(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】連結装置
(51)【国際特許分類】
F16L 37/23 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
F16L37/23
(21)【出願番号】P 2020076997
(22)【出願日】2020-04-23
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】391003989
【氏名又は名称】株式会社コスメック
(72)【発明者】
【氏名】土田 武司
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-019978(JP,A)
【文献】特開2007-092887(JP,A)
【文献】特開2005-188670(JP,A)
【文献】特開2010-105111(JP,A)
【文献】特開2001-038564(JP,A)
【文献】特開平11-333649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け部材(4)に可動部材(7)を着脱可能に連結する連結装置において、
前記可動部材(7)の筒状先端部分(14a)内に軸方向に移動可能となるように挿入される出力ロッド(19)と、
前記筒状先端部分(14a)の筒壁に貫通される案内孔(24)内で移動可能に挿入される係合ボール(25)であって、前記出力ロッド(19)の前記軸方向の移動によって前記筒状先端部(14a)の外周面から径方向の外方へ突出する係合ボール(25)と、
前記筒状先端部分(14a)が挿入可能となるように前記受け部材(4)に形成される挿入孔(31)と、
前記係合ボール(25)が挿入可能となるように前記挿入孔(31)の内周壁に形成される凹部(32)と、
前記筒状先端部分(14a)の外周壁に形成される第1係合部(35)と、
前記筒状先端部分(14a)の外周壁であって、前記第1係合部(35)とは別の位置に形成される第2係合部(36)と、
前記第1係合部(35)に当接可能となるように前記挿入孔(31)の内周壁に形成される第1係止部(37)と、
前記第2係合部(36)に当接可能となるように前記挿入孔(31)の内周壁に形成される第2係止部(38)と、を備え、
前記筒状先端部分(14a)が前記挿入孔(31)に挿入された状態で、前記挿入孔(31)の軸心に対して前記筒状先端部分(14a)の軸心が傾斜するときに、前記第1係合部(35)が前記第1係止部(37)に係合すると共に、前記第2係合部(36)が前記第2係止部(38)に係合することにより、前記係合ボール(25)と前記凹部(32)との間、または、前記係合ボール(25)と前記出力ロッド(19)との間に隙間が形成されることを特徴とする連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定側の受け部材に可動部材を着脱可能に連結することができる連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、従来では、下記の特許文献1に記載されたものがある。その従来技術は、次のように構成されている。
従来の連結装置は、第1ブロックの右端面から右方へ突設される受け部材と、第2ブロックに設けられる可動部材としてのハンドルとを備える。そのハンドルの筒状先端部材の筒孔に受け部材が挿入可能となっている。筒状先端部材の筒壁に複数の案内孔が径方向に形成され、各案内孔に係合ボールが当該案内孔内で移動可能に挿入される。筒状先端部材の外周側に外嵌めされる筒状の操作部材が、カム機構によって左右方向に移動されるように構成される。その操作部材の内周壁に退避部が形成され、その退避部に係合ボールが挿入可能となっている。退避部の左側に受け止め部が形成される。そして、第1ブロックと第2ブロックとを連結させるときには、まず、受け部材が筒状先端部材によって外嵌めされる。次いで、そのカム機構の回転ハンドルを回して操作部材を右方に移動させて、その操作部材の退避部の周壁が係合ボールを径方向の内方へ押していく。すると、操作部材の受け止め部が係合ボールに対面する位置まで当該操作部材が移動されて停止する。これにより、その係合ボールが、受け部材の外周壁に周方向に形成される係止溝に挿入される。その結果、受け部材に可動部材としてのハンドルが連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術は次の問題がある。
上記の従来技術では、連結装置が連結した状態において、受け部材の軸方向に対して交差する方向に外力がハンドルに作用して、受け部材の軸方向に対してハンドルの軸方向が傾斜した状態になることがある。この場合、その外力が係止溝の周壁を介して係合ボールを受け止め部に強固に押圧する。このため、従来の連結装置において、傾斜状態では、連結状態を解除する操作ができない、または、操作が困難であった。
本発明の目的は、可動部材が受け部材に対して傾斜した状態であっても円滑に連結解除操作できる連結装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、第1の本発明は、例えば、
図1から
図5A,
図5Bに示すように、次のように構成した。
【0006】
上記の連結装置は、受け部材4に可動部材7を着脱可能に連結させるものである。前記可動部材7の筒状先端部分14a内に出力ロッド19が軸方向に移動可能となるように挿入される。前記筒状先端部分14aの筒壁に貫通される案内孔24内で移動可能に挿入される係合ボール25が、前記出力ロッド19の前記軸方向の移動によって前記筒状先端部分14aの外周面から径方向の外方へ突出する。前記筒状先端部分14aが挿入可能となるように挿入孔31が前記受け部材4に形成される。前記係合ボール25が挿入可能となるように凹部32が前記挿入孔31の内周壁に形成される。前記筒状先端部分14aの外周壁に第1係合部35が形成される。前記筒状先端部分14aの外周壁であって、前記第1係合部35とは別の位置に第2係合部36が形成される。前記第1係合部35に当接可能となるように第1係止部37が前記挿入孔31の内周壁に形成される。前記第2係合部36に当接可能となるように第2係止部38が前記挿入孔31の内周壁に形成される。前記筒状先端部分14aが前記挿入孔31に挿入された状態で、前記挿入孔31の軸心に対して前記筒状先端部分14aの軸心が傾斜するときに、前記第1係合部35が前記第1係止部37に係合すると共に、前記第2係合部36が前記第2係止部38に係合する。このため、前記係合ボール25と前記凹部32との間、または、前記係合ボール25と前記出力ロッド19との間に隙間が形成される。
【0007】
上記の第1の本発明は次の作用効果を奏する。
筒状先端部分が挿入孔に挿入されて、挿入孔の軸心に対して筒状先端部分の軸心が傾斜した傾斜状態で、第1係合部が第1係止部に係合すると共に、第2係合部が第2係止部に係合する。これにより、連結装置が上記のような傾斜状態となることにより、凹部の周壁が係合ボールを出力ロッドに向けて押すが、前記係合ボールと前記凹部との間、または、前記係合ボールと前記出力ロッドとの間に隙間が形成される。その結果、出力ロッドを軸方向に円滑に移動させることができる。
【0008】
上記の目的を達成するため、第2の本発明は、例えば、
図6から
図8A,8Bに示すように、次のように構成した。
【0009】
上記の連結装置は、受け部材4に可動部材7を着脱可能に連結させるものである。前記可動部材7の筒状先端部分54aの外側に筒状の出力ロッド59が軸方向に移動可能となるように外嵌めされる。前記筒状先端部分54aの筒壁に貫通される案内孔64内で移動可能に挿入される係合ボール65が、前記出力ロッド59の前記軸方向の移動によって前記筒状先端部54aの内周面から径方向の内方へ突出する。前記筒状先端部分54aによって外嵌されることが可能となるように受け部材4が構成される。前記係合ボール65が挿入可能となるように凹部72が前記受け部材4の外周壁に形成される。前記筒状先端部分54aの内周壁に第1係合部75が形成される。前記筒状先端部分54aの内周壁であって、第1係合部75とは別の位置に第2係合部76が形成される。前記第1係合部75に当接可能となるように第1係止部77が前記受け部材4の外周壁に形成される。前記第2係合部76に当接可能となるように第2係止部78が前記受け部材4の外周壁に形成される。前記筒状先端部分54aによって前記受け部材4が外嵌めされた状態で、前記受け部材4の軸心に対して前記筒状先端部分54aの軸心が傾斜するときに、前記第1係合部35が前記第1係止部77に係合すると共に、前記第2係合部76が前記第2係止部78に係合することにより、前記係合ボール65と前記凹部72との間、または、前記係合ボール65と前記出力ロッド59との間に隙間が形成される。
【0010】
上記の第2の本発明は次の作用効果を奏する。
筒状先端部分が受け部材を外嵌めして、受け部材の軸心に対して筒状先端部分の軸心が傾斜した傾斜状態で、第1係合部が第1係止部に係合すると共に、第2係合部が第2係止部に係合する。これにより、連結装置が上記のような傾斜状態となることにより、凹部の周壁が係合ボールを出力ロッドに向けて押すが、前記係合ボールと前記凹部との間、または、前記係合ボールと前記出力ロッドとの間に隙間が形成される。その結果、出力ロッドを軸方向に円滑に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態を示し、連結装置の離脱状態を示す部分断面図である。
【
図4】
図4は、上記連結装置の連結状態を示す部分断面図である。
【
図5】
図5Aは、上記連結装置の連結状態を示す図であって、ハンドルが受け部材に対して傾斜した状態を示す部分拡大図である。
図5Bは、上記第1実施形態の変形例を示し、
図5Aに類似する図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態を示し、連結装置の離脱状態を示す部分断面図である。
【
図7】
図7は、上記連結装置の連結状態を示す部分断面図である。
【
図8】
図8Aは、上記連結装置の連結状態を示す図であって、ハンドルが受け部材に対して傾斜した状態を示す部分拡大図である。
図8Bは、上記第2実施形態の変形例を示し、
図8Aに類似する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1から
図5Aに示す第1実施形態では、固定側の第1ブロック1に可動側の第2ブロック2を連結させる連結装置に本発明を適用した場合を例示してある。本発明の第1実施形態の連結装置は、次のように構成されている。
【0013】
上記の第1ブロック1には、第1継手3と2つの受け部材4が装着される。また、可動側の第2ブロック2には、第2継手6と2つのハンドル(可動部材)7が装着される。第1継手3内に第1流路9が設けられると共に、上記第2継手6内に第2流路10が設けられる。
【0014】
上記の第2ブロック2の上端部に形成された装着孔13に筒状のハンドル本体14が挿入されて固定される。このハンドル本体14の右端部にグリップ部15が設けられている。そのグリップ部15の左側であって、ハンドル本体14の外周壁の外側に、筒状の操作部材16が軸方向に移動可能に外嵌めされる。その操作部材16の右端部にフランジ部17が径方向の外方へ突出するように周方向に形成される。そのフランジ部17は、連結装置を取り扱う作業者が指で引っ張り操作できるような形状になっている。また、ハンドル本体14の左端面に筒孔18が開口される。この筒孔18内に出力ロッド19が軸方向に移動可能に挿入される。出力ロッド19と操作部材16とがピン部材20によって連結され、そのピン部材20が操作部材16の外周面から径方向の外方に突設されている。そのハンドル本体14の筒孔18内であって、その筒孔18の底面とピン部材20の右端面との間にバネ21が装着され、そのバネ21がハンドル本体14に対して出力ロッド19を左方に付勢する。
【0015】
上記ハンドル本体14の左部にロック機構が設けられ、ロック機構は次のように構成される。
上記のハンドル本体14の左部(先端部)に形成される筒状先端部分14aの筒壁に2つの案内孔24が筒孔の径方向に貫通される。各案内孔24に係合ボール25が当該案内孔24の軸方向へ移動可能となるように挿入される。また、出力ロッド19の左端部の外周壁に退避溝(退避部)26が凹状に形成され、その退避溝26内に係合ボール25が挿入可能となっている。その係合ボール25が案内孔24から外方に突出するのを防止する筒状のカバー部材27が、ハンドル本体14の左端部の外周壁に当該ハンドル本体14の軸方向に移動可能となるように外嵌めされる。このカバー部材27の筒孔の左端部に径方向の内方へ突設される突起部と、ハンドル本体14の外周壁に径方向の外方へ突設される突起部との間にバネ28が装着される。そのバネ28がカバー部材27を左方に付勢する。カバー部材27の右部の内周壁に止め輪が装着され、その止め輪によってカバー部材27がハンドル本体14から抜け止めされている。
【0016】
上記の受け部材4に挿入孔31が形成され、その挿入孔31にハンドル本体14の筒状先端部分14aが挿入される。挿入孔31の内周壁に係止溝(凹部)32が周方向に形成され、その係止溝32に係合ボール25が挿入可能となっている。
【0017】
図5Aに示すように、ハンドル本体14の筒状先端部分14aに小径部と大径部とが左側から順に形成される。その小径部の外周壁に第1係合部35が形成されると共に、大径部の外周壁に第2係合部36が形成される。その第1係合部35が当接可能な第1係止部37が、受け部材4の挿入孔31の内周壁であって底面側に形成される。また、第2係合部36が当接可能な第2係止部38が、受け部材4の挿入孔31の内周壁であって開口部側に形成される。なお、第2係合部36と第2係止部38との係合隙間の寸法は、第1係合部35と第1係止部37との係合隙間の寸法よりも狭くなるように設定されている。なお、本実施形態において、第1係合部35は、案内孔24を挟んで第2係合部36の反対側(左側)に設けられる。第1係止部37は、係止溝32を挟んで第2係止部38の反対側(左側)に設けられる。
【0018】
図1に示すように、第2ブロック2の下端部に、上側のハンドル7と同様の下側のハンドル7が装着される。その下側のハンドル7は、上側のハンドル7とは次の点で相違する。ハンドル7の操作部材16の外周面からピン部材20が径方向の外方に突出しているのに対して、下側のハンドル7のピン部材20(図示せず)は径方向の外方に突出していない点である。
【0019】
上記の連結装置は次のように動作する。
作業者は、
図1に示すハンドル7のグリップ部15を握って、ハンドル本体14の筒状先端部分14aを第1ブロック1の受け部材4の挿入孔31に挿入していく。すると、
図2に示すように、ロック機構のカバー部材27の左端面が、第1ブロック1の受け部材4の右端面に当接する。次いで、
図3に示すように、第1継手3の右端面に第2継手6の左端面が当接する。このとき、受け部材4に係合されたカバー部材27がバネ28の付勢力に抗してハンドル本体14に対して右側の後退位置へ移動されている。また、係合ボール25が挿入孔31の係止溝32に対面する位置に移動されている。このため、係合ボール25は径方向の外方へ移動可能となっている。その後、
図4に示すように、バネ21がピン部材20を介して出力ロッド19を左方に移動させていくと、その出力ロッド19の退避溝26の周壁(押し出し部)41が係合ボール25を径方向の外方へ押し出していく。その係合ボール25が係止溝32に挿入されると共に、出力ロッド19の受け止め部42に係合隙間をあけて対面する。これにより、第1ブロック1に第2ブロック2が連結装置によって連結される。
【0020】
なお、バネ21によって出力ロッド19が左方に移動されていく途中で、出力ロッド19に連結されるピン部材20が、操作弁43の弁部材44に当接して操作する。すると、圧縮エア供給源からの圧縮エアが操作弁43を介して第2継手6及び第1継手3を開弁動作させる。これにより、第1継手3内の第1流路9と第2継手6内の第2流路10とが連結(連通)される。
【0021】
なお、連結装置の連結状態において、第1ブロック1から離れる方向に外力が第2ブロック2に作用するときに、その外力がハンドル本体14を右方に移動させようとする。そのハンドル本体14に形成される案内孔24の左側内周壁が係合ボール25を右側へ押して、その係合ボール25が係止溝32の周壁を押す。係合ボール25が係止溝32を押した力の反力が係合ボール25を径方向の内方へ押して、その係合ボール25が出力ロッド19の受け止め部42によって受け止められる。これにより、係合ボール25は、ハンドル本体14の外周面より径方向の外方へ突出した状態が維持される。その結果、上記外力が第2ブロック2に作用しても、ハンドル本体14は、第1ブロック1の受け部材4から抜き出せなくなっている(ロック状態になっている)。なお、第1ブロック1から離れる方向に外力が第2ブロック2に作用する状態では、ハンドル本体14の案内孔24と係合ボール25と受け止め部42と受け部材4の係止溝32とが強力に篏合する。このため、作業者が操作部材16のフランジ部17を右方に移動させるように操作しようとしても、移動させることが困難、または、移動させることができない状態となっている。
【0022】
上記の連結装置の連結状態を解除して第1継手3から第2継手6を離脱させるときには、作業者は、バネ21の付勢力に抗するように操作部材16のフランジ部17をハンドル本体14に対して右方に引いていく。すると、ピン部材20を介して出力ロッド19が右方に移動されていく。すると、係合ボール25が退避溝26に対面する位置に、出力ロッド19が到達する。このため、係合ボール25は径方向の内方に移動可能になる。従って、作業者は、ハンドル7のグリップ部15を握って、第1ブロック1に対して第2ブロック2を右方に移動させることにより、受け部材4の挿入孔31からハンドル本体14の筒状先端部分14aを抜き出すことができる。なお、ハンドル本体14が挿入孔31から抜き出されることにより、係合ボール25は、係止溝32の周壁によって径方向の内方に向けて押されて、退避溝26内に挿入される。これにより、第1ブロック1から第2ブロック2が離脱される。
【0023】
また、作業者がフランジ部17を介してピン部材20を右方に移動させていく途中で、ピン部材20が操作弁43の弁部材44を操作するのを止める。これにより、操作弁43が閉弁されて、次いで、第1継手3および第2継手6が閉弁操作される。その結果、第1継手3内の第1流路9と第2継手6内の第2流路10との間が遮断される。
【0024】
上述した連結装置の連結状態において、
図5Aに示すように、第1ブロック1の受け部材4の軸心に対して第2ブロック2のハンドル本体14の軸心が傾斜することがある(以下、傾斜状態という)。例えば、第1ブロック1側の部材、または、第2ブロック2側の部材に、上下方向、または、ハンドル本体14の軸心に対して交差する方向に外力が作用する場合である。また、第2ブロック2に装着される複数のハンドルのうちの一部のハンドルが、他のハンドルに比べて遅れて連結解除操作されるときに、他のハンドルは連結解除されているが一部のハンドルの連結が解除されていない場合などである。
【0025】
ここで、前述した従来の連結装置では、本実施形態のような第1係合部35,第2係合部36,第1係止部37,第2係止部38を備えていない。このため、受け部材の挿入孔の軸心に対してハンドル本体の軸心が時計回り方向に傾斜している場合に、出力ロッドの受け止め部が係合ボールを介して受け部材の係止溝の周壁に向けて押して、出力ロッド,ハンドル本体,係合ボール,受け部材の係合部分が強力に篏合する。すなわち、連結状態において、第1ブロックと第2ブロックとを離間させるように外力が作用する場合と同様に、ロック機構を構成する部材同士が強力に篏合する。これにより、従来の連結装置では、傾斜状態で作業者が操作部材のフランジ部を右方に移動させるように操作しようとしても、移動させることが困難、または、移動させることができない状態となっている。これに対して、本実施形態の連結装置では、
図5Aに示すように、傾斜状態で、ハンドル本体14の筒状先端部材14aの左上部に形成される第1係合部35が受け部材4の挿入孔31の第1係止部37に係合されると共に、筒状先端部材14aの右下部に形成される第2係合部36が挿入孔31の第2係止部38に係合される。このとき、出力ロッド19の受け止め部42が係合ボール25を介して受け部材4の係止溝32の周壁に向けて押すが、係止溝32と係合ボール25との間、または、係合ボール25と受け止め部42との間に隙間が形成されるので、出力ロッド19,ハンドル本体14,係合ボール25,受け部材4の間に強力な外力が作用することがない。これにより、傾斜状態であっても、作業者は、傾斜状態でない場合と同様の小さな力で操作部材16のフランジ部17を右方に円滑に移動させることができる。
【0026】
図5Bは、
図1から
図5Aに示す第1実施形態の連結装置の変形例を示す。この変形例と第1実施形態との相違点は次のとおりである。
【0027】
上記の
図5Aに示す第1実施形態では、第1係合部35が案内孔24を挟んで第2係合部36の反対側(左側)に設けられている。また、第1係止部37が係止溝32を挟んで第2係止部38の反対側(左側)に設けられている。これに対して、
図5Bに示す第1実施形態の変形例では、第1係合部35と第2係合部36とが筒状先端部分14aの外周壁であって、案内孔24の左側に設けられている。また、第1係止部37と第2係止部38とが、挿入孔31の内周面であって、係止溝32の左側に設けられている。本実施形態の変形例で示す連結装置では、上記のような傾斜状態で、ハンドル本体14の第1係合部35が受け部材4の挿入孔31の第1係止部37に係合すると共に、ハンドル本体14の第2係合部36が挿入孔31の第2係止部38に係合する。このとき、出力ロッド19の受け止め部42が係合ボール25を介して受け部材4の係止溝32の周壁に向けて押すが、係止溝32と係合ボール25との間、または、係合ボール25と受け止め部42との間に隙間が形成されるので、出力ロッド19,ハンドル本体14,係合ボール25,受け部材4の間に強力な外力が作用することがない。その結果、上記のような傾斜状態であっても、作業者は、傾斜状態でない場合と同様の小さな力で操作部材16のフランジ部17を右方に円滑に移動させることができる。
【0028】
なお、上記の第1実施形態の変形例のように、第1係合部35と第2係合部36とが案内孔24の左側に設けられると共に、第1係止部37と第2係止部38とが退避溝26の左側に設けられることに代えて、第1係合部35と第2係合部36とが案内孔24の右側に設けられると共に、第1係止部37と第2係止部38とが係止溝32の右側に設けられるようにしてもよい。
【0029】
図6から
図8Aは、本発明の第2実施形態を示している。この第2実施形態においては、上記の第1実施形態の構成部材と同じ部材(または類似する部材)には原則として同一の参照数字を付けて説明する。
【0030】
第2実施形態の連結装置は、第1実施形態の連結装置に対して、可動部材としてのハンドル7および受け部材4の構成が異なっており、次のように構成されている。第2ブロック2の装着孔53に筒状のハンドル本体54が挿入されて固定される。このハンドル本体54の右部にグリップ部55が設けられている。そのグリップ部55の左側であって、ハンドル本体54の外周壁の外側に、筒状の操作部材56が左右方向(軸方向)に移動可能に外嵌めされる。その操作部材56の右端部にフランジ部57が径方向の外方へ突出するように周方向に形成される。そのフランジ部57は、連結装置を取り扱う作業者が指で引っ張り操作できるような形状になっている。操作部材56から筒状の出力ロッド59が当該操作部材56に一体となるように左方に突設される。ハンドル本体54の左端面に筒孔58が開口される。フランジ部57の外周壁からピン部材60が操作部材56の径方向の外方に向けて突設される。ハンドル本体54の外周壁に形成された段差部と、出力ロッド59の内周壁に形成された段差部との間にバネ61が装着され、そのバネ61がハンドル本体54に対して出力ロッド59を左方に付勢する。
【0031】
ハンドル7はハンドル本体54のロック機構を有し、このロック機構は次のように構成される。
上記のハンドル本体54の筒状先端部分54aの筒壁に案内孔64が筒孔58の径方向に貫通される。その案内孔64に係合ボール65が当該案内孔64の軸方向へ移動可能となるように挿入される。また、筒状の出力ロッド59の内周壁に退避部66が形成され、その退避部66内に係合ボール65が挿入可能となっている。ハンドル本体54の筒孔58に筒状のカバー部材67が左右方向(当該筒孔58の軸方向径内方向)に移動可能に挿入される。そのカバー部材67の右端面と筒孔58の底面との間にバネ68が装着され、そのバネ68がハンドル本体54に対してカバー部材67を左方へ付勢する。そのバネ68によってカバー部材67が左端位置に移動されることにより、案内孔64の開口部を覆っている。これにより、案内孔64から係合ボール65が筒孔58の内周面より径方向の内方に突出するのを防止している。
【0032】
本実施形態の第1ブロック1の右端面から受け部材4が右方に向けて突設される。その受け部材4が、ハンドル本体54の左部に形成される筒孔58に外嵌めされることが可能となるように構成されている。この受け部材4の外周壁に係止溝(凹部)72が周方向に形成され、その係止溝72に係合ボール65が挿入できるようになっている。
【0033】
上記ハンドル本体54の筒孔58の内周壁には、右側から順に第1係合部75と第2係合76とが形成される。また、受け部材4は、右側(先端側)から順に形成される小径部と大径部とを有する。その小径部の外周壁に第1係止部77が形成され、その第1係止部77に第1係合部75が当接可能となっている。受け部材4の大径部の外周壁に第2係止部78が形成され、その第2係止部78に第2係合部76が当接可能となっている。なお、第2係合部76と第2係止部78との係合隙間の寸法は、第1係合部75と第1係止部77との係合隙間の寸法よりも狭くなるように設定されている。
【0034】
なお、第2ブロック2の下部に取り付けられた下側のハンドル7は、ピン部材60を有していない。それ以外の構成は、上側のハンドル7の構成と同じである。
【0035】
上記構成の連結装置は次のように動作する。
作業者は、ハンドル7のグリップ部55を握って、ハンドル本体54の筒孔58を第1ブロック1の受け部材4に外嵌めしていく。すると、ロック機構のカバー部材67の左端面が、受け部材4の右端面に当接する。次いで、第1継手3の右端面に第2継手6の左端面が当接する。このとき、受け部材4に係合されたカバー部材67がバネ68の付勢力に抗して後退位置(右側限界位置)へ移動されている。また、係合ボール65が受け部材4の係止溝72に対面する位置に移動されている。このため、係合ボール65は径外方向への移動が可能となっている。
【0036】
次いで、バネ61が出力ロッド59を左方に移動させていくと、その出力ロッド59の退避部66の周壁(押し出し部)81が係合ボール65を径方向の内方へ押し出していく。その係合ボール65が係止溝72に挿入されると共に、出力ロッド59の受け止め部82に係合隙間をあけて当接可能に対面する。これにより、
図7に示すように、係合ボール65が案内孔64から筒孔58の径方向の内方へ突出して、係止溝72に挿入された状態が維持される。その結果、第1ブロック1に第2ブロック2が連結装置によって連結される。
【0037】
なお、バネ68によって出力ロッド59が左方に移動されていく途中で、出力ロッド59に連結されるピン部材60が、操作弁43の弁部材44を操作する。すると、圧縮エア供給源からの圧縮エアが操作弁43を介して第2継手6及び第1継手3を開弁動作させる。これにより、第1継手3内の第1流路9と第2継手6内の第2流路10とが連結(連通)される。
【0038】
なお、連結装置の連結状態において、第1ブロック1から離れる方向に外力が第2ブロック2に作用するときに、その外力がハンドル本体54を右方に移動させようとする。そのハンドル本体54の案内孔64の左側内周壁が係合ボール65を右側へ押して、その係合ボール65が係止溝72の周壁を押す。係合ボール65が係止溝72を押した力の反力が係合ボール65を径方向の外方へ押して、その係合ボール65が出力ロッド59の受け止め部82によって受け止められる。これにより、係合ボール65は、ハンドル本体54の外周面より径方向の外方へ突出した状態が維持される。その結果、上記外力が第2ブロック2に作用しても、ハンドル本体54は、第1ブロック1の受け部材4から抜き出せなくなっている(ロック状態になっている)。なお、第1ブロック1から離れる方向に外力が第2ブロック2に作用する状態では、ハンドル本体54の案内孔64と係合ボール65と受け止め部82と受け部材4の係止溝72とが強力に篏合する。このため、作業者が操作部材16のフランジ部57を右方に移動させるように操作しようとしても、移動させることが困難、または、移動させることができない状態となっている。
【0039】
上記の連結装置の連結状態を解除して第1継手3から第2継手6を離脱されるときには、作業者は、バネ61の付勢力に抗するように操作部材56のフランジ部57をハンドル本体54に対して右方に引いていく。すると、ピン部材60を介して出力ロッド59が右方に移動されていく。その後、係合ボール65が、退避部66に対面する位置に出力ロッド59が到達する。これにより、係合ボール65は径方向の内方に移動可能になる。その結果、作業者は、ハンドル7を握って、第1ブロック1に対して第2ブロック2を右側に移動させることにより、受け部材4からハンドル本体54を取り出すことができる。このとき、係合ボール65は、係止溝72の周壁によって径方向の内方に向けて押されて、退避部66内に挿入される。これにより、第1ブロック1から第2ブロック2が離脱される。
【0040】
また、作業者がフランジ部57を介してピン部材60を右方に移動させていく途中で、ピン部材60が操作弁43の弁部材44を操作するのを止める。これにより、操作弁43が閉弁されて、次いで、第1継手3および第2継手6が閉弁操作される。その結果、第1継手3内の第1流路9と第2継手6内の第2流路10との間が遮断される。
【0041】
上述した連結装置の連結状態において、
図8Aに示すように、第1ブロック1の受け部材4の軸心に対して第2ブロック2のハンドル本体54の軸心が傾斜することがある。例えば、第1ブロック1側の部材、または、第2ブロック2側の部材に、上下方向(ハンドル本体54の軸心に対して交差する方向)に外力が作用する場合である。また、第2ブロック2に装着される複数のハンドルのうちの一部のハンドルが、他のハンドルに比べて遅れて連結解除操作されるときに、他のハンドルは連結解除されているが一部のハンドルの連結が解除されていない場合などである。
【0042】
ここで、前述した従来の連結装置では、本実施形態のような第1係合部75,第2係合部76,第1係止部77,第2係止部78を備えていない。このため、受け部材の軸心に対してハンドル本体の軸心の軸心が時計回り方向に傾斜する場合に、出力ロッドの受け止め部が係合ボールを介して受け部材の係止溝の周壁に向けて押して、出力ロッド,ハンドル本体,係合ボール,受け部材の係合部分が強力に篏合する。これにより、第1ブロックと第2ブロックとが離間されるように外力が作用して、係合部分が強力に篏合する前述の場合と同じような状態となる。その結果、上記の傾斜状態において、作業者が操作部材のフランジ部を右方に移動させるように操作しようとしても、移動させることが困難、または、移動させることができない状態となっている。これに対して、本実施形態の連結装置では、
図8Aに示すように、ハンドル本体54の左上部に形成される第1係合部75が受け部材4の挿入孔71の第1係止部77に係合されると共に、ハンドル本体54に形成される第2係合部76が挿入孔71の第2係止部78に係合される。これにより、出力ロッド59の受け止め部82が係合ボール65を介して受け部材4の係止溝72の周壁に向けて押すが、係止溝72と係合ボール65との間、または、係合ボール65と受け止め部82との間に隙間が形成されるので、出力ロッド59,ハンドル本体54,係合ボール65,受け部材4の間に強力な外力が作用することがない。その結果、受け部材4の軸心に対して出力ロッド59の軸心が傾斜している場合であっても、作業者は、傾斜していない場合と同様の小さな力で操作部材56のフランジ部57を右方に移動させることができる。
【0043】
図8Bは、
図6から
図8Aに示す第2実施形態の連結装置の変形例を示す。この変形例と第2実施形態との相違点は次のとおりである。
【0044】
上記の
図8Aに示す第2実施形態では、第1係合部75が案内孔64を挟んで第2係合部76の反対側(右側)に設けられている。また、第1係止部77が係止溝72を挟んで第2係止部78の反対側(右側)に設けられている。これに対して、
図8Bに示す第2実施形態の変形例では、第1係合部75と第2係合部76とがハンドル本体54の外周壁であって、案内孔64の左側に設けられている。また、第1係止部77と第2係止部78とが、受け部材4の外周面内であって、係止溝72の左側に設けられている。本実施形態の変形例で示す連結装置では、上記のような傾斜状態で、ハンドル本体54の第1係合部75が受け部材4の第1係止部77に係合すると共に、ハンドル本体54の第2係合部76が受け部材4の第2係止部78に係合する。このとき、出力ロッド59の受け止め部82が係合ボール65を介して受け部材4の係止溝72の周壁に向けて押すが、係止溝72と係合ボール65との間、または、係合ボール65と受け止め部82との間に隙間が形成されるので、出力ロッド59,ハンドル本体54,係合ボール65,受け部材4の間に強力な外力が作用することがない。その結果、上記のような傾斜状態であっても、作業者は、傾斜状態でない場合と同様の小さな力で操作部材56のフランジ部57を右方に円滑に移動させることができる。
【0045】
なお、上記の第2実施形態の変形例のように、第1係合部75と第2係合部76とが案内孔64の左側に設けられると共に、第1係止部77と第2係止部78とが係止溝72の左側に設けられることに代えて、第1係合部75と第2係合部76とが案内孔64の右側に設けられると共に、第1係止部77と第2係止部78とが係止溝72の右側に設けられるようにしてもよい。
【0046】
上記の各実施形態は次のように変更可能である。
上記の実施形態において、第1継手を有する固定側の第1ブロック1に、第2継手を有する可動側の第2ブロック2を連結させる連結装置に本発明を適用したのに代えて、成形品の取り出しまたは突き出し用ロッドを連結させる連結装置に本発明を適用してもよい。
上記の実施形態において、作業者が操作部材を手動で操作するように構成されるのに限られず、手動以外の方法、例えば、流体圧シリンダや、電動モータとねじ軸、カム機構、ロボットによって出力ロッドや操作部材を移動させてもよい。
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
4:受け部材,7:ハンドル(可動部材),14a:筒状先端部分,19:出力ロッド,24:案内孔,25:係合ボール,31:挿入孔,32:係止溝(凹部),35:第1係合部,36:第2係合部,37:第1係止部,38:第2係止部,54a:筒状先端部分,59:出力ロッド,64:案内孔,65:係合ボール,72:係止溝(凹部),75:第1係合部,76:第2係合部,77:第1係止部,78:第2係止部.