を予防するかまたは減速させることを指す。多くの場合、患者が予防用及び/または治療用薬剤から得る有益な効果が疾患または障害の治癒をもたらすということはない。これに関し、「管理すること」という用語は、特定の疾患に罹患したことのある患者を、疾患の再発を予防するかまたは最小限に抑えるため、または疾患の寛解が持続する時間を延長させるために治療することを包含する。
【0057】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、化合物の「治療的有効量」は、疾患もしくは障害の治療もしくは管理において治療的利益を提供するため、または疾患もしくは障害に関連した1つ以上の症状を遅延させるかもしくは最小限に抑えるために十分な量である。化合物の治療的有効量とは、単独での、または疾患もしくは障害の治療もしくは管理に治療利益をもたらす他の療法と組み合わせた治療剤の量を意味する。「治療的有効量」という用語には、療法全体を改善するか、疾患もしくは障害の症状もしくは原因を低減もしくは回避するか、または別の治療薬の治療有効性を高める量が包含され得る。
【0058】
併用療法または「と組み合わせて」とは、特定の障害または状態を治療するための2つ以上の治療薬の使用を指す。「と組み合わせて」という用語は、治療薬を、同時に投与しなければならないこと、及び/または一緒の送達用に製剤化しなければならないことを意味するものではないが、これらの送達方法は本開示の範囲内である。治療薬は、1つ以上の他の追加の薬剤と同時か、それより前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、または16週間前)か、またはそれより後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、または16週間後)に投与することができる。併用療法での治療薬はまた、休薬期間(例えば、スケジュールのある特定の日は治療薬を投与しない)を設ける、または設けない、交互の投与スケジュールで投与することもできる。ある治療薬「と組み合わせた」別の治療薬の投与には、2つの薬剤の逐次投与及び同時投与が含まれるが、これらに限定されない。一般に、各治療薬は、その特定の薬剤について決定された用量及び/またはタイムスケジュールで投与される。
【0059】
本明細書で使用される場合、「追加の活性物質」、「活性物質」及び「活性成分」という用語は、特定の種類のがん、ならびに望ましくない血管新生を伴うかまたはそれに特徴付けられるある特定の疾患及び状態の治療において有用な薬理学的に活性な化合物を指す。活性物質は、大分子(例えば、タンパク質)または小分子(例えば、合成無機分子、有機金属分子、または有機分子)であり得る。大分子活性物質の例には、造血成長因子、サイトカイン、ならびにモノクローナル及びポリクローナル抗体が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、大分子活性物質は、天然に存在するかまたは人工的に作られたタンパク質等の生物学的分子である。本開示において特に有用なタンパク質には、インビトロまたはインビボで造血前駆細胞及び免疫学的に活性な造細胞の生存及び/または増殖を刺激するタンパク質が含まれる。他に有用なタンパク質は、インビトロまたはインビボで、細胞の分化系列が決定された赤血球前駆細胞の分裂及び分化を刺激する。特定のタンパク質には、IL-2(組換えIL-II(「rIL2」)及びカナリア痘IL-2を含む)、IL-10、IL-12、及びIL-18等のインターロイキン;インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファ-n1、インターフェロンアルファ-n3、インターフェロンベータ-Ia、及びインターフェロンガンマ-Ib等のインターフェロン;GM-CF及びGM-CSF;GC-CSF、BCG、がん抗体、ならびにEPOが含まれるが、これらに限定されない。小分子である活性物質はまた、本明細書で提供される化合物の投与に関連する有害作用を緩和させるためにも使用することができる。ただし、多くは、いくつかの大分子同様、本明細書で提供される化合物と共に(例えば、前、後、または同時に)投与される場合に相乗効果を提供することができると考えられる。小分子の追加活性物質の例には、抗がん剤、抗生物質、免疫抑制剤、及びステロイドが含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
ある特定の実施形態では、活性物質は、少なくとも1つの化学療法剤であるか、少なくとも1つの抗炎症剤であるか、または少なくとも1つの免疫抑制剤及び/または免疫調節剤である。一実施形態では、そのような化学療法剤は、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、フルダラビン、5-フルオロウラシル、デカルバジン、ヒドロキシ尿素、アスパラギナーゼ、ゲムシタビン、クラドリビン及び類似薬剤等の、代謝拮抗剤から選択され得る。一実施形態では、そのような化学療法剤は、メクロレタミン、チオエパ、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、ロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、ダカルバジン(DTIC)、プロカルバジン、マイトマイシンC、シスプラチン、及びカルボプラチン等の他の白金誘導体、ならびに類似薬剤等の、アルキル化剤から選択され得る。一実施形態では、そのような化学療法剤は、ダクチノマイシン(旧アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ダウノルビシン(旧ダウノマイシン)、イダルビシン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシン、アントラマイシン(AMC)及び類似薬剤等の、抗生物質から選択され得る。一実施形態では、そのような化学療法剤は、タキサン、例えば、ドセタキセル、及びパクリタキセル等の、抗有糸分裂剤から選択され得る。一実施形態では、そのような化学療法剤は、トポテカン等のトポイソメラーゼ阻害剤から選択され得る。一実施形態では、そのような化学療法剤は、ErbB1(EGFR)の阻害剤(ゲフィチニブ(Iressa(登録商標)等)、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))、2F8(WO2002/100348に開示されている)及び類似薬剤)、ErbB2の阻害剤(Her2/neu)(トラスツズマブ(Herceptin(登録商標)等)及び類似薬剤)及び類似薬剤等の、増殖因子阻害剤から選択され得る。一実施形態では、そのような増殖因子阻害剤は、SCH-66336及びR115777等のファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤であってよい。一実施形態では、そのような増殖因子阻害剤は、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))等の血管内皮細胞増殖因子(VEGF)阻害剤であってよい。一実施形態では、そのような化学療法剤は、イマチニブ(グリベック、GLEEVEC STI571)、ラパチニブ、PTK787/ZK222584及び類似薬剤等のチロシンキナーゼ阻害薬であってよい。一実施形態では、そのような化学療法剤は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤であってよい。そのようなヒストンデアセチラーゼ阻害剤の例には、SAHA(スベロイルアニリドヒドロキサム酸)等のヒドロキサム酸系ハイブリッド極性化合物が含まれる。一実施形態では、そのような化学療法剤は、SCIO-469等のP38a MAPキナーゼ阻害剤であってよい。
【0061】
さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、血管新生(angiogenesis)、脈管新生(neovascularization)、及び/または他の脈管化(vascularization)の少なくとも1つの阻害剤の、それを必要とする対象への投与が含まれる。そのような血管新生阻害剤の例は、ウロキナーゼ阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤(マリマスタット、ネオバスタット(neovastat)、BAY12-9566、AG3340、BMS-275291及び類似薬剤等)、内皮細胞の遊走と増殖の阻害剤(TNP-470、スクアラミン、2-メトキシエストラジオール、コンブレタスタチン、エンドスタチン、アンジオスタチン、ペニシラミン、SCH66336(Schering-Plough Corp,Madison,N.J.),R115777(Janssen Pharmaceutica,Inc,Titusville,N.J.)及び類似薬剤等)、血管新生増殖因子の拮抗薬(ZD6474、SU6668、血管新生物質及び/またはそれらの受容体(VEGF、bFGF、及びアンジオポエチン-1等)に対する抗体、Sugen 5416、SU5402、抗血管新生リボザイム(アンジオザイム等)、インターフェロンα(インターフェロンα2a等)、スラミン及び類似薬剤等等)、VEGF-Rキナーゼ阻害剤及び他の抗血管新生チロシンキナーゼ阻害剤(SU011248等)、内皮特異的インテグリン/生存シグナル伝達の阻害剤(ビタキシン(vitaxin)及び類似薬剤等)、銅拮抗物質/キレート剤(テトラチオモリブデート、カプトプリル及び類似薬剤等)、カルボキシアミドトリアゾール(CAI)、ABT-627、CM101、インターロイキン-12(IL-12)、IM862、PNU145156Eならびに血管新生を阻害するヌクレオチド分子(アンチセンス-VEGF-cDNA、アンジオスタチンをコードするcDNA、p53をコードするcDNA、及び欠失型VEGF受容体-2をコードするcDNA等)ならびに類似薬剤である。血管新生、脈管新生、及び/または他の脈管化のそのような阻害剤の他の例は、抗血管新生ヘパリン誘導体及び関連分子(例えば、ヘペリナーゼIII)、テモゾロミド、NK4、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤、低酸素誘導因子1の阻害剤、抗血管新生大豆イソフラボン、オルチプラズ、フマギリンとその類似体、ソマトスタチン類似体、ポリ硫酸ペントサン、テコガランナトリウム、ダルテパリン、タムスタチン、トロンボスポンジン、NM-3、コンブレスタチン、カンスタチン、アバスタチン、他の関連標的に対する抗体(抗アルファ-v/β3インテグリン及び抗キニノスタチン(kininostatin)mAbs等)ならびに類似薬剤である。
【0062】
さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、がん抗原/腫瘍関連抗原(例えば、上皮細胞接着分子(EpCAM/TACSTD1)、ムチン1(MUC1)、がん胎児性抗原(CEA)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG-72)、gp100、Melan-A、MART-1、KDR、RCAS1、MDA7、がん関連ウイルスワクチン(例えば、ヒトパピローマウイルスワクチン)、腫瘍由来の熱ショックタンパク質、及び類似薬剤等の、抗がん免疫原の投与が含まれる。本明細書の他の箇所に記載されているいくつかの他の好適ながん抗原/腫瘍関連抗原、及び当該技術分野で公知の同様の分子は、そのような実施形態において使用しても、または別の方法として使用してもよい。抗がん免疫原性ペプチドにはまた、BEC2抗イディオタイプ抗体、ミツモマブ、CeaVac及び関連抗イディオタイプ抗体等の抗イディオタイプ「ワクチン」、MG7抗体に対する抗イディオタイプ抗体、ならびに他の抗がん抗イディオタイプ抗体(例えば、Birebent et al.,Vaccine.21(15),1601-12(2003)、Li et al.,Chin Med J(Engl).114(9),962-6(2001)、Schmitt et al.,Hybridoma.13(5),389-96(1994)、Maloney et al.,Hybridoma.4(3),191-209(1985)、Raychardhuri et al.,J Immunol.137(5),1743-9(1986)、Pohl et al.,Int J Cancer.50(6),958-67(1992)、Bohlen et al.,Cytokines Mol Ther.2(4),231-8(1996)及びMaruyama,J Immunol Methods.264(1-2),121-33(2002)を参照のこと)も含まれる。そのような抗イディオタイプ抗体は、任意選択で、合成(典型的には不活性な)分子担体である担体、タンパク質(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)(例えば、Ochi et al.,Eur J Immunol.17(11),1645-8(1987))、または細胞(例えば、赤血球:例えば、Wi et al.,J Immunol Methods.122(2),227-34(1989)を参照のこと)にコンジュゲーションされてよい。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、ビスホスホネートの投与が含まれる。可能性の高い好適なビスホスホネートの例は、パミドロネート(Aredia(登録商標))、ゾレドロン酸(Zometa(登録商標))、クロドロネート(Bonefos(登録商標))、リセドロネート(Actonel(登録商標))、イバンドロネート(Boniva(登録商標))、エチドロネート(Didronel(登録商標))、アレンドロネート(Fosamax(登録商標))、チルドロネート(Skelid(登録商標))、インカドロネート(Yamanouchi Pharmaceutical)及びミノドロネート(YM529,Yamanouchi)である。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、コロニー刺激因子の投与が含まれる。好適なコロニー刺激因子の例は、フィルグラスチム(Neupogen(登録商標))及びペグフィルグラスチム(Neulasta(登録商標))等の顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、ならびにサルグラモスチム(Leukine(登録商標))等の顆粒球マクロファージ-コロニー刺激因子(GM-CSF)である。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、赤血球造血物質の投与が含まれる。好適な赤血球造血物質の例は、エポエチンアルファ(例えば、Procrit(登録商標)、Epogen(登録商標)、及びEprex(登録商標))及びエポエチンベータ(例えば、NeoRecormon(登録商標))等のエリスロポエチン(EPO)、及び赤血球生成促進タンパク質(例えば、Aranesp(登録商標))である。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、抗がんサイトカイン、ケモカイン、またはそれらの組み合わせの投与が含まれる。好適なサイトカイン及び増殖因子の例には、IFNγ、IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、IL-18、IL-23、IL-24、IL-27、IL-28a、IL-28b、IL-29、KGF、IFNα(例えば、INFα2b)、IFNβ、GM-CSF、CD40L、Flt3リガンド、幹細胞因子、アンセスチム、及びTNFαが含まれる。好適なケモカインには、ヒトCXC及びC-CケモカインファミリーからのIP-10、MCP-3、MIG、及びSDF-1αのような、Glu-Leu-Arg(ELR)を持たないケモカインが含まれ得る。好適なサイトカインには、サイトカイン誘導体、サイトカイン変異型、サイトカイン断片、及びサイトカイン融合タンパク質が含まれる。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、FcαもしくはFcγの受容体の発現または活性を調節する薬剤、例えば、増強させるかまたは阻害する薬剤の投与が含まれる。この使用に好適な薬剤の例には、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-6(IL-6)、フィルグラスチム(Neupogen(登録商標))及びペグフィルグラスチム(Neulasta(登録商標))等の顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、及びサルグラモスチム(Leukine(登録商標))等の顆粒球マクロファージ-コロニー刺激因子(GM-CSF)、インターフェロン-γ(IFN-γ)、ならびに腫瘍壊死因子(TNF)が含まれる。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、細胞周期制御/アポトーシス調節剤(または「調節薬剤」)の投与が含まれる。細胞周期制御/アポトーシス調節剤には、(i)cdc-25等の細胞周期制御/アポトーシス調節剤を標的にして調節する分子(NSC663284等)、(ii)細胞周期を過剰刺激するサイクリン依存性キナーゼ(フラボピリドール(L868275、HMR1275)、7-ヒドロキシスタウロスポリン(UCN-01、KW-2401)、及びロスコビチン(R-ロスコビチン、CYC202)等)、及び(iii)テロメラーゼ調節剤(BIBR1532、SOT-095、GRN163、ならびに、例えば、米国特許第6,440,735号及び米国特許第6,713,055号に記載の組成物等)が含まれ得る。アポトーシス経路を妨害する分子の非限定的な例には、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)/アポトーシス-2リガンド(Apo-2L)、NF-κB遮断を誘導してIL-6産生の阻害を引き起こす作用物質、TRAIL受容体を活性化させる抗体、IFN、アンチセンスBcl-2、及びAs(三酸化ヒ素、Trisenox(登録商標))が含まれる。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、抗アンドロゲン療法及び抗エストロゲン療法に有用な物質等の、ホルモン調節薬剤の投与が含まれる。そのようなホルモン調節薬剤の例は、タモキシフェン、イドキシフェン、フルベストラント、ドロロキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール/エスチニル、抗アンドロゲン(フルタミンデ/オイレキシン等)、プロゲスチン(カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、メドロキシプロゲステロン/プロベラ、酢酸メゲストロール/megace等等)、副腎皮質ステロイド(ヒドロコルチゾン、プレドニゾン等)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(及びその類似体ならびにブセレリン及びゴセレリン等の他のLHRH作動薬)、アロマターゼ阻害薬(アナストラゾール/アリミデックス、アミノグルテチミド/シタドレン、エキセメスタン等)、ホルモン阻害剤(オクトレオチド/-サンドスタチン等)、及び類似薬剤である。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、抗アネルギー剤(例えば、腫瘍及びがん抗原に対する寛容を遮断する、小分子化合物、タンパク質、糖タンパク質、または抗体)の投与が含まれる。そのような化合物の例は、MDX-010(Phan et al.,PNAS USA 100,8372(2003))等、CTLA-4の活性を遮断する分子である。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、ヒト組換え野生型p53/SCH58500をコードする複製欠損アデノウイルス等の、腫瘍抑制遺伝子を含有する核酸もしくはベクター等;がん遺伝子、変異もしくは脱制御のある遺伝子に指向するアンチセンス核酸;または変異もしくは脱制御のある遺伝子に指向するsiRNA、の投与が含まれる。標的腫瘍抑制因子の例としては、例えば、BRCA1、RB1、BRCA2、DPC4(Smad4)、MSH2、MLH1、及びDCCが挙げられる。
【0063】
さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、ゲナセンス(オーグメロセン(augmerosen)/G3139)、LY900003(ISIS3521)、ISIS2503、OGX-011(ISIS112989)、LE-AON/LEraf-AON(リポソーム封入c-rafアンチセンスオリゴヌクレオチド/ISIS-5132)、MG98、及び他のアンチセンス核酸で、PKCα、クラスタリン、IGFBP、プロテインキナーゼA、サイクリンD1、またはBcl-2hを標的とするもの等の、抗がん核酸の投与が含まれる。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、抗がん抑制性RNA分子(例えば、Lin et al.,Curr Cancer Drug Targets.1(3),241-7(2001)、Erratum in:Curr Cancer Drug Targets.3(3),237(2003)、Lima et al.,Cancer Gene Ther.11(5),309-16(2004)、Grzmil et al.,Int J Oncol.4(1),97-105(2004)、Collis et al.,Int J Radiat Oncol Biol Phys.57(2 Suppl),S144(2003)、Yang et al.,Oncogene.22(36),5694-701(2003)、及びZhang et al.,Biochem Biophys Res Commun.303(4),1169-78(2003)を参照のこと)の投与が含まれる。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、ウイルス、ウイルスタンパク質等の投与が含まれる。インビボで一般に1回から数回しか複製することができず、また腫瘍細胞に指向される複製欠損ウイルスは、例えば、そのような組成物及び方法の有用な成分であり得る。そのようなウイルス因子は、GM-CSF及び/またはIL-2等の免疫刺激物質をコードする核酸を含むかまたはそれと会合していてよい。天然腫瘍溶解性ウイルス及びそのような組換え腫瘍溶解性ウイルス(例えば、HSV-1ウイルス、レオウイルス、複製欠損型及び複製感受性型のアデノウイルス等)の両方とも、そのような方法及び組成物の有用な成分であり得る(例えば、Shah et al.,J Neurooncol.65(3),203-26(2003)、Stiles et al.,Surgery.134(2),357-64(2003)、Sunarmura et al.,Pancreas.28(3),326-9(2004)、Teshigahara et al.,J Surg Oncol.85(1),42-7(2004)、Varghese et al.,Cancer Gene Ther.9(12),967-78(2002)、Wildner et al.,Cancer Res.59(2),410-3(1999)、Yamanaka,Int J Oncol.24(4),919-23(2004)、及びZwiebel et al.,Semin Oncol.28(4),336-43(2001を参照のこと)。さらなる実施形態では、本発明の併用療法はさらに、「全細胞」及び「養子」免疫療法による方法を伴い得る。例えば、そのような方法は、免疫系細胞(例えば、CD4+及び/またはCD8+ T細胞(例えば、腫瘍特異的抗原及び/または遺伝的強化法で増殖させたT細胞)等の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、抗体発現B細胞または他の、抗体を産生/提示する細胞、樹状細胞(例えば、抗サイトカイン発現組換え樹状細胞、GM-CSF及び/またはFlt3-L等のDC増殖因子と培養された樹状細胞、及び/または腫瘍関連抗原搭載樹状細胞)、抗腫瘍NK細胞、いわゆるハイブリッド細胞、またはその組み合わせの、注入もしくは再注入を含み得る。細胞溶解物もまた、そのような方法及び組成物において有用であり得る。そのような態様で有用であり得る臨床試験中の細胞「ワクチン」には、Canvaxin(商標)、APC-8015(Dendreon)、HSPPC-96(Antigenics)、及びMelacine(登録商標)細胞溶解物が含まれる。がん細胞から排出された抗原、及びその混合物(例えば、Bystryn et al.,Clinical Cancer Research Vol.7,1882-1887,July 2001を参照のこと)、任意選択でミョウバン等のアジュバントと混合したものもまた、そのような方法及び組み合わせ組成物の成分であり得る。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、内部ワクチン接種法の適用が含まれる。内部ワクチン接種とは、患者において誘導される腫瘍細胞もしくはがん細胞の死、例えば、薬物誘導または放射線誘導による腫瘍細胞の細胞死等であって、典型的には、(i)腫瘍細胞全体に向かう免疫応答、または(ii)腫瘍細胞の、(a)分泌タンパク質、糖タンパク質もしくは他の産物、(b)膜結合タンパク質もしくは糖タンパク質または膜に結合もしくは挿入されている他の成分、及び/または(c)細胞内タンパク質もしくは他の細胞内成分、を含む部分に向かう免疫応答の誘発をもたらすものを指す。内部ワクチン接種により誘導された免疫応答は、体液性(すなわち、抗体-補体に媒介される)または細胞媒介性(例えば、内部で死滅した腫瘍細胞またはその部分を認識する内在性細胞傷害性Tリンパ球の発生及び/または増加)であり得る。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、補体の投与が含まれる。したがって、血清または補体と共に抗CD38抗体を含む組成物の使用もまた、本発明の範囲内である。これらの組成物では、補体は抗CD38抗体に、例えば、コンジュゲーションにより近接して位置しており、または同時投与用に適合され得る。別法として、抗CD38抗体と、補体または血清とを別々に投与してよい。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、分化誘導剤、レチノイン酸とレチノイン酸類似体(全トランス型レチノイン酸、13シスレチノイン酸及び類似薬剤等)、ビタミンD類似体(セオカルシトール及び類似薬剤等)、ErbB3、ErbB4、IGF-IR、インスリン受容体、PDGFRa、PDGFRベータ、Flk2、Flt4、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、TRKA、TRKC、c-met、Ron、Sea、Tie、Tie2、Eph、Ret、Ros、Alk、LTK、PTK7の阻害剤、及び類似薬剤の投与が含まれる。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、カテプシンB、カテプシンD脱水素酵素活性調節剤、グルタチオンS-転移酵素(グルタシルシンターゼ及び乳酸デヒドロゲナーゼ等)、または類似薬剤の投与が含まれる。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、エストラムスチンまたはエピルビシンの投与が含まれる。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、17-アリルアミノゲルダナマイシンのようなHSP90阻害剤、PSA、CA125、KSA、等のような腫瘍抗原を標的とする抗体、インテグリンβ1のようなインテグリン、VCAMの阻害剤、または類似薬剤の投与が含まれる。
【0064】
さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、カルシニューリン阻害剤(バルスポダール、PSC833、及び他のMDR-1またはp-糖タンパク阻害剤等)、TOR阻害剤(シロリムス、エベロリムス及びラパマイシン等)、及び「リンパ球ホーミング」機構の阻害剤(FTY720等)、ならびに接着分子阻害剤(例えば、抗LFA等)等の細胞シグナル伝達に対する作用のある薬剤の投与が含まれる。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、放射線療法が含まれる。放射線療法は、放射線を含み得るか、または患者に対する放射性医薬品の関連投与が提供される。放射線源は、治療される患者の外部であっても内部であってもよい(放射線治療は、例えば、外照射療法(EBRT)、近接照射療法(BT)または骨標的放射線療法の形態であり得る)。かかる方法の実施に使用され得る放射性元素としては、例えば、ラジウム、セシウム137、イリジウム192、アメリシウム241、金198、コバルト57、銅67、テクネチウム99、ヨウ素123、ヨウ素131、及びインジウム111が挙げられる。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、自家末梢幹細胞または骨髄の移植が含まれる。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、整形外科的介入が含まれる。整形外科的介入は、多発性骨髄腫等、CD38を発現する細胞が関与する障害の治療において、疼痛管理または機能もしくは可動性の維持を助けるために使用され得る。そのような介入には、理学療法、骨折を予防または治療するための骨の副子固定、または骨折を修復するための外科的処置(小または大)が含まれ得る。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、CD38抗体または組み合わせ組成物の腫瘍内部へのアクセスを促進する1つ以上の薬剤の送達が含まれる。そのような方法は、例えば、腫瘍弛緩能のあるレラキシンの送達を伴って実施され得る(例えば、米国特許第6,719,977号を参照のこと)。一実施形態では、本発明で使用される抗CD38抗体は、細胞透過性ペプチド(CPP)に結合され得る。細胞透過性ペプチド及び関連ペプチド(操作された細胞透過性抗体等)は、例えば、Zhao et al.,Immunol Methods.254(1-2),137-45(2001),Hong et al.,Cancer Res.60(23),6551-6(2000)に記載されている。Lindgren et al.,Biochem J.377(Pt 1),69-76(2004)、Buerger et al.,J Cancer Res Clin Oncol.129(12),669-75(2003)、Pooga et al.,FASEB J.12(1),67-77(1998)、及びTseng et al.,Mol Pharmacol.62(4),864-72(2002)に記載されている。
【0065】
さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、少なくとも1つの抗炎症剤の投与が含まれる。一実施形態では、そのような抗炎症剤は、ステロイド系薬物及びNSAID(非ステロイド性抗炎症薬)から選択され得る。一実施形態では、そのような抗炎症剤は、アスピリン及び他のサリチル酸塩、Cox-2阻害剤(ロフェコキシブ及びセレコキシブ等)、NSAID(イブプロフェン、フェノプロフェン、ナプロキセン、スリンダク、ジクロフェナク、ピロキシカム、ケトプロフェン、ジフルニサル、ナブメトン、エトドラク、オキサプロジン、及びインドメタシン等)、抗IL6R抗体、抗IL8抗体(例えば、WO2004/058797に記載の10F8)、抗IL15抗体、抗IL15R抗体、抗CD4抗体、抗CD11a抗体(例えば、エファリズマブ)、抗アルファ-4/β1インテグリン(VLA4)抗体(例えば、ナタリズマブ)、炎症性疾患治療用CTLA4-Ig、プレドニゾロン、プレドニゾン、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、例えば、メトトレキサート、ヒドロキシクロロキン、サラゾスルファピリジン、ピリミジン合成阻害剤(レフルノミド等)等、IL-1受容体遮断薬(アナキンラ等)、TNF-α遮断薬(エタネルセプト、インフリキシマブ、及びアダリムマブ等)、及び類似薬剤から選択され得る。
【0066】
さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、少なくとも1つの免疫抑制及び/または免疫調節剤の、それを必要とする対象への投与が含まれる。一実施形態では、そのような免疫抑制及び/または免疫調節剤は、シクロスポリン、アザチオプリン、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、プレドニゾン等のコルチコステロイド、メトトレキサート、金塩、サラゾスルファピリジン、抗マラリア薬、ブレキナル、レフルノミド、ミゾリビン、15-デオキシスパガリン、6-メルカプトプリン、シクロホスファミド、ラパマイシン、タクロリムス(FK-506)、OKT3、抗胸腺細胞グロブリン、チモペンチン、チモシン-α、及び類似薬剤から選択され得る。一実施形態では、そのような免疫抑制及び/または免疫調節剤は、IL-2受容体のp75に結合する抗体、または、例えば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD28、B7、CD40、CD45、IFNγ、TNF-α、IL-4、IL-5、IL-6R、IL-6;IGF、IGFR1、IL-7、IL-8、IL-10、CD11a、もしくはCD58に結合する抗体、またはそれらのリガンドに結合する抗体等の免疫抑制抗体から選択され得る。一実施形態では、そのような免疫抑制及び/または免疫調節剤は、可溶性のIL-15R、IL-10、B7分子(B7-1、B7-2、それらの変異型、及びそれらの断片)、ICOS、及びOX40、負のT細胞調節因子の阻害剤(CTLA4に対する抗体等)、及び類似薬剤から選択され得る。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、抗C3b(i)抗体の投与が含まれる。
【0067】
さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、フェニルブチレート)及び/またはDNA修復作用物質(例えば、DNA修復酵素及びジメリシン(dimericine)等の関連組成物)の投与が含まれる。さらなる実施形態では、本発明の併用療法にはさらに、抗がん指向光線力学療法(例えば、抗がんレーザー治療:これは、任意選択で光感作薬の使用により実施され得、例えば、Zhang et al.,J Control Release.93(2),141-50(2003)を参照のこと)、抗がん音波及び衝撃波治療(例えば、Kambe et al.,Hum Cell.10(1),87-94(1997)を参照のこと)、及び/または抗がん栄養補助療法(例えば、Roudebush et al.,Vet Clin North Am Small Anim Pract.34(1),249-69,viii(2004)及びRafi,Nutrition.20(1),78-82(2004)を参照のこと)が含まれる。
【0068】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、化合物の「予防的有効量」は、疾患もしくは障害を予防するかまたはその再発を予防するのに十分な量である。化合物の予防的有効量とは、疾患の予防において予防的利益を提供する、治療薬の単独の場合または他の薬剤と組み合わせた場合の量を意味する。「予防的有効量」という用語には、予防全体を改善するか、または別の予防薬の予防的有効性を高める量が包含され得る。
【0069】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「薬学的に許容される担体」、「薬学的に許容される添加剤」、「生理学的に許容される担体」、または「生理学的に許容される添加剤」という用語は、薬学的に許容される、物質、組成物、またはビヒクル、例えば、液体もしくは固体の賦形剤、希釈剤、添加剤、溶媒、もしくは封じ込め物質等を指す。一実施形態では、各成分は、医薬製剤の他の成分と適合性があり、かつ、過渡の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴うことなくヒト及び動物の組織または器官と接触する使用に好適であり、妥当なベネフィット/リスク比に見合うという意味で「薬学的に許容される」。Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition;Lippincott Williams & Wilkins:Philadelphia,PA,2005;Handbook of Pharmaceutical Excipients,5th Edition、Rowe et al.,Eds.,The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association:2005、及びHandbook of Pharmaceutical Additives,3rd Edition;Ash and Ash Eds.,Gower Publishing Company:2007、Pharmaceutical Preformulation and Formulation,Gibson Ed.,CRC Press LLC:Boca Raton,FL,2004)を参照のこと。
【0070】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「腫瘍」という用語は、悪性または良性を問わないあらゆる腫瘍性細胞の成長及び増殖、ならびにあらゆる前がん性及びがん性の細胞及び組織を指す。本明細書で使用される場合、「腫瘍性」とは、悪性または良性を問わず、組織の異常な成長をもたらす制御不能または無秩序な細胞増殖の任意の形態を指す。したがって、「腫瘍性細胞」には、制御不能または無秩序な細胞増殖のある悪性及び良性の細胞が含まれる。
【0071】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「再発性」という用語は、治療後にがんが寛解していた対象または哺乳類が、再びがん細胞を有している状況を指す。
【0072】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「患者の有効腫瘍反応」とは、患者に対する治療的利益の任意の増加を指す。「患者の有効腫瘍反応」は、腫瘍の進行率における、例えば、5%、10%、25%、50%、または100%の低下であり得る。「患者の有効腫瘍反応」は、がんの身体症状における、例えば、5%、10%、25%、50%、または100%の低下であり得る。「患者の有効腫瘍反応」は、遺伝子発現、細胞数、アッセイ結果等のような任意の好適な手段により測定した場合の、患者の反応における、例えば、5%、10%、25%、50%、100%、200%、またはそれ以上の増加でもあり得る。
【0073】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「可能性」という用語は一般に、ある事象の確率の増加を指す。患者の腫瘍反応の有効性に関して使用される場合の「可能性」という用語は、一般に、腫瘍の進行または腫瘍細胞増殖の速度が低下する確率の増加を企図している。患者の腫瘍反応の有効性に関して使用される場合の「可能性」という用語はまた、一般に、腫瘍治療の進展の増大を証明し得る、mRNAまたはタンパク質の発現等の指標の増加も意味し得る。
【0074】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「予測する」という用語は一般に、事前に決定または見定めることを意味する。例えば、がん治療の有効性を「予測する」ために使用される場合、「予測する」という用語は、治療が開始される前、または治療期間が実質的に経過する前に、がん治療の転帰の可能性が最初に決定され得ることを意味し得る。
【0075】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「モニターする」という用語は、本明細書で使用される場合、一般に、活動の監視(overseeing)、監督、規制、観察、追跡、または監視(surveillance)を指す。例えば、「化合物の有効性をモニタリングする」と用語は、患者または腫瘍細胞培養においてがんを治療することにおける有効性を追跡することを指す。同様に、個人、または臨床試験において、患者のコンプライアンスとの関連で使用される場合、「モニタリング」とは、患者が実際に、試験されている免疫調節化合物を処方されたとおりに服用していることを追跡または確認することを指す。モニタリングは、例えば、mRNAまたはタンパク質のバイオマーカーの発現を追うことにより実施することができる。
【0076】
がんまたはがん関連疾患の改善は、完全奏功または部分奏効として特徴付けることができる。「完全奏功」とは、以前に異常であったX線検査、骨髄、及び脳脊髄液(CSF)、または異常であったモノクローナルタンパク質測定値の正常化を伴う、臨床上検出可能な疾患が存在しないことを指す。「部分奏効」とは、新たな病変が存在しない、すべての測定可能な腫瘍量(すなわち、対象に存在する悪性細胞の数、または測定された腫瘍塊容積もしくは異常モノクローナルタンパク質の量)の少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の低下を指す。「治療」という用語は、完全奏功及び部分奏効の両方を企図する。
【0077】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「難治性または抵抗性」という用語は、対象または哺乳類が、集中治療後であっても体内に残存がん細胞を有している状況を指す。
【0078】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「薬物抵抗性」という用語は、疾患が1種または複数種の薬物の治療に対して反応しない場合の状態を指す。薬物抵抗性は、内因性でも後天性でもあり得、内因性は、疾患が1種または複数種の薬物に対して一度も反応したことがないことを意味し、後天性は、疾患が以前は反応していた1種または複数種の薬物に対して反応しなくなることを意味する。ある特定の実施形態では、薬物抵抗性は内因性である。特定の実施形態では、薬物抵抗性は後天性である。
【0079】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、化合物による治療に関して使用する場合の「感受性」及び「感受性の」という用語は、治療されている腫瘍または疾患の進行を軽減または低下させることにおける化合物の有効性の程度を指す相対的な用語である。例えば、化合物との関連で細胞または腫瘍の治療に関して使用される場合の「感受性増大」という用語は、腫瘍治療の有効性における少なくとも5%またはそれ以上の増大を指す。
【0080】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「決定すること」、「測定すること」、「評価すること(evaluating)」、「評価すること(assessing)」及び「アッセイすること」という用語は、本明細書で使用される場合、一般に、測定の任意の形態を指し、要素の有無を決定することが含まれる。これらの用語には、定量的及び/または定性的な決定の両方が含まれる。評価すること(assessing)は、相対的な場合も絶対的な場合もあり得る。「存在を評価すること(assessing)」には、存在するものの量を決定すること、ならびにそれの存在の有無を決定することが含まれ得る。
【0081】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「薬学的に許容される塩」という用語は、かかる用語が言及する化合物の非毒性の酸付加塩及び塩基付加塩を包含する。許容される非毒性酸付加塩には、当該技術分野で公知の、有機及び無機の酸または塩基に由来するものが含まれ、それらとしては、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、ソルビン酸、アコニット酸、サリチル酸、フタル酸、エンボン酸、エナント酸等が挙げられる。
【0082】
本来酸性の化合物は、様々な薬学的に許容される塩基と共に塩を形成することができる。そのような酸性化合物の薬学的に許容される塩基付加塩を調製するために使用され得る塩基は、非毒性の塩基付加塩を形成する、すなわち、特に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩及びカルシウム、マグネシウム、ナトリウムまたはカリウムの塩等であるがこれらに限定されない、薬理学的に許容される陽イオンを含有する塩を形成する塩基である。好適な有機塩基には、N,N ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)、リジン、及びプロカインが含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「溶媒和物」という用語は、非共有結合の分子間力により結合している化学量論的または非化学量論的な量の溶媒がさらに含まれている、本明細書で提供される化合物またはその塩を意味する。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物である。
【0084】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「立体異性体的に純粋な」と用語は、化合物の1つの立体異性体を含み、その化合物の他の立体異性体を実質的に含まない組成物を意味する。例えば、1つのキラル中心を有する化合物の立体異性体的に純粋な組成物は、化合物の逆の鏡像異性体を実質的に含まない。2つキラル中心を有する化合物の立体異性体的に純粋な組成物は、化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まない。ある特定の実施形態では、立体異性体的に純粋な化合物は、その化合物の1つの立体異性体を約80重量%超及びその化合物の他の立体異性体を約20重量%未満、その化合物の1つの立体異性体を約90重量%超及びその化合物の他の立体異性体を約10重量%未満、その化合物の1つの立体異性体を約95重量%超及びその化合物の他の立体異性体を約5重量%未満、またはその化合物の1つの立体異性体を約97重量%超及びその化合物の他の立体異性体を約3重量%未満含む。本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「立体異性体的に濃縮されている」という用語は、ある化合物の1つの立体異性体を約60重量%超、約70重量%超、またはある化合物の1つの立体異性体を約80重量%超含む組成物を意味する。本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「鏡像異性的に純粋」という用語は、1つのキラル中心を有する化合物の立体異性体的に純粋な組成物を意味する。同様に、「立体異性体的に濃縮されている」という用語は、1つのキラル中心を有する化合物の立体異性体的に濃縮されている組成物を意味する。
【0085】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「約」または「おおよそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値についての許容誤差を意味し、その値がいかに測定または決定されるかに一部依存する。ある特定の実施形態では、「約」または「おおよそ」という用語は、1、2、3、または4標準偏差以内であることを意味する。ある特定の実施形態では、「約」または「おおよそ」という用語は、所与の値または範囲の50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.05%以内であることを意味する。
【0086】
がんの承認のための臨床試験エンドポイント
「全生存期間」(OS)は、初回投与から全死因死亡までの時間と定義され、治療企図解析集団で測定される。全生存期間は、無作為化比較試験で評価しなければならない。全生存期間の統計学的に有意な改善の証明は、毒性プロファイルが許容される場合は臨床的に重要であると見なされ得、新薬承認が支持されることが多い。
【0087】
いくつかのエンドポイントは、がんの評価に基づいている。これらのエンドポイントには、無病生存期間(DFS)、客観的奏効率(ORR)、無増悪期間(TTP)、無増悪生存期間(PFS)、無イベント生存期間(EFS)、奏効期間(DOR)及び治療成功期間(TTF)が含まれる。これらの時間依存エンドポイントに関するデータの収集と分析は、間接的な評価、計算、及推定に基づいている。
【0088】
一般に、「無病生存期間」(DFS)は、無作為化からがん再発または全死因死亡までの時間と定義される。全生存期間はほとんどの補助療法での一般的エンドポイントであるが、生存が延長される場合があって生存エンドポイントが実際的ではなくなる状況では、DFSは重要なエンドポイントであり得る。DFSで臨床的利益を代用することも、また臨床的利益の直接的証拠を得ることもできる。これの決定は、効果の程度、そのリスクとベネフィットの関係、及び疾患の状況に基づく。DFSの定義は、死亡がその前のがん進行の文書記録もなく認められる場合は特に、複雑になり得る。これらのイベントは、疾患再発としても、また打ち切りイベントとしても記録され得る。死亡の統計解析のためのどの方法にもいくつか限界はあるが、すべての死亡(全死因死亡)を再発として考慮に入れることでバイアスが最小限に抑えられ得る。この定義を使用すると、特に、長期間観察されずに死亡する患者では、DFSは過大評価され得る。長期追跡診療の頻度が試験群間で異なる場合、または毒性のために脱落が無作為ではない場合、バイアスを導入することができる。
【0089】
「客観的奏効率」(ORR)は、完全奏功及び部分奏効を達成する患者の割合の和と定義される。奏効期間は通常、初期奏功から文書記録のあるがんの進行までの時間で測定される。一般に、FDAではORRを部分奏効と完全奏功の和と定義している。このように定義されている場合、ORRは薬物の抗がん活性についての直接的尺度であり、単一群試験で評価することができる。利用可能であれば、標準化された基準を使用して奏功を確認するべきである。様々な奏功基準が、適切であると見なされている(例えば、RECIST基準)(Therasse et al.,(2000) J.Natl.Cancer Inst,92:205-16)。ORRの有意性は、その程度と期間、及び完全奏功(がんの検出可能な証拠がない)の割合により評価される。
【0090】
「奏効期間」(DOR)は、奏功達成から再発または疾患進行までの時間である。
【0091】
「無増悪期間」(TTP)及び「無増悪生存」(PFS)が、薬物承認の主要エンドポイントとして使用されている。TTPは、無作為化から客観的ながんの進行までの時間と定義され、TTPには死亡は含まれない。PFSは、無作為化から客観的ながんの進行または死亡までの時間と定義される。TTPと比較して、PFSは好ましい規制上のエンドポイントである。PFSには死亡が含まれるため、全生存期間とのよりよい相関になり得る。PFSでは、患者の死亡は、がんの進行にランダムに関連すると見なしている。ただし、死亡の大部分ががんに関連していない状況では、TTPは許容されるエンドポイントであり得る。
【0092】
薬物承認を支持するエンドポイントとして、PFSは、がんの増殖を反映することができ、生存上の利益の決定前に評価され得る。その決定では、その後の治療との交絡はない。所定の被験者数の場合、PFSに対する効果の程度は、全生存期間に対する効果よりも大きくなり得る。しかしながら、PFSを、存在する多くの異なる悪性腫瘍の場合の生存期間の代用として正式にバリデーションすることは困難であり得る。生存に対する効果とPFSに対する効果の間の相関に関する頑健な評価を可能にするには、データが不十分な場合がある。がんの試験は小規模であることが多く、既存薬物の証明された生存上利益は概してわずかである。承認の許可を支持するエンドポイントとしてのPFSの役割は、様々ながんの状況により異なる。PFSの改善が、直接的な臨床的利益を表すのか、または臨床的利益の代用を表すのかは、利用可能な治療法と比較した、新しい治療の効果の程度とリスク-ベネフィットに依存する。
【0093】
「無イベント生存期間」(EFS)は、試験登録から、疾患の進行、あらゆる理由による治療中止、または死亡を含めた、あらゆる治療失敗までの時間である。
【0094】
「治療成功期間」(TTF)は、無作為化から、疾患の進行、治療毒性、及び死亡を含めた、あらゆる理由による治療中止までの時間を測定する複合エンドポイントと定義される。TTFは、薬物承認のための規制上のエンドポイントとしては推奨されない。TTFでは、有効性が、これらの追加の変数と適切に区別されない。規制上のエンドポイントでは、薬物の有効性が、毒性、患者もしくは医師による中止、または患者の不忍容性とは明確に区別されなければならない。
【0095】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、これらの臨床試験エンドポイントのうちの1つ以上を患者において達成するのに有用である。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、これらの臨床試験エンドポイントのうちの1つ以上を患者において改善するのに有用である。
【0096】
化合物
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物及び方法での使用のための化合物は、以下の構造を有する3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A)、
【化5】
またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形である。
【0097】
一実施形態では、化合物は、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンである。一実施形態では、化合物は、化合物Aの薬学的に許容される塩である。一実施形態では、化合物は、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン塩酸塩である。
【0098】
一実施形態では、化合物は、(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A-S)であり、以下の構造を有する。
【化6】
【0099】
一実施形態では、化合物は、化合物A-Sの薬学的に許容される塩である。一実施形態では、化合物は、(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン塩酸塩である。
【0100】
一実施形態では、化合物は、(R)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A-R)であり、以下の構造を有する。
【化7】
【0101】
一実施形態では、化合物は、化合物A-Rの薬学的に許容される塩である。一実施形態では、化合物は、(R)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン塩酸塩である。
【0102】
化合物Aは、米国出願公開第US2011-0196150号及び第US2014-0045843号に記載の方法に従って調製することができ、それら各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。化合物はまた、これらの公開の教示に基づいて、当業者に明らかな他の方法に従って合成することもできる。
【0103】
本明細書で提供される化合物は、LPS刺激を受けたhPBMC中及びヒト全血中のTNF-α、IL-1β、ならびに他の炎症性サイトカインを顕著に阻害する。TNF-αは、急性の炎症期にマクロファージ及び単球により産生される炎症性サイトカインである。TNF-αは、細胞内の多様なシグナル伝達イベントを担っている。TNF-αは、がんの病理学的役割を果たし得る。理論により制限されることなく、本明細書で提供される免疫調節化合物により示される生物学的効果の1つは、TNF-αの合成の低下である。本明細書で提供される免疫調節化合物は、TNF-α mRNAの分解を高める。本明細書で提供される化合物はまた、これらの条件下で強力にIL-1βを阻害し、IL-10を刺激する。
【0104】
さらに、いかなる特定の理論にも制限されることなく、本明細書で提供される化合物は、T細胞の強力な共刺激物質であり、適切な条件下で用量依存的に細胞増殖を高める。
【0105】
ある特定の実施形態では、理論により制限されることなく、本明細書で提供される免疫調節化合物により示される生物学的効果には、抗血管新生効果及び免疫調節効果が含まれるが、これらに限定されない。
【0106】
本明細書で提供される化合物Aは、1つのキラル中心を含有し、鏡像異性体の混合物、例えば、ラセミ混合物として存在することができる。本開示は、そのような化合物の立体異性体的に純粋な形態の使用、及びそれらの形態の混合物の使用を包含する。例えば、本明細書で提供される化合物Aの鏡像異性体を等量または不等量にて含む混合物を、本明細書に開示される方法及び組成物で使用してよい。これらの異性体は、キラルカラムまたはキラル分割剤等の標準的技術を使用して不斉合成または分割され得る。例えば、Jacques et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions(WileyInterscience,New York,1981)、Wilen et al.,Tetrahedron 33:2725(1977)、Eliel,E.L.,Stereochemistry of Carbon Compounds(McGrawHill,NY,1962)、及びWilen,Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN,1972)を参照されたい。
【0107】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物及び方法での使用のための化合物は、以下の構造を有する(11b,16a)-9-フルオロ-11,17,21-トリヒドロキシ-16-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン、
【化8】
またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形である。
【0108】
一実施形態では、化合物は、(11b,16a)-9-フルオロ-11,17,21-トリヒドロキシ-16-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンである。一実施形態では、化合物は、デキサメタゾンの薬学的に許容される塩である。一実施形態では、化合物は、リン酸デキサメタゾンナトリウムである。
【0109】
デキサメタゾンは、米国特許第2,990,401号及び第3,035,050号に記載の方法に従って調製することができ、それら各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0110】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物及び方法での使用のための化合物は、CD38に結合するモノクローナル抗体である。特に、抗CD38抗体は、ダラツムマブである。ダラツムマブは、多発性骨髄腫の治療用に承認されている。
【0111】
図示の構造とその構造に与えられた名称との間に矛盾がある場合、図示の構造により重きが置かれることに留意すべきである。さらに、ある構造の立体化学またはある構造の部分の立体化学が、例えば、太い線または破線を用いて示されていない場合、その構造またはその構造の部分は、その構造のあらゆる立体異性体を包含するものと解釈される。
【0112】
治療方法及びそのような方法での使用のための化合物
本明細書は、がんを治療及び/または管理する方法を提供し、これは、そのような治療及び/または管理を必要とする患者に治療的もしくは予防的に有効量の、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A)、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を、併用療法の一部として投与することを含む。本明細書では、そのようながんを治療及び/または管理する方法での使用のための、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A)、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を提供する。いくつかの実施形態では、化合物は、(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A-S)である。いくつかの実施形態では、化合物は、(R)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A-R)である。
【0113】
本明細書は、がんを治療及び/または管理する方法を提供し、これは、そのような治療及び/または管理を必要とする患者に治療的もしくは予防的に有効量の、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A)、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形及びダラツムマブを投与することを含む。本明細書では、そのような方法での使用のための、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A)、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を提供する。いくつかの実施形態では、化合物は、(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A-S)である。いくつかの実施形態では、化合物は、(R)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A-R)である。
【0114】
本明細書は、がんを治療及び/または管理する方法を提供し、これは、そのような治療及び/または管理を必要とする患者に治療的もしくは予防的に有効量の、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A)、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、ダラツムマブ及びデキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を投与することを含む。本明細書では、そのようながんを治療及び/または管理する方法での使用のための、-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A)、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を提供する。いくつかの実施形態では、化合物は、(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A-S)である。いくつかの実施形態では、化合物は、(R)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物A-R)である。
【0115】
本明細書で使用される場合、「がん」という用語には、血液により運搬される腫瘍が含まれるが、これに限定されない。ある特定の実施形態では、「がん」という用語には、核型急性骨髄芽球性白血病、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫及び低悪性度濾胞性リンパ腫が含まれる。
【0116】
ある特定の実施形態では、がんは、血液系腫瘍である。ある特定の実施形態では、血液系腫瘍は、転移性である。ある特定の実施形態では、血液系腫瘍は、薬物抵抗性である。ある特定の実施形態では、がんは、骨髄腫またはリンパ腫である。ある特定の実施形態では、骨髄腫は、多発性骨髄腫である。
【0117】
ある特定の実施形態では、多発性骨髄腫は、くすぶり型骨髄腫、無症候性骨髄腫、活動型多発性骨髄腫、髄外形質細胞腫、骨の弧立性形質細胞腫、軽鎖骨髄腫、または非分泌型骨髄腫である。ある特定の実施形態では、多発性骨髄腫は、再発性、難治性または抵抗性の多発性骨髄腫である。ある特定の実施形態では、多発性骨髄腫は、再発性及び難治性の多発性骨髄腫である。
【0118】
本明細書では、骨髄腫、特に多発性骨髄腫を治療または管理する方法を提供する。いくつかの実施形態では、くすぶり型骨髄腫、無症候性骨髄腫、活動型多発性骨髄腫、髄外形質細胞腫、骨の弧立性形質細胞腫、軽鎖骨髄腫、または非分泌型骨髄腫の治療または管理のための方法を本明細書で提供する。いくつかの実施形態では、再発性、難治性または抵抗性の多発性骨髄腫の治療または管理のための方法を本明細書で提供する。いくつかの実施形態では、再発性及び難治性の多発性骨髄腫の治療または管理のための方法を本明細書で提供する。
【0119】
一実施形態では、リンパ腫の治療または管理のための方法を本明細書で提供する。特定の実施形態では、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、活性化B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性中心リンパ腫、形質転換リンパ腫、中分化型リンパ球性リンパ腫、中間型リンパ球性リンパ腫(ILL)、びまん性低分化型リンパ球性リンパ腫(PDL)、中心細胞性リンパ腫、びまん性小切れ込み細胞性リンパ腫(DSCCL)、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、皮膚T細胞性リンパ腫及び外套帯リンパ腫ならびに低悪性度濾胞性リンパ腫の治療または管理のための方法を本明細書で提供する。
【0120】
本明細書で提供される方法には、がん患者、例えば、多発性骨髄腫患者を、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形と、ダラツムマブとを組み合わせて用いる治療のためにスクリーニングまたは特定するための方法が包含される。特に、本明細書では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形と、ダラツムマブとを組み合わせて用いる療法の奏効率がより高いかまたはより高い可能性が高い患者を選択するための方法を提供する。
【0121】
本明細書で提供されるいくつかの方法は、がん患者、例えば、多発性骨髄腫患者を、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形と、ダラツムマブ及びデキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形とを組み合わせて用いる治療のためにスクリーニングまたは特定する方法を包含する。特に、本明細書では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形と、ダラツムマブ及びデキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形とを組み合わせて用いる療法の奏効率がより高いかまたはより高い可能性の高い患者を選択するための方法を提供する。
【0122】
本明細書ではまた、多発性骨髄腫を治療または管理するための方法も提供し、
(i)(a)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(b)ダラツムマブ、を用いる治療に感受性の多発性骨髄腫を有する患者を特定すること、ならびに
(ii)患者に治療的有効量の、(a)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(b)ダラツムマブを投与すること、を含む。
本明細書では、多発性骨髄腫を治療または管理するためのそのような方法での使用のための、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を提供する。
【0123】
本明細書ではまた、多発性骨髄腫を治療または管理するための方法も提供し、
(i)(a)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(b)ダラツムマブ、及び(c)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、を用いる治療に感受性の多発性骨髄腫を有する患者を特定すること、及び
(ii)治療的有効量の、(a)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(b)ダラツムマブ、及び(c)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、を患者に投与すること、を含む。
本明細書では、多発性骨髄腫を治療または管理するためのそのような方法での使用のための、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を提供する。
【0124】
本明細書では、がん、例えば、多発性骨髄腫、リンパ腫及び白血病を治療する方法を提供し、これにより、患者の全生存期間の改善がもたらされる。いくつかの実施形態では、患者の全生存期間の改善は、(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(ii)ダラツムマブ、を用いた治療に感受性の患者集団で観察される。
【0125】
本明細書ではまた、がん、例えば、多発性骨髄腫、リンパ腫及び白血病を治療する方法も提供し、これにより、患者の全生存期間の改善がもたらされる。いくつかの実施形態では、患者の全生存期間の改善は、(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(ii)ダラツムマブ、及び(iii)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、を用いた治療に感受性の患者集団で観察される。
【0126】
他の実施形態では、がん、例えば、多発性骨髄腫、リンパ腫及び白血病を治療する方法を本明細書で提供し、これにより、患者の無病生存期間がもたらされる。いくつかの実施形態では、患者の無病生存期間は、(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(ii)ダラツムマブ、を用いた治療に感受性の患者集団で観察される。
【0127】
他の実施形態では、がん、例えば、多発性骨髄腫、リンパ腫及び白血病を治療する方法を本明細書で提供し、これにより、患者の無病生存期間がもたらされる。いくつかの実施形態では、患者の無病生存期間は、(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(ii)ダラツムマブ、及び(iii)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、を用いた治療に感受性の患者集団で観察される。
【0128】
他の実施形態では、がん、例えば、多発性骨髄腫、リンパ腫及び白血病を治療する方法を本明細書で提供し、これにより、患者集団における客観的奏効率の改善がもたらされる。いくつかの実施形態では、(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(ii)ダラツムマブ、を用いた治療に感受性の患者集団である。
【0129】
他の実施形態では、がん、例えば、多発性骨髄腫、リンパ腫及び白血病を治療する方法を本明細書で提供し、これにより、患者集団における客観的奏効率の改善がもたらされる。いくつかの実施形態では、(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(ii)ダラツムマブ、及び(iii)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、を用いた治療に感受性の患者集団である。
【0130】
いくつかの実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及びダラツムマブは、がんを治療または管理するために従来から使用されている療法と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、ダラツムマブ及びデキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、がんを治療または管理するために従来から使用されている療法と組み合わせて投与される。そのような従来療法の例には、手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法及び免疫療法が含まれるが、これらに限定されない。
【0131】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される多発性骨髄腫を治療及び/または管理する方法は、標準治療に反応しなかった患者で使用され得る。一実施形態では、多発性骨髄腫は、再発性、難治性または従来療法に抵抗性である。
【0132】
他の実施形態では、本明細書で提供される多発性骨髄腫を治療及び/または管理する方法は、治療にナイーブな患者、すなわち、まだ治療を受けたことがない患者で使用され得る。
【0133】
ある特定の実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及びダラツムマブは、治療的有効量の1つ以上の追加の活性物質と組み合わせるかまたはそれと交互に投与される。ある特定の実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、ダラツムマブ及びデキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、治療的有効量の1つ以上の追加の活性物質と組み合わせるかまたはそれと交互に投与される。
【0134】
追加の活性物質には、本明細書で例が提供されている小分子及び大分子(例えば、タンパク質及び抗体)、ならびに幹細胞が含まれる。本明細書で提供される化合物の投与と組み合わせて使用され得る方法または治療法には、手術、輸血、免疫療法、生物学的療法、放射線療法、ならびに望ましくない血管新生に関連するかもしくは特徴付けられる疾患と状態を治療及び/または管理するために現在使用されている、薬物を用いない他の治療法が含まれるが、これらに限定されない。
【0135】
一実施形態では、追加の活性物質は、アルキル化剤、アデノシン類似体、グルココルチコイド、キナーゼ阻害剤、SYK阻害剤、PDE3阻害剤、PDE7阻害剤、ドキソルビシン、クロラムブシル、ビンクリスチン、ベンダムスチン、フォルスコリン、リツキシマブ、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0136】
一実施形態では、追加の活性物質はリツキシマブである。別の実施形態では、追加の活性物質はプレドニゾンである。
【0137】
本明細書では、以前にがんの治療を受けたことがあるが標準療法に反応しない患者、及び以前に治療を受けたことがない患者を治療する方法を提供する。本明細書では、以前に多発性骨髄腫の治療を受けたことがあるが標準療法に反応しない患者、及び以前に治療を受けたことがない患者を治療する方法を提供する。本発明はまた、疾患または障害によっては、ある特定の年齢層でより多く見られるものはあるが、患者の年齢にかかわらず患者を治療する方法も包含する。本発明はさらに、疾患または状態を治療するために手術を受けたことがある患者、及び手術を受けたことがない患者を治療する方法を包含する。がん患者は、臨床症状が多様であり、臨床転帰が異なるため、患者に行われる治療はその患者の予後に応じて異なる場合がある。熟練した臨床医であれば、個々のがん患者を治療するために効果的に使用可能な、特定の二次薬剤、手術の種類、及び薬物を用いない標準療法の種類を、過度の実験を行うことなく容易に決定することができるであろう。
【0138】
本明細書では、以前に少なくとも2種類の優先選択治療を使用してがんの治療を受けたことがある患者を治療する方法を提供する。本明細書ではまた、以前に少なくとも2種類の優先選択治療を使用して多発性骨髄腫の治療を受けたことがある患者を治療する方法も提供する。
【0139】
ある特定の実施形態では、再発性/難治性の多発性骨髄腫の患者に、治療的有効量の化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、または薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、互変異性体もしくはそれらのラセミ混合物を、ダラツムマブと組み合わせて投与することを含む、患者の再発性/難治性の多発性骨髄腫を治療及び/または管理する方法を本明細書で提供する。本明細書では、患者の再発性/難治性の多発性骨髄腫を治療及び/または管理するそのような方法での使用のための、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、または薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、互変異性体もしくはそれらのラセミ混合物を提供する。一実施形態では、再発性/難治性の多発性骨髄腫の患者に、治療的有効量の化合物A-Sまたはその薬学的に許容される塩を、ダラツムマブと組み合わせて投与することを含む、患者の再発性/難治性の多発性骨髄腫を治療及び/または管理する方法を本明細書で提供する。本明細書では、患者の再発性/難治性の多発性骨髄腫を治療及び/または管理するそのような方法での使用のための、化合物A-Sまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0140】
ある特定の実施形態では、再発性/難治性の多発性骨髄腫の患者に、治療的有効量の化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、または薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、互変異性体もしくはそれらのラセミ混合物を、ダラツムマブ及びデキサメタゾンと組み合わせて投与することを含む、患者の再発性/難治性の多発性骨髄腫を治療及び/または管理する方法を本明細書で提供する。本明細書では、患者の再発性/難治性の多発性骨髄腫を治療及び/または管理するそのような方法での使用のための、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、または薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、互変異性体もしくはそれらのラセミ混合物を提供する。一実施形態では、再発性/難治性の多発性骨髄腫の患者に、治療的有効量の化合物A-Sまたはその薬学的に許容される塩を、ダラツムマブ及びデキサメタゾンと組み合わせて投与することを含む、患者の再発性/難治性の多発性骨髄腫を治療及び/または管理する方法を本明細書で提供する。本明細書では、患者の再発性/難治性の多発性骨髄腫を治療及び/または管理するそのような方法での使用のための、化合物A-Sまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0141】
ある特定の実施形態では、患者の再発性/難治性の多発性骨髄腫を治療及び/または管理するための方法を本明細書で提供する。
【0142】
特定の実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約0.005~約1,000mg/日、約0.01~約500mg/日、約0.01~約250mg/日、約0.01~約100mg/日、約0.1~約100mg/日、約0.5~約100mg/日、約1~約100mg/日、約0.01~約50mg/日、約0.1~約50mg/日、約0.5~約50mg/日、約1~約50mg/日、約0.02~約25mg/日、または約0.05~約10mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約0.005~約1,000mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約0.01~約500mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約0.01~約250mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約0.01~約100mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約0.1~約100mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約0.5~約100mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約1~約100mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約0.01~約50mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約0.1~約50mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約0.5~約50mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約1~約50mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約0.02~約25mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約0.05~約10mg/日である。
【0143】
ある特定の実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約0.1mg/日、約0.2mg/日、約0.5mg/日、約1mg/日、約2mg/日、約5mg/日、約10mg/日、約15mg/日、約20mg/日、約25mg/日、約30mg/日、約40mg/日、約45mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、約100mg/日、または約150mg/日である。ある特定の実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約0.1mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約0.2mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約約0.5mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約約1mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約約2mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約約5mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約約10mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約約15mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約約20mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約約25mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約約30mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約約40mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約約45mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約約50mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約約60mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約約70mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約約80mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約約90mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約約100mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物Aの治療的または予防的有効量は、約約150mg/日である。
【0144】
ある特定の実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約0.005~約1,000mg/日、約0.01~約500mg/日、約0.01~約250mg/日、約0.01~約100mg/日、約0.1~約100mg/日、約0.5~約100mg/日、約1~約100mg/日、約0.01~約50mg/日、約0.1~約10mg/日、約0.5~約10mg/日、約1~約10mg/日、約0.02~約5mg/日、または約0.05~約5mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約0.005~約1,000mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約0.01~約500mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約0.01~約250mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約0.01~約100mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約0.1~約100mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約0.5~約100mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約1~約100mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約0.01~約50mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約0.1~約10mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約0.5~約10mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約1~約10mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約0.02~約5mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約0.05~約5mg/日である。
【0145】
ある特定の実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約0.1mg/日、約0.2mg/日、約0.5mg/日、約1mg/日、約2mg/日、約5mg/日、約10mg/日、約15mg/日、約20mg/日、約25mg/日、約30mg/日、約40mg/日、約45mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、約100mg/日、または約150mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約0.1mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約0.2mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約0.5mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約1mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約2mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約5mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約10mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約15mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約20mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約25mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約30mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約40mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約45mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約50mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約60mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約70、mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約80mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約90mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約100mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Sの治療的または予防的有効量は、約150mg/日である。
【0146】
ある特定の実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約0.005~約1,000mg/日、約0.01~約500mg/日、約0.01~約250mg/日、約0.01~約100mg/日、約0.1~約100mg/日、約0.5~約100mg/日、約1~約100mg/日、約0.01~約50mg/日、約0.1~約10mg/日、約0.5~約10mg/日、約1~約10mg/日、約0.02~約5mg/日、または約0.05~約5mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約0.005~約1,000mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約0.01~約500mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約0.01~約250mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約0.01~約100mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約0.1~約100mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約0.5~約100mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約1~約100mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約0.01~約50mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約0.1~約10mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約0.5~約10mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約1~約10mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約0.02~約5mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約0.05~約5mg/日である。
【0147】
ある特定の実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約0.1mg/日、約0.2mg/日、約0.5mg/日、約1mg/日、約2mg/日、約5mg/日、約10mg/日、約15mg/日、約20mg/日、約25mg/日、約30mg/日、約40mg/日、約45mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、約100mg/日、または約150mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約0.1mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約0.2mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約0.5mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約1mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約2mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約5mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約10mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約15mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約20mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約25mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約30mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約40mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約45mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約50mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約60mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約70、mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約80mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約90mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約100mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物A-Rの治療的または予防的有効量は、約150mg/日である。
【0148】
一実施形態では、本明細書に記載される状態のための、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形の推奨される1日用量の範囲は約0.5mg~約50mg/日の範囲内であり、好ましくは、1日1回の単回用量として投与されるか、または1日を通した分割量で投与される。いくつかの実施形態では、投与量は約1mg~約50mg/日の範囲である。他の実施形態では、投与量は約0.5~約5mg/日の範囲である。1日あたりの特定の用量として、0.1mg/日、0.2mg/日、0.5mg/日、1mg/日、2mg/日、3mg/日、4mg/日、5mg/日、6mg/日、7mg/日、8mg/日、9mg/日、10mg/日、11mg/日、12mg/日、13mg/日、14mg/日、15mg/日、16mg/日、17mg/日、18mg/日、19mg/日、20mg/日、21mg/日、22mg/日、23mg/日、24mg/日、25mg/日、26mg/日、27mg/日、28mg/日、29mg/日、30mg/日、31mg/日、32mg/日、33mg/日、34mg/日、35mg/日、36mg/日、37mg/日、38mg/日、39mg/日、40mg/日、41mg/日、42mg/日、43mg/日、44mg/日、45mg/日、46mg/日、47mg/日、48mg/日、49mg/日、または50mg/日が含まれる。
【0149】
一実施形態では、本明細書に記載される状態のための、化合物A-S、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形の推奨される1日用量の範囲は約0.1mg~約50mg/日の範囲内であり、好ましくは、1日1回の単回用量として投与されるか、または1日を通した分割量で投与される。いくつかの実施形態では、投与量は約1mg~約50mg/日の範囲である。他の実施形態では、投与量は約0.1~約5mg/日の範囲である。1日あたりの特定の用量として、0.1mg/日、0.2mg/日、0.5mg/日、1mg/日、2mg/日、3mg/日、4mg/日、5mg/日、6mg/日、7mg/日、8mg/日、9mg/日、10mg/日、11mg/日、12mg/日、13mg/日、14mg/日、15mg/日、16mg/日、17mg/日、18mg/日、19mg/日、20mg/日、21mg/日、22mg/日、23mg/日、24mg/日、25mg/日、26mg/日、27mg/日、28mg/日、29mg/日、30mg/日、31mg/日、32mg/日、33mg/日、34mg/日、35mg/日、36mg/日、37mg/日、38mg/日、39mg/日、40mg/日、41mg/日、42mg/日、43mg/日、44mg/日、45mg/日、46mg/日、47mg/日、48mg/日、49mg/日、または50mg/日が含まれる。
【0150】
一実施形態では、本明細書に記載される状態のための、化合物A-R、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形の推奨される1日用量の範囲は約0.1mg~約50mg/日の範囲内であり、好ましくは、1日1回の単回用量として投与されるか、または1日を通した分割量で投与される。いくつかの実施形態では、投与量は約1mg~約50mg/日の範囲である。他の実施形態では、投与量は約0.1~約5mg/日の範囲である。1日あたりの特定の用量として、0.1mg/日、0.2mg/日、0.5mg/日、1mg/日、2mg/日、3mg/日、4mg/日、5mg/日、6mg/日、7mg/日、8mg/日、9mg/日、10mg/日、11mg/日、12mg/日、13mg/日、14mg/日、15mg/日、16mg/日、17mg/日、18mg/日、19mg/日、20mg/日、21mg/日、22mg/日、23mg/日、24mg/日、25mg/日、26mg/日、27mg/日、28mg/日、29mg/日、30mg/日、31mg/日、32mg/日、33mg/日、34mg/日、35mg/日、36mg/日、37mg/日、38mg/日、39mg/日、40mg/日、41mg/日、42mg/日、43mg/日、44mg/日、45mg/日、46mg/日、47mg/日、48mg/日、49mg/日、または50mg/日が含まれる。
【0151】
ある特定の実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約0.5~約2,000mg/kg/日、約1~約1,000mg/kg/日、約1~約500mg/kg/日、約1~約250mg/kg/日、約5~約250mg/kg/日、約7.5~約250mg/kg/日、約10~約250mg/kg/日、約16~約250mg/kg/日、約16~約200mg/kg/日、約1~約100mg/kg/日、約1~約50mg/kg/日、約0.5~約25mg/kg/日、または約0.5~約10mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約0.5~約2,000mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約1~約1,000mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約1~約500mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約1~約250mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約5~約250mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約7.5~約250mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約10~約250mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約16~約250mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約16~約200mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約1~約100mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約1~約50mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約0.5~約25mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約0.5~約10mg/kg/日である。
【0152】
ある特定の実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約0.5mg/kg/日、約1mg/kg/日、約2mg/kg/日、約5mg/kg/日、約10mg/kg/日、約15mg/kg/日、約20mg/kg/日、約25mg/kg/日、約30mg/kg/日、約40mg/kg/日、約45mg/kg/日、約50mg/kg/日、約60mg/kg/日、約70mg/kg/日、約80mg/kg/日、約90mg/kg/日、約100mg/kg/日、約150mg/kg/日、または約200mg/kg/日である。ある特定の実施形態では、治療的または予防的有効量は、約0.5mg/kg/日、約1mg/kg/日、約2mg/kg/日、約5mg/kg/日、約10mg/kg/日、約15mg/kg/日、約20mg/kg/日、約25mg/kg/日、約30mg/kg/日、約40mg/kg/日、約45mg/kg/日、約50mg/kg/日、約60mg/kg/日、約70mg/kg/日、約80mg/kg/日、約90mg/kg/日、約100mg/kg/日、約150mg/kg/日、または約200mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約0.5mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約1mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約2mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約5mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約10mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約15mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約20mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約25mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約30mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約40mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約45mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約50mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約60mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約70mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約80mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約90mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約100mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約150mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約200mg/kg/日である。
【0153】
一実施形態では、ダラツムマブの推奨される1日用量の範囲は約0.5mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲内であり、好ましくは、1日1回の単回用量として投与されるか、または1日を通した分割量で投与される。いくつかの実施形態では、投与量は約1mg/kg~約100mg/kg/日の範囲である。他の実施形態では、投与量は約0.5~約20mg/kg/日の範囲である。1日あたりの特定の用量として、0.5mg/kg/日、1mg/kg/日、2mg/kg/日、3mg/kg/日、4mg/kg/日、5mg/kg/日、6mg/kg/日、7mg/kg/日、8mg/kg/日、9mg/kg/日、10mg/kg/日、11mg/kg/日、12mg/kg/日、13mg/kg/日、14mg/kg/日、15mg/kg/日、16mg/kg/日、17mg/kg/日、18mg/kg/日、19mg/kg/日、20mg/kg/日、21mg/kg/日、22mg/kg/日、23mg/kg/日、24mg/kg/日、25mg/kg/日、26mg/kg/日、27mg/kg/日、28mg/kg/日、29mg/kg/日、30mg/kg/日、31mg/kg/日、32mg/kg/日、33mg/kg/日、34mg/kg/日、35mg/kg/日、36mg/kg/日、37mg/kg/日、38mg/kg/日、39mg/kg/日、40mg/kg/日、41mg/kg/日、42mg/kg/日、43mg/kg/日、44mg/kg/日、45mg/kg/日、46mg/kg/日、47mg/kg/日、48mg/kg/日、49mg/kg/日、50mg/kg/日、60mg/kg/日、70mg/kg/日、80mg/kg/日、90mg/kg/日、または100mg/kg/日が含まれる。
【0154】
ある特定の実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約0.1~約100mg/kg/日、約0.1~約50mg/kg/日、約0.1~約20mg/kg/日、約0.1~約10mg/kg/日である。1日あたりの特定の用量として、約0.5mg/kg/日、0.3mg/kg/日、1mg/kg/日、または約3mg/kg/日が含まれる。別の実施形態では、ダラツムマブは、1mg/kgまたはそれ以上の用量で投与され、1~20mg/kgの用量、例えば、5~20mg/kgの用量、例えば、8mg/kgの用量等で投与される。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約0.1~約100mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約0.1~約50mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約0.1~約20mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、ダラツムマブの治療的または予防的有効量は、約0.1~約10mg/kg/日である。1日あたりの特定の用量として、約0.5mg/kg/日が含まれる。いくつかの実施形態では、1日あたりの特定の用量には、約0.3mg/kg/日が含まれる。いくつかの実施形態では、1日あたりの特定の用量には、約1mg/kg/日が含まれる。いくつかの実施形態では、1日あたりの特定の用量には、約3mg/kg/日が含まれる。
【0155】
一実施形態では、ダラツムマブは、1週間に10~500mg/mという用量、例えば、200~400mg/m等で注入により投与される。かかる投与は、例えば、1~8回、例えば、3~5回等繰り返され得る。投与は、2~24時間、例えば、2~12時間等の期間にわたり持続注入で実施され得る。一実施形態では、ダラツムマブは、毒性副作用を低減させるために24時間超等、長時間にわたる緩徐な持続注入により投与される。
【0156】
一実施形態では、ダラツムマブは、1週間に250mg~2000mgという用量、例えば、300mg、500mg、700mg、1000mg、1500mgまたは2000mg等を最高8回、例えば、4~6回等の用量で投与される。投与は、2~24時間、例えば、2~12時間等の期間にわたり持続注入で実施され得る。かかるレジメンは、必要に応じ、1回以上、例えば、6か月後または12か月後に繰り返され得る。
【0157】
さらなる実施形態では、ダラツムマブは、週1回、2~12週間、例えば、3~10週間等、例えば、4~8週間等投与される。一実施形態では、ダラツムマブは、例えば、週1回、6か月間またはそれ以上の期間等、維持療法により投与される。一実施形態では、ダラツムマブは、ダラツムマブ注入を1回と、それに続く放射性同位元素にコンジュゲーションさせたダラツムマブの注入とが含まれるレジメンにより投与される。レジメンは、例えば、7~9日後に繰り返され得る。
【0158】
非限定的な例として、本発明による治療は、ダラツムマブの1日用量として、1日あたり、約0.1~100mg/kg、例えば、0.5mg/kg、0.9mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.5mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、20mg/kg、21mg/kg、22mg/kg、23mg/kg、24mg/kg、25mg/kg、26mg/kg、27mg/kg、28mg/kg、29mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、60mg/kg、70mg/kg、80mg/kg、90mg/kg、もしくは100mg/kg等という量にて、治療開始後、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目、13日目、14日目、15日目、16日目、17日目、18日目、19日目、20日目、21日目、22日目、23日目、24日目、25日目、26日目、27日目、28日目、29日目、30日目、31日目、32日目、33日目、34日目、35日目、36日目、37日目、38日目、39日目、もしくは40日目のうちの少なくとも1日、または別法として、1週目、2週目、3週目、4週目、5週目、6週目、7週目、8週目、9週目、10週目、11週目、12週目、13週目、14週目、15週目、16週目、17週目、18週目、19週目、もしくは20週目のうちの少なくとも1週、またはそれらの任意の組み合わせで、単一用量を使用するか、または24時間おき、12時間おき、8時間おき、6時間おき、4時間おき、もしくは2時間おき、もしくはそれらの任意の組み合わせの分割量を使用して、提供され得る。
【0159】
ある特定の実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約0.5~約2,000mg/日、約1~約1,000mg/日、約1~約500mg/日、約1~約250mg/日、約5~約250mg/日、約7.5~約250mg/日、約10~約250mg/日、約20~約250mg/日、約20~約200mg/日、約1~約100mg/日、約1~約50mg/日、約0.5~約25mg/日、または約0.5~約10mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約0.5~約2,000mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約1~約1,000mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約1~約500mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約1~約250mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約5~約250mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約7.5~約250mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約10~約250mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約20~約250mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約20~約200mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約1~約100mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約1~約50mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約0.5~約25mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約0.5~約10mg/日である。
【0160】
特定の実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約0.5mg/kg/日、約1mg/kg/日、約2mg/kg/日、約5mg/kg/日、約10mg/kg/日、約15mg/kg/日、約20mg/kg/日、約25mg/kg/日、約30mg/kg/日、約40mg/kg/日、約45mg/kg/日、約50mg/kg/日、約60mg/kg/日、約70mg/kg/日、約80mg/kg/日、約90mg/kg/日、約100mg/kg/日、約150mg/kg/日、または約200mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約0.5mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約1mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約2mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約5、mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約10mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約15mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約20mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約25mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約30mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約40mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約45mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約50mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約60mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約70mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約80mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約90mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約100mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約150mg/日である。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンの治療的または予防的有効量は、約200mg/日である。
【0161】
一実施形態では、本明細書に記載される状態のための、デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形の推奨される1日用量の範囲は約0.5mg~約100mg/日の範囲内であり、好ましくは、1日1回の単回用量として投与されるか、または1日を通した分割量で投与される。いくつかの実施形態では、投与量は約1mg~約100mg/日の範囲である。他の実施形態では、投与量は約0.5~約20mg/日の範囲である。具体的な用量としては、0.5mg/日、1mg/日、2mg/日、3mg/日、4mg/日、5mg/日、6mg/日、7mg/日、8mg/日、9mg/日、10mg/日、11mg/日、12mg/日、13mg/日、14mg/日、15mg/日、16mg/日、17mg/日、18mg/日、19mg/日、20mg/日、21mg/日、22mg/日、23mg/日、24mg/日、25mg/日、26mg/日、27mg/日、28mg/日、29mg/日、30mg/日、31mg/日、32mg/日、33mg/日、34mg/日、35mg/日、36mg/日、37mg/日、38mg/日、39mg/日、40mg/日、41mg/日、42mg/日、43mg/日、44mg/日、45mg/日、46mg/日、47mg/日、48mg/日、49mg/日、50mg/日、60mg/日、70mg/日、80mg/日、90mg/日、または100mg/日が含まれる。
【0162】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法の1つを用いて治療されるべき患者は、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形及びダラツムマブの投与より前に、抗がん療法により治療されたことがない。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法の1つを用いて治療されるべき患者は、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形及びダラツムマブの投与より前に、抗がん療法により治療されたことがある。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法の1つを用いて治療されるべき患者は、抗がん療法に対する薬物抵抗性を生じている。
【0163】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法の1つを用いて治療されるべき患者は、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、ダラツムマブ及びデキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形の投与より前に、抗がん療法により治療されたことがない。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法の1つを用いて治療されるべき患者は、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、ダラツムマブ及びデキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形の投与より前に、抗がん療法により治療されたことがある。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法の1つを用いて治療されるべき患者は、抗がん療法に対する薬物抵抗性を生じている。
【0164】
本明細書で提供される方法には、疾患または障害によっては特定の年齢層でより多く見られるものはあるが、患者の年齢にかかわらず患者を治療する方法が包含される。本明細書ではさらに、疾患または状態を治療するために手術を受けたことがある患者、及び手術を受けたことがない患者を治療するための方法を提供する。がんの対象は臨床症状が多様であり、臨床転帰が異なるため、特定の対象に行われる治療はその対象の予後に応じて異なる場合がある。熟練した臨床医であれば、個々のがん対象を治療するために効果的に使用可能な、特定の二次薬剤、手術の種類、及び薬物を用いない標準療法の種類を、過度の実験を行うことなく容易に決定することができるであろう。
【0165】
化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、CIV、クモ膜下注射もしくは注入、皮下注射、または植込錠)、吸入、経鼻、経膣、直腸、舌下、または局所(例えば、経皮または局部)の投与経路により投与され得る。化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、単独または一緒にして、薬学的に許容される添加剤、担体、アジュバント及びビヒクルを用いて各投与経路に適切な好適な投与単位に製剤化され得る。
【0166】
一実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、経口投与される。別の実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、非経口で投与される。さらに別の実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、静脈内投与される。
【0167】
化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、例えば、単回ボーラス注射、または経口錠剤もしくはピル等の単回投与として送達されるか、あるいは、例えば、経時的持続注入または経時的分割ボーラス投与等、経時的に送達され得る。化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及びダラツムマブは、必要に応じ、例えば、患者が病勢安定もしくは退縮を経験するまで、または患者が疾患進行もしくは忍容できない毒性を経験するまで繰り返し投与することができる。例えば、固形腫瘍の場合の病勢安定とは一般に、測定可能な病変の直交径が最終測定から25%以上増大していないことを意味する。Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST) Guidelines,Journal of the National Cancer Institute 92(3):205-216(2000)。病勢安定またはその欠如は、患者の症状の評価、身体診察、X線、CAT、PET、またはMRIスキャン及び他の一般的に受け入れられている評価方法を使用して撮像された腫瘍の可視化等、当該技術分野で公知の方法で決定される。
【0168】
化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、例えば、単回ボーラス注射、または経口錠剤もしくは丸剤等の単回投与として送達されるか、あるいは、例えば、経時的持続注入または経時的分割ボーラス投与等、経時的に送達され得る。化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、ダラツムマブ、及びデキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、必要に応じ、例えば、患者が病勢安定もしくは退縮を経験するまで、または患者が疾患進行もしくは忍容できない毒性を経験するまで繰り返し投与することができる。例えば、固形腫瘍の場合の病勢安定とは一般に、測定可能な病変の直交径が最終測定から25%以上増大していないことを意味する。Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST) Guidelines,Journal of the National Cancer Institute 92(3):205-216(2000)。病勢安定またはその欠如は、患者の症状の評価、身体診察、X線、CAT、PET、またはMRIスキャン及び他の一般的に受け入れられている評価方法を使用して撮像された腫瘍の可視化等、当該技術分野で公知の方法で決定される。
【0169】
化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、ダラツムマブもしくはデキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、1日1回(QD)、または1日用量を複数回に分けて、1日2回(BID)、1日3回(TID)、1日4回(QID)等で投与することができる。さらに、投与は、連続的(すなわち、連続する日について連日または毎日)、間欠的、例えば、サイクル(すなわち、数日、数週間、または数か月の休薬が含まれる)であり得る。
【0170】
本明細書で使用される場合、「連日」という用語は、化合物A等の治療用化合物を、毎日1回または複数回、例えば、ある期間、投与することを意味することが意図される。「連続的」という用語は、化合物A等の治療用化合物を少なくとも10日間から52週間の中断されない期間、連日投与することを意味することが意図される。本明細書で使用される場合の「間欠的」または「間欠的に」という用語は、規則的または不規則な間隔で中止及び開始することを意味することが意図される。例えば、化合物Aの間欠的投与は、週1~6日の投与、サイクルでの投与(例えば、連続2~8週間連日投与、その後、1週間を最高とする投与なしの休薬期間)、または隔日投与である。本明細書で使用される場合の「サイクルで」という用語は、化合物A等の治療用化合物を、連日または連続的ではあるが休薬期間を設けて投与することを意味することが意図される。
【0171】
いくつかの実施形態では、投与頻度は、ほぼ1日用量からほぼ月1回用量の範囲である。ある特定の実施形態では、投与は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日おきに1回、週2回、週1回、2週間に1回、3週間に1回、または4週間に1回である。
【0172】
一実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、1日1回投与される。別の実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、1日2回投与される。さらに別の実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、1日3回投与される。さらに別の実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、1日4回投与される。
【0173】
一実施形態では、ダラツムマブは、1日1回投与される。別の実施形態では、ダラツムマブは、1日2回投与される。さらに別の実施形態では、ダラツムマブは、1日3回投与される。さらに別の実施形態では、ダラツムマブは、1日4回投与される。
【0174】
一実施形態では、デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、1日1回投与される。別の実施形態では、デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、1日2回投与される。さらに別の実施形態では、デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、1日3回投与される。さらに別の実施形態では、デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、1日4回投与される。
【0175】
ある特定の実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、1日1回、1日~6か月、1週間~3か月、1週間~4週間、1週間~3週間、または1週間~2週間投与される。ある特定の実施形態では、化合物A、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、1日1回、1週間、2週間、3週間、または4週間投与される。一実施形態では、化合物Aまたはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、1日1回、1週間投与される。別の実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、1日1回、2週間投与される。さらに別の実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、1日1回、3週間投与される。さらに別の実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、1日1回、4週間投与される。
【0176】
ある特定の実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、1日1回、各28日サイクルで21日間投与される。ある特定の実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、1サイクル投与される。ある特定の実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、2サイクル投与される。ある特定の実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、3サイクル投与される。ある特定の実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、4サイクル投与される。ある特定の実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、7サイクル以上投与される。
【0177】
ある特定の実施形態では、ダラツムマブは、各28日サイクルの1日目、8日目、15日目、及び22日目に1日1回投与される。ある特定の実施形態では、ダラツムマブは、1サイクル投与される。ある特定の実施形態では、ダラツムマブは、2サイクル投与される。ある特定の実施形態では、ダラツムマブは、各28日サイクルの1日目及び15日目に1日1回投与される。ある特定の実施形態では、ダラツムマブは、1サイクル投与される。ある特定の実施形態では、ダラツムマブは、2サイクル投与される。特定の実施形態では、ダラツムマブは、3サイクル投与される。ある特定の実施形態では、ダラツムマブは、4サイクル投与される。ある特定の実施形態では、ダラツムマブは、各28日サイクルの1日目に1日1回投与される。ある特定の実施形態では、ダラツムマブは、7サイクル以上投与される。
【0178】
ある特定の実施形態では、デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、各28日サイクルの1日目、8日目、15日目、及び22日目に1日1回投与される。ある特定の実施形態では、デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、1サイクル投与される。ある特定の実施形態では、デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、2サイクル投与される。ある特定の実施形態では、デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、3サイクル投与される。ある特定の実施形態では、デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、4サイクル以上投与される。
【0179】
医薬組成物及び剤形
一実施形態では、本明細書は、医薬組成物及び剤形を提供し、これは、(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(ii)ダラツムマブ、を含む。別の実施形態では、医薬組成物及び剤形はさらに、1つ以上の添加剤を含む。
【0180】
一実施形態では、本明細書は、医薬組成物及び剤形を提供し、これは、(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(ii)ダラツムマブ、及び(iii)デキサメタゾン、を含む。別の実施形態では、医薬組成物及び剤形はさらに、1つ以上の添加剤を含む。
【0181】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物及び剤形は、1つ以上の追加の活性物質を、疾患または疾患症状の調節を達成するために有効な量にて含み、本明細書に記載のものが含まれる。任意選択の追加の活性物質の例は本明細書に開示されている(例えば、定義の項を参照のこと)。
【0182】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、経口、非経口、吸入用スプレー、局所、直腸内、経鼻、頬側、経膣により、もしくは移植リザーバを介して、好ましくは、経口投与または注射による投与で投与され得る。経口送達形式には、錠剤、カプセル、カプレット、溶液、懸濁液、及びシロップが含まれるが、これらに限定されるものではなく、カプセル化されてもされなくてもよい複数の顆粒、ビーズ、粉末またはペレットも含み得る。一実施形態では、医薬組成物は、従来の薬学的に許容される非毒性の任意の担体、アジュバントまたはビヒクルを含有し得る。場合によっては、製剤化された化合物またはその送達形態の安定性を高めるために、薬学的に許容される酸、塩基または緩衝剤で製剤のpHが調整され得る。本明細書で使用される場合の非経口という用語には、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、病変内及び頭蓋内への注射または注入技術が含まれる。
【0183】
ある特定の実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形のための本明細書で提供される剤形は、経口、粘膜(例えば、経鼻、舌下、膣内、口腔、または直腸)、非経口(例えば、皮下、静脈内、ボーラス注射、筋肉内、または動脈内)、局所(例えば、点眼剤または他の点眼用製剤)、経皮(transdermal)、または経皮(transcutaneous)による患者への投与に好適である。剤形の例としては、錠剤、カプレット、弾性軟ゼラチンカプセル等のカプセル、カシェ、トローチ剤、薬用ドロップ、分散液、坐剤、粉末、エアロゾル(例えば、または吸入器)、ゲル、懸濁液(例えば、水性または非水性液体懸濁液、水中油型エマルジョン、または油中水型液体エマルジョン)、溶液、及びエリキシル剤等、患者への経口または粘膜投与に好適な液剤、患者への非経口投与に好適な液剤、局所投与に好適な点眼剤または他の点眼用製剤、及び患者への非経口投与に好適な液剤提供するために再構成可能な滅菌固体(例えば、結晶固体または無晶形固体)が含まれるが、これらに限定されない。
【0184】
一実施形態では、ダラツムマブは、DARZALEX(登録商標)の添付文書に記載されているように処方される。添付文書に記載されているように、DARZALEX(登録商標)は静脈内注入される。DARZALEX(登録商標)は、100mg/5mlまたは400mg/20mlの溶液の単回投与バイアルとして入手可能である。DARZALEX(登録商標)の各単回投与バイアルには、ダラツムマブに加えて、氷酢酸、マンニトール、ポリソルベート、酢酸ナトリウム三水和物、塩化ナトリウム及び水が含有されている。単回投与バイアルを希釈し、DARZALEX(登録商標)溶液を静脈内注入で投与する。初回注入では、DARZALEX(登録商標)を、1000mlの0.9%塩化ナトリウムで希釈する。2回目以降の注入では、DARZALEX(登録商標)を500mlの0.9%塩化ナトリウムで希釈するが、これは、初回注入時にグレード1(軽度)以上の輸注反応があった場合は例外であり、かかる輸注反応があった場合は、DARZALEX(登録商標)を1000mlの0.9%塩化ナトリウムで希釈する。
【0185】
一実施形態では、デキサメタゾンを経口投与または非経口投与することを本明細書で提供する。一実施形態では、デキサメタゾンを錠剤として本明細書で提供する。一実施形態では、デキサメタゾン錠は、リン酸カルシウム、乳糖、ステアリン酸マグネシウム、及びデンプンを含有する。一実施形態では、デキサメタゾン錠は、0.5mgの力価である。一実施形態では、デキサメタゾン錠は、0.75mgの力価である。
【0186】
別の実施形態では、リン酸デキサメタゾンナトリウムは、HEXADROL(登録商標)リン酸塩の添付文書に記載されているように処方される。添付文書に記載されているように、HEXADROL(登録商標)リン酸塩は、4mg/ml溶液として注射(静脈内または筋肉内)用に製剤化されている。溶液には、亜硫酸ナトリウム及びベンジルアルコールが含有され、クエン酸ナトリウムで等張にされている。pHは、クエン酸または水酸化ナトリウムで7.0~8.5に調整されている。
【0187】
特定の添加剤が、本明細書で提供される医薬組成物または剤形への組み込みに好適であるか否かは、投与経路を含め、これに限定されない様々な要因によって異なる。例えば、錠剤等の経口剤形には、非経口剤形での使用には適さない添加剤が含有される場合がある。特定の添加剤の適性はまた、剤形中の特定の活性成分によっても異なる。例えば、いくつかの活性成分の分解は、乳糖等のいくつかの添加剤によって、または水に曝露された際に促進され得る。第一級または第二級アミンを含む活性成分は、そのような分解促進を特に受けやすい。したがって、本明細書には、乳糖を、たとえあったとしてもほとんど含有しない医薬組成物及び剤形が包含される。本明細書で使用される場合、「乳糖不含」という用語は、存在する乳糖の量が、たとえあったとしても、活性成分の分解速度を増大させるには実質的に不十分であることを意味する。
【0188】
本明細書で提供される乳糖不含組成物は、例えば、米国薬局方(USP)25-NF20(2002)に収載されている添加剤を含むことができる。ある特定の実施形態では、乳糖不含組成物は、活性成分、結合剤/賦形剤、及び滑沢剤を、薬学的に適合し、かつ薬学的に許容される量にて含む。ある特定の実施形態では、乳糖不含剤形は、活性成分、微結晶セルロース、アルファ化デンプン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0189】
本明細書にはさらに、水が一部の化合物の分解を促進し得ることから、活性成分を含む無水医薬組成物及び剤形が包含される。例えば、水の添加(例えば、5%)は、貯蔵寿命または製剤の経時的安定性等の特徴を決定するための長期保存をシミュレートする手段として、製薬技術分野では広く受け入れられている。例えば、Jens T.Carstensen,Drug Stability:Principles & Practice,2d.Ed.,Marcel Dekker,NY,NY,1995,pp.379-80を参照のこと。実際、水及び熱は一部の化合物の分解を促進する。したがって、水分及び/または湿度には、製剤の製造、ハンドリング、包装、貯蔵、流通、及び使用の際に普通に遭遇することから、水が製剤に与える影響は極めて重要であり得る。
【0190】
本明細書で提供される無水医薬組成物及び剤形は、無水または低水分含有の成分及び低水分または低湿度の条件を使用して調製することができる。製造、包装、及び/または貯蔵の際に、水分及び/または湿度とのかなりの接触が予想される場合、乳糖、及び第一級もしくは第二級アミンを含む少なくとも1つの活性成分を含む医薬組成物及び剤形は、好ましくは無水である。
【0191】
無水医薬組成物は、その無水性質が維持されるように調製及び保存されるべきである。したがって、ある特定の実施形態では、好適な医薬品集キットに含めることができるよう、水への曝露を防ぐ材料を使用して包装された無水組成物を本明細書で提供する。好適な包装の例には、密封されたフォイル、プラスチック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、及びストリップパックが含まれるが、これらに限定されない。
【0192】
本明細書には、活性成分が分解される速度を低下させる1つ以上の化合物を含む医薬組成物及び剤形が包含される。本明細書で「安定化剤」と呼ばれるそのような化合物には、アスコルビン酸等の抗酸化剤、pH緩衝剤、または塩緩衝剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0193】
経口剤形
ある特定の実施形態では、経口投与に好適な本明細書で提供される医薬組成物は、個別の剤形として製剤化され、その例には、錠剤(例えば、チュアブル錠)、カプレット、カプセル、及び液剤(例えば、香味シロップ剤)が含まれるが、これらに限定されない。そのような剤形は、所定量の活性成分を含有し、いくつかの既知の調剤方法により調製され得る。概要は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.,Mack Publishing,Easton PA(1990)を参照のこと。
【0194】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される経口剤形は、従来の医薬配合技術に従って活性成分を少なくとも1つの添加剤との混和物に合わせることにより調製される。添加剤は、投与に所望される調製物形態に応じて多種多様な形態を取り得る。例えば、経口液体またはエアロゾル剤形での使用に好適な添加剤には、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存剤、及び着色剤が含まれるが、これらに限定されない。経口固形製剤(例えば、粉末、錠剤、カプセル、及びカプレット)での使用に好適な添加剤の例には、デンプン、糖、微晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、及び崩壊剤、が含まれるが、これらに限定されない。
【0195】
錠剤及びカプセルは、その投与のし易さから最も都合がよい経口投与単位剤形とされ、その場合は固体の添加剤が使用される。所望される場合、錠剤は、標準の水性または非水性の技術によってコートされ得る。そのような剤形は、いくつかの既知の調剤方法により調製され得る。ある特定の実施形態では、医薬組成物及び剤形は、活性成分を、液状担体、細粒化固体担体、またはその両方と均一に混和させ、その後、必要に応じて生成物を所望の外観に成形することにより調製される。
【0196】
ある特定の実施形態では、錠剤は、圧縮または成形により調製される。ある特定の実施形態では、圧縮錠剤は、自由流動形態、例えば、粉末または顆粒状の活性成分を、任意選択で添加剤と混合して、好適な機械で圧縮することにより調製される。ある特定の実施形態では、湿製錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿潤にした粉末化された化合物の混合物を好適な機械で成形することによって作られる。
【0197】
本明細書で提供される経口剤形に使用できる添加剤の例には、結合剤、賦形剤、崩壊剤、及び滑沢剤が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で提供される医薬組成物及び剤形での使用に好適な結合剤には、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、もしくは他のデンプン、ゼラチン、アカシア等の天然及び合成のガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末トラガント、グアーガム、セルロースとその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシルメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(例えば、タイプ2208、2906、2910)、微結晶セルロース、ならびにそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0198】
微結晶セルロースの好適な形態には、AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103 AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105(FMC Corporation,American Viscose Division,Avicel Sales,Marcus Hook,PA)、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。具体的な結合剤は、微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムの混合物である(例えば、AVICEL RC-581)。好適な無水または低水分の添加剤または添加物には、AVICEL-PH-103(商標)及びStarch 1500 LMが含まれる。
【0199】
本明細書で提供される医薬組成物及び剤形での使用に好適な賦形剤の例には、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物中の結合剤または賦形剤は、医薬組成物または剤形の約50~約99重量パーセントで存在する。
【0200】
水性環境に曝露された場合の崩壊能を錠剤に与えるために、本明細書で提供される組成物には崩壊剤が使用される。含有される崩壊剤が多すぎる錠剤は貯蔵時に崩壊する場合があり、含有される崩壊剤が少な過ぎるものは、所望の速度または所望の条件下で崩壊しない場合がある。したがって、活性成分の放出を変化させて悪影響を与えるほど多過ぎることも、少な過ぎることもない、十分な量の崩壊剤が、本明細書で提供される経口固形剤形を形成するために使用されるべきである。使用される崩壊剤の量は製剤の種類に基づいて異なる。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、約0.5~約15重量パーセントまたは約1~約5重量パーセントの崩壊剤を含む。
【0201】
本明細書で提供される医薬組成物及び剤形での使用に好適な崩壊剤には、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモまたはタピオカのデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ガム、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0202】
本明細書で提供される医薬組成物及び剤形での使用に好適な滑沢剤には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、硬化植物油(例えば、ピーナツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリブ油、トウモロコシ油、及びダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。追加の滑沢剤には、Syloidシリカゲル(AEROSIL200,W.R.Grace Co.,Baltimore,MD)、合成シリカの凝固エアロゾル(Degussa Co.of Plano,TX)、CAB-O-SIL(発熱性二酸化ケイ素、Cabot Co.of Boston,MA)、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、使用される場合、滑沢剤は、それが組み込まれる医薬組成物または剤形の約1重量パーセント未満の量で使用される。
【0203】
ある特定の実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、ならびに1つ以上の、無水乳糖、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイド状無水シリカ、及びゼラチンから選択される添加剤、を含む経口固形剤形を本明細書で提供する。
【0204】
ある特定の実施形態では、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、ならびに無水乳糖、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイド状無水シリカ、及びゼラチン、を含む経口固形剤形を本明細書で提供する。
【0205】
ある特定の実施形態では、化合物Aの塩酸塩、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的な溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、ならびに1つ以上の、無水乳糖、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイド状無水シリカ、及びゼラチンから選択される添加剤、を含む経口固形剤形を本明細書で提供する。
【0206】
ある特定の実施形態では、化合物Aの塩酸塩、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的な溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、ならびに無水乳糖、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイド状無水シリカ、及びゼラチン、を含む経口固形剤形を本明細書で提供する。
【0207】
遅延放出型剤形
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される活性成分は、制御放出手段または送達デバイスにより投与される。例としては、各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第3,845,770号、第3,916,899号、第3,536,809号、第3,598,123号、第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号、及び第5,733,566号に記載のものが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、そのような剤形は、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース(hydropropylmethyl cellulose)、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透圧システム、多層コーティング、微粒子、リポソーム、ミクロ粒子、またはそれらの組み合わせを、割合を様々に変えて所望の放出プロファイルが得られるよう使用して、1つ以上の活性成分の徐放または制御放出を提供するために使用される。本明細書には、経口投与に好適な単一単位剤形が包含され、これには、制御放出に適した、錠剤、カプセル、ゲルキャップ、及びカプレットが含まれるが、これらに限定されない。
【0208】
すべての制御放出医薬品には、制御放出ではない医薬品で達成されたものに勝って、薬物療法を改善するという共通の目的がある。理想的には、医療における最適に設計された制御放出調製物の使用は、最小限の時間で状態を治癒または管理するために最小限の原薬が使用されていることを特徴とする。制御放出製剤の利点としては、薬物の長時間の活性、投与頻度の減少、及び患者コンプライアンスの向上が挙げられる。さらに、制御放出製剤を使用して、作用または薬物の血中濃度等の他の特徴が発現する時間に影響を与えることができるため、副作用(例えば、有害作用)の出現に影響を与えることができる。
【0209】
ほとんどの制御放出製剤は、最初に、所望の治療効果を速やかに生み出す量の薬物(活性成分)を放出され、このレベルの治療的または予防的効果を長時間にわたり維持する別の量の薬物が徐々に持続的に放出されるよう設計されている。体内でこの一定の薬物レベルを維持するためには、薬物は、体から代謝及び排泄される薬物量を補う速度で剤形から放出されなければならない。活性成分の制御放出は、様々な条件により促進され得、これには、pH、温度、酵素、水、または他の生理学的な条件もしくは化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0210】
非経口剤形
非経口剤形は、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋肉内、及び動脈内が含まれるがこれらに限定されない、様々な経路によって患者に投与することができる。それらの投与は典型的には汚染物質に対する患者の自然防御を迂回するため、非経口剤形は、好ましくは滅菌であるか、または患者への投与前に滅菌することができる。非経口剤形の例には、注射可能な状態になっている溶液、薬学的に許容される注射用ビヒクルでの溶解または懸濁が可能な状態になっている乾燥製剤、注射可能な状態になっている懸濁液、及びエマルジョンが含まれるが、これらに限定されない。
【0211】
本明細書で提供される非経口剤形を提供するために使用することができるいくつかの好適なビヒクルには、注射用水USP;塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、ならびに乳酸リンゲル注射液等であるがこれらに限定されない水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール等であるがこれらに限定されない水混和性ビヒクル;及びトウモロコシ油、綿実油、ピーナツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジル等であるがこれらに限定されない非水性ビヒクル、が含まれるが、これらに限定されない。
【0212】
本明細書に開示される活性成分のうちの1つ以上の溶解度を高める化合物はまた、本明細書で提供される非経口剤形中に組み込むことができる。例えば、シクロデキストリンとその誘導体を使用して、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形の溶解度を高めることができる。例えば、開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,134,127号を参照のこと。
【0213】
局所及び粘膜剤形
本明細書で提供される局所及び粘膜用剤形には、スプレー、エアロゾル、溶液、エマルジョン、懸濁液、点眼剤または他の点眼用製剤、または当業者に公知の他の形態が含まれるが、これらに限定されない。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th and 18th eds.,Mack Publishing,Easton PA(1980 & 1990)、及びIntroduction to Pharmaceutical Dosage Forms,4th ed.,Lea & Febiger,Philadelphia(1985)を参照のこと。口腔内の粘膜組織の治療に好適な剤形は、洗口剤または経口ゲルとして製剤化することができる。
【0214】
好適な添加剤(例えば、担体及び希釈剤)及び本明細書に包含される局所及び粘膜用剤形を提供するために使用することができる他の材料は、所与の医薬組成物または剤形が適用される特定の組織に応じて異なる。その事実を念頭に置いて、ある特定の実施形態では、添加剤には、非毒性かつ薬学的に許容される溶液、エマルジョンまたはゲルを形成する、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。所望される場合は医薬組成物及び剤形に保湿剤または保潤剤を加えることもできる。そのような成分の追加の例は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th and 18th eds.,Mack Publishing,Easton PA(1980 & 1990)に見出すことができる。
【0215】
医薬組成物または剤形のpHを調整して、1つ以上の活性成分の送達を改善してもよい。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度、または等張性を調整して送達を改善することができる。医薬組成物または剤形にステアリン酸塩等の化合物を加えて1つ以上の活性成分の親水性または親油性を有利に変化させ、送達が改善されるようにしてもよい。これに関し、ステアリン酸塩は、製剤の脂質ビヒクルとして、乳化剤または界面活性剤として、また送達増強剤または透過増強剤として作用することができる。活性成分の様々な塩、水和物または溶媒和物を使用して、得られる組成物の特性をさらに調整することができる。
【0216】
キット
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される活性成分は、患者に同時に投与されず、また同じ投与経路では投与されない。したがって、本明細書には、医療従事者が使用する場合に、患者への適切な量の活性成分の投与を簡便化するキットが包含される。
【0217】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるキットは、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形の剤形を含む。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるキットはさらに、デキサメタゾン及び/またはダラツムマブを含む。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるキットはさらに追加の活性成分(複数可)を含み、それには、本明細書に開示されるものが含まれるが、それらに限定されない。
【0218】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるキットはさらに、活性成分を投与するために使用されるデバイスを含む。そのようなデバイスの例には、シリンジ、ドリップバッグ、パッチ、及び吸入具が含まれるが、これらに限定されない。
【0219】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるキットはさらに、移植用の細胞または血液ならびに1つ以上の活性成分を投与するために使用することができる薬学的に許容されるビヒクルを含む。例えば、活性成分が、非経口投与用に再構成が必要な固形形態で提供されている場合、キットは、活性成分を溶解させて非経口投与に好適な微粒子不含の滅菌溶液を形成することができる、好適なビヒクルの密封容器を含むことができる。薬学的に許容されるビヒクルの例には、注射用水USP;塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、及び乳酸リンゲル注射液等であるがこれらに限定されない水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール等であるがこれらに限定されない水混和性ビヒクル;ならびにトウモロコシ油、綿実油、ピーナツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジル等であるがこれらに限定されない非水性ビヒクルが含まれるが、これらに限定されない。
【実施例
【0220】
本発明の特定の実施形態は、以下の非限定的な例により例示される。
【0221】
実施例1:再発性及び難治性の多発性骨髄腫の被験者における、化合物A-Sの単独療法、デキサメタゾンとの併用療法、及びデキサメタゾンとダラツムマブとの併用療法について、最大耐用量を決定し、安全性と忍容性、薬物動態及び予備的有効性を評価する、第1B/2A相多施設共同非盲検用量漸増試験
本試験では、少なくとも2種類の優先選択治療の後で、再発性及び難治性の多発性骨髄腫に罹患している被験者に(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(「化合物A-S」)をダラツムマブ及びデキサメタゾンと組み合わせて投与した場合の、被験者の全奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、及び全生存期間(OS)により測定されるMTD/RP2D、安全性及び予備的有効性についての決定を検討する。試験には、用量漸増期(第1部)が含まれる。
【0222】
これは、少なくとも2種類の優先選択治療の後で再発性及び難治性の多発性骨髄腫に罹患している被験者における、化合物A-S、ダラツムマブ及びデキサメタゾンの組み合わせについての第1b/2a相多施設共同非盲検用量漸増試験である。試験の主要目的は、ダラツムマブ及びデキサメタゾンと共に投与する場合の化合物A-Sの最大耐用量(MTD)及び/または第2相での推奨用量(RP2D)を決定することである。試験には、用量漸増期が含まれる。
【0223】
用量(複数可):
用量漸増期間中、被験者は、化合物A-Sを1日1回(QD)、21日間経口投与され、これに、ダラツムマブ静脈内(IV)投与を組み合わせ、その際、1~2サイクルの場合は、1サイクルが28日の各治療サイクル中、1日目、8日目、15日目及び22日目に行い、3~6サイクルの場合は1日目及び15日目、また7サイクル以上の場合は1日目に行い、さらにデキサメタゾンによる経口投与を各サイクルの1日目、8日目、15日目、及び22日目に組み合わせて行う。用量漸増は、標準的な3+3用量漸増スキームに従って行われる。
【0224】
本試験に使用されるダラツムマブの用量(16mg/kg)は、現在のダラツムマブのラベル(Darzalex SmPC、2017;Darzalex(登録商標)添付文書、2017)に基づいた。本試験に使用されるデキサメタゾンの用量は、75歳を超える被験者では20mg、及び75歳以下の被験者では40mgである。
【0225】
第1部では、化合物A-Sは、ダラツムマブ/デキサメタゾンと組み合わせて0.9mg QDで開始され、MTD/RP2Dに達するまで、または1.1mg QDを最高として、標準的3+3漸増スキームに従って0.1mgの増量で漸増させる(必要に応じ、0.75mgへの用量漸減が行われ得る)。1.1mgを上回る用量は、決定されるRP2Dに応じて検討され得る。
【0226】
次に高い用量への漸増は、独立した専門評価者が含まれる、用量漸増委員会(Dose Escalation Committee(DEC))により決定される。
【0227】
主要目的:
RRMMの被験者において、ダラツムマブ及びデキサメタゾンと組み合わせて投与した場合の化合物A-Sの最大耐用量(MTD)及び/または第2相での推奨用量(RP2D)を決定すること。
【0228】
副次的目的:
(1)RRMMの被験者において、ダラツムマブ及びデキサメタゾンと組み合わせて投与した場合の化合物A-Sの安全性及び忍容性を評価すること。(2)RRMMの被験者において、ダラツムマブ及びデキサメタゾンと組み合わせて投与した場合の化合物A-Sの予備的有効性を推定すること。(3)RRMMの被験者において、ダラツムマブ及びデキサメタゾンと組み合わせて投与した場合の化合物A-Sの薬物動態(PK)を評価すること。
【0229】
治験薬による治療は、疾患の進行(PD)、忍容できない毒性または被験者が同意を撤回するまで継続される。
【0230】
MTDはRP2Dであり得る。RP2Dはまた、該当する場合、PK及びバイオマーカーデータならびに第1部から得た安全性及び予備的有効性データにより決定され得る。RP2Dを決定する決定はDECとの協議の下で行われる。
【0231】
用量漸増期間中、以降の用量を評価する決定が検討され、全被験者についての臨床的及び実験室の安全性データに関する用量評価に基づいてDECによって文書記録される。DECの評価及び推奨に基づいて追加の用量が検討される場合がある。
【0232】
PDまたは試験の同意の撤回以外の理由により試験の第1部で試験治療を中断する、最小反応(MR)以上の被験者は全員、PDまで、またはその後の骨髄腫レジメンが開始されるまで、反応評価のために28日ごとに追跡される。
【0233】
被験者数:
第1部期間中、標準的3+3用量漸増スキームに従って用量漸増が行われ、被験者数は約36である。総被験者数は、MTD及び/またはRP2Dを確立するために必要な用量の数によって異なり、この概数を超える場合がある。
【0234】
試験対象集団:
適格被験者は、文書記録されたRRMM診断がなければならない。全被験者は、レナリドミドまたはポマリドミド及びプロテアソーム阻害剤を含め、少なくとも2種類の骨髄腫の優先選択レジメンを受けている必要があり、かつ、最終骨髄腫レジメンに対して難治性であった必要がある。
【0235】
試験期間:
試験は、スクリーニング期と治療期で構成される。本試験のスクリーニング期は、治験薬の開始(1サイクル目、1日目)前の28日間を超えない。この後、28日サイクルからなる治療期が続く。試験の各用量及び各部での治療は、PD、忍容できない毒性または被験者が同意を撤回するまで継続される。安全性及び有効性の評価を収集するための治療終了(EOT)診療がある。安全性評価を得るための治療後28日目の診療がある。
【0236】
PD以外の理由により試験の第1部で試験治療を中断するMR(最小反応)以上の反応のあった被験者は全員、治療後反応追跡期に入り、PDまで、またはその後の骨髄腫レジメンが開始されるまで28日ごとに反応評価のために追跡される。
【0237】
試験終了は、長期追跡調査データの最終収集日、または主要解析または副次解析に必要な最終被験者からの最終データポイントの受領日のうち、いずれか後に来る日と定義される。
【0238】
適格基準:
(1)被験者は、インフォームドコンセントフォーム(ICF)への署名時の年齢が18歳以上でなければならない。
【0239】
(2)被験者は、試験に関連する評価/手順が行われる前に、ICFを理解し、かつ自発的に署名しなければならない。
【0240】
(3)被験者は、試験のための診療スケジュール及び他のプロトコル要件を遵守する意図及び能力がなければならない。
【0241】
(4)被験者は、MMの文書記録された診断があり、かつ、(a)Mタンパク質(血清及び/または尿タンパク質電気泳動(sPEPまたはuPEP)):sPEP≧0.5g/dLまたはuPEP≧200mg/24時間、及び/または(b)血清または尿に測定可能な疾患のない軽鎖MM:血清免疫グロブリン遊離軽鎖≧10mg/dL(100mg/L)及び異常な血清免疫グロブリンカッパラムダ有利軽鎖比、と定義される測定可能な疾患を有していなければならない。
【0242】
(5)被験者は、少なくとも2種類の骨髄腫の優先選択レジメンを受けたことがなければならない(注:骨髄移植の有無にかかわらず、また維持療法の有無にかかわらず、誘導は1レジメンと見なされる)。
【0243】
(6)被験者は全員、レナリドミドまたはポマリドミドを含むレジメンの少なくとも2サイクル連続による前治療を受けたことがなければならない。
【0244】
(7)被験者は全員、プロテアソーム阻害剤またはプロテアソーム阻害剤を含むレジメンの少なくとも2サイクル連続による前治療を受けたことがなければならない。
【0245】
(8)被験者は全員、最終骨髄腫治療の最終投与から60日以内の文書記録された疾患の進行がなければならない。
【0246】
(9)被験者は全員、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータススコアが0、1または2でなければならない。
【0247】
(10)妊娠可能な女性(FCBP)は、1)ある時点で初潮を迎えている、2)子宮摘出術または両側性卵巣摘出術を受けていない、または3)少なくとも連続24か月、自然閉経後状態にはない(がん療法に続く無月経は妊娠可能性を除外しない)(すなわち、先行する連続24か月の任意の時点で月経があった)女性であり、
a.試験治療開始前に、治験責任医師により確認される2回の妊娠検査で陰性でなければならない。女性は、試験の期間中、及び試験治療終了後の、進行中の妊娠検査に同意しなければならない。これは、被験者が、異性愛者との接触の真の禁欲を実行している場合であっても該当する。
b.治験薬開始前の中断のない28日間、試験治療中(投与中断を含む)、及び化合物A-Sの最終投与後少なくとも28日間、またはダラツムマブの最終投与後90日間のいずれか長い期間、異性愛者との接触を真に禁欲することを約束するか(月単位で評価し、情報源を文書記録する必要がある)または非常に有効な方法を1つと、追加の有効な(防御)避妊対策を1つという、2つの避妊法の使用に同意し、かつ、それを遵守する能力がなければならない。
【0248】
(11)男性被験者は、
a.精管切除を受けて成功している場合であっても、試験参加中、投与中断中、及び試験治療の最終投与後少なくとも90日間は、真の禁欲を実施するか(月単位で評価し、情報源を文書記録する必要がある)または妊娠中の女性もしくは妊娠可能な女性との性的接触中にコンドームを使用することに同意しなければならない。
【0249】
男性は、試験治療時、投与中断中及び試験治療の最終投与後少なくとも90日間は精子の提供を控えることに同意しなければならない。
【0250】
全被験者は、試験治療時、投与中断中及び試験治療の最終投与少なくとも28日間は供血を控えることに同意しなければならない。
【0251】
全被験者は男女とも、妊娠予防プログラムで定義されているすべての要件に従わなければならない。
【0252】
除外基準:
以下のうちのいずれかが存在する場合は被験者を登録から除外する。
【0253】
(1)被験者は、被験者の試験への参加を妨げるような重大な医学的状態、臨床検査値異常、または精神疾患を有する。
【0254】
(2)被験者は、被験者が試験に参加した場合に忍容できないリスクに置かれる、臨床検査値異常の存在を含めた任意の状態を有する。
【0255】
(3)被験者は、試験からのデータの解釈能に交絡を生じさせる任意の状態を有する。
【0256】
(4)被験者は、非分泌型または低分泌型多発性骨髄腫を有する。
【0257】
(5)形質細胞白血病またはアミロイドーシスの被験者。
【0258】
(6)以下のいずれかの臨床検査値異常
・絶対好中球数(ANC)<1,000/μL
・血小板数<75,000/μL
・補正血清カルシウム>13.5mg/dL(>3.4mmol/L)
・血清グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(SGOT)/アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)または血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(SGPT)/アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)
・≧正常値上限(ULN)の2.0倍
・血清総ビリルビン及びアルカリホスファターゼ>ULNの1.5倍
・重篤な腎障害([CrCl]<50ml/分)を有するかまたは透析が必要な被験者は除外される
【0259】
(7)末梢神経障害がグレード2以上の被験者。
【0260】
(8)化合物A-Sの吸収を大幅に変化させ得る胃腸疾患を有する被験者。
【0261】
(9)MM以外の悪性腫瘍の既往のある被験者。ただし、被験者が5年以上無病であるものと以下の非侵襲性悪性腫瘍は除く。
・皮膚の基底細胞癌
・皮膚の扁平上皮癌
・子宮頸部上皮内癌
・乳房の上皮内癌
・治癒可能な悪性腫瘍または前立腺癌の腫瘍/リンパ節/転移(TNM)分類を使用した、偶発的なT1aまたはT1b等の前立腺癌の組織学的所見
【0262】
(10)被験者は、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、デキサメタゾン、またはダラツムマブに対する、アナフィラキシーまたは過敏症の病歴を有する。
【0263】
(11)被験者は、化合物A-S、デキサメタゾン、またはダラツムマブの製剤に含有される添加剤に対する過敏症がわかっているかまたは疑われる。
【0264】
(12)被験者は、治験薬開始前の14日以内以下のうちのいずれかを受けている。
・血漿交換
・大手術(治験責任医師による定義)
・MM関連骨病変の局所療法以外の放射線療法
・任意の全身性骨髄腫薬物療法の使用
【0265】
(13)被験者は、治験薬開始の28日以内または5半減期(いずれか長い期間)以内に治験薬剤(すなわち、非市販薬剤)で治療されたことがある。
【0266】
(14)被験者は、以下のいずれか1つを有する。
・スクリーニング時の臨床的に重要な異常心電図(ECG)所見
・うっ血性心不全(New York Heart AssociationのクラスIIIまたはIV)
・治験薬開始前12か月以内の心筋梗塞
・プリンツメタル異型狭心症を含む、不安定またはコントロール不良の狭心症
【0267】
(15)被験者は、IP初回投与前の14日以内に、免疫抑制薬を現在または以前に使用している。この基準の例外は以下のとおりである。
・鼻腔内、吸入、局所または局部のステロイド注射(例えば、関節内注射)
・プレドニゾンまたは同等物の10mg/日を超えない生理学的用量での全身性コルチコステロイド
・過敏反応に対する前投薬としてのステロイド(例えば、コンピューター断層撮影[CT]スキャンの前投薬)
【0268】
(16)被験者は、グレープフルーツ、セントジョーンズワート(St.John’s Wort)または関連製剤を含め、CYP3A4/5の強力な阻害剤または誘導物質を、投与前2週間以内及び試験期間中に摂取している。
【0269】
(17)ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、慢性もしくは活動性B型肝炎、または活動性A型もしくはC型肝炎の検査で陽性がわかっている被験者。
【0270】
(18)被験者は、血栓塞栓症予防に必要とされるプロトコルを受けることができないかまたは受けることを希望しない。
【0271】
(19)被験者は、妊娠中、授乳期もしくは授乳中であるか、または試験参加期間中に妊娠する意図のある女性である。
【0272】
(20)被験者は、1秒努力呼気肺活量(FEV1)が予測正常値の50%である慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有することがわかっている。努力呼気検査(FEV1)は、COPDが疑われる被験者の場合に必要とされ、FEV1が予測正常値の50%未満の場合は被験者を除外しなければならないことに注意すること。
【0273】
(21)被験者は、以前に同種幹細胞移植を受けているか、または登録前12週間以内に自家幹細胞移植を受けている。
【0274】
(22)被験者は、中等度または重度の持続性喘息を有することがわかっているか、または現在、分類を問わずコントロール不良の喘息を有している。
【0275】
主要な有効性評価の概要
・骨髄腫パラプロテイン
・血清免疫グロブリン
・無血清軽鎖
・免疫固定
・補正血清カルシウム
・骨髄穿刺液(BMA)/骨髄生検(BMB)
・溶解性骨病変のX線画像評価
・髄外形質細胞腫(EMP)の評価
・Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータス
【0276】
主要な安全性評価の概要
主要な安全性評価の概要
・二次原発悪性腫瘍が含まれる特筆すべき有害事象(AESI)を含めた有害事象(AE)
・生体反応及び静脈血栓塞栓症(VTE)のモニタリングを含む完全な身体診察
・臨床検査値評価(血液学、血清化学検査、尿検査)
・腎機能評価
・膵臓機能評価(化学パネルの一部)
・臨床上適応となる場合は眼科評価
・12誘導心電図
・妊娠検査/カウンセリング
・併用薬と手順
【0277】
薬物動態評価の概要
被験者は、主試験参加者としてスパースPKサンプリングに参加することが求められる。被験者の追加のサブセットは、集中的PKサンプル収集に参加するよう割り付けられる。集中的PKサンプリングとスパースPKサンプリングの両方を収集して、血漿中の化合物A-S、及び適宜そのR-鏡像異性体である化合物A-Rを評価する。
【0278】
スパースPKサンプリング:以下の時点における被験者の薬物動態学的血液試料を採取する:
・1~4サイクル目、8日目、15日目:診察ごとに投薬前に1回サンプリング。
【0279】
集中的PKサンプリング:スパースPKサンプリングに加え、PK血液試料の複数採取を1用量あたり約1人の被験者で実施する。試料を以下の時点で採取する:
・1サイクル目、8日目:化合物A-S投与の4~8時間後及び24時間後(±5時間)の2回。
【0280】
各時点で、約3mLの血液を採取する。
【0281】
統計的方法
試験の第1部の主要目的は、RRMMの被験者において、デキサメタゾン及びダラツムマブと組み合わせた化合物AのMTD/RP2Dを決定することである。用量制限毒性(DLT)、治療下で発現した有害事象(AE)、重篤なAE(SAE)、及び特筆すべき有害事象(AESI)等の安全性エンドポイントを用量ごとにまとめる。
【0282】
実施例2:MM細胞株H929に対する化合物A-S、ダラツムマブ、及び化合物A-Sとダラツムマブの組み合わせの効果
健常ドナーからの生きている末梢血単核細胞(PBMC)を、NY Blood Centerから入手したバフィーコート(白血球)から調製した。簡単に言えば、健常ドナーの試料を1×PBS+2%FBSで1:1に希釈して、50mL遠沈管に入っている15mLのFicollの上に重ねて入れ、450g、RTにて35分間遠心分離にかけた。濃縮された細胞層をデカントし、PBSで洗浄してRBC溶解バッファーと共に5分間インキュベートした。その後、PMBC試料を1200RPMで5分間遠心分離にかけ、10%FBS添加RPMIに30×10細胞/mLで再懸濁させた。組織培養プレートに、3μg/mlのOKT-3を添加した1×PBSを20ml/プレート加え、37℃で4時間インキュベートし、1×PBSで2回洗浄することにより、OKT-3コート組織培養プレートを準備した。
【0283】
H929多発性骨髄腫細胞は、6ウェルプレートに5×10細胞/mlで播種し、DMSO、0.1μg/mlのダラツムマブ、0.008μMの化合物A-S、または0.1μg/mlのダラツムマブと0.008μMの化合物A-Sとの組み合わせのいずれかで72時間処理することにより調製した。以前に調製した、生きているPBMCをOKT-3でコートしたプレートに2×10細胞/mlで播種し、DMSO、0.1μg/mlのダラツムマブ、0.008μMの化合物A-S、または0.1μg/mlのダラツムマブと0.008μMの化合物A-Sとの組み合わせのいずれかで72時間処理した。72時間後、H929細胞をCFSE(200nM)で37℃にて3分間染色し、10%FBS添加RPMI培地に1×10細胞/mlで再懸濁させた。共培養前に、生きているPBMCをRPMIで1回洗浄して薬物を除去し、10%FBS添加RPMIに4×10細胞/mlで再懸濁させた。その後、細胞培養物を4:1のPMBC:H929比で4時間合わせた。その後、細胞を遠心分離にかけ、1×PBSで洗浄し、AnnxinV及びTo-Pro3で室温にて10分間染色した。続いて、CFSE陽性細胞にゲートされたフローサイトメトリーでアポトーシスを分析した。図1Aは、DMSO、0.1μg/mlのダラツムマブ、0.008μMの化合物A-S、または0.1μg/mlのダラツムマブと0.008μMの化合物A-Sとの組み合わせ、の細胞生存率に対する効果を示す。
【0284】
MM1.S細胞を標準条件下(Bjorklund C,et al.,Blood Cancer J.2015;5:e354)で培養し、DMSO、0.1μg/mlのダラツムマブ、0.008μMの化合物A-S、または0.1μg/mlのダラツムマブと0.008μMの化合物A-Sとの組み合わせのいずれかで72時間処理した。続いて、CFSE陽性細胞にゲートされたフローサイトメトリーでアポトーシスを分析した。図1Bは、DMSO、0.1μg/mlのダラツムマブ、0.008μMの化合物A-S、または0.1μg/mlのダラツムマブと0.008μMの化合物A-Sとの組み合わせの細胞生存率に対する効果を示す。
【0285】
H929細胞及びU266多発性骨髄腫細胞を化合物A-Sとダラツムマブの組み合わせで処理した後の補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイで相乗的抗骨髄腫細胞活性が観察された。CDCアッセイの結果を示す図2では、1未満のコンビネーションインデックス(CI)が相乗を示すChou-Talalayの方法により、H929細胞における化合物A-Sとダラツムマブの相乗的抗増殖剤活性が示されている。
【0286】
上記の例は、特許請求される実施形態の作成及び使用方法の完全な開示及び説明を当業者に示すために提供されるものであり、本明細書に開示される範囲を限定するものではない。当業者に明らかである変更は、以下の特許請求の範囲内であることが意図される。本明細書で引用されるすべての刊行物、特許、及び特許出願は、そのような刊行物、特許、または特許出願のそれぞれが参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個別に示されるかのように参照により本明細書に組み込まれる。
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
がんを治療または管理する方法であって、そのような治療または管理を必要とする患者に治療的有効量の(i)化合物A
(化1)
またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(ii)ダラツムマブ、を投与することを含む、前記方法。
(態様2)
がんを治療または管理する方法であって、そのような治療または管理を必要とする患者に治療的有効量の(i)化合物A
(化2)
またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(ii)ダラツムマブ、及び(iii)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、を投与することを含む、前記方法。
(態様3)
前記がんは多発性骨髄腫である、態様1または2に記載の方法。
(態様4)
前記多発性骨髄腫は、くすぶり型骨髄腫、無症候性骨髄腫、活動型多発性骨髄腫、髄外形質細胞腫、骨の弧立性形質細胞腫、軽鎖骨髄腫、または非分泌型骨髄腫である、態様3に記載の方法。
(態様5)
前記多発性骨髄腫は再発性または難治性である、態様3に記載の方法。
(態様6)
前記多発性骨髄腫は薬物抵抗性である、態様3に記載の方法。
(態様7)
前記多発性骨髄腫は新たに診断されたものである、態様3に記載の方法。
(態様8)
多発性骨髄腫を治療または管理するための方法であって、
(i)(a)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(b)ダラツムマブ、を用いる治療に感受性の多発性骨髄腫を有する患者を特定すること、ならびに
(ii)前記患者に治療的有効量の、(a)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(b)ダラツムマブを投与すること、を含む、前記方法。
(態様9)
多発性骨髄腫を治療または管理するための方法であって、
(i)(a)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(b)ダラツムマブ、及び(c)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、を用いる治療に感受性の多発性骨髄腫を有する患者を特定すること、ならびに
(ii)治療的有効量の、(a)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(b)ダラツムマブ、及び(c)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、を前記患者に投与すること、を含む、前記方法。
(態様10)
前記多発性骨髄腫は再発性または難治性である、態様8または9に記載の方法。
(態様11)
前記多発性骨髄腫は薬物抵抗性である、態様8または9に記載の方法。
(態様12)
前記多発性骨髄腫は新たに診断されたものである、態様8または9に記載の方法。
(態様13)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、約0.5~約100mg/日の量で投与され、(ii)ダラツムマブは、約16~約200mg/kg/日の量で投与される、態様1~12のいずれか一項に記載の方法。
(態様14)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、約0.5~約100mg/日の量で投与され、(ii)ダラツムマブは、約16~約200mg/kg/日の量で投与され、(iii)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、約20~約200mgの量で投与される、態様1~12のいずれか一項に記載の方法。
(態様15)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、約0.5~約5mg/日の量で投与され、(ii)ダラツムマブは、約16~約25mg/kg/日の量で投与される、態様13に記載の方法。
(態様16)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、約0.5mg/日、1mg/日、2mg/日、2.5mg/日、3mg/日、4mg/日、5mg/日、7.5mg/日、10mg/日、15mg/日、20mg/日、25mg/日、50mg/日、または100mg/日の量で投与され、(ii)ダラツムマブは、約16mg/kg/日、20mg/kg/日、25mg/kg/日、30mg/kg/日、35mg/kg/日、40mg/kg/日、45mg/kg/日、50mg/kg/日、75mg/kg/日、100mg/kg/日、150mg/kg/日、または200mg/kg/日の量で投与される、態様13に記載の方法。
(態様17)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、経口投与され、(ii)ダラツムマブは静脈内投与される、態様13に記載の方法。
(態様18)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、カプセルまたは錠剤で投与され、(ii)ダラツムマブは、注射または注入により投与される、態様13に記載の方法。
(態様19)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、10mgまたは25mgのカプセルで投与され、(ii)ダラツムマブは、希釈された20mg/mlの単回投与バイアルの静脈内注入として投与される、態様18に記載の方法。
(態様20)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、約0.5~約5mg/日の量で投与され、(ii)ダラツムマブは、約16~約25mg/kg/日の量で投与され、(iii)デキサメタゾンは、約20~約50mg/日の量で投与される、態様14に記載の方法。
(態様21)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、約0.5mg/日、1mg/日、2mg/日、2.5mg/日、3mg/日、4mg/日、5mg/日、7.5mg/日、10mg/日、15mg/日、20mg/日、25mg/日、50mg/日、または100mg/日の量で投与され、(ii)ダラツムマブは、約16mg/kg/日、20mg/kg/日、25mg/kg/日、30mg/kg/日、35mg/kg/日、40mg/kg/日、45mg/kg/日、50mg/kg/日、75mg/kg/日、100mg/kg/日、150mg/kg/日、または200mg/kg/日の量で投与され、(iii)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、約20mg/日、25mg/日、30mg/日、35mg/日、40mg/日、45mg/日、50mg/日、75mg/日、100mg/日、150mg/日、または200mg/日の量で投与される、態様14に記載の方法。
(態様22)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、経口投与され、(ii)ダラツムマブは、静脈内投与され、(iii)デキサメタゾンは、経口または注射で投与される、態様14に記載の方法。
(態様23)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、カプセルまたは錠剤で投与され、(ii)ダラツムマブは、注射または注入により投与され、(iii)デキサメタゾンは、錠剤で投与される、態様14に記載の方法。
(態様24)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、10mgまたは25mgのカプセルで投与され、(ii)ダラツムマブは、希釈された20mg/mlの単回投与バイアルの静脈内注入として投与され、(iii)デキサメタゾンは、0.5mgまたは0.75mgの錠剤として投与される、態様23に記載の方法。
(態様25)
前記多発性骨髄腫は、再発性、難治性または従来療法に抵抗性である、態様1~24のいずれか一項に記載の方法。
(態様26)
前記化合物は、28日サイクルで投与される、態様1~25のいずれか一項に記載の方法。
(態様27)
前記化合物は、化合物A-S
(化3)
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形である、態様1~26のいずれか一項に記載の方法。
(態様28)
がんを治療または管理する方法での使用のための化合物であって、前記化合物は、がんを治療または管理する方法での使用のための化合物A
(化4)
またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形であり、前記方法は、そのような治療または管理を必要とする患者に、治療的有効量の(i)化合物Aまたはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(ii)ダラツムマブを投与することを含む、前記化合物。
(態様29)
がんを治療または管理する方法での使用のための化合物であって、前記化合物は、がんを治療または管理する方法での使用のための化合物A
(化5)
またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形であり、前記方法は、そのような治療または管理を必要とする患者に、治療的有効量の(i)化合物Aまたはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(ii)ダラツムマブ、及び(iii)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を投与することを含む、前記化合物。
(態様30)
前記がんは多発性骨髄腫である、態様28または29に記載の使用のための化合物。
(態様31)
前記多発性骨髄腫は、くすぶり型骨髄腫、無症候性骨髄腫、活動型多発性骨髄腫、髄外形質細胞腫、骨の弧立性形質細胞腫、軽鎖骨髄腫、または非分泌型骨髄腫である、態様30に記載の使用のための化合物。
(態様32)
前記多発性骨髄腫は再発性または難治性である、態様30に記載の使用のための化合物。
(態様33)
前記多発性骨髄腫は薬物抵抗性である、態様30に記載の使用のための化合物。
(態様34)
前記多発性骨髄腫は新たに診断されたものである、態様30に記載の使用のための化合物。
(態様35)
多発性骨髄腫を治療または管理する方法での使用のための化合物であって、前記化合物は、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形であり、前記方法は、
(i)(a)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(b)ダラツムマブ、を用いる治療に感受性の多発性骨髄腫を有する患者を特定すること、ならびに
(ii)前記患者に治療的有効量の、(a)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、及び(b)ダラツムマブを投与すること、を含む、前記化合物。
(態様36)
多発性骨髄腫を治療または管理する方法での使用のための化合物であって、前記化合物は、化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形であり、前記方法は、
(i)(a)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(b)ダラツムマブ、及び(c)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、を用いる治療に感受性の多発性骨髄腫を有する患者を特定すること、ならびに
(ii)治療的有効量の、(a)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形、(b)ダラツムマブ、及び(c)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形を前記患者に投与すること、を含む、前記化合物。
(態様37)
前記多発性骨髄腫は再発性または難治性である、態様35または36に記載の使用のための化合物。
(態様38)
前記多発性骨髄腫は薬物抵抗性である、態様35または36に記載の使用のための化合物。
(態様39)
前記多発性骨髄腫は新たに診断されたものである、態様35または36に記載の使用のための化合物。
(態様40)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、約0.5~約100mg/日の量で投与され、(ii)ダラツムマブは、約16~約200mg/kg/日の量で投与される、態様28~39のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
(態様41)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、約0.5~約100mg/日の量で投与され、(ii)ダラツムマブは、約16~約200mg/kg/日の量で投与され、(iii)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、約20~約200mgの量で投与される、態様28~39のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
(態様42)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、約0.5~約5mg/日の量で投与され、(ii)ダラツムマブは、約16~約25mg/kg/日の量で投与される、態様40に記載の使用のための化合物。
(態様43)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、約0.5mg/日、1mg/日、2mg/日、2.5mg/日、3mg/日、4mg/日、5mg/日、7.5mg/日、10mg/日、15mg/日、20mg/日、25mg/日、50mg/日、または100mg/日の量で投与され、(ii)ダラツムマブは、約16mg/kg/日、20mg/kg/日、25mg/kg/日、30mg/kg/日、35mg/kg/日、40mg/kg/日、45mg/kg/日、50mg/kg/日、75mg/kg/日、100mg/kg/日、150mg/kg/日、または200mg/kg/日の量で投与される、態様40に記載の使用のための化合物。
(態様44)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、経口投与され、(ii)ダラツムマブは、静脈内投与される、態様40に記載の使用のための化合物。
(態様45)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、カプセルまたは錠剤で投与され、(ii)ダラツムマブは、注射または注入により投与される、態様40に記載の使用のための化合物。
(態様46)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、10mgまたは25mgのカプセルで投与され、(ii)ダラツムマブは、希釈された20mg/mlの単回投与バイアルの静脈内注入として投与される、態様45に記載の使用のための化合物。
(態様47)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、約0.5~約5mg/日の量で投与され、(ii)ダラツムマブは、約16~約25mg/kg/日の量で投与され、(iii)デキサメタゾンは、約20~約50mg/日の量で投与される、態様41に記載の使用のための化合物。
(態様48)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、約0.5mg/日、1mg/日、2mg/日、2.5mg/日、3mg/日、4mg/日、5mg/日、7.5mg/日、10mg/日、15mg/日、20mg/日、25mg/日、50mg/日、または100mg/日の量で投与され、(ii)ダラツムマブは、約16mg/kg/日、20mg/kg/日、25mg/kg/日、30mg/kg/日、35mg/kg/日、40mg/kg/日、45mg/kg/日、50mg/kg/日、75mg/kg/日、100mg/kg/日、150mg/kg/日、または200mg/kg/日の量で投与され、(iii)デキサメタゾン、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、約20mg/日、25mg/日、30mg/日、35mg/日、40mg/日、45mg/日、50mg/日、75mg/日、100mg/日、150mg/日、または200mg/日の量で投与される、態様41に記載の使用のための化合物。
(態様49)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、経口投与され、(ii)ダラツムマブは、静脈内投与され、(iii)デキサメタゾンは、経口または注射で投与される、態様41に記載の使用のための化合物。
(態様50)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、カプセルまたは錠剤で投与され、(ii)ダラツムマブは、注射または注入により投与され、(iii)デキサメタゾンは、錠剤で投与される、態様41に記載の使用のための化合物。
(態様51)
(i)化合物A、またはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形は、10mgまたは25mgのカプセルで投与され、(ii)ダラツムマブは、希釈された20mg/mlの単回投与バイアルの静脈内注入として投与され、(iii)デキサメタゾンは、0.5mgまたは0.75mgの錠剤として投与される、態様50に記載の使用のための化合物。
(態様52)
前記多発性骨髄腫は、再発性、難治性または従来療法に抵抗性である、態様28~51のいずれか一項の態様に記載の使用のための化合物。
(態様53)
前記化合物は、28日サイクルで投与される、態様28~52のいずれか一項の態様に記載の使用のための化合物。
(態様54)
前記化合物は、化合物A-S
(化6)
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは結晶多形である、態様28~53のいずれか一項の態様に記載の化合物。
図1A
図1B
図2