(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】バッテリー制御システム、バッテリー制御方法及び電気車両
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240405BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240405BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240405BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20240405BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240405BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20240405BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20240405BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
H02J7/00 302B
H02J7/00 P
B60L50/60
B60L58/12
B60L1/00 L
H01M50/249
H01M50/284
H01M50/569
H01M10/48 P
H01M10/48 301
(21)【出願番号】P 2022575254
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 KR2021011894
(87)【国際公開番号】W WO2022055180
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0117918
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヤン-シク・チェ
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-160971(JP,A)
【文献】特開2007-283974(JP,A)
【文献】特開2015-061427(JP,A)
【文献】国際公開第2016/072002(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/153637(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0086745(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
B60L 1/00
B60L 50/60
B60L 58/12
B60L 58/14
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ノードと第2ノードとの間に接続される車両コントローラ、前記車両コントローラ
と通信する車両通信部、前記第2ノードと第3ノードとの間に接続される電気モーター、及び、第4ノードと前記第2ノードとの間に接続されるバッテリーパックを含む電気車両のためのバッテリー制御システムであって、
前記電気車両に対する始動信号が受信されたことに応じて、第1要請信号を伝送するように構成されるバッテリー通信部と、
前記第1ノードと前記第4ノードとの間に接続される第1スイッチと、
前記第1ノードと前記第3ノードとの間に接続される第2スイッチと、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチが両方ともターンオフされている場合、前記第1要請信号が受信されたことに応じて、前記バッテリーパックと前記車両コントローラとの間のサブ電源経路が提供されるように前記第1スイッチをターンオンした後、前記バッテリーパックのバッテリー情報を含む通知信号を伝送するように構成されるバッテリーコントローラと、を含み、
前記バッテリー通信部は、前記通知信号が受信されたことに応じて、前記バッテリー情報を含む第2要請信号を前記車両通信部に伝送するように構成される、バッテリー制御システム。
【請求項2】
前記バッテリー通信部は、近距離通信チャンネルを介して前記車両通信部に結合する、請求項1に記載のバッテリー制御システム。
【請求項3】
前記バッテリー情報は、前記第1要請信号が受信された時点における前記バッテリーパックの電圧、温度及び充電状態のうち少なくとも一つを示す、請求項1に記載のバッテリー制御システム。
【請求項4】
前記バッテリー通信部は、前記第2要請信号が伝送された後、前記車両通信部からの確認信号が受信されたことに応じて、第3要請信号を前記バッテリーコントローラに伝送するように構成される、請求項1に記載のバッテリー制御システム。
【請求項5】
前記バッテリーコントローラは、前記第3要請信号が受信されたことに応じて、前記バッテリーパックから前記電気モーターへのメイン電源経路が提供されるように、前記第2スイッチをターンオンするように構成される、請求項4に記載のバッテリー制御システム。
【請求項6】
前記バッテリーコントローラは、前記第1スイッチがターンオンされた後、前記バッテリーパックを介して流れるバッテリー電流を検出するように構成される、請求項4に記載のバッテリー制御システム。
【請求項7】
前記バッテリーコントローラは、前記バッテリー電流が所定の臨界電流範囲内である場合、前記通知信号を前記車両通信部に伝送するように構成される、請求項6に記載のバッテリー制御システム。
【請求項8】
前記バッテリーコントローラは、前記バッテリー電流が所定の臨界電流範囲から外れた場合、前記第1スイッチをターンオフするように構成される、請求項6に記載のバッテリー制御システム。
【請求項9】
前記バッテリーコントローラは、前記バッテリー電流が所定の臨界電流範囲から外れた場合、前記サブ電源経路内に開放回路故障または短絡回路故障が発生したことを示す故障信号を前記バッテリー通信部に伝送するように構成される、請求項6に記載のバッテリー制御システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のバッテリー制御システムを含む、電気車両。
【請求項11】
第1ノードと第2ノードとの間に接続される車両コントローラ、前記車両コントローラ
と通信する車両通信部、前記第2ノードと第3ノードとの間に接続される電気モーター、及び、第4ノードと前記第2ノードとの間に接続されるバッテリーパックを含む電気車両のためのバッテリー制御方法であって、
バッテリー通信部が、前記電気車両に対する始動信号が受信されたことに応じて、第1要請信号を伝送する段階と、
バッテリーコントローラが、前記第1ノードと前記第4ノードとの間に接続される第1スイッチ及び前記第1ノードと前記第3ノードとの間に接続される第2スイッチが、両方ともターンオフされている場合、前記第1要請信号が受信されたことに応じて、前記バッテリーパックと前記車両コントローラとの間のサブ電源経路が提供されるように、前記第1スイッチをターンオンする段階と、
前記バッテリーコントローラが、前記第1スイッチをターンオンした後、前記バッテリーパックのバッテリー情報を含む通知信号を伝送する段階と、
前記バッテリー通信部が、前記通知信号が受信されたことに応じて、前記バッテリー情報を含む第2要請信号を前記車両通信部に伝送する段階と、を含むバッテリー制御方法。
【請求項12】
前記バッテリー通信部が、前記第2要請信号が伝送された後、前記車両通信部からの確認信号が受信されたことに応じて、第3要請信号を前記バッテリーコントローラに伝送する段階と、
前記バッテリーコントローラが、前記第3要請信号が受信されたことに応じて、前記バッテリーパックから前記電気モーターへのメイン電源経路が提供されるように、前記第2スイッチをターンオンする段階と、をさらに含む、請求項11に記載のバッテリー制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助バッテリーなく電気車両を駆動するためのバッテリー制御技術に関する。
【0002】
本出願は、2020年9月14日出願の韓国特許出願第10-2020-0117918号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、ノートブックPC(パソコン)、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急増し、電気車両(例えば、電動スクーター)、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれ、反復的な充放電の可能な高性能バッテリーについての研究が活発に進行しつつある。
【0004】
現在、商用化したバッテリーとしては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムバッテリーなどがあり、このうち、リチウムバッテリーは、ニッケル系のバッテリーに比べてメモリー効果がほとんど起こらず、充放電が自由で、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
電気車両は、通常、車両コントローラ、電気モーター、スイッチ、バッテリーパック及び補助バッテリーを含む。バッテリーパックは、電気モーターのための主電源として用いられ、補助バッテリーは、電気モーターを除いた電気車両内の各装置(例えば、車両コントローラ)のための補助電源として用いられる。車両コントローラは、補助バッテリーからの電源を用いて常時動作しながら、運転者のユーザーデバイスからの始動信号(ignition signal)が入力される場合には、バッテリーパックから電気モーターへの電源経路が導通するようにスイッチをターンオンする。
【0006】
バッテリーパックは、通常、リチウムイオンセルのようにエネルギー密度が高くて充放電特性が優秀な複数の単位セルを含む。一方、補助バッテリーとしては鉛蓄電池がよく用いられるが、鉛蓄電池は、リチウムイオンセルに比べてエネルギー密度が低く、充放電特性が劣る。
【0007】
特に、補助バッテリーは、電気車両内で少なくない空間を占め、自己放電特性によって低電圧状態になりやすく、車両コントローラが正常に動作するのに障害になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、補助バッテリーを備えず、バッテリーパックを電気車両のための唯一の電源として用いるバッテリー制御システム及びバッテリー制御方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施形態によってより明らかに理解されるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一面によるバッテリー制御システムは、第1ノードと第2ノードとの間に接続される車両コントローラ、前記車両コントローラに動作可能に結合する車両通信部、前記第2ノードと第3ノードとの間に接続される電気モーター及び第4ノードと前記第2ノードとの間に接続されるバッテリーパックを含む電気車両のためのものである。前記バッテリーシステムは、前記電気車両に対する始動信号を受信されたことに応じて、第1要請信号を伝送するように構成されるバッテリー通信部と、前記第1ノードと前記第4ノードとの間に接続される第1スイッチと、前記第1ノードと前記第3ノードとの間に接続される第2スイッチと、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチが両方ともターンオフされている場合、前記第1要請信号が受信されたことに応じて、前記バッテリーパックと前記車両コントローラとの間のサブ電源経路が提供されるように前記第1スイッチをターンオンした後、前記バッテリーパックのバッテリー情報を含む通知信号を伝送するように構成されるバッテリーコントローラと、を含む。前記バッテリー通信部は、前記通知信号が受信されたことに応じて、前記バッテリー情報を含む第2要請信号を前記車両通信部に伝送するように構成される。
【0011】
前記バッテリー通信部は、近距離通信チャンネルを介して前記車両通信部に結合し得る。
【0012】
前記バッテリー情報は、前記第1要請信号が受信された時点における前記バッテリーパックの電圧、温度及び充電状態のうち少なくとも一つを示し得る。
【0013】
前記バッテリー通信部は、前記第2要請信号が伝送された後、前記車両通信部からの確認信号が受信されたことに応じて、第3要請信号を前記バッテリーコントローラに伝送するように構成され得る。
【0014】
前記バッテリーコントローラは、前記第3要請信号が受信されたことに応じて、前記バッテリーパックから前記電気モーターへのメイン電源経路が提供されるように、前記第2スイッチをターンオンするように構成され得る。
【0015】
前記バッテリーコントローラは、前記第1スイッチがターンオンされた後、前記バッテリーパックを介して流れるバッテリー電流を検出するように構成され得る。
【0016】
前記バッテリーコントローラは、前記バッテリー電流が所定の臨界電流範囲内である場合、前記通知信号を前記車両通信部に伝送するように構成され得る。
【0017】
前記バッテリーコントローラは、前記バッテリー電流が所定の臨界電流範囲から外れた場合、前記第1スイッチはターンオフするように構成され得る。
【0018】
前記バッテリーコントローラは、前記バッテリー電流が所定の臨界電流範囲から外れた場合、前記サブ電源経路内に開放回路故障または短絡回路故障が発生したことを示す故障信号を前記バッテリー通信部に伝送するように構成され得る。
【0019】
本発明の他面による電気車両は、前記バッテリー制御システムを含む。
【0020】
本発明のさらに他面によるバッテリー制御方法は、前記バッテリー制御システムによって実行可能に提供される。前記バッテリー制御方法は、前記バッテリー通信部が、前記電気車両に対する始動信号が受信されたことに応じて、前記第1要請信号を伝送する段階と、前記バッテリーコントローラが、第1スイッチ及び第2スイッチが両方ともターンオフされている場合、前記第1要請信号が受信されたことに応じて、前記バッテリーパックと前記車両コントローラとの間のサブ電源経路が提供されるように、前記第1スイッチをターンオンする段階と、前記バッテリーコントローラが、前記第1スイッチをターンオンした後、前記通知信号を伝送する段階と、前記バッテリー通信部が、前記通知信号が受信されたことに応じて、第2要請信号を前記車両通信部に伝送する段階と、を含む。
【0021】
前記バッテリー制御方法は、前記バッテリー通信部が、前記第2要請信号が伝送された後、前記車両通信部からの確認信号が受信されたことに応じて、第3要請信号を前記バッテリーコントローラに伝送する段階と、前記バッテリーコントローラが、前記第3要請信号が受信されたことに応じて、前記バッテリーパックから前記電気モーターへのメイン電源経路が提供されるように、前記第2スイッチをターンオンする段階と、をさらに含み得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施形態のうち少なくとも一つによると、補助バッテリーを備えることなく、バッテリーパックを電気車両に必要なエネルギーを提供する唯一の電源として用いることができる。これによって、補助バッテリーの低電圧状態による始動不能を防止することができる。
【0023】
また、電気車両内で補助バッテリーが占める空間だけバッテリーパックの容量を確張して電気車両の走行可能距離を延長することができる。
【0024】
また、本発明の実施形態のうち少なくとも一つによれば、運転者からの始動要請が受信されると、バッテリーパックと車両コントローラとの間のサブ電源経路を提供した後、バッテリーパックと電気モーターとの間のメイン電源経路を提供できる。これによって、車両コントローラ及び電気モーターの待機電力によってバッテリーパックのエネルギーが無駄に消耗されることを防止することができる。
【0025】
また、本発明の実施形態の少なくとも一つによれば、サブ電源経路が導通している間に、バッテリーパックを介して流れるバッテリー電流に基づいてサブ電源経路内の故障を診断することができる。
【0026】
本発明の効果は上述した効果に制限されず、言及されていない本発明の他の効果は請求範囲の記載から当業者により明らかに理解されるだろう。
【0027】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明によるバッテリー制御システムを含む電気車両の構成を示した図である。
【
図2】本発明の第1実施形態によるバッテリー制御方法を示したフローチャートである。
【
図3】本発明の第2実施形態によるバッテリー制御方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0030】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0031】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素のうちいずれか一つを残りと区別する目的として使用され、このような用語によって構成要素が限定されることではない。
【0032】
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書に記載の「制御部」のような用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を示し、これはハードウェアやソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの結合せにより具現され得る。
【0033】
さらに、明細書の全体に亘って、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(接続)」されている場合のみならず、その中間に他の素子を介して「間接的に連結(接続)」されている場合も含む。
【0034】
図1は、本発明によるバッテリー制御システム100を含む電気車両1の構成を示した図である。
【0035】
図1を参照すると、電気車両1は、バッテリーパック10、車両コントローラ20、車両通信部30、電気モーター40及びバッテリー制御システム100を含む。電気車両1は、周辺装置50をさらに含み得る。周辺装置50は、例えば、電気車両1のヒーター、オーディオ、照明などであり得る。
【0036】
車両コントローラ20は、電気モーター40及び周辺装置50を統合制御するように提供される。車両コントローラ20は、動作中に、車両通信部30を通じてバッテリー制御システム100と双方向通信を行う。車両コントローラ20は、バッテリーパック10からの直流電力を車両コントローラ20の動作に要求される電圧レベルに降圧するコンバータを内蔵し得る。
【0037】
車両通信部30は、車両コントローラ20に動作可能に結合する。二つの構成が動作可能に結合するということは、単方向または双方向に信号を送受信可能に二つの構成が直接・間接的に接続されていることを意味する。車両通信部30は、車両コントローラ20からの信号、命令及び/またはメッセージをバッテリー制御システム100へ伝送するように提供される。
【0038】
電気モーター40は、車両コントローラ20に動作可能に結合する。電気モーター40は、車両コントローラ20からの命令に応じて、回転速度、トルク及び/または回転方向を調節することで、運転者の意図に沿って電気車両1が運転されるようにする。電気モーター40は、バッテリーパック10からの直流電力を交流電力に切り替えるインバーターを内蔵し得る。
【0039】
バッテリーパック10は、車両コントローラ20及び電気モーター40の駆動のための電源として提供される。バッテリーパック10は、直列に接続された複数のバッテリーセル11を含み得る。バッテリーセル11は、例えば、リチウムイオンセルのように反復的な充放電が可能なものであれば、その種類は特に限定されない。
【0040】
バッテリー制御システム100は、バッテリー通信部110、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2及びバッテリーコントローラ130を含む。
【0041】
バッテリー通信部110は、バッテリーコントローラ130に動作可能に結合する。バッテリー通信部110は、バッテリーコントローラ130からの信号、命令及び/またはメッセージを車両通信部30へ伝送するように提供される。バッテリー通信部110と車両通信部30は、有線ネットワーク及び/または無線ネットワークを通じて双方向通信可能に提供される。有線ネットワークは、例えば、CAN(controller area network,コントローラ・エリア・ネットワーク)であり得る。無線ネットワークは、NFC(Near Field Communication,近距離無線通信)、ジグビー(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)通信であり得る。例えば、バッテリー通信部110と車両通信部30は各々NFC回路を有し、近距離通信チャンネルを通じて相互に結合する。
【0042】
第1スイッチSW1は、バッテリーコントローラ130に動作可能に結合する。第1スイッチSW1は、バッテリーコントローラ130からの第1スイチング信号に応じて、バッテリーパック10から車両コントローラ20へのサブ電源経路を選択的に導通するように提供される。
【0043】
第2スイッチSW2は、バッテリーコントローラ130に動作可能に結合する。第2スイッチSW2は、バッテリーコントローラ130からの第2スイチング信号に応じて、バッテリーパック10から電気モーター40へのメイン電源経路を選択的に導通するように提供される。
【0044】
第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2では、リレーや電界効果トランジスター(FET:Field Effect Transistor)などのような公知のスイチング素子が用いられ得る。
【0045】
バッテリーコントローラ130は、電圧センサー151及び制御部170を含む。バッテリーコントローラ130は、温度センサー152及び/または電流センサー153をさらに含み得る。
【0046】
電圧センサー151は、バッテリーパック10に並列に接続される。電圧センサー151は、バッテリーパック10の両端にかかったバッテリー電圧を検出し、検出されたバッテリー電圧を示す電圧信号を生成するように構成される。
【0047】
温度センサー152は、バッテリーパック10から所定の距離内の決められた位置に配置される。温度センサー152は、バッテリーパック10のバッテリー温度を検出し、検出されたバッテリー温度を示す温度信号を生成するように構成される。
【0048】
電流センサー153は、バッテリーパック10の充放電のための電流経路を通してバッテリーに直列に接続される。電流センサー153は、バッテリーパック10を介して流れるバッテリー電流を検出し、検出されたバッテリー電流を示す電流信号を生成するように構成される。
【0049】
制御部170は、ハードウェア的に、ASIC( application specific integrated circuit,特定用途向け集積回路)、DSP(digital signal processor,デジタルシグナルプロセッサ)、DSPD(digital signal processing device,デジタル信号処理デバイス)、PLD(programmable logic device,プログラマブルロジックデバイス)、FPGA(field programmable gate array,フィールドプログラマブルゲートアレイ)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、その他の機能遂行のための電気的ユニットの少なくとも一つを用いて具現され得る。制御部170には、メモリーデバイスが内蔵され得、メモリーデバイスとしては、例えば、RAM、ROM、レジスター、ハードディスク、光記録媒体または磁気記録媒体を用い得る。メモリーデバイスは、制御部170によって実行される各種制御ロジックを含むプログラム、及び/または前記制御ロジックが実行されるときに発生するデータを保存、更新及び/または消去し得る。
【0050】
制御部170は、電圧信号、温度信号及び/または電流信号を設定時間毎に反復的に収集し、バッテリーパック10の充電状態(SOC:state of charge)及び/または健康状態(SOH:state of health)を決定し得る。また、制御部170は、バッテリーパック10の電圧、温度、電流、SOC及びSOHのうち少なくとも一つを示すバッテリー情報を生成し得る。SOC及びSOHは、公知の方式を採用して演算可能であるので、具体的な説明は省略する。
【0051】
電気車両1内には、複数のノードN1~N4が提供される。本明細書において、「ノード」とは、二つ以上の電気部品が相互電気的に結合する位置や領域を意味する。
【0052】
車両コントローラ20は、第1ノードN1と第2ノードN2との間に接続される。即ち、車両コントローラ20は、第1ノードN1及び第2ノードN2を介してバッテリーパック10からの電力を受ける。周辺装置50は、第1ノードN1と第2ノードN2との間で、車両コントローラ20に並列に接続され得る。
【0053】
電気モーター40は、第2ノードN2と第3ノードN3との間に接続される。即ち、電気モーター40は、第2ノードN2及び第3ノードN3を介してバッテリーパック10からの電力を受ける。
【0054】
第1スイッチSW1は、第1ノードN1と第4ノードN4との間に接続される。バッテリーパック10は、第4ノードN4と第2ノードN2との間に接続される。第2スイッチSW2は、第1ノードN1と第3ノードN3との間に接続される。
【0055】
第1スイッチSW1がターンオンされると、サブ電源経路が導通する。サブ電源経路は、バッテリーパック10、第1スイッチSW1、第1ノードN1、車両コントローラ20及び第2ノードN2を経由する閉回路であり得る。サブ電源経路の導通時、バッテリーパック10から車両コントローラ20へ電源が供給され、車両コントローラ20の駆動が可能になる。
【0056】
第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がターンオンされると、メイン電源経路が導通する。メイン電源経路は、バッテリーパック10、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第3ノードN3、前記電気モーター40及び第2ノードN2を経由する閉回路であり得る。メイン電源経路の導通時、バッテリーパック10から電気モーター40へ電源が供給され、電気モーター40の駆動が可能になる。
【0057】
車両通信部30は、運転者からの運転停止信号が受信されたことに応答して、バッテリー通信部110に電源遮断信号を伝送し得る。バッテリー通信部110は、電源遮断信号を制御部170に伝達し得る。制御部170は、電気車両1の運転中において、電源遮断信号が受信されたことに応答して第2スイッチSW2と第1スイッチSW1を順次にターンオフし得る。
【0058】
図2は、本発明の第1実施形態によるバッテリー制御方法を示したフローチャートである。
図2のバッテリー制御方法は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がターンオフされた状態で所定の周期で反復され得る。
【0059】
図1及び
図2を参照すると、段階S200において、バッテリー通信部110は、始動信号が受信されたか否かを判定する。始動信号は、運転者のユーザーデバイス2から伝送され得る。ユーザーデバイス2は、例えば、近距離通信が可能なスマートフォンであり得る。運転者がユーザーデバイス2に運転要請を入力した後、ユーザーデバイス2がバッテリー通信部110の通信範囲内に進入することによって、始動信号がユーザーデバイス2からバッテリー通信部110へ伝送され得る。段階S200の値が「はい」である場合、段階S210へ進む。
【0060】
段階S210で、バッテリー通信部110は、バッテリーコントローラ130に第1要請信号を伝送する。第1要請信号は、車両コントローラ20を動作不能状態から動作可能状態へ切り替えるための信号である。
【0061】
段階S220で、バッテリーコントローラ130は、第1要請信号が受信されたことに応じて、バッテリー情報を生成する。バッテリー情報は、第1要請信号が受信された時点でのバッテリーパック10の電圧、温度及び充電状態のうち少なくとも一つを示し得る。
【0062】
段階S230で、バッテリーコントローラ130は、第1スイッチSW1をターンオンする。第1スイッチSW1がターンオンされることによって、バッテリーパック10と車両コントローラ20との間のサブ電源経路が提供され、車両コントローラ20が動作不能状態から動作可能状態に切り替えられる。
【0063】
段階S240で、バッテリーコントローラ130は、バッテリー情報を含む通知信号をバッテリー通信部110へ伝送する。
【0064】
段階S250で、バッテリー通信部110は、通知信号が受信されたことに応じて、バッテリー情報を含む第2要請信号を車両通信部30へ伝送する。車両通信部30は、第2要請信号を車両コントローラ20へ伝送する。車両コントローラ20は、第2要請信号のバッテリー情報に基づき、電気車両1の運転可否を判定する。例えば、車両コントローラ20は、バッテリー情報が示すバッテリーパック10の電圧、温度及びSOCのうち少なくとも一つが予め決められた安全範囲から外れる異常状態(例えば、過放電、過熱、過冷)の場合、電気車両1の運転が不可であると判定し、その外には電気車両1の運転が可能であると判定し得る。車両コントローラ20は、電気車両1の運転が可能であると判定される場合、車両通信部30を通じてバッテリー通信部110へ確認信号を伝送する。即ち、確認信号は、バッテリーパック10が電気車両1の運転に使用可能な正常状態にあることを示す。
【0065】
段階S260で、バッテリー通信部110は、車両通信部30からの確認信号が受信されたか否かを判定する。段階S260の値が「はい」である場合、段階S270へ進む。
【0066】
段階S270で、バッテリー通信部110は、第3要請信号をバッテリーコントローラ130に伝送する。第3要請信号は、電気モーター40を動作不能状態から動作可能状態へ切り替えるための信号である。
【0067】
段階S280で、バッテリーコントローラ130は、第3要請信号が受信されたことに応じて、第2スイッチSW2をターンオンする。第2スイッチSW2がターンオンされることによって、バッテリーパック10と電気モーター40との間のメイン電源経路が提供され、電気モーター40が動作不能状態から動作可能状態に切り替えられる。
【0068】
図3は、本発明の第2実施形態によるバッテリー制御方法を示したフローチャートである。
図3のバッテリー制御方法は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がターンオフされた状態で所定の周期で反復され得る。
【0069】
図1及び
図3を参照すると、段階S300で、バッテリー通信部110は、始動信号が受信されたか否かを判定する。始動信号は、運転者のユーザーデバイス2から伝送され得る。ユーザーデバイス2は、例えば、近距離通信が可能なスマートフォンであり得る。運転者がユーザーデバイス2に運転要請を入力した後、ユーザーデバイス2がバッテリー通信部110の通信範囲内に進入することによって、始動信号がユーザーデバイス2からバッテリー通信部110へ伝送され得る。段階S300の値が「はい」である場合、段階S310へ進む。
【0070】
段階S310で、バッテリー通信部110は、バッテリーコントローラ130に第1要請信号を伝送する。第1要請信号は、車両コントローラ20を動作不能状態から動作可能状態に切り替えるための信号である。
【0071】
段階S320で、バッテリーコントローラ130は、第1要請信号が受信されたことに応じて、バッテリー情報を生成する。バッテリー情報は、第1要請信号が受信された時点でのバッテリーパック10のバッテリー電圧、バッテリー温度及び充電状態のうち少なくとも一つを示し得る。
【0072】
段階S330で、バッテリーコントローラ130は、第1スイッチSW1をターンオンする。第1スイッチSW1がターンオンされることによって、バッテリーパック10と車両コントローラ20との間のサブ電源経路が提供され、車両コントローラ20が動作不能状態から動作可能状態に切り替えられる。
【0073】
段階S332で、バッテリーコントローラ130は、バッテリーパック10を介して流れるバッテリー電流を検出する。または、バッテリーコントローラ130は、段階S332で、バッテリー電流及びバッテリー電圧を両方とも検出し得る。
【0074】
段階S334で、バッテリーコントローラ130は、バッテリー電流が所定の臨界電流範囲内であるか否かを判定する。または、バッテリーコントローラ130は、段階S334で、(i)バッテリー電流が所定の臨界電流範囲内であるか否か及び(ii)段階S320で生成されたバッテリー情報のバッテリー電圧と段階S332で検出されたバッテリー電圧との電圧差が所定の臨界電圧範囲内であるか否かを両方とも判定し得る。段階S334の値が「はい」である場合、段階S340へ進む。段階S334の値が「いいえ」である場合、段階S390へ進む。
【0075】
段階S340で、バッテリーコントローラ130は、バッテリー情報を含む通知信号をバッテリー通信部110へ伝送する。
【0076】
段階S350で、バッテリー通信部110は、通知信号が受信されたことに応じて、バッテリー情報を含む第2要請信号を車両通信部30へ伝送する。車両通信部30は、第2要請信号を車両コントローラ20へ伝送する。車両コントローラ20は、第2要請信号のバッテリー情報に基づいて電気車両1の運転可否を判定する。例えば、車両コントローラ20は、バッテリー情報が示すバッテリーパック10の電圧、温度及びSOCのうち少なくとも一つが予め決められた安全範囲から外れる異常状態(例えば、過放電、過熱)である場合、電気車両1の運転が不可能であると判定し、その外には、電気車両1の運転が可能であると判定し得る。車両コントローラ20は、電気車両1の運転が可能であると判定される場合、車両通信部30を通じてバッテリー通信部110へ確認信号を伝送する。
【0077】
段階S360で、バッテリー通信部110は、車両通信部30からの確認信号が受信されたか否かを判定する。段階S360の値が「はい」である場合、段階S370へ進む。
【0078】
段階S370で、バッテリー通信部110は、第3要請信号をバッテリーコントローラ130へ伝送する。第3要請信号は、電気モーター40を動作不能状態から動作可能状態へ切り替えるための信号である。
【0079】
段階S380で、バッテリーコントローラ130は、第3要請信号が受信されたことに応じて、第2スイッチSW2をターンオンする。第2スイッチSW2がターンオンされることによって、バッテリーパック10と電気モーター40との間のメイン電源経路が提供され、電気モーター40が動作不能状態から動作可能状態に切り替えられる。
【0080】
段階S390で、バッテリーコントローラ130は、第1スイッチSW1をターンオフする。
【0081】
段階S392で、バッテリーコントローラ130は、バッテリー通信部110に故障信号を伝送する。故障信号は、サブ電源経路内に開放回路故障または短絡回路故障が発生したことを示す。
【0082】
段階S394で、バッテリー通信部110は故障信号をユーザーデバイス2へ伝送する。
【0083】
以上で説明した本発明の実施形態は、必ずしも装置及び方法を通じて具現されることではなく、本発明の実施形態の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じて具現され得、このような具現は、本発明が属する技術分野における専門家であれば、前述した実施形態の記載から容易に具現できるはずである。
【0084】
以上、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0085】
また、上述の本発明は、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想から脱しない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であるため、上述の実施形態及び添付された図面によって限定されず、多様な変形が行われるように各実施形態の全部または一部を選択的に組み合わせて構成可能である。