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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】風車発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 7/04 20060101AFI20240408BHJP
   F03D 1/04 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
F03D7/04 M
F03D1/04 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021209432
(22)【出願日】2021-12-23
(65)【公開番号】P2023094138
(43)【公開日】2023-07-05
【審査請求日】2022-02-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521518910
【氏名又は名称】合同会社加速流グリーンパワー研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100133411
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 龍郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067677
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 彰司
(72)【発明者】
【氏名】浅井 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 邦光
(72)【発明者】
【氏名】清徳 則雄
(72)【発明者】
【氏名】吉場 康隆
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-107343(JP,A)
【文献】中国実用新案第202176458(CN,U)
【文献】特開平10-225075(JP,A)
【文献】特開2016-001001(JP,A)
【文献】国際公開第2009/063599(WO,A1)
【文献】特開2003-278635(JP,A)
【文献】特開2003-049760(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103967706(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00-80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動円盤と、風車、発電機及び集風体からなる風車発電機と、からなり、該風車発電機を前記回動円盤の中心から離れた地点に前記集風体の風流入口を回動円盤の中心に向けて支持したことを特徴とする風車発電装置。
【請求項2】
前記回動円盤が中心支柱を有し、前記風車発電機が支持柱を有し、該支持柱と前記中心支柱とにより前記風車発電機を支持したことを特徴とする請求項1に記載の風車発電装置。
【請求項3】
前記集風体は、その断面積が風流入口から風車が設置された位置までの間で直線的又は曲線的に縮小するように形成されている前方集風体と、その縮小した断面積が風車の設置された位置から風流出口までの間で直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成されている後方集風体とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の風車発電装置。
【請求項4】
前記集風体は、短辺部及び長辺部を有する断面略長方形状であり、前記風車と集風体の長辺部間との間隔を最小として、集風体の短辺部と長辺部の比を1~10倍とするとともに後方集風体の出口部分の短辺部と長辺部の比を1~10倍としたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の風車発電装置。
【請求項5】
集風体の風流出口の口縁に集風体の外側の風を分散し集風体の外側の風が集風体内の風との接触面積を増やす形状の風分散部を設けたことを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の風車発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風車発電機がヨー機能を発揮して風向きに正対し、風車及び発電機の回転効率を向上せしめて発電電力を高めるとともに、高さの問題、設置の安定性等を改良した風車発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止が叫ばれ、新しいクリーンエネルギーの開発が急務となっている。このクリーンエネルギーとして注目されているのがCOを排出しない風力発電システムである。しかし、風力発電は、現在開発中であるが、現状では石油代替えエネルギーとしての位置は低い。そのため、風力エネルギーを有効に捕捉する手段を開発していかなければならない。
【0003】
現状の風力発電システムは揚力型のプロペラ式風車が主流となっている。このプロペラ式風車の場合は長大なブレード(プロペラ翼)を必要とするためとするとともに、そのエネルギー効率は40%前後であり、風力エネルギーの40%前後を捕捉しているのが現状である。ちなみに理論的最高効率59.3%(ベッツの法則)である。
【0004】
前記の風力発電システムは、(1)できる限り回転直径の大きな羽根を備え、(2)できる限り高い位置に、(3)できる限り風が吹く場所に設置する、という方向で発展してきた。しかし、できるだけ多くの風を捕捉するために羽根の直径を大きくした場合にはその支柱を高くしなければならず、結果として強風に対して不安定になり、強風時には羽根の回転を停止しないと装置の損壊を招くという問題があった。したがって、高さの問題、設置の安定性に問題を有し、建設費にしても数億円と莫大である。
【0005】
さらに、風力発電機の回転効率を向上せしめて発電効率を向上せしめて発電電力を高めるためには、風力発電機を風向きに正対するように制御する必要がある。
従来、風向計により複数の風向データを取得し、風向データとヨー誤差の関係を予め記憶したデータベースから、前記取得した複数の風向データに対応するヨー誤差を読み取る風況計測方法、風力発電装置が提案されている(特許文献1)。しかし、いずれも風向計及び複雑な制御装置等を必要としている。
【0006】
その他、本発明に応用できる集風型風車が提案されている(特許文献2乃至4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2020-193605号公報
【文献】特開2011-140887号公報
【文献】特許第6033870号公報
【文献】特許第6110455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記の事情に鑑み、風車発電機がヨー機能を発揮して風向きに正対し、風車及び発電機の回転効率を向上せしめて発電電力を高めるとともに、高さの問題、設置の安定性等を改良した風車発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明の風車発電装置は、回動円盤と、風車、発電機及び集風体からなる風車発電機と、からなり、該風車発電機を前記回動円盤の中心から離れた地点に前記集風体の風流入口を回動円盤の中心に向けて支持したことを特徴とする(請求項1)。
【0010】
前記本発明によれば、風車発電機が回動円盤の中心から離れた地点に支持される。さらに、集風体の風流入口を回動円盤の中心に向けて風車発電機が支持される。
【0011】
したがって、風が風車発電機に当たると該風車発電機は自動的に回動円盤の中心よりも風下側に移動させられて全方向の風向きに正対する。
【0012】
すなわち、風向きに対して自動的にヨー機能が働き、風が風車発電機に継続的に供給されて風車及び発電機の回転効率が向上させられて発電電力が高められる。さらに、本発明は、別途風向計及びそのデータの制御装置など複雑な装置を必要としない。
【0013】
本発明の実施の一形態は、前記回動円盤が中心支柱を有し、前記風車発電機が支持柱を有し、該支持柱と前記中心支柱とによりに風車発電機を支持したことを特徴とする(請求項2)。この実施の一形態によれば、中心支柱を利用することにより集風体の風流入口を回動円盤の中心に向けて支持することが容易になるととともに風車発電機の取り付け強度を増すことができる。
【0014】
本発明の実施の一形態は、集風体は、その断面積が風流入口から風車の設置さ
れた位置までの間で直線的又は曲線的に縮小するように形成されている前方集風
体と、その縮小した断面積が風車の設置された位置から風流出口までの間で直線
的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成されている
ことを特徴とする(請求項3)。
【0015】
この実施の一形態によれば、風車に集められた風の速度が増して風車及び発電機の回転効率が向上して発電電力が高められる。
【0016】
本発明の実施の一形態は、前記集風体は、短辺部及び長辺部を有する断面略長方形状であり、前記風車と集風体の長辺部間との間隔を最小として、集風体の短辺部と長辺部の比を1~10倍とするとともに後方集風体の出口部分の短辺部と長辺部の比を1~10倍としたことを特徴とする(請求項4)。
【0017】
ここで断面略長方形状とは短辺部及び長辺部を有する楕円形その他の多角形も含まれる。この実施の一形態によれば、集風体を円形状や正方形状とした場合に比べて風車の脇を流れる風速を風車の上下に逃がすことなく風車の両側の空間部へ供給して風車の背面の速度が低下した気流を効果的に叩き出して風車背面の気流の速度エネルギーを回復させることができる。
【0018】
まず、風流入口から風を受けると、該風が前方集風体を通って断面略長方形状の縮小部に設置された風車に至り該風車を回転させる。同時に、風車の両側の空間部からの高速気流が吹き抜ける。そして、風車によってエネルギーが奪われた風車背面の速度の低下した気流を、風車の両側の空間部から吹き抜ける高速気流が叩き出して風車背面の気流の速度エネルギーを回復させる。その結果、断面積が風流入口から風車の設置された位置までの間で直線的又は曲線的に縮小するように形成された前方集風体により風の速度を上げて風車に導かれて風車を通過する風の量及び速度が上昇させられて後方集風体に供給される。
【0019】
つぎに、前記風車を通過した風は後方集風体に供給される。該後方集風体は縮小した断面積が風車の設置された位置から風流出口までの間で直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成されている。該後方集風体に供給された前記風車を通過し風に対し、後方集風体の外側を吹き抜ける、より速い、より低圧の気流と接触させて混合・摩擦・吸収により供給された、より低速、より高圧の後方集風体内の風を風流出口から引きずり出し、再度、風車を通過する風の量及び速度を上昇させる。すなわち、二段構えの風速加速により風車背面の風速を上げ、風車の回転効率を向上せしめて、発電効率を高めるものである。
【0020】
さらに、前記風車と集風体の長辺部間との間隔を最小として、集風体の短辺部と長辺部の比を1~10倍とするとともに後方集風体の出口部分の短辺部と長辺部の比を1~10倍とされる。該比1~10倍において、前記比10倍を超えると面積に対する周長/面積比の増加が大きくならない。また、10倍を超えると装置の大型化を招くという問題も生じるものである。
【0021】
本発明の実施の一形態は、集風体の風流出口の口縁に集風体の外側の風を分散し集風体の外側の風が集風体内の風との接触面積を増やす形状の風分散部を設けたことを特徴とする(請求項5)。この実施の一形態によれば、風車の後方に小さい流速で存在する風を強制的に追い出すことができ、風車及び発電機の回転効率を向上せしめて発電電力を高めることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、自動ヨー制御により風車発電機の回転効率を向上せしめて発電電力を高めるとともに、高さの問題、設置の安定性等が改良された風車発電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の一形態に係る集風型風車の要部平面図である。
図2図1の要部側面図である。
図3図1の要部正面図である。
図4】本発明の他の実施の一形態に係る集風型風車の要部平面図である。
図5図4の要部側面図である。
図6図4の要部正面図である。
図7】切り欠き突起風分散部の正面図である。
図8】星形風分散部(a)(b)(c)の正面図である。
図9】鍔状風分散部の正面図である。
図10】歯車形風分散部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の実施の一形態を図1乃至図3について説明する。
【0025】
本発明の風車発電装置は、回動円盤1と、風車2、発電機3及び集風体4から
なる風車発電機5と、によって構成される。
【0026】
前記回動円盤1は、固定基台6上に配置した複数のローラ7を介して支持されて、その中心Cを軸に回動自在に構成されている。さらに、前記中心Cには中心支柱8が設けられる。該中心支柱8は、前記固定基台6部に設けたベアリング9により回転自在に構成されている。
【0027】
前記風車発電機5は前記集風体4の内部に風車2及び発電機3が配置された構成である。該風車発電機は前記回動円盤1の中心から離れた地点に前記集風体4の風流入口10を前記回動円盤1の中心に向けて支持される。集風体4は、その断面積が風流入口10から風車2の設置された位置までの間で直線的又は曲線的に縮小するように形成されている前方集風体11と、その縮小した断面積が風車2の設置された位置から風流出口12までの間で直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成されている後方集風体13とからなり、且つ短辺部14及び長辺部15を有する断面略長方形状である。
【0028】
さらに、図3及び図6に示すように、前記風車2と集風体4の長辺部15間との間隔を最小として集風体4の短辺部14と長辺部15の比を1~10倍とするとともに後方集風体13の出口部分の短辺部21と長辺部22の比を1~10倍とされる。なお、前記集風体4は本風車発電装置の設置場所に合わせて横長あるいは縦長にして使用される。
【0029】
さらに、集風体4の風流出口12の口縁に集風体4の外側の風を分散し集風体4の外側の風が集風体4内の風との接触面積を増やす形状の風分散部が設けられる。図7には切り欠き突起分散部16を示す。なお、風分散部の形状を問わない。例えば、図8(a)(b)(c)に示す星形分散部、図9に示す鍔状分散部、図10に示す歯車型分散部、その他の形状であってもよい。
【0030】
本発明は、前記風車発電機5を構成する風車2、発電機3及び集風体4が前記回動円盤1の中心Cから離れた地点に支持される。さらに前記集風体4の風流入口10を回動円盤1の中心Cに向けて風車発電機5が支持される。
【0031】
本発明では、風車発電機5を支持柱18と中心支柱8とによって支持するとともに風車発電機5の主軸17の両端部を前記中心支柱8と別に設けた主軸支柱19により回動円盤1上に支持している。
【0032】
前記構成にあって、回動円盤1は回動自在である。したがって、風車発電機5に風が当たると回動円盤1が回転し、同時に風車発電機5は回動円盤1の中心Cよりも風下側に移動させられてその集風体4の風流入口10が全方向の風向きに正対する。
【0033】
風車発電機2の集風体4の風流入口10が風向きに常に正対することにより風車10が常に風を捕捉しつつ回転させられて発電機3の回転効率が向上して発電効率が高められる。
【0034】
つぎに、図4乃至図6の実施例について説明する。なお、図1乃至図3と共通する符号は同一符号で表す。
【0035】
この実施例は、風車2及び発電機3を中心支柱8と風車発電機5の支持柱18によって支持し、集風体4の両端部を支持柱20により支持し、風力に対する強度の向上を図っている。
【産業上の利用可能性】
【0036】
風車発電装置がヨー機能を発揮して風向きに正対し、風車及び発電機の回転効率を向上せしめて発電電力を高めることができるのでその利用分野は広大である。
【符号の説明】
【0037】
1 回動円盤
2 風車
3 発電機
4 集風体
5 風車発電機
10 風流入口
12 風流出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10