(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】吊るされた半身の豚の枝肉からの前端の切断
(51)【国際特許分類】
A22C 17/06 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
A22C17/06
(21)【出願番号】P 2021563619
(86)(22)【出願日】2020-05-01
(86)【国際出願番号】 EP2020062203
(87)【国際公開番号】W WO2020225154
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-04-10
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】516063290
【氏名又は名称】マレル・ミート・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Marel Meat B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】メールディンク,ヤン ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル ステーン,フランシスクス テオドルス ヘンリクス ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】エーベルヘン,アドリアーン
(72)【発明者】
【氏名】クラーネンバルフ,ローナルト
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-031916(JP,A)
【文献】国際公開第2012/056793(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0034201(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 17/06
A22B 5/00、5/20
B26D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリヤ(15)から少なくとも部分的に自由に吊り下げられている半身の豚の枝肉部分(10)を処理する方法であって、このキャリヤは、半身の豚の枝肉部分の脚部に係合し、
・半身の豚の枝肉部分の肋骨の位置を検出し、
・隣接する第1および第2の目標の肋骨の位置を特定し、特定された前記位置に基づいて、
・第1及び第2の目標の肋骨の間を切断装置(70)で切断し、
・前記肋骨での切断を基準として背骨を切断することにより、前端を、半身の枝肉部分の枝肉の中間部分から分離装置(90)で分離する方法。
【請求項2】
前記隣接する第1及び第2の目標の肋骨は、第3及び第4の肋骨を含み、前記切断は肩甲骨(45)の先端に至るまで実行され、前記切断は前端部分を前記半身の豚の枝肉部分(10)の残りの肋骨から重力によって部分的に分離させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記隣接する第1及び第2の目標の肋骨は、第4及び第5の肋骨を含み、前記切断により、前記切断された前端部分が、前記半身の豚の枝肉部分(10)の残りの肋骨から重力によって部分的に分離させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記切断装置(70)は、前記肩甲骨(45)まで完全に自動的に切断を行うためのロボットアームを含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項5】
前記半身の豚の枝肉部分の前記肋骨の位置の検出は、検出装置(50)によって実行される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記検出装置(50)は、
・前記半身の豚の枝肉部分の片側及び/又は両側の3次元画像データをスキャンして生成するためのレーザスキャナと、
・半身の豚の枝肉部分の片側又は両側の3次元画像データを撮像するためのデジタル撮像装置と、
・半身の豚の枝肉部分の肋骨の位置を含む、半身の豚の枝肉部分の内部骨構造を示すX線データを撮像するためのX線装置と、
のうち1つ以上を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第1及び第2の目標の肋骨の位置を特定するために、検出装置(50)に接続された処理ユニットを使用して検出されたデータを処理することをさらに含む、請求項5又は請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記処理ユニット(60)によって前記切断装置(70)を操作して、前記第1及び第2の目標の肋骨の間を自動的に切断することをさらに含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記処理ユニットによって前記分離装置(90)を動作させ、前記肋骨での切断を基準として背骨を切断することにより、前記半身の枝肉部分の枝肉の中間部から前記前端を自動的に切断する請求項
7又は請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記分離装置(90)が、シザーナイフとのこぎりのうち1つ以上から選択される、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1及び第2の目標の肋骨の間の切断装置(70)による前記切断は、第1及び第2の目標の肋骨の間に切断された肋骨、第1及び第2の目標の肋骨の間の肉および/または肋骨軟骨部分に切断された肋骨のような肋骨での切断を形成する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
半身の豚の枝肉部分の脚部に係合するキャリヤ(15)から少なくとも部分的に自由に吊り下げられた半身の豚の枝肉部分(10)を処理するための装置であって、
・前記半身の豚の枝肉部分の肋骨の位置を検出のための検出装置と、
・隣接する第1及び第2の目標の肋骨の位置を特定するための特定装置と、
・第1及び第2の目標の肋骨の間の特定された位置に基づいて、前端部分を半身の豚の枝肉部分の残りの肋骨から重力によって部分的に分離させる切断装置(70)と、
・肋骨での切断を基準として背骨を切断することにより、前端を半身の枝肉部分の中間部から分離するための分離装置(90)と、を含む装置。
【請求項13】
前記第1及び第2の目標の肋骨の間の切断装置(70)による前記切断は、第1及び第2の目標の肋骨の間に切断された肋骨、第1及び第2の目標の肋骨の間の肉および/または肋骨軟骨部分に切断された肋骨のような肋骨での切断を形成する請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記検出装置(50)は、
・前記半身の豚の枝肉部分の片側及び/又は両側の3次元画像データをスキャンして生成するためのレーザスキャナと、
・半身の豚の枝肉部分の片側又は両側の3次元画像データを撮像するためのデジタル撮像装置と、
・半身の豚の枝肉部分の肋骨の位置を含む、半身の豚の枝肉部分の内部骨構造を示すX線データを撮像するためのX線装置と、
のうち1つ以上を含む請求項12又は請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭上枝肉搬送システムのキャリヤから吊り下げられた吊り下げ体である四本足の屠殺された動物の枝肉部分の除骨に関する。特に、本発明は、吊るされた半身(half)の枝肉から前端(fore end)を切り離す、半身の枝肉の分割に関する。
【背景技術】
【0002】
枝肉部分の脚部の穴に係合するキャリヤから吊り下げられた屠殺動物の枝肉部分を搬送することが知られている。枝肉部分は、内臓が取り出され、洗浄された半身の枝肉であってもよい。使用されるキャリヤは、互いに対向する2つのキャリヤ端部を有するギャンブレル(gambrel)型でもよく、クロスバーと一緒に結合されていてもよい。クロスバーは、頭上搬送コンベヤシステムと協働する吊り下げ設備を有する。別のタイプのキャリヤは、尖った端部と釣り用のキャリヤのような形状のキャリヤ部分を有するユーロフック(Euro Hook)の変形であってもよい。ユーロフックはまた、ギャンブレル型で使用されたものと同様の頭上搬送コンベヤシステムと協働する吊り下げ設備を有する。単一のキャリヤは、DIN5047(食肉や他の食品のキャリヤ;管状軌道摺動キャリヤ)に従うことができる。
【0003】
慣例として、豚の半身の枝肉は、除骨及び他の処理に進む前に、前端、中間部、及び、後端(又はもも肉)に分割される。3つの部分への分割は、半身の枝肉部分が水平に配置された、処理テーブル上で行われてもよく、又は、半身の枝肉部分が静止しているか移動しているかのどちらかで、まだ吊り下げられているときに実行されてもよい。切断自体は、のこぎり型回転刃を使用して行われる。これは、いくつかの認識された欠点を有する。第1に、生成される製品の品質を低下させる、過剰な量の肉及び骨のダストが生成される。第2に、肋骨部分を横切る切断は肋骨を切断し、肩甲骨を横切る切断は肩甲骨の一部を切り取り、消費者の評価を損なう鋭利な骨の端を残す。第3に、ももと中間部との間の切断は、のこぎり型回転刃によって行われる直線的な切断のために、中間部に高品質の肉が大量に残る。
【0004】
特開2013-31916号公報には、枝肉分割装置が、レールに沿って直列に配置された前側体分割部と、後側体分割部とを有することが記載されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、好ましくは、上記の不利な点の1つまたは複数を単独でまたは任意の組み合わせで軽減、緩和、または除去しようとするものである。特に、本発明の実施形態の目的は、キャリヤから少なくとも部分的に自由に吊さげられた半身の豚の枝肉部分を処理する方法を提供することであって、ここで、キャリヤは半身の豚の枝肉部分の後脚に係合する。
【0006】
一実施形態によれば、キャリヤから少なくとも部分的に自由に吊り下げられた半身の豚の枝肉部分の処理方法が提供され、このキャリヤは、半身の豚の枝肉部分の脚部に係合し、
・半身の豚の枝肉部分の肋骨の位置を検出し、
・隣接する第1および第2の目標の肋骨の位置を特定し、特定された位置に基づいて、
・第1及び第2の目標の肋骨の間を切断装置で切断し、(それによって、例えば、第1および第2の目標の肋骨の間の肋骨での切断や、第1および第2の目標の肋骨の間の肉および/または肋骨軟骨部分の肋骨での切断などの肋骨での切断を形成する)
この方法は、さらに、以下のステップを含む。
・この肋骨での切断を基準として背骨を切断することにより、前端を半身の枝肉部分の枝肉の中間部分から分離装置で分離する。
【0007】
本発明によって得られ得る利点は、脊椎の切断を開始する際に必要な精度が低く、より速く、より確実に成功し、および/または、例えば、シザーナイフまたは回転ナイフまたは回転のこぎり等の分離装置を、肋骨での切断が存在する背骨の側面から背骨に向かって、背骨を通過する方向に移動するなど、背骨を切り抜くことができる所定の位置に持ってくるためにより効率的である。このことの可能な理由は、肋骨間の枝肉の比較的大きな分割(半身の豚の枝肉部分の脚部に係合するキャリヤから少なくとも部分的に自由に吊り下げられている半身の豚の枝肉部分での重力の引っ張りによる)により、分離装置のターゲットが作成されことで(例えば、結果として得られる肋骨での切断などの最初のステップでの切断を、2番目のステップのランドマークとして利用できるようにするなど)、例えば、枝肉の裏側(脊椎)側からの切断、および/または、第1及び第2の目標の肋骨の間の切断装置による切断前の前面(肋骨)側からの分離装置による切断と比較して、背骨の切断が容易になり、背骨の切断を開始する際の精度が低くなり、より速く、より確実に成功し、および/またはより効率的である。
【0008】
別の態様によれば、方法は、以下のステップを有することができる。
・半身の豚の枝肉部分の少なくとも1つの特徴的な性質を検出し、
・隣接した第1及び第2の目標の肋骨の位置を特定し、特定位置に基づいて、
・第1及び第2の目標の肋骨の間の切断装置で切断する。
【0009】
この方法を使用すると、得られる製品の収率と一貫性が向上し、切断の汚れが少なくなり、得られる製品(肋骨)に鋭いエッジがなくなる。これは、例えばのこぎりを使用する代わりに、半身の枝肉部分の背骨まで円滑に切断可能だからである。このようにして、より良い収率およびより良い外観の最終製品が結果として得られる。
【0010】
一実施形態において、第1及び第2の目標の肋骨間の切断装置による切断は、第1および第2の目標の肋骨の間に切断された肋骨、例えば、第1および第2の目標の肋骨の間の肉および/または肋骨軟骨部分の肋骨での切断を形成することが理解される。
【0011】
隣接する第1及び第2の目標の肋骨は第3及び第4の肋骨を含んでいてもよく、切断は肩甲骨の先端に至るまで実行され、この切断によって、前端部分(fore end potion)を半身の豚の枝肉部分の残りの肋骨から重力によって部分的に分離させる。このことの可能な利点は、肩甲骨を切断および/または切断装置のための自然停止として機能し、利用できることによって実現できる。
【0012】
あるいは、隣接する第1及び第2の目標の肋骨は、第4及び第5の肋骨を含み、切断によって、その前端部分を半身の豚の枝肉部分の残りの肋骨から重力によって部分的に分離させる。
【0013】
一実施形態では、半身の豚の枝肉部分の肋骨の位置を検出するステップは、検出装置によって実行されてもよい。
【0014】
一実施形態では、半身の豚の枝肉部分の肋骨の位置を含む、半身の豚の枝肉部分の少なくとも1つの特徴的な特性を検出するステップは、検出装置によって実行されてもよい。
【0015】
一実施形態では、検出装置は、以下の1つ以上を含む。
・半身の豚の枝肉部分の片側及び/又は両側の3次元画像データをスキャンして生成するためのレーザスキャナ、
・半身の豚の枝肉部分の片側又は両側の3次元画像データを撮像するためのデジタル撮像装置、及び、
・半身の豚の枝肉部分の肋骨の位置を含む、半身の豚の枝肉部分の内部骨構造を示すX線データを撮像するためのX線装置。
【0016】
この方法は、第1及び第2の目標の肋骨の位置を特定するために、検出装置に接続された処理ユニットを使用して検出されたデータを処理することをさらに含んでもよい。
【0017】
この方法は、処理ユニットによって切断装置を作動させて、第1及び第2の目標の肋骨の間の軟骨部を自動的に切断することをさらに含んでもよい。
【0018】
あるいは、半身の枝肉に対して適切な位置に配置されたオペレータによって、1つ以上の切断が手動で実行されてもよい。
【0019】
この方法は、処理ユニットによって分離装置を操作して、肋骨での切断を基準として背骨を切断することにより、前端を半身の枝肉部分の枝肉の中央部分から自動的に切断することを含んでもよい。
【0020】
一実施形態では、分離装置は、シザーナイフ、または、のこぎりを含むことができる。
【0021】
本発明の第2の態様では、半身の豚の枝肉部分の脚部に係合するキャリヤから少なくとも部分的に自由に吊り下げられた半身の豚の枝肉部分を処理するための装置であって、
・半身の豚の枝肉部分の肋骨の位置検出のための検出装置と、
・隣接する第1及び第2の目標の肋骨の位置を特定するための特定装置と、
・第1及び第2の目標の肋骨の間と特定された位置に基づいて、前端部分を半身の豚の枝肉部分の残りの肋骨から重力によって部分的に分離させる切断装置と、
・肋骨での切断を基準として背骨を切断することにより、前端部を半身の枝肉部分の中間部から分離するための分離装置と、を含む。
【0022】
「検出ユニット」は、本発明における「検出装置」と置き換え可能であるように理解することができ、ここで、「検出装置」は、「キャリヤから少なくとも部分的に自由に吊り下げられた半身の豚の枝肉部分を処理するための装置」(の、例えばサブユニット)とは異なる。
【0023】
別の態様によれば、半身の豚の枝肉部分の脚部に係合するキャリヤから少なくとも部分的に自由に吊り下げられた半身の豚の枝肉部分を処理するための装置であって、
・半身の豚の枝肉部分の肋骨の位置を含む半身の豚の枝肉部分の少なくとも1つの特徴的な特性を検出する検出ユニットと、
・特定された位置に基づいて、第1及び第2の目標の肋骨の位置を特定するための特定装置と、
・第1及び第2の目標の肋骨の間の切断装置によって切断するための切断装置と、を含む。
この切断により、前端部分が重力によって半身の豚の枝肉部分の残りの肋骨から部分的に分離される。
【0024】
一実施形態において、切断装置は、肩甲骨まで完全に自動的に切断するためのロボットアームに取り付けられ得る任意のタイプの切断ブレードを含むことができる。
【0025】
一実施形態によれば、切断装置は、肩甲骨まで完全に自動的に切断を行うためのロボットアームを含む。
【0026】
一実施形態によれば、分離装置は、基準としての肋骨での切断を使用して背骨を切断することによって、半身の枝肉部分の枝肉の中間部分からの前端の分離を完全に自動的に行うロボットアームを含む。
【0027】
この切断はまた、半手動または完全手動であってもよく、例えば、オペレータは、例えば、基準マーカを介して、切断を開始するように通知されてもよい。
【0028】
切断装置は、さらに、豚の半身の枝肉の残りから前端部分を完全に分離するために切断されたシザーカットを備えていてもよい。
【0029】
一実施形態によれば、第1及び第2の目標の肋骨の間の切断装置による前記切断は、第1及び第2の目標の肋骨の間に切断された肋骨、例えば、第1及び第2の目標の肋骨の間の肉および/または肋骨軟骨部分に切断された肋骨のような肋骨での切断を形成する。
【0030】
従って、本発明の方法および装置は、とりわけ、吊り下げられた半身の枝肉を前端、中間部分及びももに分離する完全自動化を可能にする。さらに、各部分の収量は、少なくとも部分的に手動で方法を実施する場合であっても、筋肉の輪郭に沿って又は肋骨に沿って正確な切断を可能にすることによって最適化される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【
図1】本発明の一実施形態に係る頭上搬送システムから吊り下げられた半身の枝肉を示す概略側面図。
【
図2】第3の肋骨と第4の肋骨との間の基準点において第1の切断がなされた後の半身の枝肉を示す概略側面図。
【
図3】第1の切断後の半身の枝肉を示す概略側面図であり、第2の切断の準備をしている。
【
図4】第2の切断がなされ、前端が枝肉の残りの部分から分離された後の、半身の枝肉を示す概略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1を参照すると、豚の半身の枝肉10は、有利には内臓が取り出され、洗浄され、頭上搬送システム20のキャリヤ15から吊り下げられている。搬送システムは、単純なシングルフックコンベアシステム20として描かれているが、任意のタイプの適当なキャリヤを使用して、豚の半身の枝肉を搬送するのに適した任意のタイプの頭上搬送システムであってもよい。当業者によく知られているいくつかの適切な公知の搬送システムがある。
【0033】
半身の枝肉10は、枝肉の後脚25の穴18を介してキャリヤ15から吊り下げられている。半身の枝肉は、自由に吊り下げられた前脚30を有する。半身の枝肉は、前の動作(図示せず)において、脊椎に沿って全体の枝肉を分割した後に見える脊椎部分35を有する。また、肋骨領域40には、多数の肋骨が視認可能である。
【0034】
半身の枝肉部分の処理を開始するために、半身の豚の枝肉10の少なくとも1つの特徴的な特性が、例えば検出装置50を使用して検出され、検出装置50は、
・半身の豚の枝肉10の片側および/または両側の3次元画像データをスキャンして生成するためのレーザスキャナと、
・半身の豚の枝肉10の片側および/または両側の3次元画像データを撮像するためのデジタル撮像装置と、
・半身の豚の枝肉部分の肋骨の位置を含む、半身の豚の枝肉部分の内部骨構造を示すX線データを撮像するためのX線装置と、のうち1つ以上を含むことができる。
【0035】
得られたデータ、例えばX線データは、基準点Aを決定するための制御処理ユニット60によって処理されてもよく、基準点Aは、ここに示されるように、肋骨に隣接する豚の端部に位置しているので、脊椎に隣接していない。図示のように、肩甲骨45は、脊椎および最初の4つの肋骨に隣接する豚の筋肉の塊に埋め込まれ、点線で示されている。
【0036】
特定された位置に基づいて、基準点Aが特定され、その位置が制御および処理ユニット60のメモリに記憶されるか、またはその位置が豚の枝肉上に直接マークされる。マーキングは、例えば、第1の切断を開始する場所のオペレータに知らせるために可視光線(図示せず)または食用染料(または他の形態の表示)を使用して行うことができ、または、例えば、ロボットアームを使用して自動的に第3及び第4肋骨の間でこの切断を行うことができる自動切断装置70を使用することができる。
【0037】
第1の切断は、切断刃75を含む切断装置70によって行われ、切断刃75は、第3および第4の肋骨(または第4および第5)の間の肋骨軟骨部分を肩甲骨45まで切断するように構成される。切断により、第1から第3(または第4)の肋骨を含む前端部分80が、重力によって、半身の豚の枝肉10の残りの肋骨から部分的に分離される。
図2は、第1の切断が行われた後の状態を示している。
【0038】
その後、
図3に示すように、分離ブレード95を有する分離装置90は、第4(又は第5)肋骨と肩甲骨との間の枝肉接続部を切断し、さらに、半身の豚の枝肉部分の背骨35を横切って、半身の豚の枝肉部分の後ろまで切断し、第1の切断部を基準として、半身の豚の枝肉10の残りの部分から前端部80を分離する。肩甲骨は軟骨(月骨(moon bone))を含み、本発明による方法を使用して、第2の切断を行うときに、肩甲骨または軟骨のいずれかを切断することが回避される。
【0039】
分離ブレード95は、例えば、シザーナイフ、または肉および骨のダストを残さずに枝肉をきれいに切断する他の切削工具であってもよい。切断装置70および分離装置90の両方に1つの多関節ロボットアームを使用することが可能である。ロボットアームは、第1の切断のための第1の切断ブレード75から第2の切断のための分離ブレード95にツールを変更し、その後、次のサイクルのために戻すことができる。
【0040】
図4は、最後に、前端部分80が豚の半身の枝肉10の残りの部分から完全に分離され、さらなる処理のために収集装置(図示せず)に落下した場合を示している。
【0041】
本発明の可能な実施形態の上記の説明は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。コスト、機械的安定性、および構成要素の重量のような要因によって、各場合にどのような解決策が選択されるかを決定する。
【0042】
さらに、キャリヤから少なくとも部分的に自由に吊り下げられた半身の豚の枝肉部分を処理する方法、および、キャリヤから少なくとも部分的に自由に吊り下げられている半身の豚の枝肉部分を処理するための装置が、以下の請求項(clause)に示されている。この請求項は、前述の請求の範囲および/または添付の特許請求の範囲のいずれかと組み合わせることができる。
1.キャリヤから少なくとも部分的に自由に吊り下げられている半身の豚の枝肉部分を処理する方法であって、このキャリヤは、半身の豚の枝肉部分の脚部に係合し、
・半身の豚の枝肉部分の少なくとも1つの特徴的な特性を検出し、
・隣接した第1及び第2の目標の肋骨の位置を特定し、特定位置に基づいて、
・第1及び第2の目標の肋骨の間の切断装置で切断する、
半身の豚の枝肉部分を処理する方法。
2.前記隣接する第1及び第2の目標の肋骨は、第3及び第4の肋骨を含んでいてもよく、前記切断は前記肩甲骨の先端に至るまで実行され、前記切断によって前端部分を半身の豚の枝肉部分の残りの肋骨から重力によって部分的に分離させる、請求項1に記載の方法。
3.前記隣接する第1及び第2の目標の肋骨は、第4及び第5の肋骨を含み、前記切断により、前記切断された前端部分が、前記半身の豚の枝肉部分の残りの肋骨から重力によって部分的に分離させる、請求項1に記載の方法。
4.肋骨での切断を基準として背骨を切断することにより、前端を、半身の枝肉部分の枝肉の中間部分から分離装置で分離する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
5.前記半身の豚の枝肉部分の前記肋骨の位置を含む半身の豚の枝肉部分の少なくとも1つの特徴的な特性の検出は、検出装置によって実行される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
6.前記検出装置は、以下の1つ以上を含む、請求項5に記載の方法。
・半身の豚の枝肉部分の片側及び/又は両側の3次元画像データをスキャンして生成するためのレーザスキャナ、
・半身の豚の枝肉部分の片側又は両側の3次元画像データを撮像するためのデジタル撮像装置、及び、
・半身の豚の枝肉部分の肋骨の位置を含む、半身の豚の枝肉部分の内部骨構造を示すX線データを撮像するためのX線装置。
7.第1及び第2の目標の肋骨の位置を特定するために、検出装置(50)に接続された処理ユニットを使用して検出されたデータを処理することをさらに含む、請求項5又は請求項6に記載の方法。
8.前記処理ユニットによって前記切断装置を操作して、前記第1及び第2の目標の肋骨の間を自動的に切断することをさらに含む、請求項2、3、5乃至7のいずれか1項に記載の方法。
9.前記処理ユニットによって前記分離装置を動作させ、前記肋骨での切断を基準として背骨を切断することにより、前記半身の枝肉部分の枝肉の中間部から前記前端部を自動的に切断する、請求項2、3、5乃至7のいずれか1項に記載の方法。
10.前記分離装置は、シザーナイフとのこぎりのうち1つ以上から選択される、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
11.半身の豚の枝肉部分の脚部に係合するキャリヤから少なくとも部分的に自由に吊り下げられた半身の豚の枝肉部分を処理するための装置であって、
・半身の豚の枝肉部分の肋骨の位置検出のための検出装置と、
・隣接する第1及び第2の目標の肋骨の位置を特定するための特定装置と、
・第1及び第2の目標の肋骨の間と特定された位置に基づいて、前端部分を半身の豚の枝肉部分の残りの肋骨から重力によって部分的に分離させる切断装置と、
・肋骨での切断を基準として背骨を切断することにより、前端部分を半身の枝肉部分の中間部から分離するための分離装置と、を含む。