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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】サーバ、無線装置及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 64/00 20090101AFI20240405BHJP
【FI】
H04W64/00 110
H04W64/00 173
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021552567
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(86)【国際出願番号】 JP2020019825
(87)【国際公開番号】W WO2021234826
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-03-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】飯田 基貴
(72)【発明者】
【氏名】野町 真規
(72)【発明者】
【氏名】小野 敦久
(72)【発明者】
【氏名】近藤 充弘
(72)【発明者】
【氏名】野口 和人
(72)【発明者】
【氏名】福元 志郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 達朗
【審査官】齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-500678(JP,A)
【文献】特表2010-529750(JP,A)
【文献】特表2019-536024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と端末との無線通信を仲介するスモールセル基地局である無線装置の位置を推定するサーバであって、
記無線装置で受信される2つの下り参照信号の受信時刻の差を示す第1の測定情報に基づいて前記無線装置が位置しうると推定される第1の位置候補情報を推定し、又は前記無線装置から送信された2つの上り参照信号の受信時刻と基準時刻との差を示す第2の測定情報に基づいて前記無線装置が位置しうると推定される第2の位置候補情報を推定する位置推定部を備え、
前記位置推定部は、前記第1の位置候補情報又は前記第2の位置候補情報では前記無線装置の位置を特定することができない場合に、さらに前記端末と前記無線装置との間の距離を示す第3の位置候補情報を推定し、前記第3の位置候補情報と前記第1の位置候補情報又は前記第2の位置候補情報とに基づいて、前記無線装置の位置を特定する、
サーバ。
【請求項2】
前記第3の位置候補情報は、前記端末から送信される上り参照信号又は前記端末で受信される下り参照信号を用いて前記無線装置で測定される、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
以下のいずれか一つ以上を検出した場合に、前記無線装置が移動したものとして、前記無線装置の位置を推定する、請求項1又は2に規定のサーバ。
1)GPS信号に基づいて測定された前記無線装置の位置が現在特定されている前記無線装置の位置と相違すること;
2)前記無線装置の周辺のセル状況が変動したこと;
3)前記無線装置に記憶される周辺のセルの登録状況が変動したこと;
4)前記無線装置に割り当てられたIPアドレスが変動したこと;
5)前記無線装置に備えられたセンサが移動を検出したこと;及び
6)前記無線装置の電源の状態又は稼働状況が変動したこと。
【請求項4】
サーバによる位置推定の対象となる無線装置であって、基地局と端末との無線通信を仲介するスモールセル基地局である無線装置において、
2つの下り参照信号を受信して当該2つの下り参照信号の受信時刻の差に関する第1の測定情報をサーバに送信して前記サーバにおいて前記無線装置の第1の位置候補情報を推定させ、又は、2つの上り参照信号をサーバに送信して前記サーバにおいて受信時刻と基準時刻との差に関する第2の測定情報を測定して前記無線装置の第2の位置候補情報を推定させる第1の通信部と、
記端末と前記無線装置との間の距離を示す第3の位置候補情報を取得し、当該第3の位置候補情報を前記サーバに送信する第2の通信部と、
を備え、
前記第1の位置候補情報又は前記第2の位置候補情報では前記無線装置の位置を特定することができない場合に、前記第3の位置候補情報と前記第1位置候補情報又は前記第2の位置候補情報とに基づいて、前記無線装置の位置が特定される、
無線装置。
【請求項5】
前記第3の位置候補情報は、前記端末から送信される上り参照信号又は前記端末で受信される下り参照信号を用いて取得される、
請求項に記載の無線装置。
【請求項6】
基地局と端末との無線通信を仲介するスモールセル基地局である無線装置の位置を推定する無線通信方法であって、
2つの下り参照信号の受信時刻の差を示す第1の測定情報に基づいて前記無線装置が位置しうると推定される第1の位置候補情報を推定し、又は、2つの上り参照信号の受信時刻と基準時刻との差を示す第2の測定情報に基づいて前記無線装置が位置しうると推定される第2の位置候補情報を推定するステップと、
記端末と前記無線装置との間の距離を示す第3の位置候補情報を推定するステップと、
前記第1の位置候補情報又は前記第2の位置候補情報では前記無線装置の位置を特定することができない場合に、前記第3の位置候補情報と前記第1の位置候補情報又は前記第2の位置候補情報とに基づいて、前記無線装置の位置を特定するステップと、
を有する無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ、無線装置及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際標準化団体である3GPP(Third Generation Partnership Project)では、第4世代(Fourth Generation:4G)無線アクセス技術(Radio Access Technology:RAT)としてLTE-Advancedが策定されている(例えば、非特許文献1)。近年では、LTE-Advancedに準拠した無線通信ネットワークの運用も進められている。
【0003】
このような無線通信ネットワークの一つとして、例えば、半径数百メートルから数十キロメートルのカバレッジを有するセル(以下、マクロセルともいう)と、マクロセルよりも小さいカバレッジを有する一以上のセル(以下、スモールセルともいう)とを用いた構成がある。このように、カバレッジが異なる複数のセルを連携させた構成は、ヘテロジニアスネットワーク(Heterogeneous Network:HetNet)とも呼ばれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】3GPP TS 36.300 V10.12.0 (2015-01)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セル(例えば、スモールセル)を形成する無線装置は、近年小型化されており、設置、取り外し、持ち運び等が容易となっている。このような無線装置の位置を示す位置情報は、現状、当該無線装置の設置場所において人(例えば、通信事業者や工事事業者等)によって測定され、サーバに登録される。このため、当該位置情報が誤って登録される恐れがある。また、位置情報が示す位置とは異なる位置に、ユーザ等によって無線装置が移動される恐れもある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、無線装置の位置を適切に管理可能とするサーバ、無線装置及び無線通信方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の側面に係るサーバは、基地局と端末との無線通信を仲介するスモールセル基地局である無線装置の位置を推定するサーバであって、記無線装置で受信される2つの下り参照信号の受信時刻の差を示す第1の測定情報に基づいて前記無線装置が位置しうると推定される第1の位置候補情報を推定し、又は前記無線装置から送信された2つの上り参照信号の受信時刻と基準時刻との差を示す第2の測定情報に基づいて前記無線装置が位置しうると推定される第2の位置候補情報を推定する位置推定部を備え、前記位置推定部は、前記第1の位置候補情報又は前記第2の位置候補情報では前記無線装置の位置を特定することができない場合に、さらに前記端末と前記無線装置との間の距離を示す第3の位置候補情報を推定し、前記第3の位置候補情報と前記第1の位置候補情報又は前記第2の位置候補情報とに基づいて、前記無線装置の位置を特定する。
【0008】
本発明の他の側面に係る無線装置は、サーバによる位置推定の対象となる無線装置であって、基地局と端末との無線通信を仲介するスモールセル基地局である無線装置において、2つの下り参照信号を受信して当該2つの下り参照信号の受信時刻の差に関する第1の測定情報をサーバに送信して前記サーバにおいて前記無線装置の第1の位置候補情報を推定させ、又は、2つの上り参照信号をサーバに送信して前記サーバにおいて受信時刻と基準時刻との差に関する第2の測定情報を測定して前記無線装置の第2の位置候補情報を推定させる第1の通信部と、前記端末と前記無線装置との間の距離を示す第3の位置候補情報を取得し、当該第3の位置候補情報を前記サーバに送信する第2の通信部と、を備え、前記第1の位置候補情報又は前記第2の位置候補情報では前記無線装置の位置を特定することができない場合に、前記第3の位置候補情報と前記第1位置候補情報又は前記第2の位置候補情報とに基づいて、前記無線装置の位置が特定される。
【0009】
基地局と端末との無線通信を仲介するスモールセル基地局である無線装置の位置を推定する無線通信方法であって、2つの下り参照信号の受信時刻の差を示す第1の測定情報に基づいて前記無線装置が位置しうると推定される第1の位置候補情報を推定し、又は、2つの上り参照信号の受信時刻と基準時刻との差を示す第2の測定情報に基づいて前記無線装置が位置しうると推定される第2の位置候補情報を推定するステップと、前記端末と前記無線装置との間の距離を示す第3の位置候補情報を推定するステップと、前記第1の位置候補情報又は前記第2の位置候補情報では前記無線装置の位置を特定することができない場合に、前記第3の位置候補情報と前記第1の位置候補情報又は前記第2の位置候補情報とに基づいて、前記無線装置の位置を特定するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、無線装置の位置を適切に管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る無線通信システムの概要を示す図である。
図2】本実施形態に係る下りベースの位置推定の一例を示す図である。
図3】本実施形態に係る上りベースの位置推定の一例を示す図である。
図4】本実施形態に係るスモールセル基地局の機能関係の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る下りベースの位置推定の補完の一例を示す図である。
図6】本実施形態に係る上りベースの位置推定の補完の一例を示す図である。
図7】本実施形態に係る無線通信システム内の各装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図8】本実施形態に係るスモールセル基地局の機能ブロック構成の一例を示す図である。
図9】本実施形態に係るマクロセル基地局の機能ブロック構成の一例を示す図である。
図10】本実施形態に係るロケーションサーバの機能ブロック構成の一例を示す図である。
図11】本実施形態に係る下りベースの位置推定の補完動作の一例を示す図である。
図12】本実施形態に係る上りベースの位置推定の補完動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有してもよい。
【0013】
(無線通信システムの概要)
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの概要を示す図である。図1に示すように、無線通信システム1は、スモールセル基地局10A及び10Bと、マクロセル基地局20A~20Cと、コアネットワーク30と、ロケーションサーバ40と、端末50A及び50Bと、を含んでもよい。
【0014】
スモールセル基地局10A及び10Bは、セル(例えば、スモールセル)を形成する無線装置である。スモールセルは、マクロセルよりも小さいカバレッジを有するセルである。スモールセルは、例えば、ピコセル、フェムトセル、リレーセル等と呼ばれてもよい。また、スモールセル基地局10A及び10Bは、マクロセル基地局20A~20Cと比べて低電力であるため、低電力ノード(low-power node)と呼ばれてもよい。
【0015】
例えば、スモールセル基地局10Aは、マクロセル基地局20Aと端末50Aとの間の中継装置である。当該中継装置は、relay node(RN)、UE-Relay等とも呼ばれる。スモールセル基地局10Aは、アクセスリンクL1を介して端末50Aと通信し、バックホールリンクL2を介してマクロセル基地局20Aと通信する。スモールセル基地局10Aは、マクロセル基地局20Aを介してコアネットワーク30に接続される。図1に示すように、アクセスリンクL1及びバックホールリンクL2は、無線リンクであってもよい。
【0016】
当該スモールセル基地局10Aは、レイヤ2以下の処理(例えば、Radio Link Control(RLC)レイヤ、Medium Access Control(MAC)レイヤ、Physical(PHY)レイヤ等の処理)を行うRN(レイヤ2RN)であってもよいし、レイヤ3以下の処理(例えば、Radio Resource Control(RRC)レイヤ、RLCレイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤ等の処理)を行うRN(レイヤ3RN)であってもよいし、単なるリピータであってもよい。
【0017】
レイヤ2RN及びレイヤ3RNは、マクロセル基地局20Aから受信した下り信号(downlink signal)又は端末50Aから受信した上り信号(uplink signal)に対してそれぞれ復調、復号及び誤り訂正等を行ってもよい。レイヤ2RN及びレイヤ3RNは、当該下り信号又は上り信号を再度符号化(coding)及び変調して、端末50Aに送信又はマクロセル基地局20Aに送信してもよい。
【0018】
一方、スモールセル基地局10Bは、基地局の一種であり、例えば、eNodeB(eNB)、pico eNB、Home eNB(HeNB)、gNodeB(gNB)、Distributed Unit(DU)、gNB-DU、Remote Radio Head(RRH)、Integrated Access and Backhaul/Backhauling(IAB)ノード等とも呼ばれる。スモールセル基地局10Bは、アクセスリンクL1を介して端末50Bと通信する。スモールセル基地局10Bは、バックホールリンクL2を介してマクロセル基地局20Bに接続されてもよい。バックホールリンクL2は、例えば、光回線等の有線バックホールであってもよいし、IABバックホール等の無線バックホールであってもよい。
【0019】
当該スモールセル基地局10Bは、マクロセル基地局20Bとのキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation:CA)又はデュアルコネクティビティ(Dual Connectivity:DC)により、端末50Bと通信を行ってもよい。なお、図示しないが、スモールセル基地局10Bは、マクロセル基地局20Bを介さずに、コアネットワーク30に接続されてもよい。
【0020】
マクロセル基地局20A~20Cは、マクロセルを形成する基地局である。マクロセルは、半径数百メートルから数十キロメートルのカバレッジを有するセルである。マクロセル基地局20A及び/又は20Bは、例えば、eNB、gNB、Donor eNodeB(DeNB)、Donor eNodeB(DeNB)、Master Node、Donor node等とも呼ばれる。
【0021】
コアネットワーク30には、ロケーションサーバ40、端末50の移動(mobility)管理を行う装置(例えば、移動管理装置(Mobility Management Entity:MME)、アクセス移動管理装置(Access and Mobility Management Function:AMF)等)が設けられる。
【0022】
ロケーションサーバ40は、スモールセル基地局10A及び10Bの位置を推定するサーバである。ここで、当該位置は、2次元又は3次元の座標系の点であり、座標軸の値によって特定されてもよい。ロケーションサーバ40は、例えば、Evolved Serving Mobile Location Center(E-SMLC)等と呼ばれてもよい。また、ロケーションサーバ40は、マクロセル基地局20~20C、端末50A及び50Bの少なくとも一つの位置を推定してもよい。
【0023】
端末50A及び50Bは、例えば、スマートフォンや、パーソナルコンピュータ、車載端末、車載装置、静止装置等、所定の端末又は装置である。端末50A及び50Bは、User Equipment(UE)等と呼ばれてもよい。端末50A及び50Bは、移動型であってもよいし、固定型であってもよい。端末50A及び50Bは、例えば、LTE、LTE-Advanced及びNew Radio(NR)等の少なくとも一つの通信方式をサポートしてもよい。
【0024】
以下、スモールセル基地局10A及び10B、マクロセル基地局20A~20C、端末50A及び50Bをそれぞれ区別しない場合は、スモールセル基地局10、マクロセル基地局20、端末50と総称する。なお、図1は、例示にすぎず、無線通信システム1に含まれるスモールセル基地局10、マクロセル基地局20、端末50の数、構成等は図示するものに限られない。
【0025】
次に、以上のような無線通信システム1におけるスモールセル基地局10の位置推定について説明する。スモールセル基地局10の位置推定は、スモールセル基地局10によって受信又は送信される参照信号(Reference signal:RS)を用いて測定される情報(以下、測定情報という)に基づいて行われてもよい。当該RSは、下りRS(例えば、ポジショニング参照信号(Positioning reference signal:PRS))であってもよいし、又は、上りRS(例えば、サウンディング参照信号(Sounding Reference Signal:SRS))であってもよい。なお、位置推定は、ポジショニング(positioning)と言い換えられてもよい。
【0026】
<下りベースの位置推定>
下りベースの位置推定(downlink based location estimation)では、スモールセル基地局10で受信される下りRSを用いて測定される測定情報に基づいて、当該スモールセル基地局10の位置が推定される。当該測定情報は、例えば、基準基地局(reference base station)からの下りRSと他の基地局(マクロセル基地局20又は他のスモールセル基地局10)からの下りRSとの時間差を示す情報(Reference Signal Time Difference(RSTD)とも呼ばれる)であってもよい。下りベースの位置推定は、Observed Time Difference Of Arrival(OTDOA)、測定時間差に基づく位置推定、下りベースのポジショニング(Downlink based positioning)等とも呼ばれる。
【0027】
図2は、本実施形態に係る下りベースの位置推定の一例を示す図である。例えば、図2では、マクロセル基地局20A~20Cからの下りRSに基づいて測定される測定情報に基づいて、スモールセル基地局10の位置が推定される。なお、図2では、マクロセル基地局20Aが、基準基地局として選択されるものとする。また、以下では、下りRSを用いて測定された測定情報の一例としてRSTDを説明するが、上記測定情報はこれに限られない。
【0028】
図2に示すように、スモールセル基地局10は、マクロセル基地局20Cからの下りRSの受信に関する時間(time)TCとマクロセル基地局20Aからの下りRSの受信に関する時間TAとの時間差であるRSTDCAと、マクロセル基地局20Bからの下りRSの受信に関する時間TBとマクロセル基地局20Aからの下りRSの受信に関する時間TAとの時間差であるRSTDBAとを測定する。スモールセル基地局10は、測定されたRSTDCA及びRSTDBAをロケーションサーバ40に送信する。
【0029】
ロケーションサーバ40は、RSTDCA及びRSTDBAに基づいて、スモールセル基地局10の位置を推定する。ロケーションサーバ40は、図2に示すように、既知のマクロセル基地局20A及び20Cの位置からRSTDCAが一致する関係にある点集合である双曲線DCAを求める。同様に、ロケーションサーバ40は、既知のマクロセル基地局20A及び20Bの位置からRSTDBAが一致する関係にある点集合である双曲線DBAを求める。RSTDCA及びRSTDBAの測定の誤差(error)がないとすると、双曲線DCA及びDBAの交点をスモールセル基地局10の位置として一意に決定できる。ただし、実際には、測定の誤差があるので、双曲線DCAは、最大で、正及び負の誤差の和NCA++NCA-だけずれる可能性がある。同様に、双曲線DBAは、最大で、正及び負の誤差の和NBA++NBA-だけずれる可能性がある。なお、マクロセル基地局20A~20Cの既知の位置とは、例えば、2次元又は3次元の座標系における点であり、座標によって示されてもよい。
【0030】
したがって、双曲線DCA及び双曲線DBAによって推定される位置は、最大誤差NCA++NCA-又はNBA++NBA-によって発生する範囲Rの任意の点となる。例えば、ロケーションサーバ40は、範囲R内の中間点、又は、マクロセル基地局20A~20Cとスモールセル基地局10との間の伝播路の状態に応じた重み付け及び/又は選択に基づいて、範囲R内のスモールセル基地局10の位置を決定する。
【0031】
<上りベースの位置推定>
上りベースの位置推定(uplink based location estimation)では、スモールセル基地局10から送信される上りRSを用いて測定される測定情報に基づいて、当該スモールセル基地局10の位置が推定される。当該測定情報は、例えば、他の基地局(マクロセル基地局20又は他のスモールセル基地局10)における基準タイミングとスモールセル基地局10からの上りRSとの時間差を示す情報(Uplink-Relative Time of Arrival(UL-RTOA))とも呼ばれる)であってもよい。上りベースの位置推定は、Uplink Time Difference Of Arrival(UTDOA)、上りベースのポジショニング(Uplink based positioning)等とも呼ばれる。
【0032】
図3は、本実施形態に係る上りベースの位置推定の一例を示す図である。例えば、図3では、スモールセル基地局10からの上りRSを用いて測定される測定情報に基づいてスモールセル基地局10の位置が推定される。なお、以下では、上りRSを用いて測定された測定情報の一例としてUL-RTOAを説明するが、当該測定情報は、これに限られない。
【0033】
図3に示すように、マクロセル基地局20A、20B及び20Cは、それぞれ、スモールセル基地局10からの上りRSの受信に関する時間TA、TB及びTCと基準時間TREFとの時間差であるUL-RTOAA、UL-RTOAB及びUL-RTOACを測定する。マクロセル基地局20A、20B及び20Cは、それぞれ、測定されたUL-RTOAA、UL-RTOAB及びUL-RTOACをロケーションサーバ40に送信する。
【0034】
ロケーションサーバ40は、UL-RTOAA、UL-RTOAB及びUL-RTOACに基づいて、スモールセル基地局10の位置を推定する。図3に示すように、ロケーションサーバ40は、既知のマクロセル基地局20Aの位置からUL-RTOAAが一致する関係にある点集合である円RAを求める。同様に、ロケーションサーバ40は、既知のマクロセル基地局20B及び20Cの位置からUL-RTOAB及びUL-RTOACが一致する関係にある点集合である円RB及びRCを求める。UL-RTOAA、UL-RTOAB及びUL-RTOACの測定の誤差がないとすると、円RA、RB及びRCの交点をスモールセル基地局10の位置として一意に決定できる。ただし、実際には、測定の誤差があるので、円RA、RB及びRCは、それぞれ、最大で、正及び負の誤差の和NA++NA-、NB++NB-及びNC++NC-だけずれる可能性がある。
【0035】
したがって、円RA、RB及びRCによって推定される位置は、最大誤差NA++NA-、NB++NB-又はNC++NC-によって発生する範囲Rの任意の点となる。例えば、ロケーションサーバ40は、範囲R内の中間点、又は、マクロセル基地局20A~20Cとスモールセル基地局10との間の伝播路の状態に応じた重み付け及び/又は選択に基づいて、範囲R内のスモールセル基地局10の位置を決定する。
【0036】
なお、図2及び図3では、位置推定の対象となるスモールセル基地局10以外の他のスモールセル基地局10は示されないが、これに限られない。図2においてマクロセル基地局20から送信される下りRSは、当該他のスモールセル基地局10から送信されてもよい。また、図3においてマクロセル基地局20で受信される上りRSは、他のスモールセル基地局10で受信されて測定されてもよい。
【0037】
以上のように、下りRSを用いて測定された測定情報(例えば、RSTD)、又は、上りRSを用いて測定された測定情報(例えば、UL-RTOA)に基づいて、スモールセル基地局10の位置が推定される。このような下りRS又は上りRSを用いたスモールセル基地局10の位置推定の手法では、端末50の位置推定の手法を流用できるので、スモールセル基地局10の位置の登録を簡便に自動化できる。
【0038】
しかしながら、上記下りRSを用いた位置推定では、位置推定対象のスモールセル基地局10が、3以上の基地局(例えば、マクロセル基地局20及び/又は他のスモールセル基地局10)からの下りRSを測定できなければ、当該スモールセル基地局10の位置を適切に推定できない恐れがある。また、上記上りRSを用いた位置推定では、位置推定対象のスモールセル基地局10からの上りRSを、3以上の基地局(例えば、マクロセル基地局20及び/又は他のスモールセル基地局10)が測定できなければ、当該スモールセル基地局10の位置を適切に推定できない恐れがある。
【0039】
一方、実環境においては、位置推定対象のスモールセル基地局10が3以上の基地局からの下りRSを測定できるとは限らない。同様に、位置推定対象のスモールセル基地局10からの上りRSを、3以上の基地局が測定できるとは限らない。障害物(例えば、ビル等)の影響により、位置推定対象のスモールセル基地局10と通信可能な基地局の数は限りがあり、また、当該基地局の数を容易には増やすことができないためである。
【0040】
そこで、本実施形態では、ロケーションサーバ40は、端末50と当該スモールセル基地局10との間の距離に関する情報とに基づいて、スモールセル基地局10で受信される下りRSを用いて測定される測定情報(例えば、RSTD)、又は、スモールセル基地局10から送信される上りRSを用いて測定される測定情報(例えば、UL-RTOA)に基づいて推定されるスモールセル基地局10の位置を補完する。
【0041】
ここで、距離に関する情報とは、例えば、端末50からの上りRSを用いてスモールセル基地局10で測定されたUL-RTOAであるが、これに限られず、端末50とスモールセル基地局10との間の距離を推定可能などのような情報であってもよい。例えば、距離に関する情報は、スモールセル基地局10における、端末50からの上りRSの受信強度(例えば、Received Signal Strength Indicator(RSSI))、受信電力(例えば、Reference Signal Received Power(RSRP))、又は、スモールセル基地局10又は端末50に設けられた各種センサによる測定情報であってもよいし、スモールセル基地局10からの下りRSを用いて端末50で測定されたRSTD等であってもよい。以下、当該距離に関する情報を距離情報という。
【0042】
<位置推定の補完>
図4は、本実施形態に係るスモールセル基地局10の機能関係の一例を示す図である。図4に示すように、スモールセル基地局10は、マクロセル基地局20配下の端末(以下、User Equipment(UE)ともいう)として動作してもよいし、端末50を配下に収める基地局(Base Station(BS)ともいう)として動作してもよい。
【0043】
例えば、図4において、スモールセル基地局10は、端末50(例えば、端末50A及び50B)を配下に持つBSとして動作する場合、端末50で受信される下りRSの送信、又は、端末50から送信される上りRSの受信を行う。
【0044】
一方、スモールセル基地局10は、マクロセル基地局20(例えば、マクロセル基地局20A及び20C)配下のUEとして動作する場合、マクロセル基地局20から送信される下りRSの受信、又は、マクロセル基地局20及び/又は他のスモールセル基地局10で受信される上りRSの送信を行う。
【0045】
例えば、図4では、スモールセル基地局10は、2つのマクロセル基地局20A及び20Cとの間でのみ下りRSの受信又は上りRSの送信を行う状態(すなわち、マクロセル基地局20Bを検出できない状態)にあるものとする。この場合、2つのマクロセル基地局20A及び20Cからの下りRSを用いてスモールセル基地局10で測定された測定情報(例えば、RSTD)、又は、スモールセル基地局10からの上りRSを用いて2つのマクロセル基地局20A及び20Cで測定された測定情報(例えば、UL-RTOA)だけでは、スモールセル基地局10の位置を適切に特定できない。当該スモールセル基地局10の位置の特定には、3以上の基地局(マクロセル基地局20又は他のスモールセル基地局10)との関係が必要であるためである。
【0046】
図4に示す場合、ロケーションサーバ40は、上記測定情報(例えば、RSTD又はUL-RTOA)に加えて、スモールセル基地局10と端末50との間の距離情報に基づいて、スモールセル基地局10の位置を推定してもよい。これにより、位置推定対象のスモールセル基地局10が3より小さい数の基地局しか検出できない場合に、スモールセル基地局10の推定位置を適切に補完することができる。図5及び6を参照し、下りベース又は上りベースの位置推定における補完の一例について説明する。なお、図5、6は、一例にすぎず、下りベース又は上りベースの位置推定の補完の方法は図示するものに限られない。
【0047】
≪下りベースの位置推定≫
図5は、本実施形態に係る下りベースの位置推定の補完の一例を示す図である。なお、図5では、スモールセル基地局10は、マクロセル基地局20B及び20Dを検出できず、マクロセル基地局20A及び20Cを検出し、マクロセル基地局20A及び20Cからの下りRSの時間差であるRSTDCA10を測定し、測定結果をロケーションサーバ40に報告しているものとする。また、端末50は、マクロセル基地局20A及び20Cを検出できず、マクロセル基地局20B及び20Dを検出し、マクロセル基地局20B及び20Dからの下りRSの時間差であるRSTDBD50を測定し、測定結果をロケーションサーバ40に報告しているものとする。また、スモールセル基地局10は、端末50からの上りRSと基準時間との時間差であるUL-RTOA10を測定し、測定結果をロケーションサーバ40に報告しているものとする。
【0048】
図5に示すように、ロケーションサーバ40は、既知のマクロセル基地局20A及び20Cの位置からスモールセル基地局10で測定されたRSTDCA10が一致する関係にある点集合である双曲線DCA10を求める。当該双曲線DCA10は、スモールセル基地局10の位置候補の点集合ともいえる。また、ロケーションサーバ40は、既知のマクロセル基地局20B及び20Dの位置から端末50で測定されたRSTDBD50が一致する関係にある点集合である双曲線DBD50を求める。当該双曲線DBD50は、端末50の位置候補の点集合ともいえる。
【0049】
図5では、スモールセル基地局10は、マクロセル基地局20Bからの下りRSを受信できないので、ロケーションサーバ40は、図2のように双曲線DCA及びDBAの交点を求めることができない。一方、ロケーションサーバ40は、端末50からの上りRSを用いてスモールセル基地局10で測定されたUL-RTOAに基づいて、端末50とスモールセル基地局10との間の距離R1を推定できる。よって、ロケーションサーバ40は、双曲線DCA10及びDBD50の間の距離が上記距離R1と等しくなる双曲線DCA10上の点L1をスモールセル基地局10の位置として推定できる。
【0050】
≪上りベースの位置推定≫
図6は、本実施形態に係る上りベースの位置推定の補完の一例を示す図である。なお、図6では、マクロセル基地局20A及び20Cは、それぞれ、スモールセル基地局10からの上りRSと基準時間との時間差であるUL-RTOAA及びUL-RTOACを測定し、測定結果をロケーションサーバ40に報告しているものとする。また、マクロセル基地局20B及び20Dは、それぞれ、端末50からの上りRSと基準時間との時間差であるUL-RTOAB及びUL-RTOADを測定し、測定結果をロケーションサーバ40に報告しているものとする。
【0051】
また、スモールセル基地局10は、端末50からの上りRSと基準時間との時間差であるUL-RTOA10を測定し、測定結果をロケーションサーバ40に報告しているものとする。
【0052】
図6に示すように、ロケーションサーバ40は、既知のマクロセル基地局20B及び20Dの位置からUL-RTOAB及びUL-RTOADがそれぞれ一致する関係にある点集合である円RB50及びRD50を求める。当該円RB50及びRB50の二つの交点は、端末50の位置候補#1及び#2となる。
【0053】
また、ロケーションサーバ40は、既知のマクロセル基地局20A及び20Cの位置からUL-RTOAA及びUL-RTOACがそれぞれ一致する関係にある点集合である円RA10及びRC10を求める。当該円RA10及びRC10の二つの交点は、スモールセル基地局10の位置候補#1及び#2となる。図6では、マクロセル基地局20Bは、スモールセル基地局10からの上りRSを受信できないので、ロケーションサーバ40は、スモールセル基地局10の位置候補#1及び#2のどちらかを推定位置として決定することができない。
【0054】
一方、ロケーションサーバ40は、端末50からの上りRSを用いてスモールセル基地局10で測定されたUL-RTOAに基づいて、端末50とスモールセル基地局10との間の距離R1を推定できる。よって、ロケーションサーバ40は、スモールセル基地局10の位置候補#1及び#2それぞれから上記距離R1の範囲内に端末50の位置候補#1又は#2が存在するか否かによって、スモールセル基地局10の推定位置を決定できる。例えば、図6では、スモールセル基地局10の位置候補#1と端末50の位置候補#2との間の距離が上記距離R1であるので、ロケーションサーバ40は、スモールセル基地局10の位置候補#1を推定位置L2として決定できる。
【0055】
以上のように、下りベース又は上りベースの位置推定では、位置推定対象のスモールセル基地局10が、3以上の基地局(マクロセル基地局20及び/又は他のスモールセル基地局10)を検出できない場合であっても、測定情報に基づいて導出されるスモールセル基地局10及び端末50の位置候補と、スモールセル基地局10及び端末50との間の距離R1とに基づいて、スモールセル基地局10の推定位置を決定できる。
【0056】
(無線通信システムの詳細構成)
次に、以上のような無線通信システム1の各装置の詳細構成について説明する。なお、以下の構成は、本実施形態の説明において必要な構成を示すためのものであり、各装置が図示以外の機能ブロックを備えることを排除するものではない。
【0057】
<ハードウェア構成>
図7は、本実施形態に係る無線通信システム内の各装置のハードウェア構成の一例を示す図である。無線通信システム1内の各装置(例えば、スモールセル基地局10、マクロセル基地局20又はロケーションサーバ40)は、プロセッサ10a、メモリ10b、記憶装置10c、有線又は無線通信を行う通信装置10d、入力操作を受け付ける入力装置10e、情報の出力を行う出力装置10f及び一以上のアンテナAを少なくとも有する。
【0058】
プロセッサ10aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、無線通信システム1内の各装置を制御する。プロセッサ10aは、各装置を制御する制御部を構成してもよい。
【0059】
メモリ10bは、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)及び/又はRAM(Random Access Memory)等から構成される。
【0060】
記憶装置10cは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及び/又はeMMC(embedded Multi Media Card)等のストレージから構成される。
【0061】
通信装置10dは、有線及び/又は無線ネットワークを介して通信を行う装置であり、例えば、ネットワークカード、通信モジュールなどである。また、通信装置10dには、アンプ、無線信号に関する処理を行うRF(Radio Frequency)装置と、ベースバンド信号処理を行うBB(BaseBand)装置とを含んでいてもよい。
【0062】
RF装置は、例えば、BB装置から受信したデジタルベースバンド信号に対して、D/A変換、変調、周波数変換、電力増幅等を行うことで、アンテナAから送信する無線信号を生成する。また、RF装置は、アンテナAから受信した無線信号に対して、周波数変換、復調、A/D変換等を行うことでデジタルベースバンド信号を生成してBB装置に送信する。BB装置は、デジタルベースバンド信号をIPパケットに変換する処理、及び、IPパケットをデジタルベースバンド信号に変換する処理を行う。
【0063】
入力装置10eは、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス及び/又はマイク等である。出力装置10fは、例えば、ディスプレイ及び/又はスピーカ等である。
【0064】
<機能ブロック構成>
≪スモールセル基地局≫
図8は、本実施形態に係るスモールセル基地局の機能ブロック構成の一例を示す図である。図8に示すように、スモールセル基地局10は、通信部11と、測定部12と、取得部13と、制御部14と、を備える。
【0065】
通信部11は、マクロセル基地局20、ロケーションサーバ40及び端末50の少なくとも一つの間で通信を行う。通信部11は、コアネットワーク30上の不図示の装置(例えば、MME又はAMF等)との通信を行ってもよい。具体的には、通信部11は、端末50との通信を行うアクセスリンク通信部(第3の通信部)111、マクロセル基地局20との通信を行うバックホールリンク通信部(第2の通信部)112、及び、ロケーションサーバ40との通信を行うサーバ間通信部(第1の通信部)113を備えてもよい。
【0066】
アクセスリンク通信部111は、アクセスリンクL1を介して端末50との間で、下り信号の送信及び/又は上り信号の受信を行う。具体的には、アクセスリンク通信部111は、端末50から送信される上りRS(例えば、SRS)を受信してもよい。また、アクセスリンク通信部111は、端末50で受信される下りRS(例えば、PRS)を送信してもよい。
【0067】
バックホールリンク通信部112は、バックホールリンクL2を介してマクロセル基地局20との間で、下り信号の受信及び/又は上り信号の送信を行う。具体的には、バックホールリンク通信部112は、基地局(マクロセル基地局20又は他のスモールセル基地局10)から送信される下りRS(例えば、PRS)を受信してもよい。当該下りRSを用いて測定される第1の測定情報(例えば、RSTD)は、サーバ間通信部113からロケーションサーバ40に送信されてもよい。
【0068】
また、バックホールリンク通信部112は、基地局(マクロセル基地局20又は他のスモールセル基地局10)で受信される上りRS(例えば、SRS)を送信してもよい。当該上りRSを用いて測定される第2の測定情報(例えば、UL-RTOA)は当該基地局からロケーションサーバ40に送信されてもよい。
【0069】
サーバ間通信部113は、ロケーションサーバ40との通信用のプロトコルを介して、ロケーションサーバ40と通信を行ってもよい。当該プロトコルは、例えば、LTE positioning Protocol(LPP)、LPP Annex(LPPa)、又は、LPP Extensions(LPPe)等の位置推定に関するプロトコルであってもよい。具体的には、サーバ間通信部113は、上記第1の測定情報(例えば、RSTD)、及び、後述する取得部13によって取得されるスモールセル基地局10と端末50との距離に関する距離情報をロケーションサーバ40に送信してもよい。
【0070】
また、サーバ間通信部113は、測定部12による測定を支援(assist)する情報(支援情報)をロケーションサーバ40から受信してもよい。支援情報は、例えば、測定対象の下りRSを送信するセルに関する情報(例えば、セルID等)、下りRSの構成(configuration)情報(例えば、タイミング、周期、無線リソース等)等を含んでもよい。また、支援情報は、例えば、測定対象の端末50からの上りRSの構成情報(例えば、タイミング、周期、無線リソース等)等を含んでもよい。
【0071】
測定部12は、アクセスリンク通信部111で受信された端末50からの上りRSに基づいて、測定情報(例えば、UL-RTOA)を測定する。具体的には、測定部12は、当該上りRSと基準時間との時間差を当該測定情報として測定してもよい。測定部12は、Locaction Measurement Unit(LMU)として機能してもよい。
【0072】
また、測定部12は、バックホールリンク通信部112で受信された複数の基地局(マクロセル基地局20及び/又は他のスモールセル基地局10)からの下りRSに基づいて、測定情報(例えば、RSTD)を測定する。具体的には、測定部12は、当該複数の基地局からの下りRSの時間差を当該測定情報として測定してもよい。
【0073】
取得部13は、上記スモールセル基地局10と端末50との距離に関する距離情報を取得する。例えば、取得部13は、測定部12によって端末50からの上りRSを用いて測定された測定情報(例えば、UL-RTOA)を当該距離情報として取得してもよい。なお、距離情報は、上記の通り、当該測定情報に限られない。
【0074】
制御部14は、通信部11による通信、測定部12による測定、取得部13による距離情報の取得部の少なくとも一つを制御しても良い。具体的には、制御部14は、アクセスリンク通信部111による通信とバックホールリンク通信部112による通信とを所定期間毎に切り替えてもよい。アクセスリンク通信部111による通信を行う期間を示す情報、及び/又は、バックホールリンク通信部112による通信を行う期間を示す情報は、サーバ間通信部113によりロケーションサーバ40から受信されてもよい。制御部14は、当該情報に基づいて、アクセスリンク通信部111による通信とバックホールリンク通信部112による通信との切り替えを制御してもよい。なお、アクセスリンク通信部111による通信とバックホールリンク通信部112による通信とを同一期間において異なる無線リソース(例えば、周波数、符号、空間等)を用いて行われてもよい。
【0075】
なお、通信部11、測定部12及び取得部13は、例えば通信装置10dにより実現されてもよいし、通信装置10dに加えてプロセッサ10aが記憶装置10cに記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。制御部14は、プロセッサ10aが、記憶装置10cに記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。プログラムを実行する場合、当該プログラムは、記憶媒体に格納されていてもよい。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は、特に限定されないが、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、又はCD-ROM(Compact Disc ROM)等の記憶媒体であってもよい。
【0076】
≪マクロセル基地局≫
図9は、本実施形態に係るマクロセル基地局の機能ブロック構成の一例を示す図である。図9に示すように、マクロセル基地局20は、通信部21と、測定部22と、制御部23と、を備える。
【0077】
通信部21は、スモールセル基地局10、ロケーションサーバ40及び端末50の少なくとも一つの間で通信を行う。通信部21は、コアネットワーク30上の不図示の装置(例えば、MME又はAMF等)との通信を行ってもよい。具体的には、通信部21は、端末50との通信を行うアクセスリンク通信部211、スモールセル基地局10との通信を行うバックホールリンク通信部212、及び、ロケーションサーバ40との通信を行うサーバ間通信部213を備えてもよい。
【0078】
アクセスリンク通信部211は、アクセスリンクL1を介して端末50との間で、下り信号の送信及び/又は上り信号の受信を行う。具体的には、アクセスリンク通信部211は、端末50から送信される上りRS(例えば、SRS)を受信してもよい。当該上りRSを用いて測定される第3の測定情報(例えば、UL-RTOA)は、サーバ間通信部213からロケーションサーバ40に送信されてもよい。
【0079】
また、アクセスリンク通信部211は、端末50で受信される下りRS(例えば、PRS)を送信してもよい。当該下りRSを用いて測定される第4の測定情報(例えば、RSTD)が端末50からロケーションサーバ40に送信されてもよい。
【0080】
バックホールリンク通信部212は、バックホールリンクL2を介してスモールセル基地局10との間で、下り信号の送信及び/又は上り信号の受信を行う。具体的には、バックホールリンク通信部212は、スモールセル基地局10から送信される上りRS(例えば、SRS)を受信してもよい。当該上りRSを用いて測定される第2の測定情報(例えば、UL-RTOA)は、サーバ間通信部213からロケーションサーバ40に送信されてもよい。
【0081】
また、バックホールリンク通信部212は、当該スモールセル基地局10で受信される下りRS(例えば、PRS)を送信してもよい。当該下りRSを用いて測定される第1の測定情報(例えば、RSTD)は、スモールセル基地局10からロケーションサーバ40に送信されてもよい。
【0082】
サーバ間通信部213は、ロケーションサーバ40との通信用のプロトコルを介して、ロケーションサーバ40と通信を行ってもよい。当該プロトコルは、例えば、LPPa、又は、LPPe等の位置推定に関するプロトコルであってもよい。具体的には、サーバ間通信部213は、上記第2の測定情報(例えば、UL-RTOA)及び/又は上記第3の測定情報(例えば、UL-RTOA)をロケーションサーバ40に送信してもよい。また、サーバ間通信部213は、上記第4の測定情報(例えば、UL-RTOA)をロケーションサーバ40に送信してもよい。
【0083】
また、サーバ間通信部213は、測定部22による測定を支援する支援情報をロケーションサーバ40から受信してもよい。支援情報は、例えば、測定対象の端末50から及び/又はスモールセル基地局10からの上りRSの構成情報(例えば、タイミング、周期、無線リソース等)等を含んでもよい。
【0084】
測定部22は、アクセスリンク通信部211で受信された端末50からの上りRSに基づいて、測定情報(例えば、UL-RTOA)を測定する。具体的には、測定部22は、当該上りRSと基準時間との時間差を当該測定情報として測定してもよい。
【0085】
また、測定部22は、バックホールリンク通信部212で受信されたスモールセル基地局10からの上りRSに基づいて、測定情報(例えば、UL-RTOA)を測定する。具体的には、測定部22は、当該上りRSと基準時間との時間差を当該測定情報として測定してもよい。測定部22は、LMUとして機能してもよい。
【0086】
制御部23は、通信部21による通信と、測定部22による測定と、の少なくとも一つを制御する。具体的には、制御部23は、アクセスリンク通信部211による通信とバックホールリンク通信部212による通信とを所定期間毎に切り替えてもよい。アクセスリンク通信部211による通信を行う期間を示す情報、及び/又は、バックホールリンク通信部212による通信を行う期間を示す情報は、サーバ間通信部213によりロケーションサーバ40から受信されてもよい。制御部23は、当該情報に基づいて、アクセスリンク通信部211による通信とバックホールリンク通信部212による通信との切り替えを制御してもよい。
【0087】
なお、通信部21及び測定部22は、例えば通信装置10dにより実現されてもよいし、通信装置10dに加えてプロセッサ10aが記憶装置10cに記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。制御部23は、プロセッサ10aが、記憶装置10cに記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。プログラムを実行する場合、当該プログラムは、上記記憶媒体に格納されていてもよい。
【0088】
≪ロケーションサーバ≫
図10は、本実施形態に係るロケーションサーバの機能ブロック構成の一例を示す図である。図10に示すように、ロケーションサーバ40は、記憶部41と、通信部42と、推定部43とを備える。
【0089】
記憶部41は、スモールセル基地局10及び/又は端末50の位置推定に用いられる情報を記憶する。当該情報は、例えば、以下の少なくとも一つを示す情報を含んでもよい。
・スモールセル基地局10と端末50との間の距離に関する距離情報
・基地局(マクロセル基地局20又は他のスモールセル基地局10)からの下りRSを用いてスモールセル基地局10で測定された第1の測定情報(例えば、RSTD)
・スモールセル基地局10からの上りRSを用いて基地局(マクロセル基地局20又は他のスモールセル基地局10)で測定された第2の測定情報(例えば、UL-RTOA)
・端末50からの上りRSを用いて基地局(マクロセル基地局20又は他のスモールセル基地局10)で測定された第3の測定情報(例えば、UL-RTOA)
・基地局(マクロセル基地局20又は他のスモールセル基地局10)からの下りRSを用いて端末50で測定された第4の測定情報(例えば、RSTD)
・位置推定対象のスモールセル基地局10以外の他の基地局(例えば、マクロセル基地局20A~20C、他のスモールセル基地局10)の位置
【0090】
通信部42は、所定のプロトコル(例えば、LPP、LPPa又はLPPe等)を用いて、スモールセル基地局10、マクロセル基地局20及び端末50の少なくとも一つとの通信を行う。例えば、通信部42は、上記距離情報、及び、第1の測定情報をスモールセル基地局10から受信する。通信部42は、上記第2の測定情報及び/又は上記第3の測定情報をマクロセル基地局20から受信してもよい。また、通信部42は、上記第4の測定情報を端末50から受信してもよい。
【0091】
推定部43は、スモールセル基地局10及び/又は端末50の位置を推定する。具体的には、推定部43は、上記距離情報に基づいてと、上記第1の測定情報又は第2の測定情報とに基づいて、スモールセル基地局10の位置を推定する。例えば、推定部43は、上記距離情報に基づいて特定されるスモールセル基地局10と端末50との間の距離と、上記第1の測定情報又は第2の測定情報とにより導出されるスモールセル基地局10の位置候補に基づいて、当該スモールセル基地局10の位置を推定してもよい。
【0092】
また、推定部43は、上記距離情報と上記第1の測定情報又は前記第2の測定情報とに加えて、前記第3の測定情報又は前記第4の測定情報に基づいて、スモールセル基地局10の位置を推定してもよい。例えば、推定部43は、上記距離と、上記スモールセル基地局10の位置候補と、第3の測定情報又は第4の測定情報とにより導出される端末50の位置候補と、に基づいて、当該スモールセル基地局10の位置を推定してもよい(図5、6参照)。
【0093】
なお、通信部42は、例えば通信装置10dにより実現されてもよいし、通信装置10dに加えてプロセッサ10aが記憶装置10cに記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。記憶部41は、記憶装置10cにより実現されてもよい。推定部43は、プロセッサ10aが、記憶装置10cに記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。プログラムを実行する場合、当該プログラムは、上記記憶媒体に格納されていてもよい。
【0094】
(無線通信システムの動作)
次に、以上のように構成される無線通信システム1の動作について説明する。なお、図11及び12は、例示にすぎず、図示するものに限られない。例えば、図11及び12のステップS109及びS209におけるスモールセル基地局10の位置推定に用いられる距離情報の取得及び送信、端末50及びスモールセル基地局10における測定及び測定情報の送信等の順番は、適宜入れ替えられてもよいし、又は、少なくとも二つのステップが同時に行われてもよい。
【0095】
<下りベースの位置推定の補完動作>
図11は、本実施形態に係る下りベースの位置推定の補完動作の一例を示す図である。図11では、図5で説明したように、スモールセル基地局10及が2つのマクロセル基地局20A及び20Cを検出し、端末50が2つのマクロセル基地局20B及び20Dを検出する場合に、当該スモールセル基地局10と端末50との間の距離に基づいて、下りベースのスモールセル基地局10の推定位置を補完する動作について説明する。
【0096】
また、本動作は、ロケーションサーバ40からの要求情報に応じて開始されてもよい。当該要求情報は、例えば、スモールセル基地局10における測定を要求する情報であってもよい。又は、スモールセル基地局10が所定の条件を満たす場合に開始されてもよい。当該所定の条件は、例えば、スモールセル基地局10の移動が検出される場合等であってもよい。また、本動作の開始前においてスモールセル基地局10は、下りRSの測定用に上記支援情報をロケーションサーバ40から取得しているものとする。
【0097】
ステップS101において、スモールセル基地局10は、自身と端末50との間の距離に関する距離情報を取得する。当該距離情報は、例えば、端末50から送信される上りRSを用いてスモールセル基地局10で測定される測定情報(例えば、UL-RTOA)であるものとするが、上記の通り、これに限られない。ステップS102において、スモールセル基地局10は、取得された距離情報をロケーションサーバ40に送信する。
【0098】
ステップS103において、スモールセル基地局10は、マクロセル基地局20A及び20Cからの下りRSを受信する。ステップS104において、スモールセル基地局10は、当該マクロセル基地局20A及び20Cからの下りRSを用いて第1の測定情報(例えば、当該マクロセル基地局20A及び20Cからの下りRSの時間差であるRSTD)を測定する。ステップS105において、スモールセル基地局10は、当該第1の測定情報をロケーションサーバ40に送信する。
【0099】
ステップS106において、端末50は、マクロセル基地局20B及び20Dからの下りRSを受信する。ステップS107において、端末50は、当該マクロセル基地局20B及び20Dからの下りRSを用いて第4の測定情報(例えば、当該マクロセル基地局20B及び20Dからの下りRSの時間差であるRSTD)を測定する。ステップS108において、端末50は、当該第4の測定情報をロケーションサーバ40に送信する。
【0100】
ステップS109において、ロケーションサーバ40は、ステップS102で受信した距離情報とステップS105で受信した第1の測定情報とに基づいて、スモールセル基地局10の位置を推定する。また、ロケーションサーバ40は、当該距離情報及び第1の測定情報に加えて、ステップS108で受信した第4の測定情報に基づいて、スモールセル基地局10の位置を推定してもよい。
【0101】
例えば、図5に示す場合、ロケーションサーバ40は、ステップ105で受信した第1の測定情報に基づいて、スモールセル基地局10の位置候補DCA10を導出する。また、ロケーションサーバ40は、ステップS108で受信した第4の測定情報に基づいて、端末50の位置候補DBD50を導出する。ロケーションサーバ40は、ステップS102で受信した距離情報に基づいて推定された距離と、端末50の位置候補DBD50及びスモールセル基地局10の位置候補DCA10とに基づいて、スモールセル基地局10の推定位置L1を決定してもよい。
【0102】
以上のように、位置推定対象のスモールセル基地局10で受信される下りRSを用いて測定された第1の測定情報だけでなく、当該スモールセル基地局10と端末50との間の距離に基づいて、当該スモールセル基地局10の位置が推定されるので、所定値(例えば、3)以上の基地局(マクロセル基地局20又は他のスモールセル基地局10)からの下りRSを検出できない場合にも、当該スモールセル基地局10の位置を適切に推定できる。
【0103】
<上りベースの位置推定の補完動作>
図12は、本実施形態に係る下りベースの位置推定の補完動作の一例を示す図である。図12では、図6で説明したように、スモールセル基地局10が2つのマクロセル基地局20A及び20Cを検出し、端末50が2つのマクロセル基地局20B及び20Dを検出する場合に、当該スモールセル基地局10と端末50との間の距離に基づいて、上りベースのスモールセル基地局10の推定位置を補完する動作について説明する。なお、ステップS201及びS202は、図11のステップS101及びS102と同様である。
【0104】
また、本動作は、ロケーションサーバ40からの要求情報に応じて開始されてもよい。当該要求情報は、例えば、ロケーションサーバ40によって選択されたマクロセル基地局20A~20D(のLMU)における測定を要求する情報であってもよい。又は、スモールセル基地局10が所定の条件を満たす場合に開始されてもよい。当該所定の条件は、例えば、スモールセル基地局10の移動が検出される場合等であってもよい。
【0105】
ステップS203において、スモールセル基地局10は、上りRSを送信する。ステップS204において、マクロセル基地局20A及び20Cは、それぞれ、スモールセル基地局10から送信された上りRSを用いて第2の測定情報(例えば、当該上りRSの受信に関する時間と基準時間との時間差であるUL-RTOA)を測定する。ステップS205において、マクロセル基地局20A及び20Cは、それぞれ、当該第2の測定情報をロケーションサーバ40に送信する。
【0106】
ステップS206において、端末50は、上りRSを送信する。ステップS207において、マクロセル基地局20B及び20Dは、それぞれ、端末50から送信された上りRSを用いて第3の測定情報(例えば、当該上りRSの受信に関する時間と基準時間との時間差であるUL-RTOA)を測定する。ステップS208において、マクロセル基地局20A及び20Cは、それぞれ、当該第3の測定情報をロケーションサーバ40に送信する。
【0107】
ステップS209において、ロケーションサーバ40は、ステップS202で受信した距離情報とステップS205で受信した第2の測定情報とに基づいて、スモールセル基地局10の位置を推定する。また、ロケーションサーバ40は、当該距離情報及び第2の測定情報に加えて、ステップS208で受信した第3の測定情報に基づいて、スモールセル基地局10の位置を推定してもよい。
【0108】
例えば、図6に示す場合、ロケーションサーバ40は、ステップ205で受信した第2の測定情報に基づいて、マクロセル基地局20Aを中心とする円RA10及びマクロセル基地局20Cを中心とする円RC10を導出し、当該円RA10及びRC10の二つの交点をスモールセル基地局10の位置候補#1及び#2として導出する。
【0109】
また、図6に示す場合、ロケーションサーバ40は、ステップ208で受信した第3の測定情報に基づいて、マクロセル基地局20Bを中心とする円RB50及びマクロセル基地局20Dを中心とする円RD50を導出し、当該円RB50及びRD50の二つの交点を端末50の位置候補#1及び#2として導出する。
【0110】
図6に示す場合、ロケーションサーバ40は、スモールセル基地局10の位置候補#1を中心として、上記距離情報によって特定される距離R1を半径とする円上に端末50の位置候補#2が存在する。このため、ロケーションサーバ40は、スモールセル基地局10の位置候補#1をスモールセル基地局10の推定位置L2として決定してもよい。
【0111】
以上のように、位置推定対象のスモールセル基地局10から送信される上りRSを用いて測定された第2の測定情報だけでなく、当該スモールセル基地局10と端末50との間の距離に関する距離情報に基づいて、当該スモールセル基地局10の位置が推定されるので、所定値(例えば、3)以上の基地局(マクロセル基地局20又は他のスモールセル基地局10)で上記上りRSが測定されない場合にも、当該スモールセル基地局10の位置を適切に推定できる。
【0112】
なお、図11及び12では、スモールセル基地局10及び端末50の双方の位置が下りベース又は上りベースで推定される例を説明したが、これに限られない。例えば、スモールセル基地局10及び端末50の一方の位置が下りベースで推定され、他方の位置が上りベースで推定されてもよい。
【0113】
また、図示しないが、図11のステップS106において端末50によって受信される下りRSは、マクロセル基地局20に限られず、スモールセル基地局10から送信されてもよい。また、図12のステップS207において端末50から送信される上りRSは、マクロセル基地局20に限られず、スモールセル基地局10で受信及び測定されてもよい。
【0114】
また、図5、6、11及び12では、位置推定対象のスモールセル基地局10と単一の端末50との距離情報が用いられるが、これに限られない。当該スモールセル基地局10と複数の端末50の各々との間の距離情報に基づいて、当該スモールセル基地局10の位置が推定されてもよい。当該スモールセル基地局10配下の端末50の数が増えるほど、当該スモールセル基地局と各端末50との間の距離情報が増加するので、当該スモールセル基地局10の位置の推定精度を向上させることができる。
【0115】
また、図5、6、11及び12における複数のマクロセル基地局20及び端末50の少なくとも一つは、スモールセル基地局10に置き換えられてもよいし、不図示のスモールセル基地局10が追加で設けられてもよい。位置推定対象のスモールセル基地局10以外の他のスモールセル基地局10はUEとして動作してもよい。この場合、位置指定対象のスモールセル基地局10は、当該他のスモールセル基地局10を端末50とみなして、当該他のスモールセル基地局10と自局との間の距離情報(例えば、UL-ROTA)を推定してもよい。これにより、位置推定対象のスモールセル基地局10と他の端末(端末50及び/又は端末50とみなされる他のスモールセル基地局10)との間の距離情報が増加するので、スモールセル基地局10の位置の推定精度を向上させることができる。このように、本実施形態において、無線装置配下の端末とは、位置推定対象のスモールセル基地局10配下の端末50に限られず、当該端末50として動作する他のスモールセル基地局10を含んでもよい。
【0116】
(その他の実施形態)
なお、上記実施形態は、スモールセル基地局10の位置の正誤確認と組み合わせられてもよい。例えば、上記位置の推定対象となるスモールセル基地局10以外の他の基地局、又は、コアネットワーク30上のサーバ(例えば、ロケーションサーバ40)は、以下の少なくとも一つに基づいて求められる位置と、上記実施形態で位置推定されたスモールセル基地局10の位置と、の比較結果に基づいて、上記実施形態で推定された位置の正誤を判定してもよい。
・GPS信号に基づいて決定されたスモールセル基地局10の位置
・他の通信方式(例えば、WiFi(登録商標)又はBluetooth(登録商標))のアクセスポイントの測位機能(例えば、Wi-Fi CERTIFIED Location)によって求められたスモールセル基地局10の位置
・周辺セルの情報(例えば、ネットワークスクリーニングの結果)
・Ncellテーブルに登録されたセルの変動
・スモールセル基地局10に割り当てられたインターネットプロトコル(IP)情報(例えば、IPアドレス)
【0117】
また、上記実施形態は、スモールセル基地局10の位置の移動検出と組み合わせられてもよい。例えば、上記位置の推定対象となるスモールセル基地局10自身、当該スモールセル基地局10以外の他の基地局、又は、コアネットワーク30上のサーバ(例えば、ロケーションサーバ40)は、以下の少なくとも一つに基づいて、上記実施形態で位置推定されたスモールセル基地局10の移動を検出してもよい。
・GPS信号に基づいて決定されたスモールセル基地局10の位置
・他の通信方式(例えば、Wi-Fi(登録商標)又はBluetooth(登録商標))のアクセスポイントの測位機能(例えば、Wi-Fi CERTIFIED Location)によって求められたスモールセル基地局10の位置
・周辺セルの情報(例えば、ネットワークスクリーニングの結果)
・Ncellテーブルに登録されたセルの変動
・スモールセル基地局10に割り当てられたインターネットプロトコル(IP)情報(例えば、IPアドレス)
・スモールセル基地局10が備えるセンサで検出される情報(センサ情報)
・スモールセル基地局10の電源の状態又は稼働状況を示す情報(稼働情報)
【0118】
上記センサ情報を検出するセンサは、例えば、ジャイロセンサ、明かりセンサ又はスイッチセンサであってもよい。例えば、スモールセル基地局10内部に設けられたジャイロセンサ等)により、スモールセル基地局10の加速度又は姿勢の変化等がセンサ情報として検出されてもよい。また、スモールセル基地局10の底部等の接触面に設けられた明かりセンサにより、接触面の明暗の変化等がセンサ情報として検出されてもよい。また、スモールセル基地局10の底部等の接触面に設けられたスイッチセンサにより、スイッチの変動が上記センサ情報として検出されてもよい。
【0119】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0120】
1…無線通信システム、10…スモールセル基地局、20…マクロセル基地局、30…コアネットワーク、40…ロケーションサーバ、50…端末、11…通信部、12…測定部、13…取得部、14…制御部、21…通信部、22…測定部、23…制御部、41…記憶部、42…通信部、43…推定部、111…アクセスリンク通信部、112…バックホールリンク通信部、113…サーバ間通信部、211…アクセスリンク通信部、212…バックホールリンク通信部、213…サーバ間通信部、A…アンテナ、10a…プロセッサ、10A…スモールセル基地局、10b…メモリ、10c…記憶装置、10d…通信装置、10e…入力装置、10f…出力装置
図1
図2
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図4
図5
図6
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図9
図10
図11
図12