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特許7466663複数の機能を有するピラジン化合物とその製造方法及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】複数の機能を有するピラジン化合物とその製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 241/24 20060101AFI20240405BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 31/4965 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240405BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240405BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240405BHJP
   C07F 7/10 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
C07D241/24 CSP
A61P3/10
A61P25/28
A61P29/00
A61P39/06
A61P39/02
A61P25/16
A61P25/14
A61P25/00
A61P25/04
A61P27/06
A61K31/4965
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/42
A61K47/44
A61K47/04
C07F7/10 T
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022548925
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 CN2021109563
(87)【国際公開番号】W WO2022022677
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】202010759395.9
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010759391.0
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522320084
【氏名又は名称】深▲川▼市橄欖生物医薬科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】謝永美
(72)【発明者】
【氏名】李書鵬
(72)【発明者】
【氏名】楊細飛
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-520791(JP,A)
【文献】国際公開第2012/103813(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108456178(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101362725(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105294666(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107118166(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピラジン化合物、立体異性体、互変異性体、およびそれらの薬学的に許容される塩を以下に示すことを特徴とするピラジン化合物、立体異性体、互変異性体、およびそれらの薬学的に許容される塩
【化1】
【請求項2】
化合物の製造方法であって、製造プロセスを以下に示すことを特徴とする化合物の製造方法。
【化2】
【請求項3】
化合物であって、以下の構造式を有することを特徴とする化合物。
【化3】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年7月31日に中国特許庁に提出された、出願番号CN202010759395.9、発明の名称「複数の機能を有するピラジン化合物及びその製造方法」及び2020年7月31日に中国特許庁に提出された、出願番号CN202010759391.0、発明の名称「医薬品の製造における複数の機能を有するピラジン化合物の使用」という中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、医薬品の技術分野、特に複数の機能を有するピラジン化合物とその製造方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0003】
神経変性疾患(Neurodegenerative diseases、ND)は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病など、ニューロンの段階的な死につながる慢性疾患であり、患者とその家族に大きな苦痛をもたらすことがよくある。人口の高齢化に伴い、2040年までにNDが癌に取って代わり、人の死因の第2位の病気になると予想されているが、現在、神経変性疾患を効果的に治療できる薬剤は世界に一つも存在しない。
【0004】
NDの病態は、酸化ストレス、ミトコンドリア機能障害、Ca2+流入、免疫炎症、オートファジー、金属イオン等と密接に関連している。これは、複数の病因による複雑な疾患である。従来の単一標的で高度に選択的な薬剤開発戦略は、ND新薬開発には奏効しにくい。漢方薬は、複数の標的、毒性や副作用が少なく、相乗効果が優れているという利点があるため、近年、抗ND薬の研究のホットスポットになっている。
【0005】
糖尿病(Diabetes Mellitus、DM)は、主に高血糖を特徴とするインスリン分泌障害またはインスリン利用障害によって引き起こされる生涯にわたる代謝性疾患である。住民の生活水準の向上や食生活の変化に伴い、DMの発生率は年々増加しており、発症年齢は年々若くなりつつある。糖尿病性腎症(Diabetic Nephropathy、DN)は、糖尿病の一般的な慢性合併症の1つであり、糖尿病患者での発生率は約20%~40%であり、後期に糖尿病性腎症患者の約50%は、末期腎不全で死亡する。これは、慢性腎臓病による主要な死因でもある。DNは発病過程が非常に潜行性であり、発症機序は複雑で多様であり、効果的な臨床治療はまだ欠乏している。
【0006】
本発明は、長期にわたる研究を通じて、神経変性疾患や糖尿病に治療効果を有するピラジン化合物を発見した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ピラジン化合物、立体異性体、互変異性体およびそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記ピラジン化合物を式Iに示す。
【化1】


式において、Xは、O、S、SeまたはNRから選択され、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立してH、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、置換または非置換アルキル基、置換または非置換アルケニル基、置換または非置換アルキニル基、置換または非置換シクロアルキル基、置換または非置換複素環式基、置換または非置換アルコキシ基、置換または非置換アルキル基カルボキシル基、置換または非置換アルキル基エステル基、-置換または非置換アルキル基-OH、置換または非置換アルコキシ基、アルキルアミノ基、-置換または非置換アルキル基-NH、置換または非置換アリール基、置換または非置換複素環式アリール基、置換または非置換カーボネート基、カルバメート、-置換または非置換アルキル基-アシル基アミノ基、-置換または非置換アミノ基アルキル基カルボン酸エステル、または上記の重水素化誘導体であり、n=0~6、m=0~5である。
【0009】
好ましくは、nは0、1、2、3、4、5または6であり、mは0、1、2、3、4または5である。
【0010】
上記のピラジン化合物、立体異性体、互変異性体およびそれらの薬学的に許容される塩は、R、RおよびRが独立してメチル基または重水素化メチル基であり、XがO、S、SeまたはNRであり、RがHまたはC-Cアルキル基から選択されることを特徴とする。
【0011】
上記のピラジン化合物、立体異性体、互変異性体およびそれらの薬学的に許容される塩は、n=1、XがO、S、SeまたはNHであり、RがHまたはC~Cアルキル基から選択されることを特徴とする。
【0012】
上記のピラジン化合物、立体異性体、互変異性体およびそれらの薬学的に許容される塩は、XがO、n=1、RがHまたはC~Cアルキル基から選択されることを特徴とする。
【0013】
上記のピラジン化合物、立体異性体、互変異性体およびそれらの薬学的に許容される塩は、前記化合物が以下に示されていることを特徴とする。
【化2】
【0014】
上記のピラジン化合物、立体異性体、互変異性体およびそれらの薬学的に許容される塩は、その薬学的に許容される塩が、前記誘導体と塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸、硝酸、サリチル酸、シュウ酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、C1-6脂肪族カルボン酸、C1-6アルキル基スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸またはカンファースルホン酸の塩であることを特徴とする。
【0015】
本発明はまた、以下の構造式を有する化合物を提供する。
【化3】
【0016】
本発明はまた、以下の構造式を有する化合物を提供する。
【化4】
【0017】
本発明はまた、化合物の製造方法を提供し、製造プロセスは以下の通りである。
【化5】
【0018】
本発明はまた、化合物の製造方法を提供し、製造プロセスは以下の通りである。
【化6】
【0019】
本発明はまた、以下の化合物の製造方法を提供する。
【化7】
【0020】
本発明はまた、治療有効量の1種又は複数種の上記ピラジン化合物、立体異性体、互変異性体、およびそれらの薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0021】
上記のピラジン化合物、立体異性体、互変異性体、およびそれらの薬学的に許容される塩が、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、前頭側頭型痴呆(FTD)、血管性痴呆、HIV関連痴呆、多発性硬化症、進行性脊髄側索硬化症、神経障害性疼痛または緑内障神経変性疾患、糖尿病および関連する糖尿病性合併症、炎症、酸化的損傷、ミトコンドリア病の治療における使用。
【0022】
本発明はまた、治療有効量の1種又は複数種の上記ピラジン化合物、立体異性体、互変異性体、およびそれらの薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0023】
本発明はまた、上記のピラジン化合物、立体異性体、互変異性体、およびそれらの薬学的に許容される塩の、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、前頭側頭痴呆(FTD)、血管性痴呆、HIV関連認知症、多発性硬化症、進行性脊髄側硬化症、神経障害性疼痛または緑内障神経変性疾患、糖尿病および関連する糖尿病合併症、炎症、酸化的損傷、ミトコンドリア病の治療における使用を提供する。
【0024】
本発明によって製造されるピラジン化合物は、糖・脂質代謝を改善し、尿タンパク質を減少させ、神経保護活性を有し、炎症に抵抗し、記憶損傷を改善し、そして酸化的損傷に抵抗し、そして筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対して治療的効果を有し、パーキンソン病、アルツハイマー病を予防及び/又は治療できる。
【0025】
本発明はまた、治療有効量の1種又は複数種の上記のようなピラジン化合物、立体異性体、互変異性体、およびそれらの薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0026】
好ましくは、該医薬組成物はさらに、1種または複数種の医薬的に許容される担体または賦形剤を含む。
【0027】
より好ましくは、該医薬組成物は、他の治療薬をさらに含む。
【0028】
本発明の1つの実施形態では、使用される化合物は、従来の薬用担体を含む投与単位製剤で経口、注射、皮下、呼吸器、経皮、非経口、直腸、局所、静脈内、筋肉内、または他の手段で投与することができる。医薬組成物は、錠剤、顆粒剤、注射剤、ゲル剤、ピル剤、カプセル剤、坐剤、インプラント剤、ナノ製剤、粉末注射剤などの任意の剤形に製剤化することができる。錠剤やカプセル剤などのいくつかの剤形は、所望の目的を達成するための有効量などの適量の活性成分を含む適切な投与単位剤形に細分することができる。
【0029】
担体には、賦形剤および希釈剤が含まれ、治療される患者への投与に適したものにするために、十分に高い純度および十分に低い毒性である必要がある。担体は不活性であってもよく、それ自体が製薬上の利点を有してもよい。
【0030】
担体の種類には、充填剤および増量剤などの希釈剤、結合剤、潤滑剤、固結防止剤、崩壊剤、甘味料、緩衝剤、防腐剤、可溶化剤、張性剤、懸濁剤および分散剤、湿潤剤または乳化剤、調味剤および芳香剤、増粘剤および媒介物が含まれるが、これらに限定されない。例示的な薬用担体には、糖、デンプン、セルロース、麦芽、ゼラチン、タルク、および植物油が含まれる。本発明の化合物の活性に実質的に影響を及ぼさない任意の活性剤を医薬組成物に含めることができる。
【0031】
用語の規則:
「立体異性体」または「光学異性体」は、化学組成は同じであるが、空間内の原子または基の配置が異なる化合物であり、「非鏡像異性体」と「鏡像異性体」を含む。
【0032】
「非鏡像異性体」は、2つ又は2つ以上のキラル中心を持ち、分子が互いに鏡像ではない立体異性体である。非鏡像異性体は、融点、沸点、スペクトル特性、反応活性などのさまざまな物理的特性を持っている。電気泳動、結晶化などの高分解能分析ステップで、分離剤またはクロマトグラフィーの存在下で、キラルHPLCカラム等を使用して非鏡像異性体の混合物を分離できる。
【0033】
「鏡像異性体」とは、互いに重ね合わせることができない鏡像である1種化合物の2つの立体異性体を指す。鏡像異性体の50:50混合物は、ラセミ混合物またはラセミ体と呼ばれ、化学反応またはプロセス中に、立体選択性または立体特異性がなくても発生する可能性がある。
【0034】
「アルキル基」は、分枝鎖および直鎖飽和脂肪族炭化水素基の両方を含み、指定された数の炭素原子、通常は1~約12個の炭素原子を有する。本明細書で使用される用語C-Cアルキル基は、1~約6個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。本明細書でC-Cアルキル基を別の基と組み合わせて使用する場合、(フェニル基)C-Cアルキル基を例にとると、指定された基、この場合は、フェニル基は、単一の共有結合(C)によって直接結合されるか、指定された数の炭素原子(この場合は1~約4個の炭素原子)を持つアルキル鎖を介して結合される。アルキル基の実例には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、3-メチルブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、またはsec-ペンチル基が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
「アルケニル基」または「アルキレン基」は、1つまたは複数の不飽和炭素-炭素結合を含む直鎖および分枝鎖の炭化水素鎖を指し、炭素-炭素結合は、鎖に沿った任意の安定点で起こり得る。本明細書に記載のアルケニル基は、一般に2~約12個の炭素原子を有する。好ましいアルケニル基は、低級アルケニル基であり、これらのアルケニル基は、2~約8個の炭素原子を有し、例えば、C-C、C-CまたはC-Cアルケニル基である。アルケニル基の実例には、ビニル基、プロペニル基またはブテニル基が含まれる。
【0036】
「シクロアルキル基」は、好ましくは、3~15個の炭素原子を有する単環式、二環式、三環式、架橋、スピロ環式の環状アルキル基、好ましくはシクロプロパン、シクロペンタン、およびシクロヘキサンを指す。
【0037】
「アルコキシ基」は、酸素ブリッジを介して結合された指定された炭素原子数を有する上記で定義されたアルキル基を指す。アルコキシ基の実例には、メトキシ基、エトキシ基、3-ヘキシルオキシ基、または3-メチルペンチルオキシ基が含まれるがこれらに限定されない。
【0038】
「複素環」という用語は、5-~8-員の飽和環、部分不飽和環、またはN、O、およびSから選択される1~約4個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である芳香族環、または7~11員の飽和環、部分的に不飽和環、または芳香族の複素環系および10~15-員の三環系を指し、この系は、N、OおよびSの多環系から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み、かつ多環系の各環において、N、OおよびSから独立して選択される最大約4つのヘテロ原子を含む。特に指定のない限り、複素環は、任意のヘテロ原子および炭素原子で置換され、安定した構造をもたらす基に結合することができる。指定されている場合、本明細書に記載の複素環は、得られる化合物が安定である限り、炭素原子または窒素原子で置換することができる。複素環の窒素原子は、必要に応じて四級化することができる。好ましくは、ヘテロシクリル基のヘテロ原子の総数は4以下であり、好ましくは、ヘテロシクリル基のSおよびO原子の総数は2以下、より好ましくは1以下である。ヘテロシクリル基の実例には、ピリジル基、インドリル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基(pyridizinyl)、ピラジニル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、フリル基、チオフェニル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラアゾリル基、イソオキサゾリル基、キノリル基、ピロリル基、ピラゾリル基、ベンツ[b]チオフェニル基(benz[b]thiophenyl)、イソキノリル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、チオフェニル基、イソインドリル基、ジヒドロイソインドリル基、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、チオフェニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、ピロリジニル基、モルホリニル基、ピペラジニル基、ピペリジニル基またはピロリジニル基が含まれる。
【0039】
「アリール基」または「ヘテロアリール基」は、N、OおよびSから選択される1~4個、または好ましくは1~3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である安定な5-または6-員の単環又は多環を意味する。ヘテロアリール基のS原子とO原子の総数が1を超える場合、これらのヘテロ原子は互いに隣接していない。好ましくは、ヘテロアリール基のSおよびO原子の総数は2以下である。特に好ましくは、ヘテロアリール基のSおよびO原子の総数は1以下である。複素環の窒素原子は、任意に四級化することができる。指定されている場合、これらのヘテロアリール基はまた、炭素または非炭素原子または基で置換され得る。そのような置換は、例えば、[1,3]ダイオキシンアゾール[4,5-c]ピリジル基を形成するために、N、OおよびSから独立して選択される1つまたは2つのヘテロ原子を任意に含む5~7-員の飽和環状基との縮合を含み得る。ヘテロアリール基の実例には、ピリジル基、インドリル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、フリル基、チオフェニル基、チアゾール基、トリアゾリル基、テトラゾリルアゾリル基、イソオキサゾリル基、キノリル基、ピロリル基、ピラゾリル基、ベンゾ[b]チオフェニル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、チエニル基、イソインドリル基または5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
「薬学的に許容される塩」または「化合物の塩」は、開示された化合物の誘導体であり、ここで、親化合物は、その非毒性の酸または塩基付加塩を調製することによって修飾され、かつこれらの化合物およびこれらの塩の、水和物を含む薬学的に許容される溶媒和物も指す。薬学的に許容される塩の実例には、アミンなどの塩基性残基の無機または有機酸付加塩、カルボン酸などの酸性残基の塩基または有機付加塩、および前述の塩の1種または複数種を含む組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩には、非毒性の無機または有機酸から形成される親化合物などの非毒性および第四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、非毒性酸塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸に由来するものが含まれる。他の許容される無機塩には、ナトリウム、カリウム、セシウムなどの金属塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、および前述の塩の1種または複数種を含む組み合わせが含まれる。
【0041】
化合物の有機塩には、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-アミノベンゼンスルホン酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HOOC-(CH)n-COOH(nは0~4)等の有機酸から調製された塩、トリエチルアミン塩、ピリジニウム塩、メチルピリジニウム塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N、N’-ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機アミン塩、およびアルギニン塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などのアミノ酸塩、および前述の塩の1種または複数種を含む組み合わせが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】OLB-3がOGDによって引き起こされるSH-SY5Y細胞死を大幅に減少させる図である。
図2】OLB-3がdb/dbマウスの尿中タンパク質レベルを大幅に低下させた図である。
図3】OLB-3が5*FADマウスの記憶障害を大幅に改善する図である。
図4】OLB-3が5*FADマウスの記憶障害を大幅に改善する図である。
図5】OLB-3がAPO誘発性6-OHDAパーキンソン病ラットの回転数を大幅に減少させた図である。
図6】OLB-3からALSトランスジェニックマウスのポールでの移動時間への影響図である。
図7】OLB-3からALSトランスジェニックマウスの四肢握力への影響図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
実施例1
化合物OLB-3の合成
【化8】

リグストラジン(13.6g、100.0mmol)を水(300mL)に溶解し、過マンガン酸カリウム(31.6g、200.0 mmol)を少しずつ加え、混合物を50℃で10時間撹拌した。反応が終了した後、冷却し、塩酸でpHを3に調整し、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮して、生成物TMA(10.3g、62%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ2.90(s,3H),2.61(s,3H),2.56(s,3H)。MS(ESI)m/z:167.0[M+H]
【0044】
【化9】

化合物イミダゾール(6.2g、90.5mmol)およびtert-ブチルジメチルシリルクロリド(13.6g、90.5mmol)をN、N-ジメチルホルムアミド(200mL)に溶解し、化合物1a(5.0g、36.2mmol)を少しずつ加え、室温で一晩撹拌した。反応が終了した後、水で希釈し、n-ヘキサンで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、得られた粗生成物の一部(3.7g)をメタノール(40mL)に溶解し、ヨウ素元素(0.4g)を加えて2時間撹拌し、反応が終了した後、チオ硫酸ナトリウムを加えてクエンチし、濃縮し、エーテルで希釈して、水および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより生成物1b(2.0 g、83%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ6.92(d,J=8.5Hz,2H),6.69-6.49(m,2H),4.41(t,J=5.2Hz,0H),3.40(td,J=7.1,5.3Hz,2H),2.49(t,J=7.1Hz,2H),0.78(s,9H),0.07(s,6H)。MS(ESI)m/z:253.2[M+H]
【0045】
【化10】

化合物1b(830mg、3.3mmol)およびクロロギ酸クロロメチル(460mg、3.6mmol)をジクロロメタン(20ml)に溶解し、氷浴条件下でピリジン(0.3mL)を滴下して加え、室温で一晩撹拌した。反応が終了した後、濾過して濾液を回収して濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより生成物1c(703mg、62%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ6.88(d,J=8.4Hz,2H),6.59(d,J=8.4Hz,2H),5.52(s,2H),4.19(t,J=7.2Hz,2H),2.75(t,J=7.2Hz,2H),0.79(s,9H),0.00(s,6H)。MS(ESI)m/z:345.1[M+H]
【0046】
【化11】

化合物TMA(332 mg、2.0 mmol)および化合物1c(688 mg、2.0 mmol)をN、N-ジメチルホルムアミド(20 mL)に溶解し、65℃で2時間撹拌した。反応が終了した後、冷却し、酢酸エチルを加えて反応系を希釈し、水と飽和食塩水で連続して洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで連続的に乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより生成物1d(742mg、78%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ6.88(d,J=8.4Hz,2H),6.67-6.51(m,2H),5.86(s,2H),4.17(t,J=7.2Hz,2H),2.74(t,J=7.2Hz,2H),2.59(s,3H),2.40(s,6H),0.80(s,9H),0.00(s,6H)。MS(ESI)m/z:475.2[M+H]
【0047】
【化12】

化合物1d(95mg、0.2mmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、フッ化水素酸溶液(1.0ml、2.0mmol)を加え、1時間還流反応した。反応が終了した後、飽和重炭酸ナトリウム溶液、水および飽和食塩水で順に洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより生成物OLB-3(60mg、84%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.05(d,J=8.2Hz,2H),6.74(d,J=8.4Hz,2H),6.02(s,2H),4.32(t,J=7.1Hz,2H),2.90(t,J=7.1Hz,2H),2.76(s,3H),2.58(s,3H),2.57(s,3H)。MS(ESI)m/z:361.1[M+H]
【0048】
実施例2:OLB-3がOGDによって引き起こされるSH-SY5Y細胞死を大幅に減少させた
MTTアッセイによってTMP(リグストラジン)及びその誘導体の神経保護効果を検出評価する。細胞を培養し、対数増殖期の細胞を収集し、細胞懸濁液の濃度を調整し、薬物治療およびOGD4hインキュベーション後にMTT含有培地を追加し、4時間インキュベートし、ウェルから培地を慎重に吸引し、各ウェルに150μlのDMSO(ジメチルスルホキシド)を加え、シェーカーに置いて10分間低速で振とうし、結晶物を十分に溶解させ、酵素結合免疫吸着測定装置のOD(吸光度)値490nmで各ウェルの吸光度を測定し(同時にゼロ調整ウェル(培地、MTT、ジメチルスルホキシド)、コントロールウェル(セル、同じ濃度の薬物溶解媒体、培養液、MTT、ジメチルスルホキシド)を設定した。データは平均値±SEMとして表され、グループあたりn=8.一元配置分散分析と多重比較では、2つのグループ間に差異が示された。a、p<0.001vs.対照グループ、b、p<0.05vs.OGDグループ、c、p<0.001vs.OGDグループである。
【0049】
図1から、OLB-3はOGDによって引き起こされるSH-SY5Y細胞の死を大幅に減らすことができ、神経保護効果があることがわかる。
【0050】
実施例3:OLB-3は、LPSによって誘発される炎症性因子の上昇と酸化ストレスを大幅に軽減した
SH-SY5Y細胞を再活性化して培養し、対数成長期の細胞を取り、24時間培養後、SH-SY5Y神経芽細胞腫細胞を1μMオールトランスレチノイン酸で処理して分化を誘導した後、6ウェルペトリ皿に接種して24時間培養した。薬0.2μM(L)または1μM(H)および1μg/mLLPSを培地に添加して24時間処理し、上清の培地を吸引し、炎症性因子と酸化ストレス関連タンパク質の変化をELISAキットで測定し、データは平均値±SEMで表され、グループあたりn=8、一元配置分散分析と多重比較により、2つのグループ間に差異が示された。a、p<0.05vs.LPSグループ、b、p<0.01vs.LPSグループ、c、p<0.001vs.LPSグループである。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
表1と表2から、OLB3はLPSによる炎症性因子の上昇と酸化ストレスを大幅に軽減し、強力な抗炎症作用と抗酸化作用を持っていることがわかる。
【0054】
実施例4:OLB-3は、db/dbマウスの異常な糖・脂質代謝を大幅に改善した
正常対照グループ(WT)およびモデルマウスには、生理食塩水10ml/kg/d、ロサルタン15mg/kg/d、TMP(リグストラジン)(5.0mg/kg、0.037mmol/kg)、OLB-3(13.32mg/kg、0.037mmol/kg)容量10mL/kg、1日1回、56日間の連続投与後に血中脂質および血糖関連指数を測定し、データは平均値±SEMとして表され、グループあたりn=6、一元配置分散分析と多重比較により、2つのグループ間に差異が示された。a、p<0.05vs.db/dbグループ、c、p<0.001vs.db/dbグループである。
【0055】
【表3】
【0056】
表3から、OLB-3は異常な糖・脂質代謝を大幅に改善し、総コレステロールとトリグリセリドを減らし、高密度リポタンパク質コレステロールと低密度リポタンパク質コレステロールを減らし、尿素とクレアチニンを減らすことがわかる。
【0057】
実施例5:OLB-3は、db/dbマウスの生化学的および代謝指標を大幅に改善した
正常対照グループ(WT)およびモデルマウスには、生理食塩水10ml/kg/d、ロサルタン15mg/kg/d、TMP(5.0mg/kg、0.037mmol/kg)、OLB-3(13.32mg/kg、0.037mmol/kg)容量10mL/kg、1日1回、56日間の連続投与後に血中脂質および血糖関連指数を測定し、データは平均値±SEMとして表され、グループあたりn=6、一元配置分散分析と多重比較により、2つのグループ間に差異が示された。a、p<0.05vs.db/dbグループ、c、p<0.001vs.db/dbグループである。
【0058】
【表4】
【0059】
表4から、OLB-3はマウスの生化学的および代謝的指標を大幅に改善し、尿素とクレアチニンを減少させたことがわかる。
【0060】
実施例6:OLB-3がdb/dbマウスの尿中タンパク質レベルを大幅に低下させた
正常対照グループ(WT)およびモデルマウスには、生理食塩水10ml/kg/d、ロサルタン10mg/kg/d、TMP(5.0mg/kg、0.037mmol/kg)、OLB-3(13.32mg/kg、0.037mmol/kg)容量10mL/kg、1日1回、56日間の連続投与後に尿を取り、尿タンパクレベルを測定し、データは平均値±SEMとして表され、グループあたりn=6、一元配置分散分析と多重比較により、2つのグループ間に差異が示された。p<0.01vs.db/dbグループである。
【0061】
図2に示すように、OLB-1とOLB-2は尿中タンパク質レベルを大幅に低下させた。
【0062】
実施例7:神経変性疾患におけるOLB-3の使用
OLB-3が5*FADマウスの記憶障害を大幅に改善した
6か月の5*FADマウスをOLB-3で3か月間処理した後、新しい物体認識及びY迷路行動を測定した。新しい物体認識:訓練段階では、マウスを室内にさらして、2つの同一の物体(A+A)に5分間慣れさせ、テスト段階では、慣れた物体の1つを別の新しい物体に交換し(A+B)、マウスを室内に戻して5分間これらの物体を探測し、ビデオを録画してマウスをリアルタイムで追跡した。探測とは、マウスが物体に面する鼻、鼻で嗅ぐか触れ、鼻から物体までの距離が2cm以下であることを記録することと定義され、判別指数(DI)は、各オブジェクトを探索するために使用され、計算方法は次のとおりである。(新しい物体を探索する時間-古い物体を探索する時間)/(新しい物体を探索する時間+古い物体を探索する時間)*100.Y迷路:動物を片方の腕の末端に置き、10分以内に各腕に入る動物のシーケンスを記録し、新しい物体認識検出(A)分析により、OLB-3治療グループでは、5*FADマウスは新しい物体の探索にかかる時間の比率を大幅に改善したことがわかり、Y迷路テスト検出(B)分析により、OLB-3治療グループは5*FADマウスの新しい腕における時間の比率を有意に増加させることがわかった。5*FADマウスをそれぞれ低用量(低用量:2.63mg/kg、0.007mmol/kg、以下と同じ)および高用量(高用量:13.32mg/kg、0.037mmol/kg、以下と同じ)でOLB-3治療し、データは平均値±SEMとして表され、各グループn=9~10、一元配置分散分析と多重比較から、2つのグループ間に差異が示された。**p<0.01、***p<0.001vs.WT(正常対照)グループ、#p<0.05、##p<0.01vs.5*FADグループである。
【0063】
図3図4から、OLB-3は、新しい物体を探索する時間比率を大幅に改善し、新しいアームの時間比率を大幅に増やし、記憶障害を改善できることがわかる。
【0064】
OLB-3がAPO誘発性6-OHDAパーキンソン病ラットの回転数を大幅に減少させた
モデリングの3週間後、ラットの回転の数を記録し、ラットが回転するように誘導し、静かで広々とした環境でラットの行動変化を観察し、偽手術グループには回転がなく、6-OHDAを注射した各グループ間に有意差はなく、回転数は約180であった。2週間の治療後、生理食塩水治療モデルグループのラップ回転数が増加し、OLB-3、TMP(リグストラジン)および陽性対照薬L-dopaの異なる用量の2週間後の結果:異なる用量のOLB-3と陽性対照レボドパ(25mg/kg)治療後、APOによって誘発された6-OHDAラットの回転数を効果的に減らすことができる。6-OHDAモデルグループと比較して、OLB-3治療ラットの回転数は大幅に減少し、データは平均値±SEMとして表され、各グループn=10、一元配置分散分析と多重比較から、2つのグループ間に差異が示された。*p<0.05、**p<0.01vs.before6-OHDAグループである。
【0065】
図5に示すように、OLB-3はパーキンソン病の治療効果があり、回転数を大幅に減らした。
【0066】
OLB-3からALSトランスジェニックマウスのポールでの移動時間への影響
ポールテストは、マウスの四肢の運動協調性、運動遅延、筋力を評価するためによく使用される。長さ約50cm、直径約1cmの木製のロッドを手作り、木製のロッドの摩擦力を増やすためにロッドは医療用ガーゼで包まれている。木製のロッドを水平のテーブルの上に垂直に置き、マウスの頭を下にして、マウスの尾をつかみ、その四肢はロッドの上部をつかみ、マウスの尾を離した後、タイミングを開始して、マウスが外力なしで下に這うようにし、マウスがロッドの上部から下部のプラットフォームに登る時間(統一に後肢が着地することを基準とする)を記録した。投与前にマウスをこの行動について3日間継続的に訓練し、各マウスを3回繰り返し実験し、基準を満たさなかったマウスを除外した。投与開始後、2週間ごとに1回に行動をテストし、テスト結果の最大値は15秒を超えてはならず、15秒を超える値は15秒として記録され、最終的なポールでの移動時間として、マウスの3回のポールでの移動時間の平均値を計算し、ALS(SOD-G93A)miceマウスは、発症後に明らかな動作緩慢を示し、これは、ポールでの移動時間が対照マウスよりも有意に長く、年齢とともに動作緩慢がより深刻になることを示し、異なる用量のOLB-3、TMP、およびリルゾールで治療した後、OLB-3および陽性対照薬であるリルゾール(5mg/kg)がすべてその動作緩慢の症状を有意に改善できることがわかり、データは平均値±SEMとして表され、各グループn=10、一元配置分散分析と多重比較から、2つのグループ間に差異が示された。*p<0.05vs.WT(正常対照)グループ、#p<0.05vs.ALS(SOD-G93A)グループである。
【0067】
図6に示すように、OLB-3はALSに治療効果をもたらし、ポールでの移動時間を大幅に短縮し、動作緩慢を改善した。
【0068】
OLB-3からALSトランスジェニックマウスの四肢握力への影響
四肢握力テストは、マウスの筋力及びマウスの発病状況を評価するために直接使用される。握力ボードの中央ステージにマウスを軽く置き、マウスの尾部をそっと引っ張って、マウスが握力ボードをつかむようにし、マウスが握力ネットを強くつかんだ後、直ちに水平に後方へ引っ張り、機器が最大握力の値を示したときにデータを記録した。投与開始後、2週間ごとにマウスの握力値をテストし、各マウスについて3回測定を繰り返し、3回の結果の最大値をマウスの最大握力値とした。ALSトランスジェニックマウスが病期に入った後、その四肢握力はWTマウスよりも有意に小さく、異なる用量のOLB-3、TMP、およびリルゾールで治療した後、OLB-3および陽性対照薬であるリルゾール(5mg/kg)がすべてマウスの四肢の握力を効果的に高め、ALSマウスの四肢の握力の低下の悪化を遅らせることができることがわかり、データは平均値±SEMとして表され、グループあたりn=10、一元配置分散分析と多重比較から、2つのグループ間に差異が示された。**p<0.01、***p<0.001vs.WT(正常対照)グループ、#p<0.05、##p<0.01vs.ALS(SOD-G93A)グループである。
【0069】
図7に示すように、OLB-1とOLB-2はALSに治療効果をもたらし、四肢の握力を大幅に改善し、筋力を強化した。
【0070】
以上の実施例の説明は本発明の方法及びそのコアアイデアを理解するように寄与するだけである。当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、本発明に対していくつかの改良および修正を行うこともでき、これらの改良および修正もまた、本発明の特許請求の範囲内である。当業者であれば、これらの実施例に対する複数種の修正は自明であり、本明細書で定義される一般的な原理は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施例で実現することができる。したがって、本発明は、本明細書に示される実施例に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理および新規の特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7