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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】検体採取用スワブ
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/04 20060101AFI20240405BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20240405BHJP
   G01N 1/12 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
G01N1/04 V
G01N1/04 G
G01N1/10 V
G01N1/12 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023505216
(86)(22)【出願日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 JP2022004209
(87)【国際公開番号】W WO2022190726
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2021039172
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100185591
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 岳
(74)【代理人】
【識別番号】100186761
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】池上 智
(72)【発明者】
【氏名】稲野 浩一
【審査官】岩永 寛道
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-263108(JP,A)
【文献】特開2013-224951(JP,A)
【文献】特開2009-058260(JP,A)
【文献】米国特許第04707450(US,A)
【文献】特許第5453529(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/04
G01N 1/10
A61B 10/00
A47K 7/00
A46B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッドと、
前記ロッドの端部に設けられる検体採取部と、を備え、
前記検体採取部は、外圧によって変形可能な緩衝部であって、少なくともその表面を構成する立毛体を含む前記緩衝部を有し、
前記立毛体は、基材部分と、前記基材部分の表面にてブラシ状に設けられる毛状体と、を有し、
前記緩衝部は、前記ロッドの前記端部に固定、もしくは、前記ロッドと一体成形される中空状の成形部分を有する、検体採取用スワブ。
【請求項2】
ロッドと、
前記ロッドの端部に設けられる検体採取部と、を備え、
前記検体採取部は、外圧によって変形可能な緩衝部であって、少なくともその表面を構成する立毛体を含む前記緩衝部を有し、
前記立毛体は、基材部分と、前記基材部分の表面にてブラシ状に設けられる毛状体と、を有し、
前記緩衝部は、前記立毛体の前記基材部分に覆われる多孔質体を有し、
前記基材部分は、防水性を有する、検体採取用スワブ。
【請求項3】
前記緩衝部は、前記立毛体の巻回体を有する、請求項1又は2に記載の検体採取用スワブ。
【請求項4】
ロッドと、
前記ロッドの端部に設けられる検体採取部と、を備え、
前記検体採取部は、外圧によって変形可能な緩衝部であって、少なくともその表面を構成する立毛体を含む前記緩衝部を有し、
前記立毛体は、基材部分と、前記基材部分の表面にてブラシ状に設けられる毛状体と、を有し、
前記緩衝部は、前記立毛体の巻回体を有する、検体採取用スワブ。
【請求項5】
前記毛状体は、前記基材部分から突出する基端部分と、前記基端部分の先端に設けられ、前記基端部分の外径よりも大きい最大外径を有する膨張部分とを有し、
前記膨張部分は、中空形状を有する、請求項1,2,4のいずれか一項に記載の検体採取用スワブ。
【請求項6】
ロッドと、
前記ロッドの端部に設けられる検体採取部と、を備え、
前記検体採取部は、外圧によって変形可能な緩衝部であって、少なくともその表面を構成する立毛体を含む前記緩衝部を有し、
前記立毛体は、基材部分と、前記基材部分の表面にてブラシ状に設けられる毛状体と、を有し、
前記毛状体は、前記基材部分から突出する基端部分と、前記基端部分の先端に設けられ、前記基端部分の外径よりも大きい最大外径を有する膨張部分とを有し、
前記膨張部分は、中空形状を有する、検体採取用スワブ。
【請求項7】
前記毛状体は、前記基材部分から突出する基端部分、前記緩衝部に向かうように延びる先端部分、及び、前記基端部分と前記先端部分とをつなぐ湾曲部分を有する、請求項1,2,4,6のいずれか一項に記載の検体採取用スワブ。
【請求項8】
ロッドと、
前記ロッドの端部に設けられる検体採取部と、を備え、
前記検体採取部は、外圧によって変形可能な緩衝部であって、少なくともその表面を構成する立毛体を含む前記緩衝部を有し、
前記立毛体は、基材部分と、前記基材部分の表面にてブラシ状に設けられる毛状体と、を有し、
前記毛状体は、前記基材部分から突出する基端部分、前記緩衝部に向かうように延びる先端部分、及び、前記基端部分と前記先端部分とをつなぐ湾曲部分を有する、検体採取用スワブ。
【請求項9】
少なくとも前記ロッドの前記端部は、可撓性を有する、請求項1,2,4,6,8のいずれか一項に記載の検体採取用スワブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検体採取用スワブに関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的検査、特に簡易測定検査では、検査に必要な毛髪、組織、体液等を効率よく採取することが重要である。従来から、検体採取にスワブ(綿棒)が用いられていた。下記特許文献1には、生物学的検体を吸収する親水性の繊維で覆われたチップを端部に有するロッドより成るタイプの、生物学的検体の採取用スワブが記載されている。この採取用スワブでは、前記繊維が、フロッキングにより被着した層の形状で、前記チップを覆うことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2007-523663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1等に示される採取用スワブを用いた検体採取は、例えば、検体を採取する患者の口、鼻等の粘膜にスワブを接触させることによって実施される。このとき、最低必要量以上の検体を採取するため、スワブは、患者の上記粘膜に押し付けられる。この場合、患者は、スワブを押し付けられることによる不快感、痛み等を感じてしまう問題がある。このため、本開示の一側面の目的は、患者の不快感、痛みなどを低減しつつ検体を十分に採取可能な検体採取用スワブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る検体採取用スワブは、以下の通りである。
[1]ロッドと、ロッドの端部に設けられる検体採取部と、を備え、検体採取部は、外圧によって変形可能な緩衝部であって、少なくともその表面を構成する立毛体を含む緩衝部、を有し、立毛体は、基材部分と、基材部分の表面にてブラシ状に設けられる毛状体と、を有する、検体採取用スワブ。
[2]緩衝部は、ロッドの端部に固定、もしくは、ロッドと一体成形される中空状の成形部分を有する、[1]に記載の検体採取用スワブ。
[3]緩衝部は、立毛体の基材部分に覆われる多孔質体を有し、基材部分は、防水性を有する、[1]に記載の検体採取用スワブ。
[4]緩衝部は、立毛体の巻回体を有する、[1]~[3]のいずれかに記載の検体採取用スワブ。
[5]毛状体は、基材部分から突出する基端部分と、基端部分の先端に設けられ、当該基端部分の外径よりも大きい最大外径を有する膨張部分とを有し、膨張部分は、中空形状を有する、[1]~[4]のいずれかに記載の検体採取用スワブ。
[6]毛状体は、基材部分から突出する基端部分、緩衝部に向かうように延びる先端部分、及び、基端部分と先端部分とをつなぐ湾曲部分を有する、[1]~[5]のいずれかに記載の検体採取用スワブ。
[7]少なくともロッドの端部は、可撓性を有する、[1]~[6]のいずれかに記載の検体採取用スワブ。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一側面によれば、患者の不快感、痛みなどを低減しつつ検体を十分に採取可能な検体採取用スワブを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1の(a)は、第1実施形態に係るスワブを示す概略図であり、図1の(b)は、図1の(a)の概略断面図である。
図2図2の(a)は、スワブに設けられる前の立毛体の一例を示す模式図であり、図2の(b)は、立毛体の概略要部断面図である。
図3図3の(a)は、第1実施形態の第1変形例に係るスワブを示す概略断面図であり、図3の(b)は、第1実施形態の第2変形例に係るスワブを示す概略断面図である。
図4図4の(a)は、第2実施形態に係るスワブを示す概略図であり、図4の(b)は、図4の(a)の概略断面図である。
図5図5は、第3実施形態に係るスワブを示す概略図である。
図6図6は、立毛体の別例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本開示の一側面に係る実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。なお、本明細書における「同一」及びそれに類似する単語は、「完全同一」のみに限定されない。
【0009】
以下にて説明する各実施形態に係るスワブは、例えば検体採取に用いられる部材(検体採取用スワブ)である。検体は、例えば人体、動物等の生物から得られる液体状の生物学的検体である。生物学的検体は、例えば、咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液、咽頭洗浄液、鼻腔洗浄液、鼻腔吸引液、唾液、血清、便、便懸濁液、尿、培養液等である。生物学的検体には、固体が含まれてもよい。
【0010】
(第1実施形態)
まず、図1の(a),(b)を参照しながら、第1実施形態に係るスワブの構成を説明する。図1の(a)は、第1実施形態に係るスワブを示す概略図である。図1の(b)は、図1の(a)の概略断面図である。図1の(a),(b)に示されるように、スワブ1は、ロッド2と、検体採取部3とを有する。以下では、ロッド2が延在する方向を軸方向Xと定義して説明する。
【0011】
ロッド2は、検体採取の実施者のための把持部となる棒状部材であり、軸方向Xにおける一対の端部2a,2bを有する。端部2aは、把持部として用いられる部分である。端部2aの表面には、例えば滑り止め加工がなされてもよい。滑り止め加工は、例えば、エンボス加工、滑り止め部材による被覆加工などである。端部2bは、検体採取部3が設けられる部分である。第1実施形態では、端部2bの一部は、検体採取部3の内部に位置している。ロッド2における少なくとも端部2bは、可撓性を有してもよい。この場合、検体採取時に検体採取部3に力が加えられたとき、ロッド2と検体採取部3との境界等に集中する力を緩和できる。このため、当該境界等にてスワブ1が破損すること、ロッド2が折れてしまうことなどを抑制できる。なお、「ロッド2が折れる」ことは、ロッド2が不可逆的に変形した状態に相当する。ロッド2が折れることによって、ロッド2の折れた箇所が、検体採取部位もしくはその近傍に接触して損傷を与えてしまうおそれがある。また、検体採取部位が生物の部位である場合、当該生物が痛み等を感じることもある。さらには、検体採取部3が検体採取部位に到達できなくなるおそれもある。
【0012】
ロッド2は、例えば円柱形状もしくは多角柱形状であるが、これに限られない。例えば、端部2aの太さ(直径または外径)は、端部2bの太さよりも大きくてもよい。この場合、ロッド2の軸方向に沿って端部2bに近づくほど、ロッド2が細くなってもよい。ロッド2の直径は、例えば0.5mm以上3mm以下である。軸方向Xに沿ったロッド2の長さは、例えば30mm以上200mm以下である。ロッド2は、例えば、竹、木材、硬質紙、金属、樹脂等の材料によって形成される。ロッド2は、複数の材料によって形成されてもよい。例えば、端部2aを含むロッド2の一部は硬質紙等によって形成され、端部2bを含むロッド2の他の一部は樹脂等によって形成されてもよい。これにより、ロッド2の一部を剛体とし、ロッド2の他の一部を可撓性を有する部分とすることができる。樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリフェニレンスルフィド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ビニル、ナイロン、ポリプロピレン、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)等である。スワブ1の製造時に熱処理を実施する場合、樹脂は、耐熱性を有するポリカーボネート、PET、ABS等でもよい。樹脂には、ガラス繊維等の添加物が含まれてもよい。
【0013】
検体採取部3は、生物の粘膜等に接触することによって検体を採取する部分であり、ロッド2の端部2bに固定される。検体採取部3は、例えば、球形状、楕円球形状、卵形状等を有する。第1実施形態では、検体採取部3は、略楕円球形状を有する。このため、検体採取部3の表面の少なくとも一部は、なめらかな曲面を有する。検体採取部3は、緩衝部11と、立毛体12とを有する。
【0014】
緩衝部11は、ロッド2の端部2bに固定される成形部材であり、外圧によって変形可能である。外圧は、例えば、検体採取部3が検体採取部位に押し当てられるときに加えられる力である。例えば、外圧により緩衝部11が検体採取部位の形状に沿って変形することによって、当該検体採取部位に加わる力を緩和できる。緩衝部11は、例えば0.01N/mm以上の力が加えられることによって変形可能である。緩衝部11の変形は、弾性変形でもよいし、塑性変形でもよい。前者である場合、緩衝部11は弾性を有する。なお、緩衝部11の硬度は、ロッド2の硬度よりも低くてもよいし、ロッド2の硬度よりも高くてもよい。緩衝部11の少なくとも一部は、変形によって破損してもよい。緩衝部11は、本体部11aと、開口部11bとを有する。
【0015】
本体部11aは、例えば、球形状、楕円球形状、卵形状等を有する中空状の成形部分であり、ロッド2の端部2bに固定される。軸方向Xに直交する方向に沿った本体部11aの最大直径は、ロッド2の太さよりも大きく、例えば3.5mm以上10mm以下である。軸方向Xに沿った本体部11aの長さは、例えば3.5mm以上10mm以下である。本体部11aの厚さは、例えば0.05mm以上1.5mm以下である。外圧による変形容易性の観点から、本体部11aの厚さは、ロッド2の太さよりも小さく、0.1mm以上0.5mm以下でもよい。本体部11aの表面には、凹凸が設けられてもよいし、開口が設けられてもよい。本体部11aは、金属線等によって形成される網かご状の中空格子等でもよい。第1実施形態では、本体部11aは、射出成形、バルーン成形等によって形成される樹脂成形体である。本体部11aに含まれる樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂等である。検体採取の影響を抑制する観点から、本体部11aは、撥水性もしくは防水性を有してもよい。
【0016】
開口部11bは、ロッド2の端部2bが挿入される部分であり、本体部11aのうち軸方向Xにおいて最も端部2aに近い位置(基端)に設けられる。端部2bが開口部11bを介して緩衝部11の内部に位置するとき、端部2bは、軸方向Xにおいて緩衝部11の中心Cよりも端部2a側に位置する。これにより、スワブ1の先端(すなわち、緩衝部11の先端)もしくはその近傍が、緩衝部11の内部に向かって変形したとき、緩衝部11が端部2bに接触しにくい。第1実施形態では、端部2bと検体採取部3とは、例えば接着剤ADを介して接着される。接着剤ADは、端部2bと開口部11bとの隙間を埋める充填剤としても機能する。これにより、検体が緩衝部11の内部に侵入することを防止できる。接着剤ADは、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及びエラストマー樹脂の少なくとも一種を含む。衛生面等の観点から、接着剤ADは、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等を含んでもよい。アルコール等の極性有機化合物に対する耐性の観点から、接着剤ADの主成分は、シリコーン樹脂でもよい。接着剤ADには、添加剤が適宜含まれてもよい。
【0017】
図2の(a)は、スワブに設けられる前の立毛体の一例を示す模式図であり、図2の(b)は、立毛体の概略要部断面図である。立毛体12は、検体採取部3において検体採取部位に当接する部分であり、検体を採取及び一時的に保持する。図2の(a),(b)に示されるように、スワブ1に設けられる前の立毛体12は、シート形状を有する。図1の(b)に示されるように、立毛体12は、緩衝部11の本体部11aを覆うことによって、緩衝部11の表面を構成する。検体採取効率等の観点から、立毛体12は、緩衝部11の表面の全体を覆ってもよい。また、立毛体12は、ロッド2の一部を覆ってもよい。立毛体12は、例えば図示しない接着剤を介して緩衝部11に固定される。立毛体12の接触冷温感は、接触時における熱移動速度q-maxにより示すことができる。q-maxの値が大きい程冷たく、q-maxの値が小さい程暖かいことを示す。例えば、q-maxは、0.005W/cm以上0.500W/cm以下でもよく、0.200W/cm以上0.450W/cm以下でもよい。この場合、例えば患者の粘膜等に立毛体12を接触させたとき、立毛体12の温度に起因する当該患者の不快感を低減できる。立毛体12は、基材部分21と、毛状体22とを有する。
【0018】
基材部分21は、緩衝部11に固定されると共に毛状体22を支持する部分であり、第1面21a及び第2面21bを有する。第1面21aは、緩衝部11に対する対向面(図1の(b)を参照)であり、第2面21bは露出面である。基材部分21は、シート形状、帯形状、紐形状、もしくは糸形状を有する。破損防止、毛状体22の製造容易性、製造コスト等の観点から、基材部分21の厚さは、50μm以上1000μm以下でもよいし、100μm以上900μm以下でもよいし、150μm以上800μm以下でもよい。
【0019】
基材部分21の材料は、毛状体22が設けられ、且つ、緩衝部11に巻き付け等により固定できるものであれば、特に限定されない。基材部分21の材料として、例えば、布、繊維、糸、不織布、天然樹脂、合成樹脂、紙、動物の皮、毛皮等が挙げられる。衛生面などの観点から、基材部分21の材料は、例えば、布、繊維、もしくは合成樹脂でもよい。合成樹脂としては、熱可塑性樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、熱可塑性エラストマー、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びナイロン系樹脂の少なくとも一つが用いられる。検体の緩衝部11への影響等を抑制する観点から、基材部分21は、防水性、抗菌性、耐薬品性、帯電防止性等を有してもよい。もしくは、基材部分21の表面には、防水加工、抗菌加工、帯電防止加工等が施されてもよい。
【0020】
毛状体22は、検体を保持する部分であり、基材部分21の第2面21bにてブラシ状に設けられる。複数の毛状体22は、第2面21b上において規則的もしくは不規則的に配置される。検体採取部3が検体採取部位に押し当てられるとき、毛状体22同士の間に検体が付着する。これにより、スワブ1による検体採取が実施される。複数の毛状体22が規則的に配置される場合、複数の毛状体22は、基材部分21の厚さ方向から見て、一方向又は複数の方向に沿って整然と配置される。これにより、毛状体22の触感性が向上し得る。毛状体22の触感性は、検体採取部位を有する患者等に与える感触である。毛状体22の触感性が向上するほど、スワブ1を押し当てられた患者等は、しっとり感、やわらか感、ふんわり感などの好意的な感触を得る傾向がある。このため、毛状体22の触感性が向上するほど、スワブ1を押し当てられた患者等は、不快感及び痛みを感じにくくなる。
【0021】
毛状体22は、基材部分21の厚さ方向に沿って略直立する先細り形状を有する。よって、毛状体22の長さは、毛状体22の高さに相当し得る。なお、略直立とは、短繊維が基材部分21の第2面21bに対して垂直状態で存在することまでは要求されないが、ほぼ直立した状態で存在することを意味する。立毛体12による検体保持機能を良好に発揮する観点から、立毛体12が緩衝部11に固定された場合においても、毛状体22は、基材部分21の第2面21bに対して直立する。
【0022】
毛状体22の平均高さH1は、例えば200μm以上700μm以下である。検体採取量、毛状体22の触感性向上等の観点から、平均高さH1は、300μm以上でもよい。スワブ1を押し当てられた患者の不快感低減等の観点から、平均高さH1は、600μm以下でもよい。平均高さH1は、例えば、立毛体12の任意の3箇所より断面切片(試料)を切り出し、それぞれの試料について毛状体10個の高さを測定することで得られる、合計30の測定結果の算術平均値とする。毛状体22の平均径(平均外径)は、例えば10μm以上200μm以下である。毛状体22の触感性向上等の観点から、平均径は、20μm以上でもよい。スワブ1を押し当てられた患者の不快感低減等の観点から、平均径は、150μm以下でもよい。平均径は、例えば、立毛体12の数箇所から毛状体22の中間高さの径を測定した結果の算術平均値を用いた値とする。毛状体22の外径は、例えば1μm以上250μm以下である。毛状体22の平均間隔Pは、例えば20μm以上200μm以下である。毛状体22の間隔は、互いに隣接する2つの毛状体22において、一方の根元の中心と、他方の根元の中心との距離に相当する。検体採取等の観点から、平均間隔Pは、150μm以下でもよい。
【0023】
基材部分21の単位面積あたりに占める毛状体22の数(すなわち、毛状体22の密度)は、特に限定されないが、例えば1000本/cm以上100000本/cm以下である。毛状体22の密度が高いほど、検体の保持効率が高い傾向がある。このため、単位面積あたりの毛状体22の密度は、10000本/cm以上でもよい。例えば検体が鼻汁等であっても毛状体22の検体保持機能を良好に発揮するためには、毛状体22の立毛状態は、粘性液体中でも維持される必要がある。よって、毛状体22にはある程度の強度を付与できる繊度と表面積が必要になる。毛状体22の繊度は、単一の繊維、線状の単位長さ当たりのグラム重量である。毛状体22の強度、加工性、曲げやすさ等から、毛状体22の繊度は、1.0dtex以上4.0dtexでもよく、1.5dtex以上3.0dtexでもよい。
【0024】
第1実施形態では、基材部分21と毛状体22とは、熱可塑性樹脂を用いて一体的に形成される。これにより、基材部分21と毛状体22との間には構造的な境界がなく、連続相を形成している。構造的に境界がないことは、基材部分21と毛状体22との間には構造的に明確な境界部がないことを意味している。また、連続相を形成していることは、基材部分21と毛状体22との間に継ぎ目がなく、不連続でないことを意味する。基材部分21及び毛状体22は、例えば、押出成形法によって熱可塑性樹脂をダイスから溶融押出した後、凹凸加工が成された転写ロールとタッチロールを用いてキャスティングすることによって形成される。上記熱可塑性樹脂は、歪み速度0.5(単位:S-1)で伸長可能温度において測定される伸長粘度η(t)(単位:Pa・S)を縦軸、伸長時間t(単位:S)を横軸とした両対数グラフにおいて、0.1<t<1.0の区間で傾き(logη/logt)が0.5以下となる領域を有する。また、プローブタック測定において、熱可塑性樹脂の付着力が0.05N/mm以上0.25N/mm以下となる温度範囲が伸長可能温度と少なくとも一部重複する。
【0025】
伸長可能温度とは、熱可塑性樹脂が可塑性を示し、伸長可能(例えば延伸成形可能)となる温度を指す。伸長可能温度は、一軸伸長粘度計にストランド(熱可塑性樹脂の成形物)をセットし、様々な温度で伸長させたときのストランドの状態から判断できる。温度が低い場合には樹脂が可塑性を示さず(剛直状態)、ストランドを固定するロールが空転してしまう。また、温度が高い場合には樹脂が溶融状態となり、ロールに固定することができない、もしくは固定して伸長させたときの伸長粘度が1.0×10(単位:Pa・S)に満たずストランドが破断してしまう。
【0026】
伸長粘度は、市販の伸長粘度測定機を用いて、熱可塑性樹脂が伸長可能である温度(例えば100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃又は160℃)において、0.17S-1、0.5S-1又は0.83S-1の歪み速度で測定できる。
【0027】
プローブタック測定としては、例えば、Wetzelの方法、神戸・鎌形の方法、Hammondの方法、レスカ法がある。レスカ法を除くプローブタック測定では、まず、試料の粘着面を下にして配置された試料に対して、下からプローブを接近させる。続いて、試料とプローブとの接触後、下方に一定の速度でプローブを移動させて粘着面からプローブを引き剥がすのに要する力を検出する。レスカ法では、試料の粘着面を上にし、上部からプローブを粘着面に押しつけた後、粘着面からプローブを引き剥がす力を検出する。加工途中の溶融高分子材料表面の粘着性を測定する場合には、レスカ法が好適に用いられる。第1実施形態において、上記付着力が0.05N/mm以上0.25N/mm以下の範囲内であれば、熱可塑性樹脂が転写ロール表面に適度に付着し、毛状体22を形成できる。上記付着力の範囲は、0.05N/mm以上0.25N/mm以下でもよい。
【0028】
次に、第1実施形態に係るスワブ1を用いて採取された検体中の被検出物の検出方法の一例を簡潔に説明する。まず、スワブ1の検体採取部3を検体採取部位に接触させることによって、検体を採取する。このとき、検体を確実に採取する観点から、検体採取部3は、検体採取部位に単に接触させるだけではなく、当該検体採取部位に対して擦過させてもよい。続いて、検体採取部3を検体処理液に浸漬させることによって、当該検体処理液に検体を浮遊または懸濁させる。これにより、検体中の被検出物を検出するための試料を作成する。検体処理液は、検体の種類によって適宜調製される。検体処理液は、例えばpH緩衝剤、界面活性剤等を含む。続いて、上記試料を、ろ過フィルターを用いてろ過することによって、ろ液を得る。続いて、当該ろ液を検査装置の基材(例えば、メンブレン等)に供給し、当該基材がろ液に浸漬される。ここで、当該基材の表面には、被検出物に対して特異的に結合することによって当該被検出物を捕捉する捕捉試薬が結合している。このため、基材上にろ液中の被検出物が捕捉される。続いて、基材上に、被検出物に特異的に結合する検出試薬である標識物質を滴下等により添加する。これにより、捕捉試薬と、被検出物と、標識物質との複合体を形成させる。続いて、複合体中の標識物質を検出することにより、複合体の存在を検出する。以上により、スワブ1を用いて採取された検体中の被検出物の有無を測定できる。
【0029】
以上に説明した第1実施形態に係るスワブ1では、検体採取部3は、外圧によって変形可能な緩衝部11と、緩衝部11の表面を構成する立毛体12と、を有する。これにより、例えば、検体採取部3が患者の粘膜等(検体採取部位)に押し当てられるとき、緩衝部11が粘膜等の形状に沿って変形する。この場合、検体採取部3を粘膜等に長時間ならびに強く押し当てることなく、検体採取部3において粘膜等に接触する部分を増加できる。加えて、例えば検体採取部3を鼻の穴等に挿入するとき、目的地点よりも前にて引っかかりにくくなる。ここで、立毛体12は、ブラシ状に設けられる毛状体22を有するので、検体は毛状体22によって効率よく保持される。したがって、スワブ1を用いることによって、患者の不快感、痛みなどを低減しつつ検体を十分に採取可能になる。
【0030】
第1実施形態では、緩衝部11は、ロッド2の端部2bに固定される中空状の成形部分である本体部11aを有する。このため、緩衝部11は、外圧によって容易に変形可能である。したがって、患者の不快感、痛み等を良好に低減できる。
【0031】
第1実施形態では、少なくともロッド2の端部2bは、可撓性を有してもよい。この場合、検体採取時に検体採取部3に力が加えられたとき、ロッド2と検体採取部3との境界等に集中する力を緩和できる。これにより、当該境界等にてスワブ1が破損すること、ロッド2が折れてしまうことなどを抑制できる。
【0032】
以下では、図3の(a),(b)を参照しながら、第1実施形態の各変形例について説明する。以下の変形例において、第1実施形態と重複する箇所の説明は省略する。したがって以下では、第1実施形態と異なる箇所を主に説明する。
【0033】
図3の(a)は、第1実施形態の第1変形例に係るスワブを示す概略断面図である。図3の(a)に示されるように、第1変形例に係るスワブ1Aでは、ロッド2Aの全体は、検体採取部3Aの外側に位置する。すなわち、第1変形例では、ロッド2Aの端部2bの一部は、緩衝部11Aの内側に位置していない。このため、緩衝部11Aは、開口部を有さない。緩衝部11Aは、例えば接着剤ADを用いて端部2bに固定されるが、これに限られない。例えば、緩衝部11A及び端部2bの少なくとも一方が他方に溶着することによって、緩衝部11Aが端部2bに固定されてもよい。第1変形例では、緩衝部11Aと端部2bとの境界における破損の発生を抑制する観点から、少なくとも端部2bが可撓性を有してもよい。以上に説明した第1変形例においても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0034】
図3の(b)は、第1実施形態の第2変形例に係るスワブを示す概略断面図である。図3の(b)に示されるように、第2変形例に係るスワブ1Bでは、検体採取部3Bの緩衝部11Bは、ロッド2Bと一体成形されている。例えば、ロッド2Bと緩衝部11Bとは、バルーン成形によって一体成形される。このため、ロッド2Bには、緩衝部11Bの内部空間に連通する貫通孔2cが形成される。なお、ロッド2Bの端部2aにおいて、貫通孔2cは封止されてもよい。以上に説明した第2変形例においても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。加えて、緩衝部11Bとロッド2Bとの境界における破損が発生しにくくなる。
【0035】
(第2実施形態)
以下では、図4の(a),(b)を参照しながら、第2実施形態について説明する。第2実施形態において、第1実施形態及び第1,第2変形例と重複する箇所の説明は省略する。したがって以下では、第1実施形態及び第1,第2変形例と異なる箇所を主に説明する。
【0036】
図4の(a)は、第2実施形態に係るスワブを示す概略図である。図4の(b)は、図4の(a)の概略断面図である。図4の(a),(b)に示されるように、スワブ1Cの検体採取部3Cは、第1実施形態の緩衝部11とは異なる緩衝部11Cと、緩衝部11Cを覆う立毛体12とを有する。第2実施形態では、立毛体12の基材部分21は、防水性を有する。
【0037】
緩衝部11Cは、外圧によって変形可能な多孔質体31を有する。多孔質体31は、マクロポーラス材料でもよいし、メソポーラス材料でもよい。多孔質体31は、天然の多孔質材料(例えば、活性炭、軽石、木材、コルクなど)から形成されてもよいし、人工の多孔質材料(例えば、発泡ポリウレタン、ゼオライトなど)によって形成されてもよい。第2実施形態では、緩衝部11Cとしての機能(外圧による変形機能)を良好に発揮する観点から、多孔質体31は、人工の多孔質材料によって形成される。多孔質体31は、液体を保持する機能を奏し得る。このため、緩衝部11Cは、基材部分21に覆われる。緩衝部11Cの全体は、基材部分21によって確実に覆われてもよい。これにより、多孔質体31による検体の採取及び保持を立毛体12によって阻害できる。多孔質体31には、ロッド2の端部2bが挿入されるための窪み31aが設けられる。多孔質体31は、例えば、図示しない接着剤を介して端部2bに固定される。
【0038】
以上に説明した第2実施形態において、例えば、検体採取部3Cが人体の粘膜等に押し付けられたとき、緩衝部11Cの変形及び/又は破損に起因する緩衝効果が発生する。このため、第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。加えて、例えば多孔質体31を発泡ポリウレタン等にて形成することによって、緩衝部11Cの全体を柔軟に構成できる。この場合、検体の採取量を増やすために検体採取部3Cを患者の粘膜等に擦過するとき、患者が異物感を感じにくくなる。
【0039】
第2実施形態では、緩衝部11Cは、防水性を有する基材部分21に覆われる。このため、多孔質体31による検体の保持機能を立毛体12によって阻害できる。したがって、過剰な検体が採取されることを良好に防止できる。また、第2実施形態では、多孔質体31の窪み31aにロッド2の端部2bが埋め込まれる。このため、緩衝部11Cとロッド2との境界等に集中する力を分散できる。
【0040】
(第3実施形態)
以下では、図5を参照しながら、第3実施形態について説明する。第3実施形態において、第1,第2実施形態及び第1,第2変形例と重複する箇所の説明は省略する。したがって以下では、第1,第2実施形態及び第1,第2変形例と異なる箇所を主に説明する。
【0041】
図5は、第3実施形態に係るスワブを示す概略図である。図5に示されるように、スワブ1Dの検体採取部3Dに含まれる緩衝部11Dは、立毛体12の巻回体を有する。第3実施形態では、検体採取部3Dは、帯形状を有する立毛体12の巻回体のみから形成されており、端部2bに対して立毛体12を巻き付けることによって形成される。このため、検体採取部3Dにおいて、立毛体12の一部が緩衝部11Dの内部を形成し、立毛体12の他部が緩衝部11Dの表面を構成する。立毛体12の一端は、接着剤などを介して端部2bに固定される。これにより、検体採取部3Dのロッド2からの脱着を防止できる。また、検体採取部3Dの最外面の一部を構成する立毛体12の他端は、接着剤などを介して立毛体12の他部に固定される。これにより、検体採取中等に立毛体12がほどけにくくなる。上記巻回体の形成方法(すなわち、端部2bに対する立毛体12の巻き方)は、特に限定されない。巻回体は、例えば、環行帯のように立毛体12を環状に巻くことによって形成されてもよいし、螺旋帯のようにらせん状に巻くことによって形成されてもよいし、折転帯のように一巻きもしくは複数巻きごとに折り返して巻くことによって形成されてもよいし、8の字を描くように巻くことによって形成されてもよい。上記巻回体の内部には、不定形な隙間(不図示)が設けられる。
【0042】
以上に説明した第3実施形態においては、例えば、検体採取部3Dが人体の粘膜等に押し付けられたとき、巻回体の隙間に起因する緩衝効果が発生する。このため、第3実施形態においても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。加えて、端部2bに対する立毛体12の巻数を変更することによって、検体採取部3Dの大きさを容易に調整できる。
【0043】
本開示の一側面に係る検体採取用スワブは、上記実施形態及び上記変形例に限定されず、他に様々な変形が可能である。また、上記実施形態及び上記変形例は、適宜組み合わされてもよい。例えば、上記第1実施形態に、上記第3実施形態の内容を組み合わせてもよい。この場合、検体採取部の緩衝部は、中空状の成形部分と、立毛体の巻回体とを有する。また、例えば、上記第2実施形態に、上記第3実施形態の内容を組み合わせてもよい。この場合、検体採取部の緩衝部は、多孔質体と、立毛体の巻回体とを有する。これらの場合、緩衝部による緩衝作用がより良好に発揮され得る。
【0044】
上記実施形態及び上記変形例では、毛状体は、先細り形状を有するが、これに限られない。例えば、毛状体は、柱状形状などでもよい。もしくは、毛状体の先端は、毛状体の根元よりも太くてもよい。例えば、基材部分から離れるにつれて毛状体の外径が漸次小さくなった後、当該外径が一旦大きくなってもよい。具体例としては、毛状体は、基材部分から突出する基端部分と、基端部分の先端に設けられ、当該基端部分の外径よりも大きい最大外径を有する膨張部分とを有してもよい。この場合、毛状体による検体の保持機能を向上できる。加えて、膨張部分は、中空形状を有してもよい。
【0045】
上記実施形態及び上記変形例では、毛状体は、基材部分の厚さ方向に沿って略直立しているが、これに限られない。図6は、立毛体の別例を示す概略要部断面図である。図6に示される立毛体12Aの毛状体22Aは、緩衝部(不図示)に対して離隔するように基材部分21から突出する基端部分41、緩衝部(不図示)に向かうように延びる先端部分42、及び、基端部分41と先端部分42とをつなぐ湾曲部分43を有する。図6では、基端部分41は、基材部分21の第2面21bに対して傾いているが、これに限られない。湾曲部分43は、基端部分41の先端から延在しており、一定の曲率もしくは漸次曲率を変化させて曲がった部分である。先端部分42は、湾曲部分43の先端から延在する部分である。先端部分42の少なくとも一部が緩衝部(不図示)に向かうように延びていればよい。このため、例えば、先端部分42に含まれる毛状体22Aの先端は、緩衝部(不図示)から離れる方向を向いていてもよい。この場合、毛状体22Aの先端部分42及び湾曲部分43によって検体が保持されやすくなるので、立毛体12Aの保持機能を向上できる。
【0046】
上記実施形態及び上記変形例では、立毛体に含まれる基材部分及び毛状体は一体的に形成されているが、これに限られない。例えば、基材部分に対して毛状体となる短繊維を固定することによって、立毛体が設けられてもよい。この場合、基材部分の第2主面に、短繊維の一端を固定する。基材部分への短繊維の固定方法は、特に限定されない。例えば、静電場を利用した電気植毛(フロック法)により、基材部分に短繊維を固定する。フロック法の実施前に、基材部分は、既に緩衝部を覆っていてもよい。短繊維は、液体に対する吸収効率の高い材料(例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリアミド等)によって形成されてもよい。液体に対する吸収効率の高い材料は、基材部分を形成する材料よりも液体に対する吸収効率が高い材料であればよい。
【符号の説明】
【0047】
1,1A~1D…スワブ、2,2A,2B…ロッド、2a,2b…端部、3,3A~3D…検体採取部、11,11A~11D…緩衝部、12,12A…立毛体、21…基材部分、22…毛状体、31…多孔質体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6