IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケイピーアール ユーエス エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】流量制御装置用カセット
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20240405BHJP
   A61M 39/22 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
A61M5/142 504
A61M39/22 100
【請求項の数】 32
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022153679
(22)【出願日】2022-09-27
(62)【分割の表示】P 2020570687の分割
【原出願日】2019-02-21
(65)【公開番号】P2023002548
(43)【公開日】2023-01-10
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】62/688,872
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/280,883
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517408184
【氏名又は名称】ケイピーアール ユーエス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ビアマン、 ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】トレルフォード、 ポール
(72)【発明者】
【氏名】ブライトワイザー、 ケネス エム.
(72)【発明者】
【氏名】シュネットゴーク、 ダニエル
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0211022(US,A1)
【文献】特表2013-502980(JP,A)
【文献】特表平11-503926(JP,A)
【文献】特表2006-508711(JP,A)
【文献】米国特許第05364364(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 39/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンピング装置と共に使用するためのポンプセットであって、
液体を運ぶためのチューブであって、液体源に接続するための入口セクションと、前記チューブを通して液体を圧送するために前記ポンピング装置が係合するように構成されたポンプ係合セクションとを備えるチューブと、
前記入口セクションと前記ポンプ係合セクションとの間で前記チューブに取り付けられたバルブ機構であって、前記バルブ機構は、前記チューブの入口セクションに接続された第1ポートと、前記チューブのポンプ係合セクションに接続された第2ポートと、前記第1ポートと前記第2ポートとの間に配置されたバルブとを備え、前記バルブは、前記第1ポートを前記第2ポートと選択的に連通するために回転可能なステムを含み、前記ステムは、流路の入口端から流路の出口端まで前記ステムを通って延びる流路を含み、それにより、前記チューブの入口セクションを前記チューブのポンプ係合セクションと連通させるために、前記流路の入口端は前記第1ポートと連通し、前記流路の出口端は前記第2ポートと連通し、前記流路の断面積は、前記入口端から前記出口端まで前記流路に沿って異なる変化率増大し、前記入口端と前記出口端との間の中間部分における前記流路の断面積は、前記入口端から前記出口端まで前記流路に沿って一定の変化率で増大するV形状の流路に比べて大きい、バルブ機構と
を備える、ポンプセット。
【請求項2】
前記チューブは、第1液体源に接続するための第1チューブと、第2液体源に接続するための第2チューブとを備え、前記第1ポートは、前記第1チューブに接続され、前記バルブ機構は、前記第2チューブに接続された第3ポートを備え、前記ステムは、i)前記第1ポートと前記第2ポート又はii)前記第3ポートと前記第2ポートのいずれかを選択的に連通するように回転可能に取り付けられ、前記流路の出口端は、前記入口端が前記第1ポートと前記第3ポートとの間で回転するときに前記第2ポートと連通したままである、請求項1に記載のポンプセット。
【請求項3】
前記第1ポート、前記第2ポート、前記第3ポート及び前記流路の長手方向軸が概ね同一平面上にある、請求項に記載のポンプセット。
【請求項4】
前記ポンピング装置に取り外し可能に取り付けるように構成されたカセットをさらに備え、前記チューブ及び前記バルブ機構は前記カセットに取り外し可能に取り付けられる、請求項1に記載のポンプセット。
【請求項5】
前記第1ポートは、前記バルブのステム内の流路に液体を連通するための不均一な円形の開口部を有する、請求項1に記載のポンプセット。
【請求項6】
前記バルブは、前記ステムを取り付けるためのステムホルダを含み、前記ステムホルダは、前記ステムホルダ内の前記ステムの回転を制限するために前記ステムのフランジが係合するように配置された停止部を画定する、請求項1に記載のポンプセット。
【請求項7】
前記ステムホルダは、前記ポンピング装置に取り付けられたときにキャッチを受け入れるように構成された凹部を有する、請求項に記載のポンプセット。
【請求項8】
前記フランジは、前記ステムから半径方向外側に突出する、請求項に記載のポンプセット。
【請求項9】
前記フランジは、前記ステムの周りで半径方向に延びる概ね扇形の形状を有する、請求項に記載のポンプセット。
【請求項10】
前記液体源は、栄養液バッグ又は洗浄流体バッグのうちの1つである、請求項1に記載のポンプセット。
【請求項11】
ポンピング装置であって、
ハウジングであって、
液体を圧送するためのポンピングユニットと、
カセットを受け入れるように構成されたカセット凹部と
を含むハウジングと、
ポンプセットであって、
液体を運ぶためのチューブであって、液体源に接続するための入口セクションと、前記チューブを通して液体を圧送するために前記ポンピング装置が係合するように構成されたポンプ係合セクションとを備えるチューブと、
前記入口セクションと前記ポンプ係合セクションとの間で前記チューブに取り付けられたバルブ機構であって、前記バルブ機構は、前記チューブの入口セクションに接続された第1ポートと、前記チューブのポンプ係合セクションに接続された第2ポートと、前記第1ポートと前記第2ポートとの間に配置されたバルブとを備え、前記バルブは、前記第1ポートを前記第2ポートと選択的に連通するために回転可能なステムを含み、前記ステムは、流路の入口端から流路の出口端まで前記ステムを通って延びる流路を含み、それにより、前記チューブの入口セクションを前記チューブのポンプ係合セクションと連通させるために、前記流路の入口端は前記第1ポートと連通し、前記流路の出口端は前記第2ポートと連通し、前記流路の断面積は、前記入口端から前記出口端まで前記流路に沿って異なる変化率増大し、前記入口端と前記出口端との間の中間部分における前記流路の断面積は、前記入口端から前記出口端まで前記流路に沿って一定の変化率で増大するV形状の流路に比べて大きい、バルブ機構と
を含むポンプセットと、
前記ポンプセットを取り外し可能に受け入れるように構成されたカセットであって、
前記カセットを前記ポンピング装置に取り付けるために前記ポンピング装置に取り外し可能に取り付けるように構成された本体と、
前記本体に取り外し可能に取り付け可能なフィッティングであって、前記フィッティングは、前記第1ポートと、前記第2ポートと、前記第1ポートと前記第2ポートとの間に配置された前記バルブとを備える前記バルブ機構を含み、前記バルブは、前記第1ポートを前記第2ポートと選択的に連通するために回転可能に取り付けられた前記ステムを含み、前記ステムは、前記第1ポートを前記第2ポートと連通するために前記ステムが回転されるときに前記フィッティングを前記ポンピング装置に固定するためのフランジを含む、フィッティングと
を備えるカセットと
を備える、ポンピング装置。
【請求項12】
前記チューブは、第1液体源に接続するための第1チューブと、第2液体源に接続するための第2チューブとを備え、前記第1ポートは、前記第1チューブに接続され、前記バルブ機構は、前記第2チューブに接続された第3ポートを備え、前記ステムは、i)前記第1ポートと前記第2ポート又はii)前記第3ポートと前記第2ポートのいずれかを選択的に連通するように回転可能に取り付けられ、前記流路の出口端は、前記入口端が前記第1ポートと前記第3ポートとの間で回転するときに前記第2ポートと連通したままである、請求項11に記載のポンピング装置。
【請求項13】
前記第1ポート、前記第2ポート、前記第3ポート及び前記流路の長手方向軸が概ね同一平面上にある、請求項12に記載のポンピング装置。
【請求項14】
前記ポンピング装置に取り外し可能に取り付けるように構成されたカセットをさらに備え、前記チューブ及び前記バルブ機構は前記カセットに取り外し可能に取り付けられる、請求項11に記載のポンピング装置。
【請求項15】
前記第1ポートは、前記バルブのステム内の流路に液体を連通するための不均一な円形の開口部を有する、請求項11に記載のポンピング装置。
【請求項16】
前記バルブは、前記ステムを取り付けるためのステムホルダを含み、前記ステムホルダは、前記ステムホルダ内の前記ステムの回転を制限するために前記ステムのフランジが係合するように配置された停止部を画定する、請求項11に記載のポンピング装置。
【請求項17】
前記ステムホルダは、前記ポンピング装置に取り付けられたときにキャッチを受け入れるように構成された凹部を有する、請求項16に記載のポンピング装置。
【請求項18】
前記フランジは、前記ステムから半径方向外側に突出する、請求項16に記載のポンピング装置。
【請求項19】
前記フランジは、前記ステムの周りで半径方向に延びる概ね扇形の形状を有する、請求項18に記載のポンピング装置。
【請求項20】
前記液体源は、栄養液バッグ又は洗浄流体バッグのうちの1つである、請求項11に記載のポンピング装置。
【請求項21】
前記ハウジングは、前記ポンピングユニットの状態及び動作に関する情報を表示するように構成された表示画面をさらに備える、請求項11に記載のポンピング装置。
【請求項22】
ポンピング装置であって、
ハウジングであって、
液体を圧送するためのポンピングユニットと、
カセットを受け入れるように構成されたカセット凹部と
を含むハウジングと、
フィッティングアセンブリであって、
第1ポートと、
第2ポートと、
前記第1ポートと前記第2ポートとの間に配置されたバルブであって、前記バルブは、前記第1ポートを前記第2ポートと選択的に連通するために回転可能に取り付けられたステムを含み、前記ステムは、流路の入口端から流路の出口端まで前記ステムを通って延びる流路を含み、それにより、チューブの入口セクションを前記チューブのポンプ係合セクションと連通させるために、前記流路の入口端は前記第1ポートと連通し、前記流路の出口端は前記第2ポートと連通し、前記流路の断面積は、前記入口端から前記出口端まで前記流路に沿って異なる変化率増大し、前記入口端と前記出口端との間の中間部分における前記流路の断面積は、前記入口端から前記出口端まで前記流路に沿って一定の変化率で増大するV形状の流路に比べて大きい、バルブと
を備えるフィッティングアセンブリと、
カセットであって、
前記カセットを前記ポンピング装置に取り付けるために前記ポンピング装置に取り外し可能に取り付けるように構成された本体と、
前記本体に取り外し可能に取り付け可能なフィッティングであって、前記フィッティングは、前記第1ポートと、前記第2ポートと、前記第1ポートと前記第2ポートとの間に配置された前記バルブとを備えるバルブ機構を含み、前記バルブは、前記第1ポートを前記第2ポートと選択的に連通するために回転可能に取り付けられた前記ステムを含み、前記ステムは、前記第1ポートを前記第2ポートと連通するために前記ステムが回転されるときに前記フィッティングを前記ポンピング装置に固定するためのフランジを含む、フィッティングと
を備えるカセットと
を備える、ポンピング装置。
【請求項23】
前記チューブは、第1液体源に接続するための第1チューブと、第2液体源に接続するための第2チューブとを備え、前記第1ポートは、前記第1チューブに接続され、前記バルブ機構は、前記第2チューブに接続された第3ポートを備え、前記ステムは、i)前記第1ポートと前記第2ポート又はii)前記第3ポートと前記第2ポートのいずれかを選択的に連通するように回転可能に取り付けられ、前記流路の出口端は、前記入口端が前記第1ポートと前記第3ポートとの間で回転するときに前記第2ポートと連通したままである、請求項22に記載のポンピング装置。
【請求項24】
前記第1ポート、前記第2ポート、前記第3ポート及び前記流路の長手方向軸が概ね同一平面上にある、請求項23に記載のポンピング装置。
【請求項25】
前記ポンピング装置に取り外し可能に取り付けるように構成されたカセットをさらに備え、前記チューブ及び前記バルブ機構は前記カセットに取り外し可能に取り付けられる、請求項22に記載のポンピング装置。
【請求項26】
前記第1ポートは、前記バルブのステム内の流路に液体を連通するための不均一な円形の開口部を有する、請求項22に記載のポンピング装置。
【請求項27】
前記バルブは、前記ステムを取り付けるためのステムホルダを含み、前記ステムホルダは、前記ステムホルダ内の前記ステムの回転を制限するために前記ステムのフランジが係合するように配置された停止部を画定する、請求項22に記載のポンピング装置。
【請求項28】
前記ステムホルダは、前記ポンピング装置に取り付けられたときにキャッチを受け入れるように構成された凹部を有する、請求項27に記載のポンピング装置。
【請求項29】
前記フランジは、前記ステムから半径方向外側に突出する、請求項27に記載のポンピング装置。
【請求項30】
前記フランジは、前記ステムの周りで半径方向に延びる概ね扇形の形状を有する、請求項29に記載のポンピング装置。
【請求項31】
前記第1液体源及び前記第2液体源の各液体源は、栄養液バッグ又は洗浄流体バッグのうちの1つである、請求項23に記載のポンピング装置。
【請求項32】
前記ハウジングは、前記ポンピングユニットの状態及び動作に関する情報を表示するように構成された表示画面をさらに備える、請求項22に記載のポンピング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して流量制御装置及び供給セットを備えた流量制御システムに関し、より詳細には流量制御装置と共に使用されるカセットに関する。
【背景技術】
【0002】
経口的に薬又は栄養を摂取することができない患者への薬又は栄養の投与は、蠕動流制御システムを用いることによって行うことができる。一般にこのようなシステムでは、流体は、制御された送達速度で患者に流体を送達する蠕動ポンプなどの流量制御装置に載置された可撓性エラストマーチューブを含むポンプセットによって患者に送達される。蠕動ポンプは通常、ギアボックスを介してモータに動作可能に係合するロータを含むハウジングを有する。ロータは、1つ以上のローラによるロータへの衝突、例えば圧迫によって生じる可逆的な圧縮によってもたらされる蠕動作用によってポンプセットの可撓性チューブを通して流体を駆動する。ロータの回転は、制御された速度で流体を駆動するエラストマーチューブを徐々に圧縮する。ポンプセットは、ポンプセットを通る流体の流れを可能にするか又は防止するためのバルブ機構を有することができる。流量制御システムはまた、流体の流れを効果的に制御する1つ以上のモータを動作可能に調節するコントローラを有することができる。
【0003】
蠕動ポンプは、「アリコート」と呼ばれる小さい分量で流体を送達することによって動作する。ロータは、ポンプセットのエラストマーチューブに係合し、エラストマーチューブの一部を挟み、例えば、患者に向かう流体源よりも患者に近い、挟んだ位置の前方に流体を押し出す。一般に、患者に投与されるべき流体の体積は、それぞれが実質的に同じ体積であるアリコートの数をカウントし、その数が送達されるべき流体の所望の総体積に対応する量に達したときに停止することによって、ポンプ内で制御される。蠕動ポンプは衛生的でありかつ一般に正確であるため、患者への薬剤及び治療液の投与に非常に有用である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、ポンピング装置と共に使用するためのポンプセットが、一般に、液体を運ぶためのチューブを備える。チューブは、液体源に接続するための入口セクションと、チューブを通して液体を圧送するためにポンピング装置が係合するように構成されたポンプ係合セクションとを備える。入口セクションとポンプ係合セクションとの間でチューブに取り付けられたバルブ機構は、チューブの入口セクションに接続された第1ポートと、チューブのポンプ係合セクションに接続された第2ポートと、第1ポートと第2ポートとの間に配置されたバルブとを備える。バルブは、第1ポートを第2ポートと選択的に連通するために回転可能なステムを含む。ステムは、流路の入口端から流路の出口端までステムを通って延びる流路を含み、それにより、チューブの入口セクションをチューブのポンプ係合セクションと連通させるために、流路の入口端は第1ポートと連通し、流路の出口端は第2ポートと連通する。流路は、入口端から出口端に向かって断面積が増大する。
【0005】
別の態様では、ポンピング装置に取り付けるように構成されたカセットで使用するためのフィッティングアセンブリが、一般に、第1ポートと、第2ポートと、第1ポートと第2ポートとの間に配置されたバルブとを備える。バルブは、第1ポートを第2ポートと選択的に連通するために回転可能に取り付けられたステムを含む。ステムは、流路の入口端から流路の出口端までステムを通って延びる流路を含み、それにより、チューブの入口セクションをチューブのポンプ係合セクションと連通させるために、流路の入口端は第1ポートと連通し、流路の出口端は第2ポートと連通し、流路は、入口端から出口端に向かって断面積が増大する。
【0006】
さらに別の態様では、ポンピング装置と共に使用するためのカセットが、一般に、カセットをポンピング装置に取り付けるためにポンピング装置に取り外し可能に取り付けるように構成された本体と、本体に取り外し可能に取り付け可能なフィッティングとを備える。フィッティングは、第1ポートと、第2ポートと、第1ポートと第2ポートとの間に配置されたバルブとを備えるバルブ機構を含む。バルブは、第1ポートを第2ポートと選択的に連通するために回転可能に取り付けられたステムを含む。ステムは、第1ポートを第2ポートと連通するためにステムが回転されるときにフィッティングをポンピング装置に固定するためにポンピング装置のキャッチと係合するように構成されたフランジを含む。
【0007】
さらに別の態様では、ポンピング装置と共に使用するためのカセットが、一般に、カセットをポンピング装置に取り付けるためにポンピング装置に取り外し可能に取り付けるように構成された本体を備える。本体は、前部、後部、上部、下部、及び本体の上部から下向きに延びる湾曲ガイド壁を備える。フィッティングが本体に取り付けられる。フィッティングは、入口チューブをカセットに取り付けるための入口ポートと、出口チューブをカセットに取り付けるための出口ポートとを有する。出口ポートは本体の上部から引っ込んでいる。湾曲ガイド壁、出口チューブのねじれを防ぐために出口チューブを支持するべくフィッティングの出口ポートに隣接して延びる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ポンピング装置と供給セットの断片的な部分とカセットとを有する供給システムの斜視図である。
【0009】
図2】ポンピング装置を示すが、カセットの一部が取り除かれた、図1のシステムの斜視図である。
【0010】
図2A】供給セット及びカセットの一部が取り外された図2の斜視図の断片図である。
【0011】
図3】供給セット及びカセットがない図1の斜視図である。
【0012】
図4】カセットの正面斜視図である。
【0013】
図5】カセットの背面斜視図である。
【0014】
図6】カセットの背面図である。
【0015】
図7】フィッティングアセンブリがカセットから取り除かれた状態のカセットの背面斜視図である。
【0016】
図8】フィッティングアセンブリの正面斜視図である。
【0017】
図9】フィッティングアセンブリの後方斜視図である。
【0018】
図10A】フィッティングアセンブリの上面図である。
【0019】
図10B】ストップコックのステムが取り除かれた状態のフィッティングアセンブリの正面斜視図である。
【0020】
図11A】ステムの背面及び側面斜視図である。
【0021】
図11B】ステムの正面及び側面斜視図である。
【0022】
図11C】ステムの側面図である。
【0023】
図12】ステムの断面図である。
【0024】
図13A】流体流遮断配置にあるステムを示すフィッティングアセンブリの垂直断面図である。
【0025】
図13B】洗浄配置にあるステムを示すフィッティングアセンブリの垂直断面図である。
【0026】
図13C】流体送達配置にあるステムを示すフィッティングアセンブリの垂直断面図である。
【0027】
図14】別の実施形態のカセットの斜視図である。
【0028】
図15図14のカセットの分解図である。
【0029】
図16図14のカセットの供給セットの一部の立面図である。
【0030】
図17図16の供給セットの垂直断面図である。
【0031】
図18】別の実施形態のカセットの斜視図である。
【0032】
図19図18のカセットの分解図である。
【0033】
図20図18のカセットの供給セットの一部の立面図である。
【0034】
図21図20の供給セットの垂直断面図である。
【0035】
図22】別の実施形態のカセットの斜視図である。
【0036】
図23図22のカセットの分解図である。
【0037】
図24図22のカセットの供給セットの一部の立面図である。
【0038】
図25図24の供給セットの垂直断面図である。
【0039】
対応する符号は、図面全体にわたって対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の1つ以上の態様は、回転蠕動ポンプなどの蠕動ポンプに関し、特に、複数の流体の流れの配置から選択するためのバルブを有するカセットを利用する回転蠕動ポンプに関する。カセットはまた、カセットに取り付けられた出口チューブがねじれるのを防ぐ構成を有する。このような特徴の任意の1つ以上を提供又は促進する任意の1つ以上の有利な特徴又は構造を、様々な商業的及び工業的用途で使用される蠕動ポンプにおいて実施することができる。したがって、詳細な説明はカセットを備えた経腸栄養ポンプに向けられているが、本発明の任意の1つ以上の特徴を、カセットの有無にかかわらず、他の蠕動ポンプにおいて具現化又は実施することができる。例えば、例示的に説明されるポンプは回転蠕動経腸栄養ポンプであるが、本発明は、医療用輸液ポンプを含む他のタイプの蠕動ポンプ(図示せず)にも適用される。経腸栄養ポンプの一般的な構造及び動作は、以下に記載されているものを除いて、2009年10月27日に発行された「FLOW CONTROL APPARATUS」というタイトルの共同譲渡された米国特許第7,608,059号、2006年8月15日に発行された「FLOW MONITORING SYSTEM FOR A FLOW CONTROL APPARATUS」というタイトルの米国特許第7,092,797号、及び2009年5月19日に発行された「ALIQUOT CORRECTION FOR FEEDING SET DEGRADATION」というタイトルの米国特許第7,534,099号に開示されているものと概ね同じであり、これらの開示内容は参照により本明細書に組み込まれるものとする。本発明の様々な特徴及び態様の1つ以上を、本発明の範囲から逸脱することなく、ローラ以外の機構を使用する線形蠕動ポンプなどの蠕動ポンプにおいて実施することができる。また、例示的な供給セット7が示されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、他のタイプのポンプセット(図示せず)を使用することができる。
【0041】
図面、特に図1~3を参照すると、本発明の原理のいずれか1つ以上に従って構成された例示的な経腸栄養ポンプ(広義には「ポンピング装置」)が全体として1で示されている。栄養ポンプは、全体として5で示されるカセットを取り付けるように構成された、全体として3で示されるハウジングと、供給セット(広義には「ポンプセット」)、カセット5内に取り外し可能に受け入れられる、全体として7で示される断片的な部分とを備えることができる。カセット5は、ハウジング3に取り外し可能に取り付けられる。図示の実施形態では、カセット5は、ハウジング3内のカセット凹部6(図3)に取り外し可能に受け入れられる。当然のことながら、本明細書で使用される「ハウジング」は、多部品構造及びポンプ1の作動コンポーネントを包囲又は収容しない構造を含むが、これらに限定されない、多くの形態の支持構造(図示せず)を含むことができる。図示の実施形態では、ポンプ1及びポンプセット7は、「供給システム」を形成する。また、本発明の様々な態様及び特徴は、凹部6なしで実施することができる。ポンプ1はまた、ハウジング3上に、ポンプの状態及び動作に関する情報を表示することができる表示画面9を有することができる。ポンプ1を制御し、ポンプ1から情報を得る際に使用するために、表示画面9に近接可能な1つ以上のボタン11を提供することができ、1つ以上の発光ダイオード13がポンプの状態情報を提供することができる。ユーザ又はオペレータが見やすいように表示画面10が僅かに上向きに傾斜するようにハウジングを支持するために、ハウジング3の底部に脚部(図示せず)を配置することができる。
【0042】
表示画面9は、ハウジング3の前面パネル(全体として19で示される)の一部であり得、ハウジングに取り外し可能に取り付けられ得る。経腸栄養ポンプ1は、ロータシャフト(図示せず)に接続されているポンプモータ(図示せず)を備える、全体として23で示されるポンピングユニットをさらに含むことができる。ポンプモータに電力を供給するために、ハウジング3内にバッテリ(図示せず)を受け入れることができる。バッテリ以外の又はバッテリに加えて電源を使用して、ロータシャフトを通してポンピングユニットを駆動する1つ以上の原動機を含むポンプに通電することができる。
【0043】
ポンピングユニット23は、ロータシャフトに連結され得るロータ(全体として37で示される)を含むことができる。ロータ37は、内側ディスク39と、外側ディスク41と、ディスクの長手方向軸を中心にディスクに対して自由に回転するために内側ディスクと外側ディスクとの間に取り付けられた4つのローラ43(そのうちの3つだけが示されている)とを含むことができる(図2及び図3)。ローラ43は、供給セット7がカセット5に受け入れられ、カセット5がハウジング3に取り付けられたときに、供給セット7のチューブ45(図2)と係合して、供給セット7を通して対象に流体を送達する。他の数のローラも想定される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、5つ又は6つのローラを使用することもできる。
【0044】
図4~7を参照すると、カセット5は、前部53、後部55、上部57、及び下部59を有するカセット本体51を備えることができる。側壁61及び上壁63は、カセット本体51の後部55から延びて、フィッティング65を受け入れるように構成された後部キャビティを形成することができる。チューブ45は、フィッティング65に取り付けられ得る。フィッティング65は、フィッティング65をカセットに固定又はスナップ留めすることを可能にするタブを有することができる。場合によっては、フィッティングをカセット5に取り外し可能に固定することができる。
【0045】
フィッティング65は、ベース67、入口69、出口71、及びステムホルダ66を備えることができる。入口69は、チューブ45の入口端への挿入のための第1取付部73と、入口チューブ77(図2)を受け入れるための1対の第2取付部75A、75Bとを含むことができる。出口ポート71は、チューブ45の出口端への挿入などによる係合又は取り付けのための第1取付部79と、出口チューブ83を受け入れるなどによる出口チューブ83への取り付けのための第2取付部81とを含むことができる。出口チューブ83を受け入れる第2取付部81の開口部が、チューブを開口部内に固定するために開口部から離れるように漏斗状又は先細りになり得る。出口チューブ83はまた、取付部81への挿入及び取付部81との接合のためにチューブを軟化させるべく溶剤で処理され得る。第2取付部75Aは、供給源(例えば、栄養液バッグ)と流体連通させることができ、第2取付部75Bは、入口チューブ77を介して洗浄源(例えば、洗浄流体バッグ)と流体連通させることができる。流体源の好ましい取り付けの識別を助けるために、第2取付部75Aは、第2取付部75Bの上に延びている。したがって、ユーザは、より高い第2取付部75Aを供給源ポートとして容易に識別することができる。代替的に、第2取付部75Bを供給源に取り付け、第2取付部75Aを洗浄源に取り付けることもできる。
【0046】
チューブ45、フィッティング65、入口チューブ77、及び出口チューブ83は、ポンプセット7を構成することができる。カセット5は、ポンプセットの一部と見なされ得ることも想定される。好ましい実施形態では、カセット5は、ポリカーボネートなどのポリマー材料から作られる。
【0047】
図8図13Cを参照すると、ストップコック64が、フィッティング65のステムホルダ66内の円筒形レセプタクル70内受け入れられる円筒形ステム68を含む。ステム68は、ポンプセットを流体送達配置、洗浄配置、又は流体流遮断配置のいずれかに配置するために第2取付部75A、75Bを第1取付部73と選択的に連通するべく開口部70内で移動可能(すなわち、回転可能)である。第2取付部75A、75Bは、それぞれフィッティング65の開口部70と連通する出口を有し、第1取付部73は、フィッティングの開口部に連通する入口を有する。一実施形態では、ストップコック64のサイズを大きくすることなく出口面積を大きくするために第2取付部75Aの出口は不均一な円形になっている。例えば、図10Aに示される例示的な長円形の出口は、例えば、ストップコックを大きくすることなく、より濃厚でより粘性のある供給溶液をポンプセット7により容易に供給することを可能にする。ステム68は、本体に形成された第1開口部74(図11A)及び第2開口部76(図11B)を有する円筒状の本体72を備える。第1開口部74は円形形状を有し、第2開口部76は、開口部76の第1の寸法が第2の直交する寸法よりも大きくなるように細長い。図示の実施形態では、第2開口部76は、第1開口部74の直径よりも長いスロット寸法を有する。第1及び第2開口部74、76は、概ね本体72の両側に配置され、ステム68を通る流体の流れが第2取付部75A、75Bから第1取付部73まで概ね単一の平面内で下向きに延びるように、それらが同一又はほぼ同様の平面内にあるように配置される(図12及び図13A~C)。より具体的には、流体は、第1開口部74から第2開口部76まで単一の軸に沿ってステム68を通って流れることができる。これは、ステム68を通る直線流路を提供することによって、バルブの効率を高める。他の実施形態では、開口部74、76の構成を逆にすることができる。
【0048】
流路88が、ステム68の本体72内で、第1開口部74の入口端から第2開口部76の出口端まで延びる。流路88は広がり、それによりその断面積を第1開口部74から第2開口部76まで増大させる。流路88は、流路にほぼ逆に変形されたV字形の形状を与える湾曲した内壁92を含むことができる。湾曲した内壁92は、第1開口部74から第1セクションの端部まで概ね一定の割合で広がる第1セクション130と、第1セクション130から第2セクション132の端部まで非一定の割合で広がる第2セクション132とを画定する。第2セクション132が広がる割合は、第2セクション132の端部に向かって増加する。第3セクション134は、第2セクション132から第3セクション134の端部まで非一定の割合で広がる。第3セクション134が広がる割合は、第3セクションの端部に向かって減少する。第4セクション136は、第3セクション134から第2開口部76まで一定の割合で広がる。概して、ステム68及びステムホルダ66は、バルブ機構と見なすことができる。
【0049】
流路88の輪郭は、ステム68の成形プロセスにおいて利益をもたらす。特に、流路を変形された「V」形状に形成することにより、流路とステム68の各側の円筒形外面との間の壁の厚さをより小さく保つことができる。より薄い壁の厚さは、外面のより一貫した円筒形状を維持するのに役立つ。これにより、ステム68が流体流遮断配置にあるときにステム68とステムホルダ66との間に隙間を生じて第2取付部75A、75B間の流体の流れを可能にするステム68の外面のずれを防ぐことができる。反対に、真の「V」形状(図12の破線で表される)を有する流路は、ステム68の周囲に不整合を生じることなく成形プロセスで生成するには大きすぎる、流路88の周りの、概して流路の中間付近のステムの厚さをもたらす可能性がある。しかしながら、入口端(開口部74)と出口端(開口部76)との中間の1つ以上のセクションの幅(ひいては断面積)をより急速に増加させるように流路88を輪郭形成することによって、壁の最大厚さは、成形プロセスでその形状を保持する厚さまで減少する。したがって、第2セクション132、第3セクション134及び第4セクション136の周りのステム68の壁の厚さは、流路が標準的な「V」プロファイルに従う場合よりも薄い。このより薄い壁の厚さは、ステム68の外周に凹凸を生じさせることなく、ステム68を成形することを可能にする。
【0050】
図11Bに示すように、フランジ78は、ステム68の本体72から半径方向に突出し、本体72の外周の周りに部分的に延びる。一実施形態では、フランジ78は概ね扇形である。本体72にはキャビティ80が形成され、これによりポンプ1のシャフト93(図3)が開口部70内で本体を回転させるためにステム68の本体に係合する。フランジ78は、バルブが開いているときに供給セット7の取り外しを防ぐために、ポンプ1の凹部6にあるフック108(図2A及び図3)と係合するように構成される。フック108は、カセット5がポンプ1に取り付けられたときに、ステムホルダ66の凹部110(図10B)に受け入れられる。これにより、フランジ78は、フック108の少なくとも一部に隣接してその後ろに配置される。以下でより詳細に説明されるように、ステム68の動きは、フランジ78をフック108の後ろに配置し、バルブが開いているときに供給セット7の取り外しを防ぐ。この安全機能は、患者に潜在的に有害な可能性がある制御されない量の流体が患者に送達される、供給セット7における自由な流れ状態を防止する。また、フランジ78は、以下でさらに説明するように、ステム68の回転を制限するための停止係合機構として機能する。フィッティング65及びステム68は、合わせてフィッティングアセンブリ82と見なすことができる。フィッティングアセンブリ82の構成は、流体流れ選択バルブを入口チューブ77から取り外し、それをカセット5の本体内に配置する。
【0051】
図8及び図13Aに示す構成では、フィッティングアセンブリ82は、第2取付部75A、75Bの出口が開口部70及び第1取付部73の入口と連通するのを本体72が阻止する流体流遮断配置にある。例えば、ポンプ1のシャフト93がキャビティ80に係合し、本体72を開口部70内で時計回りに回転させることなどによる、ステム68の回転は、第1開口部74を第2取付部75Bの出口と連通させ、第2開口部76を第1取付部73の入口と連通させ、それにより、第2取付部75Bに接続された流体源を、チューブ45を介して出口71及び出口チューブ83と流体連通させる(図13B)。第2取付部75Aは、第1取付部73との連通が遮断されたままである。また、ステム68を閉位置から回転させて第1開口部74を第2取付部75Bの出口と連通させると、供給セット7がポンプ1から取り外されるのを防ぐように、フランジ78がポンプ1のフック108の後ろに移動する(図2A)。ステム68の更なる回転は、第1開口部74を第2取付部75Aの出口と連通させ、第2開口部76は第1取付部73の入口と連通したままであり、それにより、第2取付部75Aに接続された流体源を、チューブ45を介して出口71及び出口チューブ83と連通させる(図13C)。これは、第2開口部76の位置及び長さが、第2開口部の少なくとも一部がステム68の移動全体にわたって第1取付部73の入口と連通して第1開口部74を第2取付部75A、75Bの出口と連通するようになっているためである。第2取付部75Bは、このとき第1取付部73との連通が遮断されている。ステムホルダ66上のストップ94は、フランジ78と係合して、開口部70内の本体の回転を制限する。
【0052】
図5~7を参照すると、フィッティング65の出口71の第2取付部81は、出口チューブ83が第2取付部81に挿入される前にカセットの本体51内で下向きに延びるように、カセット5の上部57から引っ込んでいる。これにより、出口チューブ83の一部分が、上壁63から下向きに延びる湾曲ガイド壁96に隣接して延びる。湾曲ガイド壁96は、出口チューブ83が載るための徐々に減少する傾斜の円弧面を提供し、カセット5の横方向の縁でチューブが急激に曲がるのを防ぐ。結果として、出口チューブ83は、チューブを通る流体の流れを妨げる可能性があるねじれが防止される。また、出口チューブ83の一部分がカセット5の上部57とチューブのフィッティング65への取付部との間に延びているので、溶剤の処理によって軟化された可能性がある、第2取付部81に挿入されたチューブの一部分は、チューブが曲げ力を受ける場所に位置しない。むしろ、この部分は、カセット5の上部57から離間され、湾曲ガイド壁96によって概ねまっすぐに保持されている。これにより、出口チューブ83のねじれ又は挟み込みの可能性がさらに低減される。
【0053】
例示的に示すように、タブ84(図8及び図9)は、ベース67の側面から延びることができ、カセット5の前部53のそれぞれの開口部86(例えば、図1及び図4)に受け入れられて、フィッティング65をカセット5に取り外し可能に取り付けるように構成することができる。側壁61内の1対のガイド傾斜部91(図6及び図7)は、開口部86に向かって漏斗状になり得る。フィッティング65上のタブ84は、傾斜部91に沿って進み、開口部86に受け入れられてフィッティングをカセット本体51に保持することができる。フィッティング65のステムホルダ66は、カセット5の本体51に形成されたバルブホルダ98(図7)に受け入れられる。代替的に、フィッティング65は、カセット本体51と一体的に形成され又は省略され得る。
【0054】
図5及び図7を参照すると、切り欠き85A、85Bが、フィッティング65の入口69の第2取付部75A、75B及び出口チューブ83をそれぞれ受け入れるためにカセット本体51の上壁63に形成され得る。位置決め壁87が、カセット本体51の上部付近に垂直に延びることができる。概ねU字形の壁89が、側壁61の間の概ねカセット本体51の中心に配置され得る。フィッティング65のベース67は、位置決め壁87とU字形の壁89との間に受け入れられる。ベース67は、フィッティング65をカセット5内に配置するために位置決め壁87の下部及びU字形の壁89の垂直突起の上部と係合することができる。
【0055】
カセット5がハウジング3に取り付けられたときにポンプ1のロータ37の少なくとも一部を受け入れるためのロータ凹部97を少なくとも部分的に画定するために、円弧壁95がカセット本体51の概ね中央に配置され得る。ロータ凹部97は、カセット本体51の前部53にバンプアウト99を含むことができる(図4)。入口及び出口外側湾曲ガイド壁101が、円弧壁95の両側にほぼ平行に延びることができる。入口及び出口内側湾曲ガイド壁103が、円弧壁95から上向きに、入口及び出口外側湾曲ガイド壁101に概ね平行に延び、チューブ45のそれぞれの入口及び出口部分を受け入れて支持するための入口及び出口開口部を形成することができる。ガイド壁101、103及び円弧壁95は、カセット5がハウジング3に取り付けられたときにチューブをロータ37に対して適切に配置するためにチューブ45の下部をループ状に受け入れるためのチューブチャネル114を形成することができる。円弧壁95及び湾曲ガイド壁101、103は、ロータ凹部97の側面の周りに密着する関係でチューブを受け入れることができる。タブ100が、チューブチャネル114上に延びて、チューブ45をチューブチャネル114内に保持し、かつチューブ45をカセット内に保持し、第3の軸に従ってチューブを拘束することができる。外側湾曲ガイド壁101は、チューブ45がロータ凹部97の下部でガイド壁101、103又は円弧壁95と直接対向しないように、概ねロータ凹部97の下側で終端することができる。
【0056】
カセット5及びチューブ45をカセット凹部6内に固定するのに役立つように、インサート105がハウジング3内のカセット凹部6内に受け入れられ得る(図3)。インサート105は、カセット5がハウジング3に取り付けられたときに、インサート105が湾曲ガイド壁101、103より上にあるカセット5の後部キャビティに受け入れられるように、凹部6内に配置され得る。インサート105は、チューブ45の入口部分を受け入れるためにインサートの入口側に配置された1対の対向する第1突起107と、チューブの出口部分を受け入れるためにインサートの出口側に配置された1対の対向する第2突起109とを備えることができる。カセット本体51の後部55のリブ111(図6及び図7)が、第2突起109の間でチューブ45の出口部分に係合して出口部分を突起間に挿入するのに役立つように配置され得る。チューブ45内の流体の流れの方向を示すしるし112が、第2突起109の少なくとも1つに配置され得る。図示の実施形態では、しるし112は矢印の形である。
【0057】
図5~9を参照すると、ステータ部材113が、概ねロータ凹部97の下部又はその近くにあるステータ開口部115などのキャビティ内でカセット本体51の下部に配置することができる。したがって、カセット5がハウジング3に取り付けられたときに、ステータ部材113は、一般にロータ37の下部の概ね反対側に位置する。有利な構成では、ステータ部材113は、以下に説明するように、ローラ43がチューブに係合するときに供給セット7のチューブ45を支持することができる。場合によっては、ステータ部材113は、ステータ部材の長さに沿って延びる円弧形状を有することができる。例示的に示した実施形態と同様に、ステータ部材113は、カセット本体51に第1端部でのみ固定され、かつカセット本体51に対してステータ開口部115内で少なくとも部分的に自由に浮動できる片持ち部材であり得る。示されるように、可撓性ステータ部材113は、そのカセット5の残りの部分への接続部又はアンカーを中心に旋回することができ、ローラ43と係合すると部分的に又は完全に平らになることができる。例えば、ステータ部材は、カセット本体に固定された第1端部と、固定されていない第2端部とを有することができ、第2端部は、ステータ部材の表面を有する反応セグメントが撓み変位を有することを可能にするために浮動又は変位することができる。例えば、少なくとも1つのローラがロータの回転軸の周りを回転しながらチューブに沿って横切るとき、可撓性ステータ部材113は、回転軸を中心とするローラの回転中に1つ以上のローラ43によって加えられた力に反応して撓み変位へと変位するか又は撓むことができる。
【0058】
第1部分の下面の横方向リブ116は、可撓性ステータ部材113に構造的な剛性を与えることができ、金型キャビティからの可撓性ステータ部材の突出しなどによる取り出しを容易にする接触面として機能することができる。図示の実施形態では、可撓性ステータ部材113は、カセット本体51と一体物として形成され得る。しかしながら、可撓性ステータ部材113は、カセット本体51とは別々に形成され、適切な手段によってカセット本体に取り付けられてもよい。例えば、可撓性ステータ(図示せず)は、カセット本体の係合キャビティに係合する細長い延長部分を有することができ、係合キャビティは、それに応じて延長部分を受け入れる寸法及び形状にされる。このようにして、ステータ部材は、弾性率及び曲率半径などの異なる機械的特性の複数の候補から選択され、チューブ特性のいずれかを考慮して又は考慮せずに、カセット動作パラメータを調整し、ポンプ動作中に特定の流動性能属性を提供することができる。
【0059】
停止部117をステータ開口部115の底面に配置して、可撓性ステータ部材113の浮動運動を最大変位に制限することができる。停止部117は、ステータ部材の塑性変形を引き起こすステータ部材の曲げを防ぐように可撓性ステータ部材113の下側に対して間隔を置いて配置され得る。例えば、停止部材は、固定されていない端部の撓み変位距離の大きさを最大変位に制限するように配置され得る。図示の実施形態では、停止部117は、カセット本体51の一部として形成されている。しかしながら、停止部117は、カセット本体51とは別々に形成され、適切な方法でカセット本体に取り付けられてもよい。他の場合には、停止部117は、ハウジング3に形成され、可撓性ステータ部材113の変位を最大変位に制限するように構成され得る。停止部117は、停止部がステータ部材の移動を制限するのに十分な表面積を提供するように、可撓性ステータ部材113の幅よりも大きい幅を有することができる。停止部117は、可撓性ステータ部材113を遮蔽するのに役立つことができ、一般に部材113が引っ掛けたり捕らえたりする可能性を防止又は低減する寸法にされる。
【0060】
カセット5をポンプハウジング3に取り付ける前に、入口チューブ77及び出口チューブ83をそれぞれカセットの入口69及び出口71に取り付けることができる。カセット5をポンプハウジング3に取り付けるために、カセット本体51の下部59の1つ以上のピン又は隆起した突起119をハウジング3の凹部6の底部のスロット124に挿入することができる。隆起した突起119とスロット124との係合により、概ねカセット5がハウジング3に配置される。次いで、カセット本体51は、カセット本体の上部57にあるタブ125の棚状部123が凹部6の最上部にあるキャッチ127によって捕捉されるまで回転され得る。図示の実施形態では、隆起した突起119及び棚状部123は、カセット本体51と一体的に形成されている。しかしながら、隆起した突起119及び棚状部123は、カセット本体51とは別々に形成され、カセット本体に適切な方法で取り付けられてもよい。カセット5をポンプハウジング3から取り外すために、タブ125を押し下げて棚状部123をキャッチ127から外すことができる。
【0061】
カセット5がポンプハウジング3に取り付けられると、供給セット7のチューブ45はポンプ1のローラ43が係合するように配置される。ローラ43は、可撓性ステータ部材113によって支持されたチューブの部分でチューブ45に係合する。ローラ43がチューブ45に係合することにより、可撓性ステータ部材113はローラから離れるように撓むか又は移動する。詳細には、この移動により、チューブ45はより直線的な形状へと少なくとも部分的に真っすぐになることができ、ローラ43が半直線状にチューブを閉塞することを可能にする。したがって、従来のポンプのローラの場合のようにチューブ45を引っ張って引き伸ばす代わりに、ローラ43はチューブに沿ってスライドし、張力が低下した状態でチューブを閉塞する。結果として、ローラ43は、チューブ45の実際の直線寸法と一致するアリコートを生成する。したがって、ポンプ1の計算されたアリコート量は、ポンプによって生成された実際のアリコート量により厳密に一致し、より正確な供給をもたらす。
【0062】
図14~17を参照すると、別の実施形態のポンプセットが全体として7’で示されている。ポンプセットは、カセット本体5Gを含むカセット5’と、カセット本体内に受け入れられるフィッティング65’とフィッティング内に移動可能に受け入れられるステム68’とを含むフィッティングアセンブリ82’と、フィッティングに取り付けられるチューブ45’とを備える。カセット5’は、フィッティング65’、特にフィッティングの出口7Gの第2取付部8Gの構成を除いて、第1実施形態のカセットと同様である。この実施形態では、第2取付部8Gは、入口69’から横方向に離れるように延び、カセット5’の側壁6Gの切り欠き102’を通って延びる。出口チューブ83’は、第2取付部8Gに受け入れられ、カセット5’のハウジング5Gから横方向に離れるように延びる。横方向に延びる出口チューブ83’は、第2取付部8Gから垂直に上向きに延びる出口チューブよりもねじれに抵抗する配向を提供する。これは、出口チューブ83’を通って流れる流体によって生じる下向きの力が、横方向に延びる出口チューブの曲がりを少なくし、ねじれが形成される可能性を低くするからである。また、出口チューブ83’は一般に患者に到達するためにカセット5’から下向きに曲がるので、出口チューブをカセットから横方向に延ばすことにより、流体の重量によりチューブがねじれることなく、患者に到達するのにより適した位置にチューブが向けられる。
【0063】
図18~21を参照すると、別の実施形態のポンプセットが全体として7’’で示されている。ポンプセットは、カセット本体51’’を含むカセット5’’と、カセット本体内に受け入れられるフィッティング65’’とフィッティング内に移動可能に受け入れられるステム68’’とを含むフィッティングアセンブリ82’’と、フィッティングに取り付けられるチューブ45’’とを備える。カセット5’’は、フィッティング65’’、特にフィッティングの出口71’’の構成を除いて、前の実施形態のカセットと同様である。この実施形態では、出口71’’は、角度の付いたアーチ形部分104’’と、アーチ形部分内に受け入れられるフローガイド106’’とを備える。フローガイド106’’は、アーチ形部分104’’によって閉じられてフィッティング65’’の出口71’’を通るアーチ形の流路を提供する開放された上部を有する。チューブ45’’の下流部分がフローガイド106’’の第1取付部79’’に接続し、フローガイドの第2取付部81’’が出口チューブ83’’に接続する。出口71’’のアーチ形状により、第2取付部81’’は、カセット5’’の前部53’’にある開口部102’’を通って下向きに延びる。出口チューブ83’’は、第2取付部81に受け入れられ、カセット5’’のハウジング51’’の前部53’’に隣接して下向きに延びる。下向きに延びる出口チューブ83’’は、第2取付部81’’から垂直に上向きに延びる出口チューブよりもねじれに抵抗する配向を提供する。これは、出口チューブ83’’を通って流れる流体によって生成される下向きの力が、既に下向きに延びている出口チューブの曲がりを少なくし、ねじれが形成される可能性を低くするからである。また、出口チューブ83’’は一般に患者に到達するためにカセット5から下向きに曲がらなければならないので、既にカセットから下向きに延びている出口チューブを有することにより、流体の重量によりチューブがねじれることなく、患者に到達するのにより適した位置にチューブが向けられる。
【0064】
図22~25を参照すると、別の実施形態のポンプセットが全体として7’’’で示されている。ポンプセットは、カセット本体51’’’を含むカセット5’’’と、カセット本体内に受け入れられるフィッティング65’’’とフィッティング内に移動可能に受け入れられるステム68’’’とを含むフィッティングアセンブリ82’’’と、フィッティングに取り付けられるチューブ45’’’とを備える。カセット5’’’は、フィッティング65’’’、特にフィッティングの出口7G’’の構成を除いて、前の実施形態のカセットと同様である。この実施形態では、出口71’’’は、アーチ形部分104’’’と、アーチ形部分の上に受け取られるフローガイド106’’’とを備える。アーチ形部分104’’’は、フローガイド106’’’によって閉じられてフィッティング65’’’の出口7G’’を通るアーチ形の流路を提供する開放された上部を有する。チューブ45’’’の下流部分がアーチ形部分104’’’の第1取付部79’’’に接続し、アーチ形部分の第2取付部8’’が出口チューブ83’’’に接続する。出口71’’のアーチ形状により、第2取付部8G’’は、カセット5’’’の側方突出部にある開口部(図示せず)を通って下向きに延びる。出口チューブ83’’は、第2取付部81’’に受け入れられ、カセット5’’の側壁6G’’に隣接して下向きに延びる。下向きに延びる出口チューブ83’’’は、第2取付部8G’’から垂直に上向きに延びる出口チューブよりもねじれに抵抗する配向を提供する。これは、出口チューブ83’’を通って流れる流体によって生成される下向きの力が、既に下向きに延びている出口チューブの曲がりを少なくし、ねじれが形成される可能性を低くするからである。また、出口チューブ83’’’は一般に患者に到達するためにカセット5’’’から下向きに曲がらなければならないので、既にカセットから下向きに延びている出口チューブを有することにより、流体の重量によりチューブがねじれることなく、患者に到達するのにより適した位置にチューブが向けられる。
【0065】
本発明の1つの非排他的な記載において、ポンピング装置と共に使用するためのカセットは、一般に、カセットをポンピング装置に取り付けるためにポンピング装置に取り外し可能に取り付けるように構成された本体を備える。本体は、前部、後部、上部、下部、及び本体の上部から下向きに延びる湾曲ガイド壁を備える。本体に取り付けられたフィッティングは、入口チューブをカセットに取り付けるための入口ポートと、出口チューブをカセットに取り付けるための出口ポートとを有する。出口ポートは、本体の上部から引っ込んでおり、湾曲ガイド壁は、出口チューブのねじれを防ぐために出口チューブを支持するべくフィッティングの出口ポートに隣接して延びる。
【0066】
本発明の要素又はその好ましい実施形態を紹介する際に、冠詞「a」、「an」、「the」及び「said」は、要素の1つ以上が存在することを意味するよう意図されている。「備える」、「含む」及び「有する」という用語は、包括的であることを意図しており、記載された要素以外に追加の要素が存在する可能性があることを意味する。
【0067】
上記を考慮すると、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が得られることが分かるであろう。
【0068】
本発明の範囲から逸脱することなく、上記の構成に様々な変更を加えることができるので、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されるすべての事項は、例示として解釈され、限定的な意味ではないことが意図される。
図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25