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特許7466631ガス電子増倍器、ガス光電増倍管及びガスX線像増強器
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  • 特許-ガス電子増倍器、ガス光電増倍管及びガスX線像増強器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】ガス電子増倍器、ガス光電増倍管及びガスX線像増強器
(51)【国際特許分類】
   H01J 43/22 20060101AFI20240405BHJP
   H01J 31/50 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
H01J43/22
H01J31/50 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022514969
(86)(22)【出願日】2019-09-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-21
(86)【国際出願番号】 CN2019104376
(87)【国際公開番号】W WO2021042289
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】505383316
【氏名又は名称】中国科学技▲術▼大学
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY OF CHINA
【住所又は居所原語表記】96, Jinzhai Road, Baohe District, Hefei, Anhui 230026, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 志永
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 建北
(72)【発明者】
【氏名】邵 明
(72)【発明者】
【氏名】周 意
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-135267(JP,A)
【文献】特開2005-010163(JP,A)
【文献】特開2007-234485(JP,A)
【文献】特開2010-286316(JP,A)
【文献】特表2011-505656(JP,A)
【文献】特開2013-044732(JP,A)
【文献】国際公開第2013/141400(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106024552(CN,A)
【文献】M. Alexeev et al.,Ion backflow in thick GEM-based detectors of single photons,Journal of Instrumentation,英国,IOP Science,2013年01月29日,Vol. 8, P01021,pp. 1-17
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 43/22
H01J 31/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読出し陽極板(1)と、
n層のマイクログリッド電極(21)が支持構造(3)によりカスケード接続されて形成され、前記支持構造(3)が前記読出し陽極板(1)に固定されるマイクログリッド電極構造(2)と、を含み、
前の一層のマイクログリッド電極(21)の微細孔とその下の一層のマイクログリッド電極(21)の微細孔が位置ずれしており、マイクログリッド電極(21)の間にガスアバランシェ増幅領域が形成され、nが3以上の整数であり、
前記マイクログリッド電極(21)の間の間隔は、50-500ミクロンであり、
前記マイクログリッド電極(21)の表面に20N/cmより大きい張力が印加され
前記マイクログリッド電極(21)の厚さは10-40ミクロンであり、
前記マイクログリッド電極(21)の光学透過率は30%-70%である、
ガス電子増倍器。
【請求項2】
前記読出し陽極板(1)から最も遠いマイクログリッド電極(21)の光学透過率は他のマイクログリッド電極(21)の光学透過率より大きい、請求項1に記載のガス電子増倍器。
【請求項3】
前記読出し陽極板(1)から離れたマイクログリッド電極(21)の間の間隔は前記読出し陽極板(1)に近接するマイクログリッド電極(21)の間の間隔よりも大きい、請求項1に記載のガス電子増倍器。
【請求項4】
請求項1~のいずれか一項に記載のガス電子増倍器に基づくガス光電増倍管であって、
ガス電子増倍器及び光電陰極(4)を含み、結晶材料、ハウジング(6)により前記読出し陽極板(1)に接続されて密封構造を形成し、前記光電陰極(4)が前記ガス電子増倍器に形成され、又は前記ガス電子増倍器の上方の結晶材料の内面に形成され、前記ガス電子増倍器の上方の結晶材料を光学ウィンドとし、
ここで、前記密封構造の内部に電子ドリフト及びアバランシェ増倍のための作動ガスが充填される、ガス光電増倍管。
【請求項5】
前記光電陰極(4)の材料は、ヨウ化セシウム、塩基又は半導体材料であり、
前記結晶材料は石英ガラス又はフッ化マグネシウムであり、
前記作動ガスは、不活性ガスと負性ガスとの混合ガスである、請求項に記載のガス光電増倍管。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載のガス電子増倍器に基づくガスX線像増倍器であって、
ガス電子増倍器及びドリフト陰極(5)を含み、X線透過の薄膜材料、ハウジング(6)により前記読出し陽極板(1)に接続されて密封構造を形成し、前記ガス電子増倍器の上方のX線透過の薄膜材料をX線透過ウィンド及び前記ドリフト陰極(5)とし、
ここで、前記密封構造の内部に電子ドリフト及びアバランシェ増倍のための作動ガスが充填される、ガスX線像増倍器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、微細構造ガス検出器の分野に関し、特にガス電子増倍器、ガス光電増倍管及びガスX線像増強器に関する。
【背景技術】
【0002】
微細構造ガス検出器(MPGD)、例えばマイクログリッドガス検出器(Micromegas)は、その特有の利点により、例えば大きな感度面積に製造しやすく、良好な位置及び時間分解能を有し、より強い磁場環境下で安定して動作することができ、製造コストが低いなど、非常に広い注目及び研究を得る。ここで、非常に価値のあるアプリケーションは、MPGDに基づく新型の光電検出器であり、光電子増倍検出器が>10の高利得及び極めて低い正イオンフィードバック率(IBFR)を有することを要求する。
【0003】
現在国内外で一般的に研究された解決手段は、多くのガス検出器の混合構造を採用し、微細孔のガス電子増倍器(GEM或THGEM)を用いて予備増幅とし、Micromegasで二段増幅し、それにより十分に高い利得を取得して光子検出器の読み出しとする。しかし、複数種の検出器の混合は異なる検出器の構造、特徴パラメータに制限され、相対的構造が複雑であり、かつ依然として満足できる低いIBFR効果を取得することができない。従来の技術において最も一般的なガス検出器の混合構造は二種類があり、一つは、4層のGEMカスケード接続であり、その中、中間の二層はスパース孔の方式を採用することにより、IBFRをさらに低減し、このような方式は、約0.1%のイオンフィードバック率を実現することができるが、構造が比較的複雑であり、かつ単電子増幅の約10の高利得を同時に実現することができない。もう一つは単層GEM及びMicromegas混合構造であり、従来の報告によれば、0.2%のIBFRのみを実現することができる。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様は、ガス電子増倍器を提供し、読出し陽極板1と、n層のマイクログリッド電極21が支持構造3によりカスケード接続されて形成され、支持構造3が読出し陽極板1に固定されるマイクログリッド電極構造2と、を含み、前の一層のマイクログリッド電極21の微細孔とその下の一層のマイクログリッド電極21の微細孔が位置ずれしており、マイクログリッド電極21の間にガスアバランシェ増幅領域が形成され、nが3以上の整数である。
【0005】
選択的には、マイクログリッド電極21の厚さは10-40ミクロンである。
【0006】
選択的には、マイクログリッド電極21の光学透過率は30%-70%である。
【0007】
選択的には、読出し陽極板1から最も遠いマイクログリッド電極21の光学透過率は他のマイクログリッド電極21の光学透過率より大きい。
【0008】
選択的には、マイクログリッド電極21の間の間隔は50-500ミクロンである。
【0009】
選択的には、読出し陽極板1から離れたマイクログリッド電極21の間の間隔は、読出し陽極板1に近接するマイクログリッド電極21の間の間隔よりも大きい。
【0010】
本開示の他の態様は、上記ガス電子増倍器に基づくガス光電増倍管を提供し、ガス電子増倍器及び光電陰極4を含み、結晶材料、ハウジング6により読出し陽極板1に接続されて密封構造を形成し、光電陰極4は、ガス電子増倍器に形成され、又は、ガス電子増倍器の上方の結晶材料の内面に形成され、ガス電子増倍器の上方の結晶材料は光学ウィンドとし、ここで、密封構造の内部に電子ドリフト及びアバランシェ増倍のための作動ガスが充填される。
【0011】
選択的には、光電陰極4の材料は、ヨウ化セシウム、塩基又は新規な半導体材料例えばガリウム砒素であり、結晶材料は、石英ガラス又はフッ化マグネシウムであり、作動ガスは、不活性ガスと負性ガスとの混合ガスである。
【0012】
本開示の他の態様は、さらに、上記ガス電子増倍器に基づくガスX線画像増強器を提供し、ガス電子増倍器及びドリフト陰極5を含み、X線透過の薄膜材料、ハウジング6により読出し陽極板1に接続されて密封構造を形成し、ガス電子増倍器の上方のX線透過の薄膜材料は、X線透過ウィンド及び上記ドリフト陰極5とし、ここで、密封構造の内部に電子ドリフト及びアバランシェ増倍のための作動ガスが充填される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施例が提供するガス電子増倍器の構造図を概略的に示す。
図2】本開示の実施例が提供する三層マイクログリッド電極のガス電子増倍器の構造図を概略的に示す。
図3】本開示の実施例の透過型ガス光電増倍管の構造図を概略的に示す。
図4】本開示の実施例の反射式ガス光電増倍管の構造図を概略的に示す。
図5】本開示の実施例に係るガスX線像増強器の構成図を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本開示の実施例を説明する。しかし、理解すべきことは、これらの説明は例示的なものだけであり、本開示の範囲を限定するものではない。また、以下の説明において、公知の構造及び技術の説明を省略することにより、本開示の概念を不必要に混同することを回避する。
【0015】
ここで使用される用語は具体的な実施例を説明するためだけであり、本開示を限定することを意図するものではない。文脈が明確に指摘されない限り、ここで使用された「一」、「一つ(種)」及び「該」などの用語は、「複数」、「複数種」の意味を含むべきである。また、ここで使用される「含む」、「包含」等の用語は、前記特徴、ステップ、操作及び/又は部品の存在を示すが、一つ又は複数の他の特徴、ステップ、操作又は部品の存在又は追加を排除するものではない。
【0016】
ここで使用される全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は、特に定義されない限り、当業者が一般的に理解する意味を有する。注意すべきことは、ここで使用される用語は、本明細書の文脈と一致する意味を有すると解釈すべきであり、理想的又は固定観念で解釈されるべきではない。
【0017】
図1は、本開示の実施例が提供するガス電子増倍器の構造図を概略的に示し、図1に示すように、読出し陽極板1を含む。マイクログリッド電極構造2は、n層のマイクログリッド電極21が支持構造3によりカスケード接続されて形成され、該支持構造3が読出し陽極板1に固定される。ここで、上層のマイクログリッド電極21の微細孔とその下層のマイクログリッド電極21の微細孔が位置ずれし、マイクログリッド電極21の間にガスアバランシェ増幅領域が形成され、nが3以上の整数である。
【0018】
ここで、マイクログリッド電極21の厚さは例えば10-40ミクロンであってもよく、光学透過率は例えば30%-70%であってもよい。本開示の一実施例において、読出し陽極板1から最も遠いマイクログリッド電極21の光学透過率は、他のマイクログリッド電極21の光学透過率より大きく、それによりイオンフィードバック率を低くすることができる。しかしながら、読出し陽極板1から最も遠いマイクログリッド電極21の光学透過率が他のマイクログリッド電極21の光学透過率よりも大きいものではなく、例えば、実際の需要において、イオンフィードバック率に対する要求が非常に高くない時に、読出し陽極板1から最も遠いマイクログリッド電極21の光学透過率は、他のマイクログリッド電極21の光学透過率以下であってもよく、具体的な光学透過率の設定は、実際の需要に応じて決定される。マイクログリッド電極21の間の間隔は、例えば50-500ミクロンであってもよく、読出し陽極板1から離れたマイクログリッド電極21の間の間隔は、読出し陽極板1に近接するマイクログリッド電極21の間の間隔よりも大きい。マイクログリッド電極21の表面には、20N/cmより大きい張力が付与されている。マイクログリッド電極21の具体的なパラメータについて、本開示には限定されない。
【0019】
図2は、本開示の実施例が提供する三層マイクログリッド電極のガス電子増倍器の構造図を概略的に示す。図2に示すように、読出し陽極板1を含み、マイクログリッド電極構造2は、三層のマイクログリッド電極21(上から下への符号a、b、c)が支持構造3によりカスケード接続されて形成され、該支持構造3が読出し陽極板1に固定される。ここで、該マイクログリッド電極21は、例えば、ステンレス鋼又は銅などの導電性金属網であってもよく、具体的には本開示に限定されない。
【0020】
マイクログリッド電極21の厚さは、例えば10-40ミクロンであり、光学透過率(又は窓開率)は例えば30%-70%であり、一般的に、電極aは、窓開率が高くかつ薄いネットを採用することにより、電子がメッシュを透過して第一層であるガスアバランシェ予備増幅領域(隙間P)に入りやすく、電子の収集効率を向上させる。電極bとcは、緻密な網型、すなわち、窓開率が低くかつ厚いマイクログリッド電極21を採用し、IBFRを低くする。
【0021】
三層のマイクログリッド電極21の微細孔は互いに位置ずれする。正イオンは質量が大きく、ドリフト速度が遅いため、その運動軌跡は基本的に電界線からずれないため、メッシュずれの方法(図2に示すように)を採用することにより、アバランシェ増幅領域の電界線を金属網に最大限に終結させることができ、それにより、三段増幅隙間Mから二段増幅隙間Sまでの、及び二段増幅隙間Sから予備増幅隙間Pまでの正イオンを抑制することができる。実際の操作において、異なる木製数のメッシュ型、および、電極bを相対的に一定の角度回転させる方法を採用してメッシュずれの目的を実現することができる。
【0022】
メッシュ電極を電荷ゲートのみとする従来の方法(電極間の間隔が大きく、電界が弱く、アバランシェ増幅がない)とは異なり、本実施例におけるマイクログリッド電極21の間の距離は微小であり、例えば50-500ミクロンであってもよい。電界が強いため、メッシュ型電極に十分に高い張力を印加する必要があり、一般的に20N/cmより大きい張力を印加する。高張力で、スクリーンの固定は一定の厚さの高強度接着フィルムを採用して接着することにより、マイクログリッド電極21の平坦化を確保する。
【0023】
本実施例は、三層のマイクログリッド電極21と読出し陽極板1との間に三つの隙間を形成し、電極に高電圧を印加することにより、隙間に強電界を形成して電子アバランシェに用いられ、アバランシェにより生成された部分の電子は、P(S)隙間からS(M)隙間に伝送することができ、それによりガスカスケード接続増倍を実現する。したがって、隙間の選択、電極電圧の割り当て(隙間電界)は、IBFR抑制及び電子増倍に直接的な影響を与える。
【0024】
標準大気圧で、単層の微細構造ガス検出器の最適化された隙間の厚さは、50-200ミクロンであり、本実施例は、多段カスケード接続の構造を採用し、隙間の厚さは、より広い選択範囲を有する。高利得および低IBFRを実現しようとすると、予備増幅領域(P)及び二段増幅領域(S)は、広い隙間を採用することができ、それにより電子の横方向分布を増加させ、電子分布密度を低下させることができ、三段増幅領域(M)は狭隙間を採用することができ、有効利得を向上させ、それにより超高の総利得及び良好な安定性を確保する。他の応用シーンであれば、異なる隙間組み合わせ方式を採用する。
【0025】
同様に、電界の割り当ても異なる需要に応じて選択され、IBFRの低下を例として、P、S電界強度を低下させることにより、M電界強度を向上させることができる。
【0026】
本実施例は、三段カスケード接続されたマイクログリッド電極構造2を採用することにより、マイクログリッド電極21の位置ずれの配列方式により、三段増幅隙間Mから二段増幅隙間Sまでの、及び隙間Sから隙間Pまでの正イオンを抑制することができ、マイクログリッド電極構造2パラメータ(マイクログリッド電極21の厚さ、マイクログリッド電極21の間の隙間及び光透過率)を結合し、IBFR(0.01%以下)を大幅に低減するとともに、高利得を実現することができる。
【0027】
図3は、本開示の実施例の透過型ガス光電増倍管の構造図を概略的に示す。図3に示すように、該ガス光電増倍管(GPMT)は、上記実施例に言及されたガス電子増倍器及び光電陰極4を含む。
【0028】
ガス電子増倍器及び光電陰極4は、結晶材料、ハウジング6により、読出し陽極板1に接続されて封止構造を形成し、光電陰極4は、ガス電子増倍器の上方の結晶材料の内表面に形成され、ガス電子増倍器の上方の結晶材料は、光学ウィンド口Fとして、封止構造の内部に電子ドリフト及びアバランシェ増倍のための作業ガスが充填される。
【0029】
光電陰極4は、例えば、ヨウ化セシウムCsI(紫外)、塩基又は新規な半導体材料例えばガリウム砒素(可視光)であってもよい。作動ガスGは、例えば、不活性ガス(アルゴン、ネオン、キセノン等)及び負性ガス(例えば、四フッ化炭素、メタン等)混合ガスであってもよい。結晶材料は、例えば、石英ガラスやフッ化マグネシウム等の結晶であってもよい。読出し陽極板1は、例えば、セラミック読出し板であってもよい。具体的に本開示は限定しない。
【0030】
図4は、本開示の実施例の反射式ガス光電増倍管の構造図を概略的に示す。図4に示すように、該ガス光電増倍管(GPMT)は上記実施例に言及されたガス電子増倍器及び光電陰極4を含む。
【0031】
ガス電子増倍器及び光電陰極4は結晶材料、ハウジング6により読出し陽極板1に接続されて密封構造を形成し、光電陰極4は、ガス電子増倍器に形成され、ガス電子増倍器の上方の結晶材料は光学ウィンドFとし、密封構造の内部に電子ドリフト及びアバランシェ増倍のための作動ガスGが充填される。
【0032】
光電陰極4は、例えば、ヨウ化セシウムCsI(紫外)、塩基又は新規な半導体材料例えばガリウム砒素(可視光)であってもよく、作動ガスGは例えば不活性ガス(アルゴン、ネオン、キセノン等)及び負性ガス(例えば四フッ化炭素、メタン等)混合ガスであってもよく、結晶材料は例えば石英ガラス又はフッ化マグネシウム等の結晶であってもよく、読出し陽極板1は例えばセラミック読出し板であってもよく、具体的に本開示は限定しない。
【0033】
本開示の実施例が提供するGPMTは、上記実施例が提供するガス電子増倍器を採用するため、可視光に対して感度がある光陰極材料がイオンによりフィードバックされ損傷しやすいという問題を解決し、利得安定性が向上する。
【0034】
図5は、本開示の実施例に係るガスX線像増強器の構成図を模式的に示す。図5に示すように、該ガスX線像増強器(GXRII)は上記実施例に言及されたガス電子増倍器及びドリフト電極5を含む。
【0035】
ガス電子増倍器及びドリフト陰極5はX線透過の薄膜材料、ハウジング6により読出し陽極板1に接続されて密封構造を形成し、ガス電子増倍器の上方のX線透過の薄膜材料はX線透過ウィンドF′及びドリフト陰極5とする。ここで、密封構造の内部に電子ドリフト及びアバランシェ増倍のための作動ガスGが充填される。
【0036】
薄膜材料は例えば金属アルミニウム膜等であってもよく、作動ガスGは例えば不活性ガス(アルゴン、ネオン、キセノン等)及び負性ガス(例えば四フッ化炭素、メタン等)混合ガスであってもよく、読出し陽極板が導電コーティング膜を採用する透光ガラスを採用し、具体的に本開示が限定しない。画像収集時に、CCDカメラ又は光学カメラを透光ガラスの導電膜平面に集束して撮影して結像する。
【0037】
本開示の実施例が提供するGXRIIは、上記実施例が提供するガス電子増倍器を採用するため、製造の位相差が小さく、感度面積が大きく、輝度利得が高く、利得安定性が向上する。
【0038】
以上に述べた具体的な実施例は、本開示の目的、技術案及び有益な効果をさらに詳細に説明し、理解すべきこととして、以上の記載は本開示の具体的な実施例に過ぎず、本開示を限定するものではなく、本開示の精神及び原則内で、行われたいかなる修正、同等置換、改善などは、いずれも本開示の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0039】
1-読出し陽極板
11-読出陽極
2-マイクログリッド電極構造
21-マイクログリッド電極
3-支持構造
4-光電陰極
5-ドリフト電極
6-ハウジング
E-電子ドリフト領域
F-光学ウィンド
F′-X線透過ウィンド
G-作動ガス

図1
図2
図3
図4
図5