(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】ピラジン化合物およびその調製方法と使用
(51)【国際特許分類】
C07D 241/12 20060101AFI20240405BHJP
A61K 31/4965 20060101ALI20240405BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240405BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240405BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240405BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240405BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240405BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240405BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240405BHJP
A61K 9/02 20060101ALI20240405BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240405BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240405BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240405BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240405BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240405BHJP
A61P 21/02 20060101ALI20240405BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240405BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240405BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240405BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20240405BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240405BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240405BHJP
A61P 39/06 20060101ALI20240405BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20240405BHJP
C07F 7/08 20060101ALI20240405BHJP
C07F 7/10 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
C07D241/12 CSP
A61K31/4965
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K9/20
A61K9/14
A61K9/08
A61K9/06
A61K9/48
A61K9/02
A61P25/00
A61P29/00
A61P3/10
A61P25/28
A61P25/04
A61P21/02
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/42
A61K47/44
A61K47/02
A61P39/06
A61P27/06
C07F7/08 A
C07F7/10 T
(21)【出願番号】P 2022548927
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 CN2021109564
(87)【国際公開番号】W WO2022022678
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】202010759405.9
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010759402.5
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522320084
【氏名又は名称】深▲川▼市橄欖生物医薬科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】楊細飛
(72)【発明者】
【氏名】謝永美
(72)【発明者】
【氏名】李書鵬
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-152462(JP,A)
【文献】国際公開第2014/146494(WO,A1)
【文献】Chem.Pharm.Bull.,2005年,Vol.53, No.9,pp.1152-1158
【文献】Bioorganic & Medicinal Chemistry,2012年,Vol.20,pp.3551-3564
【文献】J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1,2000年,pp.381-389
【文献】REGISTRY(STN)[online],2019年06月12日,[検索日2023年8月10日], CAS登録番号2330504-33-9など
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
C07F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピラジン化合物、立体異性体、互変異性体、およびその薬学的に許容される塩であって、
以下の構造を有する、ことを特徴とするピラジン化合物、立体異性体、互変異性体、およびその薬学的に許容される塩。
【化1】
または
【化2】
【請求項2】
化合物の調製方法であって、その調製過程は、以下である、ことを特徴とする化合物の調製方法。
【化3】
または
【化4】
【請求項3】
調製過程は、以下である、ことを特徴とする請求項2に記載の調製方法。
【化5】
または
【化6】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年07月31日に中国特許庁に提出された、出願番号202010759405.9、発明の名称「ピラジン化合物およびその調製方法」という中国特許出願の優先権を主張し、その内容全体は参照により本出願に組み込まれ、本出願はまた、2020年07月31日に中国特許庁に出願された、出願番号202010759402.5、発明の名称「医薬の調製におけるピラジン化合物の使用」という中国特許出願の優先権を主張し、その内容全体は参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、医薬の分野に関し、特にピラジン化合物およびその調製方法と使用に関する。
【背景技術】
【0003】
神経変性疾患(Neurodegenerative diseases,ND)は、ニューロンの進行性死を引き起こすアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、前頭側頭型認知症(FTD)、筋萎縮性側索硬化症、フリードライヒ運動失調症などを含む慢性疾患であり、患者と家庭に大きな苦痛と負担をもたらすことが多い。人口の高齢化が進むにつれて、2040年までに、NDは癌に取って代わり、人間の死因の第2位になると予想されているが、現在では、世界中で神経変性疾患を効果的に治療できる薬物はない。
【0004】
NDの病態は、酸化ストレス、ミトコンドリア機能障害、Ca2+流入、免疫性炎症、オートファジーおよび金属イオンなどと緊密に関連しており、複数の病因による複雑な疾患であるため、従来の単一標的で高度に選択的な薬物の開発戦略はNDの新薬研究開発において効果を奏しにくい。漢方薬の天然分子は複数の標的を有し、毒性と副作用が小さく、相乗効果が高いなどの利点を有するため、近年の抗ND薬物の研究のホットスポットとなっている。
【0005】
糖尿病(Diabetes Mellitus,DM)は、インスリン分泌障害またはインスリン利用障害による生涯にわたる代謝性疾患であり、主に高血糖を特徴とする。住民の生活水準の向上や飲食構造の変化に伴い、DMの発病率は年々増加しており、発病年齢もますます若くなっている。糖尿病性腎症(Diabetic Nephropathy,DN)は、糖尿病の一般的な慢性合併症の1つであり、糖尿病集団における発病率は約20%~40%であり、糖尿病性腎症患者の約50%は後期に末期腎不全で死亡し、これも慢性腎臓病による主な死因である。DNは、発病過程が非常に潜行性であり、発病機序は複雑で多様であり、臨床的に効果的な治療手段が不足している。
【0006】
本発明は長期の研究により、神経変性疾患、糖尿病などのミトコンドリア異常に関連する疾患に対して治療効果を有するピラジン化合物を発見した。
【発明の概要】
【0007】
本発明はピラジン化合物、立体異性体、互変異性体およびその薬学的に許容される塩に関し、前記ピラジン化合物は式Iに示すとおりであり、
【化1】
I
式中、XおよびYは、それぞれ独立して、O、S、SeまたはNR
6から選択され、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6はそれぞれ独立して、H、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、置換または無置換のアルキル基、重水素化アルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のシクロアルキル基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアルキルカルボキシル基、置換または無置換のアルキルエステル基、-置換または無置換のアルキル基-OH、置換または無置換のアルコキシ基、アルキルアミノ基、-置換または無置換のアルキル基-NH
2、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロアリール基、置換または無置換のカーボネート基、カルバメート、-置換または無置換のアルキル-アシルアミノ基、-置換または無置換のアミノアルキルカルボキシレート、または上記の基の重水素化誘導体であり、n=0~6、m=0~5である。
【0008】
好ましいnは0、1、2、3、4、5、6であり得、mは0、1、2、3、4、5であり得る。
【0009】
上記のピラジン化合物、立体異性体、互変異性体、およびその薬学的に許容される塩であって、R1、R2、R3は、メチル基または重水素化メチル基である。
【0010】
上記のピラジン化合物、立体異性体、互変異性体、およびその薬学的に許容される塩であって、R4は、Hまたは重水素である。
【0011】
上記のピラジン化合物、立体異性体、互変異性体、およびその薬学的に許容される塩であって、前記化合物は、以下の一般式構造を有し、
【化2】
II
式中、XおよびYは、O、S、SeまたはNR
6から選択される。
【0012】
上記のピラジン化合物、立体異性体、互変異性体、およびその薬学的に許容される塩であって、前記ピラジン誘導体は、以下の構造を有する。
【化3】
【0013】
上記のピラジン化合物、立体異性体、互変異性体、およびその薬学的に許容される塩であって、前記ピラジン誘導体は、以下の構造を有する。
【化4】
【0014】
好ましくは、薬学的に許容される塩は、前記化合物と塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸、硝酸、サリチル酸、シュウ酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、C1-6脂肪カルボン酸、C1-6アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸またはカンファースルホン酸の塩である。
【0015】
本発明はまた、以下の化合物から選択される化合物を提供する。
【化5】
【化6】
【0016】
上記の化合物は、以下の化合物から選択される。
【化7】
、
【化8】
【0017】
本発明はまた、化合物の調製方法を提供し、具体的には、以下であり得る。
【化9】
または
【化10】
【0018】
さらに、本発明は、以下の調製方法を提供する。
【化11】
または
【化12】
【0019】
本発明はまた、以下の化合物の調製方法を提供する。
【化13】
または
【化14】
【0020】
本発明はまた、治療有効量の1種以上の上記ピラジン化合物、立体異性体、互変異性体、およびそれらの薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0021】
本発明はまた、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、前頭側頭型認知症(FTD)、血管性認知症、HIV関連認知症、多発性硬化症、進行性側索硬化症、神経因性疼痛または緑内障などの神経変性障害、糖尿病および関連する糖尿病性合併症、炎症、酸化的損傷、ミトコンドリア病の治療における、上記のピラジン、立体異性体、互変体およびそれらの薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0022】
本発明によって調製されるピラジン化合物は、糖・脂質代謝を改善し、尿タンパクを低下させ、神経防護活性を有し、炎症に抵抗し、記憶障害を改善し、酸化損傷に抵抗し、筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対して治療効果を有し、アルツハイマー症、パーキンソン病などの疾患を予防および/または治療することができる。
【0023】
本発明はまた、治療有効量の1種以上の上記のいずれかのピラジン化合物、立体異性体、互変異性体、およびそれらの薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0024】
好ましくは、該医薬組成物は、1種以上の薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含む。
【0025】
より好ましくは、該医薬組成物は、他の治療剤をさらに含む。
【0026】
本発明の一実施形態では、使用される化合物は、従来の医薬担体を含む投与単位製剤で経口、注射、皮下、気道、経皮、非経口、直腸、局所外用、静脈内、筋肉内、または他の方式によって投与され得る。錠剤、顆粒剤、注射剤、ゲル剤、丸剤、カプセル剤、坐剤、インプラント、ナノ製剤、粉末注射剤などの任意の薬学的に許容される形態に医薬組成物を製剤化することができる。錠剤やカプセル剤などのいくつかの剤形は、所望の目的を達成するための有効量などの、適量の活性成分を含む適切な投与単位剤形に細分することができる。
【0027】
担体には賦形剤および希釈剤が含まれ、治療対象となる患者への投与に適するように、十分に高い純度および十分に低い毒性である必要がある。担体は不活性であってもよく、それ自体が薬学的利点を有してもよい。
【0028】
担体の種類には、充填剤および増量剤などの希釈剤、結合剤、潤滑剤、固結防止剤、崩壊剤、甘味剤、緩衝剤、防腐剤、可溶化剤、等張剤、懸濁剤および分散剤、湿潤剤または乳化剤、香味剤および芳香剤、増粘剤およびビヒクルが含まれるが、これらに限定されない。例示的な医薬担体には、糖、デンプン、セルロース、麦芽、ゼラチン、タルクおよび植物油が含まれる。本発明の化合物の活性に実質的に影響を及ぼさない任意の活性剤は、医薬組成物に含まれ得る。
【0029】
用語規約:
【0030】
「立体異性体」または「光学異性体」は、化学組成が同じであるが、原子または基の空間における配置が異なる化合物である。これには、「ジアステレオマー」および「エナンチオマー」が含まれる。
【0031】
「ジアステレオマー」は、キラル中心が2つ以上あり、分子が互いに鏡像ではない立体異性体である。ジアステレオマーは、融点、沸点、スペクトル特性および反応性などの様々な物理的性質を有する。電気泳動、結晶化などの高分解能分析ステップで、分離剤またはクロマトグラフィーの存在下で、キラルHPLCカラムなどを使用して、ジアステレオマーの混合物を分離することができる。
【0032】
「エナンチオマー」は、互いに重ね合わせることができない鏡像である2つの立体異性体を指す。エナンチオマーの50:50混合物は、ラセミ混合物またはラセミ体と呼ばれ、化学反応または処理中に、立体選択性または立体特異性がない場合に生じ得る。
【0033】
「アルキル基」には、分枝鎖と直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基が含まれ、指定された数の炭素原子、一般に1~約12個の炭素原子を有する。本明細書で使用される用語C1-C6アルキル基は、炭素原子1~約6個のアルキル基を指す。本明細書では、C0-Cnアルキル基を別の基と組み合わせて使用する場合、(フェニル基)C0-C4アルキル基を例として、指定された基、この場合、フェニル基は、単一の共有結合(C0)を介して直接結合するか、または指定された数の炭素原子(この場合、1~約4個の炭素原子)を有するアルキル鎖を介して結合する。アルキル基の例には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、3-メチルブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基およびsec-ペンチル基が含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
「アルケニル基」または「オレフィン基」は、1つ以上の不飽和炭素-炭素結合を含む直鎖および分枝鎖の炭化水素鎖を指し、炭素-炭素結合は鎖に沿った任意の安定点で生じ得る。本明細書に記載のアルケニル基は、一般に2~約12個の炭素原子を有する。好ましいアルケニル基は、2~約8個の炭素原子を有する低級アルケニル基、例えばC2-C8、C2-C6、およびC2-C4アルケニル基である。アルケニル基の例には、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基などが含まれる。
【0035】
「シクロアルキル基」は、好ましくは、3~15個の炭素原子を有する単環式、二環式、三環式、架橋環式、スピロ環式の環状アルキル基を指し、好ましくは、シクロプロパン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどである。
【0036】
「アルコキシ基」は、酸素橋を介して結合した指定された数の炭素原子を有する上記で定義されたアルキル基を指す。アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、3-ヘキシルオキシ基および3-メチルペンチルオキシ基が含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
用語「複素環」は、5~8員の飽和環、部分不飽和環、またはN、OおよびSから選択される1~約4個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である芳香族環、または7~11員の飽和環、部分不飽和環、または芳香族複素環系および10~15員の三環系であり、該系には、N、OおよびSから選択される多環系の少なくとも1つのヘテロ原子が含まれ、多環系の各環にはN、OおよびSから独立して選択される約4個までのヘテロ原子が含まれる。特に断りのない限り、複素環は、任意のヘテロ原子および炭素原子で置換され、安定した構造をもたらす基に結合することができる。指定されている場合、本明細書に記載の複素環は、得られる化合物が安定である限り、炭素原子または窒素原子で置換され得る。複素環の窒素原子は、任意に四級化され得る。好ましくは、複素環基のヘテロ原子の総数は4以下であり、好ましくは、複素環基のSおよびO原子の総数は2以下であり、より好ましくは1以下である。複素環基の例には、ピリジル基、インドリル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基(pyridizinyl)、ピラジニル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、フリル基、チオフェニル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イソオキサゾリル基、キノリル基、ピロリル基、ピラゾリル基、ベンゾ[b]チオフェニル基(benz[b]thiophenyl)、イソキノリル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、チエニル基、イソインドリル基、ジヒドロイソインドリル基、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、ピロリジニル基、モルホリニル基、ピペラジニル基、ピペリジニル基およびピロリジニル基が含まれる。
【0038】
「アリール基」または「ヘテロアリール基」は、N、OおよびSから選択される1~4個、または好ましくは1~3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である安定な5員または6員の単環式または多環式を示す。ヘテロアリール基のSおよびO原子の総数が1を超える場合、これらのヘテロ原子は互いに隣接していない。好ましくは、ヘテロアリール基のSおよびO原子の総数が2以下である。特に好ましくは、ヘテロアリール基のSおよびO原子の総数が1以下である。複素環の窒素原子は、任意に四級化され得る。指定されている場合、これらのヘテロアリール基はまた、炭素原子または非炭素原子または基で置換され得る。このような置換には、例えば、N、OおよびSから独立して選択される1または2個のヘテロ原子を任意に含む5~7員の飽和環基と縮合して、例えば[1,3]ジオキソアゾロ[4,5-c]ピリジル基を形成することが含まれる。ヘテロアリール基の例には、ピリジル基、インドリル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピリダジニル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、フリル基、チオフェニル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イソオキサゾリル基、キノリル基、ピロリル基、ピラゾリル基、ベンゾ[b]チオフェニル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、チエニル基、イソインドリル基および5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
「薬学的に許容される塩」または「化合物の塩」は、親化合物が非毒性の酸付加塩またはその塩基付加塩を調製することによって修飾される、開示された化合物の誘導体であり、またこれらの化合物およびこれらの塩の、水和物を含む薬学的に許容される溶媒和物を指す。薬学的に許容される塩の例には、アミンなどの塩基性残基の無機酸付加塩または有機酸付加塩、カルボン酸などの酸性残基の塩基付加塩または有機付加塩など、ならびに1種以上の上記塩の組合せが含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩には、非毒性の無機酸または有機酸から形成される親化合物などの非毒性の塩および第四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、非毒性の酸性塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導される塩が含まれ、他の許容される無機塩には、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩などの金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、および1種以上の上記塩の組合せが含まれる。
【0040】
化合物の有機塩には、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スルファニル酸、2-アセトキシベンゼン酸、フマル酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HOOC-(CH2)n-COOH(式中、nは0~4)などの有機酸から調製された塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機アミン塩、およびアルギニン塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などのアミノ酸塩、ならびに1種以上の上記塩の組合せが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】OLB-1およびOLB-2がOGDによるSH-SY5Y細胞の死亡を有意に低下させたことを示している。
【
図2】OLB-1およびOLB-2がdb/dbマウスの尿タンパクレベルを有意に低下させたことを示している。
【
図3】OLB-1およびOLB-2が5*FADマウス海馬の炎症促進性因子のレベルを有意に低下させたことを示している。
【
図4】OLB-1およびOLB-2が5*FADマウス海馬の炎症促進性因子のレベルを有意に低下させたことを示している。
【
図5】OLB-1およびOLB-2が5*FADマウスの記憶障害を有意に改善したことを示している。
【
図6】OLB-1およびOLB-2によるALSトランスジェニックマウスのポールでの移動時間への影響を示している。
【
図7】OLB-1およびOLB-2によるALSトランスジェニックマウスの四肢の握力への影響を示している。
【
図8】OLB-1およびOLB-2がAPO誘発性の6-OHDAパーキンソン病ラットの回転数を有意に減少させたことを示している。
【発明を実施するための形態】
【0042】
【0043】
ステップ(1):1-0(15.0g,110.3mmol)を氷酢酸(150ml)に溶解し、70℃で過酸化水素水(30%,12.5ml,110.2mmol)を滴下し、反応を一晩続けた。反応が終了した後、冷却し、水酸化ナトリウム水溶液(50%)で希釈し、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して粗化合物を得て無水酢酸(30ml)に直接溶解し、107℃で3時間反応させ、反応が終了した後、冷却し、濃縮し、氷水に注いで希釈し、水酸化ナトリウム溶液でpHを10より大きく調整し、一晩撹拌し、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって生成物1-1(6.8g,41%)を得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ5.39(s,1H),3.81(s,2H),2.42(s,3H),2.42(s,3H),2.41(s,3H)。MS(ESI)m/z:153.1[M+H]+。
【0044】
【化16】
ステップ(2):化合物イミダゾール(6.2g,90.5mmol)およびtert-ブチルジメチルシリルクロリド(13.6g,90.5mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(200ml)に溶解し、化合物2-0(5.0g,36.2mmol)を数回に分けて加え、室温で一晩撹拌した。反応が終了した後、水で希釈し、n-ヘキサンで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、得られた粗生成物の一部(3.7g)をメタノール(40ml)に溶解し、ヨウ素単体(0.4g)を加えて2時間撹拌し、反応が終了した後にチオ硫酸ナトリウムを加えてクエンチし、濃縮し、エーテルで希釈し、水で洗浄し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって生成物2-1(2.0g,83%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ6.92(d,J=8.5Hz,2H),6.69-6.49(m,2H),4.41(t,J=5.2Hz,0H),3.40(td,J=7.1,5.3Hz,2H),2.49(t,J=7.1Hz,2H),0.78(s,9H),0.07(s,6H)。MS(ESI)m/z:253.2[M+H]
+。
【0045】
【化17】
ステップ(3):窒素ガスの保護下で、化合物2-1(252mg,1mmol)およびトリホスゲン(112mg,0.34mmol)を無水ジクロロメタン(15ml)に溶解し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.1ml)を加え、室温で0.5時間撹拌した後、化合物1-1(304mg,2mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(366mg,3mmol)を順次加え、室温で反応を一晩続けた。反応が終了した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって生成物2-2(241mg,56%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ6.88(d,J=8.4Hz,2H),6.58(d,J=8.4Hz,2H),5.05(s,2H),4.14(t,J=7.2Hz,2H),2.73(t,J=7.2Hz,2H),2.35(s,1H),2.31(s,1H),2.31(s,1H),0.79(s,9H),0.00(s,6H)。MS(ESI)m/z:431.2[M+H]
+。
【0046】
【化18】
ステップ(4):化合物2-2(86mg,0.2mmol)をテトラヒドロフラン(10ml)に溶解し、フッ化水素酸溶液(1.0ml,2.0mmol)を加え、1時間還流反応させた。反応が終了した後、順に飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和食塩水で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって生成物OLB-1(54mg,86%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.02(d,J=8.5Hz,2H),6.74(d,J=8.5Hz,2H),5.24(s,2H),4.30(t,J=7.2Hz,2H),2.88(t,J=7.2Hz,2H),2.53(s,1H),2.51(s,1H),2.50(s,1H)。MS(ESI)m/z:317.2[M+H]
+。
【0047】
【0048】
ステップ(1):化合物1-0(20g,147mmol)、N-ブロモスクシンイミド(26.7g,150mmol)および過酸化ベンゾイル(50mg,0.2mmol)を四塩化炭素(70ml)に溶解し、白熱電球の照射下で、10時間還流反応させ、反応が終了した後、濾過し、濃縮して粗生成物1-2を得、これを次のステップの反応に直接入れた。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ4.54(s,2H),2.57(s,1H),2.50(s,1H),2.49(s,1H)。
【0049】
【化20】
ステップ(2):化合物1-2(17.5g,82mmol)、フタルイミドカリウム(21.0g,110mmol)およびヨウ化ナトリウム(0.5g,3.3mmol)をN,N-ジメチルホルミアミド(100ml)に溶解し、95℃で2時間撹拌した。反応が終了した後、濾過し、濾液を氷水に注ぎ、白色沈殿物を得、吸引濾過し、濾過ケーキをエタノールで再結晶させて生成物1-3(18.7g,81%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ8.01-7.79(m,4H),4.90(s,2H),2.53(s,3H),2.38(s,3H),2.21(s,3H)。MS(ESI)m/z:282.1[M+H]
+。
【0050】
【化21】
ステップ(3):化合物1-3(2.8g,10mmol)をエタノール(30ml)に溶解し、ヒドラジン水和物(50%,1.0ml)を加え、2時間還流させた。反応が終了した後、濾過し、塩酸でpHを1~2に調整し、濾過し、濃縮し、水酸化ナトリウム溶液(20%)を加えて撹拌し、ジクロロメタンで抽出し、濃縮して生成物1-4(0.83g,55%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ8.07(dd,J=5.9,3.3Hz,1H),7.84(dd,J=5.9,3.3Hz,1H),3.81(s,2H),2.42(s,3H),2.42(s,3H),2.41(s,3H)。MS(ESI)m/z:152.1[M+H]
+。
【0051】
【化22】
ステップ(4):窒素ガスの保護下で、化合物2-1(252mg,1mmol)およびトリホスゲン(112mg,0.34mmol)を無水ジクロロメタン(15ml)に溶解し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.1ml)を加え、室温で0.5時間撹拌した後、化合物1-4(302mg,2mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(366mg,3mmol)を順次加え、室温で反応を一晩続けた。反応が終了した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって生成物2-3(265mg,62%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ6.90(d,J=8.4Hz,2H),6.58(d,J=8.4Hz,2H),4.24(d,J=3.5Hz,2H),4.11(t,J=7.1Hz,2H),2.71(t,J=7.1Hz,2H),2.30(s,9H),0.79(s,9H),0.00(s,6H)。MS(ESI)m/z:430.2[M+H]
+。
【0052】
【化23】
ステップ(5):化合物2-3(85mg,0.2mmol)をテトラヒドロフラン(10ml)に溶解し、フッ化水素酸溶液(1.0ml,2.0mmol)を加え、1時間還流反応させた。反応が終了した後、順に飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和食塩水で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって生成物OLB-2(51mg,81%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.06(d,J=8.3Hz,2H),6.76(d,J=8.3Hz,2H),4.42(d,J=3.8Hz,2H),4.28(t,J=7.0Hz,2H),2.88(t,J=7.1Hz,2H),2.42(s,3H),2.42(s,3H),2.41(s,3H)。MS(ESI)m/z:316.2[M+H]
+。
【0053】
実施例3:OLB-1およびOLB-2は、OGDによるSH-SY5Y細胞の死亡を有意に低下させた。
【0054】
TMP(リグストラジン)およびその誘導体の神経防護効果は、MTTアッセイによって評価された。細胞を培養し、対数期の細胞を収集し、細胞懸濁液の濃度を調整し、投薬処理およびOGDで4h培養した後、MTT含有培養液を加え、4h培養し、ウェル内の培養液を慎重に吸引除去し、各ウェルに150μlのジメチルスルホキシド(DMSO)を加え、振とう機に置いて低速で10min振とうして結晶物を十分に溶解し、酵素結合免疫測定装置のOD(吸光)値490nmで各ウェルの吸光値を測定した(同時に、ゼロ調整ウェル(培地、MTT、ジメチルスルホキシド)、対照ウェル(細胞、同じ濃度の薬物溶解媒体、培養液、MTT、ジメチルスルホキシド)を設定した)。データは平均値±SEMとして表され、各群n=8である。一元配置分散分析および多重比較により、2つの群の間に差異があることが示された。a,p<0.001vs.対照群、b,p<0.05vs.OGD群、c,p<0.001vs.OGD群である。
【0055】
図1から分かるように、OLB-1およびOLB-2は、OGDによるSH-SY5Y細胞の死亡を有意に低下させ得、神経保護効果を有する。
【0056】
実施例4:OLB-1およびOLB-2は、LPSによる炎症性因子上昇および酸化ストレスを有意に低下させた。
【0057】
SH-SY5Y細胞を蘇生培養し、対数増殖期の細胞を採取し、24時間培養した後のSH-SY5Y神経芽細胞腫細胞を1μMのオールトランスレチノイン酸で処理して分化を誘導した後、6ウェル培養皿に接種して24時間培養した。培養液に0.2μM(L)または1μM(H)の薬物および1μg/mLのLPSを加えて24時間処理し、培養液上清を吸引し、ELISAキットを用いて炎症性因子および酸化ストレスの関連タンパク質の変化を測定した。データは平均値±SEMとして表され、各群n=8である。一元配置分散分析および多重比較により、2群の間に差異があることが示された。a,p<0.05vs.LPS群、b,p<0.01vs.LPS群、c,p<0.001vs.LPS群である。
【0058】
【0059】
【0060】
表1および表2から分かるように、OLB-1およびOLB-2は、LPSによる炎症性因子の上昇および酸化ストレスを有意に減少させ、高い抗炎症効果および抗酸化効果を有する。
【0061】
実施例5:OLB-1およびOLB-2は、db/dbマウスの糖・脂質代謝異常を有意に改善した。
【0062】
実験では、正常対照群およびモデルマウスに生理食塩水10ml/kg/d、塩酸メトホルミン腸溶錠225mg/kg/d、TMP(リグストラジン)(5.0mg/kg、0.037mmol/kg)およびOLB-3(13.32mg/kg,0.037mmol/kg)を容量10mL/kg、1日1回投与し、56日間連続投与して、採血した後に血中脂質と血糖関連の指標を測定した。データは平均値±SEMとして表され、各群n=6である。一元配置分散分析および多重比較により、2つの群の間に差異があることが示された。a,p<0.05vs.db/db群、c,p<0.001vs.db/db群である。
【0063】
【0064】
表3から分かるように、OLB-1およびOLB-2は、糖・脂質代謝の異常を有意に改善し、総コレステロールおよびトリグリセリドを低下させ、高密度リポタンパク質コレステロールと低密度リポタンパク質コレステロールを低下させ、尿素およびクレアチニンを低下させた。
【0065】
実施例6:OLB-1およびOLB-2は、db/dbマウスの尿タンパクレベルを有意に低下させた。
【0066】
実験では、正常対照群およびモデルマウスに生理食塩水10ml/kg/d、ロサルタン10mg/kg/d、TMP(リグストラジン)(5.0mg/kg,0.037mmol/kg)、OLB-1(11.7mg/kg,0.037mmol/kg)およびOLB-2(11.67mg/kg,0.007mmol/kg)を容量10mL/kg、1日1回投与し、90日間連続投与した後に、尿を採取して尿タンパクレベルを測定した。データは平均値±SEMとして表され、各群n=6である。一元配置分散分析および多重比較により、2つの群の間に差異があることが示された。a,p<0.05vs.db/db群、c,p<0.001vs.db/db群である。
【0067】
図2に示すように、OLB-1およびOLB-2は、尿タンパクレベルを有意に低下させた。
【0068】
実施例7:OLB-1およびOLB-2は、db/dbマウスの生化学および代謝指標を有意に改善した。
【0069】
正常対照群およびモデルマウスに生理食塩水10ml/kg/d、ロサルタン10mg/kg/d、TMP(5.0mg/kg,0.037mmol/kg)、OLB-1(2.31mg/kg,0.007mmol/kg)およびOLB-2(2.3mg/kg,0.007mmol/kg)を容量10mL/kg、1日1回投与し、90日間連続投与した後に、血中脂質と血糖関連の指標を測定した。データは平均値±SEMとして表され、各群n=6である。一元配置分散分析および多重比較により、2つの群の間に差異があることが示された。a,p<0.05vs.db/db群、b,p<0.001vs.db/db群、c,p<0.001vs.db/db群である。
【0070】
【0071】
上記の表から分かるように、OLB-1およびOLB-2は、db/dbマウスの生化学および代謝指標を有意に低下させ、尿素およびクレアチニンを低下させた。
【0072】
実施例8:神経変性疾患におけるOLB-1およびOLB-2の使用
【0073】
OLB-1およびOLB-2は、5*FADマウス海馬の炎症促進性因子のレベルを有意に低下させた。
【0074】
6ヶ月齢の5*FADマウスをOLB-1およびOLB-2で3ヶ月治療した後、マウス海馬のIL-1β(A)およびTNFα(B)のレベルをELISAで検出した。5*FADマウスをそれぞれ低用量および高用量のOLB-1(低用量:2.31mg/kg,0.007mmol/kg、高用量:11.70mg/kg,0.037mmol/kg、以下同じ)、OLB-2(低用量:2.3mg/kg,0.007mmol/kg、高用量:11.67mg/kg,0.037mmol/kg、以下同じ)およびTMP(5.0mg/kg,0.037mmol/kg、以下同じ)で治療した。データは平均値±SEMとして表され、各群n=5~6である。一元配置分散分析および多重比較により、2つの群の間に差異があることが示された。**p<0.01、***p<0.001vs.WT群、#p<0.05、##p<0.01、###p<0.001vs.5*FAD群である。
【0075】
図3および
図4に示すように、OLB-1およびOLB-2は、炎症促進性因子TNF-αおよびIL-1βを有意に低下させた。
【0076】
OLB-1およびOLB-2は、5*FADマウスの記憶障害を有意に改善した。
【0077】
6ヶ月齢の5*FADマウスをOLB-1およびOLB-2で3ヶ月治療した後、電気ロータロッドでマウスがプラットフォームから飛び降りるエラー回数を検出した。5*FADマウスをそれぞれ低用量および高用量のOLB-1(低用量:2.31mg/kg,0.007mmol/kg、高用量:11.70mg/kg,0.037mmol/kg)、OLB-2(低用量:2.3mg/kg,0.007mmol/kg、高用量:11.67mg/kg,0.037mmol/kg)およびTMP(5.0mg/kg,0.037mmol/kg)で治療した。データは平均値±SEMとして表され、各群n=10である。一元配置分散分析および多重比較により、2つの群の間に差異があることが示された。***P<0.001vs.WT群、#p<0.05、##p<0.01vs.5*FAD群である。
【0078】
図5に示すように、OLB-1およびOLB-2は、記憶障害を有意に改善した。
【0079】
OLB-1およびOLB-2によるALSトランスジェニックマウスのポールでの移動時間への影響。
【0080】
ポールテストは、マウスの四肢の運動協能力および運動緩慢現象を評価するために一般的に使用されている。長さ約50cm、直径約1cmの木製のポールを自作し、医療用ガーゼを巻き付けて木製のポールの摩擦を増加させた。水平なテーブルの上に木製のポールを垂直に置き、マウスは頭が下に向け、四肢が棒の頂部を掴むようにマウスの尾を掴み、マウスの尾を離した後、計時を開始し、マウスが外力の作用を受けずに下へ降りることを保証し、マウスがポールの頂部から底部のプラットフォームに降りた時間を記録した(統一して後肢が着地することを基準とする)。マウスは投薬前に該行動について3日間連続訓練され、各マウスは3回の繰り返し試験を受け、基準に達しないマウスを除去した。投薬が開始した後、2週間ごとに1回行動をテストし、テスト結果の最大値は15秒を超えず、15秒を超えた数値は15秒として記録された。マウスの3回のポールでの移動時間の平均値は最終のポールでの移動時間として計算された。ALS(SOD-G93A)トランスジェニックマウスは、発病後に明らかな運動緩慢現象が発生し、ポールでの移動時間が対照マウスより有意に長くなり、かつ年齢とともにその運動緩慢現象が深刻になると現れたが、異なる用量のOLB-1、OLB-2、TMPおよびリルゾールを投与して治療した後、OLB-1、OLB-2および陽性対照薬物のリルゾール(5mg/kg)はその運動緩慢の症状を有意に改善できることが発見された。データは平均値±SEMとして表され、各群n=10である。一元配置分散分析および多重比較により、2つの群の間に差異があることが示された。***p<0.001vs.WT(正常対照)群、#p<0.05、##p<0.01 vs.ALS(SOD-G93A)群である。
【0081】
図6に示すように、OLB-1およびOLB-2は、ALSに対して治療効果を有し、ポールでの移動時間を有意に短縮し、運動緩慢を改善した。
【0082】
OLB-1およびOLB-2によるALSトランスジェニックマウスの四肢の握力への影響。
【0083】
四肢握力実験は、マウスの筋力を評価するために直接使用された。マウスを握力板の中央台に軽く置き、マウスの尾を軽く引くことでマウスが握力板を掴むように促し、マウスが握力網を強く掴んだ後、適時に水平に後方へ引っ張り、機器に最大握力値が現れると、データを記録した。投薬が開始した後、2週間ごとにマウスの握力値をテストし、各マウスについてテストを3回繰り返し、3回の結果の最大値をマウスの最大握力値とした。ALSトランスジェニックマウスが発病期に入った後、その四肢の握力はWTマウスより有意に小さくなり、異なる用量のOLB-1、OLB-2、TMPおよびリルゾールを投与して治療した後、OLB-1、OLB-2および陽性対照薬物のリルゾール(5mg/kg)はいずれもマウスの四肢の握力を効果的に増加させ、かつALSマウスの四肢の握力低下の悪化を遅らせることができることが発見された。データは平均値±SEMとして表され、各群n=10である。一元配置分散分析および多重比較により、2つの群の間に差異があることが示された。**p<0.01、***p<0.001vs.WT(正常対照)群、#p<0.05、##p<0.01vs.ALS(SOD-G93A)群である。
【0084】
図7に示すように、OLB-1およびOLB-2は、ALSに対して治療効果を有し、有意に四肢の握力を向上させ、筋力を強化した。
【0085】
OLB-1およびOLB-2は、APO誘発性6-OHDAパーキンソン病ラットの回転数を有意に減少させた。
【0086】
モデリングの3週間後、ラットの回転数を記録し、ラットが回転するように誘導し、静かで広い環境下でラットの行動変化を観察した。擬似手術群には回転がなく、6-OHDAを注射した各群には回転数が約180で有意差がなかった。2週間治療した後、生理食塩水で治療したモデル群のラットの回転数は増加し、異なる用量のOLB-1、OLB-2、TMPおよび陽性対照薬のL-dopaを2週間投与した結果は以下のとおりである。異なる用量のOLB-1、OLB-2および陽性対照薬のレボドパ(25mg/kg)で治療した後にAPO誘発性の6-OHDAラットの回転数を効果的に減少させ得た。6-OHDAモデル群に比べて、OLB-1およびOLB-2で治療したラットの回転数は有意に減少した。データは平均値±SEMで表され、各群n=9~10である。一元配置分散分析および多重比較により、2つの群の間に差異があることが示された。*p<0.05、**p<0.01vs.before6-OHDA群である。
【0087】
図8に示すように、OLB-1およびOLB-2は、パーキンソン病に対して治療効果を有し、回転数を有意に減少させた。
【0088】
以上の説明は本発明の一般的な説明である。状況または実際のニーズに応じて、形態の変更および同等の置換を行うことができ、本明細書では特定の用語を用いているが、これらの用語は説明を目的とするものであり、限定を目的とするものではない。当業者であれば本発明に対して様々な変更または修正を行うことができ、これらの同等の形態も、本発明の添付の特許請求の範囲に限定される範囲内に属する。