(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】発電機
(51)【国際特許分類】
F03B 17/02 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
F03B17/02
(21)【出願番号】P 2022513441
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 RU2020050186
(87)【国際公開番号】W WO2021040569
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-07-24
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】519048942
【氏名又は名称】チャグリン デニス ヴァレンチノヴィッチ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャグリン デニス ヴァレンチノヴィッチ
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202006009953(DE,U1)
【文献】特開昭52-70255(JP,A)
【文献】特開2011-52681(JP,A)
【文献】特開2018-112192(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0246283(US,A1)
【文献】米国特許第4726188(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 13/00-13/26
F03B 17/00-17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方部内の開口部を有するプラットフォームが中に置かれる、液体で満たされた縦型容器の形態の本体であって、前記プラットフォームの内側部が鐘の形状を有する、本体、ならびに、前記プラットフォームの下側に位置する、空気を蓄積させることによって前記プラットフォームに正の浮力を付与するための手段と、前記プラットフォームの前記上方部内の前記開口部に接続される水管と、前記水管に接続される窓と、前記水管と前記プラットフォームに正の浮力を付与するための手段との間に取り付けられる弁と、前記水管を通って流れる液体の作用下で回転することができるように設計され、生成した電力を伝送するための手段を備える、前記プラットフォームに取り付けられるタービンと、前記プラットフォームが回転するのを防ぐための手段とを含む発電機において、前記タービンは、前記プラットフォームに正の浮力を付与するための手段から前記弁を通って放出される空気の作用下で回転することができるように設計されていることを特徴とする、発電機。
【請求項2】
請求項1に記載の発電機であって、前記発電機は、前記水管に接続される前記窓に取り付けられる追加の弁を含むことを特徴とする発電機。
【請求項3】
請求項1に記載の発電機であって、前記プラットフォームは、前記本体の内部表面の断面形状に従う断面形状を有することを特徴とする発電機。
【請求項4】
請求項1に記載の発電機であって、前記プラットフォームが回転するのを防ぐための手段は、前記本体の前記内部表面上の対応する凹所に位置する、前記プラットフォーム上の突出部の形態で作製されることを特徴とする発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
特許請求される技術的ソリューションは、電力工学の分野、詳細には、水力発電所に関し、重力および浮力原理を交互に使用することによって電力を生産するために使用され得る。
【背景技術】
【0002】
水で満たされたタワー内で上昇および降下する浮遊タービンが、DE202006009953「出力タービン搭載フロート(Auf- und Abtriebs-Turbinenschwimmer im Wasserturm)」(IPC F03B17/02、2006年8月24日発行)による先行技術から知られている。知られているソリューションは、水で満たされた円筒タワーであり、この中に、タービンの設置されたプラットフォームが置かれる。プラットフォームは、空気または水で交互に満たされた空洞の形態で、プラットフォームに正または負の浮力を付与するための手段を備える。タービンは、プラットフォームが上方に移動するとき、水の作用下で回転することができるように設計される。
【0003】
GB2515541「浮遊タービン(FLOATING TURBINE)」(IPC F03B17/02;F03B17/04、2014年12月31日発行)による浮遊タービンが、最も近い類似物として選択された。知られているソリューションは、水中に置かれたプラットフォームに取り付けられて、ガイドに沿って上下に移動するタービンであり、ガイドには管状の物体が使用され得る。プラットフォームは、その降下を促進するために負の浮力を有するが、追加的に、プラットフォームに正の浮力を与える調節可能な手段を、特に、バラストタンクまたはコンパートメントの形態で備え、正の浮力が達成されると、タービンが上昇する。重力および浮力原理の作用下でのプラットフォームの交互の運動により、タービン羽根を通る水の運動がタービン羽根を回転させ、これにより、発電機に電力を生産させる。
【0004】
知られているソリューションにおいて、プラットフォームが上方位置に到達するとき、負の浮力をプラットフォームに付与するために、バラストタンクまたはコンパートメントからの空気は、大気内へ排出され、電気の生成に参加しないため、これがデバイスの性能効率を減少させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国実用新案登録第202006009953号明細書
【文献】英国特許第2515541号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
特許請求される技術ソリューションにおいて、さらなるタービン回転および電力生成のためにプラットフォームに正の浮力を付与するための手段からの空気を使用することが提案される。技術的結果は、発電機の性能効率を増大させることにある。
【0007】
技術的結果は、上方部内の開口部を有するプラットフォームが中に置かれる、液体で満たされた縦型容器の形態にある本体であって、プラットフォームの内側部が鐘の形状を有する、本体、ならびに、プラットフォームの下側に位置する、空気を蓄積させることによってプラットフォームに正の浮力を付与するための手段と、プラットフォームの上方部内の開口部に接続される水管と、水管に接続される窓と、水管とプラットフォームに正の浮力を付与するための手段との間に取り付けられる弁と、水管を通って流れる液体の作用下で回転することができるように設計され、生成した電力を伝送するための手段を備える、プラットフォームに取り付けられるタービンと、プラットフォームが回転するのを防ぐための手段とを含む、特許請求されるソリューションに従う発電機において、タービンがまた、プラットフォームに正の浮力を付与するための手段から弁を通って放出される空気の作用下で回転することができるように設計されるという点で、達成される。発電機は、水管に接続される窓に取り付けられる追加の弁を含み得る。プラットフォームは、本体の内部表面の断面形状に従う断面形状を有する。プラットフォームが回転するのを防ぐための手段は、本体の内部表面上の対応する凹所に位置する、プラットフォーム上の突出部の形態で具現化され得る。
【0008】
タービンが、液体の作用下、およびプラットフォームに正の浮力を付与するための手段から弁を通じて放出される空気の作用下の両方において回転可能であるということに起因して、タービンが空気の作用下で回転するとき、さらなる電力が生成されることから、発電機の性能効率が増大される。
【0009】
プラットフォームがその上下運動の間に回転するのを防ぐため、プラットフォームは、プラットフォームが回転するのを防ぐための手段を備え、これは、先行技術から知られている様々な異形で設計され得る。好ましくは、そのような手段は、本体の内部表面上の対応する凹所に位置する、プラットフォーム上の突出部の形態、例えば、本体の内部表面上に存在する垂直レール、およびプラットフォーム上に作製され前記レール内に位置する対応する突出部の形態で、作製されなければならない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特許請求されるソリューションは、その潜在的な実施形態のうちの1つを示す図を用いて例証される。
【0011】
図中、数字は、以下を示す:1-本体、2-タービン、3-プラットフォーム、4-水管、5-プラットフォームに正の浮力を付与するための手段、6-液体、7-空気供給のための圧縮機、8-窓、9-弁。
【0012】
さらに、発電機の設計およびその動作が、図を参照して説明される。発電機本体(1)は、任意の知られている方法で設計され、形状およびサイズは、特定ニーズおよび要求される性能に基づいて選択される。いくつかの発電機が、並んで、例えば、ハニカムの形態で、取り付けられることを可能にする形状で本体(1)を設計することが好ましい。
【0013】
タービン(2)は、プラットフォーム(3)の開口部に取り付けられ、プラットフォーム(3)が上下に移動するときの、本体の一部から別の場所へ水管(4)および窓(8)を通って流れる液体(6)の作用下、ならびに、プラットフォーム(3)が上方位置にあり、プラットフォームに浮力を付与するための手段(5)から弁(9)を通って空気が放出され、これによりタービン(2)の回転をもたらすときの、空気の作用下の両方において回転することができるように設計される。
【0014】
プラットフォーム(3)は、タービン(2)が位置する上方部内の開口部を伴った鐘の形状を有する。鐘の形状は、縁が下方を向いている中空ドームの存在によって特徴付けられる形状を意味すると理解される。ドームは、円筒および円錐形状を含む、様々な形状を有し得る。プラットフォーム(3)は、本体の内部表面の断面形状に従う断面形状を有する。プラットフォーム(3)の、その上下運動の過程における回転を除去するために、プラットフォーム(3)は、プラットフォームの回転を防ぐための手段を備える(図には示されない)。水管(4)は、好ましくは、その上方端が窓(8)に接続され、その下方端がプラットフォームに浮力を付与するための手段(5)における空気レベルより下にあるような方式で、開口部に接続される。水管(4)に同じく接続されるのは、水管(4)とプラットフォームに正の浮力を付与するための手段(5)との間に取り付けられ、そこから空気を放出する役割を果たす弁(9)である。プラットフォーム(3)の下側には、空気を蓄積することによってプラットフォームに正の浮力を付与するための手段(5)が、例えば、プラットフォーム(3)の壁によって囲まれた貯蔵器の形態で、存在する。プラットフォーム(3)は、手段(5)内に空気がなければ、それが負の浮力を有し、重力の作用下で下に落ちるというような重量を有する。
【0015】
液体(6)として、水および任意の他の液体が使用され得、液体の密度は、プラットフォーム(3)が上下に移動するとき、液体が、本体の一部から別の場所へ流れること、およびタービン(2)を回転させることを可能にする。
【0016】
プラットフォーム(3)に浮力を付与するための手段(5)へ空気を圧送するため、特に、圧縮機(7)が使用され得る。
【0017】
さらに、特許請求される技術ソリューションの実装形態が開示される。発電機本体(1)は、任意の知られている方法によって作製される。本体は、液体(6)で満たされ、プラットフォーム(3)がその中に置かれる。プラットフォーム(3)は、窓(8)を有する水管(4)が接続される上方部内の開口部を伴った鐘の形態で設計される。タービン(2)は、開口部に置かれ、手段(5)は、例えば、プラットフォーム(3)の壁によって囲まれた貯蔵器の形態で、空気を蓄積することによってプラットフォーム(3)に正の浮力を付与するためにプラットフォーム(3)の下側に提供される。プラットフォーム(3)の重量は、プラットフォームに浮力を付与するための手段(5)内に空気がなければ、それが負の浮力を有し、重力の作用下で下に落ちるように、選択される。プラットフォーム(3)が本体(1)の下方部にあるとき、空気は、圧縮機(7)を使用して、プラットフォーム(3)の下方部に位置するプラットフォームに浮力を付与するための手段(5)へと圧送される。手段(5)に十分な量の空気が蓄積すると、プラットフォーム(3)は、正の浮力を獲得し、浮力の作用下で、上方へ移動し始める。プラットフォーム(3)の移動中に動かされた液体は、タービン(2)羽根が回転している間、窓(8)を通って、さらに本体(1)の上方部から下方部へ水管(4)に沿って流れ、このタービン(2)羽根が、生成した電力を伝送するための手段(図には示されない)を使用して、消費者に、または蓄電のために伝送される電力を発電機に生産させる。プラットフォーム(3)が上方位置に到達すると、弁(9)が開いて、プラットフォームに浮力を付与するための手段(5)から空気を放出する。水管(4)を通過する空気は、水の作用下および空気の作用下の両方において回転することができるように設計されたタービン(2)の羽根に入り、タービン(2)を回転させ、このタービン(2)が、生成した電力を伝送するための手段(図には示されない)を使用して、消費者に、または蓄電のために伝送される電力を発電機に生産させる。空気が手段(5)から放出された後、プラットフォーム(3)は、負の浮力を獲得し、重力の作用下で降下する。プラットフォームの下方への移動中に動かされた液体は、タービン(2)羽根が回転している間、水管(4)および窓(8)を通って本体(1)の下方部から上方部へ流れ、このタービン(2)羽根が、生成した電力を伝送するための手段(図には示されない)を使用して、消費者に、または蓄電のために伝送される電力を発電機に生産させる。
【0018】
提示された図、発電機の構造および使用の説明は、潜在的な実施形態を語り尽くすものではなく、特許請求される技術ソリューションの範囲をいかようにも限定しない。実装形態および使用の他のオプションが、特許請求の範囲内で可能である。目的に応じて、発電機は、異なるサイズおよび構成で製造され得る。
【0019】
発電機は、タービンがプラットフォームに浮力を付与するための手段から放出される空気の作用下で回転するときの、電力のさらなる生成に起因する高性能効率によって特徴付けられる。
【図 】