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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】クレーンの遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/40 20060101AFI20240408BHJP
   B66C 13/22 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B66C13/40 D
B66C13/22 L
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021111975
(22)【出願日】2021-07-06
(65)【公開番号】P2023008420
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】391030125
【氏名又は名称】保線機器整備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】細川 誠二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 秀幸
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-525381(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0165025(US,A1)
【文献】特開2019-163115(JP,A)
【文献】実開平06-061887(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0251935(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0319633(US,A1)
【文献】特開昭49-096448(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0344272(US,A1)
【文献】特開2000-053382(JP,A)
【文献】特開2018-035986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00 - 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール等の長尺の吊り荷をその長手方向に2本吊りして移動させる2台のクレーンと、対応するその2台のクレーンそれぞれに対し操作信号を送信してクレーンを遠隔操作する2台のリモコン装置と、前記吊り荷の傾き状態を検出して傾斜センサ信号として前記2台のリモコン装置それぞれに対し送信する無線通信式傾斜センサとを備えたクレーンの遠隔操作システムであって、
前記2台のリモコン装置は、それぞれ、
同期操作モードであって、かつ、主操作モードにある場合、各リモコン装置に割り当てられたクレーンである自クレーンの操作信号である主操作信号を生成すると共に、前記主操作信号の内、ブームの左/右旋回操作信号のみ旋回方向のみを逆方向に反転して変換し、ブームの左/右旋回操作信号以外の前記主操作信号は変換しない従操作信号を生成して、さらに前記無線通信式傾斜センサからの前記傾斜センサ信号に基づいて前記吊り荷が傾斜しているか否かを判定し、前記吊り荷が傾斜していないと判定した場合には、前記主操作信号を自クレーンへ送信することにより自クレーンの動作を制御すると共に、前記従操作信号を同期操作モードであって、かつ、従操作モードの他のリモコン装置へ送信して、当該他のリモコン装置が前記従操作信号を当該他のリモコン装置の自クレーンである他クレーンへの操作信号として送信することにより前記他クレーンの動作を制御し、
前記吊り荷が傾斜していると判定した場合には、前記傾斜センサ信号に基づいて自クレーンと他クレーンでどちらが動作が速いかを判定し、動作が速い自クレーンまたは他クレーンに対し前記主操作信号または前記従操作信号を間欠的に送信することを特徴とするクレーンの遠隔操作システム
【請求項2】
請求項1記載のクレーンの遠隔操作システムにおいて、
前記2台のリモコン装置は、それぞれ、さらに、個別操作モードを有し、個別操作モードの場合には、各リモコン装置に割り当てられた自クレーンの操作信号を生成して自クレーンに送信することにより自クレーンの動作のみを制御することを特徴とするクレーンの遠隔操作システム
【請求項3】
請求項に記載のクレーンの遠隔操作システムにおいて、
前記2台のリモコン装置は、それぞれ、さらに、個別同期操作モード切替スイッチが設けられており、前記個別同期操作モード切替スイッチの切替によって前記個別操作モードと前記同期操作モードとに切替えることができることを特徴とするクレーンの遠隔操作システム
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一の請求項に記載のクレーンの遠隔操作システムにおいて、
前記クレーンのケーブル接続部には、有線の通信ケーブルを介して当該リモコン装置からの操作信号を受信する操作信号受信装置が接続されていることを特徴とするクレーンの遠隔操作システム
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか一の請求項に記載のクレーンの遠隔操作システムにおいて、
前記リモコン装置には、当該リモコン装置が遠隔制御を行うクレーンを選択するクレーン選択スイッチが設けられていることを特徴とするクレーンの遠隔操作システム
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか一の請求項に記載のクレーンの遠隔操作システムにおいて、
前記2台のリモコン装置は、それぞれ、さらに、
主従操作モード切替スイッチが設けられており、前記主従操作モード切替スイッチの切替によって前記主操作信号および従操作信号を生成する主装置として機能するか、あるいはその主装置が生成した前記従操作信号をそのまま自クレーンに送信する従装置として機能するかを選択することを特徴とするクレーンの遠隔操作システム
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか一の請求項に記載のクレーンの遠隔操作システムにおいて、
前記クレーンは、前記操作信号を受信した際、さらにRSSI信号を取得して、RSSI信号の取得状態が良好な場合のみ、受信した前記操作信号を当該クレーンの動作信号に変換して当該クレーンを動作させることを特徴とするクレーンの遠隔操作システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レール等の長尺の吊り荷をその長手方向に2本吊りして移動させるクレーンに対し操作信号を送信してクレーンを遠隔操作するクレーンの遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道に使用するレール等の長物を移動する場合には、トラック架装型クレーン等のクレーン車を2台使用し、リモコン等を使用して2台のクレーン車それぞれを遠隔操作してレール等の長物をその長手方向に2本吊りして移動することが行われている(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-152994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1に記載されたクレーンのリモコン操作は、通常は二人の操縦者が個別にリモコン装置を操作して2台のクレーンを操作するため、例えば荷を吊り上げ、吊り下げする場合、操作のタイミングがずれてしまうことがあり、吊り荷の水平バランスが崩れ、レール等の吊り荷を上手く移動することができないという問題がある。
【0005】
また、2台のクレーンを吊り荷を挟んで配置して作業を行う場合、クレーンの旋回で積み荷を回転方向に移動しようとすると、ダブルクレーンの旋回の回転方向が逆になり、操作時に操作者が混乱しかねない。これを2台のクレーンをタイミングのずれがなく同時に操作する必要があるので、誤操作をしてしまう危険性がある。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、2台のクレーンを確実に同期して操作することができるクレーンの遠隔操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係るクレーンの遠隔操作システムは、レール等の長尺の吊り荷をその長手方向に2本吊りして移動させる2台のクレーンと、対応するその2台のクレーンそれぞれに対し操作信号を送信してクレーンを遠隔操作する2台のリモコン装置と、前記吊り荷の傾き状態を検出して傾斜センサ信号として前記2台のリモコン装置それぞれに対し送信する無線通信式傾斜センサとを備えたクレーンの遠隔操作システムであって、前記2台のリモコン装置は、それぞれ、同期操作モードであって、かつ、主操作モードにある場合、各リモコン装置に割り当てられたクレーンである自クレーンの操作信号である主操作信号を生成すると共に、前記主操作信号の内、ブームの左/右旋回操作信号のみ旋回方向のみを逆方向に反転して変換し、ブームの左/右旋回操作信号以外の前記主操作信号は変換しない従操作信号を生成して、さらに前記無線通信式傾斜センサからの前記傾斜センサ信号に基づいて前記吊り荷が傾斜しているか否かを判定し、前記吊り荷が傾斜していないと判定した場合には、前記主操作信号を自クレーンへ送信することにより自クレーンの動作を制御すると共に、前記従操作信号を同期操作モードであって、かつ、従操作モードの他のリモコン装置へ送信して、当該他のリモコン装置が前記従操作信号を当該他のリモコン装置の自クレーンである他クレーンへの操作信号として送信することにより前記他クレーンの動作を制御し、前記吊り荷が傾斜していると判定した場合には、前記傾斜センサ信号に基づいて自クレーンと他クレーンでどちらが動作が速いかを判定し、動作が速い自クレーンまたは他クレーンに対し前記主操作信号または前記従操作信号を間欠的に送信することを特徴とする。
また、本発明に係るクレーンの遠隔操作システムでは、前記2台のリモコン装置は、それぞれ、さらに、個別操作モードを有し、個別操作モードの場合には、各リモコン装置に割り当てられた自クレーンの操作信号を生成して自クレーンに送信することにより自クレーンの動作のみを制御することも特徴とする。
また、本発明に係るクレーンの遠隔操作システムでは、前記2台のリモコン装置は、それぞれ、さらに、個別同期操作モード切替スイッチが設けられており、前記個別同期操作モード切替スイッチの切替によって前記個別操作モードと前記同期操作モードとに切替えることができることも特徴とする。
また、本発明に係るクレーンの遠隔操作システムでは、前記クレーンのケーブル接続部には、有線の通信ケーブルを介して当該リモコン装置からの操作信号を受信する操作信号受信装置が接続されていることも特徴とする。
また、本発明に係るクレーンの遠隔操作システムでは、前記リモコン装置には、当該リモコン装置が遠隔制御を行うクレーンを選択するクレーン選択スイッチが設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係るクレーンの遠隔操作システムでは、前記2台のリモコン装置は、それぞれ、さらに、主従操作モード切替スイッチが設けられており、前記主従操作モード切替スイッチの切替によって前記主操作信号および従操作信号を生成する主装置として機能するか、あるいはその主装置が生成した前記従操作信号をそのまま自クレーンに送信する従装置として機能するかを選択することも特徴とする。
また、本発明に係るクレーンの遠隔操作システムでは、前記クレーンは、前記操作信号を受信した際、さらにRSSI信号を取得して、RSSI信号の取得状態が良好な場合のみ、受信した前記操作信号を当該クレーンの動作信号に変換して当該クレーンを動作させることも特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るクレーンの遠隔操作システムは、2台のリモコン装置それぞれの操作信号生成部は、同期操作モードであって、かつ、主操作モードの場合には、自クレーンの操作信号を生成して自クレーンの動作を制御すると共に、その主操作信号の内、ブームの左/右旋回操作信号のみ旋回方向を逆方向に反転して変換し、それ以外の主操作信号は変換しない従操作信号を他のリモコン装置(他装置)へ送信し、同期操作モードであって、かつ、従操作モードの場合には、自装置の操作は無視して他装置から送信されてきた従操作信号を入力して自クレーンに送信して自クレーンの動作を制御する。
そのため、本発明によれば、同期操作モードであって、かつ、主操作モードのリモコン装置を操作すれば、自クレーンの操作信号を生成できるだけでなく、他クレーンの操作信号も生成して他のリモコン装置(他装置)を介して他クレーンの操作も行えるので、2台のクレーンを確実に同期して操作することができる。
特に、自クレーンの主操作信号に基づいて他クレーンの従操作信号を生成する際に、ブームの旋回信号のみ旋回方向を自動的反転させて従操作信号とするので、この点でも2台のクレーンを確実に同期して操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る実施形態のクレーンのリモコン装置により2台のクレーンを操作してレールを2本吊りしている状態を示す図である。
図2】本発明に係る実施形態のクレーンのリモコン装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明に係る実施形態のクレーンのリモコン装置の構成を示すブロック図である。
図4】本発明に係る実施形態のクレーンのリモコン装置の外観の一例を示す平面図である。
図5】本発明に係る実施形態のクレーンのリモコン装置の動作を示すフローチャートである。
図6】本発明に係る実施形態のクレーンのリモコン装置の自動水平調整スイッチオン時の動作を示すフローチャートである。
図7】本発明に係る実施形態のクレーンのリモコン装置の同期操作モード時の動作を示すフローチャートである。
図8】本発明に係る実施形態のクレーンのリモコン装置の同期操作モード時のクレーン従操作信号の生成処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態1,2のクレーンの遠隔操作システムを、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、下記に説明する実施形態1,2のクレーンの遠隔操作システムは、あくまで本発明の一例であり、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で適宜変更可能である。
【0011】
本発明に係る実施形態1のクレーンのリモコン装置3,4は、図1に示すようにレール等の長尺の吊り荷9をその長手方向に2本吊りしてブーム1a1,2a1の旋回や伸縮およびワイヤーロープ1a2,2a1の昇降等によって移動させるクレーン1a,2aがそれぞれ設けられた2台のクレーン車1,2と、2台のクレーン1a,2aそれぞれを遠隔操作するリモコン装置3,4と、リモコン装置3,4からの操作信号をそれぞれ受信する操作信号受信装置5,6、吊り荷9に設けられる無線通信式傾斜センサ7と、操作信号受信装置5,6同士を接続する同期用信号ケーブル8等を備えて構成される。
【0012】
尚、本実施形態1の説明では、リモコン装置3,4は、それぞれ、後述する個別操作モードの場合、1台のクレーン1a,2aを遠隔操作可能であり、本実施形態では、個別操作モードの場合、リモコン装置3は自クレーンとしてクレーン1aを遠隔操作し、リモコン装置4は自クレーンとしてクレーン2aを遠隔操作するものとする。また、リモコン装置3,4は、それぞれ、後述する同期操作モードの場合、自クレーンを操作する主操作信号を生成すると共に、生成した主操作信号を変換して他クレーンを操作する従操作信号を生成する主リモコン装置として設定することが可能であるが、以下の説明では、リモコン装置3が主リモコン装置、すなわち主装置であり、リモコン装置4が主リモコン装置であるリモコン装置3からの従操作信号をクレーン2aの操作信号として送信する従リモコン装置、すなわち従装置であるものとして説明する。
【0013】
(クレーン車1,2)
クレーン車1,2は、それぞれ、伸縮および旋回すると共にフック(図示せず。)が先端に設けられたワイヤーロープ1a2,2a2を巻き上げたり下げるブーム1a1を有するクレーン1a,2aを搭載して走行するもので、ブーム1a1,2a1の伸縮、旋回やワイヤーロープ1a2,2a2の巻き上げおよび巻き下げ動作は、クレーン1a,2aの操作盤(図示せず。)から直接制御できるだけでなく、リモコン装置3,4から遠隔制御できるように構成されており、リモコン装置3,4からの操作信号は、それぞれ、操作信号受信装置5,6で受信してクレーン1a,2aのコントロール部(図示せず。)に出力するように構成されている。
【0014】
(リモコン装置3,4)
リモコン装置3,4は、図2に示すように、それぞれ、操作信号受信装置5,6に対し主アンテナ3a,4aを介しクレーン1a,2aの操作信号(従操作信号も含む。)を送信する操作信号送信部3b,4bと、無線通信式傾斜センサ7の傾斜センサ信号をサブアンテナ3c,4cを介し受信する傾斜センサ信号受信部3d,4dと、後述するクレーン選択スイッチ3e2,4e2等の作業者が操作する各種スイッチ(SW)が設けられた操作盤3e,4eと、操作盤3e,4eにおける各種スイッチの操作に基づいてクレーン1a,2aの操作信号を生成する操作信号生成部3f,4fと、傾斜センサ信号受信部3d,4dからの傾斜センサ信号に基づいて吊り荷9の傾斜角度を算出する傾斜角算出部3g,4gと、吊り荷9の傾斜角度等の水平状態を表示する水平状態表示モニタ3h,4hと、リモコン装置3,4同士を接続して同期させる同期用信号ケーブル8が接続されるケーブル接続部3i、4i等を備えている。
【0015】
操作盤3e,4eには、図3に示すように、リモコン装置3,4の電源スイッチ3e1,4e1と、リモコン装置3,4が遠隔制御を行うクレーン1a,2aを選択するクレーン選択スイッチ3e2,4e2と、リモコン装置3,4の操作モードを個別操作モードまたは同期操作モードに切り替える個別同期操作モード切替スイッチ3e3,4e3と、同期操作モードを選択した際、自装置で自クレーンへの主操作信号および他クレーンへの従操作信号を生成する主操作モードまたは他のリモコン装置が生成した従操作信号を自クレーン1a,2aの操作信号として送信して操作する従操作モードを選択する主従操作モード切替スイッチ3e4,4e4と、自クレーン1a,2aのワイヤロープ1a2,2a2の巻き上げ/下げ動作を実行するワイヤ巻き上げ/下げ操作スイッチ3e5,4e5と、自クレーン1a,2aのブーム1a1,2a1の上げ/下げ動作を選択するブーム上/下操作スイッチ3e6,4e6と、自クレーン1a,2aのブーム1a1,2a1の左/右方向の旋回を操作するブーム左/右旋回操作スイッチ3e7,4e7と、無線通信式傾斜センサ7の傾斜センサ信号に基づく傾斜状態が0になるように自動的に調整する自動水平調整スイッチ3e8,4e8と、吊り荷9の傾斜角度等の水平状態を表示する水平状態表示モニタ3h,4h等を備えている。
【0016】
ここで、クレーン1a,2aはそれぞれクレーン固有の識別番号を持っており、リモコン装置3,4の操作盤3e、4eでは、それぞれ、クレーン選択スイッチ3e2,4e2の“クレーン1a”側にクレーン1a固有の識別番号が設定され、クレーン2a”側にクレーン2a固有の識別番号が設定されており、特定のリモコン装置でなくてもクレーン1a,2aを操作することができる。尚、リモコン装置3の操作盤3eでは、クレーン選択スイッチ3e2によって例えばクレーン1aが選択され、クレーン1aが自クレーンとなり、リモコン装置4の操作盤4eでは、クレーン選択スイッチ4e2によって例えばクレーン2aが選択され、クレーン2aが自クレーンとなっているものとする。
【0017】
(操作信号受信装置5,6)
操作信号受信装置5,6は、それぞれ、対応するクレーン1a,2aにおける有線リモコン(図示せず。)用のリモコン接続口(図示せず。)に有線の通信ケーブル51,61等で接続され、リモコン装置3,4から送信された操作信号を受信して対応するクレーン1a,2aに出力するもので、アンテナ5a,6aを介し対応するリモコン装置3,4から送信された操作信号を受信する操作信号受信部5b,6bと、操作信号受信部5b,6bで受信したリモコン装置3,4からの操作信号をクレーン1a,2aの動作信号に変換して通信ケーブル51,61を介しクレーン1a,2aへ出力する動作信号変換部5c,6cと、通信ケーブル51,61が接続されるケーブル接続部5d,6d等を備えている。
【0018】
(無線通信式傾斜センサ7)
無線通信式傾斜センサ7は、張り付ける等して吊り荷9に設けられ、吊り荷9の傾斜角度を検出して傾斜センサ信号として無線で送信するもので、傾斜センサ7aと、その傾斜センサ7aが検出した傾斜角度を傾斜センサ信号としてアンテナ7bを介しリモコン装置3およびリモコン装置4に対し送信する傾斜センサ信号送信部7c等を備えている。
【0019】
<本発明に係る実施形態のクレーンの遠隔操作システムの動作>
次に以上のように構成されたクレーンのリモコン装置の動作について、図4図7に示すフローチャートを参照して説明する。尚、以下の説明では、
【0020】
リモコン装置3,4においてそれぞれ電源スイッチ3e1,4e1をオンすると、それぞれ、操作を開始し、まずリモコン装置3,4の操作信号生成部3f,4fは、まず、クレーン選択スイッチ3e2,4e2によって“クレーン1a”または“クレーン2a”のいずれが選択されているかを判定して(ステップS120)、クレーン1a,2aの選択処理を行う(ステップS130)。ここで、リモコン装置3では、クレーン選択スイッチ3e2によって“クレーン1a”が選択される一方、リモコン装置4では、クレーン選択スイッチ4e2によって“クレーン2a”が選択されるものとして説明する。
【0021】
次いで、リモコン装置3,4の操作信号生成部3f,4fは、それぞれ、自動水平調整スイッチ3e8,4e8(図3参照。)を読み込み(ステップS140)、自動水平調整スイッチ3e8,4e8が押されているか否かを判定する(ステップS150)。
【0022】
(自動水平調整スイッチ3e8,4e8が押されていない場合の動作)
自動水平調整スイッチ3e8,4e8が押されていない場合(ステップS150“OFF”)、リモコン装置3,4の操作信号生成部3f,4fは、続いて操作盤3e,4eの個別同期操作モード切替スイッチ3e3,4e3を読み込み(ステップS160)、リモコン装置3,4の個別同期操作モード切替スイッチ3e3,4e3によって個別操作モードが選択されているか、あるいは同期操作モードが選択されているかを判定する(ステップS170)。
【0023】
ここで、リモコン装置3およびリモコン装置4にて個別操作モードが選択されていた場合(ステップS170“個別操作モード”)、リモコン装置3,4の操作信号生成部3f,4fは、それぞれ、操作盤3e,4eの各種操作スイッチ3e5~3e7,4e5~4e7の操作内容を読み込むと共に(ステップS180)、それら各種操作スイッチ3e5~3e7,4e5~4e7の操作内容に応じたクレーン1a,2aの操作信号を生成して(ステップS190)、リモコン装置3、4それぞれの選択クレーンであるクレーン1a,2aに対し生成した操作信号を送信する(ステップS200)。
【0024】
すると、クレーン1a,2a側の操作信号受信装置5,6では、それぞれ、図7に示すように、電源投入後、動作信号変換部5c,6cがリモコン装置3,4からの操作信号を受信するか否かを判定しており(ステップS510)、リモコン装置3,4からの操作信号を受信したと判定した場合(ステップS510“YES”)、続いて操作信号受信部5b,6bでRSSI(Received Signal Strength Indicator)信号を取得して(ステップS520)、そのRSSI信号が所定値よりも大きく、RSSI信号状態が良好か否かを判定して(ステップS530)、操作信号の受信の際の電波状況が良好か否かを判定する。
【0025】
そして、操作信号受信装置5,6の動作信号変換部5c,6cは、それぞれ、操作信号受信部5b,6bで受信したRSSI信号が所定値未満であり、RSSI信号状態が不良と判定した場合には(ステップS530“NO”)、電波状態が悪いためクレーン1a,2aの動作信号は出力しない。
【0026】
これに対し、操作信号受信装置5,6の動作信号変換部5c,6cは、RSSI(Received Signal Strength Indicator)信号が所定値以上であり、RSSI信号状態が良好と判定した場合(ステップS530“YES”)、電波状態が良好であるとしてリモコン装置3、4からの操作信号をクレーン1a,2aの動作信号に変換して通信ケーブル51,61を介しクレーン1a,2aへ出力して(ステップS540)、クレーン1a,2aを動作させる。
【0027】
そのため、操作信号受信装置5,6の動作信号変換部5c,6cは、それぞれ、電波状況によらずに操作信号の受信の度にクレーン1a,2aへ動作信号を出力してクレーン1a,2aの動作を制御するのではなく、電波状況が良好な際に受信した操作信号に基づいて動作信号に変換してクレーン1a,2aへ送ってクレーン1a,2aの動作を制御するので、電波状況が悪い場合にはクレーン1a,2aの動作を停止させるので、クレーン1a,2aを安全かつ確実に遠隔操作することが可能となる。
【0028】
(自動水平調整スイッチ3e8,4e8が押されている場合の動作)
ステップS150のところで、自動水平調整スイッチ3e8,4e8が押されていた場合(ステップS150“ON”)、図5に示す自動水平調整処理へ進む。
【0029】
図5は、自動水平調整スイッチ3e8,4e8が押された場合のリモコン装置3,4の操作信号生成部3f,4fの自動水平調整処理を示すフローチャートである。
【0030】
ステップS150のところで、自動水平調整スイッチ3e8,4e8が押されていた場合(ステップS150“ON”)、リモコン装置3,4の操作信号生成部3f,4fは、それぞれ、傾斜センサ信号受信部3d,4dにサブアンテナ3c,4cを介して無線通信式傾斜センサ7からの傾斜センサ信号を受信させて(ステップS210)、傾斜角算出部3g,4gに吊り荷9の傾斜角度を算出させ、算出した吊り荷9の傾斜角度等の水平状態を水平状態表示モニタ3h,4hに表示すると共に、算出した吊り荷9の傾斜角度に基づいて吊り荷9が水平状態にあるか否かを判定する(ステップS220)。
【0031】
ここで、モコン装置3,4の操作信号生成部3f,4fは、傾斜角算出部3g,4gが算出した傾斜角度に基づいて吊り荷9が水平状態にあると判定した場合(ステップS220“YES”)、自動水平処理を行う必要がないため、図4のステップS160の同期操作モード読み込み処理へ移行する。
【0032】
これに対し、傾斜角算出部3g,4gが算出した傾斜角度に基づいて吊り荷9が水平状態にないと判定した場合(ステップS220“NO”)、リモコン装置3,4の操作信号生成部3f,4fは、続いて吊り荷9においてリモコン装置3,4それぞれが選択した自クレーン(ここでは、リモコン装置3の場合、クレーン1a、リモコン装置4の場合、クレーン2aとなる。)側が他クレーン(ここでは、リモコン装置3の場合、クレーン2a、リモコン装置4の場合、クレーン1aとなる。)側よりも高いのか、それとも低いのかを判定する(ステップS230)。
【0033】
そして、リモコン装置3,4の操作信号生成部3f,4fは、吊り荷9においてリモコン装置3,4が選択した自クレーン側が他クレーン側よりも低いと判定した場合には(ステップS230“NO”)、自クレーンに対しワイヤロープの巻き上げる操作信号を生成して送信して(ステップS240)、自クレーンにワイヤロープを巻き上げさせる一方、吊り荷9において自クレーン側が他クレーン側よりも高いと判定した場合には(ステップS230“YES”)、自クレーンに対しワイヤロープの巻き下げさせる操作信号を生成して送信して(ステップS250)、自クレーンにワイヤロープを巻き下げさせ、ステップS210の無線通信式傾斜センサ7からの傾斜センサ信号の読み込み処理に戻り、吊り荷9が水平状態になるまでステップS210~S250の処理を繰り返す。
【0034】
そして、以上説明したステップS210~S250の処理を繰り返して吊り荷9が水平状態になったと判定した場合(ステップS220“YES”)、リモコン装置3,4の操作信号生成部3f,4fは、図4のステップS160の同期操作モード読み込み処理へ移行する。
【0035】
これにより、本発明に係る実施形態1のクレーンのリモコン装置によれば、リモコン装置3,4の操作盤3e,4eにおいて自動水平調整スイッチ3e8,4e8が押された場合(ステップS150“ON”)、個別操作モードや同期操作モード、主操作モードおよび従操作モードなどの操作モードに関係なく、リモコン装置3,4の操作信号生成部3f,4fは、それぞれ、図5に示す自動水平調整処理を実行して、吊り荷9に張り付けられた無線通信式傾斜センサ7の傾斜センサ信号に基づいて吊り荷9が水平になるように自動的に自クレーン1a,2aのワイヤロープ1a2,2a2の巻き上げ/下げ処理や自クレーン1a,2aのブーム1a1,2a1の上げ/下げ処理を実行して吊り荷9を水平するため、作業者はリモコン装置3,4の操作盤3e,4eのワイヤ巻き上げ/下げ操作スイッチ3e5,4e5やブーム上/下操作スイッチ3e6,4e6等を操作することなく吊り荷9を自動で水平状態にすることが可能となり、作業効率を向上させることが出来る。
【0036】
(同期操作モードが選択された場合)
一方、リモコン装置3およびリモコン装置4において個別同期操作モード切替スイッチ3e3,4e3によって同期操作モードが選択された場合(ステップS170“同期操作モード”)、リモコン装置3,4の操作信号生成部3f,4fは、それぞれ、まず、リモコン装置3,4のケーブル接続部3i,4iに同期用信号ケーブル8が接続されているか否かを判定する(ステップS260)。これは、2台のリモコン装置3,4が同期用信号ケーブル8で接続されていない後述する2台のリモコン装置3,4の同期操作が実現できないからである。
【0037】
そして、リモコン装置3,4のケーブル接続部3i,4iに同期用信号ケーブル8が接続されていないと判定した場合(ステップS260“NO”)、リモコン装置3,4の操作信号生成部3f,4fは、それぞれ、水平状態モニタ3h,4h等に“同期用信号ケーブル8が接続されていません。”等の警告メッセージを表示させたり、警告音を出力したり、個別同期操作モード切替スイッチ3e3,4e3を点灯等して(ステップS270)、リモコン装置3,4を操作する作業者にリモコン装置3,4のケーブル接続部3i,4iへの同期用信号ケーブル8の接続を促す。尚、2台のリモコン装置3,4が近距離無線通信等の無線通信等で接続可能な場合は、同期用信号ケーブル8による接続は不要である。
【0038】
リモコン装置3,4のケーブル接続部3i,4iに同期用信号ケーブル8が接続されていると判定した場合(ステップS260“YES”)、リモコン装置3,4の操作信号生成部3f,4fは、それぞれ、図6に示す動作を行う。
【0039】
つまり、図4においてステップS170の判定処理において同期操作モードが選択され(ステップS170“同期操作モード”)、かつ、リモコン装置3,4が同期用信号ケーブル8で接続されている場合(ステップS260“YES”)、リモコン装置3,4の操作信号生成部3f,4fは、それぞれ、操作盤3e,4eの主従操作モード切替スイッチ3e4,4e4の切替先を読み込み(ステップS300)、主操作モードであるか、従操作モードのいずれが選択されているか否かを判定する(ステップS310)。ここで、リモコン装置3の操作盤3eの主従操作モード切替スイッチ3e4では例えば“主操作モード”が選択され、リモコン装置4の操作盤4eの主従操作モード切替スイッチ4e4では例えば個別同期操作モード切替スイッチ3e3,4e3を個別同期操作モード切替スイッチ3e3,4e3を“従操作モード”が選択されているものとして説明する。
【0040】
ここで、リモコン装置3の操作盤3eでは、主従操作モード切替スイッチ3e4によって例えば“主操作モード”が選択されているため(ステップS310“主操作モード”)、次いでリモコン装置3の操作信号生成部3fは、操作盤3eにおけるクレーン1aを動作させて吊り荷9を移動させるため操作者が操作するワイヤ巻き上げ/下げ操作スイッチ3e5やブーム上/下操作スイッチ3e6、ブーム左/右旋回操作スイッチ3e7の各種操作スイッチが操作されたか否かを判定する(ステップS320)。
【0041】
そして、各種操作スイッチが操作されたと判定した場合(ステップS320“YES”)、主操作モードのリモコン装置3の操作信号生成部3fは、続いて操作された操作スイッチがブーム左/右旋回操作スイッチ3e7であるか否かを判定し(ステップS330)、ブーム左/右旋回操作スイッチ3e7でない場合(ステップS330“NO”)、つまり操作された操作スイッチがワイヤ巻き上げ/下げ操作スイッチ3e5またはブーム上/下操作スイッチ3e6である場合は、ワイヤ巻き上げ/下げ操作スイッチ3e5またはブーム上/下操作スイッチ3e6の操作方向や操作量等の操作内容に基づいて自クレーン1a用の操作信号である主操作信号を生成すると共に(ステップS340)、その主操作信号に基づいて主操作信号の内容と同じ他クレーン2a用の操作信号である従操作信号を生成し(ステップS350)、主操作信号は操作信号送信部3bから主アンテナ3aを介してクレーン1aの操作信号受信装置5に送信する一方(ステップS360)、従操作信号は同期用信号ケーブル8を介して他装置であるリモコン装置4へ送信する(ステップS370)。
【0042】
一方、操作された操作スイッチがブーム左/右旋回操作スイッチ3e7であると判定した場合(ステップS330“YES”)、主操作モードのリモコン装置3の操作信号生成部3fは、
ブーム左/右旋回操作スイッチ3e7の操作内容に基づいて自クレーン1a用の操作信号である主操作信号を生成すると共に(ステップS380)、その主操作信号の旋回方向のみ反転させ(ステップS385)、主操作信号と大きさは同じものの旋回方向を反転させた操作信号を他クレーン2a用の従操作信号とする(ステップS390)。つまり、ブーム左/右旋回操作スイッチ3e7の主操作信号が例えばブーム1a1を右回りに10度旋回させるという操作内容の場合、他クレーン2a用の従操作信号はブーム2a1を逆回りの左回りに10度旋回させるという内容に変換される。
【0043】
その後は、ワイヤ巻き上げ/下げ操作スイッチ3e5およびブーム上/下操作スイッチ3e6を読み込んだ場合(ステップS330“YES”)と同様に、リモコン装置3の操作信号生成部3fは、主操作信号は操作信号として操作信号送信部3bから主アンテナ3aを介してクレーン1aの操作信号受信装置5に送信してクレーン1aを遠隔操作する一方(ステップS360)、従操作信号は同期用信号ケーブル8を介して他装置であるリモコン装置4へ送信する(ステップS370)。尚、その後は、ステップS320の処理に戻って次の新しい操作スイッチが操作されるか否かを判定し、ステップS320以降の処理を繰り返す。
【0044】
以上の処理が操作盤3eの操作盤3eの個別同期操作モード切替スイッチ3e3によって同期モードが選択され、かつ、主従操作モード切替スイッチ3e4によって主操作モードが選択されたリモコン装置3の操作信号生成部3fの動作となる。
【0045】
一方、ステップS310の判定処理にて操作盤4eの主従操作モード切替スイッチ4e4にて“従操作モード”が選択されたリモコン装置4の操作信号生成部4fでは(ステップS310“従操作モード”)は、操作盤4e上におけるワイヤ巻き上げ/下げ操作スイッチ4e5やブーム上/下操作スイッチ4e6、ブーム左/右旋回操作スイッチ4e7等の各種操作スイッチの操作の受付けを禁止して(ステップS410)、主装置であるリモコン装置3がステップS370で同期用信号ケーブル8を介して他装置であるリモコン装置4へ送信した従操作信号を入力し(ステップS410)、入力した従操作信号を動作信号用通信部4bから主アンテナ4aを介し操作信号受信装置6に対しクレーン2aの操作信号として送信してクレーン2aを遠隔操作する(ステップS420)。尚、その後は、ステップS320の処理に戻って次の新しい操作スイッチが操作されるか否かを判定し、ステップS320以降の処理を繰り返す。
【0046】
すると、クレーン1aの操作信号受信装置5と、クレーン2aの操作信号受信装置6では、それぞれ、図7に示すように、電源投入後、リモコン装置3からの主操作信号またはリモコン装置4からの従操作信号を操作信号受信部5b,6bで受信するか否かを動作信号変換部5c,6cが判定しており(ステップS510)、リモコン装置3から主操作信号またはリモコン装置4から従操作信号を受信したと判定した場合(ステップS510“YES”)、続いて操作信号受信部5b,6bでRSSI(Received Signal Strength Indicator)信号を取得して(ステップS520)、そのRSSI信号が所定値よりも良好か否かを判定して(ステップS530)、主操作信号または従操作信号の受信の際の電波状況が良好か否かを判定する。
【0047】
そして、操作信号受信装置5,6の動作信号変換部5c,6cは、それぞれ、操作信号受信部5b,6bで受信したRSSI信号が所定値よりも良好と判定した場合のみ(ステップS530“YES”)、動作信号変換部5c,6cがリモコン装置3からの主操作信号またはリモコン装置4からの従操作信号をクレーン1a,2aの動作信号に変換して通信ケーブル51,61を介しクレーン1a,2aへ出力して(ステップS540)、クレーン1a,2aを動作させ、操作信号受信部5b,6bで受信したRSSI信号が所定値よりも良好でないと判定した場合には(ステップS530“NO”)、電波状況が悪いものとしてクレーン1a,2aに動作信号を出力しない。
【0048】
そのため、操作信号受信装置5,6の動作信号変換部5c,6cは、それぞれ、電波状況によらずに操作信号の受信の度にクレーン1a,2aへ動作信号を出力してクレーン1a,2aの動作を制御するのではなく、電波状況が良好な際に受信した主操作信号または従操作信号を動作信号に変換してクレーン1a,2aへ送ってクレーン1a,2aの動作を制御するので、電波状況が悪い場合にはクレーン1a,2aの動作を停止させることが可能であり、クレーン1a,2aを安全かつ確実に遠隔操作することが可能となる。
【0049】
また、同期操作モード(ステップS170“同期操作モード”)で、かつ、主操作モード(ステップS310“主操作モード”)を選択したリモコン装置3の操作信号生成部3fでは、動作制御の選択クレーンであるクレーン1aに対しては操作者が操作したワイヤ巻き上げ/下げ操作スイッチ3e5やブーム上/下操作スイッチ3e6、ブーム左/右旋回操作スイッチ3e7等の各種操作スイッチの操作内容に応じた操作信号を送信してクレーン1aの動作を制御できる一方、クレーン2aに対しては操作者が操作したワイヤ巻き上げ/下げ操作スイッチ3e5やブーム上/下操作スイッチ3e6はそのまま送信し、ブーム左/右旋回操作スイッチ3e7のみ逆方向に反転した旋回操作信号にして送信してクレーン2aの動作を制御することができるので、1台のリモコン装置3を操作するだけで、リモコン装置4を介して2台のクレーン1a,2aを同期操作することができる。
【0050】
<実施形態1のクレーンのリモコン装置およびクレーンの遠隔操作システムのまとめ>
以上説明したように、本発明に係る実施形態1のクレーンのリモコン装置3,4およびクレーンの遠隔操作システムは、リモコン装置3,4は、それぞれ、同期操作モードであって、かつ、主操作モードの場合には、自クレーン1a,2aの操作信号である主操作信号を生成して自クレーン1a,2aの動作を制御すると共に、その自クレーン1a,2aの主操作信号に基づいて自クレーン1aのブーム1a1の旋回操作信号のみ旋回方向を逆方向に反転した旋回操作信号に変換する一方、自クレーン1aのブームの旋回操作信号以外は変換せずに他クレーン2aの操作信号である従操作信号として同期操作モードであって、かつ、従操作モードの他装置であるリモコン装置3,4へ送信して、他装置であるリモコン装置3,4がその従操作信号を他クレーン1a,2aへ送信して他クレーン1a,2aを操作するように構成している。
【0051】
そのため、本発明に係る実施形態1のクレーンのリモコン装置3,4およびクレーンの遠隔操作システムによれば、ユーザは、同期操作モードであって、かつ、主操作モードに設定した主装置のリモコン装置を操作するだけで、主装置の操作対象である主クレーンの操作信号である主操作信号を生成して主クレーンを操作するだけでなく、主操作信号を他クレーンの操作信号である従操作信号に変換して他装置を介し他クレーンに対し送信して操作することができるので、2台のクレーン1a,2aを確実に同期して操作することができる。
【0052】
その結果、2台のクレーン1a,2aを動作させて、例えば荷を吊り上げ、吊り下げする場合でも、操作のタイミングがずれることがなくなり、吊り荷9の水平バランスも崩れることがほぼなくなり、レール等の吊り荷9を確実かつスムーズに移動させることができる。
【0053】
特に、2台のクレーン1a,2aが吊り荷9を挟んで配置された場合、旋回の同期を行った場合はブームの回転方向が逆になるが、本発明に係る実施形態1のクレーンのリモコン装置では、同期操作モードであって、かつ、主操作モードの場合にブーム1a1,2a1の左/右方向の旋回を操作するブーム左/右旋回操作スイッチ3e7,4e7が操作された場合、自クレーン1a,2aのブーム左/右旋回操作信号のみ旋回方向を逆方向に反転した旋回操作信号に変換して出力するため、1台のリモコン装置であっても2台のクレーン1a,2aのブーム1a1,2a1の旋回動作を安全かつ簡単に同期操作することができる。
【0054】
また、本発明に係る実施形態1のクレーンのリモコン装置3,4およびクレーンの遠隔操作システムでは、2台のリモコン装置3,4それぞれの操作信号生成部3c、4cは、それぞれ、さらに、個別操作モードを有し、個別操作モードの場合には、各リモコン装置3,4に割り当てられた自クレーン1a,2aの操作信号を生成して自クレーン1a,2aに送信することにより自クレーン1a,2aの動作のみを制御する。
【0055】
そのため、本発明に係る実施形態1のリモコン装置3,4およびクレーンの遠隔操作システムは、それぞれ、同期操作モードにおける主操作モードまたは従操作モードによる動作だけでなく、通常のリモコン装置のように自装置に割り当てられた自クレーン1a,2aの操作信号のみを生成して自クレーン1a,2aの動作のみを制御することができるので、同期操作モードに慣れていない作業員の場合、通常通り、自クレーンのみを操作することも可能であり、非常に便利である。
【0056】
また、本発明に係る実施形態1のクレーンのリモコン装置3,4およびクレーンの遠隔操作システムでは、2台のリモコン装置3,4は、それぞれのケーブル接続部3i,4iを介して同期用信号ケーブル8を介し連結されており、同期操作モードであって、かつ、主操作モード側のリモコン装置3,4から同期操作モードであって、かつ、従操作モードのリモコン装置3,4へ同期用信号ケーブル8を介して従操作信号が送信されるため、従操作モードのリモコン装置3,4は、主操作モードのリモコン装置3,4で生成された同期用の従操作信号を確実に入力して自クレーン1a,2aに送信してその動作を制御することができる。
【0057】
また、本発明に係る実施形態1のクレーンのリモコン装置3,4およびクレーンの遠隔操作システムでは、2台のクレーン1a,2aそれぞれの有線のリモコン装置(図示せず。)の通信ケーブルを接続するケーブル接続部(図示せず。)には、それぞれ、有線の通信ケーブル51,61を介して2台のリモコン装置3,4それぞれからの操作信号を受信する操作信号受信装置5,6が接続されている。
【0058】
そのため、有線リモコン(図示せず。)に対応したクレーン1a,2aのリモコン接続口(図示せず。)に操作信号受信装置5,6を後付け接続して無線式のリモコン装置3,4から操作信号を受信することが可能となるので、トラック架装型のクレーン1a,2aの改造が一切必要なくなり、2台のクレーン1a,2aの同期操作が可能となり、コストを低減することが出来る。
【0059】
また、本発明に係る実施形態1のクレーンのリモコン装置3,4およびクレーンの遠隔操作システムでは、2台のリモコン装置3,4は、それぞれ、各リモコン装置3,4が遠隔制御を行うクレーン1a,2aを選択するクレーン選択スイッチ3e2,4e2を設けている。
【0060】
そのため、本発明に係る実施形態1のクレーンのリモコン装置3,4およびクレーンの遠隔操作システムでは、2台のリモコン装置3,4どちらでもクレーン1a,2aを選択することができ、使い勝手を向上させることができる。
【0061】
また、本発明に係る実施形態1のクレーンのリモコン装置3,4およびクレーンの遠隔操作システムでは、2台のリモコン装置3,4は、それぞれ、個別同期操作モード切替スイッチ3e3,4e3が設けられており、2台のリモコン装置3,4それぞれの操作信号生成部3c、4cは、それぞれ、個別同期操作モード切替スイッチ3e3,4e3の切替によって個別操作モードと同期操作モードとに切替えことができる。
【0062】
そのため、リモコン装置3,4で同期操作モードを選択することによって1台のリモコン装置で2台のクレーン1a,2aを同期操作することができるだけでなく、個別操作モードを選択することによって、2人の操作者がそれぞれのリモコン装置3,4で対応するクレーン1a,2aを独立して操作することもできるので、リモコン装置3,4の使い勝手を向上させることができる。
【0063】
また、本発明に係る実施形態1のクレーンのリモコン装置3,4およびクレーンの遠隔操作システムでは、各リモコン装置3,4それぞれの操作盤3e,4eに設けた主従操作モード切替スイッチ3e4,4e4によって主操作信号および従操作信号を生成する主装置として機能するか、あるいは主装置が生成した従操作信号をそのままクレーンに送信する従装置として機能するかを選択することができるので、リモコン装置3,4の使い勝手を向上させることができる。
【0064】
また、本発明に係る実施形態1のクレーンのリモコン装置3,4およびクレーンの遠隔操作システムでは、クレーン1a,2aに接続された操作信号受信装置5,6では、それぞれ、リモコン装置3,4からの操作信号(主操作信号および従操作信号も含む。)を受信した際、さらにRSSI信号を取得して、RSSI信号の取得状態が良好な場合のみ、受信した操作信号を当該クレーン1a,2aの動作信号に変換して当該クレーン1a,2aを動作させる。
【0065】
そのため、本発明に係る実施形態1のクレーンのリモコン装置3,4およびクレーンの遠隔操作システムによれば、リモコン装置3,4の稼働時はRSSI信号の受信状況によって常に電波状態を監視しており、通信が困難な程に電波状態が悪くなった場合は、自動的に通信を停止し、クレーン1a,2aの動作を自動停止することができるため、クレーン1a,2aを安定した状態で遠隔操作することができる。
【0066】
また、本発明に係る実施形態のクレーンのリモコン装置3,4およびクレーンの遠隔操作システムでは、リモコン装置3,4の操作盤3e,4eには、吊り荷9に取り付けることができる無線通信式傾斜センサ7からの吊り荷9の傾きデータをリモコン装置3,4で受信して傾き角度として表示する水平状態表示モニタ3h,4hを設け、吊り荷9の傾き状態を確認することができる。
【0067】
尚、上記実施形態1の説明では、リモコン装置3の操作盤3eの主従操作モード切替スイッチ3e4によって主操作モードが選択される一方、リモコン装置4の操作盤4eの主従操作モード切替スイッチ4e4によって従操作モードが選択されたものとして説明したが、本発明ではこれに限らず、主従操作モード切替スイッチ3e4によってリモコン装置3側が従操作モードで、リモコン装置4側が主操作モードに切り替えて良いし、さらにはクレーン選択スイッチ3e2,4e2の切替によってリモコン装置3が自クレーンとしてクレーン2aを操作し、リモコン装置4が自クレーンとしてクレーン1aを操作するようにしても良い。
【0068】
実施形態2.
上記実施形態1の説明では、同期操作モードの場合、主操作モードの例えばリモコン装置3では、主操作信号により自クレーン1aだけでなく、従操作信号をリモコン装置4を介して従操作モードの他クレーン2aに送信して同期操作するものの実際は2台のクレーン1a,2aの動作速度は微妙に異なり、2台のクレーン1a,2aが完全に同期して動作することはほとんどない。
【0069】
そのため、実施形態2のクレーンのリモコン装置3,4およびクレーンの遠隔操作システムでは、同期操作モードにおいて主操作信号および従操作信号を生成する主操作モードのリモコン装置3,4では、自クレーン1aおよび他クレーン2aの動作を制御し、その同期制御の際、無線通信式傾斜センサ7からの傾斜センサ信号に基づいて吊り荷9が水平になるように動作が早い自クレーン1aまたは他クレーン2aに対しては主操作信号または従操作信号は間欠的に送信して動作が早い自クレーン1aまたは他クレーン2aを間欠的に操作することを特徴とする。
【0070】
図8は、本発明に係る実施形態2のクレーンのリモコン装置3,4における図6のステップS350およびS390の従操作信号生成処理後の処理を示すフローチャートである。尚、本実施形態2でも、リモコン装置3,4の内、リモコン装置3が主操作モードに設定され、リモコン装置4が従操作モードに設定されるものとして説明する。
【0071】
本発明に係る実施形態2のクレーンのリモコン装置3,4およびクレーンの遠隔操作システムでは、主操作モードであるリモコン装置3において図6のステップS350およびS390の処理によって従操作信号を生成すると、リモコン装置3の操作信号生成部3fは、次いで図8に示すように無線通信式傾斜センサ7からの傾斜センサ信号を読み込み(ステップS500)、読み込んだ傾斜センサ信号に基づいて吊り荷9の傾斜角度が所定の閾値よりも小さく、吊り荷9が水平状態にあるか否かを判定する(ステップS510)。
【0072】
ここで、吊り荷9の傾斜角度が所定の閾値よりも小さく水平状態にあると判定した場合は(ステップS510“YES”)、リモコン装置3の操作信号生成部3fは、実施形態1のクレーンのリモコン装置の動作の場合と同様に、図6のステップS360の自クレーン1aへの主操作信号送信処理およびステップS370の他装置であるリモコン装置4へ従操作信号送信処理を行う。
【0073】
これに対し、吊り荷9の傾斜角度が所定の閾値よりも大きく傾斜していると判定した場合は(ステップS510“NO”)、吊り荷9は今回の操作前からクレーン1a,2aの動作によって傾斜状態にあってバランスが悪い状態にあるとみなせるため、リモコン装置3の操作信号生成部3fは、続いて無線通信式傾斜センサ7からの傾斜センサ信号に基づいてクレーン1aとクレーン2aの内、どちらの方が動作が速いか否かを判定する(ステップS520)。
【0074】
これは、同期操作モードであって主操作モードの場合、主操作モードのリモコン装置3では、自クレーン1aだけでなく、リモコン装置4を介して他クレーン2aも従操作信号によって同期操作するが、実際は2台のクレーン1a,2aの動作速度は微妙に異なり、しかも操作信号から従操作信号への変換時間や同期用信号ケーブル8を介した信号伝搬時間等から他クレーン1bの動作は自クレーン1aの動作よりも遅れるため、無線通信式傾斜センサ7からの傾斜センサ信号の値に基づいてクレーン1aとクレーン2aの内、どちらのクレーンの方が動作が速いか否かを判定することができるからである。
【0075】
例えば、同期操作モードにおけるこれまでのワイヤ巻き上げ/下げ操作スイッチ3e5およびブーム上/下操作スイッチ3e6に基づいて主操作信号および従操作信号を生成して自クレーン1aおよび他クレーン2aの動作を巻き上げまたはブーム上昇で同期制御した場合、吊り荷9の自クレーン1a側が他クレーン2a側よりも高く傾斜していた場合には、自クレーン1aの方が動作が速いということになり、自クレーン1a側が他クレーン2a側よりも低く傾斜していた場合には、他クレーン2aの方が動作が速いということになる。これに対し、同期操作モードにおけるこれまでのワイヤ巻き上げ/下げ操作スイッチ3e5の巻き下げおよびブーム上/下操作スイッチ3e6の下げ時に、吊り荷9の自クレーン1a側が他クレーン2a側よりも高く傾斜していた場合には、他クレーン2aの方が動作が速いということになり、自クレーン1a側が他クレーン2a側よりも低く傾斜していた場合には、自クレーン2aの方が動作が速いということになる。
【0076】
また、同期操作モードにおけるこれまでのブーム左/右旋回操作スイッチ3e7の操作によって同期操作されていた場合、無線通信式傾斜センサ7からの傾斜センサ信号に基づいて吊り荷9における自クレーン1a側が先に上下動等していて傾斜角度の変化が大きい場合には、自クレーン1a側のブーム1a1の方が動作が速いとみなせる一方、吊り荷9における他クレーン2a側が先に上下動等していて傾斜角度の変化が大きい場合には、他クレーン2a側のブーム1a1の方が動作が速いものと判定することができる。
【0077】
そのため、リモコン装置3の操作信号生成部3fは、無線通信式傾斜センサ7からの傾斜センサ信号に基づいてクレーン1aとクレーン2aの内、自クレーン1aの方が動作が速いと判定した場合(ステップS520“自クレーン”)、自クレーン1aへの主操作信号の送信を間欠的に送信すると共に(ステップS530)、他装置4への従操作信号の送信は通常通り送信する(ステップS370)。これにより、動作が速い自クレーン1aの動作が間欠動作となり、自クレーン1aと他クレーン2aの動作がなるべく同期がとられ、吊り荷9を安定した状態で移動することが可能となる。尚、その後は、実施形態1のクレーンのリモコン装置の場合と同様に、ステップS320の処理に戻って次の新しい操作スイッチが操作されるか否かを判定し、図8の処理も含めてステップS320以降の処理を繰り返す。
【0078】
これに対し、無線通信式傾斜センサ7からの傾斜センサ信号に基づいてクレーン1aとクレーン2aの内、クレーン2aの方が動作が速いと判定した場合(ステップS520“クレーン2a”)、自クレーン1aへの主操作信号の送信は通常通り送信すると共に(ステップS540)、自装置3から他装置4への従操作信号の送信は間欠的に送信する(ステップS550)。これにより、動作が速い他クレーン2aの動作が間欠動作となり、自クレーン1aと他クレーン2aの動作がなるべく同期がとられ、吊り荷9を安定した状態で移動することが可能となる。尚、その後は、実施形態1のクレーンのリモコン装置の場合と同様に、ステップS320の処理に戻って次の新しい操作スイッチが操作されるか否かを判定し、図8の処理も含めてステップS320以降の処理を繰り返す。
【0079】
<実施形態2のクレーンのリモコン装置およびクレーンの遠隔操作システムのまとめ>
以上説明したように、本発明に係る実施形態2のクレーンのリモコン装置3,4およびクレーンの遠隔操作システムでは、リモコン装置3は、個別操作モードの場合には、自装置3が遠隔操作する自クレーン1aの操作信号を生成して自クレーン1aに送信し自クレーン1aの動作のみを制御し、同期操作モードであって、かつ、主操作モードの場合には、自クレーン1aの操作信号を生成して自クレーン1aの動作を制御すると共に、その自クレーン1aの操作信号に基づいて自クレーン1aのブーム1a1の旋回操作信号のみ旋回方向を逆方向に反転した旋回操作信号に変換する一方、自クレーン1aのブームの旋回操作信号以外は変換せずに他クレーン2aの従操作信号として同期操作モードであって、かつ、従操作モードの他装置であるリモコン装置4へ送信し、その従操作信号で他クレーン2aを操作するように構成している。
【0080】
そのため、本発明に係る実施形態2のクレーンのリモコン装置3,4およびクレーンの遠隔操作システムによれば、実施形態1のクレーンのリモコン装置3,4およびクレーンの遠隔操作システムと同様に、ユーザは、同期操作モードであって、かつ、主操作モードに設定した主装置のリモコン装置を操作するだけで、主装置の操作対象である主クレーンの操作信号である主操作信号を生成して主クレーンを操作するだけでなく、主操作信号を他クレーンの操作信号である従操作信号に変換して他装置を介し他クレーンに対し送信して操作することができるので、2台のクレーン1a,2aを確実に同期して操作することができる。
【0081】
特に、本発明に係る実施形態2のクレーンのリモコン装置3,4およびクレーンの遠隔操作システムでは、2台のクレーン1a,2aを同期操作している際、2台のクレーン1a,2aの動作速度が微妙に異なって吊り荷9のバランスが崩れた場合、クレーン1a,2a無線通信式傾斜センサ7からの傾斜センサ信号に基づいてクレーン1a,2aの内、動作速度が所定の閾値より早いクレーンを判定し、動作速度が所定の閾値よりも速いと判定したクレーンに対しては主操作信号または従操作信号を間欠的に送信することにより動作を間欠動作にして動作が速いクレーンと遅いクレーンの動作速度等が同じになるようにしたため、2台のクレーン1a,2aの動作速度が微妙に異なって吊り荷9のバランスが崩れるケースを極力に防止することができる。
【0082】
尚、上記実施形態1,2の説明では、リモコン装置3、4は、主アンテナ3a,4aを介しいて無線で主操作信号や従操作信号を含む操作信号を各クレーン1a,2aのケーブル接続部(図示せず。)に有線の通信ケーブル51,61を介して接続された操作信号受信装置5,6へ送信してクレーン1a,2aを遠隔操作するように説明したが、本発明ではこれに限らず、各クレーン1a,2aのケーブル接続部(図示せず。)に有線の通信ケーブル51,61を介してリモコン装置3、4を直接接続して有線で主操作信号や従操作信号を含む操作信号を各クレーン1a,2aに送信するようにしても勿論良い。ただし、この場合でもリモコン装置3およびリモコン装置4は、同期させるため、同期用信号ケーブル8等で有線または無線で接続する必要がある。
【符号の説明】
【0083】
1,2 クレーン車
1a,2a クレーン
1a1,2a1 ブーム
1a2,2a2 ワイヤーロープ
3,4 リモコン装置
3a,4a 主アンテナ
3b,4b 操作信号送信部
3c,4c サブアンテナ
3d,4d 傾斜センサ信号受信部
3e,4e 操作盤
3f,4f 操作信号生成部
3g,4g 傾斜角算出部
3h,4h 水平状態表示モニタ
3e1,4e1 電源スイッチ
3e2,4e2 クレーン選択スイッチ
3e3,4e3 個別同期操作モード切替スイッチ
3e4,4e4 主従操作モード切替スイッチ
3e5,4e5 ワイヤ巻き上げ/下げ操作スイッチ
3e6,4e6 ブーム上/下操作スイッチ
3e7,4e7 ブーム左/右旋回操作スイッチ
3e8,4e 自動水平調整スイッチ
5,6 操作信号受信装置
5a,6a アンテナ
5b,6b 操作信号受信部
5c,6c 動作信号生成部
5d,6d ケーブル接続部
7 無線通信式傾斜センサ
7a 傾斜センサ
7b アンテナ
7c 傾斜センサ信号送信部
8 同期用信号ケーブル
9 吊り荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8