(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】酸性有機廃水の処理及び資源化利用方法
(51)【国際特許分類】
C02F 3/32 20230101AFI20240405BHJP
C02F 3/34 20230101ALI20240405BHJP
C02F 3/00 20230101ALI20240405BHJP
C02F 1/32 20230101ALI20240405BHJP
C02F 3/12 20230101ALI20240405BHJP
【FI】
C02F3/32
C02F3/34 Z
C02F3/00 G
C02F1/32
C02F3/12 V
C02F3/12 B
(21)【出願番号】P 2021546424
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 CN2019111721
(87)【国際公開番号】W WO2020078433
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】201811215345.3
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】521165264
【氏名又は名称】中石化南京化工研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲海▼涛
(72)【発明者】
【氏名】毛 松柏
(72)【発明者】
【氏名】汪 ▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 曦
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-174088(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104556545(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108585208(CN,A)
【文献】特開2015-058387(JP,A)
【文献】特開平10-327848(JP,A)
【文献】特開平10-052256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/00- 3/34
C02F 1/30- 1/38
C02F 11/00-11/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)酸性有機廃水を活性汚泥で処理するステップと、
(2)ステップ(1)で処理された酸性有機廃水を微細藻類で処理するステップと、を含
み、
活性汚泥処理の前に酸性有機廃水に紫外線照射処理を行うことをさらに含み、
紫外線照射処理される前の酸性有機廃水のCODcr含有量は3000~30000mg/Lであり、及び
微細藻類で処理された後、前記酸性有機廃水のCODcr含有量は300mg/L未満であり、微細藻類の処理過程において、二酸化炭素の捕集率は90%以上である、
酸性有機廃水の処理及び資源化利用方法。
【請求項2】
前記酸性有機廃水はテレフタル酸廃水であり、及び/又は
、
前記酸性有機廃水のpH値は1~5である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(1)で使用される活性汚泥は、馴化した後の活性汚泥であり、
前記活性汚泥の馴化方法は、都市下水処理用の活性汚泥を、CODcr含有量が3000~5000mg/Lであり、pH値が1~5である酸性廃水で8~10日間培養する、第1段階の馴化を含
む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記活性汚泥の馴化方法は、CODcr含有量がそれぞれ6000~8000mg/L、9000~15000mg/L、16000~30000mg/Lの酸性有機廃水で第1段階の馴化後の活性汚泥を順に培養し、培養時間はいずれも1~3日である、第1段階の馴化後の第2段階の馴化をさらに含
む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記活性汚泥中の微生物は、含有量が微生物全体の10%以
上を占めるクロロビウム綱(Chlorobia)を含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記活性汚泥中の微生物は、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)、ベータプロテオバクテリア(Betaproteobacteria)、及びクロロビウム綱(Chlorobia)を含み、それらの合計量は微生物全体の50%以
上を占める、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記活性汚泥中の微生物は、15~25%のアルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)、10~15%のスフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)、15~25%のベータプロテオバクテリア(Betaproteobacteria)、及び20~25%のクロロビウム綱を含
む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記活性汚泥中の微生物は、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)、及びデイノコックス綱(Deinococci)を含み、
アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)、及びデイノコックス綱(Deinococci)の合計量は、微生物全体の50%以
上を占め
る、ことを特徴とする請求項1~
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記活性汚泥の処理時間は5~96hであり
、及び/又は、
前記微細藻類の処理時間は5~240hであ
る、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記微細藻類処理で使用される微細藻類は、クロレラ属であ
る、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記紫外線照射処理の時間は4~500minであ
る、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、前記微細藻類の処理において、工業パージガス及び/又はバイオマスガス源中の二酸化炭素を微細藻類成長の炭素源として採用することをさらに含み、
前記工業パージガスは煙道ガスであり、前記煙道ガス中の二酸化炭素の含有量は8v%~15v%で
ある、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、微細藻類処理で使用された微細藻類を回収し、バイオマスエネルギーの材料として、分解によるバイオマス燃料ガスの製造に用いることをさらに含む、ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
第1段階の馴化の培養温度はいずれも20~28℃であり、溶存酸素量が2~4mg/Lに制御される、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項15】
第2段階の馴化過程において、N及びP栄養物質を添加し、窒素源は尿素により提供され、リン源はリン酸水素二カリウムにより提供され、比率はCOD:N:P=(95~102):(0.8~1.3):(0.7~1.2)であり、
第2段階の馴化の培養温度はいずれも20~28℃であり、溶存酸素量が2~4mg/Lに制御される、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項16】
前記活性汚泥中の微生物は、含有量が微生物全体の20~25%を占めるクロロビウム綱(Chlorobia)を含む、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項17】
前記活性汚泥中の微生物は、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)30~40%、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)20~25%、及びデイノコックス綱(Deinococci)8~12%を含む、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項18】
使用前に光バイオ装置において微細藻類を馴化処理し、馴化処理の条件は、処理対象の酸性有機廃水で10~16日間培養すると同時に光照射を与え、光照射強度が3000~4100luxである、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年10月18日に提出された出願番号が201811215345.3であり、発明の名称が「テレフタル酸廃水の処理及び資源化利用方法」である中国特許出願の優先権を享受することを請求し、その内容は結合により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、化学工業の技術分野に属し、具体的には、酸性有機廃水の処理及び資源化利用方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
CO2の排出削減は現在世界で直面している気候変化の重大な問題であり、工業経済、特にエネルギー産業に対して深刻な課題であり、排出削減コストだけで、異なる発展段階にある国の社会、経済、科学技術発展に異なる影響を与える。米国エネルギー省の目標は、CO2回収・貯留(CCS)のコストを徐々に低減して20ドル/t-CO2を超えないようにするか、又は発電コストの増加を20%を超えないようにすることである。欧米の工業化国は今まで依然として努力しているが、この目標を達成することができても、中国を含む発展途上国は必ずしも負担を負えるものではない。
【0004】
国民経済の発展に伴い、石油化学工業への需要量も増加し続け、それに伴う廃水排出問題がますます大きくなり、状況がますます複雑になる。生物法による水処理技術は環境にやさしい化学工業技術として、廃水の処理が徹底的であり、処理コストが低く、薬剤消費が少なく、二次汚染がないなどの特徴を有し、現在の汚水処理の主流技術となっている。新規な水処理技術として、微細藻類は成長速度が速く、収穫時期が短く、光合成利用効率が高いなどの特徴を有し、成長繁殖過程において水中の有機化合物を窒素源及び硫黄源として蓄積吸収、利用することができ、CO2を無機炭素源とすると同時に有機物質を有機炭素源として利用することもできる。微細藻類で廃水を処理した後、残された微細藻類(「藻泥」)の熱分解工程を追加して、微細藻類を、バイオマスガスを製造する原材料とし、微細藻類が環境に二次汚染のリスクをもたらすことを回避すると同時に、資源化利用を実現する。廃水処理工程とエネルギー製造工程の統合は、高い環境保護意義とエネルギー戦略意義を有する。
【0005】
CN201710938493.7では、改質キトサン、改質モンモリロナイトで製造された吸着膜で組み立てられた中空吸着カラムを利用して汚水中の金属イオンを吸着し、ポンプの負圧作用により汚水が吸着カラムを透過し、汚水が吸着カラムに滞留し、固定化された微細藻類と接触し、微細藻類が汚水中の有機栄養物質を利用して成長繁殖する、微細藻類で汚水を処理する方法が開示されている。その方法を利用して汚水処理を行い、汚水中の金属イオン、炭素、窒素、リン等の物質を効果的に除去することができ、同時に微細藻類を大規模に培養することができ、汚水処理と微細藻類培養の二重目的を達成する。処理された汚水は灌漑、養殖、洗浄等に用いることができる。培養された微細藻類は水産養殖、飼料添加、植物油抽出等に用いることができる。
【0006】
CN201610582744.8では、微細藻類生物膜の光合成を利用して、光照射条件下で光化学反応によりヒドロキシラジカルに変換する過酸化水素を生成することができ、微細藻類による汚水処理の効果をよく向上させる、微細藻類光学生物汚水処理装置が開示されている。CN201410731223.5では、光バイオリアクターに微細藻類培地及び混合微細藻類種子液を添加し、培養体系のpHを8~12に維持し、導入ガス中のCO2体積含有量が5v%~45v%であり、微細藻類培養体系の高濃度CO2に対する溶解性及び耐性を向上させ、炭素固定効率を向上させ、微細藻類油脂の収穫量を明らかに向上させ、バイオディーゼルの製造を行うことができる、微細藻類油脂を製造する方法が開示されている。
【0007】
CN201010222051.0では、光照射開放型生物反応器を採用し、光照射開放型生物反応器内に微細藻類及び微細藻類培地を含み、CO2を補充して微細藻類の成長に用い、ここで、CO2を補充する方法としては、気液混合輸送装置を利用してCO2を含有するガスと液相を混合し、次に気液分離器で気液分離を行い、気液分離後のCO2が溶解した液相は開放型生物反応器に入り微細藻類の成長に必要なCO2を補充する、微細藻類の開放型培養方法が開示されている。
【0008】
CN105859034Aでは、S1、廃水に過酸化水素及び硫酸第一鉄、Ca(OH)2及びNa2CO3を順に添加し、撹拌してpH値を6.5~8.5に調節し、1h静止した後に沈殿を除去し、有機化学工業廃水を沈殿池に排出するステップと、S2、S1における廃水に分子篩を添加し、撹拌し、1h静止した後に沈殿を除去し、上清を嫌気性反応器に排出するステップと、S3、S2における上清の温度を15~35℃に維持し、COD:N:Pが450:5:1の比率で窒素リン源を添加し、pH値を7.5~8.5に調節し、硫酸塩還元菌群を添加して嫌気性処理を行い、24h水力滞留した後に好気反応器に輸送するステップと、S4、S3における上清の温度を20~35℃に維持し、COD:N:Pが250:5:1の比率で窒素リン源を添加し、pH値を6.5~8に調節し、好塩菌群及び耐塩菌群を添加して一段階の好気処理を行い、曝気撹拌し、24h水力滞留した後に二段階の好気処理を行い、曝気撹拌し、24h水力滞留するステップと、S5、沈殿し、上清を排出するステップと、を含む、高COD、高濃度有機塩酸性有機化学工業廃水の処理方法が開示されている。その廃水処理プロセスは複雑であり、時間がかかり、pHを調整する必要があり、大量のアルカリ液が消費される。
【発明の概要】
【0009】
従来の技術の不足に対して、本発明の第1の態様は、酸性有機廃水の処理及び資源化利用方法を提供する。
【0010】
本発明が提供する酸性有機廃水の処理及び資源化利用方法は、
(1)酸性有機廃水を活性汚泥で処理するステップと、
(2)ステップ(1)で処理された酸性有機廃水を微細藻類で処理するステップと、を含む。
【0011】
本発明は、活性汚泥処理と微細藻類処理との組み合わせを採用することにより、酸性有機廃水のCOD値を顕著に低下させることができる。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記酸性有機廃水はテレフタル酸廃水である。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(1)で処理される前の酸性有機廃水のCODcr値は3000~30000mg/Lである。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記酸性有機廃水のpH値は1~5である。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記活性汚泥は好気性活性汚泥から選択される。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(1)で使用される活性汚泥は、都市下水処理用の活性汚泥を馴化した後の活性汚泥である。都市下水処理用の活性汚泥は廃水の酸性環境に適応することができず、酸性有機廃水の処理に用いられる場合、アルカリを追加してpHを中性に調整する必要があり、かつCODの除去率が低い。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記都市汚水用の活性汚泥中の微生物は、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)20~25%、ベータプロテオバクテリア(Betaproteobacteria)20~25%、ガンマプロテオバクテリア(Gammaproteobacteria)15~20%、及びクロストリジウム(Clostridia)10~15%を含む。当業者であれば、本発明の文脈において、微生物コロニー組成に関する上記のパーセンテージはいずれも細菌存在量、すなわち、ある菌の遺伝子数/合計遺伝子数を指すことが理解される。
【0018】
一つの具体的な実施例において、前記都市汚水用の活性汚泥中の微生物は、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)22.83%±1%、ベータプロテオバクテリア(Betaproteobacteria)22.62%±1%、ガンマプロテオバクテリア(Gammaproteobacteria)17.76%±1%、及びクロストリジウム(Clostridia)11.57%±1%を含む。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(1)で使用される前記活性汚泥中の微生物含有量は、微生物全体の10%以上、好ましくは15%以上、より好ましくは20~25%を占めるクロロビウム綱(Chlorobia)を含む。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(1)で使用される活性汚泥中の微生物は、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)、ベータプロテオバクテリア(Betaproteobacteria)、及びクロロビウム綱(Chlorobia)を含み、それらの合計量は微生物全体の50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上を占める。この4種類の菌は優勢な菌であり、ステップ(1)で使用される活性汚泥中の微生物の細菌コロニー構造において含有量が最も高い上位の4種類の菌である。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(1)で使用される活性汚泥中の微生物は、15~25%のアルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)、10~15%のスフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)、15~25%のベータプロテオバクテリア(Betaproteobacteria)、及び20~25%のクロロビウム門を含み、好ましくは、20~22%のアルファプロテオバクテリア、11~13%のスフィンゴバクテリウム綱、18~21%のベータプロテオバクテリア、及び21~25%のクロロビウム門を含む。
【0022】
上記実施形態における活性汚泥が酸性有機廃水を処理するために用いられることは以下の利点を有する。廃水負荷変動に対して強い適応性を有し、処理過程においてpH値を中性状態に自己調整することができるため、処理過程においてアルカリを追加してpHを調整する必要がない。また、汚泥を継続的に使用することができ、活性汚泥の体積が蓄積しない。
【0023】
いくつかの具体的な実施例によれば、ステップ(1)で使用される活性汚泥中の微生物は、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)35.90%±1%、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)23.83%±1%、及びデイノコックス綱(Deinococci)9.97%±1%を含む。
【0024】
いくつかの具体的な実施例によれば、ステップ(1)で使用される活性汚泥中の微生物は、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)21.59%±1%、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)12.68%±1%、ベータプロテオバクテリア(Betaproteobacteria)19.15%±1%、及びクロロビウム綱(Chlorobia)23.26%±1%を含む。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(1)で使用される前記活性汚泥中の微生物は、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)、及びデイノコックス綱(Deinococci)を含む。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(1)で使用される活性汚泥において、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)、及びデイノコックス綱(Deinococci)の合計量は、微生物全体の50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上を占める。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(1)で使用される活性汚泥中の微生物は、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)30~40%、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)20~25%、及びデイノコックス綱(Deinococci)8~12%を含む。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記活性汚泥中の微生物は、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)33~36%、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)22~24%、及びデイノコックス綱(Deinococci)9~10%を含む。
【0029】
本発明のいくつかの好ましい実施形態によれば、前記活性汚泥の馴化方法は、
都市下水処理用の活性汚泥を、CODcr値が3000~5000mg/Lであり、pH値が1~5である酸性廃水で8~10日間培養する、第1段階の馴化を含む。
【0030】
好ましくは、第1段階の馴化の培養温度はいずれも20~28℃であり、溶存酸素量が1~5mg/Lに制御される。
【0031】
本発明のいくつかのより好ましい実施形態によれば、前記活性汚泥の馴化方法は、COD値がそれぞれ6000~8000mg/L、9000~15000mg/L、16000~30000mg/Lの酸性有機廃水で第1段階の馴化後の活性汚泥を順に培養し、培養時間はいずれも1~3日である、第1段階の馴化後の第2段階の馴化をさらに含む。好ましくは、第2段階の馴化過程において、N及びP栄養物質を添加し、窒素源は尿素により提供され、リン源はリン酸水素二カリウムにより提供され、比率はCOD値:N:P=(95~102):(0.8~1.3):(0.7~1.2)であり、COD値は第2段階の馴化で使用される廃水のCOD値を示し、N及びPは元素質量で計算される。
【0032】
好ましくは、第2段階の馴化の培養温度はいずれも20~28℃であり、溶存酸素量が2~4mg/Lに制御される。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記活性汚泥の処理時間は5~96hであり、好ましくは5~48hである。いくつかの好ましい実施例によれば、前記活性汚泥の処理時間は2~6時間であり、例えば3~5時間である。
【0034】
本発明の活性汚泥を用いて酸性有機廃水を処理するために用いられることは以下の利点を有する。廃水負荷変動に対して強い適応性を有し、処理過程においてpH値を中性状態に自己調整することができるため、処理過程においてアルカリを追加してpHを調整する必要がない。また、馴化後の汚泥を継続的に使用することができ、活性汚泥の体積が蓄積しない。
【0035】
通常の活性汚泥、例えば都市下水処理用の活性汚泥は、廃水の酸性環境に適応することができないため、アルカリを追加してpHを中性に調整する必要があり、COD除去率が低い。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記微細藻類処理で使用される微細藻類は、クロレラ属である。好ましくは、使用前に光バイオ装置において微細藻類を馴化処理する。微細藻類の馴化処理の条件は、処理対象の酸性有機廃水で10~16日間培養すると同時に光照射を与えることが好ましく、光照射強度が3000~4100luxであることが好ましい。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記微細藻類の処理時間は5~240hであり、好ましくは12~36hである。いくつかの好ましい実施例によれば、前記微細藻類の処理時間は15~22時間であり、例えば18~20時間である。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記方法は、活性汚泥処理の前に酸性有機廃水に紫外線照射処理を行うことをさらに含む。好ましくは、前記紫外線照射処理の時間は4~500minであり、より好ましくは5~60minである。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記方法は、前記微細藻類の処理において、工業パージガス及び/又はバイオマスガス源中の二酸化炭素を微細藻類成長の炭素源として採用することをさらに含む。好ましくは、前記工業パージガスは煙道ガスである。前記煙道ガス中の二酸化炭素の含有量は8v%~15v%であってもよく、好ましくは10v%~12.5v%である。前記微細藻類の処理過程において、前記二酸化炭素の捕集率は90%以上になることができる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態によれば、微細藻類で処理された後、前記酸性有機廃水のCOD値は300mg/L未満である。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記方法は、微細藻類処理で使用された微細藻類を回収し、バイオマスエネルギーの材料として、分解によるバイオマス燃料ガスの製造に用いることをさらに含む。
【0042】
第2の態様において、本発明は、
都市下水処理用の活性汚泥をCOD値が3000~5000mg/Lであり、pH値が1~5である酸性廃水で8~10日間培養する第1段階の馴化を含む、活性汚泥の馴化方法をさらに提供する。
【0043】
好ましくは、第1段階の馴化の培養温度はいずれも20~28℃であり、溶存酸素量が2~4mg/Lに制御される。
【0044】
本発明のいくつかの好ましい実施形態によれば、前記馴化方法は、COD値がそれぞれ6000~8000mg/L、9000~15000mg/L、16000~30000mg/Lの酸性有機廃水で第1段階の馴化後の活性汚泥を順に培養し、培養時間はいずれも1~3日である、第1段階の馴化後の第2段階の馴化をさらに含む。好ましくは、第2段階の馴化過程において、N及びP栄養物質を添加し、窒素源は尿素により提供され、リン源はリン酸水素二カリウムにより提供され、比率はCOD:N:P=(95~102):(0.8~1.3):(0.7~1.2)であり、CODは第2段階の馴化で使用される廃水のCOD値を示し、N及びPは元素質量で計算される。
【0045】
好ましくは、第2段階の馴化の培養温度はいずれも20~28℃であり、溶存酸素量が2~4mg/Lに制御される。
【0046】
第3の態様において、本発明は、さらに、酸性有機廃水の処理に適用される活性汚泥を提供し、前記活性汚泥中の微生物は、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)、ベータプロテオバクテリア(Betaproteobacteria)、及びクロロビウム綱(Chlorobia)を含み、その合計量は微生物全体の50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上を占める。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記活性汚泥中の微生物は、15~25%のアルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)、10~15%のスフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)、15~25%のベータプロテオバクテリア(Betaproteobacteria)、及び20~25%のクロロビウム綱を含み、好ましくは、前記活性汚泥中の微生物は、20~22%のアルファプロテオバクテリア、11~13%のスフィンゴバクテリウム綱、18~21%のベータプロテオバクテリア、及び21~25%のクロロビウム綱を含む。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態によれば、活性汚泥中の微生物は、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)、ベータプロテオバクテリア(Betaproteobacteria)、及びクロロビウム綱(Chlorobia)を含み、その合計量は、微生物全体の50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上を占める。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態によれば、活性汚泥中の微生物は、15~25%のアルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)、10~15%のスフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)、15~25%のベータプロテオバクテリア(Betaproteobacteria)、及び20~25%のクロロビウム綱を含み、好ましくは、20~22%のアルファプロテオバクテリア、11~13%のスフィンゴバクテリウム綱、18~21%のベータプロテオバクテリア、及び21~25%のクロロビウム綱を含む。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記活性汚泥中の微生物は、含有量が微生物全体の10%以上、好ましくは15%以上、より好ましくは20~25%を占めるクロロビウム綱(Chlorobia)を含む。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記活性汚泥中の微生物は、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)、及びデイノコックス綱(Deinococci)を含む。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態によれば、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)、及びデイノコックス綱(Deinococci)の合計量は、微生物全体の50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上を占める。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記活性汚泥中の微生物は、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)30~40%、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)20~25%、及びデイノコックス綱(Deinococci)8~12%を含む。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記活性汚泥中の微生物は、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)33~36%、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)22~24%、及びデイノコックス綱(Deinococci)9~10%を含む。いくつかの具体的な実施例によれば、活性汚泥中の微生物は、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)35.90%±1%、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)23.83%±1%、及びデイノコックス綱(Deinococci)9.97%±1%を含む。
【0055】
いくつかの具体的な実施例によれば、活性汚泥中の微生物は、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)21.59%±1%、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)12.68%±1%、ベータプロテオバクテリア(Betaproteobacteria)19.15%±1%、及びクロロビウム綱(Chlorobia)23.26%±1%を含む。
【0056】
いくつかの好ましい実施例によれば、活性汚泥中の微生物の優勢な菌は、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)及びスフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)、ベータプロテオバクテリア(Betaproteobacteria)及びクロロビウム綱(Chlorobia)であり、比率は、それぞれ21~22%、12~13%、19~20%及び23~24%である。より具体的には、いくつかの実施例では、活性汚泥中の微生物の優勢な菌は、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)及びスフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)、ベータプロテオバクテリア(Betaproteobacteria)及びクロロビウム綱(Chlorobia)であり、その比率はそれぞれ21.59%、12.68%、19.15%及び23.26%である。
【0057】
上記実施形態において、前記活性汚泥は以下の利点を有する。酸性有機廃水の廃水負荷変動に対して強い適応性を有し、活性汚泥体積が蓄積せず、処理過程においてpH値を中性状態に自己調整することができる。
【0058】
第4の態様において、本発明は、さらに、有機廃水、特に酸性有機廃水の処理における本発明の第2の態様及び/又は第3の態様に記載の活性汚泥の応用を提供する。いくつかの実施例において、前記酸性有機廃水はテレフタル酸廃水である。いくつかの実施例において、前記酸性有機廃水のpH値は1~5である。
【0059】
本願において、用語「テレフタル酸廃水」はテレフタル酸の製造過程において排出された廃水を意味し、主な汚染物はテレフタル酸、酢酸及び安息香酸等である。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、本発明が提供する酸性有機廃水の処理及び資源化利用方法は、酸性有機廃水処理及び煙道ガス二酸化炭素による微細藻類の培養技術により、煙道ガス中のCO2及び廃熱を利用してPTA廃水を処理し、同時に、微細藻類バイオマスガス化を行い、廃棄物で廃棄物を製造する煙道ガス二酸化炭素の工業利用技術を開発し、廃水を浄化すると同時に物質エネルギーを副生し、「廃棄物で廃棄物を製造すること」及び「廃棄物を宝に変えること」を実現し、現在の環境にやさしい化学工業及び循環経済の主題に合致し、巨大な経済的価値及び社会的意義を有する。なお、本発明の方法は、従来の開放型微細藻類培養系において液体層が薄いことによるCO2の利用率が低いという問題を解決し、微細藻類培養過程における微細藻類の油脂蓄積能力を向上させ、CO2の利用率を向上させ、培養装置を簡略化する。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明の技術的解決手段をより理解しやすくするために、以下に実施例を参照して本発明を詳細に説明する。これらの実施例は例示的な作用のみを果たし、本発明の応用範囲に限定されるものではない。
【0062】
一、活性汚泥
1、微生物の馴化過程
都市下水工場からの活性汚泥を取り、実験室で好気反応装置に置いて馴化処理し、馴化過程全体は2段階に分けられる。第1段階(予備馴化)において、希釈されたテレフタル酸廃水(COD濃度が3000~5000mg/Lであり、pH値が4である)で活性汚泥を8~10日間培養し、一次馴化活性汚泥が得られる。第2段階(高度馴化)において、希釈されたテレフタル酸廃水で一次馴化活性汚泥をさらに6~9日間培養する。ここで、1~3日目にCODが6000~8000mg/Lの希釈テレフタル酸廃水で培養する。4~6日目にCODが9000~15000mg/Lの希釈テレフタル酸廃水で培養する。7~9日目にCODが16000~30000mg/Lの希釈テレフタル酸廃水で培養する。高度馴化過程において、N及びP栄養物質を添加し、窒素源は尿素により提供され、リン源はリン酸水素二カリウムにより提供され、比率はCOD:N:P=95~102:0.8~1.3:0.7~1.2である。第1と第2段階の馴化の培養温度はいずれも20~28℃であり、溶存酸素量が2~4mg/Lに制御される。
【0063】
2、微生物コロニーの構造解析及び特徴づけ
活性汚泥における各微生物の種類及び含有量を測定する。活性汚泥サンプルを収集し、DNA抽出及びPCR増幅を行い、Illumina Miseq配列決定を行い、配列決定結果を得て、種類及び含有量(存在度)を分析し決定する。
【0064】
馴化前の活性汚泥中の微生物は、主に、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia、22.83%)、ベータプロテオバクテリア(Betaproteobacteria、22.62%)、ガンマプロテオバクテリア(Gammaproteobacteria、17.76%)、及びクロストリジウム(Clostridia、11.57%)である。
【0065】
予備馴化後の活性汚泥中の微生物は、主に、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria、35.90%)、スフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia、23.83%)、及びデイノコックス綱(Deinococci、9.97%)を主とする。その結果は、主要なコロニー構造が大きく変化したことを示している。
【0066】
高度馴化後に、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)及びスフィンゴバクテリウム綱(Sphingobacteriia)は、依然として優勢な菌綱であるが、占める割合は予備馴化時の35.90%及び23.83%からそれぞれ21.59%及び12.68%に低下する。また、ベータプロテオバクテリア(Betaproteobacteria)及びクロロビウム綱(Chlorobia)は明らかに増加し、8.12%及び0.35%から19.15%及び23.26%に増加する。
【0067】
活性汚泥の見かけ収率Yobs値(Yobs=汚泥成長量/COD消費量(mgMLSS/mgCOD)を検出する。馴化の第1段階においてYobs値は0.02~0.05gMLSS/gCODであり、馴化の第2段階においてYobs値は0.04~0.06gMLSS/gCODである。これは、予備馴化と高度馴化を経た後、活性汚泥中の微生物の群落構造が最適化され、適応成長と内因性消費の動的バランスを達成したため、活性汚泥が蓄積しないことを示す。
【0068】
また、馴化後の活性汚泥は、酸性廃水処理後にpHを上昇させることができ、これは本発明の馴化後の活性汚泥の特性である。
【0069】
要するに、本発明の馴化された活性汚泥は、PTA廃水負荷変動に対して強い適応性を有し、活性汚泥体積が蓄積せず、処理過程においてpH値を中性状態に自己調整することができる。
【0070】
二、微細藻類
微細藻類は淡水中の一般的な種類のクロレラ属(Chlorella)藻種を採用し、実験室で光バイオ装置に置いて馴化処理し、処理対象の廃水(テレフタル酸廃水)で10~16日間培養し、培養温度が20~28℃であり、同時に毎日一定の光照射を与え、光照射強度が3000~4100luxである。
【0071】
実施例1
PTA廃水を含有する汚水源の毎日の排出量は4トンであり、PTA廃水のCODcr含有量は20000mg/Lであり、水温は40℃であり、廃水のpH値は4である。本発明が提供する方法を採用して処理し、まず波長が365nmの紫外線を採用して紫外線照射処理を行い、PTA分子を分解させ、次に活性汚泥(上記の高度馴化後の活性汚泥を採用する)による前処理を行い、活性汚泥で処理された後の廃水のpH値が5.8であり、CODcr含有量が1809mg/Lである。その後に水サンプルを微細藻類池に入れて微細藻類(クロレラ属)による処理を行い、同時に二酸化炭素含有量が12v%の煙道ガスを導入して微細藻類の生産に二酸化炭素を供給し、合計で24h処理した後(ここで紫外線照射処理が10minであり、活性汚泥処理が8hであり、微細藻類処理が15.83hである)、PTA廃水のCODcr含有量が128mg/Lであり、煙道ガス中の二酸化炭素の捕集率が91%に達する。反応器中の微細藻類を定期的に置換し、分解による燃料ガスの製造に用いる。
【0072】
比較例1
PTAを含有する廃水及び煙道ガスの条件は実施例1と同じであり、相違点は、従来の活性汚泥法で処理することである。ここで、上記都市下水工場からの活性汚泥を処理対象の廃水と十分に混合した後、曝気する。廃水のpH値が4であるため、汚泥中の活性成分が生存しにくく、従来の方法ではPTA含有廃水を処理することができず、中和及び希釈された後に処理するしかできず、処理周期が48hであり、処理された後の廃水のCODcr含有量が1000mg/Lである。
【0073】
実施例2
PTA廃水を含有する汚水源の毎日の排出量は40トンであり、PTA廃水のCODcr含有量は15000mg/Lであり、水温は40℃であり、廃水のpH値は4.4である。本発明が提供する方法を採用して処理し、まず波長が365nmの紫外線を採用して紫外線照射処理を行い、PTA分子を分解させ、次に活性汚泥による前処理を行い、その後に水サンプルを微細藻類池に入れて微細藻類による処理を行い、同時に二酸化炭素含有量が8v%の煙道ガスを導入して微細藻類の生産に二酸化炭素を供給し、合計で20h処理した後(ここで紫外線照射処理が15minであり、活性汚泥処理が6.75hであり、微細藻類処理が13hである)、PTA廃水のCODcr含有量が107mg/Lであり、煙道ガス中の二酸化炭素の捕集率が90.8%に達する。反応器中の微細藻類を定期的に置換し、分解による燃料ガスの製造に用いられる。
【0074】
比較例2
PTAを含有する廃水及び煙道ガスの条件は実施例2と同じであり、相違点は、従来の活性汚泥法で処理することである。ここで、上記都市下水工場からの活性汚泥を処理対象の廃水と十分に混合した後、曝気する。廃水のpH値が4.4であるため、汚泥中の活性成分が生存しにくく、従来の方法ではPTA含有廃水を処理することができず、中和及び希釈された後に処理するしかできず、処理周期が48hであり、処理された後の廃水のCODcr含有量が1000mg/Lである。
【0075】
実施例3
PTA廃水を含有する汚水源の毎日の排出量は10トンであり、PTA廃水のCODcr含有量は30000mg/Lであり、水温は45℃であり、廃水のpH値は3.8である。本発明が提供する方法を採用して処理し、まず波長が365nmの紫外線を採用して紫外線照射処理を行い、PTA分子を分解させ、次に活性汚泥による前処理を行い、活性汚泥で処理された後の廃水のpH値が6.1であり、CODcr含有量が2910mg/Lである。その後に水サンプルを微細藻類池に入れて微細藻類による処理を行い、同時に二酸化炭素含有量が15v%の煙道ガスを導入して微細藻類の生産に二酸化炭素を供給し、合計で28h処理した後(ここで紫外線照射処理が6minであり、活性汚泥処理が13hであり、微細藻類処理が14.9hである)、PTA廃水のCODcr含有量が159mg/Lであり、煙道ガス中の二酸化炭素の捕集率が91.5%に達する。反応器中の微細藻類を定期的に置換し、分解による燃料ガスの製造に用いる。
【0076】
比較例3
PTAを含有する廃水及び煙道ガスの条件は実施例3と同じであり、相違点は、従来の活性汚泥法で処理することである。ここで、上記都市下水工場からの活性汚泥を処理対象の廃水と十分に混合した後、曝気する。廃水のpH値が3.8であるため、汚泥中の活性成分が生存しにくく、従来の方法ではPTA含有廃水を処理することができず、中和及び希釈された後に処理するしかできず、処理周期が60hであり、処理された後の廃水のCODcr含有量が1200mg/Lである。
【0077】
実施例4
PTA廃水を含有する汚水源の毎日の排出量は1トンであり、PTA廃水のCODcr含有量は10000mg/Lであり、水温は35℃であり、廃水のpH値は4.8である。本発明が提供する方法を採用して処理し、まず波長が365nmの紫外線を採用して紫外線照射処理を行い、PTA分子を分解させ、次に活性汚泥による前処理を行い、活性汚泥で処理された後の廃水のpH値が5.98であり、CODcr含有量が1851mg/Lである。その後に水サンプルを微細藻類池に入れて微細藻類による処理を行い、同時に二酸化炭素含有量が12v%の煙道ガスを導入して微細藻類の生産に二酸化炭素を供給し、合計22h処理した後(ここで紫外線照射処理が4minであり、活性汚泥処理が9hであり、微細藻類処理が12.93hである)、PTA廃水のCODcr含有量が89mg/Lであり、煙道ガス中の二酸化炭素の捕集率が93.5%に達する。反応器中の微細藻類を定期的に置換し、分解による燃料ガスの製造に用いる。
【0078】
比較例4
PTAを含有する廃水及び煙道ガスの条件は実施例4と同じであり、相違点は、従来の活性汚泥法で処理することである。ここで、上記都市下水工場からの活性汚泥を処理対象の廃水と十分に混合した後、曝気する。廃水のpH値が4.8であるため、汚泥中の活性成分が生存しにくく、従来の方法ではPTA含有廃水を処理することができず、中和及び希釈された後に処理するしかできず、処理周期が40hであり、処理された後の廃水のCODcr含有量が700mg/Lである。
【0079】
実施例5
PTA廃水を含有する汚水源の毎日の排出量は80トンであり、PTA廃水のCODcr含有量は17000mg/Lであり、水温は45℃であり、廃水のpH値は4.5である。本発明が提供する方法を採用して処理し、まず波長が365nmの紫外線を採用して紫外線照射処理を行い、PTA分子を分解させ、次に活性汚泥による前処理を行い、活性汚泥で処理された後の廃水のpH値が6.02であり、CODcr含有量が2080mg/Lである。その後に水サンプルを微細藻類池に入れて微細藻類による処理を行い、同時に二酸化炭素含有量が10v%の煙道ガスを導入して微細藻類の生産に二酸化炭素を供給し、合計28h処理した後(ここで紫外線照射処理が40minであり、活性汚泥処理が10hであり、微細藻類処理が17.33hである)、PTA廃水のCODcr含有量が129mg/Lであり、煙道ガス中の二酸化炭素の捕集率が90.5%に達する。反応器中の微細藻類を定期的に置換し、分解による燃料ガスの製造に用いる。
【0080】
比較例5
PTAを含有する廃水及び煙道ガスの条件は実施例5と同じであり、相違点は、従来の活性汚泥法で処理することである。ここで、上記都市下水工場からの活性汚泥を処理対象の廃水と十分に混合した後、曝気する。廃水のpH値が4.5であるため、汚泥中の活性成分が生存しにくく、従来の方法ではPTA含有廃水を処理することができず、中和及び希釈された後に処理するしかできず、処理周期が36hであり、処理された後の廃水のCODcr含有量が1300mg/Lである。
【0081】
実施例6
PTA廃水を含有する汚水源の毎日の排出量は30トンであり、PTA廃水のCODcr含有量は23000mg/Lであり、水温は40℃であり、廃水のpH値は4.2である。本発明が提供する方法を採用して処理し、まず波長が365nmの紫外線を採用して紫外線照射処理を行い、PTA分子を分解させ、次に活性汚泥による前処理を行い、活性汚泥で処理された後の廃水のpH値が5.95であり、CODcr含有量が4810mg/Lである。その後に水サンプルを微細藻類池に入れて微細藻類による処理を行い、同時に二酸化炭素含有量が12.5v%の煙道ガスを導入して微細藻類の生産に二酸化炭素を供給し、合計30h処理した後(ここで紫外線照射処理が12minであり、活性汚泥処理が10hであり、微細藻類処理が19.8hである)、PTA廃水のCODcr含有量が179mg/Lであり、煙道ガス中の二酸化炭素の捕集率が91.3%に達する。反応器中の微細藻類を定期的に置換し、分解による燃料ガスの製造に用いる。
【0082】
比較例6
PTAを含有する廃水及び煙道ガスの条件は実施例6と同じであり、相違点は、従来の活性汚泥法で処理することである。ここで、上記都市下水工場からの活性汚泥を処理対象の廃水と十分に混合した後、曝気する。廃水のpH値が4.2であるため、汚泥中の活性成分が生存しにくく、従来の方法ではPTA含有廃水を処理することができず、中和及び希釈された後に処理するしかできず、処理周期が42hであり、処理された後の廃水のCODcr含有量が1500mg/Lである。
【0083】
実施例7
PTA廃水を含有する汚水源の毎日の排出量は15トンであり、PTA廃水のCODcr含有量は29000mg/Lであり、水温は40℃であり、廃水のpH値は3.9である。本発明が提供する方法を採用して処理し、まず波長が365nmの紫外線を採用して紫外線照射処理を行い、PTA分子を分解させ、次に活性汚泥による前処理を行い、活性汚泥で処理された後の廃水のpH値が5.89であり、CODcr含有量が3284mg/Lである。その後に水サンプルを微細藻類池に入れて微細藻類による処理を行い、同時に二酸化炭素含有量が12v%の煙道ガスを導入して微細藻類の生産に二酸化炭素を供給し、合計30h処理した後(ここで紫外線照射処理が10minであり、活性汚泥処理が8hであり、微細藻類処理が21.83hである)、PTA廃水のCODcr含有量が209mg/Lであり、煙道ガス中の二酸化炭素の捕集率が90.3%に達する。反応器中の微細藻類を定期的に置換し、分解による燃料ガスの製造に用いる。
【0084】
比較例7
PTAを含有する廃水及び煙道ガスの条件は実施例7と同じであり、相違点は、従来の活性汚泥法で処理することである。ここで、上記都市下水工場からの活性汚泥を処理対象の廃水と十分に混合した後、曝気する。廃水のpH値が3.9であるため、汚泥中の活性成分が生存しにくく、従来の方法ではPTA含有廃水を処理することができず、中和及び希釈された後に処理するしかできず、処理周期が45hであり、処理された後の廃水のCODcr含有量が1700mg/Lである。
【0085】
実施例8
実施例1で使用される廃水及び処理ステップと基本的に同じであり、相違点は、活性汚泥の前処理ステップで使用されるのは馴化されていない活性汚泥であり、すなわち、上記都市下水工場からの活性汚泥であることのみである。
処理された後のPTA廃水のCODcr含有量は11000mg/Lであり、煙道ガス中の二酸化炭素の捕集率は5%に達する。反応器中の微細藻類を定期的に置換し、分解による燃料ガスの製造に用いる。
【0086】
実施例9
実施例1で使用される廃水及び処理ステップと基本的に同じであり、相違点は、活性汚泥の前処理ステップで使用されるのは上記の一次馴化された活性汚泥であることである。
処理された後のPTA廃水のCODcr含有量は450mg/Lであり、煙道ガス中の二酸化炭素の捕集率は71%に達する。反応器中の微細藻類を定期的に置換し、分解による燃料ガスの製造に用いる。
【0087】
実施例10
実施例1で使用される廃水と同じであり、処理ステップの相違点は波長が365nmの紫外線で廃水に紫外線照射処理を行わないことである。すなわち、廃水は活性汚泥(8時間)と微細藻類(16時間)の2段階で処理される。処理された後のPTA廃水のCODcr含有量は780mg/Lであり、煙道ガス中の二酸化炭素の捕集率は85%に達する。反応器中の微細藻類を定期的に置換し、分解による燃料ガスの製造に用いられる。
【0088】
実施例11
実施例1で使用される廃水と同じであり、処理ステップの相違点は微細藻類処理を採用しないことのみである。すなわち、廃水に対して紫外線照射及び活性汚泥処理を行い、ここで紫外線照射処理が10minであり、活性汚泥処理が23時間50分間である。
処理された後のPTA廃水のCODcr含有量は124mg/Lであり、煙道ガス中の二酸化炭素の捕集率は0%である。
【0089】
実施例12
実施例1で使用される廃水と同じであり、処理ステップの相違点は、微細藻類処理ステップにおいて使用される微細藻類の種類が異なり、本実施例において微細藻類がミクロキスティス属(Microcystis)であることである。
処理された後のPTA廃水のCODcr含有量は205mg/Lであり、煙道ガス中の二酸化炭素の捕集率は70%に達する。反応器中の微細藻類を定期的に置換し、分解による燃料ガスの製造に用いる。
【0090】
実施例13
実施例1との相違点は、紫外線照射時間が80分間に延長され、活性汚泥の処理時間が8時間であり、微細藻類の処理時間が15.5時間であることである。
処理された後のPTA廃水のCODcr含有量は135mg/Lであり、煙道ガス中の二酸化炭素の捕集率は91.2%に達する。反応器中の微細藻類を定期的に置換し、分解による燃料ガスの製造に用いる。
【0091】
実施例14
実施例1との相違点は、紫外線照射時間が10分間であり、活性汚泥の処理時間が4時間であり、微細藻類の処理時間が19時間50分であることである。
処理された後のPTA廃水のCODcr含有量は92mg/Lであり、煙道ガス中の二酸化炭素の捕集率は95.4%に達する。反応器中の微細藻類を定期的に置換し、分解による燃料ガスの製造に用いる。
【0092】
実施例15
実施例1との相違点は、紫外線照射時間が10分間であり、活性汚泥の処理時間が11時間55分であり、微細藻類の処理時間が11時間55分であることである。
処理された後のPTA廃水のCODcr含有量は112mg/Lであり、煙道ガス中の二酸化炭素の捕集率は93.2%に達する。反応器中の微細藻類を定期的に置換し、分解による燃料ガスの製造に用いる。