(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】無人航空機システムの検出及び追跡のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/38 20060101AFI20240405BHJP
G01S 13/72 20060101ALI20240405BHJP
G01S 13/78 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
G01S7/38
G01S13/72
G01S13/78
(21)【出願番号】P 2023522456
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(86)【国際出願番号】 US2021040819
(87)【国際公開番号】W WO2022081220
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-04-12
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リー,ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】ラビット,スティーヴン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ホランド,チャールズ エル.
(72)【発明者】
【氏名】ウェラン,コリン エス.
(72)【発明者】
【氏名】キャプラン,ベンジャミン エル.
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107678023(CN,A)
【文献】特開平06-242235(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0085236(US,A1)
【文献】特開2020-016639(JP,A)
【文献】特開2001-051051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
F41H 11/02
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダーシステムが無人航空機システム(UAS)を検出及び追跡するための方法であって、
前記レーダーシステムによって、複数の電磁信号を受信するステップと、
前記レーダーシステムによって、
少なくとも2つ以上のUASデバイスが信号をリモコンに送信するために使用する
少なくとも2つ以上の想定周波数
と前記複数の電磁信号を比較することによって、UASが前記複数の電磁信号に含まれるか否かを決定するステップと、
前記複数の電磁信号に含まれるUASについて、前記レーダーシステムによって、前記レーダーシステムをアクティブトラックモードに設定して前記UASを追跡するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記UASが前記複数の電磁信号に含まれる場合、前記レーダーシステムによって、一意の識別子を前記UASに割り当てるステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レーダーシステムによって信号を前記UASに送信して想定される信号が前記レーダーシステムに返信されるのを待機することによって、前記レーダーシステムによって、前記複数の電磁信号に含まれる前記UASが敵であるか味方であるかを決定するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記UASが前記複数の電磁信号に含まれるか否かを決定することは、前記複数の電磁信号の周波数を前記
少なくとも2つ以上の想定周波数と比較することに更に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の電磁信号に含まれると決定された場合、前記UASの範囲を決定するステップを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記範囲は、信号の電力に加えて、前記複数の電磁信号から決定された前記UASの想定送信電力及びアンテナ利得に基づく、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記レーダーシステムによって、単一パルス波形に基づいて前記UASを追跡するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
UASが存在することを前記レーダーシステムが決定するために使用できる最小受信電力に基づいて、最大UAS検出範囲を決定するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
レーダーシステムであって、
電磁信号を送信及び受信するための複数のアンテナと、
前記複数のアンテナに結合されたプロセッサと
を含み、前記プロセッサは、
当該レーダーシステムに、
複数の電磁信号を受信させ、
少なくとも2つ以上のUASデバイスが信号をリモコンに送信するために使用する
少なくとも2つ以上の想定周波数
と前記複数の電磁信号を比較することによって、UASが前記複数の電磁信号に含まれるか否かを決定させ、
前記複数の電磁信号に含まれるUASについて、当該レーダーシステムをアクティブトラックモードに設定させて前記UASを追跡させる
ように構成される、レーダーシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、当該レーダーシステムに、
前記UASが前記複数の電磁信号に含まれる場合、一意の識別子を前記UASに割り当てさせるように更に構成される、請求項9に記載のレーダーシステム。
【請求項11】
前記プロセッサは、当該レーダーシステムに、
当該レーダーシステムによって信号を前記UASに送信して想定される信号が当該レーダーシステムに返信されるのを待機することによって、前記複数の電磁信号に含まれる前記UASが敵であるか味方であるかを決定させるように更に構成される、請求項9に記載のレーダーシステム。
【請求項12】
前記プロセッサが、当該レーダーシステムに、前記UASが前記複数の電磁信号に含まれるか否かを決定させるように更に構成されることは、前記複数の電磁信号の周波数を前記
少なくとも2つ以上の想定周波数と比較することに更に基づく、請求項9に記載のレーダーシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、当該レーダーシステムに、前記複数の電磁信号に含まれると決定された場合、前記UASの範囲を決定させるように更に構成される、請求項9に記載のレーダーシステム。
【請求項14】
前記範囲は、信号の電力に加えて、前記複数の電磁信号から決定された前記UASの想定送信電力及びアンテナ利得に基づく、請求項13に記載のレーダーシステム。
【請求項15】
前記プロセッサは、当該レーダーシステムに、単一パルス波形に基づいて前記UASを追跡させるように更に構成される、請求項9に記載のレーダーシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、当該レーダーシステムに、UASが存在することを当該レーダーシステムが決定するために使用できる最小受信電力に基づいて、最大UAS検出範囲を決定させるように更に構成される、請求項9に記載のレーダーシステム。
【請求項17】
少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、
複数の電磁信号を受信させ、
少なくとも2つ以上のUASデバイスが信号をリモコンに送信するために使用する
少なくとも2つ以上の想定周波数
と前記複数の電磁信号を比較することによって、UASが前記複数の電磁信号に含まれるか否かを決定させ、
前記複数の電磁信号に含まれるUASについて、レーダーシステムをアクティブトラックモードに設定させて前記UASを追跡させる命令を記憶した、非一時的なコンピュータ読み取り可能記憶媒体を含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してレーダーシステムに関する。特に、本発明は、無人航空機システム(UAS, unmanned aerial system)の検出及び追跡に関する
【背景技術】
【0002】
レーダーシステム(例えばレーダー)は、物体を検出及び/又は追跡するために使用できる。例えば、レーダーシステムは、航空機、船舶及び/又は地上車両において、物体を検出及び/又は追跡し、これらが敵であるか味方であるかを決定するために使用できる。典型的には、レーダーシステムが物体を検出するために、レーダーシステムは、所定の期間に電磁エネルギーを送信し、所定の期間に受信する(例えば、リッスンする)。
【0003】
受信中に、レーダーシステムは、レーダーシステムの視野内にある物体から送信された電磁エネルギーの反射を受信でき、レーダーシステムの視野内で電磁エネルギーを放出する他の物体から電磁エネルギーを受信でき、及び/又は、クラッタ(clutter)によるノイズ及び信号を受信できる。典型的には、レーダーシステムは、受信した電磁エネルギーの全ての中に1つ以上の物体が存在するか否かを決定する。
【0004】
無人航空機システム(UAS)(例えば、ドローン)は、兵器化されたペイロードを配送するため、及び/又は、部隊の移動の位置を提供するために、悪意のある者によって戦争で使用されている。商用のUASは低コストであり、飛行が容易であり、及び/又は、容易に入手可能である。
【0005】
典型的には、UASはレーダーシステムで検出するのが困難であり、人間の視覚検出に大きく依存できない。レーダーシステムでUASを検出する際の1つの課題は、UASが典型的にはクラッタと同様の特性を有する電磁エネルギー(例えば、信号)を反射し、したがって、クラッタから区別するのが困難になる可能性があることである。
【0006】
したがって、レーダーシステムでUASを確実に検出及び追跡するために、レーダーシステムを使用してノイズ及び/又はクラッタからUASを区別することが望まれる可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の利点は、レーダーシステムがノイズ及び/又はクラッタからUASを識別する能力、レーダーシステムがUASを確実に追跡する能力を含むことができる。本発明の利点はまた、レーダーの送信リソースの使用を排除/最小化しつつUASを確実に追跡すること、レーダーが他のミッションに送信パルスを使用することを可能にすること、及び/又は電力消費を最小化することも含むことができる。
【0008】
一態様において、本発明は、レーダーシステムが無人航空機システム(UAS)を検出及び追跡するための方法を含む。当該方法は、レーダーシステムによって、複数の電磁信号を受信するステップを含むことができる。当該方法はまた、レーダーシステムによって、1つ以上のUASデバイスが信号をリモコンに送信するために使用する1つ以上の想定周波数に基づいて、UASが複数の電磁信号に含まれるか否かを決定するステップを含むことができる。当該方法はまた、複数の電磁信号に含まれるUASについて、レーダーシステムによって、レーダーシステムをアクティブトラックモードに設定してUASを追跡するステップを含むことができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、当該方法は、UASが複数の電磁信号に含まれる場合、レーダーシステムによって、一意の識別子をUASに割り当てるステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、当該方法は、レーダーシステムによって信号をUASに送信して想定される信号がレーダーシステムに返信されるのを待機することによって、レーダーシステムによって、複数の電磁信号に含まれるUASが敵であるか味方であるかを決定するステップを含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、UASが複数の電磁信号に含まれるか否かを決定することは、複数の電磁信号の周波数を1つ以上の想定周波数と比較することに更に基づく。いくつかの実施形態では、当該方法は、複数の電磁信号に含まれると決定された場合、UASの範囲を決定するステップを含むことができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、範囲は、信号の電力に加えて、複数の電磁信号から決定されたUASの想定送信電力及びアンテナ利得に基づく。いくつかの実施形態では、当該方法は、レーダーシステムによって、単一パルス波形に基づいてUASを追跡するステップを含む。いくつかの実施形態では、当該方法は、UASが存在することをレーダーシステムが決定するために使用できる最小受信電力に基づいて、最大UAS検出範囲を決定するステップを含む。
【0012】
他の態様では、本発明はレーダーシステムを含む。レーダーシステムは、電磁信号を送信及び受信するための複数のアンテナを含むことができる。レーダーシステムはまた、レーダーシステムに複数の電磁信号を受信させ、1つ以上のUASデバイスが信号をリモコンに送信するために使用する1つ以上の想定周波数に基づいて、UASが複数の電磁信号に含まれるか否かを決定させ、複数の電磁信号に含まれるUASについて、レーダーシステムをアクティブトラックモードに設定させてUASを追跡させるように構成された、複数のアンテナに結合されたプロセッサを含むことができる。
【0013】
他の態様では、本発明は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに複数の電磁信号を受信させ、1つ以上のUASデバイスが信号をリモコンに送信するために使用する1つ以上の想定周波数に基づいて、UASが複数の電磁信号に含まれるか否かを決定させ、複数の電磁信号に含まれるUASについて、レーダーシステムをアクティブトラックモードに設定させてUASを追跡させる命令を記憶した、非一時的なコンピュータ読み取り可能記憶媒体を含む物品を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の実施形態の非限定的な例について、この段落の後に列挙される、本明細書に添付された図面を参照して以下に説明する。図面に示す特徴の寸法は、利便性及び表現の明確さのために選択されており、必ずしも縮尺通りに示されているとは限らない。
【0015】
発明として考えられる主題は、明細書の結論部分において特に指摘されており明確に主張されている。しかし、本発明は、編成及び動作方法の双方について、その目的、特徴及び利点と共に、添付図面と共に読まれたときに以下の詳細な説明を参照して理解できる。本発明の実施形態は、例として例示されており、添付図面の図面には限定されない。同様の参照符号は、対応する要素、類似する要素又は同様の要素を示す。
【
図1】本発明のいくつかの実施形態によるレーダーシステム及び物体の例である。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態による、無人航空機システム(UAS)を検出及び追跡するためのレーダーシステムアーキテクチャのブロック図である。
【
図3】本発明のいくつかの実施形態による、レーダーシステムがUASを検出及び追跡するための方法のフローチャートである。
【
図3A】本発明のいくつかの実施形態による、レーダーによって受信された反射の例であり、スパイクはUASによる部分を示す。
【
図4】本発明の実施形態で使用できる例示的なコンピューティングデバイスのハイレベルのブロック図である。 説明の簡潔さ及び明確さのために、図面に示す要素は必ずしも正確に或いは縮尺通りに描かれていないかことが認識される。例えば、要素のいくつかの寸法は明確にするために他の要素に対して誇張されることができ、或いは、いくつかの物理コンポーネントが1つの機能ブロック又は要素に含まれることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明では、発明の十分な理解を提供するために、複数の具体的な詳細が示されている。しかし、本発明がこれらの具体的な詳細なしで実施できることは、当業者によって理解される。他の場合にも、周知の方法、手順、並びにコンポーネント、モジュール、ユニット及び/又は回路は、本発明を曖昧にしないように詳細に記載されていない。
【0017】
図1は、本発明のいくつかの実施形態によるレーダーシステム100及び物体110の例である。レーダーシステム100は、電磁エネルギー(例えば、送信信号)を放出し、電磁エネルギー(例えば、受信信号)を受信できる。送信信号が物体110に衝突すると、送信信号の少なくとも一部が物体110から反射し、レーダーシステム100によって受信でき、それにより、レーダーシステム110は物体110の存在を検出できるようになる。レーダーシステム100はまた、レーダーシステム100の近くにあるノイズ、クラッタ及び/又は他の放出システムから電磁エネルギーを受信できる。
【0018】
図2は、本発明のいくつかの実施形態による、UAS 210を検出及び追跡するためのレーダーシステムアーキテクチャ215のブロック図である。
【0019】
レーダーシステムアーキテクチャ215は、検出モジュール220と、識別(ID)及び敵又は味方(IFF)モジュール230と、追跡モジュール240と、波形選択モジュール250と、波形実行モジュール260とを含む。レーダーシステムアーキテクチャ215は、レーダーシステム内に実装できる。レーダーシステムは、機械的に操縦されるもの、受動的に電子的にスキャンされるもの、能動的に電子的にスキャンされるもの、又はこれらのいずれかの組み合わせとすることができる。レーダーシステムは、(例えば、機械的な操縦の間に)一度に1つの目標を追跡することができ、一度に最大で100個の目標を追跡することもでき、及び/又は、一度に数百の目標を追跡することもできる。
【0020】
レーダーシステムは、当該技術分野において既知のように、デューティサイクルに従って電磁波を放出(例えば、送信)し、電磁波を受信(例えば、リッスン)できる。レーダーシステムは、レーダーシステムの視界内の物体(図示せず)からの反射(例えば、複数の反射信号)、UAS210から放出される電磁波(例えば、UASが制御デバイスに放出する信号)、UASからの電磁反射、及び/又はノイズ/クラッタを含むことができる電磁波を受信できる。検出モジュール220は、1つ以上のUASデバイスが信号をリモコンに送信するために使用する1つ以上の想定周波数に基づいて、受信した電磁波の中からUAS210を検出できる。例えば、UASデバイスは特定の周波数(例えば、想定周波数)における送信信号をそれぞれのリモコンに出力できる(例えば、2.4、4.1及び5.8GHz)。1つ以上の想定周波数はユーザにより入力でき、及び/又は、ルックアップテーブルに記憶できる。
【0021】
検出モジュール220は、受信信号の周波数を1つ以上の想定周波数と比較して、1つ以上のUASデバイスが受信信号に含まれるか否かを決定できる。
【0022】
UASが受信信号に存在すると決定すると、検出モジュール220は、レーダーに対するUASの角度及び/又は距離をID及びIFFモジュール230に送信できる。ID及びIFFモジュール230は、一意の識別子を検出されたUAS信号に割り当て、検出されたUAS信号が敵のUASを表すか味方のUASを表すかを決定できる。検出されたUAS信号が敵であるか味方であるかを決定することは、電磁信号をUAS210に送信し(例えば、UAS210にpingし)、UAS210が想定される電磁信号(例えば、予め決められた既知の信号)を返信した場合、検出されたUAS信号は味方であると決定される。そうでない場合、検出されたUAS信号は敵であると決定される。検出されたUAS信号が敵であると決定された場合、検出されたUAS信号は追跡モジュール240に送信される。
【0023】
追跡モジュール240は、UASの位置(例えば、角度及び/又は距離)、速度(例えば、m/s単位の速度)、加速度(例えば、m/s2単位)及び/又は進行方向を波形選択モジュール250に送信できる。波形選択モジュール250は、UAS210を追跡するためにレーダーシステムから送信する波形を決定できる。波形は単一パルス波形とすることができる。いくつかの実施形態では、波形は1マイクロ秒未満のパルス幅を有する。いくつかの実施形態では、波形は、例えば、レーダータイムラインを節約して各位置で別々のビームを行う時間を費やす必要性を回避するために、単一のビームで視野の全て(又はほとんど)をカバーするように増大したビーム幅を有する。
【0024】
波形選択モジュール250は、選択された波形を、レーダーシステムに放出するように命令する波形実行モジュール260に送信する。レーダーシステムに命令することは、パルスの数、パルス繰り返し周波数、パルス幅、帯域幅及び/又は周波数を提供することを含むことができる。
【0025】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による、レーダーシステム(例えば、
図1において上記に説明したようなレーダーシステム100)がUAS(例えば、
図2において上記に説明したようなUAS210)を検出及び追跡するための方法である。当該方法は、レーダーシステムによって、電磁波を受信することを含むことができる(ステップ310)。電磁波は、レーダーシステムの視野内の物体からの反射、クラッタ及び/又は1つ以上のUAS装置から放出された電磁波を含むことができる。
図3Aは、レーダーによって受信された反射の例であり、スパイクはUASによる部分を示している。
【0026】
図3に戻ると、当該方法はまた、レーダーシステムによって、1つ以上のUASデバイスが信号をリモコンに送信するために使用する1つ以上の想定周波数に基づいて、UASが電磁波に含まれるか否かを決定することを含むことができる(ステップ320)。例えば、UASデバイスは既知の周波数における送信信号をそのリモコンに出力できる(例えば、2.4、4.1及び5.8GHz)。1つ以上の想定周波数はユーザにより入力でき、及び/又は、ルックアップテーブルに記憶できる。
【0027】
いくつかの実施例では、UASが複数の電磁信号に含まれるか否かの決定は、複数の電磁信号の周波数を1つ以上の想定周波数と比較することに更に基づく。
【0028】
いくつかの実施例では、UASが複数の電磁信号に含まれると決定された場合、UASの範囲が決定される。範囲(R)は、式1において以下に示すように決定できる。
【0029】
【数1】
ここで、P
tはUASから送信される信号の電力であり、G
tはUASにおけるアンテナの送信利得であり、G
rはレーダーシステムの受信利得であり、λはUASによって送信される信号の波長であり、P
rはレーダーシステムによって受信される電力である。
【0030】
いくつかの実施形態では、レーダーシステムの最小受信電力に基づく最大UAS検出範囲が決定できる。最大UAS検出範囲(Rmax)は、式2において以下に示すように決定できる。
【0031】
【数2】
ここで、P
tはUASから送信される信号の電力であり、G
tはUASにおけるアンテナの送信利得であり、G
rはレーダーシステムの受信利得であり、λはUASによって送信される信号の波長であり、P
rはUASが存在するとレーダーシステムが決定できる最小受信電力である。
【0032】
当該方法はまた、複数の電磁信号に含まれるUASについて、レーダーシステムによって、レーダーシステムをアクティブトラックモードに設定してUASを追跡することを含むことができる(ステップ330)。
【0033】
いくつかの実施形態では、レーダーシステムをアクティブトラックモードに設定することは、UASが敵であるか味方であるかを決定し、UASが敵である場合、一意の識別子をUASに割り当てること、及び/又はUASをレーダーシステムのトラッカー内の追跡のリストに入力することを含む。いくつかの実施形態では、レーダーシステムをアクティブトラックモードに設定することは、レーダーシステムがUASを追跡するために放出する波形を決定することを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、レーダーシステムをアクティブトラックモードに設定することは、UASをレーダーシステムのトラッカーに入力することを含む。トラッカーは、当技術分野で既知のように、及び/又は特定のレーダーシステムに基づいて、追跡モジュール及び/又はシステムとすることができる。
【0035】
図4は、例えば、上記のようなレーダーシステムの一部として、本発明の実施形態で使用できる例示的なコンピューティングデバイスのハイレベルのブロック図である。コンピューティングデバイス400は、例えば、1つ以上の中央処理装置プロセッサ(CPU)、1つ以上のグラフィックス処理装置(GPU又はGPGPU)、チップ又はいずれか適切なコンピューティング若しくは計算デバイスとすることも或いは含むこともできるコントローラ又はプロセッサ405と、オペレーティングシステム415と、メモリ420と、ストレージ430と、入力デバイス435と、出力デバイス440とを含むことができる。ここで言及されるプロセッサ、モジュール、ボード、集積回路及び他の機器のようなモジュール及び機器のそれぞれは、
図1及び
図2に含まれるようなコンピューティングデバイスとすることも或いは含むこともできるが、これらのエンティティの中の様々なユニットは1つのコンピューティングデバイスに組み合わされることができる。
【0036】
オペレーティングシステム415は、コンピューティングデバイス400の調整、スケジューリング、仲裁、監督、制御又は他の管理操作、例えば、プログラムの実行のスケジューリングを含むタスクを実行するように設計及び/又は構成されたいずれかのコードセグメントとすることも或いは含むこともできる。メモリ420は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SD-RAM)、ダブルデータレート(DDR)メモリチップ、フラッシュメモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、キャッシュメモリ、バッファ、短期メモリユニット、長期メモリユニット、又は他の適切なメモリユニット若しくは記憶ユニットとすることも或いは含むこともできる。メモリ420は、複数の、場合によっては異なるメモリユニットとすることも或いは含むこともできる。メモリ420は、例えば、方法を実行するための命令(例えば、コード425)、及び/又はユーザ応答、中断等のようなデータを記憶できる。
【0037】
実行可能コード425は、いずれかの実行可能コード、例えば、アプリケーション、プログラム、プロセス、タスク又はスクリプトとすることができる。実行可能コード425は、場合によってはオペレーティングシステム415の制御下で、コントローラ405によって実行できる。例えば、実行可能コード425は、実行されると、本発明の実施形態に従って処理するために、アンテナに放射線を放出させること及び/又は放射線を受信させることができる。いくつかの実施形態では、1つよりも多くのコンピューティングデバイス400又はデバイス600のコンポーネントが、ここに記載の複数の機能に使用できる。ここに記載の様々なモジュール及び機能については、1つ以上のコンピューティングデバイス400又はコンピューティングデバイス400のコンポーネントが使用できる。コンピューティングデバイス400に含まれるコンポーネントと同様の或いは異なるコンポーネントを含むデバイスが使用でき、ネットワークに接続されてシステムとして使用できる。1つ以上のプロセッサ405は、例えば、ソフトウェア又はコードを実行することによって、本発明の実施形態を実行するように構成できる。ストレージ430は、例えば、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)ドライブ、CD記録可能(CD-R)ドライブ、ユニバーサルシリアルバス(USB)デバイス、又は他の適切な取り外し可能及び/又は固定ストレージユニットとすることも或いは含むこともできる。命令、コード、NNモデルデータ、パラメータ等のようなデータは、ストレージ430に記憶でき、ストレージ430からメモリ420にロードでき、そこでコントローラ405によって処理できる。いくつかの実施形態では、
図4に示すコンポーネントのいくつかが省略できる。
【0038】
入力デバイス435は、例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーン若しくはパッド、又はいずれかの適切な入力デバイスとすることも或いは含むこともできる。ブロック435で示すように、いずれか適切な数の入力デバイスがコンピューティングデバイス400に動作可能に接続できることが認識される。出力デバイス440は、1つ以上のディスプレイ、スピーカ及び/又は他の適切な出力デバイスを含むことができる。ブロック440に示すように、いずれか適切な数の出力デバイスがコンピューティングデバイス400に動作可能に接続できることが認識される。いずれか適用可能な入出力(I/O)デバイスがコンピューティングデバイス400に接続でき、例えば、有線若しくは無線ネットワークインターフェイスカード(NIC)、モデム、プリンタ若しくはファクシミリ機、ユニバーサルシリアルバス(USB)デバイス又は外部ハードドライブが入力デバイス435及び/又は出力デバイス440に含まれることができる。
【0039】
本発明の実施形態は、コンピュータ又はプロセッサの非一時的でない読み取り可能な媒体、又はコンピュータ又はプロセッサの非一時的な記憶媒体のような1つ以上の物品(例えば、メモリ420又はストレージ430)を含むことができ、例えば、プロセッサ又はコントローラによって実行されると、ここに開示される方法を実行する命令、例えば、コンピュータ実行可能命令を符号化、包含又は記憶するメモリ、ディスクドライブ又はUSBフラッシュメモリを含むことができる。
【0040】
当業者は、本発明がその真意又は本質的な特性から逸脱することなく、他の特定の形式で具体化できることを認識する。したがって、上記の実施形態は、ここに記載の発明の限定ではなく、全ての点において例示的なものと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、したがって、特許請求の範囲の等価性の意味及び範囲内にある全ての変更は、ここに包含されることを意図する。
【0041】
上記の詳細な説明では、本発明の理解を提供するために、複数の具体的な詳細が示されている。しかし、本発明がこれらの具体的な詳細なしに実施できることは、当業者によって理解される。他の場合にも、本発明を曖昧にしないように、周知の方法、手順及びコンポーネント、モジュール、ユニット及び/又は回路は詳細に記載されていない。或る実施形態に関して記載されたいくつかの特徴又は要素は、他の実施形態に関して記載された特徴又は要素と組み合わされることができる。
【0042】
この点に関して本発明の実施形態は限定されないが、例えば、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」、「確立」、「分析」、「検査」等のような用語を利用した議論は、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ内の物理的な(例えば、電子的な)量として表されるデータを、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ又は動作及び/又はプロセスを実行するための命令を記憶できる他の情報非一時的記憶媒体内の物理的な量として同様に表される他のデータに操作及び/又は変換する、コンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム又は他の電子コンピューティングデバイスの動作及び/又はプロセスを示すことができる。
【0043】
この点に関して本発明の実施形態は限定されないが、ここで使用される「複数(plurality)」及び「複数(a plurality)」という用語は、例えば、「複数(multiple)」又は「2つ以上」を含むことができる。「複数(plurality)」又は「複数(a plurality)」という用語は、2つ以上のコンポーネント、デバイス、要素、ユニット、パラメータ等を記述するために明細書を通じて使用できる。ここで使用されるときのセットという用語は、1つ以上の項目を含むことができる。明示的に記述されていない限り、ここに記載の方法の実施形態は、特定の順序又はシーケンスに制約されない。さらに、記載の方法の実施形態又はその要素のいくつかは、同時に、同じ時点で或いは並行して発生又は実行できる。