(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】排水機能および固定機能のための二重機能機構を備える充電ソケット
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20240405BHJP
H01R 13/74 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
H01R13/52 D
H01R13/52 B
H01R13/74 J
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022111503
(22)【出願日】2022-07-12
【審査請求日】2022-07-25
(31)【優先権主張番号】102021000018752
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519223712
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ イタリア ディストリビューション エッセ エッルレ エッレ
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】フルヴィオ アメリオ
(72)【発明者】
【氏名】デミス スピンチッチ
(72)【発明者】
【氏名】アリアンナ スポルヴェラート
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207098132(CN,U)
【文献】特開昭50-145892(JP,A)
【文献】特表2016-526777(JP,A)
【文献】中国実用新案第212676521(CN,U)
【文献】国際公開第2018/092646(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/40-13/533
H01R13/56-13/72
H01R13/73-13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電ソケット(1000)であって、
電気絶縁ハウジング(1001)と、
前記ハウジング(1001)に収容されている、1つまたは複数の電気コンタクトを挿入するための1つまたは複数のキャビティ(300、300’)と、
前記電気絶縁ハウジング(1001)の外面から部分的に突出する二重機能要素(100)を備え、
前記二重機能要素(100)は、固定コンポーネント(110)と排水コンポーネント(120)とを含み、前記固定コンポーネント(110)は、前記電気絶縁ハウジング(1001)から突出し、前記電気絶縁ハウジング(1001)を取付ブラケット(200)に固定するように構成され、前記排水コンポーネント(120)は、前記ハウジング(1001)内に形成された、前記充電ソケット(1000)から流体を排出するための少なくとも1つの排水溝(121)を含み、
前記充電ソケット(1000)は、前記電気絶縁ハウジング(1001)に取り付けられた前記取付ブラケット(200)をさらに備え、
前記ブラケット(200)を前記電気絶縁ハウジング(1001)に留めるために、前記ブラケット(200)は、前記固定コンポーネント(110)が挿入される固定開口(220)を含み、
前記ブラケット(200)は、平坦保護部(210)をさらに含み、前記ブラケット(200)が前記電気絶縁ハウジング(1001)に取り付けられたときに、前記平坦保護部(210)が前記排水コンポーネント(120)を覆って、外部物体が前記ハウジング(1001)に入ることを防ぐように構成されており、
前記平坦保護部(210)は、前記固定開口(220)が開口する前記ブラケット(200)の面に隣接して配置されていることを特徴とする、充電ソケット。
【請求項2】
前記固定コンポーネント(110)は、前記取付ブラケット(200)の相手側装着部(221)に装着するように構成されている突出面(111)を含む、請求項1に記載の充電ソケット(1000)。
【請求項3】
前記固定コンポーネント(110)は、前記取付ブラケット(200)の対応する前記固定開口(220)に挿入するように構成されている突出面(111)を含む、請求項1に記載の充電ソケット(1000)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの排水溝(121)は少なくとも2つの排水溝(121)を含み、前記少なくとも2つの排水溝(121)は、互いに隣接し、2つの長辺と2つの短辺とを持つ矩形部分を有する排水コンポーネント(120)を形成し、前記固定コンポーネント(110)の前記突出面(111)は、前記排水コンポーネント(120)の2つの長辺のうちの一方の外方に突出する、請求項2に記載の充電ソケット(1000)。
【請求項5】
前記突出面(111)は、前記1つまたは複数のキャビティ(300、300’)に近い前記排水コンポーネント(120)の長辺の外方に突出する、請求項4に記載の充電ソケット(1000)。
【請求項6】
前記ブラケット(200)を前記電気絶縁ハウジング(1001)に留めるために、前記ブラケット(200)は、前記固定コンポーネント(110)が装着される装着部(221)をさらに含む、請求項1に記載の充電ソケット(1000)。
【請求項7】
前記ブラケット(200)は入口開口(230)をさらに含み、前記入口開口(230)は、前記電気絶縁ハウジング(1001)の前記1つまたは複数のキャビティ(300、300’)に対応して配置され、1つまたは複数の電気コンタクトを前記1つまたは複数のキャビティ(300、300’)に挿入できるようになっている、請求項1に記載の充電ソケット(1000)。
【請求項8】
前記固定開口(220)が開口する前記ブラケット(200)の前記面は、前記1つまたは複数のキャビティ(300、300’)が延びる軸方向に対して傾斜した前記ブラケット(200)の外側面である、請求項1に記載の充電ソケット(1000)。
【請求項9】
前記固定開口(220)に挿入するように構成されている前記固定コンポーネント(110)の突出面(111)は、前記1つまたは複数のキャビティ(300、300’)が延びる軸方向に対して傾斜した部分を有する少なくとも1つの支持リブ(112)を備える、請求項1に記載の充電ソケット(1000)。
【請求項10】
前記充電ソケット(1000)は、ハイブリッド車両または電気車両用の充電ソケット(1000)である、請求項1に記載の充電ソケット(1000)。
【請求項11】
車両のシャシに取り付けられている請求項1~10のいずれか一項に記載の充電ソケット(1000)を備える、ハイブリッド車両または電気車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気車両またはハイブリッド車両用の充電ソケットに関する。特に、本発明は、充電ソケットに入った水を排出するための排水手段と、充電ソケットを取付ブラケットに固定するための固定手段とをさらに備える、電気車両またはハイブリッド車両用の充電ソケットに関する。より詳細には、本発明は、電気車両またはハイブリッド車両用の充電ソケットであって、排水手段および固定手段が単一の二重機能機構に実装される充電ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、ハイブリッド車両または電気車両用の充電ソケットに、コンタクトチャンバから流体を排出するための排水要素と、充電ソケットを相手側ブラケットなどの相手側コンポーネントに固定するための固定要素とを設けることが知られている。実際に、ハイブリッド車両または電気車両用の充電ソケットは、通常、高電圧で動作し、原則として水沫および水分との接触が避けられないため、充電ソケットに入った水を排出するための排水要素を充電ソケットに設ける必要がある。さらに、充電ソケットを外部環境から保護するために、充電ソケットを相手側ブラケットに組み付ける必要があり得る。
【0003】
本出願人の特許出願であるWO2015/004053A1は、例えば、コンタクトチャンバを備える充電ソケットであって、コンタクトチャンバの各々が排水開口を有し、コンタクトチャンバに入った流体(気体または液体)を、この排水開口を通して排出することができる、充電ソケットについて記載している。排水開口の各々は対応する排水要素に開口し、この排水要素は、例えばホースに流体を導くことができる排出接続部分に通じている。排水要素は通常、排水要素に異物が入ることを防ぐための保護キャップを必要とする。さらに、電力コンタクト要素を保護するために、充電ソケットは相手側カバーを有することができる。
【0004】
別個の要素を形成する固定部と排水管とを備える充電ソケットのさらなる例が、特開2019-160809、WO2018/091422A1、およびWO2018/092646A1に開示されている。
【0005】
先行技術において知られている充電ソケットにおいて、固定要素と排水要素とは、別個のコンポーネントとして形成され、大きい寸法を有し、製造に大量のプラスチックを必要とするため、環境に与える影響が大きい。さらに、固定要素と排水要素とは、成形が難しく、製造に複雑な工具を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上記の問題を考慮して、本発明の目的は、固定要素と排水要素とが、両方の機能を実行することができる単一のコンポーネントとして成形される、充電ソケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、充電ソケットであって、排水要素と、充電ソケットを相手側コンポーネントに固定するための固定要素とを備え、排水要素と固定要素とは一体に成形される、充電ソケットに関する。
【0008】
本発明の実施形態によれば、例えばハイブリッド車両または電気車両用の充電ソケットであって、
電気絶縁ハウジングと、
ハウジングに収容されている、1つまたは複数の電気コンタクトを挿入するための1つまたは複数のキャビティと、
電気絶縁ハウジングの外面から部分的に突出する二重機能要素と
を備える充電ソケットが提供される。
【0009】
二重機能要素は、固定コンポーネントと排水コンポーネントとを含み、固定コンポーネントは、電気絶縁ハウジングから突出し、電気絶縁ハウジングを取付ブラケットに固定するように構成され、排水コンポーネントは、ハウジング内に形成された、充電ソケットから流体を排出するための少なくとも1つの排水溝を含む。
【0010】
この構成の利点は、二重機能要素が、二重機能、すなわち、排水機能と、取付ブラケットへの固定機能とを予め形成する一体成形部分であることである。このようにして、充電ソケットの全体の寸法を縮小し、充電ソケットを製造するための成形プロセスを簡略化および高速化し、充電ソケットの製造に必要なプラスチックの量を低減させる。したがって、時間および製造コストが削減される。
【0011】
本発明による充電ソケットのハウジングは、例えば射出成形技術を使用して、適切な電気絶縁性で、機械的に安定した劣化しにくいプラスチック材料から製造される。
【0012】
二重機能要素は、電気絶縁ハウジングの下面に形成されることが好ましい。実際に、二重機能要素は、充電ソケットから流体を排出するための少なくとも1つの排水溝を含み、流体は重力によって排水溝の内部を流れる。したがって、二重機能要素が充電ソケットの下面に配置され、流体が重力によって流れる傾向があることが好ましい。
【0013】
本発明のさらなる実施形態によれば、固定コンポーネントは、取付ブラケットの相手側装着部に装着するように構成されている突出面を含む、充電ソケットが提供される。
【0014】
この構成は、突出面を含む固定コンポーネントを簡単に成形することができ、充電ソケットのハウジングと取付ブラケットとを組立構成で維持するために、固定コンポーネントを取付ブラケットの相手側装着部に効率的に装着することができるため、有利である。
【0015】
本発明のさらなる実施形態によれば、固定コンポーネントは、取付ブラケットの対応する固定開口に挿入するように構成されている突出面を含む、充電ソケットが提供される。
【0016】
この構成は、突出面を含む固定コンポーネントを簡単に成形することができ、充電ソケットのハウジングと取付ブラケットとを組立構成で維持するために、固定コンポーネントを取付ブラケットの対応する固定開口に効率的に挿入することができるため、有利である。
【0017】
本発明のさらなる実施形態によれば、少なくとも2つの排水溝が形成され、これらの排水溝は、互いに隣接し、2つの長辺と2つの短辺とを持つ矩形部分(矩形断面、rectangular section)を有する排水コンポーネントを形成し、固定コンポーネントの突出面は、排水コンポーネントの2つの長辺のうちの一方の外方に突出する、充電ソケットが提供される。
【0018】
この構成の利点は、排水コンポーネントと固定コンポーネントとが境界面を共有し、したがって、排水コンポーネントと固定コンポーネントとを充電ソケットの外面に沿って分離させる必要がなく、充電ソケットの全体の寸法を縮小することができることである。このようにして、製造時間およびコストを削減することができ、成形プロセスを簡略化することができる。二重機能要素は、突出面を共有する排水コンポーネントと固定コンポーネントとを含むため、車両側の充電ソケットの面と充電プラグ側の充電ソケットの面との間の距離を短縮することができる。
【0019】
排水溝は、直交形状を有することができ、一連の隣接する排水溝が形成されると、結果として得られる排水コンポーネントが略矩形部分を有することができるようになっていることが好ましい。したがって、排水コンポーネントは、2つの平行な長辺と2つの平行な短辺とを持つ矩形部分を有する。2つの長辺のうちの一方に対応して、突出面を形成することができる。突出面は、充電ソケットハウジングの外方に突出することができ、2つの長辺のうちの一方の全長に沿って延びることができる。この好ましい実施形態によれば、突出面は、排水コンポーネントの境界面を形成することができ、取付ブラケットの相手側装着部に固定する固定部を形成することもできる。
【0020】
本発明のさらなる実施形態によれば、突出面は、1つまたは複数のキャビティに近い排水コンポーネントの長辺の外方に突出する、充電ソケットが提供される。
【0021】
この構成の利点は、充電ソケットハウジングに対する取付ブラケットの組立プロセスが簡略化および高速化されることである。実際に、突出面は、充電ソケットが取り付けられる車両のシャシから分離されているため、ユーザは突出面を容易に取り扱うことができる。
【0022】
本発明のさらなる実施形態によれば、電気絶縁ハウジングに取り付けられたブラケットをさらに備え、ブラケットを電気絶縁ハウジングに留めるために、ブラケットは、固定コンポーネントが装着される装着部を含む、充電ソケットが提供される。
【0023】
この構成の利点は、電気絶縁ハウジングに取り付けられたブラケットによって、充電ソケットが外部環境から保護されることである。さらに、ハウジングを、ブラケットを介して車のシャシに固定することができ、ブラケットは、車内灯をさらに保持することができ、車内灯のLEDがハウジング内に位置する。
【0024】
ブラケットは、充電ソケットを封じ込めるように構成され、充電ソケットの固定コンポーネントが装着される装着部によって、充電ソケットに留められる。このようにして、充電ソケットハウジングとブラケットとの相互位置が固定され、動作中に維持される。実際に、充電ソケットは、使用中に機械的振動を受けるため、ブラケットを充電ソケットの電気絶縁ハウジングに確実に固定し取り付ける必要がある。
【0025】
好ましい実施形態によれば、固定コンポーネントは突出面を含み、ブラケットを突出面の周りに旋回可能に取り付けることによって、ブラケットは充電ソケットハウジングに組み付けられる。ブラケットとハウジングとが組み立てられると、固定コンポーネントの突出面はブラケットの相手側装着部に当接することができ、このようにして、ブラケットを充電ソケットハウジングに確実に留めることができることが好ましい。
【0026】
本発明のさらなる実施形態によれば、ブラケットを電気絶縁ハウジングに留めるために、ブラケットは、固定コンポーネントが挿入される固定開口をさらに含む、充電ソケットが提供される。
【0027】
この構成の利点は、電気絶縁ハウジングに取り付けられたブラケットによって、充電ソケットが外部環境から保護されることである。さらに、ハウジングを、ブラケットを介して車のシャシに固定することができ、ブラケットは、車内灯をさらに保持することができ、車内灯のLEDがハウジング内に位置する。
【0028】
ブラケットは、充電ソケットに取り付けられて、ハウジングの固定コンポーネントがブラケットの固定開口に挿入され、ブラケットが電気絶縁ハウジングに留められ、充電ソケットの動作中に正しい位置に維持されるようになっていることが好ましい。実際に、充電ソケットは、使用中に機械的振動を受けるため、ブラケットを充電ソケットの電気絶縁ハウジングに確実に固定し取り付ける必要がある。
【0029】
例示的な構成において、固定開口は固定コンポーネントよりも大きくてよく、固定コンポーネントは固定開口に挿入され、その後、固定開口の支持部によって保持されるようになっている。別の例示的な構成において、ブラケットを充電ソケットハウジングにさらに良好に留めることを保証するために、固定開口は、固定コンポーネントの正確な装着を可能にするような寸法を有することができる。
【0030】
本発明のさらなる実施形態によれば、ブラケットは、平坦保護部をさらに含み、ブラケットが電気絶縁ハウジングに取り付けられたときに、平坦保護部が排水コンポーネントを覆って、外部要素がハウジングに入ることを防ぐように構成されている、充電ソケットが提供される。
【0031】
この構成は、排水コンポーネントの特別で完全な保護をもたらし、外部要素がハウジングに入ってハウジングを損傷させることを防ぎ、それでも水流が排水コンポーネントを通って充電ソケットから出ることを可能にするため、有利である。さらに、この構成の利点は、排水コンポーネントが取付ブラケットによって直接覆われるため、従来技術のように排水溝を覆う保護キャップを使用する必要がないことである。本発明のさらなる実施形態によれば、ブラケットは入口開口をさらに含み、この入口開口は、電気絶縁ハウジングの1つまたは複数のキャビティに対応して配置され、1つまたは複数の電気コンタクトを1つまたは複数のキャビティに挿入できるようになっている、充電ソケットが提供される。
【0032】
この構成は、充電ソケットが、取付ブラケットに組み付けられ、外部環境から保護されていながら、それでも電気コンタクトを収容し、電気的接続を提供する機能を実行することができるという利点を有する。実際に、電気コンタクト用のキャビティは、ブラケットによって覆われず、電気コンタクトをキャビティに容易に挿入することができる。
【0033】
本発明のさらなる実施形態によれば、車両のシャシに取り付けられている前述した充電ソケットを備える、ハイブリッド車両または電気車両が提供される。
【0034】
この構成の利点は、ハイブリッド車両または電気車両に取り付けられる充電ソケットがより小型になり、より取り扱いやすくなることである。
【0035】
添付図面を参照しながら、本発明について説明する。図中、同一の参照数字および/または記号は、機械の同一の部品ならびに/または同様および/もしくは対応する部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】固定要素と排水要素とが単一のコンポーネントとして成形されている、本発明の実施形態による充電ソケットの概略立体図である。
【
図2】本発明の実施形態による、充電ソケットのブラケットの概略立体図である。
【
図3】本発明の実施形態による、ブラケットをさらに備える充電ソケットの概略立体図である。
【
図4】本発明の実施形態による、ブラケットをさらに備える充電ソケットの概略断面図である。
【
図5】固定要素と排水要素とが別個のコンポーネントとして成形されている、従来技術による充電ソケットの概略立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下で、添付図面に示す特定の実施形態を参照しながら、本発明について説明する。それにもかかわらず、本発明は、以下の詳細な説明に記載され図面に示す特定の実施形態に限定されず、代わりに、記載される実施形態は、添付の特許請求の範囲によってその範囲が定義される、本発明のいくつかの態様を単に例示する。
【0038】
本発明のさらなる修正および変形が、当業者には明らかであろう。したがって、本説明は、添付の特許請求の範囲によってその範囲が定義される、本発明のすべての修正および/または変形を含むものとして考慮されなければならない。
【0039】
簡単にするために、図中、同一または対応するコンポーネントは、同一の参照数字で示される。
【0040】
図1は、本発明の実施形態による、例えばハイブリッド車両または電気車両用の充電ソケット1000の概略斜視図である。
【0041】
本発明の実施形態による充電ソケットの構造について、以下の段落で簡単に概説する。この構造は、例えば、参照により内容全体が本明細書に組み込まれているWO2015/004053A1に、より詳細に記載されている。特に、WO2015/004053A1に記載されたハウジング102、コンタクト要素112を備えるコンタクトチャンバ108、および充電ソケット100の排水溝132a~132eの内部構造を、本発明にも採用することができる。例えば、WO2015/004053A1に記載されたコンタクトチャンバ108の構造を本発明のキャビティ300、300’にも採用することができ、WO2015/004053A1に記載された排水溝132a~132eの構造を本発明の排水溝121にも採用することができる。
【0042】
本発明の実施形態による充電ソケット1000はハウジング1001を備え、このハウジング1001は、射出成形技術を使用して電気絶縁プラスチック材料から製造することができる。ハウジング1001は組付けプレート1002を有し、この組付けプレート1002から実際の挿入ソケットが部分的に突出する。充電ソケット1000は、電気コンタクトを受け入れるための複数のキャビティ300、300’を備え、特に、
図1では、ACコンタクトを受け入れるための5つのキャビティ300とDCコンタクトを受け入れるための2つのキャビティ300’とが示されている。しかしながら、任意の数のAC電気コンタクトおよび/またはDC電気コンタクトを充電入口1000に形成することができることを理解されたい。
【0043】
充電ソケット1000のキャビティ300、300’の各々は、排水開口122(
図4の充電ソケット1000の断面図に見られる)を有し、この排水開口122を通して、コンタクトチャンバに入った気体または液体などの流体を排出することができる。
【0044】
本発明の実施形態による充電ソケット1000において、各排水開口122が、ハウジング材料から製造された対応する排水溝121に開口している。各排水溝121は、全面に沿って閉じられ、キャビティ300、300’ごとに別々に構成されている。
【0045】
例示および非限定の目的で、4つの排水溝121が
図1に示されている。しかしながら、任意の数の排水溝121、例えば1つ、2つ、3つ、5つ以上の排水溝121を形成してもよいことが明らかである。
【0046】
各排水溝121は、略直交部分を有し、少なくとも1つの面を隣接する排水溝121と共有する。このようにして、
図1の実施形態において4つの排水溝121を含む排水コンポーネント120は、2つの平行な長辺と2つの平行な短辺とを持つ略矩形部分を有する。排水コンポーネント120の一方の長辺(
図1の構成においてキャビティ300、300’に近い長辺)に対応して、突出面111が形成されている。突出面111は、ハウジング1001の外方に突出し、取付ブラケット200を充電ソケット1000のハウジング1001に留めるための固定コンポーネント110を形成する。
図1に示す突出面111は、支持リブ112によってさらに支持され、この支持リブ112は、固定コンポーネント110に高い頑強性と機械的安定性とを与える。
【0047】
したがって、充電ソケット1000は、下面に形成された二重機能要素100を備え、この二重機能要素100は、充電ソケット1000の下方に突出する突出面111を共有する固定コンポーネント110と排水コンポーネント120とを含む。したがって、二重機能要素100は、充電ソケット1000のハウジング1001の内部に部分的に形成され(排水溝121がハウジング1001の内部でコンタクトチャンバに接続されるため)、ハウジング1001から部分的に突出する(突出面111が充電ソケット1000の下方に突出するため)。
【0048】
本開示において、好ましい向きは重力によって定義され、「上」、「下」、「上方」、「下方」などの用語は、重力に従って定義されることを理解されたい。実際に、流体が、重力によって排水溝121内を流れ、排水コンポーネント120から出ることが明らかである。充電ソケット1000は、後方に向かって斜めに配されるように、ハイブリッド車両または電気車両に配置されていることが好ましい。したがって、流体は、車両の後方に向かって傾斜することが好ましい排水溝121内を流れる。したがって、排水コンポーネント120は、充電ソケット1000の下面に位置して、流体が充電ソケット1000から出るようにすることが好ましい。
【0049】
図1に見られるように、組付けプレート1002に固締開口1003がさらに設けられ、この固締開口1003を通して、充電ソケット1000を、リベットまたはねじによって車両のシャシに接続することができる。
【0050】
図2は、本発明の実施形態による、充電ソケット1000に取り付けられるブラケット200の概略斜視図である。取付ブラケット200は、充電ソケット1000のハウジング1001の形状に一致する受入部240を含み、この受入部240は、電気絶縁ハウジング1001を収容し、電気絶縁ハウジング1001が水分、水、または埃などの外部要素に直接晒されないよう保護するように構成されている。取付ブラケット200は、電気絶縁ハウジング1001のキャビティ300、300’に挿入される電気コンタクトを受け入れるための主入口開口230をさらに含む。
【0051】
ブラケット200の外面のうちの1つは固定開口220を含み、この固定開口220は、ブラケット200とハウジング1001とを正しい相互位置に維持するために、充電ブラケット1000の固定コンポーネント110に係合する装着部221を有する。
【0052】
固定開口220を含むブラケット200の外面は、排水コンポーネント120に対応する保護部210をさらに含んで、埃または水などの外部物体が排水溝121に入ることを防ぐ。
【0053】
ブラケット200は、ブラケット200を車両のシャシに接続するためのリベットまたはねじを受け入れる固締部250をさらに含むことができる。
【0054】
電気絶縁ハウジング1001は、取付ブラケット200の受入部240に挿入され、入口開口230がキャビティ300、300’に位置合わせされ、固定開口220が充電ソケット1000の固定コンポーネント110に対応して配置されるようになっている。
図3は、本発明の実施形態による、取付ブラケット200をさらに備える充電ソケット1000の概略斜視図である。
【0055】
ブラケット200を、異なる目的でハウジング1001に組み付けることができる。例えば、ハウジング1001を、ブラケット200を介して車のシャシに固定することができ、ブラケット200は車内灯を保持することができ、車内灯のLEDがハウジング1001内に位置する。さらに、
図3に見られるように、ブラケット200が充電ソケット1000に取り付けられたときに、保護部210が充電ソケット1000の排水コンポーネント120を覆うため、ブラケット200を使用してハウジング1001を外部要素から保護することができる。ハウジング1001に取り付けられたブラケット200が排水溝121を塞がないため(
図3および
図4参照)、ブラケットは、ハウジング1001を外部要素から保護することができ、それでも水流が排水溝121を通ることができ、有利である。
【0056】
ブラケット200と電気絶縁ハウジング1001との機械的装着が、
図4の本発明による充電ソケット1000の概略断面図に示されている。
【0057】
電気絶縁ハウジング1001が取付ブラケット200の受入部240に挿入された後、固定コンポーネント110の突出面111は、固定開口220に挿入され、突出面111を支持および保持するブラケット200の装着部221に装着されて、ハウジング1001とブラケット200とを正しい相互位置に維持する。
【0058】
図5に、従来技術による充電ソケット2000の概略斜視図が比較のために示されている。従来技術による充電ソケット2000は、充電ソケット2000を取付ブラケット200に固定するための固定要素2100と、排水要素2200とを備え、これらは2つの別個のコンポーネントとして成形されている。したがって、成形プロセスがより難しく、より大量のプラスチックを必要とするため、製造時間およびコストが増加する。さらに、排水要素2200を覆って、外部要素が排水溝に入ることを防ぐための保護キャップ2210が必要である。
【0059】
本発明により構成された好ましい物理的実施形態に関して本発明を説明したが、上記の教示に照らして、本発明の趣旨および意図した範囲から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で、本発明の様々な修正、変形、および改良を行うことができることが当業者には明らかであろう。
【0060】
例えば、電気車両またはハイブリッド車両用の充電ソケットについて説明していても、本発明による解決策を、水分または塩分を含む雰囲気中であっても十分な空気およびクリープ電流抵抗(creep current resistance)および水の除去を保証しなければならない他のプラグ型コネクタに使用してもよいことが明らかである。
【0061】
加えて、記載された本発明を不必要に曖昧にしないために、当業者が精通していると考えられる分野については本明細書で説明していない。したがって、本発明は、特定の例示的な実施形態によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものと理解されたい。
【符号の説明】
【0062】
100 二重機能要素
110 固定コンポーネント
111 突出面
112 支持リブ
120 排水コンポーネント
121 排水溝
122 排水開口
200 ブラケット
210 保護部
220 固定開口
221 装着部
230 入口開口
240 受入部
250 固締部
300、300’ キャビティ
1000 充電ソケット
1001 ハウジング
1002 組付けプレート
1003 固締開口
1110 開口
2000 従来技術による充電ソケット
2100 従来技術による固定要素
2200 従来技術による排水要素
2210 従来技術による保護キャップ