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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
   F24F 8/133 20210101AFI20240408BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20240408BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20240408BHJP
   B01D 19/02 20060101ALI20240408BHJP
   B01D 47/02 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
F24F8/133
F24F8/80 250
A61L9/16 Z
B01D19/02
B01D47/02 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020071080
(22)【出願日】2020-04-10
(65)【公開番号】P2021038913
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2019159185
(32)【優先日】2019-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)展示日:令和1年9月4日~6日、展示会名:2019洗浄総合展、開催場所:パシフィコ横浜 (2)展示日:令和1年9月26日、展示会名:令和元年ビジネスマッチングフェア、開催場所:太田市新田文化会館 (3)展示日:令和1年11月12日、展示会名:ものづくり企業展示・商談会2019、開催場所:マロニエプラザ大展示場 (4)展示日:令和1年11月16日、展示会名:Made in いせさき製品展示会、開催場所:スマーク伊勢崎 (5)展示日:令和2年2月12日~14日、展示会名:東京ケアウィーク2020 第6回CareTEX2020、開催場所:東京ビッグサイト (6)展示日:令和2年2月20日、展示会名:めぶきFGものづくり企業フォーラム2020技術商談会、開催場所:つくば国際会議場 (7)展示日:令和2年2月26日~28日、展示会名:第2回工場設備・備品展、開催場所:幕張メッセ (8)発行者名:株式会社群馬経済新聞社、刊行物名:ぐんま経済新聞、発行年月日:令和2年3月19日付,第9面 (9)掲載年月日:令和1年9月4日、令和1年9月5日、令和1年9月24日、令和1年9月26日、令和1年11月12日、令和1年11月16日、令和2年2月12日、掲載アドレス:https://www.facebook.com/atsushi.nedachi (10) 掲載年月日:令和1年9月10日、掲載アドレス:https://www.facebook.com/Kleins-Coltd-208945189194765 (11)掲載年月日:令和1年12月1日、掲載アドレス:https://klein-s.co.jp/ (12)掲載年月日:令和2年2月20日、令和2年2月21日、令和2年2月26日、令和2年3月1日、掲載アドレス:https://www.facebook.com/atsushi.nedachi
(73)【特許権者】
【識別番号】519010813
【氏名又は名称】株式会社クラインズ
(74)【代理人】
【識別番号】100126468
【弁理士】
【氏名又は名称】田久保 泰夫
(72)【発明者】
【氏名】根立 淳
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-126179(JP,U)
【文献】特開2008-229522(JP,A)
【文献】特開2015-211973(JP,A)
【文献】特開2006-132015(JP,A)
【文献】特開昭48-042463(JP,A)
【文献】特開2002-325705(JP,A)
【文献】実開平5-2722(JP,U)
【文献】特開平8-318118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 8/133
F24F 8/80
A61L 9/16
B01D 19/02
B01D 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵埃や臭気を取り込んで除去する溶液を貯留する貯留槽と、
前記貯留槽に前記塵埃や臭気を含む空気を導入する空気導入路と、
前記溶液内に配置され、前記空気導入路を介して導入された前記空気を通過させてマイクロバブルを含む気泡を発生させるフィルタと、
前記溶液を介して前記空気を吸引する吸引ファンと、
前記貯留槽と前記吸引ファンとの間に配置され、水平線に対して20°<θ<40°の範囲の傾斜角度θに設定された傾斜壁を有し、前記気泡が流入する傾斜通路と、
を備え、
前記吸引ファン側の前記傾斜通路には、前記気泡を衝突させて消滅させる略L字状消泡壁が配置されることを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
請求項1記載の空気清浄機において、
前記フィルタは、前記空気が通過する開口部を有する第1フィルタと、前記第1フィルタよりも狭い開口部を有する第2フィルタとを備え、前記空気を前記第1フィルタから前記第2フィルタを介して前記傾斜通路に通過させてマイクロバブルを含む前記気泡を生成することを特徴とする空気清浄機。
【請求項3】
請求項1に記載の空気清浄機において、
前記フィルタは、前記空気の下流側の端部に前記空気の流れに対して鉛直方向に形成された前記空気が通過する開口部を有し、
前記開口部の断面形状は、前記空気の上流側が頂角であって、前記空気の下流側が底辺である三角形であって、
前記空気を前記開口部を介して、前記傾斜通路に通過させてマイクロバブルを含む前記気泡を生成することを特徴とする空気清浄機。
【請求項4】
請求項3に記載の空気清浄機において、
前記頂角の角度αが、1°<α<15°であることを特徴とする空気清浄機。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の空気清浄機において、
前記傾斜通路には、前記気泡が消滅した後の前記溶液を前記貯留槽に戻す通路が形成されることを特徴とする空気清浄機。
【請求項6】
請求項記載の空気清浄機において、
前記消泡壁の近傍には、前記気泡の上昇を抑制する第1メッシュ部材が配置されることを特徴とする空気清浄機。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の空気清浄機において、
前記吸引ファンと前記傾斜通路の出口との間には、前記気泡の上昇を抑制する第2メッシュ部材が配置されることを特徴とする空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中の塵埃や臭気を除去する空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の材料の加工や塗装等を行う作業現場では、塵埃や臭気が発生する。通常、これらの塵埃や臭気を除去するため、作業現場には、空気清浄機を含む空調設備が設けられている。空気清浄機は、フィルタを介して塵埃や臭気を含む空気を取り込んで除去する構成が一般的である。
【0003】
粉塵を含む空気を水と接触させて塵埃等を吸着させるようにした比較的廉価な構成の集塵装置が知られている(特許文献1参照)。この集塵装置では、吸引ファンを用いて、粉塵を含む空気を貯水容器に貯留した水に接触させることにより、粉塵等を吸着除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-111062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る集塵装置では、比較的質量の大きな粉塵を除去することは可能であるが、例えば、塗料等の臭気を伴う微小な粒子を充分に除去することはできないため、臭気が作業現場に残留してしまう。この場合、臭気を完全に除去するためには、例えば、吸引ファンの前段又は後段にクリーンルーム等で使用されている高価なHEPAフィルタ等を配置することが考えられる。しかしながら、消臭効果を維持するためには、フィルタを定期的に交換しなければならず、ランニングコストが高くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、前記の不具合を解消するためになされたものであって、空気中の塵埃や臭気を効率的に除去でき、構成が簡単で、ランニングコストを低く抑えることのできる廉価な空気清浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る空気清浄機は、塵埃や臭気を取り込んで除去する溶液を貯留する貯留槽と、前記貯留槽に前記塵埃や臭気を含む空気を導入する空気導入路と、
前記溶液内に配置され、前記空気導入路を介して導入された前記空気を通過させてマイクロバブルを含む気泡を発生させるフィルタと、前記溶液を介して前記空気を吸引する吸引ファンと、前記貯留槽と前記吸引ファンとの間に配置され、水平線に対して20°<θ<40°の範囲の傾斜角度θに設定された傾斜壁を有し、前記気泡が流入する傾斜通路と、を備え、前記吸引ファン側の前記傾斜通路には、前記気泡を衝突させて消滅させる略L字状消泡壁が配置されることを特徴とする。
【0008】
前記空気清浄機において、前記フィルタは、前記空気が通過する開口部を有する第1フィルタと、前記第1フィルタよりも狭い開口部を有する第2フィルタとを備え、前記空気を前記第1フィルタから前記第2フィルタを介して前記傾斜通路に通過させてマイクロバブルを含む前記気泡を生成することを特徴とする。
【0009】
前記空気清浄機において、前記フィルタは、前記空気の下流側の端部に前記空気の流れに対して鉛直方向に形成された前記空気が通過する開口部を有し、前記開口部の断面形状は、前記空気の上流側が頂角であって、前記空気の下流側が底辺である三角形であって、前記空気を前記開口部を介して、前記傾斜通路に通過させてマイクロバブルを含む前記気泡を生成することを特徴とする。
【0010】
前記空気清浄機において、前記頂角の角度αが、1°<α<15°であることを特徴とする空気清浄機。
【0011】
また、前記空気清浄機において、前記傾斜通路には、前記気泡が消滅した後の前記溶液を前記貯留槽に戻す通路が形成されることを特徴とする。
【0013】
また、前記空気清浄機において、前記消泡壁の近傍には、前記気泡の上昇を抑制する第1メッシュ部材が配置されることを特徴とする。
【0014】
さらに、前記空気清浄機において、前記吸引ファンと前記傾斜通路の出口との間には、前記気泡の上昇を抑制する第2メッシュ部材が配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の空気清浄機では、空気を溶液内に配置したフィルタを通過させてマイクロバブルを含む気泡を発生させた後、水平線に対して20°<θ<40°の範囲の傾斜角度θに設定された傾斜壁を有する傾斜通路に流入させることにより、空気を溶液に充分に接触させることができる。この結果、空気中の塵埃や臭気を効率的に除去することができる。また、特殊なフィルタを用いることなく極めて簡単に構成することができるため、ランニングコストを低く抑え、且つ、廉価な空気清浄機を提供することができる。
【0016】
また、本発明の空気清浄機では、フィルタに、断面形状が三角形の開口部が形成されていることにより、より多くのマイクロバブルを含む気泡が生成される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る空気清浄機の斜視図である。
図2図1に示す空気清浄機のII-II線断面図である。
図3図2に示す空気清浄機を構成するフィルタの斜視説明図である。
図4】本発明の実施形態に係る空気清浄機の第1変形例の断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る空気清浄機の第2変形例の断面図である。
図6図6Aは、空気清浄機の第2変形例のフィルタの側面図であり、図6Bは、空気清浄機の第2変形例のフィルタの正面図であり、図6Cは、空気清浄機の第2変形例のフィルタを拡大した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<空気清浄機10の構成>
以下、本発明の実施形態に係る空気清浄機10について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る空気清浄機の実施形態の斜視図である。図2は、図1に示す空気清浄機のII-II線断面図である。
【0019】
空気清浄機10は、略直方体形状の筐体12を備える。空気清浄機10は、塵埃や臭気を取り込んで除去する溶液Wを貯留する貯留槽14と、貯留槽14に塵埃や臭気を含む空気を導入する空気導入路16と、溶液W内に配置され、空気導入路16を介して導入された空気を通過させてマイクロバブルを含む気泡を発生させるフィルタ18と、溶液Wを介して空気を吸引する吸引ファン20と、貯留槽14からの気泡が流入する第1傾斜通路22a、第2傾斜通路22b及び第3傾斜通路22cとを備える。
【0020】
貯留槽14は、筐体12内の下部に配置される。なお、筐体12には、貯留槽14に貯留されている溶液Wの残量や汚染度、気泡の発生状態等を外部から確認するための窓24が形成されている。窓24には、例えば、透明なアクリル板が設置される。貯留槽14に貯留される溶液Wは、空気中の塵埃や臭気を取り込んで除去するものであり、通常の水に加えて、例えば、殺菌効果を有する次亜塩素酸を含有させることができる。
【0021】
空気導入路16は、筐体12の側部に形成される空気導入口26を介して外部と連通する。空気導入路16は、鉛直下方向に延在する第1隔壁28を有し、第1隔壁28の下端部に連結される第1傾斜壁30を介して貯留槽14に連通する。
【0022】
フィルタ18は、第1傾斜壁30の下端部に連結され、略水平状態で貯留槽14の溶液W内に配置される。フィルタ18は、図3に示すように、下部に配置される第1フィルタ18aと、上部に配置される第2フィルタ18bとを備える。第1フィルタ18a及び第2フィルタ18bは、多数の開口部32a及び32bを有する。第2フィルタ18bに形成される開口部32bは、第1フィルタ18aに形成される開口部32aよりも開口が狭く設定される。
【0023】
吸引ファン20は、筐体12内の上部に配置される。筐体12の上部には、吸引ファン20によって吸引された空気を排気する排気口34が配置される。
【0024】
第1傾斜通路22aは、空気導入路16の第1隔壁28に連結される第1傾斜壁30と、フィルタ18の端部近傍に配置される略鉛直な第2隔壁36が連結される第2傾斜壁38との間に形成される。第2傾斜通路22bは、第2傾斜壁38と、第2傾斜壁38の上部に配置される第3傾斜壁40との間に形成される。第3傾斜通路22cは、第3傾斜壁40の上部に形成される。第1傾斜壁30、第2傾斜壁38及び第3傾斜壁40は、水平線に対して20°<θ<40°の範囲の傾斜角度θに設定されている。
【0025】
第3傾斜通路22cの上部には、略水平状態に設定された第3隔壁42及び第4隔壁25が配置される。これらの第3隔壁42及び第4隔壁25間には、第3傾斜通路22cの出口23が形成される。なお、第4隔壁25は、筐体12に連結された第5隔壁27によって支持される。
【0026】
第3隔壁42は、第3傾斜壁40と吸引ファン20との間に配置される。第3傾斜壁40の下端部には、通路44を介して略L字状の第1消泡壁46が配置される。また、第3隔壁42の下部には、第3傾斜壁40側に延在する第2消泡壁48が配置される。従って、第1傾斜通路22a、第2傾斜通路22b及び第3傾斜通路22cは、第1傾斜壁30、第2傾斜壁38、第3傾斜壁40、第3隔壁42、第4隔壁25、第1消泡壁46及び第2消泡壁48によりラビリンス状の通路として形成されている。
【0027】
<空気清浄機10の動作>
先ず、準備段階として、フィルタ18が溶液Wの液面以下となるまで貯留槽14に溶液Wが注入される。この場合、吸引ファン20を駆動させる以前の状態では、溶液Wの液面は、貯留槽14の全域で一定の高さになる。
【0028】
次に、吸引ファン20が駆動され、溶液Wが介して空気を吸引される。吸引が開始されると、第1傾斜通路22a、第2傾斜通路22b及び第3傾斜通路22c側の気圧が外気圧よりも低くなるため、第1傾斜通路22a、第2傾斜通路22b及び第3傾斜通路22c側の溶液Wの液面が空気導入路16側の溶液Wの液面よりも高くなる。この結果、塵埃や臭気を含む空気は、空気導入口26から空気導入路16に導入されることになる。
【0029】
空気導入路16に導入された空気は、下部に配置された第1フィルタ18aの開口部32aを通過した後、上部に配置された第2フィルタ18bの開口部32bを通過し、第1傾斜通路22a、第2傾斜通路22b及び第3傾斜通路22cに供給される。この場合、第1フィルタ18aの開口部32aは、第2フィルタ18bの開口部32bよりも開口が広く設定されているため、空気は第1フィルタ18aを容易に通過することができる。次いで、第1フィルタ18aを通過した空気は、第2フィルタ18bの狭い開口部32bを通過することにより、マイクロバブルを含む気泡Bが生成されて第1傾斜通路22a、第2傾斜通路22b及び第3傾斜通路22cに供給される。また、空気導入路16に導入された空気の一部は、フィルタ18の下を通過して略鉛直状態に配置されている第2隔壁36に衝突する。この結果、多数のマイクロバブルを含む気泡Bが第1傾斜通路22a、第2傾斜通路22b及び第3傾斜通路22cに供給される。
【0030】
ここで、第1傾斜通路22a、第2傾斜通路22b及び第3傾斜通路22cには、多数のマイクロバブルを含む気泡Bが発生しているため、空気は、極めて大きな接触表面積で溶液Wと接触する。従って、空気中の塵埃や臭気は、効率的に溶液Wに取り込まれる。また、第1傾斜通路22a、第2傾斜通路22b及び第3傾斜通路22cを構成する第1傾斜壁30、第2傾斜壁38及び第3傾斜壁40は、水平線に対して20°<θ<40°の範囲の比較的緩い傾斜角度θに設定されているため、発生した気泡Bは、長時間消滅することなく、ラビリンス状の長い第1傾斜通路22a、第2傾斜通路22b及び第3傾斜通路22cに沿ってゆっくりと上昇する。この場合、気泡Bと空気との接触時間を長くすることができるため、塵埃や臭気は、溶液Wに充分に取り込まれて除去される。さらに、第1傾斜壁30、第2傾斜壁38及び第3傾斜壁40の傾斜角度θが緩いため、吸引ファン20は、小さな吸引力で空気を吸引でき、その分、ランニングコストも低く抑えることができる。
【0031】
一方、空気を取り込んだ気泡Bは、第1傾斜通路22a、第2傾斜通路22b及び第3傾斜通路22cを介して吸引ファン20側に移動していく。この場合、気泡Bは、第3傾斜壁40の下端部に配置されたL字状の第1消泡壁46と、第3隔壁42の下部に配置された第2消泡壁48との間を通過する際、これらの第1消泡壁46及び第2消泡壁48に衝突して消滅する。また、第3傾斜通路22cと吸引ファン20との間には、第3隔壁42が配置されている。従って、気泡Bは、第3隔壁42によって上昇が抑制され、吸引ファン20に到達することがないため、吸引ファン20の動作に支障が生じるおそれがない。なお、気泡Bが消滅して生じた溶液Wは、第3傾斜壁40と第1消泡壁46との間に形成された通路44を介して貯留槽14に戻され、塵埃や臭気の除去のために再度利用される。
【0032】
このように、本発明の実施形態に係る空気清浄機10は、高価なフィルタを使用する必要がなく、低いランニングコストで空気中の塵埃や臭気を効率的に除去することができる。また、構成が簡単であるため、廉価な空気清浄機10を提供することができる。
【0033】
次に、本発明の実施形態に係る空気清浄機の第1変形例について説明する。図4は、本発明の実施形態の変形例に係る空気清浄機50の断面図である。空気清浄機50では、吸引ファン20と第1傾斜通路22a、第2傾斜通路22b及び第3傾斜通路22cとの間に気泡Bの上昇を抑制する第1メッシュ部材52及び第2メッシュ部材54が配置される。第1メッシュ部材52は、第1消泡壁46と筐体12との間に配置される。また、第2メッシュ部材54は、第3隔壁42と第4隔壁25との間に配置される。なお、第1メッシュ部材52及び第2メッシュ部材54は、例えば、金属網により構成することができる。
【0034】
このように構成される空気清浄機50では、第1傾斜通路22a及び第2傾斜通路22bを上昇した気泡Bは、第1消泡壁46の近傍に配置された第1メッシュ部材52を通過する際に一部が消泡され、溶液Wとして貯留槽14に戻される。また、消泡されることなく第3傾斜通路22cを上昇した気泡Bは、第3傾斜通路22cの出口23に配置された第2メッシュ部材54によって消泡され、同様にして貯留槽14に戻される。従って、筐体12内で発生した気泡Bは、一層確実に消泡され、気泡Bが吸引ファン20に到達することがない。
【0035】
次に、本発明の実施形態に係る空気清浄機の第2変形例について説明する。図5は、本発明の実施形態の第2変形例に係る空気清浄機70の断面図である。図6Aは、空気清浄機の第2変形例のフィルタの側面図であり、図6Bは、空気清浄機の第2変形例のフィルタの正面図であり、図6Cは、空気清浄機の第2変形例のフィルタを拡大した説明図である。
【0036】
空気清浄機70は、空気清浄機10のフィルタ18の代わりに、フィルタ72が設けられている。従って、空気清浄機70は、フィルタ18以外の構成要素は、空気清浄機10と同様である。
【0037】
フィルタ72は、第1傾斜壁30の下端部に連結され、略水平状態で貯留槽14の溶液W内に配置される。フィルタ72は、空気が通過する開口部74を有する。開口部74は、空気導入路16に導入された空気の下流側の端部に空気の流れに対して鉛直方向に形成される。開口部74の断面形状は、空気の上流側が頂角である三角形である。頂角の角度αは、1°<α<15°、好ましくは2°<α<4°である。また、開口部74の形成位置は、フィルタ72の端部に鉛直方向に1列であってもよい。また、開口部74の断面形状は二等辺三角形であってもよい。
【0038】
このように構成される空気清浄機70では、空気導入口26から導入された空気は、空気導入路16を経て、開口部74を通過する。開口部74を通過する際に、マイクロバブルを含む気泡Bが生成されて第1傾斜通路22a、第2傾斜通路22b及び第3傾斜通路22cに供給される。フィルタ72には、断面形状が三角形の開口部74が形成されていることにより、より多くのマイクロバブルを含む気泡Bが生成される。
【0039】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
【0040】
上述した実施形態では、第1メッシュ部材52及び第2メッシュ部材54を設けていたが、気泡Bの上昇を抑制できるのであれば、これに限定されるものではない。例えば、いずれか一方のみを設けても良い。
【0041】
また、上述した実施形態では、空気清浄機10のフィルタ18の代わりに、フィルタ72が設けられていたが、空気清浄機50のフィルタ18の代わりに、フィルタ72を設けてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10、50、70…空気清浄機
12…筐体
14…貯留槽
16…空気導入路
18、72…フィルタ
18a…第1フィルタ
18b…第2フィルタ
20…吸引ファン
22a…第1傾斜通路
22b…第2傾斜通路
22c…第3傾斜通路
23…出口
24…窓
25…第4隔壁
26…空気導入口
27…第5隔壁
28…第1隔壁
30…第1傾斜壁
32a、32b、74…開口部
34…排気口
36…第2隔壁
38…第2傾斜壁
40…第3傾斜壁
42…第3隔壁
44…通路
46…第1消泡壁
48…第2消泡壁
52…第1メッシュ部材
54…第2メッシュ部材
B…気泡
W…溶液
図1
図2
図3
図4
図5
図6