(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】燃焼ガスろ過媒体
(51)【国際特許分類】
B01D 39/16 20060101AFI20240405BHJP
D04H 1/4342 20120101ALI20240405BHJP
【FI】
B01D39/16 A
D04H1/4342
(21)【出願番号】P 2021559154
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(86)【国際出願番号】 EP2020059493
(87)【国際公開番号】W WO2020201475
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-31
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518147286
【氏名又は名称】アールストローム オーワイジェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シム,ジェシー
(72)【発明者】
【氏名】リー,テイラー
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】チョン,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】チョ,チャン
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-533928(JP,A)
【文献】特開2015-074851(JP,A)
【文献】国際公開第2018/139472(WO,A1)
【文献】特開2019-199673(JP,A)
【文献】特開2011-184815(JP,A)
【文献】特表2008-503662(JP,A)
【文献】特表2004-536976(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0073896(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00-41/04
D04H 1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルター媒体であって、それぞれ繊維とフィブリドの合計量に基づいて、
少なくとも80重量パーセントのメタアラミド繊維、および
0.1~20重量パーセントのメタアラミドフィブリド
を含む不織繊維ウェブを含
み、
前記不織繊維ウェブが、バインダー樹脂をさらに含む、フィルター媒体。
【請求項2】
前記不織繊維ウェブがカレンダーにかけられた、請求項1に記載のフィルター媒体。
【請求項3】
前記バインダー樹脂が、フェノールバインダー樹脂である、請求項
1または2に記載のフィルター媒体。
【請求項4】
前記不織繊維ウェブが、
100マイクロメートルの最大孔径、または20~80マイクロメートルの平均孔径の一方または両方を有する、請求項1または2に記載のフィルター媒体。
【請求項5】
前記不織繊維ウェブが、1平方メートル当たり少なくとも80グラムの坪量を有する、請求項1または2に記載のフィルター媒体。
【請求項6】
前記不織繊維ウェブが、1平方センチメートル当たり少なくとも7キログラムの乾燥ミューレン破裂強さを有する、請求項1または2に記載のフィルター媒体。
【請求項7】
前記不織繊維ウェブが、酸サイクリング後に、ASTM D751に従って決定されるその乾燥ミューレン破裂強さの少なくとも80%を保持する、請求項
6に記載のフィルター媒体。
【請求項8】
ISO5011を使用した空気試験において粒径2.5μmで少なくとも90%のろ過効率を有する、請求項1または2に記載のフィルター媒体。
【請求項9】
前記不織繊維ウェブが、乾燥器中205℃で2時間後に2%未満の収縮率を有する、請求項1または2に記載のフィルター媒体。
【請求項10】
前記不織繊維ウェブに積層された別の材料をさらに含む、請求項1または2に記載のフィルター媒体。
【請求項11】
前記不織繊維ウェブが、少なくとも0.3g/cm
3の密度を有する、請求項1または2に記載のフィルター媒体。
【請求項12】
20~80マイクロメートルの平均孔径、
100マイクロメートルの最大孔径、
1平方センチメートル当たり少なくとも7キログラムの乾燥ミューレン破裂強さ、
酸サイクリング後のASTM D751に従って決定される前記乾燥ミューレン破裂強さの80%の保持、
2.5ミクロンの粒子に対する少なくとも95%のろ過効率、および
乾燥器中205℃で2時間加熱後の2%未満の収縮率
を特徴とする、請求項1に記載のフィルター媒体。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれか1項に記載のフィルター媒体を製造するための方法であって:
前記メタアラミド繊維および前記メタアラミドフィブリドを含む完成紙料を湿式堆積させてマットを形成すること;ならびに
前記マットを乾燥させて不織繊維ウェブを形成すること
を含み、
前記不織繊維ウェブにバインダー樹脂をしみこませ、次いで前記バインダー樹脂を硬化させることをさらに含む、方法。
【請求項14】
前記不織繊維ウェブをカレンダーにかけること、
を含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記不織繊維ウェブにバインダー樹脂をしみこませることが
前記カレンダー
にかけることの後に行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
燃焼ガスろ過における請求項1~
12のいずれか1項に記載のフィルター媒体の使用。
【請求項17】
燃焼ガス吸気マニホールド、燃焼ガス排気マニホールド、および前記燃焼ガス吸気マニホールドと前記燃焼ガス排気マニホールドの間に配置されたろ過装置を含み、前記ろ過装置が、請求項1~
12のいずれか1項に記載のフィルター媒体を含む、燃焼ガスフィルターアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月5日に出願された米国出願第62/829,827号の優先権を主張し、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
発明の分野
本発明は、ろ過のための媒体、特に不織燃焼ガスろ過媒体を用いた燃焼ガスろ過に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
高温粉塵を除去するための燃焼ガスのろ過は、微粒子汚染を制限または除去するために、廃棄物焼却炉、冶金産業、石炭火力発電所、および燃焼ガスを発生させる他の産業にとって重要である。
【0004】
例えば、フィルターバッグは、燃焼ガスろ過に使用されており、その場合バッグは、織られた糸、フェルト、ニードルフェルト、またはスクリムで支持されたニードルフェルトのフィルター媒体を含む。これらのフィルター媒体は通常、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、メタアラミド、PI(ポリイミド)、およびPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの高温耐性繊維から作られている。しかしながら、フィルターバッグ媒体は、媒体が開放構造のために、ろ過効率が非常に低くなる。また、ろ過システムでは大量の媒体が必要であり、高いランニングコストが発生する。
【0005】
カートリッジフィルターを使用したパルスジェット洗浄システムは、バッグフィルターシステムの代替フィルターシステムである。パルスジェット洗浄システムは、粒子が表面ろ過によってろ過されるので、高効率および高密度フィルター媒体が必要である。多くの現在市販されている燃焼ガスろ過用のカートリッジフィルターは、依然として、ニードルパンチフェルトまたはスパンレースフェルトを、それらフィルター媒体のパルスジェット洗浄中のろ過効率および性能が低いにもかかわらず、使用している。フェルト媒体も、背圧をかけると破裂する可能性があるので、不適切である。
【0006】
高い耐熱性、高いろ過効率、および優れた耐酸性を有する、費用対効果の大きいフィルター媒体が依然として必要とされている。フィルター媒体が平滑面と、パルスジェット洗浄などのメカニズムによる洗浄に十分な機械的強度とを有している場合、さらに有利なはずである。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に開示されているのは、フィルター媒体、例えば特に燃焼ガスフィルター媒体であって、それぞれ繊維とフィブリドの合計量に基づいて、少なくとも80重量パーセントのメタアラミド(「m-アラミド」)繊維および0.1~20重量パーセントのメタアラミドフィブリドを含む不織繊維ウェブを含む、フィルター媒体である。
【0008】
また、本明細書に開示されているのは、フィルター媒体、例えば特に燃焼ガスフィルター媒体であって、20~80マイクロメートルの平均孔径、100マイクロメートルの最大孔径、1平方センチメートル当たり少なくとも7キログラムの乾燥ミューレン破裂強さ、酸サイクリング後の乾燥ミューレン破裂強さの80%の保持、2.5ミクロンの粒子に対する少なくとも95%のろ過効率、および乾燥器中205℃で2時間加熱後の2%未満の収縮率を特徴とする不織繊維ウェブを含む、フィルター媒体である。
【0009】
また、本明細書に開示されているのは、燃焼ガスろ過における上記燃焼ガスフィルター媒体の使用である。
【0010】
また、本明細書に開示されているのは、燃焼ガス吸気マニホールド、燃焼ガス排気マニホールド、および燃焼ガス吸気マニホールドと燃焼ガス排気マニホールドの間に配置されたろ過装置を含み、ろ過装置が、フィルター媒体(特に本明細書に開示されている燃焼ガスフィルター媒体)を含む、アセンブリである。
【0011】
また、本明細書に開示されているのは、フィルター媒体(特に燃焼ガスフィルター媒体)を作製する方法であって、メタアラミド繊維およびメタアラミドフィブリドを含む完成紙料を湿式堆積させてマットを形成すること、マットを乾燥させて不織繊維ウェブを形成すること、ならびに、好ましくは、不織繊維ウェブをカレンダーにかけることを含む、方法である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】従来のメタアラミドフェルト(例えばニードルパンチフェルト)の表面の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図2】本発明によるフィルター媒体の不織繊維ウェブの表面の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図3】粉塵添加(loading)後のメタアラミドフェルト材料のSEMである。
【
図4】粉塵添加後の本発明によるフィルター媒体のSEMである。
【
図5】粉塵添加とその後のジェットパルス洗浄後のメタアラミドフェルト材料のSEMである。
【
図6】粉塵添加とその後のジェットパルス洗浄後の本発明によるフィルター媒体のSEMである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本明細書に開示されているのは、廃棄物焼却炉、冶金産業プロセス、石炭火力発電所および不要な微粒子を含有する燃焼ガスを発生させる他の産業で使用するフィルター媒体、特に燃焼ガスフィルター媒体である。この媒体は、不織繊維ウェブを含み、湿式堆積法によって、好ましくは乾燥後にカレンダーにかけて生成することができる。この媒体には、メタアラミド繊維とフィブリドの組合せが含まれる。メタアラミド繊維を使用する利点の中には、それらが、優れた機械的強度も提供しながら、湿式堆積操作で同時に使用できることがある。いくつかの他の高温耐性ポリマー(例えばポリイミドおよびPTFE)は、湿式堆積操作での使用に適さない場合があるが、ガラス繊維は、湿式堆積できるものの媒体強度がより低い。メタアラミド繊維は、5を超える(例えば5.1、5.2または5.3)g/デニールの繊維テナシティを有していてもよい。メタアラミド繊維およびフィブリドは、高温耐性-例えば最大200℃まで、を特徴とすることができる。メタアラミド繊維およびフィブリドは、他の繊維またはフィブリドが含まれていない状態で使用される唯一の繊維およびフィブリドである可能性がある。メタアラミドフィブリドは、メタアラミド繊維およびフィブリドの全重量に基づいて、最大20重量パーセントの量で存在する。カレンダーがけは、高密度、強度、および平滑面の達成を容易にする。カレンダーにかけられた媒体に、さらに樹脂、例えばフェノール樹脂をしみこませて、より多くの強度および酸耐性を得ることができる。この媒体は、以下の特性:耐熱性、高温における優れた寸法安定性、酸耐性、ろ過効率、平滑面、またはパルスジェット洗浄に耐えるのに十分な強度の1つまたは複数または全てを示す。「酸耐性」は、本明細書では、本明細書に記載されているように酸サイクリング後にASTM D751に従って決定した破裂強さの少なくとも50%を保持するフィルター媒体を意味する。
【0014】
特定の理論に拘泥するものではないが、メタアラミド繊維およびメタアラミドフィブリドの組合せにより、高密度構造が可能になり、かつ/またはm-アラミドフィブリドが媒体の結合剤として機能し得ると考えられている。これは、特に熱および/または酸環境において、媒体が機械的性質(例えば破裂強さ)を保持することを容易にすることができる。これにより、本明細書に開示されたフィルター媒体が、優れた長期高温耐性、難燃性および寸法安定性を有することが可能になる。メタアラミド繊維は、パラアラミド繊維よりもテナシティが低いが、本発明の媒体におけるメタアラミド繊維およびメタアラミドフィブリドの組合せにより、媒体が任意の関連する欠陥を克服し、本明細書に記載された望ましい特性を有することが可能になる。
【0015】
使用できるメタアラミド繊維(本明細書ではフロックとも呼ばれる)は、任意の既知のメタアラミド繊維であってよい。このようなフロックには、Huvis社およびToray Chemical社から市販されているフロックが含まれる。これらの繊維は、以下:少なくとも0.3または1および最大10または5g/9000m(すなわち0.3~10、または0.3~5、または1~10、または1~5g/9000m)のデニール、および5または10~32または23マイクロメートル(μm)(すなわち5~32、5~23、10~32または10~23マイクロメートル)の繊維直径の1つまたは複数または全てを特徴とし得る。メタアラミド繊維は、既知のプロセス、例えば乾式溶媒紡糸、湿式溶媒紡糸によって製造することができる。以下に論じているように湿式堆積プロセスで使用する場合、メタアラミドフロックは、セグメントに切断され、それは当技術分野でステープルファイバーと呼ぶことができる。一態様では、これらのセグメントは、少なくとも1または3~50または30mm(すなわち1~50、1~30、3~50、または3~30mm)の長さを有していてよい。メタアラミドフロックは、真っ直ぐまたは捲縮であってよい。繊維は、種々の断面形状を有していてよい。例えば、繊維は、不規則または規則的な形状の断面を有していてもよい。種々の断面形状の例には、ドッグボーン、楕円形、三葉状、または円形(丸い)形状が含まれる。丸形は、空気流の制限を少なくするのに役立ち得る。より複雑な形状、例えばドッグボーンは、ろ過に効率をもたらすことができる。一態様によれば、1種類のメタアラミド繊維が使用される。別の態様によれば、異なる特徴(例えば断面形状、直径など)を有する2種以上のメタアラミド繊維の組合せを使用してもよい。
【0016】
使用できるメタアラミドフィブリドは、任意の既知のメタアラミドフィブリドであってよく、320℃超の融点または分解点を有していてよい。当技術分野で周知のように、フィブリドは繊維ではなく、むしろウェブによって相互接続された非顆粒状、繊維状(繊維様)またはフィルム状の粒子である。メタアラミドフィブリドは、0.1または0.2~2または1ミリメートル(mm)(すなわち0.1~2mm、0.1~1mm、0.2~2mm、または0.2~1mmの範囲)の平均長さ、および5:1~50:1のアスペクト比(長さ:幅)を有していてよい。いくつかの態様によれば、フィブリドは、15~50ミクロンの幅寸法を有していてよい。フィブリドウェブの厚さ寸法は、2未満または1mm未満、通常およそ数マイクロメートルオーダーである。フィブリドは、フィルター媒体の製造に使用でき、フィルター媒体の他の成分に物理的に絡ませることによって結合剤として機能し得る。フィブリドは、例えばポリマー溶液が単一ステップで沈殿および剪断される、US 3018091に開示されたタイプのフィブリド化装置によるものを含む、任意の方法によって調製することができる。適当なフィブリドは、Huvis社およびToray Chemical社から市販されている。フィブリドは、媒体で使用されるメタアラミドフロックと同一または異なる化学組成を有していてよい。
【0017】
メタアラミド繊維およびフィブリドは、既知の製紙プロセスによって不織繊維ウェブに形成することができる。一般に、プロセスには、繊維のマットまたはウェブの提供と、好ましくはマットまたはウェブのカレンダーがけが含まれる。マットまたはウェブは、湿式堆積プロセス、エアレイドプロセスまたはフォームレイドプロセスによって作製することができる。一態様によれば、不織繊維ウェブは、任意の従来の「湿式堆積」製紙技術によって作製してもよい。湿式堆積不織繊維ウェブの利点の中には、以下:高密度、優れた強度(例えば少なくとも7kg/cm2の乾燥ミューレン破裂強さ)、平滑面、細孔、および高いフィルター効率の1つまたは複数がある。したがって、例えば、所定量の繊維およびフィブリド(任意選択の成分、例えばガラス繊維、基本的な熱可塑性繊維および/または添加剤などと一緒に)および水は、パルパーまたはビーターに入れてもよい。繊維は、パルパーまたはビーターによって水に均等に混合および分散されて、スラリーバッチを形成する。いくつかの機械的作用を、物理的パラメーター、例えば浸透性、表面特性および繊維構造などに影響を与えるために繊維に対して実施することもできる。スラリーバッチはその後、追加の水が加えられ、繊維が均質にブレンドされる混合チェストに移されてもよい。次いで、ブレンドしたスラリーは、1つまたは複数のスラリーバッチを合わせられ、バッチから連続プロセスに移すことが可能になるマシンチェストに移されてもよい。スラリー粘稠度が定義され、撹拌によって維持されて、繊維の均一な分散を保証する。この点に関しては、スラリーは、物理的パラメーターを調整するために任意選択で精製装置に通してもよい。次いで、スラリー(完成紙料とも呼ばれる)は、移動ワイヤースクリーンに移され、そこで重力および吸引によって水が除去される。水が除去されるにつれて、繊維は、例えば、スラリー流量、機械の速度、および排水パラメーターを含めたいくつかのプロセス変数によって決定される特徴を有する不織繊維ウェブに形成される。紙を圧縮し、かつ/またはその表面特性を改変するために、形成されたマットは、任意選択で、濡れたままの状態で圧縮されてもよい。次いで、湿った繊維マットは、加熱されたローラー(または技術用語で「cans」)で構成される乾燥セクションを通って移動させ、そこで残りの同伴水の大部分が除去されて不織繊維ウェブが形成される。
【0018】
メタアラミド繊維およびフィブリドの相対量は、フィルター媒体の不織繊維ウェブに望ましい特性をもたらすように選択され、それぞれ繊維およびフィブリドの全重量に基づいて、少なくとも80重量パーセントのメタアラミド繊維と、0.1または1または2または3または4重量パーセントのメタアラミドフィブリドから20または15重量パーセント以下のメタアラミドフィブリドであってよい。20重量パーセントより多くフィブリドを含むと、ろ過性能が損なわれるほど隙間のない多孔質構造を有する構造が生じる可能性がある。言い換えれば、フィルター媒体の不織繊維ウェブは、繊維およびフィブリドの全重量に基づいて、80~99.5、80~99、80~98、80~97、80~96、85~99.5、85~99、85~98、85~97、または85~96重量パーセントのメタアラミド繊維を含んでいてよい。さらに、フィルター媒体の不織繊維ウェブは、繊維およびフィブリドの全重量に基づいて、0.1~20、0.1~15、1~20、1~15、2~20、2~15、3~20、3~15、4~20、または4~15重量パーセントのメタアラミドフィブリドを含んでいてよい。本発明の性能を低下させない場合、任意選択で、パラアラミド繊維、ガラス繊維および湿潤/乾燥強度剤を加えてもよい。
【0019】
次いで、不織繊維ウェブをカレンダーにかける。例えば、湿式堆積プロセスでは、形成された不織繊維ウェブは、さらなる加工のためのロールに巻き取られてもよく、またはカレンダーがけセクションに直接送られてもよい。カレンダーがけセクションは、少なくとも1対の対向するカレンダーロールから構成され、湿式堆積繊維の塊を加圧および固結させるように作用する。カレンダーがけは、例えば、100℃または150℃または180℃~250℃または230℃の範囲(100~250、100~230、150~250、150~230、180~250、または180~230℃の範囲)の温度、および例えば1kN/m~150kN/mの範囲の圧力で起こり得る。カレンダー機のライン速度は、例えば、約1m/分~約50m/分の間になるように選択することができる。不織繊維ウェブ中のメタアラミドフロックおよびフィブリドは、この範囲のカレンダー温度で融解できないが、フロックおよびフィブリドは、収縮および加圧され得る。カレンダーがけは、媒体の表面の平滑度を改善し、媒体により高い密度および強度をもたらし、それは燃焼ガスカートリッジフィルターで望ましいことが分かっている。
【0020】
不織繊維ウェブにバインダー樹脂をしみこませることができる。例えば、バインダー樹脂は、任意の従来の手段、例えば浸漬、スプレーコーティング、ローラー(グラビア)塗布などによって不織繊維ウェブに適用することができる。次いで、熱を続いて加えて、しみこませられた不織繊維ウェブを乾燥させ、樹脂を硬化させることができる。バインダー樹脂は、ポリマー、コポリマー、またはその混合物を含んでいてよい。例えば、バインダー樹脂は、フェノール、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンイミン、またはエポキシを含んでいてよい。バインダー樹脂は、好ましくはフェノール樹脂である。バインダー樹脂は、メタアラミドを含む不織繊維ウェブの耐熱性および不燃性特徴を損なうことなく、媒体の強度および酸耐性を改善するために選択される。例えば、フェノール樹脂は、Kangnam Chemical社およびKolon Chemical社から商業的に供給され得る。不織繊維ウェブは、カレンダーがけ後にフェノール樹脂をしみこませることができる。代替的にまたは加えて、不織繊維ウェブは、カレンダーがけ前にフェノール樹脂浸透によってしみこませることができる。
【0021】
不織繊維ウェブを含むフィルター媒体は、以下の特性の1つまたは複数または全てを有していてよい。
【0022】
フィルター媒体の不織繊維ウェブは、少なくとも80、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、または少なくとも250グラム/m2の基本重量または坪量を有していてよい。
【0023】
フィルター媒体の不織繊維ウェブは、0.3または0.5~3または2mm(すなわち0.3~3、0.3~2、0.5~3、または0.5~2mm)の厚さを有していてよい。媒体のカリパー(厚さ)は、国際標準化機構(ISO)規格ISO 534(2011)、「Paper and board-Determination of thickness, density and specific volume」に従って測定される。さらに、フィルター媒体の不織繊維ウェブは、少なくとも0.3g/cm3の密度を有していてよい。
【0024】
フィルター媒体の不織繊維ウェブは、150マイクロメートル(μm)以下、または120μm以下、または100μm以下の最大孔径を有していてよい。平均孔径は、20または30または40マイクロメートル~100μmまたは90μmまたは80μm(平均孔径範囲20~100、20~90、20~80、30~100、30~90、30~80、40~100、40~90、40~80μm)であってよい。孔径(μm)は、米国材料試験協会(ASTM)規格316-03(2011)によって決定される。
【0025】
フィルター媒体の不織繊維ウェブは、それぞれASTM D751に従って決定される、1平方センチメートル当たり少なくとも7、または少なくとも10、または少なくとも12キログラム(kg/cm2)の乾燥ミューレン破裂強さを有していてよい。
【0026】
フィルター媒体の不織繊維ウェブは、酸サイクル試験後にASTM D751に従って決定した、その元の乾燥ミューレン破裂強さの少なくとも50%または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも75%または少なくとも80%を保持し得る。酸サイクル試験は、試料を1N硫酸溶液に5分間浸漬し、次いで350°F(175℃)で10分間熱曝露し、4サイクル繰り返すことを含む。
【0027】
フィルター媒体(および/または不織繊維ウェブ)は、以下のようにISO5011試験規格に従って「空気試験」によって試験される:100cm2面積のフィルター媒体は、100mg/m3の粉塵濃度および20cm/sの面速度でISO A2ファインテストダストに挑戦する。粉塵捕捉効率は、光検出器を用いて測定される。効率は、各粒径について報告され、式[1-(C/C0)]*100%を用いて測定され、ここでCは、フィルター媒体通過後の測定された粉塵濃度であり、C0は、フィルター媒体通過前の濃度である。本発明のフィルター媒体のろ過効率は、90%であり、または直径2.5μmの粒子では95%を超える。Palas MFP1000機器は、空気試験に使用することができる。
【0028】
本明細書に開示されたフィルター媒体の不織繊維ウェブは、高温耐性を有していてよい。例えば、媒体は、英国規格4790に従って試験した場合に発火しない。媒体は、最大200℃の温度耐性を有することができる。さらなる例として、乾燥器中205℃で2時間後の媒体の収縮率は、2%未満、または1%未満、または0.75%未満である。
【0029】
フィルター媒体の不織繊維ウェブは、ASTM規格D737:繊維布の通気性に関する標準試験法(Standard Test Method for Air Permeability of Textile Fabrics)に従って、125Paで1分当たり少なくとも15または少なくとも20立方フィートの浸透性を有し得る。
【0030】
図1に示すとおり、従来のメタアラミドフェルトまたはニードルパンチフェルト媒体の表面は、非常に開放的な構造であり、表面が粗いため、パルスジェット洗浄システムを採用した燃焼ガスカートリッジフィルターに適していない。対照的に、本明細書に開示されているフィルター媒体は、
図2に示すとおり、より高密度な構造および/または平滑な表面をもたらし得る。湿式堆積プロセスおよび熱カレンダー処理は、そのような構造および/または表面を達成するのに有効である。
【0031】
不織繊維ウェブは、1つまたは複数の他の層に積層することができる。例えば、上記の不織繊維ウェブ(第1の不織繊維ウェブ)は、第1の不織繊維ウェブと同じまたは異なる第2の不織繊維ウェブに積層してもよい。別の例として、不織繊維ウェブは、ポリマーシート、フィルムまたは膜などの別の基材に積層してもよい。このような材料の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜が含まれる。このような積層された構造は、最大200℃の優れた高温耐性を示す可能性がある。フィルター媒体は、ワイヤーバッキングで提供することができる。
【0032】
媒体は、燃焼ガスろ過用のカートリッジフィルターに使用することができる。燃焼ガスフィルターアセンブリは、燃焼ガス吸気マニホールド、燃焼ガス排気マニホールド、および燃焼ガス吸気マニホールドと燃焼ガス排気マニホールドの間に配置された少なくとも1つのカートリッジフィルターを含み、少なくとも1つのカートリッジフィルターは、フィルター媒体を含む。フィルター媒体は、例えばワイヤーケージサポートを介して支持することができる。フィルター媒体は、ろ過装置の取り外し可能なカートリッジとして提供することができる。
【0033】
媒体はまた、他のガスろ過または液体ろ過などの他のろ過で使用することもできる。
本発明を以下の非限定的な実施例によってさらに例示する。
【実施例】
【0034】
実施例で使用する材料は、表1に記載されている。
【0035】
【0036】
実施例1-フィルター媒体の調製
4wt%メタアラミドフィブリド、48wt%のメタアラミドフロック-1、および48wt%メタアラミドフロック-2の繊維配合で、手すき紙形成機によって手すき紙を調製した(例えばJIS P8209「パルプ試験用手すき紙調製方法(Method of Preparing Handsheets for Pulp-testing)」を使用)。繊維スラリーの粘稠度は、1.5%(すなわち水中1.5%固形分)であった。Huvis社のメタアラミドフロック-1は、湿式溶媒紡糸法によって製造されており、それは丸形であるため、空気流の制限が少ない場合に適している。Toray Chemical社のメタアラミドフロック-2は、乾式溶媒紡糸法によって製造されており、その繊維断面がドッグボーンのため、高効率に適している。手すき紙を、50kN/mの圧力で170℃において熱カレンダーがけによって処理し、熱カレンダーがけの機械速度は4m/分であった。カレンダーがけ後、媒体にフェノール樹脂をしみこませ、乾燥器によって完全に硬化させた。しみこませられた媒体の樹脂含有量は、30wt%であった。媒体は、表2に示す特性を有していた。表2にさらに示されているのは、市販されているm-アラミドバッグフィルターの特性である。
【0037】
【0038】
通気性は、ASTM規格D737:繊維布の通気性に関する標準試験法に従って決定された。媒体を通る空気流は、試料1平方フィート当たり1分当たりの立方フィートで報告される(cfm/sfまたはcfm)。
【0039】
乾燥ミューレン破裂強さは、ASTM D751に従って決定した。
孔径は、米国材料試験協会(ASTM)規格316-03(2011)に従って決定した。
【0040】
実施例2-乾燥収縮率の試験。
試料を乾燥器内に205℃で2時間配置する前および配置後に試料の寸法を測定することによって、収縮率を評価した。(表3参照)収縮率は、0.67%である。これは、205℃で2時間乾燥加熱した後の収縮率の所望の仕様である2%未満より勝っている。
【0041】
【0042】
実施例3-熱および炎耐性の試験
英国規格4790(繊維床材に対する小さな発火源の影響を決定する方法(Determination of the effects of a small source of ignition on textile floor coverings)(溶銑ナット法(hot metal nut method)))に従って熱および炎の耐性について試験片を試験した。この試験方法は、発火源の影響を決定する。この試験を実施するために、金属ナットは、マッフル炉で最大900℃まで加熱し、次いでフィルター媒体上に30秒間曝露される。結果を表4に示す。不織媒体は、この試験では発火しなかった。
【0043】
【0044】
実施例4-酸耐性試験
酸耐性特性を決定するために、試験片を1N硫酸溶液中で試験し、この方法は、5分間の浸漬および350°F(175℃)への10分間の熱曝露の4サイクルからなる。従来の100%m-アラミドフィルターバッグ媒体は、酸サイクル試験後にその元の乾燥ミューレン破裂強さ(ASTM D751)の約10%を保持する。結果を表5に示し、ここでkgf/cm2は、1平方センチメートル当たりの重量キログラムである。本明細書に記載されている媒体は、酸サイクル試験後にその元の乾燥ミューレン破裂強さの86.6%を保持する。
【0045】
【0046】
実施例5-ろ過効率試験
本発明の媒体の手すき紙は、ISO A2ファインダストでPalas MFP 1000機器を使用して、本明細書に記載されているように空気試験で試験した。粒径2.5μm(PM2.5)における効率は、約95%である。
【0047】
実施例6
追加の手すき紙は、実質的に実施例1に記載されているプロセスに従って作製したが、フィブリドの量は様々に異なる。加えて、配合にフィブリドが含まれていなかった場合、フィルター媒体は、不十分な結合によって十分に形成されなかったことがわかった。フィブリドが多すぎる場合、効果的に使用するには通気性が低くなりすぎる。表6参照。
【0048】
【0049】
実施例7-パルスジェット洗浄
実施例1に記載されているプロセスに従って作製したフィルター媒体とメタアラミドフェルトフィルターバッグからの試料を、粉塵添加およびジェットパルス洗浄について比較した。粉塵添加の場合、試料は、RBG 1000の設定値が1030rpm、8mm/時で20分間、ISO A2ファインダスト用のPalas MFP1000に配置された。パルス洗浄の場合、5kgf/cm
2の圧縮空気を、フィルター試料の清浄な側に30秒間向けた。空気銃と試料の間の距離は15cmであった。試料を切断し、走査型電子顕微鏡(SEM)下で断面を粉塵添加およびパルス洗浄後に調べた。
図3は、金属アラミド(metal aramid)フェルトフィルターバッグ材料の粉塵添加を示すSEMである。
図4は、実施例1のようにフィルター媒体の粉塵添加を示すSEMである。SEMは、実施例1のフィルター媒体が、メタアラミドフェルトフィルター材料と比較して表面により多くの粉塵を補足することを示す。
図5は、パルス洗浄後のメタアラミドバッグフィルター媒体を示すSEMであり、依然として媒体の中にある粉塵を示す。
図6は、実施例1のようなパルス洗浄後のフィルター媒体を示すSEMであり、ジェットパルス洗浄後に得られた清浄な表面を示す。
【0050】
本開示は、以下の態様によってさらに例示され、これは請求項を制限するために意図されるものではない。
【0051】
態様1。フィルター媒体、好ましくは燃焼ガスフィルター媒体であって、それぞれ繊維とフィブリドの合計量に基づいて、少なくとも80重量パーセントのメタアラミド繊維および0.1~20重量パーセントのメタアラミドフィブリドを含む不織繊維ウェブを含む、フィルター媒体。
【0052】
態様2。不織繊維ウェブがカレンダーにかけられた、態様1に基づくフィルター媒体。
態様3。不織繊維ウェブが、バインダー樹脂、好ましくはフェノール樹脂をさらに含む、態様1または2に基づくフィルター媒体。
【0053】
態様4。不織繊維ウェブが、150マイクロメートル、120マイクロメートル、または100マイクロメートルの最大孔径、あるいは20~100、または20~80マイクロメートルの平均孔径の一方または両方を有し、ここで、孔径(μm)は、米国材料試験協会(ASTM)規格316-03(2011)によって決定された、先行する態様のいずれかに基づくフィルター媒体。
【0054】
態様5。不織繊維ウェブが、1平方メートル当たり少なくとも80、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、または少なくとも250グラムの坪量を有する、先行する態様のいずれかに基づくフィルター媒体。
【0055】
態様6。不織繊維ウェブが、1平方センチメートル当たり少なくとも7または少なくとも10キログラムの乾燥ミューレン破裂強さを有する、先行する態様のいずれかに基づくフィルター媒体。
【0056】
態様7。不織繊維ウェブが、4サイクルの酸サイクリング後に、ASTM D751に従って決定されるその乾燥ミューレン破裂強さの少なくとも75%または少なくとも80%を保持する、態様6に基づくフィルター媒体。
【0057】
態様8。ISO5011空気試験規格を使用した本明細書に記載されている空気試験において粒径2.5μmで少なくとも約90%、または少なくとも約95%のろ過効率を有する、先行する態様のいずれかに基づくフィルター媒体。
【0058】
態様9。不織繊維ウェブが、乾燥器中205℃で2時間後に2%未満の収縮率を有する、先行する態様のいずれかに基づくフィルター媒体。
【0059】
態様10。不織繊維ウェブが、少なくとも0.3g/cm3の密度を有する、先行する態様のいずれかに基づくフィルター媒体。
【0060】
態様11。最大200℃の温度耐性を有する、先行する態様のいずれかに基づくフィルター媒体。
【0061】
態様12。先行する態様のいずれかのフィルター媒体を製造するための方法であって、メタアラミド繊維およびメタアラミドフィブリドを含む完成紙料を湿式堆積させてマットを形成すること、マットを乾燥させて不織繊維ウェブを形成すること、ならびに任意選択で不織繊維ウェブをカレンダーにかけることを含む、方法。
【0062】
態様13。不織繊維ウェブにバインダー樹脂をしみこませ、次いで前記バインダー樹脂を硬化させることをさらに含む、態様12に基づく方法。
【0063】
態様14。しみこませることが、カレンダーがけ後に行われる、態様13に基づく方法。
【0064】
態様15。カレンダーがけが、高温で行われる、態様12~13のいずれか1つに基づく方法。
【0065】
態様16。カレンダーにかけた燃焼ガス不織フィルター媒体であって、20~80マイクロメートルの平均孔径、100マイクロメートルの最大孔径、1平方センチメートル当たり少なくとも7キログラムの乾燥ミューレン破裂強さ、酸サイクリング後の乾燥ミューレン破裂強さの75%の保持、2.5ミクロンの粒子に対する少なくとも90%のろ過効率、および乾燥器中205℃で2時間加熱後の2%未満の収縮率を特徴とする不織繊維ウェブを含む、フィルター媒体。
【0066】
態様17。不織繊維ウェブに積層された第2の材料をさらに含む、態様1~11または16のいずれかに基づくフィルター媒体。
【0067】
態様18。第2の材料は、第2の不織繊維ウェブである、態様17に基づくフィルター媒体。
【0068】
態様19。第2の材料は、ポリマーシートまたはフィルム、好ましくはポリテトラフルオロエチレンである、態様17に基づくフィルター媒体。
【0069】
態様20。燃焼ガスろ過において態様1~11または16~19のいずれかのフィルター媒体を使用すること。
【0070】
態様21。燃焼ガス吸気マニホールド、燃焼ガス排気マニホールド、および燃焼ガス吸気マニホールドと燃焼ガス排気マニホールドの間に配置されたろ過装置を含み、ろ過装置が、態様1~11または16~19のいずれかの燃焼ガスフィルター媒体を含む、燃焼ガスフィルターアセンブリ。
【0071】
組成物、物品、デバイス、および方法は、代替的に、本明細書に開示された任意の適切な構成要素またはステップを、含む、それらからなる、または本質的にそれらからなっていてよい。組成物、物品、デバイス、および方法は、付加的に、または代替的に、本明細書に記載された機能または目的の達成にその他の場合に必要がない任意のステップ、構成要素、材料、原料、アジュバント、種、構成要素、またはステップを欠くか、または実質的に含まないように考案することができる。「組合せ」は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを含む。用語「第1の」、「第2の」などは、どのような順序、数量、又は重要度を意味するものではなく、むしろ1つの要素を別の要素と区別するために用いられる。用語「a」および「an」および「the」は、数量の限定を意味するものではなく、本明細書で特に指示がない限り、または文脈によって明確に矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈される。「または」は、特に明記されていない限り「および/または」を意味する。本明細書全体を通じて、「ある態様」、「別の態様」、「することができる(can be)」、「有していてよい(can have)」などへの言及は、態様に関して記載された特定の要素が、本明細書に記載されている少なくともいくつかの態様に含まれており、他の態様に存在する場合もあり、存在しない場合もあることを意味する。これに加えて、記載された要素は、種々の態様において任意の適切な方法で組み合わせることができることを理解されたい。
【0072】
本出願の数値は、特にポリマーまたはポリマー組成物に関係する場合、平均値を反映している。反対の指摘がない限り、数値には、有効数字と同数に減らした場合と同じ数値と、値を決定するために本明細書に記載したタイプの従来の測定技術の実験誤差よりも小さい値だけ記載された値と異なる数値が含まれる。本明細書に開示した全ての範囲は、列挙された端点を包含し、それぞれ独立に組合せ可能である(例えば、「2~10g、好ましくは3~7g」の範囲は、端点、2g、7g、および10g、3~10gなどの範囲、およびすべての中間値を包含する)。全ての試験方法は、本出願の優先日現在、事実上最新のものである。その上、記載されている上限値と下限値を組み合わせて範囲を形成することができる(例えば「少なくとも1または少なくとも2重量パーセント」および「最大10または5重量パーセント」は、範囲「1~10重量パーセント」、または「1~5重量パーセント」または「2~10重量パーセント」または「2~5重量パーセント」として組み合わせることができる)。
【0073】
特に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を持っている。引用した特許、特許出願、および他の参照文献の全てを、参照によりその全体を本明細書に組み込むものとするが、本出願中の用語が組み込まれた参考文献の用語と対立する場合、本出願からの意味が組み込まれた参考文献からの対立する用語に優先される。
【0074】
本明細書に開示された材料、方法、および実施例は、一例にすぎず、限定を意図するものではない。本明細書で記載するものと類似または同等の方法および材料は、本開示の実施および試験で使用できるが、好ましい方法および材料は本明細書に記載されている。