(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】座標計測方法
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
G01C15/00 104Z
G01C15/00 103Z
G01C15/00 102C
(21)【出願番号】P 2023019145
(22)【出願日】2023-02-10
【審査請求日】2023-02-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000182937
【氏名又は名称】日鉄パイプライン&エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】田中 進
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-282212(JP,A)
【文献】特開2013-140083(JP,A)
【文献】特開平8-29192(JP,A)
【文献】特開2013-152139(JP,A)
【文献】特開2007-200045(JP,A)
【文献】国際公開第2022/059051(WO,A1)
【文献】特開2020-190502(JP,A)
【文献】特開2015-143625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00-1/14
5/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋設物を通る鉛直なライン上に位置する目標点の2次元座標を計測する座標計測方法であって、
前記目標点とは異なる点であって、任意に選定された第1基点の2次元座標を表す第1座標を取得する工程と、
レーザ距離計により前記第1基点から前記目標点に向けてレーザを照射して、前記第1基点と前記目標点との間の距離を表す第1距離を計測する工程と、
前記目標点及び前記第1基点とは異なる点であって、任意に選定された第2基点の2次元座標を表す第2座標を取得する工程と、
前記レーザ距離計により前記第2基点から前記目標点に向けてレーザを照射して、前記第2基点と前記目標点との間の距離を表す第2距離を計測する工程と、
中心が前記第1座標であり、且つ半径が前記第1距離である第1の円と、中心が前記第2座標であり、且つ半径が前記第2距離である第2の円とが交わる点であり、前記目標点に対応する交点の2次元座標を、前記第1の円及び前記第2の円以外の円を用いることなく演算する工程と、を含
み、
前記第1座標を取得する工程と前記第1距離を計測する工程とが実行された後に、前記第2座標を取得する工程と前記第2距離を計測する工程とが実行される、座標計測方法。
【請求項2】
前記第1座標を取得する工程では、GNSS装置を用いて前記第1座標が計測され、
前記第2座標を取得する工程では、前記GNSS装置を用いて前記第2座標が計測される、請求項
1に記載の座標計測方法。
【請求項3】
前記目標点に対応する交点の2次元座標を演算する工程は、ユーザ入力に基づいて、前記第1の円と前記第2の円との2つの交点のうちのいずれか一方を前記目標点に対応する交点に決定することを含む、請求項
1又は2に記載の座標計測方法。
【請求項4】
前記第1座標を取得する工程は、
前記第1基点とは異なる第3基点の2次元座標を表す第3座標を取得することと、
前記第3基点と前記第1基点との間の距離を表す第3距離を計測することと、
前記第1基点及び前記第3基点とは異なる第4基点の2次元座標を表す第4座標を取得することと、
前記第4基点と前記第1基点との間の距離を表す第4距離を計測することと、
中心が前記第3座標であり、且つ半径が前記第3距離である第3の円と、中心が前記第4座標であり、且つ半径が前記第4距離である第4の円とが交わる点であり、前記第1基点に対応する交点の2次元座標を、前記第3の円及び前記第4の円以外の円を用いることなく演算することと、を含
み、
前記第3座標の取得と前記第3距離の計測とが実行された後に、前記第4座標の取得と前記第4距離の計測とが実行される、請求項
1に記載の座標計測方法。
【請求項5】
前記第2座標を取得する工程は、
前記第2基点とは異なる第3基点の2次元座標を表す第3座標を取得することと、
前記第3基点と前記第2基点との間の距離を表す第3距離を計測することと、
前記第2基点及び前記第3基点とは異なる第4基点の2次元座標を表す第4座標を取得することと、
前記第4基点と前記第2基点との間の距離を表す第4距離を計測することと、
中心が前記第3座標であり、且つ半径が前記第3距離である第3の円と、中心が前記第4座標であり、且つ半径が前記第4距離である第4の円とが交わる点であり、前記第2基点に対応する交点の2次元座標を、前記第3の円及び前記第4の円以外の円を用いることなく演算することと、を含み、
前記第3座標の取得と前記第3距離の計測とが実行された後に、前記第4座標の取得と前記第4距離の計測とが実行される、請求項1に記載の座標計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、座標計測方法、及び座標計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、地中に埋設された埋設物の位置を管理する管理システムが開示されている。この管理システムでは、作業機械が対象を施工する際に、埋設物の位置を少なくとも含む情報が取得されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
埋設物を地中に設置する作業を行う際に、埋設物の2次元座標を計測する場合がある。また、地上に設置される建造物を施工する際に、地上建造物の2次元座標を計測する場合がある。本開示は、計測環境の影響を受け難くするのに有用な座標計測方法、及び座標計測装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]目標点の2次元座標を計測する座標計測方法であって、前記目標点とは異なる第1基点の2次元座標を表す第1座標を取得する工程と、前記第1基点と前記目標点との間の距離を表す第1距離を計測する工程と、前記目標点及び前記第1基点とは異なる第2基点の2次元座標を表す第2座標を取得する工程と、前記第2基点と前記目標点との間の距離を表す第2距離を計測する工程と、中心が前記第1座標であり、且つ半径が前記第1距離である第1の円と、中心が前記第2座標であり、且つ半径が前記第2距離である第2の円とが交わる点であり、前記目標点に対応する交点の2次元座標を演算する工程と、を含む座標計測方法。
【0006】
[2]前記第1距離を計測する工程では、レーザにより距離を計測するレーザ距離計を用いて前記第1距離が計測され、前記第2距離を計測する工程では、前記レーザ距離計を用いて前記第2距離が計測される、上記[1]に記載の座標計測方法。
【0007】
[3]前記第1座標を取得する工程では、GNSS装置を用いて前記第1座標が計測され、前記第2座標を取得する工程では、前記GNSS装置を用いて前記第2座標が計測される、上記[1]又は[2]に記載の座標計測方法。
【0008】
[4]前記目標点に対応する交点の2次元座標を演算する工程は、ユーザ入力に基づいて、前記第1の円と前記第2の円との2つの交点のうちのいずれか一方を前記目標点に対応する交点に決定することを含む、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の座標計測方法。
【0009】
[5]前記第1座標を取得する工程は、前記第1基点とは異なる第3基点の2次元座標を表す第3座標を取得することと、前記第3基点と前記第1基点との間の距離を表す第3距離を計測することと、前記第1基点及び前記第3基点とは異なる第4基点の2次元座標を表す第4座標を取得することと、前記第4基点と前記第1基点との間の距離を表す第4距離を計測することと、中心が前記第3座標であり、且つ半径が前記第3距離である第3の円と、中心が前記第4座標であり、且つ半径が前記第4距離である第4の円とが交わる点であり、前記第1基点に対応する交点の2次元座標を演算することと、を含む、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の座標計測方法。
【0010】
[6]目標点の2次元座標を計測する座標計測装置であって、前記目標点とは異なる第1基点の2次元座標を表す第1座標と、前記第1基点と前記目標点との間の距離を表す第1距離とを示す情報を取得する第1計測情報取得部と、前記目標点及び前記第1基点とは異なる第2基点の2次元座標を表す第2座標と、前記第2基点と前記目標点との間の距離を表す第2距離とを示す情報を取得する第2計測情報取得部と、中心が前記第1座標であり、且つ半径が前記第1距離である第1の円と、中心が前記第2座標であり、且つ半径が前記第2距離である第2の円とが交わる点であり、前記目標点に対応する交点の2次元座標を演算する座標演算部と、を備える座標計測装置。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、計測環境の影響を受け難くするのに有用な座標計測方法、及び座標計測装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、座標計測システムの一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、演算装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、座標計測方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、座標計測の様子を例示する模式図である。
【
図5】
図5は、座標の演算方法を説明するための図である。
【
図6】
図6は、座標計測方法の別の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
[座標計測システム]
最初に、
図1及び
図2を参照しながら、一実施形態に係る座標計測システムについて説明する。
図1に示される座標計測システム1(座標計測装置)は、任意の点の2次元座標を計測する作業を実行するためのシステムである。以下、座標計測システム1により2次元座標が計測される対象の点を「目標点AP」と称する。目標点APは、例えば、作業員によって選択される。座標計測システム1は、作業員と協働しながら、目標点APの2次元座標を計測する。座標計測システム1は、地中に埋設された埋設物の位置を表す2次元座標を計測してもよく、地上に施工された建造物(地上建造物)の位置を表す2次元座標を計測してもよい。
【0015】
例えば、目標点APは、
図1に示されるように、埋設物BOを通る鉛直なライン上に位置する点である。埋設物BOを通る鉛直なラインは、上下方向に沿って延びる仮想的なラインである。一例では、鉛直上方又は鉛直下方から見て、目標点APは、埋設物BOと重なる点である。目標点APは、例えば、地中に埋められた埋設物BOの鉛直上方に位置する。埋設物BOの種類は、特に限定されないが、例えば、パイプである。地面Gよりも下の地中に設置されたパイプは、ガス燃料等の種々の流体を輸送するパイプラインの少なくとも一部を構成してもよい。
図1には、上下方向に対応するZ軸が示されている。目標点APは、地上に建設された橋等の建造物内に埋められた埋設物BOの鉛直下方に位置する点であってもよい。
【0016】
埋設物BOがパイプである場合、上記目標点APは、パイプの端部の中心の鉛直上方に位置する点(平面視にて、パイプの端部の中心に重なる点)であってもよく、パイプの屈曲部(屈曲点)の鉛直上方に位置する点であってもよい。例えば、埋設物BOの位置を示す情報を記録しておくために、座標計測システム1を用いて目標点APの2次元座標の計測が行われる。埋設物BOの位置を示す情報は、埋設物BOの設置後において、埋設物BOの補修、撤去等を行う際に必要となる情報の1つである。埋設物BOを設置する工事が行われる際に、座標計測システム1を用いて目標点APの2次元座標が計測されてもよい。この場合、埋設物BOが実際に設置された後に目標点APの2次元座標が計測されてもよく、埋設物BOが設置される前に目標点AP(埋設物BOが設置される予定の位置)の2次元座標が計測されてもよい。
【0017】
目標点APは、
図1に示される例とは異なり、埋設されない地上建造物を通る鉛直なライン上に位置する点であってもよい。一例では、地上建造物の竣工後に作成される完成書類において、地上建造物の2次元座標を記録する際に、座標計測システム1を用いて2次元座標が計測される。地上建造物の具体例として、工場、住宅、倉庫、ビル、及びタワー等の建築物、並びに、橋梁、トンネル、及び電柱等の建造物(工作物)が挙げられる。目標点APは、地上建造物の中心、地上建造物の端部、地上建造物の角部、又は、地上建造物内に配設される、あるいは付属する機器及び物品(例えば、パイプ等)を通る鉛直なライン上に位置する点であってもよい。地上構造物の配管における端部又は屈曲部の位置等の、竣工後の完成書類に記録することが必要な箇所に対応する目標点APの2次元座標が座標計測システム1により計測可能である。
【0018】
本開示において、2次元座標とは、水平方向(水平面)での位置を指定する数値を意味する。2次元座標は、ある基準点を原点とした座標系で示されてもよく、例えば、国土地理院が定める平面直角座標系で示されてもよい。平面直角座標系が用いられる場合、座標系のX軸が南北方向に対応し、座標系のY軸が東西方向に対応する。2次元座標が計測されることで、計測対象となる点の位置を特定することが可能である。
【0019】
座標計測システム1は、位置計測装置10と、距離計測装置20と、演算装置30と、を備える。位置計測装置10及び演算装置30は、有線又は無線等により互いに通信可能に接続されてもよい。距離計測装置20及び演算装置30は、有線又は無線等により互いに通信可能に接続されてもよい。
【0020】
位置計測装置10は、計測対象である点の座標を計測可能な装置である。位置計測装置10は、作業員により持ち運び可能な装置であってもよい。位置計測装置10は、例えば、自装置が設置された位置を表す座標を計測する。位置計測装置10は、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムを用いて位置情報を取得するGNSS(Global Navigation Satellite System)装置であってもよい。作業員は、位置計測装置10を用いて目標点APの座標をそのまま計測可能な場合には、位置計測装置10によって目標点APの座標を直接計測してもよい。作業員は、位置計測装置10を用いて目標点APの座標をそのまま計測できない場合に、座標計測システム1全体を用いた代替の計測モードによって目標点APの座標を計測してもよい。
【0021】
位置計測装置10がGNSS装置である場合には、目標点APの周囲に在る建物等の影響により、衛星測位システムからの信号の受信感度が低く、目標点APの位置を示す情報を取得できないときがある。このような場合に、代替の計測モードによって目標点APの2次元座標が計測されることで、目標点APの位置を示す情報が得られてもよい。位置計測装置10がGNSS装置である場合に、位置計測装置10は、自身が設置された位置を表す経度及び緯度を含む情報を取得し、当該情報を演算装置30に出力してもよい。
【0022】
距離計測装置20は、2点間の距離を計測可能な装置である。距離計測装置20は、作業員により持ち運び可能な装置であってもよい。距離計測装置20は、例えば、自装置が設置された第1の点と、当該第1の点とは異なる第2の点との間の水平方向における距離を計測する。距離計測装置20は、レーザにより距離を計測するレーザ距離計であってもよい。この場合、距離計測装置20は、上記第1の点から上記第2の点に向けてレーザを照射して得られる反射光に基づいて2点間の水平方向における距離を計測する。距離計測装置20は、計測した距離を示す情報を演算装置30に出力してもよい。
【0023】
演算装置30は、目標点APの2次元座標を計測するための演算を実行するコンピュータである。演算装置30は、作業員により持ち運び可能な装置であってもよい。座標計測システム1は、演算装置30に接続される入力デバイス32と出力デバイス34とを備えてもよい。入力デバイス32は、演算装置30に情報を入力するためのデバイスである。具体的には、入力デバイス32は、作業員によるユーザ入力を示す入力情報を演算装置30に入力する。入力デバイス32は、キーボード、操作パネル、又はマウスを含んでもよい。
【0024】
出力デバイス34は、演算装置30からの情報を作業員に示すためのデバイスである。出力デバイス34は、演算装置30からの情報を表示するモニタを含んでもよい。このモニタは、画面上に情報を表示可能であればよく、例えば、液晶ディスプレイである。入力デバイス32及び出力デバイス34は、一体化されたタッチパネルであってもよい。演算装置30、入力デバイス32、及び出力デバイス34は、一体化されたタブレット端末であってもよい。
【0025】
演算装置30は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、入力情報取得部42と、第1計測情報取得部44と、第2計測情報取得部46と、座標演算部48と、演算結果出力部52と、記憶部54と、を有する。これらの機能モジュールが実行する処理は、演算装置30が実行する処理に相当する。
【0026】
入力情報取得部42は、入力デバイス32を介したユーザ入力を示す情報を取得する機能モジュールである。第1計測情報取得部44は、目標点APとは異なる基点C1(第1基点)の2次元座標を表す座標Cxy1(第1座標)と、基点C1と目標点APとの間の距離を表す距離R1(第1距離)とを示す情報を取得する機能モジュールである。第2計測情報取得部46は、目標点AP及び基点C1とは異なる基点C2(第2基点)の2次元座標を表す座標Cxy2(第2座標)と、基点C2と目標点APとの間の距離を表す距離R2(第2距離)とを示す情報を取得する機能モジュールである。
【0027】
座標演算部48は、中心が座標Cxy1であり、且つ半径が距離R1である円Cr1(第1の円)と、中心が座標Cxy2であり、且つ半径が距離R2である円Cr2(第2の円)とが交わる点であり、目標点APに対応する交点の2次元座標を演算する機能モジュールである。演算結果出力部52は、座標演算部48による演算結果を出力デバイス34に出力する機能モジュールである。記憶部54は、目標点APの2次元座標の計測結果を記憶する機能モジュールである。
【0028】
図2に示されるように、演算装置30は、回路60を有する。回路60は、1つ又は複数のプロセッサ62と、メモリ64と、ストレージ66と、入力出ポート68と、を含む。ストレージ66は、例えば不揮発性の半導体メモリ等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。ストレージ66は、予め設定された演算処理を演算装置30に実行させるためのプログラムを記憶している。例えばストレージ66は、上述した各機能モジュールを構成するためのプログラムを記憶している。
【0029】
メモリ64は、ストレージ66の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ62による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ62は、メモリ64と協働して上記プログラムを実行することで、演算装置30の各機能モジュールを構成する。入力出ポート68は、プロセッサ62からの指令に従って、位置計測装置10、距離計測装置20、入力デバイス32、及び出力デバイス34等との間で電気信号の入出力を行う。なお、回路60は、必ずしもプログラムにより各機能を構成するものに限られない。例えば回路60は、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により少なくとも一部の機能を構成してもよい。
【0030】
[座標計測方法]
続いて、
図3~
図5を参照しながら、座標計測システム1を用いて実行される座標計測方法について説明する。この座標計測方法は、座標計測システム1及び作業員が協働しながら行われる。この座標計測方法では、作業員が目標点AP(計測対象の点)を既に把握している状態で、最初にステップS11が実行される。ステップS11では、例えば、作業員によって代替の計測モードが選択されるまで待機する。一例では、作業員が、位置計測装置10を目標点APに設置して目標点APの2次元座標を計測できないと判断した場合に、作業員によって、代替の計測モードの実行が演算装置30に対して指示される。
【0031】
次に、ステップS12が実行される。ステップS12では、例えば、作業員が、目標点APとは異なる点である基点C1を選定する。基点C1は、作業員によって任意に選定される点(位置)であり、作業員は、目標点APとの間の距離を計測可能であり、且つ、位置計測装置10により座標を計測可能な点を選定する。作業員は、目標点APとの間に障害物が存在しない候補の点を選んだ後に、その候補の点に位置計測装置10を設置して座標の計測が可能かどうかを確認することで、基点C1を選定してもよい。
【0032】
図4には、埋設物BOを通る鉛直なライン上に位置する目標点APの座標を代替の計測モードによって計測する際の様子が例示されている。
図4に示される例では、埋設物BOは、道路92の横の歩道94の下に既に埋められているか、歩道94の下に埋められる予定である。この場合、目標点APは歩道94上に位置する。基点C1は、歩道94の道路92とは反対側の横にある空地96において選定されている。
【0033】
次に、ステップS13が実行される。ステップS13では、例えば、作業員が位置計測装置10を選定した基点C1に配置し、位置計測装置10により、基点C1の位置を示す情報を取得する。位置計測装置10は、例えば、基点C1の緯度及び経度を示す情報を取得して、演算装置30に出力する。そして、演算装置30の第1計測情報取得部44は、基点C1の緯度及び経度を、平面直角座標系における2次元座標に変換(換算)する。これにより、第1計測情報取得部44は、基点C1の位置を表すX座標及びY座標からなる座標Cxy1を示す情報を取得する。
【0034】
基点C1の位置を表す座標Cxy1に関する情報が取得された後に、ステップS13では、例えば、作業員が距離計測装置20を基点C1に配置する。そして、作業員は、距離計測装置20を操作して、距離計測装置20からレーザ(レーザ光)を目標点APに向けて照射する。これにより、距離計測装置20が、基点C1と目標点APとの間の水平方向における距離を表す距離R1を測定する。距離計測装置20が距離R1を示す情報を演算装置30に出力することで、第1計測情報取得部44が距離R1を示す情報を取得する。
【0035】
次に、ステップS14が実行される。ステップS14では、例えば、作業員が、目標点AP及び基点C1とは異なる点である基点C2を選定する。基点C2は、作業員によって任意に選定される点(位置)であり、作業員は、目標点APとの間の距離を計測可能であり、且つ、位置計測装置10により座標を計測可能な点を選定する。作業員は、目標点APとの間に障害物が存在しない候補の点を選んだ後に、その候補の点に位置計測装置10を設置して座標の計測を行うことが可能かどうかを確認することで、基点C2を選定してもよい。
図4に示される例では、歩道94において基点C2が選定されている。
【0036】
次に、ステップS15が実行される。ステップS15では、例えば、作業員が位置計測装置10を選定した基点C2に配置し、位置計測装置10により、基点C2の位置を示す情報を取得する。位置計測装置10は、例えば、基点C2の緯度及び経度を示す情報を取得して、演算装置30に出力する。そして、演算装置30の第2計測情報取得部46は、基点C2の緯度及び経度を、平面直角座標系における2次元座標に変換(換算)する。これにより、第2計測情報取得部46は、基点C2の位置を表すX座標及びY座標からなる座標Cxy2を示す情報を取得する。
【0037】
基点C2の位置を表す座標Cxy2に関する情報が取得された後に、ステップS15では、例えば、作業員が距離計測装置20を基点C2に配置する。そして、作業員は、距離計測装置20を操作して、距離計測装置20からレーザ(レーザ光)を目標点APに向けて照射する。これにより、距離計測装置20が、基点C2と目標点APとの間の水平方向における距離を表す距離R2を測定する。距離計測装置20が距離R2を示す情報を演算装置30に出力することで、第2計測情報取得部46が距離R2を示す情報を取得する。
【0038】
次に、ステップS16が実行される。ステップS16では、例えば、演算装置30が、ステップS13,S15で取得された情報に基づいて、目標点APの2次元座標を演算する処理を行う。一例では、演算装置30の座標演算部48が、座標Cxy1及び距離R1で規定される円Cr1と、座標Cxy2及び距離R2で規定される円Cr2との2つの交点の座標を演算する。
図5では、平面直角座標系において円Cr1及び円Cr2が描画されている。
図5の紙面における横方向がX軸に対応して、
図5の紙面における縦方向がY軸に対応する。なお、
図5では、説明のために円Cr1,Cr2が描画されているが、座標演算部48は、2つの円同士の交点の座標を演算すればよく、円を描く処理を行う必要はない。円Cr1の中心は座標Cxy1であり、円Cr1の半径は距離R1である。円Cr2の中心は座標Cxy2であり、円Cr2の半径は距離R2である。
【0039】
円Cr1及び円Cr2は2箇所で交わる。ここで、2つの交点のうちの、基点C1から基点C2を見て右側に位置する一方の交点を「交点I1」と表記し、左側に位置する他方の交点を「交点I2」と表記する。交点I1及び交点I2のいずれか一方は、目標点APに対応する。座標演算部48は、種々の手法によって、交点I1及び交点I2それぞれの座標を演算してもよい。例えば、座標Cxy1、座標Cxy2、交点I1の座標、及び交点I2の座標を、(x1,y1)、(x2,y2)、(xI1,yI1)、及び(xI2,yI2)でそれぞれ表したときに、座標演算部48は、次の式(1)~式(4)を用いて演算を行う。
xI1=x1+R1・cos(θ1-θ2) ・・・(1)
yI1=y1+R1・sin(θ1-θ2) ・・・(2)
xI2=x1+R1・cos(θ1+θ2) ・・・(3)
yI2=y1+R1・sin(θ1+θ2) ・・・(4)
【0040】
上記式(1)~式(4)において、「θ1」は、X軸に沿うラインと、基点C1及び基点C2を結ぶライン(線分)とのなす角度であり、「θ2」は、基点C1及び基点C2を結ぶライン(線分)と、基点C1及び交点I2を結ぶライン(線分)とのなす角度である。なお、座標演算部48は、交点I1及び交点I2の座標を求めることが可能であれば、どのような方法で座標を演算してもよい。ステップS16において、演算装置30の演算結果出力部52が、交点I1及び交点I2の座標の演算結果を出力デバイス34のモニタに表示させてもよい。演算結果出力部52は、座標の演算結果に加えて、基点C1、基点C2、交点I1、及び交点I2の互いの位置関係を示す情報を出力デバイス34のモニタに表示させてもよい。
【0041】
次に、ステップS17が実行される。ステップS17では、作業員が、交点I1及び交点I2のうちの、目標点APに対応する交点を選択する。作業員は、基点C1から基点C2を見て、目標点APが、基点C1及び基点C2を結ぶラインよりも左側にあるか、上記ラインよりも右側にあるかを把握している。そのため、作業員は、目標点APに対応する交点を選択することが可能であり、例えば、作業員によって、どちらの交点が目標点APに対応するかを示す情報が、入力デバイス32を介して演算装置30に入力される。そして、座標演算部48は、作業員からのユーザ入力によって選択された一方の交点を目標点APに対応する交点に決定する。これにより、目標点APの2次元座標が決定される。なお、
図4及び
図5では、交点I2が目標点APに対応する場合が例示されている。
【0042】
次に、ステップS18が実行される。ステップS18では、例えば、演算装置30の記憶部54が、ステップS17において決定された目標点APの2次元座標を記憶する。一例では、目標点APが埋設物BOの設置個所に対応する場合において、記憶部54は、埋設物BOの個体を識別することが可能な情報に対応付けて、目標点APの2次元座標を記憶してもよい。また、記憶部54は、埋設物BOの深さ位置(地面Gからの位置)を示す情報に対応付けて、目標点APの2次元座標を記憶してもよい。以上により、1つの目標点APを計測する際に実行される一連の工程が終了する。
【0043】
[評価結果]
上述した代替の計測モードでの計測方法を検証するために、2次元座標が既知である基準点を目標点APとして計測した結果と、既知の座標とを比較して評価した。位置計測装置10として、GNSS装置(三菱電機株式会社製、商品名:AQLOC-Light)を用い、距離計測装置20として、レーザ距離計(Leica社製、商品名:DISTOTMS910)を用いた。平面直角座標系における座標が(-41425.591m,-3099.989m)である基準点を評価に使用した。各種の計測結果は、下記に示すとおりであった。交点I2が目標点APに対応するように、基点C1及び基点C2が選定された。
座標Cxy1:(-41428.193m,-3090.231m)
距離R1:10.174m
座標Cxy2:(-41405.981m,-3106.414m)
距離R2:20.628m
交点I1の座標:(-41418.034m,-3089.674m)
交点I2の座標:(-41425.610m,-3100.072m)
【0044】
評価に用いた基準点の座標と、目標点APに対応する交点I2の座標の計測結果(演算結果)との間の誤差は、84mmであった。埋設物BOがパイプである場合、その直径は、例えば100mm以上である。そして、埋設されたパイプを露出させるために地面Gを掘る際には、埋設物BOの水平面における位置として特定された座標を中心として、1m程度の範囲が掘られる。また、2次元座標が既知の基準点について、GNSS装置を用いて2次元座標を直接取得した結果の誤差を評価したところ、当該誤差が10mm~35mm程度であった。以上のことから、本実施形態に係る計測方法での誤差は、実用上問題ないレベルのものであると考えられる。
【0045】
[変形例]
図3に示される座標計測方法は一例であり、適宜変更可能である。
図3に示される一連の工程において、各ステップの順序が入れ替えられてもよく、あるステップと別のステップとが並行して実行されてもよい。
図3に示される一連の工程において、異なる処理を実行する別のステップが追加されてもよい。一例では、目標点APに対応する交点が作業員によって指定された後に、目標点APに対応する交点のみの座標が座標演算部48によって演算されてもよい。
【0046】
上述の例では、目標点APの座標が位置計測装置10によって直接計測できない場合に上記座標計測方法が実行されるが、目標点APの座標を直接計測できるかどうかに関係なく、上記座標計測方法によって目標点APの2次元座標が計測されてもよい。上述の例では、座標Cxy1、距離R1、座標Cxy2、及び距離R2の計測結果が、対応する装置から演算装置30に入力される。これに代えて、作業員が、位置計測装置10及び距離計測装置20を用いた計測を行って、入力デバイス32を介して、これらの計測結果を演算装置30に入力してもよい。
【0047】
上述の例では、位置計測装置10(例えば、GNSS装置)を用いて、基点C1,C2の座標が計測される。これに代えて、基点C1,C2を座標が既知である基準点に設定して、作業員がその基準点の座標を示す情報を取得することで、座標Cxy1及び座標Cxy2を示す情報の取得が行われてもよい。上述の例では、距離計測装置20としてレーザ距離計を用いて、距離R1,R2が計測される。これに代えて、ホイール型の距離計であるロードメジャーを用いて、距離R1,R2が計測されてもよい。
【0048】
本開示において用いられる「第1」及び「第2」等の用語は、必ずしも、「第1」が付されたものから順に選定又は計測等が行われることを意味しない。例えば、基点C2が第1基点に対応する場合には、基点C1が第2基点に対応する。この場合、座標Cxy2及び距離R2が第1座標及び第1距離にそれぞれ対応し、座標Cxy1及び距離R1が第2座標及び第2距離にそれぞれ対応する。
【0049】
基点C1の座標Cxy1及び基点C2の座標Cxy2の少なくとも一方が、基点C1及び基点C2とは別の2つの基点を用いた演算により計測されてもよい。基点C1の座標Cxy1が、基点C1の周囲における2つの別の基点を用いた演算により計測されてもよい。基点C2の座標Cxy2が、基点C2の周囲における2つの別の基点を用いた演算により計測されてもよい。座標Cxy1及び座標Cxy2の一方の座標のみが、上記2つの別の基点を用いた演算により計測された場合、他方の座標は、位置計測装置10(例えば、GNSS装置)を用いて直接計測されてもよい。
【0050】
図6には、基点C2の座標Cxy2が位置計測装置10によって計測できない場合(例えば、衛星測位システムからの信号を受信できない場合)の計測の様子が模式的に示されている。
図6では、位置計測装置10により2次元座標を計測できない範囲が「UR」で示されている。なお、基点C2と目標点APとの間の距離R2は計測可能である。この場合、基点C1及び基点C2とは別の基点C3,C4それぞれの座標Cxy3,Cxy4と、基点C3,C4それぞれと基点C2との間の距離R3,R4とが計測されたうえで、
図3に示されるステップS12~S18と同様の方法により、基点C2の座標Cxy2が計測(演算)されてもよい。
【0051】
具体的には、ステップS15において座標Cxy2が計測される際に、次のことが実行される。ステップS12と同様に、基点C2とは異なる基点C3(第3基点)が選定された後に、ステップS13と同様に、基点C3の2次元座標を表す座標Cxy3(第3座標)が取得され、基点C3と基点C2との間の距離を表す距離R3(第3距離)が計測される。基点C3は、基点C2に加えて、目標点AP及び基点C1とも異なる位置である。また、ステップS14と同様に、基点C2及び基点C3とは異なる基点C4(第4基点)が選定され、基点C4の2次元座標を表す座標Cxy4(第4座標)が取得され、基点C4と基点C2との間の距離を表す距離R4(第4距離)が計測される。基点C4は、基点C2及び基点C3に加えて、目標点AP及び基点C1とも異なる位置である。
【0052】
さらに、中心が座標Cxy3であり、且つ半径が距離R3である第3の円と、中心が座標Cxy4であり、且つ半径が距離R4である第4の円とが交わる点であり、基点C2に対応する交点の2次元座標(座標Cxy2)が演算される。
図6では、第3の円と第4の円との2つの交点が「I3」及び「I4」で示されており、
図6に示される例では、点I3が、基点C2に対応する。距離R3及び距離R4のそれぞれは、距離R1及び距離R2の計測と同様に、距離計測装置20としてのレーザ距離計を用いて計測されてもよく、ホイール型の距離計(ロードメジャー)を用いて計測されてもよい。
【0053】
基点C1,C2の選定前に、位置計測装置10により2次元座標が計測可能な基点C3,C4が選定され、基点C3,C4それぞれと目標点APとの間の距離が障害物(
図6では「OB」で示されている。)の存在等により計測できない場合が想定される。この場合に、範囲UR内において目標点APとの間の距離を計測可能な基点C2が選定されて、基点C3,C4それぞれの座標Cxy3,Cxy4と、基点C3,C4それぞれと基点C2との間の距離R3,R4とが計測されたうえで、ステップS12~S18と同様の方法により、基点C2の座標Cxy2が計測(演算)されてもよい。
【0054】
演算装置30は、互いに通信可能に接続された2以上のコンピュータによって構成されてもよい。演算装置30のうちの座標演算部48の機能を有するコンピュータが、計測が行わる場所とは遠隔の場所に配置されていてもよい。以上に説明した種々の例のうちの1つの例において、他の例において説明した事項の少なくとも一部が組み合わされてもよい。
【0055】
[本開示のまとめ]
以上に説明した座標計測方法は、目標点APの2次元座標を計測する方法である。この座標計測方法は、目標点APとは異なる基点C1の2次元座標を表す座標Cxy1を取得する工程と、基点C1と目標点APとの間の距離を表す距離R2を計測する工程と、目標点AP及び基点C1とは異なる基点C2の2次元座標を表す座標Cxy2を取得する工程と、基点C2と目標点APとの間の距離を表す距離R2を計測する工程と、中心が座標Cxy1であり、且つ半径が距離R1である円Cr1と、中心が座標Cxy2であり、且つ半径が距離R2である円Cr2とが交わる点であり、目標点APに対応する交点の2次元座標を演算する工程と、を含む。
【0056】
埋設物BO等の設置個所に対応する目標点APの2次元座標を計測する際に、計測環境によっては目標点APの位置を示す情報を取得することが困難な場合がある。例えば、衛星測位システムを利用した装置を用いて位置情報を取得する場合、目標点APの周囲の状況によっては衛星からの信号を捕捉できない場合がある。これに対して、上記座標計測方法では、目標点APの位置を示す情報を取得することなく、目標点APとは異なる基点C1,C2での座標及び距離の情報から、簡便に目標点APの2次元座標を求めることができる。そのため、計測環境の影響が小さい地点を利用して、目標点APの2次元座標を計測することができる。従って、上記座標計測方法は、計測環境の影響を受け難くするのに有用である。
【0057】
以上に説明した座標計測方法において、距離R1を計測する工程では、レーザにより距離を計測するレーザ距離計を用いて距離R1が計測されてもよく、距離R2を計測する工程では、上記レーザ距離計を用いて距離R2が計測されてもよい。この場合、基点C1及び基点C2それぞれと目標点APとの間の距離を精度良く計測することができる。上記方法では、これらの距離の計測結果が用いられて、目標点APの座標が計測されている。従って、目標点APの座標を間接的に計測しつつも、計測精度を向上させるのに有用である。
【0058】
以上に説明した座標計測方法において、座標Cxy1を取得する工程では、GNSS装置を用いて座標Cxy1が計測されてもよく、座標Cxy2を取得する工程では、上記GNSS装置を用いて座標Cxy2が計測されてもよい。この場合、基点C1及び基点C2の座標を精度良く計測することができる。上記方法では、基点C1,C2の座標が用いられて、目標点APの座標が計測されている。従って、目標点APの座標を間接的に計測しつつも、計測精度を向上させるのに有用である。
【0059】
以上に説明した座標計測方法において、目標点APに対応する交点の2次元座標を演算する工程は、ユーザ入力に基づいて、円Cr1と円Cr2との2つの交点(交点I1,I2)のうちのいずれか一方を目標点APに対応する交点に決定することを含んでもよい。上記計測方法では、例えば、作業員によって基点C1,C2が選定される。そのため、作業員は、2つの交点のうちの、目標点APに対応する点を把握するのが容易である。従って、作業員によるユーザ入力に基づき、目標点APに対応する点が決定されることで、目標点APの座標を演算するための装置の負荷を低減することが可能である。
【0060】
以上に説明した座標計測方法において、座標Cxy1(座標Cxy2)を取得する工程は、基点C1(基点C2)とは異なる基点C3の2次元座標を表す座標Cxy3を取得することと、基点C3と基点C1(基点C2)との間の距離を表す距離R3を計測することと、基点C1(基点C2)及び基点C3とは異なる基点C4の2次元座標を表す座標Cxy4を取得することと、基点C4と基点C1(基点C2)との間の距離を表す距離R4を計測することと、中心が座標Cxy3であり、且つ半径が距離R3である第3の円と、中心が座標Cxy4であり、且つ半径が距離R4である第4の円とが交わる点であり、基点C1(基点C2)に対応する交点の2次元座標を演算することと、を含んでもよい。この方法では、目標点APの周囲の比較的広い範囲において2次元座標が計測できない場合があっても、目標点APの2次元座標を求めるための基点の2次元座標を簡便に得ることができる。また、目標点APとの間に障害物があり、2次元座標は取得できるが目標点APまでの距離を距離計測装置20で計測できない基点(基点C3,C4)と、目標点APまでの距離は距離計測装置20で計測できるが2次元座標は位置計測装置10で計測できない基点(基点C1,C2)と、だけからであっても、この方法では、2次元座標を取得できる基点(基点C3,C4)を介して、目標点APの2次元座標を求めるための基点(基点C1,C2)の2次元座標を得ることができる。
【0061】
以上に説明した座標計測システム1は、目標点APの2次元座標を計測する装置である。座標計測システム1は、目標点APとは異なる基点C1の2次元座標を表す座標Cxy1と、基点C1と目標点APとの間の距離を表す距離R1とを示す情報を取得する第1計測情報取得部44と、目標点AP及び基点C1とは異なる基点C2の2次元座標を表す座標Cxy2と、基点C2と目標点APとの間の距離を表す距離R2とを示す情報を取得する第2計測情報取得部46と、中心が座標Cxy1であり、且つ半径が距離R1である円Cr1と、中心が座標Cxy2であり、且つ半径が距離R2である円Cr2とが交わる点であり、目標点APに対応する交点の2次元座標を演算する座標演算部48と、を備える。この座標計測システム1は、上記座標計測方法と同様に、計測環境の影響を受け難くするのに有用である。
【符号の説明】
【0062】
1…座標計測システム、10…位置計測装置、20…距離計測装置、30…演算装置、44…第1計測情報取得部、46…第2計測情報取得部、48…座標演算部、AP…目標点、C1,C2…基点、R1,R2…距離、Cr1,Cr2…円、I1,I2…交点。
【要約】
【課題】計測環境の影響を受け難くする。
【解決手段】座標計測方法は、目標点の2次元座標を計測する方法である。この座標計測方法は、目標点とは異なる第1基点の2次元座標を表す第1座標を取得する工程と、第1基点と目標点との間の距離を表す第1距離を計測する工程と、目標点及び第1基点とは異なる第2基点の2次元座標を表す第2座標を取得する工程と、第2基点と目標点との間の距離を表す第2距離を計測する工程と、中心が第1座標であり、且つ半径が第1距離である第1の円と、中心が第2座標であり、且つ半径が第2距離である第2の円とが交わる点であり、目標点に対応する交点の2次元座標を演算する工程と、を含む。
【選択図】
図4