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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】剪断波発生の方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/08 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
A61B8/08
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021567946
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2020063436
(87)【国際公開番号】W WO2020229587
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-04-03
(31)【優先権主張番号】62/847,533
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】フリーマン スティーヴン ラッセル
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-544614(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0066030(US,A1)
【文献】特表2018-516706(JP,A)
【文献】特開2004-209087(JP,A)
【文献】特開2016-220736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剪断波イメージングのための超音波イメージングシステムであって、
超音波トランスデューサであって、前記超音波トランスデューサは、エコーを取得するように構成され、前記エコーは、ターゲット組織に向けて送信される超音波パルスに応答する、超音波トランスデューサと、
ビームフォーマであって、前記ビームフォーマは、現在のプッシュパルスを送信するように構成され、前記現在のプッシュパルスは、現在のプッシュパルスパラメータを有し、前記現在のプッシュパルスは、現在の焦点深さを有し、前記現在のプッシュパルスは、現在の剪断波を生成するように構成され、前記ビームフォーマは、前記現在のプッシュパルスを送信しながら、次のプッシュパルスパラメータを受信するように構成され、前記次のプッシュパルスパラメータは、次のプッシュパルスを送信するためのものであり、前記次のプッシュパルスは、次の焦点深さを有し、前記次の焦点深さは、前記現在の焦点深さと異なり、前記次のプッシュパルスは、次の剪断波を生成するように構成される、ビームフォーマと、
を有し、前記現在の剪断波及び前記次の剪断波が建設的に干渉して合成剪断波をターゲット組織内に生成する、超音波イメージングシステム。
【請求項2】
前記合成剪断波は、略柱状の形状を有し、前記略柱状の形状は、前記現在のプッシュパルスと前記次のプッシュパルスとの合成深さによって部分的に規定される、請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項3】
前記ビームフォーマは、前記現在のプッシュパルスパラメータを前記超音波トランスデューサに送信するよう構成されるアクティブレジスタと、コントローラ回路から前記次のプッシュパルスパラメータを受信するよう構成されるシャドウレジスタとを有する、請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項4】
前記ビームフォーマは、前記現在のプッシュパルスと前記次のプッシュパルスとの間の送信遅延を小さくするよう構成される、請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項5】
前記ビームフォーマは、前記次のプッシュパルスパラメータが前記次のプッシュパルスを送信するために利用されるまで、前記現在のプッシュパルスを繰り返すように構成される、請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項6】
コントローラ回路は、ユーザコマンドに従って、プッシュパルススキームを実現するように構成される、請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項7】
前記プッシュパルススキームは、プッシュパルスのシーケンスを含み、各プッシュパルスは、異なる焦点深さを有する、請求項6に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項8】
前記プッシュパルススキームを表示するように構成されるユーザインタフェースを更に有する、請求項7に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項9】
前記ビームフォーマは、更に、追跡パルスを送信するように構成され、前記追跡パルスは、前記ターゲット組織内の1つ又は複数の局所的な位置で前記合成剪断波と交差するように空間的に配される、請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項10】
前記ビームフォーマは、更に、エコー信号を受信するように構成され、前記エコー信号は、前記追跡パルスが前記合成剪断波と交差する前記位置を示す、請求項9に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項11】
組織解析回路を更に有し、前記組織解析回路は、前記エコー信号に基づいて前記ターゲット組織の弾性を決定するように構成される、請求項10に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項12】
剪断波イメージングの方法であって、
超音波エコーを取得するステップであって、前記超音波エコーは、ターゲット組織に向けて送信された超音波パルスに対する応答である、ステップと、
現在のプッシュパルスを送信するステップであって、前記現在のプッシュパルスは、現在のプッシュパルスパラメータを有し、前記現在のプッシュパルスは、前記現在のプッシュパルスパラメータに従う現在の焦点深さを有し、前記現在のプッシュパルスは、現在の剪断波を生成するように構成される、ステップと、
前記現在のプッシュパルスを送信しながら、次のプッシュパルスパラメータを受信するステップであって、前記次のプッシュパラメータは、次のプッシュパルスを送信するためのものであり、前記次のプッシュパルスは、次の焦点深さを有し、前記次の焦点深さは、前記現在の焦点深さと異なり、前記次のプッシュパルスは、次の剪断波を生成するように構成される、ステップと、
を有し、前記現在の剪断波及び前記次の剪断波が建設的に干渉して前記ターゲット組織に合成剪断波を生成する、方法。
【請求項13】
前記合成剪断波は、略柱状の形状を有し、前記略柱状の形状は、部分的に、前記現在のプッシュパルスと前記次のプッシュパルスとの合成深さによって規定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記現在のプッシュパルスと前記次のプッシュパルスとの間の送信遅延をデクリメントするステップを更に有する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記次のプッシュパルスパラメータが前記次のプッシュパルスを送信するために利用されるまで、前記現在のプッシュパルスを繰り返すステップを更に有する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
追跡パルスを送信するステップを更に有し、前記追跡パルスは、前記ターゲット組織内の1つ又は複数の局所的な位置で前記合成剪断波と交差するように空間的に配される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
実行可能命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記実行可能命令は、それが実行される際、超音波イメージングシステムのプロセッサ回路に請求項12に記載の方法を実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、剪断波を用いて組織特性を決定する超音波システム及び方法に関する。特定の実現形態は、一連の超音波プッシュパルスをターゲット組織内に高速に連続して印加して、そこを通る合成剪断波を生成することを含む。
【背景技術】
【0002】
診断イメージングにおいて長い間求められてきた目標の1つは、正確な組織の特徴づけである。臨床医は、超音波などのイメージングシステムを使用して、その画像に具現化されたターゲット組織の特性、例えば、良性か悪性かを識別したい。組織特性を導出するために採用される1つの技術は、体内の組織の弾性及び/又はスティフネスを測定する超音波エラストグラフィである。例えば、乳房腫瘍又は高いスティフネスをもつ腫瘤は悪性である可能性があるが、軟らかく従順な腫瘤は良性である可能性が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
超音波剪断波エラストグラフィは、特に、トランスデューサからの「プッシュパルス」を組織内に送信し、それによって、その中を横方向に伝播する剪断波を発生させることによって、様々な組織の局所化されたスティフネスレベルを決定することができる。次いで、トランスデューサによって放出される追跡パルスを用いて、剪断波が伝播する際の速度を測定することができ、かかる速度は、組織のスティフネスに比例することが多い。各組織タイプにおいて剪断波を生成するために同一のプッシュパルスが使用されると仮定して、例えば、軟組織における剪断波速度は、典型的には、剛性の組織における剪断波速度よりも遅い。
【0004】
既存の超音波エラストグラフィシステムは、ターゲット組織内の浅い深さで1つ又は複数のプッシュパルスを一定時間送信し、次いで、焦点ゾーンを深くシフトさせて、外向きに及びわずかに下向きに伝播する傾向のある剪断波を作り出すことができる。従って、複数の深さの焦点ゾーンを用いて包括的な組織走査を生成するためには、焦点を繰り返し調整しなければならず、これは、各離散パルス間に有意な遷移時間を蓄積することによって、全体的なプッシュ(及び結果として生じる剪断波)の有効性を低下させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、剪断波イメージングを介してターゲット組織の弾性及び/又はスティフネスを決定する超音波システム及び方法を記載する。実施形態は、複数のプッシュパルスをターゲット組織にストロボスコピック(stroboscopically、ストロボ照射のように)に送信するステップを含むことができ、各プッシュパルスは、それぞれ異なる焦点深さを有する。高速に送信されるプッシュパルスによって生成される複数の剪断波は建設的に干渉して、関心領域と高い感度でインタロゲートするための略平面の波面を有する合成剪断波を形成することができる。異なる波形パラメータを有するプッシュパルスのストロボスコピックな送信は、現在のプッシュパルス(current push pulse、現在プッシュパルス)の進行中の送信を中断することなく、新しいプッシュパルスパラメータを受信するように構成される送信ビームフォーマにより実行されることができる。現在のプッシュパルスパラメータ(current push pulse parameters、現在プッシュパルスパラメータ)の送信中の新しいプッシュパルスパラメータの受信は、それぞれ、ビームフォーマ上のシャドウレジスタ及びアクティブレジスタのデュアルセットを用いて実施されることができる。ビームフォーマコントローラから受け取ったスタート信号は、現在プッシュパルスパラメータの実現と、それらの間の中断が非常に少ないプッシュパルスパラメータの次の組との間の遷移を開始することができ、その結果、連続パルスによって生成される合成剪断波が、ターゲット組織の全体にわたって滑らかにスパンする。いくつかの例では、合成剪断波は、組織内の深さ及び横方向距離にわたって略柱状の形状を有し得る。種々のプッシュパルススキームは、本明細書の実施形態に従って、例えば、ユーザの指示で、及び/又はユーザの好みに従って、及び/又は組織寸法に従って自動的に実施されることができる。各プッシュパルススキームは、様々な数のプッシュパルス及びプッシュパルスパラメータを含むことができ、広範囲の組織タイプ及び関心領域のカスタマイズされたインタロゲーションを可能にする。
【0006】
本開示の原理によれば、剪断波イメージングのための超音波イメージングシステムは、ターゲット組織に向かって送信される超音波パルスに応答してエコーを取得するように構成される超音波トランスデューサを有することができる。更に、システムは、現在プッシュパルスパラメータに従って、現在焦点深さを有する現在プッシュパルスを超音波トランスデューサから送信して、現在剪断波を生成するように構成されるビームフォーマを有することができる。また、ビームフォーマは、コントローラ回路を使用して、次の剪断波を生成するために、現在の焦点深さとは異なる次の焦点深さを有する次のプッシュパルスを送信するための次のプッシュパルスパラメータを受信することができる。現在の剪断波及び次の剪断波は、ターゲット組織内に合成剪断波を生成するために、建設的に干渉することができる。
【0007】
いくつかの例では、合成剪断波は、現在のプッシュパルスと次のプッシュパルスとの合成された深さによって部分的に定義される略柱状の形状を有する。いくつかの実施形態では、ビームフォーマは、約250ns~約550nsで、現在プッシュパルスから次のプッシュパルスに遷移するように構成される。いくつかの例では、ビームフォーマは、約8μs~約16μsに1回、現在プッシュパルスから次のプッシュパルスに遷移するように構成される。いくつかの実施形態では、ビームフォーマは、1つ又は複数のアクティブレジスタと、現在のプッシュパルスパラメータを超音波トランスデューサに送信し、次のプッシュパルスパラメータをそれぞれコントローラ回路から受信するように構成された1つ又は複数のシャドウレジスタと、を有する。いくつかの例では、ビームフォーマは、現在のプッシュパルスと次のプッシュパルスとの間の送信遅延をデクリメントするように構成される。いくつかの実施形態では、ビームフォーマは、次のプッシュパルスパラメータが次のプッシュパルスを送信するために利用されるまで、現在のプッシュパルスを繰り返すように構成される。
【0008】
いくつかの例では、コントローラ回路は、ユーザコマンドに従ってプッシュパルススキームを実現するように構成される。プッシュパルススキームは、プッシュパルスのシーケンスを含むことができ、各プッシュパルスは、異なる焦点深さを有する。いくつかの実施形態では、システムは更に、プッシュパルススキームを表示するように構成されたユーザインタフェースを有することができる。
【0009】
いくつかの例では、ビームフォーマは、更に、超音波トランスデューサから、ターゲット組織内の1つ又は複数の局所位置で合成剪断波と交差するように空間的に配される追跡パルスを送信するように構成される。いくつかの実施形態では、ビームフォーマは、更に、追跡パルスが合成剪断波と交差した位置を示すエコー信号を超音波トランスデューサから受信するように構成される。いくつかの例では、システムは更に、エコー信号に基づいてターゲット組織の弾性を決定するように構成される組織解析回路を有する。
【0010】
本開示の原理によれば、剪断波イメージングの方法は、ターゲット組織に向けて送信される超音波パルスに応答して超音波エコーを取得するステップと、現在プッシュパルスパラメータに従って現在焦点深さを有する現在プッシュパルスを送信して、現在プッシュパルスパラメータを生成するステップと、現在プッシュパルスを送信する一方、現在の焦点深さとは異なる次の焦点深さを有する次のプッシュパルスを送信して次の剪断波を生成するための次のプッシュパルスパラメータを受信するステップと、を有することができる。現在剪断波及び次の剪断波は、ターゲット組織内に合成剪断波を生成するために、建設的に干渉することができる。
【0011】
いくつかの例では、合成剪断波は、現在プッシュパルスと次のプッシュパルスとの合成された深さによって部分的に定義される略柱状の形状を有する。いくつかの実施形態は、更に、約8μs~約16μsに1回、現在プッシュパルスから次のプッシュパルスに遷移するステップを含むことができる。一部の例では、現在のプッシュパルスと次のプッシュパルスとの間の送信遅延のデクリメントも含まれる場合がある。いくつかの実施形態は、次のプッシュパルスパラメータが次のプッシュパルスを送信するために利用されるまで、現在プッシュパルスを繰り返すことも含むことができる。幾つかの例はまた、ターゲット組織内の1又は複数の局所位置で合成剪断波と交差するように空間的に配される追跡パルスを送信することを含むことができる。
【0012】
本明細書に記載される方法のいずれか、又はそれらのステップは、実行可能命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体において具現化されることができ、実行可能命令は、それらが実行される場合、医用画像システムのプロセッサ回路に、本明細書に具現化される方法又はステップを実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の原理に従って構成される超音波イメージングシステムのブロック図。
図2】本開示の原理に従って構成された送信ビームフォーマの図。
図3】本開示の原理に従って生成される合成剪断波の図。
図4】本開示の原理に従って生成された別の合成剪断波の図。
図5】本開示の原理に従って実行される方法を示すフローチャート。
図6】本開示の原理によるプロセッサ回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特定の実施形態の以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本発明又はその用途又は利用を限定することを意図したものではない。本発明のシステム及び方法の態様の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付の図面を参照し、これらの図面は、記載されたシステム及び方法が実施され得る特定の実施形態を図示することによって示される。これらの実施形態は、当業者がここに開示されているシステム及び方法を実施することを可能にするために十分に詳細に説明されており、他の実施形態が利用されることができるとともに、本システムの精神及び範囲から逸脱することなく、構造的及び論理的変更を行うことができることが理解されるべきである。更に、明瞭さを目的として、特定のフィーチャの詳細な説明は、本システムの説明を不明瞭にしないように、当業者に明らかであろうときには議論されないであろう。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味で取らえられるべきではなく、本システムの範囲は、特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0015】
本明細書において提供されるのは、広い深さにわたって滑らかな剪断波を生成し、それにより平面波又は深さに沿った複数の焦点から発生する収束波の形の剪断波を効果的に生成するように構成される送信ビームフォーマを用いることによって、剪断波エラストグラフィを改善するように構成される超音波ベースのイメージングシステムである。開示されるシステムは、現在のプッシュパルス送信を中断することなく、フォーカシング係数及び波形係数のような新しいプッシュパルスパラメータをビームフォーマに速くダウンロードすることにより、パルス送信しながらビームフォーマを再コンフォートするように構成される。様々なプッシュパルスパラメータが、別プッシュパルススキームに従って調整されることができる。プッシュパルスパラメータは、各個別プッシュパルスの1又は複数の特性、又は所与のプッシュパルススキームに従って送信されるプッシュパルス間の関係を含むことができる。例えば、各プッシュパルスの周波数、各プッシュパルスに関連する波形係数、連続するプッシュパルス間の遷移時間、2又はそれ以上のプッシュパルスのシーケンス間の遷移時間、特定のプッシュパルスが繰り返される時間の長さ、連続するプッシュパルスの順序及び/又は焦点深さ、及び/又は各プッシュパルスの振幅を変化させることができる。
【0016】
図1は、それぞれ異なる深さに焦点を有する複数のプッシュパルスを高速に送信することによって、ターゲット組織内における剪断波イメージングを行うように構成される例示的な超音波システム100を示す。システム100は、超音波取得回路110を有することができる。超音波取得回路110は、超音波プローブ112、送信ビームフォーマ126、マルチライン受信ビームフォーマ128、送信/受信(T/R)スイッチ130、ビームフォーマコントローラ回路132及び信号プロセッサ回路136を有することができる。超音波取得回路110は、ハードウェア又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせで構成されることができる。
【0017】
超音波プローブ112は、超音波センサアレイ114を収容することができる。超音波センサアレイ114は、超音波信号を送受信するように構成されることができる。超音波センサアレイ114は、ターゲット領域118内にプッシュパルス116をストロボスコピックに放出するように構成されることができる。ターゲット領域118は、生物、例えば、人又は動物の一部であってもよい。生物は生きていても死んでいても構わない。ターゲット領域118は、腫瘍や硬い組織を含んだものなど、1又は複数の組織異常120を含みうる。ターゲット領域118は、人間の肝臓、膵臓、腎臓、肺、心臓、又は脳を含むがこれらに限定されない臓器、又は組織の領域、例えば筋肉組織を含みうる。
【0018】
プッシュパルス116は、合成剪断波119を集合的に形成するように構成されることができる。合成剪断波は、ターゲット領域118を伝播する複数の建設的に干渉する剪断波を用いて生成されることができる。追加の又は代替の実施形態では、プッシュパルス116は、単一の超音波センサアレイ114以外のアレイによって生成されてもよい。例えば、いくつかの例では、1つのアレイが、プッシュパルスを適用するために使用され、別のアレイが、結果的に生じる合成剪断波の撮像のために使用され得る。
【0019】
また、超音波センサアレイ114は、複数の追跡パルス又はビーム124をターゲットゾーン118内に送信して、プッシュパルス116によって生成される剪断波119の伝播を検出するように構成されることができる。追跡パルス124は、プッシュパルス116に隣接して送信されることができ、いくつかの例では、プッシュパルス116に対して横方向に間隔を空けて送信されることができる。いくつかの実施形態では、追跡パルス124は、例えば、線形プローブが追跡パルスを放出するために利用される場合、プッシュパルス116と平行であってもよい。他の例では、追跡パルス124は、プッシュパルス116に対して平行に送信されないことがある。例えば、湾曲したプローブは、その間に角度分離を有する半径方向に追跡パルス124を送信することができる。このようなパルスは、デカルト空間において平行でなくてもよいが、それらは、極座標フレーム又は円筒座標フレームにおいて、同じ方向に送信される。
【0020】
超音波センサアレイ114は、送信/受信(T/R)スイッチ130を介して送信ビームフォーマ126及びマルチライン受信ビームフォーマ128に結合されることができる。ビームフォーマ126、128による送信及び受信の調整は、ビームフォーマコントローラ回路132によって制御することができる。動作中、送信ビームフォーマ126は、超音波センサアレイ114を制御して、ビームフォーマコントローラ回路132の指示で、ターゲット領域118内に、例えばストロボスコピックに、一連のプッシュパルス116を高速に連続して送信することができる。送信ビームフォーマ126は、現在プッシュパルス送信を中断することなく、後続のプッシュパルスのための新しいプッシュパルスパラメータを受信するように構成されており、それにより、連続パルス間の遷移時間を最小化し、合成剪断波119を生成することができる。マルチライン受信ビームフォーマ128は、エコー信号134の空間的に別個の受信ライン(Aライン)を生成することができ、かかる信号は、超音波センサアレイ114によって受信され、信号プロセッサ回路136によってフィルタリング、ノイズ低減等によって処理され得る。いくつかの実施形態では、取得回路110のコンポーネントは、超音波エコー134から複数の超音波画像フレーム138を生成するように構成されることができる。
【0021】
システム100はまた、超音波画像フレーム138に基づいて、ターゲット領域118内の組織の1又は複数の特性、例えばスティフネス及び/又は弾性を決定するように構成され得る、組織解析回路140などの1又は複数のプロセッサ回路を有することができる。組織解析回路140は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせで構成されることができる。
【0022】
少なくとも1つの実施形態では、システム100は、ユーザインタフェース144と共に、組織解析回路140と結合されたディスプレイプロセッサ回路142も有する。ディスプレイプロセッサ回路142は、超音波画像146及び局所化されたスティフネス値及び/又は勾配の組織マップ148を生成するように構成されることができる。ディスプレイプロセッサ回路142は、超音波画像146及び/又は組織マップ148を画像フレーム138から生成するように構成されることができる。
【0023】
ユーザインタフェース144は、超音波スキャンが実行されるときに、超音波画像146及び組織マップ148をリアルタイムに表示するように構成されることができる。ユーザインタフェース144は、そのようなプロシージャの前、途中、又は後の任意の時点でユーザ入力150を受け取ることができる。いくつかの例では、ユーザインタフェース144は、超音波画像146及び/又は組織マップ148を表示しながらユーザ入力150を受信するように構成されるタッチスクリーンであってもよい。いくつかの例では、ユーザインタフェース144上に表示される超音波画像146及び/又は組織マップ148は、超音波スキャン中にデータ収集回路110によって受信され処理される収集フレーム毎に更新されることができる。実施形態において、ディスプレイプロセッサ回路142と連動して動作するユーザインタフェース144は、プッシュパルススキーム152を生成し表示するように構成されることができる。
【0024】
プッシュパルススキーム152は、各プッシュパルスの焦点深さ、パルスが送信される順序、及び/又は各連続パルス間の遷移時間を示す、送信ビームフォーマ126によって印加されるプッシュパルスのシーケンスを含むことができる。プッシュパルススキーム152は、各パルスごとの1又は複数のプッシュパルスパラメータ、例えば、周波数及び波長を有することができる。いくつかの例では、プッシュパルススキーム152は、プッシュパルスのシーケンスによって生成される合成剪断波119の推定形状を有することができる。
【0025】
図1に示されるシステム100の構成は変更可能でありうる。例えば、システム100は、可搬式(ポータブル)であっても静止式(ステイショナリ)であってもよい。いくつかの実施形態では、システム100の1つ又は複数の機能を実現するために、様々なポータブル装置、例えば、ラップトップ、タブレット、スマートフォンなどが使用されることができる。ポータブル装置を組み込んだ例では、超音波センサアレイ114は、USBインターフェースを介して接続可能でありうる。いくつかの実施形態では、図1に示される1つ又は複数のコンポーネントは、1つの要素に組み合わされることができる。いくつかの実施形態では、組織解析回路140は、表示プロセッサ回路142とともに、データ収集回路110内に組み込まれることができる。
【0026】
図2は、本開示の実施形態による送信ビームフォーマ200の動作の図である。送信ビームフォーマ200は、シャドウレジスタ202とアクティブレジスタ204の重複するセットを有することができる。シャドウレジスタ202及びアクティブレジスタ204は、ダブルバッファされるダウンロードを介して、異なるプッシュパルスパラメータを同時に受信及び送信するようにそれぞれ構成される。
【0027】
動作中、シャドウレジスタ202は、ビームフォーマコントローラ回路208からの新しい又は次のプッシュパルスパラメータ206を格納することができる。同時に、アクティブレジスタ204は、現在プッシュパルスパラメータ210を超音波トランスデューサ212に送信し続けることができる。超音波トランスデューサ212は、超音波センサアレイ214を有することができる。超音波トランスデューサ212は、そのようなパラメータに従って、ターゲット組織にプッシュパルスを放射することができる。新しいプッシュパルスパラメータ206及び現在のプッシュパルスパラメータ210は、異なる焦点深さを有するプッシュパルスを指定することができる。例えば、現在のプッシュパルスパラメータ210は、新しいプッシュパルスパラメータ206に具現化されたプッシュパルスよりもターゲット組織内により浅い焦点深さを有するプッシュパルスを指定することができ、又はその逆もありうる。次いで、ビームフォーマコントローラ回路208は、次のプッシュパルス送信のために新しい焦点ゾーンに切り替えるように送信ビームフォーマ200に指示することができ、次のプッシュパルス送信の時点で、新しいプッシュパルスパラメータ206をシャドウレジスタ202からアクティブレジスタ204に転送し、トランスデューサ212を介して新しい波形の送信を開始することができる。
【0028】
超音波センサアレイ214の異なる素子間の送信遅延を回避するために、フレネル集束近似が適用されてもよく、これは、すべての送信遅延を1つの波形周期に制限することを含むことができ、送信波形は、約1つの音響周期内で1つのフォーカス設定を完了し、別のフォーカス設定を開始することができる。例えば、各送信チャネルごとの送信遅延は、それらがゼロに到達するまで、デクリメントされることができ、送信遅延がゼロに到達した時点で、シャドウレジスタ202に格納され得る新しいプッシュパルスパラメータ206が、同時送信のために超音波トランスデューサ212に駆動されることができる。
【0029】
実施形態において、ビームフォーマコントローラ回路208は、現在プッシュパルスパラメータ210を生成するために印加されるロジックを繰り返すか又はループさせるように構成されることができ、その結果、例えばビームフォーマコントローラ回路208が、次のプッシュパルスパラメータの組に従って次のプッシュパルスに遷移するようにビームフォーマ200に指示するまで、特定のプッシュパルスがエンドレスで、又は少なくとも規定された期間、繰り返されることができる。従って、プッシュパルス送信が開始されると、ビームフォーマ200が新しいプッシュパルスパラメータを受信するまで、送信が自律的に継続することができる。いくつかの例では、ビームフォーマコントローラ回路208は、例えば、一連のプッシュパルスから生成される合成剪断波が繰り返し生成され得るように、プッシュパルススキームに従って一連のプッシュパルスを生成するために適用されるロジックを繰り返し又はループするように構成されることができる。
【0030】
新しいプッシュパルスパラメータ206を用いて送信ビームフォーマ200を設定(configure)するには、特定の実施形態に依存して5μs~約10μsかかり、又はその間の任意の時間を要し、例えば、7、8、8.7、9μsの時間を要する。ビームフォーマ設定時間は変更可能である。例えば、1又は複数のプッシュパルスパラメータが連続するパルス間で同じままである場合、設定時間は、全く新しい組のプッシュパルスパラメータを利用するために必要とされる時間よりも短くてもよい。送信ビームフォーマ200の周期的な再設定は、ストロボスコピックに、例えば、約9μsに1回、又は所望により大きなインクリメントで、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、20μs又はそれ以上の時間ごとに1回、又はそれらの間の任意のインクリメントで、行われることができる。各連続するプッシュパルスの間の遷移時間は更に、変動することができ、単一の波周期、例えば約300ns、又は約400ns、500ns、600ns、700ns、800ns、900ns、又はそれらの間の任意の長さの時間よりも短くすることができる。新しいプッシュパルスパラメータ206を具現化する信号は、現在のプッシュパルスパラメータの組から離れるように遷移するときに、1又は複数のサイクルの間、超音波トランスデューサ212に対して低周波数で駆動されることもできる。
【0031】
ビームフォーマ200をストロボスコピックに再コンフィギュレートすることによって、それぞれが異なる焦点深さ(及び/又は、例えば)によって規定される複数のプッシュパルスを、それらの間の遷移時間が非常に少ない状態で滑らかに送信し、次いで、同時に解除することができる。パルスの迅速な送信は、結果として生じる剪断波の忠実度を向上させることができ、感度及び透過性を高めた新しい剪断波形状の生成を可能にすることができる。図3は、本明細書に記載されるいくつかの実施形態に従った、高速に連続して送信される一連のプッシュパルスを示す。一連のプッシュパルスは、各プッシュパルスによって生成される個別の剪断波の間の建設的な干渉により、略円筒状又は柱状の形状を有する複合、準平面状又は平面状の剪断波を集合的に形成することができる。このような柱状の剪断波は、一緒に伝播せずに列を形成する複数の球状剪断波を含む、既存のマッハコーン剪断波に対する改善をマークする。
【0032】
図3は、本開示の原理に従って生成される合成剪断波300の図である。合成剪断波300は、複数の素子304からストロボスコピックに送信される複数のプッシュパルス302から形成される。複数の素子304が、超音波トランスデューサ312上又は内部に超音波センサアレイ314を形成してもよい。合成剪断波300は、撮像平面308を通って、例えば、矢印316及び318で表される伝播方向へ、半径方向外側に伝播する。プッシュパルス302は、速く連続してそれぞれの異なる深さに送信され、次いで同時に放出されるため、各隣接する波間の建設的な干渉は、略柱状又は円筒状の形状によって規定される合成剪断波300を生成し得、そのうちの2つの部分は、図3に示される(プッシュパルス302の焦点は、単に説明の目的で、合成剪断波300によってカバーされていない。合成剪断波300は、プッシュパルス302の焦点から半径方向外側に伝播する)。実施形態において、プッシュパルス302の各々は、複数の素子304から送信されることができる。プッシュパルス302は、各プッシュパルスの送信同士の間の時間が非常に小さく、次々と、連続的に送信されることができる。
【0033】
15個のプッシュパルス302が、この特定の例に示されている;しかしながら、プッシュパルスの数は、撮像される組織、ユーザの好み、周波数などに応じて変化し、その結果、特定の合成剪断波を生成するために利用されるプッシュパルスの数は、2から20、又はそれ以上の範囲となり得る。図示の実施形態では、より深い焦点ゾーン(例えば、プッシュパルス1)を有するプッシュパルス302が最初に送信され、次いで、連続的により浅い焦点ゾーンが続き、例えばプッシュパルス5まで連続的に送信される。次いで、深い焦点ゾーンから浅い焦点ゾーンまでの同じシーケンスが、高速に連続して1回又は複数回繰り返されることができる。付加的な例では、最も浅い焦点ゾーンを有するプッシュパルスが最初に送信され、次いで、連続的により深い焦点ゾーンが送信されることができる。深い焦点ゾーンから浅い焦点ゾーン(又は浅い焦点ゾーンから深い焦点ゾーン)までのシーケンスの数は、各シーケンス内で送信されるプッシュパルスの数とともに変化し得る。プッシュパルス間の、例えばプッシュパルス1、6及び11間の横方向の分離は、例示の目的でのみ示されている。動作において、同じ焦点深さで送信されるパルスは、横方向に分離されない場合がある。合成剪断波300は、合成剪断波300の深さ及び横方向の伝播によって規定されるボリューム全体にわたって組織の弾性及び/又はスティフネスを決定するためにパルスを追跡することによって深さ全体がインタロゲートされ得るように、複数のプッシュパルスによって規定される組織の深さにまたがる。
【0034】
いくつかの実施形態では、プッシュパルススキームは、複数のプッシュパルスの焦点ゾーン及びそこから生成される合成剪断波を示す、図3に図示したものに類似した方法で表示されてもよい。1又は複数の追加プッシュパルスパラメータ、すなわち、上述のようなプッシュパルスパラメータは、プッシュパルススキームと同時に表示されることができる。ユーザは、所与のプッシュパルススキームに含まれるパラメータの1又は複数を調整することができる。いくつかの例において、ユーザは、合成剪断波によってインタロゲートされるべき所望の組織深さ及び/又は関心領域を入力し、超音波システム、例えばビームフォーマコントローラ回路に、そのような命令に従ってプッシュパルススキームを自動的に生成するよう促すことができる。
【0035】
図4は、本開示の原理に従って生成される合成剪断波400の図である。合成剪断波400は、複数の素子404からストロボスコピックに送信される複数のプッシュパルス402から形成される。複数の素子404が、超音波トランスデューサ412上又は内部に超音波センサアレイ414を形成してもよい。合成剪断波400は、撮像平面408(破線で示す)を伝播し、剪断波400は、例えば、矢印416及び418で表される伝播方向に、半径方向外側に凸状に伝播する。図示のように、合成剪断波400は、プッシュパルス402間の建設的干渉によって形成される略砂時計形状(そのうちの2つの部分が示される)を有する。
【0036】
合成剪断波400は、図3に示すプッシュパルススキームとは対照的に、深い焦点と浅い焦点の両方(例えば、プッシュパルス1及び2)を有するプッシュパルスを速く連続して送信することによって形成されることができ、これは、深い焦点から浅い焦点(又は浅い焦点から深い焦点)へ空間的に配される連続したプッシュパルスを特徴とする。例えば、最も浅い及び最も深いプッシュパルス402が、最初に送信され、次いで、より中央の深さに近づく方へプッシュパルスが送信されることができる。図示される具体例において、プッシュパルス1~6は、深い焦点と浅い焦点との間で交互に、速く連続して送信される。焦点深さは、最も深い焦点と最も浅い焦点との間の領域に速く調整され、そこでプッシュパルス7~12が送信される。焦点深さは、プッシュパルス13~15が高速に連続して送信されるように、再度調整されることができる。プッシュパルス間、例えばプッシュパルス1、3及び5間の横方向の分離は、例示の目的のみのために示されている。動作において、同じ焦点深さで送信されるパルスは、横方向に分離されない場合がある。プッシュパルス1~6によって標的とされる組織は、第6のプッシュパルスが発射された後、緩和し始めてその定常状態に戻ることができ、その時点で、プッシュパルス1~6によって生成される剪断波が、伝播し始めることができる。プッシュパルス7~12によって標的化された組織は、第12のプッシュパルスが発射された後、緩和し始めてその定常状態に戻ることができ、その時点で、プッシュパルス7~12によって生成される剪断波が伝播し始めることができる。次いで、プッシュパルス13~15によって生成される剪断波は、第15のプッシュパルスが送信された後に伝播を開始することができる。各々の構成剪断波から生成される合成剪断波400は、図4に近似された砂時計形状を形成することができる。
【0037】
アレイ404の中心付近では、個々の素子は、例えば、回折格子ローブを避けるために、互いの素子上で深い焦点の遅延と浅い焦点遅延との間で交互になりうる。アレイ404の外側領域は、例えば、他のすべての素子から深いところに:焦点を合わせられたパルスを送信することができる。様々な実施形態では、異なる周波数を有するパルスは、例えば、浅いパルスが中周波数を有し得る一方、深いパルスは、ターゲット組織内により深く浸透するために低い周波数を有し得るように、アレイ404の異なる素子から送信され得る。
【0038】
開示された実施形態による高速に再コンフィギュレートされるビームフォーマを用いて、異なる焦点深さを有する異なるシーケンスのプッシュパルスをストロボスコピックに送信することによって、様々な形状を有する合成剪断波が生成されることができる。パルスシーケンス内の連続するパルス間の経過時間及び/又は連続するシーケンス間の経過時間は、変動し得る。例えば、収束波面を有する合成剪断波は、深い焦点と浅い焦点とが交互する組を送信し、最初の組では9~15μsごとに浅い焦点と深い焦点の間を素早く交代させ、その後、例えば最初の組の送信から約100ns後に、交互する深い焦点と浅い焦点の組を連続的に送信することによって生成されることができる。交互する焦点の連続する組は、実施形態において関心領域の中心により近い方へ遷移することができ、その結果、より深くに合焦される剪断波は、放出する最後の焦点の組の範囲の近傍に生成される信号を増強することができる。
【0039】
図5は、本開示の原理に従って実施される剪断波イメージングの方法のフロー図を示す。例示的な方法500は、本明細書に記載されるシステム及び/又は装置によって、任意の順序で利用され得るステップを示す。方法500は、システム100などの超音波イメージングシステム、又はKoninklijke Philips N.V.(「フィリップス」)によるLUMIFYなどの可搬システムを含む他の適切なシステムによって実行されることができる。追加の例示的なシステムとしては、フィリップス社によって製造されるSPARQ及び/又はEPIQが挙げられる。
【0040】
図示の実施形態では、方法500は、「ターゲット組織に向けて送信される超音波パルスに対する応答である超音波エコーを取得すること」によって、ブロック502で開始する。
【0041】
ブロック504において、本方法は、「現在プッシュパルスパラメータに従って、現在の焦点深さを有する現在プッシュパルスを送信して、現在剪断波を生成する」ことを含む。
【0042】
ブロック506において、本方法は、「現在プッシュパルスを送信しながら、次の剪断波を生成するために現在の焦点深さとは異なる次の焦点深さを有する次のプッシュパルスを送信するための次のプッシュパルスパラメータを受信する」ことを含む。ブロック506に更に記載されているように、請求項に記載された方法に従って、「現在の剪断波及び次の剪断波は、ターゲット組織内に合成剪断波を生成するように建設的に干渉する」。
【0043】
コンポーネント、システム及び/又は方法が、コンピュータベースのシステム又はプログラマブルロジックなどのプログラマブルデバイスを使用して実現される様々な実施形態において、上述のシステム及び方法は、「C」、「C++」、「FORTRAN」、「Pascal」などの種々の既知又は後で開発されるプログラミング言語のいずれかを使用して実現されることができることを理解されたい。従って、磁気コンピュータディスク、光ディスク、電子メモリ等のような様々な記憶媒体が準備されることができ、かかる記憶媒体は、上述のシステム及び/又は方法を実現するようにコンピュータ等の装置に指示することができる情報を含むことができる。適切な装置が記憶媒体に含まれる情報及びプログラムにアクセスできると、記憶媒体は、情報及びプログラムを装置に提供することができ、従って、装置は、本明細書に記載するシステム及び/又は方法の機能を実行することができる。例えば、ソースファイル、オブジェクトファイル、実行可能ファイルなどの適切なマテリアルを含むコンピュータディスクがコンピュータに提供される場合、コンピュータは、情報を受け取り、それ自体を適切に設定し、様々な機能を実現するために、上記の図及びフローチャートに概略的に記述された様々なシステム及び方法の機能を実行することができる。すなわち、コンピュータは、上述のシステム及び/又は方法の異なる要素に関連するディスクから様々な情報の部分を受け取り、個々のシステム及び/又は方法を実現し、上述の個々のシステム及び/又は方法の機能を調整することができる。
【0044】
本開示を考慮すると、本明細書に記載される種々の方法及び装置は、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアで実施されてもよいことに留意されたい。更に、様々な方法及びパラメータは、一例としてのみであり、いかなる限定的な意味でも含まれない。本開示を考慮すると、当業者は、本発明の範囲内に留まると同時に、これらの技術に影響を与えるために、自身の技術及び必要な機器を決定する際に、本教示を実施することができる。
【0045】
図6は、開示の実施形態による例示的プロセッサ600を示すブロック図である。プロセッサ600は、例えば、図1に示されるビームフォーマコントローラ回路132、信号プロセッサ回路136、組織解析回路140、及び/又はディスプレイプロセッサ回路142など、本明細書に記載される1又は複数のプロセッサを実現するために使用されることができる。いくつかの例では、プロセッサ600は、本明細書に記載される1又は複数のコンポーネント、例えば、動きトリガ生成器450、ECGトリガ生成器410、スキャンコンバータ430、マルチプラナーリフォーマッタ432、及び/又はボリュームレンダラ434マルチライン受信ビームフォーマ128、送信/受信スイッチ130、及び/又は図1に示される組織解析140又はその一部を実現するために使用されることができる。プロセッサ600は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、FPGAがプロセッサを形成するようにプログラムされたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、グラフィック処理ユニット(GPU)、ASICがプロセッサを形成するように設計された特定用途向け集積回路(ASIC)、又はカスタム集積回路の一部又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない任意の適切なプロセッサタイプでありうる。プロセッサ600を含む、本明細書に記載されるプロセッサのうちの1つ又は複数のプロセッサの機能は、より少ない数又は単一の処理ユニット(例えば、CPU)に組み込まれることができ、これは、本明細書に記載される機能を実行するために、実行可能命令に応答してプログラムされることができる。
【0046】
プロセッサ600は、1又は複数のコア602(1つが示される)を有することができる。コア602は、1つ又は複数の演算論理ユニット(ALU)604(1つが示されている)を有することができる。いくつかの実施形態では、コア602は、1又は複数のALU604に加えて、又はその代わりに、1又は複数の浮動小数点論理ユニット(FPLU)606(1つが示される)及び/又は1又は複数のデジタル信号処理ユニット(DSPU)608(1つが示される)を有することができる。
【0047】
プロセッサ600は、コア602に通信可能に結合された1又は複数のレジスタ612を有することができる。レジスタ612は、専用論理ゲート回路(例えば、フリップフロップ)及び/又は任意の適切なメモリ技術を使用して実現されてもよい。一部の実施形態では、レジスタ612は、スタティックメモリを使用して実現されることができる。レジスタは、データ、命令、及びアドレスをコア602に提供することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、プロセッサ600は、コア602に通信可能に結合された1又は複数のレベルのキャッシュメモリ610を有することができる。キャッシュメモリ610は、実行のためにコア602にコンピュータ可読命令を提供することができる。キャッシュメモリ610は、コア602による処理のためのデータを提供することができる。ある実施形態では、コンピュータ可読命令は、局所メモリ、例えば、外部バス616に接続された局所メモリによって、キャッシュメモリ610に提供されることができる。キャッシュメモリ610は、例えば、スタティックランダムアクセスメモリ、動的ランダムアクセスメモリ、及び/又は他の任意の適切なメモリ技術のような、任意の適切なキャッシュメモリタイプを用いて実現されることができる。
【0049】
プロセッサ600は、コントローラ614を有することができ、コントローラ614は、システムに含まれる他のプロセッサ及び/又はコンポーネント(例えば、図2に示す送信ビームフォーマ200)からプロセッサ600への入力、及び/又はプロセッサ600からシステムに含まれる他のプロセッサ及び/又はコンポーネント(例えば、図1に示す信号処理回路136)への出力を制御し得る。コントローラ614は、ALU604、FPLU606及び/又はDSPU608内のデータパスを制御することができる。コントローラ614は、1又は複数の状態マシン、データパス及び/又は専用制御ロジックとして実現されることができる。コントローラ614のゲートは、スタンドアロンゲート、FPGA、ASIC、又は任意の他の適切な技術として実現されることができる。
【0050】
レジスタ612及びキャッシュメモリ610は、内部接続620A、620B、620C及び620Dを介してコントローラ614及びコア602と通信することができる。内部接続は、バス、マルチプレクサ、クロスバースイッチ、及び/又は任意の他の適当な接続技術として実現されることができる。
【0051】
プロセッサ600のための入力及び出力は、1又は複数の導電ラインを含みうるバス616を介して提供されることができる。バス616は、プロセッサ600の1又は複数のコンポーネント、例えば、コントローラ614、キャッシュメモリ610、及び/又はレジスタ612に通信可能に結合されることができる。バス616は、ビームフォーマコントローラ回路132、信号プロセッサ回路136、組織解析回路140、及び/又は前述のディスプレイプロセッサ回路142のような、システムの1つ又は複数のコンポーネントに結合されることができる。バス616は、バス、マルチプレクサ、クロスバースイッチ、及び/又は任意の他の適切な接続技術として実現されることもできる。
【0052】
バス616は、1又は複数の外部メモリに結合されることができる。外部メモリは、読み出し専用メモリ632を有することができる。ROM 632は、マスクROM、他フィールドプログラマブルゲートアレイ読み出し専用メモリ(EPROM)635、又は任意の他の適切な技術でありうる。外部メモリは、ランダムアクセスメモリ633を有することができる。RAM 633は、スタティックRAM、バッテリバックアップされたスタティックRAM、DRAM、SRAM、又は任意の他の適切な技術でありうる。外部メモリは、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)635を有することができる。外部メモリは、フラッシュメモリ634を有することができる。外部メモリは、ディスク636などの磁気記憶デバイスを有することができる。いくつかの実施形態では、外部メモリは、図1に示す超音波システム100などのシステムに含まれてもよい。
【0053】
本技術の態様はまた、本実施形態による方法、装置(システム)、及び/又はコンピュータプログラム製品のブロック図及び/又はフローチャート図を参照して本明細書に記載される。ブロック図及び/又はフローチャート図のブロック、及びブロック図及び/又はフローチャート図におけるブロックの組み合わせは、コンピュータ実行可能命令によって実現されてもよいことが理解される。これらのコンピュータ実行可能命令は、汎用コンピュータ、特定用途コンピュータ、及び/又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ回路、コントローラ回路又は制御ユニットに提供されてマシンを作ることができ、それにより、コンピュータ及び/又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ回路を介して実行される命令が、ブロック図及び/又はフローチャートブロック又はブロックに指定された機能/行為を実現するための手段を生成する。
【0054】
本システムは、超音波イメージングシステムを特に参照して説明されてきたかもしれないが、本システムは、1又は複数の画像が系統的な方法で得られる他の医用イメージングシステムに拡張されてもよいこと想定される。従って、本システムは、腎臓、精巣、乳房、卵巣、子宮、甲状腺、肝臓、肺、筋骨格、脾臓、心臓、動脈及び血管系に関連する画像情報の取得及び/又は記録、ならびに超音波ガイド下介入に関連する他の画像アプリケーションに使用されることができる。更に、本システムは更に、従来の撮像システムとともに使用され得る1又は複数のプログラムを含むことができ、その結果、本システムのフィーチャ及び利点を提供することができる。本開示の特定のさらなる利点及びフィーチャは、本開示を研究する際に当業者に明らかでありえ、又は本開示の新規なシステム及び方法を採用する者によって経験されることができる。本発明のシステム及び方法の別の利点は、従来の医用イメージングシステムを容易にアップグレードして、本発明のシステム、装置、及び方法のフィーチャ及び利点を取り入れることができることである。
【0055】
もちろん、本明細書に記載される例、実施形態又はプロセスの任意のものが、1又は複数の他の例、実施形態及び/又はプロセスと組み合わせられることができ、又は本システム、装置及び方法に従って、別個の装置又はデバイス部分の間で分離及び/又は実施されうることを理解されたい。最後に上記の議論は単に本システムを例示することを意図していて、添付の特許請求の範囲を任意の特定の実施形態又は実施形態のグループに限定するものと解釈されるべきではない。従って、本システムは例示的な実施形態を参照して特に詳細に発明されてきたが、当業者であれば、以下の特許請求の範囲に記載される本システムのより広く意図された精神及び範囲から逸脱することなく、多数の修正及び代替実施形態を考案することができることも理解されたい。従って、本明細書及び図面は例示的なものであり、添付の請求項の範囲を限定することを意図するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6