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特許7466637マイクロチャネルを含む蒸発装置を有する流体ベースの冷却を備えるトラクションバッテリのためのハウジング装置
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  • 特許-マイクロチャネルを含む蒸発装置を有する流体ベースの冷却を備えるトラクションバッテリのためのハウジング装置 図1
  • 特許-マイクロチャネルを含む蒸発装置を有する流体ベースの冷却を備えるトラクションバッテリのためのハウジング装置 図2
  • 特許-マイクロチャネルを含む蒸発装置を有する流体ベースの冷却を備えるトラクションバッテリのためのハウジング装置 図3
  • 特許-マイクロチャネルを含む蒸発装置を有する流体ベースの冷却を備えるトラクションバッテリのためのハウジング装置 図4
  • 特許-マイクロチャネルを含む蒸発装置を有する流体ベースの冷却を備えるトラクションバッテリのためのハウジング装置 図5
  • 特許-マイクロチャネルを含む蒸発装置を有する流体ベースの冷却を備えるトラクションバッテリのためのハウジング装置 図6
  • 特許-マイクロチャネルを含む蒸発装置を有する流体ベースの冷却を備えるトラクションバッテリのためのハウジング装置 図7
  • 特許-マイクロチャネルを含む蒸発装置を有する流体ベースの冷却を備えるトラクションバッテリのためのハウジング装置 図8
  • 特許-マイクロチャネルを含む蒸発装置を有する流体ベースの冷却を備えるトラクションバッテリのためのハウジング装置 図9
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】マイクロチャネルを含む蒸発装置を有する流体ベースの冷却を備えるトラクションバッテリのためのハウジング装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6557 20140101AFI20240405BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240405BHJP
   H01M 10/617 20140101ALI20240405BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240405BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240405BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20240405BHJP
【FI】
H01M10/6557
H01M10/613
H01M10/617
H01M10/625
H01M10/647
H01M10/6568
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2022523006
(86)(22)【出願日】2020-05-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2020062332
(87)【国際公開番号】W WO2021073782
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】102019216050.6
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598001467
【氏名又は名称】カウテックス テクストロン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フェリクス・ハース
(72)【発明者】
【氏名】モーリッツ・リッペルハイデ
(72)【発明者】
【氏名】ハルトムート・ヴォルフ
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-035572(JP,A)
【文献】特開2015-233017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/52 - 10/667
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体ベースの冷却を備えるトラクションバッテリ(1)のためのハウジング装置(2)であって、前記トラクションバッテリ(1)が複数のバッテリセル(3)を有し、前記ハウジング装置が、
複数の前記バッテリセル(3)を収容するための複数の収容位置を有する囲まれた内部空間(5)を形成するハウジング体(4)であって、前記ハウジング体(4)の底領域(6)が液状流体(8)を収容するように形成されている、ハウジング体と、
前記液状流体(8)を蒸発させるための蒸発装置(9)と、を備えるハウジング装置において、
前記蒸発装置(9)が、マイクロチャネル(13)を形成するための複数のマイクロチャネル構造(12)を有し、
組立状態で、前記マイクロチャネル構造(12)が垂直方向(16)に延在し、その垂直方向(16)で下の領域に、前記ハウジング体(4)の前記底領域(6)からの前記液状流体(8)を収容するための少なくとも1つの入口開口(20)を有し、
動作中、前記液状流体(8)が少なくとも1つの前記入口開口(20)を通って前記マイクロチャネル(13)に入り、前記マイクロチャネル(13)において前記バッテリセル(3)から前記液状流体(8)への熱輸送が行われ、それによって前記蒸発装置(9)内の前記液状流体(8)が蒸発することを特徴とする、ハウジング装置(2)。
【請求項2】
自動車の、流体ベースの冷却を備えるトラクションバッテリ(1)のためのハウジング装置(2)であることを特徴とする、請求項1に記載のハウジング装置(2)。
【請求項3】
前記蒸発装置(9)が少なくとも1つの蒸発要素(10)を有し、
少なくとも1つの前記蒸発要素(10)が、前記マイクロチャネル(13)を形成するための複数の前記マイクロチャネル構造(12)を有する蒸発体(11)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のハウジング装置(2)。
【請求項4】
複数の前記マイクロチャネル構造(12)が、それぞれの前記蒸発要素(10)の少なくとも1つの側面(33)で開放され、
前記組立状態で、前記マイクロチャネル(13)は、前記蒸発要素(10)をその側面(33)のうちの少なくとも1つで1つ又は複数の前記バッテリセル(3)に沿って配置することによって形成されていることを特徴とする、請求項3に記載のハウジング装置(2)。
【請求項5】
複数の前記マイクロチャネル構造(12)が、前記それぞれの蒸発装置(9)の両方の側面(33)で開放され、
前記マイクロチャネル(13)は、前記蒸発要素(10)を両方の側面(33)で複数の前記バッテリセル(3)に沿って配置することによって形成されていることを特徴とする、請求項4に記載のハウジング装置(2)。
【請求項6】
複数の前記マイクロチャネル構造(12)は、それぞれの前記蒸発要素(10)の両方の側面(33)に沿って、それぞれの前記蒸発体(11)の内部に前記マイクロチャネル(13)を形成して閉鎖され、
動作中、前記蒸発体(11)は、少なくとも1つの前記バッテリセル(3)と熱伝導接触していることを特徴とする、請求項3に記載のハウジング装置(2)。
【請求項7】
前記蒸発装置(9)が少なくとも1つの構造要素(35)を有し、
少なくとも1つの前記構造要素(35)は、少なくとも1つの前記蒸発要素(10)と一緒に1つ又は複数の前記バッテリセル(3)に沿って配置するように形成されていることを特徴とする、請求項3~6のいずれか1項に記載のハウジング装置(2)。
【請求項8】
少なくとも1つの前記蒸発要素(10)は、前記バッテリセル(3)のための少なくとも2つの収容位置の間の領域に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載のハウジング装置(2)。
【請求項9】
前記収容位置は、前記バッテリセル(3)を収容するために、収容された前記バッテリセル(3)が少なくとも部分的に平行に列をなして配置されるように配置され、
少なくとも1つの前記蒸発要素(10)は、前記バッテリセル(3)の列のための1つ又は複数の収容位置の端領域に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載のハウジング装置(2)。
【請求項10】
少なくとも1つの前記蒸発要素(10)は、少なくとも部分的に前記収容位置に列をなして配置された前記バッテリセル(3)の長さよりも大きい長手方向延在を有することを特徴とする、請求項9に記載のハウジング装置(2)。
【請求項11】
前記蒸発装置(9)は、それぞれが複数の前記バッテリセル(3)に沿って延在し、かつ前記組立状態で互いに隣接配置される複数の蒸発要素(10)を有し、
前記蒸発要素(10)はそれぞれ、前記組立状態で垂直方向にそれぞれ、2つの隣接する前記バッテリセル(3)の間に延在する複数の中間要素(36)を有し、
隣接する前記蒸発要素(10)の中間要素(36)が所定の間隔で配置され、
前記マイクロチャネル構造(12)は、隣接する前記蒸発要素(10)の前記中間要素(36)間に前記所定の間隔で形成され、
前記組立状態で、前記マイクロチャネル(13)は、前記蒸発要素(10)を複数の前記バッテリセル(3)に沿って配置することによって形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のハウジング装置(2)。
【請求項12】
複数の前記蒸発要素(10)は互いに接続されるか、又は連結装置を介して互いに接続可能であることを特徴とする、請求項11に記載のハウジング装置(2)。
【請求項13】
複数の前記蒸発要素(10)はそれぞれ、少なくとも1つの接続体(37)を有し、そこから前記中間要素(36)が延在し、
前記組立状態で、少なくとも1つの前記接続体(37)が複数の前記バッテリセル(3)に沿って延在し、
前記組立状態で、前記接続体(37)は、垂直方向(16)で前記バッテリセル(3)の下及び/又は上に配置されていることを特徴とする、請求項11又は12に記載のハウジング装置(2)。
【請求項14】
前記マイクロチャネル(13)は、前記液状流体(8)が泡を発生して蒸発する表面構造を少なくとも部分的に有し、前記表面構造は、前記マイクロチャネル(13)に形成されていることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載のハウジング装置(2)。
【請求項15】
前記表面構造は、前記マイクロチャネル(13)における、下のかつ前記底領域(6)の方を向いた領域に形成されていることを特徴とする、請求項14に記載のハウジング装置(2)。
【請求項16】
少なくとも1つの前記入口開口(20)は、対応する前記マイクロチャネル構造(12)の断面より小さい断面を有することを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載のハウジング装置(2)。
【請求項17】
少なくとも1つの前記入口開口(20)は、それぞれの前記マイクロチャネル構造(12)の入口領域(19)に貫通穴として形成されている、あるいは
少なくとも1つの前記入口開口(20)は、それぞれの前記マイクロチャネル構造(12)の入口領域(19)に側方切欠部として形成されていることを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載のハウジング装置(2)。
【請求項18】
少なくとも1つの前記蒸発要素(10)は、前記ハウジング体(4)に差し込むための差込み要素として形成されていることを特徴とする、請求項3に記載のハウジング装置(2)。
【請求項19】
前記蒸発装置(9)は、前記バッテリセル(3)を互いに、又は前記バッテリセル(3)を前記ハウジング体(4)に支持するように形成されていることを特徴とする、請求項1~18のいずれか1項に記載のハウジング装置(2)。
【請求項20】
少なくとも1つの前記蒸発要素(10)の前記蒸発体(11)は、前記バッテリセル(3)を互いに、又は前記バッテリセル(3)を前記ハウジング体(4)に支持するための支持要素として形成されていることを特徴とする、請求項3を引用する場合の請求項18に記載のハウジング装置(2)。
【請求項21】
少なくとも1つの前記蒸発要素(10)が格子構造を有し、前記蒸発体(11)は、垂直方向(16)に延びる複数の支柱(17)を有することを特徴とする、請求項20に記載のハウジング装置(2)。
【請求項22】
前記ハウジング装置(2)が支持プレート(21)を有し、前記支持プレートは、前記ハウジング体(4)における水平平面上に延在し、前記バッテリセル(3)及び/又は前記蒸発装置(9)のための垂直支持を形成し、
前記支持プレート(21)は、その下に位置するプレナム(7)と複数の前記マイクロチャネル構造(12)との間に少なくとも1つの流体通路(22)を有することを特徴とする、請求項1~21のいずれか1項に記載のハウジング装置(2)。
【請求項23】
前記蒸発要素(10)は、前記ハウジング体(4)の壁領域を形成することを特徴とする、請求項3に記載のハウジング装置(2)。
【請求項24】
前記ハウジング装置(2)は、前記ハウジング体(4)によって囲まれる内部空間(5)に配置されている少なくとも1つの充填要素(23)を有することを特徴とする、請求項1~23のいずれか1項に記載のハウジング装置(2)。
【請求項25】
前記ハウジング体(4)には、蒸発してガス状の流体のための出口と、凝縮されて液状の流体(8)のための入口と、が形成されていることを特徴とする、請求項1~24のいずれか1項に記載のハウジング装置(2)。
【請求項26】
流体ベースの冷却を備える車両のためのトラクションバッテリ(1)であって、
請求項1~25のいずれか1項に記載のハウジング装置(2)と、
前記ハウジング装置(2)のハウジング体(4)の内部空間(5)で収容位置に収容されている複数のバッテリセル(3)と、
前記ハウジング体(4)の底領域(6)に収容された液状流体(8)と、を備えるトラクションバッテリ(1)。
【請求項27】
前記トラクションバッテリ(1)が、50℃のシステム温度で、システム全体の全体積に対して20体積パーセント~60体積パーセントの全システムの充填比率を有する前記液状流体(8)で満たされることを特徴とする、請求項26に記載のトラクションバッテリ(1)。
【請求項28】
前記トラクションバッテリ(1)が、50℃のシステム温度で、システム全体の全体積に対して30体積パーセント~40体積パーセントの全システムの充填比率を有する前記液状流体(8)で満たされることを特徴とする、請求項27に記載のトラクションバッテリ(1)。
【請求項29】
前記トラクションバッテリ(1)は、少なくとも動作中に前記流体(8)と接触して前記流体(8)の少なくとも1つの電気的特性を検出する品質センサを有することを特徴とする、請求項26~28のいずれか1項に記載のトラクションバッテリ(1)。
【請求項30】
前記少なくとも1つの電気的特性は、前記流体(8)のブレークダウン電圧及び/又は導電性であることを特徴とする、請求項29に記載のトラクションバッテリ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車の、流体ベースの冷却を備えるトラクションバッテリのためのハウジング装置であって、トラクションバッテリが複数のバッテリセルを有し、ハウジング装置が、複数のバッテリセルを収容するための複数の収容位置を有する囲まれた内部空間を形成するハウジング体であって、ハウジング体の底領域が液状流体を収容するように形成されている、ハウジング体と、液状流体を蒸発させるための蒸発装置と、を備えるハウジング装置に関する。
【0002】
本発明は、さらに、流体ベースの冷却を備える車両のためのトラクションバッテリであって、先行する請求項のいずれか1項に記載のハウジング装置と、収容位置で、ハウジング装置のハウジング体の内部空間に収容されている複数のバッテリセルと、ハウジング体の底領域に収容された液状流体と、を備えるトラクションバッテリに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術から様々な種類の高性能バッテリが知られている。例えば電気駆動装置を搭載した車両のトラクションバッテリとして使用されるような高性能バッテリでは、充電及び放電時に高電力が変換される。このような高性能バッテリは、現在、数百ボルト、又はそれどころか1000ボルトまでの電圧で動作させることができる。さらに、現在、数百アンペアから1000アンペアまでの充電及び放電電流が生じ得る。今後の展開では、基本的により高い電圧及び電流も可能である。
【0004】
高性能バッテリでは、大きい充電電流及び放電電流が大きい熱損失を引き起こし、それが高性能バッテリの加熱をもたらす。バッテリを熱損傷から保護し、高効率を達成するためには、高性能バッテリを所望の温度範囲内に保つことが重要である。温度範囲の超過を回避するために、バッテリから熱を排出する必要がある。電流が大きくなり、それに伴う熱損失が大きくなればなるほど、このような大電流でもバッテリが所望の温度範囲にとどまるようにするために、このことが重要になる。リチウムイオン技術による現在のバッテリセルは、例えば15°~40℃の狭い温度範囲で、バッテリセル内及びバッテリセル間の温度変動が2℃~4℃の高い温度均一性で最適に動作する。このような条件下で、高性能バッテリの確実な動作と一定の性能での長寿命とを達成できる。
【0005】
これらの条件を確保し、温度範囲の超過を回避するために、現在の高性能バッテリのバッテリセルは、動作中、すなわち充電及び/又は放電時に冷却される。その際、現在、様々な種類の冷却が使用される。例えば、液体の熱輸送媒体が流れる熱伝導器(Waermeuebertrager)を用いて液冷を行うことができる。熱伝導器は、大抵の場合、バッテリセルの下に配置され、熱伝導器は、接触伝熱によりバッテリセルと熱伝導的に接続されている。その場合、バッテリセル若しくはそれぞれのバッテリから放出される全熱を温度差により受け取り、周辺に直接又は空調回路を介して放出するために液体の熱輸送媒体の熱容量が使用される。その場合、例えば水又は水とグリコールとの混合物が熱輸送媒体として使用されるため、熱輸送媒体をバッテリセルから確実に分離する必要がある。
【0006】
熱輸送媒体として空気を用いても同様の冷却を実現することができる。水とは異なり、空気は非導電性であるため、バッテリセルは熱輸送媒体と直接接触することができ、例えばそれを周囲に流れさせることができる。したがって、熱伝導器は必ずしも必要ではない。
【0007】
これらのシステムは、基本的に、放出された熱を対流によって排出するために、熱輸送媒体の能動的又は受動的な循環を行うことができる。受動的循環では、熱輸送媒体の移動は、熱輸送媒体内の温度勾配によってのみ行われるのに対して、能動的循環では、バッテリセルから熱を排出するために熱輸送媒体を能動的に循環させる。
【0008】
バッテリセルと接触する熱伝導器を用いる液冷の発展形態として、液体の熱輸送媒体が、熱伝導器から熱を吸収して蒸発することができ、このことがより高い熱伝達をもたらし、蒸発エンタルピによって熱輸送媒体の単位質量あたりの熱吸収が高くなる。凝縮後、熱輸送媒体を液体状態で再び熱伝導器に供給することができる。
【0009】
一部では、例えばバッテリセルと接触する熱交換器を用いない高電圧トラクションバッテリの産業利用において、液体熱輸送媒体で冷却するためのシステムも開発中である。熱輸送媒体として空気を使用することに匹敵するものとして、冷却されるべきコンポーネントの周囲に直接、液体の熱輸送媒体を流すことによる冷却が行われる。したがって、熱輸送媒体がバッテリセルと、すなわち導電性で電位を運ぶコンポーネントと直接接触していることから、液体熱輸送媒体の重要な特性は、その誘電性である。さらに、熱伝達中に、冷却されるべきバッテリセルからの入熱により熱輸送媒体が蒸発する場合、誘電性で液体の熱輸送媒体でも、その蒸発エンタルピ及びそれと結びついた高い熱伝達を利用することができる。このような冷却は、二相浸漬冷却と呼ばれる。
【0010】
ただし、これらのすべてのシステムには欠点があり、そのためさらなる改善が必要である。二相浸漬冷却では、バッテリパックの中空空間全体を液体の熱輸送媒体で満たす必要があり、これは、大きい追加重量を生ぜしめると共に液体熱輸送媒体の相応のコストを伴う。さらに、例えば角柱状セルにおいてバッテリモジュール内でのセルの長手方向の加圧を中断することなしに、バッテリセル間に冷却媒体を分配することは不可能である。このことは、複数のバッテリセルを有するバッテリモジュールの新たな開発を必要とする。さらに、バッテリモジュールに必要な設置スペースが拡大される。能動的循環を用いるシステムでは、コンプレッサ又はポンプなどの追加ユニットによって、重量とエネルギー消費量の両方が増加する。さらに、車両に停電が発生した場合、バッテリセルの冷却が行われず、そのことが、特にその前の高出力との関連で問題となって熱がこもる可能性がある。極端な場合、過熱したバッテリセルが発火する可能性があり、これは潜在的に非常に危険である。
【0011】
本発明は、流体ベースの冷却を備えた車両のトラクションバッテリのためのハウジング装置、及びトラクションバッテリのバッテリセルの効率的な冷却を小さい重量及び高い信頼性で可能にするハウジング装置を備えるトラクションバッテリを提供するという課題にもとづいている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明を基礎付ける課題は、請求項1の特徴を有するハウジング装置によって解決される。ハウジング装置の有利な形態は、請求項1に従属する請求項に記載されている。
【0013】
より詳細には、本発明を基礎付ける課題は、特に車両の、流体ベースの冷却を備えたトラクションバッテリのためのハウジング装置であって、トラクションバッテリが複数のバッテリセルを有し、ハウジング装置が、複数のバッテリセルを収容するための複数の収容位置を有する囲まれた内部空間を形成するハウジング体であって、ハウジング体の底領域が液状流体を収容するように形成されている、ハウジング体と、液状流体を蒸発させるための蒸発装置と、を備えるハウジング装置によって解決される。
【0014】
本発明によるハウジング装置は、蒸発装置が、マイクロチャネルを形成するための複数のマイクロチャネル構造を有し、組立状態で、マイクロチャネル構造が垂直方向に延在し、その垂直方向で下の領域に、ハウジング体の底領域からの液状流体を収容するための少なくとも1つの入口開口を有し、動作中、液状流体が少なくとも1つの入口開口を通ってマイクロチャネルに入り、マイクロチャネルにおいてバッテリセルから液状流体への熱輸送が行われ、それによって蒸発装置内の液状流体が蒸発することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明を基礎付ける課題は、請求項24に記載の特徴を有するトラクションバッテリによって解決される。トラクションバッテリの有利な形態は、請求項24に従属する請求項に記載されている。
【0016】
より詳細には、本発明を基礎付ける課題は、流体ベースの冷却を備える車両のためのトラクションバッテリであって、上記のハウジング装置と、ハウジング装置のハウジング体の内部空間で収容位置に収容されている複数のバッテリセルと、ハウジング体の底領域に収容された液状流体と、を備えるトラクションバッテリによって解決される。
【0017】
本発明によるハウジング装置は、蒸発装置にマイクロチャネルを形成することによって、動作中、収容位置に収容されたバッテリセルの特に効率的な冷却を可能にし、液状流体の蒸発によってバッテリセルからの高いエネルギー入力が達成される。それによって、トラクションバッテリを効率的に充電及び放電することができ、高い電圧及び電流を使用することができる。
【0018】
動作中、液状流体は、ハウジング体の底領域から少なくとも1つの入口開口を通ってそれぞれのマイクロチャネルに入り、そこで蒸発することができる。液状流体の蒸発は、特に液状流体を蒸発させるべく熱輸送が行われるマイクロチャネルの内側で行われる。殊にマイクロチャネルの内側が可能な限り広範囲に濡らされ、それによりマイクロチャネルの大きい面積を、バッテリセルから液状流体への伝熱のために利用することができ、冷却が効果的に作動できる。蒸発過程の間のマイクロチャネルを通る流体移動によってチャネルをこのように濡らすことができる。例えば、蒸発した流体は、まだ蒸発していない液状の流体を共に連れ去ることができ、それによりこの液状流体は、マイクロチャネルの内側に堆積することができる。濡らしは、とりわけ液状流体の表面張力に依存する。
【0019】
動作中、例えばマイクロチャネルを液状流体で部分的に満たすことができ、マイクロチャネルは、例えば液状流体で、0%~50%、好ましくは0%~30%、特に好ましくは0%~15%満たされる。殊に、マイクロチャネルは、流体の総量を少なく抑えるために、可能な限り少量の液状流体で満たされる。すなわち、その場合、流体チャネルは、底領域にある液状流体に部分的に浸漬される。ハウジング装置又はマイクロチャネルを完全に満たすことを省略でき、それにより小さい重量のトラクションバッテリを提供することができる。
【0020】
しかしながら、動作中、マイクロチャネルが部分的に液状流体で満たされる必要はない。例えば、少なくとも1つの入口開口の領域に液状及びガス状の流体の混合物が形成されるか、又は少なくとも1つの入口開口を通ってそれぞれのマイクロチャネルに入ることができる。マイクロチャネル内の液状流体の蒸発によって冷却効果を確保するために、流体チャネルの内側を濡らすためには基本的にこのことで十分である。それによって、必要とされる流体の総量をさらに低減することができる。
【0021】
液状流体は単独で、又はガス状流体との混合物として少なくとも1つの入口開口を介してマイクロチャネルに入り、マイクロチャネルの液状流体を連続的に輸送せしめる。
【0022】
ハウジング装置とトラクションバッテリとの構造によって、二相浸漬冷却が形成され、マイクロチャネル内の流体の蒸発と、そのために必要な蒸発熱の吸収と、によって強力な冷却効果が達成される。蒸発後、流体は凝縮装置内で再び凝縮して熱を周辺に放出し、理想的に閉じた流体回路を可能にし、それによって流体の損失を回避することができる。
【0023】
バッテリセルを単独で、又は複数のバッテリセルを有するユニット/ブロック/モジュールとして収容位置に収容することができる。すなわち、複数のバッテリセルをそれぞれ1つの収容位置に一緒に収容することもできる。
【0024】
マイクロチャネルは、液状流体が底領域から流入し、蒸発した流体が上昇して流出することを可能にする寸法を有している。マイクロチャネルは、矩形、正方形、台形、円形、又は楕円形の断面を有することができる。マイクロチャネルは、例えば1センチメートル未満、特に5ミリメートル未満、例えば約2ミリメートルの直径又は辺の長さを有することができる。マイクロチャネルは、その上側が開放され、それにより蒸発した流体は上側でマイクロチャネルから流出できる。すなわち、流体は、少なくとも1つの入口開口からマイクロチャネルを通ってその上側へ流れ、そこでガス状の流体として流出する。
【0025】
マイクロチャネル構造は、マイクロチャネルを形成するために用いられ、マイクロチャネルを蒸発装置に直接形成することができるか、又はトラクションバッテリの組立時に、バッテリセルを収容位置に配置すること、及び蒸発装置を取り付けることによって形成することができる。マイクロチャネル構造を、例えば列状又はマトリックス状に配置することができる。その場合、マイクロチャネル構造は、トラクションバッテリのバッテリセルを均等に冷却するために殊に均等に配分されている。可能な限り大きい面積の熱伝達を可能にするために、蒸発装置は、典型的にはバッテリセルと同様の、又はより大きい垂直方向の延在を有する。マイクロチャネル構造は、殊にバッテリセルの垂直方向の広がり(Ausdehnung)全体にわたって延在する。
【0026】
組立状態は、バッテリセルが収容位置に導入され、そこに収容され、かつ蒸発装置がそれと一緒に配置された状態に該当する。これは例えば完成したトラクションバッテリの場合に当てはまる。
【0027】
マイクロチャネル若しくはマイクロチャネル構造が垂直方向に延在するとは、複数のマイクロチャネル構造が、垂直方向と一致した主延在方向を有することを意味する。これに加えて、マイクロチャネル構造は別の方向に延在することができる。この場合、マイクロチャネル構造が垂直方向に直線的に延在する必要はない。
【0028】
蒸発装置は、熱がバッテリセルから液状流体に伝達され、それによりこれが蒸発することができる熱伝導器又は熱交換器である。このような蒸発装置は、蒸発器としても知られている。蒸発装置は、バッテリセルから液状流体への伝熱を可能にする。凝縮装置も、ガス状流体から熱を受け取り、それを周辺に放出してガス状流体を凝縮させる熱伝導器又は熱交換器である。それによって相応の流体回路が形成される。そのような凝縮装置は、蒸気コンデンサ又は復水器としても知られている。
【0029】
バッテリセルが収容位置に収容され、蒸発装置と一緒に配置されている場合の少なくとも組立状態で、マイクロチャネルは、殊にその垂直方向で端でのみ開放され、周方向に閉じている。
【0030】
蒸発装置の冷却能力は、特に、組立状態で形成されているマイクロチャネルの数に依存する。マイクロチャネル構造の数を増すと、マイクロチャネルの数、したがって冷却能力が上昇する。その場合、例えばバッテリセルによる局所的な熱生成に依存して、液状流体への最適な伝熱を保証するためにマイクロチャネルの局所的な配置を選択することができる。冷却能力は、さらに、組立状態で形成されているマイクロチャネルの寸法に依存し、それによって冷却能力の大きさを規定することもできる。
【0031】
トラクションバッテリで使用され、ハウジング装置に導入される誘電性流体は、非導電性であるため、個々のバッテリセルの電気絶縁が形成される。同じ理由から、蒸発体も殊に非導電性材料から製作されている。
【0032】
誘電性流体は、殊に周囲圧で10℃から80℃の沸騰温度を有する。流体の蒸発によってマイクロチャネルに最大の冷却効果が達成され、そのために低い沸騰温度であることが有利である。すでに周囲圧で、すなわち通常約1barでこれらの温度で沸騰することによって、例えば流体をポンプ又はコンプレッサによって動かす必要なしに、流体の二相冷却回路として受動冷却回路を提供することができる。
【0033】
トラクションバッテリは、殊に数百ボルトまで、又はそれどころか最大1000ボルトまでの電圧、並びに数百アンペアから1000アンペアまでの充電及び放電電流で動作することができる高性能バッテリである。今後の展開では、基本的により高い電圧及び電流も可能である。高性能バッテリを熱損傷から保護し、高効率を達成するために、バッテリは所望の温度範囲内に保たれる。このようなトラクションバッテリの現在のバッテリセルは、例えばリチウムイオン技術で製造され、例えば15℃~40℃の狭い温度範囲で、バッテリ内及びバッテリ間の温度変動が2℃~4℃の高い温度均一性で最適に動作する。
【0034】
有利な実施形態では、蒸発装置は、少なくとも1つの蒸発要素を有し、少なくとも1つの蒸発要素は、マイクロチャネルを形成するための複数のマイクロチャネル構造を有する蒸発体を備える。マイクロチャネル構造を備える少なくとも1つの蒸発要素を形成することによってすでに、各蒸発要素が単独でバッテリセルの冷却に寄与することができる。蒸発要素に形成されたマイクロチャネル構造は、単独で、又は隣接するバッテリセルと一緒にマイクロチャネルを形成することができ、それにより蒸発装置は、1つの蒸発要素ですでに機能する。例えば、各蒸発要素が同じ数のマイクロチャネル構造を有する場合、蒸発要素の数によって蒸発装置の冷却能力をスケール変更する(skaliert)ことができる。スケール変更は、例えばバッテリセルの一方の長手方向側のみに沿って、又はバッテリセルの両方の長手方向側に沿って蒸発要素を配置することによって行うことができる。これに関係なく、冷却能力のスケール変更は、組立状態で形成されているマイクロチャネルの数及びその寸法に依存する。少なくとも1つの蒸発要素は、殊にその側面の少なくとも1つを1つ又は複数のバッテリセルに沿って配置するように形成される。
【0035】
マイクロチャネル構造は、例えば、少なくとも1つの蒸発体に列状に、例えば、一列又は複数列で形成される。少なくとも1つの蒸発要素は、典型的には、マイクロチャネル構造が列状に配置されている長手方向の延在を有する。少なくとも1つの蒸発要素は、横方向に、すなわち少なくとも1つの蒸発要素の側面間に小さい広がりを有する。少なくとも1つの蒸発要素は、トラクションバッテリにおける1つ又は複数の隣接するバッテリセルと、典型的には長手方向側で接触している。蒸発体は、バッテリセル間に可能な限り大きい面積の接触を実現するために、バッテリセルと同等又はそれより大きい垂直方向の延在を有する。マイクロチャネル構造は、殊にマイクロチャネルに垂直方向に大きい広がりを提供するために、殊にバッテリセルの垂直の広がり全体にわたって延在する。
【0036】
有利な実施形態では、複数のマイクロチャネル構造は、それぞれの蒸発要素の少なくとも1つの側面で開放され、組立状態で、マイクロチャネルは、蒸発要素をその側面の少なくとも1つで1つ又は複数のバッテリセルに沿って配置することによって形成されている。複数のマイクロチャネル構造が蒸発体の縁領域に少なくとも部分的に配置され、少なくとも1つのそれぞれ隣接するバッテリセルと一緒にマイクロチャネルを形成することができる。すなわち、組立状態で、複数のマイクロチャネル構造の少なくともいくつかは、収容されたバッテリセルによってマイクロチャネルの形成下で閉鎖され、それによりマイクロチャネル内の流体がバッテリセルと直接接触する。したがって、マイクロチャネル内の流体は、バッテリセルによって放出される熱を直接、したがって非常に効率的に吸収することができる。この実施形態では、熱は少なくとも部分的に、バッテリセルから液状流体に直接伝わる。液状流体とバッテリセル、すなわち冷却されるべき表面とが直接接触する場合、バッテリセルへの冷却装置の高い適応性、及びそれに伴うそれらの表面の公差がもたらされる。それに対して、2つの固体間での熱伝達では、可能な限り大きい面での接触により良好な熱伝達を達成するために、面を高精度で、わずかな公差で製造する必要がある。
【0037】
マイクロチャネルを形成するために、流体が蒸発体とバッテリセル若しくはバッテリセルとの間を通過するのを防ぐ必要がある。一方ではバッテリセル又はバッテリセルがそれぞれの蒸発体と直接機械的に接触することによりこれを達成することができる。それによって、バッテリセルをそれぞれの蒸発体で支持することができ、したがって蒸発体はトラクションバッテリの構造的完全性に寄与することができる。それにより、バッテリセルと蒸発要素とが隣接配置されるバッテリモジュールを簡単に形成することができる。その場合、1つのバッテリセル又は複数のバッテリセルとそれぞれの蒸発体との間に部分的な機械的接触があれば十分であり得る。これに代えて、バッテリセルと少なくとも1つの蒸発要素との間に小さい距離を設けることができ、この距離は、蒸発体とバッテリセルとの間の液状流体の通過が妨げられるように非常に小さく選択される。バッテリセルと少なくとも1つの蒸発要素との間の距離が小さいことにより、それぞれの蒸発体でバッテリセルを支持することができない。したがって、バッテリセルと蒸発要素とが隣接配置されているバッテリモジュールを形成する場合、バッテリモジュールにバッテリセルを確実に位置決めするため、及びその構造的完全性を保証するために、構造要素を追加的に取り付ける必要がある。
【0038】
蒸発体の熱伝導率は、バッテリセルから直接液状流体への伝熱には関係がない。それによって、基本的に任意の材料、例えば安価で軽量のプラスチック材料から蒸発体を製作することができる。それに対応して、蒸発要素若しくは蒸発体を製造するために、例えば射出成形などの様々な製造法が考えられ、それにより蒸発要素若しくは蒸発体を非常に簡単かつ安価に製造することができる。さらに別の実施形態では、バッテリセルから少なくとも1つの蒸発要素若しくはその蒸発体に熱を追加的に伝達することができ、次いで熱は蒸発体から流体にさらに伝達される。このようにしてバッテリセルから液体流体への良好な伝熱を達成するために、蒸発要素若しくは蒸発体は高い熱伝導率を有する。
【0039】
マイクロチャネル構造をそれぞれ、それぞれの蒸発要素の正確に一つの側面で開放することができる。それによって、組立状態で、対応するマイクロチャネルは、蒸発要素を相応の側面で1つ又は複数のバッテリセルに沿って配置することによって形成される。この場合、マイクロチャネル構造の一部は、それぞれの蒸発要素の側面のうちの1つで開放され、マイクロチャネル構造の別の部分は、蒸発要素の向かい側に位置する側面で開放され得る。
【0040】
有利な実施形態では、複数のマイクロチャネル構造は、それぞれの蒸発要素の両方の側面で開放され、マイクロチャネルは、蒸発要素を両方の側面で複数のバッテリセルに沿って配置することによって形成される。すなわち、個々のマイクロチャネル構造は、両方の側面で開放されている。すなわち、マイクロチャネル構造は、隣接するバッテリセル間で蒸発要素を横向きに通って延在し、組立状態で、収容されたバッテリセルによってマイクロチャネルの形成下で閉鎖される。それに対応して、マイクロチャネル内の流体が、2つのそれぞれ隣接するバッテリセルと直接接触し、これらのバッテリセルによって放出される熱をマイクロチャネル内で直接吸収することができる。隣接するバッテリセルからの熱は、蒸発要素の両方の側面から液状流体へ直接伝達される。その場合、組立状態で、各側面が1つ又は複数のバッテリセルに沿って配置された配置になり得る。蒸発体は、厚さ、すなわち隣接するバッテリセル間に横方向の広がりを有し、これはマイクロチャネルの相応の広がりに相当する。それに対応して、蒸発体は、1センチメートル、殊に数ミリメートル、特に好ましくは約2ミリメートルの厚さを有することができる。
【0041】
有利な一実施形態では、複数のマイクロチャネル構造は、それぞれの蒸発要素の両方の側面に沿って、発体内にマイクロチャネルの形成下で閉鎖され、蒸発体は、動作中、少なくとも1つのバッテリセルと伝熱接触する。したがって、複数のマイクロチャネル構造の少なくともいくつかは、蒸発体によって完全に囲まれたマイクロチャネルを形成し、それによりバッテリセルからの熱は先ず、少なくとも1つの蒸発要素若しくは蒸発体に伝達される。蒸発体から、熱はさらにマイクロチャネル内の液体流体に伝達される。バッテリセルから液体流体への良好な伝熱を達成するために、蒸発要素若しくは蒸発体は、殊に高い熱伝導率を有する。このように配置されたマイクロチャネルでは、バッテリセルから流体への直接的な伝熱は行われない。その場合、蒸発体の材料は、均一な熱分布をもたらす。蒸発体は、例えば熱伝導率の高い金属から形成されている。
【0042】
複数のマイクロチャネル構造が2つの側面のうちの1つに沿って配置される蒸発要素を、例えば、マイクロチャネル構造が開放されている側面のみで1つ又は複数のバッテリセルに沿って配置することができる。蒸発要素を、例えばバッテリモジュールの終端要素として形成することができる。複数のマイクロチャネル構造が両方の側面に沿って配置されている蒸発要素は、両方の面で1つ又は複数のバッテリセルに沿って配置されている。それに対応して、蒸発要素を、例えば2つのバッテリセル間に取り付けるために、バッテリモジュールの中間要素として形成することができる。
【0043】
基本的に、蒸発要素は、様々に配置及び形成されるマイクロチャネル構造を組合わせて有することができる。マイクロチャネル構造の各々は、2つの側面の一方又は他方で個別に、又は両方の側面で同時に開放されることもできる。例えば、蒸発要素が複数のマイクロチャネル構造を有することもでき、マイクロチャネル構造は、蒸発要素の一方の側面でのみ開放され、マイクロチャネルは、組立状態で、蒸発要素をこの側面で1つ又は複数のバッテリセルに沿って配置することによって形成されている。
【0044】
有利な実施形態では、蒸発装置は少なくとも1つの構造要素を有し、少なくとも1つの構造要素は、1つ又は複数のバッテリセルに沿って少なくとも1つの蒸発要素と一緒に配置されるように形成されている。したがって、少なくとも1つの構造要素は、少なくとも1つの蒸発要素と一緒に一列に配置される。それに対応して、構造要素は、バッテリセルが互いに平行に配置されたバッテリモジュールの構造的完全性に寄与することができるのに対して、蒸発要素は、それぞれの場合に隣接するバッテリセルの冷却に寄与する。2つの蒸発要素の間にそれぞれ1つの構造要素が配置されることが特に好ましい。
【0045】
有利な実施形態では、少なくとも1つの蒸発要素は、バッテリセルのための少なくとも2つの収容位置の間の領域に配置される。例えば、収容位置に収容されたバッテリセルと蒸発要素とが交互になるサンドイッチ構造が生じる。したがって、バッテリセルと蒸発要素との間に最大接触面が達成される。良好な熱排出及び高い冷却能力が可能になる。より低い熱排出及び冷却能力で十分である場合、例えばバッテリセルの2つの収容位置の間に蒸発要素を配置することができる。組立状態で、それぞれ2つのバッテリセルに1つの蒸発要素、2つのバッテリセル、そして再び1つの蒸発要素が続くバッテリセルと蒸発要素との配置となる。
【0046】
有利な実施形態では、収容位置は、バッテリセルを収容するために、収容されたバッテリセルが少なくとも部分的に平行に列をなして配置されるように配置され、バッテリセルの列のための1つ又は複数の収容位置の端領域に少なくとも1つの蒸発要素が配置される。すなわち、バッテリセルは、1つの収容位置又は複数の収容位置において、それらの端領域が例えば直線上に位置するようにそれらの長手方向に一緒に方向合わせをされる。頭部領域とも呼ばれる端領域は、複数のバッテリセルが蒸発要素によって一緒に接触されることを可能にし、バッテリセルと蒸発要素との頭部側での接触が作成される。それによって、複数のバッテリセルを単一の蒸発要素で一緒に冷却することができる。所望の熱排出及び冷却能力に応じて、例えばバッテリセルのための収容位置の各列において、1つの端領域にのみ蒸発要素を配置することができる。これに代えて、熱排出及び冷却能力をそれより高くするために、蒸発要素を両方の端領域に配置することができる。マイクロチャネルを備えた蒸発要素の高い冷却効果は、それらの頭部側(単数又は複数)でのみバッテリセルの冷却を可能にする。バッテリセルをそれぞれ個別に収容位置に配置することができるか、又はそれぞれ複数のバッテリセルを一緒に収容する形で収容することができる。複数のバッテリセルを一緒に収容することは、殊に複数のバッテリセルを有するバッテリモジュールを収容位置に収容することによって行われる。したがって、収容位置は、殊にバッテリセルが固定的に配置されたバッテリモジュールを一緒に収容するように形成されている。
【0047】
有利な実施形態では、少なくとも1つの蒸発要素は、少なくとも部分的に収容位置に列をなして配置されたバッテリセルの長さよりも大きい長手方向延在を有する。すなわち、蒸発要素は、列をなして配置されたバッテリセルの頭部側に沿ってこの列を越えて延在する。このことは、動作中にバッテリセルと蒸発要素とが加熱され、それにより長さが変化する可能性があるため、長さの補償を可能にする。したがって、バッテリセルから少なくとも1つの蒸発要素への常時の、かつ確実な熱伝達が保証される。例えば、バッテリセルがバッテリモジュールの形で一緒に収容される場合、少なくとも1つの蒸発要素は、バッテリモジュールの長さを越えて延在し得る。そのようなバッテリモジュールは、典型的にはエンドプレートを備え、これらの間にバッテリセルが保持されて機械的ユニットが形成される。少なくとも1つの蒸発要素は、殊に、それが少なくともエンドプレートの領域に、又はそれを越えて延在するように形成されている。
【0048】
有利な実施形態では、蒸発装置は、それぞれが複数のバッテリセルに沿って延在し、かつ組立状態で互いに隣接配置される複数の蒸発要素を有し、蒸発要素はそれぞれ、組立状態で垂直方向にそれぞれ、2つの隣接するバッテリセルの間に延在する複数の中間要素を有し、隣接する蒸発要素の中間要素が所定の間隔で配置され、マイクロチャネル構造は、隣接する蒸発要素の中間要素間に所定の間隔で形成され、組立状態で、マイクロチャネルは、蒸発要素を複数のバッテリセルに沿って配置することによって形成されている。隣接する蒸発要素の中間要素の間にマイクロチャネル構造を備えた蒸発要素の形態によって、バッテリセルを冷却するために複数の蒸発要素が必要とされる。組立状態で、蒸発要素間に形成されたマイクロチャネル構造は、隣接するバッテリセルと一緒にマイクロチャネルを形成する。蒸発装置は、形成されたマイクロチャネル構造の数及びその寸法、並びに形態によってその冷却能力をスケール変更することができる。この場合、蒸発要素がそれらの中間要素間に同じ数のマイクロチャネル構造を形成するように形成されている場合、マイクロチャネル構造の数は、典型的には蒸発要素の数によって増える。蒸発要素を、例えば櫛のように形成することができ、中間要素は歯として形成される。蒸発要素同士の相対的な配置は、蒸発要素の所望の間隔を維持することを保証し、それによってマイクロチャネルが所望の寸法で形成される。中間要素は接続体に保持される。隣接する蒸発要素のすべての中間要素が互いに離間して配置されることは必要でない。
【0049】
マイクロチャネル構造は、例えば蒸発装置に列状に配置され、典型的には複数列で配置される。蒸発要素は、基本的に任意の横方向延在、すなわち隣接配置された蒸発要素の方向の延在を有する。中間要素の横方向の延在とマイクロチャネルの対応する延在とによって蒸発装置の冷却能力をスケール変更することができる。バッテリセルを小さい間隔で配置できるようにするために、蒸発要素は、長手方向、すなわち隣接配置されたバッテリセルの方向に殊に小さい広がりを有する。典型的にはトラクションバッテリに組付けられた状態で、蒸発要素は、中間要素により内側に、すなわちそれぞれの蒸発要素の他の中間要素の方を向いた側で隣接するバッテリセルと接触する。蒸発要素は、それらの間に可能な限り大きい面積の接触を実現するために、典型的にはバッテリセルよりも大きい垂直方向の延在を有する。マイクロチャネル構造は、殊にマイクロチャネルに垂直方向に大きい広がりを提供するために、殊にバッテリセルの垂直の広がり全体にわたって延在する。殊に、隣接する蒸発要素は、組立状態で互いに当接し、それによって隣接する蒸発要素が自動的に互いに位置決めされる。
【0050】
有利な実施形態では、複数の蒸発要素が互いに接続されているか、又は結合装置を介して互いに接続可能である。隣接する蒸発要素が互いに正確に位置決めされる。隣接する蒸発要素は、殊に中間要素が保持される接続体を有し、蒸発要素は、それらの接続体で互いに接続されるか、又は接続可能である。
【0051】
有利な実施形態では、複数の蒸発要素はそれぞれ、少なくとも1つの接続体を有し、そこから中間要素が延在し、組立状態で、少なくとも1つの接続体が複数のバッテリセルに沿って延在し、組立状態で、接続体は、垂直方向でバッテリセルの下及び/又は上に配置されている。例えば蒸発要素の櫛のような形態が生じ、中間要素が接続体から一方向に延在する。この場合、蒸発要素の中間要素は、隣接するバッテリセルの間に上又は下から導入することができ、接続体は、それに対応してバッテリセルの上又は下に配置される。2つの接続体を備えた蒸発要素の形態では、中間要素は2つの接続体の間に延在し、中間要素の間にバッテリセルを挿通するための挿通開口が形成される。
【0052】
有利な実施形態では、マイクロチャネルは、液状流体が泡を発生して蒸発する表面構造を少なくとも部分的に有し、表面構造は、マイクロチャネルにおける、殊に下の、及び底領域の方を向いた領域に形成されている。それに対応して、マイクロチャネルにおける液状流体の沸騰プロセスが開始され得る。その場合、泡の発生は、液状流体の垂直方向の輸送を促し、それによりマイクロチャネルの内側が液体流体で常に濡らされる。それによって、過熱温度、すなわちマイクロチャネルの表面と沸騰開始時の流体の理論上の沸点との間の温度差を低減することができる。表面構造は、殊に3マイクロメートル~25マイクロメートルの範囲の細孔サイズを有する微細孔形態を有する。マイクロチャネル構造の配置に応じてバッテリセルの側壁、及び/又は蒸発要素に表面構造を形成することができる。表面構造は、蒸発要素に、すなわち蒸発要素によって形成されたマイクロチャネルの内面、すなわち例えば中間要素若しくは構造要素に、及び/又はマイクロチャネルの形成下でマイクロチャネル構造を閉鎖するバッテリセルの面に形成することができる。
【0053】
有利な実施形態では、少なくとも1つの入口開口が、対応するマイクロチャネル構造の断面よりも小さい断面を有する。液状流体は、少なくとも1つの入口開口を通ってそれぞれのマイクロチャネルに入る。断面がマイクロチャネルと比べて小さいことにより、マイクロチャネルへの流体の流量を制限することができる。
【0054】
有利な実施形態では、少なくとも1つの入口開口は、それぞれのマイクロチャネル構造の入口領域に貫通穴として形成されている、あるいは少なくとも1つの入口開口は、それぞれのマイクロチャネル構造の入口領域に側方切欠部として形成されている。特に、マイクロチャネルを形成するためのそれぞれのマイクロチャネル構造が少なくとも1つのバッテリセルによって画定される場合、入口領域に側方切欠部として簡単に入口開口を形成することができる。したがって、入口開口は、組立済の状態で、対応するバッテリセルによって部分的に画定される。特に、マイクロチャネルを形成するためのそれぞれのマイクロチャネル構造が両方の側面でバッテリセルによって画定される場合、入口領域は、両方の側面に側方切欠部として入口領域に形成される、殊に2つの入口開口を有する。これに関係なく、入口領域は常に複数の個々の入口開口を有することができる。入口領域は、例えばマイクロチャネルの、ハウジング体の底領域の方を向いた側にそれぞれのマイクロチャネルのプレート状の終端を形成することができる。入口領域は、垂直方向、すなわちマイクロチャネルの長手方向に、殊に小さい厚さ若しくは材料厚さを有する。しかしながら、入口領域は、垂直方向に殊に少なくとも約1mmの厚さを有する。それによって、バッテリセルの下側の良好な密閉が可能になる。特に、バッテリセルのセルハウジングの下縁端の範囲(Radien)の密閉が可能になる。
【0055】
有利な実施形態では、少なくとも1つの蒸発要素は、ハウジング体に差し込むための差込み要素として形成される。差込み要素としての形態は、ハウジング体への簡単な組付けを可能にする。さらに、少なくとも1つの蒸発要素を簡単に交換することもできる。蒸発要素を後から差し込むことにより、その製造をトラクションバッテリ若しくはハウジング装置とは無関係に行うこともできる。有利な実施形態では、少なくとも1つの蒸発要素が垂直方向に、すなわちハウジング装置の上側から底領域に向かって差し込まれる。殊に、少なくとも1つの蒸発要素は、ハウジング体に挿入するための挿入要素として形成されている。さらに好ましくは、ハウジング体への少なくとも1つの蒸発要素の取付けは、差し込まれた状態で、直接又は、例えばバッテリセルの収容位置を介して行われる。さらに、少なくとも1つの蒸発要素をハウジング体に位置決めする及び/又は取り付けるために、ハウジング体及び/又は少なくとも1つの蒸発要素に保持要素若しくは位置決め要素が設けられている。特に、少なくとも1つの蒸発要素は、少なくとも1つの蒸発要素の差込みを制限するストッパ要素を上側に有している。ストッパ要素は、例えば少なくとも1つの蒸発要素を差し込む場合に、隣接する収容位置に収容されたバッテリセルの上側に当接する。
【0056】
有利な実施形態では、蒸発装置は、バッテリセルを互いに支持するように、又はバッテリセルをハウジング体で支持するように形成されている。トラクションバッテリでは、例えば事故発生時の安全性に課せられる要求を満たすために、構造的強度も必要である。そのために、ハウジング体内にバッテリセルを固定的に配置することが有利である。バッテリセルを互いに、又はハウジング体でバッテリセルを支持するように蒸発装置を形成することによって、バッテリセルのそのような固定的位置決めを達成することができる。バッテリハウジングのハウジング体に導入される機械的な力を確実に転送することができる。したがって、蒸発装置は、例えば積み重ねられたバッテリセルを含むバッテリモジュール内、又はハウジング体内に追加的に構造的な機能を有する。例えば、蒸発要素を、それぞれ支持するように形成することができる。そのために、それぞれの蒸発要素の蒸発体は、蒸発体の横方向に延在する支持ウェブを有することができる。支持ウェブは、組立済のトラクションバッテリにおいて、隣接するバッテリセルの側面の間に横方向に延在する。それに対応して、支持ウェブは、バッテリセルが導入される前に、2つの隣接する収容位置の間に延びることができる。蒸発要素の長手方向に、支持ウェブは、隣接するバッテリセルとの蒸発要素の総接触面積の殊に少なくとも60%~95%の割合を有する。蒸発体は、殊にその横方向に高強度を有し、したがって高い支持効果を有する。これに代えて、又はこれに加えて、バッテリセルの相互の支持をもたらすために、隣接するバッテリセルの間に、蒸発要素に加えて構造要素を配置することができる。複数の中間要素を有する蒸発要素の形態も、ハウジング体におけるバッテリセルについて、バッテリセルの支持を可能にする。マイクロチャネル構造が間に形成された中間要素を有する複数の蒸発要素を備えた蒸発装置の実施形態では、中間要素は、バッテリセルを互いに、又はハウジング体でのバッテリセルの支持をもたらすことができる。
【0057】
有利な実施形態では、少なくとも1つの蒸発要素が格子構造を有し、蒸発体は、複数の、垂直方向に延びる支柱を有する。例えば、支柱を複数のマイクロチャネル構造と交互にすることができ、隣接する支柱の間に接続要素が延在する。それに対応して、蒸発体において複数のマイクロチャネル構造は、蒸発要素を横方向に通って延在し、例えばここでは支柱をなす支持要素と交互になるマイクロチャネルを形成する。蒸発要素は、マイクロチャネル構造により隣接するバッテリセルと接触してマイクロチャネルを形成するために、殊に小さい厚さを有する。隣接するバッテリセルによって、対応する蒸発要素の両側の接触が行われる。接続要素は、2つの支柱の間で対応する蒸発要素の長手方向に、例えばマイクロチャネル構造12を通って延在する。これに代えて、接続要素は、例えば端側のプレートとして、マイクロチャネル構造の周りに延在することができる。接続要素は、支柱の位置決め及び保持をもたらす。これに代えて、支柱を中間要素として形成することができ、それによりバッテリセルを収容するための自由空間が中間要素の間に形成される。
【0058】
有利な実施形態では、ハウジング装置が支持プレートを有し、支持プレートは、ハウジング体における水平平面上に延在し、バッテリセル及び/又は蒸発装置のための垂直支持を形成し、支持プレートは、その下に位置するプレナムと複数のマイクロチャネル構造との間に少なくとも1つの流体通路を有する。支持プレートによって、ハウジング装置の強度を高めることができる。さらに、ハウジング体へのバッテリセル及び蒸発装置の取付けが簡単になる。マイクロチャネルへの液状流体の簡単な後流(Nachstroemen)を可能にするために、支持プレートにおける流体通路は、殊にマイクロチャネル構造により形成されたマイクロチャネルの断面よりも大きい。支持プレートにおける流体通路の配置は、殊にマイクロチャネル構造の配置若しくは位置決めと一致させて行われる。その場合、個々の流体通路を、複数のマイクロチャネル構造を底領域で支持プレートの下に形成されたプレナムと接続するために用いることができる。プレナムは、支持プレートによって上方に画定されたハウジング体の底領域における領域である。流体通路は、殊に支持プレートにスロットとして形成されている。流体通路は、蒸発装置のマイクロチャネル構造の列の向きに対して平行又は横向きの方向に向けることができる。
【0059】
有利な実施形態では、蒸発要素はハウジング体の壁領域を形成する。したがって、蒸発要素は、ハウジング装置の構造的な構成要素を形成する。壁領域に追加の壁を省略することによって、ハウジング装置全体を小さい重量及び小さい寸法で製作することができる。殊に、蒸発要素は、追加的に、ハウジング装置の外側に、すなわち内部空間とは反対の方向に延在する冷却要素、特に冷却リブを有する。
【0060】
有利な実施形態では、ハウジング装置は、ハウジング体によって囲まれる内部空間に配置されている少なくとも1つの充填要素を有する。それによって、動作中、使用される流体を低減することによってトラクションバッテリの総重量を減じるために、例えばハウジング体にバッテリセルを取り付けることによって生じ得るデッドボリュームを低減することができる。これは、特に複数のバッテリセルを有するバッテリモジュールのモジュールエンドプレートをハウジング体に取り付ける場合に当てはまる。バッテリセルと比較して、モジュールのエンドプレートは、多くの場合、垂直方向及び横方向に小さい延在しかさず、それによって相応のデッドボリュームが生じ得る。少なくとも1つの充填要素によって、ハウジング体によって囲まれる内部空間に収容するために必要な流体の総量を低減することができる。その場合、少なくとも1つの充填要素が液体状態の流体の密度よりも低い密度を有することが特に好ましい。充填要素は、殊に、特に独立気泡を有する発泡材、例えばEPP(発泡ポリプロピレン)から製作されている。これに代えて、充填要素は、少なくとも1つの内部中空空間を備えて形成され、それにより小さい総重量しか有さない。内部中空空間に、ガスが充填、特に空気が充填されていることがさらに好ましい。これに代えて、内部中空空間は、常圧より低い、真空までの内圧を有することができる。充填要素の領域における液状流体の分布を防ぐことができ、それによってハウジング装置における自由な総容量、したがって流体の必要な総量が減少する。殊に、充填要素は、動作中、少なくとも部分的に液状流体に浸漬されるように配置されている。
【0061】
有利な実施形態では、ハウジング体に蒸発したガス状の流体のための出口と、凝縮して液状の流体のための入口と、が形成されている。これは、凝縮装置との接続を可能にし、それにより蒸発した流体を、ハウジング装置の外側で効率的に凝縮させることができる。入口と出口とが殊に支柱としてハウジングに形成されている。
【0062】
これに代えて、ハウジング体内に、例えばハウジング体の上領域に配置された熱交換器機として凝縮装置を配置することができる。特に、凝縮装置は、ハウジング体の一体の構成要素である。したがって、凝縮された流体は液体状態で底領域へ、バッテリセルに、及び/又は蒸発装置に滴下して戻ることができる。
【0063】
有利な実施形態では、トラクションバッテリは、50℃のシステム温度で、システム全体の総体積に対して20体積パーセント~60体積パーセント、殊に30体積パーセント~40体積パーセントの全システムの充填比率を有する液状流体で満たされる。それによって、冷却されるコンポーネントが液状流体に完全に浸漬される従来の浸漬冷却に比べて使用される流体の量の低減を達成することができる。それに対応して、小さい重量のトラクションバッテリを提供することができる。システム全体は、トラクションバッテリに加えて、典型的には、ハウジング装置の外側に配置された少なくとも1つの凝縮装置と、ハウジング装置と少なくとも1つの凝縮装置との間の接続ホースと、を備える。場合によっては、ハウジングシステムは、ハウジングシステムの総体積に寄与しない貯蔵容器を有することができる。上記の充填比率によって、例えばマイクロチャネル内の流体が蒸発し、液状流体が共に連れ去られることによってマイクロチャネルの濡らしがもたらされる沸騰動作の前に、すでにバッテリセルから離れる方向に十分な熱輸送を達成することができる。沸騰動作中、マイクロチャネル内の液状流体の沸騰によって、及びマイクロチャネル内の蒸発した流体の上昇によって、マイクロチャネルの内側の良好な、殊に完全な濡らしが行われ、それによりマイクロチャネルのこれらの濡れた領域はバッテリセルを冷却するために寄与する。それに対応して、流出時にマイクロチャネルの上端で10%を超える流体の蒸気の質を達成することができる。全体として、蒸発装置の冷却効果を常に確保することができる。基本的に、トラクションバッテリへの液状流体の充填は、マイクロチャネルの液状流体で可能な充填とは無関係である。両者を互いに無関係に調整することができる。
【0064】
有利な実施形態では、トラクションバッテリは、少なくとも動作中に流体と接触して流体の少なくとも1つの電気的特性、特に流体のブレークダウン電圧及び/又は導電性を検出する品質センサを有する。流体の少なくとも1つの電気的特性を監視することによって冷却システムの機能を確保することができる。特に、例えば液状流体がハウジング装置に収容されたバッテリセルの周りを直接流れる場合、流体の高い導電性にもとづいた、例えば短絡を防ぐことができる。流体の少なくとも1つの電気的特性の監視は、液体状態で、又は流体のガス状の状態でも、すなわち流体の液相又は気相で行うことができる。品質センサは、殊に流体の少なくとも1つの電気的特性を監視し、必要に応じて流体の質、すなわち、少なくとも1つの電気的特性が損なわれているという信号を出力するように形成されているか、又はコントローラによって制御され、それにより動作中、流体の質を確保するために流体を満たす、及び/又は交換することができる。そのために、品質センサを、例えば、所定のブレークダウン電圧、例えば約3kV/mmを下回る場合、及び/又は所定の導電性、例えば10-15S/mを上回る場合、対応する信号を出力するように形成することができる。その場合、流体の質に関連する様々な警告を出力するために、絶縁破壊電圧及び/又は導電性の複数の限界値の信号を出力できることが特に好ましい。これに代えて、少なくとも1つの電気的特性の1つ又は複数の値の連続的検出が行われ、次いでそれが車両又はトラクションバッテリの制御ユニットに出力され、そこでさらに処理される。これに代えて、又はこれに加えて、流体の電気的特性を品質センサで検出することができ、そこから流体の別の電気的特性が導き出される。例えば、流体の様々な電気的特性間の相関関係は、事前の試験/計算によって決定でき、それにより流体の電気的特性を品質センサで検出することができ、そこから流体の別の電気的特性を導き出することができる。その場合、品質センサは、それが流体と常に接触するように、又は動作中にのみ、例えばハウジング装置において流体が気相である場合に、品質センサがそれと接触するように位置決めすることができる。
【0065】
有利な実施形態では、品質センサはハウジング装置に取り付けられている。品質センサが、液状流体を収容するためにハウジング体の底領域に配置されることが特に好ましく、それによって動作中に、品質センサが液状流体と常に接触することが確保されている。
【図面の簡単な説明】
【0066】
本発明の他の利点、詳細及び特徴は、以下に説明する実施例から明らかになる。その場合、個々に:
図1図1は、ハウジング装置と複数のバッテリセルとハウジング装置に導入される液状流体とを備える本発明の第1の実施形態による本発明によるトラクションバッテリの模式的部分図である。
図2図2は、入口領域の2つの変形例を含む、マイクロチャネルを形成するためのマイクロチャネル構造とハウジング内に導入される液体とを備える図1の第1の実施形態によるハウジング装置の蒸発要素の模式図である。
図3図3は、ハウジング装置と、バッテリモジュールに接続された複数のバッテリと、ハウジング装置に導入される液状流体と、を備える本発明の第2の実施形態によるトラクションバッテリの模式的部分図である。
図4図4は、モジュールプレート間に保持されている複数のバッテリセルとそれに隣接する蒸発要素とを備える図3のバッテリモジュールの模式的部分図である。
図5図5は、ハウジング装置と、複数のバッテリセルと、ハウジング装置に導入される液状流体と、を備える本発明の第3の実施形態によるトラクションバッテリの模式的部分図の3つの図である。
図6図6は、ここではモジュール終端要素として形成された図1による第1の実施形態のハウジング装置の蒸発要素にもとづいた第4の実施形態の蒸発要素の模式図である。
図7図7は、2つの蒸発要素をそれぞれ図2からの蒸発要素と一致した配置と2つのバッテリセルの間に一列に配置されている本発明の第5の実施によるトラクションバッテリのバッテリモジュールの模式的部分図である。
図8図8は、蒸発要素の隣接する支持要素間にバッテリセルが配置され、隣接する蒸発要素の支持要素間にマイクロチャネルを形成するためのマイクロチャネル構造が形成されている本発明の第6の実施形態によるトラクションバッテリの蒸発装置の模式的部分図である。
図9図9は、一平面方向にバッテリセルが間に配置され、別の平面方向にマイクロチャネルを形成するためのマイクロ構造が間に配置されている中間要素を備える本発明による第7の実施形態によるトラクションバッテリの蒸発装置の模式図である。
【0067】
次に以下の記載において、同じ参照記号は同じ部品若しくは同じ特徴を示し、それにより図を参照して行われる部品の説明が他の図にも適用されるため、繰り返しの説明は回避される。さらに、一実施形態との関連で説明された個々の特徴を、他の実施形態で別々に使用することもできる。
【0068】
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態によるトラクションバッテリ1及びハウジング装置2に関するものである。ハウジング装置2は、トラクションバッテリ1の一部である。
【0069】
トラクションバッテリ1は、電気駆動可能な車両のためのトラクションバッテリ1であり、以下に詳しく説明されるように流体ベースの冷却を備える。トラクションバッテリ1は、最大数百ボルト、又はそれどころか最大1000ボルトまでの電圧と、数百アンペアから1000アンペアまでの充電及び放電電流と、で駆動される高性能バッテリである。
【0070】
トラクションバッテリ1は、複数のバッテリセル3をさらに備える。ハウジング装置2はまた、バッテリセル3を収容するための複数の収容位置を有する内部空間5を形成するハウジング体4を備える。図1は、ハウジング装置2のハウジング体4の内部空間5に収容されたバッテリセル3を示す。この実施例では、バッテリセル3は、図示されない収容位置にそれぞれ個別に収容されている。収容位置はそれぞれ、バッテリセル3の位置を規定する。収容位置には、バッテリセル3をそこに収容、取付け、保持するための個別の組付け、又は保持手段を任意的に割り当てることができる。そのようなトラクションバッテリ1の現在のバッテリセル3は、例えばリチウムイオン技術で製造され、殊に、例えば15℃~40℃の温度範囲で、バッテリセル3内及びバッテリセル間の温度変動が2℃~4℃の高い温度均一性で動作する。
【0071】
ハウジング装置2のハウジング体4は、液状流体8を収容するように形成された底領域6を有する。図1に示されるトラクションバッテリ1では、液状流体8は、ハウジング体4の底領域6に収容されている。液状流体8は、トラクションバッテリ1で使用され、それに応じてハウジング装置2に導入されている誘電性流体である。液状流体8は非導電性であるので、バッテリセル3の電気的絶縁が形成される。誘電性流体8は、周囲圧で10℃~80℃の沸騰温度を有する。
【0072】
第1の実施形態のハウジング装置2は、収容位置に導入され、そこに収容されるバッテリセル3と動作中に接触する複数の個々の蒸発要素10を有する蒸発装置9をさらに備える。以下に詳述するように、蒸発装置9は、熱がバッテリセル3から液状流体8に伝達され、それによりこれを蒸発させることができる熱伝導器又は熱交換器である。その場合、個々の蒸発要素10は分散させて配置され得る。
【0073】
第1の実施例では、蒸発要素10は、それぞれの場合において、バッテリセル3の2つの収容位置の間の領域に配置される。バッテリセル3と蒸発要素10との収容位置が交互になるサンドイッチ構造が生じる。それに対応して、トラクションバッテリ1において、収容位置に収容されたバッテリセル3と蒸発要素10とが交互に配置されている。第1の実施例の蒸発要素10のうちの1つが例示的に図2に示されている。
【0074】
図2に示される蒸発要素10は、マイクロチャネル13を形成するための複数のマイクロチャネル構造12を有する蒸発体11を備える。マイクロチャネル構造12は、蒸発体11内に一列に形成されている。蒸発体11は、非導電性材料から製作されている。
【0075】
蒸発要素10の各々は、長手方向の延在、すなわちマイクロチャネル構造12が列状に配置されている長手方向14の延在を有する。蒸発要素10は、横方向15、すなわち蒸発要素10の側面33の間に小さい広がりを有する。図1に示されるように、蒸発要素10は、長手方向側でトラクションバッテリ1のそれぞれ2つの隣接するバッテリセル3と接触している。この場合、バッテリセル3と蒸発要素10とは、同様の垂直延在を有する。
【0076】
この実施例では、蒸発要素10は、ハウジング体4に差し込むための差込み要素として形成されている。特に、蒸発要素10は、挿入要素として形成されている。この実施例では、蒸発要素10の差込み若しくは挿入は、垂直方向16に、すなわちハウジング装置2の上側から底領域6に向かって行われる。導入された蒸発要素10は、図示されない仕方でハウジング体4に取り付けられている。さらに、各蒸発要素10は、その上側に蒸発要素10の差込みを制限するストッパ要素26を有する。蒸発要素10が差し込まれると、図1に示されるように、ストッパ要素26は、収容位置に収容されたバッテリセル3の上側と接触する。
【0077】
マイクロチャネル構造12は、蒸発体11内で垂直方向16に延びる。したがって、マイクロチャネル構造12は、垂直方向16と一致した主延在方向を有する。さらに、マイクロチャネル構造12は、別の方向に延びることもできる。マイクロチャネル構造12は、垂直方向16に直線的に延びる必要はない。マイクロチャネル構造12は、蒸発要素10の垂直の広がり全体にわたって、それに対応してバッテリセル3の垂直延在全体にわたっても延びる。
【0078】
マイクロチャネル構造12は、蒸発要素10の両方の側面33で開放され、それぞれの蒸発要素10の互いに向かい合う側の側面33の間に延在する。したがって、マイクロチャネル構造12は、それぞれの蒸発要素10を横方向15に通って延在する。組立状態で、蒸発要素10をその側面33で1つ又は複数のバッテリセル3に沿って配置することによってマイクロチャネル13が形成されている。すなわち、蒸発要素10の両方の側面33で開放されているマイクロチャネル構造12は、組立状態で、側面33に隣接するバッテリセル3によって画定され、さらに閉鎖される。それによって、マイクロチャネル13内の液状流体8がバッテリセル3と直接接触することができる。マイクロチャネル13は、その垂直方向16の端において開放されていて、組立状態で、バッテリセル3が収容位置に収容されている場合に周方向に閉鎖され、それによってマイクロチャネル13が完全に形成される。
【0079】
蒸発要素10は、安価で軽量のプラスチック材料から、例えば射出成形などの製造プロセスで製作される。その場合、蒸発要素10は、それらの2つの側面33の間に小さい厚さを有し、すなわち蒸発要素10の側面33の間の横方向15の延在が小さく、例えば約1センチメートル、殊に数ミリメートル、特に好ましくは約2ミリメートルである。蒸発要素10の、詳細には蒸発体11の厚さは、その中に形成されたマイクロチャネル13の横方向15の延在を規定する。
【0080】
マイクロチャネル13は、矩形又は正方形の横断面を有する。この実施例では、マイクロチャネル13は、1センチメートル未満、特に5ミリメートル未満、例えば約2ミリメートルの辺の長さを有する。
【0081】
マイクロチャネル13は、少なくとも部分的に、液状流体8が泡を発生して蒸発する表面構造を有し、表面構造は、殊に底領域6の方を向いたマイクロチャネル13の下部領域に形成される。表面構造は、3マイクロメートル~25マイクロメートルの範囲の細孔サイズを有する微細孔形態を有する。表面構造は、蒸発体11とバッテリセル3との両方に形成されている。
【0082】
蒸発要素10の各々の蒸発体11は、バッテリセル3を互いに支持するための支持要素として形成されている。したがって、蒸発要素10は、ハウジング体4内で構造的な機能を有する。バッテリハウジング2のハウジング体4に導入される機械的力を確実に転送することができる。蒸発体11は、蒸発体11において横方向15に延びる、実質的に支柱17とも呼ばれる相応の支持ウェブ17を備え、すなわち組立済のトラクションバッテリ1において、支持ウェブ17は、隣接するバッテリセル3の長手方向側の間で横方向15に延びる。この実施例では、支持ウェブ17は、蒸発要素10の長手方向14に、隣接するバッテリセル3と蒸発要素10との総接触面積の殊に10%~20%以下の割合である。それに対応して、それぞれの蒸発要素10の縁領域に形成されるマイクロチャネル構造12の割合は、蒸発要素10の長手方向で、隣接するバッテリセル3との総接触面積の好ましくは約80%から90%である。したがって、蒸発体11は、その横方向15に高強度を有し、それに伴い高い支持効果を有する。
【0083】
この構造によって、格子構造を有する相応の蒸発要素10が形成され、支持ウェブ17は、垂直方向16に延びる支柱としてマイクロチャネル構造12と交互になっている。マイクロチャネル構造12が隣接するバッテリセル3と接触してマイクロチャネル13を形成するようにするために、蒸発要素10は、殊に小さい厚さを有する。隣接するバッテリセル3によって、それぞれの蒸発要素10の側面33に両側から接触が行われる。
【0084】
それに加えて、隣接する支柱17の間に接続要素18が延在する。接続要素18は、垂直方向16で底領域6の方を向いた端において、2つの支柱17の間で対応する蒸発要素10の長手方向14にマイクロチャネル構造12を通って延在する。垂直方向16で底領域6から離反した蒸発要素10の端では、ストッパ要素26が同時に接続要素として用いられる。接続要素18、26は、支柱17の位置決め及び保持をもたらす。この実施例では、接続要素18は、マイクロチャネル構造12の垂直方向16で上端及び下端に形成されている。
【0085】
マイクロチャネル構造12は、それらのハウジング体4の底領域6の方を向いた側、すなわち垂直方向16でそれらの下端に、2つの入口開口20を有する入口領域19を備えている。入口開口20は、関連するマイクロチャネル構造12のそれぞれの断面よりも小さい断面を有する。殊に、入口開口20は、それぞれのマイクロチャネル13の断面の約4分の1に相当する断面を有する。この実施例では、垂直方向16で下の接続要素18が同時に入口領域19を形成する。
【0086】
入口領域19は、マイクロチャネル13の、ハウジング体4の底領域6の方を向いた側でそれぞれのマイクロチャネル13のプレート状の末端を形成する。入口領域19は、垂直方向16に少なくとも約1mmの厚さを有する。図2に相応に示されている変形例1では、入口開口20は、入口領域19に側方切欠部として形成されている。したがって、入口開口20は、組立済の状態で、部分的に、対応する隣接するバッテリセル3によって画定される。これに代えて、入口開口20を、図2に変形例2として示されるように、入口領域19に貫通穴として形成することができる。
【0087】
これに加えて、ハウジング装置2は、ハウジング体4内で水平平面上に延在してバッテリセル3及び蒸発要素10のための垂直支持をなす支持プレート21を含む。図1に示されるように、支持プレート21の下に位置するプレナム7とマイクロチャネル構造12との間の流体通路として複数のスロット22が支持プレート21に形成されている。この実施例では、支持プレート21における流体通路22の配置は、マイクロチャネル構造12の配置及び位置決めと一致させて行われ、個々の流体通路22が複数のマイクロチャネル構造12をプレナム7と接続する。この実施例では、流体通路22の向きは、蒸発要素10の向きに対して横向きの方向である。支持プレート21における流体通路22は、殊にマイクロチャネル構造12で形成されたマイクロチャネル13の断面よりも大きい。プレナム7は、液体流体8が収容される底領域6の一部によって形成される。
【0088】
それに加えて、ハウジング装置2は、デッドボリュームを低減するためにハウジング体4で囲まれた内部空間5に配置された図1に示される充填要素23を有する。充填要素23は、液状流体8の密度よりも低い密度を有する。充填要素23は、殊に、特に独立気泡を有する発泡材、例えばEPP(発泡性ポリプロピレン)から製作されている。それに代えて、充填要素23は、内部中空空間を有する中空体として形成され、それによって総重量が非常に小さい。内部中空空間がガスで満たされる、特に空気で満たさせることが好ましい。これに代えて、内部中空空間は、常圧より低い、真空までの内圧を有することができる。充填要素23は、動作中にそれが液状流体8に少なくとも部分的に浸漬され、これを押しのけ、それによって底領域6の液状流体8のレベルが上昇するように配置されている。
【0089】
さらに、図には示されていない、蒸発したガス状流体のための出口と凝縮した液状流体8のための入口とがハウジング体4に形成されている。トラクションバッテリ1は、図示されない凝縮装置と出口及び入口を介して接続され、蒸発した流体は、ハウジング装置2の外側でこの装置で凝縮される。入口と出口とは、殊にハウジング体4のソケット管として形成されている。
【0090】
図1にさらに示されるように、ハウジング体4は、下部シェル24及び上部シェル25を備え、これらはバッテリセル3、気化装置9、支持プレート21、及び充填要素23の導入後、ハウジング体4を形成するために、取り外し可能又は取り外し不可能に互いに接続される。液状流体8は、下部シェル24及び上部シェル25が接続される前に、又は後から入口又は出口を介してハウジング装置2に導入することができる。
【0091】
次に、トラクションバッテリ1を冷却する機能について説明する。以下の説明から詳細に分かるように、トラクションバッテリ1に接続された凝縮装置と一緒に、ハウジング装置2及びトラクションバッテリ1の構造、並びにそれに対応する液状流体8の充填によって二相浸漬冷却が形成される。
【0092】
トラクションバッテリ1は、静止状態にある液状流体8で底領域6が部分的に満たされている。液状流体8は、システム全体の充填比率、50℃のシステム温度で、システム全体の総体積に対して20体積パーセント~60体積パーセント、殊に30体積パーセント~40体積パーセントに達するまで満たされる。システム全体は、トラクションバッテリ1に加えて、ハウジング装置2の外側に配置された凝縮装置と、ハウジング装置2と凝縮装置との間の接続ホースと、を備える。
【0093】
この実施例では、液状流体8は、所定の充填比率によって、部分的にマイクロチャネル13内にあり、それによりマイクロチャネル13の少なくともこの部分がすでにその冷却効果を発揮することができる。明確性の理由から、液状流体8は図1のプレナム7にのみ示されている。その場合、液状流体8は、プレナム7から流体通路22及び入口開口20を通ってマイクロチャネル13に入り、それにより動作中、マイクロチャネル13は、その垂直方向16で下の領域が液状流体8で部分的に満たされる。すなわち、マイクロチャネル構造12は、その垂直方向16で下の領域が液状流体8に部分的に浸漬され、それによってマイクロチャネル13と液状流体8との流体接触が確立される。代替の実施形態では、マイクロチャネル13内に液体流体8は入っていない。
【0094】
動作中、すなわちトラクションバッテリ1を充電又は放電するときに、バッテリセル3に熱が発生する。熱は、部分的に、バッテリセル3からそれらの側壁を介してマイクロチャネル13内の液状流体8に直接伝達される。これに加えて、熱は、バッテリセル3の側壁から隣接する蒸発要素10若しくはそれらの蒸発体11に少量伝達される。次に、この熱は、それぞれの蒸発体11からマイクロチャネル13を介して液状流体8にさらに伝達される。
【0095】
この実施例では、記載された充填比率により、マイクロチャネル13が沸騰動作の前にすでに液状流体8で濡れる。沸騰動作中、マイクロチャネル13内で液状流体8が沸騰すること、及びマイクロチャネル13内で蒸発した流体が上昇することによって、液状流体8が共に連れ去られ、これがマイクロチャネル13の内部を濡らす。それによって、マイクロチャネル13の良好な、殊に完全な内側の濡らしが達成され、それにより、濡れた領域がバッテリセル3の冷却に寄与する。動作中、バッテリセル3から液状流体8へ熱輸送が行われ、それによりマイクロチャネル13内の液状流体8が蒸発する。
【0096】
液状流体8が1つの入口開口20若しくは複数の入口開口20を通ってハウジング体4の底領域6からマイクロチャネル13に流れることにより、マイクロチャネル13への液状流体8の追加供給(Nachfoerdern)が行われ、この実施例では、蒸発した流体8が置き換えられる。
【0097】
蒸発後、ガス状流体8が出口を介して凝縮器に導かれる。そこで、ガス状流体が凝縮し、周辺に熱を放出する。理想的に閉じた流体回路が形成される。凝縮された流体は、入口を介してハウジング装置2に戻る。流体8の能動的又は受動的な循環を行うことができる。
【0098】
図3及び図4は、本発明の第2の実施形態によるトラクションバッテリ1及びハウジング装置2に関するものである。この場合も、ハウジング装置2はトラクションバッテリ1の一部である。
【0099】
第1及び第2の実施形態のトラクションバッテリ1及びハウジング装置2は、ほとんど同一に形成され、そのため、以下では実質的に第1及び第2の実施形態のトラクションバッテリ1とハウジング装置2の違いを説明する。それに対応して、同種又は同一の部品には同じ参照記号が使用される。第2の実施形態のトラクションバッテリ1及びハウジング装置2の記載されない詳細は、疑わしい場合、必要な限りで第1の実施形態のものに相当する。
【0100】
図3及び図4に示されるように、第2の実施形態では、バッテリセル3は、それぞれが複数のバッテリセル3を有するバッテリモジュール27に統合され、各収容位置にそれぞれ1つのバッテリモジュール27が収容される。それに対応して、各収容ポジションに複数のバッテリセル3が一緒に収容される。バッテリモジュール27は、外側のバッテリセル3の側壁に沿って配置された2つのエンドプレート28を備えている。エンドプレート28は、バッテリセル3をバッテリモジュール27に統合し、個々のバッテリセル3をそれに固定する。バッテリモジュール27において、バッテリセル3は、それらの側壁でそれぞれ隣接配置されている。蒸発要素10は、バッテリモジュール27のバッテリセル3の端領域に配置されている。すなわちバッテリセル3は、それらの長手方向14に、収容位置及びバッテリモジュール27において一緒に方向合わせされ、それによりそれらの端領域が一直線上に位置する。したがって、トラクションバッテリ1において、バッテリモジュール27のバッテリセル3と、そこに配置された蒸発要素10と、の頭部側の接触が作成される。
【0101】
したがって、第2の実施形態の蒸発要素10では、第1の実施形態の蒸発要素10とは異なり、マイクロチャネル構造12は、蒸発要素10の2つの側面33のうちの1つでのみ開放され、この側面33から横方向15にそれぞれの蒸発要素10内に延びる。組立状態では、蒸発要素10を対応する側面33でバッテリセル3に沿って配置することによってマイクロチャネル13が形成される。すなわち、開放されたマイクロチャネル構造12を有する蒸発要素10の側面33は、組立状態で、側面33に隣接するバッテリセル3によって画定され、さらに閉鎖される。その他の点では、第2の実施形態の蒸発要素10は、第1の実施形態の蒸発要素10に相当する。
【0102】
特に図4から分かるように、そこに示される蒸発要素10は、バッテリモジュール27に配置されたバッテリセル3の長さよりも大きい長手方向延在を有し、すなわち蒸発要素10はバッテリモジュール27のバッテリセル3のそれより大きい長手方向延在を有する。すなわち、蒸発要素10は、バッテリモジュール27の隣接配置されたバッテリセル3の頭部側に沿って、この配置を越えて延在する。バッテリモジュール27はまたエンドプレート28を備え、これらの間に、バッテリセル3が機械ユニットを形成して保持される。それぞれの蒸発要素10は、殊にそれが少なくともエンドプレート28の領域まで、又はそれどころかそれを越えて延在するように形成されている。エンドプレート28には取付け穴29が形成され、これらは垂直方向16に延在し、これらによってバッテリモジュール27が図示されない取付け要素によりハウジング体4に取り付けられている。
【0103】
蒸発要素10はその上側に、蒸発要素10の差込みを制限するストッパ要素26を有する。蒸発要素10が差し込まれると、ストッパ要素26は、収容位置に収容されたバッテリセル3の上側と接触する。その場合、ストッパ要素26は、同時に、支柱17の位置決め及び保持をもたらす接続要素として用いられる。この実施例では、接続要素26は、マイクロチャネル構造12の、垂直方向16で上端に形成されている。
【0104】
代替の実施形態では、蒸発要素10は、ハウジング体4の壁領域、すなわちハウジング装置2の構造的構成要素を形成する。
【0105】
図5は、本発明の第3の実施形態によるトラクションバッテリ1及びハウジング装置2に関するものである。この場合も、ハウジング装置2はトラクションバッテリ1の一部である。
【0106】
第1及び第3の実施形態のトラクションバッテリ1及びハウジング装置2は、ほとんど同一に形成され、そのため以下において第1及び第3の実施形態のトラクションバッテリ1及びハウジング装置2の違いを説明する。それに対応して、同種又は同一の部品には同じ参照記号が使用される。第3の実施形態のトラクションバッテリ1及びハウジング装置2の記載されない詳細は、疑わしい場合、必要な限りで第1の実施形態のものに相当する。
【0107】
第1及び第3の実施形態のハウジング装置2は、ハウジング体4におけるバッテリセル3及び蒸発要素10の支持の点で異なる。第3の実施形態のハウジング装置2は、支持プレート21を有していない。その代わりに、バッテリセル3と蒸発要素10とは、図示されない仕方で一緒に囲まれ、端側の保持要素30でハウジング体4に取り付けられている。そのために、垂直方向16に延びる2つの組付け穴31が各保持要素30に形成されている。保持要素30は、組付けねじ32をハウジング体4の組付け穴31に通してねじ留めされている。
【0108】
図6は、本発明の第4の実施形態によるトラクションバッテリ1及びハウジング装置2に関するものである。この場合も、ハウジング装置2はトラクションバッテリ1の一部である。
【0109】
第1及び第4の実施形態のトラクションバッテリ1及びハウジング装置2は、ほとんど同一に形成され、そのため、以下において、第1及び第4の実施形態のトラクションバッテリ1及びハウジング装置2の違いを説明する。それに対応して、同種又は同一の部品には同じ参照記号が使用される。第4の実施形態のトラクションバッテリ1及びハウジング装置2の記載されない詳細は、疑わしい場合、必要な限りで第1の実施形態のものに相当する。
【0110】
第4の実施形態のトラクションバッテリ1及びハウジング装置2は、第2の実施形態の蒸発要素10と一致した形態の蒸発要素10を使用することによって、第1の実施形態のものとは異なる。それに対応して、第4の実施形態の蒸発要素10では、マイクロチャネル構造12は、蒸発要素10の2つの側面33のうちの1つでのみ開放され、この側面33から横方向15にそれぞれの蒸発要素10内に延びる。組立状態では、蒸発要素10を対応する側面33でバッテリセル3に沿って配置することによってマイクロチャネル13が形成される。すなわち、開放されたマイクロチャネル構造12を有する蒸発要素10の側面33は、組立状態で、側面33に隣接するバッテリセル3によって画定され、さらに閉鎖される。その他の点では、第2の実施形態の蒸発要素10は、第1の実施形態の蒸発要素10に相当する。
【0111】
第4の実施形態の蒸発要素10は、その上側に同様に蒸発要素10の差込みを制限するストッパ要素26を有する。蒸発要素10が差し込まれると、ストッパ要素26は、収容位置に収容されたバッテリセル3の上側と接触する。この実施例では、接続要素26は、マイクロチャネル構造12の、垂直方向16で上端に形成されている。ストッパ要素26には保持穴34が形成され、これらはストッパ要素26を通って垂直方向に延在する。保持穴34は、バッテリセル3を覆わないストッパ要素26の領域に配置されている。したがって、複数の隣接するバッテリセル3を有するバッテリモジュール27は、第4の実施形態の蒸発要素10を用いて形成することができ、隣接するバッテリセル3の間にはそれぞれ第1の実施形態の蒸発要素10が配置され、第4の実施形態の蒸発要素10は、モジュール終端要素として形成され、バッテリモジュール27の両端を形成する。この場合、第4の実施形態の蒸発要素10の対応するストッパ要素26の保持穴34を介してバッテリモジュール27を組付け、例えばハウジング体4に取り付けることができる。
【0112】
図7は、本発明の第5の実施形態によるトラクションバッテリ1及びハウジング装置2に関するものである。この場合も、ハウジング装置2はトラクションバッテリ1の一部である。
【0113】
第1及び第5の実施形態のトラクションバッテリ1及びハウジング装置2は、ほとんど同一に形成され、そのため以下において、第1及び第5の実施形態のトラクションバッテリ1とハウジング装置2の違いを説明する。それに対応して、同種又は同一の部品には同じ参照記号が使用される。第5の実施形態のトラクションバッテリ1及びハウジング装置2の記載されない詳細は、疑わしい場合、必要な限りで第1の実施形態のものに相当する。
【0114】
第5の実施形態のトラクションバッテリ1及びハウジング装置2は、蒸発装置9の形態の点で第1の実施形態のものとは異なる。第5の実施形態の蒸発装置9も、第1の実施形態のものに相当する複数の蒸発要素10を備えるが、これらはそれぞれより小さい長手方向14の広がりを有する。それに加えて、蒸発装置9は、バッテリセル3に沿ってそれぞれ長手方向14にそれぞれ2つの蒸発要素10の間に一緒に配置するための構造要素35を有する。構造要素35は、それぞれ隣接するバッテリセル3と接触しているので、バッテリセル3の支持が形成される。これに対して、蒸発要素10は、隣接するバッテリセル3との間にわずかな遊びがあり、これらはこれと直接機械的に接触していない。バッテリセル3と蒸発要素10との間に小さい距離があり、その距離は、蒸発体11とバッテリセル3との間の液状流体8の通過が妨げられるように非常に小さく選択されている。
【0115】
図8は、本発明の第6の実施形態によるトラクションバッテリ1及びハウジング装置2に関するものである。この場合も、ハウジング装置2はトラクションバッテリ1の一部である。
【0116】
第1及び第6の実施形態のトラクションバッテリ1及びハウジング装置2はほとんど同一であり、そのため、第1及び第6の実施形態のトラクションバッテリ1及びハウジング装置2の違いを以下に説明する。それに対応して、同種又は同一の部品には同じ参照記号が使用される。第6の実施形態のトラクションバッテリ1及びハウジング装置2の記載されない詳細は、疑わしい場合、必要な限りで第1の実施形態のものに相当する。
【0117】
第6の実施形態のトラクションバッテリ1及びハウジング装置2は、蒸発装置9の形態の点で第1の実施形態のものとは異なる。第6の実施形態の蒸発装置9は、それぞれ複数のバッテリセル3に沿って延在し、組立状態で互いに隣接配置される複数の蒸発要素10を有し、蒸発要素10は、それぞれ接続体37から互いに平行に延びる複数の中間要素36を有する。組立状態で、中間要素36は、垂直方向16で、それぞれ2つの隣接するバッテリセル3の間に延在し、隣接する蒸発要素10の接続体37が接触縁端38に沿って互いに接触する。それによって、隣接する蒸発要素10の中間要素36の、互いに所定の間隔での所望の位置決めが生じる。マイクロチャネル構造12は、隣接する蒸発要素10の中間要素36の間に所定の間隔で形成され、それによりマイクロチャネル13は、組立状態で、マイクロチャネル構造12の領域において、それぞれ隣接する蒸発要素10をそれぞれ隣接するバッテリセル3に沿って配置することによって形成されている。したがって、蒸発要素10の間に形成されたマイクロチャネル構造12は、組立状態で、隣接するバッテリセル3と共に、隣接する蒸発要素10のそれぞれ隣接する中間要素36の間にマイクロチャネル13を形成する。隣接する蒸発要素10の、互いに接触する接続体37の間に、それぞれ入口領域19を規定し、かつマイクロチャネル13の1つのための入口開口20を形成する切欠部39が形成される。
【0118】
この実施例では、蒸発要素10は櫛のように形成され、中間要素36は歯として形成され、接続体37上に配置されている。組立状態で、接続体37は、垂直方向16でバッテリセル3の下に配置されている。この実施例では、マイクロチャネル構造12は、蒸発装置9に複数の列で配置されている。蒸発要素10は、基本的に任意の横方向の延在、すなわち隣接配置された蒸発要素10の方向に延在する。これは、バッテリセル3での長手方向14に相当する。蒸発要素10は、バッテリセル3を互いに小さい間隔で配置できるようにするため、及びコンパクトなバッテリモジュール27を提供するために、隣接配置されたバッテリセル3の方向に小さい広がりを有する。その場合、蒸発要素10は、それらの中間要素36で、内側、すなわちトラクションバッテリ1に組付けられた状態で、それぞれの蒸発要素10の別の中間要素36の方を向いた側で、隣接するバッテリセル3と接触する。この実施例では、蒸発要素10は、バッテリセル3よりも大きい垂直延在を有する。マイクロチャネル構造12は、バッテリセル3の垂直の広がり全体にわたって延在する。
【0119】
図9は、本発明の第7の実施形態によるトラクションバッテリ1及びハウジング装置2に関するものである。この場合も、ハウジング装置2はトラクションバッテリ1の一部である。
【0120】
第6及び第7の実施形態のトラクションバッテリ1及びハウジング装置2は、ほとんど同一であり、そのため以下において、第6及び第7の実施形態のトラクションバッテリ1とハウジング装置2の違いを説明する。それに対応して、同種又は同一の部品には同じ参照記号が使用される。第7の実施形態のトラクションバッテリ1及びハウジング装置2の記載されない詳細は、疑わしい場合、必要な限りで第6の実施形態のものに相当する。
【0121】
第7の実施形態のトラクションバッテリ1及びハウジング装置2は、蒸発装置9の形態の点で第6の実施形態のものとは異なる。第7の実施形態の蒸発装置9は、第6の実施形態の蒸発装置9と実質的に同一である。しかしながら、第7の実施形態の蒸発装置9の場合、蒸発要素10が接続体37で互いに接続され、それによって一体の接続体37が形成される。それに対応して、複数の蒸発要素10からなる一体の蒸発装置9が形成される。隣接する蒸発要素10の互いに正確な位置決めが生じる。それに対応して、中間要素36の間に一平面方向にバッテリセル3が配置され、別の平面方向にマイクロチャネル13を形成するためのマイクロチャネル構造12が配置されている。
【符号の説明】
【0122】
1 トラクションバッテリ
2 ハウジング装置
3 バッテリセル
4 ハウジング体
5 内部空間
6 底領域
7 プレナム
8 液状流体
9 蒸発装置
10 蒸発要素
11 蒸発体
12 マイクロチャネル構造
13 マイクロチャネル
14 長手方向
15 横方向
16 垂直方向
17 支持ウェブ、支柱
18 接続要素
19 入口領域
20 入口開口
21 支持プレート
22 スロット、流体通路
23 充填要素
24 下部シェル
25 上部シェル
26 ストッパ要素、接続要素
27 バッテリモジュール
28 エンドプレート
29 取付け穴
30 保持要素
31 組付け穴
32 取付けねじ
33 側面
34 保持開口
35 構造要素
36 中間要素
37 接続体
38 接触縁端
39 切欠部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9