(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】折り畳み情報通信体
(51)【国際特許分類】
B42D 15/02 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
B42D15/02 501B
(21)【出願番号】P 2020104098
(22)【出願日】2020-05-20
【審査請求日】2023-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-094681(JP,U)
【文献】特開2019-025887(JP,A)
【文献】特開2014-054822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 15/02
B42D 15/04-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向の折り線を介して横方向に連接された複数の葉片からなる単位シートが、横方向の折り線を介して縦方向に連接された情報通信体シートを、縦方向の折り線から折り畳んだ後に上下に連接された単位シートを横方向の折り線から二つ折りした折り畳み情報通信体であり、折り畳みにより生じる各対向面間が疑似接着媒体の介在により剥離可能に接着さ
れ、横方向の折り線に形成された分離手段によ
り剥離展開後に二つに分離することができ
、さらに表出した表裏面の両葉片の突出した縁辺同士が剥離可能に接着されていることを特徴とした折り畳み情報通信体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の葉片を折り畳み、剥離可能に一体化した折り畳み情報通信体に関する。詳しくは、発送当時は一つの情報通信体であるにも関わらず、受取人側で二つの折り畳み情報通信体に分離する折り畳み情報通信体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、宣伝広告や案内状、パンフレット等の大量の情報を伝達する手段として、各種伝達物を印刷したシート等を折り畳み、封筒に封入封緘して郵送する方法が一般的である。しかし最近では個人情報の管理が重要となり、誤って他人の情報を記載したり、あて先を間違えて記載したために誤配したりする等の事故は極力避けなければならない。また多数の広告宣伝物や個人情報が記入されたシートを封入封緘する作業に掛かる多大な経費を削減したいところである。そのような状況下、例えば特開2000-43456号公報に記載される折り畳み封書用シートが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既述の引用文献に記載される折り畳み封書用シートは、一枚のシートにあて先を含めた一人分の個人情報全てを記載して折り畳み封書に仕上げるため、誤って他人の情報が混じることはない。また折り畳むことで自動的に封書になるため封入封緘の手間も省ける等の長所がある。しかし、突出した封緘片の特殊加工、封緘のための接着剤塗布加工、開封に際して封着辺を引きちぎるための切取ミシン加工、接着部分が容易に剥離するための剥離剤塗布加工、二条のミシン目による開封手段等の複雑で手間の掛かる特殊加工が必要で、既述の長所があるにも関わらず割高についてしまう。
【0005】
また開封後のシート本体が大きすぎて場所を取り、その取り扱いに不便を感じさせると共に開封に際して切り離した封着片や封緘片等のゴミが発生し、さらに残存する接着剤や剥離部、封緘片の一部などが美観を損なうと共に前記残存する接着剤がべとつき取り扱いにストレスを生じさせる。
【0006】
本発明の折り畳み情報通信体は、上記問題に鑑み、一枚のシートに情報を記載して折り畳み封書に仕上げるため、一つの封筒に各種情報が記載された複数のシートを封入する際に起こりがちな、他人の情報の誤封入や誤配等の事故が起こらず、開封に際して重なり合う葉片同士の剥離が極めて容易であり、開封後分離して適切な大きさになり残存する接着剤等がないので取り扱いに不便を感じることなく、また開封に際して余分なゴミが出ず美観にも優れた折り畳み情報通信体を提供することを目的としている。
【課題を可決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の折り畳み情報通信体は、縦方向の折り線を介して横方向に連接された複数の葉片からなる単位シートが、横方向の折り線を介して縦方向に連接された情報通信体シートを、縦方向の折り線から折り畳んだ後に上下に連接された単位シートを横方向の折り線から二つ折りした折り畳み情報通信体であり、折り畳みにより生じる各対向面間が疑似接着媒体の介在により剥離可能に接着され、横方向の折り線に形成された分離手段により剥離展開後に二つに分離することができ、さらに表出した表裏面の各葉片の突出した縁辺同士が剥離可能に接着されていることを特徴としている。
【0008】
本発明の折り畳み情報通信体は、二つの単位シートが横方向の折り線を介して縦方向に連接されており、開封に際して前記横方向の折り線から両者を分離しながら開封することになる。従って前記横方向の折り線には様々な公知の分離手段が施される。前記分離手段として例えば切取ミシンがあるが、ミシンの穿設は折り畳みにも役立ち至便である。なお切取ミシンにおいてカットとアンカットの比率に制限はなく、マイクロミシン等を好適に使用することもできる。
【0009】
なお、縦方向の折り線に関しては、折りミシンや折り筋が形成されていてもよいが、何ら折り手段を形成することなく、折り機等によりそのまま強制的に折り畳むようにしても構わない。
【0010】
本発明の折り畳み情報通信体の折り畳み形態として種々の折り形態が採用できる。例えば最少葉片数の2葉片が横方向に連接された単位シートが縦方向に連接された場合、最終的に二つの単位シートが二つ折り形態で分離されることになる。そして3葉片からなる単位シートの場合、折り畳みの態様としてZ折り(蛇腹折り)とC折り(巻き折り)の2種類があるが何れでも構わない。
【0011】
また例えば、葉片数が4葉片以上の単位シートの場合、折り形態は蛇腹折、巻き折り、観音開き折り或いは前記の混合からなる折り形態が採用できる。
【0012】
本発明の折り畳み情報通信体に使用される資材は、例えば上質紙、マット紙、コート紙等の通常の用紙、合成紙、不織布或いは樹脂フィルムシート等を好適に使用することができる。
【0013】
そして折り畳まれた対向面同士を剥離可能に接着する、いわゆる疑似接着に使用する疑似接着媒体は、印刷物の疑似接着予定面に形成する際の方式により、大きく以下の3種類に分けられる。
1)後糊方式
印刷後の用紙の疑似接着予定面に疑似接着性のUVニスを塗布して疑似接着性の被膜を形成したもの。前記疑似接着性の被膜同士を対向させて加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離可能に接着する。エマルジョン型の弱粘着剤を塗布するものもある。
2)先糊方式
印刷前の用紙の疑似接着予定面に、合成ゴム或いは天然ゴム等を主成分とした疑似接着性の媒体を塗布して含浸させたもの。乾燥後に印刷・印字を行い、疑似接着予定面同士を対向させて加圧処理を施すと剥離可能に接着する。
3)フィルム方式
印刷後の用紙の疑似接着予定面に疑似接着性のフィルムシートを被覆(ラミネート)して、前記疑似接着性のフィルムシート同士が対向するように折り合わせ、加熱或いは加熱・加圧処理を施すと剥離可能に接着する。なお、フィルム方式には対向する疑似接着予定面に予め被覆しておいて、折り合わせた後に剥離可能に接着する全面貼り方式と、折り畳んだ用紙の疑似接着予定面間に予め疑似接着している積層フィルムを挟み込み、用紙とフィルム間を接着して剥離可能に一体化する挟み込み方式の二種類がある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の折り畳み情報通信体は、その製造方法において全ての情報を記載した一枚のシートを折り畳み封書形態に仕上げるので、個人情報等を記載した複数の別体のシートをそれぞれ封入封緘する場合に起こる情報の漏洩(他人の情報の混入等)の重大な事故が起きない。
【0015】
また開封後2つの単位シートに分離するため、一面に広げた場合のようにやたら面積を必要とすることがなく取り扱いが至便で情報の確認が容易である。また疑似接着媒体により一体化(封書化)が単純で容易なため、多種類の広告宣伝物を封筒に纏めて送付する際の、複雑で面倒な封入封緘作業に掛かる人件費や時間のロス等もなくなる。
【0016】
さらに、良好に密着した各単位シートは段差を剥離の端緒として利用できるため、受取人は極めて容易に各単位シートを分離して内部の情報を確認することができ、また開封に際して切除屑等が発生せず、開封後に開封辺の残存物や接着剤等によるべとつきがないので美観を損ねることが無くべとつきによる不要なストレスもなくなる。
【0017】
さらにまた、各葉片の表裏面の全面に疑似接着媒体を形成する構成の場合、折り畳み情報通信体の完成時に表出する葉片面を除いて疑似接着媒体をスポット的に形成する際の形成位置の精度を必要としないため、製造が極めて容易で素人でも短時間で大量の折り畳み情報通信体を製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(A)は折り畳み情報通信体J1の表面図、(B)は裏面図である。
【
図2】(A)は折り畳み情報通信体J1の
図1(A)におけるア-ア線断面図、(B)はイ-イ線断面図である。
【
図3】(A)は折り畳み情報通信体J1の製造に使用する情報通信体シートS1の表面図、(B)は裏面図である。
【
図4】(A)は疑似接着フィルムシートGが被覆されると共に縦方向7及び8の折り線に折りミシン、横方向の折り線9に切取ミシンが形成された情報通信体シートS1の表面図、(B)は裏面図である。
【
図5】(A)は縦方向の折り線7、8から折り畳まれた情報通信体シートS1の平面図、(B)は(A)におけるウ-ウ線断面図、(C)はエ-エ線断面図である。
【
図6】折り畳み情報通信体J1の受取人が単位シートt1及びt2を分離すると共に剥離開封した状態を示す斜視図である。
【
図7】(A)は折り畳み情報通信体J2の表面図、(B)は裏面図である。
【
図8】(A)は折り畳み情報通信体J2の
図7(A)におけるオ-オ線断面図、(B)はカ-カ線断面図である。
【
図9】(A)は折り畳み情報通信体J2の製造に使用する情報通信体シートS2の表面図、(B)は裏面図である。
【
図10】(A)は疑似接着フィルムシートGが被覆されると共に縦方向の折り線19、20及び21に折りミシン、横方向の折り線22に切取ミシンが形成された情報通信体シートS2の表面図、(B)は裏面図である。
【
図11】(A)は縦方向の折り線19、20及び21から折り畳まれた情報通信体シートS2の平面図、(B)は(A)におけるキ-キ線断面図、(C)はク-ク線断面図である。
【
図12】折り畳み情報通信体J2の受取人が単位シートt11及びt12を分離すると共に剥離開封した状態を示す斜視図である。
【
図13】(A)は
折り畳み情報通信体J3の
図1(A)における
ア-ア線断面図、(B)は
イ-イ線断面図である。
【
図14】(A)は縦方向の折り線7、8から折り畳まれた情報通信体シートS
1の平面図、(B)は(A)におけるケ-ケ線断面図、(C)はコ-コ線断面図である。
【
図15】折り畳み情報通信体J3の受取人が単位シートt1及びt2を分離すると共に剥離開封した状態を示す斜視図である。
【
図16】(A)は
折り畳み情報通信体J4の
図7(A)における
オ-オ線断面図、(B)は
カ-カ線断面図である。
【
図17】(A)は縦方向の折り線19、20及び21から折り畳まれた情報通信体シートS2の平面図、(B)は(A)におけるサ-サ線断面図、(C)はシ-シ線断面図である。
【
図18】折り畳み情報通信体J4の受取人が単位シートt11及びt12を分離すると共に剥離開封した状態を示す斜視図である。
【
図19】(A)は折り畳み情報通信体J5の表面図、(B)は裏面図である。
【
図20】(A)は折り畳み情報通信体J5の
図19(A)におけるス-ス線断面図、(B)はセ-セ線断面図である。
【
図21】(A)は疑似接着フィルムシートGが被覆されると共に縦方向の折り線19、20及び21に折りミシン、横方向の折り線22に切取ミシンが形成された情報通信体シートS2の表面図、(B)は裏面図である。
【
図22】(A)は縦方向の折り線19、20及び21から折り畳まれた情報通信体シートS2の平面図、(B)は(A)におけるソ-ソ線断面図、(C)はタ-タ線断面図である。
【
図23】折り畳み情報通信体J5の受取人が単位シートt11及びt12を分離すると共に剥離開封した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下本発明を、図面に沿って分かりやすく説明する。
なお、本実施例では、疑似接着媒体として取り扱いが至便なフィルム方式(全面貼り方式)に沿って説明するが、他の構成の疑似接着媒体を用いても構わない。
【実施例1】
【0020】
[三つ折り(巻き折り)2連接の折り畳み情報通信体J1]
本実施例の折り畳み情報通信体J1は
図1(A)、(B)及び
図2(A)、(B)に記載されるものであるが、その構成は断面図である
図2(A)に示すように、上から第六葉片6、第四葉片4、第五葉片5、第二葉片2、第一葉片1及び第三葉片3の順に縦方向の折り線7及び8から折り畳まれて重ね合わされている。そして
図2(B)に示すように、第二葉片2と第五葉片5を第一葉片1と第四葉片4が、さらに第一葉片1と第四葉片4を第三葉片3と第六葉片6が挟み込むように横方向の折り線9から折り畳まれている。
【0021】
そして各葉片の対向面間が疑似接着フィルムシートGの介在により剥離可能に接着されると共に、
図2(A)に示すように、第六葉片6と第三葉片3の縦方向の折り線8と対向する側の突出した縁辺が剥離可能に接着されている。
【0022】
本実施例の折り畳み情報通信体J1の製造方法を説明すると、その製造に使用する情報通信体シートS1は、
図3(A)に示すように、横幅の関係が第一葉片1≒第二葉片2<第三葉片3の3葉片が、縦方向の折り線7及び8を介して横方向に連接された単位シートt1と、横幅の関係が第四葉片4(=第一葉片1)≒第五葉片5(=第二葉片2)<第六葉片6(=第三葉片3)の3葉片が縦方向の折り線7及び8を介して横方向に連接された、前記単位シートt1より縦幅が広い単位シートt2が、横方向の折り線9を介して第一葉片1と第四葉片4、第二葉片2と第五葉片5及び第三葉片3と第六葉片6がそれぞれ対向するように上下に配置されている。
【0023】
前記構成の情報通信体シートS1には、
図4(A)及び(B)に斜線で示すように表裏面の疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが被覆される。前記疑似接着フィルムシートGは、表面側においては
図4(A)に示すように第一葉片1と第四葉片4の全面に、また第二葉片2と第五葉片5の縦方向の折り線8に沿った一部を除き略全面に被覆されており、裏面側においては同図(B)に示すように6葉片の全面が被覆されている。
【0024】
なお後述するが、
図4(A)において情報通信体用シートS1の表面側全面を疑似接着フィルムシートGで被覆しても構わない。そうすれば折り畳み情報通信体の製造に際して、完成時の表出面を避けてスポット的に被覆する際の貼り込み位置のずれ等の精度を気にする必要がなくなるため、製造の効率が極めて高くなる。このように折り畳み情報通信体の完成時に表出する葉片面を、疑似接着フィルムシートで被覆するか否かは、その使用目的やデザイン的な効果等を勘案して決定すればよく、この点に関しては以下の各実施例においても同様である。
【0025】
なお受取人の開封動作を補助するために、開封側縁辺から疑似接着フィルムシートGを控えて被覆することにより、非接着域を設けて開封を容易にする等の補助手段を講じることができるが、本実施例では折り畳み後開封縁辺に段差が生じるようにして、前記段差を開封動作の補助手段として積極的に採用している。勿論前記二種類の補助手段を併用しても構わない。この点については以下の他の実施例においても同様である。
【0026】
また疑似接着フィルムシートGが被覆された情報通信体シートS1には、縦方向の折り線7及び8に折りミシンが、そして横方向の折り線9には切取りミシンが形成されている。それら各種ミシンのカットとアンカットの比率に制限はなく、折り手段においては折り筋等の他の折り手段に代えても良く、切取り手段においてもスリット等の他の切除手段に代えても構わない。
【0027】
既述の構成の情報通信体シートS1は
図5(A)、(B)及び(C)に示すように、縦方向の折り線7及び8から第一葉片1及び第四葉片4を他の葉片が巻き込むように折り畳まれる。そして同図(A)に破線で示す横方向の折り線9から同図(B)及び(C)に示すように、第二葉片2と第五葉片5に被覆されている疑似接着フィルムシートG同士が対向するよう二つ折りに折り畳まれて、所定の条件(加圧或いは加圧・加熱等)が施されることにより
図2(A)及び(B)に示す状態に仕上げられるのである。
【0028】
既述の構成の折り畳み情報通信体J1の受取人は、
図1(B)及び
図2(B)に示す下側の縁辺に形成されている段差を剥離の端緒として、大きく二つ折りされている単位シートt1及びt2を
図5に示す状態に剥離展開する。そして
図5(A)に示す、切取ミシンが形成されている横方向の折り線9から単位シートt1及びt2を切り離し、
図5(B)及び(C)に示すように第三葉片3及び第六葉片6の縦方向の折り線7側に形成されている段差を剥離の端緒として、
図6に示すように各葉片を順次剥離展開し内部に記載されている各種情報を、透明或いは半透明の疑似接着フィルムシートGを透して読み取ることができるのである。
【0029】
なお前記では大きく二つ折りされている単位シートt1及びt2を剥離展開した後に切り離しているが、必ずしもそのようにする必要はなく、例えば両単位シートを同時に剥離展開した後に横方向の折り線に形成されている切取ミシンから切除し分離しても構わない。
この開封時における単位シートt1とt2の分離順序に関しては以下の各実施例でも同様である。
【実施例2】
【0030】
[四つ折り(巻き折り)2連接の折り畳み情報通信体J2]
本実施例の折り畳み情報通信体J2は
図7(A)、(B)及び
図8(A)、(B)に記載されるものであるが、その構成は断面図である
図8(A)に示すように、上から第五葉片15、第七葉片17、第八葉片18、第六葉片16、第二葉片12、第四葉片14、第三葉片13及び第一葉片11の順に縦方向の折り線19、20及び21から折り畳まれて重ね合わされている。そして
図8(B)に示すように、第二葉片12と第六葉片16を第四葉片14と第八葉片18が、また第四葉片14と第八葉片18を第三葉片13と第七葉片17が、さらに第三葉片13と第七葉片17を第一葉片11と第五葉片15が挟み込むように横方向の折り線22から折り畳まれている。
【0031】
そして各葉片の対向面間が疑似接着フィルムシートGの介在により剥離可能に接着されると共に、
図8(A)に示すように、第五葉片15と第一葉片11の縦方向の折り線19と対向する側の突出した縁辺が剥離可能に接着されている。
【0032】
本実施例の折り畳み情報通信体J2の製造方法を説明すると、その製造に使用する情報通信体シートS2は、
図9(A)に示すように、横幅の関係が第一葉片11>第二葉片12≒第三葉片13≒第四葉片14の4葉片が、縦方向の折り線19、20及び21を介して横方向に連接された単位シートt11と、横幅の関係が第五葉片15(=第一葉片11)>第六葉片16(=第二葉片12)≒第七葉片17(=第三葉片13)≒第八葉片18(=第四葉片14)の4葉片が縦方向の折り線19、20及び21を介して横方向に連接された、前記単位シートt11より縦幅が広い単位シートt12が、横方向の折り線22を介して第一葉片11と第五葉片15、第二葉片12と第六葉片16、第三葉片13と第七葉片17及び第四葉片14と第八葉片18がそれぞれ対向するように上下に配置されている。
【0033】
前記構成の情報通信体シートS2には、
図10(A)及び(B)に斜線で示すように表裏面の疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが被覆される。前記疑似接着フィルムシートGは表面側においては
図10(A)に示すように、第二葉片12と第六葉片16の縦方向の折り線19に沿った一部を除きほぼ全面が被覆されると共に第三葉片13、第四葉片14、第七葉片17及び第八葉片18の全面が被覆され、また裏面側においては同図(B)に示すように8葉片の全面が被覆されている。
【0034】
また疑似接着フィルムシートGが被覆された情報通信体シートS2には、縦方向の折り線19、20及び21に折りミシンが、そして横方向の折り線22には切取りミシンが形成されている。これら各種ミシンのカットとアンカットの比率に制限はなく、折り手段においては折り筋等の他の折り手段に代えても良く、切取り手段においてもスリット等の他の切除手段に代えても構わない。
【0035】
既述の構成の情報通信体シートS2は
図11(A)、(B)及び(C)に示すように、縦方向の折り線19、20及び21から第四葉片14及び第八葉片18を他の葉片が巻き込むように折り畳まれる。そして同図(A)に破線で示す横方向の折り線22から同図(B)及び(C)に示す、第二葉片12と第六葉片16に被覆されている疑似接着フィルムシートG同士が対向するよう二つ折りに折り畳まれて、所定の条件(加圧或いは加圧・加熱等)が施されることにより
図8(A)及び(B)に示す状態に仕上げられるのである。
【0036】
既述の構成の折り畳み情報通信体J2の受取人は、
図7(B)及び
図8(B)に示す下側の縁辺に形成されている段差を剥離の端緒として、大きく二つ折りされている単位シートt11及びt12を
図11に示す状態に剥離展開する。そして
図11(A)に示す、切取ミシンが形成されている横方向の折り線22から単位シートt11及びt12を切り離し、
図11(B)及び(C)に示すように第一葉片11及び第五葉片15の縦方向の折り線20側に形成されている段差を剥離の端緒として、
図12に示すように各葉片を順次剥離展開し内部に記載されている各種情報を、透明或いは半透明の疑似接着フィルムシートGを透して読み取ることができるのである。
【実施例3】
【0037】
[三つ折り(Z折り)2連接の折り畳み情報通信体J3]
本実施例の折り畳み情報通信体J3は
図1(A)、(B)及び
図13(A)、(B)に記載されるものである。なお
図1(A)及び(B)は実施例1の折り畳み情報通信体J1の表裏面と同じであるが、同図(B)における下側縁辺で表出している葉片が、折り畳み情報通信体J1においては第五葉片5であるところ、本実施例3の折り畳み情報通信体J3においては第四葉片4であることで相違する。これは後述するが、同じ情報通信体用紙S1を使用しても折り畳み態様が異なることにより生じる相違である。
【0038】
既述の折り畳み情報通信体J3の構成は、断面図である
図13(A)に示すように、上から第六葉片6、第五葉片5、第四葉片4、第一葉片1、第二葉片2及び第三葉片3の順に縦方向の折り線7及び8から折り畳まれて重ね合わされている。そして
図13(B)に示すように、第
一葉片
1と第
四葉片
4を第二葉片2と第五葉片5が、また第二葉片2と第五葉片5を第
三葉片
3と第六葉片6が挟み込むように横方向の折り線9から折り畳まれている。
【0039】
そして各葉片の対向面間が疑似接着フィルムシートGの介在により剥離可能に接着されると共に、
図13(A)に示すように、第六葉片6と第三葉片3の縦方向の折り線7側の突出した縁辺が剥離可能に接着されている。
【0040】
本実施例の折り畳み情報通信体J3の製造方法を説明すると、その製造に使用する情報通信体シートS1は、実施例1で説明した
図3(A)及び(B)に示す情報通信体シートS1と全く同じものとなるため詳細な説明は割愛する。そして前記構成の情報通信体シートS1には、実施例1で説明したのと全く同じ状態で、
図4(A)及び(B)に斜線で示す通り表裏面の疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが被覆される。
【0041】
また疑似接着フィルムシートGが被覆された情報通信体シートS1に施される折りミシンや、横方向の折り線9に形成される切取りミシンについても全く同様である。
【0042】
そして既述の構成の情報通信体シートS1は
図14(A)、(B)及び(C)に示すように、縦方向の折り線7及び8から第二葉片2及び第五葉片5を中心に断面S字状に他の葉片が折り畳まれる。なお図面では断面S字状であるが逆方向から見ればZ字状となり、このような蛇腹状の折り畳み態様は業界でZ折りと称される。
【0043】
続いて
図14(A)に破線で示す横方向の折り線9から同図(B)及び(C)に示すように、第一葉片1と第四葉片4に被覆されている疑似接着フィルムシートG同士が対向するよう二つ折りに折り畳まれて、所定の条件(加圧或いは加圧・加熱等)が施されることにより
図13(A)及び(B)に示す状態に仕上げられるのである。
【0044】
既述の構成の折り畳み情報通信体J3の受取人は、
図1(B)及び
図13(B)に示す下側の縁辺に形成されている段差を剥離の端緒として、大きく二つ折りされている単位シートt1及びt2を
図14に示す状態に剥離展開する。そして
図14(A)に示す、切取ミシンが形成されている横方向の折り線9から単位シートt1及びt2を切り離し、
図14(B)及び(C)に示すように第三葉片3及び第六葉片6の縦方向の折り線7側に形成されている段差を剥離の端緒として、
図15に示すように各葉片を順次剥離展開し内部に記載されている各種情報を、透明或いは半透明の疑似接着フィルムシートGを透して読み取ることができるのである。
【実施例4】
【0045】
[四つ折り(蛇腹折り)2連接の折り畳み情報通信体J4]
本実施例の折り畳み情報通信体J4は
図7(A)、(B)及び
図16(A)、(B)に記載されるものである。なお
図7(A)及び(B)は実施例2の折り畳み情報通信体J2の表裏面と同じであるが、同図(B)における下側縁辺で表出している葉片が、折り畳み情報通信体J2においては第六葉片16であるところ、本実施例3の折り畳み情報通信体J4においては第八葉片18であることで相違する。これは後述するが、同じ情報通信体用紙S2を使用しても折り畳み態様が異なることにより生じる相違である。
【0046】
既述の折り畳み情報通信体J4の構成は、断面図である
図16(A)に示すように、上から第五葉片15、第六葉片16、第七葉片17、第八葉片18、第四葉片14、第三葉片13、第二葉片12及び第一葉片11の順に縦方向の折り線19、20及び21から折り畳まれて重ね合わされている。そして
図16(B)に示すように、第四葉片14と第八葉片18を第三葉片13と第七葉片17が、第三葉片13と第七葉片17を第二葉片12と第六葉片16が、また第二葉片12と第六葉片16を第一葉片11と第五葉片15が挟み込むように横方向の折り線22から折り畳まれている。
【0047】
そして各葉片の対向面間が疑似接着フィルムシートGの介在により剥離可能に接着されると共に、
図16(A)に示すように、第五葉片15と第一葉片11の縦方向の折り線20側の突出した縁辺が剥離可能に接着されている。
【0048】
本実施例の折り畳み情報通信体J4の製造方法を説明すると、その製造に使用する情報通信体シートS2は、実施例2で説明した
図9(A)及び(B)に示す情報通信体シートS2と全く同じものとなるため詳細な説明は割愛する。そして前記構成の情報通信体シートS2には、実施例2で説明したのと全く同じ状態で、
図10(A)及び(B)に斜線で示す通り表裏面の疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが被覆される。
【0049】
また疑似接着フィルムシートGが被覆された情報通信体シートS2に施される折りミシンや、横方向の折り線22に形成される切取りミシンについても全く同様である。
【0050】
そして既述の構成の情報通信体シートS2は
図17(A)、(B)及び(C)に示すように、縦方向の折り線19、20及び21から各葉片が蛇腹状になるように折り畳まれる。
【0051】
続いて
図17(A)に破線で示す横方向の折り線22から同図(B)及び(C)に示すように、第四葉片14と第八葉片18に被覆されている疑似接着フィルムシートG同士が対向するよう二つ折りに折り畳まれて、所定の条件(加圧或いは加圧・加熱等)が施されることにより
図16(A)及び(B)に示す状態に仕上げられるのである。
【0052】
既述の構成の折り畳み情報通信体J4の受取人は、
図1(B)及び
図16(B)に示す下側の縁辺に形成されている段差を剥離の端緒として、大きく二つ折りされている単位シートt11及びt12を
図18に示す状態に剥離展開する。そして
図17(A)に示す、切取ミシンが形成されている横方向の折り線22から単位シートt11及びt12を切り離し、
図17(B)及び(C)に示すように第一葉片11及び第五葉片15の縦方向の折り線20側に形成されている段差を剥離の端緒として、
図18に示すように各葉片を順次剥離展開し内部に記載されている各種情報を、透明或いは半透明の疑似接着フィルムシートGを透して読み取ることができるのである。
【実施例5】
【0053】
[四つ折り(巻き4つ折り)2連接の折り畳み情報通信体J5]
本実施例の折り畳み情報通信体J5は
図19(A)、(B)及び
図20(A)、(B)に記載されるものである。そしてその構成は、断面図である
図20(A)に示すように、上から第五葉片15、第八葉片18、第七葉片17、第六葉片16、第二葉片12、第三葉片13、第四葉片14及び第一葉片11の順に縦方向の折り線19、20及び21から折り畳まれて重ね合わされている。そして
図20(B)に示すように、第二葉片12と第六葉片16を第三葉片13と第七葉片17が、また第三葉片13と第七葉片17を第四葉片14と第八葉片18が、さらに第四葉片14と第八葉片18を第一葉片11と第五葉片15が挟み込むように横方向の折り線22から折り畳まれている。
【0054】
そして各葉片の対向面間が疑似接着フィルムシートGの介在により剥離可能に接着されると共に、
図20(A)に示すように、第五葉片15と第一葉片11の縦方向の折り線20側の突出した縁辺が剥離可能に接着されている。
【0055】
本実施例の折り畳み情報通信体J5の製造方法を説明すると、その製造に使用する情報通信体シートS2は、実施例2で説明した
図9(A)及び(B)に示す情報通信体シートS2と全く同じものとなるため詳細な説明は割愛する。そして前記構成の情報通信体シートS2には、
図21(A)及び(B)に斜線で示す通り表裏面の疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが被覆される。なお実施例2の情報通信体シートS2への被覆状態との相違は、第一葉片11及び第五葉片15の表面にまで被覆されているか否かである。
【0056】
折り畳み情報通信体の完成後に表出葉片面への疑似接着フィルムシートGの被覆に関しては、既述の通り製造の容易さやデザイン的なメリット等を勘案してなされるが、前記表出葉片面にまで被覆するか否かの選択は自由で、既述の実施例においても同様である。即ち前記実施例1から4においても同様に被覆されていても構わない。
【0057】
また疑似接着フィルムシートGが被覆された情報通信体シートS2に施される折りミシンや、横方向の折り線22に形成される切取りミシンについても全く同様である。
【0058】
そして既述の構成の情報通信体シートS2は
図22(A)、(B)及び(C)に示すように、縦方向の折り線19、20及び21から巻き四つ折り状態に各葉片が折り畳まれる。
【0059】
続いて
図22(A)に破線で示す横方向の折り線22から同図(B)及び(C)に示すように、第二葉片12と第六葉片16に被覆されている疑似接着フィルムシートG同士が対向するよう二つ折りに折り畳まれて、所定の条件(加圧或いは加圧・加熱等)が施されることにより
図20(A)及び(B)に示す状態に仕上げられるのである。
【0060】
既述の構成の折り畳み情報通信体J5の受取人は、
図19(B)及び
図20(B)に示す下側の縁辺に形成されている段差を剥離の端緒として、大きく二つ折りされている単位シートt11及びt12を
図19に示す状態に剥離展開する。そして
図22(A)に示す、切取ミシンが形成されている横方向の折り線22から単位シートt11及びt12を切り離し、
図22(B)及び(C)に示すように第一葉片11及び第五葉片15の縦方向の折り線20側に形成されている段差を剥離の端緒として開封を開始し、最終的に
図23に示すように各葉片を剥離展開し内部に記載されている各種情報を、透明或いは半透明の疑似接着フィルムシートGを透して読み取ることができるのである。
【0061】
なお本発明は上記実施例に限定されるものではない。
例えば、上下に連接される単位シートは2葉片以上の複数から構成されていれば構わず、折り畳みの態様にも限定はない。実施例では巻き折りと蛇腹折りに関して記載されているが、前記折り態様の混合形態でも構わず、さらに観音開き折り等の態様でも構わない。
また、疑似接着媒体の種類にも限定はなく、既述の各種類の疑似接着媒体を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
J1、J2、J3、J4、J5 折り畳み情報通信体
S1、S2 情報通信体シート
t1、t2、t11、t12 単位シート
G 疑似接着フィルムシート
1、2、3、4、5、6、11、12、13、14、15、16、17、18 葉片
7、8、19、20、21 縦方向の折り線
9、22 横方向の折り線