特許 7466902 紐連結用連結具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-04-05

(45)【発行日】2024-04-15

(54)【発明の名称】紐連結用連結具

(51)【国際特許分類】

   F16B 2/08 20060101AFI20240408BHJP

   B65D 63/14 20060101ALI20240408BHJP

【ＦＩ】

F16B2/08 H

B65D63/14 Z

F16B2/08 S

【請求項の数】 7

(21)【出願番号】P 2020140236

(22)【出願日】2020-08-21

(65)【公開番号】P2022035724

(43)【公開日】2022-03-04

【審査請求日】2023-08-14

(73)【特許権者】

【識別番号】511256370

【氏名又は名称】株式会社ＭＡＲＩＯ ＤＥＬ ＭＡＲＥ

(74)【代理人】

【識別番号】100073184

【弁理士】

【氏名又は名称】柳田 征史

(74)【代理人】

【識別番号】100175042

【弁理士】

【氏名又は名称】高橋 秀明

(72)【発明者】

【氏名】下平 万里夫

【審査官】大山 広人

(56)【参考文献】

【文献】登録実用新案第３０７８４２９（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開平０７－２８６６４２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開昭５２－１４１７３５（ＪＰ，Ａ）

【文献】実開昭５６－０９５６３１（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２００３－０４１８１０（ＪＰ，Ａ）

【文献】実開昭５６－１２２８０５（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２００９－２８０２３４（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開昭５４－０８７３５０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開昭６０－０２６７７２（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｆ１６Ｂ ２／０８

Ｂ６５Ｄ ６３／１４

Ｆ１６Ｇ １１／１４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

２本の紐の少なくとも一方の紐の一端に環状部を設け、他方の紐の一端にはＵ字部を形成可能な端部もしくは環状部を設け、
一方の紐の環状部に他方の紐のＵ字部を通してから該他方の紐のＵ字部を折り返し、
折り返した紐部分がそれぞれ該部分に繋がる折り返し前の紐部分の外側に位置する状態に４本の紐部分を配置し、
折り返した２本の紐部分の各々の手前側と、折り返し前の２本の紐部分の各々の奥方側を通るように、前記４本の紐部分に対して棒状部材を挿通させ、
前記２本の紐を互いに離れる方向に引っ張ることにより該２本の紐を連結する方法に用いられる連結具であって、
前記棒状部材として用いられる芯部材と、
この芯部材の一端部と他端部に配されて、上記４本の紐部分が該芯部材から脱落することを防止する２つの鍔部と、
前記２つの鍔部に係合して、芯部材から紐が外れることを防止する外れ防止部材と、
を有する紐連結用連結具。

【請求項2】

前記２つの鍔部の一方が前記芯部材の一端に一体的に形成され、
前記芯部材の他端にネジ穴が形成されて、該ネジ穴に螺入されたネジの頭部により前記２つ鍔部の他方が形成されている請求項１記載の紐連結用連結具。

【請求項3】

前記外れ防止部材が、前記２つの鍔部に係合する孔を両端部に備えた可撓性部材から構成されている請求項１または２記載の紐連結用連結具。

【請求項4】

２本の紐の少なくとも一方の紐の一端に環状部を設け、他方の紐の一端にはＵ字部を形成可能な端部もしくは環状部を設け、
一方の紐の環状部に他方の紐のＵ字部を通してから該他方の紐のＵ字部を折り返し、
折り返した紐部分がそれぞれ該部分に繋がる折り返し前の紐部分の外側に位置する状態に４本の紐部分を配置し、
折り返した２本の紐部分の各々の手前側と、折り返し前の２本の紐部分の各々の奥方側を通るように、前記４本の紐部分に対して棒状部材を挿通させ、
前記２本の紐を互いに離れる方向に引っ張ることにより該２本の紐を連結する方法に用いられる連結具であって、
前記棒状部材として用いられる芯部材と、
この芯部材の一端部に一体的に形成された可撓性材料からなり、自由端が上記芯部材の他端に脱着自在に形成されて紐が芯部材から外れることを防止する外れ防止部材と、
を有する紐連結用連結具。

【請求項5】

前記芯部材の他端に穴部が形成され、前記外れ防止部材の自由端に該穴部に圧入される係止用突起が形成されている請求項４記載の紐連結用連結具。

【請求項6】

前記芯部材の他端に係止用突起が形成され、前記外れ防止部材の係止用突起が圧入される穴部が形成されている請求項４記載の紐連結用連結具。

【請求項7】

前記芯部材が、前記可撓性材料からなる中空の外被と、該外被の中空部に挿入された剛性材料製の芯とからなる請求項４記載の紐連結用連結具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、２本の紐を連結する方法に用いられて、連結が解かれることを防止する連結具に関するものである。

【背景技術】

【0002】

２本の紐を長さ方向に連結することは、多くの分野でなされている。例えば牽引用、荷吊り用、テント張設用の紐等は、そのように連結して使用されることが多い。２本の紐を長さ方向に連結する場合、特許文献１や特許文献２に示されているように、それらの紐の各一端に環状部を形成し、その環状部同士を連結することがなされている。なお本開示では、複数本の要素が撚られてなる紐も、また、撚られていない１本の要素からなる紐もまとめて「紐」と称することとする。

【0003】

そのようにして２本の紐を連結する際、多くの場合は、各紐の環状部同士の連結が簡単に解けてしまうことを防止する対策が施される。特許文献２には、そのように各紐の環状部同士の連結を強固にし、また、その連結作業を迅速かつ容易化するための連結具の一例が示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【文献】実用新案登録第３１２３４８５号公報

【文献】特開平７－２８６６４２号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

ところで、上述のように一方の紐に形成されている環状部を、他方の紐に形成されている環状部に通して２つの紐を連結する方法としては、特許文献２に示されたもの以外も考えられている。以下、そのような連結方法の一例を説明する。

【0006】

すなわちこの連結方法は、
２本の紐の各一端に環状部を形成し、
一方の紐の環状部に他方の紐の環状部を通してから該他方の紐の環状部を折り返し、
折り返した紐部分がそれぞれ該部分に繋がる折り返し前の紐部分の外側に位置する状態に４本の紐部分を配置し、
折り返した２本の紐部分の各々の手前側と、折り返し前の２本の紐部分の各々の奥方側を通るように、４本の紐部分に対して棒状部材を挿通させ、
その後、２本の紐を互いに離れる方向に引っ張ることにより該２本の紐を連結するものである。

【0007】

上記の連結方法は、２本の紐を強固に連結可能なものであるが、棒状部材に掛かっている紐部分がこの棒状部材から外れやすいことが認められている。しかし、特許文献２に示された連結具は、この問題を防止できるものではない。

【0008】

本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、上述のようにして２本の紐を連結する連結方法において、棒状部材に掛かっている紐部分がこの棒状部材から外れて、連結が解かれてしまうことを確実に防止できる紐連結用連結具を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0009】

本発明による一つの紐連結用連結具は、上述した連結方法すなわち、
２本の紐の少なくとも一方の紐の一端に環状部を設け、他方の紐の一端にはＵ字部を形成可能な端部もしくは環状部を設け、
一方の紐の環状部に他方の紐のＵ字部を通してから該他方の紐のＵ字部を折り返し、
折り返した紐部分がそれぞれ該部分に繋がる折り返し前の紐部分の外側に位置する状態に４本の紐部分を配置し、
折り返した２本の紐部分の各々の手前側と、折り返し前の２本の紐部分の各々の奥方側を通るように、上記４本の紐部分に対して棒状部材を挿通させ、
上記２本の紐を互いに離れる方向に引っ張ることにより該２本の紐を連結する方法に用いられる連結具であって、
上記棒状部材として用いられる芯部材と、
この芯部材の一端部と他端部に配されて、上記４本の紐部分が該芯部材から脱落することを防止する２つの鍔部と、
上記２つの鍔部に係合して、芯部材から紐が外れることを防止する外れ防止部材と、
を有することを特徴とするものである。

【0010】

ここで上記の「外側」は、折り返し前の２本の紐部分の並び方向に関する位置関係を言うものであり、折り返し前の環状部において並んでいる２本の紐部分の両外側が「外側」である。また上記の「手前側」および「奥方側」は、折り返した紐部分および折り返し前の紐部分の双方を見通す方向に関する位置関係を言うもので、折り返した紐部分が延びて行く前方側が「手前側」、その反対側が「奥方側」である。また上記の「互いに離れる方向に引っ張る」とは、２本の紐双方を同時に引っ張ることと、１本の紐だけを引っ張ることの両方を意味するものである。また上記の「係合」とは、鍔部の一部に対して外れ防止部材の一部が嵌合していること、外れ防止部材に設けた貫通孔が２つの鍔部の内側で芯部材を通過させて外れ防止部材と鍔部とが互いに接していること等、両者が相互に離れない状態となっていることを広く含む概念である。
また「他方の紐の一端にはＵ字部を形成可能な端部もしくは環状部を設け」とは、他方の紐の一端がＵ字部を形成可能になっていればよくて、その例の1つがＵ字を形成できるだけの柔軟性を有する単なる直線状の端部であり、もう一つの例が予めＵ字部を有する環状部であるとの意味である。以下の説明では、環状部の例を代表させて説明するが、その部分はすべて直線状の紐をＵ字状に曲げたものに置き換えてもよいことは言うまでもない。

【0011】

本発明による上記の紐連結用連結具は、一つの具体的な例として、２つの鍔部の一方が芯部材の一端に一体的に形成され、芯部材の他端にネジ穴が形成されて、該ネジ穴に螺入されたネジの頭部により２つ鍔部の他方が形成されている形態を取り得る。また外れ防止部材は、例えば上記２つの鍔部に係合する孔を両端部に備えた可撓性部材から構成することができる。

【0012】

本発明による別つの紐連結用連結具は、上述した連結方法すなわち、
２本の紐の各一端に環状部を形成し、
一方の紐の環状部に他方の紐の環状部を通してから該他方の紐の環状部を折り返し、
折り返した紐部分がそれぞれ該部分に繋がる折り返し前の紐部分の外側に位置する状態に４本の紐部分を配置し、
折り返した２本の紐部分の各々の手前側と、折り返し前の２本の紐部分の各々の奥方側を通るように、上記４本の紐部分に対して棒状部材を挿通させ、
上記２本の紐を互いに離れる方向に引っ張ることにより該２本の紐を連結する方法に用いられる連結具であって、
上記棒状部材として用いられる芯部材と、
この芯部材の一端部に一体的に形成された可撓性材料からなり、自由端が上記芯部材の他端に脱着自在に形成されて紐が芯部材から外れることを防止する外れ防止部材と、
を有することを特徴とするものである。

【0013】

この本発明による別の紐連結用連結具においては、芯部材の他端に穴部が形成され、外れ防止部材の自由端に該穴部に圧入される係止用突起が形成されていることが好ましい。

【0014】

また、この本発明による別の紐連結用連結具においては、芯部材の他端に鍔部が形成され、外れ防止部材の自由端に該鍔部に係合される係止孔が形成されていてもよい。

【0015】

また、この本発明による別の紐連結用連結具において、芯部材は一例として、上記可撓性材料からなる中空の外被と、該外被の中空部に挿入されたステンレス、硬質プラスチック等の剛性材料製の芯とから構成されていてもよい。

【発明の効果】

【0016】

本発明による一つの紐連結用連結具は、棒状部材として用いられる芯部材と、この芯部材の一端部と他端部に配されて、４本の紐部分が芯部材から脱落することを防止する２つの鍔部と、紐が芯部材から外れることを防止する外れ防止部材とを有する構成とされているので、この紐連結用連結具によれば、芯部材に掛かっている紐部分、つまりは２本の紐がこの芯部材から外れることを確実に防止可能となる。

【0017】

また、本発明による別の紐連結用連結具は、棒状部材として用いられる芯部材と、この芯部材の一端部に一体的に形成された可撓性材料からなり、自由端が芯部材の他端に脱着自在に形成されて紐が芯部材から外れることを防止する外れ防止部材とを有する構成とされているので、この紐連結用連結具を用いても、芯部材に掛かっている紐部分、つまりは２本の紐がこの芯部材から外れることを確実に防止可能となる。

【図面の簡単な説明】

【0018】

【図1】本発明の第１実施形態による紐連結用連結具および、この紐連結用連結具を用いてなされる連結方法を示す斜視図

【図2】本発明の第２実施形態による紐連結用連結具を示す斜視図

【図3】本発明の第３実施形態による紐連結用連結具を示す斜視図

【図4】本発明の第４実施形態による紐連結用連結具を示す斜視図

【図5】図４の紐連結用連結具を示す平断面図

【図6】本発明の第５実施形態による紐連結用連結具を示す平断面図

【図7】本発明の第６実施形態による紐連結用連結具を示す平断面図

【発明を実施するための形態】

【0019】

以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図１は、本発明の第１実施形態による連結具１０を示すと共に、この連結具１０を用いてなされる２本の紐の連結方法を示すものである。同図では、連結方法の各工程を進行順に（１）～（７）に示しており、また、その中の（５）に連結具１０の斜視形状を示している。図示の通り本実施形態の連結具１０は、芯部材１１および外れ防止部材１５から構成されている。

【0020】

芯部材１１は、丸棒状の芯部材本体１２と、この芯部材本体１２の一端部と他端部にそれぞれ配された概略円板状の鍔部１３、１４とを有するものであり、例えばステンレス等の金属や硬質プラスチック等の剛性材料を用いて一体的に形成されている。外れ防止部材１５は、例えば動物の皮革や軟質プラスチック等の可撓性材料からシート状に形成されている。この外れ防止部材１５の一端部と他端部にはそれぞれ、円形の貫通孔１６、１７が穿設され、また各貫通孔１６、１７から径外方に向かって延びる切込み１８、１９が形成されている。貫通孔１６、１７の内径は、上記芯部材本体１２の外径より僅かに大とされている。

【0021】

以下、この連結具１０を用いてなされる２本の紐の連結方法を、図１の（１）から（７）に時間順を追って説明する。まず同図（１）に示すように、連結する２本の紐１おおび２が用意される。これらの紐１、２は、それぞれ一端に環状部１Ｒ、２Ｒが形成されたものである。環状部１Ｒ、２Ｒは、従来知られている処理によって、つまり例えば紐１、２の一端部を、基端側と締結したり、あるいは基端側と溶着処理する等によって形成可能である。

【0022】

次に同図（２）に示すように、一方の紐１の環状部１Ｒに他方の紐２の環状部２Ｒを通してからこの環状部２Ｒを折り返し、次に同図（３）に示すように、折り返した紐部分２ａ、２ｄがそれぞれ該部分２ａ、２ｄに繋がる折り返し前の紐部分２ｂ、２ｃの外側に位置する状態に４本の紐部分２ａ～２ｄを配置する。

【0023】

次に同図（４）に示すように、折り返した２本の紐部分２ａ、２ｄの各々の手前側と、折り返し前の２本の紐部分２ｂ、２ｃの各々の奥方側を通るようにして、４本の紐部分２ａ～２ｄに対して芯部材本体１２を挿通させる。なお芯部材本体１２は、前述した棒状部材として作用するものである。

【0024】

次に同図（５）に示すように、２本の紐１、２を互いに離れる方向に少し引っ張り、４本の紐部分２ａ～２ｄを芯部材本体１２に軽く巻き付けて、芯部材本体１２の周囲における紐部分２ａ～２ｄの拡がりを少し抑える。２本の紐１、２を上記のように引っ張るとは、紐１は図中上方に、紐２は図中下方に引っ張ることであるが、その際、一方の紐１あるいは２は固定しておくだけでも構わない。ここで、芯部材本体１２に巻き付けられる方の環状部２Ｒは、完全な環状ではなくて、一部が開いている（先端が基端側に結合していない）Ｕ字状であってもよい。なお、図の煩雑化を避けるために同図の（５）以降では、紐部分２ａ～２ｄの附番は示していない。

【0025】

次に、外れ防止部材１５の一端部、他端部をそれぞれ、鍔部１３、１４の外側に配した後、同図（６）に示すように、鍔部１３、１４を乗り越えさせる。つまり外れ防止部材１５の一端部、他端部は各々、鍔部１３、１４の内側で貫通孔１６、１７に芯部材本体１２を通過させて、鍔部１３、１４に接する状態となる。なお外れ防止部材１５には、前述した切込み１８、１９が形成されている。そこで、上記の状態とする際には、貫通孔１６、１７と共に切込み１８、１９の所で鍔部１３、１４を通し得るように上記一端部、他端部を変形させて、鍔部１３、１４を乗り越えさせることができる。なお、外れ防止部材１５が弾性変形可能な材料から形成される場合は、上述のような切込み１８、１９を設けなくても、貫通孔１６、１７を拡げるように外れ防止部材１５を弾性変形させて、鍔部１３、１４を乗り越えさせることもできる。

【0026】

次に同図（７）に示すように、２本の紐１、２を互いに離れる方向に強く引っ張る。それにより紐２の環状部２Ｒを構成している紐部分２ａ～２ｄが、環状部１Ｒを通した状態のまま芯部材本体１２に強く巻き付けられて、２本の紐１、２が強固に連結される。そして、芯部材本体１２に巻き付いている環状部２Ｒの外側には、それぞれ外れ防止部材１５の一端部、他端部を介して鍔部１３、１４が存在しているので、環状部２Ｒが芯部材本体１２から容易に抜け出すことがない。また、環状部１Ｒと環状部２Ｒとの組み合わせ状態が例え同図（４）に示すように弛んだとしても、環状部１Ｒ、２Ｒは外れ防止部材１５によって取り囲まれているので、環状部２Ｒが鍔部１３、１４を内側から外側に向かって乗り越えることも防止され、よって、紐１、２が鍔部１３、１４から容易に外れることがない。

【0027】

次に図２を参照して、本発明の第２実施形態による紐連結用連結具２０について説明する。なお以下で説明する第２実施形態以降の実施形態は、紐連結用連結具の構成のみを示しているが、その連結具を用いる連結方法は、図１を参照して説明した通りに行えばよいので、説明は省略する。また図２以降の図では、既に説明した要素については同じ附番を与えており、それらについての説明は特に必要が無い限り省略する。

【0028】

図２に示す紐連結用連結具２０は、鍔付き円管２１、ネジ２３、および外れ防止部材２５から構成されたものである。鍔付き円管２１は、中空の円管状の芯部材２２および、この芯部材２２の一端に一体的に形成されたフランジ状の鍔部２４を有する。なお芯部材２２の他端には図示外のネジ穴が形成されている。ネジ２３は、頭部２３ａを有するボルトである。これらの鍔付き円管２１およびネジ２３は、例えばステンレス等の金属や硬質プラスチック等の剛性材料を用いて形成されている。一方外れ防止部材２５は図１に示した外れ防止部材１５と基本的に同様のものであって、一端部２５ａと他端部２５ｂにそれぞれ貫通孔１６、１７を有しているが、切込み１８、１９が形成されていない点で相違する。

【0029】

この紐連結用連結具２０は図示の通り、鍔付き円管２１の芯部材２２を、外れ防止部材２５の一端部２５ａの外側から順次貫通孔１６、１７に通し、ネジ２３を外れ防止部材２５の他端部２５ｂの外側から芯部材２２の他端に螺合させて組み立てられる。この組み立てられた構成においては、ネジ２３の頭部２３ａが鍔部２４と対になる他方の鍔部として作用する。この紐連結用連結具２０を用いる場合は、上記組み立て後の状態下で２本の環状部付き紐を結合させてもよいし、あるいは環状部同士の組付けを容易にするために、芯部材２２に対してネジ２３は螺合させずに、外れ防止部材２５の他端部２５ｂが芯部材２２から大きく離間した状態にしておいて、２本の環状部付き紐を結合させてもよい。

【0030】

この紐連結用連結具２０において、例えば２本の紐の連結を解く等のために、外れ防止部材２５を鍔付き円管２１から取り外したい場合は、ネジ２３を回転させて芯部材２２との螺合を解き、芯部材２２から外すことにより、鍔付き円管２１を外れ防止部材２５から簡単に引き抜くことができる。

【0031】

次に図３を参照して、本発明の第３実施形態による紐連結用連結具３０について説明する。なお、これ以降説明する実施形態の紐連結用連結具は全て、芯部材の一部が外れ防止部材と一体化されたものである。本実施形態の紐連結用連結具３０は、中空の円管状の芯部材３２と、ネジ２３と、一端部３５ａおよび他端部３５ｂを有する外れ防止部材３５とから構成されている。芯部材３２の一端面は、外れ防止部材３５の一端部３５ａの表面に接着等により固定されている。芯部材３２の他端には、図示外のネジ穴が形成されている。芯部材３２およびネジ２３は、例えばステンレス等の金属や硬質プラスチック等の剛性材料を用いて形成されている。外れ防止部材３５は図１に示した外れ防止部材１５と基本的に同様のものであるが、他端部３５ｂだけに貫通孔３７を有している点で相違する。

【0032】

この紐連結用連結具３０は図３に２点鎖線で示すように、可撓性材料からなる外れ防止部材３５を、その他端部３５ｂが一端部３５ａと離間して向き合うように変形させた上で、ネジ２３を外れ防止部材３５の他端部３５ｂの外側から芯部材３２の他端部に螺合させて組み立てられる。このとき、芯部材３２の他端部は上記貫通孔３７内に緊密に収容される。この組み立てられた構成においては、外れ防止部材３５の一端部３５ａが一方の鍔部としても作用し、またネジ２３の頭部２３ａが上記一方の鍔部と対になる他方の鍔部として作用する。

【0033】

この紐連結用連結具３０を用いる場合も、上記組み立て後の状態下で２本の環状部付き紐を結合させてもよいし、あるいは環状部同士の組付けを容易にするために、芯部材３２に対してネジ２３は螺合させずに、外れ防止部材３５の他端部３５ｂが芯部材３２から大きく離間した状態にしておいて、２本の環状部付き紐を結合させてもよい。

【0034】

この紐連結用連結具３０において、例えば２本の紐の連結を解く等のために、外れ防止部材３５を芯部材３２から取り外したい場合は、ネジ２３を回転させて芯部材３２との螺合を解き、芯部材３２から外すことにより、外れ防止部材２５を芯部材３２から簡単に取り外すことができる。

【0035】

次に図４および図５を参照して、本発明の第４実施形態による紐連結用連結４０について説明する。図４は本実施形態の紐連結用連結具４０の斜視形状を示し、図５は紐連結用連結具４０の平断面形状、つまり連結された２本の紐の長さ方向と概略直交する断面における形状を示している。この紐連結用連結具４０は、中空の円管状の芯部材４２と、芯部材４２よりも大径とされた概略円板状の鍔部４３と、一端部４５ａおよび他端部４５ｂを有する外れ防止部材４５とから構成されている。

【0036】

外れ防止部材４５は可撓性材料から概略シート状に形成されているが、本実施形態では可撓性材料として特に、例えば軟質プラスチック等の射出成形可能な材料が適用されている。それにより外れ防止部材４５、芯部材４２、および鍔部４３は一体的に成形されている。つまり芯部材４２の一端部は、外れ防止部材４５の一端部４５ａの表面から一体的に突出した形となっており、そして鍔部４３は芯部材４２の他端部と一体的に形成されている。芯部材４２の他端には、鍔部４３の中心部から開口した穴部４３ｃが形成されている。また芯部材４２の中心部には、中空の外被となるこの芯部材４２に例えば成形時に一体的に埋め込むことにより、棒状の芯４４が配されている。それにより、芯部材４２の高強度化が図られている。一方、外れ防止部材４５の自由端となる他端部４５ｂには、上記穴部４３ｃに圧入可能な係止用突起４５ｃが形成されている。この係止用突起４５ｃは、概略丸頭リベット状の形状を有するものである。

【0037】

より詳細に説明すると上記穴部４３ｃは、係止用突起４５ｃを緊密に収容する比較的大径の部分と、この部分よりも小径とされて鍔部４３の表面に開口した部分とを有している。連結用連結具４０を組み立てて使用する際に、外れ防止部材４５の他端部４５ｂは図５に示す状態から、係止用突起４５ｃを穴部４３ｃと整合させた状態で、鍔部４３の方に強く押し込まれる。すると、上記軟質プラスチック等の材料からなる鍔部４３の開口周囲部分は、拡径するように弾性変形して係止用突起４５ｃを通過させ、該係止用突起４５ｃの頭部が、上記穴部４３ｃの比較的大径の部分内に圧入、保持される。こうして外れ防止部材４５の他端部４５ｂが鍔部４３と一体化した状態に紐連結用連結具４０が組み立てられる。

【0038】

この組み立てられた構成においては、外れ防止部材４５の一端部４５ａが一方の鍔部として作用し、また鍔部４３が上記一方の鍔部と対になる他方の鍔部として作用する。なお、特に鍔部４３は設けないで、この部分を芯部材４２がそのまま延びている状態としてもよい。その場合は、外れ防止部材４５の一端部４５ａが一方の鍔部として作用し、また外れ防止部材４５の他端部４５ｂが他方の鍔部として作用する。

【0039】

この紐連結用連結具４０を用いる場合も、上記組み立て後の状態下で２本の環状部付き紐を結合させてもよいし、あるいは環状部同士の組付けを容易にするために、係止用突起４５ｃを穴部４３ｃに圧入することはせずに、外れ防止部材４５の他端部４５ｂが鍔部４３から大きく離間した状態にしておいて、２本の環状部付き紐を結合させてもよい。

【0040】

この紐連結用連結具４０において、例えば２本の紐の連結を解く等のために、外れ防止部材４５の他端部４５ｂを鍔部４３から取り外したい場合は、係止用突起４５ｃを穴部４３ｃから引き抜いて両者の係合を解くことにより、外れ防止部材４５を鍔部４３から簡単に取り外すことができる。

【0041】

次に図６を参照して、本発明の第５実施形態による紐連結用連結５０について説明する。図６は本実施形態の紐連結用連結具５０の平断面形状、つまり連結された２本の紐の長さ方向と概略直交する断面における形状を示している。この紐連結用連結具５０は、図５に示した紐連結用連結具４０と対比すると、係止用突起とそれに係合する穴部とが互いに逆の要素に形成された点で相違する。

【0042】

すなわち本実施形態の紐連結用連結具５０は、中空の円管状の芯部材５２と、芯部材５２の他端から突出するように形成された概略丸頭リベット状の係止用突起５３と、一端部４５ａおよび他端部４５ｂを有する外れ防止部材４５とから構成されている。そして外れ防止部材４５の自由端となる他端部４５ｂには、上記係止用突起５３の頭部が圧入可能な穴部４５ｄが形成されている。また芯部材５２の中心部には、中空の外被となるこの芯部材５２に例えば成形時に一体的に埋め込むことにより、棒状の芯５４が配されている。それにより、芯部材５２の高強度化が図られている。

【0043】

本実施形態でも、芯部材５２、係止用突起５３、および外れ防止部材４５は、例えば軟質プラスチック等の材料を用いて一体的に形成されている。そこで外れ防止部材４５は、その穴部４５ｄに係止用突起５３の頭部を圧入させるように他端部４５ｂが芯部材５２側に押し込まれたとき、穴部４５ｄの周囲部分が拡径するように弾性変形して係止用突起５３を通過させ、該係止用突起５３と係合する。

【0044】

この紐連結用連結具５０において、例えば２本の紐の連結を解く等のために、外れ防止部材４５の他端部４５ｂを芯部材５２から取り外したい場合は、係止用突起５３と穴部４５ｄとの係合が外れるように外れ防止部材４５の他端部４５ｂを芯部材５２から強く引き離すことにより、外れ防止部材４５を芯部材５２から簡単に取り外すことができる。

【0045】

次に図７を参照して、本発明の第６実施形態による紐連結用連結６０について説明する。図７は本実施形態の紐連結用連結具６０の平断面形状、つまり連結された２本の紐の長さ方向と概略直交する断面における形状を示している。この紐連結用連結具６０は、図６に示した紐連結用連結具５０と対比すると、係止用突起が芯部材とは別の部材から形成されている点で相違する。

【0046】

すなわち本実施形態の紐連結用連結具６０は、中空の円管状の芯部材６２と、芯部材６２の中心部を長軸方向に延びる穴に固定された概略丸頭リベット状の係止用突起６３と、一端部４５ａおよび他端部４５ｂを有する外れ防止部材４５とから構成されている。なお芯部材６２の穴に係止用突起６３を固定するには、係止用突起６３の足部（頭部以外の部分）６３ａを上記穴に嵌合する方法、接着する方法、螺合する方法、芯部材６２を成形する際に同時に埋め込む方法等、従来公知の方法を適用することができる。そして外れ防止部材４５の他端部４５ｂには、係止用突起６３の頭部が圧入可能な穴部４５ｄが形成されている。

【0047】

本実施形態では芯部材６２が、軟質プラスチック等の可撓性材料製の中空の外被（管部分）と、該外被の中空部に挿入された芯となる係止用突起６３の足部６３ａとから構成されている。上記係止用突起６３の足部６３ａは、芯部材６２の強度を上げるために、金属等の剛性材料から形成されるのが望ましい。本実施形態において、係止用突起６３の頭部を穴部４５ｄに圧入させるには、図６に示した紐連結用連結具５０においてなされるのと同様の操作を行えばよい。また、外れ防止部材４５の他端部４５ｂを芯部材６２から取り外したい場合も、図６に示した紐連結用連結具５０においてなされるのと同様の操作を行えばよい。

【符号の説明】

【0048】

１、２ 紐
１Ｒ、２Ｒ 紐の環状部
２ａ～２ｄ 環状部の紐部分
１０、２０、３０、４０、５０、６０ 紐連結用連結具
１１、２２、３２、４２、５２、６２ 芯部材
１２ 芯部材本体
１３、１４、２４、４３ 鍔部
１５、２５、３５、４５ 外れ防止部材
１６、１７、３７ 貫通孔
１８、１９ 切込み
２１ 鍔付き円管
２３ ネジ
２３ａ ネジの頭部
２５ａ、３５ａ、４５ａ 外れ防止部材の一端部
２５ｂ、３５ｂ、４５ｂ 外れ防止部材の他端部
４３ｃ、４５ｄ 穴部
４４、５４ 芯
４５ｃ、５３、６３ 係止用突起
６３ａ 係止用突起の足部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】