IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ヘリックスジャパンの特許一覧

<>
  • 特許-水素酸素混合ガス吸入装置 図1
  • 特許-水素酸素混合ガス吸入装置 図2
  • 特許-水素酸素混合ガス吸入装置 図3
  • 特許-水素酸素混合ガス吸入装置 図4
  • 特許-水素酸素混合ガス吸入装置 図5
  • 特許-水素酸素混合ガス吸入装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】水素酸素混合ガス吸入装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 33/14 20060101AFI20240405BHJP
   A61G 10/00 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
A61H33/14 A
A61G10/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022063164
(22)【出願日】2022-04-05
(65)【公開番号】P2023153714
(43)【公開日】2023-10-18
【審査請求日】2024-02-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515136616
【氏名又は名称】株式会社ヘリックスジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100224270
【弁理士】
【氏名又は名称】児嶋 秀平
(72)【発明者】
【氏名】有澤 生晃
(72)【発明者】
【氏名】江原 司郎
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/124067(WO,A1)
【文献】特開2018-15524(JP,A)
【文献】特開2017-46929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/14
A61G 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の健康状態を改善するための水素酸素混合ガス吸入装置であって、
水素供給器と、
酸素供給器と、
空気供給器と、
前記水素供給器と前記酸素供給器と前記空気供給器とに接続された混合器と、
前記混合器に接続された第1コンプレッサと、
前記第1コンプレッサに接続された流量調整器と、
前記流量調整器に接続された圧力容器と、
を備え、
前記水素供給器は、水素ガスを前記混合器に供給し、
前記酸素供給器は、酸素ガスを前記混合器に供給し、
前記空気供給器は、流量を調整した空気を前記混合器に供給し、
前記混合器は、前記水素供給器から供給される水素ガスと、前記酸素供給器から供給される酸素ガスと、前記空気供給器から供給される空気と、を混合した第1混合ガスを前記第1コンプレッサに供給し、
前記第1コンプレッサは、前記混合器から供給される前記第1混合ガスを圧縮した第2混合ガスを前記流量調整器に供給し、
前記流量調整器は、前記第1コンプレッサから供給される前記第2混合ガスの流量を調整した第3混合ガスを前記圧力容器に供給し、
前記圧力容器は、1気圧よりも高い内圧を維持し、
前記使用者は、前記圧力容器の内部において前記第3混合ガスを吸入する、
水素酸素混合ガス吸入装置。
【請求項2】
前記圧力容器に接続された第2コンプレッサと、
前記流量調整器に接続された吸入器と、
を備え、
前記第2コンプレッサは、圧縮空気を前記圧力容器内に供給し、
前記使用者は、前記吸入器を鼻部又は口部に装着して前記第3混合ガスを吸入する、
請求項1に記載の水素酸素混合ガス吸入装置。
【請求項3】
前記圧力容器に設置された圧力センサを備え、
前記圧力センサは、前記圧力容器の内圧の変化を検知して前記流量調整器に伝達し、
前記流量調整器は、前記圧力容器の内圧の変化に応じて前記第3混合ガスを吐出する圧力を変化させることにより、当該第3混合ガスが一定の流量を維持するよう自動調整する、
請求項1又は2に記載の水素酸素混合ガス吸入装置。
【請求項4】
前記圧力容器は、二以上の圧力容器ユニットを連結してなる、
請求項3に記載の水素酸素混合ガス吸入装置。
【請求項5】
人間の運動機能を改善するための筋力強化方法であって、
低酸素状態が維持された環境下で筋力トレーニングを実施するステップと、
請求項1に記載の水素酸素混合ガス吸入装置を使用するステップと、
を有する筋力強化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素酸素混合ガス吸入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者に疲労回復やリラックス効果をもたらす目的で、「酸素カプセル」や「酸素ボックス」等と呼ばれる装置が使用されてきている。通常、これらの装置は、密閉されたカプセル内に使用者を収容し、酸素濃度を高めた空気を送り込んで内圧を高めて、使用者の体内に効率的に酸素を吸収させるというものである。
【0003】
例えば、特許文献1は、一人の使用者がカプセル内に横たわるスタイルの酸素カプセルが一般的であるのに対し、数人が座った状態で使用できる程度に大型で、かつ分割して搬入することが可能な構造をもつ酸素カプセルを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018ー20097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、酸素濃度を高めた空気を吸入することには様々なメリットがある反面、健康に有害とされる活性酸素(ヒドロキシラジカル)が体内において増加するというデメリットもある。また、酸素カプセルのサイズが大きくなればなるほど、その内圧を十分に高めることは、医療用酸素ボンベを使用しない場合には難しい。
【0006】
そこで本発明は、水素と酸素と空気の混合ガス(以下、「水素酸素混合ガス」という)を必要かつ十分な流量で使用者に吸入させることによって、水素自体のもつ様々な健康改善効果に加えて、水素による活性酸素の低減効果を与えるとともに、圧力容器に十分な内圧を発生させることによって、水素酸素混合ガスの体内への吸収効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための第1の発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置は、水素供給器と、酸素供給器と、空気供給器と、前記水素供給器と前記酸素供給器と前記空気供給器とに接続された混合器と、前記混合器に接続された第1コンプレッサと、前記第1コンプレッサに接続された流量調整器と、前記流量調整器に接続された圧力容器と、を備え、前記水素供給器は、水素ガスを前記混合器に供給し、前記酸素供給器は、酸素ガスを前記混合器に供給し、前記空気供給器は、流量を調整した空気を前記混合器に供給し、前記混合器は、前記水素供給器から供給される水素ガスと、前記酸素供給器から供給される酸素ガスと、前記空気供給器から供給される空気と、を混合した第1混合ガスを前記第1コンプレッサに供給し、前記第1コンプレッサは、前記混合器から供給される前記第1混合ガスを圧縮した第2混合ガスを前記流量調整器に供給し、前記流量調整器は、前記第1コンプレッサから供給される前記第2混合ガスの流量を調整した第3混合ガスを前記圧力容器に供給し、前記圧力容器は、1気圧よりも高い内圧を維持し、前記使用者は、前記圧力容器の内部において前記第3混合ガスを吸入するものである。
【0008】
このような装置を使用して、水素酸素混合ガスを必要かつ十分な流量で吸入することによって、使用者は、水素自体のもつ様々な健康改善効果に加えて、水素による活性酸素の低減効果を得ることが可能となる。
【0009】
上記の課題を解決するための第2の発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置は、第1の発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置において、前記圧力容器に接続された第2コンプレッサと、前記流量調整器に接続された吸入器と、を備え、前記第2コンプレッサは、圧縮空気を前記圧力容器内に供給し、前記使用者は、前記吸入器を鼻部又は口部に装着して前記第3混合ガスを吸入するものである。
【0010】
このような装置を使用して、使用者が吸入する水素酸素混合ガスとは別に外部から供給される圧縮空気を用いて圧力容器に十分な内圧を発生させることによって、使用者は、比較的大型の圧力容器においても、水素酸素混合ガスの体内への吸収効率を高めることが可能となる。
【0011】
上記の課題を解決するための第3の発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置は、第1又は第2の発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置において、前記圧力容器に設置された圧力センサを備え、前記圧力センサは、前記圧力容器の内圧の変化を検知して前記流量調整器に伝達し、前記流量調整器は、前記圧力容器の内圧の変化に応じて前記第3混合ガスを吐出する圧力を変化させることにより、当該第3混合ガスが一定の流量を維持するよう自動調整するものである。
【0012】
このような装置を使用して、水素酸素混合ガスが常に必要かつ十分な流量に自動調整されることによって、使用者は、より安全、簡単かつ経済的に水素酸素混合ガスを吸入することが可能となる。
【0013】
上記の課題を解決するための第4の発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置は、第3の発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置において、前記圧力容器は、二以上の圧力容器ユニットを連結してなるものである。
【0014】
このような装置を使用して、任意の台数の圧力容器ユニットを連結することによって、設置場所の広狭に応じて最適な大きさの水素酸素混合ガス吸入装置を柔軟に設置することが可能となる。
【0015】
上記の課題を解決するための第5の発明に係る筋力強化方法は、人間の運動機能を改善するための筋力強化方法であって、低酸素状態が維持された環境下で筋力トレーニングを実施するステップと、第1の発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置を使用するステップとを有するものである。
【0016】
このような方法を使用することによって、使用者は、使用者は通常大気環境下で筋力トレーニングを行うよりも早く効率的に筋力を強化することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、使用者は、水素酸素混合ガスを必要かつ十分な流量で吸入することによって、水素自体のもつ様々な健康改善効果に加えて、水素による活性酸素の低減効果を得るとともに、圧力容器に十分な内圧を発生させることによって、水素酸素混合ガスの体内への吸収効率を高めることが可能となる。また、早く効率的に筋力を強化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置の第1実施形態の構造を示す図である。
図2】水素による活性酸素の低減効果を示すグラフである。
図3】本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置の第2実施形態の構造を示す図である。
図4】本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置の第3実施形態の構造を示す図である。
図5】本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置の第4実施形態の外観を示す図である。
図6】本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置の第5実施形態である筋力強化方法の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。
【0020】
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置の第1実施形態の構造を示す図である。本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置は、使用者の健康状態を改善する目的で用いられる。なお、本発明において「使用者」とは人間を指すが、第1実施形態においては必ずしも人間に限らずペット等の小動物も含むものとする。
【0021】
図1に示すように、本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置1は、水素供給器2と、酸素供給器3と、空気供給器4と、混合器5と、第1コンプレッサ6と、流量調整器7と、圧力容器8とを含む。
【0022】
水素供給器2には、水を電解分解する方式による水素発生装置を主に使用する。水素発生装置は、毎分1リットル以上の水素ガス供給能力を持つことが望ましい。また、このような水素発生装置に代えて、医療用の水素ボンベ等を使用してもよい。
【0023】
酸素供給器3には、空気中の窒素をゼオライトに吸着させて酸素濃度を上げる方式による酸素濃縮装置を主に使用する。酸素濃縮装置は、酸素濃度70%以上かつ毎分5リットル以上の酸素ガス供給能力を持つことが望ましい。また、このような酸素濃縮装置に代えて、医療用の酸素ボンベ等を使用してもよい。
【0024】
空気供給器4には、供給する空気の流量をキャブレタ等の機構により調整可能な装置を使用する。
【0025】
水素供給器2と、酸素供給器3と、空気供給器4は、それぞれが混合器5に接続されている。混合器5は、水素供給器2から供給される水素ガス10と、酸素供給器3から供給される酸素ガス11と、空気供給器4から供給される空気12とを混合した水素酸素混合ガス(以下、「第1混合ガス」という)13を生成する。
【0026】
この際、空気供給器4から供給される空気12の流量を調整することにより、水素ガス10と酸素ガス11の混合ガスを希釈して、水素濃度が爆発限界に達しない程度の安全な第1混合ガス13を生成する。なお、空気供給器4による空気流量の調整は手動で行うこともできるが、混合器5に設置した水素濃度センサと連携させることにより自動で行うこととしてもよい。
【0027】
混合器5は、生成した第1混合ガス13を第1コンプレッサ6に供給する。第1コンプレッサ6は、混合器5から供給される第1混合ガス13を圧縮し、圧力を高めた第2混合ガス14を流量調整器7に供給する。第1コンプレッサ6には、第2混合ガス14がオイルミストで汚染されないようオイルレスコンプレッサを主に使用するが、第2混合ガスを清浄に保つことができるならば他の方式のコンプレッサを使用してもよい。
【0028】
流量調整器7は、第1コンプレッサ6から供給される第2混合ガス14の流量を適正な値に調整した第3混合ガス15を圧力容器8に供給する。
【0029】
このように、混合器5で生成した第1混合ガス13を圧力容器8に直接に供給するのではなく、第1コンプレッサ6及び流量調整器7を経由させた第3混合ガスを圧力容器8に供給する理由は、次の通りである。
【0030】
すなわち、人間の1回の呼吸に必要かつ十分な空気の流量は、毎分約10リットルである。しかしながら、水素供給器2として水を電気分解する方式による水素発生装置を使用し、かつ、酸素供給器3として空気中の窒素をゼオライトに吸着させて酸素濃度を上げる方式による酸素濃縮装置を使用する場合は、両装置から供給される水素ガス10及び酸素ガス11の圧力は、混合器5で生成する第1混合ガス13の流量を毎分約10リットルに確保するのに十分ではない。
【0031】
そこで、第1コンプレッサ6によって第1混合ガス13を圧縮し、流量を毎分10リットル以上に高めた第2混合ガス14とし、さらに流量調整器7によって第2混合ガス14の流量を、圧力容器の内圧にかかわらず常に毎分約10リットルの適正値となるよう調整可能とする必要があるのである。
【0032】
したがって、水素供給器2として医療用水素ボンベを使用し、かつ、酸素供給器3として医療用酸素ボンベを使用する場合には、第1混合ガス13は十分高い流量となるため、第1コンプレッサ6によって第1混合ガス13の圧力をさらに高める必要はない。しかしながらこの場合にも、流量調整器7による第1混合ガス13の流量調整は必要である。毎分約10リットル以上の流量を圧力容器8に供給しても、人間が呼吸できる流量を超える水素及び酸素の過剰な供給は経済的に無駄だからである。
【0033】
圧力容器8は気密性が保たれた容器であり、1気圧よりも高い内圧を維持する。そして、使用者9はこの圧力容器8の内部において、流量調整器7から供給される必要かつ十分な流量が確保された第3混合ガスを吸入するのである。
【0034】
圧力容器8の内圧を高く維持する理由は、人間の動脈血酸素分圧はその人間を取り巻く大気圧が高るほど上昇するからである。すなわち、医療分野においては以下の計算式が経験的に確認されている。
動脈血酸素分圧(mmHg) = ( 760 - 47 ) x 0.21 - 40 / 0.8
上式において、右辺の 760mmHg(1気圧)を増加させるほど、左辺の動脈血酸素分圧は増加する。よって、高気圧環境下において、体内への酸素吸収はより効率的になされるのである。なお、水素についても同様の関係が成り立つことが推定される。
【0035】
なお、圧力容器8の内圧を2気圧以上に維持する場合は、本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置1は医療機器としての安全性を確保するための様々な規制を受けることとなる。したがって、圧力容器8の内圧は1.9気圧とするのが最も経済的である。もちろん、さらなる健康状態改善効果をより重視して2気圧以上としてもよい。
【0036】
また、圧力容器8の内圧を高める方法は、第1実施形態においては、第3混合ガス15の供給による。この方法によれば、水素供給器2として水を電気分解する方式による水素発生装置を使用し、かつ、酸素供給器3として空気中の窒素をゼオライトに吸着させて酸素濃度を上げる方式による酸素濃縮装置を使用する場合は、十分な内圧を維持するためには、圧力容器8のサイズは人間1人用又は小動物用の比較的小型のものとなる。
【0037】
換言すれば、圧力容器の容積が小さくなる程、内圧を高く維持することが可能となる。したがって、本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置をペット等の小動物用として使用する場合には、圧力容器8を小動物専用の小型カプセルとするのが効率的である。
【0038】
次に、本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置において、酸素ガスに加えて、水素ガスを吸入することの主な効果について説明する。
【0039】
酸素濃度を高めた空気を吸入することには様々なメリットがある反面、健康に有害とされる活性酸素(ヒドロキシラジカル)が体内において増加するというデメリットもある。水素は、有害な活性酸素のみを選択的に低減する効果を有している。
【0040】
すなわち、活性酸素には、動脈硬化や遺伝子損傷の原因となる有害なヒドロキシラジカルと、細菌やウイルスと戦う有益な過酸化水素等がある。体内に吸収された水素は、この有害なヒドロキシラジカルのみに作用してこれを消去し、有益な過酸化水素等にはほとんど作用しないことが認められているのである。
【0041】
図2は、水素による活性酸素の低減効果を示すグラフである。図2に示すように、体内に吸収された水素は、有害なヒドロキシラジカルを約40%まで低減する一方、有益な過酸化水素にはほとんど作用しない。このことは、同様に活性酸素の低減効果を有するビタミンCが、有害なヒドロキシラジカルだけでなく、有益な過酸化水素にも作用してしまうことと好対照をなすものである。
【0042】
以上が、本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置の第1実施形態である。このような装置を使用して、水素酸素混合ガスを必要かつ十分な流量で吸入することによって、使用者は、水素自体のもつ様々な健康改善効果に加えて、水素による活性酸素の低減効果を得ることが可能となるのである。
【0043】
<第2実施形態>
図3は、本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置の第2実施形態の構造を示す図である。図3に示すように、本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置1は、水素供給器2と、酸素供給器3と、空気供給器4と、混合器5と、第1コンプレッサ6と、流量調整器7と、圧力容器8と、第2コンプレッサ31と、吸入器32とを含む。すなわち、第2実施形態は、上記第1実施形態に、第2コンプレッサ31と、吸入器32とを付加したものである。
【0044】
第2実施形態において、第2コンプレッサ31は、圧縮空気33を圧力容器8に供給する。この方法により、第3混合ガス15の供給によって圧力容器8の内圧を高める第1実施形態の加圧方法に比べて、より容易に圧力容器8の内圧を高めることが可能となる。これにより、複数の使用者9を収容できる大型の圧力容器8においても、その内部において十分な高気圧環境を実現することが可能となるのである。
【0045】
一方、この第2コンプレッサによる加圧方法によれば、圧力容器8の内圧を高めるのは圧縮空気である。したがって、このままでは流量調整器7から圧力容器8に供給される第3混合ガス15が圧力容器内で希釈されてしまい、使用者9は必要かつ十分な濃度の水素及び酸素を吸入することができなくなる。
【0046】
そこで、第2実施形態においては、使用者9は流量調整器7に接続された吸入器32を鼻部又は口部に装着して、希釈されない第3混合ガス15を直接吸入するのである。ここで使用する吸入器32は、使用者の鼻部及び口部を覆う吸入マスクや鼻腔に挿入するカニューラが適しているが、第3混合ガス15を直接吸入できるものであれば他の器具でもよい。
【0047】
以上が、本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置の第2実施形態である。このような装置を使用して、第3混合ガス15とは別に外部から供給される圧縮空気33を用いて圧力容器に十分な内圧を発生させることによって、使用者9は、比較的大型の圧力容器8においても、第3混合ガス15に含まれる水素及び酸素の体内への吸収効率を高めることが可能となるのである。
【0048】
<第3実施形態>
図4は、本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置の第3実施形態の構造を示す図である。図4に示すように、本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置1は、水素供給器2と、酸素供給器3と、空気供給器4と、混合器5と、第1コンプレッサ6と、流量調整器7と、圧力容器8と、第2コンプレッサ31と、吸入器32と、圧力センサ41とを含む。すなわち、第3実施形態は、上記第2実施形態に、圧力センサ41を付加したものである。
【0049】
第3実施形態において、圧力センサ41は圧力容器8に設置され、圧力容器8の内圧の変化を検知して、その圧力情報42を流量調整器7に時間差なく伝達する。流量調整器7は、受け取った圧力情報42を解析し、圧力容器8の内圧の変化に応じて第3混合ガス15を吐出する圧力を変化させる。
【0050】
すなわち、第2コンプレッサから供給される圧縮空気33によって、圧力容器8の内圧が上昇すると、第3混合ガス15の流量を毎分約10リットルの適正値に維持するためには、圧力容器8の内圧上昇に応じて第3混合ガス15の吐出圧力を高めなければならない。
【0051】
第3実施形態においては、この流量調整が手動ではなく自動で行われるように流量調整器7に所要のプログラムを施す等によって、使用者9が吸入器32を通じて吸入する第3混合ガス15の流量を常に必要かつ十分な適正値に維持することができるのである。このような流量調整器7には、例えば比例電磁弁を使用することができる。
【0052】
以上が本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置の第3実施形態である。このような装置を使用して、吸収する第3混合ガス15の流量を常に必要かつ十分な適正値へと自動調整することによって、使用者9は、より安全、簡単かつ経済的に水素酸素混合ガスを体内に吸収することが可能となる。
【0053】
<第4実施形態>
図5は、本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置の第4実施形態の外観を示す図である。図5に示すように、第4実施形態においては、任意の台数の圧力容器ユニット51による連結型圧力容器52を組立可能な構造とすることによって、設置場所の広狭に応じて最適なサイズの水素酸素混合ガス吸入装置を柔軟に設置することが可能となる。
【0054】
<第5実施形態>
図6は、本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置の第5実施形態である筋力強化方法の手順を示す図である。この筋力強化方法は、人間の運動機能を改善することを目的とするものである。
【0055】
図6に示すように、使用者は、低酸素状態が維持された環境61の下で筋力トレーニング62を行う。大気中の酸素濃度が約21%であるのに対し、この筋力トレーニング62を行う環境における酸素濃度は、標高3000メートルでの高地トレーニングに相当する約14%に維持されていることが望ましいが、高齢者や初心者等の場合は安全上の観点から18%程度に緩和してもよい。
【0056】
また、筋力トレーニング62は、主に速筋性筋肉を養成するための無酸素運動であることが望ましい。後述する筋繊維の超回復66の効果がより現れるのは速筋性筋肉においてだからである。このような筋力トレーニング62により、使用者は筋繊維の損傷63を効率的に得ることができる。
【0057】
使用者は、このような筋力トレーニング62を行い筋繊維の損傷63を得た上で、本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置64を使用する。すなわち、水素酸素混合ガス吸入装置64を構成する圧力容器内の高気圧環境下において、必要かつ十分な水素酸素混合ガスの吸入65を効率的に行うことによって、筋繊維の超回復66を促すのである。
【0058】
このような手順の反復67により、使用者は通常大気環境下で筋力トレーニングを行うよりも短期間に効率的に筋力を強化することが可能となる。以上が本発明に係る水素酸素混合ガス吸入装置の第5実施形態である筋力強化方法である。
【0059】
以上に説明した第1~第5実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明はその要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明により、人間やペットの健康状態や運動機能の効率的な改善が可能となる。今後、我が国のみならず欧米・アジアの国々において超高齢社会化が急速に進展するのに伴い、健康状態や運動機能の効率的な改善に関するニーズはますます高まると予測される。よって、本発明は産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0061】
1 水素酸素混合ガス吸入装置
2 水素供給器
3 酸素供給器
4 空気供給器
5 混合器
6 第1コンプレッサ
7 流量調整器
8 圧力容器
9 使用者
10 水素ガス
11 酸素ガス
12 空気
13 第1混合ガス
14 第2混合ガス
15 第3混合ガス
31 第2コンプレッサ
32 吸入器
33 圧縮空気
41 圧力センサ
42 圧力情報
51 圧力容器ユニット
52 連結型圧力容器
61 低酸素環境
62 筋力トレーニング
63 筋繊維損傷
64 水素酸素混合ガス吸入装置
65 水素酸素吸入
66 筋繊維超回復
67 手順の反復
図1
図2
図3
図4
図5
図6