(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】インテリジェント交通システム内の改善された通信
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20240405BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
G08G1/09 F
G08G1/16 D
(21)【出願番号】P 2023004051
(22)【出願日】2023-01-13
【審査請求日】2023-01-13
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イザベル モルヴァン
(72)【発明者】
【氏名】エリック ナッソー
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン セヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ブライス ルウールー
(72)【発明者】
【氏名】リオネル トクチュ
(72)【発明者】
【氏名】エルヴェ ルーラン
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/252174(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インテリジェント交通システム(ITS)における通信の方法であって、
発信元ITS局(ITS-S)において、前記ITSによって監視される領域内で検出された少なくとも1つの物体に関与する少なくとも1つの状況を検出することに応答して、集合的知覚メッセージ(CPM)を生成し送信する
送信工程を有し、
前記生成されたCPMは、前記少なくとも1つの物体への参照と、前記少なくとも1つの物体が前記少なくとも1つの状況に関与していることを示すインジケーションと、
少なくとも1つの知覚物体コンテナと、を含
み、
前記少なくとも1つの知覚物体コンテナは、前記少なくとも1つの物体の説明と、前記少なくとも1つの状況への参照と、前記少なくとも1つの状況に関して対応する物体のリスクレベルを表す物体セーフティレベルと、を含み、
前記送信工程では、前記物体セーフティレベルに基づいて、前記少なくとも1つの状況に関与する物体を選択し、該選択された物体への参照を含むCPMを送信する
方法。
【請求項2】
前記選択された全ての物体は、前記生成されたCPM内で参照される
請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
インテリジェント交通システム(ITS)における通信の方法であって、
発信元ITS局(ITS-S)において、前記ITSによって監視される領域内で検出された少なくとも1つの物体に関与する少なくとも1つの状況を検出することに応答して、集合的知覚メッセージ(CPM)を生成し送信する送信工程を有し、
前記生成されたCPMは、前記少なくとも1つの物体への参照と、前記少なくとも1つの物体が前記少なくとも1つの状況に関与していることを示すインジケーションと、前記少なくとも1つの状況のリスクレベルを表す状況セーフティレベルと、を含み、
前記方法は、前記状況セーフティレベルが状況セーフティ閾値より高い場合に、2つの連続するCPM生成イベント間に経過する最小時間を減少させる減少工程をさらに有する
方法。
【請求項4】
インテリジェント交通システム(ITS)における通信の方法であって、
発信元ITS局(ITS-S)において、前記ITSによって監視される領域内で検出された少なくとも1つの物体に関与する少なくとも1つの状況を検出することに応答して、集合的知覚メッセージ(CPM)を生成し送信する送信工程を有し、
前記生成されたCPMは、前記少なくとも1つの物体への参照と、前記少なくとも1つの物体が前記少なくとも1つの状況に関与していることを示すインジケーションと、を含み、
前記送信工程では、前記CPMの生成の際に、物体セーフティレベル及び/又は状況セーフティレベルに応じて、連続するCPMで同じ物体が参照されることを防止する任意のメカニズムを無効にする及び/又は任意のグループ化メカニズムを無効にする
方法。
【請求項5】
前記送信工程は、前記状況セーフティレベルが状況セーフティ閾値より高い場合に、連続するCPMで同じ物体が参照されることを防止する任意のメカニズムを無効にすることを含む
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記送信工程は、前記状況セーフティレベルが状況セーフティ閾値より高い場合に、任意のグループ化メカニズムを無効にすることを含む
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
インテリジェント交通システム(ITS)における通信の方法であって、
発信元ITS局(ITS-S)において、前記ITSによって監視される領域内で検出された少なくとも1つの物体に関与する少なくとも1つの状況を検出することに応答して、集合的知覚メッセージ(CPM)を生成し送信する送信工程を有し、
前記生成されたCPMは、前記少なくとも1つの物体への参照と、前記少なくとも1つの物体が前記少なくとも1つの状況に関与していることを示すインジケーションと、前記少なくとも1つの状況の識別子と、を含み、
前記送信工程では、前記CPMの生成の際に、前記識別子として分散環境通知メッセージ(DENM)の状況識別子を使用する
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、インテリジェント交通システム(ITS)に関し、より具体的には、協調型インテリジェント交通システム(C-ITS)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
協調型インテリジェント交通システム(C-ITS)は、交通安全、交通効率、ドライバー体験を向上させることを目的とした、将来の交通管理のための新技術である。
【0003】
欧州電気通信標準化機構(ETSI)が定義するITS(インテリジェント交通システム)には、以下のようなさまざまな通信が含まれる。
-車両間の通信(例えば、車両から車両)、および
-車両と固定拠点との間の通信(例えば、車両からインフラ)。
【0004】
C-ITSは、道路交通に限定されるものではない。より一般的には、C-ITSは、ナビゲーションシステムを含む鉄道、水上、航空輸送における情報通信技術(ICT)の使用と定義することができる。このような様々なタイプのC-ITSは、一般的に通信のために無線サービスに依存し、専用技術を使用する。
【0005】
このようなC-ITSは、C-ITSが実施される国や地域ごとに規定された規格に従わなければならない。現在ヨーロッパでは、C-ITSが準拠する規格を形成する仕様の策定を欧州電気通信標準化機構が担当している。
【0006】
C-ITSの連携は、ITS局(ITS-S)間のITSメッセージと呼ばれるメッセージの交換によって実現される。ITS-Sは、車両、路側ユニット(RSU)、ITS装置(例えば、スマートフォン、GPS、スマートウォッチ、自転車用装置など)を搭載した脆弱道路利用者(VRU)、ITS装置を搭載したその他のエンティティやインフラ、および中央サブシステム(バックエンドシステムや交通管理センター)であってもよい。
【0007】
C-ITSは、例えば、あらゆる種類の道路利用者を指す車両間(車車間または「V2V」)(例えば車両から車両)、または車両と固定拠点との間(例えば、車両からインフラ「V2I」、インフラから車両「I2V」)(例えば車両からインフラ)など、様々な種類の通信をサポートしている場合がある。
【0008】
このようなメッセージ交換は、「V2X」(車両から任意の種類のデバイス)ネットワークと呼ばれる無線ネットワークを介して実行されてもよく、その例としては、3GPPのLTEアドバンスドプロ、3GPPの5G、またはIEEE802.11p技術(3GPP、LTE、IEEEは登録商標)が挙げられる。
【0009】
ITSメッセージの例としては、集合的知覚メッセージ(CPM)、協調認知メッセージ(CAM)、分散環境通知メッセージ(DENM)などがある。ITSメッセージを送信するITS-Sを「発信元」ITS-Sと呼び、ITSメッセージを受信するITS-Sを「受信側」ITS-Sと呼ぶ。
【0010】
ETSI TS 103 324(2021年5月のV0.0.22)は、センサシステムを搭載したITS-Sが周辺にある物体を検知し、その記述情報(例えば、位置及び/又は運動情報などのダイナミクス)をCPMを使用して送信する、集合的知覚サービスを定義している。CPMは、発信元ITS-Sが検知した物体の速度などに応じて、100msから1sの周期で送信される。
【0011】
EN 302 637-2(2019年4月のV1.4.1)は、ITS-SがブロードキャストCAMを使用して自車両のダイナミクス(位置および速度など)を送信する協調認知基本サービスを定義している。
【0012】
EN 302 637-3(2019年4月のV1.3.1)は、発信元ITS-SがブロードキャストDENMを使用して、他のITS-Sに警告(warningやalert)などの通知を送信することができる、分散環境通知基本サービスを定義している。このメッセージは、発信元ITS-Sが検知したイベント(例えば、道路ハザード、走行環境、交通状況)を通知する。
【0013】
DENMの例としては、特定の領域での衝突リスクに関する警告がある。このような場合、車両は様々な緊急処置や機能(例えば、自動緊急ブレーキ、前方衝突警告)をトリガさせることができる。
【0014】
前述したように、集合的知覚サービスは、ITS局が認識した物体(例えば、車両や歩行者)を近くの他のITS局と定期的に共有し、ローカル環境の認識を向上させることを可能にするものである。しかし、現在のCPM生成ルールは物体の運動に依存するため(周期は100msから1s)、クリティカルセーフティ状況において問題となる遅延を発生させる可能性がある。また、一般に物体が密集している場所では多くの物体が報告されるため、受信側での状況分析に要する時間が長くなってしまう。
【0015】
DENMの目的が、起こりうるリスクを交通参加者に知らせることである場合、分散環境通知サービスは、衝突リスク、天候、道路上の人の存在など様々なタイプの状況に対して、どの物体が本当にイベントに関係しているのかについての正確で精密な情報なしにイベント関連情報をトリガする。
【0016】
従って、CPMやDENMは効率的であることが証明されているが、CPMやDENMを送信するために利用できる帯域を最適化し、ITS-Sが適切なタイミングで正しい判断を下すことができるように、正しい情報を適切なタイミングで提供するための改善が継続的に必要である。
【発明の概要】
【0017】
本発明は、前述の懸念事項の1つ以上に対処するために考案されたものである。
【0018】
本開示の第1の態様によれば、インテリジェント交通システム(ITS)における通信の方法が提供され、
発信元ITS局(ITS-S)において、前記ITSによって監視される領域内で検出された少なくとも1つの物体に関与する少なくとも1つの状況を検出することに応答して、集合的知覚メッセージ(CPM)を生成し送信することを含み、
前記生成されたCPMは、前記少なくとも1つの物体への参照と、前記少なくとも1つの物体が前記少なくとも1つの状況に関与していることを示すインジケーションと、を含む。
【0019】
少なくとも1つの状況は、ITSによって監視される領域内で検出された2つ以上の物体に関与することができ、生成されたCPMは、2つ以上の物体のそれぞれへの参照と、2つ以上の物体が少なくとも1つの状況に関与することを示すインジケーションと、を含み得ることに留意されたい。
【0020】
従って、セーフティクリティカルな状況に関係する物体はCPMで識別され、セーフティクリティカルでない物体よりも低い遅延でCPMに含まれ得る。その結果、CPMを受信するITS局による所与の状況(最初にDENMによって通知された可能性がある)に関連する物体の識別がより容易かつ迅速になる。したがって、同じ状況に関連する物体をCPMで報告することにより、受信側のITS局の状況認識が向上し、ITS受信局による状況分析のスピードアップが可能となる。
【0021】
また、セーフティクリティカルな関連物体をCPM内で特定することで、CPM生成の遅延が短縮され得るため、安全性が向上する。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態は、車両よりも強力な状況分析(例えば、より広い視野、複数の視野、交通状況、信号機の状態などの他の情報へのアクセスなど)を有する可能性がある路側ユニットに実装される場合に特に有利である。
【0023】
そのため、受信側のITS局は、セーフティクリティカルな物体や状況に関する情報を優先的に取得することができ、送信側で既に解析した結果を再利用できる(より強力な解析ツールを持つ路側ユニットからのメッセージの場合、受信側のITS局でその解析結果を利用できる可能性がある)。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、前記生成されたCPMは、少なくとも1つの知覚物体コンテナを含み、該少なくとも1つの知覚物体コンテナは、前記少なくとも1つの物体の説明と前記少なくとも1つの状況への参照と、を含む。さらにいくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの知覚物体コンテナは、少なくとも1つの状況への参照を含む。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、前記生成されたCPMは、前記少なくとも1つの知覚物体コンテナとは異なる空間補遺コンテナを含み、前記空間補遺コンテナは、前記少なくとも1つの状況への参照を含む。さらにいくつかの実施形態によれば、前記空間補遺コンテナは、前記少なくとも1つの物体への参照をさらに含む。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、前記少なくとも1つの知覚物体コンテナは、前記少なくとも1つの状況に関して対応する物体のリスクレベルを表す物体セーフティレベルをさらに含む。本方法は、前記物体セーフティレベルの関数として、前記少なくとも1つの状況に関与する物体を選択ことをさらに含み、該選択された物体のみが前記生成されたCPM内で参照され得る。さらにいくつかの実施形態によれば、前記選択された全ての物体は、前記生成されたCPM内で参照される。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、前記生成されたCPMは、前記少なくとも1つの状況のリスクレベルを表す状況セーフティレベルをさらに含む。さらにいくつかの実施形態によれば、本方法は、前記状況セーフティレベルが状況セーフティ閾値より高いか否かを決定することと、前記状況セーフティレベルが前記状況セーフティ閾値より高いと決定することに応答して、2つの連続するCPM生成イベント間に経過する最小時間を減少させることと、をさらに含む。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、方法は、物体セーフティレベル及び/又は状況セーフティレベルに応じて、連続するCPMで同じ物体が参照されることを防止する任意のメカニズムを無効にすること及び/又は任意のグループ化メカニズムを無効にすること、をさらに含む。
【0029】
さらにいくつかの実施形態によれば、方法は、前記少なくとも1つの状況の識別子を取得することをさらに含み、前記生成されたCPMは前記少なくとも1つの状況の識別子をさらに含み、該識別子は分散環境通知メッセージ(DENM)の状況識別子であり、該DENMは前記少なくとも1つの状況に関する情報を含む。
【0030】
さらにいくつかの実施形態によれば、前記少なくとも1つの物体が前記少なくとも1つの状況に関与していることを示す前記インジケーションは、少なくとも1つの第2の物体への参照をさらに含み、該少なくとも1つの第2の物体は前記少なくとも1つの物体とは異なりかつ前記少なくとも1つの状況に関与している。
【0031】
さらにいくつかの実施形態によれば、前記生成されたCPMは、前記少なくとも1つの物体に関連する予測データと、前記少なくとも1つの第2の物体に関連する予測データと、をさらに含む。
【0032】
さらにいくつかの実施形態によれば、前記生成されたCPMは、前記少なくとも1つの物体に関連する予測データが前記少なくとも1つの第2の物体に関連する予測データにリンクされていることを示す情報アイテムを含む。
【0033】
本開示の第2の態様によれば、インテリジェント交通システム(ITS)における通信の方法が提供され、
発信元ITS局(ITS-S)において、前記ITSによって監視される領域内で検出された少なくとも2つの物体に関与する少なくとも1つの状況を検出することに応答して、集合的知覚メッセージ(CPM)を生成し送信することを含み、
前記生成されたCPMは、前記少なくとも2つの物体への参照と、該少なくとも2つの物体を前記少なくとも1つの状況にリンクするグループ化情報と、を含む。
【0034】
従って、セーフティクリティカルな状況に関係する物体はCPMで識別され、セーフティクリティカルでない物体よりも低い遅延でCPMに含まれ得る。その結果、CPMを受信するITS局は、ある状況(最初にDENMによって通知された可能性がある)に関連する物体をより容易かつ迅速に特定することができる。したがって、同じ状況に関連する物体をCPMで報告することにより、受信側のITS局の状況認識が向上し、ITS受信局による状況分析のスピードアップが可能となる。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、前記グループ化情報は、前記少なくとも2つの物体のうちの1つの予測経路を前記少なくとも2つの物体のうちの他の1つの予測経路に関連付け、物体予測間の可能な相互作用を反映させる。
【0036】
さらにいくつかの実施形態によれば、方法は、前記少なくとも1つの状況の識別子を生成することをさらに含み、前記生成されたCPMは前記生成された識別子をさらに含み、前記生成された識別子は分散環境通知メッセージ(DENM)の任意の状況識別子から独立している。
【0037】
さらにいくつかの実施形態によれば、本方法は、前記少なくとも1つの状況に関する情報を取得することをさらに含み、前記生成されたCPMは前記少なくとも1つの状況に関する前記取得された情報をさらに含む。前記少なくとも1つの状況に関する前記取得された情報は、状況補遺コンテナ内に格納される。
【0038】
さらにいくつかの実施形態によれば、方法は、分散環境通知メッセージ(DENM)を受信することをさらに含み、該受信したDENMは前記少なくとも1つの物体が前記少なくとも1つの状況に関与していることを示すインジケーションを含む、または、前記少なくとも1つの物体が前記少なくとも1つの状況に関与していることを示す前記インジケーションを決定することをさらに含む。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、生成されたCPMは、認証機関によって付与された発信元ITS-Sの証明書をさらに含み、この証明書は、少なくとも2つの物体が少なくとも1つの状況に関与しているというインジケーションを提供する許可を含む。
【0040】
本開示の第3の態様によれば、インテリジェント交通システム(ITS)における通信の方法が提供され、
受信側ITS局(ITS-S)において、
集合的知覚メッセージ(CPM)を受信することと、
前記受信したCPMを分析し、前記ITSによって監視される領域内で検出された少なくとも1つの物体が少なくとも1つの状況に関与していることを前記受信したCPMから決定することと、
を含む。
【0041】
本開示のこの態様は、上述したものと同様の利点を有する。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、方法は、前記少なくとも1つの物体の予測動作から少なくとも1つの第2の物体の予測動作を決定することをさらに含み、前記少なくとも1つの第2の物体は前記少なくとも1つの物体とは異なり、かつ、2つの前記予測動作および該予測動作の間のリンクは前記受信したCPM内で受信される。
【0043】
本開示の第4の態様によれば、上述した方法の各工程を実行するように構成された少なくとも1つのマイクロプロセッサを含む、インテリジェント交通システム(ITS)局(ITS-S)が提供される。
【0044】
本開示のこの態様は、上述したものと同様の利点を有する。
【0045】
本開示の第5の態様によれば、インテリジェント交通システム(ITS)内で情報を送信する集合的知覚メッセージ(CPM)であって、前記ITSによって監視される領域内で検出された少なくとも1つの物体への参照を含み、前記少なくとも1つの物体が検出状況に関与することを示すインジケーションを含む、CPMが提供される。
【0046】
本開示のこの態様は、上述したものと同様の利点を有する。
【0047】
本開示の第6の態様によれば、インテリジェント交通システム(ITS)内で情報を送信する集合的知覚メッセージ(CPM)であって、前記ITSによって監視される領域内で検出された少なくとも1つの第1の物体および少なくとも1つの第2の物体への参照を含み、前記少なくとも1つの第2の物体の予測動作が前記少なくとも1つの第1の物体の予測動作から生じ得ることを示すインジケーションを含む、CPMが提供される。
【0048】
本開示のこの態様は、上述したものと同様の利点を有する。
【0049】
本開示の第7の態様によれば、インテリジェント交通システム(ITS)内で情報を送信する集合的知覚メッセージ(CPM)であって、少なくとも1つの状況に関与する少なくとも2つの物体への参照と、該少なくとも2つの物体をリンクするグループ化情報と、を含む、CPMが提供される。
【0050】
本開示のこの態様は、上述したものと同様の利点を有する。
【0051】
本開示の第8の態様によれば、インテリジェント交通システム局(ITS-S)内のマイクロプロセッサまたはコンピュータシステムによって実行されると、上述の方法の各工程を前記ITS-Sに実行させるプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。
【0052】
本開示のこの態様は、上述したものと同様の利点を有する。
【0053】
本開示による方法の少なくとも一部は、コンピュータで実施されてもよい。したがって、本開示は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェアとハードウェアの側面を組み合わせた実施形態の形態をとることができ、これらはすべて、本明細書において「回路」、「モジュール」または「システム」として一般的に参照されることがある。さらに、本開示は、媒体に具現化されたコンピュータ使用可能なプログラムコードを有する任意の有形表現媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。
【0054】
本開示の解決策はソフトウェアで実装することができるので、本開示の解決策は、任意の適切なキャリア媒体上のプログラマブル装置に提供するためのコンピュータ可読コードとして具現化することが可能である。有形のキャリア媒体は、フロッピーディスク、CD-ROM、ハードディスクドライブ、磁気テープ装置または固体メモリ装置などの記憶媒体を含み得る。過渡的なキャリア媒体は、電気信号、電子信号、光信号、音響信号、磁気信号、または電磁信号、例えばマイクロ波またはRF信号などの信号を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0055】
本発明の更なる利点は、図面及び詳細な説明を検討することにより、当業者には明らかになるであろう。次に、本発明の実施の形態を、例としてのみ、以下の図面を参照しながら説明する。
【0056】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態が実装され得るITSシステムの一例を示す図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態が実装され得るITS局の一例を示す図である。
【
図3a】所定の状況に関連する知覚物体を含むCPMを送信する発信元ITS-Sにおける、本開示の実施形態による方法の一般ステップの例を説明するフローチャートである。
【
図3b】対応する受信側ITS-Sにおける、本開示の実施形態による方法の一般ステップの例を説明するフローチャートである。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による集合的知覚メッセージ(CPM)の構造の一例を示す図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態によるCPMの証明書において指定され得るサービス特定許可(SSP)アイテムの一例を示す図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による、状況補遺コンテナで拡張された集合的知覚メッセージ(CPM)の構造の一例を示す図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態による、空間補遺コンテナで拡張された集合的知覚メッセージ(CPM)の構造の一例を示す図である。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態による、発信元ITS-SでCPMを生成する方法のステップの一例をフローチャートを用いて模式的に示す図である。
【
図9】本開示のいくつかの実施形態による、次のCPMイベントの生成をトリガするためのステップの一例をフローチャートを用いて示す図である。
【
図10】本開示のいくつかの実施形態による、現在のCPM生成イベントに対する知覚物体コンテナ候補を選択するためのステップの例をフローチャートを用いて示す図である。
【
図11】インテリジェント交通システム(ITS)が監視する道路上に歩行者が存在する状況を示す図である。
【
図12】インテリジェント交通システム(ITS)が監視する領域で衝突のリスクがある場合の状況を示す図である。
【
図13】インテリジェント交通システム(ITS)が監視する領域において、衝突前の状況が存在する状態を示す図である。
【
図14】本開示のいくつかの実施形態による予測コンテナで拡張された集合的知覚メッセージ(CPM)の知覚物体要素の構造の一例を示す図である。
【
図15】インテリジェント交通システム(ITS)によって監視される道路上で2台の車両が相互作用している状況におけるITSを示す図である。
【
図16】本開示のいくつかの実施形態を実施するように構成された通信ITS-S装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下の説明で提供されるリストおよび要素(データ要素など)の名称は、例示に過ぎないことに留意されたい。実施形態はこれに限定されず、他の名称も使用可能である。
【0058】
本開示の実施形態は、インテリジェント交通システム(ITS)において実施されることを意図している。
【0059】
本開示のいくつかの実施形態によれば、CPM、すなわち、そのローカルセンサによって知覚された物体(知覚物体)及び自由空間を共有するために発信元ITS局によって定期的に送信されるメッセージは、知覚物体に関する状況についての情報の追加アイテムを含む。このような状況の例としては、道路上の人間の存在、衝突のリスク、衝突前の状況、交通渋滞、道路工事などが考えられる。したがって、知覚物体と状況との間のリンクは、これらの知覚物体をこの状況に関連付けるためにCPMに提供される。複数の知覚物体を異なる状況に関連付けることができる。
【0060】
さらに、このようなCPMを送信する発信元ITS局(ITS-S)は、物体のいくつかが、それらに関連する状況の重大性に基づいて、セーフティクリティカルであるかどうかを識別し、次回のCPM生成イベントでこれらの物体を優先的に含むことができる。さらに、セーフティレベル(又はセーフティクリティカルレベル)は、状況に関連付けられた知覚物体の一部又は全部に関連付けられ得る。
【0061】
それでも本開示のいくつかの実施形態によれば、知覚物体を状況に関連付けるための情報の追加アイテムを含むそのようなCPMは、1つ以上のDENMを参照してもよく、及び/又は知覚物体が関連付けられる1つ以上の状況を記述するための情報の追加アイテムを含んでいてもよい。
【0062】
一方、受信側のITS-Sは、ある状況に直接的または間接的に関係しているため、CPMから物体と状況情報を組み合わせた(既知の技術に比べ)追加情報を得ることができる。そして、より迅速に状況を分析し、状況に適した緩和行動(衝突防止や衝突前機能、旅程の変更など)を早期に決定することができる。
【0063】
状況分析モジュールを含むITSシステム及びITS局
図1は、本開示のいくつかの実施形態が実装され得るITSシステムの一例を示す図である。
【0064】
この実施例によれば、DENM130およびCPM131のようなDENMおよびCPMを生成および送信し得るITS局が、路側ユニット(RSU)110に組み込まれる。RSUは、一般に、移動車両よりも衝突リスク状況を分析するためのより強力なリソースを有することが観察される。例えば、RSUは、車両内に組み込まれたITS-Sよりも広い視野、複数の視野、交通状況、信号機の状態、監視領域に生息する物体に関する知識等の他の情報への高速アクセスを有することができる。
【0065】
特に、RSUによって監視される領域の広い視野により、RSUは、ITSが接続されている車両と接続されていない車両が混在する衝突または衝突のリスクを検出することができ、および/または衝突する車両が互いに見えない場合(例えば、交差点の閉塞のため)にも検出することができる。
【0066】
図示されるように、ITS100は、交差点で実施され、固定路側ユニット110と、ITS内でITSメッセージを送信及び/又は受信するための、ITS局(ITS-S)をそれぞれ搭載又は内蔵し得る複数のエンティティから構成される。複数のエンティティは、例えば、車両151、152、153、及び154と、歩行者155であってよい。
【0067】
固定路側ユニット110は、画像センサなどのセンサのセット、ここではビデオカメラ120、121、122、123と、状況分析モジュール111など、センサから提供されるデータを分析する分析モジュールとを含む。ビデオカメラ120、121、122、123の各々は、RSUによって監視される領域(ここでは道路交差点)の一部を監視または走査するように構成され、監視領域の画像を再生することが可能である。また、LIDAR(レーザー撮像の検出および測距デバイス)などの他のセンサを用いてもよい。
【0068】
センサは状況分析モジュールに接続され(例えばビデオカメラ120、121、122、123は状況分析モジュール111に接続される)、状況分析モジュールはセンサ/ビデオカメラによって捕捉されたストリームを処理して状況を分析するようにする。状況分析モジュールとセンサは、同じ物理的な路側ユニットとは別個であってもよいし、その中に組み込まれていてもよい。例えば、状況分析モジュールは、リモートであってもよい(すなわち、路側ユニットに組み込まれていない)センサに有線接続されてもよい。
【0069】
状況分析モジュール(例えば状況分析モジュール111)によるセンサから受信したデータの処理は、監視領域内に潜在的に存在する物体(以下、「知覚物体」又は「検出物体」と称する)を検出することを目的とするものである。このような物体を検出するメカニズムは、当業者にはよく知られている。
【0070】
状況分析モジュールはまた、「状態ベクトル」と呼ばれる対応する記述情報にそれぞれ関連付けられた知覚物体のリストを出力するように構成される。知覚物体の状態ベクトルは、例えば、位置、運動、時間的情報、行動または物体タイプ分類情報などのパラメータを含んでもよい。
【0071】
したがって、状況分析モジュールは、認識された物体のうち、歩行者、自転車、オートバイ、さらには障害者、移動性および指向性が低下した人などの脆弱道路利用者(VRU)を特定することができる。また、樹木、道路工事/作業設備(例えば、道路バリア)などの物体を識別してもよい。
【0072】
VRUは、ITS装置(例えば、スマートフォン、ナビゲーションシステム、スマートウォッチに含まれるITS装置、または自転車用機器)を搭載している場合、ITS-Sとみなすことができる。
【0073】
図1に示される例によれば、状況分析モジュール111は、監視領域を走査する際に、以下の物体を知覚することができる。
-車道上の車両151、152、153、154にそれぞれ対応する物体161、162、163、164と
-歩道上の歩行者155に対応する物体165。
【0074】
さらに、知覚物体は、分類されてもよい。例えば、知覚物体がITS局である場合、それらは、車両、VRU、RSU、または任意の別のITS-Sタイプとして分類され得る。このような物体タイプの分類は、例えば、路側ユニット110、またはより一般的にはITS-Sの設定中に提供される、予め定められた規則に基づいてもよい。ETSI TR 103 562 V2.1.1は、例えば、カテゴリ「不明」、「車両」、「人」、「動物」、及び「その他」を定義している。もちろん、より具体的な他のカテゴリを定義することも可能である。
【0075】
本開示のいくつかの実施形態によれば、状況分析モジュールは、知覚物体の軌跡を分析し、それらの将来の軌跡を予測し、知覚物体間の衝突の可能なリスクを識別するための状況分析機能を備える。
【0076】
状況分析モジュールはまた、監視された領域に関するいくつかの情報、例えば道路交差点の形状に関する情報にアクセスすることができ、監視された領域を分析するために使用することができ、例えば、横断歩道領域外の車道上の歩行者の存在を検出することを可能にすることができる。
【0077】
図1に示すように、路側ユニット110は、例えばETSI EN 302 665仕様のバージョンV1.1.1に規定されるITS局の参照アーキテクチャに規定される路側ITS-S(R-ITS-S)112からさらに構成される。
【0078】
路側ITS-S112により、RSU110は、知覚物体に関連する情報を共有することができる。典型的には、RSU110は、ITSメッセージ、特に、文書ETSI TR 103 562およびETSI TS 103 324に定義され、通常定期的に送信される、いわゆる集合的知覚メッセージ(CPM)(例えばCPM131)を送信することによって、受信ITS局とその情報を共有することが可能である。本開示のいくつかの実施形態によるCPMのフォーマットの例が、
図4、
図6、および
図7に示されている。
【0079】
路側ITS-S112により、RSU110は、検出されたイベントに関連する情報を共有することもできる。典型的には、RSU110は、ITSメッセージ、特に文書EN 302 167-3に定義されるいわゆる分散環境通知メッセージ(DENM)(例えばDENM130)を送信することによって、受信ITS局とそのようなトリガされたイベント情報を共有することが可能である。
【0080】
より一般的には、ITS100内の任意のITS-Sは、CPMを送信することにより、認識した物体に関する情報を共有することができ、また、文書ETSI EN 302 637-2に定義されているいわゆる協調認知メッセージ(CAM)を送信することにより、自身に関する情報をも共有することができる。CAMには、位置、運動(または力学)、一意の局識別子、時間情報、行動または物体タイプ分類情報などが含まれることがある。同様に、ETSI TS 103 300-3で定義されるVRU知覚メッセージ(VAM)は、VRU ITS-Sから送信され、自身の位置や運動特性を共有したり、VRUのグループ(VRUクラスタ)に対応した情報を共有したりすることができる。
【0081】
ITSメッセージは通常、発信元ITS-Sによってブロードキャストされるため、他のITS-Sはそれを利用することができる。
【0082】
ITS100でやり取りされる全てのメッセージは、各ITS-Sが、どの物体がどこに存在し、どのように振る舞うかという観点から、その環境に関する十分な知識を持つのに役立つ。
【0083】
図2は、本開示のいくつかの実施形態が実装され得るITS局の一例を示す図である。
【0084】
ここでは、説明の便宜上、図示されたITS局は、
図1で参照されるRSU110であると考えられる。しかし、ITS-Sが装備された別のタイプのエンティティであってもよい。
【0085】
図1を参照して上述したように、状況分析モジュール111は、道路交差点のような領域を監視する1つ以上のセンサに接続される。これらのセンサは、カメラ120~123を含み得るが、LIDAR210又は単なるレーダ装置のような他のセンサも含み得る。
【0086】
各センサによって検出された知覚物体は、複数のセンサによって検出された同じ物体を結合またはマージするために、センサデータ融合モジュール230によって分析される。異なるセンサからの物体間の類似性の検討は、それらの物体タイプ、位置、運動/力学(速度、加速度)、軌跡などに基づいて行うことができる。また、これらの情報アイテムの類似性を精査する際に信頼度を計算し、信頼度が十分に高い場合に結合に影響を与えることができる。
【0087】
新たに認識された物体、または既に追跡された物体に関する更新は、ITS-Sの環境モデル220を更新するために使用される。他のITS-Sから受信した、追加情報を伝えるCAM、VAM、DENM、およびCPMも、環境モデル220を更新するために使用することができる。
【0088】
環境モデルは、ローカルダイナミックマップとも呼ばれ、知覚物体のリストが含まれている。各ITS-Sは独自の環境モデル220を持つ。
【0089】
環境モデル220における物体は、例えば、以下の全部または一部を含む複数の情報アイテムとともに定義される。
-objectID:知覚された(検出された)物体の識別子である。
-timeOfMeasurement:知覚物体に関する(最後の)測定が行われた時刻を表す。
-Distance:知覚物体と発信元ITS-Sとの間の距離である。発信元ITS-S(例えば、
図1のRSU110)に固定された参照フレームに従って決定される。例えば、距離は、参照フレームの3つの方向x、y、zに対して相対的に決定され、距離は、3つのフィールドxDistance、yDistance、zDistance内に示され、これらは、測定時の知覚物体と発信元ITS局の参照点との距離を、信頼度のレベルとともに示す。
-Speed:測定時のITS局の基準点に対する知覚物体の速度である。例えば、速度は基準点の3方向x、y、zに対して相対的に決定され、速度は3つのフィールドxSpeed、ySpeed、zSpeed内に表示され、対応する信頼度と共に検出した物体の速度を表す。
-Acceleration(オプション):測定時のITS局の基準点に対する物体の加速度である。例えば、速度と同様に、発信元ITS-Sに固定された基準点の3方向に対して、相対的にxAcceleration、yAcceleration、zAccelerationの3フィールド内で、信頼度と共に表示される。
-planarObjectDimension(オプション):知覚物体の寸法を表す。次元は、planarObjectDimension1,planarObjectDimension2,verticalObjectDimensionの3つのフィールドで示されることがある。
-objectRefPoint:認識された物体の参照点である。デフォルトでは、参照点は知覚物体の中心点である。
-objectAge:認識された物体の年齢である。
-objectConfidence:認識された物体に関連する信頼度を表す。物体信頼度の計算は、センサまたはマージシステムの信頼度、バイナリ検出の成功度(すなわち、最後の測定中の物体の検出成功度)、および物体の年齢に基づいて行われる。
-classification(オプション):知覚物体の分類と、それに対応する信頼度を提供する。
-sensorIDList(オプション):知覚物体のセンサのリストである。
-dynamicStatus(オプション):発信元ITS-Sが知覚した物体から離れるための能力を提供する(例えばdynamic、hasBeenDynamic、static)。
-matchedPosition(オプション):MAPメッセージで送信される交差点トポロジー記述にマッピングされた知覚物体の位置を示す。
-situationList(オプション):知覚物体に関連する状況のリストである。知覚物体と状況の対応付けは、状況分析モジュールから(例えば、状況分析モジュール240から)取得される。
-safetyCriticalLevel(オプション):知覚物体のセーフティクリティカルレベルを表す。セーフティクリティカルレベルは、状況分析モジュール(例えば、状況分析モジュール240)により計算されてもよい。各状況に対してセーフティクリティカルレベルが存在する(物体は同時に複数の状況に属することができることに留意されたい)。物体/状況の関連ごとに計算された状況SafetyCriticalLevelに基づいて、複数の状況が存在する場合、グローバルな物体SafetyCriticalLevelを計算することができる。また、物体は、検出された状況とは無関係にobjectSafetyCriticalLevelを使用してセーフティクリティカルレベルを設定することができる(例えば、自転車レーンに自動車がいる)。
-objectPredictedPath(オプション):知覚物体の予測経路を表す。これは、状況分析モジュールによって決定されるかもしれない。この予測経路は、同じ物体に対していくつかの可能な経路が予測されるため、状況のコンテキストにある。
-timeToSituation(オプション):この値は、知覚物体が関連する状況との関連性を表す。0値は、知覚物体が状況に直接関係することを意味する。この値は、秒単位で表すことができ、状況からの知覚物体の距離及び速度に基づいて、状況分析モジュールによって計算され得る。
-objectStationID(オプション):知覚物体に関連付けられたITS-S識別子であり、対応する信頼度とともに提供される。信頼度は、受信したCAM、受信したVAM、または受信したDENMに含まれる位置(ITS IDを含む)の精度と、ローカルセンサで測定した位置とに基づいて計算され得る。
-predictions(オプション):予測された経路とその確率のリストなど、物体の将来の状態に関連する追加情報を含む。
【0090】
本開示のいくつかの実施形態によれば、環境モデルは、状況分析モジュールによって定期的に更新される状況リストを含む。
【0091】
例えば、知覚物体情報を共有したいITS-Sが送信するCPMには、知覚物体の情報を列挙したコンテナ(知覚物体コンテナ)が含まれる。
【0092】
図3a及び
図3bは、所定の状況に関連する知覚物体を含むCPMを送信する発信元ITS-S及び対応する受信側ITS-Sにおける、本開示の実施形態による方法の一般的ステップの例を、フローチャートを用いてそれぞれ示している。
【0093】
図3aに示すように、本開示のいくつかの実施形態によるITSにおける通信方法は、発信元ITS-S、例えば
図1のRSU110において、
図1に示すような道路部分又は道路交差点などのエリアを監視するステップを備える(ステップ300)。そのために、発信元ITS-Sは、そのセンサ(例えば
図2のセンサ120~123及び210)及びそのセンサデータ融合モジュール(例えば
図2のセンサデータ融合モジュール230)を使用して、知覚物体に向けられた情報を用いてその環境モデル(例えば
図2の環境モデル220)を更新する。また、他のITS-Sから受信したITSメッセージ(CAM、VAM、CPM、又はDENM)を使用して、その環境モデルを更新することもできる。特に、受信したDENMは、環境モデルを更新するために、状況分析モジュール(例えば、
図2の状況分析モジュール240)に宛てられることができる。
【0094】
状況分析モジュールは、環境モデルの物体と、他のITS-Sから受信したDENMを継続的に分析し、特定の状況が発生しているかどうかを検出する(ステップ310)。これは、道路部分上の物体の位置を分析すること(例えば、道路上の人間の存在を検出すること)、認識された物体の軌跡を予測すること、及びリスクが存在するかどうか、例えば複数の物体間の衝突のリスク、あるいは衝突までの予測時間が所定の閾値(例えば1.5秒未満)であれば衝突前状況が存在するかどうかを推論することを含んでもよい。
【0095】
特定の状況が検出された場合、発信元ITS-Sは、例えば
図4に示されるCPMフォーマットを用いて、知覚物体と関連する状況についての情報アイテムを含むCPMを送信する(ステップ320)。
【0096】
図3bに示すように、物体と状況を関連付ける情報アイテムを含むCPMを受信した後(ステップ350)、受信ITS-S(例えば車両または歩行者)は、受信CPMを使用して、ローカルダイナミックマップを更新することができる。受信側のITS-Sはまた、CPMを使用して、考慮された状況に関係しているかどうか(ステップ360)、特にセーフティクリティカルな状況に関係しているかどうかを判断することができる。また、自身の近くにセーフティクリティカルな物体や危険な状況があるかどうかを確認することもできる。これは、物体の記述(例えば、
図4の知覚物体コンテナ460で定義されたもの)が、自身の記述(例えば、位置、速度、および寸法)と一致するかどうかを確認することによって行われてもよい。変形例では、これは、
図4を参照して説明したように、この情報が利用可能であるときに、知覚物体コンテナ内に追加されたobjectStationIDをチェックすることによって行われてもよい。
【0097】
変形例では、ある状況に関連する自身のリスクを判断するために、知覚物体コンテナで定義されたセーフティクリティカルな物体の1つが自身に対して(位置、速度、寸法の点で)近すぎるかどうかを確認することによっても行われることがある。
【0098】
ポジティブ決定された場合、受信側のITS-Sは、衝突前機能、旅程の変更、緊急ブレーキなど、状況の種類に応じて適切な緩和策をトリガすることができる(ステップ370)。
【0099】
CPM構造
本開示によれば、CPMの構造は、知覚物体と1つ以上の状況との間のリンクを記述する情報アイテムで構成されるように変更される。
【0100】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による集合的知覚メッセージ(CPM)の構造の一例を示す図である。
【0101】
400で参照される図示されたCPM構造は、ETSI TS 103 324仕様(2021年5月のV0.0.22)に基づくものである。これは、405で参照されるITS PDUヘッダ、「CPMパラメータ」フィールド410、および「証明書」415を含む。
【0102】
ITS PDUヘッダ405は、プロトコルバージョン、メッセージタイプ、発信元ITS-Sの識別子(ID)の情報を含む共通ヘッダである。
【0103】
「CPMパラメータ」フィールド410は、420で参照される管理コンテナ、430で参照される局データコンテナ、440で参照される知覚データコンテナ(450で参照されるセンサ情報コンテナ、460で参照される知覚物体コンテナ、および470で参照される自由空間補遺コンテナのセットを含む)を含んでいる。
【0104】
各コンテナは、いくつかのデータ要素(DE)および/またはデータフレーム(DF)を含む。ETSI TS 102 894-2仕様では、ITSメッセージで使用される従来のデータ要素およびデータフレームを定義している。
【0105】
CPMを生成するITS-Sのタイプに関係なく、管理コンテナは局のタイプおよび発信元ITS局の基準位置に関する情報を提供する。メッセージは車両のようなITS局、または固定RSUによって送信される可能性がある。車両が生成するCPMの場合、局データコンテナには送信元のITS局の動的情報が格納される。車両がCPMを送信する場合には、オプションとしない。RSUによって生成されたCPMの場合、局データコンテナは同じRSUによって報告されたMAPメッセージ(CEN ISO/TS 19091)によって提供された識別番号への参照を提供することができる。これらの参照は、CPMによって提供されたデータをMAPメッセージによって提供された交差点または道路セグメントの形状と照合するために必要である。RSUは物体を道路形状にマッチングさせるためにMAPメッセージを送信する必要はない。この場合、局データコンテナは省略されることがある。このため、局データコンテナはオプションとして設定される。
【0106】
センサ情報コンテナのセット450に含まれる各センサ情報コンテナは、オプションである。ITS局の感覚的能力に関する情報を提供する。発信元ITS局の局タイプに応じて、センサの特性を符号化するために異なるコンテナ仕様が利用可能である。センサ情報コンテナは、ETSI TR 103 562で定義されているように、他のコンテナより低い頻度でCPMに添付される。このタイプのコンテナは、1つのCPMで最大128個まで使用することができる。
【0107】
知覚物体コンテナのセット460に含まれる各知覚物体コンテナは、オプションである。検出された(又は知覚された)物体の動的状態及び特性の詳細な記述を与えるオプション又は必須のデータ要素(DE)及び/又はデータフレーム(DF)のシーケンスで構成されている。
【0108】
より正確には、各物体は、461で参照される専用のperceptObject構造を使用して記述されなければならない。この構造の第1の部分(参照462)は、ETSI TS 103 324(2021年5月のV0.0.22)によって定義されるデータ要素及び/又はデータフレームを含み、以下を含む様々なフィールドから構成される。
-objectID:このデータ要素は、知覚物体に割り当てられる識別子である。物体が発信元ITS-Sによって知覚される限り維持される。
-timeOfMeasurement:このデータ要素は、管理コンテナに記載された生成デルタ時間に関して、提供された測定情報の時間差に対応する。
-xDistance,yDistance,zDistanceで定義される距離(オプション):測定時のITS-S座標系のx,y,z方向の基準点から知覚物体までの距離に相当する。
-xSpeed,ySpeed,zSpeedで定義される速度(オプション):検出側のITS-Sの基準系における、測定時のx,y,z方向それぞれの物体の速度に相当する。
-xAcceleration、yAcceleration、zAccelerationで定義される加速度(オプション):ITS-Sの基準点からの測定時間のx、y、z方向それぞれの加速度に相当する。
-planarObjectDimension1,planarObjectDimension2およびverticalObjectDimensionで定義される次元(オプション):知覚される物体の次元を表す。
-objectRefPoint:検出された物体の基準点です。デフォルトでは、基準点は認識された物体の中心点である。
-objectAge:認識された物体の年齢である。
-objectConfidence:認識された物体に関連する信頼度である。物体信頼度の計算は、センサまたはマージシステムの信頼度、バイナリ検出成功(すなわち、最後の測定中の物体の検出成功)、および物体の年齢に基づき得る。
-sensorIDList(オプション):測定データを提供したセンサの識別子のリストである。センサ情報コンテナ内のsensorIDを参照する。センサ情報コンテナが提供されない場合、リストには乱数が入力され、各乱数は発信元ITS-Sのセンサに割り当てられる。
-dynamicStatus(オプション):知覚物体から離れるための発信元ITS-Sの能力を示す動的な状態である(例えば、dynamic、hasBeenDynamic、staticのいずれかの値を取ることができる)。
-classification(オプション):認識された物体の分類を提供する。これは物体クラスと、場合によってはクラス信頼度値を有するサブクラス(例えば、車両クラスはpassengerCar、busなどのサブクラスを持つ)を含む。
-matchedPosition,(オプション):MAPメッセージで送信される交差点トポロジー記述にマッピングされた知覚物体の位置を示す。
【0109】
自由空間補遺コンテナセット470に含まれる各自由空間補遺コンテナはオプションである。特定のセンサによって検出された自由空間に関する情報を提供する、オプションまたは必須のデータ要素(DE)のシーケンスを含む。各自由空間は、以下のような様々なフィールドから構成される。
-freeSpaceConfidence:領域全体に適用される自由空間の信頼性値である。
-freeSpaceArea:自由空間領域のジオメトリである。
-sensorIDList:自由空間を示す計測を行ったセンサの識別子のリストである。
-shadowingApplies:物体の背後にある影の部分を計算するために、トレース手法を使用するかどうかを示すために使用されるブール値インジケータである。
【0110】
TS 103 324のドラフトV0.0.22に記載されている集合的知覚メッセージは、perceivedObjectのデータ構造462に含まれる情報アイテムにより、独立した物体のリストを報告できることに注意されたい。
【0111】
本開示の特定の実施形態によれば、CPMを受信する全てのITS-Sの状況認識は、CPMにおいて報告された物体に関する状況についての情報を含むことによって改善され、CPMにおいて報告された物体を1つ以上の特定の状況と関連付けることが可能となる。さらに、状況分析モジュール(例えば、
図2の状況分析モジュール240)が、先行技術と比較してより低い遅延でCPM生成イベントをトリガできるように、セーフティクリティカルな物体を識別することによって、セーフティが改善され得る。
【0112】
そのために、本開示のいくつかの実施形態に従って生成及び送信されるCPMは、p perceivedObject構造(例えば、perceivedObject構造461)に含まれるべき追加の情報を含む。そのような情報アイテムは、以下のように構成されてもよい。
-objectSafetyCriticalLevel(例えばデータ要素463):認識した物体に割り当てられたセーフティクリティカルレベル値である。
-situationList(例えばデータフレーム464):状況のリストであり、状況識別子(例えばsituationIDデータフレーム466)及びリストされた状況のコンテキストにおける物体分析に関連する情報(例えばobjectSituationAnalysisデータフレーム467)を含む、及び/又は
-objectStationID(例えばデータフレーム468):知覚物体のITS-IDであり、ITS-IDと知覚物体の関連付けの信頼度が示されている。
【0113】
ここで、CPMに記述された物体ごとに与えられるsituationListにより、同じ状況に関連する物体のリストを確立することが可能であることに留意されたい。あるいは、状況ごとに物体のリストが提供されてもよい。例えば、LinkedObjectListは、そのCPMのobjectIDによって参照されるリンクされた物体のリストであってよい。
【0114】
知覚物体コンテナ461に追加されたデータの対応するASN.1表現は、以下のように表現することができる。
【0115】
いくつかの実施形態によれば、知覚物体コンテナ461内に追加されたデータ要素463のセーフティクリティカル分類情報は、状況分析モジュールによって計算される。この情報は、レベル値(付録の表1に例示)は、セーフティクリティカルレベルは値であり、0値は物体がセーフティクリティカルとして検出されないことを意味し、高い値は物体がセーフティクリティカルとして検出されることを意味する)又はパーセント値(付録の表2に例示)の形態であることが可能である。
【0116】
物体は、同時に複数の状況に関連付けられることが観察される。上述したように、状況識別子(situationID)のリストは、データフレームsituationList464に提供されてもよく、状況は、例えば、状況データフレーム465に提供される複数の情報アイテムで構成される。
【0117】
図示されるように、状況データフレーム465の第1部分(situationIDと表記され466で参照される)は、識別子のような状況を表す情報を含む。状況データフレーム465の第2の部分(objectSituationAnalysisと表記され467で参照される)は、その状況に関して知覚物体を表す情報を含んでいる。
【0118】
状況のリスト(例えばsituationListデータフレーム464)、状況(例えばsituationデータフレーム465)、状況識別子(例えばsituationIDデータフレーム466)、その状況に関して物体を表す情報(例えばobjectSituationAnalysisデータフレーム467)、検出した物体を有する局の識別子(例えばobjectStationIDデータフレーム468)のフォーマットの例はそれぞれ、付録の表3から表7で提供されている。
【0119】
状況識別子は、新しい状況を検出する際に、
図2の状況分析モジュール240のような状況分析モジュールによって決定されるかもしれない。もし新しい状況がDENMイベント(他のITS-Sから受信するか、ローカルDENM生成モジュール270などのローカルDENM生成モジュールによってトリガされる)により検出された場合、状況IDは発信元局のITS-ID(originatingStationID)とシーケンス番号(sequenceNumber)を含むDENMactionIDを再使用してもよい。状況検知に用いたメッセージの種類(originatingMessageType)を示すことが可能である。DENMタイプ、または開示された状況およびセーフティクリティカルレベルの情報を含むCPMタイプとすることができる。
【0120】
新しい状況に関連するDENMが存在しない場合、状況分析モジュールは、発信元局のITS-IDとシーケンス番号を含む新しい状況識別子を作成することができる。このシーケンス番号は、発信元ITS-Sによって新しい状況が検出されるたびに、次の未使用の値に設定されてもよい。
【0121】
物体は複数の状況に関連付けることができるため、物体/状況の関連付けに関連する情報アイテムをデータフレーム467(すなわち、objectSituationAnalysis)のようなデータフレームで提供することができる。また、特定の状況に関連するセーフティクリティカルレベル情報(例えばsituationSafetyCriticalLevel)を設定することが可能である。また、状況に対する物体の相対距離及び相対速度に基づいて、状況までの時間(例えばtimeToSituation)及び予測経路(例えばobjectPredictedPath)を推定することができる。物体が考慮された状況に直接関係している場合、次に、状況までの時間は0に設定されてもよい。変形例では、状況までの時間は、衝突までの時間値を表すことができる。
【0122】
知覚物体に関連する状況についての情報により、集合的知覚サービスによって物体が独立して報告されるのではなく、同じ状況に関連する物体を一緒にリンクさせることが可能である。
【0123】
セーフティクリティカルレベルのおかげで、次のCPM生成イベントで含まれるべき知覚物体候補に優先順位をつけることが可能であろう。セーフティクリティカルな状況では、
図9を参照して説明したように、次のCPM生成イベントのための低遅延とすることが可能である。
【0124】
図5は、本開示のいくつかの実施形態によるCPMの証明書において指定され得るサービス特定許可(SSP)アイテムの一例を示す図である。
【0125】
図4に戻り、証明書415は、発信元ITS-S(例えば
図1のR-ITS-S112)の真正性、およびITSメッセージとそれらが構成するいくつかの情報を提供する許可を証明するためにCPM400に添付される。この許可は、証明書内のいわゆるサービス特定許可(SSP)アイテムで定義される。
【0126】
ITS内のV2X通信を保護するために、ETSI TS 102 731仕様のバージョン1.1.1に定義されている公開鍵基盤(PKI)が、特にメッセージの整合性を制御し、発信元ITS-Sを認証するために使用されることがある。PKIベースのセキュリティは、認証局からITS局に配信される証明書の使用により実装されるかもしれない。
【0127】
したがって、交換される各ITSメッセージは、非暗号化メッセージ(CPMパラメータ410)に、デジタル署名と、発信元ITS-Sの匿名性を保ちつつ発信元ITS-Sの信頼性とメッセージの完全性を検証する仮名証明書(認証チケットとも呼ばれる)を添えて構成される。ITS内の通信のために、ITS-Sは、1つ以上の認可チケットを含み、通信のために認可チケットを使用してもよい。
【0128】
例えば
図4のCPM400のデータ要素463で提供される、監視領域に存在する異なるエンティティのセーフティクリティカル分類に関する情報は、セキュリティ上の理由から、好ましくは、安全であると考えられる局から来ることが望ましい。同様に、例えばデータフレーム464で提供されるCPMで報告される物体との状況の関連付けに関する情報は、セキュリティ上の理由から、好ましくは、安全であると考えられる局から来るべきである。
【0129】
したがって、認可チケットは、例えばデータ要素463またはデータフレーム464を含むCPM400のように、特定のITSメッセージを送信するための発信元ITS-Sの特権および認可に関連する表示から構成されてもよい。
【0130】
そのため、認可チケットには、ETSI TR 102 965で規定されているように、局がアクセスおよび使用を許可されているサービスのリストを含むITS-AIDと呼ばれるフィールドを含めることができる。特に、特定のサービスは、送信者がCPMを送信する権利があることを示すために、集合的知覚サービス専用である。認可チケットはまた、ITS-AIDサービス特定許可(SSP)と呼ばれるフィールドを含み、これはITS-AIDによって示される全体的な許可の中の特定の許可セットを示すものである。その形式はETSI TS 103 097に規定されている。
【0131】
本開示のいくつかの実施形態によれば、本明細書で説明したように、データ要素463またはデータフレーム464のようなデータ要素またはデータフレームを含むCPMの証明書で指定され得る、SSPが提供される。そのようなSSPの一例は、
図5に示されている。
【0132】
図示されるように、SSP500は、510、520、及び530で参照される3つのバイトを含む。この例によれば、第1バイト(バイト510)はSSPバージョンを特定し、第2バイト及び第3バイト(バイト520及び530)は特定の許可を指定する。
【0133】
さらに図示の例によれば、第2バイト(バイト520)の第1、第2、第3ビットを用いて、以下のように特定の許可540が導入される。
-第1ビットは、CPMのペイロードに含まれるセーフティクリティカル分類情報アイテム(データ要素463など)の報告許可を示すために1に設定され、それ以外の場合は0に設定される。
-第2ビットは、CPMのペイロードにおける状況情報アイテム(データフレーム464など)の報告許可を示すために1に設定され、それ以外は0に設定される。
-第3ビットは、CPMのペイロードに含まれるセーフティクリティカル分類情報アイテムの繰り返しの許可を示すために1に設定され、それ以外の場合は0に設定される。
【0134】
図14を参照して説明したように、
図14のデータ要素1471のような予測された情報の報告を許可するために、追加の特定許可(参照550)が設定されることがある。CPM内で予測データが伝送されない場合、第2バイトの第4ビットは使用されないことに留意されたい。
【0135】
もちろん、これ以外の位置や値も考えられる。
【0136】
この許可により、他のITS-Sが認識しそれぞれのCPMを通じて報告されたセーフティクリティカル物体が、発信元ITS-Sの状況分析モジュールによって検出された状況に関連する場合、発信元ITS-Sは、そのCPMに含めることができるようになる。
【0137】
本開示のいくつかの実施形態によれば、そのようなSSPは、ハッキングされる可能性が低いRSU専用の認可チケット内で提供されてもよい。もちろん、本開示のいくつかの実施形態によれば、そのようなSSPは、任意のタイプのITS-Sに対する認可チケット内で提供されてもよい。
【0138】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、状況補遺コンテナで拡張された集合的知覚メッセージ(CPM)の構造の一例を示す図である。
【0139】
図4のCPM400と同様に、CPM600は、605で参照されるITS PDUヘッダ、「CPMパラメータ」フィールド610、および「証明書」615を含む。同様に、「CPMパラメータ」フィールド610は、620で参照される管理コンテナ、630で参照される局データコンテナ、640で参照される知覚データコンテナ(650で参照されるセンサ情報コンテナ、660で参照される知覚物体コンテナ、および670で参照される自由空間補遺コンテナのセットを含む)を含む。
【0140】
さらに、図示された実施形態によれば、知覚データコンテナ640は、680で参照される状況補遺コンテナのセットをさらに備える。
【0141】
状況補遺コンテナには、
図4に例示したようなCPM構造を有するCPMよりも詳細な状況681のような状況を記述した情報が格納される。
【0142】
この追加コンテナは、別のDENMに含まれる可能性のある情報を含めるために有利に使用することができる。これにより、受信側のITS-Sは物体リストと状況情報を同時に持つため、CPMの内容の分析が容易になる。
【0143】
図示の例によれば、状況補遺コンテナ681は、以下のように構成されている。
-cpmSituationIDデータフレーム:状況の識別子である。cpmSituationIDは、CPMの発信元ITS-Sによって新しい状況またはイベントが検出されるたびに、次の未使用の値に設定されることが望ましい。
-
図4を参照して定義されたsituationIDと同様に、このcpmSituationIDは、DENM IDを参照することができる。したがって、フィールド466を参照して説明したのと同じフィールド定義を使用して、sequenceNumber、originatingStationID、およびoriginatingMessageTypeというオプションフィールドを指定する必要がある。
-timeOfAnalysisデータ要素:解析時刻を表す(検出された物体の測定時刻と同様)。このデータ要素は、CPMの管理コンテナに記載された生成デルタ時間に対する、提供された状況情報の時間差に相当する。
-situationTypeデータフレーム(オプション):状況の種類を表す。これらのタイプはDENMのイベントタイプと類似しているかもしれないし、有料レーン、駐車場入り口などの追加状況タイプが定義されるかもしれない。
-situationSafetyCriticalLevelデータ要素(オプション):状況の重大度を表す。
-informationQualityデータ要素(オプション):状況を作成するために使用される情報の品質を表す。説明のために、0から7の間で構成される整数値({unavailable(0),lowest(1),highest(7)}(0..7))であってよい。
-eventProbabilityデータ要素(オプション):イベントが発生する確率を表す(例えば衝突リスクの状況について)。
-situationAreaデータフレーム(オプション):状況の領域(例えば、衝突リスクの関係する車両を含む領域、横断歩道を表す領域など)を表現する。自由空間領域に関しては、多角形、円、楕円、矩形で記述することができる。
-objectListデータフレーム(オプション):この状況に関連する物体を表すobjectID(知覚物体コンテナで定義されている)のリストである。
【0144】
図6に示される実施形態によれば、例えば状況リスト664のような状況リストと示される知覚物体コンテナのフィールドは、したがって、
図4の状況リスト464と比較して単純化することができる。実際、状況ID466は、対応する状況補遺コンテナ681のcpmSituationIDを参照するcpmSituationID666に置き換えられることがある。多くの物体が同じDENMに関連している場合、各物体について繰り返すのではなく、DENM IDに関する情報を因数分解することによって、CPMメッセージのサイズを減らすことができる。
【0145】
状況説明コンテナの組み込みは、
図9と
図10を参照して説明したステップに従う。状況補遺コンテナを含めるためのルールは、まず状況のセーフティクリティカルレベルの値に基づいています。もし、SafetyCriticalLevel_Thresholdよりも高いセーフティクリティカルレベル値を持つ新しい状況が検出された場合、
図9のステップ950において、対応する状況補遺コンテナは、この状況に関連する知覚物体コンテナと共に同じ生成CPMに含められる。
図10のステップ1025において、同じ状況に関連する物体が現在の生成されたCPMに含まれるとき、次に、対応する状況補遺コンテナが、同時に含まれる。
【0146】
図7は、本開示のいくつかの実施形態による、空間補遺コンテナで拡張された集合的知覚メッセージ、CPMの構造の一例を示す図である。
【0147】
図4のCPM400と同様に、CPM700は、705で参照されるITS PDUヘッダ、「CPMパラメータ」フィールド710、および「証明書」715を含む。同様に、「CPMパラメータ」フィールド710は、720で参照される管理コンテナ、730で参照される局データコンテナ、740で参照される知覚データコンテナ(750で参照されるセンサ情報コンテナ、760で参照される知覚物体コンテナ、および770で参照される自由空間補遺コンテナのセットを含む)を含む。
【0148】
さらに、図示された実施形態によれば、知覚データコンテナ740は、790で参照される空間補遺コンテナのセットをさらに含む。
【0149】
空間補遺コンテナのセット790に含まれる各空間補遺コンテナは、オプションである。1つ以上のセンサによって実行される空間の情報を提供するオプションまたは必須のデータ要素(DE)のシーケンスで構成される。より正確には、監視される各スペースは、例えば、791で参照される構造を使用して報告され得る。
-spaceIDデータ要素:監視対象空間に割り当てられた空間識別子を、その空間が発信元ITS-Sによって知覚される限り不変の物体として表現する。識別子として、ラウンドロビン方式で番号を割り当てることができる。許容範囲内の最後の識別子が使用された場合、その識別子の最初のカウンタは、再び範囲の先頭から開始される。
-spaceStateデータ要素:空間状態値は、監視対象空間が、空の状態(例えば、0に等しい)に対応する既定の状態にあるか、空ではない状態(例えば、1以上の値)であることを示す。デフォルト値は0である。可能な値は、道路タイプから派生するSpaceTypeに従って、いくつかのバリエーションを持つことができる。
-spaceAreaデータフレーム:空間としてモニターされる領域上のジオメトリを表す。
【0150】
オプションで、空間補遺コンテナは、さらに、構成されてもよい。
-spaceOccupancyデータ要素(オプション):空間の占有率に関する情報を報告するために使用されることがある。監視空間のグローバルな評価として占有率を報告するために使用される値であってよい。説明の便宜上、この値は、
図1の状況分析モジュール111のような状況分析モジュールによって監視される空間において検出された車両の数であってよい。
-spaceParentIDデータ要素(オプション):他のスペースとの関係を報告するために使用されることがある。親識別子を使用して、この他のスペースのサブパートとして考慮され得る。
-spaceTypeデータ要素(オプション):監視される空間のタイプを示すために使用される値である。道路属性データ要素から得ることができる。例えば、SpaceTypeの値は、車線、合流車線、分岐車線、駐車場、横断歩道、または他のタイプの道路トポロジーにすることができる。可能な値は,標準規格EN ISO TS19091,SAE J2735および/またはSAE J2735を用いて拡張することができる。
-spaceConfidenceデータ要素(オプション):決定された空間状態の信頼度を表す。確信度の値は、センサまたはマージシステムの特定の検知に基づく空間監視の確信度の計算によって導出されてもよい。信頼度値は、監視された空間上の物体の存在を決定することからなる測定の信頼度を示し、例えば、0(信頼度なし)から100(最高信頼度)までである。
【0151】
図7に示される実施形態によれば、状況認識を改善するのに有用な情報は、空間領域を監視するために使用されるデータ要素およびデータフレームに加えて、オプションのsituationInformationデータフレーム792として提供される。situationInformationデータフレーム792は、
図6を参照して説明したように状況補遺コンテナのものと同様の情報を含むことができる。
-
図4を参照して定義されたsituationIDと同様に、状況情報792は、DENM IDを参照することができる。したがって、フィールド466を参照して説明したのと同じフィールド定義を使用して、sequenceNumber、originatingStationID、およびoriginatingMessageTypeというオプションフィールドを指定する必要がある。
-timeOfAnalysisデータ要素:分析時間を表す(知覚物体の測定時間に類似)。このデータ要素は、CPMの管理コンテナに記載された生成デルタ時間に対する、提供された状況情報の時間差に相当する。
-situationTypeデータフレーム(オプション):状況のタイプを表す。DENMのイベントタイプに類似しうる。いくつかのバリエーションでは,spaceTypeにsituationTypeを設定することができる。
-situationSafetyCriticalLevelデータ要素(オプション):状況の重大度を表す。
-informationQualityデータ要素(オプション):状況を作成するために使用される情報の品質を表す。例えば、それは0から7の間で構成される整数値({unavailable(0),lowest(1),highest(7)}(0..7))であってもよい。
-eventProbabilityデータ要素(オプション):イベントが発生する確率を表す(例えば衝突リスクの状況について)。
【0152】
空間補遺コンテナの包含規則は、状況補遺コンテナについて述べたものと同様であってよい。
【0153】
この実施形態によれば、知覚物体コンテナ793は、検出された(または知覚された)物体を空間補遺コンテナに記述された空間と関連付けるために使用できる、spaceListと示された新しいデータフレーム794を任意に含むことができる。spaceListコンテンツは、
図4のsituationListデータフレーム465と同様であってよく、situationIDがspaceIDに置き換えられている。
【0154】
CPMの生成および送信
図8は、本開示のいくつかの実施形態による、発信元ITS-SでCPMを生成する方法のステップの一例をフローチャートを用いて模式的に示す図である。
【0155】
図示されるように、第1のステップは、考慮されたITS-Sに関連する領域を監視することに向けられる(ステップ800)。このようなステップは、環境モデルから物体のリストを取得する、
図2の状況分析モジュール240のような状況分析モジュールに基づくものであってもよい。道路交差点トポロジー上の物体の位置、物体の予測された軌跡、及び/又は受信したDENMに基づいて、状況分析モジュールは、新しい状況が発生したか否かを判断する(ステップ810)。新しい状況がない場合、その領域は引き続き監視される(ステップ800)。逆に、新しい状況が検出された場合、新たに検出された状況に状況識別子(situationID)を割り当てるために、この新しい状況が既にDENMと関連付けられているかどうかを判断するテストが行われる(ステップ820)(ステップ830または835)。
【0156】
もし状況が既にDENMで報告されている状況(R-ITS-S(例えば
図1のR-ITS-S112)によってトリガされたか、他のITS-Sから受け取ったか)と一致する場合、DENM識別子(DENM actionID)を状況識別子として使用する(ステップ835)。
【0157】
逆に、状況がDENMイベントに対応しない場合、新たな状況識別子が設定される(ステップ830)。いくつかの実施形態によれば、状況識別子(situationID)は、発信元ITS-IDと、発信元ITS-Sによって新しい状況またはイベントが検出されるたびに次の未使用値に割り当てられるシーケンス番号値(sequenceNumber)とを含む。
【0158】
次に、状況分析モジュールは、状況タイプを取得し(状況がDENMに関連している場合、DENMイベントタイプから取得できる)、そのタイプに基づいて状況の深刻度を設定する(ステップ840)。
【0159】
説明のため、状況の厳しさの例を付録の表8に示す。これは限定的なものではない。
【0160】
次に、状況分析モジュールは、環境モデルから新しい状況によって関係する物体のリストを取得する。そして、その状況によって直接または間接的に関係するすべての物体について、対応する状況IDが状況リストに追加される。
【0161】
例えば、
図11を参照して、歩行者1156が車道上にいることによる状況を考えると、物体1166(歩行者1156に対応)は、この状況に直接的に関係しているので、その状況IDが、この物体に対応するsituationListに追加される。また、物体1164(車両1154に対応)は、この状況に共時的に関係しているので、物体1164に対応するsituationListに状況IDが追加される。
図12の物体1262と1263、物体1265、
図13の物体1362と1363、物体1361と1365も同様である。
【0162】
次に、関係する各物体のセーフティクリティカルレベル値が、それらが属する状況の重大性(ステップ840で取得)と、この状況に関するそれらの関連性に基づいて計算される(ステップ860)。変形例では、所定の状況に関する物体の関連性は、状況までの時間値として表される。関連性スコア又は状況までの時間は、状況に対する物体の相対距離及び相対速度に基づいて計算されてもよい。
【0163】
状況分析モジュールは、環境モデル内の当該物体について、検出された状況についての情報を継続的に更新する。物体が状況から離脱または参加するたびに、状況分析モジュールは、当該物体のセーフティクリティカルレベルを再評価し、当該物体の状況リストの内容を更新する。
【0164】
状況が終了した場合(例えばDENM終了イベント)、状況分析モジュールは当該物体のsituationListからsituationIDを削除し、物体のセーフティクリティカルレベルを再評価する。
【0165】
次に、環境モデルからの更新された情報を含むCPMを生成するためのステップ(参照870)が実施される。このようなステップは、CPM生成モジュールにおいて(例えば、
図2のCPM生成モジュール260において)実施されてもよい。
【0166】
いくつかの実施形態によれば、セーフティクリティカルな状況が発生し、対応する物体が次のCPMで報告される場合、次のCPM生成イベントの遅延が減少する。
【0167】
このようなCPMを生成する手順の一例を
図9に示す。
【0168】
図9は、本開示のいくつかの実施形態による次のCPMイベントの生成をトリガするためのステップの一例をフローチャートを用いて示す図である。
【0169】
規格TS 103 324 V0.0.22によれば、2つの連続するCPM生成イベント間の経過時間の最小値は、T_GenCpmMinで示される最小値とT_GenCpmMaxで示される最大値によって定義される値の範囲に属するT_GenCpmで示される値と同じかそれより大きいべきであることが思い出される(すなわち、T_GenCpmMin≦T_GenCpm≦T_GenCpmMax)。ここで、T_GenCpmMin=100ms、T_GenCpmMax=1000msとする。
【0170】
T_GenCpm時間が経過したとき、すなわち現在時刻(T_Nowと表記)と前回のCPMが生成された時刻(T_LastCpmと表記)との差がT_GenCpm以上であるとき(ステップ900)、CPM生成イベント時刻(T_GenEventと表記)を現在時刻T_Nowに設定する(ステップ910)。次に、CPM生成モジュールは、環境モデルから知覚物体コンテナ候補を選択する(ステップ920)。同じ状況IDに関連付けられた物体は、同じCPM生成イベントに含まれる候補となる。ある状況に関連する物体が次のCPMでの送信のためにマークされるとき、この状況に関連する他の物体も次のCPMでの送信のためにマークされる。物体の包含規則は、物体の分類と物体の運動に基づいて、標準TS 103 324 V0.0.22に定義されているものであってよい。例えば、静止している物体(例えば、信号機で停止している車両)は、1秒ごとにのみ報告されるかもしれない。別の例として、人(歩行者)のクラスの物体は、500ms毎に報告されるべきである。したがって、ある状況に静的な車両と歩行者が含まれる場合、両方の物体が500msごとに報告され得る。
【0171】
しかし、セーフティクリティカルな状況においては、セーフティクリティカルな物体について報告するためのレイテンシは、可能な限り低くあるべきである。したがって、セーフティクリティカルな状況に対しては、T_GenCpmMinは、T_GenCpmMinCritical=0ms(または現在のT_GenCpmMinよりも低い別の値)に設定される値であり得、T_GenCpmMaxは、T_GenCpmMaxCritical=100ms(または現在のT_GenCpmMaxよりも低い別の値)に設定される値であり得ると考えられる。
【0172】
本開示のいくつかの実施形態によれば、状況分析モジュールは、状況分析モジュールが閾値(SafetyCriticalLevel_Thresholdと表記)よりも高い深刻度を有する新しい状況を検出したとき、又は既存の状況の深刻度がこの閾値よりも高くなったとき、CPM生成イベントを生成するようにCPM生成モジュールに要求し得る(ステップ930)。この要求は、即時であってもよいし、最後のCPM生成イベントから最小時間遅延T_GenCpmMinCritical(T_GenCpmMinCritical<T_GenCpmMinとする)経過後であってもよい。このような場合、CPM生成イベント時間T_GenEventを現在時刻T_Nowに設定する(ステップ940)。次に、CPM生成モジュールは、環境モデルから知覚物体コンテナ候補を選択する(ステップ950)。知覚物体コンテナ候補は、好ましくは、セーフティクリティカルな状況に関連するものである。それらは、好ましくは、そのセーフティクリティカルレベルによって順序付けられる。
【0173】
セーフティクリティカルな状況に関係する物体の次の包含要求のために、連続するCPM間の最小経過時間は、T_GenCpmMinCritical≦T_GenCpm≦T_GenCpmMaxCritical(ここでT_GenCpmMax<T_GenCpmMax)となるT_GenCpmに等しいか又は大きいことが望ましい。したがって、セーフティクリティカルな状況の場合、この状況に関係する物体をより頻繁に報告することができる。
【0174】
知覚物体コンテナ候補を選択した後(ステップ920または950)、CPMが生成され(ステップ960)、T_LastCpm値がT_GenEvent値に設定される(ステップ970)。
【0175】
変形例では、セーフティクリティカルな状況に関連しない他の知覚物体候補を、物体タイプ及び運動包含規則に基づいて(ステップ950)、例えば、ステップ920で使用したものと同じ規則を使用して、同じCPM生成イベントに含めることができる。
【0176】
図10は、本開示のいくつかの実施形態による、現在のCPM生成イベントに対する知覚物体コンテナ候補を選択するためのステップの一例をフローチャートを用いて示す図である。そのようなステップは、
図9のステップ920及び/又は950で実施されるステップであってもよい。
【0177】
図示されるように、第1のステップは、環境モデルから状況リストと物体リストを取得することに向けられる(ステップ1000)。
【0178】
次に、状況リストが少なくとも1つの状況識別子を含んでいるかどうかを判断するためのテストが実施される(ステップ1005)。状況リストが少なくとも1つの状況識別子を含んでいる場合、CPM生成モジュールは、
図10に示されるアルゴリズムがトリガされたときに、より高い重大度レベルを有する状況に対応する、それらの重大度によって順序付けられた次の状況を取得する(ステップ1010)。次に、得られた状況がセーフティクリティカルな状況であるかどうかを判断するために、別のテストが実施される(ステップ1015)。得られた状況がセーフティクリティカルな状況である場合、得られた状況が最後のT_GenCpmMaxCritical時間期間のCPMに既に含まれていないかどうかを判断するために、さらなるテストが実施される(ステップ1020)。得られた状況が最後のT_GenCpmMaxCritical時間期間のCPMに既に含まれていない場合、得られた状況に関連する全ての物体が、現在生成されているCPMに含まれるように選択される。好ましい実施形態では、物体は、situationSafetyCriticalLevelの値によって順序付けられる(ステップ1025)。物体が複数の状況に属している場合、好ましくは、現在生成されているCPMにおいて一度だけ報告される。
【0179】
セーフティクリティカルな状況でないと判断された場合(ステップ1015)、得られた状況に関連する物体を逐次取得する(ステップ1030)。各物体について、物体の分類とCPMへの最後の包含以降のその運動に基づいて、TS 103 324 V0.0.22(セクション6.1.3.2知覚物体コンテナ包含管理内)で定義された包含ルールがチェックされる(ステップ1035)。
【0180】
本開示のいくつかの実施形態によれば、物体が現在生成されたCPMに含まれるべきであれば、同じ状況に関連するすべての物体が現在生成されたCPMに含まれるように選択される(ステップ1025)。反対に、状況に関連する物体が現在生成されたCPMに含まれるべきでない場合(ステップ1040)、次の状況(もしあれば)が取得され(ステップ1050)、次の状況を処理するためにプロセスがステップ1010にループされる。
【0181】
次に、得られたすべての状況を処理した後(ステップ1005)、どの状況とも関連付けられていない物体を調べる。そのために、状況に関連しない物体が少なくとも1つあるかどうかのテストが行われ(ステップ1055)、ある場合には、最初の物体または次の物体が取得される(ステップ1060)。好ましい実施形態では、環境モデルから得られた物体は、セーフティクリティカルレベル(objectSafetyCriticalLevel)により順序付けされる。次に、得られた物体は、TS 103 324 V0.0.22(セクション6.1.3.2の知覚物体コンテナ包含管理)で定義された包含ルールに従い、その分類とCPMへの最後の包含以降の運動に基づいて現在生成されているCPMに包含される(ステップ1065)。
【0182】
本開示のいくつかの実施形態によれば(
図10には不図示)、いかなる状況とも関連付けられていないが、SafetyCriticalLevel_Thresholdよりも大きいobjectSafetyCriticalLevelと関連付けられた物体は、非セーフティクリティカルな状況の検査の前に(すなわちステップ1030、1035及び1040の前に)次のCPMにそれらを含めるために検査することが可能である。そのような場合、CPM内の状況及び/又は物体の包含の順序は、以下のようになる。
1)セーフティクリティカルな状況とそれらの物体。
2)いかなる状況にも関連しないセーフティクリティカルな物体。
3)セーフティクリティカルでない状況とそれらの物体
4)いかなる状況にも関連しないセーフティクリティカルでない物体。
【0183】
TS 103 324に記載されているように、十分な信頼レベルを有し、冗長性緩和技術の対象とならない物体のみが、送信のために物体リストから選択されるべきである。本開示のいくつかの実施形態によれば、セーフティクリティカルな状況に関連する、またはSafetyCriticalLevel_Threshold値よりも高いセーフティクリティカルレベルを有する物体は、例えば、ITS無線チャネル上の混雑を制限するために、同じまたは他のITS-Sによって既に報告されている物体をCPM内に含めないことからなるいかなる種類の重複削減技術にも服さない方がよい。
【0184】
本開示のいくつかの実施形態によれば、セーフティクリティカルな状況に関連する、またはSafetyCriticalLevel_Threshold値よりも高いセーフティクリティカルレベルを有するVRU物体は、CPMにおける報告のためにいかなる種類のグループ化にも服さず、個別に報告することが望ましい。
【0185】
送信のために選択されたすべての知覚物体候補を含むASN.1符号化CPMのサイズがMTU_CPM閾値を超える場合、メッセージセグメント化が発生する可能性がある。同じ状況に関連する物体は、同じメッセージセグメントで伝送されることが望ましい。
【0186】
本開示のいくつかの実施形態によれば、CPMは、セーフティクリティカルな状況が存在する場合に、より頻繁に生成される。したがって、セーフティクリティカルな物体及び状況を分類することができるITS局のみが、CPMのセーフティ報告及び状況報告を処理することを許可されることが重要である。そのため、R-ITS-S(
図1のR-ITS-S112など)は、
図5を参照して説明したSSPを使用して認可されることになる。
【0187】
ユースケース例
図11、
図12、および
図13は、本開示の実施形態の3つの異なる使用例を示している。より正確には、
図11は、歩行者が車道上に存在するセーフティクリティカルな状況に向けられ、
図12は、衝突のリスクが存在するセーフティクリティカルな状況に向けられ、
図13は、衝突前DENMが生成されるセーフティクリティカルな状況に向けられる。
【0188】
道路状況における人の存在
図11は、インテリジェント交通システム(ITS)が監視する道路上に歩行者が存在する状況を示す図である。
【0189】
明確かつ簡潔にするために、1100で参照されるインテリジェント交通システムは、
図1に示されるものと同じであるか又は類似しており、
図1と
図11との主な違いは、ITS1100によって監視される道路の一部で参照される歩行者の存在である。
【0190】
図1のITS-S110と同様に、DENM1130とCPM1131を送信する発信元ITS局、ITS-Sは、移動車両のITS-Sよりも状況を分析するための強力なリソース(例えば、広い視野、複数の視野、他の情報への高速アクセス、監視エリアに生息する物体の知識など)を有する路側ユニット(RSU)である。
【0191】
ここでも、ITS1100は、交差点で実施され、固定路側ユニット1100と、ITS内でITSメッセージを送信し、または受信するための、ITS局(ITS-S)それぞれを搭載または構成し得る複数のエンティティから構成される。複数のエンティティは、例えば、車両1151、1152、1153、および1154と、歩行者1155、および1156とすることができる。同様に、固定路側ユニット1110は、画像センサなどのセンサのセット(ここではビデオカメラ1120、1121、1122、1123)と、センサによって提供されるデータを分析するための状況分析モジュール1111を含む。
【0192】
監視領域をスキャンすることにより、状況分析モジュール1111は、以下の物体を認識することができる。
-道路上の車両1151、1152、1153、1154にそれぞれ対応する物体1161、1162、1163、1164。
-歩道上の歩行者1155に対応する物体1165。
-車道上の歩行者1156に対応する物体1166。
【0193】
図示の例では、車道上の歩行者1156は、右折してくる車両1154と衝突するリスクがある。この状況に対処するために、状況分析モジュールは、車道上の歩行者の存在を検出し、交差点における車両の軌跡を分析し、歩行者1156及び車両1154の注意をリスクに引きつけるためにCPMを生成することが可能である。
【0194】
図示されているように、路側ユニット1110は、RSU1110が知覚物体に関連する情報を共有することを可能にする路側ITS-S(R-ITS-S)1112をさらに含む。典型的には、RSU1110は、CPM1131を送信することによって、受信ITS局とそのような情報を共有することができる。また、複数のDENM1130を介して検出されたイベントに関連する情報を共有することができる。
【0195】
図2に戻り、RSU1110がRSU110に対応することを考慮すると、状況分析モジュール240は、物体分類(例えば歩行者)及び道路トポロジー(例えば歩道、車道)に基づいて監視領域内の物体の存在を連続的に分析する。これは、DENM生成モジュール270にタイプ「道路上の人間の存在」のイベントをトリガすることを視野に入れて、歩行者が車道上に存在するか否かを分析するためである。
【0196】
さらに、状況分析モジュール240は、その環境モデル220に含まれる関連物体をこの「道路上の人間の存在」という状況に関連付け、状況によって直接関係する物体または状況によって共働的に関係する物体に対するセーフティクリティカルレベルを計算することができる。
【0197】
図11のシナリオでは、道路上の歩行者1156に対応する物体1166が、この状況に直接的に関係している。そのセーフティクリティカルレベルは「高」に設定されている。車両1154に対応する物体1164は、交差点で右折する場合、道路上の人間の存在に関心を持つ。そして、そのセーフティクリティカルレベルは、「中」レベルに設定される。他の物体1161、1162、1163、および1165は、この状況にあまり関心がないので、そのセーフティクリティカルレベルフィールドは、この状況に対して「セーフティクリティカルではない」を意味する0値に設定される。物体1164と1166の両方は、生成されたDENM1130の状況に関連付けられている。DENM1130は、上記で説明したように、発信元ITS-S IDとDENMのactionIDから得られるシーケンス番号からなる識別子situationIDを用いて状況分析により識別される。DENM生成モジュール270は、生成されたDENM1130のactionIDに同じ識別子を用いることになる。
【0198】
付録の表9は、
図11を参照して説明したシナリオの状況分析の一例を示すものである。
【0199】
衝突リスク状況
図12は、インテリジェント交通システム(ITS)が監視する領域で衝突のリスクがある場合の状況を示す図である。
【0200】
この例では、DENM1230及びCPM1231を送信する発信元ITS局(ITS-S)は、1210で参照される路側ユニット(RSU)である。上述したように、RSUは、衝突リスク状況を分析するために、移動車両よりも有利に強力なリソース(例えば、より広い視野、複数の視野、他の情報への高速アクセス、監視領域に生息する物体の知識など)を有する。
【0201】
特に、RSU1210は他のITS-Sよりも優れた監視領域の視界を持ち、ITS接続車両と非接続車両の衝突が混在する場合、および/または衝突車両が互いに見えない場合(例えば、交差点の閉塞による)、RSU1210が衝突または衝突のリスクを検出することができるようなる。
【0202】
図1のITS100と同様に、ITS1200は、交差点で実施され、固定路側ユニット1210と、ITS内のITSメッセージを送信し、または受信するためのITS局(ITS-S)それぞれを搭載または構成することができる複数のエンティティから構成される。複数のエンティティは、例えば、車両1251、1252、1253、及び歩行者1254、1255であってよい。
【0203】
図示された例によれば、状況分析モジュール1211は、監視領域をスキャンする際に、以下の物体を知覚することができる。
-車道上の車両1261、1262、1263にそれぞれ対応する物体1261、1262、1263。
-歩道上の歩行者1254、1255にそれぞれ対応する物体1264、1265。
【0204】
さらに図示の実施例によれば、状況分析モジュールは、知覚物体の軌跡を分析し、それらの将来の軌跡を予測し、知覚物体間の衝突の可能なリスクを識別するための状況分析機能を備える。
【0205】
この例では、知覚物体1262と1263は、道路交差点の中心にマークされた衝突位置1270で衝突するリスクがあると検出される。状況分析モジュールは、2台の車両の軌跡1271、1272を予測し、衝突までの時間(TTC)情報を計算することができる。衝突までの時間の値は、リスクを表すものであってもよい。
-TTC値が第1の閾値(例えば5秒)より小さく、第2の閾値(例えば1.5秒)より大きい場合、2つ以上の物体間で衝突のリスクが検出されたことを意味する。
-TTC値が第2の閾値より低い場合は、衝突が迫っている、または「衝突前」の状況が検出されたことを意味する。
【0206】
図12の提案シナリオでは、RSU1210は、DENMを通じて、衝突リスク状況を報告するオブザーバである。そして、R-ITS-S1212は、TTC値に応じて、イベントタイプ「衝突リスク」またはサブタイプ「衝突前」の「衝突リスク」に対してDENMをトリガすることができる。
【0207】
図2に戻り、RSU1210がRSU110に対応することを考慮すると、状況分析モジュール240は、その環境モデル220に含まれる物体の軌跡を連続的に分析する。これは、例えば衝突のリスク1270を検出することを目的として、それらの将来の軌跡1271及び1272を予測するためである。
【0208】
交通状況(渋滞、信号機の状態、速度制限)、天候などの追加情報を入力としてオプションで使用するものを含む、任意の軌跡予測方法を使用することができる。予測された軌跡は、物体が予測された位置にあることが予想される時を定義する関連する位置時間を有する予測された位置の集合である。例えば、様々な軌跡予測方法を用いて、1つの同じ物体に対して複数の軌跡を予測することができる。
【0209】
衝突リスクの検出は、このような予測された軌跡に基づいて行うことができる:同時に(位置マージンを与えられた)互いに交差する(時間マージンを与えられた)軌跡は、前記時間が第1の閾値(例えば5秒)より遅くなく、第2の閾値より遅くなければ衝突のリスクを上げることができ、前記時間が第2の閾値より遅くなければ衝突前状況を上げることができ、さらには前記時間が0であれば事故状況を上げることができる。
【0210】
状況分析モジュール240は、DENM生成モジュール270に衝突警告または衝突前状況イベントをトリガすることを決定することができる。
【0211】
衝突には、1台または複数台の車両、VRU、動物、道路上または道路付近の物体(木、道路バリア、信号機など)を含む、2つ以上の物体が関与し得る。これらの物体は「重要な」または「衝突する」物体というラベルが貼られている。
【0212】
図12を参照して説明したシナリオでは、衝突リスクを有する車両に対応する物体1262及び1263は、状況によって直接的に懸念される。そして、それらのセーフティクリティカルレベルは「高」レベルに設定され、それらが状況に直接関係しているので、それらの状況までの時間値は0値に設定される。付録の表10に示される変形例では、状況までの時間は、衝突までの時間を表す値に設定され得る。そのセーフティクリティカルレベルは「中」レベルに設定され、その状況到達時間は、推定衝突点1270からの物体の相対距離及び速度に基づいて計算される秒単位の値(例えば5秒)に設定される。変形例では、状況までの時間は、衝突までの時間に設定することができる。他の物体1261及び1264は、この状況にあまり関心がないので、この状況に対するそれらのセーフティクリティカルフィールドは、「セーフティクリティカルではない」を意味する0値に設定される。物体1262、1263、1265は、次に、生成されたDENM1230の状況に関連付けられる。DENM1230は、状況分析により、発信元ITS-S IDとシーケンス番号からなる識別子situationIDを用いて識別される。同じ識別子をDENM生成モジュール270が生成DENM1230のactionIDで使用する。
【0213】
付録の表10は、
図12を参照して説明したシナリオの状況分析の一例を示すものである。
【0214】
衝突前のDENMの状況
図13は、インテリジェント交通システム(ITS)が監視する領域において、衝突前の状況が存在する状態を示す図である。
【0215】
この例では、DENM1330を送信する発信元ITS局(ITS-S)は、車両1353に構成される車両ITS局(V-ITS-S)であり、例えばその前面センサを用いて車両1352との衝突が迫っている(TTC1.5秒未満)ことを検出したものである。DENM1330は、イベントタイプ「衝突リスク」のDENMであり、サブタイプは「衝突前」である。この衝突前DENMは、Car2Car通信コンソーシアム文書(トリガ条件およびデータ品質衝突前情報)に基づき、ETSIが標準化前検討レポートTR 103 832で検討中である。衝突前DENMは、衝突前状況に関係する物体(以下、重要物体と呼ぶ)の情報を含んでおり、2つの重要物体1372および1373は、それぞれ車両1352および1353に対応している。
【0216】
図13に示す例では、状況分析モジュール1311は、監視領域をスキャンする際に、センサを使用して以下の物体を知覚することができる。
-車道上の車両1351、1352、1354にそれぞれ対応する物体1361、1362、1364。
-歩道上の歩行者1355に対応する物体1365。
【0217】
図2に戻り、RSU1310がRSU110に対応することを考慮すると、状況分析モジュール240は、他のITS-Sからの受信DENMを継続的に分析する。他のITS-SからDENMを受信すると、状況分析モジュールはイベントの種類を分析する。DENMプロトコルに従い、R-ITS-Sは受信したDENMで指定された関連領域内の他のITS-SにDENMを転送することができる。
【0218】
図13に示すシナリオでは、車両1353のITS-Sが衝突前DENM1330をトリガしている。この衝突前DENMは、以下のような情報を含んでいてもよい。
-actionID:発信元ITS-IDとシーケンス番号(DENM識別子)を表す。
-車両1352、1353上のクリティカル物体1372、1373などのクリティカル物体の位置。
-クリティカル物体の速度。
【0219】
オプションで、例えば車両1352のITS-IDであるITS-ID(stationID)、及び例えば車両1352と1353との衝突までの時間である衝突までの時間(timeToCollision)を含んでいてもよい。
【0220】
R-ITS-S1312は、衝突前DENM1330を受信し、その状況分析モジュール1311のおかげで、RSUは、衝突前DENMに含まれる重要物体のリストの物体間のリンクを確立することができる。車両1352に対応する物体1362は、1372に配置された衝突前DENM重要物体と関連付けられる。車両1353に対応する1373に配置された衝突前DENM重要物体は、R-ITS-Sのセンサによって知覚されない(カメラ1322の視野の外にある)が、環境モデル220の物体のリストに追加することが可能である。
【0221】
次に、状況分析モジュールは、その環境モデルに含まれる他の物体が衝突前のDENM状況に関係しているかどうかを分析することができる。車両1352のすぐ前の車両を表す物体1361と、衝突前エリアのすぐ近くのVRUを表す物体1365も、衝突前DENM状況によって共時的に関係し、その後関連付けることができる。
【0222】
付録の表11は、
図13を参照して説明したシナリオの状況分析の一例を示すものである。
【0223】
図11、
図12、および
図13に示されるシナリオにおいて、環境モデル220に含まれる分析された状況によって関係する各物体に関連する情報は、したがって、予測から得られた情報アイテムおよび以下のような状況分析から得られた情報アイテムで更新されることができる。
-受信した衝突前DENMのactionIDに設定された状況の識別子(situationID)。
-物体セーフティクリティカルレベル(situationSafetyCriticalLevel、objectSafetyCriticalLevel)。
-物体予測軌跡(objectPredictedPath)。
-状況までの時間(timeToSituation)。
【0224】
説明の便宜上、路側ITS-S1112(R-ITS-S)は、状況分析モジュール240によってトリガされたDENM警告メッセージを、DENM生成モジュール270を用いて送信することが可能である。DENM生成モジュールは、最先端のDENM(DENMフォーマットの変更なし、DENM生成ルールの変更なし)とすることができる。
【0225】
路側ITS-S1112(R-ITS-S)は、CPM生成モジュール260を用いて定期的にCPMを送信することができる。各CPM生成イベントにおいて、次のCPMに含まれるべき候補物体のリストが、環境モデル240から取得される。本開示のいくつかの実施形態によれば、状況分析モジュールは、状況のセーフティクリティカルレベルに応じて、次のCPM生成イベントをトリガすることができる。これにより、セーフティクリティカルなデータを含むCPMを生成するための待ち時間を短縮し、その後、低遅延で状況認識を向上させることにより、道路利用者のセーフティを向上させることが可能となる。さらに、本開示のいくつかの実施形態によれば、CPMは、どの物体がDENMに対応することができる状況に関連しているかを迅速に特定することを可能にする情報を含む。この追加情報のおかげで、受信側のITS-Sは、状況認識をより容易に改善し、発信側ITS-Sによって既に行われた分析を再利用することができる。これは、送信元のITS-Sが、より強力な解析リソースとより広い複数の視野を持つR-ITS-Sである場合に特に有利である。
【0226】
予測と状況のリンク
図14は、本開示のいくつかの実施形態による予測コンテナで拡張された集合的知覚メッセージ、CPMの知覚物体要素の構造の一例を示す図である。
【0227】
知覚物体データ構造1461はCPM内にあり、知覚物体コンテナ(例えば、
図4の知覚物体コンテナ460、
図6の知覚物体コンテナ660、または
図7の知覚物体コンテナ760)に含まれる。
図4を参照して説明した知覚物体データ構造461と同様に、知覚物体データ構造1461は、それぞれ構造462、463、464、および468に類似する構造1462、1463、1464、および1468を含む。
【0228】
図示されているように、知覚物体データ構造1461は、物体の将来の状態に関する情報(すなわち、物体の予測された動作に関する情報)を提供するために使用され得る、予測コンテナと表記される追加のコンテナ(1469で参照)を含む。
【0229】
予測コンテナ1469のデータ構造(1471で参照)は、知覚物体に関連する予測された情報を記述するために使用される情報のセットを含む。そのような予測された情報は、以下の情報アイテムのうちの1つまたは複数を含み得る。
-DeltaTime:予測経路の連続する点の各ペア間の時間差を表す(例えば、予測経路は100ms間隔の点を含み得る)。
-PredictedPathのリスト:1つまたは複数の予測経路を含む。経路数は、例えば最大3つまで可能である。各予測経路は以下を含む。
○PathProbability:予測経路につながる事象が発生する確率を表す。
○PathPointsのリスト:予測経路の複数のポイントをリストアップする(例えば、予測経路のポイント数は最大10個まで可能)。各経路ポイントは、以下のように定義することができる。
・XDistanceOffset、YDistanceOffset:CPM基準点からITS-S座標系のx方向、y方向にそれぞれ測定した距離を表す。
・各ポイントの共分散情報は、XConfidence、YConfidence、Correlationでオプションで含めることができる。
○PathDangerousness:予測された経路の危険度を表す。
○PathPredictability:高度な予測アルゴリズムや局所的な知識がなくても経路を予測できる難易度を表す。
○PredictionSendingReason:予測値の付加価値を表し、CPMにおいて予測された経路を送信する理由を構成し得る。
○PredictedSituationType:予測経路に関連する状況のタイプである。
○PredictedPathID:予測経路の識別子である。
○SituationIDList:状況に対応する識別子(SituationID)を参照することによって、予測される経路を状況または状況のリストと関連付けることを可能にする。例えば
図14のデータ構造1465に記述され得る。
○LinkedPredictedPathIDList:物体予測間の可能な相互作用を反映するために、予測経路を別の物体予測経路または複数の物体予測経路に(明示的または暗黙的に)関連付けることができるようにするものである。そのために、このフィールドは、PredictedPathIDのリストを含むことができる。また、リンクタイプの情報(例えば、「parent」)を追加することによって、関係タイプを反映させることもできる。
【0230】
図示された例によれば、状況データ構造1465は、
図4の状況データ構造465と同様であり、
図4のデータ構造466と同様である要素situationID1466の第1のセットを含んでいる。物体は複数の状況と関連付けることができるので、物体/状況の関連付けに関連する情報アイテムは、
図4を参照して説明したデータフレーム467および
図6を参照して説明したデータフレーム667と部分的に類似しているデータフレーム1467(すなわちobjectSituationAnalysis)などのデータフレームで提供することが可能である。
【0231】
特定の状況に関連するセーフティクリティカルレベルの情報(例えばsituationSafetyCriticalLevel)を設定することが可能である。さらに、状況への時間(例えばtimeToSituation)と、考慮される物体が状況に関係し得る予測された経路または予測された経路のセット(objectPredictedPathIDList)への参照(すなわち、複数の経路が同じ物体および同じ状況について予測され得る)を設定することが可能である。いくつかの特定の実施形態によれば、状況構造において定義される予測経路のセット(objectPredictedPathIDList)は、他の物体(すなわち、考慮された知覚物体コンテナに関連付けられるものとは異なる物体)の予測経路を含んでよく、ある物体の1以上の予測経路を他の物体の1以上の予測経路にリンクすることが可能となる。これにより、CPMのサイズを小さくすることができる。
【0232】
いくつかの他の実施形態によれば、
図6の状況データ構造666と同様の状況データ構造に同様の情報アイテム(すなわち、objectPredictedPathIDList)を含めて、1つまたは複数の物体予測経路を状況にリンクさせることが可能である。
【0233】
さらに特定の実施形態によれば、CPMサイズを縮小するために状況データ構造を省略することが可能である。したがって、(データ要素LinkedPredictedPathIDListを介して)2つの物体の予測された経路をリンクすることにより、暗黙の状況(状況は、物体予測経路のグループである)が作成される。付録の表13および表14は、状況データそのものを用いずに、知覚物体の予測経路およびこれらの予測経路の一部間のリンクを伝送するCPMの一部の例を示している。
【0234】
さらにいくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の物体に関連付けられた1つまたは複数の予測経路は、データ要素situationIDlist(予測データ構造内、例えば予測データ構造1471内)において考慮物体の1つまたは複数の予測経路と関連付けられた状況に関連付けられる場合がある。したがって、異なる知覚物体に関連付けられ、同じ状況に関連付けられた異なる予測経路の間のリンクは、対応する知覚物体コンテナを分析することによって確立され得る。知覚物体と状況に関連する予測経路の間のリンク、及び知覚物体に関連する予測経路の相互間のリンクの例を表12に示す。
【0235】
いくつかの特定の実施形態によれば、考慮された構造に関連する物体とは異なる物体に関連する1つまたは複数の予測経路(第1の予測経路と表記)を、考慮された構造に関連する物体に関連する1つまたは複数の予測経路(第2の予測経路と表記)に、さらなる指示なしにリンクすることは、第1の予測経路が第2の予測経路から生じ得る(すなわち、第2の予測経路が真となれば第1の予測経路が真となり得る)ことを意味している。表12に提供された例から明らかなように、特定の表示、例えば「parent」は、第1の予測経路が第2の予測経路につながる可能性があることを示すために使用されてもよい。この例によれば、予測経路1581は、予測経路1591の親であることが示され、予測経路1582は、予測経路1592及び1593の親であることが示される。
【0236】
複数の物体予測経路の間にリンクを確立すること、例えば、これらの物体予測経路と状況との間にリンクを確立することによって、同じ状況によって関係する物体間の相互作用を反映することが可能となり、したがって、集合知覚サービスによってこれらの物体とその予測経路とを独立して報告することを回避することができる。異なる物体の異なる予測経路間のリンクは、複数のCPMを分析することによって確立されてもよいが、2つの予測経路は、これらの予測経路の1つが他の予測経路を参照する場合、同じCPMに含まれることが望ましい。
【0237】
ITS内のV2X通信を保護するために、特にメッセージの整合性を制御し、
図5を参照して説明したように、発信元ITS-Sを認証するために、ETSI TS 102 731仕様のバージョン1.1.1に定義されている公開鍵基盤(PKI)が使用される場合がある。
【0238】
したがって、
図14のデータ要素1471のような予測された情報の報告を許可するように使用される追加の特定の許可が、証明書内で定義されてもよい。
図5に参照番号550で示される例によれば、第2バイトの第4ビットは、CPMのペイロードにおいて予測情報(
図14のデータ要素1471など)を報告する許可を示すために1に設定されてもよく、そうでない場合は0に設定されてもよい。
【0239】
図15は、インテリジェント交通システム(ITS)が監視する道路上に位置するある車両の挙動が、同じくITSが監視する道路上に位置する別の車両の挙動に影響を与える可能性がある状況におけるITSを示す図である。
【0240】
明確かつ簡潔にするために、1500で参照されるインテリジェント交通システムは、
図1に示されるものと同様であり、
図1と
図15との主な違いは、ITS1500によって監視される道路の一部における建設作業1570などのいくつかの障害物の存在に向けられるものである。
【0241】
図1のRSU110と同様に、
図15に示された発信元ITS局(1510で参照)、送信DENM1730、CPM1731を含むRSUは、移動体内に組み込まれたITS-Sよりも状況を分析するためのより多い処理リソース(例えば、より広い視野、複数の視野、他の情報への高速アクセス、監視エリアに生息する物体に関する知識等)を含む。
【0242】
図示されるように、ITS1500は、路側で実施され、固定路側ユニット1510と、ITS内でITSメッセージを送信および/または受信するために、それぞれITS局(ITS-S)を搬送するまたは構成することができるいくつかのエンティティから構成される。複数のエンティティは、例えば、1551及び1552で参照される車両であってよい。静止路側ユニット110と同様に、静止路側ユニット1510は、画像センサなどのセンサのセット(ここではビデオカメラ1520)と、センサによって提供されるデータを分析するための状況分析モジュール(ここでは状況分析モジュール1511)と、を含んでいる。
【0243】
監視領域を走査することにより、状況分析モジュール1511は、車道上の車両1551及び1552にそれぞれ対応する物体1561及び1562を認識することができる。
【0244】
図15に示されるように、車両1552は、車道上の進路上に障害物1570(例えば、工事)を有する。この状況を処理するために、状況分析モジュール1511は、車道上の車両1552の存在、障害物1570への接近、及び反対車線上の車両1551の存在を検出することが可能である。
【0245】
監視領域における以前の車両挙動に基づき、状況分析モジュールは、車道上で障害物1570に直面する車両の異なる可能な軌跡を一定の確率で予測することができる。例えば、車両1552は、2つの可能な挙動を有することができる。
-障害物1570の前で停止し、車両1551が障害物のある領域を通過するまで待機する(予測経路1581(破線矢印で表される)に対応する)。
-道を強制して直ちに障害物を迂回する(予測経路1582(一点鎖線矢印で表される)に対応する)。
【0246】
図15から明らかなように、車両1552の挙動は、車両1551の挙動に影響を与える。例えば、車両1552が障害物を通過する前に停止した場合(予測経路1581)、車両1551は予測経路1591(破線矢印で表される)に従って正常に軌跡を継続することができる。予測経路1581を想定すると、高い発生確率が予測経路1591に関連付けられる可能性がある。代替的に、車両1552が道を強制する場合(予測経路1582を仮定する)、状況分析モジュールは、やはり監視道路における以前の監視された軌跡に基づいて、次のような予測経路の可能なセットを決定することができる。
-停止し、車両1552を通過させてから続行する(予測経路1592(短い破線矢印で表される)に対応する)。
-車両1552との衝突を回避するために道路の右側(例えば、存在する場合は自転車レーン)を走行する(予測経路1593(一点鎖線矢印で表される)に対応する)。
【0247】
このシナリオによれば、状況分析モジュール1511は、2つの異なる状況を作成することができる。
-車両1552に関連する予測経路1581が車両1551に関連する予測経路1591にリンクしている状況1(
図15において破線矢印で図示)。
-車両1552に関連する予測経路1582が車両1551に関連する予測経路1592及び1593にリンクされている状況2(
図15において一転鎖線矢印で図示)。
【0248】
いくつかの実施形態によれば、RSU1510は、予測経路を状況に関連付けることによって、予測経路とその関係を含むCPM1531を生成する。本開示の特定の実施形態によるこのCPMのいくつかの部分の内容は、表12に示されている。
【0249】
本開示の他の実施形態によれば、RSU1510は、CPMのサイズを縮小するために、状況分析モジュールによって識別された状況1及び2を明示的に参照することなく、予測された経路とその関係を互いに関連付けることによって、予測された経路を含むCPM1531を生成する。本開示のこの特定の実施形態によるこのCPMのいくつかの部分の内容は、表13および表14に示されている。表13と表14との主な違いは、表14がいかなる親表示も含んでいないことであることに留意されたい。したがって、表14から明らかなように、予測経路に関連するLinkedPredictedPathIDListは、この予測経路が親を有しない場合、空である。
【0250】
本発明によれば、CPM1531の生成と並行して、状況2に対して衝突リスクタイプのDENM1530をトリガすることができる。
【0251】
従来技術の方法を用いると、各物体について、予測されるすべての経路を独立して送信することになることが確認されている。したがって、受信者は、グローバルに可能な予測シナリオが何であるかを理解するために、追加の分析を実行する必要がある。
図14及び
図15を参照して説明した実施形態によれば、受信ITS-Sは、CPM1531及び関連するDENM1530を受信する際に、これらの物体の予測経路の間の関係を通じて物体間の可能な相互作用を容易に分析することが可能である。例えば、
図15の予測経路1582が真となった場合、予測経路1592または1593が真となる確率は非常に高い。さらに、関連するDENM1530(衝突のリスク)は、ITS受信局がこのリスクに関連する緩和行動を予期できるように警告することになる。
【0252】
本開示の実施形態の方法のステップを実行するためのハードウェアの例
図16は、本開示のいくつかの実施形態を実施するように構成された通信ITS-S装置の一例を模式的に示す図である。車両に組み込まれたITS-Sであっても、路側ユニットに組み込まれたITS-S(例えば
図1の路側ユニット110)であってもよい。
【0253】
通信装置1600は、好ましくは、車両やRSUに組み込まれたマイクロコンピュータ、ワークステーション、または軽量の携帯機器などの装置であってよい。通信装置1600は、好ましくは、そこに接続される通信バス1613を含んで構成される。
-中央処理装置1611:マイクロプロセッサ(CPUと表記される)やGPU(グラフィックプロセッシングユニット)など。
-読み取り専用メモリ1607(ROMと表記される):本開示のいくつかの実施形態を実施するためのコンピュータプログラムを格納する。
-ランダムアクセスメモリ1612(RAMと表記される):本開示のいくつかの実施形態による方法の実行可能コード、ならびに本開示のいくつかの実施形態による方法を実施するために必要な変数およびパラメータを記録するために適合されたレジスタを記憶する。
-無線通信ネットワークに接続され、ITSメッセージが伝送される少なくとも1つの通信インタフェース1602:ITSメッセージは、CPU1611で動作するソフトウェアアプリケーションの制御の下、RAM1612内のFIFO送信メモリから送信用ネットワークインタフェースに書き込まれ、または受信用ネットワークインタフェースから読み出されてRAM1612内のFIFO受信メモリに書き込まれる。
【0254】
オプションで、通信装置1600は、以下の構成要素のうちの1つ又は幾つかを含むこともできる。
-ハードディスクなどのデータ記憶手段1604:本開示の1つ以上の実施形態による方法を実施するためのコンピュータプログラムを記憶する。
-ディスク1606のためのディスクドライブ1605:ディスクドライブは、ディスク1606からデータを読み取るか、またはディスクにデータを書き込むように適合されている。
-スクリーン1609:キーボード1610または他の任意のポインティング手段によって、ユーザとのグラフィカルインタフェースとして機能する。
【0255】
通信装置1600は、例えばデジタルカメラ(各々は、通信装置1600にデータを供給するように入出力カード(図示せず)に接続される)などの知覚センサ1608を含む様々な周辺機器にオプションで接続されてもよい。
【0256】
好ましくは、通信バスは、通信装置1600に含まれる、またはそれに接続される様々な要素間の通信および相互運用性を提供する。バスの表現は限定的ではなく、特に中央処理装置は、通信装置1600の任意の要素に直接又は通信装置1600の別の要素によって命令を通信するように動作可能である。
【0257】
ディスク1606は、任意に、例えば、書き換え可能か否かを問わずコンパクトディスク(CD-ROM)、ZIPディスク、USBキーまたはメモリカードなどの任意の情報媒体によって、一般的に言えば、マイクロコンピュータまたはマイクロプロセッサによって読み取ることができ、装置に統合されているか否かを問わず、おそらく取り外し可能で、その実行によって本発明による方法を実施することができる1または複数のプログラムを格納するために適合されている情報格納手段によって置換されてもよい。
【0258】
実行可能コードは、任意に、読み取り専用メモリ1607、ハードディスク1604上、または前述したような例えばディスク1606のような取り外し可能なデジタル媒体上のいずれかに格納され得る。オプションの変形例によれば、プログラムの実行可能コードは、実行される前に、ハードディスク1604などの通信装置1600の記憶手段の1つに記憶されるように、インタフェース1602を介して、通信ネットワークによって受信され得る。
【0259】
中央処理装置1611は、好ましくは、本開示のいくつかの実施形態によるプログラムまたはプログラムのソフトウェアコードの命令または部分の実行を制御および指示するように適合され、この命令は、前述の記憶手段のうちの1つに記憶される。電源投入時に、例えばハードディスク1604上または読み取り専用メモリ1607内の不揮発性メモリに格納されているプログラムまたはプログラムは、ランダムアクセスメモリ1612に転送され、その後、プログラムまたはプログラムの実行可能コード、ならびに本発明を実施するために必要な変数およびパラメータを格納するためのレジスタが格納される。
【0260】
好ましい実施形態では、本装置は、ソフトウェアを用いて本発明を実施するプログラマブルな装置である。しかしながら、代替的に、本発明は、ハードウェアで(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)の形態で)実施されてもよい。
【0261】
以上、本発明を特定の実施形態を参照して説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にある変更は当業者にとって明らかであろう。
【0262】
多くのさらなる修正および変形が、前述の例示的な実施形態を参照することにより、当業者に示唆されるであろうが、これらは例示としてのみ与えられており、本発明の範囲を限定することを意図しておらず、それは添付の請求項によってのみ決定される。特に、異なる実施形態からの異なる特徴は、適切な場合には、入れ替えてもよい。
【0263】
上述した本発明の特定の実施形態は、単独で、又は複数の実施形態の組み合わせとして実施することができる。また、異なる実施形態からの特徴は、必要に応じて、又は単一の実施形態における個々の実施形態からの要素又は特徴の組み合わせが有益である場合に、組み合わせることができる。
【0264】
特許請求の範囲において、「含む(comprising)」という語は、他の要素又はステップを排除せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を排除しない。異なる特徴が相互に異なる従属請求項に記載されているという事実だけでは、これらの特徴の組合せが有利に使用できないことを示すものではない。
【0265】
付録
【0266】
【0267】
【0268】
【0269】
【0270】
【0271】
【0272】
【0273】
【0274】
【0275】
【0276】
【0277】
【0278】
【0279】