IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウニヴェルシタ・デッリ・ストゥーディ・ディ・サレルノの特許一覧

特許7466931薄板及び弾性ジョイント部を機械加工する、特にモノリシック機械式オシレーターの実現のための方法
<>
  • 特許-薄板及び弾性ジョイント部を機械加工する、特にモノリシック機械式オシレーターの実現のための方法 図1
  • 特許-薄板及び弾性ジョイント部を機械加工する、特にモノリシック機械式オシレーターの実現のための方法 図2
  • 特許-薄板及び弾性ジョイント部を機械加工する、特にモノリシック機械式オシレーターの実現のための方法 図3
  • 特許-薄板及び弾性ジョイント部を機械加工する、特にモノリシック機械式オシレーターの実現のための方法 図4
  • 特許-薄板及び弾性ジョイント部を機械加工する、特にモノリシック機械式オシレーターの実現のための方法 図5
  • 特許-薄板及び弾性ジョイント部を機械加工する、特にモノリシック機械式オシレーターの実現のための方法 図6
  • 特許-薄板及び弾性ジョイント部を機械加工する、特にモノリシック機械式オシレーターの実現のための方法 図7
  • 特許-薄板及び弾性ジョイント部を機械加工する、特にモノリシック機械式オシレーターの実現のための方法 図8
  • 特許-薄板及び弾性ジョイント部を機械加工する、特にモノリシック機械式オシレーターの実現のための方法 図9
  • 特許-薄板及び弾性ジョイント部を機械加工する、特にモノリシック機械式オシレーターの実現のための方法 図10
  • 特許-薄板及び弾性ジョイント部を機械加工する、特にモノリシック機械式オシレーターの実現のための方法 図11
  • 特許-薄板及び弾性ジョイント部を機械加工する、特にモノリシック機械式オシレーターの実現のための方法 図12
  • 特許-薄板及び弾性ジョイント部を機械加工する、特にモノリシック機械式オシレーターの実現のための方法 図13
  • 特許-薄板及び弾性ジョイント部を機械加工する、特にモノリシック機械式オシレーターの実現のための方法 図14
  • 特許-薄板及び弾性ジョイント部を機械加工する、特にモノリシック機械式オシレーターの実現のための方法 図15
  • 特許-薄板及び弾性ジョイント部を機械加工する、特にモノリシック機械式オシレーターの実現のための方法 図16
  • 特許-薄板及び弾性ジョイント部を機械加工する、特にモノリシック機械式オシレーターの実現のための方法 図17
  • 特許-薄板及び弾性ジョイント部を機械加工する、特にモノリシック機械式オシレーターの実現のための方法 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】薄板及び弾性ジョイント部を機械加工する、特にモノリシック機械式オシレーターの実現のための方法
(51)【国際特許分類】
   B23C 3/00 20060101AFI20240408BHJP
   B23P 15/00 20060101ALI20240408BHJP
   B23H 9/00 20060101ALN20240408BHJP
【FI】
B23C3/00
B23P15/00 Z
B23H9/00 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021531202
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 IB2019056319
(87)【国際公開番号】W WO2020031008
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】102018000007873
(32)【優先日】2018-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521056445
【氏名又は名称】ウニヴェルシタ・デッリ・ストゥーディ・ディ・サレルノ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITA DEGLI STUDI DI SALERNO
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】ファブリツィオ・バローネ
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド・ジョルダーノ
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-131610(JP,A)
【文献】特開昭63-075633(JP,A)
【文献】特開昭61-079501(JP,A)
【文献】特開昭59-110528(JP,A)
【文献】実開昭58-036039(JP,U)
【文献】特表2012-533062(JP,A)
【文献】特表2011-518273(JP,A)
【文献】特表平10-510483(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0000079(US,A1)
【文献】国際公開第2015/098126(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/010845(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108637333(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 1/00-25/06
B23B 35/00-49/06
B23C 1/00-9/00
B23H 1/00-11/00
B23Q 3/00-3/154
B23P 5/00-17/06
B23K 20/00-20/26
G01H 1/00-17/00
B81B 1/00-7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミーリングによってブランク(210、310)から材料を除去することを含む、薄い金属シート又はジョイント部(230J、330J)を製造するための方法であって、
A.前記ブランク(210、310)を作製する工程であって、
A1.前記ブランクが第1の面(211、311)、及び前記第1の面と対向する第2の面(212、312)を有し、
A2.前記ブランクが前記第1の面(211、311)及び前記第2の面(212、312)の交差方向に前記第1の面(211、311)及び前記第2の面(212、312)を通る2つの開口部(260、360)を有し、
前記2つの開口部は、それらの間に要素(220、320)を互いに規定し、前記要素は、前記2つの開口部(260、360)の間を走り、前記2つの開口部(260、360)に沿った、前記要素の長手方向であるメイン延在方向を有し、前記メイン延在方向及び前記交差方向に延在する第1の側面(221、321)及び第2の側面(222、322)を有するように、
前記ブランク(210、310)を作製する工程、
B.前記第1の側面(221、321)を加工する工程であって、
前記交差方向に沿って、前記第1の面(211、311)から開始して前記ジョイント部の又は前記薄い金属シートの設計奥行きより深い奥行きまで、及び前記メイン延在方向に沿って、前記要素(220、320)の材料の少なくとも一部分をミーリングによって除去することによって、前記第1の側面(221、321)を加工する工程、
C.工程Bの第1の側面(221、321)と同じ方法で、前記第2の側面(222、322)を加工し、それによって前記要素(220、320)から加工要素(230、330)を得る工程、
D.前記ブランク(210、310)を穿孔する工程であって、
前記交差方向において、前記加工要素(230、330)と前記ブランク(210、310)の残りの部分との間にフリースペースが形成されるように、前記交差方向において前記第1の面(211、311)を基準にして、前記設計奥行きよりも深い奥行きの位置で、前記メイン延在方向に平行な方向に沿って、前記ブランク(210、310)を穿孔する工程、及び
F.前記加工要素(230、330)が前記ブランク(210、310)の残りの部分から切り離れるまで、前記加工要素(230、330)に対して隣接する前記ブランクの残りの部分を前記ブランク(210、310)から除去し、それによって薄い金属シート又はジョイント部(230J、330J)を得る工程
を実施することを含む、薄い金属シート又はジョイント部(230J、330J)を製造するための方法。
【請求項2】
前記工程Fの前に、前記加工要素(230、330)を、前記ブランク(210、310)と一体となるようになっておりかつ前記ブランク(210、310)と一体となるように構成された、取り外し可能な固定化機械的手段(240、400)によって固定し、前記工程Fの後に、前記取り外し可能な固定化機械的手段(240、400)を取り外す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記取り外し可能な固定化機械的手段が、ブラケット、ナット及びボルトを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記加工要素(230、330)に隣接しない材料の一部分を除去する工程Eを、工程Dと工程Fとの間で実施する、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1の側面(221、321)を仕上げる工程を、工程B及び/又は工程Cの後に直ぐに実施する、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第2の側面(222、322)を仕上げる工程を、工程Cの後に直ぐに実施する、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1の側面(221、321)及び前記第2の側面(222、322)が、前記第1の面(211、311)及び/又は前記第2の面(212、312)に対して実質的に垂直な表面を有する、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記薄いシート又は前記ジョイント部が、弾性を有する、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記開口部が貫通開口部であり、前記第1の側面(221、321)及び第2の側面(222、322)が貫通側面である、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記交差方向が、前記メイン延在方向に垂直である、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記第1の面(211、311)と第2の面(212、312)が平面であり、及び/又は平行である、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
ミーリング処理を含む、ブランク(310)からモノリシック折り畳み振り子(300WL)を得るための方法であって、
LA.前記ブランク(310)を作製する工程であって、
LA1.前記ブランクが対向する2つの平坦主面(311、312)を含み、
LA2.前記平坦主面(311、312)には、前記2つの平坦主面(311、312)に実質的に垂直な方向に開口部(360)の対が8つあり、各開口部(360)の対には、開口部(360)の対に沿った、要素の長手方向であるメイン延在方向、該メイン延在方向に沿って第1の側面(321)、及び該第1の側面とは対向する側に第2の側面(322)を有する要素(320)が規定され、
前記第1の側面(321)及び前記第2の側面(322)が前記2つの平坦主面(311、312)に実質的に垂直である表面を有するように、前記ブランク(310)を作製する工程、
LB.各開口部(360)の対において、前記2つの平坦主面(311、312)の一方から、設計奥行きより深い奥行きまで前記垂直な方向に沿って、前記要素(320)の材料の一部分をミーリングすることにより、前記第1の側面(321)を加工する工程、
LC.各開口部(360)の対において、前記2つの平坦主面(311、312)の一方から、設計奥行きより深い奥行き(ps)まで前記垂直な方向に沿って、前記要素(320)の材料の一部分をミーリングすることにより、前記第2の側面(322)を加工する工程を含み、前記工程LB及びLCの操作は、各開口部(360)の対の間に加工要素(330)を形成するようになっており、
LD.2つの平坦主面(311、312)を接続する前記ブランク(310)の第1の接続面に4つの孔(380)を形成する工程であって、
4つの加工要素(330)が実質的に前記設計奥行きで前記ブランク(310)の材料から切り離されるように、前記4つの孔(380)を前記4つの加工要素(330)に平行に、前記設計奥行きより深い奥行き(ps)に、それぞれ形成する、工程、
LE.前記2つの平坦主面(311、312)を接続し、前記第1の接続面と対向している前記ブランク(310)の第2の接続面に4つの更なる孔(380)を形成する工程であって、
前記4つの加工要素(330)を、実質的に前記設計奥行きで前記ブランク(310)の前記材料から切り離し、それによって対応するジョイント部(330J)を得るように、前記更なる4つの孔(380)を更なる4つの加工要素(330)に平行に、前記設計奥行きより深い奥行き(ps)にそれぞれ形成する、工程、
LF. 弾性ジョイント部(330J)が折り畳み振り子(300WL)での振動部分として作用するように加工された前記ブランク(310)の中央部分の一端のみに接続されるように、平坦主面あたり2つのジョイント部(330J)において、各弾性ジョイント部(330J)に隣接していない前記ブランク(310)の各材料を除去する工程、
LG.弾性ジョイント部(330J)間の前記メイン延在方向に沿って、前記ブランク(310)の前記中央部分を固定することによって、前記弾性ジョイント部(330J)の取り外し可能な固定化機械的手段(400)を前記2つの平坦主面(311、312)の少なくとも一方に適用する工程、及び、
LH. 前記ブランクの残りの部分から前記4つのジョイント部(330J)及び前記中央部分を切り離すように、前記ブランク(310)を加工して、それによりフリー中央部分(300M)を得て、折り畳み振り子構造に従い、前記フリー中央部分(300M)を前記弾性ジョイント部(330J)によってフレーム(300F)に接続する振り子アーム(300A)として形成する工程
をさらに含む、方法。
【請求項13】
前記より深い奥行きが、5~20%の割合分前記設計奥行きよりも深い、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記より深い奥行きが、7~15%の割合分前記設計奥行きよりも深い、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記取り外し可能な固定化機械的手段(400)が少なくとも1つの取り外し可能な固定板(410)を含み
前記少なくとも取り外し可能な固定板(410)は、
-前記フレーム(300F)の材料への取り外し可能な剛性接続のために構成された少なくとも第1の孔(493、494)、
-前記フリー中央部分(310M)の材料への取り外し可能な剛性接続のために構成された少なくとも第2の孔(491、492)、
-各振り子アーム(300A)についてそれぞれ、各振り子アーム(300A)の材料への取り外し可能な剛性接続のために構成された少なくとも第3の孔(485、486、487、488)
を有し、
4つの側方開口部(461、462、463、464)がさらに存在し、該4つの側方開口部(461、462、463、464)が前記フレーム(300F)の前記材料と前記振り子アーム(300A)の前記材料との間、及び前記フレーム(300F)の前記材料と前記フリー部分(300M)の前記材料との間の、加工のための接続領域にアクセスできるように形作られている、請求項12~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの取り外し可能な固定板(410)に、少なくとも2つの第1の孔、少なくとも2つの第2の孔、及び少なくとも2つのそれぞれの第3の孔がある、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
工程LGにて、前記取り外し可能な固定化機械的手段(400)を、前記2つの平坦主面(311、312)の両方に適用する、請求項12~15のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料(又はマテリアル;material)の単一ブロックから材料を除去する(又は外す、又は除く;removing)ことによって薄い金属シート(又は薄板、又は薄板金、薄金属板)及びジョイント部(又は継ぎ手、又は接合部;joint)を製造する方法、すなわち、ミーリング(又はミーリング加工、又はフライス加工、又は粉砕;milling)[1]に基づく処理により、材料を除去することによって互いにシームレスに接続された1つ以上の薄いシート(又は薄板;thin sheet)及び/又は薄い弾性ジョイント部からなる取得製品(又はアイテム、又は品目;item)を製造する方法に関する。
【0002】
複雑な取得製品に対するそのような方法の可能なアプリケーション例は、監視及び制御アプリケーション[2][3][4][5][6]のための折り畳み振り子(folded pendulum)構成に基づく線形及び角変位を測定するための高感度、低周波数、広帯域モノリシック機械センサーの製造である。
【背景技術】
【0003】
現在、材料を除去することによって薄い金属シート及びジョイント部を製造することを可能にする、すなわちこれらの構成要素をミーリング単独に基づく処理によって得ることを可能にする手順はない。
【0004】
例えば、ミーリングによって薄いジョイント部(厚さが100ミクロン以下のオーダー)を製造する手順は、最初に一方の側、次に他方の側の材料を除去することを意味する。ジョイント部が未だ形成されていないため、第1の面を製造する材料は、標準的なミーリング手順で除去することができる。従ってカッターは、カッター自体の圧力に耐える固体構造に作用する。一方、第2の面の材料の除去は、特に繊細な処理である。これは、ミーリング操作中に、ツールが形成される薄いジョイント部に圧力を加えるため、処理が進むにつれて構造的に次第に弱くなり、よくても弾力的方法で、そして、いずれにせよ制御できない方法で変形するためである。実際に、ジョイント部はかなりの機械的応力に付されており、材料自体の機械的特性の制御されていない加減(又は緩和、又は修正、又は変更;modification)により、すでに数百ミクロンのオーダーの厚さで塑性変形及び/又は破損ゾーンに達し得る。製造段階でのジョイント部の変形は、例え弾性でも、ミーリングによる通常の機械的処理手順で設計仕様を達成する可能性が低いという考慮はそれほど重要ではない。実際に、ミーリング中に薄くなると、ジョイント部はカッター自体の圧力で変形する。カッター自体の圧力は、事前の設定に基づいて数値的に制御され、制御されていない方法で材料を除去し、ジョイント部自体の破損や永久変形がない場合でも、一般的に設計の結果に準拠しない最終結果が得られる。
【0005】
これらの理由のため、今日、薄い金属シートとジョイント部は、加工物に機械的ストレスをかけることなく材料を除去できるWEDM技術[7]を利用して処理され、最大50ミクロンの薄い金属シートと弾性ジョイント部を製造できる。しかしながら、この処理は、加工中の材料を介した放電の通過(又は通路、又はパッセージ;passage)を意味するため、材料の元の機械的特性を保証するものではない。
【0006】
同じことが薄い金属シートにも適用し、「薄い金属シート」という用語は、本明細書において、ボディ(又は本体;body)に接続された第1の端部及び、例えば第1の端部に対向する、フリー(又は自由;free)端部を有する長方形の要素(又は素子、又はエレメント;element)を意味する。
【0007】
より詳細には、WEDMは、導電性材料で作られたワイヤーをツール(又は工具;tool)として使用する。このワイヤーは、孔(又は穴、又はホール;hole)を介して(又は通って;through)材料の中へ引き伸ばされ、必ず良好な導体である必要があり、切断を達成するために、材料自体に接触するまで移動する。
【0008】
この処理は、材料を侵食する(又は削る、又は食い込む;erode)放電による熱機械的特性に基づいており、材料と電極を、処理中に材料を冷却する機能も有する液体誘電体に浸して、加工する材料に対して近い切断ツール(電極)に近づく構成である。したがって、負の電位(又は電気的ポテンシャル;electrical potential)が、加工された材料に関連してツールに加えられる。ツールと材料との間の距離が誘電体を介して放電を生成するのに十分に小さい場合、プラズマチャネル(アーク)が生成され、材料の表面が溶けて、切断(又はカット、又は切削、又は切込み、又はワイヤーカット;cut)が意図されているポイントで除去される。
【0009】
切断中、加工される材料から事前に規定された距離が維持されるように、侵食が進むにつれてツールが前進する。この処理では、ほこりのように見え、チップではなく誘電体に分散する廃棄物が発生する。
【0010】
この技術には、次の3つの重要な利点がある。
a.非常に硬い金属(特殊鋼、高速度鋼、硬い金属等)、若しくは熱又は化学処理で硬化した金属(焼き戻し、浸炭等)を加工する可能性があり、ツール(ワイヤー)が加工される材料よりも硬度又は機械的強度が大きい。
b.他の従来の技術(複雑な形状やプロファイルの鋭いエッジ、リブ、及びキャビティ)では不可能な切断や孔を開ける可能性。
c.ワイヤーの通過が加工される表面に圧力を加えないため、非常に薄い金属シート表面を加工する可能性があり、したがって、材料が処理にストレスをかけることはない。
【0011】
一方、放電機械加工の欠点は、導電性ワイヤーの存在が常に必要であるため、軸方向の処理しか実施できないことである。このタイプの処理は、多くの場合、加工中の製品(又は工作物、又は加工対象物、又はワークピース;workpiece)を弱くする。これは、侵食軸に沿った一部の部分を、より一般的及び/又は局所的な構造的剛性を提供するために有利に維持できるためである。さらに、一部のピース部分(又は加工する部分、又は1区画、又は1辺、又は1個、又は1ピース;piece)の反対側の面に配置されたジョイント部を提供する作製の場合、処理の種類により、面自体に対称的に配置されていないジョイント部を作製することは非常に困難である。
【0012】
一方、機械的ミーリングによる加工は、工作機械(フライス盤)に取り付けられたカッターと呼ばれる規定構造を有する切断ツールの動作によって材料を機械的に除去することによって加工するため、まったく異なる。ミーリング動作は、ツールの回転と、ツールと加工される材料との間の相対的な動きを提供する。回転中、カッターの刃先は、加工する部品とカッター自体の間の並進運動(又は移動;translation)の結果としてカッターと接触した際に、部品から材料を取り除く。機械的ミーリングにより、忠実に(最大100ナノメートル)表面仕上げが施された公差が1ミクロン未満の部品の製造が可能になる。
【0013】
ただし、ミーリング動作の重要な要素で及び制限は、カッターが材料を除去するように作用する表面に必ず圧力をかけなければならないことである。
【0014】
一般に、ミーリング処理は、荒加工工程と仕上げ工程を提供する。粗面化により、作業中の部品から材料がより迅速に、したがってより経済的に除去され、次の仕上げ工程で除去するのに十分な金属層が残る。この第2の工程では、表面の粗さの程度に関連するものを含め、設計寸法と公差を尊重するために、余分な部品が除去されて予想寸法に到達する。
【0015】
ミーリング処理は現在、CNC(コンピューター数値制御)マシンで実施されており、2つの軸に沿ってジャイロスコープで回転できる傾斜軸を備えた調整可能なヘッド(カッター)を備えている。この特性は非常に複雑な形状のオブジェクトの製造にも関連している。CNCテクノロジーを使用したミーリングでは、非常に滑らかな表面を非常に高精度(100ナノメートルのオーダー)で、迅速に、自動的に、及び非常に低コストで作製できるが、直接的な適用による薄い金属シートやジョイント部を(100ミクロンのオーダーで)作製することはできない。
【0016】
次の表は、2つの技術の主な違いをまとめたものである。
【0017】
【表1】
【0018】
簡潔には、現在、薄い金属シート及びジョイント部は、ミーリングによって数百ミクロン未満の厚さの薄い金属シート及びジョイント部を加工することができないため、導電性材料のみを使用するWEDM技術を使用して必然的に作製される。
【0019】
この明確なデモンストレーション(又は実演、又は実証;demonstration)は、機械センサーの国際的な最先端技術である折り畳み振り子アーキテクチャに基づく、モノリシックセンサーがすべて混合技術で作製されていることである:モノリシックボディと主要構成要素(又はコンポーネント;component)を製造するためのミーリング、一般に100ミクロンのオーダーの厚さの機械的ジョイント部のみを製造するためのワイヤー放電機械加工[1][2]。
【0020】
したがって、以下を可能にする方法が必要であると感じられる。
a.厚さが100ミクロン未満であるが、WEDMと比較して表面仕上げの点で優れた品質の薄い金属シート及びジョイント部の製造。
b.WEDM技術によって示される最も重要な制限の1つを克服する、薄い金属シートと非導電性材料のジョイント部の製造。
【0021】
また、処理速度の向上と製造コストの削減、完全な自動化だけでなく、構造の変形や変更なしで(放電機械加工での電気の通過によるなど)、非導電性材料で加工する、貫通孔(又はスルー穴;through hole)、ねじ山(又はスレッド;thread)、薄いシート(<100μm)の作製などのさらなる処理の可能性を備えた完全自動処理手順を開発する必要性も感じられる。
【0022】
さらに、より耐性のある構成要素とより繊細な構成要素(薄いジョイント部など)の両方に対して単一の方法を使用して処理することにより、各機械的(又は機械;mechanical)構成要素を製造する必要性が感じられる。
【本発明の目的と主題】
【0023】
本発明の目的は、例えば、薄い金属板やジョイント部の製造のために、ミーリングに基づく処理によってブランク(又は素材、又は未加工材、又はブランク材;blank)から材料を除去することによる機械的処理方法を提供することである。
【0024】
本発明のさらなる目的は、ミーリング単独に基づく処理で材料を除去することによって、互いにシームレスに接続された1つ以上の弾性ジョイント部によって構成される材料の単一ブロックから得られる取得製品の製造を可能にする方法を提供することである。
【0025】
最後に、本発明の別の特定の目的は、監視及び制御のために使用される地震計、速度計、加速度計、及び傾斜計を製造するための機械式(又は機械、又は機械式;mechanical)オシレーター(又は発信機、又は振動機、又は振動子;oscillator)として使用される、折り畳み振り子構成でもある、ワッツ・リンケージ製(又は系;based))のモノリシックセンサーを、ミーリングにより低コストで製造する方法を提供することである。
【0026】
本発明のさらなる特定の目的は、本発明の方法による処理を可能にする取り外し可能な(又は除去可能な;removable)な固定化(又は固定、又は拘束;immobilization)要素である。この要素は、メソッド処理を支援し、折り畳み振り子を輸送するための安全手段を提供する。
【0027】
本発明の主題は、添付の特許請求の範囲に従って薄い金属シート又はジョイント部を製造するための方法である。
【0028】
本発明のさらに特定の主題は、添付の特許請求の範囲に従って折り畳まれた モノリシック振り子を製造するための方法である。
【0029】
本発明のさらに特定の主題は、添付の特許請求の範囲に従って、本発明の方法で使用される取り外し可能な固定化要素である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
次に、本発明は、添付の図面の図を特に参照して、非限定的な例として説明される。
図1図1は、本明細書による製造方法の工程1を示しており、垂直に沿って通過する2つのミーリング・カットを有するジョイント部を製造するために作製されたピース部分(又は一片、又はピース;piece)の概略図を示す。
図2図2は、図1に続く工程2の終了時の生成物の概略図を示しており、楕円形のジョイント部の右側を示す。
図3図3は、図2に続く工程3の終了時の生成物の概略図を示しており、楕円形のジョイント部の左側を示す。
図4図4は、楕円形のジョイント部の切り離し(又は取り外し、又は分離;detachment)の工程4の詳細を示しており、特に(a)穿孔(又は孔開け;perforation)の中央におけるドリル・ビットの位置、及び(b)孔の垂直断面を示す。
図5図5は、楕円形のジョイント部の切り離しである、工程4の処理の最終結果を示している。処理の最終結果は、(a)に示されている。材料の部分がそれぞれ(c)及び(d)に示されており、これらは、穿孔によってジョイント部が残りの材料からどのように切り離されているかを示す。
図6図6は、工程4の処理に従ったジョイント部の水平断面を示しており、3つの異なるタイプの加工(a)、(b)、及び(c)がある。
図7図7は、本明細書に記載の方法を使用して実施された楕円形ジョイント部の工程5での処理の最終結果を示す。(a)は正面図、(b)はミーリングのみに基づく方法を使用して作製された楕円形ジョイント部の背面図を示す。
図8図8は、単純な振り子アームを支持する固定構造を示す。その吊り下げ点(又はサスペンション;suspension)と回転点は、楕円形のプロファイル(又は側面、又は輪郭、又は外形;profile)を有する薄い弾性ジョイント部で構成されている。
図9図9は、折り畳みモノリシック振り子を生成するために、本明細書に従ってメソッドを開始するために使用される半製品(又は途中完成物、又は半仕上げ品;semi-finished piece)を示す。
図10図10は、本明細書に従って折り畳みモノリシック振り子を製造するための工程1に関連して加工されるピース部分の作製結果を示し、本処理のこの工程で作製されるジョイント部の開口部(又はアパーチャー;apperture)と、作製される参照(又はreference)孔を示す。
図11図11は、ジョイント部の2つの面を製造することを目的としたミーリングによる処理の結果を示す。また、輸送目的又は外面へ固定可能とするために、取得製品の外部ブラケット及び/又は保護プレート(又は板;plate)を適用するために作製された追加の貫通孔も示す。
図12図12は、本明細書に従って、折り畳み振り子を製造するために削孔(又はドリル、又は孔開け;drilling)により、残りの材料からジョイント部を切り離れる処理の結果を示す。
図13図13図12の半製品の詳細を示す。
図14図14は、追加のミーリングによって弾性ジョイント部に隣接していない材料を除去することを目的とした、工程5の処理の結果を示す。
図15図15は、ジョイント部に隣接していない材料を除去するための機械加工操作の結果を示す。これは、折り畳み振り子の可動部分(中央の部分、アーム)を構造(フレーム)に対してロックしたままにする部分を取り除くための最終的なミーリング操作の準備である。この図はまた、折り畳み振り子の操作に必要であるが、ミーリングによる説明された新規の加工方法とは関係のない、読み出しシステム、固定システムなどの適用に機能する、ピース部分内の孔及びねじ山の存在を示す。破線の楕円は、折り畳み振り子の可動部分を固定構造に固定する部分を示す(背面は同じで、同じ手順で作業される)。
図16図16は、本明細書によるブラケット(または「取り外し可能な固定」)システムを示す。図は、2つの振り子アームをロックするための孔、中央の部分(主たる部分;mass)をロックするための孔、及び固定構造に固定するための孔を示す。
図17図17は、本明細書に従ってミーリング単独で作製された折り畳み振り子の正面図を示す。
図18図18は、本明細書に従ってミーリング単独で作製された折り畳み振り子の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書は、薄い金属シート及びジョイント部(100ミクロン未満の厚さであっても)を製造することを目的とした材料の機械加工方法を紹介し、これは、上記のように、特定の条件及びさまざまな制限を有するWEDM(ワイヤー放電機械加工)技術[7]のみを使用して、導電性材料(実質的に金属)のみを使用する従来技術において達成され得る。
【0032】
本明細書に記載の処理方法は、材料の単一ブロックから、薄い金属シート及びジョイント部(例えば、限定されないが、弾性)、ならびにミーリング技術のみを使用して、互いにシームレスに接続された1つ以上の薄い金属シート及び/または薄い弾性ジョイント部から成る複雑な取得製品の製造を可能にし、WEDMによって課せられた材料の導電率の制限も克服する。
【0033】
本明細書に示されるミーリングによる薄い金属シート及びジョイント部の処理方法は、そのような薄い金属シート及びジョイント部が使用される設計のタイプから独立している。たとえば、ワッツ・リンケージ(又はWatt’s linkage)製モノリシックセンサーの設計から独立している。しかしながら、サイト(又は敷地、又は会場、又は現場;site)の地震監視アプリケーション、民間及び工業用建物(建物、ダム、橋、トンネル)の監視及び/又は制御、耐震緩和システム及び慣性プラットフォーム等を製造するための監視及び/または制御のための地震計、速度計、加速度計、及び傾斜計を製造するための機械的発振器として使用される、特にワッツ・リンケージ製で、折り畳み振り子構成でもある、そのようなモノリシックセンサーのための特定の実施形態を想定している。
【0034】
本発明の主題である新規の方法は、非限定的な例の方法として、メイン半径SM=8mm;短半径Sm=2.5mm;ジョイント部の厚さSg=0.1mm;ジョイント部の奥行きPg=5mmを特徴とする楕円プロファイル(楕円率16/5)を有する薄い弾性ジョイント部で構成されている、単純な振り子、吊り下げ点と回転点を支持する、アルミニウム合金(例えば、AL6092-T6)で作製された固定構造の作製を目的とした、その基本的な形態で最初に説明される。
【0035】
記載手順は薄い楕円形のジョイント部を作製することを目的としているが、そのような手順は、無限の楕円率を持つ楕円形のジョイント部として解釈できる薄い金属シートまたは他の金属シートの製造にも直接適用できることを強調することが重要である。
【0036】
この方法は、処理のタイプと方法だけでなく、一般的な理由も強調する記載で、以下で詳細に説明する連続する工程の実施を提供する。
【0037】
図1は、垂直に沿ったミーリング・カットで2つの一般的なジョイント部を加工するために作製された、加工するピース部分を図式的に示す。ただし、作製(又は準備;preparation)ミーリング・カットを介する(又は通過する、又は通す;through)必要はないことを明示する価値がある。
【0038】
以下に詳述するように、楕円形のジョイント部(または薄い金属シート)を製造することを目的とした6つの必要な機械的加工工程がある。
【0039】
本明細書では常に弾性ジョイント部を参照するが、この説明の方法は非弾性ジョイント部にも適用できる。
【0040】
工程A.1.材料の作製
特定の例では、厚さ1.5cmの材料ブロックが使用され、2つの幅0.9cmの垂直開口部が作製され、中央(振り子)に幅0.51cmの材料の棒(又はバー;bar)が残り、その上に、楕円形のジョイント部が後の工程で作製される。これらの寸法は限定するものでない。
【0041】
200から290までの参照番号は、成形(又はシェープ;shape)及び形成(又は形作る;form)される楕円形のジョイント部を含む、参照番号210によって示されたブランクブロック(又は塊;block)の構成要素及び加工の様々な工程を示す。
【0042】
ミーリングによって材料が除去されるブロック又はピース部分210は、図1に示されるように、最初に加工される。即ち、前面(又は第1の面)(又は第1の平面;first face)211(有利には平坦である)及び2つの貫通開口部(又はスルー開口部、又は貫通アパーチャー、又はスルー・アパーチャー;through aperture)260(一般的に、以下で説明するように、折り畳みモノリシック振り子の処理開始時のように、非貫通開口部であることも可能である)。前面と対向する側には、別の前面(又は第2の面)(又は第2の平面;second face)212があり、2つの対向する面の間に接続壁がある。2つの開口部は、開口部のメイン方向に沿うメイン(又は主;main)延在方向、及びそれに垂直な方向(及び第1の面及び第2の面に垂直)の奥行き(又は深さ、又は深度;depth)を有する要素220を相互に規定する。
【0043】
工程A.2.ジョイント部の第1の面のミーリング
楕円形のジョイント部の第1の面は、毎回所定の適切なサイズのカッターを使用して、楕円形のジョイント部の設計奥行きよりも僅かに深い(又は大きい、又は長い、奥行きがある;greater)奥行きまで材料を除去することによってミーリングされる。このミーリングによって、図2に示すように、楕円形のジョイント部の右側面(左側面からでも開始可能である)が作製される。この工程では、この面における可能な仕上げ操作を実施する必要がある。参照番号230Rは、右側にのみ加工された楕円形のジョイント部形状を示す。
【0044】
特定の例示的なケースでは、奥行き5mmのジョイント部が作製されるため、材料は、5mmより僅かに深い奥行きps(例えば、5.5mm)まで直径4mmのカッターで除去される。 一般的に、事前に規定された限定はないが、奥行きpsは、好ましくは5~20%、さらにより好ましくは7~15%の割合(又はパーセンテージ;percentage)で設計奥行きよりも深い。
【0045】
増加の選択は、ジョイント部の厚さ及び後で使用される穿孔用ドリルの厚さに依存する。上記の場合、使用する機械の高い処理精度を考慮して、0.5mmが選択された。また、材料の種類にも依存するが、切断中に生成される切りくずやバリにも大きく依存する。
【0046】
工程A.3.ジョイント部の第2の面のミーリング
上記工程と同じカッターを使用して(例えば、非対称のジョイント部を製造するために、別のカッターを使用することも可能である)、楕円形のジョイント部の第2の面222がミーリングされ、材料が工程A.2.のように同じ奥行きにまで除去される。図3は、薄い金属シートの左側の処理を示す。この加工により、楕円形のジョイント部の左側が作製され、最終前の楕円形のジョイント部又は「加工要素」230が作製される。この面での可能な仕上げ操作は、ジョイント部がまだ固定されているこの工程で実施する必要がある。
【0047】
加工工程の間に、後部(即ち、ジョイント部の下部)は、依然、通常のミーリング操作が可能である、加工されているブロックを有する、モノリシック(又は一体物、又は一枚岩的;monolithic)であるため、弾性ジョイント部は、たとえ厚さが薄くても、ツールの圧力下で最小限に変形することが理解するに値する。このような圧力は、使用するカッターのサイズに関連しているため、要求される最終精度と材料の機械的特性に関して、加工工程中のジョイント部の変形を無視できる値に減らすように、後者を選択する必要がある。
【0048】
特定の例示的なケースでは、第2の面は、再度直径4mmのカッターを用いて5.5mmの奥行きまで材料を除去することによってミーリングされ、したがって、100ミクロンに等しい2つの面の間の計画(又はプロジェクト;project)に必要な最小の厚さを達成する。しかしながら、通常、ジョイント部の厚さは必要ない。
【0049】
工程A.4.ジョイント部の切り離し
この工程では、上述の接続壁、つまり工程1と2で加工している面に直交する(通常、直交する必要はない)面に削孔により孔(又は穴;hole)が作製される。削孔(又は穿孔、又は穴堀;drilling)は、図4に示されるように、第1の面211及び第1の面と対向する第2の面212に平行な軸に沿って行われる。特に、図4は、穿孔280の中央におけるドリル・ビット290の位置を示す。
【0050】
このタイプの穿孔は、ジョイント部のセクション(又は部分;section)にビットの接線(又は接平面;tangent)の切断を特徴とし、残りの材料からの切り離しを可能にする。図4(b)は、ビットが挿入された孔の垂直断面を示す。この加工工程中、穿孔中のビットの前進の間、ジョイント部230の加工されている部分は、加工されている材料と常にモノリシックであるため、ジョイント部には機械的応力が付されない(又は晒されない;subjected)。したがって、せん断力(又はずり応力;shear stress)は構造に作用し、これは、切断前の場合、たとえ薄くても、ジョイント部を変形させることなく切断自体を可能にするのに十分な強さである。実際に、材料を除去した後でのみ、ビットがジョイント部に接していることを強調(又は目立たせる;highlight)することが重要である。ただし、このような状況では、ジョイント部を構成するパーツから材料が除去されないため、ジョイント部自体にせん断力が適用されない。
【0051】
特定の例示的な場合において、孔280は、3mmのドリル・ビット290で掘削される。
【0052】
この加工工程の結果が図5(a)に示される。図5(b)及び5(c)に示されているそれぞれのセクションは、穿孔によって、ジョイント部が残りの材料からどのように切り離されたかを示している。
【0053】
ここで図6を参照すると、ジョイント部の後部に孔280を有するジョイント部を切り離すための削孔が、図中にさらに詳細に示されている。図6は、(a)において、その円周がジョイント部230に接するように、又はより正確には、後にその壁又は面となるものに接するように円280を形成する削孔を示す。これは明らかに境界のケースであり、最小の厚さの点で無限に薄くならない限り、理想的にはジョイント部が切り離れることはない。完全な切り離しに近づくために、円周は前述の壁の線に入り、したがって(b)のように壁の材料の一部も除去する必要がある。ジョイント部の厚さd(この例では5.5mmに等しい)を正しく寸法設定するように注意した場合、これはジョイント部の構造的損失を意味しないため、dの最小最終厚さ(この例では5.0mmに等しい)がジョイント部の正しい操作のために十分に得られる。平均最終厚さも事前に固定することができ、削孔がそのような平均最終厚さに達することができるようにdを計算することができる。あるいは、(c)のように、より小さな直径のドリル・ビットでいくつかの削孔(又は穴を形成する;drilling)をすることができる。これにより、dcにほぼ均一に等しく、d>dとなるような最終的な厚さを得る。(a)のように最初に孔開けをし、(c)のように削孔操作を終了した直後に削孔することも可能である。ここで注目に値するのは、この仕上げの削孔又はファイリング(又はヤスリかけ;filing)は孔の方向に実施する必要があるため、孔の軸に大きく入射する方向や垂直な方向を避けることである。そうしなければ、ジョイント部は、自身の耐久と連続操作を譲歩する応力が付されて、ジョイント部が損傷する。
【0054】
ジョイント部の開口部の方向に垂直な方向にビットを用いた削孔操作又はいくつかの隣接する孔開け操作によって、又はジョイント部の開口部の方向に垂直な方向に再度ミーリングすることによって、切り離しを達成する可能性がある。しかしながら、この製造方法では、ピース部分にさらに開口部を作製する必要がある。これは、場合によってはジョイント部に悪影響を与える可能性があるため、必ずしも望ましいとは限らない。
【0055】
一般的に、本明細書では、削孔は常に可能な限り意図されているミーリングの特殊なケースである。より一般的には、削孔及びミーリングを含む様々な技術で実施することができ、円形又は非円形の孔につながる可能性がある穿孔について使用し得る。
【0056】
工程A.5.ジョイント部に隣接しない材料の除去
この工程では、弾性ジョイント部に隣接していない要素220の残りの材料が、さらなるミーリングによって除去される。非隣接材料とは、ジョイント部と直接接触する部分又は表面(又は面; surface))がない材料を意味する。
【0057】
この処理の唯一の目的は、柔軟なジョイント部を得るために、ジョイント部と振り子アームを自由に保つことである。これまでに得られたジョイント部は、構造の残りの部分と一体でモノリシックであるが、アームがジョイント部と構造の残りの部分の両方で未だモノリシックであるため、未だジョイント部の機能を果たしていない。このため、このような工程は、ジョイント部を含む構造の機能に関連しているため、任意と見なす必要がある。
【0058】
特定の例示的なケースでは、弾性ジョイント部に隣接していない残りの材料は、直径6mmのカッターを用いてさらなるミーリング操作によって除去される。
【0059】
工程A.6.ジョイント部の2つの端部で隣接するパーツの切断
この最後の工程は、ジョイント部自体を有する振り子のモノリシックな性質のためであり、ジョイント部へのせん断力の影響によるものではないために、処理中のジョイント部の破損、ジョイント部自体への振り子アーム(又は、これが振り子のジョイント部でない場合ジョイント部に隣接する他の部分における)に加えられた力の伝播による破損を回避するために必要なブラケットシステム(より一般的には「取り外し可能な固定」システム又は手段)の組み立てが必要である。図7(a)と図7(b)は、楕円形のジョイント部を備えた単純な振り子で、正面と背面の2つの異なる視点である、処理の結果を示す。
【0060】
図8をさらに参照すると、処理中の楕円形ジョイント部230の変形又は破損を回避するために、振り子と構造との間に相対運動がないことを確実にするために、ブラケットシステム240、250が作製及び適用される。特定の例では、6mmカッターを使用して最終的なミーリングを実施し、楕円形のジョイント部に隣接する部品を切り離す。
【0061】
より一般的には、この製造のタイプを考慮すると、振り子と構造の間に相対運動がないことが基本であり、それを必要とするすべての処理工程に適用される前述の適切なブラケットシステムによって得られる。実際、図1の中央要素220が十分に剛性でない場合、ロックされなければならないが、それが剛性である場合、ロックせずに手順の終わりまで続行することが可能である。言うまでもなく、シートを作製した後、薄い金属ジョイント部の隣接していない部品をミーリングする前に、ブラケットが必要になることがよくある。
【0062】
原則として、混合方法、つまり、薄い金属シートを作製するためのミーリング、ミーリング技術を単独で使用するよりも便利ではないが、隣接していない部分を切り離す及び/又は除去するための放電機械加工、を使用できることは注目に値する。
【0063】
折り畳みモノリシック振り子を製造するための技術の応用
上記で説明したように、既知の技術では、そのジョイント部が10分の1ミリメートル以下の厚さの弾性ジョイント部によって構成される折り畳みモノリシック振り子の処理は、WEDM及びミーリングに基づく混合手順で実施される。後者は、特に、モノリシックブロックを通過するすべての切断のために、ツールの直径の曲率半径(200~300マイクロメートル)のエッジを作製するために、及び明らかに、このタイプの取得製品を特徴付ける8つの薄い弾性ジョイント部の製造のために使用される。
【0064】
上記セクションで説明したミーリングによる薄い金属シート及びジョイント部の製造方法を利用して、次に、発明者によって知られているが決して以前に実装又は説明されていない、ミーリングのみによって折り畳み振り子を製造するための新しい機械的処理方法について説明する。特に、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されない一般的に有効である提供される例では、作製される8つの薄い弾性ジョイント部は、上記セクションの一般的な説明及び材料で使用されたものと同じ寸法及び特徴を有し、使用される材料も同じである。
【0065】
この場合、製造方法も、単純な振り子の楕円形のジョイント部を製造するための上記と同様の連続した加工工程によって説明されるが、単一の薄い弾性ジョイント部と同じ製造方法を技術的に採用されている場合でも、折り畳み振り子の特定の製造による重要な違いを有する。
【0066】
ブラケットシステムに関わっている(又は関する、又は係止する;concerned)限り、折り畳み振り子のさまざまな可動部分と支持構造との間に相対運動がないことを保証し、振り子の処理及び/又は連続輸送の間に楕円形のジョイント部の変形又は破損を回避するように設計及び適用する必要がある。このようなブラケットシステムは、この目的のために特別に設計されたものであり、したがって、この説明の主題でもある。
【0067】
工程B.1.材料の作製
300から395までの参照番号は、形成される成形及び楕円形のジョイント部を含む、参照番号310によって示されるブランクブロックの構成要素及び加工の様々な工程を示す。
【0068】
折り畳み振り子300が得られる材料のブロック310は、平行な対向面(例えば、311、312)、任意の平行度を有する平行六面体を形成するために、有利に加工され、それらをミーリングによって研磨する(又は砕く、又はグラインドする;grinding)ことによって得られる。8つの弾性ジョイント部は、次の手順で、これらの対向面の2面(前面又は第1の311及び背面又は第2の312)の表面に作製される。
【0069】
図9を参照すると、参照孔395は、ミーリング、及び輸送中に振動部分を遮断するために必要な固定ピンを収容するために、そのような面311、312上の孔391、392によって最初に作られる。次に、面311、312は、ジョイント部の設計位置に、そして有利にはジョイント部自体の全領域に浅い開口部360pを作製するために、任意で加工される。これらの開口部の機能は、加工の第1の工程で有利に作製され、ジョイント部の外部プロファイルと保護プレート(次の手順で説明するように設計及び作製される)との接触を回避することである。保護プレートは、折り畳み振り子の輸送及び設置工程中に、及び折り畳み振り子の操作工程中に、折り畳み振り子の繊細なジョイント部を保護するために適用される。実際には、楕円形のジョイント部は、最大限の操作上の安全性を確保するために、前面と背面からわずかに凹んでいる。この時点で、図10を参照すると、開口部の対が各ジョイント部の位置に作製され、それによって浅い開口部360pは中央にあり、側面で部分的に除去されている。
【0070】
工程B.2. ジョイント部の第1の面と第2の面のミーリング
この工程は、以前のセクションで説明した振り子の各弾性ジョイント部の面の製造に関連する工程A.2とA.3を要約し併合する。ジョイント部の右面321が最初に作製され、次に左面322が平行六面体の2つの面(前面311と対向側312)のそれぞれに対して作製される(逆も同様に可能である)。ジョイント部の設計奥行きは5mmであるため、直径4mmのカッターを使用して、材料が5mm(この場合は5.5mm)よりわずかに深い奥行きまで除去される。この場合も、この面の可能な仕上げ操作が、この工程では望ましい。以前の説明の工程A.2及びA.3で行われたすべての考慮事項は引き続き有効である。
【0071】
ここで注目に値するのは、放電機械加工では、設計の奥行きよりも深い奥行きで材料の除去の必要がないということである。
【0072】
図11は、この工程に関連するミーリングによる処理の結果を示す。図に示されているさらなる貫通孔は、以下に説明するように、輸送目的で、又は折り畳み振り子を外面に固定可能にするために、得られた取得製品の保護プレートを適用する目的で作製されている。
【0073】
孔385~388は、折り畳み振り子のアームをロックするために使用され、孔391及び392は、中央部分となるものをロックするために使用される。中央部分のこのロックは、例えば、これらの孔に2つのピンを挿入することによって達成され、例えば、振り子の輸送中に有用である。孔393及び394は、振り子フレームを外部構造に固定するために使用される。
【0074】
工程B.3.ジョイント部の切り離し
8つの孔380が、工程B.1及びB.2で加工されている面に直交し、それに平行な面に開けられ、平行六面体の上面に4つの孔、及びジョイント部330の底面に及び図12に示すように、(対称軸の1つに直交する4つの孔が開けられる通常、ジョイント部は3つの対称面を有する)。単純な振り子の説明の工程A.4で説明されている方法で、3mmのドリル・ビットを使用して孔を開ける(又は形成する;drill)。図に示すように、この工程で他の参照孔395を作製することができる。
【0075】
図13は、削孔によって作製された孔380の位置をより詳細に示している。
【0076】
ジョイント部のセクションに対する僅かな接平面の切断を特徴とするこのタイプの穿孔は、残りの材料からの切り離しを可能にすることも注目に値する。この加工工程の間、ジョイント部は、削孔中のビットの前進の間、ジョイント部の加工されている部分が常に処理されている材料とモノリシックであるため、機械的ストレスを受けない。したがって、せん断力は構造に作用する。これは、切断の直前に、たとえ薄くてもジョイント部を変形させることなく切断自体を可能にするのに十分な強さである。実際に、材料を除去した後にのみビットが薄い金属シートに接することをもう一度理解する(又は共感する;empathize)ことが重要であるが、この状況では、ジョイント部を構成する部分から材料が除去されないため、せん断力はジョイント部自体に適用されない。単純な振り子の方法の説明と同じ考慮事項が適用される。
【0077】
折り畳み振り子を加工するこの工程の結果を図14に示す。これは、最終の状態330Jのジョイント部を示している。
【0078】
工程B.4.ジョイント部に隣接していない材料の除去
この工程では、弾性ジョイント部に隣接していない残りの材料が、さらなるミーリングによって除去される。
【0079】
この処理の唯一の目的は、柔軟なジョイント部を得るために、振り子と倒立振り子のジョイント部とアームを自由に保つことである。これまでに得られたジョイント部は、実際には手を付けていない状態(又はそのまま、又は無傷;intact)で、構造の残りの部分とモノリシックであるが、ジョイント部と構造の残りの部分とはまだモノリシックなアームであるジョイント部の機能をまだ果たしていない。従って、図14の構造が得られる。
【0080】
接続の機械的構成要素を(読み出しシステムに)配置することを目的とした、従来のミーリングと穿孔からなるさらなる処理操作により、次の工程の開始点である図15に記載されている状態にピース部分が移動する。
【0081】
工程B.5.ジョイント部の両端の可動部分の切断
この工程では、シートの端部に接続されている可動部分を取り外す。図15は、工程B.4の終了時の処理の状態を示しており、折り畳み振り子の可動部(アーム、中央の部分)を固定構造(背面は同じであり、同じ手順で加工された)にロック(又は固定、又は系止;rock)したままにする前面311の部分を破線の楕円で示している。振り子アームと中央部分の切り離しには、この処理中のジョイント部の破損を回避するために必要なブラケット(又は「取り外し可能な固定」)システム400(400から494までの参照番号で説明)の設置が必要である。このような破損は、ジョイント部へのせん断力の影響によるものではなく、ジョイント部自体を有する振り子と中央部分のモノリシックな性質のために、処理中の切断による押し(又は押し付き、推力;thrust)を受けて、振り子のアームによって加えられた力の伝播によるものであることは、再度注目に値する。図16は、本説明の主題でもある、このタイプの処理のために特別に開発されたブラケットシステムを示す。図17は、振り子の2つのアーム300Aをロックするための孔(一方の振り子については385、386、及び他方の振り子については387、388)、中央部分310Mをロックするための孔391及び392、ならびに固定構造又はフレーム300Fにロックするための孔393、394を備え、その上に、ブラケットシステム400のプレート410の孔485~488、491~494(適切なネジ/ボルト又は他のピン手段を有する)が配置される、モノリシック振り子300WLを示す。プレート410はまた、周囲プロファイル(又は輪郭、又は外径;profile)に窪み461~464(「開口部」としてもみなす)を表示し、これは、図15に破線で示される隣接していない部分を加工のためのアクセス(又は:出入り可能に、又は侵入可能に;access)を可能にする。
【0082】
それにより、ジョイント部330Jはロックされる。ブラケットシステム(より一般的には固定システム)400は、2つの対向する面311、312のうち一方に適用される1つのプレート、又は両方の対向する面に適用される2つのプレートのみを含んで成り得る。
【0083】
図17と18は、2つの異なる視点での処理の最終結果を示す。中央部分とフレームとの間に剛性のブリッジを形成した部分370が除去されたことは注目に値する。
【0084】
ここで注目に値するのは、プレート410(及び対応するピンデバイス)は、より一般的な固定手段の例にすぎないということである。一例は、摩擦又は形状の差異(又はコントラスト;contrast)によってフリー(又は自由;free)中央部分(又は主要部分、又は主たる部分;mass)とアームを所定の位置に保持する、孔のないプレートによっても示される。さらに、プレート410を機械加工している間、CMCがモノリシックなピース部分の部分に加工することができるため、開口部は必要ない。プレートはまた、両側(又は側面;side))で平らであってはならない。
【0085】
当業者は、上記の方法の工程が知られると、モノリシック振り子の材料によってもまた、ピース部分の処理の最終工程中にフリー中央部分及びアームの取り外し可能な固定化を確実にする他の固定システムを考えることができる。
【0086】
本発明の利点
本明細書の方法論は、薄い金属シート及びジョイント部の機械的加工だけでなく、それを利用するすべての機械的構成要素に対しても全く新しい分野を開き、例えば、直接のアプリケーションとして以下に示す、非金属材料で、低コストの折り畳み振り子構成のワッツ・リンケージ製モノリシックメカニカルセンサーの初めての製造を可能にする。
【0087】
提案された新しい方法には、2つの重要な利点がある。
a.厚さが100ミクロン未満の薄い金属シート及びジョイント部の製造が可能であるが、WEDMと比較して表面仕上げの点で優れた品質である。
b.薄い金属シートや非導電性材料のジョイント部の製造が可能になり、従って、WEDM技術によって示される最も重要な制限の1つを克服できる。
【0088】
代わりに、間接的な利点は、加工速度の向上及び生産コストの削減、さらにはさらなる加工の可能性、例えば、非導電性材料に作用する、構造の変形や変更(例えば、放電機械加工による電気の通過などによる)のない貫通孔、ねじ山、薄いシート(<100um)の作製、を備えた、完全に自動化された加工手順を開発する可能性によって与えられる。
【0089】
より詳細には、WEDMは、導電性材料で作製されたワイヤーをツールとして使用する。このワイヤーは、孔から材料に引き伸ばされる。これは、必ず良好な導体である必要があり、切断を得るために、材料自体に接触するまで移動される。
【0090】
この処理は、材料を侵食するための放電の熱機械的特性に基づいており、加工する材料に近い切断ツール(電極)に近づき、材料と電極を液体誘電体に浸す。この誘電体には、処理中に材料を冷却(又はクールダウン;cool down)する機能もある。したがって、負の電位が、加工された材料に関してツールに印加される。ツールと材料の間の距離が誘電体を介して放電を生成するのに十分に小さい場合、プラズマチャネル(アーク)が生成され、材料の表面が溶けて、切断が意図されているポイントで除去される。
【0091】
切断中、加工される材料から事前に定義された距離を維持するように、侵食が進むにつれてツールが前進する。この処理では、ほこりのように見えてチップではなく誘電体に分散する廃棄物が発生する。
【0092】
この手法には、次の3つの重要な利点がある。
a.非常に硬い金属(特殊鋼、高速度鋼、硬い金属等)、又は熱並びに化学処理で硬化した金属(焼き戻し、浸炭など)を加工する可能性があり、ツール(ワイヤー)が加工材料よりも硬度又は機械的強度が大きい。
b.従来の技術では不可能な切り込みや孔を開ける可能性がある(複雑な形状又はプロファイルを有する鋭いエッジ、リブ、キャビティ)。
c.ワイヤーの通過によって加工面に圧力がかからず、加工中に材料に応力がかからないため、非常に薄い金属シート表面を加工する可能性がある。
【0093】
一方、機械的ミーリングによる加工は、規定された形状の切断ツールの作用による材料の機械的除去によって機能するため、まったく異なる方法である。ミーリングにより、高い加工精度と優れた表面仕上げ(最大100ナノメートル)が可能になり、公差が1ミクロン未満の部品と鏡面の製造が可能になる。
【0094】
この処理は、工作機械(ミーリングマシン(又はフライス盤;milling machine))に取り付けられたカッターと呼ばれるツールを使用して実行される。ミーリングは、ツールの回転と、回転するカッターと加工する材料との間の相対的な動きに基づく。回転中、カッターの刃先は、カッターと接触したときに、材料をピース部分から取り除く。加工する部品とカッター自体の間の移動の結果。ただし、ミーリングの重要な要素は、カッターが材料を除去するように作用する表面に必ず圧力をかけなければならないことである。
【0095】
一般に、ミーリング処理は、最初の荒加工工程と仕上げ工程を意味する。粗面化により、加工中の部品から材料がより迅速に、従ってより経済的に除去され、次の仕上げ工程で除去するのに十分な金属層が残る。この2番目の工程では、表面の粗さの程度に関連するものを含め、設計寸法と公差を尊重するために、余分な部品が予想寸法に到達するために除去される。
【0096】
ミーリング処理は現在、CNC(Computer Numerical Control)マシンで実行されており、2つの軸に沿ってジャイロスコープで回転できる傾斜軸を備えた調整可能なヘッド(カッター)を備え、これにより、すべての加工面に対するカッターの方向付けが可能になる。この特性は、非常に複雑な形状さえも有するオブジェクトの作製にも関連しているCNCテクノロジーを使用したミーリングでは、非常に高精度(100ナノメートルのオーダー)で非常に滑らかな表面を、迅速に、自動的に、非常に低コストで作製できるが、薄い金属シートやジョイント部を直接適用による(100ミクロンのオーダーで)作製することはできない。
【0097】
次の表は、2つの手法の主な違いをまとめたものである。
【0098】
【表2】
【0099】
また、本説明の方法では、放電機械加工では不可能である、ワークピースの対向面にオフセットされた薄い金属シートを作製することにより、ピース部分を加工することが可能である。たとえば、3軸センサーを作製するために、相互に垂直な方向でオーバーラップするジョイント部を作製することができる。
【0100】
簡潔にすると、現在、薄い金属シート及びジョイント部は、ミーリングによって数百ミクロン未満の厚さの薄い金属シート及びジョイント部を加工することができないため、導電性材料のみを使用するWEDM技術を使用して必然的に作製される。
【0101】
文献
[1]F・グリマルディ(Grimaldi,F.)、「マニュアル・デリ・マシン・ユーテンシリ・CNC(Manuale delle Macchine Utensili CNC)」、ホエプリ(Hoepli)、イタリア(2007)。
[2]F・バローネ(Barone,F.)、G・ジョルダーノ(Giordano,G.)、Jウェブスター(ed)メカニカル・アクセロメーター(Mechanical Accelerometers、J.Webster(ed.))、電気電子工学のワイリー百科事典(Wiley Encyclopedia of Electrical and ElectronicsEngineering)、ジョン・ワイリー&サンズ・インク(John Wiley&Sons、Inc.)、ドイ(doi):10.1002/047134608X.W8280(2015)
[3]F・バローネ(Barone,F.)、G・ジョルダーノ(Giordano,G.)、UNISA折り畳み振り子(UNISA Folded Pendulum):非常に用途の広いクラスの低周波高感度センサー、測定、https://doi.org/10.1016/j.measurement.2017.09.001(2017)。
[4]F・バローネ(Barone,F.)、G・ジョルダーノ(Giordano,G.)、機械的品質係数の高い低周波折り畳み振り子、及びそのような折り畳み振り子を利用した地震センサー、特許協力条約(PCT)WO2011/004413A3(2011)、特許番号:IT1394612(イタリア)、EP2452169(ヨーロッパ)、JP5409912(日本)、RU2518587(ロシア)、AU2010269796(オーストラリア)、US8950263(米国)、CA2763204(カナダ)。
[5]F・バローネ(Barone,F.)、G・ジョルダーノ(Giordano,G.)、F・アセルネセ(Acernese,F.)、垂直構成で機械的品質係数が高い低周波折り畳み振り子、及びそのような折り畳み振り子を利用した垂直地震センサー、特許協力条約(PCT)に基づく国際出願)WO2012/147112 685(2012)、特許番号:IT1405600(イタリア)、EP2643711(ヨーロッパ)、AU201247104(オーストラリア)、JP5981530(日本)、RU2589944(ロシア)、9256000(米国)、カナダ出願中。
[6]F・バローネ(Barone,F.)、G・ジョルダーノ(Giordano,G.)、F・アセルネセ(Acernese,F.)、1つ以上の折り畳み振り子を利用した角変位及び/又は線形変位の測定方法、特許協力条約(PCT)WO2016/020947に基づく国際出願(2016)、特許番号:IT1425605(イタリア)、ヨーロッパ、日本、米国、カナダは係属中。
[7]C・ソマー(Sommer,C.)、S・ソマー(Sommer,S.)、「ワイヤー・EDM・ハンドブック(Wire EDM Handbook)」、アドバンスド・パブリッシング(Advanced Publishing(2000))。
【0102】
本明細書において、本発明は、好ましい実施形態を説明し、本発明のいくつかの変形を提案したが、当業者は、添付の特許請求の範囲によって規定されるように、それぞれの保護範囲から逸脱することなく修正及び変更を行うことができることが理解される。 特に、個々の実施形態又は個々の任意の特徴は、本発明の根底にある本発明の概念を尊重しながら、自由に組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18