(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】光照射デバイス、及び、光照射システム
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20240405BHJP
A61N 5/067 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
A61N5/067
(21)【出願番号】P 2022541403
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(86)【国際出願番号】 JP2020029974
(87)【国際公開番号】W WO2022029920
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【氏名又は名称】田邊 淳也
(72)【発明者】
【氏名】桂田 裕子
(72)【発明者】
【氏名】塚本 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】水上 光太郎
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/075368(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0052849(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0255828(US,A1)
【文献】特開平10-090553(JP,A)
【文献】特開2003-302557(JP,A)
【文献】特表2003-515758(JP,A)
【文献】特開2012-085805(JP,A)
【文献】米国特許第05562657(US,A)
【文献】米国特許第05486171(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06
A61N 5/067
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光照射デバイスであって、
光ファイバと、
前記光ファイバよりも先端側に配置されて、前記光ファイバから入射した光の光路を変更する光透過性の光路変更部材と、
を備え、
前記光路変更部材は、
前記光路変更部材の基端側に配置された基端側部材と、
前記光路変更部材の先端側に配置された先端側部材と、を含み、
前記基端側部材と前記先端側部材とは、互いに接触して境界面を形成しており、前記境界面は、前記光ファイバの中心軸の垂直面に対して傾斜して
おり、
前記境界面のうち、少なくとも前記光ファイバからの前記光が照射される一部分は、前記垂直面に対して傾斜した平面であり、
前記光ファイバの開口数をNAとし、前記基端側部材の屈折率をn1とし、前記先端側部材の屈折率をn2とし、前記光路変更部材の縦断面において、前記光ファイバの中心軸と前記境界面とが成す鋭角を、前記境界面の傾斜角θbとしたとき、
前記傾斜角θbは、
0<θb≦π/2+[arcsin(NA/n1)]-[arcsin(n2/n1)]
である、光照射デバイス。
【請求項2】
請求項
1に記載の光照射デバイスであって、
前記傾斜角θbは、0°<θb<64°であり、かつ、
前記開口数NAは、0.1≦NA≦0.5であり、かつ、
前記屈折率n1と前記屈折率n2は、1.3≦n2<n1≦2.0である、光照射デバイス。
【請求項3】
請求項
1に記載の光照射デバイスであって、
前記光ファイバからの前記光の波長λは、780nm<λ<1mmであり、かつ、
前記傾斜角θbは、0°<θb<79°であり、かつ、
前記開口数NAは、0.1≦NA≦0.5であり、かつ、
前記屈折率n1と前記屈折率n2は、1.3≦n2<n1≦4.0である、光照射デバイス。
【請求項4】
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の光照射デバイスであって、
前記先端側部材の先端部は、角部にRが付与された湾曲形状を有している、光照射デバイス。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の光照射デバイスであって、
前記基端側部材の外周面のうち、前記境界面で反射した光が通過する領域は、球面形状を有している、光照射デバイス。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の光照射デバイスであって、さらに、
前記光ファイバと、前記光路変更部材との間に配置されて、前記光ファイバから入射した光を前記光路変更部材へと伝達する光透過性の離間部を備える、光照射デバイス。
【請求項7】
光照射システムであって、
請求項1から請求項
6のいずれか一項に記載の光照射デバイスと、
前記光照射デバイスが挿入されるカテーテルと、
を備え、
前記カテーテルは、前記光照射デバイスを前記カテーテルに挿入した際に、前記基端側部材の外周面を覆う位置に設けられた光透過部であって、前記境界面で反射した光を透過させる光透過部を有する、光照射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射デバイス、及び、光照射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
がん治療においては、外科的、放射線的、薬物的(化学的)手法が単独で、あるいは併用されて用いられ、それぞれの技術が近年発展を遂げている。しかしながら、未だ満足のいく治療技術が見出されていないがんも多く存在し、さらなる治療技術の発展が期待されている。がん治療技術の1つとして、PDT(Photodynamic Therapy:光線力学的療法)と呼ばれる手法が知られている。PDTでは、光感受性物質を静脈投与後、光照射をすることで、がん細胞で活性酸素を発生させ、がん細胞を死滅させる(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、PDTは、光感受性物質のがん細胞への集積選択性が低く、正常細胞に取り込まれることによる副作用の大きさが課題となり、治療技術として広く普及していない。
【0003】
そこで近年注目されている治療技術として、NIR-PIT(Near-infrared photoimmunotherapy:近赤外光線免疫療法)がある。NIR-PITでは、がん細胞の特異的な抗原に対する抗体と、光感受性物質(例えば、IRDye700DX)との2化合物を結合させた複合体を用いる。この複合体は、静脈投与されると、体内のがん細胞に選択的に集積する。その後、複合体中の光感受性物質の励起波長(例えば、690nm)の光を照射することで、複合体が活性化し、抗がん作用を示す(例えば、特許文献1参照)。NIR-PITでは、抗体によるがんへの集積選択性と、局部光照射によって、PDTと比較して副作用を減らすことができる。また、NIR-PITでは、例えば690nmという近赤外線領域での光照射(NIR照射)を行うため、NIR照射による免疫系への作用も期待できる(例えば、非特許文献2参照)。
【0004】
上記において例示した690nmを含む所定の波長領域は、生体の分光学的窓とも呼ばれ、他の波長領域と比べて生体成分による光の吸収が少ない波長領域であるものの、体表からの光照射では光の浸透性が不足するため、体内深部のがんに適用できないという課題があった。そこで近年、体表からの光照射ではなく、よりがん細胞に近い位置で光照射を行うNIR-PITの研究がされている(例えば、非特許文献3参照)。例えば、特許文献2,3には、このようなPDTやNIR-PITにおいて使用可能であって、血管等の生体管腔内に挿入され、光ファイバによって伝達された光を体内深部で照射するデバイスが開示されている。例えば、特許文献4には、生体組織の診断のために、血管等の生体管腔内に挿入され、光ファイバによって伝達された光を体内深部で照射することにより、生体組織の断層画像を得るデバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2014-523907号公報
【文献】特開2018-867号公報
【文献】特表2007-528752号公報
【文献】特開2014-94122号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】Makoto Mitsunaga, Mikako Ogawa, Nobuyuki Kosaka Lauren T. Rosenblum, Peter L. Choyke, and Hisataka Kobayashi、Cancer Cell-Selective In Vivo Near Infrared Photoimmunotherapy Targeting Specific Membrane Molecules、Nature Medicine 2012 17(12): 、p.1685-1691
【文献】Kazuhide Sato, Noriko Sato, Biying Xu, Yuko Nakamura, Tadanobu Nagaya, Peter L. Choyke, Yoshinori Hasegawa, and Hisataka Kobayashi、Spatially selective depletion of tumor-associated regulatory T cells with near-infrared photoimmunotherapy、Science Translational Medicine 2016 Vol.8 Issue352、ra110
【文献】Shuhei Okuyama, Tadanobu Nagaya, Kazuhide Sato, Fusa Ogata, Yasuhiro Maruoka, Peter L. Choyke, and Hisataka Kobayashi、Interstitial near-infrared photoimmunotherapy: effective treatment areas and light doses needed for use with fiber optic diffusers、Oncotarget 2018 Feb 16; 9(13): 、p.11159-11169
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、光ファイバは一般的に、コアと、コアの外周面を被覆するクラッドとの屈折率差を利用した光の全反射によって光を伝達し、先端において露出したコアから光を出射する。一方、生体管腔内に挿入されて体内深部で光を照射するデバイスにおいて、光の照射方向は、生体管腔を取り巻く組織の方向、すなわちデバイス(及び光ファイバ)の中心軸と交差する方向であることが好ましい。この点、特許文献4に記載のデバイスでは、光ファイバよりも先端側に配置された光学素子(プリズム)を用いて、光ファイバから伝達された光の光路を変更し、デバイスの中心軸と交差する方向に光を照射可能としている。
【0008】
しかし、特許文献4に記載のデバイスでは、光路変更のために用いられる光学素子の反射面は、光学素子と空気との境界面である。このため、光ファイバから伝達された光の光路を変更し、デバイスの中心軸と交差する方向に光を照射するためには、光学素子を基端側から先端側に向かって尖った形状とせざるを得ず、安全性に劣るという課題があった。また、特許文献4に記載のデバイスでは、デバイスを例えば血管内に挿入した場合、血管の空気塞栓の虞がある。さらに、デバイスの内部に血液が浸入した場合には、空気が血液に置換されるため、吸光により血液が加熱され、血液の凝固が生じる虞がある。特許文献4に記載のデバイスは、これらの点からも安全性に劣るという課題があった。また、特許文献2及び特許文献3に記載のデバイスでは、デバイスの中心軸と交差する方向に光を照射することについて何ら考慮されていない。
【0009】
なお、このような課題は、PDTやNIR-PITに限らず、体内において光を照射するプロセスを含む検査又は治療(例えば、脳動脈瘤、不整脈、アルツハイマー病等の検査又は治療)において使用されるデバイス全般に共通する。この光は、上記において例示した690nmを含む所定の波長領域に限らず、780nmより大きい波長領域の赤外光をも含む。また、このような課題は、血管に挿入されるデバイスに限らず、血管系、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官といった、生体管腔内に挿入されるデバイス全般に共通する。
【0010】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、光ファイバからの光をデバイスの中心軸と交差する方向に照射可能な光照射デバイスにおいて、安全性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の一形態によれば、光照射デバイスが提供される。この光照射デバイスは、光ファイバと、前記光ファイバよりも先端側に配置されて、前記光ファイバから入射した光の光路を変更する光透過性の光路変更部材と、を備え、前記光路変更部材は、前記光路変更部材の基端側に配置された基端側部材と、前記光路変更部材の先端側に配置された先端側部材と、を含み、前記基端側部材と前記先端側部材とは、互いに接触して境界面を形成しており、前記境界面は、前記光ファイバの中心軸の垂直面に対して傾斜している、光照射デバイス。
【0012】
この構成によれば、光路変更部材は、基端側部材と先端側部材とが互いに接触した境界面であって、光ファイバの中心軸の垂直面に対して傾斜した境界面を有しており、この境界面によって、光ファイバから入射した光の光路を変更する。このため、光ファイバを湾曲させることなく、換言すれば、光ファイバを湾曲させた場合に生じる光損失を抑制しつつ、光ファイバからの光をデバイスの中心軸と交差する方向に照射することができる。また、光ファイバから入射した光の光路を変更する境界面は、基端側部材と先端側部材とが互いに接触した面である。このため、光照射デバイスを例えば血管内に挿入した場合であっても血管の空気塞栓の虞がない。また、基端側部材と先端側部材とは、共に光透過性を有するため、基端側部材や先端側部材が光を吸収して、発熱する虞がない。さらに、デバイス内部に血液が浸入した場合であっても、空気が血液に置換されることがないため、吸光により血液が加熱、及び血液の凝固が生じる虞を低減できる。このため、安全性に優れる。さらに、光路変更部材は、境界面の先端側に先端側部材を有するため、先端側部材の先端部を安全性の高い形状(例えば角部にRが付与された湾曲形状)とすることにより、生体管腔内に挿入される光照射デバイスの安全性をより向上できる。さらに、光路変更部材は、境界面の先端側に先端側部材を有するため、光路変更部材の先端側の強度を向上させることができ、光路変更部材の破損を抑制できる。
【0013】
(2)上記形態の光照射デバイスにおいて、前記境界面のうち、少なくとも前記光ファイバからの前記光が照射される一部分は、前記垂直面に対して傾斜した平面であってもよい。
この構成によれば、光ファイバから入射した光の光路を変更する境界面のうち、少なくとも光ファイバからの光が照射される一部分は、垂直面に対して傾斜した平面である。このため、境界面の傾斜角を調整することにより容易に、光ファイバから入射した光を全反射させることができる。また、境界面のうち、少なくとも光ファイバからの光が照射される一部分を平面とすることにより、光照射デバイス内における光ファイバの軸ずれの影響を受けづらく、かつ、基端側部材と先端側部材との製造を容易にできる。
【0014】
(3)上記形態の光照射デバイスにおいて、前記光ファイバの開口数をNAとし、前記基端側部材の屈折率をn1とし、前記先端側部材の屈折率をn2とし、前記光路変更部材の縦断面において、前記光ファイバの中心軸と前記境界面とが成す鋭角を、前記境界面の傾斜角θbとしたとき、前記傾斜角θbは、0<θb≦π/2+[arcsin(NA/n1)]-[arcsin(n2/n1)]であってもよい。
この構成によれば、光路変更部材の縦断面における境界面の傾斜角θb(すなわち、光ファイバの中心軸と境界面とが成す鋭角θb)は、0<θb≦π/2+[arcsin(NA/n1)]-[arcsin(n2/n1)]であるため、光ファイバから境界面に入射した光の少なくとも一部を全反射させて、光照射デバイスの中心軸と交差する方向に照射することができる。
【0015】
(4)上記形態の光照射デバイスにおいて、前記傾斜角θbは、0°<θb<64°であり、かつ、前記開口数NAは、0.1≦NA≦0.5であり、かつ、前記屈折率n1と前記屈折率n2は、1.3≦n2<n1≦2.0であってもよい。
この構成によれば、光路変更部材(基端側部材及び先端側部材)において、光ファイバから入射した可視光を含む全ての光を透過させることができると共に、光路変更部材の境界面において、光ファイバから入射した光の少なくとも一部を全反射させることができる。
【0016】
(5)上記形態の光照射デバイスにおいて、前記光ファイバからの前記光の波長λは、780nm<λ<1mmであり、かつ、前記傾斜角θbは、0°<θb<79°であり、かつ、前記開口数NAは、0.1≦NA≦0.5であり、かつ、前記屈折率n1と前記屈折率n2は、1.3≦n2<n1≦4.0であってもよい。
この構成によれば、光路変更部材(基端側部材及び先端側部材)において、光ファイバから入射した赤外光(すなわち、780nm<波長λ<1mmの光)を透過させることができると共に、光路変更部材の境界面において、光ファイバから入射した光の少なくとも一部を全反射させることができる。
【0017】
(6)上記形態の光照射デバイスにおいて、前記先端側部材の先端部は、角部にRが付与された湾曲形状を有していてもよい。
この構成によれば、境界面の先端側に配置された先端側部材の先端部は、角部にRが付与された湾曲形状を有しているため、例えば、光学素子を基端側から先端側に向かって尖った形状にする場合と比較して、光照射デバイスの安全性を向上できる。
【0018】
(7)上記形態の光照射デバイスにおいて、前記基端側部材の外周面のうち、前記境界面で反射した光が通過する領域は、球面形状を有していてもよい。
この構成によれば、基端側部材の外周面のうち、境界面で反射した光が通過する領域は、球面形状を有している。このため、球面を通過した反射光を集光させて、光照射デバイスから生体組織に照射される光の光出力を大きくすることができる。また、球面を通過した反射光をコリメートさせる、すなわち、光照射デバイスから生体組織に照射される光を平行化することができる。このように、基端側部材の外周面のうち、境界面で反射した光が通過する領域を球面形状とすることにより、光照射デバイスから生体組織に照射される光の照射範囲を制御できる。
【0019】
(8)上記形態の光照射デバイスでは、さらに、前記光ファイバと、前記光路変更部材との間に配置されて、前記光ファイバから入射した光を前記光路変更部材へと伝達する光透過性の離間部を備えてもよい。
この構成によれば、光ファイバと、光路変更部材との間に光透過性の離間部を備えるため、離間部の剛性を調整することで、光照射デバイスの追従性を向上できる。
【0020】
(9)本発明の一形態によれば、光照射システムが提供される。光照射システムは、上記形態の光照射デバイスと、前記光照射デバイスが挿入されるカテーテルと、を備え、前記カテーテルは、前記光照射デバイスを前記カテーテルに挿入した際に、前記基端側部材の外周面を覆う位置に設けられた光透過部であって、前記境界面で反射した光を透過させる光透過部を有する。
この構成によれば、光照射システムは、光照射デバイスと、光照射デバイスの境界面で反射した光を透過させる光透過部を有するカテーテルとを個別に備えるため、デバイス設計の自由度を向上できると共に、手技の幅を拡げることができる。
【0021】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、光照射デバイスとしてのガイドワイヤ、光照射デバイスとしてのカテーテル、光照射システムとカテーテルとを備える光照射システム、及びこれらの製造方法などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態の光照射デバイスの構成を例示した説明図である。
【
図2】
図1のA-A線における横断面構成を例示した説明図である。
【
図3】
図1のB-B線における横断面構成を例示した説明図である。
【
図5】可視光を含む全ての光を用いる場合の境界面の傾斜角θbについて説明する図である。
【
図6】可視光を含む全ての光を用いる場合の境界面の傾斜角θbについて説明する図である。
【
図7】赤外光を用いる場合の境界面の傾斜角θbについて説明する図である。
【
図8】赤外光を用いる場合の境界面の傾斜角θbについて説明する図である。
【
図9】境界面の傾斜角θbに応じた反射光及び屈折光について説明する図である。
【
図10】第2実施形態の光照射デバイスのA-A線(
図1)における横断面構成を例示した説明図である。
【
図11】第3実施形態の光照射デバイスの構成を例示した説明図である。
【
図12】第4実施形態の光照射デバイスの構成を例示した説明図である。
【
図13】第5実施形態の光照射デバイスの構成を例示した説明図である。
【
図14】第6実施形態の光照射デバイスの構成を例示した説明図である。
【
図15】第7実施形態の光照射デバイスの構成を例示した説明図である。
【
図16】第8実施形態の光照射デバイスの構成を例示した説明図である。
【
図17】第9実施形態の光照射デバイスの構成を例示した説明図である。
【
図18】第10実施形態の光照射デバイスの構成を例示した説明図である。
【
図19】
図18のC-C線における横断面構成を例示した説明図である。
【
図20】第11実施形態の光照射デバイスの構成を例示した説明図である。
【
図21】第12実施形態の光照射デバイスの構成を例示した説明図である。
【
図22】
図21のD-D線における横断面構成を例示した説明図である。
【
図23】第13実施形態の光照射デバイスの構成を例示した説明図である。
【
図24】第14実施形態の光照射デバイスの構成を例示した説明図である。
【
図25】第15実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の光照射デバイス1の構成を例示した説明図である。光照射デバイス1は、血管系、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官といった、生体管腔内に挿入して使用される。光照射システムは、生体管腔内から生体組織に向けて光を照射するデバイスであり、例えば、PDT(Photodynamic Therapy:光線力学的療法)や、NIR-PIT(Near-infrared photoimmunotherapy:近赤外光線免疫療法)において使用される。本実施形態の光照射デバイス1は、光照射デバイス1の側方(換言すれば、光照射デバイス1の中心軸と交差する方向)に光LTを照射する光照射部100を備えるプローブ体である。
図1に示すように、光照射デバイス1は、先端側から基端側に向かって、光照射部100と、延伸部200とを備えている。
【0024】
図1では、光照射デバイス1の中心を通る軸を軸線O(一点鎖線)で表す。
図1の例では、軸線Oは、光照射デバイス1及び各構成部材の各中心を通る軸と一致している。しかし、軸線Oは、光照射デバイス1及び各構成部材の各中心軸と相違していてもよい。
図1には、相互に直交するXYZ軸を図示する。X軸は光照射デバイス1の長手方向(軸線O方向)に対応し、Y軸は光照射デバイス1の高さ方向に対応し、Z軸は光照射デバイス1の幅方向に対応する。
図1の左側(-X軸方向)を光照射デバイス1及び各構成部材の「先端側」と呼び、
図1の右側(+X軸方向)を光照射デバイス1及び各構成部材の「基端側」と呼ぶ。光照射デバイス1及び各構成部材について、先端側に位置する端部を「先端」と呼び、先端及びその近傍を「先端部」と呼ぶ。また、基端側に位置する端部を「基端」と呼び、基端及びその近傍を「基端部」と呼ぶ。先端側は生体内部へ挿入され、基端側は医師等の術者により操作される。これらの点は、
図1以降においても共通する。
【0025】
図2は、
図1のA-A線における横断面構成を例示した説明図である。
図1に示すように、光照射部100は、光照射デバイス1の先端側に設けられた部分であり、光透過部11と、光路変更部材20とを有している。
【0026】
光路変更部材20は、光ファイバ80から入射した光の光路を変更する光透過性の部材である。ここで「光透過性」とは、外部から入射した光を透過させる性質を意味する。光路変更部材20は、光照射デバイス1の軸線Oに沿って延び、基端側から先端側にかけて略一定の外径を有する中実の略円柱形状の部材である。光路変更部材20は、光ファイバ80よりも先端側において、光ファイバ80のコアに接触した状態で配置されている。ここで「接触」とは、光ファイバ80のコアと光路変更部材20とが隣接して配置されている状態と、光ファイバ80のコアが光路変更部材20に埋め込まれている状態と、の両方を含む意味である。
【0027】
光路変更部材20は、先端側部材22と、基端側部材21とを含んでいる。先端側部材22は、光路変更部材20の先端側に配置されている。先端側部材22の先端部24は、角部にRが付与された湾曲形状を有している。図示の例では、先端部24は半球状であるが、先端部24に付与されるRの大きさは任意に変更可能であり、先端部24は半球状でなくてもよい。先端側部材22の基端部は、光ファイバ80の中心軸Oの垂直面(すなわち、
図1のA-A線に沿ったYZ平面)に対して傾斜した傾斜面を有している。図示の例では、先端側部材22の傾斜面は、湾曲のない平面である。先端側部材22は光透過性を有しており、先端側部材22の屈折率n2は1.3以上である。なお、屈折率n2は、空気の屈折率より大きければ、1.3未満であってもよい。先端側部材22の外径及びX軸方向の長さは、任意に決定できる。
【0028】
基端側部材21は、光路変更部材20の基端側に配置されている。基端側部材21の先端部は、先端側部材22と同じ角度、及び同じ方向で、光ファイバ80の中心軸Oの垂直面(すなわち、
図1のA-A線に沿ったYZ平面)に対して傾斜した傾斜面を有している。基端側部材21の傾斜面は、湾曲のない平面である。ここで、
図1及び
図2に示すように、先端側部材22の傾斜面と、基端側部材21の傾斜面とは、互いに接触して境界面23を形成している。すなわち、境界面23は、光ファイバ80の中心軸Oの垂直面(すなわち、
図1のA-A線に沿ったYZ平面)に対して傾斜している。基端側部材21の基端部には、光ファイバ80のコアが接触している。基端側部材21は光透過性を有しており、基端側部材21の屈折率n1は1.3以上である。なお、屈折率n1は、空気の屈折率より大きければ、1.3未満であってもよい。基端側部材21の外径及びX軸方向の長さは、任意に決定できる。基端側部材21の外径及び長さは、先端側部材22と同じでもよく、異なっていてもよい。
【0029】
ここで、
図1に示す縦断面において、光ファイバ80の中心軸Oと、光路変更部材20の境界面23とが成す鋭角θbを「境界面23の傾斜角θb」と呼ぶ。なお、
図1上部の矩形枠内の拡大断面図に示すように、
図1に示す縦断面において、軸線Oと境界面23とが成す鋭角と、先端側部材22の外周面と境界面23とが成す鋭角と、は同じ角度である。このため以降の図では、いずれか一方を図示して、境界面23の傾斜角θbと呼ぶことがある。本実施形態において、境界面23の傾斜角θbは、次の式(1)の範囲内である。式1において、NAは光ファイバ80の開口数であり、n1は基端側部材21の屈折率であり、n2は先端側部材22の屈折率である。
0<θb≦π/2+[arcsin(NA/n1)]-[arcsin(n2/n1)] ・・・(1)
【0030】
光透過部11は、光路変更部材20によって反射又は屈折された光LTを透過させて、光照射デバイス1の中心軸Oと交差する方向(以降、単に「側方」とも呼ぶ)に照射する。光透過部11は、光透過性を有し、基端側から先端側にかけて略一定の外径を有する略円筒形状の部材である。
図1及び
図2に示すように、光透過部11は、光路変更部材20(具体的には、先端側部材22及び基端側部材21)の外周面を覆うようにして設けられている。図示の例では、光路変更部材20の外周面と、光透過部11の内周面とは接触しているが、光路変更部材20と光透過部11の間には隙間があってもよい。光透過部11の外径及び内径は任意に決定できる。
【0031】
光路変更部材20は、透明または半透明の紫外線硬化樹脂を上述した形状に成形し、紫外線で硬化させることにより形成できる。それぞれ異なる屈折率n1,n2を有する基端側部材21,先端側部材22を実現するためには、屈折率の異なる紫外線硬化樹脂を材料とすればよい。なお、光路変更部材20(基端側部材21,先端側部材22)は、プリズム等の光学素子により実現されてもよい。光透過部11は、光透過性を有する樹脂材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂等により形成できる。なお、光ファイバ80からの入射光を可視光とする場合、光透過性を向上させる観点から、光路変更部材20(基端側部材21、先端側部材22)は、透明な部材として構成されることが好ましい。ここで、「透明な部材」とは、光を、吸収せず、かつ、散乱させずに透過する部材をいう。但し、光路変更部材20の製造誤差や加工誤差により、多少の吸収や散乱が生じてもよい。一方、光ファイバ80からの入射光を赤外光とする場合、光路変更部材20(基端側部材21、先端側部材22)には、例えば、シリコンやゲルマニウムといった、相対的に大きな屈折率n1,n2を有する材料を用いて構成されてもよい。
【0032】
図3は、
図1のB-B線における横断面構成を例示した説明図である。
図1に示すように、延伸部200は、光照射デバイス1の基端側(光照射部100よりも基端側)に設けられた部分であり、光ファイバ80と、本体部12と、接合部31とを有している。
【0033】
光ファイバ80は、光源3からのレーザ光(単に「光」とも呼ぶ)を伝達する。光ファイバ80は、光照射デバイス1の軸線Oに沿って延び、基端側から先端側にかけて略一定の外径を有する中実のケーブルである。
図3に示すように、光ファイバ80は、軸線Oに沿って延びるコア81と、コア81の外周面を被覆するクラッド82とを有している。コア81は、クラッド82の略中央に配置されており、クラッド82よりも高い光屈折率を有する。クラッド82は、屈折率が均一である。光ファイバ80は、コア81とクラッド82との屈折率差を利用した光の全反射によって、光源3からの光を伝達する。
図1に示すように、光ファイバ80の先端では、光ファイバ80が軸線Oに垂直な面に沿ってカットされており、コア81が露出している。光ファイバ80の先端部は、露出したコア81と基端側部材21とを隣接させた状態で固定されている。光ファイバ80の基端部は、コネクタや他の光ファイバ等を介して、外部に設けられた光源3に接続されている。光源3は、任意の波長のレーザ光を発生するレーザ光発生装置である。
【0034】
なお、本実施形態の光ファイバ80は、コア81とクラッド82とが共に樹脂製のプラスチック光ファイバである。コア81は、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA:Polymethylmetacrylate)、ポリスチレン、ポリカーボネート、含重水素化ポリマー、フッ素系ポリマー、シリコン系ポリマー、ノルボルネン系ポリマー等により形成できる。コア81は、光が伝搬するモード数によってシングルモードと、マルチモードとに分類されるが、本実施形態ではどちらを用いてもよい。また、マルチモードの場合、屈折率分布によってステップインデックスと、グレーデッドインデックスとに分類されるが、本実施形態ではどちらを用いてもよい。クラッド82は、例えば、フッ素系ポリマーにより形成できる。なお、光ファイバ80には、プラスチック光ファイバに代えて、石英ガラス光ファイバや、多成分ガラス光ファイバを採用してもよい。光ファイバ80の長さは任意に決定できる。また、光ファイバ80は、コア81のみで形成されてもよく、クラッド82を被覆する1つ以上の保護層をさらに備えてもよい。
【0035】
本体部12は、光ファイバ80を被覆している。本体部12は、長尺状の外形を有し、軸線Oに沿って配置された中空の部材である。本体部12は、先端と基端とにそれぞれ開口が形成され、内側に両開口を連通する内腔を有する略円筒形状である。本体部12の内腔には、光ファイバ80の基端側を除く全体が収容されている。本体部12は、抗血栓性、可撓性、生体適合性を有することが好ましく、樹脂材料や金属材料で形成することができる。樹脂材料としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等を採用できる。金属材料としては、例えば、SUS304等のステンレス鋼、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金、タングステン鋼等を採用できる。本体部12の外径、内径、及び長さは任意に決定できる。
【0036】
接合部31は、本体部12内において光ファイバ80を固定している。
図3に示すように、接合部31は、本体部12の内周面と光ファイバ80の外周面との間に充填された接合剤の層である。接合部31は、任意の接合剤、例えば、銀ロウ、金ロウ、亜鉛、Sn-Ag合金、Au-Sn合金等の金属はんだや、エポキシ系接着剤などの接着剤により形成できる。なお、
図1の例では、接合部31は、X軸方向において本体部12の全体に設けられている。しかし、接合部31は、X軸方向において本体部12の一部分(例えば、本体部12の先端側の一部分と、本体部12の基端側の一部分等)にのみ設けられていてもよい。また、接合部31は省略されてもよい。
【0037】
図4は、光照射デバイス1の使用状態を示す図である。なお、
図4では図示の便宜上、光ファイバ80から光路変更部材20に入射する光の一部分のみを図示している。光照射デバイス1の使用は、例えば以下のように行う。まず術者は、血管等の生体管腔内に光照射デバイス1を挿入する。術者は、生体管腔内において光照射デバイス1を押し進め、光照射部100を光照射の目的部位までデリバリする。この際、術者は、図示しないカテーテルや内視鏡等を用いて、光照射デバイス1をデリバリしてもよい。その後、術者は、光源3を作動させる。光源3によって発生されたレーザ光は、光ファイバ80のコア81を介して、光ファイバ80の基端側から先端側へと伝達される。
【0038】
図4には、光ファイバ80により伝達された光のうち、軸線Oと並行に光路変更部材20に入射した光LT2と、光ファイバ80の最大広がり角θaで光路変更部材20に入射した光LT1,LT3とを図示している。ここで、軸線Oと並行な入射光LT2の、境界面23に対する入射角をθ1とする。図示の例では、光路変更部材20の境界面23は、X軸方向に沿って見た場合、-Y軸方向から+Y軸方向に向かって傾斜している。このため、-Y軸方向に最大広がり角θaで入射した入射光LT1は、境界面23に対して、最大入射角θmaxで入射する。一方、+Y軸方向に最大広がり角θaで入射した入射光LT3は、境界面23に対して、最小入射角θminで入射する。すなわち、光LT1~LT3の入射角は、θmin<θ1<θmaxである。なお、最大広がり角θaの実際値は、光ファイバ80の開口数NAと、基端側部材21の屈折率n1とにより決定する。
【0039】
ここで、境界面23への入射光LT1~LT3は、入射角θmin,θ1,θmaxが、臨界角θcより大きい場合に、境界面23で全反射する。臨界角θcは、スネルの法則より、基端側部材21の屈折率n1と、先端側部材22の屈折率n2とにより決定される。具体的には、基端側部材21の屈折率n1が、先端側部材22の屈折率n2よりも大きく(n2<n1)、かつ、屈折率n1と屈折率n2との差(n1-n2)が大きければ大きいほど、臨界角θcは小さくなり、入射光LT1~LT3が境界面23で全反射しやすくなる。すなわち、光ファイバ80からの入射光LT1~LT3が全て境界面23で全反射するためには、最小入射角θmin>臨界角θcであればよい。一方、光ファイバ80からの入射光LT1~LT3の少なくとも一部が境界面23で全反射するためには、最大入射角θmax>臨界角θcであればよい。
【0040】
図4に示す縦断面において、境界面23の傾斜角θb(光ファイバ80の中心軸Oと光路変更部材20の境界面23とが成す鋭角)を、上述した式(1)の範囲内とすることにより、最大入射角θmax>臨界角θcとして、光ファイバ80からの入射光LT1~LT3の少なくとも一部を、境界面23で全反射させることができる。
【0041】
例えば、境界面23の傾斜角θbが式(1)の下限値(0°)に近づけば近づくほど、最小入射角θmin、入射角θ1、最大入射角θmaxの各実際値は、それぞれ大きくなる。このため、最小入射角θmin>臨界角θcを満たすことができ、光ファイバ80からの全ての入射光LT1~LT3が境界面23において全反射し、光照射デバイス1の側方に光LTとして照射される(
図4)。
【0042】
一方、境界面23の傾斜角θbが式(1)の上限値(π/2+[arcsin(NA/n1)]-[arcsin(n2/n1)]°)に近づけば近づくほど、最小入射角θmin、入射角θ1、最大入射角θmaxの各実際値は、それぞれ小さくなる。しかし、傾斜角θbが式(1)の上限値以下である限りにおいて、最大入射角θmax>臨界角θcを満たすことができるため、最大入射角θmaxの入射光LT1は、境界面23において全反射し、光照射デバイス1の側方に光LTとして照射される。なお、この場合、最小入射角θmin及び入射角θ1の入射光LT3,LT2は、境界面23において全反射せず、屈折する。
【0043】
このように、本実施形態の光照射デバイス1によれば、境界面23の傾斜角θbを式(1)の範囲内とすることにより、光ファイバ80から境界面23に入射した光LT1~LT3の一部または全部を全反射させて、光照射デバイス1の側方に照射することができる。
【0044】
次に、光源3により発生させるレーザ光を、可視光を含む全ての光とした場合と、赤外光とした場合それぞれの傾斜角θbの実際値について検討する。ここで「可視光」とは、波長λが、380nm<波長λ<780nmの光を意味し、「赤外光」とは、波長λが、780nm<波長λ<1mmの光を意味する。
【0045】
図5及び
図6は、可視光を含む全ての光を用いる場合の境界面の傾斜角θbについて説明する図である。現在、流通している光ファイバ80の開口数NAは、モード(シングルモード、マルチモード)の別を問わず、0.1以上かつ0.5以下である。また、可視光を含む全ての光を透過可能な光路変更部材20(基端側部材21、先端側部材22)の屈折率は、1.3以上かつ2.0以下である必要がある。これらを踏まえて、ここでは、次の条件a1,a2を前提条件とする。
(条件a1)0.1≦NA≦0.5
(条件a2)1.3≦n2<n1≦2.0
【0046】
図5には、条件a1,a2の範囲内において、基端側部材21の屈折率n1と、先端側部材22の屈折率n2と、光ファイバ80の開口数NAとを変化させつつ、式(1)により求めた境界面23の傾斜角θbを図示している。なお、
図5では、小数点第2位までを表示している。項番1~6では、光ファイバ80の開口数NAを上限値の0.5とし、項番7~12では、光ファイバ80の開口数NAを下限値の0.1とした。項番1~3、及び項番7~9では、基端側部材21の屈折率n1を上限値2に固定し、先端側部材22の屈折率n2を条件a2の範囲内で変化させた。項番4~6、及び項番10~12では、先端側部材22の屈折率n2を下限値1.3に固定し、基端側部材21の屈折率n1を条件a2の範囲内で変化させた。
【0047】
図5の項番1,6(太枠)に示すように、開口数NAが上限値0.5であり、かつ、基端側部材21の屈折率n1と先端側部材22の屈折率n2との差(n1-n2)が最も大きい場合に、境界面23の傾斜角θbの上限値が得られることが分かった。また、境界面23の傾斜角θbの上限値は、63.93°であることが分かった。一方、
図5の項番9(太枠)に示すように、開口数NAが下限値0.1であり、かつ、基端側部材21の屈折率n1と先端側部材22の屈折率n2との差(n1-n2)が最も小さい場合に、境界面23の傾斜角θbの下限値が得られることが分かった。また、境界面23の傾斜角θbの下限値は、8.59°であることが分かった。
【0048】
図6は、項番4~6(NA=0.5、かつ、n2=1.3)において、基端側部材21の屈折率n1をより詳細に変化させた場合の、境界面23の傾斜角θbの値の変化を示すグラフである。
図5及び
図6の例では、開口数NA、及び屈折率n1,n2のそれぞれについて、小数点第2位までを用いているため、得られる傾斜角θbが厳密な値ではない。この点を踏まえれば、
図5及び
図6の結果から、可視光を含む全ての光の少なくとも一部を境界面23において全反射させる場合、境界面23の傾斜角θbは、0°<θb<64°であることが好ましいと言える。
【0049】
図7及び
図8は、赤外光を用いる場合の境界面の傾斜角θbについて説明する図である。上記の通り、現在、流通している光ファイバ80の開口数NAは、モードの別を問わず、0.1以上かつ0.5以下である。また、赤外光を透過可能な光路変更部材20(基端側部材21、先端側部材22)の屈折率は、1.3以上かつ4.0以下である必要がある。これらを踏まえて、ここでは、次の条件b1,b2を前提条件とする。
(条件b1)0.1≦NA≦0.5
(条件b2)1.3≦n2<n1≦4.0
【0050】
図7には、条件b1,b2の範囲内において、基端側部材21の屈折率n1と、先端側部材22の屈折率n2と、光ファイバ80の開口数NAとを変化させつつ、式(1)により求めた境界面23の傾斜角θbを図示している。なお、
図7では、小数点第2位までを表示している。項番21~26では、光ファイバ80の開口数NAを上限値の0.5とし、項番27~32では、光ファイバ80の開口数NAを下限値の0.1とした。項番21~23、及び項番27~29では、基端側部材21の屈折率n1を上限値4に固定し、先端側部材22の屈折率n2を条件b2の範囲内で変化させた。項番24~26、及び項番30~32では、先端側部材22の屈折率n2を下限値1.3に固定し、基端側部材21の屈折率n1を条件b2の範囲内で変化させた。
【0051】
図7の項番21,26(太枠)に示すように、開口数NAが上限値0.5であり、かつ、基端側部材21の屈折率n1と先端側部材22の屈折率n2との差(n1-n2)が最も大きい場合に、境界面23の傾斜角θbの上限値が得られることが分かった。また、境界面23の傾斜角θbの上限値は、78.21°であることが分かった。一方、
図7の項番29(太枠)に示すように、開口数NAが下限値0.1であり、かつ、基端側部材21の屈折率n1と先端側部材22の屈折率n2との差(n1-n2)が最も小さい場合に、境界面23の傾斜角θbの下限値が得られることが分かった。また、境界面23の傾斜角θbの下限値は、5.48°であることが分かった。
【0052】
図8は、項番24~26(NA=0.5、かつ、n2=1.3)において、基端側部材21の屈折率n1をより詳細に変化させた場合の、境界面23の傾斜角θbの値の変化を示すグラフである。
図7及び
図8の例では、開口数NA、及び屈折率n1,n2のそれぞれについて、小数点第2位までを用いているため、得られる傾斜角θbが厳密な値ではない。この点を踏まえれば、
図7及び
図8の結果から、780nm<波長λ<1mmの赤外光の少なくとも一部を境界面23において反射させる場合、境界面23の傾斜角θbは、0°<θb<79°であることが好ましいと言える。
【0053】
図9は、境界面の傾斜角θbに応じた反射光及び屈折光について説明する図である。
図9(A)には、入射光の全てが境界面23で全反射する様子を示し、
図9(B)には、入射光の一部分が境界面23で全反射する様子を示す。
図9(A)に示すように、境界面23の傾斜角θbが小さいほど、光路変更部材20への入射光LTaの全てが境界面23で全反射する。一方、
図9(B)に示すように、境界面23の傾斜角θbが大きくなれば、最小入射角θminに近い入射光LTbは境界面23で全反射せず、屈折する。境界面23で全反射しない入射光LTbの割合は、境界面23の傾斜角θbが大きくなるにつれ、多くなる。このような全反射が起こる境界面23の傾斜角θbの上限値は、
図5~
図8で説明した通り、可視光を含む全ての光の場合64°であり、赤外光の場合79°である。
【0054】
以上説明した通り、第1実施形態の光照射デバイス1によれば、光路変更部材20は、基端側部材21と先端側部材22とが互いに接触した境界面23であって、光ファイバ80の中心軸Оの垂直面(
図1のA-A線に沿ったYZ平面)に対して傾斜した境界面23を有しており、この境界面23によって、光ファイバ80から入射した光の光路を変更する。このため、光ファイバ80を湾曲させることなく、換言すれば、光ファイバ80を湾曲させた場合に生じる光損失を抑制しつつ、光ファイバ80からの光を光照射デバイス1の中心軸Оと交差する方向に照射することができる。また、光ファイバ80から入射した光の光路を変更する境界面23は、基端側部材21と先端側部材22とが互いに接触した面である。このため、光照射デバイス1を例えば血管内に挿入した場合であっても血管の空気塞栓の虞がない。また、基端側部材21と先端側部材22とは、共に光透過性を有する部材により構成されているため、基端側部材21や先端側部材22が光を吸収して、発熱する虞がない。さらに、光照射デバイス1の内部に血液が浸入した場合であっても、空気が血液に置換されることがないため、吸光により血液が加熱、及び血液の凝固が生じる虞を低減できる。このため、安全性に優れる。さらに、光路変更部材20は、境界面23の先端側に先端側部材22を有するため、先端側部材22の先端部24を安全性の高い形状(例えば、
図4に示すような、角部にRが付与された湾曲形状)とすることにより、生体管腔内に挿入される光照射デバイス1の安全性をより向上できる。さらに、光路変更部材20は、境界面23の先端側に先端側部材22を有するため、光路変更部材20の先端側の強度を向上させることができ、光路変更部材20の破損を抑制できる。
【0055】
また、第1実施形態の光照射デバイス1によれば、光ファイバ80から入射した光の光路を変更する境界面23は、光ファイバ80の中心軸Оの垂直面(
図1のA-A線に沿ったYZ平面)に対して傾斜した平面である。このため、境界面23の傾斜角θbを調整することにより容易に、光ファイバ80から入射した光を境界面23で全反射させることができる。また、境界面23のうち、少なくとも光ファイバ80からの光が照射される一部分を平面とすることにより、光照射デバイス1内における光ファイバ80の軸ずれの影響を受けづらく、かつ、基端側部材21と先端側部材22との製造を容易にできる。
【0056】
さらに、第1実施形態の光照射デバイス1によれば、境界面23の先端側に配置された先端側部材22の先端部24は、角部にRが付与された湾曲形状を有しているため、例えば、光学素子を基端側から先端側に向かって尖った形状にする場合と比較して、光照射デバイス1の安全性を向上できる。
【0057】
<第2実施形態>
図10は、第2実施形態の光照射デバイス1AのA-A線(
図1)における横断面構成を例示した説明図である。第2実施形態の光照射デバイス1Aは、第1実施形態の構成において、光路変更部材20に代えて光路変更部材20Aを備える。光路変更部材20Aは、図示のように、基端側から先端側にかけて略一定の外径を有する中実の略四角柱形状の部材である。光路変更部材20Aは、先端側部材22Aと、基端側部材21Aとを含んでいる。先端側部材22A及び基端側部材21Aの構成は、形状を除いて第1実施形態と同様である。
【0058】
このように、光路変更部材20Aの構成は種々の変更が可能であり、略円柱形状以外の他の形状を有していてもよい。光路変更部材20Aの形状は、
図10に示す略四角柱形状であってもよく、略多角柱形状であってもよい。また、基端側部材21Aと、先端側部材22Aとの一方が第1実施形態で説明した形状を有し、他方が第2実施形態で説明した形状を有していてもよい。以上のような第2実施形態の光照射デバイス1Aによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第2実施形態の光照射デバイス1Aによれば、境界面23により反射された反射光LTの出射面を、
図10に示すように平面とできるため、出射光を分散できる。
【0059】
<第3実施形態>
図11は、第3実施形態の光照射デバイス1Bの構成を例示した説明図である。第3実施形態の光照射デバイス1Bは、第1実施形態の構成において、光路変更部材20に代えて光路変更部材20Bを備える。光路変更部材20Bは、先端側に配置された先端側部材22Bと、基端側に配置された基端側部材21Bとが互いに接触することにより、境界面23Bを形成している。
【0060】
境界面23Bは、YZ軸方向において、中央部分が平面であり、かつ、外周部分が曲面である。ここで、「中央部分」とは、光ファイバ80からの入射光LT1(最大入射角θmaxの光)、LT2(軸線Oと並行な光)、及びLT3(最小入射角θminの光)が照射される部分を意味する。「外周部分」とは、光ファイバ80からの入射光LT1~LT3が照射されない部分を意味する。すなわち、第3実施形態の境界面23Bは、光ファイバ80から光が照射される部分は全て、光ファイバ80の中心軸Oの垂直面に対して傾斜した平面である。なお、
図11では、境界面23Bの傾斜角θbを表すために、境界面23Bの平面部分からの仮想線VLを図示している。
【0061】
このように、光路変更部材20Bの構成は種々の変更が可能であり、光路変更部材20Bは、境界面23Bのうち、少なくとも光ファイバ80の光LT1~LT3が照射される一部分(中央部分)が平面であり、光LT1~LT3が照射されない他の部分は曲面であってもよい。以上のような第3実施形態の光照射デバイス1Bによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第3実施形態の光照射デバイス1Bによれば、基端側部材21Bと先端側部材22Bとの接触面積を増大させることができるため、より破損しづらい光路変更部材20Bを提供できる。
【0062】
<第4実施形態>
図12は、第4実施形態の光照射デバイス1Cの構成を例示した説明図である。第4実施形態の光照射デバイス1Cは、第1実施形態の構成において、シャフト10に代えてシャフト10Cを備え、光路変更部材20に代えて光路変更部材20Cを備える。シャフト10Cは、光路変更部材20を覆う光透過部11(
図1)を備えておらず、光路変更部材20Cは外部に露出している。図示の例では、シャフト10C(本体部12)の外径Φ10は、光路変更部材20Cの外径Φ20と等しい。なお「等しい」とは、製造誤差に起因する相違を許容する意味である。外径Φ10と外径Φ20とは相違していてもよい。
【0063】
このように、シャフト10C及び光路変更部材20Cの構成は種々の変更が可能であり、シャフト10Cは光路変更部材20Cを覆っておらず、光路変更部材20Cは外部に露出していてもよい。以上のような第4実施形態の光照射デバイス1Cによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第4実施形態の光照射デバイス1Cによれば、光透過部11を透過させないため、光透過部11を透過することによる光損失を抑制することができ、光照射デバイス1Cから生体組織に照射される光の光出力を大きくすることができる。
【0064】
<第5実施形態>
図13は、第5実施形態の光照射デバイス1Dの構成を例示した説明図である。第5実施形態の光照射デバイス1Dは、第4実施形態の構成において、光路変更部材20Cに代えて光路変更部材20Dを備える。
図13に示すように、光路変更部材20Dは、半球状の先端側部材22Dと、半球状の基端側部材21Dとにより構成された略球状である。このため、基端側部材21Dの外周面のうち、境界面23で反射した反射光LTcが通過する領域25は、球面形状である。
図13に示すように、境界面23で反射した反射光LTcは、球面形状の領域25において屈折して、集光する。なお、図示の例では、シャフト10C(本体部12)の外径Φ10は、光路変更部材20の外径Φ20Dよりも小さい。しかし、外径Φ10と外径Φ20Dとは同じでもよく、外径Φ10は、外径Φ20Dより大きくてもよい。
【0065】
このように、光路変更部材20Dの構成は種々の変更が可能であり、光路変更部材20Dは略球状であってもよい。以上のような第5実施形態の光照射デバイス1Dによっても、上述した第1、及び第4実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第5実施形態の光照射デバイス1Dによれば、基端側部材21Dの外周面のうち、境界面23で反射した反射光LTcが通過する領域25は、球面形状を有しているため、球面を通過した反射光LTcを集光することができる。この結果、光照射デバイス1Dから生体組織に照射される光の光出力を大きくすることができる。さらに、光路変更部材20Dは略球状であるため、生体組織を傷付ける虞をさらに低減することができ、安全性をより向上できる。なお、
図13の例では、球面形状の領域25を用いて反射光LTcを集光したが、球面形状の領域25を用いて反射光LTcをコリメート(平行状態になるよう光学調整)をしてもよい。このように、第5実施形態の光照射デバイス1Dによれば、生体組織に照射される光の照射範囲を制御できる。
【0066】
<第6実施形態>
図14は、第6実施形態の光照射デバイス1Eの構成を例示した説明図である。第6実施形態の光照射デバイス1Eは、第4実施形態の構成において、光路変更部材20Cに代えて光路変更部材20Eを備える。
図14に示すように、光路変更部材20Eは、基端側部材21に代えて基端側部材21Eを備える。基端側部材21Eは、境界面23による反射光が通過する側(
図14:-Y軸方向)の外周面が、球面形状に突出した突出部26とされている。境界面23で反射した反射光は、
図13と同様に、突出部26の表面において屈折して、集光する。
【0067】
このように、光路変更部材20Eの構成は種々の変更が可能であり、光路変更部材20Eの基端側部材21Eは、球面形状に突出した突出部26を有していてもよい。図示の例では、突出部26は、基端側部材21Eの外周面の一部分(
図14:-Y軸方向)にのみ設けられるとしたが、突出部26は、基端側部材21Eの外周面の全体に設けられていてもよい。以上のような第6実施形態の光照射デバイス1Eによっても、上述した第1、第4、及び第5実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0068】
<第7実施形態>
図15は、第7実施形態の光照射デバイス1Fの構成を例示した説明図である。第7実施形態の光照射デバイス1Fは、第1実施形態の構成において、光路変更部材20に代えて光路変更部材20Fを備え、さらに先端チップ32を備えている。光路変更部材20Fは、先端側部材22に代えて先端側部材22Fを備える。先端側部材22Fは、先端部が湾曲形状を有しておらず、先端側部材22Fの先端部は、光ファイバ80の中心軸Oの垂直面に平行な平面である。先端チップ32は、先端側部材22Fの先端部と、シャフト10(光透過部11)の先端部とを接合して、一体的に保持している。先端チップ32は、柔軟性を有することが好ましく、例えば、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー等の樹脂材料により形成できる。なお、先端チップ32は、放射線不透過性の材料により形成されてもよい。
【0069】
このように、光照射デバイス1Fの構成は種々の変更が可能であり、シャフト10と、光路変更部材20Fとを接合すると共に、シャフト10及び光路変更部材20Fよりも先行して生体管腔内を進行する先端チップ32を備えていてもよい。先端チップ32は、
図15に示すように、樹脂部材のみにより構成されてもよく、素線を螺旋状に巻回したコイル体と樹脂部材との組み合わせにより構成されてもよい。以上のような第7実施形態の光照射デバイス1Fによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第7実施形態の光照射デバイス1Fによれば、光照射デバイス1Fの安全性をより向上できる。
【0070】
<第8実施形態>
図16は、第8実施形態の光照射デバイス1Gの構成を例示した説明図である。第8実施形態の光照射デバイス1Gは、第1実施形態の構成において、シャフト10に代えてシャフト10Gを備え、さらにマーカー33を備えている。シャフト10Gは、光透過部11に代えて光透過部11Gを備えている。光透過部11Gの肉厚部には、周方向(YZ軸方向)を取り囲むようにして、放射線不透過性を有するマーカー33が埋設されている。マーカー33は、X線画像下において、光照射デバイス1Gの先端部を識別するために用いられる。このため、マーカー33は、光透過部11Gの先端側の一部分に設けられることが好ましい。
【0071】
マーカー33は、放射線不透過性を有する樹脂材料や金属材料により形成できる。例えば、樹脂材料を用いる場合、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等に対して、三酸化ビスマス、タングステン、硫酸バリウム等の放射線不透過材料を混ぜることにより、マーカー33を形成できる。例えば、金属材料を用いる場合、放射線不透過材料である金、白金、タングステン、またはこれらの元素を含む合金(例えば、白金ニッケル合金)等により、マーカー33を形成できる。
【0072】
このように、光照射デバイス1Gの構成は種々の変更が可能であり、マーカー33を備えていてもよい。マーカー33の形状は種々の変更が可能であり、
図16に示す環状のほか、螺旋形状、スリット状、網状等を採用できる。また、光透過部11Gの先端部とは異なる場所(例えば、光透過部11Gの基端部、本体部12の先端部、本体部12の略中央部等)に第2、第3のマーカーを設けてもよい。以上のような第8実施形態の光照射デバイス1Gによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第8実施形態の光照射デバイス1Gによれば、X線画像下において光照射デバイス1Gの先端部を識別することができるため、光照射デバイス1Gの使い勝手を向上できる。
【0073】
<第9実施形態>
図17は、第9実施形態の光照射デバイス1Hの構成を例示した説明図である。第9実施形態の光照射デバイス1Hは、第1実施形態の構成において、シャフト10に代えてシャフト10Hを備え、さらにコイル体40を備えている。シャフト10Hは、本体部12に代えて本体部12Hを備えている。本体部12Hの肉厚部には、コイル体40が埋設されている。
【0074】
コイル体40は、長尺状の素線41を周方向(YZ軸方向)に螺旋状に巻回することにより形成されている。
図17の例では、コイル体40は、1本の素線41を単条に巻回して形成される単条コイルである。しかし、コイル体40は、複数本の素線41を多条に巻回して形成される多条コイルであってもよく、複数本の素線を撚り合せた撚線を単条に巻回して形成される単条撚線コイルであってもよく、複数本の素線を撚り合せた撚線を複数用い、各撚線を多条に巻回して形成される多条撚線コイルであってもよい。素線41は、例えば、SUS304、SUS316等のステンレス合金、ニッケルチタン合金等の超弾性合金、ピアノ線、ニッケル-クロム系合金、コバルト合金等の放射線透過性合金、金、白金、タングステン、これらの元素を含む合金(例えば、白金-ニッケル合金)等の放射線不透過性合金で形成できる。素線41の線径と、コイル体40の外径及び内径とは、任意に決定できる。
【0075】
このように、光照射デバイス1Hの構成は種々の変更が可能であり、シャフト10Hを補強するためのコイル体40を備えていてもよい。図示の例では、コイル体40は、本体部12Hの肉厚部に埋設されているとした。しかし、コイル体40は、光透過部11の肉厚部に埋設されていてもよく、光透過部11と本体部12Hとの両方に埋設されていてもよい。また、コイル体40に代えて、素線41を網目織りにしたメッシュ体を備えてもよい。以上のような第9実施形態の光照射デバイス1Hによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第9実施形態の光照射デバイス1Hによれば、コイル体40を備えることによって、光照射デバイス1Hのトルク伝達性や、耐久性を向上することができる。
【0076】
<第10実施形態>
図18は、第10実施形態の光照射デバイス1Iの構成を例示した説明図である。
図19は、
図18のC-C線における横断面構成を例示した説明図である。第10実施形態の光照射デバイス1Iは、第1実施形態の構成において、さらにコア50を備えている。コア50は、光照射デバイス1Iのたわみを抑制する補強部材である。コア50は、軸線Oに沿って延びる長尺状の素線であり、本体部12の内側において、光ファイバ80と並んで配置されている(
図19)。コア50は、強化プラスチック(PEEK)等の任意の硬質樹脂材料により形成されてもよく、SUS304、SUS316等のステンレス合金、ニッケルチタン合金等の超弾性合金、ピアノ線、ニッケル-クロム系合金、コバルト合金等の放射線透過性合金により形成されてもよい。
【0077】
このように、光照射デバイス1Iの構成は種々の変更が可能であり、光照射デバイス1Iのたわみを抑制するための補強部材(コア50)を備えていてもよい。コア50は、1本でもよく、複数本でもよい。また、コア50は、図示のような中実の素線であってもよく、中空のチューブ体であってもよい。以上のような第10実施形態の光照射デバイス1Iによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第10実施形態の光照射デバイス1Iによれば、コア50を備えることによって、光照射デバイス1Iのたわみを抑制できることに加えて、光照射デバイス1Iのトルク伝達性や、耐久性を向上することができる。
【0078】
<第11実施形態>
図20は、第11実施形態の光照射デバイス1Jの構成を例示した説明図である。第11実施形態の光照射デバイス1Jは、第1実施形態の構成において、シャフト10に代えてシャフト10Jを備える。シャフト10Jは、光透過部11に代えて光透過部11Jを備え、本体部12に代えて本体部12Jを備える。本体部12Jの先端側は、光路変更部材20の外周面の一部分(具体的には、光透過部11Jを除く部分)を覆っている。光透過部11Jは、本体部12Jの先端側であって、本体部12Jが光路変更部材20の外周面を覆っている部分のうち、境界面23で反射した反射光が通過する部分に形成された開口である。光照射デバイス1Jでは、境界面23で反射した反射光は、本体部12Jの開口(すなわち光透過部11J)を介して、外部へと照射される。
【0079】
このように、シャフト10Jの構成は種々の変更が可能であり、光透過部11Jは、本体部12Jに形成された開口であってもよい。また、本体部12Jに開口を形成することに代えて、本体部12Jを光透過性の樹脂材料により形成し、本体部12Jの一部分を光透過部11Jとして機能させてもよい。また、本体部12Jに開口を形成することに代えて、本体部12Jに薄肉部(肉厚の薄い部分)を形成し、薄肉部を光透過部11Jとして機能させてもよい。以上のような第11実施形態の光照射デバイス1Jによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第11実施形態の光照射デバイス1Jによれば、シャフト10Jを種々の構成とできる。
【0080】
<第12実施形態>
図21は、第12実施形態の光照射デバイス1Kの構成を例示した説明図である。
図22は、
図21のD-D線における横断面構成を例示した説明図である。第12実施形態の光照射デバイス1Kは、第1実施形態の構成において、さらにインナーシャフト60を備えている。インナーシャフト60は、光照射デバイス1Kに対して、ガイドワイヤ等の併用デバイスを挿通させるためのデバイスルーメン60Lを構成する部材である。インナーシャフト60は、軸線Oに沿って延びると共に、基端側から先端側にかけて略一定の外径を有する略円筒形状の部材である。インナーシャフト60は、光透過部11及び本体部12の内側において、光ファイバ80と並んで配置されている(
図21)。インナーシャフト60は、抗血栓性、可撓性、生体適合性を有することが好ましく、例えば本体部12と同様の材料により形成できる。
【0081】
このように、光照射デバイス1Kの構成は種々の変更が可能であり、デバイスルーメン60Lを備えていてもよい。
図21の例では、1つのデバイスルーメン60Lを例示したが、光照射デバイス1Kは複数のデバイスルーメン60Lを備えていてもよい。以上のような第12実施形態の光照射デバイス1Kによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第12実施形態の光照射デバイス1Kによれば、デバイスルーメン60Lの先端開口61からガイドワイヤをデバイスルーメン60Lに挿通させることができるため、ガイドワイヤを用いて光照射デバイス1Kを容易にデリバリできる。この結果、光照射デバイス1Kの使い勝手を向上できる。
【0082】
<第13実施形態>
図23は、第13実施形態の光照射デバイス1Mの構成を例示した説明図である。第13実施形態の光照射デバイス1Mは、第1実施形態の構成において、さらに離間部90を備える。離間部90は、光照射デバイス1Mの長手方向において、光ファイバ80と、光路変更部材20との間に配置された、光透過性を有する部分である。離間部90は、光ファイバ80から入射した光を、光路変更部材20へと伝達する。
図23の例では、離間部90は、空気の層である。しかし、離間部90は、光透過性を有する限りにおいて任意の材料を用いることができ、空気以外の気体や、液体や、光透過性樹脂等により形成できる。また、離間部90の隣接面(すなわち、基端側部材21の基端面と、コア81の先端面とは、共に、光ファイバ80の中心軸に対して垂直な面とされることが好ましい。
【0083】
このように、光照射デバイス1Mの構成は種々の変更が可能であり、光ファイバ80と光路変更部材20との間には、離間部90が設けられてもよい。図示の例では、離間部90は本体部12の内側に設けられているが、離間部90は光透過部11の内側に設けられてもよい。以上のような第13実施形態の光照射デバイス1Mによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第13実施形態の光照射デバイス1Mによれば、離間部90に気体や液体といった、剛性が相対的に低い材料を用いた場合に、離間部90が設けられた部分を変形しやすくできる。このため、湾曲した生体管腔内における光照射デバイス1Mの追従性を向上できる。
【0084】
さらに、離間部90に光透過性樹脂等を用いた場合には、離間部90を設けない場合と比較して、光照射デバイス1Mの剛性ギャップを小さくできる。具体的には、離間部90を設けない場合は、光ファイバ80と光路変更部材20との境界で光照射デバイス1の剛性が変化する。一方、本実施形態の場合は、光ファイバ80と離間部90との境界で光照射デバイス1Mの剛性が変化し、離間部90と光路変更部材20との境界で光照射デバイス1Mの剛性が変化する。このため、離間部90の剛性を、光ファイバ80の剛性と、光路変更部材20の剛性との中間とすることで、光照射デバイス1Mの剛性を徐変できる。この結果、光照射デバイス1Mが湾曲した際の応力集中を抑制することができ、光照射デバイス1Mの破損を抑制できる。また、光照射デバイス1Mが湾曲した際の、光照射デバイス1Mの変形量を大きくすることができるため、湾曲した生体管腔内における光照射デバイス1Mの追従性を向上できる。
【0085】
<第14実施形態>
図24は、第14実施形態の光照射デバイス1Nの構成を例示した説明図である。第14実施形態の光照射デバイス1Nは、第13実施形態の構成において、離間部90に代えて離間部90Nを備える。離間部90Nは、光路変更部材20に隣接して配置された第1離間部91と、光ファイバ80に隣接して配置された第2離間部92とを含む。
【0086】
第1離間部91と、第2離間部92とは、光透過性を有する限りにおいて、任意の材料で形成できる。第1離間部91と、第2離間部92とは、光第13実施形態と同様に、空気、空気以外の気体、液体、光透過性樹脂等により形成してよい。なお、第13実施形態で説明したように、光照射デバイス1Nの剛性ギャップを小さくするという観点から、第1離間部91の剛性は、光路変更部材20の剛性と、第2離間部92の剛性との中間値であることが好ましい。同様に、第2離間部92の剛性は、第1離間部91の剛性と、光ファイバ80の剛性との中間値であることが好ましい。
【0087】
図示の例では、第1離間部91と、第2離間部92とは、それぞれ略円柱状の部材であり、第1離間部91及び第2離間部92の境界面は、光ファイバ80の中心軸に対して垂直である。しかし、第1離間部91と、第2離間部92とは、任意の形状とでき、第1離間部91及び第2離間部92の境界面は、光ファイバ80の中心軸の垂直面に対して傾斜した面であってもよい。以上のような第14実施形態の光照射デバイス1Nによっても、上述した第1、及び13実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0088】
<第15実施形態>
図25は、第15実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。光照射システムは、第1実施形態で説明した光照射デバイス1と、カテーテル2とを備えている。カテーテル2は、長尺管形状であり、本体部210と、先端チップ220と、コネクタ240とを備えている。
【0089】
本体部210は、軸線Oに沿って延びる長尺状の部材であり、先端と基端との両端部が開口した中空の略円筒形状である。本体部210は、内側にルーメン210Lを有している。ルーメン210Lの径Φ2は、光照射デバイス1の外径Φ1よりも大きい。ルーメン210Lは、カテーテル2のデリバリ時には、カテーテル2に対してガイドワイヤ等の併用デバイスを挿通させるためのガイドワイヤルーメンとして機能する。ルーメン210Lは、カテーテル2のデリバリ後においては、カテーテル2に対して光照射デバイス1を挿通させるためのデバイスルーメンとして機能する。本体部210は、光照射デバイス1の光透過部11と同様に、樹脂材料や金属材料で形成できる。
【0090】
先端チップ220は、本体部210の先端に接合されて、他の部材よりも先行して生体管腔内を進行する部材である。先端チップ220は、カテーテル2の生体管腔内での進行をスムーズにするために、基端側から先端側にかけて縮径した外側形状を有している。先端チップ220の略中央部分には、軸線O方向に先端チップ220を貫通する貫通孔201が形成されている。ここで、貫通孔201の径Φ3は、本体部210のルーメン210Lの径Φ2よりも小さい。このため、本体部210と先端チップ220との境界では、先端チップ220の内表面220iが突出することによる段差が形成されている。貫通孔201は、カテーテル2に対してガイドワイヤ(図示省略)を挿通する際に使用される。先端チップ220の外径及び長さは任意に決定できる。先端チップ220は、光照射デバイス1の先端チップ32と同様に、柔軟性を有する樹脂材料により形成できる。
【0091】
本体部210には、さらに、光透過部239と、マーカー231,232とが設けられている。光透過部239は、本体部210の内部の光を、外部に透過させる。光透過部239は、中空の略円筒形状の部材であり、本体部210の外径と略同一の外径を有し、本体部210のルーメン210Lの径Φ2と略同一の内径を有している。換言すれば、光透過部239は、周方向(YZ軸方向)の全体に設けられ、周方向の全体において本体部210の内部の光を外部に透過させる。光透過部239は、基端側と先端側とにおいて、それぞれ本体部210に接合されている。光透過部239は、光透過性を有する透明な樹脂材料、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等により形成できる。
【0092】
マーカー231,232は、光透過部239の位置を表す目印として機能する。マーカー231は、光透過部239の先端部に近接して設けられており、光透過部239の先端部の位置を表す目印として機能する。マーカー232は、光透過部239の基端部に近接して設けられており、光透過部239の基端部の位置を表す目印として機能する。マーカー231,232は、それぞれ、本体部210の周方向を取り囲むようにして、本体部210の外表面に埋設されている。マーカー231,232は、放射線不透過性を有する樹脂材料や金属材料により形成できる。
【0093】
コネクタ240は、カテーテル2の基端側に配置され、術者によって把持される部材である。コネクタ240は、任意の樹脂材料等で形成できる。
【0094】
第
15実施形態の光照射システムの使用方法について説明する。まず、術者は、生体管腔内にガイドワイヤを挿入する。次に術者は、ガイドワイヤの基端側を、
図25に示すカテーテル2の貫通孔201からルーメン210Lへと挿通し、コネクタ240の基端から突出させる。次に術者は、ガイドワイヤに沿わせてカテーテル2を生体管腔内に押し進め、カテーテル2の光透過部239を、光照射の目的部位までデリバリする。このように、ルーメン210Lにガイドワイヤを挿通することによって、術者は、カテーテル2を生体管腔内の目的部位まで容易にデリバリできる。また術者は、X線画像において、光透過部239の近傍に配置されたマーカー231,232の位置を確認することで、生体管腔内において、カテーテル2の光透過部239を容易に位置決めできる。その後、術者は、カテーテル2からガイドワイヤを抜去する。
【0095】
次に術者は、カテーテル2のコネクタ240の基端から、光照射デバイス1を挿入する。術者は、カテーテル2のルーメン210Lに沿わせて、光照射デバイス1をカテーテル2の先端側へと押し進める。光照射デバイス1は、光透過部11の先端部が、先端チップ220の内表面220iの段差に当接することによって、光透過部239が、光透過部11を介して光路変更部材20の基端側部材21の外周面を覆う位置に位置決めされる。その後、術者は光源3を動作させる。光源3から発生したレーザ光は、光照射デバイス1の光ファイバ80から、光路変更部材20へと入射し、境界面23で反射する。境界面23で反射した反射光は、光透過部11を透過し、さらにカテーテル2の光透過部239を透過して、光照射デバイス1及びカテーテル2の側方から、生体組織へと照射される。
【0096】
このように、光照射デバイス1は、光照射デバイス1からの光を外部へと透過させる光透過部239を備えるカテーテル2と組み合わせて使用されてもよい。
図25で示したカテーテル2の構成は一例にすぎず、種々の変形が可能である。また、光照射デバイス1は、内視鏡等の他の医療デバイスと組み合わせて使用されてもよい。以上のような第15実施形態の光照射システムによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第15実施形態の光照射システムによれば、光照射デバイス1と、光照射デバイス1の境界面23で反射した光を透過させる光透過部239を有するカテーテル2とを個別に備えるため、デバイス設計の自由度を向上できると共に、手技の幅を拡げることができる。
【0097】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0098】
[変形例1]
上記第1~第15実施形態では、光照射デバイス1,1A~1K,1M,1Nの構成の一例を示した。しかし、光照射デバイス1の構成は種々の変更が可能である。例えば、シャフト10の外周面には、親水性又は疎水性の樹脂からなるコーティングが施されていてもよい。そうすれば、生体管腔内における光照射デバイス1の滑り性を向上できる。また、シャフト10の外周面には、ヘパリンなどの抗血栓性材料からなるコーティングが施されていてもよい。そうすれば、レーザ光の照射に伴う血栓付着によるレーザ出力の低下を抑制できる。
【0099】
例えば、光照射デバイス1は径方向に拡縮可能な拡縮部を備えていてもよい。拡縮部としては、例えば、柔軟性を有する薄膜からなるバルーンや、素線を網目状にしたメッシュ体を用いることができる。拡縮部は、光照射デバイス1の光透過部11の先端側と基端側との少なくとも一方に設けられ得る。このようにすれば、生体管腔内における光照射デバイス1の位置決めの後、拡縮部を拡張することによって、生体管腔内において光照射デバイス1を固定することができる。また、拡縮部としてバルーンを用いれば、光照射箇所における血流を遮断することができるため、血流による光の遮断を抑制できる。
【0100】
[変形例2]
第1~第15実施形態の光照射デバイス1,1A~1K,1M,1N及びカテーテル2の構成、及び上記変形例1の光照射デバイス1,1A~1K,1M,1Nの構成は、適宜組み合わせてもよい。例えば、第2~第14実施形態の光照射デバイス1A~1K,1M,1Nと、第15実施形態のカテーテル2とを組み合わせて光照射システムを構成してもよい。例えば、第2,第3実施形態の光路変更部材20A,20Bを、第7~第14実施形態の構成の光照射デバイス1F~1K,1M,1Nに適用してもよい。例えば、第4~第6実施形態の光路変更部材20C~20Eは、第1実施形態と同様に、シャフト10により覆われていてもよい。
【0101】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0102】
1,1A~1K,1M,1N…光照射デバイス
2…カテーテル
3…光源
10,10C,10G,10H,10J…シャフト
11,11G,11J…光透過部
12,12H,12J…本体部
20,20A~20F…光路変更部材
21,21A,21B,21D,21E…基端側部材
22,22A,22B,22D,22F…先端側部材
23,23B…境界面
24…先端部
26…突出部
31…接合部
32…先端チップ
33…マーカー
40…コイル体
41…素線
50…コア
60…インナーシャフト
80…光ファイバ
81…コア
82…クラッド
90…離間部
91…第1離間部
92…第2離間部
100…光照射部
200…延伸部
201…貫通孔
210…本体部
220…先端チップ
231,232…マーカー
239…光透過部
240…コネクタ