(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】モデル正規化動き補償医用画像再構成
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20240405BHJP
A61B 6/50 20240101ALI20240405BHJP
【FI】
A61B6/03 550L
A61B6/03 560J
A61B6/03 570B
A61B6/50 500B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022112334
(22)【出願日】2022-07-13
(62)【分割の表示】P 2019507925の分割
【原出願日】2017-08-22
【審査請求日】2022-08-10
(32)【優先日】2016-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】グラス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ビップス ロルフ ディーター
(72)【発明者】
【氏名】スラン アクセル
(72)【発明者】
【氏名】バーガー クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェムバー マニンドラナス
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン ケヴィン マーティン
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-517113(JP,A)
【文献】特表2014-524017(JP,A)
【文献】特表2005-528157(JP,A)
【文献】特表2015-506774(JP,A)
【文献】特開平10-232928(JP,A)
【文献】特表2006-521118(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0163095(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用撮像システムであって、
複数の命令を記憶するメモリと、
前記メモリに結合されるプロセッサであって、
セグメント化される少なくとも1つの解剖学的構造に適合される解剖学的モデルの外
側の対応する画像の部分をマスクする複数の再構成体積位相画像の各再構成体積位相画像のためのマスクを構成するステップであって、前記複数の再構成体積位相画像は、投影データから再構成される複数の時間的
近隣位相
及び目標位相を含む、ステップと、
前記マスクされる再構成体積位相画像をレジストレーションするステップと、
前記レジストレーションされるマスクされる再構成体積位相画像に基づいて前記解剖学的モデルによって、前記目標位相と前記複数の時間的
近隣位相との間の動きを推定するステップと、
前記レジストレーションされるマスクされる再構成体積位相画像の前記推定される動きを使用して、前記投影データから動き補償医用画像を再構成するステップと
を実行させる複数の命令を実行するように構成される、
プロセッサと
を有
し、
前記動き補償医用画像が再構成された後に、前記セグメント化される少なくとも1つの解剖学的構造は、切り取られ、非動き補償医用画像に貼り付けられ、動き補償されていない解剖学的構造を置き換える、
医用撮像システム。
【請求項2】
前記再構成体積位相画像において血管構造を強化する血管強化フィルタ、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記投影データが、コンピュータ断層撮影投影データを含む、請求項1乃至2のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの解剖学的構造が、心臓、肺及び内臓空洞からなるグループからの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記モデルが、解剖学的心臓モデル、解剖学的肺モデル及び内臓空洞解剖学的モデルからなるグループからの少なくとも1つを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記内臓空洞解剖学的モデルが、対象の内部器官を囲む表面を含み、骨及び周囲組織を除く、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
対象の周りのX線放射線源の単一の回転内で前記投影データを取得するCTスキャナ、
を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記投影データが、対象及び金属物体を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記金属物体が、電極、リード線、縫合糸、ホチキス、胸骨ワイヤ及びこれらの組み合わせからなるグループからの少なくとも1つを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
医用撮像システムの作動方法であって、前記医用撮像システムは、複数の命令を記憶するメモリと、前記メモリに結合されるプロセッサとを有し、
前記プロセッサが、セグメント化される少なくとも1つの解剖学的構造に適合される解剖学的モデルの外側の対応する画像の部分をマスクする複数の再構成体積位相画像の各再構成体積位相画像のためのマスクを構成するステップであって、前記複数の再構成体積位相画像は、投影データから再構成される複数の時間的近隣位相及び目標位相を含む、ステップと、
前記プロセッサが、前記マスクされる再構成体積位相画像をレジストレーションするステップと、
前記プロセッサが、前記レジストレーションされるマスクされる再構成体積位相画像に基づいて前記解剖学的モデルによって、前記目標位相と前記複数の時間的近隣位相との間の動きを推定するステップと、
前記プロセッサが、前記レジストレーションされるマスクされる再構成体積位相画像の前記推定される動きを使用して、前記投影データから動き補償医用画像を再構成するステップと
を有し、
前記動き補償医用画像が再構成された後に、前記セグメント化される少なくとも1つの解剖学的構造は、切り取られ、非動き補償医用画像に貼り付けられ、動き補償されていない解剖学的構造を置き換える、
方法。
【請求項11】
前記構成するステップが、
前記セグメント化された少なくとも1つの解剖学的構造から所定の距離だけ前記マスクを拡張するステップ、
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記再構成体積位相画像と、
前記マスクされた再構成体積位相画像と、
からなるグループの少なくとも1つにおいてフィルタを用いて血管構造を強化するステップを含む、請求項10乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの解剖学的構造が、心臓、肺及び内臓空洞からなるグループからの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
対象の周りのCTスキャナのX線放射線源の単一の回転内で前記投影データを取得するステップ、
を含む、請求項10乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記投影データが、対象及び金属物体を含む、請求項10乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記金属物体が、電極、リード線、縫合糸、ホチキス、胸骨ワイヤ及びこれらの組み合わせからなるグループからの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項10乃至16のいずれか一項に記載の方法を実行するように1以上のプロセッサを制御するソフトウェアを持つ非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
動き補償コンピュータ断層撮影(CT)を再構成する医用撮像システムの作動方法において、
前記医用撮像システムが、CT投影データの少なくとも1つの解剖学的構造の目標位相及び複数の時間的近隣位相における体積位相画像を再構成するステップと、
前記医用撮像システムが、モデルを前記少なくとも1つの解剖学的構造にフィットするモデルベースのセグメンテーションを使用して前記再構成体積位相画像の各々において前記少なくとも1つの解剖学的構造をセグメント化するステップと、
前記医用撮像システムが、前記フィットされたモデルの表面に対する所定の距離だけ外側である対応する画像の部分をマスクする各再構成体積位相画像に対するマスクを構成するステップと、
前記医用撮像システムが、各マスクされた再構成体積位相画像をフィルタリングして、非マスク領域において血管構造を強化するステップと、
前記医用撮像システムが、前記マスクされた再構成体積位相画像を弾性位置合わせするステップと、
前記医用撮像システムが、前記弾性位置合わせされたマスクされた再構成体積位相画像に基づいて前記フィットされたモデルによって前記目標位相と前記複数の時間的近隣位相との間で動きを推定するステップと、
前記医用撮像システムが、前記弾性位置合わせされたマスクされた再構成体積位相画像の前記推定された動きを使用して前記CT投影データから前記目標位相における動き補償CT画像を再構成するステップと
を有し、
前記動き補償CT画像が再構成された後に、前記セグメント化される少なくとも1つの解剖学的構造は、切り取られ、非動き補償CT画像に貼り付けられ、動き補償されていない解剖学的構造を置き換える、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、広くは、医用撮像に関し、より具体的には、動き補償コンピュータ断層撮影(CT)再構成に関し、陽電子放出断層撮影(PET)、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)、磁気共鳴(MR)、CアームCT、及びこれらの組み合わせのような、他のタイプの撮像モダリティにも適している。
【背景技術】
【0002】
動き補償再構成は、ぼけ(blurring)及び縞(streaks)のような再構成画像における動きアーチファクトを除去することを求める。動きアーチファクトは、典型的には、画像再構成中に対象内の、心臓の動き及び/又は呼吸運動のような、周期的な動きを補償することにより除去され、不随意運動のタイプを補償することができる。例えば、動き補償CT再構成は、冠動脈疾患を数値化するのに冠動脈造影において使用されることができる。このような例において、撮像手順は、対象の周りの放射線源の240°以上の単一の回転内で取得されることができるような、最小のX線照射被ばくでの動きアーチファクトなしの画像を対象にする。前記回転は、体積再構成に対する十分な投影データを提供する。しかしながら、単一の回転内で取得された投影データは、動きを含む。
【0003】
投影データは、典型的には心電図(ECG)モニタ及び呼吸モニタ等のような1以上の動きモニタの使用を含むプロスペクティブ及び/又はレトロスペクティブにゲーティングされた取得を使用して取得される。前記モニタは、典型的には、電極のような感知素子からのリード線を含み、前記リード線は、前記感知素子を接続し、監視装置に信号を伝達する。動き補償再構成に対する典型的なアプローチは、各再構成された多相画像の全体的な体積の間の弾性位置合わせを使用する。すなわち、動きベクトルが、各位相画像(phase image)内に存在する全体的な撮像された体積の弾性移動に基づいて計算される。
【0004】
図1Aは、器官の動きによるものではなく、患者上の電極の存在及び前記電極に対する対象のまわりの放射線源の角度位置による縞アーチファクトを持つ同じ対象の3つの心臓CT画像を示す。(左から右へ)第1の画像において、縞は、電極の高強度の点から発し、5時の方向に向けて広がる。第2の画像において、縞は、7時の方向に向けて広がり、第3の画像において、縞は、9時の位置に向けて広がる。前記画像内の縞の位置の変化は、前記多相画像の体積の間の弾性位置合わせにおける前記計算された動きベクトルを変化させる動きの外観を模倣する。
図1Bは、3つの画像にわたって同じ概念を図式的に示す。各図式化された画像は、内臓の空洞102を持つ胴部100の断面のような対象の一部を含み、各画像は、胴部100の表面の外側の金属の物体104及び縞アーチファクト106を含む。各画像内の縞アーチファクト106は、胴部の表面の内側に延在し、可変角度範囲再構成により生成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここに記載された態様は、上記の問題等に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下は、モデル正規化(regularized)動き補償再構成を記載する。動き位相画像は、投影データから再構成される。前記動き位相画像内の解剖学的構造は、心臓モデル及び/又は肺モデルのようなフィットされた解剖学的モデルを使用してセグメント化される。体積マスクは、各位相画像に対して構成され、位置合わせにおいて前記フィットされた解剖学的モデル及び/又は解剖学的構造の外側にある各位相画像の部分をマスクする。一部の実施例において、前記マスクは、前記フィットされたモデルの外側の所定の距離を含むように拡張される。動きは、位置合わせされたマスクされた位相画像から推定される。動き補償画像は、前記推定された動きを補償して前記投影データから再構成される。フィルタは、血管構造を強化するのに使用されることができる。
【0007】
以下は、簡潔さのためにCTシステムに関して記載される。しかしながら、方法及びシステムは、PET、SPECT、MR、CアームCT、及びこれらの組み合わせのような他の医用撮像モダリティに適している。
【0008】
一態様において、医用撮像システムは、マスキングユニットと、画像位置合わせユニットと、動き推定器と、動き補償再構成器とを含む。前記マスキングユニットは、複数の再構成体積位相画像の各再構成体積位相画像に対するマスクを構成し、前記マスクは、セグメント化された少なくとも1つの解剖学的構造にフィットされた解剖学的モデルの外側である対応する画像の部分をマスクし、前記複数の再構成体積位相画像は、投影データから再構成された目標位相及び複数の時間的近隣位相を含む。前記画像位置合わせユニットは、前記マスクされた再構成体積位相画像を位置合わせする。前記動き推定器は、前記位置合わせされたマスクされた再構成体積位相画像に基づいて前記モデルによって前記目標位相と前記複数の時間的近隣位相との間の動きを推定する。前記動き補償再構成器は、前記位置合わせされたマスクされた再構成体積位相画像の前記推定された動きを使用して前記投影データから動き補償された医用画像を再構成する。
【0009】
他の態様において、動き補償医用画像再構成の方法は、複数の再構成体積位相画像の各再構成体積位相画像に対するマスクを構成するステップを含み、前記マスクが、セグメント化された少なくとも1つの解剖学的構造にフィットされた解剖学的モデルの外側である対応する画像の部分をマスクし、前記複数の再構成体積位相画像が、投影データから再構成された目標位相及び複数の時間的近隣位相を含む。前記マスクされた再構成体積位相画像は、位置合わせされる。前記目標位相と前記複数の時間的近隣位相との間の動きは、前記位置合わせされたマスクされた再構成体積位相画像に基づいて前記モデルによって推定される。動き補償された医用画像は、前記位置合わせされたマスクされた再構成体積位相画像の前記推定された動きを使用して前記投影データから再構成される。
【0010】
他の態様において、動き補償コンピュータ断層撮影(CT)再構成の方法は、CT投影データから対象の少なくとも1つの解剖学的構造の目標位相及び複数の時間的近隣位相における体積位相画像を再構成するステップを含む。前記少なくとも1つの解剖学的構造は、前記少なくとも1つの解剖学的構造に前記モデルをフィットするモデルベースのセグメンテーションを使用して前記再構成体積位相画像の各々においてセグメント化される。マスクは、各再構成体積位相画像に対して構成され、前記フィットされたモデルの表面に対する所定の距離の外側である対応する画像の部分をマスクする。各マスクされた再構成体積位相画像は、フィルタリングされ、これは、非マスク領域において血管構造を強化する。前記マスクされた再構成体積位相画像は、弾性的に位置合わせされる。動きは、前記弾性的に位置合わせされたマスクされた再構成体積位相画像に基づいて前記フィットされたモデルによって前記目標位相と前記複数の時間的近隣位相との間で推定される。動き補償CT画像は、前記弾性的に位置合わせされたマスクされた再構成体積位相画像の前記推定された動きを使用して前記CT投影データから前記目標位相において再構成される。
【0011】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施例を参照して説明され、明らかになる。
【0012】
本発明は、様々なコンポーネント及びコンポーネントの構成、並びに様々なステップ及びステップの構成の形を取りうる。図面は、好適な実施例を説明する目的のみであり、本発明を限定するように解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】電極からのアーチファクトを含む、対象の周りの撮像放射線源の異なる回転位置における再構成心臓CT画像の二次元ビューの例を示す。
【
図2】モデル正規化動き補償再構成を用いる医用撮像システムの一実施例及び検査領域の分解断面図を概略的に示す。
【
図3】マスクされた再構成体積位相画像の一実施例を概略的に示す。
【
図4】対象の画像においてフィットされた内臓空洞モデル及び別の図における対応する内臓空洞モデルの前面図及び側面図の一例を示す。
【
図5】モデル正規化動き補償医用画像再構成の方法の一実施例をフローチャートで示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図2を参照すると、モデル正規化動き補償再構成システムを持つ医用撮像システム200の一実施例が、示される。
図2は、検査領域の分解断面
図202を示す。対象204は、ECG監視装置208の電極及びリード線のような金属物体206とともに図示される。
【0015】
CTスキャナ210のような医用撮像スキャナは、前記検査領域内の対象204の一部の投影データ212を取得する。CTスキャナ210は、前記検査領域内で対象204の周りを回転するX線放射線源214を含む。X線放射線源214は、前記検査領域内の対象204の一部を横切り、投影データ212を生成する検出器216により検出されるX線放射線を発する。投影データ212は、電極、リード線、縫合糸、ホチキス、及び胸骨ワイヤ等又はこれらの組み合わせのような、前記検査領域内に存在する金属物体206を含む。
【0016】
CTスキャナ210は、心臓及び/又は肺のような解剖学的構造220の目標動き位相、並びに前の動き位相及び後の動き位相のような複数の時間的近隣動き位相において投影データ212を取得するように構成される。ゲーティングされた再構成の一例は、2010年1月7日にWO/2010/073147として発行された"GATED IMAGE RECONSTRUCTION"において見つけられることができる。目標位相は、40%及び50%等のように、r波に対して示されることができる。一実施例において、投影データ212は、240°以上である対象204の周りの線源214の単一の回転内で取得される。一部の例において、単一の回転内で投影データ212を取得することは、対象204による放射線被ばくを最小化する。投影データ212は、レトロスペクティブ又はプロスペクティブにゲーティングされることができる。例えば、投影データ212は、対応する動きセンサ測定とともにタイムスタンプ及び記憶されることができ、投影データ212の一部は、再構成に対してレトロスペクティブに選択された目標及び時間的近隣位相に対応する。他の例において、投影データ212は、目標及び時間的近隣位相によってプロスペクティブに制限及びビニングされることができる。
【0017】
位相再構成器226は、投影データ212から動き位相画像228を再構成する。動き位相画像228は、各々対応する動き位相による、体積画像である。動き位相画像228は、目標位相画像及び複数の時間的近隣位相画像を含む。
【0018】
セグメンタ230は、動き位相画像228の各々において1以上の解剖学的構造をセグメント化し、対応する解剖学的モデルを前記セグメント化された解剖学的構造にフィットさせる。例えば、心臓は、心臓モデルによって前記目標位相画像においてセグメント化され、肺は、肺モデルによってセグメント化される。他の例において、内臓空洞は、内臓空洞モデルによってセグメント化される。モデル232は、前記解剖学的構造の外面に対応する表面を含む。例えば、メッシュモデルは、前記セグメント化された心臓の外面にフィットされる。モデル232は、変形可能又は弾性表面を提供する。
【0019】
マスキングユニット234は、セグメント化された解剖学的構造220、222、224及び/又はフィットされたモデルの外側である対応する画像の部分をマスクする各再構成体積位相画像に対する体積マスク236を構成する。マスキングユニット234は、前記セグメント化された少なくとも1つの解剖学的構造から所定の距離だけ前記マスクを拡張することができる。一部の例において、前記マスクされた画像は、金属物体206による縞アーチファクトにより影響を受けた前記画像の部分をマスク又は除去する。
【0020】
画像再構成ユニット238は、前記マスクされた再構成体積位相画像を位置合わせする。画像の弾性位置合わせの適切な例は、"Elastic Image Registration"米国特許8326086において見つけられることができる。一実施例において、前記位置合わせは、各マスクされた再構成体積位相画像の間の変形可能なマッピングを持つ弾性位置合わせを含む。他の実施例において、前記位置合わせは、各マスクされた再構成体積位相画像の前記セグメント化された解剖学的構造の間の変形可能なマッピングを持つ弾性位置合わせを含む。前記マッピングは、変換行列、動き場ベクトル等として表されることができる。
【0021】
動き推定器240は、前記モデルによって前記位置合わせされたマスクされた再構成体積位相画像の各々の間の動きを推定する。前記動きは、剛体及び/又は非剛体運動であることができる。一部の例において、前記動き推定は、動いていない金属物体206からの縞アーチファクトによる見かけの運動を除外する。例えば、動き推定器240は、各動き位相によって動き場ベクトルを推定する。
【0022】
一実施例において、血管強化フィルタ242は、再構成体積位相画像212において血管構造を強化する。一実施例において、血管強化フィルタ242は、前記マスクされた再構成体積位相画像において血管構造を強化する。組み合わせが考えられる。血管強化フィルタ242は、エッジ強化のような、当技術分野において既知である血管強化技術を使用して実施されることができる。
【0023】
動き補償再構成器244は、前記位置合わせされたマスクされた再構成体積位相画像の前記推定された動きを使用してCT投影データ212から、動き補償された心臓CT画像のような、動き補償されたCT画像246を再構成する。動き補償再構成の適切な例は、"Motion compensated CT reconstruction of high contrast objects"米国特許8184883において見つけられることができる。再構成された動き補償CT画像246は、表示装置256に表示される及び/又は画像保管通信システム(PACS)、部門別放射線情報システム(RIS)、電子医療記録(EMR)等のような、記憶サブシステムに記憶されることができる。
【0024】
位相再構成器226、セグメンタ230、マスキングユニット234、画像再構成ユニット238、動き推定器240、血管強化フィルタ242、及び動き補償再構成器244は、コンピューティングデバイス252の1以上のプロセッサ250のような、1以上の設定されたプロセッサにより適切に実装される。設定されたプロセッサ250は、開示された位相再構成、セグメンテーション、マスク構成、血管強化、位置合わせ、動き推定、及び動き補償再構成技術を実行するように、コンピューティングデバイス252のメモリ254のようなコンピュータ可読記憶媒体に記憶された少なくとも1つのコンピュータ可読命令を実行し、前記コンピュータ可読記憶媒体は、一時的媒体を除き、物理メモリ及び/又は他の非一時的媒体を含む。前記設定されたプロセッサは、搬送波、信号又は他の一時的媒体により運ばれる1以上のコンピュータ可読命令を実行してもよい。コンピューティングデバイス252は、ワークステーション、ラップトップ、タブレット、スマートフォン、身体着用コンピューティングデバイス、サーバ等を有することができる。図面に表されたコンポーネントの間の線は、有線又は無線であることができる通信経路を表す。
【0025】
コンピューティングデバイス252は、コンピュータディスプレイ、プロジェクタ、身体着用ディスプレイ等のような表示装置256と、マウス、キーボード、マイクロフォン、タッチ又はジェスチャインタフェース等のような1以上の入力装置258とを含む。コンピューティングデバイス252は、デジタルプロセッサ、マイクロプロセッサ、電子プロセッサ、光学プロセッサ、マルチプロセッサ、ピアツーピア又は協調的に動作するプロセッサを含むプロセッサの分布、及びプロセッサのクライアント‐サーバ構成等のような1以上のプロセッサ250を含む。
【0026】
図3を参照すると、マスクされた再構成動き位相画像300の一実施例が、概略的に示されている。マスクされた再構成動き位相画像300は、再構成動き位相体積画像228から構成される。マスクされた再構成動き位相画像300は、フィットされた解剖学的モデルによってセグメント化された解剖学的構造220を含む。例えば、選択された位相における心臓位相画像において、前記画像は、マスクされた心臓の外側である前記画像の部分とともに心臓を含む。前記画像のマスクされた部分310は、0ハウンスフィールド単位(HU)、ヌル値等にセットされた画像値を含むことができる。
【0027】
前記マスクを拡張することは、マスクされていない、セグメント化された構造及び/又は解剖学的モデルの周りのマージン320を含む。例えば、前記モデルの表面からの直交する投影、2.5ピクセルのマージンを使用して、非マスク部分は、心臓と、2.5ピクセルの心臓の表面の周りのマージンを含む。一部の例において、前記マスクされた画像を使用することは、前記位置合わせと、心臓及び/又は肺の実際の変形可能な動きに対して推定された計算された動きとを分離し、同時に既存の画像位置合わせアルゴリズム及び動き計算を許可する。
【0028】
図4を参照すると、対象の画像断面においてフィットされた内臓空洞モデル420及び別のビュー530における対応する内臓モデルの前面
図400及び側面
図410の一例が、図示される。内臓空洞モデル420は、肺、肝臓、心臓、結腸、胃、及び前立腺等のような対象の内部器官を限定し、筋肉、脂肪、並びに肋骨、椎骨、骨盤骨及び股関節のような骨の周囲組織を除外するメッシュ表面モデルを含む。前記対象の生体構造にフィットされた内臓空洞モデル420は、前記フィットされたモデル又は拡張されたフィットされたモデルに制限される、前記マスクされた位置合わせによって推定された動きにより前記動きを制約又は正規化する。
【0029】
図5を参照すると、モデル正規化動き補償CT再構成の方法の一実施例が、フローチャートで示される。500において、投影データ212が受信される。投影データ212は、CTスキャナ210から直接的に受信されることができる。投影データ212は、PACS、RIS及びEMS等のような記憶サブシステムから受信されることができる。
【0030】
510において、体積位相画像228が、投影データ212から再構成される。体積位相画像228は、心臓、肺、及びこれらの組み合わせ等のような解剖学的構造の目標動き位相及び複数の時間的近隣動き位相を含む。
【0031】
520において、前記再構成体積位相画像の各々における前記解剖学的構造及び解剖学的モデルが、各セグメント化された解剖学的構造にフィットされる。例えば、心臓が、セグメント化され、心臓モデルが、前記セグメント化された心臓にフィットされ、肺が、セグメント化され、肺モデルが、前記セグメント化された肺にフィットされ、内臓空洞が、セグメント化され、内臓空洞モデルが、前記セグメント化された内臓空洞にフィットされる。前記モデルは、前記解剖学的構造の外面に対応する表面を含む。
【0032】
530において、前記セグメント化された解剖学的構造の外側である対応する画像の部分をマスクする体積マスクは、各再構成体積位相画像に対して構成される。前記体積マスクは、前記セグメント化された解剖学的構造及び/又はモデルから所定の距離だけ拡張されることができる。例えば、各再構成体積位相画像のマスク部分は、前記セグメント化された構造及び/又は解剖学的モデルによる外面から所定の距離のマージンで前記セグメント化された解剖学的構造の外側である部分を含む。
【0033】
540において、血管構造は、血管強化フィルタ242を用いて強化されることができる。前記血管構造は、冠動脈血管樹のような血管構造に対して、より大きな強度及び/又はコントラストを提供するフィルタを用いて強化されることができる。前記強化は、前記再構成動き位相画像及び/又は前記マスクされた再構成動き位相画像に対して実行されることができる。
【0034】
550において、前記マスクされた再構成体積位相画像が、弾性位置合わせのように位置合わせされる。
【0035】
560において、動きは、前記位置合わせされたマスクされた再構成体積位相画像に基づいて前記モデルによって前記動き位相の間で推定される。一実施例において、前記位置合わせは、前記目標位相に対するものである。他の実施例において、前記位置合わせは、各位相と他の全ての位相との間の位置合わせを含む。
【0036】
570において、動き補償CT画像は、前記位置合わせされたマスクされた再構成体積位相画像の前記推定された動きを使用してCT投影データ212から再構成される。
【0037】
580において、前記動き補償CT画像は、表示装置256に表示される及び/又は記憶サブシステムに記憶される。
【0038】
上記のことは、コンピュータプロセッサにより実行される場合に前記プロセッサに上記の動作を実行させる、コンピュータ可読記憶媒体に符号化された又は埋め込まれたコンピュータ可読命令を用いて実施されてもよい。加えて又は代わりに、前記コンピュータ可読命令の少なくとも1つが、信号、搬送波又は他の一時的媒体により運ばれる。
【0039】
他の実施例において、前記動き補償再構成の後に、前記セグメント化された構造は、切り取られ、非動き補償画像に貼り付けられ、動き補償されていない解剖学的構造を置き換える。他の実施例において、前記動きを推定する際に、前記解剖学的構造の外側の前記動きベクトル場は、前記解剖学的構造の表面の外側のゼロベクトル場に対する滑らかな遷移とともにゼロにセットされる。他の実施例において、前記動きを推定する際に、前記金属物体の周りのかつ前記解剖学的構造の外側の動きベクトル場は、ゼロにセットされることができる。前記金属物体の空間的場所は、高HU値に基づいて識別されることができる。一部の例において、前記金属物体の周りで前記動きベクトルをゼロにセットすることは、前記解剖学的構造の誤位置合わせを防ぐことができる。
【0040】
本発明は、好適な実施例を参照して記載されている。修正及び変更は、先行する詳細な記載を読み、理解すると他者が思いつきうる。本発明は、添付の請求項又はその同等物の範囲内に入る限り全てのこのような修正及び変更を含むと解釈されることが意図される。