(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】質量スペクトロメータのための分路を伴う磁気セクタ
(51)【国際特許分類】
H01J 49/32 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
H01J49/32
(21)【出願番号】P 2023513339
(86)(22)【出願日】2021-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2021072753
(87)【国際公開番号】W WO2022043118
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-04-14
(32)【優先日】2020-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(73)【特許権者】
【識別番号】518008275
【氏名又は名称】ルクセンブルク インスティトゥート オブ サイエンス アンド テクノロジー(リスト)
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホアン,ハン・クアン
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-503226(JP,A)
【文献】特表2019-509584(JP,A)
【文献】特開昭49-120684(JP,A)
【文献】米国特許第05317151(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0357175(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0057853(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 40/00-49/48
G01N 27/60-27/70
G01N 27/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・磁気手段(117)、
・第1の磁気部分(166)、および、磁気分路(152;154;155)を含む第2の部分を含むヨーク(160)、
・第1の磁気部分(166)内の偏向ギャップ(129)
を含む磁気セクタ(120)であって、
前記偏向ギャップ(129)内で移動する荷電粒子を偏向させるために、偏向ギャップ(129)を通る磁場を発生させるように磁気手段(117)が適合されるように構成され、
磁気分路(152;154;155)が、荷電粒子が磁気分路を越えて進むための分路通路(168)を含み、磁気分路(152;154;155)が、偏向ギャップ(129)から漏れる磁束を第1の磁気部分(166)内に導くように配置される、磁気セクタ(120)。
【請求項2】
磁気分路(152;154;155)が、第1の磁気部分(166)から或る距離において配置され、第1の磁気部分(166)に面する、請求項1に記載の磁気セクタ(120)。
【請求項3】
磁気セクタ(120)、とりわけヨーク(160)が、第1の磁気部分(166)に磁気分路(152;154;155)を磁気的に結合するための磁気接続手段(172)を含む、請求項1または2に記載の磁気セクタ(120)。
【請求項4】
磁気分路(152;154;155)の厚さで除算された偏向ギャップ(129)の幅の比が、少なくとも2または4であり、磁気分路(152;154;155)の厚さSTが、任意選択で、0.1mmから5mm、または、0.3mmから3mmの範囲に及ぶ、請求項1から3のいずれか一項に記載の磁気セクタ(120)。
【請求項5】
磁気セクタ(120)が、第1の磁気部分(166)と磁気分路(152;154;155)との間の内方分離部(171)を含み、内方分離部(171)が、偏向ギャップ(129)と分路通路(168)との間に延在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の磁気セクタ(120)。
【請求項6】
磁気分路(152;154;155)の厚さSTで除算された内方分離部(171)の内方幅SWの比が、少なくとも2または4であり、前記比が、多くとも10または15である、請求項5に記載の磁気セクタ(120)。
【請求項7】
内方分離部(171)の内方幅SWが、1mmから10mm、または、2mmから6mmの範囲に及ぶ、請求項5または6に記載の磁気セクタ(120)。
【請求項8】
磁気分路(152;154;155)が、偏向ギャップ(129)と直角をなす、少なくとも1つの磁気プレート(170)、好ましくは2つの共平面磁気プレート(170)を含み、前記少なくとも1つの磁気プレート(170)が、分路通路(168)を画定する、請求項1から7のいずれか一項に記載の磁気セクタ(120)。
【請求項9】
磁気分路(152;154;155)が、少なくとも1つの磁気プレート(170)に関して傾斜される、および、偏向ギャップ(129)の方に延在する、少なくとも1つの枝部(184)を含み、好ましくは、磁気分路(152;154;155)が、2つの枝部(184)を含み、前記枝部(184)の各々が、2つの共平面磁気プレート(170)のうちの1つから偏向ギャップ(129)の方に延在する、請求項8に記載の磁気セクタ(120)。
【請求項10】
少なくとも1つの枝部(184)と、少なくとも1つの磁気プレートとの間の傾斜角度αが、10°から90°、または、30°から80°、または、45°から60°の範囲に及ぶ、請求項9に記載の磁気セクタ(120)。
【請求項11】
磁気手段(117)が、少なくとも1つの永久磁石(127)、および/または、少なくとも1つのコイル(182)を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の磁気セクタ(120)。
【請求項12】
コイル(182)が、第1の磁気部分(166)と磁気分路(152;154;155)との間の空間(171)の大部分において延在する、請求項11に記載の磁気セクタ(120)。
【請求項13】
磁気セクタ(120)が、入口面(122)および出口面(124)を画定し、磁気分路(152;154;155)が、磁気セクタの入口面(122)において、もしくは出口面(124)において配置され、または、磁気分路が、出口面において配置される第1の磁気分路(154)であり、磁気セクタ(120)が、入口面(122)における第2の磁気分路(152)をさらに含み、前記第2の磁気分路(154)が、偏向ギャップ(129)から漏れる磁束を第1の磁気部分(166)内に導くように構成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の磁気セクタ(120)。
【請求項14】
磁気セクタ(120)が、入口面(122)の反対側における反対側の面(125)をさらに画定し、磁気セクタ(120)が、反対側の面(125)における第3の磁気分路(155)をさらに含み、第3の磁気分路(155)が、入口分路(152)と対称的である、請求項13に記載の磁気セクタ(120)。
【請求項15】
ヨーク(160)が、第1の磁気部分(166)内の、および、磁気分路(152;154;155)から或る距離における主磁気回路(123)と、磁気分路(152;154;155)および第1の磁気部分を通る補助磁気ループ(174)とを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の磁気セクタ(120)。
【請求項16】
磁気セクタ(120)が、2つのポールピース(128)を含み、偏向ギャップ(129)が、前記2つのポールピース(128)の間にある、請求項1から15のいずれか一項に記載の磁気セクタ。
【請求項17】
分路通路(168)の内方幅が、偏向ギャップ(129)の内方幅の100%から150%、または、80%から200%、任意選択で100%を表す、請求項1から16のいずれか一項に記載の磁気セクタ(120)。
【請求項18】
ヨーク(160)、ポールピース(128)、および磁気分路(152;154;155)が、同様の磁性材料、そのような鉄、または、他の強磁性材料を含み、ポールピースが、任意選択で、前記磁性材料を含み、偏向ギャップ(129)の幅WGが、分路通路(168)の幅WPと等しい、請求項1から17のいずれか一項に記載の磁気セクタ(120)。
【請求項19】
イオンソース(110)と、静電セクタ(140)と、磁気セクタ質量分析器と、少なくとも1つの検出システム(130)とを含み、磁気セクタ質量分析器が、請求項1から18のいずれか一項に記載の磁気セクタ(120)である、磁気セクタ質量スペクトロメータ(100)。
【請求項20】
荷電粒子デビエーションプロセス、とりわけ質量電荷比測定プロセスであって、
請求項1から18のいずれか一項に記載の磁気セクタ(120)を設けるステップ(200)、
偏向ギャップ(129)を通る磁場を発生させるステップ(204)、
偏向ギャップ(129)を通して荷電粒子を移動させるステップ(206)、
磁場により偏向ギャップ(129)内で荷電粒子を偏向させるステップ(208)、
第1の磁気部分の外側で荷電粒子と磁気分路(152;154;155)を交差させるステップ(210)
を含む、荷電粒子デビエーションプロセス。
【請求項21】
プロセスが、ヨーク(160)に進入するステップ(205)であって、そのステップ中、荷電粒子が磁気分路(152;154;155)と交差する、ステップ(205)を含み、および/または、プロセスが、ヨークを離れるステップ(209)であって、そのステップ中、荷電粒子が磁気分路(152;154;155)と交差する、ステップ(209)を含む、請求項20に記載の荷電粒子デビエーションプロセス。
【請求項22】
とりわけセクタ場質量スペクトロメータのための、磁気セクタ(120)のヨーク(160)のための磁気分路(152;154;155)を形成するためのヨーク(160)部分の使用であって、ヨーク(160)が、第1の磁気部分(166)と、第1の磁気部分(166)を通る偏向ギャップ(129)とを囲み、磁気セクタが、磁気手段(117)を含み、磁気セクタ(120)が、前記偏向ギャップ(129)を横切る荷電粒子をデビエーションさせるために、偏向ギャップ(129)内で磁場を発生させるように磁気手段(117)が適合されるように構成され、磁気分路(152;154;155)が、偏向ギャップ(129)と連通する分路通路(168)を呈し、磁気セクタ(120)が、とりわけ請求項1から18のいずれか一項に記載のものによる、使用。
【請求項23】
磁気分路(152;154;155)が、ヨーク(160)の第1の磁気部分(166)に分路通路(168)を磁気的に接続するために使用される磁気要素を含む、請求項22に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気セクタの分野におけるものである。より正確には、本発明は、磁気分路を伴う磁気セクタを提供する。本発明は、また、荷電粒子デビエーション(charged particle deviation)プロセス、および、ヨークの使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
質量スペクトロメトリ(mass spectrometry)は、分子または試料を組成する元素を決定するために一般に使用される分析技法である。質量スペクトロメータは、典型的には、イオンのソースと、質量分離器と、検出器とを含む。イオンのソースは、例えば、気相、液相、または固相の試料分子を、イオン、すなわち、電気的に非中性の荷電原子または分子に変換することができるデバイスであり得る。いくつかのイオン化技法が、当技術においてよく知られており、イオンソースデバイスの個別の構造は、本明細書において少しも詳細には説明されないことになる。代替として、質量スペクトロメータにより分析されることになるイオンは、気相、液相、または固相における試料と、レーザ、イオンまたは電子ビームなどの照射源との間の相互作用から結果的に生じ得る。イオン放出試料が、その事例において、イオンのソースであると考えられる。
【0003】
イオンソースにおいて発出するイオンビームは、イオンを、それらのイオンの質量電荷比に従って分離またはソートすることができる質量分析器(mass analyzer)を使用して分析される。その比は、典型的には、m/zと表現され、mは、統一原子質量単位における分析物の質量であり、zは、イオンにより荷われる電気素量の数である。非相対論的な事例における、ローレンツ力法則、および、ニュートンの運動の第2法則は、電場および/または磁場のもとでの空間内の荷電粒子の運動を特徴付ける。質量スペクトロメータは、それゆえに、イオンソースにより作り出されるイオンを分離するために、様々な知られている組み合わせにおいて電場および/または磁場を用いる。特有の質量電荷比を有するイオンは、質量分析器において特有の軌道をたどる。異なる質量電荷比のイオンは、異なる軌道をたどるので、分析物の組成が、観測される軌道に基づいて決定され得る。波動ビームに含まれる異なる波長のスペクトルの発生を可能とする光学分光計からの類推によれば、質量スペクトロメータは、分子または試料に含まれる異なる質量電荷比のスペクトルの発生を可能とする。
【0004】
イオンを検出するために、様々な知られている検出デバイスが、質量分析器の退出口において用いられ得る。そのような検出器は、位置検知型である、またはそうでないことがあり、当技術においてよく知られている。それらの検出器の機能性は、本明細書の文脈において、それ以上は解説されないことになる。一般的に言えば、検出器デバイスは、インディケータ数の値を測定することができる。その検出器デバイスは、分析物内に存在する各イオンの存在量を計算するためのデータを提供する。
【0005】
セクタ機器は、特有のタイプの質量分析機器である。セクタ機器は、荷電粒子の経路および/または速度に影響を及ぼすために、磁場、または、電場および磁場の組み合わせを使用する。一般的に、イオンの軌道は、セクタ機器を通るそれらのイオンの通行により曲げられ、そのことにより、軽く低速のイオンが、より重い高速のイオンよりも多く偏向される(deflected)。磁気セクタ機器は、一般的には、2つの部類に属する。スキャニングセクタ機器においては、単一のタイプのイオンのみが、特有にチューニングされた磁場において検出可能であるように、磁場が変化させられる。或る範囲の場強度をスキャンすることにより、或る範囲の質量電荷比が、逐次的に検出され得る。非スキャニング磁気セクタ機器においては、静磁場が用いられる。或る範囲のイオンが、並列および同時に検出され得る。知られている非スキャニング磁気セクタ機器は、典型的には、マッタウフ-ヘルツォーク(Mattauch-Herzog)タイプ質量スペクトロメータと分類される。マッタウフ-ヘルツォークタイプ質量分析器は、2次イオン軌道上で磁気セクタが後に続く、静電セクタ、ESAからなる。静電セクタおよび磁気セクタの配置によって、典型的には、磁気セクタの退出口平面に沿って、広い範囲の質量電荷比m/zを分散することが可能となる。すべてのイオン質量は、(元のマッタウフ-ヘルツォーク構成における)退出口平面に、または、磁気セクタの退出口平面から或る距離に位置する焦点面上に集束させられる。
【0006】
磁気セクタは、典型的には、磁気手段と、ポールピースと、ループをなして磁気回路を閉じるヨークとを含む。ヨークおよびポールピースは、典型的には、鉄などの軟質磁性材料、または、他の強磁性合金から作製される。永久磁石により発生する磁束は、ポールピースと、ヨークと、ポールピース間の空気ギャップとにより形成される、閉じられた磁気回路をたどる。磁場は、典型的には、セクタの空気ギャップの内側で発生し、全体的には、セクタの空気ギャップの内側の一様な場の分布を、および、セクタの外側のフリンジ場を表し示す。
【0007】
理想的な磁気セクタは、セクタの内側の一様磁場をもたらし、これはセクタの物理的境界の外側でゼロに急激に降下しているはずである。残念ながら、これは実際には起こらない。実際、セクタの物理的進入口および退出口境界における磁場強度は、空気ギャップの外側で、空気ギャップの内側の値からゼロに急激には降下しない。その磁場強度は、むしろ、空気ギャップの内側の或る距離から、物理的境界の外側の或る距離までで、ゼロに徐々に減少する。空気ギャップの外側の漏れ磁場のこのロングテール分布は、フリンジ場またはフリンジング場と呼ばれる。この磁気フリンジ場は、典型的には、使用される材料、磁気セクタのサイズ、空気ギャップの幅、および、発生する磁場強度に応じて、磁気セクタの外側の数ミリメートルから数センチメートルに延在する。
【0008】
磁気セクタ場のこの挙動は、一般に、いくつかの用途において望ましくなく、なぜならば、その磁気セクタ場は、対応するフリンジ場エリアの中に配置される他のデバイスに著しく干渉し得るからである。セクタ場質量スペクトロメータにおいて、荷電粒子検出システムが、質量スペクトルを形成するために、イオンを、それらのイオンが磁気セクタを退出する後に収集するために一般に使用される。検出システムは、単一の検出器、いくつかの単一の検出器のマルチコレクタ、または、焦点面検出器を含み得る。検出器は、典型的には、磁気セクタデバイスのフリンジ場が無視できない空間の中に位置を定められる。フリンジ場の存在は、色々なやり方で検出器に影響を及ぼし得る。
【0009】
フリンジ場は、質量スペクトル上にまがいのピークを発生させ得る。実際、検出器媒体とのイオンビームの相互作用が、2次電子放出を発生させ、その2次電子放出が、検出器表面を漏れ出て、磁気フリンジ場の影響力のもとで、検出器表面に戻るように円運動をさせられる。この2次電子放出は、検出される質量スペクトル上にまがいのピークまたは背景ノイズを作り出し得る。
【0010】
さらに、フリンジ場は、検出器および他のデバイスの動作に影響を及ぼし得る。channeltron(CEM)またはマイクロチャネルプレース(microchannel place)(MCP)検出器においてなど、電子増倍原理の使用に基づく、知られている検出器において、磁場は、それらの検出器の前置増幅特性に影響力を及ぼし得る。CEMおよびMCPは共に、高アスペクト比チャネルに沿った入射粒子の相互作用から発生する電子2次放出物を増倍することにより、検出される荷電粒子(または光)信号を前置増幅するという同じ原理に基づく。磁場の存在は、増倍される電子放出物の運動に、およびそれゆえに、検出器の増幅特性に影響力を及ぼし得る。その上、CEM/MCPとアノードとの間の空間内に存在する強い磁場は、CEM/MCPチャネルからの電子雲がアノードに達することを防止し得る。このことは、検出器の検出能力における損失を引き起こし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術の不利な点のうちの少なくともいくつかを克服するデバイスを提示することが、本発明の目的である。特に、測定精度を改善することが、本発明の目的である。磁気セクタの外側に広がる磁束を低減することが、また本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の態様によれば、磁気セクタが提供される。磁気セクタは:磁気手段と、第1の磁気部分を含むヨークと、第1の磁気部分内の偏向ギャップとを含み;磁気セクタは、前記偏向ギャップ内で移動する荷電粒子を偏向させるために、偏向ギャップを通る磁場を発生させるように磁気手段が適合されるように構成され、ヨークが、荷電粒子のための分路通路を含む磁気分路をさらに含み、前記磁気分路が、偏向ギャップから漏れる磁束を第1の磁気部分内に導くように構成される。本発明の態様によれば、磁気セクタが提供される。磁気セクタは、磁気手段と、第1の磁気部分、および、磁気分路を含む第2の部分を含むヨークとを含む。磁気セクタは、第1の磁気部分内の偏向ギャップをさらに含む。磁気セクタは、前記偏向ギャップ内で移動する荷電粒子を偏向させるために、偏向ギャップを通る磁場を発生させるように磁気手段が適合されるように構成される。磁気分路は、荷電粒子が磁気分路を越えて進むための分路通路を含み、磁気分路は、偏向ギャップから漏れる磁束を第1の磁気部分内に導くように配置される。
【0013】
好ましくは、磁気セクタが、入口面の反対側における反対側の面をさらに画定し、磁気セクタが、反対側の面における第3の磁気分路をさらに含み、第3の磁気分路が、任意選択で、入口分路と対称的である。
【0014】
好ましくは、磁気分路が、第1の磁気部分から或る距離において配置され得るものであり、および/または、第1の磁気部分に面する。
【0015】
好ましくは、磁気セクタ、とりわけヨークが、第1の磁気部分に磁気分路を磁気的に結合する磁気接続手段を含み得る。好ましくは、磁気セクタまたはヨークが、第1の磁気部分に磁気分路を磁気的に結合するための磁気接続手段を含み得る。
【0016】
好ましくは、磁気分路の厚さで除算された偏向ギャップの幅の比が、少なくとも:2または4であり得るものであり;磁気分路の厚さが、任意選択で:0.1mmから5mm、または、0.3mmから3mmの範囲に及ぶ。
【0017】
好ましくは、磁気セクタが、第1の磁気部分と磁気分路との間の内方分離部を含み得るものであり、内方分離部が、偏向ギャップと分路通路との間に延在し、内方分離部が、任意選択で、分路通路から偏向ギャップを分離する。
【0018】
好ましくは、磁気分路の厚さで除算された内方分離部の内方幅の比が、少なくとも2または4であり得るものであり、前記比が、多くとも10または15である。好ましくは、内方分離部が、磁気セクタの中のへこみもしくは空洞であり、または、それらのへこみもしくは空洞を画定する。
【0019】
好ましくは、内方分離部の内方幅が:1mmから10mm、または、2mmから6mmの範囲に及び得る。
【0020】
好ましくは、磁気分路が、偏向ギャップと直角をなし得る、少なくとも1つの磁気プレート、好ましくは2つの共平面磁気プレートを含み得、前記少なくとも1つの磁気プレート、または2つの共平面磁気プレートは、それぞれ分路通路を画定する。
【0021】
好ましくは、磁気分路が、少なくとも1つの磁気プレートに関して傾斜され得る、および、偏向ギャップの方に延在する、少なくとも1つの枝部を含み、好ましくは、磁気分路が、2つの枝部を含み得るものであり、前記枝部の各々が、2つの共平面磁気プレートのうちの1つから偏向ギャップの方に延在する。
【0022】
好ましくは、少なくとも1つの枝部と、少なくとも1つの磁気プレートとの間の傾斜角度αが:10°から90°、または、30°から80°、または、45°から60°の範囲に及び得る。
【0023】
好ましくは、磁気手段が、少なくとも1つの永久磁石、および/または、少なくとも1つのコイルを含み得る。
【0024】
好ましくは、コイルが、第1の磁気部分と磁気分路との間の空間の大部分において延在し得る。
【0025】
好ましくは、磁気セクタが、入口面および出口面を画定し得るものであり、磁気分路が、磁気セクタの入口面において、もしくは出口面において配置され得るものであり;または、磁気分路が、出口面において配置される第1の磁気分路であり得るものであり、磁気セクタが、入口面における第2の磁気分路をさらに含み得るものであり、前記第2の磁気分路が、偏向ギャップから漏れる磁束を第1の磁気部分内に導くように構成され得るものであり、ならびに/または、第2の磁気分路が、第1の磁気部分に動作可能に接続され得る。
【0026】
好ましくは、ヨークが、第1の磁気部分内の、および、磁気分路から或る距離における主磁気ループと、磁気分路および第1の磁気部分を通る補助磁気ループとを含み得る。
【0027】
好ましくは、磁気セクタが、2つのポールピースを含み得るものであり、偏向ギャップが、前記2つのポールピースの間にある。
【0028】
好ましくは、分路通路の内方幅が:偏向ギャップの内方幅の100%から150%、または、80%から200%、任意選択で100%を表し得る。
【0029】
好ましくは、ヨークおよび磁気分路が、同様の磁性材料、そのような鉄、または、強磁性材料を含み、ポールピースが、任意選択で、前記磁性材料を含み、偏向ギャップの幅が、分路通路の幅と等しい。
【0030】
好ましくは、磁気セクタが、磁気分路を通って偏向ギャップを広げ得る粒子通路を含み得る。
【0031】
好ましくは、偏向ギャップが、粒子通路および/または粒子経路であり得る。
【0032】
好ましくは、ヨークが、一部品であり得るものであり、および/または、積層された磁気シートを含む。
【0033】
好ましくは、ヨークおよび磁気手段が、イオンなどの荷電粒子をデビエーションさせるために、偏向ギャップ内に磁場を発生させるように構成され得る。
【0034】
好ましくは、磁気セクタが、荷電粒子を、それらの荷電粒子の質量電荷比に依存して、空気ギャップの中の磁場によりデビエーションさせるように適合され得る。
【0035】
好ましくは、磁気分路が、とりわけ粒子経路に沿って、磁気手段に面し得る。
【0036】
好ましくは、磁気分路が、第1の磁気部分の外側の外方分路であり得る。
【0037】
好ましくは、磁気接続手段が、第1の磁気部分に少なくとも1つのプレートを磁気的および/または物理的に接続し得る。
【0038】
好ましくは、第1の磁気部分が、ヨークの主磁気部分および/または主磁気本体であり得る。
【0039】
好ましくは、磁気分路が、とりわけ偏向ギャップ中間平面に関して対称的であり得る。
【0040】
好ましくは、磁気分路が、ヨーク内で一体化され、および/または、ヨークとともに一体で形成され得る。
【0041】
好ましくは、磁気手段が、少なくとも2つの磁気ユニットを含み得るものであり、偏向ギャップが、前記2つの磁気ユニットの間に延在し得る。
【0042】
好ましくは、内方分離部が、磁気分路について、ならびに、第1の磁気部分について、ならびに任意選択で、ポールピースおよび磁気手段について接触し得る。
【0043】
好ましくは、ヨークが、第1の磁気部分と磁気分路との間の内方分離部を含み得る。
【0044】
好ましくは、磁気セクタが、荷電粒子のための粒子凹部(particle recess)を含み得るものであり、前記荷電粒子が前記粒子凹部により磁気セクタと交差するように前記粒子凹部が構成され、内方分離部および偏向ギャップが、前記粒子凹部の一部分である。
【0045】
好ましくは、磁気分路が、分路通路の境を定める平坦な縁部または棚部を含み得る。
【0046】
好ましくは、ヨークが、磁性材料、とりわけ強磁性材料を含む磁気ヨークであり得る。
【0047】
好ましくは、ヨークが、間に偏向ギャップがインターリーブされる2つの隣接部分と、前記2つの隣接部分を接続するブリッジ部分とを含み得るものであり、磁気分路が、前記2つの隣接部分に近接する。
【0048】
好ましくは、ヨークが、第1の磁気部分の中の主磁気回路を含み得る。
【0049】
好ましくは、ヨークが、分路およびヨークを通る少なくとも1つの補助磁気回路を含み得る。
【0050】
好ましくは、補助磁気ループが、偏向ギャップおよび分路通路と交差し得る。
【0051】
好ましくは、第1の磁気部分の最小セクションまたは平均セクションが、磁気分路の;それぞれ最小セクションまたは平均セクションよりも大きく、好ましくは少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも4倍大きくあり得る。
【0052】
好ましくは、磁気分路が、第1の磁気部分に近接し得る、および/または、面する。
【0053】
好ましくは、第1の磁気部分が、ヨークの主磁気部分または主本体である。
【0054】
磁気分路が、第1の磁気部分内の偏向ギャップに、磁束、とりわけフリンジ場を導くように構成されるという事実は、本発明の本質的な態様ではない。磁気分路は、第1の磁気部分に動作可能に接続され得る。第1の磁気部分は、本発明の本質的な特徴ではない。その第1の磁気部分は、ヨークの主本体により置換され得る。
【0055】
とりわけ質量スペクトロメータのための、磁気セクタなどの磁気システムであって、
・荷電粒子を移動させるための、空気ギャップなどの偏向ギャップを含む主磁気回路、
・偏向ギャップを通って移動する荷電粒子を偏向させるために、主磁気回路内に磁場を発生させるように適合された磁気手段
を含み、
・分路通路と;
・ヨークの中の、ならびに、分路通路および偏向ギャップと交差する、および/または、偏向ギャップに分路通路を結び付ける、磁気分路回路と;
をさらに含む、磁気システムを提供することが、本発明の別の態様である。
【0056】
・内方通路を伴う、ヨークの第1の磁気部分などの主磁気コアであって、その内方通路を通って荷電粒子が、前記粒子の電荷に応じて、例えば、粒子の質量電荷比に応じてデビエーションされる、主磁気コア、
・前記電気を荷わされた粒子をデビエーションさせるために、主磁気コアの中の、およびとりわけ、内方平面状経路を通る磁場を発生させるように適合された磁気源手段、
・平面状経路に近接する、および、主磁気コアに磁気的に結合される、磁気分路を含む第2の磁気部分
を含む、粒子デビエーションシステムを提供することが、本発明の別の態様である。
【0057】
・第1の磁気部分を伴うヨーク、
・第1の磁気部分内に配置される偏向ギャップ、
・荷電粒子が移動することを意図される偏向ギャップを通る磁場を発生させるように構成される磁気手段
を含み、ヨークが、
・荷電粒子のための分路通路を含む磁気分路、
・第1の磁気部分と磁気分路との間の磁気接続界面
をさらに含む、磁気セクタを提供することが、本発明の別の態様である。
【0058】
イオンソースと、静電セクタと、磁気セクタ質量分析器と、少なくとも1つの検出システムとを含み、磁気セクタ質量分析器が、本発明の態様による磁気セクタである、磁気セクタ質量スペクトロメータを提供することが、本発明の別の態様である。
【0059】
好ましくは、検出システムと分路との間の距離が、多くとも:100mm、または50mm、または30mmであり得る。
【0060】
荷電粒子デビエーションプロセス、とりわけ質量電荷比測定プロセスであって:第1の磁気部分を囲むヨークと、第1の磁気部分内の偏向ギャップとを含む磁気セクタを設けるステップ;第1の磁気部分に磁気的に結合される磁気分路を含む第2の磁気部分を設けるステップ、偏向ギャップを通る磁場を発生させるステップ、偏向ギャップを通して荷電粒子を移動させるステップ、
磁場により偏向ギャップ内で荷電粒子を偏向させるステップ、第1の磁気部分の外側で荷電粒子と磁気分路を交差させるステップを含み;磁気セクタが、とりわけ本発明による、荷電粒子デビエーションプロセスを提供することが、本発明の別の態様である。
【0061】
本発明のさらなる態様によれば、荷電粒子デビエーションプロセス、とりわけ質量電荷比測定プロセスが提供される。プロセスは:
- 本発明の態様による磁気セクタを設けるステップ;
- 偏向ギャップを通る磁場を発生させるステップ;
- 偏向ギャップを通して荷電粒子を移動させるステップ;
- 磁場により偏向ギャップ内で荷電粒子を偏向させるステップ;
- 第1の磁気部分の外側で荷電粒子と磁気分路を交差させるステップ
を含む。
【0062】
好ましくは、プロセスが、ヨークに進入するステップであって、そのステップ中、荷電粒子が磁気分路と交差する、ステップを含み得るものであり、および/または、プロセスが、ヨークを離れるステップであって、そのステップ中、荷電粒子が磁気分路と交差する、ステップを含む。
【0063】
好ましくは、交差させるステップにおいて、分路内の磁場が、ヨーク内の磁場の多くとも5%を表し得る。
【0064】
磁気セクタのヨークから漏れる磁束を低減するためのプロセスであって:
第1の磁気部分を画定するヨークと、第1の磁気部分内の偏向ギャップとを含む磁気セクタを設けるステップ、
偏向ギャップを横切る荷電粒子をデビエーションさせるために、偏向ギャップを通る磁場を発生させるステップ、
分路通路を伴う磁気分路を設けるステップであって、前記磁気分路が、ヨークの第1の磁気部分に磁場を向かわせる、ステップを含み、
磁気セクタが、とりわけ本発明による、プロセスを提供することが、本発明の別の態様である。
【0065】
とりわけセクタ場質量スペクトロメータのための、磁気セクタのヨークのための磁気分路を形成するためのヨーク部分の使用であって、ヨークが、第1の磁気部分と、第1の磁気部分を通る偏向ギャップとを囲み、磁気セクタが、磁気手段を含み、磁気セクタが、前記偏向ギャップを横切る荷電粒子をデビエーションさせるために、偏向ギャップ内で磁場を発生させるように磁気手段が適合されるように構成され、磁気分路が、偏向ギャップと連通する分路通路を呈し、磁気セクタが、とりわけ本発明による、使用を提供することが、本発明の別の態様である。
【0066】
好ましくは、磁気分路が、ヨークの第1の磁気部分に分路通路を磁気的に接続するために使用される磁気要素を含み得る。
【0067】
磁気セクタの偏向ギャップから漏れるフリンジ場および/または磁束を低減するためのヨークの部分の使用であって、ヨークが、第1の磁気部分と、磁気分路部分と、第1の磁気部分を通る偏向ギャップとを含み、磁気セクタが、前記偏向ギャップ内で移動する荷電粒子をデビエーションさせるために、磁場を発生させるように適合された磁気手段を含み、磁気分路部分が、偏向ギャップから、偏向ギャップに関して或る距離における分路通路を呈し、磁気セクタが、とりわけ本発明による、使用を提供することが、本発明の別の目的である。
【0068】
好ましくは、磁気要素が、接続手段を含む。
【0069】
本発明の異なる態様は、互いに組み合わされ得る。加えて、本発明の各態様の好ましい特徴は、反対のことが明示的に述べられない限り、本発明の他の態様と組み合わされ得る。
【0070】
本発明の技術的利点
本発明は、磁気セクタにより発生するフリンジ場の程度または伝搬を低減する。荷電粒子がそれらの荷電粒子の質量電荷比に従って偏向されるように通る空気ギャップから漏れる磁束が、分路により捕捉され取り込まれ、次いで、直接的にヨークに戻るように注入される。その結果、磁気セクタにより関与されるデビエーションは、理想的なモデルに、より近くなり、フリンジ場は、存在しない、または、最小限である。偏向プロセスは、制御するのがより容易であり、測定される質量電荷比は、より正確である。検出器におけるまがいのピークの現象は低減される。他のデバイスへの磁気セクタからの磁気フリンジ場の影響力は低減される。
【0071】
厚さおよび幅の選定は、磁気セクタの磁気効率とコンパクト性との間の妥協点を提供する。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態が、本発明の範囲を制限しない図として例示される。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【
図1】本発明の好ましい実施形態によるスペクトロメータデバイスの概略例示図を提供する図である。
【
図2】本発明の好ましい実施形態による磁気セクタの
図1において引かれた線2-2に沿った貫通切断の図である。
【
図3】本発明の好ましい実施形態による磁気セクタの
図1において引かれた線3-3に沿った貫通切断の図である。
【
図4】本発明の好ましい実施形態による磁気セクタの
図1において引かれた線2-2または線3-3に沿った貫通切断の図である。
【
図5】本発明の好ましい実施形態による磁気セクタによりデビエーションされる粒子ビームに沿った磁束変動のグラフである。
【
図6】本発明の好ましい実施形態による磁気セクタ内および外の磁束変動のグラフである。
【
図7】本発明の好ましい実施形態による荷電粒子デビエーションプロセスのダイアグラムブロックの図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
本節は、好ましい実施形態に、および、図に基づいてさらに詳細に本発明を説明する。同様の参照番号が、本発明の異なる実施形態の全体を通して、同様の、または同じ概念を説明するために使用されることになる。
【0075】
本明細書において説明される特有の実施形態について説明される特徴は、反対のことが明示的に述べられない限り、他の実施形態の特徴と組み合わされ得ることが留意されるべきである。当技術において一般に知られている特徴は、本発明に特有である特徴に重点を置くために、明示的に述べられないことになる。例えば、本発明によるスペクトロメータデバイスが、電気供給部により給電されることは、そのような供給部が明示的に、図上で参照されず、説明において言及されもしないとしても明らかなことである。
【0076】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるスペクトロメータデバイス100の概略例示図を与える。
【0077】
デバイス100は、質量スペクトロメトリの技法により分析されることになる試料を導入するための入口(示されない)を有するエンクロージャを設ける。エンクロージャは、真空を包囲し、イオンソース110と、磁気セクタ120と、少なくとも1つの検出器130とを含む。この説明の全体を通して、単語、検出器は、異なる質量電荷比のイオンを検出および定量化して、結果的に生じるスペクトルを計算する、および、結果的に生じるスペクトルを表示することができるデバイスを指し示すために使用されることになる。そのようなデバイスまたはデバイスアセンブリは、当技術においてよく知られている。
【0078】
任意選択の静電セクタ140が、イオンソース110と磁気セクタ120との間に設けられ得る。したがって、イオンビーム112に沿って、静電セクタ140は、イオンソース110の下流、および、磁気セクタ120の上流にある。
【0079】
イオンソース110、または、イオンのソースは、イオンビーム112を発生させ、そのイオンビーム112は、磁気セクタ120の、入口面122とも指定される進入口平面に、イオンソースと入口面122との間のドリフト空間を通って進んだ後或る角度で達する。磁気セクタは、磁場を発生させ、その磁場は、イオンに、それらのイオンの特有の質量電荷比m/zに依存する、特有に湾曲した軌道をたどらせる。
【0080】
本実施形態において、磁気セクタ120は、全体的には、矩形形状を呈する。しかしながら、磁気セクタは、また、1つの側部で全体的に湾曲した形状を有し得るものであり、その側部は、退出口平面とも指定されるイオン出口面124を含む側部と反対側にある。磁気セクタ120は、空気ギャップセクタの中に磁場分布をもたらすことができる磁気回路と理解される。磁気セクタ120は、第3の面とも指定される、いわゆる反対側の面125をさらに含み得る。反対側の面125は、出口面124に近接する。その反対側の面125は、入口面122の反対側にあり、および/または、入口面122と対称的であり得る。出口面124は、入口面122から反対側の面125まで延在する。
【0081】
磁気セクタ120から漏れ出る磁束を制御するために、および減ずるために、分路手段150が設けられる。分路手段150は、入口面122における入口分路152、および/または、出口面124における出口分路154を含む。分路、例えば出口分路154の間の距離は4cmである。分路手段150は、磁気セクタ120内で一体化されることが理解され得る。分路手段150は、反対側の面125における第3の分路155をさらに含み得る。第3の分路155は、入口分路152と同様であり得る。第3の分路155は、入口分路152と対称的であり得る。その第3の分路155は、フリンジ場が、磁気セクタ120に近く置かれる任意の他のデバイスに影響力を及ぼすことを防止するように構成される。
【0082】
図2は、磁気セクタ120の好ましい設計を例示する。磁気セクタは、
図1において引かれた線2-2に沿った貫通切断によって表される。本例示において、出口面124は、右手に配置される。
【0083】
機器は、磁石127およびポールピース128を保持するヨーク160を含む。より一般的には、ヨーク160は、磁気コアまたは磁気アセンブリである。ヨークは、積層体を形成するいくつかの金属シートを含み得るものであり、シートは、本視図と直角をなして延在する並びを表現するために、互いに対して置かれる。そうして、第1の磁気部分166の本断面は、シートのうちの1つに対応し得る。第1の磁気部分166は、ヨーク160の主部分または主本体に対応し得る。
【0084】
磁石127およびポールピース128の配置は、外側から内側に、磁石がポールピースにより従われるというようなものである。中央のポールピース128間において、偏向ギャップ129とも指定されるギャップ空間129が存在する。進入口平面122を通って磁気セクタに進入し、出口面124を通って磁気セクタを退出するイオンは、偏向ギャップ空間129内で進行する。
【0085】
ヨーク160との組み合わせにおいて、磁石127およびポールピース128は、磁気回路を形成し、ポールピース128間の偏向ギャップ129の内側で強い磁場を発生させる。磁気ループとも指定される磁気回路は、磁気セクタ120の主磁気回路123と考えられ得る。いくつかの例示的な束線(flux line)FLが、主磁気回路123内で表される。第1の磁気回路とも指定される主磁気回路123は、第1の磁気部分166内に封じ込められる。
【0086】
磁石127は、永久磁石であり得る。好ましくは、少なくとも40MGOe(320kJ/m3)の高い最大エネルギー積を伴うネオジム-鉄-ホウ素磁石が、磁石の質量を低減するために使用される。好ましい実施形態において、磁石127の厚さは、6mmである。ポールピース128は、偏向ギャップ129内の磁場の一様性を維持するために、6mmの好ましい厚さを有する。45MGOeの最大エネルギー積を伴うネオジム鉄ホウ素の(Neodymium Iron Born)磁石が使用される。磁石127は、任意の適した磁気手段117により置換され得る。
【0087】
例示として、ヨーク160は、15mmの厚さT1を有する。磁気セクタの縁部の付近のフリンジング場領域を最小化するために、高い透磁率を有する純鉄が、ヨークおよびポールピースの両方のために用いられる。偏向ギャップ129は、好ましくは4mmの幅WGを有する。ポールピース間のギャップ内の、好ましい設計によって達成され得る最大磁場は、0.58Tである。
【0088】
ヨーク160は、全体的には、「U」形状または「U」断面を含み得る。ヨーク160は、隣接部分162、および、隣接部分162を接続するブリッジ部分164を呈する。後者は、磁石127の対を支持し、それらの磁石127の間にポールピース128がインターリーブされる。隣接部分162は、互いに、および、偏向ギャップ129に平行であり;しかるに、ブリッジ部分164は直角をなす。ブリッジ部分164は、隣接部分162と同じほど厚く、厚さT1を呈し得る。ヨーク160は、第1の磁気部分166を画定する。隣接部分162、およびことによると、ブリッジ部分164は、第1の磁気部分166の一部分である。第1の磁気部分166は、ヨーク160の主本体を形成する。
【0089】
ヨーク160は、第1の磁気部分166とは分離しており別個である、第2の磁気部分を含む。第2の磁気部分は、分路手段150の出口分路154を形成する、または含む。出口分路154は、磁気セクタ120の出口面124を物理的に形成する。その出口分路154は、その磁気セクタ120上の端壁を形成する。分路はヨークの一部分であるので、ヨークの部分が分路を形成するために使用されることが推論され得る。
【0090】
分路154は、磁石127およびポールピース128に面する。その分路154は、好ましくは、偏向ギャップ129に沿って全面的に延在する。出口分路154は、ブリッジング部分164に平行である。分路154は、第1の磁気部分166から、とりわけ隣接部分162から突出する。分路154は、粒子が磁気セクタ120から分路154を越えて漏れ出るための、分路通路168、開口部または貫通孔を画定する。分路通路168は、偏向ギャップ129と連通している。分路通路によって、荷電粒子が、磁気セクタの内側の、分路の第1の側部から、分路の第2の反対側の側部に、磁気セクタの外側に進むことが可能となる。分路通路によって、荷電粒子が、分路を通って進むことが可能となる。それらの分路通路および偏向ギャップは、同様または同一の幅、例えば幅ギャップWGを表し示す。分路通路168は、出口面124に少なくとも部分的に沿って延在し得る、分路154を通るスロットを形成する。分路通路168は、磁気セクタ120の外側に射出される荷電粒子のための開口部を画定する。
【0091】
分路154は、少なくとも1つの磁気プレート170、好ましくは2つの磁気プレート170を含む。そうして、分路154は、隣接部分162のうちの1つと各々が関連付けられる、2つの磁気要素から形成される。磁気プレート170は、磁性材料から作製される。磁気プレート170は、平行および共平面である。磁気プレート170は、互いに面する、および、分路通路168の境目を定める、平行な縁部を含む。プレート170は、磁石127、ポールピース128、および、隣接部分162の端部を覆い隠す。
【0092】
分路154は、内方分離部171を含む。内方分離部171は、プレート170に沿って広がる。内方分離部は、磁気セクタの中のへこみまたは空洞、容積を画定する。反対側の側部において、内方分離部171の境界または壁が、磁石127、ポールピース128、および、隣接部分162の先端部により画定される。内方分離部171の幅は、分路154の厚さSTよりも大きく、例えば、少なくとも2倍大きい。分路154の厚さSTは、プレート170の厚さに対応し、なぜならば、それらのプレート170が分路154の主部分を形成するからである。第1の磁気セクションの、とりわけ隣接部分162の厚さT1は、分路154の厚さSTよりも、少なくとも:5または10倍大きい。
【0093】
分路154は、分路154と第1の磁気部分166との間の磁気接続を可能にする接続手段172をさらに含む。より正確には、接続手段172は、隣接部分162に磁気プレート170を物理的に接続する。接続手段172は、磁性材料を含む。それらの接続手段172は、プレート170と一体であり得る。接続手段172は、プレート170から第1の磁気部分166に突き出る。そうして、補助磁気回路174が、隣接部分162との組み合わせにおいて形成される。これらの補助磁気回路174は、偏向ギャップ129の上方および下方に形成される。補助磁気回路174は、内方空間171を取り囲む。したがって、偏向ギャップ129から漏れ出る磁束線176が、プレート170の自由端部により捕らえられる。よって、このフリンジ場は、磁気セクタから離れて延在せず、荷電粒子の偏向プロセスは、制御下のままである。寄生体挙動が制限される。
【0094】
ヨーク160は、分路のための固定手段を含み得る。固定手段は、接続手段172を通って進む、および、第1の磁気部分166の中に伸びる、ねじを含み得る。
【0095】
本実施形態において、出口分路154との関係において規定される特徴は、また、分路手段150の入口分路に当てはまる。入口分路および出口分路は、同様であり得る。
【0096】
図3は、本発明の好ましい実施形態による分路手段150の入口分路152の詳細視図を提供する。本視図は、
図1において見える線3-3に沿った貫通切断に対応する。ヨーク160は、部分的に表される。表されるエリアは、磁気セクタ120の入口面122におけるものである。
【0097】
本断面において、第1の磁気部分166は、部分的に表される。偏向ギャップ129から始まって、ポールピース128、磁石127、および隣接部分162が、前記ギャップ129の上側側部および下側側部において設けられる。したがって、磁石127、ポールピース128、および隣接部分162が、偏向ギャップ129の上方の上側積層体、および、下側積層体を形成する。ブリッジング部分164は、背景内にあり、偏向ギャップ129を通して見えるものである。
【0098】
ヨーク160は、また第3の磁気部分と呼称され得る、別の第2の磁気部分を含み得る。第3の磁気部分は、第1の磁気部分166とは、および、出口分路とは、分離しており別個である。第3の磁気部分は、分路手段150の入口分路152を形成する。入口分路152は、磁気セクタ120の入口面122を物理的に形成する。その入口分路152は、端壁または側壁を形成する。分路は、ヨーク内で、そのヨークのうちの1つが分路を作り出すために使用したように一体化される。
【0099】
分路152は、偏向ギャップ中間平面MPに対する対称的である。中間平面MPは、偏向ギャップ129の中部幅または中部高さにあり得る。分路152は、磁石127およびポールピース128に面する。その分路152は、偏向ギャップ129にずっと沿って延在する。入口分路152は、ブリッジング部分164に関して傾斜される、または、ブリッジング部分164と直角をなす、平面を形成する。分路152は、第1の磁気部分166から、とりわけ隣接部分162から延在する。分路152は、粒子が磁気セクタ120に進入するための、分路通路168、貫通孔または開口部を画定する。分路通路168は、分路152を通るスロットを形成し得る。分路通路168は、入口面122に沿って広がる。分路通路によって、荷電粒子が、磁気セクタの外側から内側に、入口分路を越えて進むことが可能となる。
【0100】
分路152は、その磁気プレート170の長さの一部分にわたって延在するスリットなどの開口部を有する少なくとも1つの磁気プレート170、または代替として、好ましくは、互いに上方の2つの磁気プレート170を含む。後者の選択肢において、分路152は、隣接部分162のうちの1つと各々が関連付けられる、2つの他の磁気要素を囲む。磁気プレート170は、磁性材料から作製される。磁気プレート170は、平行および共平面である。磁気プレート170は、偏向ギャップ129に平行な、および、分路通路168と隣接する、平行な縁部を含む。したがって、入口および出口分路を伴う分路手段150は、4つのプレート170と、2つの通路168とを含む。
【0101】
分路152は、内方分離部171を含む。内方分離部171は、ヨーク160内で深くなる。内方分離部171は、粒子凹部178により接続される。換言すれば、ヨーク160は、偏向ギャップ129および分路通路168を囲む、自由空間などの、連続的な粒子凹部178を画定する。粒子凹部178によって、入口面から出口面への荷電粒子運動が可能となる。
【0102】
内方分離部171は、磁石127、ポールピース128、および、隣接部分162の先端部と接触する。内方分離部171の内方幅SWまたは分離部幅SWは、分路152の、とりわけプレート170の厚さSTよりも大きく、例えば、少なくとも:2または4または6または12倍大きい。
【0103】
ヨーク160は、分路152と第1の磁気部分166との間の磁気接続を可能にする接続手段172をさらに含む。より正確には、接続手段172は、隣接部分162に磁気プレート170を物理的に接続する。接続手段172は、磁性材料を含む。それらの接続手段172は、隣接部分162と一体であり得る。接続手段172は、隣接部分162からプレート170に突出する。本例示において、プレート170は、隣接部分162を覆い、それらの隣接部分162上でねじ留めされ得る。代替法において、接続手段は、
図2において説明されたように、分路の一部分である。
【0104】
ヨーク160は、磁気界面180などの界面180を画定する。磁気界面180は、分路手段150と隣接部分162との間にある。接続手段172は、前記界面180において配設される。界面180は、第1の磁気部分に分路を磁気的につなぐ。
【0105】
そうして、補助磁気回路174が、隣接部分162との組み合わせにおいて形成される。これらの補助磁気回路174は、偏向ギャップ129の上方および下方に形成される。補助磁気回路174は、内方空間171を取り囲む。したがって、偏向ギャップ129から漏れ出る磁束線176が、プレート170内に、それらのプレート170の自由端部において進入する。よって、このフリンジ場は遮断され、フリンジ場の伝搬は防止される。
【0106】
分路152の厚さSTは、偏向ギャップ129の幅WGよりも小さい。厚さSTで除算された幅WGの比は、少なくとも:2または4または6または10または20である。この比は:2から40、または、4から20、または、5から12の間に含まれ得るものであり;ただし前述の値は、それらの値が示す範囲に含まれる。磁気分路152の厚さSTは:0.10mmから5.00mm、または、0.30mmから3.00mmの範囲に及び得る。偏向ギャップ129の幅WGは、分路通路168の幅WPと同様である、または等しい。
【0107】
磁気分路152は、内方幅171よりも薄い。磁気分路152の厚さSTで除算された内方分離部171の幅SWの比は、少なくとも:2または4または10である。この比は、30または20または15または10または8よりも小さくあり得るものであり;ただし前述の値は、それらの値が示す範囲に含まれる。
【0108】
ギャップ幅、分離部幅、または、隣接部分162の厚さT1と比較されると薄い分路は;その分路内の磁気飽和を促進する。そうして、主および補助磁気回路内の磁束の割合を制御することが可能である。
【0109】
入口磁気分路152との関係において上記で詳述された教示は、出口磁気分路に置き換えられる。
【0110】
図4は、磁気セクタ120の別の好ましい設計を例示する。磁気セクタ120は、
図1において引かれた線2-2に沿った貫通切断によって表される。本例示において、出口面124は、右側に配置される。非制限的な形で、下記の教示は、また、入口面、および、反対側の面に適用される。教示は、先の実施形態において説明された分路手段150の、入口磁気分路152に、出口磁気分路154、および、第3の磁気分路155に適用され得る。
【0111】
本分路152、154、155は、
図1から3のいずれか、および、それらの組み合わせとの関係において説明された分路と同様であり得る。磁気セクタ120は、部分的に表される。同じことが第1の磁気部分166に当てはまることが結果的に生じる。隣接部分162のセグメントのみが表され、分路152、154、155に近接する。
【0112】
本例示において、磁気手段117は、コイル182を含む。コイル182は、隣接部分162間;偏向ギャップ129の上方および下の方にある。コイルは、磁気コアとして働く、および、また同じように、空気ギャップを、その空気ギャップ内に磁場をもたらすために形成する、ポール128の周りに巻かれる。
【0113】
コイル182が給電されるとき、コイル182は、ヨーク160内で、およびとりわけ、主磁気ループ123も画定する主磁気回路123内で磁束を発生させる。束線FLは、主磁気回路123の中にある。その一方で、漏れ束が、偏向ギャップ129において主磁気回路123を漏れ出る。このことは、2次束線176により表される。これらの2次束線176は、補助磁気回路174に囲まれる。2次束線176は、偏向ギャップ129を周って進み行き:磁気プレート170内に、接続手段172内に、および、第1の磁気部分166内に広がる。2次束線176は、コイル182と交差する環を画定する。偏向ギャップ129の中部高さにある中間線MLに沿って、磁束は、磁気セクタ120の外側で著しく減少する。磁気セクタの近傍における検出器は、寄生体磁束により乱されない。検出される補助ピークは、制限または防止される。
【0114】
本例示から明らかなように、コイルは、とりわけプレート170と第1の磁気部分166との間の、内方空間171の幅SWの少なくとも50%にわたって延在する。換言すれば、コイルは、第1の磁気部分166と分路152、154、155との間の空間の大部分において延在する。内方空間171の幅SWは、偏向ギャップ129の幅WGよりも大きく、例えば、少なくとも:2または3倍大きくあり得る。
【0115】
本実施形態において、分路152、154、155は、翼部184とも指定される枝部184を含む。枝部184は、互いに向かい合う、磁気プレート170の端部にある。各枝部184は、関連付けられるプレート170に関して傾斜される。各枝部184は、対応するプレート170に関して角度αを伴うデビエーションを形成し得る。角度αは:10°から80°、または、30°から60°の範囲に及び得る。
【0116】
枝部184は、偏向ギャップ129の方を向く縁部186を含む。ギャップGは、分路152、154、155の厚さSTよりも大きい長さを含む。分路厚さSTは、ギャップGよりも少なくとも2分の1または4分の1である。
【0117】
プレート170は、接続手段172に枝部184を結び付ける。接続手段172は、隣接部分162およびプレート170とは:分離され別個であり得る。本例示において、接続手段172は、矩形断面を呈する。しかしながら、それらの接続手段172は、異なる形状を有し得る。接続手段172は、枝部184と反対側にあるプレート170の縁部において取り付けられる。そうして、色々な磁性材料が選定され得る。組み立て方法およびセッティングは、色々なステップが存在するときに、より容易であり得る。
【0118】
代替として、接続手段は、
図2および
図3それぞれにおいて説明されたように、第1の磁気部分の分路の一部分である。
【0119】
図5は、磁気セクタの偏向ギャップの中間線MLに沿ってプロットされた磁場を例示するグラフである。例示的な中間線MLは、
図4において提供される。磁気セクタは、先の図において説明されたような磁気セクタと同一であり得る。本グラフは、出口面124からの漏れ出しの後の、偏向ギャップ129内の、および、磁気セクタの環境内の磁場変動を強調する。
【0120】
第1の破線191、または、第1の曲線は、磁気分路を伴わない磁気セクタの磁束を例示する。例示的な磁気セクタは、30mmのサイズを有し、4mmの空気ギャップを伴う。ポールピースおよびヨークの両方は、鉄から作製される。空気ギャップの内側の約0.59Tの一様磁場が発生する。この一様磁場は、空気ギャップの物理的境界の内側の約5mmから降下し始め、物理的境界から40mmよりも多いほど遠い距離において、ゼロまたは無視できる値に徐々に減少する。物理的境界から10mmにおいて、約60mTのフリンジ場が、依然として残ってしまっている。この磁場は、重大なパーセンテージと考えられる、一様な場の強度の約10%を表す。
【0121】
第2の破線192は、
図2による磁気分路を伴う磁気セクタの磁束を例示する。第3の破線193は、
図4による磁気分路を伴う磁気セクタの磁束を例示する。本グラフから明らかなように、本発明は、出口面124の下流の磁束を際立って低減する。約7mmにおいて、磁束は、ほとんど0T、または無視できる値である。
【0122】
図6は、磁気セクタの偏向ギャップの中間線MLに沿ってプロットされた磁場を例示するグラフである。例示的な中間線MLは、
図4において提供される。磁気セクタは、先の図において説明されたような磁気セクタと同一であり得る。本グラフは、入口面122の上流の磁場変動を明白に示す。磁束は、偏向ギャップ129で、全体的に一様である。
【0123】
第4の破線曲線194は、磁気分路を伴わない磁気セクタの磁束を例示する。この例示的な磁気セクタは、
図5の例示的な磁気セクタと同様であり得る。
【0124】
第5の破線195は、
図3による磁気分路を伴う磁気セクタの磁束を例示する。第6の破線196は、
図4による磁気分路を伴う磁気セクタの磁束を例示する。
【0125】
本グラフから明らかなように、本発明は、磁気セクタの入口面122の上流のフリンジ場を制限する。進入口の約7mm前において、磁束は、ほとんど0Tである。対照的に、本発明なしでは、磁気漏れから結果的に生じるフリンジ場は、入口物理的平面の40mm上流で重大なままである。
【0126】
図7は、磁気セクタの手段による荷電粒子デビエーションプロセスのダイアグラムを例示する。磁気セクタは、先の図のいずれか、および、それらの組み合わせにおいて説明された磁気セクタと同様または同一であり得る。
【0127】
デビエーションプロセスは、以下のステップ:
・第1の磁気部分を囲むヨークと、第1の磁気部分内の偏向ギャップとを含む磁気セクタを設けるステップ200、
・第1の磁気部分に磁気的に結合される磁気分路を含む第2の磁気部分を設けるステップ202、
・偏向ギャップを通る磁場を発生させるステップ204、
・偏向ギャップを通して荷電粒子を移動させるステップ206、
・磁場により偏向ギャップ内で荷電粒子を偏向させるステップ208、
・第1の磁気部分の外側の場所において荷電粒子と磁気分路を交差させるステップ210
を含む。
【0128】
プロセスは、質量電荷比測定プロセスであり得る。
【0129】
設けるステップ200において、磁気セクタは、スペクトロメータデバイスの一部分であり得る。スペクトロメータデバイスは、
図1の教示によるものであり得る。
【0130】
移動させるステップ206の前に、荷電粒子デビエーションプロセスは、ヨークに進入するステップ205であって、そのステップ中、荷電粒子が入口磁気分路と交差する、ステップ205をさらに含み得る。
【0131】
偏向させるステップ208の後に、荷電粒子デビエーションプロセスは、ヨークを離れるステップ209であって、そのステップ中、荷電粒子が出口磁気分路と交差する、ステップ209をさらに含み得る。
【0132】
好ましくは、交差させるステップ210において、分路内の磁場が、ヨーク内の磁場の多くとも5%を表す。
【0133】
好ましくは、分路が、磁気飽和しきい値を含み、交差させるステップにおいて、分路が、磁気飽和しきい値の少なくとも:50%または80%または90%の磁場を含む。
【0134】
選択肢または代替として、交差させるステップ210は、(また)移動させるステップ206の前、および、偏向させるステップ208の前である。このステップ規定は、磁気セクタが、入口分路、または、入口分路および出口分路の組み合わせを含むときに生起する。
【0135】
本説明において、入口磁気分路および/または出口磁気分路との関係において画定される特徴は、また、反対のことが明示的に述べられない限り、第3の分路に当てはまる。
【0136】
特定の好ましい実施形態の詳述された説明は、単に例示として与えられるものであり、なぜならば、本発明の範囲の中での様々な変更および修正が、当業者に明らかであることになるからであることが理解されるべきである。保護の範囲は、以下の請求項のセットにより定義される。