(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】自動反応カートリッジにおける、DNAメチル化の統合精製及び測定並びに突然変異及び/又はmRNA発現レベルの同時測定
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6869 20180101AFI20240405BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20240405BHJP
C12N 15/10 20060101ALI20240405BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20240405BHJP
C12M 1/00 20060101ALN20240405BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z ZNA
C12Q1/686 Z
C12N15/10 110Z
G01N33/50 P
C12M1/00 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022014857
(22)【出願日】2022-02-02
(62)【分割の表示】P 2017564901の分割
【原出願日】2016-06-14
【審査請求日】2022-03-03
(32)【優先日】2015-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504019928
【氏名又は名称】セファイド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エドウィン・ダブリュー・ライ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・コールウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リウエル・ヴァナッタ
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル・ヒグチ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ゴール
(72)【発明者】
【氏名】クリステン・コックモンド
【審査官】小田 浩代
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-106304(JP,A)
【文献】特開2009-236933(JP,A)
【文献】特表2009-519023(JP,A)
【文献】Bailey, V. J. et al.,Single-tube analysis of DNA methylation with silica superparamagnetic beads,Clin. Chem.,2010年,Vol. 56(6),pp. 1022-1025
【文献】Holmes, E. E. et al.,Performance Evaluation of Kits for Bisulfite-Conversion of DNA from Tissues, Cell Lines, FFPE Tissues, Aspirates, Lavages, Effusions, Plasma, Serum, and Urine,PLoS One,2014年,Vol. 9(4): e93933,pp. 1-15
【文献】High Pure PCR Product Purification Kit,ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社,2005年01月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N15/00-15/90
C12M 1/00- 3/00
C12Q 1/00- 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)核酸を含む生体試料を、第1のカラム又はフィルターを構成する第1のマトリックス材料と接触させる工程であって、前記マトリックス材料が核酸と結合
して結合したDNAを生じる及び/又は
核酸を濾過
して濾過されたDNAを生じることによってDNAが精製される工程と、
ii) 任意の結合したDNAを第1のマトリックス材料から溶出させ、溶出された又は
濾過された
前記DNAを変性させて、変性DNAを生成する工程と、
iii)変性DNAを亜硫酸水素塩試薬の存在下で加熱して、脱アミノ化核酸を生成する工程と、
iv)前記脱アミノ化核酸を、第2のカラムを構成する第2のマトリックス材料と接触させて、前記脱アミノ化核酸を前記第2のマトリックス材料と結合させる工程と、
v)結合した脱アミノ化核酸を脱スルホン化する、並びに/又は結合した脱アミノ化核酸をアルカリ溶液と接触させることによって、結合した脱アミノ化核酸を同時に溶出及び脱スルホン化して、変換された核酸を生成する工程と、
vi)
脱スルホン化と同時に溶出されていない場合、前記変換された核酸を前記第2のマトリックス材料から溶出させる工程と、
vii)前記変換された核酸を増幅する工程と
を含み、
少なくとも工程iv)からvi)を単一の反応カートリッジで行う核酸のメチル化状態を決定するために変換された核酸を生産する方法であって、
前記カートリッジが、前記第1のマトリックス材料を含むカラム、試料受けチャンバー、温度制御され熱サイクルに供されることが出来る反応チャネル又はチャンバー、試薬及び/又は緩衝液を含有する複数のチャンバーを含み、使用時に、前記チャンバーのうちの少なくとも1つが脱スルホン化及び/又は溶出緩衝液を含有しており、
前記試料受けチャンバー、前記カラム、前記複数のチャンバー、及び前記反応チャネル又はチャンバーがマイクロ流体チャネル及び弁によって選択的に流体連結しており、
前記試料受けチャンバー、前記カラム、前記複数のチャンバー、前記反応チャネル若しくはチャンバー、又は前記反応チャネル若しくはチャンバー内へのポートが、中央弁の周りに配置されており、前記中央弁内のチャネルと選択的に流体連結しており、前記中央弁が、前記中央弁と流体連結しているチャンバーから流体を出し入れすることができるプランジャーを収容するように構成されており、及び/又は
前記増幅がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって行われ、亜硫酸水素試薬との加熱が、後にPCRに使用される反応チャネル又はチャンバー内で行われる、
非診断方法である、方法。
【請求項2】
使用時に、前記チャンバーのうちの少なくとも1つが亜硫酸水素塩イオンを提供する試薬を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カートリッジが、メチル化特異的PCRプライマー、メチル化特異的PCRプローブ、PCR酵素、及びPCR反応緩衝液からなる群から選択される1つ又は複数の試薬を含有する1つ又は複数のチャンバーを含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記カートリッジが、
亜硫酸水素塩変換されたDNAのフォワード鎖のメチル化を検出するための1つ若しくは複数のプライマー及びプローブを含有する1つ若しくは複数のチャンバー、及び/又は
亜硫酸水素塩変換されたDNAのリバース鎖のメチル化を検出するための1つ若しくは複数のプライマー及びプローブを含有する1つ若しくは複数のチャンバー
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記カートリッジが、使用時に、
前記試料を含有する第1のチャンバーであって
、前記試料がGTC-EtOH-Tween抽出/沈殿試薬中にある、チャンバーと、
グアニジニウムチオシアネート-エタノール(GTC-EtOH)溶液を含有する第2のチャンバーと、
前記亜硫酸水素塩試薬を含有する第3のチャンバーと、
緩衝液を含有する第4のチャンバーと、
すすぎ溶液を含有する第5のチャンバーと、
前記溶出/脱スルホン化試薬を含有する第6のチャンバーと
を含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
i)試料をカートリッジ内に入れる時点若しくはその間近に、GTC-ETOH-Tween緩衝液を加える、及び/又は
試料をカートリッジ内に入れる時点若しくはその間近に、亜硫酸水素塩試薬をカートリッジに加える、あるいは
ii) GTC-ETOH-Tween緩衝液をカートリッジの成分として提供する、及び/又は
亜硫酸水素塩試薬をカートリッジの成分として提供する、
請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記カートリッジが、PCRプライマー及び/又はプローブ及び/又はPCR酵素を含有する第7のチャンバーを含み
、前記PCRプライマー、及び/又はプローブ、及び/又は酵素をビーズとして提供する、請求項
5又は
6に記載の方法。
【請求項8】
亜硫酸水素塩イオンを、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素セシウム、亜硫酸水素アンモニウム、及びDABSOからなる群から選択される化合物として提供する、請求項1から
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
メチル化特異的PCR(MSP)を、メチル化された配列に特異的なプライマー及び/若しくはメチル化されていない配列に特異的なプライマーを使用して行う、並びに/又は
TaqMan PCR反応を、亜硫酸水素塩変換された、メチル化された、及び/若しくはメチル化されていない配列に特異的なプライマーを用いて行う、
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記MSPが、増幅されたメチル化された配列のマーカーである1つ若しくは複数の蛍光プローブ及び/又は増幅されたメチル化されていない配列のマーカーである1つ若しくは複数の蛍光プローブを利用するものであり、
前記蛍光プローブは蛍光レポーター色素及び消光色素を含み、プローブが、Taq DNAポリメラーゼの5'から3'のヌクレアーゼ活性による切断の際にシグナルをもたらす、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
i)メチル化シグナルが、増幅された目的領域中の異なるメチル化された領域にそれぞれ特異的な複数のプローブの合わせたシグナルによって決定される、及び/又は
メチル化シグナルが、増幅された目的領域中の同じメチル化された領域に特異的な複数のプローブによって決定される、及び/又は
ii) メチル化シグナルが、増幅された目的領域中の単一のプローブによって決定される、
請求項1
0に記載の方法。
【請求項12】
メチル化を、MGMT、RASSF1A、ADAMTS1、BNC1、HIST1H3C、HOXB4、RASGRF2、TM6SF1、及びAKR1B1からなる群から選択される遺伝子のプロモーター領域について決定する、あるいは、前記カートリッジが表5、表9又は表10に記載の1もしくは複数のプライマー及び/又は表5、表9又は表10に記載の1もしくは複数のプローブを含む、請求項1から1
1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
核酸を含む生体試料を第1のマトリックス材料と接触させる前記工程が、RNAを含有する試料を前記第1のマトリックス材料と接触させる工程を含み、ここで前記マトリックス材料が前記RNAと結合することによってRNAが精製され、RNAの発現レベルをメチルトランスフェラーゼについて決定する、請求項1から1
2のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、すべての目的のためにその全体で本明細書中に参考として組み込まれている、2015年6月15日に出願のUSSN62/175,916号の優先権を主張するものである。
【0002】
政府支援の記載
[適用なし]
【背景技術】
【0003】
高等真核生物のゲノムは修飾されたヌクレオシドである5-メチルシトシン(5-meC)を含有する。この修飾は、通常、インタクトな二重らせんから標的シトシンをめくり出す(flip out)こと、及びメチルトランスフェラーゼ酵素によってメチル基をS-アデノシルメチオニンから移動させることを含む反応においてシトシンが5-メチルシトシンへと変換されている、ジヌクレオチドCpGの一部として見出される(たとえばKlimasauskasら(1994年)、Cell、76:357~369頁を参照)。この酵素的変換は、脊椎動物において存在することが知られているDNAの主な後成的修飾であり、正常な胚発生に必須である(たとえば、Bird(1992年)、Cell、70:5~8頁、Laird及びJaenisch(1994年)、Human Mol.Genet.、3:1487~1495頁、並びにLiら(1992年)、Cell、69:915~926頁を参照)。
【0004】
真核生物では、DNAメチル化が、ゲノム刷り込み、染色体不安定性、及びX-染色体不活性化等の正常な細胞プロセスを調節している。典型的には、DNAメチル化は、CpGアイランド又はショア(shore)と呼ばれる遺伝子プロモーター内又はその付近のジヌクレオチドの5'-CpG-3'部位にあるシトシンの第5炭素位で起こる。メチル化は、転写機構を阻害することによって直接、又はクロマチンリモデリングタンパク質の動員を介して間接的に、転写をダウンレギュレーションすることによって遺伝子発現を制御する。染色体のメチル化パターンは胚発生中に動的に変化し、個体の一生涯の全体にわたって正しいメチル化パターンが維持されなければならない。メチル化パターンの変化は老化に結び付けられており、DNAメチル化のエラーが、発癌中に起こる最も初期の変化のうちの1つである。したがって、遺伝子プロモーターでのメチル化の検出は、とりわけ癌に罹患している患者の診断及び/又はモニタリングにおいて重要である。
【0005】
DNAメチル化を含めた後成的な変更はDNA-RNA-タンパク質の軸を妨げ、これにより、どのように遺伝情報がメッセンジャーRNA(mRNA)へと転写されるかが現される。ゲノムDNAの変動とmRNAコピー数とタンパク質レベルとの間の相関性は、DNAメチル化レベルによってが現され得る。したがって、DNAメチル化レベル及び対応する下流のmRNAレベルの同時測定は、後成的細胞調節の機構の理解に重要な可能性がある。
【0006】
メチル化を効率的且つ正確に検出及び定量するためにいくつかの方法が開発されている。最も一般的な技法は、メチル化されていないシトシンをウラシルへと変換する亜硫酸水素塩変換方法である。変換された後、DNAのメチル化プロフィールを標準のPCR技法、シーケンシング方法等によって決定することができる。
【0007】
亜硫酸水素塩の変換及びDNAのクリーンナップに適したDNAメチル化キットはいくつか存在する(たとえばZymo ResearchのEZ DNAメチル化(登録商標)キット)。ほとんどのキットはいくつかの工程、試薬、及びインキュベーション時間を含み、一部のキットは組織又は血漿/血清を出発物質として利用できるが、多くの場合は、変換の前に精製DNAを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第6,027,998号
【文献】米国特許第6,605,451号
【文献】PCT公開番号WO97/31256
【文献】PCT公開番号WO01/92579
【文献】米国特許第5,830,711号
【文献】米国特許第6,027,889号
【文献】米国特許第5,686,243号
【文献】PCT公開番号WO0056927A3
【文献】PCT公開番号WO9803673A1
【文献】PCT特許公開番号WO2014/052551(PCT/US2013/061863)
【文献】米国特許第5,958,349号
【文献】米国特許第6,403,037号
【文献】米国特許第6,440,725号
【文献】米国特許第6,783,736号
【文献】米国特許第6,818,185号
【文献】米国特許出願第2006/0068399号
【文献】EP 0070685
【文献】米国特許第5210015号
【文献】米国特許第5538848号
【文献】米国特許第6150097号
【文献】PCT/US2013/061863(WO/2014/052551)
【非特許文献】
【0009】
【文献】Klimasauskasら(1994年)、Cell、76:357~369頁
【文献】Bird(1992年)、Cell、70:5~8頁
【文献】Laird及びJaenisch(1994年)、Human Mol.Genet.、3:1487~1495頁
【文献】Liら(1992年)、Cell、69:915~926頁
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【文献】Johanssonら(2002) J. Am. Chem. Soc. 124: 6950~6956頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
典型的には、亜硫酸水素塩変換方法は少なくとも4つの工程を必要とする:1)DNA変性、2)亜硫酸水素塩インキュベーション、3)DNA精製、及び4)脱スルホン化。最後の脱スルホン化工程はオンカラム又は溶液中で完了することができ、次いでエタノール沈殿を行う。DNA精製、亜硫酸水素塩インキュベーション、脱スルホン化、2回目のDNA精製、及びメチル化特異的PCRの方法全体を使用者が一工程で完了することを可能にするメチル化キットは、現在存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書中で企図される様々な実施形態は、必ずしもそれだけに限定されないが、以下のうちの1つ又は複数を含み得る。
【0012】
本明細書中で企図される様々な実施形態は、必ずしもそれだけに限定されないが、以下のうちの1つ又は複数を含み得る。
【0013】
実施形態1:
i)核酸を含む生体試料を、第1のカラム又はフィルターを構成する第1のマトリックス材料と接触させる工程であって、前記マトリックス材料が前記試料中の核酸と結合する及び/又はそれを濾過することによってDNAが精製される工程と、
ii)結合したDNAを第1のマトリックス材料から溶出させ、DNAを変性させて、溶出された変性DNAを生成する工程と、
iii)溶出されたDNAを亜硫酸水素塩試薬の存在下で加熱して、脱アミノ化核酸を生成する工程と、
iv)前記脱アミノ化核酸を、第2のカラムを構成する第2のマトリックス材料と接触させて、前記脱アミノ化核酸を前記第2のマトリックス材料と結合させる工程と、
v)結合した脱アミノ化核酸を脱スルホン化する、並びに/又は脱アミノ化核酸をアルカリ溶液と接触させることによって核酸を同時に溶出及び脱スルホン化して、変換された(たとえば亜硫酸水素塩変換された)核酸を生成する工程と、
vi)前記亜硫酸水素塩変換された核酸を前記第2のマトリックス材料から溶出させる工程と、
vii)前記変換された核酸に対して、メチル化特異的PCR及び/又は核酸シーケンシング及び/又は高分解能融解分析(HRM)を行って、前記核酸のメチル化を決定する工程と
を含み、少なくとも工程iv)からvi)を単一の反応カートリッジで行う、核酸のメチル化状態を決定するための方法。
【0014】
実施形態2:少なくとも工程iv)からvi)を単一の反応カートリッジで行う、実施形態1に記載の方法。
【0015】
実施形態3:少なくとも工程iii)からvi)を単一の反応カートリッジで行う、実施形態1に記載の方法。
【0016】
実施形態4:少なくとも工程ii)からvi)を単一の反応カートリッジで行う、実施形態1に記載の方法。
【0017】
実施形態5:少なくとも工程i)からvi)を単一の反応カートリッジで行う、実施形態1に記載の方法。
【0018】
実施形態6:工程viiを同じ反応カートリッジで行う、実施形態1~5のいずれか一項に記載の方法。
【0019】
実施形態7:前記第1のマトリックス材料及び前記第2のマトリックス材料が、同じカラムを形成する同じ材料である、実施形態1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0020】
実施形態8:前記第1のマトリックス材料及び前記第2のマトリックス材料が異なるカラムを形成する、実施形態1~7のいずれか一項に記載の方法。
【0021】
実施形態9:前記メチル化特異的PCRを行う場合は、前記カートリッジで行う、実施形態1~8の実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0022】
実施形態10:前記核酸シーケンシングを行う場合は、前記カートリッジ、又は前記カートリッジと連結させた装置で行う、実施形態1~9のいずれか一項に記載の方法。
【0023】
実施形態11:前記カートリッジが、前記第1のマトリックス材料を含むカラム、試料受けチャンバー、温度制御チャネル又はチャンバー、試薬及び/又は緩衝液を含有する複数のチャンバーを含み、使用時に前記チャンバーのうちの少なくとも1つが脱スルホン化/溶出緩衝液を含有しており、前記カートリッジが、前記第2のマトリックス材料を含む第2のカラムを任意選択で含む、実施形態1~10のいずれか一項に記載の方法。
【0024】
実施形態12:使用時に、前記チャンバーのうちの少なくとも1つが亜硫酸水素塩イオンを提供する試薬を含有する、実施形態11に記載の方法。
【0025】
実施形態13:前記第2のカラムが存在しない、実施形態11又は12に記載の方法。
【0026】
実施形態14:前記第2のカラムが存在する、実施形態11~13のいずれか一項に記載の方法。
【0027】
実施形態15:前記カートリッジが、前記温度制御チャネル又はチャンバーに加えて熱サイクルチャネル又はチャンバーを含む、実施形態11~14のいずれか一項に記載の方法。
【0028】
実施形態16:前記温度制御チャネル又はチャンバーが熱サイクルチャネル又はチャンバーである、実施形態11~14のいずれか一項に記載の方法。
【0029】
実施形態17:前記カートリッジが、メチル化特異的PCRプライマー、メチル化特異的PCRプローブ、PCR酵素、及びPCR反応緩衝液からなる群から選択される1つ又は複数の試薬を含有する1つ又は複数のチャンバーを含む、実施形態11~16のいずれか一項に記載の方法。
【0030】
実施形態18:前記カートリッジが、亜硫酸水素塩変換されたDNAのフォワード鎖のメチル化を検出するための1つ又は複数のプライマー及びプローブを含有する1つ又は複数のチャンバーを含む、実施形態17に記載の方法。
【0031】
実施形態19:前記カートリッジが、亜硫酸水素塩変換されたDNAのリバース鎖のメチル化を検出するための1つ又は複数のプライマー及びプローブを含有する1つ又は複数のチャンバーを含む、実施形態17又は18に記載の方法。
【0032】
実施形態20:前記試料受けチャンバー、前記カラム、前記複数のチャンバー、並びに存在する場合は前記温度制御チャネル若しくはチャンバー及び/又は熱サイクルチャネル若しくはチャンバーが、選択的に流体連結している、実施形態11~19のいずれか一項に記載の方法。
【0033】
実施形態21:前記試料受けチャンバー、前記カラム、前記複数のチャンバー、及び存在する場合は前記熱サイクルチャネル又はチャンバーが、マイクロ流体チャネル及び弁によって選択的に流体連結している、実施形態20に記載の方法。
【0034】
実施形態22:前記試料受けチャンバー、前記カラム、前記複数のチャンバー、及び存在する場合は前記熱サイクルチャネル若しくはチャンバー又は前記熱サイクルチャネル若しくはチャンバー内へのポートが、中央弁の周りに配置されており、前記中央弁内のチャネルと選択的に流体連結しており、前記中央弁が、前記中央弁と流体連結しているチャンバーから流体を出し入れすることができるプランジャーを収容するように構成されている、実施形態20に記載の方法。
【0035】
実施形態23:前記カートリッジが、使用時に、
試料を含有する第1のチャンバーと、
グアニジニウムチオシアネート-エタノール(GTC-EtOH)溶液を含有する第2のチャンバーと、
亜硫酸水素塩試薬を含有する第3のチャンバーと、
緩衝液を含有する第4のチャンバーと、
すすぎ溶液を含有する第5のチャンバーと、
溶出/脱スルホン化試薬を含有する第6のチャンバーと
を含む、実施形態11~22のいずれか一項に記載の方法。
【0036】
実施形態24:第1のチャンバーがGTC-EtOH-Tween抽出/沈殿試薬中の前記試料を含有する、実施形態23に記載の方法。
【0037】
実施形態25:試料をカートリッジ内に入れる時点若しくはその間近に、GTC-ETOH-Tween緩衝液を加える、実施形態23又は24に記載の方法。
【0038】
実施形態26:試料をカートリッジ内に入れる時点若しくはその間近に、亜硫酸水素塩試薬をカートリッジに加える、実施形態23~25のいずれか一項に記載の方法。
【0039】
実施形態27:GTC-ETOH-Tween緩衝液をカートリッジの成分として提供する、実施形態23に記載の方法。
【0040】
実施形態28:亜硫酸水素塩試薬をカートリッジの成分として提供する、実施形態23~25のいずれか一項に記載の方法。
【0041】
実施形態29:前記カートリッジが、PCRプライマー及び/又はプローブ及び/又はPCR酵素を含有する第7のチャンバーを含む、実施形態11~28のいずれか一項に記載の方法。
【0042】
実施形態30:前記カートリッジが、やはりPCRプライマー及び/又はプローブ及び/又はPCR酵素を含有する第8のチャンバーを含む、実施形態11~29のいずれか一項に記載の方法。
【0043】
実施形態31:前記PCRプライマー、及び/又はプローブ、及び/又は酵素をビーズとして提供する、実施形態29又は30に記載の方法。
【0044】
実施形態32:前記生体試料が、細胞、組織、及び核酸を含有する生体液からなる群から選択される1つ又は複数の試料を含む、実施形態1~31のいずれか一項に記載の方法。
【0045】
実施形態33:前記生体試料が、全血、血漿、血清、唾液、粘液、尿、痰、膵液、及び脳脊髄液からなる群から選択される生体液を含む、実施形態32に記載の方法。
【0046】
実施形態34:前記生体試料が、組織試料、ホルマリン固定したパラフィン包埋した(FFPE)組織、新鮮凍結組織、細針吸引液(FNA)、及びコア生検からなる群から選択される試料を含む、実施形態32に記載の方法。
【0047】
実施形態35:前記生体試料を溶解溶液と接触させる工程を含む、実施形態1~34のいずれか一項に記載の方法。
【0048】
実施形態36:前記試料を前記試料受けチャンバー内に提供し、前記試料を抽出/沈殿溶液と接触させる工程を含む、実施形態35に記載の方法。
【0049】
実施形態37:前記マトリックス材料が、ガラス又はシリカ、イオン交換樹脂、セルロース、及びヒドロキシアパタイトからなる群から選択されるカラム材料を含む、実施形態1~36のいずれか一項に記載の方法。
【0050】
実施形態38:前記マトリックス材料がガラスを含む、実施形態37に記載の方法。
【0051】
実施形態39:前記亜硫酸水素塩イオンを、亜硫酸水素アンモニウム、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素セシウム、及びDABSOからなる群から選択される化合物として提供する、実施形態1~38のいずれか一項に記載の方法。
【0052】
実施形態40:前記亜硫酸水素塩イオンが亜硫酸水素アンモニウムによって提供される、実施形態39に記載の方法。
【0053】
実施形態41:前記亜硫酸水素塩を、亜硫酸塩の酸化を防止するための捕捉剤及び/又は触媒を含む試薬混合物中で提供する、実施形態1~40のいずれか一項に記載の方法。
【0054】
実施形態42:前記亜硫酸水素塩を、トロロックス及びヒドロキノンからなる群から選択される捕捉剤を含む試薬混合物中で提供する、実施形態41に記載の方法。
【0055】
実施形態43:前記亜硫酸水素塩を、触媒としてポリアミンを含む試薬混合物中で提供する、実施形態41又は42に記載の方法。
【0056】
実施形態44:結合したDNAを溶出させる前記工程が、低濃度の水酸化カリウム又は他の塩基を使用して前記DNAを溶出及び変性させる工程を含む、実施形態1~43のいずれか一項に記載の方法。
【0057】
実施形態45:結合したDNAを溶出させる前記工程が、約pH10.5より高いpHを有するアルカリ溶液を用いて前記DNAを溶出及び変性させる工程を含む、実施形態44に記載の方法。
【0058】
実施形態46:結合したDNAを溶出させる前記工程が、約pH12より高いpHを有するアルカリ溶液を用いて前記DNAを溶出及び変性させる工程を含む、実施形態44に記載の方法。
【0059】
実施形態47:前記アルカリ溶液が10~15mMのKOH溶液である、実施形態45又は46に記載の方法。
【0060】
実施形態48:脱アミノ化核酸を生成するために溶出されたDNAを亜硫酸水素塩イオンとインキュベーションする前記工程が、DNAを約6M~約7Mの範囲の濃度を有する亜硫酸水素アンモニウム溶液中でインキュベーションする工程を含む、実施形態1~47のいずれか一項に記載の方法。
【0061】
実施形態49:脱アミノ化核酸を生成するために溶出されたDNAを亜硫酸水素塩イオンとインキュベーションする前記工程が、DNAを約6.5Mの濃度を有する亜硫酸水素アンモニウム溶液中でインキュベーションする工程を含む、実施形態48に記載の方法。
【0062】
実施形態50:前記インキュベーションする工程が、濃亜硫酸水素塩溶液中のDNAを前記カートリッジ内の温度制御チャネル又はチャンバー内に移し、前記混合物を加熱する工程を含む、実施形態49に記載の方法。
【0063】
実施形態51:前記インキュベーションする工程が、濃亜硫酸水素塩溶液を約60℃~約95℃の温度で熱サイクルを行う工程を含む、実施形態50に記載の方法。
【0064】
実施形態52:前記脱アミノ化核酸を第2のマトリックス材料と接触させる前記工程が、DNA-亜硫酸水素塩溶液を新鮮なGTC-EtOHと混合し、溶液を前記第2のマトリックス材料上に分注する工程を含む、実施形態1~51のいずれか一項に記載の方法。
【0065】
実施形態53:前記第2のマトリックス材料中のDNAを、新鮮なGTC-EtOH、その後にすすぎ溶液で洗浄する工程を含む、実施形態52に記載の方法。
【0066】
実施形態54:前記すすぎ溶液がPEG200を含む、実施形態53に記載の方法。
【0067】
実施形態55:結合した脱アミノ化核酸を脱スルホン化する前記工程が、高pHの脱スルホン化緩衝液を用いてDNAを前記第2のカラムから溶出させ、前記溶液をインキュベーションする工程を含む、実施形態1~54のいずれか一項に記載の方法。
【0068】
実施形態56:前記インキュベーションする工程が、約1分間~約1時間、若しくは約5分間~約30分間、若しくは約10分間~約20分間の範囲の期間、又は約15分間である、実施形態55に記載の方法。
【0069】
実施形態57:前記高pH脱スルホン化/溶出緩衝液がKOHを含む、実施形態55又は56に記載の方法。
【0070】
実施形態58:前記インキュベーションが、前記高pH脱スルホン化緩衝液を保持していたチャンバー(たとえばチャンバー10)内である、実施形態55~57のいずれか一項に記載の方法。
【0071】
実施形態59:亜硫酸水素塩イオンとのインキュベーションの後、残留亜硫酸水素塩を除去してpHを中和するために温度制御チャネル又はチャンバーを緩衝液で洗浄する、実施形態1~58のいずれか一項に記載の方法。
【0072】
実施形態60:前記亜硫酸水素塩変換された核酸の高分解能融解分析(HRM)を、前記核酸のメチル化を決定するために行う、実施形態1~59のいずれか一項に記載の方法。
【0073】
実施形態61:前記亜硫酸水素塩変換された核酸の核酸シーケンシングを、前記核酸のメチル化を決定するために行う、実施形態1~60のいずれか一項に記載の方法。
【0074】
実施形態62:メチル化特異的PCRを、標的核酸配列のメチル化を決定するために行う、実施形態1~60のいずれか一項に記載の方法。
【0075】
実施形態63:前記メチル化特異的PCR(MSP)を、メチル化された配列に特異的なプライマー及び/又はメチル化されていない配列に特異的なプライマーを使用して行う、実施形態62に記載の方法。
【0076】
実施形態64:前記メチル化特異的PCRがMethyLightプロトコールを含む、実施形態62に記載の方法。
【0077】
実施形態65:TaqMan PCR反応を、亜硫酸水素塩変換された、メチル化された、及び/又はメチル化されていない配列に特異的なプライマーを用いて行う、実施形態62に記載の方法。
【0078】
実施形態66:前記MSPが、増幅されたメチル化された配列のマーカーである1つ若しくは複数の蛍光プローブ及び/又は増幅されたメチル化されていない配列のマーカーである1つ若しくは複数の蛍光プローブを利用する、実施形態62~65のいずれか一項に記載の方法。
【0079】
実施形態67:前記蛍光プローブが蛍光レポーター色素及び消光色素を含み、プローブが、Taq DNAポリメラーゼの5'から3'のヌクレアーゼ活性による切断の際にシグナルをもたらす、実施形態66に記載の方法。
【0080】
実施形態68:メチル化シグナルが、増幅された目的領域中の異なるメチル化された領域にそれぞれ特異的な複数のプローブの合わせたシグナルによって決定される、実施形態66又は67に記載の方法。
【0081】
実施形態69:メチル化シグナルが、増幅された目的領域中の同じメチル化された領域に特異的な複数のプローブによって決定される、実施形態66又は67に記載の方法。
【0082】
実施形態70:前記複数のプローブが、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又はそれより多くのプローブを含む、実施形態66又は67に記載の方法。
【0083】
実施形態71:メチル化シグナルが、増幅された目的領域中の単一のプローブによって決定される、実施形態66又は67に記載の方法。
【0084】
実施形態72:前記プローブについて、単式又は多重式で試行を行う、実施形態66~71のいずれか一項に記載の方法。
【0085】
実施形態73:前記プローブについて、多重様式で試行を行う、実施形態66~71のいずれか一項に記載の方法。
【0086】
実施形態74:前記プローブについて、ネステッドPCR反応として試行を行う、実施形態66~73のいずれか一項に記載の方法。
【0087】
実施形態75:前記PCR反応が、亜硫酸水素塩が反応中に存在する場合に、PCR中に亜硫酸水素塩媒介性の切断を受ける亜硫酸水素塩汚染制御プローブを含む、実施形態66~74のいずれか一項に記載の方法。
【0088】
実施形態76:PCRを1つ又は複数の突然変異させた遺伝子について行う、実施形態1~75のいずれか一項に記載の方法。
【0089】
実施形態77:PCRを、対照として変換していないDNAについて行う、実施形態1~76のいずれか一項に記載の方法。
【0090】
実施形態78:PCRを、対照として変換したDNAについて行う、実施形態1~77のいずれか一項に記載の方法。
【0091】
実施形態79:PCRを変換していないDNAについて行い、変換していないDNAが前記方法の標的である、実施形態77に記載の方法。
【0092】
実施形態80:亜硫酸水素塩反応とPCR反応、又は脱スルホン化反応とPCR反応、又は亜硫酸水素塩反応と脱スルホン化反応とPCR反応を、すべて同じ反応チューブ又はチャンバー内で行う、実施形態1~79のいずれか一項に記載の方法。
【0093】
実施形態81:核酸を含む生体試料を第1のマトリックス材料と接触させる前記工程が、RNAを含有する試料を前記第1のマトリックス材料と接触させる工程を含み、ここで前記マトリックス材料が前記RNAと結合することによってRNAが精製される、実施形態1~80のいずれか一項に記載の方法。
【0094】
実施形態82:DNAとは実質的に独立して、前記RNAを前記マトリックス材料から溶出させる工程を含む、実施形態81に記載の方法。
【0095】
実施形態83:トリス緩衝溶出を使用してRNAを前記第1のマトリックス材料から溶出させる、実施形態82に記載の方法。
【0096】
実施形態84:前記RNAを溶出させてチャンバー内に保存する、実施形態81~83のいずれか一項に記載の方法。
【0097】
実施形態85:前記RNAに対して逆転写(RT)を行い、標的RNA配列のレベルを決定するためにqRT-PCRを行う、実施形態81~84のいずれか一項に記載の方法。
【0098】
実施形態86:RNA画分を使用して亜硫酸水素塩変換された核酸を前記第2のマトリックス材料から溶出させ、亜硫酸水素塩変換されたDNAと混合する、又は溶出させた亜硫酸水素塩変換されたDNAと混合する、実施形態82~85のいずれか一項に記載の方法。
【0099】
実施形態87:亜硫酸水素塩変換されたDNAと合わせる前、又はその後に、前記RNAに対してRTを行う、実施形態86に記載の方法。
【0100】
実施形態88:標的RNA配列のレベルを決定するために混合物中のRT RNAに対してqRT-PCRを行い、標的DNA配列のメチル化を決定するために混合物に対してメチル化特異的PCRを行う、実施形態86又は87に記載の方法。
【0101】
実施形態89:メチル化を、MGMT、RASSF1A、ADAMTS1、BNC1、HIST1H3C、HOXB4、RASGRF2、TM6SF1、及びAKR1B1からなる群から選択される遺伝子のプロモーター領域について決定する、実施形態1~88のいずれか一項に記載の方法。
【0102】
実施形態90:RNAの発現レベルをメチルトランスフェラーゼについて決定する、実施形態81~89のいずれか一項に記載の方法。
【0103】
実施形態91:RNAの発現レベルを、DNMT1、DNMT2、DNMT3A、DNMT3B、及びTNMT3Lからなる群から選択されるメチルトランスフェラーゼについて決定する、実施形態90に記載の方法。
【0104】
実施形態92:第1のマトリックス材料を含むカラム、試料受けチャンバー、温度制御チャネル又はチャンバー、試薬及び/又は緩衝液を含有する複数のチャンバーを含み、使用時に前記チャンバーのうちの少なくとも1つが亜硫酸水素塩試薬を含有しており、使用時に前記チャンバーのうちの少なくとも1つが脱スルホン化/溶出緩衝液を含有しており、前記第2のマトリックス材料を含む第2のカラムを任意選択で含む、核酸のメチル化状態を決定するためのカートリッジ。
【0105】
実施形態93:使用時に、グアニジニウムチオシアネートエタノール(GTC-EtOH)を含む試薬を含有するチャンバーを含む、実施形態92に記載のカートリッジ。
【0106】
実施形態94:前記第2のカラムが存在しない、実施形態92又は93に記載のカートリッジ。
【0107】
実施形態95:前記第2のカラムが存在する、実施形態92又は93に記載のカートリッジ。
【0108】
実施形態96:前記温度制御チャネル又はチャンバーが熱サイクルチャネル又はチャンバーである、実施形態92~95のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0109】
実施形態97:第2の加熱チャネル又はチャンバーを更に含む、実施形態92~96のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0110】
実施形態98:前記亜硫酸水素塩試薬が、亜硫酸水素アンモニウム、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素セシウム、及びDABSOからなる群から選択される化合物を含む、実施形態92~97のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0111】
実施形態99:前記亜硫酸水素塩試薬が亜硫酸水素アンモニウムを含む、実施形態98に記載のカートリッジ。
【0112】
実施形態100:前記亜硫酸水素塩を、亜硫酸塩の酸化を防止するための捕捉剤及び/又は触媒を含む試薬混合物中で提供する、実施形態92~99のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0113】
実施形態101:前記亜硫酸水素塩を、トロロックス及びヒドロキノンからなる群から選択される捕捉剤を含む試薬混合物中で提供する、実施形態100に記載のカートリッジ。
【0114】
実施形態102:前記亜硫酸水素塩を、触媒としてポリアミンを含む試薬混合物中で提供する、実施形態100又は101に記載のカートリッジ。
【0115】
実施形態103:前記第1のマトリックス材料及び/又は前記第2のマトリックス材料が、存在する場合は、ガラス又はシリカ、イオン交換樹脂、及びヒドロキシアパタイトからなる群から選択される材料を含む、実施形態92~102のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0116】
実施形態104:前記カートリッジが、メチル化特異的PCRプライマー、メチル化特異的PCRプローブ、PCR酵素、及びPCR反応緩衝液からなる群から選択される1つ又は複数の試薬を含有する1つ又は複数のチャンバーを含む、実施形態92~103のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0117】
実施形態105:メチル化特異的PCRプライマー、メチル化特異的PCRプローブ、PCR酵素、及びPCR反応緩衝液からなる群から選択される1つ又は複数の試薬を含有する少なくとも2つのチャンバーを含有する、実施形態104に記載のカートリッジ。
【0118】
実施形態106:変換されたDNAのフォワード鎖のメチル化を検出するためのプライマー及びプローブを含有する少なくとも1つのチャンバーを含有する、実施形態92~105のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0119】
実施形態107:変換されたDNAのリバース鎖のメチル化を検出するためのプライマー及びプローブを含有する少なくとも1つのチャンバーを含有する、実施形態92~106のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0120】
実施形態108:前記PCRプライマー、及び/又はプローブ、及び/又は酵素をビーズとして提供する、実施形態104~107のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0121】
実施形態109:前記試料受けチャンバー、前記カラム、前記複数のチャンバー、及び前記温度制御加熱チャネル又はチャンバーが、選択的に流体連結している、実施形態92~108のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0122】
実施形態110:前記試料受けチャンバー、前記カラム、前記複数のチャンバー、及び前記温度制御チャネル又はチャンバーが、マイクロ流体チャネル及び弁によって選択的に流体連結している、実施形態109に記載のカートリッジ。
【0123】
実施形態111:前記試料受けチャンバー、前記カラム、前記複数のチャンバー、及び前記温度制御チャネル若しくはチャンバー又は前記温度制御チャネル若しくはチャンバー内へのポートが、中央弁の周りに配置されており、前記中央弁内のチャネルと選択的に流体連結しており、前記中央弁が、前記中央弁と流体連結しているチャンバーから流体を出し入れすることができるプランジャーを収容するように構成されている、実施形態109に記載のカートリッジ。
【0124】
実施形態112:使用時に、前記カートリッジが、
試料を含有する第1のチャンバーと、
グアニジニウムチオスルフェート-エタノール(GTC-EtOH)溶液を含有する第2のチャンバーと、
亜硫酸水素塩試薬を含有する第3のチャンバーと、
緩衝液を含有する第4のチャンバーと、
すすぎ溶液を含有する第5のチャンバーと、
溶出/脱スルホン化試薬を含有する第6のチャンバーと
を含むように構成されている、実施形態92~111のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0125】
実施形態113:前記第1のチャンバーがGTC-EtOH-Tween抽出/沈殿試薬中の前記試料を含有する、実施形態112に記載のカートリッジ。
【0126】
実施形態114:試料をカートリッジ内に入れる時点又はその間近に亜硫酸水素塩試薬をカートリッジに加えるように構成されている、実施形態92~113のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0127】
実施形態115:亜硫酸水素塩試薬をカートリッジの成分として提供する、実施形態92~113のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0128】
実施形態116:試料をカートリッジ内に入れる時点又はその間近にGTC-ETOH-Tween緩衝液を加えるように構成されている、実施形態92~115のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0129】
実施形態117:GTC-ETOH-Tween緩衝液をカートリッジの成分として提供する、実施形態92~115のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0130】
実施形態118:前記カートリッジが、PCRプライマー及び/又はプローブ及び/又はPCR酵素を含有する第7のチャンバーを含む、実施形態92~117のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0131】
実施形態119:前記カートリッジが、やはりPCRプライマー及び/又はプローブ及び/又はPCR酵素を含有する第8のチャンバーを含む、実施形態92~118のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0132】
実施形態120:亜硫酸水素塩変換された、メチル化された、及び/又はメチル化されていない配列に特異的なプライマーを含有する1つ又は複数のチャンバーを含む、実施形態92~119のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0133】
実施形態121:TaqMan PCR反応の試薬を含有する1つ又は複数のチャンバーを含む、実施形態92~120のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0134】
実施形態122:増幅されたメチル化された配列のマーカーである1つ若しくは複数の蛍光プローブ及び/又は増幅されたメチル化されていない配列のマーカーである1つ若しくは複数の蛍光プローブを含有する1つ又は複数のチャンバーを含む、実施形態92~121のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0135】
実施形態123:前記プローブが蛍光レポーター色素及び消光色素を含み、プローブが、Taq DNAポリメラーゼの5'から3'のヌクレアーゼ活性による切断の際にシグナルをもたらす、実施形態122に記載のカートリッジ。
【0136】
実施形態124:増幅された目的領域中の異なるメチル化された領域にそれぞれ特異的な複数のプローブを含む、実施形態122又は123に記載のカートリッジ。
【0137】
実施形態125:増幅された目的領域中のメチル化された領域に特異的な単一のプローブを含む、実施形態122又は123に記載のカートリッジ。
【0138】
実施形態126:増幅された目的領域中の同じメチル化された領域にそれぞれ特異的な複数のプローブを含む、実施形態122又は123に記載のカートリッジ。
【0139】
実施形態127:MGMT、RASSF1A、ADAMTS1、BNC1、HIST1H3C、HOXB4、RASGRF2、TM6SF1、及びAKR1B1からなる群から選択される遺伝子のプロモーター領域のメチル化を決定するためのプライマー及び/又はプローブを含有する、実施形態92~126のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0140】
実施形態128:表5(Table 5)、9(Table 9)、若しくは10(Table 10)に示す1つ若しくは複数のプライマー、及び/又は表5(Table 5)、9(Table 9)、若しくは10(Table 10)に示す1つ若しくは複数のプローブを含有する、実施形態92~126のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0141】
実施形態129:ネステッドPCR反応を使用してMGMTのメチル化を決定するための以下のプローブ及びプライマーを含有する、実施形態128に記載のカートリッジ:
ヌクレオチド配列GTTTT(T*)AGAAYG(T*)TTTGYGTTT(配列番号263)を含む外部フォワードプライマー(248b)、
ヌクレオチド配列:AAAAAAC(T*)CCRCACTCTTCC(配列番号265)を含む外部リバースプライマー(249b)、
ヌクレオチド配列TTTCGACGTTCGTAGGTTTTCGC(配列番号266)を含む内部フォワードプライマー(250)、
ヌクレオチド配列GCACTCTTCCGAAAACGAAACG(配列番号267)を含む内部リバースプライマー(251)、及び
ヌクレオチド配列フルオル-CCAAACAC(T*)CACCAAATC(N*)CAAAC-遮断剤(配列番号268)を含むプローブ(252a)。
【0142】
実施形態130:ネステッドPCR反応を使用してACTBのメチル化を決定する(たとえば対照として)ための以下のプローブ及びプライマーを含有する、実施形態128又は129に記載のカートリッジ:
ヌクレオチド配列:GTGATGGAGGAGGTTTAGTAAGTT(配列番号103)を含む外部フォワードプライマー(102)、
ヌクレオチド配列:CCAATAAAACCTACTCCTCCCTTAA(配列番号104)を含む外部リバースプライマー(103)、
ヌクレオチド配列:GGTTTAGTAAGTTTTTTGGATTGTG(配列番号149)を含む内部フォワードプライマー(148)、
ヌクレオチド配列:CCTTAAAAATTACAAAAACCACAAC(配列番号150)を含む内部リバースプライマー(149)、及び
ヌクレオチド配列:フルオル-CCACCACCCAACACA(N*)CAA(T*)AACAAACAC-遮断剤(配列番号179)を含むプローブ(178)。
【0143】
実施形態131:メチルトランスフェラーゼについてのRNAの発現レベルを決定するために構成されている、実施形態92~130のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0144】
実施形態132:前記メチルトランスフェラーゼが、DNMT1、DNMT2、DNMT3A、DNMT3B、及びTNMT3Lからなる群から選択される、実施形態131に記載のカートリッジ。
【0145】
実施形態133:それぞれの試料処理モジュールが実施形態92~132のいずれか一項に記載の取り外し可能なカートリッジを保持するように構成されている、1つ又は複数の試料処理モジュールを含有するように構成された囲いを含み、試料処理モジュールを操作して、1つ又は複数の標的核酸のメチル化を決定するための、及び任意選択で、1つ又は複数の標的DNA配列のレベルを決定するための試料処理を、対応する取り外し可能な試料カートリッジ内で行うに構成されている、生体試料中の核酸のメチル化を決定するためのシステムであって、対応する取り外し可能な試料カートリッジ内での試料の前記処理が、実施形態1~91のいずれか一項に記載の方法を行うシステム。
【0146】
実施形態134:1つの試料処理モジュールを含有するように構成されている、実施形態133に記載のシステム。
【0147】
実施形態135:少なくとも2個の試料処理モジュール、又は少なくとも4個の試料処理モジュール、又は少なくとも8個の試料処理モジュール、又は少なくとも12個の試料処理モジュール、又は少なくとも16個の試料処理モジュール、又は少なくとも20個の試料処理モジュール、又は少なくとも24個の試料処理モジュール、又は少なくとも28個の試料処理モジュール、又は少なくとも32個の試料処理モジュール、又は少なくとも64個の試料処理モジュール、又は少なくとも128個の試料処理モジュールを含有するように構成されている、実施形態133に記載のシステム。
【0148】
実施形態136:前記モジュールが、前記カートリッジ内の温度制御チャンバー又はチャネルを加熱するための1つ又は複数の加熱プレートを含む、実施形態133~135のいずれか一項に記載のシステム。
【0149】
実施形態137:前記モジュールが、前記カートリッジ内の温度制御チャネル又はチャンバーを冷却するように構成されているファンを含む、実施形態133~136のいずれか一項に記載のシステム。
【0150】
実施形態138:前記モジュールが、分析のためにコンピュータに情報(たとえば光情報)を伝達するための回路網を含む、実施形態133~137のいずれか一項に記載のシステム。
【0151】
実施形態139:前記モジュールが、前記カートリッジ内の反応によって生成された1つ又は複数の光信号の励起及び/又は検出をもたらすための光ブロックを含む、実施形態133~138のいずれか一項に記載のシステム。
【0152】
実施形態140:前記カートリッジを操作して実施形態1~91のいずれか一項に記載の方法を行うように構成されている、実施形態133~139のいずれか一項に記載のシステム。
【0153】
実施形態141:前記カートリッジを操作して、試料をカラムに結合させ、DNAをカラムから溶出させ、前記DNAを変換試薬と合わせ、DNA/変換試薬溶液を反応チャンバー又はチューブ内で加熱して、変換したDNAを生成し、変換したDNAをカラムに結合させ、DNAをカラムから脱スルホン酸化し、溶出させ、反応チャンバー又はチューブ内で溶出された脱スルホン酸化DNAのPCRを行うように構成されている、実施形態133~139のいずれか一項に記載のシステム。
【0154】
実施形態142:前記PCRを、DNA/変換試薬溶液を以前に加熱したものと同じ反応チャンバー又はチューブ内で行う、実施形態141に記載のシステム。
【0155】
実施形態143:DNAと結合するアフィニティーマトリックスを含むチャネル又はチャンバーと、中央弁アセンブリの周りに配置されており、前記中央弁アセンブリと選択的に流体連結している複数のチャンバーとを含み、前記中央弁アセンブリが、前記中央弁と流体連結しているチャンバーから流体を出し入れすることができるプランジャーを収容するように構成されており、前記複数のチャンバーが、約5mlまで又は約4mlまでの試料溶液を受けるように構成されているチャンバー、PEGを含有するチャンバー、GTC-EtOHを含有するチャンバー、アルカリ溶液を含有するチャンバー、及び緩衝液を含有するチャンバーを含む、試料調製用カートリッジ。
【0156】
実施形態144:前記複数のチャンバーが亜硫酸水素塩試薬を含有するチャンバーを更に含む、実施形態143に記載のカートリッジ。
【0157】
実施形態145:前記複数のチャンバーがGTC-エタノール洗浄溶液を含有するチャンバーを含む、実施形態143又は144に記載のカートリッジ。
【0158】
実施形態146:前記GTC-エタノール洗浄溶液が、1.25Mのグアニジニウムチオシアネート、25mMのトリスpH7.0、及び50%のエタノールを含む、実施形態145に記載のカートリッジ。
【0159】
実施形態147:前記PEGがPEG200を含む、実施形態143~146のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0160】
実施形態148:前記アルカリ溶液がKOHを含む、実施形態143~147のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0161】
実施形態149:前記緩衝液がトリスを含む、実施形態143~148のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0162】
実施形態150:前記複数のチャンバーが、1つ又は複数のPCRプライマー及び/又はプローブを含むビーズを含有するチャンバーを含む、実施形態143~149のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0163】
実施形態151:PEGを含有する前記チャンバーが約1mlのPEGを含有する、実施形態143~150のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0164】
実施形態152:アルカリ溶液を含有する前記チャンバーが約500μLの溶液を含有する、実施形態143~151のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0165】
実施形態153:GTC-EtOHを含有する前記チャンバーが約2mlのGTC-EtOHを含有する、実施形態143~152のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0166】
実施形態154:緩衝液を含有する前記チャンバーが約2mLの緩衝液を含有する、実施形態143~153のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0167】
実施形態155:DNAと結合するアフィニティーマトリックスを含むチャネル又はチャンバーと、中央弁アセンブリの周りに配置されており、前記中央弁アセンブリと選択的に流体連結している複数のチャンバーとを含み、前記中央弁アセンブリが、前記中央弁と流体連結しているチャンバーから流体を出し入れすることができるプランジャーを収容するように構成されており、前記複数のチャンバーが、約4.5mlまでの試料溶液を受けるようにそれぞれ構成されている少なくとも2つの異なるチャンバー、PEGを含有するチャンバー、アルカリ溶液を含有するチャンバー、及び緩衝液を含有するチャンバーを含む、大体積試料調製(HVSP)用カートリッジ。
【0168】
実施形態156:前記複数のチャンバーが、4mlまでの試料溶液を受けるようにそれぞれ構成されている少なくとも3つの異なるチャンバーを含む、実施形態155に記載のカートリッジ。
【0169】
実施形態157:前記PEGがPEG200を含む、実施形態155又は156に記載のカートリッジ。
【0170】
実施形態158:前記塩基性溶液がKOHを含む、実施形態155~157のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0171】
実施形態159:前記緩衝液がトリスを含む、実施形態155~158のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0172】
実施形態160:前記複数のチャンバーが洗浄溶液を含有するチャンバーを含む、実施形態155~159のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0173】
実施形態161:前記洗浄溶液が、1.25Mのグアニジニウムチオシアネート、25mMのトリスpH7.0、及び50%のエタノールを含む、実施形態160に記載のカートリッジ。
【0174】
実施形態162:処理された試料を除去するように構成されているチャンバーを含む、実施形態155~161のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0175】
実施形態163:前記試料チャンバーが、使用時に、試料溶液、GTC、及びイソプロパノールを含有する、実施形態155~162のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0176】
実施形態164:前記試料チャンバーが、使用時に、試料溶液、GTC、及びイソプロパノールを実質的に等体積で含有する、実施形態163に記載のカートリッジ。
【0177】
実施形態165:使用時に、試料を受けるように構成されている前記チャンバーのそれぞれ内に配置された4mlの試料溶液を含む、実施形態155~164のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0178】
実施形態166:0.5mlと約4mlの間の試料の試料体積に関して実質的に直線的なDNA又はRNAの回収をもたらす、実施形態155~165のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0179】
実施形態167:変換試薬を含有する、又はそれを受けるように構成されている、実施形態155~166のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0180】
実施形態168:使用時にDNAの亜硫酸水素塩変換を行う、実施形態167に記載のカートリッジ。
【0181】
実施形態169:GTC、緩衝液、洗剤、及び任意選択で消泡剤を含む、DNA試料を血清又は血漿から調製するための溶解溶液。
【0182】
実施形態170:GTC、トリスpH7.0、Tween20、及び消泡剤SE15を含む、実施形態169に記載の血清又は血漿用の溶解溶液。
【0183】
実施形態171:約4.5MのGTC、約45mMのトリスpH7.0、約1%のTween20、及び約0.01%の消泡剤SE15を含む、実施形態170に記載の血清又は血漿用の溶解溶液。
【0184】
実施形態172:DNA試料をFFPE試料から調製するための溶解溶液。
【0185】
実施形態173:緩衝液、洗剤、NaCl、MgCl2、キレート化剤、消泡剤SE15、及びアジ化ナトリウムを含む、実施形態172に記載のFFPE試料用の溶解溶液。
【0186】
実施形態174:約1%のTween20、約400mMのNaCl、約25mMのEDTA、約10mMのMgCl2、約50mMのHEPES、pH7.2、約0.01%の消泡剤SE15、及び約0.01%のアジ化ナトリウムを含む、実施形態173に記載のFFPE試料用の溶解溶液。
【0187】
実施形態175:実施形態92~136のいずれか一項に記載の核酸のメチル化状態を決定するためのカートリッジを含有する容器を含む、DNAのメチル化を決定するためのキット。
【0188】
実施形態176:溶解溶液を含有する容器を更に含む、実施形態175に記載のキット。
【0189】
実施形態177:前記溶解溶液が実施形態169~171のいずれか一項に記載の血清又は血漿用の溶解溶液である、実施形態176に記載のキット。
【0190】
実施形態178:前記溶解溶液が実施形態172~174のいずれか一項に記載のFFPE試料用の溶解溶液である、実施形態176に記載のキット。
【0191】
実施形態179:プロテイナーゼKを含有する容器を含む、実施形態175~178のいずれか一項に記載のキット。
【0192】
実施形態180:変換試薬を前記カートリッジ又はカートリッジとは別個の容器内に含む、実施形態175~179のいずれか一項に記載のキット。
【0193】
実施形態181:カートリッジとは別個の容器内の前記変換試薬を含む、実施形態180に記載のキット。
【0194】
実施形態182:カートリッジのチャンバー内に提供する前記変換試薬を含む、実施形態180に記載のキット。
【0195】
実施形態183:前記変換試薬が、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素セシウム、亜硫酸水素アンモニウム、及びDABSOからなる群から選択される化合物を含む、実施形態180~182のいずれか一項に記載のキット。
【0196】
実施形態184:前記変換試薬が亜硫酸水素アンモニウムを含む、実施形態183に記載のキット。
【0197】
実施形態185:試料処理試薬を含有する容器を含む、実施形態175~184のいずれか一項に記載のキット。
【0198】
実施形態186:前記試料処理試薬がグアニジウムチオシアネートを含む、実施形態185に記載のキット。
【0199】
実施形態187:前記試料処理試薬がエタノールを含む、実施形態185又は186に記載のキット。
【0200】
実施形態188:実施形態155~166のいずれか一項に記載の試料調製用カートリッジを含有する容器を含む、実施形態175~187のいずれか一項に記載のキット。
【0201】
実施形態189:DNAのメチル化を決定するための前記カートリッジの使用を教示する教材を含有する、実施形態175~188のいずれか一項に記載のキット。
【0202】
実施形態190:複数のチャンバー及び熱サイクルチャネル又はチャンバーを含み、前記複数のチャンバー及び前記熱サイクルチャネル又はチャンバー内へのポートが、中央弁アセンブリの周りに配置されており、前記中央弁アセンブリと選択的に流体連結しており、前記中央弁アセンブリが、前記中央弁と流体連結しているチャンバー又はポートから流体を出し入れすることができるプランジャーを収容するように構成されており、前記複数のチャンバーが、試料受けチャンバーと、亜硫酸水素塩試薬を含有する又はそれを受けるように構成されているチャンバーと、洗浄溶液を含有するチャンバーと、トリス緩衝液を含有するチャンバーと、KOHを含むアルカリ溶液を含有するチャンバーと、PCRマスターミックスを提供するビーズを含有するチャンバーと、そのメチル化状態が癌のマーカーである、1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有するチャンバーとを含む、癌のメチル化マーカーを検出するためのカートリッジ。
【0203】
実施形態191:前記複数のチャンバーが、排液を受けるように配置されたチャンバーを含む、実施形態190に記載のカートリッジ。
【0204】
実施形態192:前記亜硫酸水素塩試薬が、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素セシウム、亜硫酸水素アンモニウム、及びDABSOからなる群から選択される化合物を含む、実施形態190又は191に記載のカートリッジ。
【0205】
実施形態193:前記亜硫酸水素塩試薬が亜硫酸水素アンモニウムを含む、実施形態192に記載のカートリッジ。
【0206】
実施形態194:前記洗浄溶液が1.25MのGTC、25mMのトリスpH7.0、及び50%のエタノールを含む、実施形態190~193のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0207】
実施形態195:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、そのメチル化状態が乳癌、膵癌、前立腺癌、脳癌、及び肺癌からなる群から選択される癌のマーカーである、1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態190~194のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0208】
実施形態196:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、ネステッドPCR反応用のPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態195に記載のカートリッジ。
【0209】
実施形態197:前記ネステッドPCRが、変換したDNAに特異的な第1のPCR反応及びメチル化されたCpGに特異的な第2のPCR反応を含む、実施形態196に記載のカートリッジ。
【0210】
実施形態198:PCRプライマー及びプローブのチャンバーを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、変換したDNAのフォワード鎖のメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する、実施形態190~197のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0211】
実施形態199:PCRプライマー及びプローブのチャンバーを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、変換したDNAリバース鎖のメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する、実施形態190~198のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0212】
実施形態200:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、RASSF1A、AKR1B1、HOXB4、HIST1H3C、RASGRF2、TM6SF1、BRCA1、BNC1、ADAMTS1、CDO1、SOX17、TAC1、HOXA7、及びMGMTからなる群から選択される1つ又は複数の遺伝子のプロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態190~199のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0213】
実施形態201:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、そのメチル化状態が膵癌のマーカーである、1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態190~200のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0214】
実施形態202:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、ADAMTS1及び/又はBNC1のプロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態201に記載のカートリッジ。
【0215】
実施形態203:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、ADAMTS1のプロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態202に記載のカートリッジ。
【0216】
実施形態204:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、BNC1のプロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態202又は203に記載のカートリッジ。
【0217】
実施形態205:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、表5(Table 5)又は10(Table 10)に示すADAMTS1及び/又はBNC1の1つ又は複数のPCRプライマー及び/又はプローブを提供するビーズを含む、実施形態202に記載のカートリッジ。
【0218】
実施形態206:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、そのメチル化状態が乳癌のマーカーである、1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態190~200のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0219】
実施形態207:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、BRCA1、RASSF1A、AKR1B1、HOXB4、HIST1H3C、RASGRF2、及びTM6SF1からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又はすべての遺伝子のプロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態206に記載のカートリッジ。
【0220】
実施形態208:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、BRCA1のプロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態207に記載のカートリッジ。
【0221】
実施形態209:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、RASSF1Aのプロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態207又は208に記載のカートリッジ。
【0222】
実施形態210:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、AKR1B1のプロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態207~209のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0223】
実施形態211:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、HOXB4のプロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態207~210のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0224】
実施形態212:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、HIST1H3Cのプロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態207~211のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0225】
実施形態213:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、RASGRF2のプロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態207~212のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0226】
実施形態214:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、TM6SF1のプロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態207~213のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0227】
実施形態215:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、表5(Table 5)又は9(Table 9)に示す1つ若しくは複数のPCRプライマー及び/又は1つ若しくは複数のPCRプローブを提供するビーズを含む、実施形態207~214のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0228】
実施形態216:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、BRCA1のプロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態206に記載のカートリッジ。
【0229】
実施形態217:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、そのメチル化状態が肺癌のマーカーである、1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態190~200のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0230】
実施形態218:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、CDO1、SOX17、TAC1、及びHOXA7からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、又はすべての遺伝子のプロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態217に記載のカートリッジ。
【0231】
実施形態219:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、CDO1のプロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態218に記載のカートリッジ。
【0232】
実施形態220:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、SOX17のプロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態218又は219に記載のカートリッジ。
【0233】
実施形態221:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、TAC1のプロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態218~220のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0234】
実施形態222:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、HOXA7のプロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態218~221のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0235】
実施形態223:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、そのメチル化状態が脳癌のマーカーである、1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態190~200のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0236】
実施形態224:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、MGMTのプロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含む、実施形態223に記載のカートリッジ。
【0237】
実施形態225:1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出するためのPCRプライマー及びプローブを提供するビーズを含有する前記チャンバーが、表5(Table 5)又は10(Table 10)に示すMGMTの1つ又は複数のPCRプライマー及び/又はプローブを提供するビーズを含む、実施形態224に記載のカートリッジ。
【0238】
実施形態226:ネステッドPCR反応を使用してMGMTのメチル化を決定するための以下のプローブ及びプライマーを含有する、実施形態225に記載のカートリッジ:
ヌクレオチド配列GTTTT(T*)AGAAYG(T*)TTTGYGTTT(配列番号263)を含む外部フォワードプライマー(248b)、
ヌクレオチド配列AAAAAAC(T*)CCRCACTCTTCC(配列番号265)を含む外部リバースプライマー(249b)、
ヌクレオチド配列TTTCGACGTTCGTAGGTTTTCGC(配列番号266)を含む内部フォワードプライマー(250)、
ヌクレオチド配列GCACTCTTCCGAAAACGAAACG(配列番号267)を含む内部リバースプライマー(251)、及び
ヌクレオチド配列フルオル-CCAAACAC(T*)CACCAAATC(N*)CAAAC-遮断剤(配列番号268)を含むプローブ(252a)。
【0239】
実施形態227:ネステッドPCR反応を使用してACTBのメチル化を決定する(たとえば対照として)ための以下のプローブ及びプライマーを含有する、実施形態225又は226に記載のカートリッジ:
ヌクレオチド配列GTGATGGAGGAGGTTTAGTAAGTT(配列番号103)を含む外部フォワードプライマー(102)、
ヌクレオチド配列CCAATAAAACCTACTCCTCCCTTAA(配列番号104)を含む外部リバースプライマー(103)、
ヌクレオチド配列GGTTTAGTAAGTTTTTTGGATTGTG(配列番号149)を含む内部フォワードプライマー(148)、
ヌクレオチド配列CCTTAAAAATTACAAAAACCACAAC(配列番号150)を含む内部リバースプライマー(149)、及び
ヌクレオチド配列フルオル-CCACCACCCAACACA(N*)CAA(T*)AACAAACAC-遮断剤(配列番号179)を含むプローブ(178)。
【0240】
実施形態228:プロテイナーゼKで処理した血清又は血漿の試料を、実施形態169~171のいずれか一項に記載の溶解溶液及びアルコールと合わせて試料溶液を形成する工程と、
前記試料溶液を、実施形態143~154のいずれか一項に記載のカートリッジ内の試料受けチャンバー内、又は実施形態155~168のいずれか一項に記載のカートリッジ内の試料受けチャンバー内にローディングする工程と、
前記カートリッジを操作して、前記試料中のDNAを前記アフィニティーマトリックスと結合させ、その後、前記DNAを前記マトリックスから洗浄及び解放する工程と
を含む、血清又は血漿からcfDNAの試料を調製する方法。
【0241】
実施形態229:プロテイナーゼKで処理した血清又は血漿の試料を合わせる前記工程が、前記試料、溶解溶液、及びアルコールを、約1.3mlのプロテイナーゼKで処理した血清又は血漿、2.2mLの溶解溶液、及び約1.5mlのアルコールに対応する割合で合わせることを含む、実施形態228に記載の方法。
【0242】
実施形態230:前記アルコールがイソプロパノールを含む、実施形態228又は229に記載の方法。
【0243】
実施形態231:前記試料が血清を含む、実施形態228~230のいずれか一項に記載の方法。
【0244】
実施形態232:前記試料が血漿を含む、実施形態228~231のいずれか一項に記載の方法。
【0245】
実施形態233:前記試料が血清を含む、実施形態228~232のいずれか一項に記載の方法。
【0246】
実施形態234:前記カートリッジを操作する工程が、前記カートリッジを、実施形態133~139のいずれか一項に記載のシステム内の試料処理モジュール内に導入する工程を含む、実施形態228~233のいずれか一項に記載の方法。
【0247】
実施形態235:前記カートリッジを操作して、メチル化検出のために前記DNAを変換する工程を更に含む、実施形態228~234のいずれか一項に記載の方法。
【0248】
実施形態236:前記カートリッジを操作して、前記DNA又は変換したDNAを鋳型として使用する1つ又は複数のPCR反応を行う工程を更に含む、実施形態228~235のいずれか一項に記載の方法。
【0249】
実施形態237:前記ローディングする工程が、前記試料溶液を、実施形態155~165のいずれか一項に記載のカートリッジ内の1つ又は複数の試料受けチャンバー内にローディングする工程を含む、実施形態228~234のいずれか一項に記載の方法。
【0250】
実施形態238:解放されたDNAをメチル化検出及び/又はPCRのために第2のカートリッジに移す工程を更に含む、実施形態237に記載の方法。
【0251】
実施形態239:前記第2のカートリッジが実施形態92~132のいずれか一項に記載のカートリッジである、実施形態238に記載の方法。
【0252】
実施形態240:前記第2のカートリッジを操作して、メチル化検出のために前記DNAを変換する工程を更に含む、実施形態238又は239に記載の方法。
【0253】
実施形態241:前記第2のカートリッジを操作して、前記DNA又は変換したDNAを鋳型として使用する1つ又は複数のPCR反応を行う工程を更に含む、実施形態238~240のいずれか一項に記載の方法。
【0254】
実施形態242:前記第2のカートリッジを操作する前記工程が、前記第2のカートリッジを、実施形態133~139のいずれか一項に記載のシステム内の試料処理モジュール内に導入する工程を含む、実施形態238~241のいずれか一項に記載の方法。
【0255】
実施形態243:ホルマリン固定したパラフィン包埋した試料を実施形態172~174のいずれか一項に記載の溶解溶液と合わせる工程と、
前記試料を含有する前記溶解溶液を加熱する工程と、アルコールを前記試料に加えて試料溶液を形成する工程と、前記試料溶液を、実施形態143~154のいずれか一項に記載のカートリッジ内の試料受けチャンバー内、又は実施形態155~168のいずれか一項に記載のカートリッジ内の試料受けチャンバー内にローディングする工程と、
前記カートリッジを操作して、前記試料中のDNAを前記アフィニティーマトリックスと結合させ、その後、前記DNAを前記マトリックスから洗浄及び解放する工程と
を含む、FFPE試料からDNAを調製する方法。
【0256】
実施形態244:前記加熱工程が、プロテイナーゼKを前記試料に加え、前記試料を加熱する工程を含む、実施形態243に記載の方法。
【0257】
実施形態245:前記加熱工程が、約50μLのプロテイナーゼKを、FFPE試料を含有する約1.2mLのFFPE溶解溶液に加える工程を含む、実施形態244に記載の方法。
【0258】
実施形態246:前記加熱工程が、前記溶解溶液を約50℃~約60℃の範囲の温度まで加熱する工程を含む、実施形態243~245のいずれか一項に記載の方法。
【0259】
実施形態247:前記加熱工程が、前記溶解溶液を約56℃の温度まで加熱する工程を含む、実施形態246に記載の方法。
【0260】
実施形態248:前記加熱工程が、約4時間まで、又は約5時間まで、又は約6時間までの範囲の時間である、実施形態243~247のいずれか一項に記載の方法。
【0261】
実施形態249:前記加熱工程が約4時間である、実施形態248に記載の方法。
【0262】
実施形態250:前記アルコールがエタノールを含む、実施形態243~249のいずれか一項に記載の方法。
【0263】
実施形態251:約1:1の溶解溶液:アルコールの体積比でアルコールを前記溶解溶液に加える工程を含む、実施形態243~250のいずれか一項に記載の方法。
【0264】
実施形態252:前記カートリッジを操作する工程が、前記カートリッジを、実施形態133~139のいずれか一項に記載のシステム内の試料処理モジュール内に導入する工程を含む、実施形態243~251のいずれか一項に記載の方法。
【0265】
実施形態253:前記カートリッジを操作して、メチル化検出のために前記DNAを変換する工程を更に含む、実施形態243~252のいずれか一項に記載の方法。
【0266】
実施形態254:前記カートリッジを操作して、前記DNA又は変換したDNAを鋳型として使用する1つ又は複数のPCR反応を行う工程を更に含む、実施形態243~253のいずれか一項に記載の方法。
【0267】
実施形態255:前記ローディングする工程が、前記試料溶液を、実施形態155~165のいずれか一項に記載のカートリッジ内の1つ又は複数の試料受けチャンバー内にローディングする工程を含む、実施形態243~251のいずれか一項に記載の方法。
【0268】
実施形態256:解放されたDNAをメチル化検出及び/又はPCRのために第2のカートリッジに移す工程を更に含む、実施形態255に記載の方法。
【0269】
実施形態257:前記第2のカートリッジが実施形態92~132のいずれか一項に記載のカートリッジである、実施形態256に記載の方法。
【0270】
実施形態258:前記第2のカートリッジを操作して、メチル化検出のために前記DNAを変換する工程を更に含む、実施形態256又は257に記載の方法。
【0271】
実施形態259:前記第2のカートリッジを操作して、前記DNA又は変換したDNAを鋳型として使用する1つ又は複数のPCR反応を行う工程を更に含む、実施形態256~258のいずれか一項に記載の方法。
【0272】
実施形態260:前記第2のカートリッジを操作する前記工程が、前記第2のカートリッジを、実施形態133~139のいずれか一項に記載のシステム内の試料処理モジュール内に導入する工程を含む、実施形態256~259のいずれか一項に記載の方法。
【0273】
実施形態261:対象からDNAを含む生体試料を提供する工程と、
請求項190から225のいずれか一項に記載のカートリッジを利用して、そのメチル化状態が癌のマーカーである前記DNAにおいて1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化を検出する工程であって、前記1つ又は複数の遺伝子プロモーターのメチル化の増加が、癌の存在又は癌に対する素因又は癌若しくは前癌の段階の指標である工程と
を含む、対象において癌を検出する及び/又は癌を段階決定する及び/又は癌に対する素因を検出する方法。
【0274】
実施形態262:前記対象がヒトである、実施形態261に記載の方法。
【0275】
実施形態263:前記癌が、乳癌、膵癌、前立腺癌、脳癌、肺癌、B細胞リンパ腫、気管支癌、結腸直腸癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳又は中枢神経系癌、末梢神経系癌、食道癌、子宮頸癌、黒色腫、子宮又は子宮内膜癌、口腔又は咽頭の癌、肝臓癌、腎臓癌、胆管癌、小腸又は虫垂癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎癌、骨肉腫、軟骨肉腫、脂肪肉腫、精巣癌、及び悪性線維性組織球腫からなる群から選択される癌である、実施形態261又は262に記載の方法。
【0276】
実施形態264:前記癌が、乳癌、膵癌、前立腺癌、脳癌、肺癌からなる群から選択される癌である、実施形態261又は262に記載の方法。
【0277】
実施形態265:前記試料が血清又は血漿からの試料を含む、実施形態261~264のいずれか一項に記載の方法。
【0278】
実施形態266:前記試料がFFPE試料を含む、実施形態261~264のいずれか一項に記載の方法。
【0279】
実施形態267:前記1つ又は複数の遺伝子プロモーターが、RASSF1A、AKR1B1、HOXB4、HIST1H3C、RASGRF2、TM6SF1、BRCA1、BNC1、ADAMTS1、CDO1、SOX17、TAC1、HOXA7、及びMGMTからなる群から選択される1つ又は複数の遺伝子のプロモーターを含む、実施形態261~266のいずれか一項に記載の方法。
【0280】
実施形態268:前記癌が膵癌であり、前記1つ又は複数の遺伝子プロモーターが、ADAMTS1及びBNC1からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、又は4つの遺伝子のプロモーターを含む、実施形態261~266のいずれか一項に記載の方法。
【0281】
実施形態269:前記1つ又は複数の遺伝子プロモーターがADAMTS1のプロモーターを含む、実施形態268に記載の方法。
【0282】
実施形態270:前記1つ又は複数の遺伝子プロモーターがBNC1のプロモーターを含む、実施形態268又は269に記載の方法。
【0283】
実施形態271:前記癌が乳癌であり、前記1つ又は複数の遺伝子プロモーターが、BRCA1、RASSF1A、AKR1B1、HOXB4、HIST1H3C、RASGRF2、及びTM6SF1からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又はすべての遺伝子のプロモーターを含む、実施形態261~266のいずれか一項に記載の方法。
【0284】
実施形態272:前記1つ又は複数の遺伝子プロモーターがBRCA1のプロモーターを含む、実施形態271に記載の方法。
【0285】
実施形態273:前記1つ又は複数の遺伝子プロモーターがRASSF1Aのプロモーターを含む、実施形態271又は272に記載の方法。
【0286】
実施形態274:前記1つ又は複数の遺伝子プロモーターがAKR1B1のプロモーターを含む、実施形態271~273のいずれか一項に記載の方法。
【0287】
実施形態275:前記1つ又は複数の遺伝子プロモーターがHOXB4のプロモーターを含む、実施形態271~274のいずれか一項に記載の方法。
【0288】
実施形態276:前記1つ又は複数の遺伝子プロモーターがHIST1H3Cのプロモーターを含む、実施形態271~275のいずれか一項に記載の方法。
【0289】
実施形態277:前記1つ又は複数の遺伝子プロモーターがRASGRF2のプロモーターを含む、実施形態271~276のいずれか一項に記載の方法。
【0290】
実施形態278:前記1つ又は複数の遺伝子プロモーターがTM6SF1のプロモーターを含む、実施形態271~277のいずれか一項に記載の方法。
【0291】
実施形態279:前記癌が乳癌であり、前記1つ又は複数の遺伝子プロモーターがBRCA1のプロモーターを含む、実施形態261~266のいずれか一項に記載の方法。
【0292】
実施形態280:前記癌が肺癌であり、前記1つ又は複数の遺伝子プロモーターが、CDO1、SOX17、TAC1、及びHOXA7からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、又はすべての遺伝子のプロモーターを含む、実施形態261~266のいずれか一項に記載の方法。
【0293】
実施形態281:前記1つ又は複数の遺伝子プロモーターがCDO1のプロモーターを含む、実施形態280に記載の方法。
【0294】
実施形態282:前記1つ又は複数の遺伝子プロモーターがSOX17のプロモーターを含む、実施形態280又は281に記載の方法。
【0295】
実施形態283:前記1つ又は複数の遺伝子プロモーターがTAC1のプロモーターを含む、実施形態280~282のいずれか一項に記載の方法。
【0296】
実施形態284:前記1つ又は複数の遺伝子プロモーターがHOXA7のプロモーターを含む、実施形態280~283のいずれか一項に記載の方法。
【0297】
実施形態285:前記癌が脳癌であり、前記1つ又は複数の遺伝子プロモーターがMGMTのプロモーターを含む、実施形態261~266のいずれか一項に記載の方法。
【0298】
実施形態286:DNAを含む試料をDABSOと接触させて、前記DNAを変換させる工程と、
変換したDNAを脱スルホン化して、シトシン残基はウラシルへと変換されているが、5-メチルシトシン残基は実質的に影響を受けていないDNAを生成する工程と
を含む、5-メチルシトシン残基が実質的に影響を受けないように保ちつつ、DNA中のシトシン残基をウラシルへと変換する方法。
【0299】
実施形態287:前記接触工程が、前記DNAを約2Mから約5Mまでの範囲の濃度のDABSOと接触させる工程を含む、実施形態286に記載の方法。
【0300】
実施形態288:前記接触工程が、前記DNAを約2.5Mの濃度のDABSOと接触させる工程を含む、実施形態286に記載の方法。
【0301】
実施形態289:前記DABSOをアルカリ水溶液中に溶かす、実施形態286~288のいずれか一項に記載の方法。
【0302】
実施形態290:前記DABSOを、KOHを含む溶液に溶かす、実施形態289に記載の方法。
【0303】
実施形態291:前記接触工程が、DABSO/DNA溶液を約55℃~約90℃の範囲の温度まで加熱する工程を含む、実施形態286~290のいずれか一項に記載の方法。
【0304】
実施形態292:前記DABSOを、約15分間から約90分間までの範囲の時間、DNAと反応させる、実施形態286~291のいずれか一項に記載の方法。
【0305】
実施形態293:前記脱スルホン化工程が、前記変換したDNAをアルカリ試薬と接触させる工程を含む、実施形態286~292のいずれか一項に記載の方法。
【0306】
実施形態294:前記アルカリ試薬がKOHを含む、実施形態293に記載の方法。
【0307】
実施形態295:前記変換及び/又は脱スルホン化工程をカラムに結合したDNAで行う、実施形態286~294のいずれか一項に記載の方法。
【0308】
実施形態296:前記変換及び/又は脱スルホン化工程を溶液中のDNAで行う、実施形態286~294のいずれか一項に記載の方法。
【0309】
実施形態297:DNA試料を提供する工程と、
実施形態286~296のいずれか一項に記載の方法に従って前記試料中のDNAを変換する工程と、
変換された核酸に対してメチル化特異的PCR及び/又は核酸シーケンシング及び/又は高分解能融解分析(HRM)を行って、前記核酸のメチル化を決定する工程と
を含む、DNAのメチル化を分析する方法。
【0310】
実施形態298:DNA試料を提供する前記工程が、実施形態228~234のいずれか一項に記載のように、又は実施形態243~252のいずれか一項に記載のように試料を調製する工程を含む、実施形態297に記載の方法。
【0311】
実施形態299:
DABSOを含む変換試薬を含有する容器と、
脱スルホン化試薬を含有する容器と
を含む、DNAのメチル化状態を検出するためのキット。
【0312】
実施形態300:アフィニティーマトリックスを含むカラムを含む、実施形態299に記載のキット。
【0313】
実施形態301:結合緩衝液を含有する容器を含む、実施形態299又は300に記載のキット。
【0314】
実施形態302:溶出緩衝液を含有する容器を含む、実施形態299~301のいずれか一項に記載のキット。
【0315】
実施形態303:洗浄バッファーを含有する容器を含む、実施形態299~302のいずれか一項に記載のキット。
【0316】
実施形態304:実施形態169~171のいずれか一項に記載の溶解溶液を含有する容器及び/又は実施形態172~174のいずれか一項に記載の溶解溶液を含有する容器を含む、実施形態299~303のいずれか一項に記載のキット。
【0317】
実施形態305:実施形態143~155のいずれか一項に記載のカートリッジ及び/又は実施形態155~166のいずれか一項に記載のカートリッジを含む、実施形態299~304のいずれか一項に記載のキット。
【0318】
実施形態306:核酸のメチル化状態を決定するために前記核酸を変換するための、前記キットの使用を教示する教材を含む、実施形態299~305のいずれか一項に記載のキット。
【0319】
実施形態307:以下のプライマー及びプローブを含む、ネステッドPCR反応を使用してMGMTのメチル化を決定するためのプライマー及びプローブの組:
【0320】
ヌクレオチド配列GTTTT(T*)AGAAYG(T*)TTTGYGTTT(配列番号263)を含む外部フォワードプライマー、
ヌクレオチド配列AAAAAAC(T*)CCRCACTCTTCC(配列番号265)を含む外部リバースプライマー、
ヌクレオチド配列TTTCGACGTTCGTAGGTTTTCGC(配列番号266)を含む内部フォワードプライマー、
ヌクレオチド配列GCACTCTTCCGAAAACGAAACG(配列番号267)を含む内部リバースプライマー、及び
ヌクレオチド配列フルオル-CCAAACAC(T*)CACCAAATC(N*)CAAAC-遮断剤(配列番号268)を含むプローブ。
【0321】
実施形態308:以下のプライマー及びプローブを含む、ネステッドPCR反応を使用してACTBのメチル化(たとえば対照として)を決定するためのプライマー及びプローブの組:
ヌクレオチド配列GTGATGGAGGAGGTTTAGTAAGTT(配列番号103)を含む外部フォワードプライマー(102)、
ヌクレオチド配列CCAATAAAACCTACTCCTCCCTTAA(配列番号104)を含む外部リバースプライマー(103)、
ヌクレオチド配列GGTTTAGTAAGTTTTTTGGATTGTG(配列番号149)を含む内部フォワードプライマー(148)、
ヌクレオチド配列CCTTAAAAATTACAAAAACCACAAC(配列番号150)を含む内部リバースプライマー(149)、及び
ヌクレオチド配列フルオル-CCACCACCCAACACA(N*)CAA(T*)AACAAACAC-遮断剤(配列番号179)を含むプローブ(178)。
【0322】
実施形態309:実施形態307に記載のプライマー及びプローブ並びに実施形態308に記載のプライマー及びプローブを含む、ネステッドPCR反応を使用して、対照としてACTBのメチル化を決定すると共にMGMTのメチル化を決定するためのプライマー及びプローブの組。
【0323】
実施形態310:MGMT遺伝子のプロモーター領域を含有する変換された(たとえば亜硫酸水素塩変換された)DNAを提供する工程と、
以下のプライマー及びプローブ:
ヌクレオチド配列GTTTT(T*)AGAAYG(T*)TTTGYGTTT(配列番号263)を含む外部フォワードプライマー、
ヌクレオチド配列AAAAAAC(T*)CCRCACTCTTCC(配列番号265)を含む外部リバースプライマー、
ヌクレオチド配列TTTCGACGTTCGTAGGTTTTCGC(配列番号266)を含む内部フォワードプライマー、
ヌクレオチド配列GCACTCTTCCGAAAACGAAACG(配列番号267)を含む内部リバースプライマー、及び
ヌクレオチド配列フルオル-CCAAACAC(T*)CACCAAATC(N*)CAAAC-遮断剤(配列番号268)を含むプローブ
を含むネステッドPCR反応を使用して、MGMTメチル化のメチル化特異的PCRを行う工程と、
前記MGMT遺伝子のメチル化を決定するためにPCR増幅産物を検出及び/又は定量する工程と
を含む、メチル化特異的PCRを使用してMGMTのメチル化を決定する方法。
【0324】
実施形態311:ACTB遺伝子のプロモーター領域(たとえば対照として)を含有する変換された(たとえば亜硫酸水素塩変換された)DNAを提供する工程と、
以下のプライマー及びプローブ:
ヌクレオチド配列GTGATGGAGGAGGTTTAGTAAGTT(配列番号103)を含む外部フォワードプライマー、
ヌクレオチド配列CCAATAAAACCTACTCCTCCCTTAA(配列番号104)を含む外部リバースプライマー、
ヌクレオチド配列GGTTTAGTAAGTTTTTTGGATTGTG(配列番号149)を含む内部フォワードプライマー、
ヌクレオチド配列CCTTAAAAATTACAAAAACCACAAC(配列番号150)を含む内部リバースプライマー、及び
ヌクレオチド配列フルオル-CCACCACCCAACACA(N*)CAA(T*)AACAAACAC-遮断剤(配列番号179)を含むプローブ
を含むネステッドPCR反応を使用して、ACTBメチル化のメチル化特異的PCRを行う工程と、
前記ACTB遺伝子のメチル化を決定するためにPCR増幅産物を検出及び/又は定量する工程と
を更に含む、実施形態310に記載の方法。
【0325】
実施形態312:MGMTメチル化の前記メチル化特異的PCR及びACTBメチル化の前記メチル化特異的PCRを単一の多重式PCR反応で行う、実施形態310又は311に記載の方法。
【0326】
実施形態313:前記メチル化特異的PCRを、実施形態92~132のいずれか一項に記載のカートリッジを使用して行う、実施形態310~312のいずれか一項に記載の方法。
【0327】
実施形態314:MGMT遺伝子のプロモーター領域を含有する変換されたDNAを提供する前記工程が、MGMT遺伝子のプロモーター領域を含有する変換していないDNAを前記カートリッジ内に導入し、前記カートリッジを操作して、変換試薬を使用して前記カートリッジ内の前記DNAを変換する工程を含む、及び/又は、ACTB遺伝子のプロモーター領域を含有する変換されたDNAを提供する前記工程が、ACTB遺伝子のプロモーター領域を含有する変換していないDNAを前記カートリッジ内に導入し、前記カートリッジを操作して、変換試薬を使用して前記カートリッジ内の前記DNAを変換する工程を含む、実施形態313に記載の方法。
【0328】
実施形態315:前記変換試薬が、亜硫酸水素アンモニウム、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素セシウム、及びDABSOからなる群から選択される化合物を含む、実施形態314に記載の方法。
【0329】
実施形態316:前記カートリッジを操作する前記工程が、前記DNA及び前記変換試薬を、前記ネステッドPCR反応を行うために後に使用する熱サイクルチャネル又はチャンバー内で加熱する工程を含む、実施形態313~315のいずれか一項に記載の方法。
【0330】
特定の実施形態では、本方法及び/又はカートリッジは、磁気ガラス、磁気ヒドロキシアパタイト、及び磁気マトリックス材料を含めた磁気材料を明確に排除する。特定の実施形態では、本方法及び/又はカートリッジは、DNA単離のための磁気材料を明確に排除する。
【図面の簡単な説明】
【0331】
【
図1A】本明細書に記載される方法での使用に適したカートリッジ(例えば、GENEXPERT(登録商標)カートリッジ)の主要な構成要素を示す図である。
【
図1B】中央弁の周囲に配置されたチャンバーを説明するカートリッジの上面図を示す図である。
【
図1C】反応カートリッジを利用したDNAメチル化の決定のための例示的なワークフローを示す。
【
図2】パネルA~Cは、本明細書に記載されるDNAメチル化の決定に適したGENEXPERT(登録商標)カートリッジの一実施形態を示す図である。
【
図3A】DNAメチル化の決定のためのモジュール及びシステム(例えば、処理ユニット)の例示的であるが、非限定的な実施形態を示す図である。GENEXPERT(登録商標)カートリッジの操作のためのモジュールを示す。
【
図3B】DNAメチル化の決定のためのモジュール及びシステム(例えば、処理ユニット)の例示的であるが、非限定的な実施形態を示す図である。DNAメチル化の分析のためのカートリッジの操作のためのモジュールの一実施形態のいくつかの構成要素を示す。
【
図3C】DNAメチル化の決定のためのモジュール及びシステム(例えば、処理ユニット)の例示的であるが、非限定的な実施形態を示す図である。複数のモジュールを組み込んだシステム(例えば、処理ユニット)を示す。
【
図4A】DNAリン酸化を検出/定量するためのMethyLightプロトコールの使用についての様々な戦略を示す図である。Eadesら(2000) Nucleic Acids. Res., 28(8): e32)から改変した
図4Aは、MethyLight技術を模式的に示す。DNAは、メチル化依存性の配列差異を生成する亜硫酸水素ナトリウムによって修飾されるが、例えばCpGジヌクレオチドでは、非メチル化シトシン残基(白丸で示される位置)をウラシルに変換する一方で、メチル化シトシン残基(黒丸で示される位置)はシトシンとして保持される。その後、メチル化部位を重複するか、又はメチル化部位と重複しないプライマーを用いて、蛍光ベースのPCRを行う。配列の識別は、PCR増幅プロセスのレベル(パネルD)又はプローブハイブリダイゼーションプロセスのレベル(パネルB)、又はその両方(パネルD)のいずれかで行うことができる。PCR増幅レベルでの配列識別は、潜在的なメチル化部位(例えば、CpGジヌクレオチド)と重複するように、プライマー及びプローブ(パネルD)又はプライマーのみ(パネルC)を利用する。多くの理論的なメチル化順列の2つのみ(完全メチル化(M)及び完全非メチル化(U))が示されている。MethyLightアッセイでは、PCR増幅レベルでの配列識別が起こらないように設計することもできる。プライマー又はプローブのいずれもメチル化部位(例えば、CpGジヌクレオチド)に重複しない場合(パネルA)には、PCR増幅又はプローブハイブリダイゼーションレベルでのメチル化依存性の配列識別は起こらない。この反応は、メチル化状態に偏ることなく変換されたゲノムDNAの増幅を表し、これは入力DNAの量の対照として役立つことができる。プローブのみがメチル化部位と重複する場合(パネルB)、プローブのハイブリダイゼーションによって配列識別が起きることができる。
【
図4B】DNAリン酸化を検出/定量するためのMethyLightプロトコールの使用についての様々な戦略を示す図である。メチル化特異的フォワード(FW)及びリバース(RV)プライマーを伴う、単一の、例えばメチル化特異的な、プローブ(PR3)を使用するMethyLightアプローチを示す。
【
図4C】DNAリン酸化を検出/定量するためのMethyLightプロトコールの使用についての様々な戦略を示す図である。異なる領域を各々標的とする複数のプローブ(PR1 ... PR5)を使用するMethyLightアプローチを示す。
【
図4D】DNAリン酸化を検出/定量するためのMethyLightプロトコールの使用についての様々な戦略を示す図である。それぞれが同じ領域を標的とするが、異なるメチル化パターンについてのシグナルをもたらす複数のプローブ(PR1 ... PR5)を使用するMethyLightアプローチを示す。
【
図5】ACTB qPCR曲線及びHMBS qPCR曲線を示す300ngのHGDNAからの代表的なGeneXpertの結果を示す図である。
【
図6】
図6A及び6Bは、15サイクルのネステッドqPCR(
図6A)及び20サイクルのネステッドqPCR(
図6B)におけるヒトゲノムDNA(hgDNA)を用いた亜硫酸水素塩変換ACTBの滴定結果を示す。
【
図7A】6つのメチル化された標的(AKR1B1、HOXB4、TM6SF1、RAASGRF2、及びRASSF1A)についての20サイクルのネステッドqPCR(カートリッジ内での)の結果を示す図である。亜硫酸水素塩変換を伴わない25ngのHSDNA又は5000個の細胞の結果を示す。
【
図7B】6つのメチル化された標的(AKR1B1、HOXB4、TM6SF1、RAASGRF2、及びRASSF1A)についての20サイクルのネステッドqPCR(カートリッジ内での)の結果を示す図である。MBA-453細胞からのDNAを用いた亜硫酸水素塩変換したメチル化された標的についての20サイクルのネステッドqPCRの結果を示す。
【
図7C】6つのメチル化された標的(AKR1B1、HOXB4、TM6SF1、RAASGRF2、及びRASSF1A)についての20サイクルのネステッドqPCR(カートリッジ内での)の結果を示す図である。担体(1μgのSS及び10ngのHS DNA)中のMBA-453細胞からのDNAを用いて、亜硫酸水素塩変換されたメチル化された標的についての20サイクルのネステッドqPCRの結果を示す。フォールアウト(Fallout)は、およそ25~50コピー又はおよそ100個の細胞で起こる。
【
図8】変換効率の決定の結果を示す図である。変換効率は、変換されていないHMBSと変換されたACTBの差異の約66%(約1Ct)である。
【
図9】ネステッドqPCRによって産生された変換されたDNAの特異性における増加を示す図である。
【
図10】メチル化カートリッジの特異性を示す図である。HIST1H3Cを除いて、非変換DNA(上パネル)又は非メチル化DNA(下パネル)のプライミング・オフ(priming off)がない。
【
図11】カートリッジ(例えば、GENEXPERT(登録商標)カートリッジ)を用いたメチル化の分析のための例示的であるが、限定されない作業フローを示す図である。上は、血清又は血漿試料中のDNAメチル化の分析のための1つの作業フローを示す。下は、組織切片(例えば、凍結又はホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)切片)におけるDNAメチル化の分析のための1つの作業フローを示す。
【
図12】変換されたALU(青色)及びメチル化されたRASSF1A(灰色)のFFPE細胞ボタンの結果を示す図である。
【
図13A】カートリッジレイアウトを示す図である。
【
図13B】実施例4において使用したプロトコールのフローチャートを示す図である。
【
図14】いくつかの試料が亜硫酸水素塩のコンタミネーションを含む試行を示す図である。
【
図15A】亜硫酸水素塩変換を用いた1000個のMBA-453細胞の結果を示す図である。
【
図15B】25ngのHS DNA対照の結果を示す図である。
【
図16】DABSO(1,4-ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジスルフィネート)の構造を示す図である。
【
図17】cfDNA試料調製カートリッジの一実施形態を示す図である。このカートリッジは、DNAとRNAの両方の単離に有効である。カートリッジは、3回のGTC-エタノール洗浄(GTC-エタノール洗浄は典型的には1.25Mグアニジニウムチオシアネート、25mM Tris pH7.0、50%エタノール)、PEG200リンス、及び15mM KOH溶出を提供する。
【
図18】cfDNA抽出のためのコントロールを示す図である。
【
図19A】本明細書に記載される試料調製カートリッジを用いたcfDNA調製物の標準的なチューブ充填(すなわち、チューブベースのキット)調製物との比較を示す図である。カートリッジの調製収率は、チューブ充填法を用いて得られた収率と極めて匹敵する。
【
図19B】DNA量の関数としての標準的なチューブ充填と比較した、カートリッジベースのDNAクリーンアップを使用して検出された、抽出したDNAの量の比較を示す図である。カートリッジベースの方法はチューブ充填法の1Ct以内であって、保存的であり、DNA濃度が高くなると、より近くなると考えられている。
【
図20A】qPCRカートリッジ及び/又はメチル化検出カートリッジを用いて使用することができる大体積(例えば、12mlまで)試料調製(HVSP)カートリッジの一実施形態を示す図である。
【
図20B】メチル化分析を行うためにqPCRカートリッジと組み合わせて使用する場合、HVSPカートリッジにおける作業フローの1つの変形を概略的に示す図である。
【
図21】試料が大体積カートリッジからPCR分析カートリッジに移される、大体積試料調製カートリッジ(例えば、
図20参照)を用いた2つのカートリッジクリーンアップを使用するHBMS又はβ-グロビンの検出を示し、試料量がより少なくなる単一のPCR分析カートリッジに適用された試料を使用した検出と比較した図である。
【
図22】複数の加熱ステップ(下パネル)を使用する亜硫酸水素塩変換の結果を、単一の加熱ステップ(上パネル)と比較して示す図である。
【
図23A】Zymo DNAメチル化キット(右)と組み合わせた標準Qiagen DNA精製キットを使用したメチル化分析のステップ及び作業時間を、本明細書に記載されるメチル化分析カートリッジを用いたメチル化分析と比較して示す図である。
【
図23B】2つの異なるプロトコールを使用して得られた結果の比較を示す図である。
【
図24】DABSOを変換試薬として用いたDNA変換の比較を、Zymo亜硫酸水素塩変換試薬を用いたDNA変換と比較して示す図である。
【
図25】メチル化DNAの検出の感度を示す図である。パネルAは、メチル化DNA(MGMT)の希釈系列を示す。パネルBは、メチル化膵臓癌マーカーの検出の感度を示す。
【
図26】両方の鎖についての逆相補性マルチプレックスアッセイの結果を示す図である。
【
図27A】同じカートリッジ内のメチル化DNA及び突然変異の両方の検出を示す図である。上のパネルは、1つのカートリッジ内のメチル化DNA及びKras G12D突然変異の検出を示し、下のパネルは、1つのカートリッジ内のメチル化DNA及び野生型Krasの検出を示す。
【
図27B】2つの膵臓癌細胞株: PANC-1細胞(上パネル)及びMIA-PaCa細胞(下パネル)、におけるメチル化DNA及び突然変異I同じカートリッジの検出を示す図である。
【
図28】亜硫酸水素塩変換DNAのフォワード鎖(上)及びリバース鎖(下)のADAMTS1、及びBNC1のマルチプレックスメチル化分析のための温度最適化を示す図である。
【
図29】BNC1、ADAMTS1、及び対照遺伝子ACTBのMSPプライマー及びプローブセットをマルチプレックス化する能力を示す図である。プローブは、好ましい条件に基づいて2セットに組み合わせた。
【
図30】MGMTメチル化の検出のために使用される1セットのプライマー及びプローブを示す図である。内部fwd 22150(配列番号266);外部fwd 22422(配列番号263);プローブ22419(配列番号268)、内部rev 22151(配列番号267);外部rev 22423(配列番号265);鋳型(配列番号1)。
【
図31】亜硫酸水素塩パイロシーケンシング(pyrsequencing)と抽出DNA(上)及びFFPET試料(下)のMGMTメチル化カートリッジとの比較の結果を示す図である。
【
図32】メチル化変換DNAと非メチル化変換DNAとの間のΔCtのBRCA1プライマー及びプローブセット最適化を示す図である。
【
図33】ACTB対照遺伝子を用いて試験したBRCA1メチル化の1つの標的アッセイを示す図である。示されるように、8つの異なる細胞株を試験し、NH
4を添加する効果を比較した。
【
図34】そのメチル化が肺癌(SOX17、CD01、TAC1)に関連する遺伝子の3つの標的メチル化アッセイの結果を、正常血漿のバックグラウンドにおいて、及び3つの異なる肺癌細胞株において示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0332】
定義
本発明の理解を促進するために、多数の用語及び語句を以下に定義する。
【0333】
本明細書において使用される用語「検出する(detect)」、「検出する(detecting)」、又は「検出(detection)」は、検出可能に標識された組成物を発見する、又は見分ける、又は特異的に観察する一般的な行為のいずれかを説明しうる。
【0334】
本明細書において使用される用語「検出可能に異なる」又は「分光光度法により識別可能」は、検出と識別を同時に行うことができる標識の組(色素/フルオロフォア等)を指す。
【0335】
DNAメチル化は、典型的にはジヌクレオチド5'-CpG-3'におけるメチル基(CH3)の塩基シトシン(C)への共有結合による付加を指す。用語CpGは、DNAヌクレオチド配列においてリン酸結合によって塩基グアニン(G)に連結された塩基シトシン(C)を指す。
【0336】
用語「変換試薬」は、5-MeCに本質的に影響を及ぼすことなく、一本鎖DNAにおいてシトシンをウラシルに脱アミノ化する試薬を指す。例示的な変換試薬には、亜硫酸水素塩(例えば、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素セシウム、亜硫酸水素アンモニウム等)及び/又は適切な反応条件下で亜硫酸水素塩を生成することができる化合物(例えば、DABSO)が挙げられる。
【0337】
語句「遺伝子のメチル化を検出する」は、一般的に、遺伝子のプロモーター領域の典型的にはCPGアイランドにおけるシトシンのメチル化の検出を指す。
【0338】
本明細書において使用される用語「患者」及び「対象」は、典型的にはヒトを指すために互換的に使用される。一部の実施形態において、本明細書において記述される方法は、非ヒト動物、例えば非ヒト霊長類、イヌ、ウマ、ネコ、ブタ、ウシ、ウサギ等からの試料について使用されうる。
【0339】
本明細書において使用される用語「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」、「核酸分子」等は、DNAを含むがこれらに限定されるわけではない核酸含有分子を指す。この用語は、4-アセチルシトシン、8-ヒドロキシ-N6-メチルアデノシン、アジリジニルシトシン、シュードイソシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル) ウラシル、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルアデニン、1-メチルシュードウラシル、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチル-グアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-メチルアデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノ-メチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルクエオシン、5'-メトキシカルボニルメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸、オキシブトキソシン、シュードウラシル、クエオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、N-ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸、シュードウラシル、クエオシン、2-チオシトシン、及び2,6-ジアミノプリンを含むがこれらに限定されるわけではないDNA及びRNAの公知の任意の塩基アナログを含む配列を包含する。
【0340】
本明細書において使用される用語「オリゴヌクレオチド」は、典型的には500ヌクレオチド未満の一本鎖ポリヌクレオチドを指す。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、8~200、8~100、12~200、12~100、12~75、又は12~50ヌクレオチド長である。オリゴヌクレオチドは、その長さによって呼ばれ、例えば、24残基のオリゴヌクレオチドは、「24量体」と呼ばれうる。
【0341】
本明細書において使用される用語、標的遺伝子(又はその標的領域)に対して「相補的」及び標的遺伝子配列に対するプローブ配列の「相補性」の百分率は、標的遺伝子の配列又は標的遺伝子の配列の相補体に対する「同一性」百分率である。本明細書において記述される組成物に使用されるプローブ(又はその領域)と、本明細書において開示される遺伝子等の標的遺伝子との間の「相補性」の程度を決定する場合、「相補性」の程度は、プローブ(又はその領域)の配列と、標的遺伝子の配列又は最善にそれと整列する標的遺伝子の配列の相補体の配列との間の同一性百分率として表記される。百分率は、2つの配列間で同一である整列塩基数を計数すること、プローブにおける連続ヌクレオチドの総数で除すること、及び100を乗じることによって計算される。用語「相補性」を使用するとき、対象オリゴヌクレオチドは、それ以外であることを明記している場合を除き、標的分子と少なくとも90%相補的である。一部の実施形態において、対象オリゴヌクレオチドは、標的分子と少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%相補的である。
【0342】
本明細書において使用される「プライマー」又は「プローブ」は、標的遺伝子等の標的核酸分子の少なくとも8連続ヌクレオチドの配列と相補的である領域を含むオリゴヌクレオチドを指す。一部の実施形態において、プライマー又はプローブは、標的分子の少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも319、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、又は少なくとも40連続ヌクレオチドの配列と相補的である領域を含む。プライマー又はプローブが、「標的分子の少なくともX連続ヌクレオチドと相補的」である領域を含む場合、プライマー又はプローブは、標的分子の少なくともX連続ヌクレオチドと少なくとも95%相補的である。一部の実施形態において、プライマー又はプローブは、標的分子と少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%相補的である。
【0343】
用語「核酸増幅」は、核酸配列を直線的又は指数的に増殖させるための広範囲の技術を含むがこれらに限定されるわけではない、少なくとも1つの標的核酸の少なくとも一部が典型的には鋳型依存的に再生される任意の手段を包含する。増幅工程を実施するための例示的な手段には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、リガーゼ検出反応(LDR)、多重ライゲーション依存性プローブ増幅(multiplex ligation-dependent probe amplification)(MLPA)、ライゲーション後のQ-レプリカーゼ増幅、プライマー伸長、鎖置換増幅(SDA)、超分岐鎖置換増幅、多置換増幅(MDA)、核酸鎖ベース増幅(NASBA)、2ステップ多重増幅、ローリングサークル増幅(RCA)等、並びにその多重バージョン、及び例えば、OLA/PCR、PCR/OLA、LDR/PCR、PCR/PCR/LDR、PCR/LDR、LCR/PCR、PCR/LCR(複合連鎖反応-CCRとしても知られる)を含むがこれらに限定されるわけではないそれらの組み合わせ、デジタル増幅等が挙げられる。そのような技術の説明は、他にも情報源はあるが、中でも、Ausbelら、「PCR Primer: A Laboratory Manual」、Diffenbach編, Cold Spring Harbor Press (1995);「The Electronic Protocol Book」、Chang Bioscience (2002);Msuihら、J. Clin. Micro. 34:501~07頁(1996);「The Nucleic Acid Protocols Handbook」、R. Rapley編, Humana Press, Totowa, N.J. (2002);Abramsonら、Curr Opin Biotechnol. 1993年2月;4(1):41~7頁、米国特許第6,027,998号;米国特許第6,605,451号、Baranyら、PCT公開番号WO97/31256;Wenzら、PCT公開番号WO01/92579;Dayら、Genomics, 29(1)号:152~162頁(1995)、Ehrlichら、Science 252:1643~50頁(1991);Innisら、「PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications」、Academic Press (1990);Favisら、Nature Biotechnology 18:561~64頁(2000);及びRabenauら、Infection 28:97~102頁(2000);Belgrader, Barany, and Lubin, Development of a Multiplex Ligation Detection Reaction DNA Typing Assay, Sixth International Symposium on Human Identification, 1995(ワールドワイドウェブ: promega.com/geneticidproc/ussymp6proc/blegrad.htmlで入手可能);LCRキット説明マニュアル、カタログ番号200520、改訂番号050002, Stratagene, 2002;Barany, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:188~93頁(1991); Bi and Sambrook, Nucl. Acids Res. 25:2924~2951頁(1997); Zirviら、Nucl. Acid Res. 27:e40i~viii(1999);Deanら、Proc Natl Acad Sci USA 99:5261~66頁(2002);Barany and Gelfand, Gene 109:1~11頁(1991);Walkerら、Nucl. Acid Res. 20:1691~96頁(1992);Polstraら、BMC Inf. Dis. 2:18~(2002);Lageら、Genome Res. 2003年2月; 13(2):294~307頁、及びLandegrenら、Science 241:1077~80頁(1988), Demidov, V., Expert Rev Mol Diagn. 2002年11月; 2(6):542~8頁;Cookら、J Microbiol Methods. 2003年5月; 53(2):165~74頁、Schweitzerら、Curr Opin Biotechnol. 2001年2月; 12(1):21~7頁、米国特許第5,830,711号、米国特許第6,027,889号、米国特許第5,686,243号、PCT公開番号WO0056927A3、並びにPCT公開番号WO9803673A1において見出すことができる。
【0344】
一部の実施形態において、増幅は、以下の連続する技法の少なくとも1サイクルを含む:少なくとも1つのプライマーを、少なくとも1つの標的核酸における相補的又は実質的に相補的な配列とアニールする工程;ポリメラーゼを使用して、鋳型依存的にヌクレオチドの少なくとも1つの鎖を合成する工程;及び新たに形成された核酸二本鎖を変性させて鎖を分離する工程。サイクルは、繰り返してもよく、繰り返さなくてもよい。増幅は、熱サイクリングを含みうるか、又はある特定の実施形態において、等温的に実施されうる。
【0345】
用語「ハイブリダイズする」は、典型的には本明細書において、一部の実施形態においてストリンジェントな条件で、核酸分子を特定のヌクレオチド配列に優先的に結合させる、二本鎖を形成する、又はハイブリダイズさせる、「特異的ハイブリダイゼーション」を指すために使用される。用語「ストリンジェントな条件」は、プローブがその標的配列に優先的にハイブリダイズするが、他の配列にはより少ない程度にハイブリダイズするか、又は全くハイブリダイズしない条件を指す。核酸ハイブリダイゼーションの文脈における「ストリンジェントなハイブリダイゼーション」及び「ストリンジェントなハイブリダイゼーション洗浄条件」は、配列依存的であり、異なる環境パラメータ下で異なる。核酸のハイブリダイゼーションに関する広範な指針は、例えば、Tijssen (1993) Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology--Hybridization with Nucleic Acid Probes part I, Ch. 2、「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays」、Elsevier, N.Y. (「Tijssen」)に見出される。一般的に、フィルターハイブリダイゼーションに関する高ストリンジェントハイブリダイゼーション及び洗浄条件は、既定のイオン強度及びpHで、特異的配列の熱融解点(Tm)より約5℃低くなるように選択される。Tmは、標的配列の50%が、完全にマッチしたプローブにハイブリダイズする温度(既定のイオン強度及びpHでの)である。ある特定の実施形態において、非常にストリンジェントな条件は、特定のプローブに関してTmと等しくなるように選択される。ハイブリダイゼーションストリンジェンシーが、緩衝液の組成、温度、及びプローブの長さに依存することは、当業者に周知である(例えば、Sambrook and Russell (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual (第3版) 1~3巻、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Press, NYを参照されたい)。
【0346】
本明細書において使用される「試料」は、一般的に、生体液(例えば、血液又は血液画分、血清、血漿、膵液、脳脊髄液、口腔液、リンパ、眼内液等)を含む生物試料、及び/又は乳房組織、子宮頸部組織、膣組織、結腸/直腸組織、喉の組織を含むがこれらに限定されるわけではない、様々な組織からの生検試料、凍結組織試料、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料を含むがこれらに限定されるわけではない組織試料、並びに血液、便、及び生検試料等の他のタイプのヒト試料を指す。試料という用語はまた、上記の試料の希釈型及び/又は緩衝型、例えばスワブ試料が入れられている緩衝液、緩衝液が加えられている尿試料等も含む。
【0347】
本明細書において使用される語句「癌の存在又は癌に対する素因を示す」とは、特定の結果が、癌が存在する及び/又は癌様状態が存在する若しくは存在する可能性があることを示す傾向があることを意味する。この語句は、状態が存在するという明確な決定を暗示するものではない。明確な決定は、医師が適切であると考えるさらなる検査又は試験に基づいて行うことができる。更に、この語句は、特定の結果のみに基づいてどの状態が存在しうるかに関して決定がなされることを必要としない。むしろ陽性結果は、他の検査又は試験結果に照らして考慮され、異なる診断に到達すると企図される。
【0348】
用語「tubefill技法」は、カセットではなくて標準的な実験器具を使用して試行を行う技法を指す(例えば、本明細書において記述されるGENEXPERT(登録商標)、又は改変GENEXPERT(登録商標)カートリッジではなくて)。
【0349】
様々な実施形態において、DNA試料中のメチル化の迅速な検出及び/又は特徴付けを促進する装置及び方法を提供する。ある特定の実施形態において、自動反応カートリッジを利用する方法は、DNA試料のメチル化の分析を促進する、及び任意選択でDNAメチル化の定量と共にmRNAレベルを測定することから、自動反応カートリッジが提供される。様々な実施形態において、DNAメチル化は、亜硫酸水素塩変換及び亜硫酸水素塩変換DNAの分析によって(例えば、メチル化特異的PCR、核酸シーケンシング、融解点分析等を介して)決定される。ある特定の実施形態において、カートリッジは、DNAの亜硫酸水素塩変換の全て又は一部、及び亜硫酸水素塩変換DNAの分析の全て又は一部を実施する。ある特定の実施形態において、カートリッジは、亜硫酸水素塩変換に関係する工程の全て、及び亜硫酸水素塩変換DNAの分析の全て又は一部を実施する。ある特定の実施形態において、カートリッジは、亜硫酸水素塩変換に関係する工程の全て、及び亜硫酸水素塩変換DNAの分析の全てを実施する。ある特定の実施形態において、カートリッジは更に、分析されるDNAの単離及び精製を実施する。
【0350】
メチル化分析を自動化することは、例えば全体の処理時間の低減、効率の改善、ユーザーエラー及び変動の減少、工程間の損失の最少化、並びにより少量の試料使用能の改善を含むいくつかの利点がある。本明細書において記述されるカートリッジベースのプロセスを使用することにより、多数の試料タイプの迅速かつ容易な試験が可能となるのみならず、乳癌、結腸直腸癌、前立腺癌、及び肺癌を含むがこれらに限定されるわけではないいくつかの異なるタイプの癌において観察されるメチル化の変化も評価することが可能となる。
【0351】
本明細書において記述されるカートリッジベースの方法によって更に、同じ試料に由来するmRNAの測定が可能となる。DNAメチル化に関係する対応する上流及び/又は下流のmRNAの測定は、エピジェネティック修飾の機序及び活性を理解するために重要でありうる。例えば、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)mRNAの測定が、いくつかの癌のDNAメチル化と共に研究されている(Table 1(表1)を参照されたい)。
【0352】
【0353】
しばしば、DNA又はRNAの異なる独立した抽出物が、遺伝子及び転写物の試験及び測定のために使用される。同じ試料調製物から同時に検出することは、試料調製間変動、アッセイ間変動、試料間変動、及び細胞間変動を最小限にするために理想的であろう。
【0354】
DNAのカートリッジベースの亜硫酸水素塩変換
ある特定の実施形態において、DNAの抽出、亜硫酸水素塩変換、及びメチル化特異的PCRは全て、カートリッジで実施される。1つの例示的な実施形態において、ユーザーは、試料を溶解/結合試薬に加えた後、試薬を短時間混合/攪拌し、次に試料をカートリッジの試料ポート又はチャンバーに加える。例示的なしかし非制限的な溶解試薬(FFPE切片に特に十分に適した試薬を含む)は、本明細書において記述される試薬に関して参照により本明細書に組み込まれている、PCT特許公開番号WO2014/052551(PCT/US2013/061863)に記述される。
【0355】
血清又は血漿及びホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料のための更に例示的な溶解試薬を実施例(それぞれ、Table 11(表11)及びTable 12(表12))に示す。
【0356】
ある特定の実施形態において、カートリッジを処理モジュールに入れて、処理モジュールを制御するソフトウェアにおいて選択セットを通してクリックすることによってアッセイを開始する(例えば、
図11A及び
図11Bを参照されたい)。次に、カートリッジは、亜硫酸水素塩変換プロセス及び亜硫酸水素塩変換DNAの分析を実施する。ある特定の実施形態において、mRNAも同様に決定される。ある特定の実施形態において、操作は全てカートリッジで行われ、他の実施形態において、様々な操作のサブセットが以下に記述されるようにカートリッジで行われる。
【0357】
試料は、そのメチル化状態を評価すべきDNAを含む任意の生物試料を含みうる。例示的な試料には、単離DNA及び/又は単離総核酸、細胞、組織、核酸を含む生体液等が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。ある特定の実施形態において、生物試料は、血漿、血清、羊水、唾液、粘液、尿、膵液、及び脳脊髄液からなる群から選択される生体液を含む。ある特定の実施形態において、試料は、健康な組織からの組織試料、又は疾患試料からの組織試料を含む。ある特定の実施形態において、組織試料は、胎児、新生児、小児、青年、又は成人の試料である。ある特定の実施形態において、組織試料は、腫瘍細胞を含み、及び/又は腫瘍(例えば、乳癌、前立腺癌、脳癌、子宮頚癌、卵巣癌、膵癌、結腸癌、胃癌、肝細胞癌等)の生検に由来する。ある特定の実施形態において、試料は、固定された組織、例えばホルマリン固定組織試料を含む。ある特定の実施形態において、試料は、包埋された組織試料(例えば、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料)を含む。
【0358】
DNAの亜硫酸水素塩変換は、典型的には4つの工程を含む:
1)DNA精製
2)DNA変性
3)DNA変換(例えば、亜硫酸水素塩の脱アミノ化)、及び
4)アルカリ脱スルホン化
【0359】
典型的にはDNA変換(例えば、亜硫酸水素塩等の変換試薬を使用して)は、1)スルホン化:シトシンの5-6二重結合への亜硫酸水素塩の付加、及び2)加水分解脱アミノ化:得られたシトシン亜硫酸水素塩誘導体の加水分解脱アミノ化によりウラシル-亜硫酸水素塩誘導体を生じること、を伴う。この後にアルカリ脱スルホン化:スルホン酸基をアルカリ処置によって除去して、上記のようにウラシルを生じること、を行う。
【0360】
上記のように、ある特定の実施形態において、試料をカートリッジの中に入れる前にDNA精製を実施することができ、或いはカートリッジそのものによって実施することができる。したがって、ある特定の実施形態において、試料は反応カートリッジに直接加えられ、他の実施形態において、試料は1つ又は複数の試薬と混合される。ある特定の実施形態において、DNA調製は、典型的には実質的に単離されたDNAの調製を伴う。これは、細胞を溶解してDNAを放出させること、微粒子及び細胞デブリを除去すること、及び/又はタンパク質成分を除去して、実質的に純粋な核酸(例えば、実質的に純粋なDNA及び/又は実質的に純粋なDNAとRNAの混合物)を含む試料を提供することを伴ってもよい。1つの例示的なしかし非制限的な実施形態において、試料(例えば、組織試料)を溶解試薬に加えて、攪拌した後、更に処理するためにカートリッジに挿入する。
【0361】
ある特定の実施形態において、DNAの亜硫酸水素塩変換を行うために必要な試薬の全てがカートリッジに提供される。ある特定の実施形態において、カートリッジにおける試薬の経時的な分解を回避するために、ある特定の試薬を、使用直前にカートリッジに添加してもよい。このため、例えば、ある特定の実施形態において、試料をカートリッジ内にローディングする時点若しくはその間近に、変換試薬(例えば、亜硫酸水素塩試薬)及び/又はチオシアン酸グアニジウム試薬(例えば、GTC-EtOH-Tween)をカートリッジにローディングしてもよいと企図される。ある特定の実施形態において、グアニジニウムチオシアネート試薬(例えば、GTC-EtOH-Tween)を試料と混合して、カートリッジの試料受けチャンバー(例えば、GENEXPERT(登録商標)カートリッジではチャンバー2)に添加する。
【0362】
ある特定の実施形態において、反応カートリッジ(例えば、GENEXPERT(登録商標)カートリッジ)を使用してDNAの亜硫酸水素塩変換を実施する場合、方法は、
i)核酸を含む生物試料を、第一のカラム又はフィルターを含む第一のマトリックス材料と接触させる工程であって、前記マトリックス材料が前記試料中の核酸と結合する及び/又はそれを濾過することによってDNAを精製する工程と、
ii)結合したDNAを第一のマトリックス材料から(例えば、アルカリ溶液を使用して)溶出させ、DNAを変性させて、溶された変性DNAを生成する工程と、
iii)溶されたDNAを、変換試薬(例えば、亜硫酸水素塩イオンを提供する試薬)の存在下で加熱して、変換された(例えば、脱アミノ化された)核酸を生成する工程と、
iv)変換された核酸を、第二のカラムを含む第二のマトリックス材料と接触させて、前記脱アミノ化核酸を前記第二のマトリックス材料と結合させる工程(ある特定の実施形態において、第二のカラムは第一のカラムとは異なるカラムであってよく、又は他の実施形態において、同じカラムをもう一度使用することに注意されたい)と、
v)結合した脱アミノ化核酸を脱スルホン化する、及び/又は脱アミノ化核酸をアルカリ溶液と接触させることによって核酸を同時に溶出及び脱スルホン化して、変換された(例えば、亜硫酸水素塩変換)核酸を生成する工程と、
vi)変換された核酸を、第二のマトリックス材料から溶出させる工程と
を含み、少なくとも工程iv)から工程vi)を単一の反応カートリッジで行うことを含む。
【0363】
ある特定の実施形態において、方法は、変換されたDNAの分析を更に含む。したがって、ある特定の実施形態において、方法は以下:
vii)変換された核酸についてメチル化特異的PCR及び/又は核酸シーケンシング、及び/又は高分解能融解点分析(HRM)を実施して、核酸のメチル化を決定する工程を更に含み、少なくとも工程iv)からvi)を単一の反応カートリッジで行う。
【0364】
ある特定の実施形態において、少なくとも工程iii)からvi)を、単一の反応カートリッジで行う。
【0365】
ある特定の実施形態において、少なくとも工程ii)からvi)を、単一の反応カートリッジで行う。
【0366】
ある特定の実施形態において、少なくとも工程i)からvi)を、単一の反応カートリッジで行う。
【0367】
ある特定の実施形態において、少なくとも工程i)からvii)を、単一の反応カートリッジで行う。
【0368】
第一のカラム及び存在する場合、第二のカラムは、個別のカラムを指しうることに注意すべきである。しかし、特に反応カートリッジに組み込まれる場合、「カラム」は、単にカートリッジにおけるチャンバー又はチャネルに配置されるマトリックス材料でありうる。様々な実施形態において、「カラム」は、核酸に結合するフィルター及び/又はアフィニティーカラムとして作用する。したがって、ある特定の実施形態において、カラムは、核酸(例えば、DNA及び/又はRNA)に結合するマトリックス材料を含む。例示的なマトリックス材料には、ガラス(シリカ)、イオン交換樹脂、ヒドロキシアパタイト等が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。マトリックス材料は、多数の形態をとりうると認識される。このため、ある特定の実施形態において、マトリックス材料は、繊維性材料、微粒子材料(例えば、マイクロビーズ、ナノビーズ等)、構造材料(例えば、多孔性の「バッフル」システム、曲がりくねったチャネル等)を含む。ある特定の実施形態において、第一のカラムと第二のカラムは異なるカラム(チャンバー又はチャネル)である。他の実施形態において、第一のカラムと第二のカラムは、2回使用される(例えば、1回目と2回目)同じカラム(チャンバー又はカラム)である。
【0369】
ある特定の実施形態において、例えば第一のマトリックス材料と接触させる前に最初の試料を洗浄するために、1つ又は複数の追加のフィルターの使用が企図される。このように、例えば、ある特定の実施形態において、フィルターマトリックス(例えば、ポリカーボネートフィルター、ナイロンフィルター、ポリプロピレンフィルター、ポリエステルフィルター、ナイロンフィルター、セラミックフィルター、ポリテトラフルオロエチレンフィルター等)は、試料受けチャンバーに配置されるか、又は試料受けチャンバーの「下流」で第一の「カラム」の前に配置される。同様に、ある特定の実施形態において、試料受けチャンバーに入れる前に、試料を溶解及び/又は濾過することができると認識される。
【0370】
ある特定の例示的なしかし非制限的な実施形態において、本明細書において記述される方法は、GENEXPERT(登録商標)カートリッジ(Cepheid, Inc.社, Sunnyvale, CA)、又はそのバリアントを使用して実施することができる。様々な実施形態において、試料の抽出及び/又は増幅、及び/又はDNA変換、及び/又は検出は全て、この自己完結型の「カートリッジ内検査室」内で行うことができる(例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,958,349号、第6,403,037号、第6,440,725号、第6,783,736号、及び第6,818,185号を参照されたい)。様々な実施形態において、カートリッジの成分は、試薬を含む処理チャンバー、フィルター、並びに標的核酸を抽出、精製、及び増幅するために有用な捕捉技術を含むがこれらに限定されるわけではない。弁は、チャンバーからチャンバーへの流体の移動を可能にし、核酸溶解及び濾過成分を含む。光学用ウィンドウは、リアルタイムでの光学的検出(例えば、PCR増幅産物の)を可能にする。非常に迅速な加熱及び/又は熱サイクリングを可能にする反応チューブを提供できる。
【0371】
ある特定の実施形態において、例示的なGENEXPERT(登録商標)カートリッジは、中央弁アセンブリの周りに配置されており、中央弁アセンブリと選択的に流体連結される複数のチャンバーを含み、中央弁アセンブリは、中央弁と流体連結されたチャンバーから流体を出し入れすることができるプランジャーを収容するように構成されている。弁アセンブリを回転すると、どのチャンバーが中央弁と流体連結されているかがわかる。1つの例示的なGENEXPERT(登録商標)カートリッジを、
図1Aに例証し、
図1Aは、カートリッジ、処理/試薬チャンバー、反応チューブ(例えば、加熱及び/又は熱サイクリングチューブ)、任意選択の光学用ウィンドウ、及びチャンバーからチャンバーへの流体の移動を容易にする弁を示す。
【0372】
カートリッジの例示的なレイアウトを
図1Bに示し、様々なチャンバーを数字で特定するカートリッジの上面図を提供する。1つの例示的なしかし非制限的な実施形態において、カートリッジを含むチャンバーの成分を、Table2(表2)に記載する。試薬及びチャンバーのこの配置は例示的であり非制限的であると認識される。本明細書において提供される教示を使用して、他の試薬配置及び/又は他のチャンバー構成が当業者に利用可能であろう。
【0373】
【0374】
そのようなカートリッジを利用してDNAメチル化を決定するための工程ごとのワークフローの1つの実施形態を
図1Cに示す。このカートリッジ構成において、使用時に(例えば、カートリッジを操作してDNAメチル化を決定する場合)試薬及び緩衝液を保持する5つのチャンバーが存在し(例えば、チャンバー3,4,5,8及び10)、1つのチャンバーはユーザーが添加した試料を保持し(例えば、チャンバー2)、1つ又は2つ(又はそれ超)のチャンバーは、分析試薬(例えば、酵素反応、鋳型特異的反応等のMSP試薬、及び/又は200mMトリス pH 7.0、例えばビーズとして)を保持する(例えば、チャンバー9及び11)。ある特定の実施形態において、試薬(例えば、ポリメラーゼ、逆転写酵素、プライマー、プローブ)は、溶液で提供される。ある特定の実施形態において、試薬は、加水分解粉末として提供される。ある特定の実施形態において、試薬は、凍結乾燥ビーズとして提供される。ビーズは更に、試薬の安定性及び/又は活性を改善する物質を更に含みうる(例えば、その中に記述されるビーズ、ビーズ加工、及びビーズ配合物に関して、参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願第2006/0068399号を参照されたい)。
【0375】
ある特定の実施形態において、提供されるカートリッジは、カートリッジの試行を行うために必要な全ての試薬を含み、試料(例えば、緩衝液/溶解/沈殿溶液中の試料)をカートリッジに添加するだけでよい。ある特定の実施形態において、カートリッジは、GTC-EtOH及び/又は亜硫酸水素塩試薬なしで提供され、1つ又は両方を使用時に添加する。このため、ある特定の実施形態において、GTC-EtOH試薬は、使用時にカートリッジに添加され、ある特定の実施形態において、亜硫酸水素塩試薬(試料に加えて)は、使用時にチャンバーに添加され、ある特定の実施形態において、GTC-EtOHと、亜硫酸水素塩試薬の両方(試料に加えて)が、使用時にカートリッジに添加される。ある特定の実施形態において、これらの試薬は、所望のチャンバーに直接添加される(例えば、Table 2(表2)を参照されたい)。ある特定の実施形態において、試薬をローディングするためのポートが備えられ、ポートは、所望のチャンバーに試薬を送達するように構成される。
【0376】
アッセイの開始時、カートリッジは試料を、例えばチャンバー2からカートリッジのガラス繊維カラム(例えば、第一のカラム)の上に分配する。DNAをカラムから溶出させると同時に、アルカリ溶液、例えば低濃度水酸化カリウムによってチャンバー10からチャンバー4の濃亜硫酸水素塩試薬(例えば、濃亜硫酸水素アンモニウム)中で変性させる。ある特定の実施形態において、DNAは、pHが約10.5超の又はpH約12超のKOHアルカリ溶液によって溶出させる。ある特定の実施形態において、DNAは10~15mM KOHによって溶出させる。
【0377】
上記のように、DNAを亜硫酸水素塩試薬に(任意選択で超音波バーストによって)溶出させる。様々な実施形態において、変換試薬(例えば、亜硫酸水素塩試薬)が約4M~約10Mの範囲、又は約5M~約8M、又は約6M~約7Mの濃度で存在する。ある特定の実施形態において、亜硫酸水素塩溶液は、メタ亜硫酸水素ナトリウム、又は亜硫酸水素カリウム、又は亜硫酸水素アンモニウム、又は亜硫酸水素セシウム、又はDABSO(1,4-ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジスルフィネート、例えば
図16を参照されたい)を含む。ある特定の実施形態において、変換試薬(例えば、亜硫酸水素塩試薬)は、亜硫酸塩の硫酸塩への酸化を防止するための1つ又は複数の化学物質(TROLOX及びヒドロキノン)及び/又は触媒(ポリアミン)を含むがこれらに限定されるわけではない、ラジカルスキャベンジャーを含む。
【0378】
DNA-亜硫酸水素塩(DNA/変換試薬)ミックスを温度制御チャンバー又はチャネルに導入し、約40℃~約95℃の範囲の温度でインキュベートする。ある特定の実施形態において、ミックスを一定温度でインキュベートするが、他の実施形態において、例えば温度制御チャンバー又はチャネルがサーモサイクリングチャンバー又はチャネルである場合(例えば、カートリッジ後方のスマートサイクラーチューブ)、ミックスは熱サイクルされる(例えば、60℃と95℃の間で)。DNAが変換されるまで(例えば、脱アミノ化されるまで)ミックスをインキュベートする。ある特定の実施形態において、インキュベーションは、約5分から約4時間まで、又は好ましくは約15分から約45分までの範囲の期間である。
【0379】
インキュベーション後、DNA/変換試薬(例えば、DNA-亜硫酸水素塩)溶液を、例えばチャンバー3からの新しいグアニジニウムチオシアネート-EtOHと混合して、マトリックス材料の上に分配する。ある特定の実施形態において、第一のカラムは再利用され、したがって1つのみのカラムが存在し、第二のカラムと第一のカラムは同じである。ある特定の実施形態において、第二のカラムは、第一のカラムとは異なる個別のカラムである。
【0380】
第二のカラムマトリックス材料に結合したDNAを、新しいGTC-EtOH(例えば、チャンバー3から)によって洗浄してすすぐ(例えば、チャンバー8からのPEG 200ですすぐ)。次に、DNAをカラム上で脱スルホン化するか、又は脱アミノ化核酸を、アルカリ溶液(例えば、チャンバー10からのKOH)と接触させることによって同時に溶出及び脱スルホン化し、亜硫酸水素塩変換核酸を生成する。ある特定の実施形態において、インキュベーションは、約1分間~約1時間、若しくは約5分間~約30分間、若しくは約10分間~約20分間の範囲の期間、又は約15分間である。
【0381】
初回インキュベーションを、更に使用される熱サイクリングチャンバーで行う場合、熱サイクリングチャンバー又はチャネルを緩衝液で洗浄して、残っている亜硫酸水素塩を除去し、pHを中和する。変換試薬(例えば、亜硫酸水素塩試薬)とのインキュベーション及び/又は脱スルホン化を、亜硫酸水素塩の混入が後のPCR反応を大きく妨害することなしに、PCRのために後に使用するチャネル又はチャンバーで実施できることは意外な発見であった。
【0382】
溶された脱スルホン化亜硫酸水素塩変換DNAを適切な緩衝液と混合して、メチル化のために分析しうる。ある特定の実施形態において、変換したDNAを、チャンバー9及び11において、濃縮したトリス、酵素反応、及び鋳型特異的ビーズ(例えば、PCR又はネステッドPCR反応のためのプライマー及び/又はプローブを含むビーズ)と混合し、最終混合物を、メチル化特異的定量的PCR反応のために、熱サイクリングチューブ又はチャンバーに吸引する。
【0383】
qPCR工程の際の亜硫酸水素塩混入は、メチル化カートリッジの一次不全モードでありうる。残留亜硫酸水素塩は、PCR反応チューブの直接混入(例えば、亜硫酸水素塩変換工程の際の)又は間接的混入(例えば、チャンバー間で亜硫酸水素塩の流体移動の際の二次混入)に起因しうる。残留亜硫酸水素塩混入は、存在する場合、qPCR工程の際の亜硫酸水素塩媒介プローブ切断によって測定でき、それによって典型的にはバックグラウンド減算のために使用される初期qPCRサイクル(サイクル1~10)において蛍光の増加が起こる。したがって、ある特定の実施形態において、カートリッジは、亜硫酸水素塩が存在する場合には、PCRの際に切断可能である1つ又は複数のプローブを提供するビーズを含む。亜硫酸水素塩混入を含む試行の結果を
図14に示す。
【0384】
上記の方法(及び実施例4、例えば、
図13Aを参照されたい)は、GENEXPERT(登録商標)カートリッジにおける特定のチャンバーに関して記述しているが、特定の試薬/チャンバーの割付は適用されるメチル化分析プロトコールの詳細に応じて変化しうると認識される。
【0385】
このように、例えば、メチル化分析カートリッジ(例えば、GENEXPERT(登録商標)カートリッジ)の操作は、一般的にフローチャートに記述することができる(例えば、
図1C及び
図13Bを参照されたい)。
図13Bに示す例示的なしかし非制限的な実施形態において、DNA試料は結合緩衝液(例えば、ある特定の実施形態において、試料をプロテイナーゼK及び/又は溶解溶液によって処理後にGTC-EtOHを含む緩衝液)中で提供される。ある特定の実施形態において、試料は、本明細書において記述される試料調製カートリッジから得る(例えば、
図20を参照されたい)。
【0386】
結合緩衝液中の試料を、カートリッジの試料受けチャンバーに導入する。操作時に、カートリッジを操作して、DNAに結合するマトリックス(カラム)に試料溶液を送達する。次に、結合したDNAを、亜硫酸水素塩試薬と混合したアルカリ試薬(例えば、KOH溶液)を使用してカラムから溶出し、カートリッジ内の加熱チューブ(典型的には、PCR反応チューブ)に移動させ、亜硫酸水素塩反応を進行させる(この例示的なプロトコールでは、例えば、約50℃又は約60℃~約90℃で約45分(又は約90分まで))。反応したDNAを結合緩衝液(例えば、2.25Mグアニジニウムチオシアネート、22.5mMトリス pH7.0、0.5% Tween20、50%エタノール、及び0.005% SE-15消泡剤(活性シリコン消泡剤の10%乳剤及び非イオン性乳化剤))と混合して、同じカラム又は異なるカラムに戻し、ここで再度カラムマトリックスに結合させる。反応したDNAをGTC-EtOHによって洗浄して、PEG(例えば、PEG200)によってすすぎ、同様にDNAを脱スルホン化するアルカリ試薬(例えば、KOH)を使用してカラムから再度溶出する。DNAが脱スルホン化する間、反応チューブ(例えば、PCR反応チューブ)を加熱してすすぎ(例えば、10回すすぎ)、いかなる亜硫酸水素塩試薬も除去しうる。溶されたDNA(又はその一部)を、PCR及び/又はネステッドPCRのために反応チューブに移動できる。
【0387】
これらの操作は、試料全体について、又はDNA試料の一部について実施できると認識されるであろう。後者の場合、試料の一部を1つ又は複数のチャンバーに保存して、対照として使用するか又は異なる分析/プロトコールに供しうる。
【0388】
RNA発現及びDNAメチル化の両方の同時精製及び検出
ある特定の実施形態において、カートリッジベースのアッセイ(例えば、GENEXPERT(登録商標)カートリッジを利用して)においてDNAメチル化(MSP)と共に遺伝子のRNA発現の変化の両方を同時精製及び検出するための方法が提供される。ある特定の実施形態において、これらのアッセイは、例えば、同じ試料調製物から腫瘍特異的メチル化に相関するDNMTの発現の変化を同定するであろう。ある特定の実施形態において、これらのアッセイは、発現及びメチル化状態を確認するために使用できる。
【0389】
本発明者らは、カラム上の核酸の一部を保持するトリス緩衝溶出を使用してカラムから核酸を溶出させうることを示した。1つの例示的な実施形態において、RNA画分を例えば、トリス溶液を使用してカートリッジ内のチャンバーに溶出して保持する。
【0390】
RNA画分を確保した後、NaOH又はKOH溶出によりカラムをストリッピングし、DNAを溶出及び変性させ、DNAは上記の変換のために亜硫酸水素塩中に移される。次に、亜硫酸水素塩変換DNAをカラムから溶出させるためのRNA溶出画分の使用、又はKOH溶出液ミックスの使用のいずれかにより、2つの画分(RNA及び変換されたDNA産物)を、RNAプラス亜硫酸水素塩変換qRT-PCRのために混合する。これは、同じ試料の同じチューブにおいてRNAプラスMSP(又は他の分析法)に関して逆転写酵素(RT)工程を組み入れることを伴う。代替方法は、qPCRのためにDNA(cDNAとDNAの混合物)との混合前に独立してRT工程を実施することが挙げられるがこれらに限定されるわけではなく、又はDNA若しくはRT RNAのためのPCRを、カートリッジにおいて1つの熱サイクリングチューブ/チャンバーを使用して、又は同時に多数の熱サイクリングチューブ/チャンバーを使用し、独立して/連続的に行いうる。
【0391】
変換されたDNAの分析
DNAメチル化を評価するために、多数の分析法をカートリッジで実施できる。或いは、ある特定の実施形態において、変換された(例えば、亜硫酸水素塩又はDABSO変換)DNAのさらなる分析のために、カートリッジをもう1つの装置及び/又はシステムに連結させうる。例示的な方法には、メチル化特異的PCR(MSP)、直接シーケンシング、高分解能融解分析(HRM)、パイロシーケンシング(付加によるシーケンシング)、塩基特異的切断分析(例えば、塩基特異的MALDI-TOF)等が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
【0392】
メチル化特異的PCR(MSP)
様々な実施形態において、メチル化特異的PCRを使用して、標的DNAのメチル化状態を評価できる。MSPは、非変換5-メチルシトシンのみと相補的な配列を含めることによって「メチル化特異的」となるように、又は逆に非メチル化シトシンから変換されたチミンと相補的な配列を含めることによって「非メチル化特異的」となるように設計されたプライマー及び/又はプローブを利用する。次に、特異的プライマーが増幅を達成する能力によってメチル化を決定する。この方法は、増幅される標的内での非変換メチルシトシンの数が増加すれば、PCRの特異性が増加することから、メチル化密度が高い領域においてCpGアイランドを調べるために特に有効である。ある特定の実施形態において、プライマーの3'末端でCpG対を配置することもまた、特異性を改善する。
【0393】
ある特定の実施形態において、MethyLight法を使用してメチル化を評価する。MethyLight法は、MSPに基づくが、定量的PCRを使用して定量的分析を提供する(例えば、Eadesら、(2000) Nucleic Acids Res., 28(8): E32. doi:10.1093/nar/28.8.e32を参照されたい)。メチル化特異的プライマーを使用して、増幅領域にアニールするメチル化特異的蛍光レポータープローブも同様に使用する。代替方法において、関係する配列内のCpG対を識別する必要がある場合には、メチル化特異性を有しないプライマー又はプローブを設計できる。定量はメチル化参照DNAを参照して行いうる。亜硫酸水素塩の変換に成功したDNA(ConLight-MSP)に関するPCRの特異性を増加させるこのプロトコールの1つの改良型は、亜硫酸水素塩-非変換DNAに対して追加のプローブを使用して、この非特異的増幅を定量する(例えば、Randら、(2002) Methods 27(2): 114~120頁を参照されたい)。
【0394】
様々な実施形態において、MethyLight法は、PCR増幅の際にTaqポリメラーゼの5'ヌクレアーゼ活性による二重標識蛍光発生ハイブリダイゼーションプローブの切断に基づくTAQMAN(登録商標)技術を利用する(Eadsら、(1999) Cancer Res., 59: 2302~2306頁; Livakら、(1995) PCR Meth. Appl., 4: 357~362頁; Leeら、(1993) Nucleic Acids Res., 21: 3761~3766頁; Finkら、(1998) Nat. Med., 4: 1329~1333頁)。TAQMAN(登録商標)技術において3つの異なるオリゴヌクレオチド(フォワード及びリバースPCRプライマー及び蛍光発生ハイブリダイゼーションプローブ)を使用することは、いくつかの配列検出戦略の機会を提供する。
【0395】
例えば、配列識別は、PCR増幅プロセスのレベル(例えば、
図4A、パネルC)及び/又は蛍光発生プローブハイブリダイゼーションのレベル(例えば、
図4A、パネルB)で起こりうる。両方の工程において、識別は、完全にマッチしたオリゴヌクレオチドとミスマッチオリゴヌクレオチドとのアニーリングの差に基づく。MethyLight技術において、PCR増幅レベルでの配列識別は、DNAメチル化の潜在的部位(例えば、CpGジヌクレオチド)が重なり合うように、プライマーとプローブ、又は単にプライマーのみ、又は単にプローブのみを設計することによって生じる。1つのアプローチは、単純にMSP技術の蛍光ベースの改変版である(Hermanら、(1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93: 9821~9826頁)。それぞれのオリゴヌクレオチド(プライマー及びプローブ)は、ゼロから複数のCpGジヌクレオチドまで至る所をカバーしうる。それぞれのCpGジヌクレオチドによって、特定の部位がメチル化された(mCpG)か、非メチル化された(UpG)かに応じて、亜硫酸水素塩変換後に異なる2つの配列変化が起こりうる。例えば、オリゴヌクレオチドが、2つのCpGオリゴヌクレオチドに重なり合う場合、そのオリゴヌクレオチドによってカバーされる領域内のゲノムDNAにおいて可能性がある配列バリアントの数は2×2=4である。プライマー及びプローブの両方がそれぞれ2つのCpGに重なり合う場合、オリゴヌクレオチドによってカバーされる配列内に含まれるバリアントの総数は、4×4×4=64である。理論的には、これらの潜在的な64個の配列バリアントのそれぞれの相対量を分析するために個別のPCR反応を設計することができる。しかし、有意なメチル化情報は、この仮説上の例の2つの最も極端な配列バリアントを表す、完全にメチル化された分子と完全に非メチル化された分子の反応を設計することによって、はるかに少ない数のバリアントの分析から誘導できる。これら2つの反応の比率又はメチル化反応と対照反応との間の比率は、この座でのメチル化分子の優位性の測定を提供する。
【0396】
MethyLight技術はまた、PCR増幅レベルでの配列識別を回避するように改変しうる。プライマー又はプローブの両方がいかなるCpGオリゴヌクレオチドとも重なり合わない場合、反応は、偏りのない増幅を表し、投入DNA量の対照としての役割を有しうる。1つの例示的な有用な対照反応は、アンプリコン全体が非変換ゲノム配列にいかなるCpGジヌクレオチドも含まない反応である。CpGジヌクレオチドをカバーするようにプローブのみを設計する場合、配列識別はプローブハイブリダイゼーションのレベルのみで起こる。このバージョンにおいて、亜硫酸水素ナトリウム変換工程に起因する全ての配列バリアントは、増幅の偏りが存在しない限り、等しい効率で増幅される(例えば、Wameckeら、(1997) Nucleic Acids Res., 25: 4422~1426頁を参照されたい)。この場合、特定のメチル化パターンに関連する異なる配列バリアントのそれぞれに関して異なるプローブ(2つのCpGの場合、2×2=4プローブ)を設計することにより、PCR産物の混合プールにおけるそれぞれの配列の順列の相対的優位性を定量的な決定を可能にする。
【0397】
ある特定の実施形態において、分析法はまた、非変換DNAに対して特異的なPCRを提供する。このPCRは、SNP、変異、及び/又は転座等を調べうる。この点において、単一のカートリッジでの変異及びメチル化の検出を実施例12に例証することに注意されたい(例えば、
図27A及び
図27Bを参照されたい)。SNP、変異、転座等の検出は、これらの標的の検出に対して特異的なプライマー及びプローブの組を含めることによって容易に達成できる。
【0398】
ネステッドPCR及び多重PCRアッセイ
ある特定の実施形態において、メチル化DNAは、当業者に周知のPCR法を使用して検出できる。ある特定の実施形態において、ネステッドPCR反応は、メチル化標的を検出するために使用される。1つの例示的なしかし非制限的な実施形態において(例えば、実施例4を参照されたい)、最初の15~20サイクルPCR反応がメチル化に対して特異的ではないが、変換されたDNA配列のみに対して特異的である場合(すなわち、それらが、CpGと交叉しないか、又はR=プリン又はY=ピリミジンを使用してメチル化及び非メチル化鋳型配列の両方を捉える場合)、ネステッドPCRプロトコールを使用できる。第二のqPCR反応(例えば、45サイクルのqPCR反応)は、典型的には2~3個のメチル化CpGに対して特異的であるプライマーとプローブの両方を含みうる。
【0399】
ある特定の実施形態において、MethyLight分析は、単一のプローブを使用して実施されることに注意されたい(例えば、
図4Bを参照されたい)。このアプローチでは、メチル化特異的フォワード(FW)及びリバース(RV)プライマーと共に、単一の、例えばメチル化特異的プローブ(PR3)を使用し、プローブ(PR3)に関するメチル化特異的PCRが、FW、RV、及びPR3配列に関してメチル化及び亜硫酸水素塩変換に依存するシグナルを提供する。
【0400】
様々な実施形態において、多重PCRアッセイが企図される。例として、
図4Cは、それぞれ異なる領域を標的とするマルチプルプローブ(PR1、PR2、・・・PR5)を使用するMethyLightアプローチを例示する。全てのプローブ(PR1、PR2、PR3、PR4、及びPR5)からの複合シグナルは、メチル化の量/程度の測定をもたらす。ある特定の実施形態において、それぞれのプローブは、その自身の特異的色素/蛍光体を有し、そのため他のプローブとは無関係に検出可能である。このため、たとえ1つの標的がメチル化されなくとも、シグナルはなおも検出でき、例えばPR3がメチル化されない場合、残りのプローブからのシグナルはない/弱いであろう。
図4Dは、それぞれが同じ領域を標的とするが、異なるメチル化パターンのシグナルを提供する多数のプローブ(PR1、・・・PR5)を使用するMethyLightアプローチを例示する。
図4Cに例示するアプローチは、より大きい領域からの検出を提供できるが、単一のより小さい領域に対するこのマルチプローブアプローチは、亜硫酸水素塩変換後の特異的配列にわたってメチル化の程度を調べる配列特異的プライマー又はプローブによって達成できる。
【0401】
ある特定の実施形態において、両方の鎖に関して逆相補体多重アッセイを使用しうる(例えば、
図26を参照されたい)。亜硫酸水素塩変換後、両方の鎖はその相補性を失う。このため、プライマー及びプローブの組を1つの鎖又は他方の鎖に関して設計してよく、それによってユニークアンプリコンを得うる。検出のために「より多くの機会」を提供することに加えて、このアプローチは、おそらく感度に関しても役立ちうる(LODでは、どちらか一方の鎖がチューブの中で終了すれば、このアプローチによって、シグナルを確実に得ることができる)。このアプローチによって、多重アッセイを、同じプロモーター部位で異なるCpGを検出するように拡大することができる。この逆相補体多重は、標的メチル化を検出して非相同メチル化を得るより多くの機会を提供する。
【0402】
前述の方法は例示的で非制限的である。本明細書において提供した教示を使用して、MSP及び/又はMethyLight分析の多数のバリアントが当業者に利用可能であり、例えば本明細書において記述されるように反応カートリッジにおいて実行可能である。
【0403】
直接シーケンシング
ある特定の実施形態において、DNAのメチル化状態は、直接シーケンシング法を使用して決定しうる。ある特定の実施形態において、方法は、PCR及び標準的なジデオキシヌクレオチドDNAシーケンシングを利用して、亜硫酸水素塩変換に対して抵抗性のヌクレオチドを直接決定できる(例えば、Frommerら、(1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89 (5): 1827~1831頁を参照されたい)。様々な実施形態において、プライマーは、鎖特異的並びに亜硫酸水素塩特異的(例えば、それらが非亜硫酸水素塩処置DNAと相補的でないように、非CpGシトシンを含むプライマー)で、目的のメチル化部位に隣接する(しかし含まない)ように設計される。したがって、メチル化特異的PCRとは対照的に、これはメチル化及び非メチル化配列の両方を増幅する。非メチル化シトシンの全ての部位は、得られたセンス鎖の増幅配列においてチミンとして表示され、増幅されたアンチセンス鎖においてアデニンとして表示される。ある特定の実施形態において、ネステッドPCR法を使用して、シーケンシングのための産物を増強しうる。
【0404】
ある特定の実施形態において、シーケンシングはカートリッジにおいて実施できる。他の実施形態において、シーケンシング分析を提供するために、カートリッジをシーケンシング装置に連結(例えば、流体連結)させうる。或いは、ある特定の実施形態において、増幅産物を手動でカートリッジからシーケンシングシステムに移しうる。
【0405】
高分解能融解分析(HRM)
ある特定の実施形態において、高分解能融解分析(HRM)を使用して、非変換亜硫酸水素塩処置DNAから変換型を区別できる。HRMは、融解の際の温度上昇及び結果としてのインターカレート蛍光色素の放出によってPCRアンプリコンを直接分析する、定量的PCR技術である(例えば、Wojdacz and Dobrovic (2007) Nucleic Acids Res. 35(6): e41を参照されたい)。アンプリコンにおけるCのTに対する含有量によって表されるメチル化の程度は、融解及びその後の色素の放出の迅速性を決定する。この方法は、直接定量を可能にするが、特異的CpG部位よりむしろ増幅領域におけるメチル化を全体として評価する。
【0406】
パイロシーケンシング
ある特定の実施形態において、パイロシーケンシング(合成によるシーケンシング)を使用して、メチル化特異的PCRを使用することなく、亜硫酸水素塩処置DNAを分析しうる(例えば、Colellaら、(2003). BioTechniques 35(1): 146~150頁; Tostら、(2003) BioTechniques 35(1): 152~156頁等を参照されたい)。合成によるシーケンシングは、ジデオキシヌクレオチドによるチェーンターミネーションとは異なり、ヌクレオチド取り込み時のリン酸塩放出の検出を利用するという点でサンガーシーケンシングとは異なる。DNA配列は、典型的には、一度に付加されて利用できるのは、可能性があるA/T/C/Gヌクレオチドの4つのうち1つのみであり、したがって一本鎖鋳型(決定される配列)上に一文字のみを取り込むことができるという事実により、次の相補的なヌクレオチドの取り込みの際に放射される光によって決定できる。
【0407】
目的の領域のPCR増幅後、パイロシーケンシングを使用して、特異的領域(例えば、CpG部位)の亜硫酸水素塩変換配列を決定しうる。ある特定の実施形態において、個々の部位でのCのTに対する比率は、配列伸長の際のC及びT取り込みの量に基づいて定量的に決定しうる。
【0408】
この技術の改良型は、シーケンシングプライマーの配列に単一ヌクレオチド多型(SNP)を組み込む対立遺伝子特異的プライマーを利用でき、このため、母親及び父親の対立遺伝子の個別の分析が可能となる(例えば、Wongら、(2006) BioTechniques 41(6): 734~739頁を参照されたい)。この改良型は、ゲノムインプリンティング分析のために特に有用である。
【0409】
塩基特異的切断分析
ある特定の実施形態において、塩基特異的切断/MALDI-TOFは、ヌクレオチド変化から得られる情報を増強するために塩基特異的切断工程を追加することによって亜硫酸水素塩変換を利用する(Ehrichら、(2005) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 102 (44): 15785~15790頁)。目的の領域のRNAへのin vitro転写を最初に使用することによって(初回増幅時にPCRプライマーにRNAポリメラーゼプロモーター部位を付加することによって)、RNアーゼAを使用して、塩基特異的部位でRNA転写物を切断しうる。RNアーゼAは、シトシン及びウラシルリボヌクレオチドでRNAを特異的に切断し、塩基特異性は、シトシン特異的(C特異的)切断が望ましい場合には切断抵抗性dTTPの取り込みを追加することによって、及びウラシル特異的(U特異的)切断が望ましい場合にはdCTPの取り込みを追加することによって達成される。次に、切断された断片をMALDI-TOF又は他の方法によって分析できる。亜硫酸水素塩処置によって、増幅された逆鎖において、CからUへの変換による切断部位の導入/除去、又はGからAへの変換による断片質量のシフトのいずれかが起こる。C特異的切断では、メチル化されたCpG部位のすべてで特異的に切断が起きる。得られた断片のサイズを分析することによって(例えば、MALDI-TOF、キャピラリー電気泳動、マイクロチップ電気泳動等を使用して)、領域全体としてのメチル化の程度の決定よりむしろ、領域内のCpG部位のDNAメチル化の特異的パターンを決定することが可能である。
【0410】
メチル化感受性一本鎖コンフォメーション分析(MS-SSCA)
メチル化感受性一本鎖コンフォメーション分析(MS-SSCA)は、単一ヌクレオチド多型(SNP)分析のために開発された一本鎖コンフォメーション多形分析(SSCA)に基づく(Biancoら、(1999) Hum. Mutat. 14(4): 289~293頁)。SSCAは、非変性電気泳動における異なる移動度に基づいて、同一サイズであるが異なる配列の一本鎖DNA断片を識別する。MS-SSCAにおいて、これは目的のCpG部位を含む亜硫酸水素塩処置されたPCR増幅領域を識別するために使用される。SSCAは、単一ヌクレオチドの差のみが存在する場合感度を欠如するが、亜硫酸水素塩処置はしばしば、目的のほとんどの領域において多数のCからTへの変換を生じ、結果として感度は高くなりうる。ある特定の実施形態において、MS-SSCAはまた、バンド強度の比率に基づいてDNAメチル化の程度の半定量的分析を提供できる。しかし、典型的には、MS-SSCAは、個々のメチル化部位よりむしろ目的の領域における全てのCpG部位を全体として評価する。
【0411】
メチル化標的
上記のように、DNAメチル化は、多数の状況において重要である。ある特定の実施形態において、DNAメチル化の量は、特に腫瘍学において臨床的に重要である。異常なDNAメチル化パターン(正常組織と比較して高メチル化及び低メチル化)は、多数のヒト悪性疾患に関連している。高メチル化は典型的には、プロモーター領域におけるCpGアイランドで起こり、遺伝子の不活化に関連している。より低いレベルの白血球DNAメチル化は、多くのタイプの癌に関連している(Zhangら、(2011) Epigenetics, 6(3): 293~299頁)。全体的な高メチル化はまた、異なる機序を通して癌の発生及び進行にも関係している。典型的には、腫瘍抑制遺伝子の高メチル化及び腫瘍遺伝子の低メチル化が存在する(例えば、Lundら、(2004) J. Biol. Chem. 279(28): 29147~29154頁を参照されたい)。
【0412】
この点において、DNAメチル化は、ステージIの非小細胞肺癌(NSCLC)に関する予後の指標を提供することが知られている。特に、5つの遺伝子の高メチル化が、ステージI NSCLCにおいてより短い無再発生存(RFS)に有意に関連することが発見された:HIST1H4F、PCDHGB6、NPBWR1、ALX1、及びHOXA9。高メチル化事象の数に基づくシグネチャーは、高リスク及び低リスクのステージI NSCLCを有する患者を識別した(例えば、Sandovalら、(2013) J. Clin. Oncol., 4140~4147頁を参照されたい)。
【0413】
同様に、悪性の神経膠腫が、そのプロモーター領域のメチル化により不活化されたMGMT遺伝子を有しうることが観察されている。現在の研究から、MGMT遺伝子のメチル化によって、化学療法に対するより良好な反応が起こりうるという予測がもたらされている(腫瘍は、アルキル化剤によって誘導されたDNA損傷を決して修復しないことから)。神経膠腫において、MGMTプロモーターメチル化は、放射線療法又は化学療法のどちらかの状況における好ましい予後マーカーである(例えば、//neurosurgery.ucsd.edu/brain-tumor-research-mgmt/を参照されたい)。
【0414】
さらなる例示として、Table 3(表3)は、ある特定の癌において高メチル化された様々な遺伝子を例示する。
【0415】
【0416】
様々な例示的なしかし非制限的な実施形態において、以下の遺伝子のプロモーターの任意の1つ又は複数のメチル化の測定が企図される:APC、ARF、CDKN2B、CDKN2A、BRCA1、VLH、hMLH1、MGMT. RASSF1A、ADAMTS1、BNC1、HIST1H3C、HOXB4、RASGRF2、TM6SF1、AKR1B1、HIST1H4F、PCDHGB6、NPBWR1、ALX1、及びHOXA9。
【0417】
膵癌
ある特定の実施形態において、メチル化状態が膵癌の存在及び/又は予後のマーカーである1つ又は複数のプロモーターのメチル化状態を決定する。ADAMTS1又はBNC1の1つ又は複数のメチル化の頻度を使用して、膵癌を検出及び/又は段階決定することができることが決定された。このため、膵癌の例示的なしかし非制限的なメチル化マーカーには、ADAMTS1及び/又はBNC1が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。これらの遺伝子のプロモーターでメチル化を検出するための例示的なプライマー及びプローブを、以下のTable 4(表4)(特定の配列に関してTable 5(表5)を参照)、及び実施例4のTable 10(表10)に示す。ある特定の実施形態において、プライマー及びプローブは、変換されたDNAのフォワード鎖のメチル化の検出及び/又は変換されたDNAのリバース鎖のメチル化の検出のために提供される。
【0418】
乳癌
ある特定の実施形態において、メチル化状態が乳癌の存在及び/又は予後のマーカーである1つ又は複数のプロモーターのメチル化状態を決定する。乳癌の例としてのメチル化マーカーには、RASSF1A、及び/又はAKR1B1、及び/又はHOXB4、及び/又はHIST1H3C、及び/又はRASGRF2、及び/又はTM6SF1が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。これらの遺伝子のプロモーターでのメチル化を検出するための例示的なプライマー及びプローブを、以下のTable 4(表4)(特定の配列に関してはTable 5(表5)を参照)、及び実施例4のTable 9(表9)に示す。
【0419】
ある特定の実施形態において、メチル化状態が肺癌の存在又は可能性のマーカーである1つ又は複数のプロモーターのメチル化状態を決定する。肺癌の例示的なメチル化マーカーには、CDO1、SOX17、TAC1、及び/又はHOXA7が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
【0420】
本明細書において記述される方法は、これらの遺伝子のプロモーターのメチル化を決定することに限定されない。本明細書において記述される方法を使用して、目的の本質的に任意の標的のメチル化が可能である。
【0421】
しかし、DNAメチル化の測定は、プロモーターにおけるCpGアイランドのメチル化の測定に必ずしも限定されないことに注意すべきである。例えば、遺伝子本体のメチル化もまた、遺伝子発現を変化させ、癌における治療標的を提供しうることが証明されている(例えば、Yangら、(2014) Cancer Cell, 26(4): 577~590頁を参照されたい)。
【0422】
更に、DNAメチル化の測定は、癌以外の病原体に関して予後/治療上の応用を有する。例えば、第13、18、21、X、及びY染色体の領域における異常なメチル化を使用して、ダウン症候群を診断できる(例えば、Patsalisら、(2012) Exp. Opin. Biol. Ther. 12(Suppl. 1): S155~S161を参照されたい)。胎児DNA及び母親のDNAは異なるようにメチル化されることから、非侵襲的に得ることができ、なおかつ上記の染色体(又は他の染色体若しくは遺伝子)のメチル化状態を評価するために利用することができる母親の血漿中の無細胞DNAは、胎児DNAの供給源となりうる。
【0423】
上記のように、ある特定の実施形態において、本明細書において記述されるカートリッジ及び方法はまた、mRNAレベルを決定するために、例えば様々なメチルトランスフェラーゼの発現を決定するために使用される。ある特定の実施形態において、RNAの発現レベルは、DNMT1、DNMT2、DNMT3A、DNMT3B、及びTNMT3Lからなる群から選択されるメチルトランスフェラーゼについて決定される。
【0424】
プライマー/プローブ及びマルチプレックス分析
様々な実施形態において、本明細書に記載される方法はネステッドPCR反応を包含することができ、本明細書に記載されるカートリッジは、そのようなネステッドPCR反応のための試薬(例えば、プライマー及びプローブ)を含むことができる。例えば、ある特定の実施形態では、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つの遺伝子(遺伝子プロモーター)についてメチル化が検出される。DNAの亜硫酸水素塩変換はシトシン残基をウラシルに変化させるが、5-メチルシトシン残基は影響を受けないため、変換された(亜硫酸水素塩で変換された)DNAのフォワード鎖及びリバース鎖はもはや相補的ではない。したがって、メチル化検出にさらなる特異性及び感度を提供するために、フォワード鎖及びリバース鎖を独立して調べることが可能である(例えば、マルチプレックスPCR反応において)。そのような場合、単一の標的をアッセイすることには、2重のマルチプレックスアッセイが包含される一方で、2、3、4、5、又は6個の標的遺伝子をアッセイすることには、4重、6重、8重、10重、又は12重のマルチプレックスアッセイが含まれる。ある特定の実施形態では、アッセイは、例えば、フォワード及びリバース鎖を独立してアッセイするために、2つのマルチプレックス反応に分割することができる。しかしながら、複数のマルチプレックスアッセイに分離する場合、アッセイのグループ分けはフォワードか又はリバースかによるものである必要はなく、特定のPCR反応条件に最も適合するプライマー/プローブセットを単に含めることができることが認識されるであろう。
【0425】
上に示したように、メチル化(又はその欠如)が癌と関連する遺伝子プロモーターのフォワード鎖及び/又はリバース鎖上のメチル化状態の検出/特徴付けによって、多数の癌を同定及び/又はステージ分類及び/又はその予後決定を行うことができる。様々な癌に関連する例示的な遺伝子(プロモーター)標的は、上に記載され、下のTable 4(表4)に示される。各々の癌についてTable 4(表4)に示される1つ又は複数の遺伝子のメチル化(フォワード鎖及び/又はリバース鎖)は、示された癌についての同定及び/又はステージ分類、及び/又は予後を提供することができる。ある特定の実施形態では、特定の癌(フォワード及び/又はリバース鎖)について示されたすべての遺伝子のメチル化状態は、単一のマルチプレックスPCR反応において決定することができる。
【0426】
【0427】
様々な遺伝子のプロモーターでのメチル化の検出のための例示的なプライマー及びプローブを、下のTable 5(表5)並びに実施例4におけるTable 9(表9)及びTable 10(表10)に示す。ある特定の実施形態では、これらのプライマー及び/又はプローブは、マルチプレックス増幅における使用について特に好適である。
【0428】
【0429】
【0430】
【0431】
【0432】
【0433】
【0434】
【0435】
【0436】
【0437】
【0438】
【0439】
【0440】
【0441】
【0442】
【0443】
【0444】
【0445】
これらのプライマー及びプローブは、様々なフルオロフォア及び消光剤の位置を同定することに留意されたい。しかしながら、特定のフルオロフォア及び消光剤は例示的であり、限定的ではなく、多くの増幅及び/又は検出戦略を本明細書に記載されるカートリッジに利用することができることが認識されるであろう。したがって、様々な実施形態において、本明細書に記載される方法及びデバイスは、多くの異なる核酸ハイブリダイゼーションプローブを利用することができる。典型的には、プローブは、フルオロフォアと相互作用する分子又は部分との間の距離を変化させることによってもたらされる別の分子又は部分とのその相互作用の変化に起因する、フルオロフォアの蛍光の変化を、シグナル生成のために利用する。或いは、放射性標識プローブの使用を含むが、限定されない、試料中のポリヌクレオチドを検出する他の方法も考えられる。
【0446】
蛍光ベースのアッセイは、典型的には、蛍光の変化が、第1のフルオロフォアを相互作用する共鳴エネルギーアクセプター、別のフルオロフォア又は消光剤のいずれか、から分離している距離の変化によって引き起こされる、蛍光共鳴エネルギー移動(fluorescence resonance energy transfer)又は「FRET」に依存している。フルオロフォアと、消光分子又は部分を含む、相互作用する分子又は部分との組み合わせは、「FRET対」として知られている。FRET対の相互作用のメカニズムは、典型的には、対の1つのメンバーの吸収スペクトルが他方のメンバーである第1フルオロフォアの発光スペクトルと重複することが必要である。相互作用する分子又は部分が消光剤である場合、その吸収スペクトルは、典型的には、フルオロフォアの発光スペクトルと重複する(例えば、Stryer (1978) Ann. Rev. Biochem. 47: 819~846頁; Selvin (1995) Meth. Enzymol. 246: 300~335頁;等)。効果的なFRET相互作用は、典型的には、対の吸収スペクトル及び発光スペクトルの重複度合いが大きい場合に達成される。FRET相互作用の効率は、その重複に線形に比例する。典型的には、大きな振幅のシグナル(すなわち、高い重複度合い)が望ましい。したがって、フルオロフォア-消光剤対を含むFRET対は、典型的には、それを根拠に選択される。
【0447】
様々な標識核酸ハイブリダイゼーションプローブ及びFRET及びFRET対を利用する検出アッセイが知られている。そのようなスキームの1つは、Cardulloら(1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85: 8790~8794頁、及びHellerらEP 0070685に記載されている。これは、標的DNA鎖の連続領域に相補的な1対のオリゴデオキシヌクレオチドを含むプローブを使用する。1つのプローブ分子には、その5 '末端に、蛍光標識、フルオロフォアが含まれ、他のプローブ分子には、その3'末端に、異なる蛍光標識、それもまたフルオロフォアが含まれる。プローブが標的配列にハイブリダイズすると、2つの標識が互いに非常に接近するようになる。試料が適切な周波数の光によって刺激されると、1つの標識から他の標識への蛍光共鳴エネルギー転移が起こる。FRETは、標識からのスペクトル応答における測定可能な変化を生じ、標的の存在を伝達する。1つのラベルは、とりわけ、許容されるエネルギーを熱として放出する相互作用部分(又は分子)であることができる、「消光剤(quencher)」であり得る。
【0448】
FRET対を利用する別のタイプの核酸ハイブリダイゼーションプローブアッセイは、Gelfandらの米国特許第5210015号及びLivakらの米国特許第5538848号に記載された「TaqMan(登録商標)」アッセイである。プローブは、典型的には、FRET対で標識された一本鎖オリゴヌクレオチドである。TaqMan(登録商標)アッセイにおいて、DNAポリメラーゼは、それが標的鎖にハイブリダイズしたときに、オリゴヌクレオチドプローブの切断によって単一又は複数のヌクレオチドを放出する。その放出は、FRET対の消光剤標識とフルオロフォア標識を分離する方法を提供する。
【0449】
ある特定の実施形態では、例えば、Tyagiらの米国特許第6150097号のような、非FRET蛍光プローブもまた使用することができる。例えば、Tiyagiらの特許には、ラベル対の吸収スペクトルの変化を、蛍光の変化の代替として検出可能なシグナルとしてどのように使用することができるかが記載されている。吸収の変化が利用される場合、標識対は、任意の2つの発色団、すなわちフルオロフォア、消光剤及び他の発色団を含み得る。標識対は、同一の発色団であってもよい。
【0450】
いくつかの実施形態では、消光剤のような、色素及び他の部分が、本明細書に記載される方法及びカートリッジで使用されるプライマー及び/又はプローブに導入される。ある特定の実施形態では、そのような色素及び消光剤には、FRETプローブとしての使用に適した色素(蛍光色素)が含まれるが、それらに限定されない。ある特定の実施形態では、色素及び/又は消光剤は修飾ヌクレオチドを含む。「修飾ヌクレオチド」とは、化学的に修飾されているが、ヌクレオチドとしてもなお機能するヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態では、修飾されたヌクレオチドは、共有結合した、色素又は消光剤のような、化学的部分を有し、例えば、ポリヌクレオチドの固相合成によって、ポリヌクレオチド中に導入することができる。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドには、修飾ヌクレオチドの核酸への組み込みの前、間又は後に、色素又は消光剤と反応し得る1つ又は複数の反応基が含まれる。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドはアミン修飾ヌクレオチド、すなわち、反応性アミン基を有するように修飾されたヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドは、ウリジン、アデノシン、グアノシン及び/又はシトシンのような修飾塩基部分を含む。いくつかの実施形態では、アミン修飾ヌクレオチドは、5-(3-アミノアリル)-UTP; 8-[(4-アミノ)ブチル]-アミノ-ATP及び8-[(6-アミノ)ブチル]-アミノ-ATP; N6-(4-アミノ)ブチル-ATP、N6-(6-アミノ)ブチル-ATP、N4-[2,2-オキシ-ビス-(エチルアミン)]-CTP; N6-(6-アミノ)ヘキシル-ATP; 8-[(6-アミノ)ヘキシル]-アミノ-ATP; 5-プロパルギルアミノ-CTP、5-プロパルギルアミノ-UTPから選択される。いくつかの実施形態では、異なる核酸塩基部分を有するヌクレオチド、例えば、5-(3-アミノアリル)-UTPの代わりに5-(3-アミノアリル)-GTPも同様に修飾される。多くのアミン修飾ヌクレオチドは、例えばApplied Biosystems、Sigma、Jena Bioscience及びTriLinkから市販されている。例示的であるが、非限定的な適切な蛍光色素のリストをTable 6(表6)に示す。
【0451】
【0452】
【0453】
アッセイが1つの標的DNA配列を検出するように設計されている場合、1つの蛍光ハイブリダイゼーションプローブのみを使用する必要があり、ある特定の実施形態では、FAM、TET又はHEX(又はTable 7(表7)に列挙されるそれらの代替物の1つ)がプローブにラベルを付ける良いフルオロフォアとなるであろう。これらのフルオロフォアは、様々な分光蛍光熱サイクラーにおいて容易に励起され、検出することができる。更に、これらのフルオロフォアのホスフォアミダイト誘導体の利用可能性及び消光剤に連結された対照細孔ガラスカラムの利用可能性のために、これらの標識を有する蛍光ハイブリダイゼーションプローブは、比較的安価で労働集約的なプローブ製造の利点を有する、自動化されたDNA合成プロセスにおいて完全に合成することができる。
【0454】
【0455】
ある特定の実施形態では、単一のマルチプレックス反応で複数の標的遺伝子が検出される。いくつかの実施形態では、異なる遺伝子を標的とする各々のプローブは、マルチプレックス反応において利用される他のプローブとスペクトル的に区別できる(検出可能に異なる)。マルチプレックス検出に適したプローブの組み合わせは、当業者に公知である。例えば、4つの標的マルチプレックスシステムにおける検出可能に異なるフルオロフォアの例示的な組み合わせには:
1)FAM、TMR、テキサス・レッド、及びCy5;
2)FAM、TET、TMR、及びテキサス・レッド;
3)FAM、HEX、テキサス・レッド、及びCy5;並びに
4)FAM、Cy3、テキサス・レッド、及びCy5が含まれるが、それらに限定されない。
【0456】
5つの標的マルチプレックスシステムにおける検出可能に異なるフルオロフォアの例示的な組み合わせは、FAM、TET、TMR、テキサス・レッド、及びCy5である。6標的マルチプレックスシステムにおける検出可能な異なるフルオロフォアの例示的な組み合わせには:
1)FAM、TET、HEX、TMR、ROX、及びテキサス・レッド;並びに
2)FAM、HEX、LCレッド610、LCレッド640、LCレッド670、及びLCレッド705が含まれるが、それらに限定されない。
【0457】
フルオロフォアのこれらの組み合わせは例示的で、非限定的であり、多数の他のフルオロフォアが当業者に利用可能であることが認識されるであろう。
【0458】
上記のように、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を利用する蛍光ハイブリダイゼーションプローブの設計においては、十分なスペクトル重複を有するフルオロフォア-消光剤対を選択すべきである。FAM、TET及びHEXのような、500と550nmの間の発光極大を有するフルオロフォアは、ダブチル、BHQ-1のような、450と550nmの間の吸収極大を有する消光剤によって最も良く消光される(例えば、例示的な消光剤ラベルについてTable (表8)を参照)。ローダミン(TMR、ROX及びテキサス・レッドを含む)及びCy色素(Cy3及びCy5を含む)のような、550nm以上の発光極大を有するフルオロフォアは、550nmを超える吸収極大(BHQ-2を含む)を有する消光剤によって効果的に消光される。
【0459】
接触消光を利用する蛍光ハイブリダイゼーションプローブの設計において、任意の非蛍光消光剤は、フルオロフォアからのエネルギーの良いアクセプターとして働くことができる。例えば、Cy3及びCy5は、BHQ-1及びBHQ-2消光剤によって効果的に消光される。
【0460】
【0461】
ある特定の実施形態では、ヌクレオチドは、フルオロフォアの蛍光を消光させることができ、グアノシンが最も効率的な消光剤であり、アデノシン、シチジン及びチミジンがそれに続く。一般には、500と550nmの間の励起波長を有するフルオロフォアは、より長い励起波長を有するフルオロフォアよりも、ヌクレオチドによってより効率的に消光される。蛍光ハイブリダイゼーションプローブの設計において、フルオロフォアからのより高い蛍光シグナルを保証するために、フルオロフォア標識をグアノシンのすぐ隣に設置することを避けることが望ましい場合がある。
【0462】
接触消光により相互作用するいくつかのフルオロフォア-消光剤対の安定化効果は、ハイブリダイゼーションプローブの設計に重要な影響を及ぼす可能性がある(例えば、Marrasら(2002) Nucleic Acids Res. 30: e122; Johanssonら(2002) J. Am. Chem. Soc. 124: 6950~6956頁)。例えば、BHQ-1又はBHQ-2のいずれかにより消光されたフルオロフォアを用いて標識されたハイブリダイゼーションプローブは、同じプローブ配列を有するが、ダブシル(dabcyl)によって消光されるフルオロフォアで標識されるハイブリダイゼーションプローブと比較して、約4℃のハイブリッド融解温度の上昇を示すことが観察された。Cy色素、Cy3及びCy5、並びにブラックホール消光剤、BHQ-1及びBHQ-2の間に強い親和性が観察されたこともまた注目される。
【0463】
前述及び本明細書に提供される実施例及び教示に照らせば、多数のプライマー/プローブの組み合わせが、本明細書に記載される方法及びカートリッジにおける使用に利用可能となるだろう。
【0464】
DNAメチル化分析のためのカートリッジ、モジュール、及びシステム。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法(例えば、DNAメチル化及び任意選択でRNA発現の決定)を行うためのカートリッジが提供される。ある特定の実施形態では、カートリッジは、第1のマトリックス材料を含むカラム、試料受けチャンバー、温度制御チャネル又はチャンバー、試薬及び/又は緩衝液を含有する複数のチャンバーを含み、使用時に前記チャンバーの少なくとも1つがDNA変換試薬(例えばDABSO及び/又は亜硫酸水素塩試薬)を含有しており、使用時に前記チャンバーの少なくとも1つが脱スルホン化/溶出緩衝液を含有しており、前記カートリッジは任意選択で前記第2のマトリックス材料を含む第2のカラムを含む。ある特定の実施形態では、カートリッジは、使用時に、グアニジニウムチオシアネートエタノール(GTC-EtOH)を含む試薬を含有するチャンバーを含むように構成される。ある特定の実施形態では、第2のカラムは存在せず、他の実施形態では、第2のカラムが存在する。ある特定の実施形態では、温度制御チャネル又はチャンバーは、単に加熱チャネル又はチャンバーであってもよく、又は熱サイクリングチャネル又はチャンバーであってもよい。ある特定の実施形態では、カートリッジは、第2の加熱チャネル又はチャンバー(例えば、第2の熱サイクリングチャネル又はチャンバー)を更に含む。ある特定の実施形態では、カートリッジは、DNA変換ステップ(例えば、亜硫酸水素塩インキュベーション)及び/又は脱スルホン化ステップが、1つ又は複数のPCR反応が後で行われる同じ反応チューブ又はチャンバー内で行われるように構成される。
【0465】
ある特定の実施形態では、亜硫酸水素塩試薬は、カートリッジの構成要素として提供される。ある特定の他の実施形態では、カートリッジは、試料がカートリッジ内に置かれた時又はその近くの時点に、亜硫酸水素試薬がカートリッジに追加されるように構成される。ある特定の例では、亜硫酸水素塩試薬をカートリッジ内のチャンバーに直接添加するが、他の実施形態では、亜硫酸水素塩試薬をカートリッジのローディングポート(例えば、注入ポート)に導入して亜硫酸水素塩試薬をカートリッジ内に導入する。ある特定の実施形態では、亜硫酸水素塩試薬は、DNAメチル化を決定するためにカートリッジが作動している間、カートリッジを操作するシステム(例えば、処理モジュール)によりカートリッジ内に導入される。
【0466】
ある特定の実施形態では、カートリッジの構成要素として、グアニジニウムチオシアネート(例えば、GTC-EtOH)を含む試薬が提供される。ある特定の他の実施形態では、カートリッジは、試料がカートリッジ内に置かれた時又はその近くの時点に、グアニジニウムチオシアネートを含む試薬がカートリッジに添加されるように構成される。ある特定の例では、グアニジニウムチオシアネートを含む試薬をカートリッジ内のチャンバーに直接添加するが、他の実施形態では、グアニジニウムチオシアネートを含む試薬をカートリッジのローディングポート(例えば、注入ポート)に導入して、亜硫酸水素塩試薬をカートリッジ内に導入する。ある特定の実施形態では、グアニジニウムチオシアネートを含む試薬は、DNAメチル化を決定するためにカートリッジが作動している間、カートリッジを操作するシステム(例えば、処理モジュール)によりカートリッジ内に導入される。
【0467】
様々な例示的であるが、非限定的な実施形態では、変換試薬(例えば、亜硫酸水素塩試薬)は、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素セシウム、DABSO、及び亜硫酸水素アンモニウムからなる群から選択される化合物を含む。ある特定の実施形態では、亜硫酸水素塩は、亜硫酸塩の酸化及び/又は触媒を防止するためにスカベンジャー(例えば、トロロックス(Trolox)、ヒドロキノン等)を含む試薬混合物中に提供される。ある特定の実施形態では、亜硫酸水素塩は、触媒として、ポリアミンを含む試薬混合物中に提供される。
【0468】
様々な実施形態では、第1のマトリックス材料及び/又は第2のマトリックス材料は、存在する場合、ガラス又はシリカ、イオン交換樹脂、及びヒドロキシアパタイトからなる群から選択される材料を含む。
【0469】
様々な実施形態では、カートリッジは、メチル化特異的PCRプライマー、メチル化特異的PCRプローブ、PCR酵素(例えば、ポリメラーゼ)、逆転写酵素、及びPCR反応緩衝液からなる群から選択される1つ又は複数の試薬をそれぞれ含む1つ又は複数のチャンバー(例えば、1つのチャンバー、2つのチャンバー、3つのチャンバー、4つのチャンバー等)を含む。
【0470】
ある特定の実施形態では、カートリッジは、亜硫酸水素塩で変換されたメチル化及び/又は非メチル化配列に特異的なプライマーを含有する1つ又は複数のチャンバーを含む。ある特定の実施形態では、カートリッジは、MethyLight PCRプロトコールのためのプライマー及びプローブを含有する1つ又は複数のチャンバーを含む。ある特定の実施形態では、カートリッジは、TaqMan PCR反応のための試薬を含有する1つ又は複数のチャンバーを含む。ある特定の実施形態では、カートリッジは、増幅されたメチル化配列のマーカーである1つ若しくは複数の蛍光プローブ及び/又は増幅された非メチル化配列のマーカーである1つ若しくは複数の蛍光プローブを含有する1つ又は複数のチャンバーを含む。ある特定の実施形態では、プローブは、蛍光レポーター色素及び消光色素を含み、ここで、プローブは、Taq DNAポリメラーゼの5 'から3'へのヌクレアーゼ活性による切断の際にシグナルをもたらす。ある特定の実施形態では、カートリッジは、増幅された目的領域中の異なるメチル化領域にそれぞれ特異的な複数のプローブを含む。ある特定の実施形態では、カートリッジは、増幅された目的領域中のメチル化領域に特異的な単一のプローブを含む。ある特定の実施形態では、カートリッジは、増幅された目的領域中の同じメチル化領域にそれぞれ特異的な複数のプローブを含む。
【0471】
例示的なプライマー及びプローブには、APC、ARF、CDKN2B、CDKN2A、BRCA1、VLH、hMLH1、MGMT. RASSF1A、ADAMTS1、BNC1、HIST1H3C、HOXB4、RASGRF2、TM6SF1、AKR1B1、HIST1H4F、PCDHGB6、NPBWR1、ALX1、及びHOXA9からなる群から選択される遺伝子のプロモーター領域のメチル化を決定するためのプライマー及び/又はプローブが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、プライマー及び/又はプローブは、MGMT、RASSF1A、ADAMTS1、BNC1、HIST1H3C、HOXB4、RASGRF2、TM6SF1及びAKR1B1からなる群より選択される遺伝子のプロモーター領域のメチル化を決定するように選択される。様々な実施形態では、PCRプライマー、及び/又はプローブ、及び/又は酵素は、例えば、米国特許出願公開第2006/0068399号に記載されるようなビーズとして提供され、その中に記載されているビーズ及びビーズ製剤については、参照により本明細書に組み込まれる。
【0472】
様々な実施形態では、カートリッジは、試料受けチャンバー、前記カラム、前記複数のチャンバー、及び前記温度制御チャネル又はチャンバーが選択的に流体連結するように構成されている。ある特定の実施形態では、選択的な流体連結は、マイクロ流体チャネル及び弁によって提供される。ある特定の実施形態では、選択的な流体連結は、中央弁の周り、及び選択的に前記中央弁内のチャネルとの流体連結内に配置された、試料受けチャンバー、前記カラム、前記複数のチャンバー、前記加熱チャネル若しくはチャンバー、又は前記加熱チャネル若しくはチャンバーへのポートを提供することにより提供される。
【0473】
ある特定の実施形態では、カートリッジは、使用時に、試料を含有する第1のチャンバー;チオ硫酸グアニジニウム-エタノール(GTC-EtOH)溶液を含有する第2のチャンバー;亜硫酸水素試薬を含有する第3のチャンバー:緩衝液を含有する第4のチャンバー;リンス溶液を含有する第5のチャンバー:及び、溶出/脱スルホン化試薬を含有する第6のチャンバーをカートリッジに含むように構成される。ある特定の実施形態では、カートリッジは、PCRプライマー及び/又はプローブ及び/又はPCR酵素を含有する第7のチャンバーを含む。ある特定の実施形態では、カートリッジは、PCRプライマー及び/又はプローブ及び/又はPCR酵素もまた含有する第8のチャンバーを含む。
【0474】
図1A、1B及び
図2は、本明細書に記載される方法の実践に適した1つのカートリッジを示す。図示のカートリッジは、GENEXPERT(登録商標)カートリッジ(cartridige; Cepheid社、Sunnyvale、CA)に基づいている。
図2、パネルAに示すように、カートリッジ200は、複数の試薬及び/又は緩衝液チャンバー208を含むカートリッジ本体202を含む。チャンバーは、弁本体210(パネルB及び
図1B)と流体連結し、ガスケット204でシールされた中央シリンジバレル206の周りに配置される。弁本体210は、キャップ212を含むことができ、カートリッジ本体全体をカートリッジベース226上に支持することができる。図示されていない「プランジャー」は、流体をシリンジバレル206内に引き込むように操作することができ、シリンジバレル206及び付随する弁本体212の回転は、本明細書に記載されるようなマトリックス材料を含み、チャンバー208と、カラムとして機能することができるキャビティ214との間の選択的な流体連結を提供する。様々な実施形態では、カートリッジは、ある特定の実施形態では、熱サイクリングチャンバーとして機能することができる1つ又は複数の温度制御チャネル又はチャンバー216を更に含む。温度制御チャネル又はチャンバーはまた、キャビティ214及び/又はチャンバー208と選択的に流体連結している。
図1Aに示すように、ある特定の実施形態では、カートリッジは、光学ウィンドウを提供して、例えば、増幅産物、シーケンシング操作における塩基同一性等のリアルタイム検出を提供する。
【0475】
ある特定の実施形態では、カートリッジ200は、例えば
図3Aに示すように、反応モジュール300に挿入するように構成される。
図3Bに示すように、モジュールはカートリッジ200を受け入れるように構成される。ある特定の実施形態では、反応モジュールは、温度制御チャンバー又はチャネルを加熱するための加熱プレート308を提供する。モジュールは、温度制御チャネル又はチャンバーが熱サイクリングチャネル又はチャンバーである場合に、冷却を提供するためのファン304を場合によって更に含むことができる。電子回路302は、情報(例えば、光学情報)を分析のためにコンピュータに送るために提供され得る。ある特定の実施形態では、モジュールは、例えば、様々な核酸標的を表す1つ又は複数の(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の)光学シグナルの励起及び/又は検出を提供する光学ブロック306を含むことができる。様々な実施形態では、モジュールをシステム(例えば、システムコントローラ又は個別の分析/コントローラユニット)と相互作用させるために、電気コネクタ312を提供することができる。図示されているように、
図3Bにおいて、ピペット310を用いて、試料をカートリッジに導入することができる。
【0476】
ある特定の実施形態では、モジュールは、シリンジバレル内のプランジャーと弁本体の回転とを操作するコントローラもまた含む。
【0477】
ある特定の実施形態では、システム(例えば、処理ユニット)が提供される。1つの例示的であるが、非限定的な実施形態を
図3Cに示す。ある特定の実施形態では、処理ユニットは、1つ又は複数の試料処理モジュールを含むように構成された筐体を含み、各々の処理モジュールは、本明細書に記載される取り外し可能なカートリッジを保持及び操作するように構成される。ある特定の実施形態では、システムは、試料処理モジュールを操作して、1つ又は複数の標的核酸のメチル化を決定するため、及び任意選択で、1つ又は複数の標的RNA/DNA配列のレベルを決定するための試料処理を、対応する取り外し可能な試料カートリッジ内で行うように構成されており、ここで、対応する取り外し可能な試料カートリッジ内の試料に対する処理は、本明細書に記載される方法を行う。ある特定の実施形態では、システムは、1つの試料処理モジュールを含むように構成される。ある特定の実施形態では、システムは、少なくとも2個の試料処理モジュール、又は少なくとも4個の試料処理モジュール、又は少なくとも8個の試料処理モジュール、又は少なくとも12個の試料処理モジュール、又は少なくとも16個の試料処理モジュール、又は少なくとも20個の試料処理モジュール、又は少なくとも24個の試料処理モジュール、又は少なくとも28個の試料処理モジュール、又は少なくとも32個の試料処理モジュール、又は少なくとも64個の試料処理モジュール、又は少なくとも128個の試料処理モジュールを含むように構成される。ある特定の実施形態では、システムは、ユーザーが操作指示を入力して、及び/又はカートリッジの操作をモニタリングしてDNAメチル化を決定することを可能にするユーザーインターフェースを提供する。
【0478】
本明細書に記載される方法は、主にCepheid Inc.(Sunnyvale、CA)によるGENEXPERT(登録商標)カートリッジを参照して記載されているが(例えば、
図1A参照)、本明細書に提供される教示を考慮すると、方法は、他のカートリッジ/マイクロ流体システムで実践することができる。そのようなカートリッジ/マイクロ流体システムは、例えば、ソフトリソグラフィを使用して実践されたマイクロ流体システム、ハードリソグラフィを使用して実践されたマイクロ/ナノ加工マイクロ流体システム等を含むことができる。
【0479】
大量試料調製(High volume sample preparation; HVSP)カートリッジ。
様々な実施形態では、大きな試料量の調製のためのカートリッジが提供される。ある特定の実施形態では、試料調製カートリッジは、大量の試料調製のために改変された(例えば、
図20に示されるような)GENEXPERT(登録商標)カートリッジを含む。ある特定の実施形態では、例えば、カートリッジがGENEXPERT(登録商標)に基づく場合、カートリッジは、DNAに結合する親和性マトリックスを含む1つ又は複数のチャネル又はチャンバー、中央弁アセンブリの周囲に配置され、前記中央弁アセンブリと選択的に流体連結する複数のチャンバーを含み、中央弁アセンブリは、中央弁と流体連結しているチャンバーの内外に流体を引き込むことができるプランジャーを収容するように構成され、前記複数のチャンバーは、それぞれ約4mlまで(又は約5mlまで)の試料溶液を受け入れるように構成された少なくとも2つの異なるチャンバー(ある特定の実施形態では、チャンバー2は約4mlの最大体積を有する一方で、チャンバー3は約4.5mlの最大体積を有する)、PEG(例えば、PEG200)を含有するチャンバー、アルカリ溶液(例えば、KOH溶液)を含有するチャンバー、及び緩衝液(例えば、Tris)を含有するチャンバーを含む。ある特定の実施形態では、複数のチャンバーは、それぞれが約4mlまで(又は約5mlまで)の試料溶液を受け入れるように構成された少なくとも3つの異なるチャンバーを含む。ある特定の実施形態では、複数のチャンバーは、洗浄溶液(例えば、典型的には1.25Mグアニジニウムチオシアネート、25mM Tris pH7.0、50%エタノールであるGTC-エタノール洗浄溶液)を含有するチャンバーを含む。ある特定の実施形態では、カートリッジは、処理された試料を取り除くように構成されたチャンバーを含む。ある特定の実施形態では、試料チャンバーは、使用時に、試料溶液、GTC及びアルコール(例えば、イソプロパノール)を含む。ある特定の実施形態では、試料チャンバーは、使用時に、実質的に等しい体積の試料溶液、GTC及びアルコールを含む。ある特定の実施形態では、カートリッジは、使用時に、試料を受け入れるように構成された前記チャンバーの各々に配置された4mlの試料溶液GTC及びイソプロパノールを含む。ある特定の実施形態では、カートリッジは、0.5mlと約4mlの間の試料の試料体積に対して実質的に直線的なDNA又はRNA回収をもたらす。
【0480】
ある特定の実施形態では、HVSPカートリッジは、メチル化分析を提供するためにDNA変換(例えば、亜硫酸水素塩変換)を行うように構成される。したがって、ある特定の実施形態では、HVSPカートリッジは、使用直前又は間もない前に変換試薬(例えば、亜硫酸水素塩試薬、DABSO等)を受け入れるように構成されている。ある特定の実施形態では、HVSPカートリッジは、変換されたDNAの脱スルホン化を提供するための試薬を含有するように構成することもできる。代替的に、ある特定の実施形態では、脱スルホン化及びメチル化分析(例えば、PCR)が(例えば、
図20Bに示されるワークフローに図示されるように)第2のカートリッジにおいて行われる間、HSVPカートリッジにおいて変換が行われる。
【0481】
cfDNA試料調製カートリッジ。
ある特定の実施形態では、血漿又は血清からの核酸の調製(及び任意選択の分析)に特に適した試料調製カートリッジが提供される。1つの例示的であるが、非限定的な実施形態を
図17に示す。そこに図示されるように、ある特定の実施形態では、カートリッジは、DNAに結合する親和性マトリックスを含むチャネル又はチャンバー、中央弁アセンブリの周りに配置され、中央弁アセンブリと選択的に流体連結する複数のチャンバーを含み、中央弁アセンブリは、中央弁と流体連結しているチャンバーの内外に流体を引き込むことができるプランジャーを収容するように構成され、前記複数のチャンバーは、約5mlまで又は約4mlまでの試料溶液を受け入れるように構成されたチャンバー、PEG(例えば、PEG200)を含有するチャンバー;GTC-EtOHを含有するチャンバー;アルカリ性溶液(例えば、KOH)を含有するチャンバー;緩衝液(例えば、Tris)を含有するチャンバーを含む。ある特定の実施形態では、複数のチャンバーは、変換試薬(例えば、亜硫酸水素試薬)を含有するチャンバーを更に含む。ある特定の実施形態では、複数のチャンバーは、洗浄溶液(例えば、GTC-エタノール洗浄液(典型的には1.25Mグアニジニウムチオシアネート、25mM Tris pH7.0、50%エタノール)を含有するチャンバーを含む。ある特定の実施形態では、複数のチャンバーは、1つ又は複数のPCRプライマー及び/又はプローブを含むビーズを含有するチャンバーを含む。ある特定の実施形態では、PEGを含有するチャンバーは、約1mlのPEGを含有する。ある特定の実施形態では、アルカリ性溶液を含有するチャンバーは、約500μLの溶液を含有する。ある特定の実施形態では、GTC-EtOHを含有するチャンバーは、約2mlのGTC-EtOHを含有する。ある特定の実施形態では、緩衝液を含有するチャンバーは、約2mLの緩衝液を含有する。
【0482】
この構成は例示的なものであり、本明細書で提供される教示を使用して、多くの他の調製カートリッジ構成が当業者に利用可能であることが認識されるであろう。
【0483】
亜硫酸水素塩の代替としてのDABSOの使用
DNAの変換及びメチル化の検出のための亜硫酸水素塩の使用と同様の方法でDNAの変換を行う目的で、DABSOを使用することができるということは、驚くべき発見であった。したがって、ある特定の実施形態では、5-メチルシトシン残基が実質的に影響を受けないように保ちつつ、DNA中のシトシン残基をウラシルに変換するDABSOを利用する方法が提供される。ある特定の実施形態では、この方法は、シトシン残基がウラシルに変換されるが5-メチルシトシン残基は実質的に影響を受けていないDNAを生成するために、DNAを含む試料をDABSOと接触させてDNAを変換し、変換したDNAを脱スルホン化することを含む。ある特定の実施形態では、DABSOは、約2Mから約5Mまでの範囲の濃度で提供される。ある特定の実施形態では、DABSOは、約2.5Mの濃度で提供される。ある特定の実施形態では、DABSOは、アルカリ性水溶液(例えば、KOH溶液)中に溶解される。ある特定の実施形態では、DABSOを含む試薬は、KOHを含む溶液に溶解されたDABSOを含む。
【0484】
ある特定の実施形態では、この方法は、DABSO/DNA溶液を約55℃から約90℃の範囲の温度に加熱する工程を含む。ある特定の実施形態では、DABSOは、約15分から約90分までの範囲の時間、DNAと反応させる。DNAが変換された後、それは脱スルホン化される(例えば、変換されたDNAをアルカリ試薬(例えば、KOH溶液)と接触させることによって)。ある特定の実施形態では、カラムに結合したDNAに対して、変換及び/又は脱スルホン化が行われる一方で、他の実施形態では、溶液中のDNAに対して、変換及び/又は脱スルホン化が行われる。
【0485】
また、DNAメチル化を分析する方法であって、DNA試料を提供する工程と、DABSO試薬を用いて試料をDNAに変換する工程と、例えば、上に記載のように、メチル化特異的PCR及び/又は核酸シーケンシング、及び/又は変換された核酸の高分解能融解分析(high resolution melting analysis;HRM)を行って、前記核酸のメチル化を決定する工程とを含む方法が提供される。ある特定の実施形態では、DNA試料の提供には、本明細書に記載されるような(例えば、本明細書に記載される溶解溶液及び/又は調製カートリッジを使用して)試料を調製する工程が含まれる。
【0486】
キット。
メチル化検出のためのキット。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法を実践するためのキットが提供される。1つの例示的な実施形態では、キットは、本明細書に記載される反応カートリッジを含有する容器、本明細書に記載される試料処理試薬を含有する容器、及び本明細書に記載される変換試薬(例えば亜硫酸水素試薬)を含有する容器を含む。ある特定の実施形態では、亜硫酸水素塩試薬は、カートリッジのチャンバー内に提供される。ある特定の実施形態では、亜硫酸水素塩試薬は、カートリッジとは別の容器内に提供される。ある特定の実施形態では、試料処理試薬は、カートリッジのチャンバー内に提供される。ある特定の実施形態では、特に、試料処理試薬がグアニジニウムチオシアネートを含む場合、試料処理試薬は、カートリッジとは別の容器内に提供される。
【0487】
更に、キットは、DNAメチル化及び、任意選択で、RNA発現を決定するための、本明細書に記載されるカートリッジの使用のための指示書(すなわち、プロトコール)を提供する標識及び/又は指示材料を任意選択で、含む。
【0488】
ある特定の実施形態では、キットが、本明細書に記載される核酸のメチル化状態を決定するためのカートリッジを含む容器を含む、DNAメチル化の決定のためのキットが提供される。ある特定の実施形態では、キットは、本明細書に記載される溶解溶液(例えば、Table 11(表11)に記載されるような、例えば、血清又は血漿についての溶解溶液、及び/又は、例えばTable 12(表12)に記載されるような、FFPE試料についての溶解溶液)を更に含む。ある特定の実施形態では、キットは、プロテイナーゼKを含む容器を含む。ある特定の実施形態では、キットは、カートリッジ又はカートリッジとは別の容器に、変換試薬(例えば、亜硫酸水素塩試薬)を含む。ある特定の実施形態では、別の容器は、カートリッジの1回の「試行」に適した予め測定された体積の変換試薬を含有することができる。ある特定の実施形態では、変換試薬は、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素セシウム、亜硫酸水素アンモニウム及びDABSOからなる群から選択される化合物を含む。ある特定の実施形態では、キットは、試料処理試薬を含有する容器を含む。ある特定の実施形態では、試料処理試薬は、チオシアン酸グアニジウム及び/又はエタノールを含む。
【0489】
様々な実施形態では、キットは、本明細書に記載されるような試料調製のためのカートリッジ(例えば、
図20に図示されるような)を更に含むことができる。
【0490】
ある特定の実施形態では、キットは、DNAメチル化の決定のためのカートリッジの使用を教示する指示材料を含む。試料調製カートリッジがキットに含まれる場合、キットは、試料調製カートリッジの使用及び操作を教示する指示材料を更に含むことができる。
【0491】
DABSO DNA変換及びメチル化検出のためのキット。
ある特定の実施形態では、例えばDNAのメチル化状態の検出において、DABSOを変換試薬として使用するためのキットが提供される。ある特定の実施形態では、キットは、DABSOを含む変換試薬を含有する容器、及び脱スルホン化試薬を含有する容器を含む。ある特定の実施形態では、キットは、親和性マトリックス(例えば、シリカマトリックス材料)を含むカラムを含む。ある特定の実施形態では、キットは、結合緩衝液を含む容器及び/又は溶出緩衝液を含む容器を含む。ある特定の実施形態では、キットは、洗浄緩衝液を含む容器を含む。
【0492】
ある特定の実施形態では、キットは、本明細書に記載される溶解溶液(例えば、Table 11(表11)に記載されるような、例えば、血清又は血漿についての溶解溶液、及び/又は例えばTable 12(表12)に記載されるような、FFPE試料についての溶解溶液)を更に含む。ある特定の実施形態では、キットは、プロテイナーゼKを含む容器を含む。
【0493】
様々な実施形態では、キットは、本明細書に記載されるような試料調製のためのカートリッジ(例えば、
図20に図示されるような)を更に含んでもよい。
【0494】
ある特定の実施形態では、キットは、核酸のメチル化状態の決定のために核酸を変換するためのキットの使用を教示する指示材料を含む。
【0495】
上に記載のキットの中の指示材料は、典型的には、筆記又は印刷された材料を含むが、それらに限定されない。そのような指示を格納し、それらをエンドユーザーに伝達することができる任意の媒体が、本発明によって企図される。そのような媒体には、電子格納媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えば、CD ROM)等が含まれるが、これらに限定されない。そのような媒体は、そのような指示材料を提供するインターネットサイトへのアドレスを含んでいてもよい。
【実施例】
【0496】
以下の実施例は、説明するために提供されるが、特許請求された発明を限定するものではない。
【0497】
(実施例1)
この方法を検証するために、ヒトゲノムDNA(human genomic DNA; HGDNA)を、Cepheid GENEXPERT(登録商標)カートリッジの中の試料調製、亜硫酸水素塩変換、試料クリーンアップ、及びメチル化特異的qPCRをモニターするための開始試料として使用した。亜硫酸水素塩変換効率を測定するために、亜硫酸水素塩変換ステップの間に50μLのカートリッジチューブ内にDNA-亜硫酸水素塩混合物の半分をローディングし、加熱した。したがって、最適な変換条件下においては、HGDNAのおよそ半分が変換され、他の半分は変換されないままである。
【0498】
1つの変換されていない遺伝子(HMBS(ヒドロキシメチルビランシンターゼハウスキーピング遺伝子))及び1つの変換した遺伝子(ACTB(ベータアクチン))についてqPCRステップのためのプライマー及びTaqmanプローブを設計し、その後、サイクル閾値(Cts)の比較によって変換効率を定量した。ACTB及びHMBSの両方が、単一又は低コピー参照遺伝子として一般に使用されており、従って、1ngのHGDNAあたり同様のコピー数が期待される。
【0499】
300ngのHGDNAからの代表的なGENEXPERT(登録商標)試行を、ACTB qPCR曲線を緑色、HMBS qPCR曲線を青色として、以下の
図5に示す。qPCR反応は96℃で5秒、60℃で15秒、72℃で15秒の3サイクルを45サイクル行った。20蛍光単位の手動閾値設定で、変換されたACTB遺伝子のCtが31.7であり、未変換のHMBS遺伝子のCtが32.7であることが観察された。重要なことに、FFPE組織切片及び血漿/血清試料に見られる生理学的に関連した濃度のDNAで、HGDNAのほぼ最適な亜硫酸水素塩変換効率を本発明者らのカートリッジ中に達成することができることが、この結果により実証された。完全に変換された配列に対するさらなる特異性は、ネステッドqPCR反応によって、又は試料全体を加熱することによって達成され得る。しかしながら、プライマー及びプローブセットが、変換された配列のみを増幅するように設計されているため、GENEXPERT(登録商標)におけるメチル化特異的qPCRについては、いずれのオプションも絶対的に必要とされない。したがって、残りの未変換のDNA配列は、亜硫酸水素塩変換、DNA単離及びPCR法の間に特に、頻繁に添加される担体DNAとして作用するであろう。
【0500】
(実施例2)
図6A及び6Bは、変換されたACTBの線形性を示す。特に、
図6Aは、hgDNAを用いたACTBについての15サイクルのネステッドqPCRの結果を示す。右のパネルに見られるように、シグナル(Ct値)は約25000コピーと約100コピーとの間で実質的に線形である。
図6Bは、hgDNAを用いたACTBについての20サイクルのネステッドqPCRの結果を示す。これらのプロットはhgDNAについてのカートリッジの感度を実証している。ドロップアウトは、変換されたDNAの約25コピーの感度で、およそ20~50コピーで起こり始める。
【0501】
図7A、7B及び7Cは、6つのメチル化標的(AKR1B1、HOXB4、TM6SF1、RASGRF2及びRASSF1A)についてのqPCRの結果を示す。
図7Aは、対照(25ngのHSDNA、及びそのDNAが亜硫酸水素塩変換されていない5000個のMBA-453細胞)の20サイクルのネステッドqPCRの結果を示す。
図7Bは、亜硫酸水素塩変換されたMBA-453細胞からのDNAを用いた、6つのメチル化標的についての20サイクルのネステッドqPCRの結果を示す。すべての標的について、強いシグナルが示される。HIST1H3Cは、信頼性がある形では検出されなかった。
図7Cは、亜硫酸水素塩変換されたMBA-453細胞からのDNAを使用し、1μgのSS及び10ngのHS DNAを含む担体中にある、6つのメチル化標的に対する20サイクルのネステッドqPCRの結果を示す。ドロップアウトは約100個以下の細胞で観察されたが、担体では、ドロップアウトは有意に少なかった。
【0502】
(実施例3)
図8は、変換効率の決定の結果を図示する。変換効率は、未変換のHMBSと変換されたACTBの差異の約66%(約1Ct)である。100%結合/溶出、100%変換、及び100%結合溶出を有する理想的なCtは、約24~25である。実験は、10倍減少及び約27のCtに対する50%結合/溶出、50~66%変換、及び50%結合/溶出を示すようである。
【0503】
図9は、ネステッドqPCRによって産生された変換されたDNAの特異性の増加を図示する。ネステッドPCRは、変換されたDNAの特異性を増加し、メチル化されたDNAの特異性を増加し、汚染の問題を低下するようである。
【0504】
図10は、メチル化カートリッジの特異性を図示する。HIST1H3Cを除いて、未変換のDNA(上パネル)又は非メチル化DNA(下パネル)の特異性は示されない。
【0505】
図11A及び11Bは、カートリッジ(例えば、GENEXPERT(登録商標)カートリッジ)を使用したメチル化の分析のためのいくつかの例示的であるが限定的ではないワークフローを示す。
図11Aは、血清試料中のDNAメチル化の分析のための1つのワークフローを図示する。このワークフローに図示されるように、血清を溶解試薬バイアルに添加し、混合/ボルテックスする。その後、試料は、カートリッジ内の試料ポートに分注される。カートリッジを分析のためにシステムに設置する。
【0506】
図11Aは、組織切片(例えば、凍結又はホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)切片)におけるDNAメチル化の分析のための1つのワークフローを図示する。そこに示されるように、一実施形態では、組織切片(例えば、4μmのFFPE切片)が提供される。FFPE溶解試薬を添加し(例えば、例示的な溶解試薬については、PCT/US2013/061863(WO/2014/052551を参照)、混合物を加熱することができる。エタノールを添加し、混合物をボルテックスすることができる。その後、試料は、カートリッジ内の試料ポートに分注される。カートリッジを分析のためにシステム内に設置する。
【0507】
図12は、変換されたALU及びメチル化RASSF1AについてのFFPE細胞ボタンの結果を図示する。
【0508】
(実施例4)
乳癌のモニタリングのためのマーカーの検出
材料及び方法:
2.5mLの結合緩衝液(2.25Mグアニジニウムチオシアネート、22.5mM Tris pH7.0、0.5%Tween20、50%エタノール、及び0.005% SE-15消泡剤)に1000個のMBA-453細胞又は25ngのヒト精子(HS)DNAを添加した。細胞又はDNAの2.5mL溶液をCepheidメチル化カートリッジのチャンバー2に添加した(
図13Aのレイアウト)。メチル化カートリッジ内の残りのチャンバーを以下のように満たした: チャンバー3 - 3.2mLの洗浄緩衝液(1.25Mグアニジニウムチオシアネート、25mM Tris pH7.0、50%エタノール)、チャンバー4 - 90μLの7M亜硫酸水素アンモニウム、チャンバー5 - 4mLの50mM Tris pH8.5、チャンバー8 - 1mLのPEG200リンス、チャンバー9 - EZR(Taq)及びTSR(RASSF1A、AKR1B1、HOXB4、HIST1H3C、RASGRF2、TM6SF1の6つの標的乳癌マルチプレックス化、以下のTable 9(表9)を参照)を含む定量的PCRビーズ、チャンバー10 - 500μLの15mM KOH、及びチャンバー11 - EZR(Taq)及びTSR(RASSF1A、AKR1B1、HOXB4、HIST1H3C、RASGRF2、TM6SF1の6つの標的乳癌マルチプレックス化)を含むネステッドビーズ。その後、メチル化カートリッジをCepheid GeneXpertにローディングし、メチル化アッセイの全体を、GeneXpertにより完了させた - 最初のDNA試料調製、亜硫酸水素変換、2回目の変換後DNA試料調製、脱スルホン化、及び20サイクルのネステッド及び定量的PCR反応。
【0509】
メチル化プロトコールを図示するフローチャートが
図13Bに示される。PEG200は廃液チャンバー8に満たされ、アッセイを開始した後、PEG200はチャンバー1に分注されることに留意されたい。PEG200は、より小さいチャンバー1に容易に直接ローディングすることができない粘性液体である。更に、チャンバー1は、カートリッジがPEG200チャンバーになる前に最初にローディングされる場合に、エアーチャンバーとして働く。したがって、アッセイは、チャンバー1=エアー及びチャンバー8=PEG200で開始し、カートリッジローディング後、迅速にチャンバー1=PEG200及びチャンバー8=廃液に切り替えられる。
【0510】
図13Aの「Initial Vol.」カラムに示されている数字は、単に液体量を指す。この場合、チャンバー11中に2×ビーズのみが存在する - 1×TSRビーズ(6標的のためのプライマー及びプローブ)及び1×EZRビーズ(Phoenix Taq)。これらのビーズは、最終qPCR反応のためのものである。同様に、チャンバー9中に3×ビーズが存在する - 1×TSRビーズ(6標的のためのプライマー)、1×Trisビーズ(KOHを消光する)及び1×EZRビーズ(Phoenix Taq)。これらのビーズは最初の15~20サイクルのPCR反応用である。
【0511】
また、チャンバー6はアッセイ全体を通してエアーチャンバーであり、満たされることはないことにも留意されたい。チャンバー7は、カートリッジの背後のPCRチューブへのゲートウェイの一種として使用される。それは、アッセイを開始するためには満たされていないが、アッセイ中には、チューブへローディングする前に3回満たされる - 1)変換のためにチューブ内で加熱されるDNA-亜硫酸水素塩混合 2)15~20サイクルのPCR反応及び 3)最終的なqPCR反応。
【0512】
提供されたTable 9(表9)に示されるプライマーは、各々の遺伝子について5つの配列 - 2つの伸長プライマー及び各々のネステッド増幅についての2つのqPCRプライマー及び1つのプローブを示す。最初の15~20サイクルのPCR反応はメチル化にではなく、変換されたDNA配列にのみ特異的であった(それらはCpGを交差させず、交差させる数例の場合には、メチル化及び非メチル化の両方を捕捉するためにR=プリン又はY=ピリミジンを使用する)。第2の45サイクルのqPCR反応は、典型的には2~3メチル化CpGに特異的なプライマー及びプローブの両方を含む。
【0513】
結果:
メチル化カートリッジは、亜硫酸水素塩を含むか含まない1000個のMBA-453細胞(
図15A~15B)及びHIST1H3Cを除いて、各々の遺伝子プロモーターで主に非メチル化された亜硫酸水素塩を含む25ngのHS DNA(
図15C)を用いて行った。亜硫酸水素塩無し又は非メチル化HS DNA対照反応(
図15A、15C)のいずれにおいても、どのような標的の増幅がほとんど又は全くなかった。亜硫酸水素塩の添加により、メチル化カートリッジは、1000個のMBA-453細胞、特にAKR1B1、RASSF1A、HOXB4、及びRASGRF2からの複数の遺伝子プロモーターで高レベルのメチル化を検出した。
【0514】
【0515】
【0516】
Table 9(表9)に示されるプライマーは例示であり、限定的ではない。多数の他のプライマー及びネステッドプライマーセットが、当業者に利用可能であろう。例として、膵臓癌に関連するADAMTS1及びBNC1遺伝子のメチル化の検出及び神経膠腫に関連するMGMT遺伝子のメチル化の検出のための、例示的なプライマーをTable 10(表10)に示す。
【0517】
【0518】
(実施例5)
血漿及びFFPE試料の試料調製
図17は、PCR及び/又はメチル化検出のためのDNA試料を調製するために、使用し得るカートリッジの1つの構成を図示する。血清又は血漿から得られた試料又はFFPE試料は、単にカートリッジの試料チャンバー(例えば、チャンバー3)に導入することができ、本明細書に記載されるカートリッジの操作は、PCR及び/又はメチル化検出の準備が整った試料を提供する。
【0519】
試料調製
例示的であるが非限定的な一実施形態では、血清又は血漿をプロテイナーゼKで処理することによって血清又は血漿試料を調製する(例えば、cfDNAの分析用に)。その後、プロテイナーゼK処理血清/血漿を、グアニジニウムチオシアネート(GTC)、緩衝液(例えば、Tris pH7.0)、界面活性剤(例えば、Tween20)、及び任意の消泡剤(例えば、消泡剤SE15)を含む溶解溶液と混合する。アルコール(例えば、イソプロパノール)を溶液に添加し、その後、試料処理のためにカートリッジに導入する。一実施形態では、溶解溶液をTable 11(表11)に示すように処方する。プロテイナーゼK処理血清/血漿を、1.3mLのプロテイナーゼK処置血清/血漿、2.2mLの溶解溶液、及び1.5mLのアルコールに対応する比率で、溶解溶液及びアルコールと混合することができる。ある特定の実施形態では、血清/血漿試料をプロテイナーゼKで約15分間処理する。溶解溶液を添加し、約10分間、冷却保持/混合する。その後、イソプロパノールを混合物に加え、次いで処理のためにカートリッジにローディングする。
【0520】
上に述べたように、血清/血漿については、アルコール(例えば、イソプロパノール)沈殿は、典型的にはRTで行われ、特に典型的には「塩を含んだ」溶液では行われない。ある特定の実施形態では、より長い室温沈殿時間を使用することができる。
【0521】
【0522】
別の例示的であるが、非限定的な実施形態では、FFPE試料をプロテイナーゼK及び緩衝液(例えば、HEPES)、キレーター(例えば、EDTA)、NaCl、MgCl2、並びに任意選択でアジ化ナトリウム及び/又は消泡剤を含む溶解溶液と組み合わせることにより、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料を調製する。溶液は、例えば約10分から約4時間までの範囲の時間、加熱される(例えば、70℃から90℃)。アルコールを溶液に添加し、その後、溶液を試料処理のためにカートリッジに導入する。一実施形態では、溶解溶液は、Table 12(表12)に示されるように製剤化される。1つの例示的であるが、非限定的な実施形態では、1.2mLのTable 12(表12)に示される溶解溶液がFFPEセクションに添加される。プロテイナーゼKを添加し、混合物を、例えば、80℃で約15分間、加熱する。ある特定の実施形態では、加熱を56℃で2時間、続いて90℃で30分間行う。その後、1.2mLのエタノールを混合物に添加し、混合物を処理のために、カートリッジの試料チャンバーにローディングする。
【0523】
【0524】
カートリッジの操作及び抽出性能。
cfDNAが調製される場合、ある特定の実施形態では、DNA調製物の品質をモニタリングすることを可能にする、抽出対照を含むことが可能である。
図18に図示するように、2つの異なるビーズセットが存在する。1つのビーズセットは、SAC(sample assay control;試料アッセイ対照)用の内因性HMBSプライマー及びプローブセット、及びSPC(sample prep control;試料調製対照)用の外因性BGプライマー及びプローブセットを含む。他方は、SAC(BG SPCと同様に)用に設定された内因性ベータ-グロビンPPを含む。
【0525】
とりわけ、カートリッジ中のGTCの使用は、血漿試料よりも血清に対してあまり重要ではないことが発見された。特定の理論に拘束されるものではないが、これは、血清がより少ないタンパク質を含んでいるという事実に起因すると考えられる。したがって、ある特定の実施形態では、カートリッジはGTCをより少なく含んでもよく、又はGTCを省略してもよい。
【0526】
図19A及び19Bは、従来の「チューブ充填」手順を用いて得られた結果と比較した、本明細書に記載されるカートリッジを用いて実践されたcfDNA調製の結果の比較を示す。
図19Aに示すqPCRの結果に図示されるように、カートリッジを使用して得られた結合及び溶出効率は、チューブ充填プロトコールを使用して得られたものと非常に近い(1Ct以内)。
図19Bに図示するように、試料濃度の滴定は、カートリッジ調製物が、約10pgに至るまでの低い試料濃度まで落としても、チューブ充填調製物の1Ct以内で保存的であることを示している。カートリッジの調製物は、より高い試料濃度でのチューブ充填プロトコールになお近いと考えられる。
【0527】
(実施例6)
大体積試料調製カートリッジの試験
ある特定の実施形態では、大量の試料(例えば、約12mlから約15mlまで)の調製のために、大体積試料調製(high volume sample preparation; HSVP)カートリッジが提供される。これは、試料が低濃度のDNA(例えば、血清又は血漿中のcfDNA)を含む場合に、特に有用である。そのようなカートリッジの1つが
図20Aに概略的に図示されている。そこに示されるように、カートリッジは、試料を受け入れるために使用され得る3つのチャンバー(チャンバー2、3、及び5)を提供する。図示されている実施形態では、これらのチャンバーの各々は約4mLの試料を受け取り、ある特定の実施形態では、試料は、4mLのGTC及び4mLのアルコール(例えば、イソプロパノール)と組み合わせた4mLの血漿/血清を含む。
【0528】
試料をこれらのチャンバーに導入し、カートリッジを本明細書に記載されるように操作して、PCR及び/又はメチル化分析のための試料を調製する。説明のための例として、ある特定の実施形態では、このカートリッジの操作は、(例えば、クリーンアップのために)DNAをアフィニティーカラムに結合させること、及びDNAを溶出させることを含むことができる。メチル化分析が実践される、ある特定の実施形態では、カートリッジの操作は、DNAを変換試薬(例えば、本明細書に記載される亜硫酸水素塩)と組み合わせること、及び混合物を加熱してDNAを変換することを更に含むことができる。ある特定の実施形態では、HSVPカートリッジは、変換されたDNAを脱スルホン化するように構成することもできる。他の実施形態では、DNAは、
図20Bに概略的に図示されるように、第2の(例えば、qPCR)カートリッジにおいて脱スルホン化され得る。第2のカートリッジはまた、メチル化分析(例えば、qPCR分析)を実践することもできる。
【0529】
図21は、HMBS又はβ-グロビンプライマー及びプローブセットを用いた、1つのカートリッジと2つのカートリッジプロトコールとの間の血漿及び血清からのDNAの試料調製結果の比較を示す。そこに示されているように、0.5mLと4mLとの間の血清又は血漿で、DNA回収の線形的な増加があった。更に、調製及び分析のために1つのカートリッジを使用する場合、又は調製及び分析のために別々のカートリッジを使用する場合には、ほとんど又は全く損失がなかった。
【0530】
(実施例7)
亜硫酸水素塩変換の最適化
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるメチル化分析のためにカートリッジを使用する場合、1つの潜在的な問題は、可能な限り小さな体積を使用して溶出効率を最適化することである。少ない溶出量では、スピンカラムを使用することによる処理が簡単である。より大きな試料量を処理するためには、複数の加熱ステップを使用することによって、この問題を対処することができる。
【0531】
より大きな試料(例えば、最小100μL)を加熱する際に、より小さい(例えば、50μL)加熱チューブ又はチャンバーを使用する場合に、第2の技術的懸念が生じる。ある特定の例では、加熱ステップ間の加圧により、体積の吸入及び吐出 (volume aspirates and dispenses)を再現性良く補償することが困難になり得る。第2に、加圧が無ければ、特に高温では、体積変化及び泡が生じ得る。第3に、加熱ステップ間のポート変更の間に、加熱された試料と加熱されていない試料との間に空気が取り込まれる可能性がある。
【0532】
調査のために、単一及び二重加熱ステップを用いた50μLチューブ中の亜硫酸水素塩変換のこれらの最適化を検討した。この実験は以下のように行った:
75~80μLの亜硫酸水素塩DNAを取り込む;95℃-10秒、65℃-300秒×8加熱する;
残り+5~10μL取り込む;加圧する;95℃-480秒、65℃-1800秒×1加熱する。
【0533】
0.5mLの血清についての結果を
図22に示した。ここで、上パネルは1×加熱(変換33.0、未変換33.4)N=4、下パネルは2×加熱(変換31.9、未変換36.1)N=4である。
【0534】
1×加熱から2×加熱に移行する際、変換されたACTBシグナルに約1Ctのゲインがある。これは、DNAのほとんどすべてが変換されたことを示唆している。これは、変換されていないHMBSシグナルに約2Ctの損失もあるという事実によって、支持される。DNAの亜硫酸水素塩試料の50/100μLから100/100μLへの加熱から行っているため、1 Ct増加は論理にかなっている。
【0535】
(実施例8)
DNAメチル化カートリッジとチューブベースの市販キットとの比較
図23Aは、市販のキット(QIAamp MinElute Virus Spin Kit(Qiagen社)、及びEZ DNAメチル化Lightning(商標)Kit(Zymo Research社))を使用して同じ分析を行った場合に必要となったステップと比較した、本明細書に記載されるカートリッジ(左)を使用してメチル化分析を行った場合に必要となったユーザーステップの比較を示す。容易に分かるように、キットを使用するのに必要な2~3時間の作業時間と比較して、カートリッジベースのメチル化分析は、約5分の作業時間で非常に少ないユーザーステップを必要とする。
【0536】
異なる方法によって産生された結果を比較するために、200μLの血清を、Qiagenキットを用いて精製した。Zymoキットを使用してDNAを変換し、第2のスピンカラムで精製し、10μLで溶出した。変換された非メチル化ACTBプライマー及びプローブ(TSR)を用いてすべて10μLで作業する。これと比較して、200μLの血清について、本明細書に記載されるメチル化カートリッジ中で試行を行った。結果を
図23Bに示す。直ちに明らかなように、カートリッジ法は、市販のキットを用いて得られた結果と非常に匹敵した結果を生じた。しかしながら、これははるかに少ない作業と時間で達成されたものである。
【0537】
(実施例9)
DNA変換のためのDABSOの使用
5gのDABSOを5mLのH2Oに溶解することを最初に試みた。最終的に数mLの10M KOH及び1mLの水を添加し、加熱してDABSOを可溶化し、推定最終DABSO濃度約2.5MでpHを約pH5からpH5.5に上昇させた。
【0538】
図24は、DABSO又はZymo変換試薬を用いて変換された750ngのDNAのチューブ充填のグラフを示す。材料を熱サイクラー中でオフボード(offboard)加熱し(1μg)、スピンカラムで精製し、チューブ充填で試行を行った。3つの異なる実験は、以下の通りであった:
1)120μL DABSO/30μL DNA;
2)120μL Zymo/30μL DNA;及び
3)70μL Zymo/30μL DNA(カートリッジ内の現状の比率)。
【0539】
図24に示すように、DABSOは、Zymo試薬を用いて得られたものとほぼ匹敵する、良好な変換を提供した。
【0540】
(実施例10)
メチル化DNAの検出感度
DNAメチル化の検出の感度を評価するために、本明細書に記載されるカートリッジを用いて、変換されたACTB遺伝子プロモーターをコピー数の関数として検出した。この目的は、25コピー未満の変換された非メチル化DNAを検出することであった。以前に示したように、約10~50コピーでフォールアウトが観察された(各々1回のフォールアウト)。同様の感度が、血清バックグラウンドにおけるメチル化DNA標的について観察された。
【0541】
図25のパネルAは、希釈系列(MGMT(O-6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ遺伝子))におけるメチル化DNAの検出を図示する。そこに示されるように、MGMTは78pgのレベルに至るまで検出された。
【0542】
MBA-453細胞におけるメチル化乳癌マーカーRASSF1A及びAKR1B1の検出を、
図25、パネルBにおいて示す。そこに示されるように、乳癌マーカーは100細胞に至るまで検出された。
【0543】
希釈系列中のメチル化膵臓癌マーカーACTB、BNC1及びADAMTS1の検出を、
図25、パネルCにおいて示す。そこに示されるように、膵臓マーカーは25コピーに至るまで検出された。
【0544】
Table 13(表13)は、濃度の関数としての膵臓癌マーカーBNC1及びADAMTS1のヒット率を示す。そこに示されるように、これらのマーカーは120pg未満で検出することができた。正の「ヒット率」は、複製のいずれかの遺伝子の増幅であることに注意されたい。
【0545】
【0546】
(実施例11)
両方の鎖の逆相補性マルチプレックスアッセイ
図26は、両方のDNA鎖の逆相補性マルチプレックスアッセイの結果を図示する。亜硫酸水素塩の変換の後、両方の鎖は相補性を失う。したがって、プライマー及びプローブセットは、一方の鎖又は他方の鎖に対して設計されなければならず、独特なアンプリコンをもたらす。「より多くの機会」を提供することに加えて、この手法は感度の助けとなる可能性がある(LODで、チューブ内に入ったのがで一方の鎖又は他方のみであった場合にも、この手法でシグナルが確実に拾われる)。
【0547】
マルチプレックスアッセイは、同じプロモーター部位で異なるCpGの検出を可能にする。逆相補性マルチプレックスは、標的に関してより多くのクエリーを提供し、異形配偶の(heterogamous)メチル化を拾う可能性を提供する。
【0548】
(実施例12)
単一カートリッジにおけるDNAメチル化及び突然変異の検出。
ある特定の実施形態では、マルチプレックスPCR反応は、同じカートリッジ内のメチル化に加えて、突然変異の検出を可能にするプライマー及びプローブを含むことができる。
図27Aは、KRAS G12D突然変異と共にしたメチル化BNC1及びADAMTS1の検出を対照BG(上パネル)と共に図示し、並びに、KRAS野生型と共にしたメチル化BNC1及びADAMTS1の検出を対照BG(下パネル)と共に図示する。
【0549】
図27Bは、KRAS G12D突然変異と共にPANC-1細胞(上パネル)及びMIA-PaCa細胞(下パネル)におけるBNC1及びADAMTS1メチル化の同時検出を図示する。
【0550】
(実施例13)
膵臓癌のマルチプレックス化最適化。
ADAMTS1、BNC1(及び他の特定の遺伝子)のメチル化分析は、膵臓癌の検出及び/又は病期分類を可能にすることが判明した。したがって、BNC1及びADAMTS1の初期のマルチプレックスアッセイは、他の遺伝子に対するプローブの取り込みを容易にさせるように最適化された。このアッセイを最適化するために、フォワード/リバースの亜硫酸水素塩変換された鎖の外部及び内部PCRにおいて温度勾配を行った。単一プレックス(Single-plexes;各々の遺伝子のフォワード/リバース(fwd/rev))は、56℃、58℃及び60℃の外的温度並びに64℃、66℃及び68℃の内的温度で行った(例えば、
図28参照)。ある特定の実施形態では、BNC1及びADAMTS1並びに2つの他の遺伝子の2つの4プレックス、フォワード鎖のメチル化分析のための1つの4プレックス並びにリバース鎖のメチル化分析のための1つの4プレックスとして、アッセイを開発した。
【0551】
プローブは、好ましい反応条件(塩条件40mM(LS)、60mM(MS)、80mM(HS)KCl、15mM NH
4SO
4)に基づいて2セットにまとめられ(
図29参照))、特異性のために最適化された。マルチプレックス1の最終的に最適化された塩条件は、80mM KCl、5mM MgCl
2、20mM Tris pH8.5、及び10mM NH
4であり、マルチプレックス2については、62mM KCl、4mM MgCl
2、20mM Tris pH8.5及び10mM NH
4であった。
【0552】
(実施例14)
MGMTメチル化の検出
O(6)-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ(MGMT)遺伝子は、テモゾラミド(temozolamide)のようなアルキル化化学療法の効果を無効にすることができる、DNA修復酵素をコードする。MGMT遺伝子が活性である場合、損傷は急速に修復される。悪性神経膠腫は、そのプロモーター領域のメチル化により不活性化されたMGMT遺伝子を有しうると考えられている。メチル化MGMT遺伝子は、(腫瘍がアルキル化剤によって誘導されたDNA損傷を修復する手段を持たないため)化学療法に対するより良い応答の予測指標である。
【0553】
図30に図示され、下のTable 14(表14)に要約されたMGMTメチル化の検出のために、プライマー及びプローブが開発された。特に、
図30は、灰色で示されたCPGを用いて変換された鋳型(パイロシーケンシングから決定される)を図示している。亜硫酸水素塩変換後に示されるように、フォワード鎖及びリバース鎖はもはや相補的でなく、各鎖の別個の分析を可能にする。
【0554】
【0555】
検出感度を評価するために、MGMT希釈系列(20ngのHS DNAのバックグラウンドにおいて5ngから78pgのMGMT DNA))を、ACTBを対照として用いて評価した。例示的な実験では、78pgのメチル化MGMT DNAは、メチル化されていないHS DNAのみのCtから約10サイクルだけ離れていた。
【0556】
図31に示すように、MGMTメチル化の検出のための本明細書に記載されるメチル化カートリッジを用いて生じた結果を、抽出DNA(
図31、上)について、及びFFPE試料(
図31、下)についてのパイロシーケンシングによって生じた結果と比較した。パイロシーケンシングは、通常、患者の層別化を決定するために10から15%の間のカットオフを使用する。本発明者らは、パイロシーケンシングの結果を可能な限り近接に一致させるために、12.5の任意のカットオフ(ACTBとMGMTの間)を使用した。したがって、この例では、カットオフは、デルタCt=12.5にセットされ、>15%のメチル化の一致と計算された。抽出されたDNAのカートリッジ分析は90%の感度及び86%の特異性を示した一方で、FFPE試料のカートリッジ分析は88%の感度及び95%の特異性を示した。
【0557】
特異性は、2つの方法で改善され得ることに留意されたい: 1)62℃のアニーリング温度がむしろ低いようであるならば、アニーリング温度を上昇させることができる。更に、3つ(又はそれ以上)のCpGを覆うメチル化プローブを利用することができる。
【0558】
(実施例15)
BRCA1メチル化の検出
BRCA1は、DNAの修復に関与する番人遺伝子(caretaker gene)である。BRCA1は、相同、組換え、非相同末端接合、及びヌクレオチド切除修復に関ると考えられている。異常なBRCA1遺伝子を有する女性は、80%の乳癌を発症する可能性がある。
【0559】
特定の理論に束縛されることなく、BRCA1メチル化は、三重陰性BC患者における化学療法に対する応答の潜在的な予測マーカーであると考えられている。シスプラチンで治療したNSCLC患者の研究では、BRCA1の発現が低い患者の生存率を改善することが示された。高レベルだと、癌細胞に引き起こされた損傷を修復することによって化学療法の有効性を低下させた。
【0560】
これら及び他の観察の見地から、BRCA1メチル化の検出のためのカートリッジ及び使用方法が開発された。特に、PCR条件は以下のように最適化された: 1)外部温度は56~62℃の間で評価され、3ステップ56℃アニーリングPCRプロトコールと決定した; 2)内部温度は64℃~70℃の間で評価され、2ステップの68℃アニーリングPCRプロトコールと決定した。結果を
図32に示す。
【0561】
BRCA1について、1つの標的アッセイをACTB対照遺伝子で試験した。8つの異なる細胞株を試験し、NH
4を添加する効果を比較した(
図33参照)。BRCA1のメチル化は、3199細胞株内で観察されると予想された。
【0562】
(実施例16)
肺癌に関連する遺伝子メチル化の検出。
メチル化が肺癌に関連する遺伝子(SOX17、CD01、TAC1)についての3つの標的メチル化アッセイを、ACTB対照遺伝子と共に試験した。
図34に示すデータは、予想通り、3つの標的が正常血漿のバックグラウンドに現れず、3つの異なる肺癌細胞株にある程度存在することを示している。
【0563】
本明細書に記載される実施例及び実施形態は、説明の目的のみのためであり、それに照らした様々な修正又は変更が当業者に示唆されることが予測され、本出願及び付随する特許請求の範囲の精神及び視野内に含まれることが理解される。本明細書で引用したすべての刊行物、特許及び特許出願は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0564】
1~11 チャンバー
200 カートリッジ
202 カートリッジ本体
204 ガスケット
206 中央シリンジバレル
208 試薬及び/又は緩衝液チャンバー
210 弁本体
212 キャップ
214 キャビティ
216 温度制御されたチャネル又はチャンバー
226 カートリッジベース
300 反応モジュール
302 電子回路
304 ファン
306 光学ブロック
308 加熱プレート
310 ピペット
312 電気コネクタ
【配列表】