(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】食品および飲料製品の連続高圧処理法
(51)【国際特許分類】
A23L 3/015 20060101AFI20240405BHJP
A23L 2/42 20060101ALI20240405BHJP
A23L 2/02 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
A23L3/015
A23L2/00 N
A23L2/02 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022048640
(22)【出願日】2022-03-24
(62)【分割の表示】P 2018536144の分割
【原出願日】2017-01-17
【審査請求日】2022-04-11
(32)【優先日】2016-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391026058
【氏名又は名称】ザ コカ・コーラ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Coca‐Cola Company
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】メータ,アニッシュ
(72)【発明者】
【氏名】シューベルト,フーベルトゥス
(72)【発明者】
【氏名】ラーマン,マムヌル
(72)【発明者】
【氏名】バクル,シュミ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンダーソン,オマリ
(72)【発明者】
【氏名】リュンゼ,ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ギリボニ デ メッロ,インダウエ イエダ
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-127827(JP,A)
【文献】特表2002-501734(JP,A)
【文献】特開平10-084885(JP,A)
【文献】特開平06-205655(JP,A)
【文献】特表2013-538048(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0152775(US,A1)
【文献】特許第7048498(JP,B2)
【文献】特開2006-191860(JP,A)
【文献】特開2000-083634(JP,A)
【文献】特表2006-521811(JP,A)
【文献】特開2012-096216(JP,A)
【文献】特表2004-512038(JP,A)
【文献】特表2002-537024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L3/00-3/3598
A23L2/00-2/84
C12G1/00-3/08
C12H6/00-6/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的なパスカリゼーション工程であって、
a.当該連続的なパスカリゼーション工程の未処理の食品又は飲料製品であって、液体を含む未処理の食品又は飲料製品を入口で受け入れることと、
b.加圧された食品又は飲料製品をもたらすために前記未処理の食品又は飲料製品を第1の圧力に加圧することであって、前記第1の圧力が少なくとも20,000psi(137.89MPa)であることと、
c.前記加圧された食品又は飲料製品を所定の保持時間にわたって前記第1の圧力で保持することであって、前記加圧された食品又は飲料製品が連続的に流れるため当該加圧された食品又は飲料製品が前記第1の圧力で保持され、前記所定の保持時間が少なくとも1分であることと、
d.当該連続的なパスカリゼーション工程の処理済の食品又は飲料製品をもたらすために、前記加圧された食品又は飲料製品を前記第1の圧力よりも低い第2の圧力に減圧することであって、この減圧することが、前記加圧された食品又は飲料製品を、前記加圧された食品又は飲料製品の流路に沿って互いに間隔をあけて配置された二以上の圧力解放構成要素を通して流動させることを含み、この流動させることが、前記加圧された食品又は飲料製品を二以上の剪断応力事象にさらすことを含むことと、
e.出口から前記処理済の食品又は飲料製品を供給することと、を含み、
前記処理済の食品又は飲料製品が、前記未処理の食品又は飲料製品の風味、口当たり、又は質感のうちの一つを保持し
、
前記加圧された食品又は飲料製品を所定の保持時間にわたって前記第1の圧力で保持することは、連続的な長さの単一の配管が、当該連続的な長さの単一の配管の入口から出口までの規定の移動時間を提供するように配設されることを含み、前記規定の移動時間が、前記所定の保持時間にほぼ等しい、パスカリゼーション工程。
【請求項2】
前記未処理の食品又は飲料製品が、ジュース飲料または果物もしくは野菜の抽出物であるか、あるいは乳製品である、請求項1に記載の工程。
【請求項3】
前記未処理の食品又は飲料製品が、食品媒介病原体を有し、応力が前記食品媒介病原体に加わり、前記処理済の食品又は飲料製品が、前記未処理の食品又は飲料製品と比較して減少した数の食品媒介病原体を含むことになる、請求項1又は2に記載の工程。
【請求項4】
応力が前記食品媒介病原体に加わり、前記減少が、活性病原体の少なくとも2対数単位の減少となる、請求項3に記載の工程。
【請求項5】
前記第1の圧力が、60,000psi(413.68MPa)以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の工程。
【請求項6】
前記第1の圧力が、40,000psi(275.79MPa)と50,000psi(344.73MPa)との間である、請求項1から5のいずれか一項に記載の工程。
【請求項7】
前記加圧された食品又は飲料製品を減圧することが、前記加圧された食品又は飲料製品を1つまたは複数のキャビテーション事象にさらすことを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の工程。
【請求項8】
前記処理済の食品又は飲料製品が、添加防腐剤を含まない、請求項1から7のいずれか一項に記載の工程。
【請求項9】
前記未処理の食品又は飲料製品が、15.5体積%未満のアルコール含有量を有するアルコール飲料に使用可能な成分である、請求項1から8のいずれか一項に記載の工程。
【請求項10】
連続的なパスカリゼーション工程により食品または飲料製品を製造する方法であって、
a.当該連続的なパスカリゼーション工程の未処理の食品又は飲料製品であって、液体を含む未処理の食品又は飲料製品を入口で受け入れることと、
b.加圧された食品又は飲料製品をもたらすために前記未処理の食品又は飲料製品を第1の圧力に加圧することであって、前記第1の圧力が、20,000psi(137.89MPa)~60,000psi(413.68MPa)であることと、
c.前記加圧された食品又は飲料製品を所定の保持時間にわたって前記第1の圧力で保持することであって、連続的な長さの単一の配管が、前記所定の保持時間にほぼ等しい入口から出口までの規定の移動時間を提供するように配設されていて、前記加圧された食品又は飲料製品が前記連続的な長さの単一の配管を通って連続的に流れるため当該加圧された食品又は飲料製品が前記第1の圧力で保持され、前記所定の保持時間が少なくとも1分であることと、
d.当該連続的なパスカリゼーション工程の処理済の食品又は飲料製品をもたらすために、前記加圧された食品又は飲料製品を前記第1の圧力よりも低い第2の圧力に減圧することであって、前記加圧された食品又は飲料製品を減圧することが、前記加圧された食品又は飲料製品を、前記加圧された食品又は飲料製品の流路に沿って互いに間隔をあけて配置された二以上の圧力解放構成要素を通して流動させることを含み、この流動させることが、前記加圧された食品又は飲料製品を二以上の剪断応力事象にさらすことを含むことと、
e.出口から前記処理済の食品又は飲料製品を供給することと、
を含む、食品または飲料製品を製造する方法。
【請求項11】
前記所定の保持時間は、少なくとも3分である、請求項1に記載の工程。
【請求項12】
出口から前記処理済の食品を供給した後に、
前記処理済の食品を包装すること、をさらに含む、請求項1に記載の工程。
【請求項13】
前記二以上の圧力解放構成要素は、弁を含む、請求項1に記載の工程。
【請求項14】
前記二以上の圧力解放構成要素は、環状ディスクを含む、請求項1に記載の工程。
【請求項15】
前記二以上の圧力解放構成要素は、多孔板を含む、請求項1に記載の工程。
【請求項16】
前記加圧された食品を所定の保持時間にわたって前記第1の圧力で保持した後に、
前記処理済の食品を冷却すること、をさらに含む、請求項1に記載の工程。
【請求項17】
前記処理済の食品を冷却することは、前記加圧された食品を前記第2の圧力に低減した後で行われる、請求項16に記載の工程。
【請求項18】
前記処理済の食品を冷却することは、前記加圧された食品を前記第2の圧力に低減することと同時に行われる、請求項16に記載の工程。
【請求項19】
前記処理済の食品は、0℃~20℃の間の温度に冷却される、請求項16に記載の工程。
【請求項20】
前記処理済の食品は、3℃~10℃の間の温度に冷却される、請求項19に記載の工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年1月15日に出願された米国仮特許出願第62/279,124号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
商標
COCA-COLA(登録商標)は、The Coca-Cola Company, Atlanta, Ga., U.S.A.の登録商標である。本明細書で使用する他の名称、記号、意匠、またはロゴは、The Coca-Cola Companyまたは他の会社の登録商標、商標または製品名であることがある。
【0003】
発明の分野
本発明は、オリフィスを通って流れることができる液体および材料の高圧処理に関する。例えば、本明細書で開示する技術の実施態様は、食品および飲料製品の連続高圧処理のためのシステムおよび方法に適用することができる。
【背景技術】
【0004】
背景
従来、食品および飲料製品の高圧処理は、包装された製品の周囲に均一な圧力を加えることより促進される。概して、均一な圧力を加えることにより、芽胞、細菌、酵母、カビ、および他の成分などの食品媒介病原体を含む、複数の他の好ましくない食品成分の排除または消滅がなされることが想定される。
【0005】
従来の高圧処理では、包装された製品をチャンバ内で作動流体に浸漬することにより均一な圧力が加えられる。従来の高圧処理は、約90,000psiの範囲の圧力を加える。作動流体は、チャンバの内容物および包装された製品を繰り返し加圧するために使用され、結果的に、製品自体が加圧およびその後の減圧を受ける。当然ながら、包装された製品全体が加圧されるときに、包装体の内容物も加圧される場合には包装材が変形可能でなければならない。更に、包装された製品全体が加圧されるときに、この従来の工程は、処理事象毎の一定の包装された製品数のバッチ処理としてのみ動作することができる。
【0006】
バッチ処理では、高圧処理よりも先にいくつかの予め包装済みの製品群を準備する必要がある。包装された製品の後処理では、顧客および/または消費者への出荷のための多数の製品包装の最終包装のための更なる処理に加えて、包装体の外装から作動流体の痕跡を排除する必要がある。よって、バッチ処理は、他の連続包装方法と比較していくつかの追加のステップを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、連続高圧処理は、概して、様々な要因のために好ましくないとされてきた。これらの要因には、食品媒介病原体の再現可能な減少と、弱い冷蔵を必要とするかまたは冷蔵を必要としない結果として得られる安定した製品とをもたらす適切な処理方法論の欠如が含まれる。
【0008】
本明細書でなされる開示は、これらおよび他の考慮事項に関して提示される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
概要
本開示は、未処理製品を投入することと、加圧された製品をもたらすために未処理製品を第1の圧力に加圧することと、加圧された製品を所定の保持時間にわたって第1の圧力で保持することと、処理済製品をもたらすために、加圧された製品を第2の圧力に減圧することとを含むパスカリゼーション工程に関する。概して、第2の圧力は第1の圧力よりも低い。工程はまた、処理済製品を吐出することも含む。
【0010】
一実施態様によれば、未処理製品は、ジュース飲料または果物もしくは野菜の抽出物である。
【0011】
一実施態様によれば、未処理製品は乳製品である。
【0012】
一実施態様によれば、未処理製品は、流体中に食品媒介病原体が存在する流体であり、かつ処理済製品は未処理製品と比較して減少した数の食品媒介病原体を含む。
【0013】
一実施態様によれば、未処理製品を加圧することは、未処理製品を1つまたは複数の圧縮機に通すことを含む。
【0014】
一実施態様によれば、未処理製品を投入することは、ポンプを用いて未処理製品を圧送することを含む。
【0015】
一実施態様によれば、加圧された製品を保持することは、加圧された製品を1つまたは複数の保持セル内に第1の圧力で保持することを含む。
【0016】
一実施態様によれば、1つまたは複数の保持セルは、1つまたは複数の蓄積セルを含む。
【0017】
一実施態様によれば、1つまたは複数の蓄積セルは各々、関連する蓄積セルの流路と同軸の中心軸線を有する略円筒空洞と、円筒空洞の第1の端部に配設された円錐台形入口と、円筒空洞の第2の端部に配設された円錐台形出口とを含む。
【0018】
一実施態様によれば、1つまたは複数の保持セルは、1つまたは複数の長さの配管を含む。
【0019】
一実施態様によれば、所定の保持時間は、少なくとも1分である。別の実施態様によれば、所定の保持時間は、1分超、または3分超、または5分超である。一実施態様によれば、所定の保持時間は約3~約6分である。一実施態様によれば、所定の保持時間は約6分である。他の実施態様によれば、所定の保持時間は約9分である。
【0020】
第1の圧力は、概ね約20,000~約60,000重量ポンド毎平方インチ(psi)である。一実施態様によれば、第1の圧力は、約22,000psiである。別の実施態様によれば、第1の圧力は、約45,000psiである。別の実施態様によれば、第1の圧力は、約60,000psiである。一実施態様によれば、加圧された製品を減圧することは、加圧された製品を1つまたは複数のキャビテーション事象にさらすことを含む。
【0021】
一実施態様によれば、加圧された製品を減圧することは、加圧された製品を1つまたは複数の剪断応力事象にさらすことを含む。
【0022】
一実施態様によれば、加圧された製品を減圧することは、製品を乳化セルまたは均質化セルに通すことを含む。
【0023】
一実施態様によれば、未処理製品は、濃縮された飲料成分である。
【0024】
一実施態様によれば、濃縮された飲料成分は、溶解された澱粉または甘味成分を含む。
【0025】
一実施態様によれば、濃縮された飲料成分は、約3:1~10:1の再構成比を含む。
【0026】
一実施態様によれば、濃縮された飲料成分は、添加防腐剤を含まない風味成分を含む。
【0027】
一実施態様によれば、処理済製品は、添加防腐剤を含まない。
【0028】
一実施態様によれば、未処理製品は、茶抽出物またはコーヒー抽出物である。
【0029】
一実施態様によれば、未処理製品は、植物由来の抽出物である。
【0030】
一実施態様によれば、未処理製品は、15.5体積%未満のアルコール含有量を有するアルコール飲料に使用可能な成分である。
【0031】
本開示はまた、本明細書で説明する工程のいずれかにより製造される製品にも関係する。
【0032】
本開示はまた、
図1または
図5に図示するようなシステムにも関係する。
【0033】
本開示はまた、本明細書で説明する工程を実施することが可能なシステムにも関係する。
【0034】
本開示はまた、本明細書で説明する技術的特徴のいずれかを利用するシステムにも関係する。
【0035】
本開示はまた、表1~表15で説明する工程パラメータのいずれかを利用するシステムにも関係する。
【0036】
本開示はまた、表1~表15で説明する工程パラメータのいずれかを利用するパスカリゼーション工程にも関係する。
【0037】
本開示はまた、本明細書で説明する技術的特徴のいずれかを利用するパスカリゼーション工程にも関係する。
【0038】
一実施態様によれば、パスカリゼーションシステムは、未処理製品を受け入れるように構成された製品投入口と、未処理製品をパスカリゼーションシステム内に圧送するように構成されたポンプと、加圧された製品となるように未処理製品を加圧するように構成された圧縮機と、加圧された製品を所定の時間にわたって保持するように構成された1つまたは複数の保持セルと、製品を剪断応力およびキャビテーションにさらしながら、加圧された製品を減圧するように構成された1つまたは複数の減圧構成要素とを含む。
【0039】
一実施態様によれば、食品または飲料製品は、加圧された製品をもたらすために製品を第1の圧力に加圧し、加圧された製品を所定の保持時間にわたって第1の圧力で保持し、処理済製品をもたらすために、加圧された製品を第1の圧力よりも低い第2の圧力に減圧し、かつ処理済製品を吐出する工程により製品が製造されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、本明細書に開示する一構成による、食品および飲料製品の連続高圧処理のためのシステムの概略図である。
【
図2A】
図2Aは、本明細書に開示する一構成による、
図1のシステムの保持セル構成の図である。
【
図2B】
図2Bは、本明細書に開示する一構成による、
図1のシステムの保持セル構成の図である。
【
図3】
図3は、本明細書に開示する一構成による、
図1のシステムの剪断および/またはキャビテーションセル(複数可)を含む圧力解放構成要素の図である。
【
図4】
図4は、本明細書に開示する一構成による、連続高圧処理方法のフローチャートである。
【
図5】
図5は、本明細書で開示する一構成による、食品および飲料製品の連続高圧処理のための直列化システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
詳細な説明
本明細書で使用する場合、「加圧構成要素」、「圧縮機」、「油圧プレス」という用語、およびこれらの用語の他の変形例は、材料を加圧するように動作する機構を指すことがある。
【0042】
本明細書で使用する場合、「製品」および「飲料」という用語、およびこれらの複数形は、同義語として使用され、本発明の特定の特徴は、いずれの用語の使用により範囲が限定されるべきではない。
【0043】
本明細書で使用する場合、「剪断セル」、「減圧器」、「減圧弁」、「キャビテーションセル」という用語、およびこれらの変形例は、加圧された材料を受け入れて、その後、材料をキャビテーションおよび剪断などの応力にさらしながら材料を減圧するように動作する、オリフィスまたは開口部が配設された任意の構造構成要素を指す。
【0044】
非限定的な例として、本発明のある概念を実現するために使用され得る特定の減圧器は、加圧された材料を第1の端部で受け入れて減圧された材料を第2の端部から吐き出すように構成された均質化ユニットまたは乳化ユニットを含む。
【0045】
以下の詳細な説明は、食品および飲料製品ならびに他の材料の連続高圧処理のための技術を対象とする。本明細書に開示する種々の技術の実施態様を通して、材料は、本明細書で説明するように実施されたときに不要なまたは別様に望ましくない病原体を大幅に減少させるかまたは破壊する加圧-減圧工程を通過させることができる。
【0046】
一実施態様において、パスカリゼーション方法は、材料を特定の圧力に加圧することと、加圧された材料を所望の時間にわたって特定の圧力で保持することと、材料をキャビテーションおよび剪断などの応力にさらしながら材料を減圧することとを含む。キャビテーションおよび剪断は、弁、一連の弁、または他の構成要素などの、1つまたは複数の減圧構成要素を通じて提供される。追加的に、比較的不活性なガスはまた、キャビテーションの効果を高めるために加圧よりも先に材料中に注入されてもよい。更に、典型的には熱を与え得る減圧を受けるが、説明した工程でのそのような熱は、パスカリゼーションなどの熱に依存する他の工程と比較してごく僅かであり得る。
【0047】
上述のように、食品および飲料製品の高圧処理のこれまでの実施態様は、時間とコストのかかるバッチ処理技術を必要とする。しかしながら、本明細書で説明する技術は、バッチ処理に勝るいくつかの技術的利点および利益を有する連続工程を提供する。概して、連続工程は、コスト削減ももたらし、かつジュース、抽出物および他の材料などの製品の「未加工」または天然の状態と風味とをより密に調和させる安全で望ましい製品を提供し得る。
【0048】
本明細書に提示する主題がコンピュータ制御のパスカリゼーション工程、ユーザ制御のパスカリゼーション工程、または材料の連続高圧処理のための他の任意の好適な工程として実現され得ることを認識すべきである。本明細書で説明する主題は、システムおよび場合により直列化システムの1つの特定の配置の一般的な文脈で提示されるが、当業者であれば、他の実施態様が、本明細書に例示するシステムの外観および配置と実質的に異なり得る他の種類のシステムと組み合わせて実施され得ることに気が付くであろう。
【0049】
また、当業者であれば、本明細書で説明する主題の態様が、本開示の範囲から逸脱することなく、多数の混合材料、ブレンド材料、およびそのような他の修正品などと共に、処理済製品を実現するための他の工程と併せて実施され得ることを認識するであろう。
【0050】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部をなすとともに具体的な構成または例を例示として示す添付の図面が参照される。本明細書における図面は原寸に比例したものではない。類似の符号は、いくつかの図面(本明細書では1つまたは複数の「図」と称されることがある)を通して類似の要素を表す。
【0051】
図1は、本明細書に開示する一構成による、食品および飲料製品ならびに場合により他の材料の連続高圧処理のためのシステム100の概略図である。図示のように、システム100は、未処理製品102の入口140を含む。入口140は、大型タンク、バッチ、または材料の連続供給を含み得る。入口は、1,000~5,000リットルの未処理製品102を保持するような大きさとされるタンクを含み得る。入口140は、未処理製品102をシステムに供給するように選択的に作動させる複数のタンクを含み得る。ある実施態様において、入口140は、本明細書で説明したシステム100に供給するために定量ポンプ(図示せず)を介して互いに比例的にブレンドまたは混合され得る未処理製品102の異なる変形形態を提供する複数のタンクを含み得る。この材料は、比較的低酸性または高酸性の食品および飲料製品を含み得る。ある実施形態において、製品は、高酸性の食品または飲料製品である。高酸性の食品または飲料製品は、4.6以下のpHを有するものである。食品および飲料製品は、ジュース、混合ジュース、スムージー、茶、ブレンド茶、水製品、ココナッツ水製品、抽出物、または他の製品を含み得る。
【0052】
未処理製品は、弁103を通してシステム100内に制御可能に投入されてもよい。弁103は、システム100への未処理製品102の投入の制御された解除を可能にする、バタフライ弁、ボール弁、または他の機械的構成要素などの任意の好適な弁を含み得る。
【0053】
システム100に投入された時点で、ポンプ104は、未処理製品102を1つまたは複数の圧縮機106に向けて圧送するかまたは別様に強制的に送出してもよい。圧縮機106は、少なくとも一実施態様によれば、1つまたは複数の圧縮機106に製品を比較的均等に分配する分岐回路105の一部であってもよい。圧縮機106は、未処理材料102を加圧状態に動作可能に圧縮するように構成される。ある実施形態において、未処理製品は、60,000psi未満、または約20,000~60,000psi、または約30,000~60,000psiもしくは約40,000~60,000psi、または約45,000psiの圧力に加圧される。それゆえ、未処理製品102に加えられる圧力は、製品の従来のバッチ式高圧処理技術で使用される圧力よりも著しく低く、場合により、バッチ式高圧処理技術の圧力の僅か半分である。圧縮または加圧された製品はその後、1つまたは複数の圧縮機106の出口からの多数の流路が単一の流路に合流するように統合回路107に導かれてもよい。一実施態様によれば、加圧状態は、約25,000重量ポンド毎平方インチ以上、または約45,000重量ポンド毎平方インチ以上、または約60,000重量ポンド毎平方インチ以上の圧力である。他の圧力および工程パラメータについては、表1~表15を参照して以下に更に十分に説明する。
【0054】
単一の圧縮機が利用され得ることと、多数の圧縮機が利用され得ることと、図示のシステム100とは異なる可能性がある、流路のいくつかの異なる配置が利用され得ることを理解すべきである。例えば、多数の平行流路は、一実施態様に従って実現することができる。更に、単一の流路が実現される場合には、回路105および107が省略されてもよくまたは材料を採取するかもしくは抜き取るために使用可能であってもよい。
【0055】
追加的に、一実施態様によれば、比較的不活性なガスまたは他のガスは、加圧された製品をもたらすために製品を加圧するよりも先に、構成要素124を使用して未処理飲料中に注入されてもよい。本明細書で使用する場合、「比較的不活性なガス」という語句は、酸化性またはそのような他の特性が食品媒介病原体の減少の主原因ではない開示の工程で使用可能な任意のガスを指す。開示の工程によれば、これらの比較的不活性なガスは、食品媒介病原体に、食品媒介病原体内に、または食品媒介病原体全体にキャビテーションおよび追加の応力が及ぶのを補助する。そのようなガスは、二酸化炭素、アルゴン、亜酸化窒素、窒素、または他の好適なガスを含み得る。これらのガスは、本明細書で説明する連続工程を向上させてもよい。
【0056】
その後、加圧された製品は、所定または所望の時間にわたって1つまたは複数の保持セル108内に加圧状態で保持される。時間は、従来の均質化工程もしくは乳化工程または上で説明したバッチ工程などの任意の従来の工程よりも比較的長くてもよい。例えば、いくつかの実施態様によれば、時間は、約1分~約10分以上の範囲であってもよい。ある場合において、保持時間は、1分以上、3分以上、5分以上である。一実施態様によれば、所定の保持時間は約3~約6分である。一実施態様によれば、所定の保持時間は約6分である。他の実施態様によれば、所定の保持時間は約9分である。
【0057】
保持セル108は、始動弁110を通る周囲空気または気体放電の除去を可能にする方式で気体放電および周囲空気の集積を可能にしながら加圧された製品の規定の圧力を維持するように配設されてもよい。
【0058】
始動弁110および保持セル108の配置は、周囲空気および/または気体放電が、一実施態様による加圧された製品の流れに先行して上方に流れるような配置である。他の実施態様によれば、始動弁110は、保持セル108に近接した流路からの周囲空気または気体放電の除去を補助するために真空ポンプまたは他の装置を利用するように構成されてもよい。始動弁110および保持セルの他の配置も適用可能であり得る。追加的に、保持セル108の特定の例示的な形態が提供され、
図2Aおよび
図2Bを参照して以下で説明される。
【0059】
所定および/または所望の時間にわたって加圧状態にさらされた時点で、加圧された製品は、剪断および/またはキャビテーションセル112を使用して、減圧、非圧縮または別様に減圧されてもよい。本明細書で説明するように、時間(例えば、約1~10分間)にわたって圧力(例えば、約20,000~60,000psi)を加えることと、その後の1つまたは複数の剪断/キャビテーションセルを通じての製品の急速な減圧との組み合わせが、カビおよび酵母などの、食品腐敗微生物の実質的な減少(例えば、5~6対数減少)または排除に有効であることが判明している。その上、本明細書で説明する工程が、他の食品病原体または飲料製品病原体の減少(例えば、少なくとも2対数減少)に有効であることが判明している。
【0060】
剪断および/またはキャビテーションセルは、加圧された材料を受け入れて、その後、材料をキャビテーションおよび剪断などの応力にさらしながら材料を減圧するように動作する、オリフィスまたは開口部が配設された任意の構造構成要素を含む。キャビテーションおよび剪断は、概して剪断/キャビテーションセル112の入口および剪断/キャビテーションセル112の出口から流れる流路に沿って生じる。流路は、少なくとも1つの実施態様では、オリフィスと同軸であってもよい。概して、加圧された製品を剪断/キャビテーションセル112に通して減圧することに伴う乱流および応力は、約NRe=10^5の上限レイノルズ数により表すことができる。これは一般的な上限であり、乱流、剪断、キャビテーション、および他の応力の変化する量が、以下に提示する表1~表15から選択された特定の工程パラメータに応じて大幅に異なるレイノルズ数上限または閾値をもたらし得ることを理解すべきである。
【0061】
実施態様として、特定の剪断およびキャビテーションセル112は、加圧された材料を第1の端部で受け入れて減圧された材料を第2の端部から吐き出すように構成された均質化ユニットまたは乳化ユニットを含み得る。別の例として、剪断およびキャビテーションセル112は、加圧された製品を順次減圧するように構成された1つまたは複数の一連の弁を含み得る。各弁は、外観、大きさ、および機能が実質的に同様であってもよい。代替的に、異なる大きさおよび向きの弁またはオリフィスが実現されてもよい。剪断およびキャビテーションセル112は、1つの剪断およびキャビテーションセルの出口が次の剪断およびキャビテーションセルの入口を提供し得るように、流体の流路に沿って直列に配設されてもよい。剪断およびキャビテーションセルの数は、システム100の実施態様によって異なってもよい。ある実施態様において、剪断およびキャビテーションセル112の数は、2~15個であってもよい。ある実施態様において、剪断およびキャビテーションセル112の数は、4~12個であってもよい。ある実施態様において、剪断およびキャビテーションセル112の数は、6~11個であってもよい。いくつかの実施態様において、剪断およびキャビテーションセル112のセットは、流路に沿って平行に配設されてもよい。
【0062】
剪断/キャビテーションセル112の出口において、加圧された製品は、加圧状態と比較して非加圧状態に変換される。こうした加圧状態から非加圧状態への変換により、製品を構成する個々の成分に応力が及ぼされる。このような応力により、病原体を不活性化するかまたは少なくとも部分的に破壊するような方式で食品媒介病原体などの微視的生物病原体が阻害される。食品媒介病原体の阻害により、食品媒介病原体の有効数が、いくつかの状況下で消費者使用および消費のための一次包装のための安全限度内の量まで減少する。
【0063】
ある場合において、本明細書で説明するシステムおよび工程は、少なくとも1対数単位、または少なくとも2対数単位、または少なくとも3対数単位、または少なくとも4対数単位、または少なくとも5対数単位だけ液体中の生物の活性細胞数を減少させる。ある実施形態において、活性は、5対数単位を超えて減少する。ある実施形態において、少なくとも1つの生物の活性は、4~6対数単位減少する。ある場合において、活性細胞はカビを含む。ある実施形態において、活性細胞は、酵母を含む。ある実施形態において、活性細胞は、病原性細胞を含む。具体的な実施形態において、活性細胞は、少なくとも1つのグルコノバクター属細菌を含む。ある実施形態において、活性細胞は、少なくとも1つのバチルス属生物を含む。ある実施形態において、活性細胞は、少なくとも1つの酢酸菌を含む。ある実施形態において、活性細胞は、少なくとも1つのクロストリジウム属細菌を含む。ある実施形態において、活性細胞は、少なくとも1つの乳酸菌を含む。ある実施形態において、活性細胞は、少なくとも1つの大腸菌を含む。ある実施形態において、活性細胞は、少なくとも1つのサルモネラ菌を含む。ある実施形態において、活性細胞は、少なくとも1つのリステリア菌を含む。ある実施形態において、活性細胞は、食品または飲料の腐敗または製品の保存寿命の低下に寄与する1つまたは複数の活性細胞を含む。
【0064】
加圧された製品を保持セル108内に加圧状態で保持する作用と、剪断/キャビテーションセル112内で応力、剪断、およびキャビテーションにさらすこととの組み合わせにより食品媒介病原体を安全な量に減少させることに成功した後に、未加圧製品は、冷却構成要素114を通じて冷却され、吐出弁/逆止弁116を使用して処理済製品120として制御可能に吐出される。処理済製品120は最終製品タンクに供給されてもよい。最終製品タンクは、少なくとも30分間作動するよう、1分当たり600本の500mLボトルに充填するように構成された充填ラインを供給し得る10,000リットルのタンクであってもよい。追加的に、所望により、炭酸飲料が吐出口150において製造されるように構成要素122を通じてガスが注入されてもよい。剪断/キャビテーションセル112が、システム100により実現される任意の工程を通して冷却されるように、冷却または保冷構成要素114も剪断/キャビテーションセル112の周囲に一体に配設され得ることに留意されたい。
【0065】
ある場合において、冷却構成要素114は、好適な低温供給系温度で処理済製品120を提供するために、未加圧製品を冷却してもよい。処理済製品120は、包装された製品の充填ならびに顧客および/または消費者への配送の全体を通じて低温供給系温度で維持されてもよい。ある場合において、処理済製品120は、包装された食品または飲料製品を製造するために無菌充填工程を提供してもよい。低温供給系温度は、芽胞形成微生物などの、未加圧製品中の残留病原体の増殖が抑制され得る温度またはそれ未満の温度であってもよい。低温供給系温度は、芽胞形成体の増殖が抑制され得る温度またはそれ未満の温度であってもよい。例えば、低温供給系温度は、0℃~20℃であってもよい。ある場合において、低温供給系温度は、3℃~10℃である。ある場合において、低温供給系温度は、4℃~8℃である。
【0066】
よって、投入口140において投入された未処理製品102および吐出口150において吐出された処理済製品は、制御された連続的なパスカリゼーション工程にさらされる。未処理製品102は、これらの技術に従って処理されたときに、従来の低温殺菌工程では別様に失われ得るまたは低減され得る風味、口当たり、および質感などの有益な品質を保持する比較的未加工の天然ジュースまたは飲料製品であってもよい。
【0067】
上で説明したように、システム100は、食品媒介病原体が安全なレベルまで低減されるように比較的連続的な方式で制御されたパスカリゼーションを提供してもよい。システム100は、少なくとも加圧構成要素、保持セル、および剪断/キャビテーションセルを含み得る。剪断/キャビテーションセルはまた、減圧構成要素と呼ばれることもある。以下では、保持セル(複数可)108および剪断/キャビテーションセル(複数可)112の特定の例について、
図2A、
図2Bおよび
図3を参照して説明する。
【0068】
図2Aは、本明細書に開示する一構成による、
図1のシステムの保持セル構成108の図である。図示のように、保持セル108は、1つまたは複数の個々の蓄積セル202、204、206、および208を含み得る。蓄積セル202、204、206、および208は各々、内部に形成された空洞215を含み得る。空洞215は、特定の蓄積セルを通る流路と同軸の中心軸線を有する外側円筒壁211を含み得る。各空洞215は、加圧された材料が入口から出口に流れることを可能にするように配置された円錐台形入口および出口214を有し得る。実施態様では、本開示の範囲から逸脱することなく、入口と出口とを逆にしてもよい。追加的に、個々の蓄積セル202、204、206、および208は、蓄積セル202、204、206、および208ならびに関連する空洞215を大きく変形させずに加圧された材料の加圧状態を保持するように構成された強固な外壁213を含む。弁または接合構成要素218は、異なる連続工程が可能となるように、各蓄積セルを切断もしくは接続するかまたは場合により特定の蓄積セルを不作動にするために使用されてもよい。例えば、各蓄積セルは、図示の直列配置でではなくむしろ、加圧された流体を順次受け入れ、保持し、かつ吐出するように構成されてもよい。よって、蓄積セルの他の配置が適用可能であってもよく、本開示は図示した特定の形態に限定されるべきではない。
【0069】
図2Bは、本明細書に開示する一構成による、
図1のシステムの代替の保持セル構成108の図である。図示のように、代替の保持セル構成は、上で説明した所望の保持時間にほぼ等しい入口から出口までの規定の移動時間を提供するように配設された一定の長さの配管220を含み得る。その長さの配管は、螺旋状配置、傾斜配置、もしくは正弦波状配置、または配管の全長を形成するために多数の別個の長さの配管が接合されることを含む任意の望ましい方式で配設されてもよい。ある場合において、配管220の長さは、コイルの底部における1つまたは複数の圧縮機106からの入口とコイルの頂部における剪断/キャビテーションセル(複数可)112への出口とを備えたコイルとして形成されてもよい。コイルは、システム100において高圧にさらされる取付具の数が低減されるようにコイル状に曲げられる単一の長さのパイプから形成されてもよく、それにより、システム100の負担が増大する。周囲空気および/または気体放電の蓄積が適切に除去されることを可能にする配管の任意の配置が本開示に適用可能であり得ることが、当業者により理解される。
【0070】
加圧中に加わる応力に関して、
図3は、本明細書に開示する一構成による、
図1のシステムの剪断および/またはキャビテーションセル(複数可)を含む圧力解放構成要素112の図である。図示のように、剪断/キャビテーションセルは、圧力解放構成要素118の入口から出口に延びる流路の周りに配設された多数の圧力解放構成要素310を含む。概して、流路は、個々の各圧力解放構成要素に関連付けられたオリフィス311と同軸である。各構成要素310は、任意の所望の実施態様に応じて、外観および機能が同様であってもよく、または異なってもよい。追加的に、構成要素310の特定の数が大幅に変更されてもよい。したがって、開示の技術は、1つまたは複数の圧力解放構成要素310を含み得る。ある実施態様において、構成要素310の数は、2~15個であってもよい。ある実施態様において、構成要素310の数は、4~12個であってもよい。ある実施態様において、構成要素310の数は、6~11個であってもよい。構成要素310のセットは、直列に配設されるものとして示されているが、いくつかの実施態様では、流路に沿って平行に配設されてもよい。
【0071】
ある実施形態において、保持セルは、60,000psi未満、または約20,000~60,000psi、または約30,000~60,000psiまたは約40,000~60,000psi、または約45,000psiの圧力に加圧される。
【0072】
好適な圧力解放構成要素は、加圧された流体が第1の圧力でオリフィス311の一端部に流入して第1の圧力よりも低い第2の圧力でオリフィス311から流出することを可能にする、弁、環状ディスク、多孔板、または他の任意の好適な構成要素を含み得る。更に、関連するオリフィス311を流体が通過するときに、キャビテーションが発生することがある。キャビテーション発生時には、構成要素124を通じて注入される任意の補助ガスが、追加のキャビテーションを提供して、食品媒介病原体を破壊するのを補助してもよい。その上、オリフィス311を通って流れることにより生じる剪断応力が更に、食品媒介病原体を破壊し得る。累積的効果とみなされる場合、そのような工程、応力、剪断、キャビテーション、および補助ガスによる作用は、未処理製品102と比較して食品媒介病原体を大幅に減少させることができる。
【0073】
したがって、上に提示したように、保持セルおよび/または圧力解放構成要素のいくつかの実施態様が本開示に適用可能である。以下では、本明細書で説明する技術によるパスカリゼーションの方法について、
図4を参照して説明する。
【0074】
図4は、本明細書に開示する一構成による、連続高圧処理方法400のフローチャートである。方法400は、ブロック401において、システム100などの、パスカリゼーションシステムに製品を送り込む、投入する、または別様に導入することを含む。送り込みは、ポンプ104および/または弁103により促進されてもよい。
【0075】
方法400は、ブロック404において不活性ガスを製品に導入することを更に含む。ガスは、いくつかの実施態様では、構成要素124により注入されてもよい。代替的に、ガスが導入されなくてもよい。
【0076】
方法400は、ブロック406において、規定の圧力で加圧された製品をもたらすために製品を加圧することを含む。加圧された製品は、いくつかの実施態様では、構成要素124からのガスを含み得る。追加的に、製品を加圧することは、圧縮機106などの1つまたは複数の圧縮機を用いて製品を加圧することを含み得る。1つまたは複数の圧縮機106は、加圧後に統合回路107に合流することができる分岐回路105により確立された個々の流路により提供されてもよい。
【0077】
方法400はまた、ブロック408において、加圧された製品を所定または所望の保持時間にわたって規定の圧力で保持することを含む。保持は、上で説明したような配管および/または蓄積セルのいくつかの異なる配置を含むことができる、保持セル108により促進される。他の形態の保持は、単位体積当たりの流量の減速を含み得る。また、他の変形形態が適用可能であってもよい。
【0078】
ある実施形態では、流量は、500L/hr超、500~4000L/hrであり、ある下位実施形態では、流量は、1,000~3000L/hrであり、かつある下位実施形態では、約500L/hr、または約1,000L/hrもしくは約2,000L/hr、または約3,000L/hrである。ある実施形態では、処理流量を更に増加させるために多数のシステム100が存在してもよい。例えば、4つのシステム100は、各々が8,000L/hrの処理済製品の総生産量のために2,000L/hrの工程を提供するように配設されてもよい。
【0079】
方法400は、ブロック410において、減圧する製品を剪断、応力、およびキャビテーションにさらしながら、加圧された製品を減圧することを更に含む。剪断、応力、およびキャビテーションは、剪断/キャビテーションセル112により促進される。その後、未加圧製品は、保冷装置114において保冷され、ブロック412においてシステム100から吐出または別様に除去されてもよい。
【0080】
連続工程の利益を依然として維持しながら方法400が任意の所望の回数繰り返され得ることに留意されたい。例えば、
図5は、食品媒介病原体の所望の減少を達成するために製品のN回の通過回数を有する連続処理を可能にする代替的なシステム構成を提供する。
【0081】
図5に移ると、本明細書に開示する一構成による、食品および飲料製品の連続高圧処理のための直列化システム500の概略図が図示されている。システム500は、直列状に配設された、1つまたは複数のシステム100を含む。1つまたは複数のシステム100は、第1のシステムの吐出口が第2のシステムの投入口を提供するように配設される。このように、連続的なパスカリゼーション工程の技術的利点を保持しながら食品媒介病原体を許容レベルまで減少させるために、任意の数のパスカリゼーションシステムが直列化されてもよい。例えば、第1の投入口140’は、未処理製品102を受け入れてもよい。その後、吐出口150’が投入口140’’に提供されてもよい。この直列化は、最大N個の個々のパスカリゼーションシステム100に対して繰り返されてもよい。更に、個々の各パスカリゼーションシステムは、任意の所望の工程パラメータに基づいて動作させることができる。その上、個々の各パスカリゼーションシステム100は、構成要素124において注入すべき任意の所望のガスを含み得る。したがって、カスタマイズされた複数の工程が直列化されてもよい。これらのパラメータについての全ての可能な繰り返しの包括的な説明は、本説明で明確にするために本明細書では省略される。
【0082】
方法400において、システム500などの直列化システム構成を使用して、吐出された製品に関連する食品媒介病原体の所望または所要の減少を達成するためにいくつかの工程変形形態が実現され得ることに留意されたい。例えば、規定の範囲の圧力、保持時間、ガス注入、繰り返し/通過の回数、および他の工程変更を実現することができる。以下の表1~表15は、望ましい場合があるこれらの変形形態の組み合わせを確立する。
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【実施例】
【0098】
例
具体的な一例では、リンゴジュースに6.23対数の酵母およびカビを接種した。接種されたリンゴジュースを45,000psiで1分間加圧した後、接種されたリンゴジュースに2.1対数負荷のカビおよび酵母が残留していることが判明した。減圧処理されたリンゴジュースを製造するために、本明細書で説明した乳化セルにおいて、接種され加圧されたリンゴジュースを剪断および応力に更にさらした後に、加圧されたリンゴジュース中に残留するカビおよび酵母が0.0対数負荷であることが判明した。それゆえ、製品を保持時間(例えば、少なくとも1分間)にわたって圧力(例えば、45,000psi)にさらすことと、剪断/キャビテーションセルを介して、加圧された製品を急速な減圧にさらすこととの組み合わせにより、リンゴジュース中に存在するカビおよび酵母の6.23対数減少がもたらされたことが判明した。
【0099】
結論
前述の内容に基づいて、材料の連続高圧処理のための技術および、潜在的に、パスカリゼーションシステムの動作の他の態様が本明細書に提示されていることを認識すべきである。その上、本明細書に提示した主題について、特定のシステム配置および方法論的行為に特有の言語で説明してきたが、添付の特許請求の範囲で定義される本発明が本明細書で説明した具体的な特徴、行為、または媒体に必ずしも限定されるものではないことが理解されるべきである。むしろ、具体的な特徴、行為、および媒体は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示される。
【0100】
上で説明した主題は、単に例示として提供されているに過ぎず、限定的なものと解釈されるべきではない。更に、特許請求される主題は、本開示のいずれかの部分で述べたいずれかまたは全ての欠点を解決する実施態様に限定されるものではない。例示し説明した例示的な実施形態および用途に従うことなく、かつ以下の特許請求の範囲に記載されている、本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の修正および変更が、本明細書で説明した主題に対して行われ得る。