(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】制御方法、装置、調理器具及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
A47J27/00 109L
(21)【出願番号】P 2022525326
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(86)【国際出願番号】 CN2020125225
(87)【国際公開番号】W WO2021098482
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】201911127448.9
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911127450.6
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515117198
【氏名又は名称】佛山市▲順▼▲徳▼区美的▲電▼▲熱▼▲電▼器制造有限公司
【氏名又は名称原語表記】FOSHAN SHUNDE MIDEA ELECTRICAL HEATING APPLIANCES MANUFACTURING CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】San Le Road #19,Beijiao,Shunde Foshan,Guangdong 528311 China
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴン▼ ▲艷▼玲
(72)【発明者】
【氏名】李 晶
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲徳▼万
(72)【発明者】
【氏名】梁 玉▲蓮▼
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104000506(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109303475(CN,A)
【文献】特開2013-248267(JP,A)
【文献】特開2014-012118(JP,A)
【文献】特開2010-5363(JP,A)
【文献】特開2017-164256(JP,A)
【文献】特開2008-253649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00-27/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理対象の材料を置くように配置される調理部と、換気アセンブリとを含む調理器具に適用される制御方法であって、
前記調理部の動作状況温度に応じて、前記換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップを含み、
前記換気アセンブリは、調理部内の気体と調理部外の気体とを交換するように配置され、
前記調理部の動作状況温度に応じて、前記換気アセンブリの動作パラメータを調整する前記ステップは、
前記調理部の動作状況温度を取得するステップと、
前記動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、前記換気アセンブリを予め設定された動作パラメータに従って動作するように制御するステップと、を含み、
前記動作状況温度が予め設定された温度閾値より高いことを検出すると、前記換気アセンブリの換気量を低減し、かつ加熱蒸らしプロセスを実行するステップをさらに含み、
前記予め設定された温度閾値は、前記予め設定された温度範囲の最大値以上である、
制御方法。
【請求項2】
前記換気アセンブリは、前記調理部に設けられ、前記調理部の内部と前記調理部の外部を連通するように配置される排気弁を含み、
前記動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、前記換気アセンブリの動作パラメータを調整する前記ステップは、具体的に、
前記動作状況温度が前記予め設定された温度範囲に属することを検出すると、前記調理部外の気体と前記調理部内の気体とを交換させるように、予め設定された排気時間に従って前記排気弁の開きを制御するステップを含む、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記換気アセンブリはエアポンプを含み、前記エアポンプが属する気道は前記調理部の内部及び大気環境に連通し、
前記動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、前記換気アセンブリの動作パラメータを調整する前記ステップは、具体的に、
前記動作状況温度が前記予め設定された温度範囲に属することを検出すると、前記エアポンプが属する気道を開き、かつ前記調理部の内部を昇圧させるように、前記エアポンプを前記調理部に空気入れ処理を実行するように制御するステップと、
前記調理器具の排気通路を開くステップと、をさらに含み、
前記排気通路は、前記調理部内の気体を排出させるように配置される、請求項1に記載の制御方法。
【請求項4】
前記換気アセンブリはエアポンプを含み、前記エアポンプが属する気道は前記調理部の内部及び大気環境に連通し、
前記動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、前記換気アセンブリの動作パラメータを調整する前記ステップは、具体的に、
前記調理器具の給気通路を開くステップと、
前記エアポンプが属する気道を開き、かつ前記調理部の内部が負圧状態となるように、前記エアポンプを抽気処理を実行するように制御するステップと、をさらに含み、
前記給気通路は、前記調理部外の気体を前記調理部内に入れさせるように配置される、請求項1に記載の制御方法。
【請求項5】
前記調理器具は、前記調理部を加熱するように配置される加熱装置をさらに含み、
前記動作状況温度が予め設定された温度閾値より高いことを検出すると、前記換気アセンブリの換気量を低減し、かつ加熱蒸らしプロセスを実行する前記ステップは、具体的に、
前記動作状況温度が前記温度閾値に達することを検出すると、前記換気アセンブリの換気量を低減するステップと、
前記調理部が第1の時間において沸騰状態となっているように前記加熱装置の加熱電力を調整するステップと、を含む、請求項1に記載の制御方法。
【請求項6】
前記動作状況温度が予め設定された温度閾値より高いことを検出すると、前記換気アセンブリの換気量を低減し、かつ加熱蒸らしプロセスを実行する前記ステップは、具体的に、
前記加熱装置の加熱電力を第1の電力に調整し、前記調理部を第1の温度に加熱するステップをさらに含み、
前記第1の温度は、前記温度閾値より大きい請求項5に記載の制御方法。
【請求項7】
前記動作状況温度が予め設定された温度閾値より高いことを検出すると、前記換気アセンブリの換気量を低減し、かつ加熱蒸らしプロセスを実行する前記ステップは、具体的に、
前記加熱装置の加熱電力を第2の電力に調整し、かつ前記第2の電力の持続時間を第2の時間に達するまで計時するステップをさらに含む、請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記第2の時間に達するまで計時すると、前記調理部に対して第3の時間に従って補充炊飯処理を行うステップをさらに含み、
前記補充炊飯処理は、前記調理部の内部に熱エネルギーを補充するように配置される、請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され前記プロセッサで実行可能なプログラムとを含む制御装置を含む調理器具であって、前記プログラムは前記プロセッサに実行されると、請求項1から8のいずれか一項に記載の制御方法のステップを実現する、調理器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年11月18日に中国特許庁に提出された、出願番号が201911127448.9であり、発明の名称が「制御方法、装置、調理器具及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体」である中国特許出願、及び2019年11月18日に中国特許庁に提出された、出願番号が201911127450.6であり、発明の名称が「制御方法、装置、調理器具及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てを援用することにより本願に取り入れる。
【0002】
本願は、モータの技術分野に関し、具体的には、制御方法、装置、調理器具及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
米の生産は季節性を有し、いつでも新米を食べることは不可能であり、市場供給を保証するために、一定量の米貯蔵が必要となる。しかしながら、米の貯蔵安定性が悪く、米は加工する時に表皮が除去され、胚乳を直接露出させ、劣化しやすい。また、使用者が新しい米を購入したとしても、開袋した後、適切に貯蔵しないと、米が劣化してしまう。特に夏(7月~9月)に入ると、大気中の高温や高湿の気体による米への影響が悪化することで、米は色合いが異なる程度で暗くなり、香りがなくなり、酸度が増加し、かび臭がし、かつ粘度が低下し、吸水量が減少し、水の保持力が減退し、食用上の品質が低下するなどの現象が発生し、通称「古米」と呼ばれる。
【0004】
市場で販売されている米の大部分は劣化穀物又はブレンド米であり、新米でも、多くの消費者が長すぎる時間保存したり不適切に貯蔵したりするため、劣化しやすく、古米は組織構造及び米の成分に一定の変化が発生するため、表面の米ぬかが脂肪を多く含有し非常に酸化しやすく、内部の澱粉構造がより緻密である。
【0005】
米が劣化した後、従来の調理器具を使用して従来の制御方法により調理すると、古米が生成するかび臭と不快な酸味のせいで、調理器具で炊飯された米飯は臭い匂いがし、米飯の元の香りが覆われ、また米飯は粘度が低下し、光沢を失い、硬くなることで、調理効果が悪くなる。また、調理器具が従来の調理モードで劣化した材料を調理することで、炊飯は風味及び食感が悪くなり、また使用者による調理器具に対する使用体験に影響を及ぼす。
【0006】
さらに、本明細書全体にわたる背景技術に関する議論は、必ずしもその背景技術が当業者に知られている先行技術であることを意味するものではなく、本明細書全体にわたる先行技術に関する議論は、必ずしもその先行技術が広く知られているもの、又は当技術分野における周知技術を構成するものであることを意味するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願は従来技術又は関連技術に存在する技術的問題の少なくとも1つを解決することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのため、本願の第1の態様は、制御方法を提供する。
【0009】
本願の第2の態様は、制御装置を提供する。
【0010】
本願の第3の態様は、調理器具を提供する。
【0011】
本願の第4の態様は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0012】
本願の第5の態様は、別の制御方法を提供する。
【0013】
本願の第6の態様は、別の制御装置を提供する。
【0014】
本願の第7の態様は、別の調理器具を提供する。
【0015】
本願の第8の態様は、別のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0016】
これに鑑みて、本願の第1の態様は、調理対象の材料を置くように配置される調理部と、換気アセンブリとを含む調理器具に適用される制御方法であって、調理部の動作状況温度に応じて、換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップを含み、換気アセンブリは調理部内の気体と調理部外の気体とを交換可能に配置される制御方法を提供する。
【0017】
調理器具の調理部が動作する時の動作状況温度に基づいて、調理部内の材料が調理プロセスの吸水段階又は加熱昇温段階にあることを確定することができ、すなわち調理部の動作状況温度に基づいて、調理プロセスが沸騰段階の前にあることを確定することができ、沸騰段階の前に、調理器具の換気アセンブリにより調理部の内外に圧力差を形成させ、調理部内部の気体と調理部外部の気体とを交換させ、さらに材料による揮発性カルボニル化合物に対する吸着作用を低減し、それにより調理器具の調理効果を向上させる。
【0018】
具体的には、米(又は他のタイプの材料)を貯蔵して放置しているうちに、米粒中の脂質は自動的な加水分解及び酸化分解が発生しやすく、オレイン酸、リノール酸などの不飽和遊離脂肪酸を形成し、さらに脂質過酸化反応が発生し、徐々に劣化し、揮発性カルボニル化合物(例えばヘキシルアルデヒド、ペラルゴンアルデヒドなど)を形成し、これらの物質は米の「劣化臭」である。米を調理部に入れて水に接触させると、米中の既に生成された劣化臭物質は水に溶け、調理中の温度上昇により揮発し、調理部内の空気中に分散し、それにより「劣化臭」が嗅がれる。また、米粒中のリパーゼは油水界面で活性化され、活性が水温の増加に伴って持続的に高まり、リパーゼは米粒中の脂質の酸化加速を促進することができ、揮発性カルボニル化合物(劣化臭)を速やかに生成することで、米飯の香りの形成に影響を及ぼす。そのため、調理器具が動作する時、吸水から加熱昇温段階(沸騰状態に入っていない)において、材料(劣化材料)は酵素分解作用で揮発性カルボニル化合物成分を大量に生成し、例えばヘキシルアルデヒドとペンチルアルデヒドなど、いくつかのよくない風味がある成分が挙げあれ、この段階は換気アセンブリの動作パラメータを調整することによって調理部の内部と外部の空気の循環流通を保持し、揮発性カルボニル化合物成分を調理部から排出するという目的を達成し、材料による揮発性カルボニル化合物成分に対する吸着を減少させ、調理効果を向上させる。
【0019】
ここで、動作パラメータは主に換気方向、換気時間及び換気速度のうちの少なくとも1つを含む。
【0020】
本願の上記制御方法によれば、以下の付加的な技術的特徴をさらに有することができる。
【0021】
1つの可能な設計において、調理部の動作状況温度に応じて、換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップは、具体的に、調理部の動作状況温度を取得するステップと、動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップと、を含む。
【0022】
予め設定された温度範囲は材料が吸水・昇温段階にあることを示すことができるものである一方で、材料が揮発性匂いを生成しやすい温度範囲であり、調理部の上蓋に設けられた温度検知装置により調理部内部の動作状況温度を取得することができ、調理部の動作状況温度が予め設定された温度範囲にあれば、材料は揮発性物質を速めて放出し、これらの揮発性物質にはヘキシルアルデヒドとペンチルアルデヒドによるかび臭と劣化臭が多い。そのため、材料の吸水及び昇温段階で換気アセンブリの動作パラメータを調整することにより、強制対流を形成して、調理部内のかび臭と劣化臭を排出し、材料によるよくない風味に対する吸着を低減することができる。
【0023】
1つの可能な設計において、換気アセンブリは、調理部に設けられ、調理部の内部と調理部の外部を連通可能に配置される排気弁を含み、動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップは、具体的に、動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、調理部外の気体と調理部内の気体とを交換させるように、予め設定された排気時間に従って排気弁の開きを制御するステップを含む。
【0024】
換気アセンブリは排気弁を含み、排気弁を開くことにより調理部内部の気体と調理部外の気体とを交換可能にし、それにより調理過程において生成した揮発性物質を排出し、材料による劣化臭揮発性物質に対する吸着を低減し、調理効果を向上させる。
【0025】
1つの可能な設計において、換気アセンブリはエアポンプを含み、エアポンプが属する気道は調理部の内部及び大気環境に連通することができ、動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップは、具体的に、動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、エアポンプが属する気道を開き、かつ調理部の内部を昇圧させるように、エアポンプを調理部に空気入れ処理を実行するように制御するステップと、調理器具の排気通路を開くステップとを含み、排気通路は調理部内の気体を排出させるように配置される。
【0026】
換気アセンブリはエアポンプを含み、エアポンプを開くことにより調理部内部に空気を入れ、調理部内部の気圧を外部の気圧より大きくさせ、調理部内部に生成した揮発性匂い成分を気圧の作用で開いている排気通路を介して調理部外部に排出し、それにより調理過程において生成した揮発性物質を排出し、調理部内の材料による劣化臭揮発性物質に対する吸着を低減し、調理効果を向上させる。
【0027】
ここで、昇圧とは調理部内の圧力が標準大気圧より大きく、すなわち鍋内が正圧の状態となっていることである。
【0028】
1つの可能な設計において、換気アセンブリはエアポンプを含み、エアポンプが属する気道は調理部の内部及び大気環境に連通することができ、動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップは、具体的に、調理器具の給気通路を開くステップと、エアポンプが属する気道を開き、かつ調理部の内部が負圧状態となるように、エアポンプを抽気処理を実行するように制御するステップと、をさらに含み、ただし、給気通路は調理部外の気体を調理部内に入れさせるように配置される。
【0029】
換気アセンブリはエアポンプを含み、エアポンプを開くことにより調理部内部の気体を抽出し、調理部内部の気圧を外部の気圧より小さくさせ、負圧状態を形成し、調理部外部の気体は負圧の作用で開いている給気通路を介して調理部内部に入る。
【0030】
ここで、調理部内部に生成した揮発性匂い成分は抽気処理を経由して調理部外部に排出され、それにより調理過程において生成した揮発性物質を排出し、材料による劣化臭物質に対する吸着を低減し、調理効果を向上させる。
【0031】
1つの可能な設計において、動作状況温度が予め設定された温度閾値より高いことを検出すると、換気アセンブリの換気量を低減し、かつ加熱蒸らしプロセスを実行するステップを含み、予め設定された温度閾値は予め設定された温度範囲の最大値以上である。
【0032】
調理プロセスの進行に伴い、調理部内の温度が徐々に上昇し、調理部に設置された温度検出装置により動作状況温度が予め設定された温度閾値より高いことが検出されると、材料が吸水・昇温段階を過ぎ、揮発性カルボニル化合物の大部分が発散済みであり、調理部内外の空気対流により調理部外部に排出されることが示され、次の調理プロセスは材料が調理による香りを生成する加熱蒸らしプロセスとなり、この段階は加熱によりメイラード反応及びカラメル化反応を制御し、材料のよい風味の生成を促進し、従って、この段階では、調理による香り成分を維持するように、換気アセンブリの換気量を低減するか、又は換気アセンブリを直接閉じるべきである。
【0033】
1つの可能な設計において、調理器具は調理部を加熱するように配置される加熱装置をさらに含み、動作状況温度が予め設定された温度閾値より高いことを検出すると、換気アセンブリの換気量を低減し、かつ加熱蒸らしプロセスを実行するステップは、具体的に、動作状況温度が温度閾値に達することを検出すると、換気アセンブリの換気量を低減するステップと、調理部が第1の時間において沸騰状態となっているように加熱装置の加熱電力を調整するステップと、を含む。
【0034】
気圧状況及び材料の種類に基づいて、材料の調理に適した温度である温度閾値を確定することができ、当該温度閾値で材料を調理すると材料を煮込むことができる。調理部に設けられた温度検出装置により調理部内の温度を取得し、調理部の動作状況温度が調理に適した温度に達すると、加熱装置の電力を調整し、第1の時間内に調理部内部の温度を温度閾値の近傍に保持させることで、この段階では材料が徐々に煮込まれ、調理効果が向上する。
【0035】
1つの可能な設計において、動作状況温度が予め設定された温度閾値より高いことを検出すると、換気アセンブリの換気量を低減し、かつ加熱蒸らしプロセスを実行するステップは、具体的に、加熱装置の加熱電力を第1の電力に調整し、調理部を第1の温度に加熱し、材料に匂い成分を生成させるステップをさらに含み、第1の温度は温度閾値より大きい。
【0036】
加熱装置の電力を調整することにより調理部内部の温度を温度閾値から第1の温度に上昇することは、調理効果を向上させて材料をさらに煮込むことができる一方で、調理による香りを出させることに役立ち、材料が温度閾値段階の調理環境において第1の時間の調理を経た後に生成するよい香りもより顕著になる。
【0037】
1つの可能な設計において、動作状況温度が予め設定された温度閾値より高いことを検出すると、換気アセンブリの換気量を低減し、かつ加熱蒸らしプロセスを実行するステップは、具体的に、加熱装置の加熱電力を第2の電力に調整し、かつ第2の電力の持続時間を第2の時間に達するまで計時するステップをさらに含む。
【0038】
加熱装置の加熱電力を第2の電力に調整し、第2の電力で第2の時間維持した後、さらに調理部に対して補充炊飯処理を行うことにより、材料の食感をさらに向上させ、材料の匂いの発散にも役立つ。
【0039】
1つの可能な設計において、第2の電力は第1の電力より小さく、第2の電力はゼロとすることができる。
【0040】
1つの可能な設計において、制御方法は、時間が第2の時間に達するまで計時すると、調理部に対して第3の時間に従って補充炊飯処理を行うステップをさらに含み、補充炊飯処理は調理部の内部に熱エネルギーを補充するように配置される。
【0041】
ここで、補充炊飯処理は調理部の内部に熱エネルギーを補充することであり、具体的な実現方法は、調理部内の熱エネルギー及び水分含有量を向上させるように、蒸気発生装置により調理部内に熱蒸気を補充するステップを含み、調理部の上蓋を加熱することにより、調理部内部に熱エネルギーを放射することができる一方で、上蓋に凝結した水滴を再度気化させることができ、さらに調理部内部に熱エネルギー及び水分を補充する。
【0042】
1つの可能な設計において、調理器具は調理部内の材料の画像を収集するように配置される画像収集装置をさらに含み、調理部の動作状況温度に応じて、換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップの前に、画像収集装置を材料の画像情報を収集するように制御するステップと、画像情報に基づいて材料が劣化材料であると確定するステップと、をさらに含み、劣化材料は鮮度が所定の基準より低い材料である。
【0043】
調理器具は画像収集装置により調理部内に入れられた材料を分析して、材料が劣化材料であるか否かを確定し、材料が劣化材料であると確定してはじめて換気アセンブリの動作パラメータを調整し、ここで、材料の鮮度の変化により、材料の外観に一定の変化が発生し、例えば、材料の輪郭が変化し、材料の色が変化し、材料が固結し、材料の光反射能力及び材料の透明度が低下し、材料のリアルタイム画像を収集して予め設定された画像と対比することにより材料が劣化するか否かを確定することができる。材料が劣化材料であると確定する場合に換気アセンブリの動作パラメータを調整すると、調理効果を向上させることができ、材料が新鮮な材料であると確定する場合に換気アセンブリの待機を制御すると、電力消費を低減することができる。
【0044】
本願の第2の態様は、コンピュータプログラムを実行すると、本願の第1の態様の技術的手段のいずれか一項の制御方法を実現するプロセッサを含む制御装置を提供する。従って、上記第1の態様のいずれかの技術的手段の技術的効果を有し、ここでは重複する説明は省略する。
【0045】
本願の第3の態様は、本願の第2の態様の技術的手段の制御装置を含む調理器具を提供する。当該制御装置のプロセッサは、コンピュータプログラムを実行すると、本願の第1の態様の技術的手段のいずれか一項の制御方法を実現する。従って、上記第1の態様のいずれかの技術的手段の技術的効果を有し、ここでは重複する説明は省略する。
【0046】
本願の第3の態様にて開示される調理器具によれば、1つの可能な設計において、当該調理器具は炊飯器又は圧力鍋である。
【0047】
本願の第4の態様は、コンピュータプログラムがプロセッサに実行されると、第1の態様の技術的手段のいずれか一項の制御方法のステップを実現するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、従って、上記第1の態様のいずれかの技術的手段の技術的効果を有し、ここでは重複する説明は省略する。
【0048】
本願の第5の態様は、調理対象の材料を置くように配置される調理部と、換気アセンブリとを含む調理器具に適用される制御方法であって、調理部に気体交換を行わせるように、第1の時間に従って換気アセンブリの動作を制御するステップと、気体交換を行う調理部の温度が第1の温度範囲内となるように、調理部を加熱する電力を調整するステップと、を含む制御方法を提供する。
【0049】
米(又は他のタイプの材料)を貯蔵して放置しているうちに、米粒中の脂質は自動的な加水分解及び酸化分解が発生しやすく、オレイン酸、リノール酸などの不飽和遊離脂肪酸を形成し、さらに脂質過酸化反応が発生し、徐々に劣化し、揮発性カルボニル化合物(例えばヘキシルアルデヒド、ペラルゴンアルデヒドなど)を形成し、これらの物質は米の「劣化臭」である。米を調理部に入れて水に接触させると、米中の既に生成された劣化臭物質は水に溶け、調理中の温度上昇により揮発し、調理部内の空気中に分散し、それにより「劣化臭」が嗅がれる。また、米粒中のリパーゼは油水界面で活性化され、活性が水温の増加に伴って持続的に高まり、リパーゼは米粒中の脂質の酸化加速を促進することができ、揮発性カルボニル化合物(劣化臭)を速やかに生成することで、米飯の香りの形成に影響を及ぼす。米の吸水段階では、温度、酸素に合わせて劣化臭物質の生成を速めるとともに、鍋内に換気処理を行い、貯蔵過程で生成したものや米が水に接触した後に生成した劣化臭物質をできるだけ鍋から取り除く。
【0050】
例えば、材料の吸水段階の温度を40℃~50℃に設定し、リパーゼはこの温度で活性が最も強く、限られた時間内で劣化臭物質をできるだけ速く生成することができ、また、この温度では劣化臭物質の揮発に役立ち、このとき換気を行うと、生成した劣化臭物質をできるだけ除去することができる。また、材料は属性情報が異なり、それに含まれる脂質含有量、澱粉と他の物質との結合方式、粒表面積などが異なるため、抽気の制御時間もそれに伴って適応的に変化する。調理器具が動作する時、材料の吸水段階では換気アセンブリの動作を制御することによって調理部の内部と外部の空気の循環流通を保持し、揮発性カルボニル化合物成分を調理部から排出するという目的を達成し、材料による揮発性カルボニル化合物成分に対する吸着を減少させ、調理効果を向上させる。
【0051】
1つの可能な設計において、換気アセンブリは、調理部に設けられ、調理部の内部と調理部の外部を連通可能に配置される排気弁を含み、気体交換は具体的に、調理部の外部気体と調理部の内部気体を交換させるように、排気弁の開きを制御するステップを含む。
【0052】
換気アセンブリは排気弁を含み、排気弁を開くことにより調理部の内部気体と外部気体とを交換可能にし、それにより調理過程において生成した揮発性物質を排出し、材料による劣化臭揮発性物質に対する吸着を低減し、調理効果を向上させる。
【0053】
1つの可能な設計において、気体交換は具体的に、調理部の内部を昇圧させるように、換気アセンブリを調理部に空気入れ処理を実行するように制御するステップと、調理器具の排気通路を開くステップと、をさらに含み、排気通路は調理部内の気体を排出させるように配置される。
【0054】
換気アセンブリを開くことにより調理部内部に空気を入れ、調理部内部の気圧を外部の気圧より大きくさせ、調理部内部に生成した揮発性匂い成分を気圧の作用で開いている排気通路を介して調理部外部に排出し、それにより調理過程において生成した揮発性物質を排出し、調理部内の材料による劣化臭揮発性物質に対する吸着を低減し、調理効果を向上させる。
【0055】
ここで、上記空気入れ処理はエアポンプによって実現することができ、すなわち換気アセンブリはエアポンプを含み、エアポンプが属する気道は調理部内と調理部外を連通することができ、かつ気道には弁体を設けることができ、空気を入れる必要がある場合、エアポンプ及び属する気道を開くが、空気入れの実施形態はこれに限定されるものではない。
【0056】
1つの可能な設計において、気体交換は具体的に、調理器具の給気通路を開くステップと、調理部の内部が負圧状態となるように、換気アセンブリを抽気処理を実行するように制御するステップと、をさらに含み、ただし、給気通路は調理部外の気体を調理部内に入れさせるように配置される。
【0057】
換気アセンブリを開くことにより調理部内部の気体を抽出し、調理部内部の気圧を外部の気圧より小さくさせ、負圧状態を形成し、調理部外部の気体は負圧の作用で開いている給気通路を介して調理部内部に入る。ここで、調理部内部に生成した揮発性匂い成分は抽気処理を経由して調理部外部に排出され、それにより調理過程において生成した揮発性物質を排出し、材料による劣化臭物質に対する吸着を低減し、調理効果を向上させる。
【0058】
ここで、上記抽気処理はエアポンプによって実現することができ、すなわち換気アセンブリはエアポンプを含み、エアポンプが属する気道は調理部内と調理部外を連通することができ、かつ気道には弁体を設けることができ、抽気する必要がある場合、エアポンプ及び属する気道を開くが、空気入れの実施形態はこれに限定されるものではない。
【0059】
1つの可能な設計において、制御方法は、材料の属性情報を取得するステップと、材料の属性情報に基づいて、第1の時間及び/又は第1の温度範囲を確定するステップと、をさらに含む。
【0060】
材料の属性情報を取得することにより、まず、属性情報に基づいて調理過程に換気処理を加える必要があるか否かを確定することができ、材料が劣化材料に属しないと確定する場合、換気処理の実行を必要としないことで、調理器具の消費電力を低減するとともに、調理効率を向上させることに役立ち、次に、材料が劣化材料に属する場合、劣化程度に基づいて第1の時間及び/又は第1の温度を確定する。
【0061】
ここで、材料の属性情報による調理過程への影響を考慮し、材料が匂い成分を放出することに有利な温度をできるだけ提供し、また材料の属性情報に基づいて換気時間を確定し、調理効率を向上させ、材料の属性情報に基づいて第1の時間及び/又は第1の温度範囲を確定した後、第1の時間に従って換気アセンブリの動作を制御するとともに、気体交換を行う調理部の温度が第1の温度範囲内となるように、調理部を加熱する電力を調整し、材料の匂い成分の排出効率を向上させ、劣化材料が生成したよくない匂いを調理部から取り除き、それにより調理器具の調理効果を向上させる。
【0062】
なお、材料は属性情報が異なり、それに含まれる脂質含有量、澱粉と他の物質との結合方式、粒表面積などが異なり、抽気の制御時間もそれに伴って適応的に変化する。従って、材料の属性情報に基づいて換気時間(第1の時間)を確定することで、換気弁を長時間開いていることによる熱損失及び材料のよい匂いの損失を低減する。
【0063】
1つの可能な設計において、調理器具は調理部内の材料の画像を収集するように配置される画像収集装置をさらに含み、画像収集装置を材料の画像情報を収集するように制御するステップと、画像情報に基づいて材料の属性情報を確定するステップとにより、第1の時間及び/又は第1の温度範囲を確定する。
【0064】
調理器具は画像収集装置により調理部内に入れられた材料を分析して、材料の属性情報を確定し、材料の属性情報に基づいて第1の時間及び/又は第1の温度範囲を確定すると、適切な温度及び時間パラメータを選択して調理過程を制御することができる。
【0065】
ここで、画像情報に基づいて材料の属性情報を確定するステップは、以下のプロセスによって実現される。調理部内の材料の画像情報を取得し、画像情報をデータベースにおける画像とマッチングし、マッチング結果となる画像に関連する属性情報を読み取ると、当該材料の属性情報を取得することができ、又は調理部内の材料の画像情報を取得し、画像情報における材料の形状、表面積、色、透明度及び光反射度などの特徴を分析し、材料の属性情報を確定する。
【0066】
例えば、画像情報に基づいて材料が米であると確定し、米はリパーゼの分解作用で匂い物質を生成し、リパーゼの酵素活性が最も強い温度区間は40℃~50℃であり、40℃~50℃を換気時の温度とすると、米の匂い物質を除去する効率を向上させることができ、さらに、米がうるち米、東北米のような円形の米であると認識する場合は、換気時間を30分間に設定し、米が生成した匂い物質(劣化臭)をできるだけ徹底的に排出し、米がジャスミン米のような長粒状の米であると認識する場合は、換気時間を20分間に短縮させ、換気時間を低減し、調理効率を向上させる。
【0067】
1つの可能な設計において、調理器具は制御部をさらに含み、制御部は指令信号を送信することができ、調理部に気体交換を行わせるように、第1の時間に従って換気アセンブリの動作を制御するステップの前に、制御部がトリガされた後に送信した指令信号に応答して、材料が劣化材料であると確定するステップをさらに含み、劣化材料は鮮度が所定の基準より低い材料である。
【0068】
調理器具に設けられた制御部により調理部内の材料が劣化材料であるか否かを認識し、使用者が劣化材料を調理することを必要とする場合、当該制御部をトリガし、すなわち調理対象の材料が劣化材料であると確定し、調理過程において換気処理を実行し、劣化材料が生成する気体成分(劣化臭)を調理部外部に排出することで、調理効果を向上させる。
【0069】
ここで、制御部は物理キー、タッチパネル及び通信機能を備えるプロセッサのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0070】
1つの可能な設計において、材料の属性情報は、材料の組成成分、材料の組成成分の含有量、材料の形状及び材料の表面積のうちのいずれか1つ又は少なくとも2つの組み合わせを含む。
【0071】
本願の第6の態様は、コンピュータプログラムを実行すると、本願の第5の態様の技術的手段のいずれか一項の制御方法を実現するプロセッサを含む制御装置を提供する。従って、上記第5の態様のいずれかの技術的手段の技術的効果を有し、ここでは重複する説明は省略する。
【0072】
本願の第7の態様は、本願の第6の態様の制御装置を含む調理器具を提供する。当該制御装置のプロセッサは、コンピュータプログラムを実行すると、本願の第5の態様の技術的手段のいずれか一項の制御方法を実現する。従って、上記第5の態様のいずれかの技術的手段の技術的効果を有し、ここでは重複する説明は省略する。
【0073】
本願の第7の態様にて開示される調理器具によれば、1つの可能な設計において、当該調理器具は炊飯器又は圧力鍋である。
【0074】
本願の第8の態様は、コンピュータプログラムがプロセッサに実行されると、第5の態様の技術的手段のいずれか一項の制御方法のステップを実現するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、従って、上記第5の態様のいずれかの技術的手段の技術的効果を有し、ここでは重複する説明は省略する。
【0075】
本願の付加的な態様及び利点は、以下の説明で明確になるか、又は本願を実施することで理解できる。
【0076】
本願の上記及び/又はさらなる態様及び利点は、以下の図面と結び付ける実施例についての説明から明らかかつ理解しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】本願の1つの実施例に係る制御方法の概略フローチャートである。
【
図2】本願の別の実施例に係る制御方法の概略フローチャートである。
【
図3】本願の1つの実施例に係る制御装置の概略ブロック図である。
【
図4】本願の1つの実施例に係る調理器具の概略ブロック図である。
【
図5】本願の別の実施例に係るコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の概略ブロック図である。
【
図6】本願のさらに別の実施例に係る制御方法の概略フローチャートである。
【
図7】本願の1つの実施例に係る炊飯器の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
以下、本願の上記目的、特徴及び利点をより明確に理解するために、図面及び具体的な実施形態に合わせて本願についてさらに詳細に説明する。なお、矛盾しない場合に、本願における実施例及び実施例における特徴は互いに組み合わせることができる。
【0079】
本願を十分に理解するために、以下の説明において多くの具体的な詳細を説明したが、本願はここで説明されたものと異なる他の形態で実施することもでき、従って、本願の保護範囲は以下に開示された具体的な実施例に限定されるものではない。
【0080】
以下、
図1~
図7を参照しながら、本願のいくつかの実施例について説明する。
【0081】
実施例1
図1に示すように、本願にて提供される1つの実施例に係る制御方法であって、調理対象の材料を置くように配置される調理部と、換気アセンブリとを含む調理器具に適用され、当該制御方法は主に、調理部の動作状況温度に応じて、換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップS102であって、換気アセンブリは調理部内の気体と調理部外の気体とを交換可能に配置されるステップS102を含む。
【0082】
当該技術的手段において、調理器具の調理部が動作する時の動作状況温度に基づいて、調理部内の材料が調理プロセスの吸水段階又は加熱昇温段階にあることを確定することができ、すなわち調理部の動作状況温度に基づいて、調理プロセスが沸騰段階の前にあることを確定することができ、沸騰段階の前に、調理器具の換気アセンブリにより調理部の内外に圧力差を形成させ、調理部内部の気体と調理部外部の気体とを交換させ、さらに材料による揮発性カルボニル化合物に対する吸着作用を低減し、それにより調理器具の調理効果を向上させる。
【0083】
具体的には、米(又は他のタイプの材料)を貯蔵して放置しているうちに、米粒中の脂質は自動的な加水分解及び酸化分解が発生しやすく、オレイン酸、リノール酸などの不飽和遊離脂肪酸を形成し、さらに脂質過酸化反応が発生し、徐々に劣化し、揮発性カルボニル化合物(例えばヘキシルアルデヒド、ペラルゴンアルデヒドなど)を形成し、これらの物質は米の「劣化臭」である。米を調理部に入れて水に接触させると、米中の既に生成された劣化臭物質は水に溶け、調理中の温度上昇により揮発し、調理部内の空気中に分散し、それにより「劣化臭」が嗅がれる。また、米粒中のリパーゼは油水界面で活性化され、活性が水温の増加に伴って持続的に高まり、リパーゼは米粒中の脂質の酸化加速を促進することができ、揮発性カルボニル化合物(劣化臭)を速やかに生成することで、米飯の香りの形成に影響を及ぼす。そのため、調理器具が動作する時、吸水から加熱昇温段階(沸騰状態に入っていない)において、材料(劣化材料)は酵素分解作用で揮発性カルボニル化合物成分を大量に生成し、例えばヘキシルアルデヒドとペンチルアルデヒドなど、いくつかのよくない風味がある成分が挙げあれ、この段階は換気アセンブリの動作パラメータを調整することによって調理部の内部と外部の空気の循環流通を保持し、揮発性カルボニル化合物成分を調理部から排出するという目的を達成し、材料による揮発性カルボニル化合物成分に対する吸着を減少させ、調理効果を向上させる。
【0084】
ここで、動作パラメータは主に換気方向、換気時間及び換気速度のうちの少なくとも1つを含む。
【0085】
上記技術的手段において、調理部の動作状況温度に応じて、換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップは具体的に、調理部の動作状況温度を取得するステップと、動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップと、を含む。
【0086】
当該技術的手段において、予め設定された温度範囲は材料が吸水・昇温段階にあることを示すことができるものである一方で、材料が揮発性匂いを生成しやすい温度範囲であり、調理部の上蓋に設けられた温度検知装置により調理部内部の動作状況温度を取得することができ、調理部の動作状況温度が予め設定された温度範囲にあれば、材料は揮発性物質を速めて放出し、これらの揮発性物質にはヘキシルアルデヒドとペンチルアルデヒドによるかび臭と劣化臭が多い。そのため、材料の吸水及び昇温段階で換気アセンブリの動作パラメータを調整することにより、強制対流を形成して、調理部内のかび臭と劣化臭を排出し、材料によるよくない風味に対する吸着を低減することができる。
【0087】
上記技術的手段において、換気アセンブリは、調理部に設けられ、調理部の内部と調理部の外部を連通可能に配置される排気弁を含み、動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップは、具体的に、動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、調理部外の気体と調理部内の気体とを交換させるように、予め設定された排気時間に従って排気弁の開きを制御するステップを含む。
【0088】
当該技術的手段において、換気アセンブリは排気弁を含み、排気弁を開くことにより調理部内部の気体と調理部外部の気体とを交換可能にし、それにより調理過程において生成した揮発性物質を排出し、材料による劣化臭揮発性物質に対する吸着を低減し、調理効果を向上させる。
【0089】
上記技術的手段において、換気アセンブリはエアポンプを含み、エアポンプが属する気道は調理部の内部及び大気環境に連通することができ、動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップは、具体的に、動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、エアポンプが属する気道を開き、かつ調理部の内部を昇圧させるように、エアポンプを調理部に空気入れ処理を実行するように制御するステップと、調理器具の排気通路を開くステップと、をさらに含み、排気通路は調理部内の気体を排出させるように配置される。
【0090】
当該技術的手段において、換気アセンブリはエアポンプを含み、エアポンプを開くことにより調理部内部に空気を入れ、調理部内部の気圧を外部の気圧より大きくさせ、調理部内部に生成した揮発性匂い成分を気圧の作用で開いている排気通路を介して調理部外部に排出し、それにより調理過程において生成した揮発性物質を排出し、調理部内の材料による劣化臭揮発性物質に対する吸着を低減し、調理効果を向上させる。
【0091】
ここで、昇圧とは調理部内の圧力が標準大気圧より大きく、すなわち鍋内が正圧の状態となっていることである。
【0092】
上記技術的手段において、換気アセンブリはエアポンプを含み、エアポンプが属する気道は調理部の内部及び大気環境に連通することができ、動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップは、具体的に、調理器具の給気通路を開くステップと、エアポンプが属する気道を開き、かつ調理部の内部が負圧状態となるように、エアポンプを抽気処理を実行するように制御するステップと、をさらに含み、ただし、給気通路は調理部外の気体を調理部内に入れさせるように配置される。
【0093】
当該技術的手段において、換気アセンブリはエアポンプを含み、エアポンプを開くことにより調理部内部の気体を抽出し、調理部内部の気圧を外部の気圧より小さくさせ、負圧状態を形成し、調理部外部の気体は負圧の作用で開いている給気通路を介して調理部内部に入る。
【0094】
ここで、調理部内部に生成した揮発性匂い成分は抽気処理を経由して調理部外部に排出され、それにより調理過程において生成した揮発性物質を排出し、材料による劣化臭物質に対する吸着を低減し、調理効果を向上させる。
【0095】
上記技術的手段において、動作状況温度が予め設定された温度閾値より高いことを検出すると、換気アセンブリの換気量を低減し、かつ加熱蒸らしプロセスを実行するステップをさらに含み、予め設定された温度閾値は予め設定された温度範囲の最大値以上である。
【0096】
当該技術的手段において、調理プロセスの進行に伴い、調理部内の温度が徐々に上昇し、調理部に設置された温度検出装置により動作状況温度が予め設定された温度閾値より高いことが検出されると、材料が吸水・昇温段階を過ぎ、揮発性カルボニル化合物の大部分が発散済みであり、調理部内外の空気対流により調理部外部に排出されることが示され、次の調理プロセスは材料が調理による香りを生成する加熱蒸らしプロセスとなり、この段階は加熱によりメイラード反応及びカラメル化反応を制御し、材料のよい風味の生成を促進し、従って、この段階では、調理による香り成分を維持するように、換気アセンブリの換気量を低減するか、又は換気アセンブリを直接閉じるべきである。
【0097】
上記技術的手段において、調理器具は調理部を加熱するように配置される加熱装置をさらに含み、動作状況温度が予め設定された温度閾値より高いことを検出すると、換気アセンブリの換気量を低減し、かつ加熱蒸らしプロセスを実行するステップは、具体的に、動作状況温度が温度閾値に達することを検出すると、換気アセンブリの換気量を低減するステップと、調理部が第1の時間において沸騰状態となっているように加熱装置の加熱電力を調整するステップと、を含む。
【0098】
当該技術的手段において、気圧状況及び材料の種類に基づいて、材料の調理に適した温度である温度閾値を確定することができ、当該温度閾値で材料を調理すると材料を煮込むことができる。調理部に設けられた温度検出装置により調理部内の温度を取得し、調理部の動作状況温度が調理に適した温度に達すると、加熱装置の電力を調整し、第1の時間内に調理部内部の温度を温度閾値の近傍に保持させることで、この段階では材料が徐々に煮込まれ、調理効果が向上する。
【0099】
上記技術的手段において、動作状況温度が予め設定された温度閾値より高いことを検出すると、換気アセンブリの換気量を低減し、かつ加熱蒸らしプロセスを実行するステップは、具体的に、加熱装置の加熱電力を第1の電力に調整し、調理部を第1の温度に加熱し、材料に匂い成分を生成させるステップをさらに含み、第1の温度は温度閾値より大きい。
【0100】
当該技術的手段において、加熱装置の電力を調整することにより調理部内部の温度を温度閾値から第1の温度に上昇することは、調理効果を向上させて材料をさらに煮込むことができる一方で、調理による香りを出させることに役立ち、材料が温度閾値段階の調理環境において第1の時間の調理を経た後に生成するよい香りもより顕著になる。
【0101】
上記技術的手段において、動作状況温度が予め設定された温度閾値より高いことを検出すると、換気アセンブリの換気量を低減し、かつ加熱蒸らしプロセスを実行するステップは、具体的に、加熱装置の加熱電力を第2の電力に調整し、かつ第2の電力の持続時間を第2の時間に達するまで計時するステップをさらに含む。
【0102】
当該技術的手段において、加熱装置の加熱電力を第2の電力に調整し、第2の電力で第2の時間維持した後、さらに調理部に対して補充炊飯処理を行うことにより、材料の食感をさらに向上させ、材料の匂いの発散にも役立つ。
【0103】
1つの可能な設計において、第2の電力は第1の電力より小さく、第2の電力はゼロとすることができる。
【0104】
上記技術的手段において、制御方法は、時間が第2の時間に達するまで計時すると、調理部に対して第3の時間に従って補充炊飯処理を行うステップをさらに含み、補充炊飯処理は調理部の内部に熱エネルギーを補充するように配置される。
【0105】
ここで、補充炊飯処理は調理部の内部に熱エネルギーを補充することであり、具体的な実現方法は、調理部内の熱エネルギー及び水分含有量を向上させるように、蒸気発生装置により調理部内に熱蒸気を補充するステップを含み、調理部の上蓋を加熱することにより、調理部内部に熱エネルギーを放射することができる一方で、上蓋に凝結した水滴を再度気化させることができ、さらに調理部内部に熱エネルギー及び水分を補充する。
【0106】
上記技術的手段において、調理器具は調理部内の材料の画像を収集するように配置される画像収集装置をさらに含み、調理部の動作状況温度に応じて、換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップの前に、画像収集装置を材料の画像情報を収集するように制御するステップと、画像情報に基づいて材料が劣化材料であると確定するステップと、をさらに含み、劣化材料は鮮度が所定の基準より低い材料である。
【0107】
当該技術的手段において、調理器具は画像収集装置により調理部内に入れられた材料を分析して、材料が劣化材料であるか否かを確定し、材料が劣化材料であると確定してはじめて換気アセンブリの動作パラメータを調整し、ここで、材料の鮮度の変化により、材料の外観に一定の変化が発生し、例えば、材料の輪郭が変化し、材料の色が変化し、材料が固結し、材料の光反射能力及び材料の透明度が低下し、材料のリアルタイム画像を収集して予め設定された画像と対比することにより材料が劣化するか否かを確定することができる。材料が劣化材料であると確定する場合に換気アセンブリの動作パラメータを調整すると、調理効果を向上させることができ、材料が新鮮な材料であると確定する場合に換気アセンブリの待機を制御すると、電力消費を低減することができる。
【0108】
実施例2
図2に示すように、本願の別の実施例による制御方法であって、当該制御方法は炊飯器を制御するために用いられ、従来の炊飯器の炊飯風味が悪いという問題に対して、炊飯器の内外の圧力差によりよくない風味成分を炊飯器の外に排出する一方で、加熱蒸らしによりよい風味成分を生成し、当該制御方法の主なステップは、炊飯器内の上蓋の温度が100℃より小さいことを検出するステップS202と、炊飯器外へ抽気し、又は炊飯器内に空気を補充するステップS204と、沸騰温度を8分間~10分間維持するステップS206と、最高点遷移温度の125℃~140℃に加熱するステップS208と、12分間以上蒸らしするステップS210と、補充炊飯を5分間するステップS212と、を含む。
【0109】
当該実施例では、調理対象の材料は米であり、米の劣化臭の主な風味物質はヘキシルアルデヒドとペンチルアルデヒドであり、常温又は温度が低い時に、リパーゼ活性化の温度帯をゆっくり通過し、ヘキシルアルデヒドとペンチルアルデヒドによるかび臭と劣化臭を放出する。本実施例では、米の吸水及び昇温段階において、強制対流を形成し、炊飯器内の揮発性物質を炊飯器外に排出し、米飯によるよくない風味に対する吸着を低減する。炊飯の後期に、米飯は熱の作用で、米飯中の成分にメイラード反応及びカラメル化反応が発生し、よい風味物質を生成することができ、米の香りを出させる。本実施例では、加熱時間、電力、温度制御により、米飯の香りを出させ、より多くのよい香り成分を生成する。具体的には、吸水から加熱昇温段階までの段階では、酵素分解作用によりヘキシルアルデヒドとペンチルアルデヒドなどのようないくつかのよくない風味成分を主に生成し、炊飯器の内部と外部の空気の循環流通を保持し、古米のよくない風味を炊飯器の外に排出する作用を達成する。炊飯器内の上蓋の温度<100℃の場合、炊飯器内外に圧力差を形成させることは、以下の2種類の解決手段を有する。
【0110】
A.炊飯器外へ抽気するなどの方法を用い、よくない風味を炊飯器外へ強制的に排出し、炊飯器内の瞬時圧力の強さP<大気圧P0にさせ、外部の新鮮な空気を補充して対流を形成する。
【0111】
B.炊飯器内に空気を補充するなどの方法を用い、外部空気を炊飯器内に強制的に入れ、炊飯器内の瞬時圧力の強さP>大気圧P0にさせ、よくない風味を炊飯器外に排出して対流を形成する。
【0112】
加熱蒸らし段階では、加熱によりメイラード反応及びカラメル化反応を制御し、米飯のよい風味の生成を誘発する。
【0113】
100℃から、沸騰時間を8~10min維持し、沸騰時間を十分に保証し、最高点遷移温度の125℃~140℃に加熱し、蒸らし段階で空気対流を減少させ、蒸らし時間を12min以上にし、補充炊飯時間を5minにする。
【0114】
実施例3
図3に示すように、本願の実施例はコンピュータプログラムを実行すると、実施例1又は実施例2のいずれか1つの実施例の制御方法を実現するプロセッサ302を含む制御装置300をさらに開示する。従って、上記実施例のいずれかの技術的効果を有し、ここでは重複する説明は省略する。
【0115】
ここで、上記制御装置300は、MCU(Micro-programmed Control Unit、プログラム可能なマイクロコントローラ)、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、DSP(Digital Signal Processor、デジタル信号プロセッサ)、ワンチップマイコン及び組み込み機器のうちの少なくとも1つの論理演算デバイスを含む。
【0116】
実施例4
図4に示すように、本願の実施例は、本願の実施例3に係る制御装置300を含む調理器具400をさらに提供する。
【0117】
当該制御装置300のプロセッサはコンピュータプログラムを実行すると、本願の実施例のいずれかに係る制御方法のステップを実現する。従って、上記実施例のいずれかに係る制御方法の技術的効果を有し、ここでは重複する説明は省略する。
【0118】
1つの可能な設計において、当該調理器具400は炊飯器又は圧力鍋である。
【0119】
実施例5
図5に示すように、本願の実施例はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体500をさらに提供し、当該コンピュータ読み取り可能な記憶媒体500にはコンピュータプログラム502が記憶されており、コンピュータプログラム502はプロセッサに実行されると、上記実施例のいずれかに開示された制御方法のステップを実現し、従って、上記実施例のいずれかに係る制御方法の技術的効果を有し、ここでは重複する説明は省略する。
【0120】
当該実施例において、コンピュータプログラム502はプロセッサに実行されると、以下のステップを実現する。
【0121】
当該技術的手段において、調理器具の調理部が動作する時の動作状況温度に基づいて、調理部内の材料が調理プロセスの吸水段階又は加熱昇温段階にあることを確定することができ、すなわち調理部の動作状況温度に基づいて、調理プロセスが沸騰段階の前にあることを確定することができ、沸騰段階の前に、調理器具の換気アセンブリにより調理部の内外に圧力差を形成させ、調理部内部の気体と調理部外部の気体とを交換させ、さらに材料による揮発性カルボニル化合物に対する吸着作用を低減し、それにより調理器具の調理効果を向上させる。
【0122】
具体的には、米(又は他のタイプの材料)を貯蔵して放置しているうちに、米粒中の脂質は自動的な加水分解及び酸化分解が発生しやすく、オレイン酸、リノール酸などの不飽和遊離脂肪酸を形成し、さらに脂質過酸化反応が発生し、徐々に劣化し、揮発性カルボニル化合物(例えばヘキシルアルデヒド、ペラルゴンアルデヒドなど)を形成し、これらの物質は米の「劣化臭」である。米を調理部に入れて水に接触させると、米中の既に生成された劣化臭物質は水に溶け、調理中の温度上昇により揮発し、調理部内の空気中に分散し、それにより「劣化臭」が嗅がれる。また、米粒中のリパーゼは油水界面で活性化され、活性が水温の増加に伴って持続的に高まり、リパーゼは米粒中の脂質の酸化加速を促進することができ、揮発性カルボニル化合物(劣化臭)を速やかに生成することで、米飯の香りの形成に影響を及ぼす。そのため、調理器具が動作する時、吸水から加熱昇温段階(沸騰状態に入っていない)において、材料(劣化材料)は酵素分解作用で揮発性カルボニル化合物成分を大量に生成し、例えばヘキシルアルデヒドとペンチルアルデヒドなど、いくつかのよくない風味がある成分が挙げあれ、この段階は換気アセンブリの動作パラメータを調整することによって調理部の内部と外部の空気の循環流通を保持し、揮発性カルボニル化合物成分を調理部から排出するという目的を達成し、材料による揮発性カルボニル化合物成分に対する吸着を減少させ、調理効果を向上させる。
【0123】
ここで、動作パラメータは主に換気方向、換気時間及び換気速度のうちの少なくとも1つを含む。
【0124】
上記技術的手段において、調理部の動作状況温度に応じて、換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップは、具体的に、調理部の動作状況温度を取得するステップと、動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップと、を含む。
【0125】
当該技術的手段において、予め設定された温度範囲は材料が吸水・昇温段階にあることを示すことができるものである一方で、材料が揮発性匂いを生成しやすい温度範囲であり、調理部の上蓋に設けられた温度検知装置により調理部内部の動作状況温度を取得することができ、調理部の動作状況温度が予め設定された温度範囲にあれば、材料は揮発性物質を速めて放出し、これらの揮発性物質にはヘキシルアルデヒドとペンチルアルデヒドによるかび臭と劣化臭が多い。そのため、材料の吸水及び昇温段階で換気アセンブリの動作パラメータを調整することにより、強制対流を形成して、調理部内のかび臭と劣化臭を排出し、材料によるよくない風味に対する吸着を低減することができる。
【0126】
上記技術的手段において、換気アセンブリは、調理部に設けられ、調理部の内部と調理部の外部を連通可能に配置される排気弁を含み、動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップは、具体的に、動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、調理部外の気体と調理部内の気体とを交換させるように、予め設定された排気時間に従って排気弁の開きを制御するステップを含む。
【0127】
当該技術的手段において、換気アセンブリは排気弁を含み、排気弁を開くことにより調理部内部の気体と調理部外部の気体とを交換可能にし、それにより調理過程において生成した揮発性物質を排出し、材料による劣化臭揮発性物質に対する吸着を低減し、調理効果を向上させる。
【0128】
上記技術的手段において、換気アセンブリはエアポンプを含み、エアポンプが属する気道は調理部の内部及び大気環境に連通することができ、動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップは、具体的に、動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、エアポンプが属する気道を開き、かつ調理部の内部を昇圧させるように、エアポンプを調理部に空気入れ処理を実行するように制御するステップと、調理器具の排気通路を開くステップと、をさらに含み、排気通路は調理部内の気体を排出させるように配置される。
【0129】
当該技術的手段において、換気アセンブリはエアポンプを含み、エアポンプを開くことにより調理部内部に空気を入れ、調理部内部の気圧を外部の気圧より大きくさせ、調理部内部に生成した揮発性匂い成分を気圧の作用で開いている排気通路を介して調理部外部に排出し、それにより調理過程において生成した揮発性物質を排出し、調理部内の材料による劣化臭揮発性物質に対する吸着を低減し、調理効果を向上させる。
【0130】
上記技術的手段において、換気アセンブリはエアポンプを含み、エアポンプが属する気道は調理部の内部及び大気環境に連通することができ、動作状況温度が予め設定された温度範囲に属することを検出すると、換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップは、具体的に、調理器具の給気通路を開くステップと、エアポンプが属する気道を開き、かつ調理部の内部が負圧状態となるように、エアポンプを抽気処理を実行するように制御するステップと、をさらに含み、ただし、給気通路は調理部外の気体を調理部内に入れさせるように配置される。
【0131】
当該技術的手段において、換気アセンブリはエアポンプを含み、エアポンプを開くことにより調理部内部の気体を抽出し、調理部内部の気圧を外部の気圧より小さくさせ、負圧状態を形成し、調理部外部の気体は負圧の作用で開いている給気通路を介して調理部内部に入る。
【0132】
ここで、調理部内部に生成した揮発性匂い成分は抽気処理を経由して調理部外部に排出され、それにより調理過程において生成した揮発性物質を排出し、材料による劣化臭物質に対する吸着を低減し、調理効果を向上させる。
【0133】
上記技術的手段において、動作状況温度が予め設定された温度閾値より高いことを検出すると、換気アセンブリの換気量を低減し、かつ加熱蒸らしプロセスを実行するステップをさらに含み、予め設定された温度閾値は予め設定された温度範囲の最大値以上である。
【0134】
当該技術的手段において、調理プロセスの進行に伴い、調理部内の温度が徐々に上昇し、調理部に設置された温度検出装置により動作状況温度が予め設定された温度閾値より高いことが検出されると、材料が吸水・昇温段階を過ぎ、揮発性カルボニル化合物の大部分が発散済みであり、調理部内外の空気対流により調理部外部に排出されることが示され、次の調理プロセスは材料が調理による香りを生成する加熱蒸らしプロセスとなり、この段階は加熱によりメイラード反応及びカラメル化反応を制御し、材料のよい風味の生成を促進し、従って、この段階では、調理による香り成分を維持するように、換気アセンブリの換気量を低減するか、又は換気アセンブリを直接閉じるべきである。
【0135】
上記技術的手段において、調理器具は調理部を加熱するように配置される加熱装置をさらに含み、動作状況温度が予め設定された温度閾値より高いことを検出すると、換気アセンブリの換気量を低減し、かつ加熱蒸らしプロセスを実行するステップは、具体的に、動作状況温度が温度閾値に達することを検出すると、換気アセンブリの換気量を低減するステップと、調理部が第1の時間において沸騰状態となっているように加熱装置の加熱電力を調整するステップと、を含む。
【0136】
当該技術的手段において、気圧状況及び材料の種類に基づいて、材料の調理に適した温度である温度閾値を確定することができ、当該温度閾値で材料を調理すると材料を煮込むことができる。調理部に設けられた温度検出装置により調理部内の温度を取得し、調理部の動作状況温度が調理に適した温度に達すると、加熱装置の電力を調整し、第1の時間内に調理部内部の温度を温度閾値の近傍に保持させることで、この段階では材料が徐々に煮込まれ、調理効果が向上する。
【0137】
上記技術的手段において、動作状況温度が予め設定された温度閾値より高いことを検出すると、換気アセンブリの換気量を低減し、かつ加熱蒸らしプロセスを実行するステップは、具体的に、加熱装置の加熱電力を第1の電力に調整し、調理部を第1の温度に加熱し、材料に匂い成分を生成させるステップをさらに含み、第1の温度は温度閾値より大きい。
【0138】
当該技術的手段において、加熱装置の電力を調整することにより調理部内部の温度を温度閾値から第1の温度に上昇することは、調理効果を向上させて材料をさらに煮込むことができる一方で、調理による香りを出させることに役立ち、材料が温度閾値段階の調理環境において第1の時間の調理を経た後に生成するよい香りもより顕著になる。
【0139】
上記技術的手段において、動作状況温度が予め設定された温度閾値より高いことを検出すると、換気アセンブリの換気量を低減し、かつ加熱蒸らしプロセスを実行するステップは、具体的に、加熱装置の加熱電力を第2の電力に調整し、かつ第2の電力の持続時間を第2の時間に達するまで計時するステップをさらに含む。
【0140】
当該技術的手段において、加熱装置の加熱電力を第2の電力に調整し、第2の電力で第2の時間維持した後、さらに調理部に対して補充炊飯処理を行うことにより、材料の食感をさらに向上させ、材料の匂いの発散にも役立つ。
【0141】
1つの可能な設計において、第2の電力は第1の電力より小さく、第2の電力はゼロとすることができる。
【0142】
上記技術的手段において、制御方法は、時間が第2の時間に達するまで計時すると、調理部に対して第3の時間に従って補充炊飯処理を行うステップをさらに含み、補充炊飯処理は調理部の内部に熱エネルギーを補充するように配置される。
【0143】
ここで、補充炊飯処理は調理部の内部に熱エネルギーを補充することであり、具体的な実現方法は、調理部内の熱エネルギー及び水分含有量を向上させるように、蒸気発生装置により調理部内に熱蒸気を補充するステップを含み、調理部の上蓋を加熱することにより、調理部内部に熱エネルギーを放射することができる一方で、上蓋に凝結した水滴を再度気化させることができ、さらに調理部内部に熱エネルギー及び水分を補充する。
【0144】
上記技術的手段において、調理器具は調理部内の材料の画像を収集するように配置される画像収集装置をさらに含み、調理部の動作状況温度に応じて、換気アセンブリの動作パラメータを調整するステップの前に、画像収集装置を材料の画像情報を収集するように制御するステップと、画像情報に基づいて材料が劣化材料であると確定するステップと、をさらに含み、劣化材料は鮮度が所定の基準より低い材料である。
【0145】
当該技術的手段において、調理器具は画像収集装置により調理部内に入れられた材料を分析して、材料が劣化材料であるか否かを確定し、材料が劣化材料であると確定してはじめて換気アセンブリの動作パラメータを調整し、ここで、材料の鮮度の変化により、材料の外観に一定の変化が発生し、例えば、材料の輪郭が変化し、材料の色が変化し、材料が固結し、材料の光反射能力及び材料の透明度が低下し、材料のリアルタイム画像を収集して予め設定された画像と対比することにより材料が劣化するか否かを確定することができる。材料が劣化材料であると確定する場合に換気アセンブリの動作パラメータを調整すると、調理効果を向上させることができ、材料が新鮮な材料であると確定する場合に換気アセンブリの待機を制御すると、電力消費を低減することができる。
【0146】
以上は図面を参照して本願の技術的手段を詳細に説明し、従来の技術的問題に対して、制御方法、装置、調理器具及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、換気アセンブリの動作状態を制御することにより、圧力差を発生させ、調理部内部と外部に気体交換を行わせ、材料が調理過程において生成した揮発性カルボニル化合物成分を炊飯器の外に排出し、材料によるよくない風味に対する吸着を低減し、調理効果を向上させる。
【0147】
実施例6
図6に示すように、本願にて提供される1つの実施例に係る制御方法であって、調理対象の材料を置くように配置される調理部と、換気アセンブリとを含む調理器具に適用され、当該制御方法は以下のステップS102~ステップS104を含む。
【0148】
ステップS102において、調理部に気体交換を行わせるように、第1の時間に従って換気アセンブリの動作を制御する。
【0149】
ステップS104において、気体交換を行う調理部の温度が第1の温度範囲内となるように、調理部を加熱する電力を調整する。
【0150】
当該技術的手段において、米(又は他のタイプの材料)を貯蔵して放置しているうちに、米粒中の脂質は自動的な加水分解及び酸化分解が発生しやすく、オレイン酸、リノール酸などの不飽和遊離脂肪酸を形成し、さらに脂質過酸化反応が発生し、徐々に劣化し、揮発性カルボニル化合物(例えばヘキシルアルデヒド、ペラルゴンアルデヒドなど)を形成し、これらの物質は米の「劣化臭」である。
【0151】
米を調理部に入れて水に接触させると、米中の既に生成された劣化臭物質は水に溶け、調理中の温度上昇により揮発し、調理部内の空気中に分散し、それにより「劣化臭」が嗅がれる。
【0152】
また、米粒中のリパーゼは油水界面で活性化され、活性が水温の増加に伴って持続的に高まり、リパーゼは米粒中の脂質の酸化加速を促進することができ、揮発性カルボニル化合物(劣化臭)を速やかに生成することで、米飯の香りの形成に影響を及ぼす。
【0153】
米の吸水段階では、温度、酸素に合わせて劣化臭物質の生成を速めるとともに、鍋内に換気処理を行い、貯蔵過程で生成したものや米が水に接触した後に生成した劣化臭物質をできるだけ鍋から取り除く。
【0154】
例えば、材料の吸水段階の温度を40℃~50℃に設定し、リパーゼはこの温度で活性が最も強く、限られた時間内で劣化臭物質をできるだけ速く生成することができ、また、この温度では劣化臭物質の揮発に役立ち、このとき換気を行うと、生成した劣化臭物質をできるだけ除去することができる。
【0155】
調理器具が動作する時、材料の吸水段階では換気アセンブリの動作を制御することによって調理部の内部と外部の空気の循環流通を保持し、揮発性カルボニル化合物成分を調理部から排出するという目的を達成し、材料による揮発性カルボニル化合物成分に対する吸着を減少させ、調理効果を向上させる。
【0156】
上記技術的手段において、換気アセンブリは、調理部に設けられ、調理部の内部と調理部の外部を連通可能に配置される排気弁を含み、気体交換は具体的に、調理部の外部気体と調理部の内部気体を交換させるように、排気弁の開きを制御するステップを含む。
【0157】
当該技術的手段において、換気アセンブリは排気弁を含み、排気弁を開くことにより調理部の内部気体と外部気体とを交換可能にし、それにより調理過程において生成した揮発性物質を排出し、材料による劣化臭揮発性物質に対する吸着を低減し、調理効果を向上させる。
【0158】
上記技術的手段において、換気アセンブリが属する気道は調理部の内部及び大気環境に連通することができ、気体交換は具体的に、調理部の内部を昇圧させるように、換気アセンブリを調理部に空気入れ処理を実行するように制御するステップと、調理器具の排気通路を開くステップと、をさらに含み、排気通路は調理部内の気体を排出させるように配置される。
【0159】
当該技術的手段において、換気アセンブリを開くことにより調理部内部に空気を入れ、調理部内部の気圧を外部の気圧より大きくさせ、調理部内部に生成した揮発性匂い成分を気圧の作用で開いている排気通路を介して調理部外部に排出し、それにより調理過程において生成した揮発性物質を排出し、調理部内の材料による劣化臭揮発性物質に対する吸着を低減し、調理効果を向上させる。
【0160】
ここで、昇圧とは調理部内の圧力が標準大気圧より大きく、すなわち鍋内が正圧の状態となっていることである。
【0161】
上記技術的手段において、換気アセンブリが属する気道は調理部の内部及び大気環境に連通することができ、気体交換は具体的に、調理器具の給気通路を開くステップと、調理部の内部が負圧状態となるように、換気アセンブリを抽気処理を実行するように制御するステップと、をさらに含み、ただし、給気通路は調理部外の気体を調理部内に入れさせるように配置される。
【0162】
当該技術的手段において、換気アセンブリを開くことにより調理部内部の気体を抽出し、調理部内部の気圧を外部の気圧より小さくさせ、負圧状態を形成し、調理部外部の気体は負圧の作用で開いている給気通路を介して調理部内部に入る。
【0163】
ここで、調理部内部に生成した揮発性匂い成分は抽気処理を経由して調理部外部に排出され、それにより調理過程において生成した揮発性物質を排出し、材料による劣化臭物質に対する吸着を低減し、調理効果を向上させる。
【0164】
上記技術的手段において、制御方法は、材料の属性情報を取得するステップと、材料の属性情報に基づいて、第1の時間及び/又は第1の温度範囲を確定するステップと、をさらに含む。
【0165】
当該技術的手段において、材料の属性情報を取得することにより、まず、属性情報に基づいて調理過程に換気処理を加える必要があるか否かを確定することができ、材料が劣化材料に属しないと確定する場合、換気処理の実行を必要としないことで、調理器具の消費電力を低減するとともに、調理効率を向上させることに役立ち、次に、材料が劣化材料に属する場合、劣化程度に基づいて第1の時間及び/又は第1の温度を確定する。
【0166】
ここで、材料の属性情報による調理過程への影響を考慮し、材料が匂い成分を放出することに有利な温度をできるだけ提供し、また材料の属性情報に基づいて換気時間を確定し、調理効率を向上させ、材料の属性情報に基づいて第1の時間及び/又は第1の温度範囲を確定した後、第1の時間に従って換気アセンブリの動作を制御するとともに、気体交換を行う調理部の温度が第1の温度範囲内となるように、調理部を加熱する電力を調整し、材料の匂い成分の排出効率を向上させ、劣化材料が生成したよくない匂いを調理部から取り除き、それにより調理器具の調理効果を向上させる。
【0167】
なお、材料は属性情報が異なり、それに含まれる脂質含有量、澱粉と他の物質との結合方式、粒表面積などが異なり、抽気の制御時間もそれに伴って適応的に変化する。従って、材料の属性情報に基づいて換気時間(第1の時間)を確定することで、換気弁を長時間開いていることによる熱損失及び材料のよい匂いの損失を低減する。
【0168】
上記技術的手段において、調理器具は調理部内の材料の画像を収集するように配置される画像収集装置をさらに含み、画像収集装置を材料の画像情報を収集するように制御するステップと、画像情報に基づいて材料の属性情報を確定するステップとにより、第1の時間及び/又は第1の温度範囲を確定する。
【0169】
当該技術的手段において、調理器具は画像収集装置により調理部内に入れられた材料を分析して、材料の属性情報を確定し、材料の属性情報に基づいて第1の時間及び/又は第1の温度範囲を確定すると、適切な温度及び時間パラメータを選択して調理過程を制御することができる。
【0170】
ここで、画像情報に基づいて材料の属性情報を確定するステップは、以下のプロセスによって実現される。調理部内の材料の画像情報を取得し、画像情報をデータベースにおける画像とマッチングし、マッチング結果となる画像に関連する属性情報を読み取ると、当該材料の属性情報を取得することができ、又は調理部内の材料の画像情報を取得し、画像情報における材料の形状、表面積、色、透明度及び光反射度などの特徴を分析し、材料の属性情報を確定する。
【0171】
例えば、画像情報に基づいて材料が米であると確定し、米はリパーゼの分解作用で匂い物質を生成し、リパーゼの酵素活性が最も強い温度区間は40℃~50℃であり、40℃~50℃を換気時の温度とすると、米の匂い物質を除去する効率を向上させることができ、さらに、米がうるち米、東北米のような円形の米であると認識する場合は、換気時間を30分間に設定し、米が生成した匂い物質(劣化臭)をできるだけ徹底的に排出し、米がジャスミン米のような長粒状の米であると認識する場合は、換気時間を20分間に短縮させ、換気時間を低減し、調理効率を向上させる。
【0172】
上記技術的手段において、調理器具は制御部をさらに含み、制御部は指令信号を送信することができ、調理部に気体交換を行わせるように、第1の時間に従って換気アセンブリの動作を制御するステップの前に、制御部がトリガされた後に送信した指令信号に応答して、材料が劣化材料であると確定するステップをさらに含み、劣化材料は鮮度が所定の基準より低い材料である。
【0173】
当該技術的手段において、調理器具に設けられた制御部により調理部内の材料が劣化材料であるか否かを認識し、使用者が劣化材料を調理することを必要とする場合、当該制御部をトリガし、すなわち調理対象の材料が劣化材料であると確定し、調理過程において換気処理を実行し、劣化材料が生成する気体成分(劣化臭)を調理部の外部に排出することで、調理効果を向上させる。
【0174】
ここで、制御部は物理キー、タッチパネル及び通信機能を備えるプロセッサのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0175】
上記技術的手段において、材料の属性情報は、材料の組成成分、材料の組成成分の含有量、材料の形状及び材料の表面積のうちのいずれか1つ又は少なくとも2つの組み合わせを含む。
【0176】
実施例7
本願のさらに別の実施例による制御方法であって、当該制御方法は炊飯器を制御するために用いられ、炊飯器の構造概略図は
図7に示すとおりであり、当該炊飯器は、抽気装置202と、気体導入管204と、制御部206とを含み、そのうち、気体導入管は一端が炊飯器の鍋内に接続され、一端が大気環境に連通し、当該制御方法は以下を含む。
【0177】
1、うるち米、東北米のような円形の米に対して、抽気装置202の制御方法は以下のとおりである。吸水段階に入る→抽気装置202を起動する→30min維持する(鍋内温度を40℃~50℃に制御する)→抽気装置202を閉じる→炊飯の次の段階に入る。
【0178】
2、ジャスミン米のような長粒状の米に対して、抽気装置202の制御方法は以下のとおりである。吸水段階に入る→抽気装置202を起動する→20min維持する(鍋内温度を40℃~50℃に制御する)→抽気装置202を閉じる→炊飯の次の段階に入る。
【0179】
当該実施例では、気体導入管204は気体搬送通路として機能し、抽気装置202は真空ポンプ又は他の鍋内の気体を抽出可能な装置としてもよく、気体導入管204は抽気装置202に接続され、気体導入管204は給気口2042と排気口2044を有し、気体導入管204は鍋内に接続され、排気口2044は空気に接続される。
【0180】
当該方法は炊飯の第1の段階である吸水段階で、温度、酸素に合わせて劣化臭物質の生成を速め、鍋内に抽気処理を行い、劣化臭をする物質(貯蔵過程で生成したものや水に接触した後に生成したもの)をできるだけ鍋から取り除く。
【0181】
この段階の温度を40℃~50℃に設定し、この温度の段階では、リパーゼは活性が最も強く、限られた時間内で劣化臭物質をできるだけ速く生成することができる。
【0182】
また、当該温度では劣化臭物質の揮発に役立ち、このとき抽気設定を行うと、生成した劣化臭物質をできるだけ除去することができる。
【0183】
うるち米とインディカ米の米種の特性により、それらに含まれる脂質含有量、澱粉と他の物質との結合方式、粒表面積などが異なり、従って、抽気の制御時間が異なって設定される。
【0184】
実施例8
図3に示すように、本願の実施例はコンピュータプログラムを実行すると、実施例1又は実施例7のいずれか1つの実施例の制御方法を実現するプロセッサ302を含む制御装置300をさらに開示する。従って、上記実施例のいずれかの技術的効果を有し、ここでは重複する説明は省略する。
【0185】
ここで、上記制御装置300は、MCU(Micro-programmed Control Unit、プログラム可能なマイクロコントローラ)、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、DSP(Digital Signal Processor、デジタル信号プロセッサ)、ワンチップマイコン及び組み込み機器のうちの少なくとも1つの論理演算デバイスを含む。
【0186】
実施例9
図4に示すように、本願の実施例は、本願の実施例8に係る制御装置300を含む調理器具400をさらに提供する。当該制御装置300のプロセッサはコンピュータプログラムを実行すると、本願の実施例のいずれかに係る制御方法のステップを実現する。従って、上記実施例のいずれかに係る制御方法の技術的効果を有し、ここでは重複する説明は省略する。1つの可能な設計において、当該調理器具400は炊飯器又は圧力鍋である。
【0187】
実施例10
図5に示すように、本願の実施例はさらにコンピュータ読み取り可能な記憶媒体500を提供し、当該コンピュータ読み取り可能な記憶媒体500にはコンピュータプログラム502が記憶されており、コンピュータプログラム502はプロセッサに実行されると、上記実施例のいずれかに開示された制御方法のステップを実現し、従って、上記実施例のいずれかに係る制御方法の技術的効果を有し、ここでは重複する説明は省略する。
【0188】
当該実施例において、コンピュータプログラム502はプロセッサに実行されると、以下のステップを実現する。
【0189】
調理部に気体交換を行わせるように、第1の時間に従って換気アセンブリの動作を制御し、気体交換を行う調理部の温度が第1の温度範囲内となるように、調理部を加熱する電力を調整する。
【0190】
当該技術的手段において、米(又は他のタイプの材料)を貯蔵して放置しているうちに、米粒中の脂質は自動的な加水分解及び酸化分解が発生しやすく、オレイン酸、リノール酸などの不飽和遊離脂肪酸を形成し、さらに脂質過酸化反応が発生し、徐々に劣化し、揮発性カルボニル化合物(例えばヘキシルアルデヒド、ペラルゴンアルデヒドなど)を形成し、これらの物質は米の「劣化臭」である。米を調理部に入れて水に接触させると、米中の既に生成された劣化臭物質は水に溶け、調理中の温度上昇により揮発し、調理部内の空気中に分散し、それにより「劣化臭」が嗅がれる。また、米粒中のリパーゼは油水界面で活性化され、活性が水温の増加に伴って持続的に高まり、リパーゼは米粒中の脂質の酸化加速を促進することができ、揮発性カルボニル化合物(劣化臭)を速やかに生成することで、米飯の香りの形成に影響を及ぼす。米の吸水段階では、温度、酸素に合わせて劣化臭物質の生成を速めるとともに、鍋内に換気処理を行い、貯蔵過程で生成したものや米が水に接触した後に生成した劣化臭物質をできるだけ鍋から取り除く。
【0191】
例えば、材料の吸水段階の温度を40℃~50℃に設定し、リパーゼはこの温度で活性が最も強く、限られた時間内で劣化臭物質をできるだけ速く生成することができ、また、この温度では劣化臭物質の揮発に役立ち、このとき換気を行うと、生成した劣化臭物質をできるだけ除去することができる。また、材料は属性情報が異なり、それに含まれる脂質含有量、澱粉と他の物質との結合方式、粒表面積などが異なるため、抽気の制御時間もそれに伴って適応的に変化する。調理器具が動作する時、材料の吸水段階では換気アセンブリの動作を制御することによって調理部の内部と外部の空気の循環流通を保持し、揮発性カルボニル化合物成分を調理部から排出するという目的を達成し、材料による揮発性カルボニル化合物成分に対する吸着を減少させ、調理効果を向上させる。
【0192】
上記技術的手段において、換気アセンブリは、調理部に設けられ、調理部の内部と調理部の外部を連通可能に配置される排気弁を含み、気体交換は具体的に、調理部の外部気体と調理部の内部気体を交換させるように、排気弁の開きを制御するステップを含む。
【0193】
当該技術的手段において、換気アセンブリは排気弁を含み、排気弁を開くことにより調理部の内部気体と外部気体とを交換可能にし、それにより調理過程において生成した揮発性物質を排出し、材料による劣化臭揮発性物質に対する吸着を低減し、調理効果を向上させる。
【0194】
上記技術的手段において、換気アセンブリが属する気道は調理部の内部及び大気環境に連通することができ、気体交換は具体的に、調理部の内部を昇圧させるように、換気アセンブリを調理部に空気入れ処理を実行するように制御するステップと、調理器具の排気通路を開くステップと、をさらに含み、排気通路は調理部内の気体を排出させるように配置される。
【0195】
当該技術的手段において、換気アセンブリを開くことにより調理部内部に空気を入れ、調理部内部の気圧を外部の気圧より大きくさせ、調理部内部に生成した揮発性匂い成分を気圧の作用で開いている排気通路を介して調理部外部に排出し、それにより調理過程において生成した揮発性物質を排出し、調理部内の材料による劣化臭揮発性物質に対する吸着を低減し、調理効果を向上させる。
【0196】
ここで、昇圧とは調理部内の圧力が標準大気圧より大きく、すなわち鍋内が正圧の状態となっていることである。
【0197】
上記技術的手段において、換気アセンブリが属する気道は調理部の内部及び大気環境に連通することができ、気体交換は具体的に、調理器具の給気通路を開くステップと、調理部の内部が負圧状態となるように、換気アセンブリを抽気処理を実行するように制御するステップと、をさらに含み、ただし、給気通路は調理部外の気体を調理部内に入れさせるように配置される。
【0198】
当該技術的手段において、換気アセンブリを開くことにより調理部内部の気体を抽出し、調理部内部の気圧を外部の気圧より小さくさせ、負圧状態を形成し、調理部外部の気体は負圧の作用で開いている給気通路を介して調理部内部に入る。ここで、調理部内部に生成した揮発性匂い成分は抽気処理を経由して調理部外部に排出され、それにより調理過程において生成した揮発性物質を排出し、材料による劣化臭物質に対する吸着を低減し、調理効果を向上させる。
【0199】
上記技術的手段において、制御方法は、材料の属性情報を取得するステップと、材料の属性情報に基づいて、第1の時間及び/又は第1の温度範囲を確定するステップと、をさらに含む。
【0200】
当該技術的手段において、材料の属性情報を取得することにより、まず、属性情報に基づいて調理過程に換気処理を加える必要があるか否かを確定することができ、材料が劣化材料に属しないと確定する場合、換気処理の実行を必要としないことで、調理器具の消費電力を低減するとともに、調理効率を向上させることに役立ち、次に、材料が劣化材料に属する場合、劣化程度に基づいて第1の時間及び/又は第1の温度を確定する。
【0201】
ここで、材料の属性情報による調理過程への影響を考慮し、材料が匂い成分を放出することに有利な温度をできるだけ提供し、また材料の属性情報に基づいて換気時間を確定し、調理効率を向上させ、材料の属性情報に基づいて第1の時間及び/又は第1の温度範囲を確定した後、第1の時間に従って換気アセンブリの動作を制御するとともに、気体交換を行う調理部の温度が第1の温度範囲内となるように、調理部を加熱する電力を調整し、材料の匂い成分の排出効率を向上させ、劣化材料が生成したよくない匂いを調理部から取り除き、それにより調理器具の調理効果を向上させる。
【0202】
なお、材料は属性情報が異なり、それに含まれる脂質含有量、澱粉と他の物質との結合方式、粒表面積などが異なり、抽気の制御時間もそれに伴って適応的に変化する。従って、材料の属性情報に基づいて換気時間(第1の時間)を確定することで、換気弁を長時間開いていることによる熱損失及び材料のよい匂いの損失を低減する。
【0203】
上記技術的手段において、調理器具は調理部内の材料の画像を収集するように配置される画像収集装置をさらに含み、画像収集装置を材料の画像情報を収集するように制御するステップと、画像情報に基づいて材料の属性情報を確定するステップとにより、第1の時間及び/又は第1の温度範囲を確定する。
【0204】
当該技術的手段において、調理器具は画像収集装置により調理部内に入れられた材料を分析して、材料の属性情報を確定し、材料の属性情報に基づいて第1の時間及び/又は第1の温度範囲を確定すると、適切な温度及び時間パラメータを選択して調理過程を制御することができる。
【0205】
ここで、画像情報に基づいて材料の属性情報を確定するステップは、以下のプロセスによって実現される。調理部内の材料の画像情報を取得し、画像情報をデータベースにおける画像とマッチングし、マッチング結果となる画像に関連する属性情報を読み取ると、当該材料の属性情報を取得することができ、又は調理部内の材料の画像情報を取得し、画像情報における材料の形状、表面積、色、透明度及び光反射度などの特徴を分析し、材料の属性情報を確定する。
【0206】
例えば、画像情報に基づいて材料が米であると確定し、米はリパーゼの分解作用で匂い物質を生成し、リパーゼの酵素活性が最も強い温度区間は40℃~50℃であり、40℃~50℃を換気時の温度とすると、米の匂い物質を除去する効率を向上させることができ、さらに、米がうるち米、東北米のような円形の米であると認識する場合は、換気時間を30分間に設定し、米が生成した匂い物質(劣化臭)をできるだけ徹底的に排出し、米がジャスミン米のような長粒状の米であると認識する場合は、換気時間を20分間に短縮させ、換気時間を低減し、調理効率を向上させる。
【0207】
上記技術的手段において、調理器具は制御部をさらに含み、制御部は指令信号を送信することができ、調理部に気体交換を行わせるように、第1の時間に従って換気アセンブリの動作を制御するステップの前に、制御部がトリガされた後に送信した指令信号に応答して、材料が劣化材料であると確定するステップをさらに含み、劣化材料は鮮度が所定の基準より低い材料である。
【0208】
当該技術的手段において、調理器具に設けられた制御部により調理部内の材料が劣化材料であるか否かを認識し、使用者が劣化材料を調理することを必要とする場合、当該制御部をトリガし、すなわち調理対象の材料が劣化材料であると確定し、調理過程において換気処理を実行し、劣化材料が生成する気体成分(劣化臭)を調理部の外部に排出することで、調理効果を向上させる。
【0209】
ここで、制御部は物理キー、タッチパネル及び通信機能を備えるプロセッサのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0210】
上記技術的手段において、材料の属性情報は、材料の組成成分、材料の組成成分の含有量、材料の形状及び材料の表面積のうちのいずれか1つ又は少なくとも2つの組み合わせを含む。
【0211】
以上は図面を参照して本願の技術的手段を詳細に説明し、従来の技術的問題に対して、制御方法、装置、調理器具及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、換気アセンブリを調理部内外に圧力差を発生させるように制御し、材料が生成した揮発性カルボニル化合物成分を炊飯器の外に排出し、かつ材料の属性情報に基づいて換気時間及び換気過程における温度を確定し、換気効率を向上させ、材料によるよくない風味に対する吸着を低減し、調理効果を向上させる。
【0212】
本願では、用語の「第1」、「第2」、「第3」は説明のためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示するものとして理解できず、特に断りのない限り、用語の「複数」は2つ以上を意味する。用語の「取り付ける」、「連結」、「接続」、「固定」などは広義に理解されるべきであり、例えば、「接続」は、固定的に接続してもよいし、取り外し可能に接続するか、又は一体的に接続してもよく、「連結」は直接連結してもよいし、中間媒体を介して間接的に連結してもよい。当業者であれば、上記用語の本願における具体的な意味を具体的な場合に応じて理解することができる。
【0213】
なお、本願の説明において、用語の「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」などが指示した方位又は位置関係は図面に基づいて示される方位又は位置関係であり、本願の説明の便宜及び説明の簡略化のためのものに過ぎず、示される装置又はユニットは必ず特定の方向を有し、特定の方位で構成及び操作されることを指示又は暗示するものではないため、本願を限定するものとして理解できないことを説明すべきである。
【0214】
本明細書の説明において、用語の「1つの実施例」、「いくつかの実施例」、「具体的な実施例」などの説明は、この実施例又は例と結び付けて説明される具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味している。本明細書において、上記用語についての例示的な説明は、必ず同じ実施例又は例を指すものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性はいずれか1つ又は複数の実施例又は例において適切な方式で組み合わせることができる。
【0215】
以上は本願の好ましい実施例に過ぎず、本願を限定するものではなく、当業者にとって、本願は様々な変更及び変化が可能である。本願の精神及び原則内で行われる任意の修正、同等の置換、及び改善などは、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0216】
図3から
図5、
図7における符号と部品名称との対応関係は、以下のとおりである。
300…制御装置、302…プロセッサ、400…調理器具、500…コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、502…コンピュータプログラム、202…抽気装置、204…気体導入管、206…制御部、2042…給気口、2044…排気口。