(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】多重入力駆動の小型ラウドスピーカー及び中高音ラウドスピーカー
(51)【国際特許分類】
H04R 9/04 20060101AFI20240405BHJP
H04R 9/02 20060101ALI20240405BHJP
H04R 7/14 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
H04R9/04
H04R9/02 102
H04R7/14 K
H04R9/02 101A
(21)【出願番号】P 2021578067
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(86)【国際出願番号】 CN2019112651
(87)【国際公開番号】W WO2021007982
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-01-11
(31)【優先権主張番号】201910634995.X
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521567826
【氏名又は名称】スーヂョウ ルーシェン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヂョウ,ジェンミン
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-123800(JP,A)
【文献】実開昭63-072992(JP,U)
【文献】実開昭58-50581(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 9/04
H04R 9/02
H04R 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動膜ホルダーと、前記振動膜ホルダーに設けられた振動膜を含む多重入力駆動の中高音ラウドスピーカーであって、
前記中高音ラウドスピーカーは、複数の入力駆動手段をさらに含み、各前記入力駆動手段は、それぞれ、ボイスコイルと、前記ボイスコイルを振動させるように駆動するための磁気回路ユニットとを含み、前記磁気回路ユニットは、チャンバを有するUヨークと、前記Uヨーク内に設置された磁石鋼および磁極芯とを含み、前記磁石鋼及び磁極芯と前記Uヨークの内壁との間には磁気ギャップが形成され、前記ボイスコイルは、前記磁気ギャップに上下動可能に挿入され、
前記振動膜ホルダーには、複数の磁気回路取付孔が設けられ、各磁気回路取付孔の下方には、最大で1つの前記Uヨークが設けられ、前記ボイスコイルは、対応する前記磁気回路取付孔を貫通するとともにその下部は、前記磁気ギャップに挿入され、
前記振動膜の下部に平板状のボイスコイルホルダーが接続されており、前記ボイスコイルホルダーには複数のボイスコイル取付位置決め溝が設けられ、ボイスコイル取付位置決め溝毎に最大で1つの前記ボイスコイルが設けられ、
前記振動膜は、上向きにアーチ状となる球形部と、前記球形部の外縁を取り囲むように形成されたヨークリングとを有し、前記ヨークリングと前記ボイスコイルホルダーとは、固定的に接続されており、前記球形部と前記ボイスコイルホルダーとの間に閉じたサウンドキャビティが形成され、
複数ペアのオーディオ信号入力端子が前記振動膜ホルダーに設けられ、
前記ボイスコイルのそれぞれが前記オーディオ信号入力端子の1つのペアに電気的に接続され、
前記オーディオ信号入力端子のペアのそれぞれが正極端子および負極端子を有し、
前記ボイスコイルのそれぞれが前記オーディオ信号入力端子の前記1つのペアの前記正極端子と前記負極端子にそれぞれ電気的に接続される2本の導線を有し、
前記複数ペアのオーディオ信号入力端子が前記振動膜ホルダーの外縁に沿って間隔を開けて配置されて複数のオーディオ信号を前記ボイスコイルに入力し、
前記オーディオ信号はデジタルオーディオ信号である、ことを特徴とする中高音ラウドスピーカー。
【請求項2】
前記入力駆動手段の数は、3つ以上であり、3つ以上の前記入力駆動手段は、1つの円周に沿って等間隔に配列される、ことを特徴とする請求項
1に記載の中高音ラウドスピー
カー。
【請求項3】
前記ボイスコイルホルダーは全体として円形をなし、前記円周の円心は前記ボイスコイルホルダーの円心とは重なる、ことを特徴とする請求項
2に記載の中高音ラウドスピーカー。
【請求項4】
前記ボイスコイルホルダーには3つ以上の前記ボイスコイル取付位置決め溝が開口され、前記ボイスコイル取付位置決め溝は、前記円周に沿って等間隔に配列され、前記ボイスコイルを前記ボイスコイルホルダーに接続させるように、前記ボイスコイル取付位置決め溝のそれぞれに1つのボイスコイルが設けられ、
前記振動膜ホルダーに3つ以上の前記磁気回路取付孔が開口され、前記磁気回路取付孔が前記円周に沿って等間隔に配列され、前記磁気回路取付孔にそれぞれ1つの前記磁気回路ユニットが設けられる、ことを特徴とする請求項
2に記載の中高音ラウドスピーカー。
【請求項5】
前記中高音ラウドスピーカーは、前記振動膜をカバーするように前記振動膜上に設けられた音声拡散器を更に含む、ことを特徴とする請求項
1に記載の中高音ラウドスピーカー。
【請求項6】
前記Uヨークの上縁は、前記振動膜ホルダーの下面に固定的に接続されている、ことを特徴とする請求項
1に記載の中高音ラウドスピーカー。
【請求項7】
前記磁気回路ユニットは、前記Uヨーク及び前記Uヨーク内に設置された磁極芯とネオジム磁石鋼からなり、前記磁極芯の下面と前記ネオジム磁石鋼の上面とが貼り合わされている、ことを特徴とする請求項
1に記載の中高音ラウドスピーカー。
【請求項8】
前記複数の入力駆動手段は、円形に沿って配列又は直線に沿って配列又はアレイ状に配列される、ことを特徴とする請求項
1に記載の中高音ラウドスピーカー。
【請求項9】
前記音声拡散器の中間部に貫通孔が開口されており、
前記音声拡散器は、前記貫通孔を囲み上向きに反った形状の音声拡散部を有する、ことを特徴とする請求項
5に記載の中高音ラウドスピーカー。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本願は、2019年7月15日に出願された申請番号CN 201910634995.Xの中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が引用文として本発明に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ラウドスピーカー分野に属し、多重入力駆動の小型ラウドスピーカー及び中高音ラウドスピーカーに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の小型ラウドスピーカーは、通常、プラスチック系フィルム材皿形コーンにボイスコイルを組み合わせる構造を採用しており、コーンの底部中心に1つの固定ボイスコイル段差が設けられ、シングル信号入力ボイスコイルの一端をボイスコイル底部中心段差に固定させて小型ラウドスピーカー振動システムを形成する。このような小型ラウドスピーカーは、シングル信号入力にしか適用できないが、シングルオーディオ信号入力は、音声原音の再生性に限界があり、1つのボイスコイルをコーンに組み合わせると、コーンの材料の剛性に対する要求が厳しい。或いは、コーンの底部中心に1つの固定ボイスコイル段差が設けられ、多重信号入力のボイスコイルの一端をコーン底部中心段差に固定させ、そのうち、ボイスコイルが複数組のコイルにより内から外に積層形成されて小型ラウドスピーカー振動システムを形成してもよい。このような小型ラウドスピーカーは、多重信号入力に適用できるが、1つのボイスコイルに複数のコイルが巻かれているため、複数のコイルが巻かれて1つのボイスコイルになると、ボイスコイルの重量が大きくなり、小型ラウドスピーカーの感度が低下するという影響を受ける可能性があり、音声原音の再生性に限界がある。
【0004】
一方、中高音ラウドスピーカーでは、ドーム型の振動膜(Diaphragm)にボイスコイルを組み合わせる構造を採用し、ボイスコイルの一端をドーム型の振動膜の裏面中心位置決め段差に直接に固定して高音振動システムを形成することが多く、このような中高音ラウドスピーカーは、シングル信号入力しか適用できず、シングルオーディオ信号入力は音声原音の再生性に限界があり、1つのボイスコイルと振動膜とを組み合わせると振動膜材料の剛性に対する要求が厳しい。或いは、振動膜の底部中心に1つの固定ボイスコイル段差が設けられ、多重信号入力のボイスコイルの一端を振動膜底部中心段差に固定させ、そのうち、ボイスコイルが複数組のコイルにより内から外に積層形成されて中高音ラウドスピーカー振動システムを形成してもよい。このような中高音ラウドスピーカーは、多重信号入力に適用できるが、1つのボイスコイルに複数のコイルが巻かれているため、複数のコイルが巻かれて1つのボイスコイルになると、ボイスコイルの重量が大きくなり、中高音ラウドスピーカーの感度が低下するという影響を受ける可能性があり、音声原音の再生性に限界がある。
【発明の概要】
【0005】
上記問題を鑑みると、本発明の1つ目の目的は、小型ラウドスピーカーの感度を向上させて小型ラウドスピーカーの明瞭さを向上でき、歪みを低減できた多重入力駆動の小型ラウドスピーカーを提供する。本発明の2つ目の目的は、中高音ラウドスピーカーの感度を向上させて中高音ラウドスピーカーの明瞭さを向上でき、歪みを低減できた多重入力駆動の中高音ラウドスピーカーを提供する。
【0006】
本発明において、「多重入力」は、複数のオーディオ信号入力を有することを意味し、
「多重入力駆動」は、複数のオーディオ信号が複数のボイスコイルに入力され、これら複数のボイスコイルが共同でラウドスピーカーを発音されるように駆動することを意味する。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明が採用する一態様は、以下の通りである。
【0008】
多重入力駆動の小型ラウドスピーカーであって、フレームと、前記フレームに設けられたコーンとを含み、前記小型ラウドスピーカーは、複数の入力駆動手段をさらに含み、各前記入力駆動手段は、それぞれ、ボイスコイルと、前記ボイスコイルを振動させるように駆動するための磁気回路ユニットとを含み、前記磁気回路ユニットは、チャンバを有するUヨークと、前記Uヨーク内に設置された磁石鋼および磁極芯とを含み、前記磁石鋼及び磁極芯と前記Uヨークの内壁との間には磁気ギャップが形成され、前記ボイスコイルは、前記磁気ギャップに上下動可能に挿入され、前記フレームには、複数の磁気回路取付孔が設けられ、各磁気回路取付孔の下方には、最大で1つの前記Uヨークが設けられ、前記ボイスコイルは、対応する前記磁気回路取付を貫通するとともにその下部は、前記磁気ギャップに挿入され、前記コーンは平板状のコーン底部を有し、前記コーン底部には複数のボイスコイル取付位置決め孔が設けられ、ボイスコイル取付位置決め孔毎に最大で1つの前記ボイスコイルが設けられる。
【0009】
本発明における小型ラウドスピーカーは、ダンパー無しの小型ラウドスピーカーである。ここで、「小型ラウドスピーカー」は、サイズが100mm未満のラウドスピーカーであり、ヘッドホン等の機器に適用され、周波数範囲が50~15000Hzであるものを意味する。
【0010】
一実施例において、前記入力駆動手段の数は、3つ以上であり、3つ以上の前記入力駆動手段は、1つの円周に沿って等間隔に配列される。ボイスコイルが略円形のラウドスピーカーでは、複数の入力駆動手段が円形にバランスよく配列されている。
【0011】
一実施例において、3つ以上の前記入力駆動手段は、リニア配列またはアレイ状に配列されている。略楕円形又は矩形のラウドスピーカーでは、複数の入力駆動手段がリニア配列またはアレイ状に配列されており、コーンは、楕円形状または矩形状を採用している。
【0012】
一実施例において、前記コーンは、全体として円形をなす平板状のコーン底部を有し、前記円周の円心は、前記コーン底部の円心とは重なる。
【0013】
一実施例において、前記コーン底部には3つ以上の前記ボイスコイル取付位置決め孔が開口され、前記ボイスコイル取付位置決め孔は、前記円周に沿って等間隔に配列され、前記ボイスコイルをコーン底部に接続させるように、前記ボイスコイル取付位置決め孔のそれぞれに1つのボイスコイルが設けられる。
【0014】
一実施例において、前記コーンは、前記コーン底部の外縁から上向きに傾斜して延びるテーパー縁部をさらに有し、前記テーパー縁部は、ヨークリングを介して前記フレームに固定的に接続される。
【0015】
一実施例において、前記フレームに3つ以上の前記磁気回路取付孔が開口され、前記磁気回路取付孔が前記円周に沿って等間隔に配列され、前記磁気回路取付孔にそれぞれ1つの前記磁気回路ユニットが設けられる。
【0016】
一実施例において、前記Uヨークの上縁は、前記フレームの下面に固定的に接続されている。
【0017】
一実施例において、磁石鋼は、ネオジム磁石鋼またはフェライト磁石鋼である。
【0018】
一実施例において、前記磁気回路ユニットは、前記Uヨーク及び前記Uヨーク内に設置された磁極芯とネオジム磁石鋼からなり、前記磁極芯の下面と前記ネオジム磁石鋼の上面とが貼り合わされている。
【0019】
一実施例において、前記フレームの縁には、複数ペアのオーディオ信号入力端子が設けられ、前記オーディオ信号入力端子のペアのそれぞれが1つのボイスコイルの導線に電気的に接続される。製品自体の接続を簡略化するとともに、オーディオ信号入力接続を便利にする。
【0020】
一実施例において、前記複数の入力駆動手段は、円形に沿って配列又は直線に沿って配列又はアレイ状に配列される。
【0021】
本発明が採用するもう1つの態様は、以下の通りである。
【0022】
多重入力駆動の中高音ラウドスピーカーであって、振動膜ホルダーと、前記振動膜ホルダーに設けられた振動膜を含み、前記中高音ラウドスピーカーは、複数の入力駆動手段をさらに含み、各前記入力駆動手段は、それぞれ、ボイスコイルと、前記ボイスコイルを振動させるように駆動するための磁気回路ユニットとを含み、前記磁気回路ユニットは、チャンバを有するUヨークと、前記Uヨーク内に設置された磁石鋼および磁極芯とを含み、前記磁石鋼及び磁極芯と前記Uヨークの内壁との間には磁気ギャップが形成され、前記ボイスコイルは、前記磁気ギャップに上下動可能に挿入され、前記振動膜ホルダーには、複数の磁気回路取付孔が設けられ、各磁気回路取付孔の下方には、最大で1つの前記Uヨークが設けられ、前記ボイスコイルは、対応する前記磁気回路取付を貫通するとともにその下部は、前記磁気ギャップに挿入され、前記振動膜の下部に平板状のボイスコイルホルダーが接続されており、前記ボイスコイルホルダーには複数のボイスコイル取付位置決め溝が設けられ、ボイスコイル取付位置決め溝毎に最大で1つの前記ボイスコイルが設けられる。
【0023】
本発明における中高音ラウドスピーカーは、ダンパー無しの中高音ラウドスピーカーである。ここで、「中高音ラウドスピーカー」とは、周波数が1500~20000Hzのラウドスピーカーである。
【0024】
一実施例において、前記入力駆動手段の数は、3つ以上であり、3つ以上の前記入力駆動手段は、1つの円周に沿って等間隔に配列され、前記ボイスコイルホルダーは全体として円形をなし、前記円周の円心はボイスコイルホルダーの円心とは重なる。ボイスコイルホルダが略円形のラウドスピーカーでは、複数の入力駆動手段が円形にバランスよく配列されている。
【0025】
一実施例において、3つ以上の前記入力駆動手段は、リニア配列またはアレイ状に配列されている。ボイスコイルホルダが略楕円形又は矩形のラウドスピーカーでは、複数の入力駆動手段がリニア配列またはアレイ状に配列される。振動膜は、楕円形状または矩形状である。
【0026】
一実施例において、前記ボイスコイルホルダーには3つ以上の前記ボイスコイル取付位置決め溝が開口され、前記ボイスコイル取付位置決め溝は、前記円周に沿って等間隔に配列され、前記ボイスコイルを前記ボイスコイルホルダーに接続させるように、前記ボイスコイル取付位置決め溝のそれぞれに1つのボイスコイルが設けられ、前記振動膜ホルダー
に3つ以上の前記磁気回路取付孔が開口され、前記磁気回路取付孔が前記円周に沿って等間隔に配列され、前記磁気回路取付孔にそれぞれ1つの前記磁気回路ユニットが設けられる。
【0027】
一実施例において、前記振動膜は、上向きにアーチ状となる球形部と、前記球形部の外縁を取り囲むように形成されたヨークリングとを有し、前記ヨークリングと前記ボイスコイルホルダとは、固定的に接続されている。
【0028】
一実施例において、前記中高音ラウドスピーカーは、前記振動膜をカバーするように前記振動膜上に設けられた音声拡散器を更に含む。
【0029】
一実施例において、前記Uヨークの上縁は、前記振動膜ホルダの下面に固定的に接続されている。
【0030】
一実施例において、磁石鋼は、ネオジム磁石鋼またはフェライト磁石鋼である。
【0031】
一実施例において、前記磁気回路ユニットは、前記Uヨーク及び前記Uヨーク内に設置された磁極芯とネオジム磁石鋼からなり、前記磁極芯の下面と前記ネオジム磁石鋼の上面とが貼り合わされている。
【0032】
一実施例において、前記振動膜ホルダーの縁には、複数ペアのオーディオ信号入力端子が設けられ、前記オーディオ信号入力端子のペアのそれぞれが1つのボイスコイルの導線に電気的に接続される。製品自体の接続を簡略化するとともに、オーディオ信号入力接続を便利にする。
【0033】
一実施例において、前記複数の入力駆動手段は、円形に沿って配列又は直線に沿って配列又はアレイ状に配列される。
【0034】
本発明は上記方案を採用し、従来と比べると、以下のような利点がある。
【0035】
本発明の多重入力駆動の小型ラウドスピーカー及び中高音ラウドスピーカーは、巧妙で合理的な構造を有する。複数のボイスコイルでそれぞれオーディオ信号入力を受けることにより、原音再生性と歪み減少が従来のラウドスピーカーよりも優れている。複数の磁気回路ユニットからなる入力駆動構造を採用することにより、ラウドスピーカーの感度を向上させ、ラウドスピーカーの明瞭さを高めた。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の技術案をより明確に説明するために、以下では、実施例の説明に用いる図面を簡単に説明するが、もちろん、以下に説明する図面は、本発明のいくつかの実施例のみであり、当業者にとっては、進歩性のある労力を出さなくてもこれらの図面に基づいて、他の図面を得ることもできる。
【0037】
【
図1】本発明の実施例1に係る小型ラウドスピーカーの分解概略図である。
【
図2】
図1のフレームにボイスコイルが取り付けられた後の模式図である。
【
図3】
図1の小型ラウドスピーカーが取り付けられた後の模式図である。
【
図4】本発明の実施例2に係る中高音ラウドスピーカーの分解概略図である。
【
図5】
図4の振動膜にボイスコイルが取り付けられた後の模式図である。
【
図6】
図4の中高音ラウドスピーカーが取り付けられた後の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の利点及び特徴を当業者に理解されやすいように本発明の好ましい実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、これらの実施形態に対する説明は、本発明を理解するのを助けるためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0039】
実施例1
本発明は多重入力駆動の小型ラウドスピーカーを提供し、具体的には、当該小型ラウドスピーカーは、ダンパー無しの小型ラウドスピーカーである。ここで、多重入力は、複数のオーディオ信号入力を有し、複数のオーディオ信号が複数のボイスコイルに入力され、これら複数のボイスコイルが共同でラウドスピーカーを発音されるように駆動することを意味する。
図1乃至
図3に示すように、この多重入力駆動のラウドスピーカーは、1つのフレーム1と、1つのコーン2と、複数の入力駆動手段3とを含む。コーン2は、振動発音に用いられ、フレーム1に固定的に接続される。各入力駆動手段3はそれぞれ、ボイスコイル31と、ボイスコイル31を振動させるように駆動するための磁気回路ユニットと、を含み、このうち、フレーム1には、複数の磁気回路取付孔10が設けられ、各磁気回路取付孔10には、最大で1つの磁気回路ユニットが設けられ、コーン2には、複数のボイスコイル取付位置決め孔20が設けられ、各ボイスコイル取付位置決め孔20には、最大で1つのボイスコイル31が設けられる。すなわち、複数の駆動入力手段は、フレーム1及びコーン2に取り付けられる。入力駆動手段3の数は3つ以上であり、ラウドスピーカーの駆動力を向上させるように、3つ以上の入力駆動手段3は、1つの円周に沿って等間隔に配列される。コーン2は、全体として円形をなす平板状のコーン底部21を有し、前記円周の円心と、コーン底部21の円心とは重なり、すなわち、複数の入力駆動手段3は、コーン底部21の周方向に沿って等間隔に配置される。相応的に、コーン底部21には円周に沿って等間隔に配列されているボイスコイル取付孔20が3つ以上開口され、ボイスコイル31をコーン底部21に接続させるように、ボイスコイル取付孔20のそれぞれに1つのボイスコイル31が設けられ、フレーム1には、3つ以上の磁気回路取付孔10が開口され、磁気回路取付孔10は、円周に沿って等間隔に配列され、各磁気回路取付孔10には、それぞれ1つの磁気回路ユニットが設けられる。具体的には、
図1乃至
図3に示すように、入力駆動手段3、ボイスコイル取付位置決め孔20、及び磁気回路取付孔10の数は、いずれも3つであり、且つコーン底部21の円心は環状に並んでいる。
【0040】
本実施例において、コーン底部全体が円形をなすコーンを採用し、且つ、複数の入力駆動手段は、コーン底部の円心周りに環状に配列していることが好ましい。また、別の実施例において、前記コーンは、全体として楕円形又は矩形のコーン底部を有し、複数の前記入力駆動手段は、リニア配列またはアレイ状に配列されている。
【0041】
本実施例において、フレーム1は、プラスチックにより射出成形等のプロセスを経て製造されたものでり、成形しやいとともに一定の強度を持ち、磁気回路取付孔10は、上から下にかけて、フレーム1を貫通する貫通孔である。コーン2は、コーン底部21の外縁から上向きに傾斜して延びるテーパー縁部22をさらに有し、テーパー縁部22は、コーン底部21を取り囲んで一週設けられる。コーン2全体は、パルプ、プラスチック(例えばPP(ポリプロピレン))、防弾繊維またはアルミニウム合金からできたものであり、製造されたコーン2は、軽量で、減衰弾性及び剛性に優れ、高温・低温耐性があり、防水防カビ性もある。また、コーン2のテーパー縁部22は、1つのヨークリング4を介してフレーム1に接続され、ヨークリング4は、スポンジ、ゴムまたは布材からなる。前記の形状のコーン2によれば、従来のコーン型ラウドスピーカーよりも指向性の広がり幅に優れるとともに、従来の円錐型コーン2より、高さが低くなり、ラウドスピーカー全体の高さを低くするのに有利である。
【0042】
入力駆動手段3は、具体的に、ボイスコイル31と、磁極芯32と、ネオジム磁石鋼33と、Uヨーク34とからなる。各入力駆動手段3において、ボイスコイル31の上端は
コーン2に固定的に接続されることで、コーン2を振動させるように駆動する。ボイスコイル31は、対応する磁気回路取付孔10を貫通する。Uヨーク34は、チャンバを有し上端が開放して設けられ、Uヨーク34の上縁は、磁気回路取付孔10に近いフレーム1下面に固定的に接続され、磁気回路取付孔10は、Uヨーク34のチャンバに連通する。磁極芯32、ネオジム磁石鋼33は、上から下にかけて積層されるとともにUヨーク34のチャンバに固定的に設置されることにより、磁気回路ユニットが形成される。磁極芯32の下面はネオジム磁石鋼33の上面に密着する。磁極芯32およびネオジム磁石鋼33の両者とUヨーク34の内壁との間には、間隔があるため、磁極芯32およびネオジム磁石鋼33の両者を取り囲む磁気ギャップが形成され、ボイスコイル31の下端が磁気回路取付孔10から下向きに磁気ギャップに挿設され、ボイスコイル31と、磁極芯32および主ネオジム磁石鋼33の両者との間に隙間があり、Uヨーク34内壁との間にも隙間があり、これにより、磁気ギャップで上下に活動することができる。
【0043】
本実施例における磁気回路ユニットは、上記ネオジム磁石鋼を採用し、小型且つ軽量というメリットがある。別の実施例において、磁気回路ユニットにおける上記ネオジム磁石鋼をフェライト磁性鋼に置き換えて磁気回路ユニットのコストを削減することができる。
【0044】
図2に示すように、フレーム1の縁部には、複数ペアのオーディオ信号入力端子5が設けられ、オーディオ信号入力端子5のペアのそれぞれが1つのボイスコイル31の導線に電気的に接続される。なお、オーディオ信号入力端子5ペアのそれぞれは正極端子と負極端子とを有し、各ボイスコイル31の1本の導線がオーディオ信号入力端子5ペアの正極端子に電気的に接続され、もう1本の導線がオーディオ信号入力端子5ペアの負極端子に電気的に接続されることにより、このオーディオ信号入力端子5ペアによって入力されたオーディオ信号(アナログ信号またはデジタル信号)を受信する。これにより、3ペアのオーディオ信号入力端子5により4つのボイスコイル31が同時に駆動される。フレーム11にオーディオ信号入力を複数回実現する統合端子を設けることにより、各ボイスコイル31の正負極導線は、それぞれ、フレーム1の端子と接続可能となり、このような接続方式は、多重入力駆動ラウドスピーカーの製造を簡便にするとともに、オーディオ信号入力の接続も便利にする。
【0045】
この多重入力駆動の小型ラウドスピーカーの動作原理は下記である。オーディオ信号がフレーム1上のオーディオ信号入力端子5を介して複数のボイスコイル31に入力され、複数のボイスコイル31が磁気回路ユニットによって同期して上下に活動することにより、コーン2を振動させるように押動し、発音を行う。本発明の多重入力駆動の小型ラウドスピーカーは、底部が平板状のコーン2を用いて、コーン底部21に形成された平面上に3つ以上のボイスコイル取付位置決め孔20を開口され、3つ以上のボイスコイル31に密着しており、ボイスコイル31は、さらに3つ以上のダンパー33に密着して3つ以上の入力駆動手段3が形成され、3つ以上の磁気回路ユニットでボイスコイル31を駆動させ、3つ以上のボイスコイル31でコーン2を押動するので、製品の高さを低減できるとともに、製品の指向性を広げることもできる。複数のオーディオ信号入力により、製品の歪みを低減し、ラウドスピーカーの感度を向上させ、ラウドスピーカーの明瞭さも向上させる。統合端子によれば、製品自体の接続を簡略化するとともに、オーディオ信号入力接続を便利にする。
【0046】
この小型ラウドスピーカー構造は、巧妙で合理的な構造を有し、平面の底部がコーン構造を採用することで、指向性の幅が従来のラウドスピーカーに比べて優れている。オーディオ信号入力を3つ以上のボイスコイルでそれぞれ受信することにより、サウンド再生性と歪みがラウドスピーカーよりも優れている。平面の底部がコーン形状を採用することで、コーンの高さが従来のコーン型のコーンよりも低くなり、コン高さの低下によって製品高さの低下も実現できる。3つ以上のボイスコイルと3つ以上の磁気回路ユニットからな
る入力駆動構造を採用することで、小型ラウドスピーカーの感度を増加させる。3つ以上のボイスコイルは、平面の底部がコーン型のコーンが3つ以上のボイスコイルに密着されることにより、3つ以上のボイスコイルは、Uヨーク磁気回路において3以上のオーディオ信号入力を介してボイスコイルの上下の活動を駆動させてコ―ンを押動し、発音を行う。
【0047】
実施例2
本発明は多重入力駆動の中高音ラウドスピーカーを提供し、具体的には、当該中高音ラウドスピーカーは、ダンパー無しの中高音ラウドスピーカーである。ここで、多重入力は、複数のオーディオ信号入力を有し、複数のオーディオ信号が複数のボイスコイルに入力され、これら複数のボイスコイルが共同でラウドスピーカーを発音されるように駆動することを意味する。
図4乃至
図6に示すように、この中高音ラウドスピーカーは、1つのフレーム1’と、1つの振動膜2’と、複数の入力駆動手段3’とを含む。振動膜2’は、振動発音に用いられ、振動膜ホルダー1’に固定的に接続される。各入力駆動手段3’はそれぞれ、ボイスコイル31’と、ボイスコイル31’を振動させるように駆動するための磁気回路ユニットと、を含み、このうち、振動膜ホルダー1’には、複数の磁気回路取付孔10’が設けられ、各磁気回路取付孔10’には、最大で1つの磁気回路ユニットが設けられ、振動膜2’には、1つのボイスコイルホルダー22’が設けられ、ボイスコイルホルダー22’の下面には複数のボイスコイル取付位置決め溝(図示せず)が開口され、各ボイスコイル取付位置決め溝には、最大で1つのボイスコイル31’が設けられる。すなわち、複数の駆動入力手段は、振動膜ホルダー1’及び振動膜2’に取り付けられる。入力駆動手段3’の数は3つ以上であり、ラウドスピーカーの駆動力を向上させるように、3つ以上の入力駆動手段3’は、1つの円周に沿って等間隔に配列される。ボイスコイルホルダー22’は、全体として円形をなすとともに平板状であり、前記円周の円心と、ボイスコイルホルダー22’の円心とは重なり、すなわち、複数の入力駆動手段3’は、ボイスコイルホルダー22’の周方向に沿って等間隔に配置される。一実施例において、ボイスコイルホルダー22’の下面には3つ以上の前記ボイスコイル取付位置決め溝が開口され、前記ボイスコイル取付位置決め溝は、円周に沿って等間隔に配列され、ボイスコイル31’をボイスコイルホルダー22’に接続させるように、ボイスコイル取付位置決め溝のそれぞれに1つのボイスコイル31’が設けられ、振動膜ホルダー1’に3つ以上の磁気回路取付孔10’が開口され、磁気回路取付孔10’が前記円周に沿って等間隔に配列され、磁気回路取付孔10’にそれぞれ1つの磁気回路ユニットが設けられる。具体的には、
図4に示すように、入力駆動手段3’、ボイスコイル取付位置決め溝、及び磁気回路取付孔10’の数は、いずれも3つであり、且つボイスコイルホルダー22’の円心周りに環状に配列されている。
【0048】
本実施例において、全体として円形をなすボイスコイルホルダー22’を採用し、且つ、複数の入力駆動手段3’は、ボイスコイルホルダー22’の円心周りに環状に配列していることが好ましい。また、別の実施例において、ボイスコイルホルダー22’は、全体として楕円形又は矩形となり、複数の入力駆動手段3’は、リニア配列またはアレイ状に配列されている。
【0049】
振動膜2’は、上向きにアーチ状となる球形部20’と、球形部20’の外縁を取り囲むように形成されたヨークリング21’とを有し、両者が一体成形または固定的に接続されている。ヨークリング21’とボイスコイルホルダー22’とは固定的に接続され、本実施例いおいて、ヨークリング21’とボイスコイルホルダ22’とが接着により一体化されて球形部20’とボイスコイルホルダ22’との間にサウンドキャビティが形成される。ボイスコイルホルダ22’は、円形の平板状シートであり、ヨークリング21’を介して球形部20’の下方に固定的に接続されている。
【0050】
入力駆動手段3’は、具体的には、ボイスコイル31’、磁極芯32’、ネオジム磁石鋼33’と、Uヨーク34’とからなる。各入力駆動手段3’において、ボイスコイル31’の上端がボイスコイルホルダー22’に固的に接続されることで、ボイスコイルホルダー22’及びこれに接続された振動膜2’を振動させるように駆動する。ボイスコイル31’が対応する磁気回路取付孔10’を貫通する。Uヨーク34’は、チャンバを有し上端が開放して設けられ、Uヨーク34’の上縁は、磁気回路取付孔10’に近い振動膜ホルダー1’の下面に固定的に接続され、磁気回路取付孔10’は、Uヨーク34’のチャンバに連通する。磁極芯32’、ネオジム磁石鋼33’は、上から下にかけて積層されるとともにUヨーク34’のチャンバに固定的に設置されることにより、磁気回路ユニットが形成される。磁極芯32’の下面はネオジム磁石鋼33’の上面に密着する。磁極芯32’およびネオジム磁石鋼33’の両者とUヨーク34’の内壁との間には、間隔があるため、磁極芯32’およびネオジム磁石鋼33’の両者を取り囲む磁気ギャップが形成され、ボイスコイル31’の下端が磁気回路取付孔10’から下向きに磁気ギャップに挿設され、ボイスコイル31’と、磁極芯32’および主ネオジム磁石鋼33’の両者との間に隙間があり、Uヨーク34’内壁との間にも隙間があり、これにより、磁気ギャップで上下に活動することができる。
【0051】
当該中高音ラウドスピーカーは、前記振動膜2’をカバーするように振動膜2’上に設けられた音声拡散器4’を更に含み、音声拡散器4’は振動膜ホルダー1’に固定されている。
図4および図6に示すように、音声拡散器4’の中間部に貫通孔40’が開口されており、音声拡散器4’は、貫通孔40’を囲み上向きに反った形状の音声拡散部41’を有する。
【0052】
図5に示すように、振動膜ホルダー1’の縁部には、複数ペアのオーディオ信号入力端子5’が設けられ、オーディオ信号入力端子5’のペアのそれぞれが1つのボイスコイル31’の導線に電気的に接続される。なお、オーディオ信号入力端子5’ペアのそれぞれは正極端子と負極端子とを有し、各ボイスコイル31’の1本の導線がオーディオ信号入力端子5’ペアの正極端子に電気的に接続され、もう1本の導線がオーディオ信号入力端子5’ペアの負極端子に電気的に接続されることにより、このオーディオ信号入力端子5’ペアによって入力されたオーディオ信号(アナログ信号またはデジタル信号)を受信する。これにより、3ペアのオーディオ信号入力端子5’により4つのボイスコイル31’が同時に駆動される。振動膜ホルダー1’にオーディオ信号入力を複数回実現する統合端子を設けることにより、各ボイスコイル31’の正負極導線は、それぞれ、振動膜ホルダー1’の底部中間の端子と接続可能となり、このような接続方式は、多重入力駆動ラウドスピーカーの製造を簡便にするとともに、オーディオ信号入力の接続も便利にする。
【0053】
この多重入力駆動の中高音ラウドスピーカーの動作原理は下記である。オーディオ信号が振動膜ホルダー1’上のオーディオ信号入力端子5’を介して複数のボイスコイル31’に入力され、複数のボイスコイル31’が磁気回路ユニットによって同期して上下に活動することにより、ボイスコイルホルダー22’とそれに接続されている振動膜2’を振動するように押動し、発音を行う。本発明の多重入力駆動の中高音ラウドスピーカーは、3つ以上のボイスコイル31’により振動膜2’を押動することで、製品の歪みを低減し、ラウドスピーカーの感度を向上させ、ラウドスピーカーの明瞭さも向上させる。統合端子によれば、製品自体の接続を簡略化するとともに、オーディオ信号入力接続を便利にする。
【0054】
上記実施例は、本発明の技術的思想及び特徴を説明するための好ましい実施例であり、その目的は、この技術を熟知している者に本発明の内容を理解させ、それに応じて本発明を実施させることであり、実施例によって本発明の保護範囲を限定することができない。
【符号の説明】
【0055】
1 フレーム
10 磁気回路取付孔
2 コーン
20 ボイスコイル取付位置決め孔
21 コーン底部
22 テーパー縁部
3 入力駆動手段
31 ボイスコイル
310 導線
32 磁極芯
33 ネオジム磁石鋼
34 Uヨーク
4 ヨークリング
5 オーディオ信号入力端子
1’ 振動膜ホルダー
10’ 磁気回路取付孔
2’ 振動膜
20’ 球形部
21’ ヨークリング
22’ ボイスコイルホルダー
3’ 入力駆動手段
31’ ボイスコイル
310’ 導線
32’ 磁極芯
33’ ネオジム磁石鋼
34’ Uヨーク
4’ 音声拡散カバー
5’ オーディオ信号入力端子