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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/02 20060101AFI20240408BHJP
   A01K 31/00 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B08B3/02 G
B08B3/02 F
A01K31/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022072307
(22)【出願日】2022-04-26
(65)【公開番号】P2023161765
(43)【公開日】2023-11-08
【審査請求日】2023-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】591196625
【氏名又は名称】株式会社晃伸製機
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角谷 博規
(72)【発明者】
【氏名】角谷 一範
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-043250(JP,A)
【文献】実開昭60-009795(JP,U)
【文献】実開昭59-169255(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/00 - 3/14
A01K 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面側から見て、水平方向に並んだ複数のケージからなるケージ列が、上下方向で複数段に積み重ねられた構造を備える多段式ケージ鶏舎を洗浄する液体噴射装置であって、
前記多段式ケージ鶏舎からなる対象物に向けて液体を噴射するノズルと、
前記ノズルを保持しつつ、前記ノズルから噴射された液体が円を描きつつ進むように、前記ノズルを回転させる回転機構と、
前記回転機構を支持する支持装置と、
前記支持装置が載せられ、前記多段式ケージの正面側において前記ケージ列の延びる方向に沿って自走可能な自走ユニットと
前記回転機構と前記支持装置との間に設けられ、前記回転機構側を支点として、前記ノズルを揺動可能な揺動機構とを備え
前記揺動機構は、前記対象物を前記ケージ列毎に洗浄するために、前記ノズルから噴射された液体が、上下方向に交互に揺れながら、螺旋を描くように前記対象物に向かって進むように、前記ノズルが上方側から下方側へ振り下ろされる動作と、前記ノズルが下方側から上方側へ振り上げられる動作とが交互に繰り返されるように、前記回転機構と共に前記ノズルを揺動させる液体噴射装置。
【請求項2】
前記自走ユニットは、前記ケージ列の延びる方向に沿って往復移動可能である請求項1に記載の液体噴射装置
【請求項3】
前記支持装置は、前記揺動機構を介して前記回転機構を支持しつつ、前記ノズルが前記対象物に近付く向きと、前記ノズルが前記対象物から遠ざかる向きとにそれぞれ移動できるように、水平方向に伸縮可能な第1支持部を備える請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記支持装置は、前記自走ユニット上に立設され、前記ケージ列を上から順に洗浄するために、前記第1支持部が上下方向において昇降できるように前記第1支持部を支持する第2支持部を備える請求項3に記載の液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄水を噴射して畜舎を順次、洗浄する自走式の洗浄装置が知られている(例えば、特許文献1)。この種の洗浄装置は、自走可能な自走ユニットと、洗浄水を噴射するノズルと、ノズルから噴射された洗浄水の行き届く範囲を調整するために、ノズルの位置を変位させる変位機構を備えている。変位機構としては、ノズルの高さ位置を上下方向に変位させる上下変位機構や、ノズルから噴射される洗浄水が円を描きつつ進むようにノズルを回転させる回転機構を備えている。
【0003】
洗浄装置は、例えば、鶏を収容するケージが複数段に積み重ねられてなる多段式ケージ鶏舎の洗浄に使用される。多段式ケージ鶏舎は、通常、上下方向のみならず、横方向(水平方向)にも多数のケージが列状に並ぶ形で配設されている。
【0004】
このような多段式ケージ鶏舎を、上述した洗浄装置で洗浄する場合、先ず、最上段のケージの列(ケージ列)の洗浄から行われる。その際、上下変位機構により、ノズルからの洗浄水が最上段のケージ列に当たるように、ノズルの高さ位置が調整されると共に、回転機構により、ノズルから噴射される洗浄水が広範囲に行き届くように、ノズルが回転される。また、その際、最上段のケージ列を横方向に順次、洗浄するために、ノズル等を搭載した自走ユニットが、多段式ケージ鶏舎の前側において、所定の速度で進行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-043250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の洗浄装置では、ノズルの高さ位置が、所定の高さ位置に調整された後、その高さ位置に固定された状態で、回転機構によりノズルを回転させつつ洗浄水を噴射させるものであった。つまり、ノズルから噴射された洗浄水の行き届く範囲は、実質的に回転機構による回転動作により定まるものであった。例えば、上述した従来の洗浄装置の場合、1つのケージ列を洗浄するために、多段式ケージ鶏舎(ケージ列)の前側を横切るように、ノズルを1往復させる必要があった。この場合、ノズルから噴射される洗浄水の行き届く範囲は、1つのケージ列の高さ方向の幅よりも狭いものであった。
【0007】
そのため、従来の洗浄装置等の液体噴射装置では、ノズルから噴射される液体の行き届く範囲が限られており、問題となっていた。
【0008】
本発明の目的は、ノズルから噴射される洗浄水を広範囲に行き届かせることが可能な自走式の液体噴射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 対象物に向けて液体を噴射するノズルと、前記ノズルを保持しつつ、前記ノズルから噴射された液体が円を描きつつ進むように、前記ノズルを回転させる回転機構と、 前記回転機構を支持する支持装置と、前記支持装置が載せられる自走可能な自走ユニットとを備える液体噴射装置であって、前記回転機構と前記支持装置との間に設けられ、前記回転機構側を支点として、前記ノズルを揺動可能な揺動機構とを備える液体噴射装置。
【0010】
<2> 前記揺動機構は、前記ノズルが上方側から下方側へ振り下ろされる動作と、前記ノズルが下方側から上方側へ振り上げられる動作とが交互に繰り返されるように、前記回転機構と共に前記ノズルを揺動させる前記<1>に記載の液体噴射装置。
【0011】
<3> 前記支持装置は、前記揺動機構を介して前記回転機構を支持しつつ、前記ノズルが前記対象物に近付く向きと、前記ノズルが前記対象物から遠ざかる向きとにそれぞれ移動できるように、水平方向に伸縮可能な第1支持部を備える前記<1>又は<2>に記載の液体噴射装置。
【0012】
<4> 前記支持装置は、前記自走ユニット上に立設され、前記第1支持部が上下方向において昇降できるように前記第1支持部を支持する第2支持部を備える前記<3>に記載の液体噴射装置。
【0013】
<5> 対象物に向けて液体を噴射するノズルと、前記ノズルを保持しつつ、前記ノズルから噴射された液体が円を描きつつ進むように、前記ノズルを回転させる回転機構と、 前記回転機構を支持する支持装置と、前記支持装置が載せられる自走可能な自走ユニットとを備える液体噴射装置であって、前記支持装置は、前記回転機構を支持しつつ、前記ノズルが前記対象物に近付く向きと、前記ノズルが対象物から遠ざかる向きとにそれぞれ移動できるように、水平方向に伸縮可能な第1支持部を有する液体噴射装置。
【0014】
<6> 前記支持装置は、前記自走ユニット上に立設され、前記第1支持部が上下方向において昇降できるように前記第1支持部を支持する第2支持部を備える前記<5>に記載の液体噴射装置。
【0015】
<7> 対象物に向けて液体を噴射するノズルと、前記ノズルを保持しつつ、前記ノズルから噴射された液体が円を描きつつ進むように、前記ノズルを回転させる回転機構と、 前記回転機構を支持する支持装置と、前記支持装置が載せられる自走可能な自走ユニットとを備える液体噴射装置であって、前記支持装置は、前記自走ユニット上に立設され、前記回転機構により保持された前記ノズルが上下方向において昇降できるように前記回転機構を支持する液体噴射装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ノズルから噴射される洗浄水を広範囲に行き届かせることが可能な自走式の液体噴射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態1に係る液体噴射装置の概略構成を多段式ケージ鶏舎と共に示す説明図
図2】第2支持部が上下方向において最も縮んだ状態の液体噴射装置の側面図
図3】第2支持部が上下方向において最も伸びた状態の液体噴射装置の側面図
図4】第1支持部の背面図
図5】長さが最も縮んだ状態の第1支持部の平面図
図6】長さが最も伸びた状態の第1支持部の平面図
図7】回転機構の断面図
図8】回転機構の断面図
図9】回転機構の断面図
図10】液体(洗浄水)を噴射しながら回転機構により回転するノズルを模式的に表した説明図
図11】第1支持部の先端側を拡大した平面図
図12】揺動機構の揺動動作を模式的に表した説明図
図13】回転機構によりノズルを回転させつつ、揺動機構によりノズルを上方側から下方側へ振り下ろした場合におけるノズルの動きを模式的に表した説明図
図14】移動条件に基づいて移動するノズルの行程を模式的に表した説明図
図15】実施形態2に係る液体噴射装置を使用して対象物を洗浄する内容を模式的に表した説明図
図16】実施形態3に係る液体噴射装置を使用して対象物を洗浄する内容を模式的に表した説明図
図17】実施形態4に係る液体噴射装置を使用して対象物を洗浄する内容を模式的に表した説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係る自走式の液体噴射装置1を、図1図14を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置1の概略構成を多段式ケージ鶏舎100と共に示す説明図である。本実施形態の液体噴射装置1は、対象物である多段式ケージ鶏舎(畜舎の一例)100に、洗浄水(液体の一例)を噴射して、多段式ケージ鶏舎100の洗浄を行う自走式の装置(洗浄装置)である。
【0019】
ここで、先ず、多段式ケージ鶏舎100について簡単に説明する。多段式ケージ鶏舎100は、鶏を収容するケージが複数段(ここでは、4段)に積み重ねられたものである。多段式ケージ鶏舎100は、建物内において、床面200上に設置される。図1には、互いに背中合わせの状態で並ぶように配置された2つの多段式ケージ鶏舎100(100a,100b)が示される。図1において、右側に示される一方の多段式ケージ鶏舎100を、「多段式ケージ鶏舎100a」と称し、左側に示される他方の多段式ケージ鶏舎100を、「多段式ケージ鶏舎100b」と称する場合がある。
【0020】
多段式ケージ鶏舎100は、正面側から見て、横方向(水平方向)に並んだ多数(複数)のケージからなる列(ケージ列)が、上下方向で複数段(ここでは、4段)に積み重ねられた構造となっている。図1において、右側に配置される一方の多段式ケージ鶏舎100aの正面100a1は、図1の右側に示され、左側に配置される他方の多段式ケージ鶏舎100bの正面100b1は、図1の左側に示される。
【0021】
このような多段式ケージ鶏舎100は、正面から見た際、複数のケージ(小部屋)が、全体として行列状に配置された状態となっている。各小部屋には、それぞれ複数羽(例えば、4~10羽)の鶏が収容される。なお、本実施形態の液体噴射装置1を使用した多段式ケージ鶏舎100の洗浄は、通常、ケージ内に鶏が収容されていない状態で行われる。
【0022】
多段式ケージ鶏舎100の正面側には、各段のケージ(つまり、ケージ列)毎に、給餌用の給餌皿(餌樋)101と、鶏が産んだ卵を受ける卵受け部102とがそれぞれ設けられている。給餌皿(餌樋)101は、多段式ケージ鶏舎100の各段において、水平方向に一列に並んだケージ(小部屋)の前を横切るように設置される。このような給餌皿(餌樋)101は、各段のケージを正面から見た際、上下方向において中央位置よりもやや下方の位置に配されている。また、卵受け部102も、各段において、各ケージの前を横切るように設置されている。このような卵受け部102は、給餌皿(餌樋)101よりも下方に位置し、各ケージの床に続く形で設けられている。なお、各段式ケージ鶏舎100の下部には脚部103があり、この脚部103を利用して、多段式ケージ鶏舎100が、床面200上に立設されている。
【0023】
続いて、液体噴射装置1について、図面を参照しつつ説明する。図1には、液体噴射装置1の背面(後面)が示されている。液体噴射装置1は、多段式ケージ鶏舎100aの正面100a1側において、多段式ケージ鶏舎100と並ぶ形で配置される。液体噴射装置1は、その前後方向が、多段式ケージ鶏舎100の左右方向と一致するように、多段式ケージ鶏舎100aの正面100a1側に配置されている。
【0024】
このような液体噴射装置1は、主として、ノズル2と、回転機構3と、支持装置4と、自走ユニット5と、揺動機構6と、制御装置7とを備える。支持装置4は、後述するように、水平方向に伸縮可能な第1支持部41と、第1支持部41を上下方向に昇降可能な第2支持部42とを備える。
【0025】
図2は、第2支持部42が上下方向において最も縮んだ状態の液体噴射装置1の側面図であり、図3は、第2支持部42が上下方向において最も伸びた状態の液体噴射装置1の側面図である。なお、図2及び図3の左側に、液体噴射装置1の正面(前面)が配され、図2及び図3の右側に、液体噴射装置1の背面(後面)が配される。図2及び図3には、液体噴射装置1の左側面が示される。
【0026】
自走ユニット5は、多段式ケージ鶏舎100aの正面100a1側において、多段式ケージ鶏舎100に並びつつ、複数のケージが水平に並ぶ方向(つまり、ケージ列の延びる方向)に沿って、直線的に往復移動するように構成されている。このような自走ユニット5は、駆動モータ51の駆動力によって自走可能に構成されている。自走ユニット5は、駆動モータ51等が搭載される前後方向に延びたシャーシ52と、シャーシ52の後側に左右1つずつ配置される駆動輪53と、シャーシ52の前側に左右に1つずつ配置される自在輪54とを備える。
【0027】
シャーシ52は、主として、前側に配される前側シャーシ部52Aと、後側に配される後側シャーシ部52Bとを備える。前側シャーシ部52Aには、上述した自在輪54が回転自在な状態で取り付けられる。後側シャーシ部52Bには、駆動モータ51等が搭載されると共に、その駆動モータ51の駆動力により回転する駆動輪53が取り付けられている。駆動モータ51の出力軸と、駆動輪53に取り付けられたスプロケットとの間には、環状のチェーン55が掛けられており、そのチェーン55を介して駆動モータ51の出力(駆動力)が駆動輪53に伝えられる。
【0028】
前側シャーシ部52Aには、ラック、ピニオン、操舵モータ56a等を含む操舵機構56が設けられている。前側シャーシ部52Aと、後側シャーシ部52Bとは、操舵支点軸56bを介して接続されている。操舵モータ56aの駆動により、操舵支点軸56bを中心として、前側シャーシ部52Aが右側又は左側に移動することができる。そのため、自走ユニット5は、操舵機構56の働きにより、進行方向を適宜、調整することができる。なお、自走ユニット5のシャーシ52(例えば、シャーシ52の前側、後側、左側、右側等)には、周囲の障害物や対象物(多段式ケージ鶏舎100等)との距離を検知する複数の検知センサが設けられている。これらの検知センサからの出力結果を利用して、自走ユニット5は、対象物等との接触を回避しつつ、予め定められた経路に沿って移動することができる。
【0029】
このような自走ユニット5の走行は、制御装置7が備える走行用制御部71により制御される。走行用制御部71は、駆動モータ51及び操舵モータ56aの各駆動を制御する。制御装置7は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、記憶部等を備えて構成される。制御装置7のCPUは、記憶部に記憶されているプログラムを読み出して、RAMのワークエリアに展開し、展開したプログラムにしたがって、各種処理を実行する。記憶部は、CPUが適宜、実行するプログラムや、各種処理に必要なデータ等を記憶する。記憶部は、メモリやハードディスクドライブ等の物理ドライブによって構成される。また、制御装置7には、液体噴射装置1に対する作業者からの指示を受け付ける入力部(操作パネル)等を備えている。
【0030】
自走ユニット5が走行する経路や、走行速度等は、制御装置7が備える入力部を利用して、走行用制御部71に対して入力される。なお、自走ユニット5が備えるシャーシ52の後側には、液体噴射装置1を手動で移動させる場合に利用されるハンドル57が設けられている。
【0031】
自走ユニット5の後側シャーシ部52B上には、図2及び図3に示されるように、第1支持部41と、第2支持部42とを備えた支持装置4が設けられている。
【0032】
第1支持部41は、ノズル2が対象物に近付く向きと、ノズル2が対象物から遠ざかる(離れる)向きとにそれぞれ移動できるように、水平方向に伸縮可能である。第1支持部41は、揺動機構6を介して回転機構3を支持する。第1支持部41の詳細は、後述する。
【0033】
第2支持部42は、自走ユニット5上に立設され、第1支持部41が上下方向において昇降できるように第1支持部41を支持する。第2支持部42は、上下方向に伸縮可能であり、後側シャーシ部52B上に立設されている。第2支持部42は、第1変位部42a、第2変位部42b、固定部42cを備える。
【0034】
固定部42cは、上下方向に延びた板形をなしており、その下端42c1が後側シャーシ部52Bに固定される。固定部42cの背面側には、第1支持部41の昇降時に使用される昇降用モータ43が設けられている。
【0035】
第1変位部42a及び第2変位部42bは、共に上下方向に延びた板形をなしており、それらは固定部42cと略同じ大きさ(長さ等)に設定されている。第2変位部42bは、固定部42cの前面側において、固定部42cと平行に並ぶ形で配置され、第1変位部42aは、第2変位部42bの前面側において、第2変位部42b及び固定部42cに対して平行に配置される。つまり、第1支持部41を構成する第1変位部42a、第2変位部42b及び固定部42cは、この順で前側から後側に互いに平行に並ぶ形で配置される。そして、更に、第1変位部42aの前面側に、第1支持部41が水平方向に伸縮可能な状態で配置される。なお、第1支持部41は、第2支持部42を間に置きつつ、互いに反対方向に向かうように、左右に1つずつ設けられる。
【0036】
第2支持部42を構成する第1変位部42a、第2変位部42b及び固定部42cには、複数の歯車(スプロケット)44が設けられている。具体的には、第1変位部42aの前面側において、その下端側と上端側とにそれぞれ歯車44a,44bが設けられている。また、第1変位部42aの背面側において、その下端側に2つの歯車44c,44dが上下方向に並ぶ形で設けられている。
【0037】
また、第2変位部42bの上下方向に延びた側端面のうち、下端側の部分と、上端側の部分とにそれぞれ1つずつ歯車44e,44fが設けられている。また、第2変位部42b背面側において、その下端側に2つの歯車44g、44hが設けられている。また、固定部42cの上下方向に延びた側端面のうち、下端側の部分と、上端側の部分とにそれぞれ1つずつ歯車44i,44jが設けられている。
【0038】
そして、これらの歯車44には、動力伝達手段である環状(ループ状)に繋がった1つのチェーン45が掛けられている。なお、チェーン45のうち、歯車44bに掛けられる一方の端部は、第1支持部41に対して上側から接続し、歯車44aに掛けられる他方の端部は、第1支持部41に対して下側から接続する。つまり、チェーン45は、第1支持部41を間に介する形で、1つの環状に繋がっている。また、昇降用モータ43の出力軸には、歯車(スプロケット)43aが固定されており、その歯車43aと、固定部42cの上端側に設けられた歯車44jとに対して、環状(ループ状)に繋がった1つのチェーン46が掛けられている。
【0039】
例えば、第1支持部41で支持されたノズル2等を、図2に示されるように、所定の高さHの範囲内で、上下方向に移動(昇降)させる場合、第2支持部42は、上下方向において最も縮んだ状態とされる。その際、昇降用モータ43の出力(回転)がチェーン46を介して歯車44jに伝えられると、その出力が歯車44jに掛けられているチェーン45を介して第1支持部41に伝えられ、第1支持部41で支持されたノズル2等が昇降する。例えば、昇降用モータ43の出力軸が一方向に回転すると、第1支持部41が上昇するようにチェーン46が一方向に引っ張られる。これに対して、昇降用モータ43の出力軸が逆方向に回転すると、第1支持部41が下降するようにチェーン46が逆方向に引っ張られる。
【0040】
また、第1支持部41で支持されたノズル2等を、図2に示される所定の高さHよりも高い位置に配置させる場合、第2支持部42の上下方向における高さ(長さ)が適宜、調整される。例えば、図2に示される状態の支持装置4において、昇降用モータ43が作動して、第1支持部41が上昇すると、第1支持部41の背面側に設けられているストッパ41aが、第1変位部42aの上端側にある歯車44bに当接する。その後、昇降用モータ43の作動により、チェーン45が引っ張られると、第1支持部41と共に、第1変位部42aが上昇する。その後、更に、昇降用モータ43の作動により、チェーン45が引っ張られると、第2変位部42bが上昇する。すると、図3に示されるように、第2支持部42の第1変位部42a及び第2変位部42bがそれぞれ上昇することになり、その結果、第1支持部41で支持されたノズル2等が、最も高い位置まで運ばれる。なお、支持装置4における第2支持部42の動作は、制御装置7が備える支持装置用制御部72により制御される。
【0041】
図4は、第1支持部41の背面図である。第1支持部41は、ノズル2が対象物(多段式ケージ鶏舎100)に近付く向きと、ノズル2が対象物(多段式ケージ鶏舎100)から遠ざかる(離れる)向きとにそれぞれ移動できるように、水平方向に伸縮可能なように構成される。本実施形態の場合、図4等に示されるように、左右に1つずつ第1支持部41が設けられている。なお、説明の便宜上、背面側から見て、左側に配されるものを、「第1支持部41A」と称し、右側に配されるものを、「第1支持部41B」と称する場合がある。第1支持部41A及び第1支持部41Bは、それぞれ本体部41bを介して第2支持部42に取り付けられている。本体部41bは、左右に延びた形をなしている。この本体部41bの背面側に、第1支持部41A及び第1支持部41Bに対応した2つのストッパ41aが設けられている。
【0042】
第1支持部41A及び第1支持部41Bは、取り付けられる箇所が左右で異なるものの、基本的な構造は互いに同じである。そのため、ここでは、左側に配される第1支持部41Aを例に挙げて説明する。図5は、長さが最も縮んだ状態の第1支持部41Aの平面図であり、図6は、長さが最も伸びた状態の第1支持部41Aの平面図である。なお、図5及び図6には、説明の便宜上、本体部41b等が省略されている。第1支持部41Aは、所謂、滑りねじを利用して、水平方向(左右方向)に伸縮可能に構成されている。このような第1支持部41Aは、アーム部411と、スライド用モータ413と、ねじ軸414と、ナット部415と、近接センサ416とを備える。
【0043】
アーム部411は、左右方向に延びた角筒状の第1スライドアーム部411aと、第1スライドアーム部411aを内部に収容可能であり、左右方向に延びた角筒状の第2スライドアーム部411bと、第2スライドアーム部411bを内部に収容可能であり、本体部41b(図4参照)に固定される角筒状の固定アーム部411cとを備える。図6に示されるように、アーム部411は、延びた状態において、先端側から後端側(基部側)に向かって、第1スライドアーム部411a、第2スライドアーム部411b及び固定アーム部411cの順に配置される。第1スライドアーム部411aの先端411a1側には、揺動機構6が備えるモータ61が取り付けられている。また、第1スライドアーム部411aには、固定金具417を介してスライド用モータ413が固定されている。第1スライドアーム部411aの後端411a2側は、第2スライドアーム部411bの先端411b1側の内部に収容されている。また、第2スライドアーム部411bの先端411b1側は、外部に露出しているものの、第2スライドアーム部411bの後端411b2側は、固定アーム部411cの内部に収容されている。
【0044】
スライド用モータ413の出力軸413aには、周囲に雄ネジが形成された棒状のねじ軸414が固定されている。そして、そのねじ軸414に対して、内周面に雌ネジが形成された筒型のナット部415が、外嵌される形で取り付けられている。ナット部415は、ストッパ41aに固定されている。ストッパ41aは、図示されない本体部41bと共に、固定アーム部411cに対して取り付けられている。ストッパ41aは、板状の金具がL字型に加工されたものからなる。スライド用モータ413の出力軸413aが一方向に回転すると、アーム部411が伸びるように作動し、スライド用モータ413の出力軸413aが逆方向に回転すると、アーム部411が縮むように作動する。なお、支持装置4における第1支持部41の動作は、制御装置7が備える支持装置用制御部72により制御される。また、アーム部411の初期状態(アーム部411の長さが最も縮んだ状態)は、スライド用モータ413が近付くのを検知する近接センサ416の出力結果を利用して把握される。
【0045】
回転機構3は、ノズル2を保持しつつ、ノズル2から噴射された液体が円を描きつつ進むように、ノズル2を回転させる機構である。図7図9は、回転機構の断面図である。回転機構3は、主として、ハウジング31と、モータ32と、クランク34と、保持部35と、延出部36とを備える。
【0046】
ハウジング31は、クランク34や保持部35等を収容しつつ、モータ32を固定する。モータ32は、ノズル2の回転に使用されるものであり、その出力軸32aにクランク34が固定されている。クランク34は、出力軸32aに固定される基部34aと、その基部34aから外側に延びつつ内部に球面軸受け34bを含む先端部34cとを有する。出力軸32aが回転すると、クランク34は、基部34a側を中心として、出力軸32aと共に回転する。
【0047】
保持部35は、ノズル2を回転可能な状態で保持する部分である。このような保持部35は、ノズル2の後端側を固定する固定部35aと、この固定部35aから水平方向に延びた一対の軸部35bと、各軸部35bを受ける軸受け部35c1を含むと共に、固定部35aの周りを囲む本体部35cと、本体部35cから上下方向に延びた一対の軸部35dとを備える。
【0048】
固定部35aは、液体(洗浄水等)を噴射可能な状態のノズル2の後端側を固定する。一対の軸部35bは、固定部35aから水平方向に延びる形で設けられると共に、本体部35cに設けられた軸受け部35c1で回転自在な状態で受けられる。そのため、固定部35aは、軸部35bを中心として、回動することができる。また、本体部35cには、一対の軸部35dが設けられている。一方の軸部35dは、上方に延びる軸部35d1であり、他方の軸部35dは、下方に延びる軸部35d2である。上方に延びる一方の軸部35d1は、ハウジング31の上部に固定された板片状の取付部37aが備える軸受け部37a1に対して回転自在な状態で取り付けられる。下方に延びる他方の軸部35d2は、ハウジング31の下部に固定された板片状の取付部37bが備える軸受け部37b1に対して回転自在な状態で取り付けられる。そのため、本体部35cは、軸部35dを中心として回動することができる。
【0049】
延出部36は、保持部35からクランク34側に延出された棒状の部分である。延出部36の先端側は、保持部35の固定部35aに固定される。また、延出部36の後端側には、球体状の係止部36aが設けられている。係止部36aは、クランク34が備える球面軸受け34bで受けられる。
【0050】
図10は、液体(洗浄水)Wを噴射しながら回転機構3により回転するノズル2を模式的に表した説明図である。上述したような各構成を備えた回転機構3において、モータ32の出力軸32aが回転すると、ノズル2は、出力軸32aの軸線32bに対して、所定の噴射角度をなしつつ、その軸線32bを中心とするように回転する。その結果、ノズル2から噴射された液体(洗浄水)Wは、図10に示されるように、円を描きつつ対象物に向かって進むことになる。なお、図10には、回転機構3のみを作動させて、ノズル2から液体(洗浄水)Wを噴射させた状態が示される。
【0051】
回転機構3の回転動作は、制御装置7が備える回転機構3用制御部73により制御される。また、ノズル2の回転位置は、クランク34の位置を検知するための近接センサ38の出力結果を利用して把握される。近接センサ38は、モータ32の上部側に設けられている。
【0052】
ノズル2は、対象物(多段式ゲージ鶏舎100)に向けて液体(洗浄水)を噴射するものである。ノズル2は、回転機構3の保持部35で保持されつつ、回転機構3の回転動作と共に回転することができる。ノズル2としては、公知のものが利用され、例えば、洗浄水(液体)を真っ直ぐに(直線的に)噴射するものであってもよいし、ノズル2の噴射口が、回転機構3とは独立して、回転機構3よりも小さな円を描くように回転して洗浄水を噴射するものであってもよい。ノズル2から噴射される洗浄水は、公知のポンプ機構等を利用して加圧されてもよい。つまり、ノズル2から高圧洗浄水を噴射させてもよい。なお、ノズル2の後端側(噴射口の反対側)には、ノズル2に洗浄水(液体)を供給するホースの一端が接続されている。ホースの他端側は、ポンプ機構等を介して、洗浄水(液体)の供給源に接続される。
【0053】
揺動機構6は、回転機構3と支持装置4との間に設けられ、回転機構3側を支点(揺動支点)として、ノズル2を揺動可能な機構である。本実施形態の場合、揺動機構6は、ノズル2が上方側から下方側へ振り下ろされる向きと、ノズル2が下方側から上方側へ振り上げられる向きとに、回転機構3と共にノズル2を揺動させる。図11は、第1支持部41の先端側を拡大した平面図であり、図12は、揺動機構6の揺動動作を模式的に表した説明図である。揺動機構6は、図11及び図12に示されるように、主として、モータ61と、連結部63と、揺動規制部66(回転板62、係止部64)とを備える。
【0054】
モータ61は、揺動機構6用であり、回転機構3と共にノズル2を揺動させる。モータ61は、第1支持部41における第1スライドアーム部411aの先端411a1側に固定されている。モータ61は、その出力軸61aが、第1支持部41の伸縮方向に対して垂直に交わりつつ、水平方向に沿うように配置される。本実施形態の場合、モータ61の出力軸61aは、前後方向に沿うように配置される。そのようなモータ61の出力軸61aと、ノズル2を保持した回転機構3とが、連結部63により互いに接続される。連結部63は、モータ61の出力軸61aと共に回転できるように、出力軸61aに対して固定されている。また、連結部63は、モータ61の出力軸61aからの出力(動力)を、回転機構3へ伝達できるように、回転機構3のハウジング31に対して固定されている。本実施形態の連結部63は、略円柱状をなしている。なお、本実施形態の場合、モータ61の出力軸61aが、ノズル2の揺動支点に対応する。
【0055】
揺動機構6において、モータ61の出力軸61aが一方向(図12において、時計回り)に回転すると、ノズル2が上方側から下方側へ振り下ろされるように動作する。これに対して、モータ61の出力軸61aが逆方向(図12において、反時計回り)に回転すると、ノズル2が下方側から上方側へ振り上げられるように動作する。揺動機構6は、このようなノズル2が上方側から下方側へ振り下ろされる動作と、ノズル2が下方側から上方側へ振り上げられる動作とを、交互に繰り返すようにノズル2を揺動させる。
【0056】
なお、回転機構3には、ノズル2が揺動する範囲を規制するための揺動規制部66が設けられている。揺動規制部66は、連結部63と共に回転できるように連結部63に固定された板片状の回転板62と、回転板62の縁部62a,62bと係止して、出力軸61aの回転を停止させる係止部64とを備える。係止部64は、棒状の部材であり、第1支持部41のアーム部411(第1スライドアーム部411a)における先端411a1側の部分のうち、回転機構3側を向く部分に立設される。つまり、棒状の係止部64は、モータ61の出力軸61aと平行に並ぶ形で設けられている。そして、係止部64の高さ(長さ)は、回転板62の所定箇所と係止できるように調整されている。
【0057】
回転板62は、出力軸61aの軸線方向から見た場合、連結部63よりも外側に広がった部分を備えている。例えば、図12に示される出力軸61aが、時計回りに回転すると、回転板62も、出力軸61aと共に時計回りに回転し、最終的に、回転板62の縁部62aが、係止部64に対して上方側から下降する形で接触する。このように回転板62の縁部62aが係止部64に接触すると、モータ61の出力軸61aの回転が停止し、上方側から下方側へのノズル2の揺動も停止する。本実施形態の場合、縁部62aが接触する形で、回転板62が係止部64に係止されると、ノズル2は、図12の下側において符号2Aで示される位置で停止する。このように回転板62が係止部64に係止されることにより、ノズル2の噴射口2aが下方を向いたまま、ノズル2の位置が符号2Aで示される位置よりも、更に後方に移動することが防止される。
【0058】
これに対して、例えば、図12に示される出力軸61aが、反時計回りに回転すると、回転板62も、出力軸61aと共に反時計回りに回転し、最終的に、回転板62の他の縁部62bが、係止部64に対して下方側から上昇する形で接触する。このように回転板62の縁部62bが係止部64に接触すると、モータ61の出力軸61aの回転が停止し、下方側から上方側へのノズル2の揺動も停止する。本実施形態の場合、他の縁部62bが接触する形で、回転板62が係止部64に係止されると、ノズル2は、図12の上側において符号2Bで示される位置で停止する。このように回転板62が係止部64に係止されることにより、ノズル2の噴射口2aが上方を向いたまま、ノズル2の位置が符号2Bで示される位置よりも、更に後方に移動することが防止される。
【0059】
なお、揺動機構6の揺動動作は、制御装置7が備える揺動機構6用制御部76により制御される。また、ノズル2の揺動位置は、回転板62の位置を検知するための近接センサ65の出力結果を利用して把握される。近接センサ65は、係止部64と同様、第1支持部41のアーム部411(第1スライドアーム部411a)における先端411a1側の部分のうち、回転機構3側を向く部分に設けられる。
【0060】
図13は、回転機構3によりノズル2を回転させつつ、揺動機構6によりノズル2を上方側から下方側へ振り下ろした場合におけるノズル2の動きを模式的に表した説明図である。図13において一点鎖線の矢印Mで示されるように、揺動機構6によりノズル2を上方側から下方側へ振り下ろすと、ノズル2は、図13に示されるように螺旋を描きながら、全体として、上方側から下方側へ移動することになる。そのため、この場合において、ノズル2から噴射された液体(洗浄水)は、上方側から下方側へ螺旋を描きながら対象物に向かって進むことになる。なお、この場合とは反対に、揺動機構6によりノズル2を下方側から上方側へ振り上げると、ノズル2は、螺旋を描きながら、全体的に下方側から上方側へ移動すると共に、ノズル2から噴射された液体(洗浄水)が、螺旋を描きながら下方側から上方側へ移動することになる。
【0061】
液体噴射装置1は、図1に示されるように、対象物である多段式ケージ鶏舎100の前側に配置される。液体噴射装置1は、左右に一対の第1支持部41(41A,41B)を備えており、各第1支持部41(41A,41B)にそれぞれノズル2が1つずつ取り付けられている。例えば、液体噴射装置1の左側の第1支持部41(41A)に支持されたノズル2は、図1の右側に配置される一方の多段式ケージ鶏舎100aを洗浄するために利用される。また、右側の第1支持部41(41B)は、液体噴射装置1の右隣りに配置される、図示されない他の多段式ケージ鶏舎の洗浄に利用される。なお、液体噴射装置1が備える2つのノズル2は、必要に応じて一方のみを使用してもよいし、2つのノズル2を同時に使用してもよい。
【0062】
次いで、図14を参照しつつ、多段式ケージ鶏舎100aの洗浄時に、予め定められた移動条件に基づいて移動するノズル2の行程(経路)を説明する。図14は、移動条件に基づいて移動するノズル2の行程を模式的に表した説明図である。移動条件は、制御装置7が備える記憶部に予め記憶されており、多段式ケージ鶏舎100aの洗浄時に、その移動条件に基づいて、回転機構3、支持装置4(第1支持部41、第2支持部42)、自走ユニット5、揺動機構6等が適宜、作動することにより、多段式ケージ鶏舎100aに対するノズル2の位置が順次、変更される。なお、多段式ケージ鶏舎100aの洗浄時において、ノズル2は、回転機構3により常に、回転しながら洗浄水を噴射しているものの、説明の便宜上、図14では、ノズル2が回転機構3により回転する動き(行程)は省略されている。
【0063】
図14に示されるように、多段式ケージ鶏舎100a(100)は、全体として行列状に配置された複数のケージ(小部屋)110を備えている。このような多段式ケージ鶏舎100は、横方向に並んだ複数のケージ110からなるケージ列111が上下方向で4段に積み重ねられた構造となっている。ここでは、説明の便宜上、各ケージ列111を、上から順に、「第1ケージ列111a」、「第2ケージ列111b」、「第3ケージ列111c」、「第4ケージ列111d」と称する。図14には、多段式ケージ鶏舎100の正面が示される。また、図14の左側に、多段式ケージ鶏舎100の左側面120が配され、図14の右側に、多段式ケージ鶏舎100の右側面130が配される。
【0064】
本実施形態の液体噴射装置1は、多段式ケージ鶏舎100aの正面100a1を左右方向に横切るように往復しつつ、ケージ列111毎に、上から順に洗浄するように構成されている。多段式ケージ鶏舎100a等の対象物の洗浄は、汚れが洗浄済みの部分に付着することを抑制するために、通常、上から下へ順に洗浄される。
【0065】
洗浄が開始される直前の状態において、液体噴射装置1は、多段式ケージ鶏舎100aの正面100a1側であり、かつ左側面120付近で待機する。そして、その状態の液体噴射装置1において、支持装置4の第2支持部42を作動させて、第1支持部41に支持されたノズル2の高さ位置が、図14に示されるスタート位置P0となるように調整される。
【0066】
そして、多段式ケージ鶏舎100aの洗浄が開始されると、ノズル2は、第1ケージ列111aの左端における、第1ケージ列111aの高さに対応した高さ位置P1から始動する。始動すると、ノズル2は、回転機構3により回転しながら、洗浄水を第1ケージ列111aに向けて噴射すると共に、揺動機構6による上下の揺動を繰り返しながら、第1ケージ列111aの正面側を、左側から右側へ移動する。図14中の破線は、ノズル2の動きを模式的に表したものである。
【0067】
このような第1ケージ列111aの洗浄時、自走ユニット5が作動して、液体噴射装置1が一定の速度で前進する(つまり、左側から右側に向かって進む)。また、その際、回転機構3が作動して、ノズル2から噴射された洗浄水が円を描きつつ進むようにノズル2を回転させる。また、その際、揺動機構6が作動して、ノズル2が上方側から下方側へ振り下ろされる動作とノズル2が下方側から上方側へ振り上げられる動作とが交互に繰り返されるように、回転機構3と共にノズル2を揺動させる。なお、第1ケージ列111aの洗浄時、第2支持部42による第1支持物41の高さ位置は、一定となるように固定されている。
【0068】
このように、液体噴射装置1が第1ケージ列111aの正面側を横切る際に、自走ユニット5、回転機構3及び揺動機構6が同時に作動して、それぞれが所定の動作を行うことにより、図14に示される破線のような行程(経路)で、ノズル2の位置を動かすことができる。
【0069】
このように多段式ケージ鶏舎100aの洗浄時に、自走ユニット5が作動しつつ、回転機構3と揺動機構6とが同時に作動することにより、ノズル2から噴射された洗浄水は、単に、円を描きつつ対象物(多段式ケージ鶏舎100、第1ケージ列111a)に向かって進むのではなく、上下方向に交互に揺れながら(つまり、螺旋を描くように)対象物に向かって進むことになる。そのため、ノズル2から噴射される洗浄水の行き届く範囲が、従来と比べて格段に広くなる。その結果、液体噴射装置1が多段式ケージ鶏舎100aの前を1回横切るだけで、1つ分のケージ列111(第1ケージ列111a)を、1度に洗浄することができる。
【0070】
例えば、仮に、揺動機構6を作動させずに、自走ユニット5と回転機構3とを作動させた場合、ノズル2から噴射された洗浄水が行き届く範囲(上下方向における高さの範囲)は、上述した本実施形態の場合と比べて、半分程度となってしまうため、揺動機構6を作動させない場合は、1つのケージ列111を上下方向(高さ方向)で2つの部分に分けて(つまり、多段式ケージ鶏舎100の前を1往復して)洗浄することになる。
【0071】
また、本実施形態の場合、自走ユニット5が作動しつつ、回転機構3と揺動機構6とが同時に作動することで、ノズル2から様々な角度で洗浄水が噴射されることになる。そのため、多段式ケージ鶏舎100aに備えられた給餌皿(餌樋)101や卵受け部102等の立体的に入り組んだ構造物や、ケージの奥側等の奥行のある構造部分等に対しても、洗浄水が行き届き易くなる。
【0072】
なお、自走ユニット5の走行速度、回転機構3によるノズル2の回転速度、揺動機構6によるノズル2の揺動速度、揺動機構6によるノズル2の揺動範囲等の諸条件は、対象物の大きさ等に応じて、適宜、設定される。
【0073】
図14に示されるように、液体噴射装置1が多段式ケージ鶏舎100aの前を横切って、ノズル2が、第1ケージ列111aの右端(右側面130)における高さ位置P2に到達すると、支持装置4の第2支持部42が作動して、ノズル2の位置が下降する。そして、ノズル2の位置は、第2ケージ列111bの高さに対応した高さ位置P3に調整される。このようにノズル2の位置が、高さ位置P3となると、第2ケージ列111bの洗浄が開始される。具体的には、ノズル2は、回転機構3により回転しながら、洗浄水を第2ケージ列111bに向けて噴射すると共に、揺動機構6による上下の揺動を繰り返しながら、第2ケージ列111bの正面側を、右側から左側へ移動する。
【0074】
このような第2ケージ列111bの洗浄時、自走ユニット5が作動して、液体噴射装置1が一定の速度で後退する(つまり、右側から左側に向かって進む)。また、その際、回転機構3が作動して、ノズル2から噴射された洗浄水が円を描きつつ進むようにノズル2を回転させる。また、その際、揺動機構6が作動して、ノズル2が上方側から下方側へ振り下ろされる動作とノズル2が下方側から上方側へ振り上げられる動作とが交互に繰り返されるように、回転機構3と共にノズル2を揺動させる。なお、第2ケージ列111bの洗浄時も、第2支持部42による第1支持物41の高さ位置は、一定となるように固定されている。このように、液体噴射装置1が第2ケージ列111bの正面側を横切る際に、自走ユニット5、回転機構3及び揺動機構6が同時に作動して、それぞれが所定の動作を行うことにより、図14に示される破線のような行程(経路)で、ノズル2の位置を動かしつつ、ノズル2から対象物に向かって広範囲に洗浄水を噴射することができる。
【0075】
その後、ノズル2が、第2ケージ列111bの左端(左側面120))における高さ位置P4に到達すると、支持装置4の第2支持部42が作動して、ノズル2の位置が下降する。そして、ノズル2の位置は、第3ケージ列111cの高さに対応した高さ位置P5に調整される。このようにノズル2の位置が、高さ位置P5となると、第3ケージ列111cの洗浄が開始される。第3ケージ列111cの洗浄は、ノズル2の高さ位置が異なるものの、それ以外の条件は、基本的に、上述した第1ケージ列111aの洗浄と同じである。そして、第3ケージ列111cの洗浄が終了した後、ノズル2の高さ位置が適宜、調整された後、第2ケージ列111bの洗浄時と同様の条件で、第4ケージ列111dの洗浄が行われる。
【0076】
なお、ノズル2が各ケージ列111の右端(右側面130)又は左端(左側面120)に到達したことは、例えば、自走ユニット5が備える検知センサ等の検出結果を利用して把握することができる。
【0077】
以上のようにして、液体噴射装置1を使用して、多段式ケージ鶏舎100aを洗浄することができる。なお、多段式ケージ鶏舎100aの洗浄が終わると、液体噴射装置1は、他の多段式ケージ鶏舎100の洗浄のために適宜、移動し、そして移動先で、再び、同様の方法で、多段式ケージ鶏舎100の洗浄が行われる。
【0078】
本実施形態の液体噴射装置1は、ノズル2から噴射される洗浄水(液体)を、対象物である多段式ケージ鶏舎100に対して、広範囲に行き届かせることできる。そのため、従来と比べて、洗浄時間等の対象物に対して液体を噴射する時間を、大幅に短くすることができる。
【0079】
<実施形態2>
次いで、本発明の実施形態2に係る液体噴射装置1Aを、図15を参照しつつ説明する。図15は、実施形態2に係る液体噴射装置1Aを使用して対象物100Aを洗浄する内容を模式的に表した説明図である。本実施形態の液体噴射装置1Aは、実施形態1と同様、ノズル2Aから洗浄液を噴射して対象物100Aを洗浄する自走式の装置(洗浄装置)である。本実施形態の場合、対象物100Aは、図15に示されるように、下側から上側に向かって上るように傾斜した傾斜面100A1や、上方に開口した収容部100A2を備えている。
【0080】
液体噴射装置1Aは、実施形態1と同様、ノズル2Aを保持しつつ、ノズル2Aを回転させる回転機構を備える。なお、本実施形態のノズル2Aは、その噴射口から、回転機構よりも小さな円を描くように洗浄水を回転させながら噴射する。
【0081】
また、本実施形態の液体噴射装置1Aは、実施形態1と同様、水平方向に伸縮可能な第1支持部41と、その第1支持部41を上下方向に昇降可能な第2支持部とを有する支持装置を備える。第1支持部41の伸縮により、ノズル2Aと対象物100Aとの距離を、水平方向(図15中の矢印X2)で、適宜、調整することができる。また、第2支持部の伸縮等により、第1支持部41を昇降させて、ノズル2Aの高さ位置を、上下方向(図15中の矢印Y2)で、適宜、調整することができる。
【0082】
また、本実施形態の液体噴射装置1Aは、実施形態1と同様、ノズル2Aが上方側から下方側へ振り下ろされる動作とノズル2Aが下方側から上方側へ振り上げられる動作とが交互に繰り返されるように、回転機構と共にノズル2Aを揺動させる揺動機構を備える。この揺動機構の揺動動作により、ノズル2Aの位置を上方側から下方側へ振り下ろされる方向と、下方側から上方側へ振り上げられる方向(図15中の矢印R2)とに交互に移動させることができる。なお、本実施形態の液体噴射装置1Aも、実施形態1と同様の自走ユニットを備えている。
【0083】
本実施形態の液体噴射装置1Aは、回転機構、支持装置(第1支持部、第2支持部)、揺動機構等の各動作を組み合わせつつ、対象物100Aに向けてノズル2Aから洗浄水を噴射することで、効率的に対象物100Aを洗浄することができる。以下、液体噴射装置1Aにおける各構成の動作を、簡単に説明する。なお、ノズル2Aは、常に回転機構により、回転されている。
【0084】
本実施形態における対象物100Aの洗浄は、汚れが洗浄済みの部分に付着することを抑制するために、上から下へ順に洗浄される。ここでは、先ず、第1支持部41が、符号(i)で示される高さ位置に配置された状態で、対象物100Aの傾斜面100Aに向けて、ノズル2Aから洗浄水が噴射される。ノズル2Aと傾斜面100Aとの距離は、ノズル2を支持する第1支持部41の長さを適宜、調整することで、所定範囲に維持される。その後、洗浄が進むにしたがって、ノズル2Aの高さ位置が、徐々に低くなるように、第2支持部が作動して、第1支持部41の高さ位置を調整する。ノズル2Aの高さ位置が低くされると、ノズル2Aと傾斜面100Aとの間の距離が所定範囲で保たれるように、第1支持部41のアーム部411の長さが徐々に短くなるように調整される。例えば、第1支持部41が、符号(ii)で示される高さ位置に下降すると、第1支持部41のアーム部411の長さは、符号(i)で示される場合と比べて、短くされる。
【0085】
そして、更に、第2支持部の作動により、第1支持部41が下降し、第1支持部41の高さ位置が、符号(iii)で示される高さ位置となると、第1支持部41のアーム部411が伸ばされて、アーム部411の長さが長くされる。このように第1支持部41のアーム部411の長さを長くすることで、傾斜面100Aの下方に配置された収容部100A2の上方に、ノズル2Aを配置しつつ、そのノズル2Aから収容部100A2内に向けて洗浄水を確実に噴射させることができる。その際、ノズル2Aは、揺動機構により、所定の揺動範囲で揺動されながら、洗浄水を収容部100A2の底面や内壁面に向けて噴射することになる。
【0086】
収容部100A2の洗浄後、第2支持部が作動して、第1支持部41が下降すると共に、第1支持部41が作動して、第1支持部41のアーム部411の長さが徐々に短くされてノズル2Aと傾斜面100A1との間の距離が、所定範囲で保たれる。このような状態で、収容部100A2よりも下方にある傾斜面100A1に対してノズル2Aから洗浄水が噴射されて、傾斜面100A1が洗浄される。
【0087】
以上のように、本実施形態の液体噴射装置1Aは、回転機構、支持装置(第1支持部、第2支持部)、揺動機構等の各動作を組み合わせることで、複雑な構造を備えた対象物100Aに対して、ノズル2Aから噴射された洗浄水を、万遍なく行き渡らせることができる。本実施形態のように、回転機構と共に第1支持部41を作動させることで、対象物100Aとノズル2との間の距離を、所定範囲に保ちつつ、対象物100Aに向けて洗浄水を確実に噴射させることができる。本実施形態では、特に、第1支持部41の伸縮方向(液体噴射装置1Aと対象物100Aとが向かい合う方向)において、ノズル2Aから噴射される洗浄水を広範囲に行き届かせることができる。
【0088】
<実施形態3>
次いで、本発明の実施形態3に係る液体噴射装置1Bを、図16を参照しつつ説明する。図16は、実施形態3に係る液体噴射装置1Bを使用して対象物100Bを洗浄する内容を模式的に表した説明図である。本実施形態の液体噴射装置1Bは、実施形態1と同様、ノズル2Bから洗浄液を噴射して対象物100Bを洗浄する自走式の装置(洗浄装置)である。本実施形態の場合、対象物100Bは、図16に示されるように、下側から上側に向かって上るように傾斜した傾斜面100B1を備えている。
【0089】
液体噴射装置1Bは、実施形態1と同様、ノズル2Bを保持しつつ、ノズル2Bを回転させる回転機構を備える。なお、本実施形態のノズル2Bも、実施形態2と同様、先端の噴射口から、回転機構よりも小さな円を描くように洗浄水を回転させながら噴射する。
【0090】
また、本実施形態の液体噴射装置1Bは、実施形態1と同様、回転機構を支持しつつ、ノズル2Bが対象物100Bに近付く向きと、ノズル2Bが対象物100Bから遠ざかる向きとにそれぞれ移動できるように、水平方向に伸縮可能な第1支持部41と、第1支持部41を上下方向に昇降可能な第2支持部とを有する支持装置を備える。第1支持部41の伸縮により、ノズル2Bと対象物100Bとの距離を、水平方向(図16中の矢印X3)で、適宜、調整することができる。また、第2支持部の伸縮等により、第1支持部41を昇降させて、ノズル2Bの高さ位置を、上下方向(図16中の矢印Y3)で、適宜、調整することができる。なお、本実施形態の液体噴射装置1Bも、実施形態1と同様の自走ユニットを備えている。第2支持部は、自走ユニット上に立設され、第1支持部41が上下方向において昇降できるように第1支持部を支持する。
【0091】
本実施形態の液体噴射装置1Bは、回転機構、支持装置(第1支持部、第2支持部)等の各動作を組み合わせつつ、対象物100Bに対してノズル2Bから洗浄水を噴射することで、効率的に対象物100Bを洗浄することができる。なお、ノズル2Bは、常に回転機構により、回転されている。
【0092】
対象物100Bの洗浄は、通常、上側から下側に向かって順に行われる。本実施形態の場合、第2支持部により、ノズル2Bの高さ位置を上方から下方へ徐々に変更すると共に、第1支持部41の長さ(アーム部411の長さ)を適宜、調整して、ノズル2Bと対象物100Bの傾斜面100B1との間の距離を所定範囲で保ちながら、ノズル2Bから洗浄水が対象物100B(傾斜面100B1)に向けて噴射される。
【0093】
以上のように、本実施形態の液体噴射装置1Bは、回転機構、支持装置(第1支持部、第2支持部)等の各動作を組み合わせることで、対象物100Bに対してノズル2Bから洗浄水を噴射して、対象物に万遍なく洗浄水を行き渡らせることができる。本実施形態では、特に、第1支持部41の伸縮方向(液体噴射装置1Bと対象物100Bとが向かい合う方向)において、ノズル2Bから噴射される洗浄水を広範囲に行き届かせることができる。
【0094】
<実施形態4>
次いで、本発明の実施形態4に係る液体噴射装置1Cを、図17を参照しつつ説明する。図17は、実施形態4に係る液体噴射装置1Cを使用して対象物100Cを洗浄する内容を模式的に表した説明図である。本実施形態の液体噴射装置1Cは、実施形態1と同様、ノズル2Cから洗浄液を噴射して対象物100Cを洗浄する自走式の装置(洗浄装置)である。本実施形態の場合、対象物100Cは、図17に示されるように、奥行きのある前方に開口した収容部100C1が複数段、積み重ねられたものからなる。
【0095】
自走式液体噴射装置1Cは、実施形態1と同様、ノズル2Cを保持しつつ、ノズル2Cを回転させる回転機構を備える。なお、本実施形態のノズル2Cも、実施形態2と同様、噴射口から、回転機構よりも小さな円を描くように洗浄水を回転させながら噴射する。
【0096】
また、本実施形態の自走式液体噴射装置1Cは、実施形態1と同様、水平方向に伸縮可能な第1支持部41と、その第1支持部41を上下方向に昇降可能な第2支持部とを有する支持装置を備える。第1支持部41の伸縮により、ノズル2Cと対象物100Cとの距離を、水平方向で、適宜、調整することができる。また、第2支持部の伸縮等により、第1支持部41を昇降させて、ノズル2Cの高さ位置を、上下方向で、適宜、調整することができる。
【0097】
また、本実施形態の液体噴射装置1Cは、実施形態1と同様、ノズル2Cが上方側から下方側へ振り下ろされる向きと、ノズル2Cが下方側から上方側へ振り上げられる向きとに、回転機構3と共にノズル2Cを揺動可能な揺動機構を備える。揺動機構は、ノズル2Cが上方側から下方側へ振り下ろされる動作と、ノズル2Cが下方側から上方側へ振り上げられる動作とが交互に繰り返されるように、回転機構と共にノズル2Cを揺動させる。なお、本実施形態の液体噴射装置1Cも、実施形態1と同様の自走ユニットを備えている。また、ノズル2Cは、常に回転機構により、回転されている。
【0098】
本実施形態の場合、ノズル2Cが対象物100Cに向かって徐々に近づいて、収容部100C1の奥側へ進入する動作や、ノズル2Cが対象物100Cから徐々に遠ざかって、収容部100C1内から外側へ退出する動作にあわせて、揺動機構により、ノズル2Cが上方側から下方側へ振り下ろされる向きと、ノズル2Cが下方側から上方側へ振り上げられる向きとに揺動される。なお、本実施形態では、1つの収容部100C1を洗浄する際、第1支持部の高さ位置が、第2支持部により、一定の高さ位置で保たれる。収容部100C1の洗浄後、その下側にある他の収容部が同様の方法で洗浄される。
【0099】
以上のように、本実施形態の液体噴射装置1Cは、回転機構、支持装置(第1支持部、第2支持部)、揺動機構等の各動作を組み合わせることで、複雑な構造を備えた対象物100Cに対して、ノズル2Cから噴射された洗浄水を、万遍なく行き渡らせることができる。本実施形態のように、回転機構と共に、第1支持部41と揺動機構とを作動させることで、奥行きのある収容部等の構造物(天井、床、周壁等)に向けて、洗浄水を確実に噴射させることができる。
【0100】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0101】
(1)実施形態1等において、揺動機構は、ノズルが上方側から下方側へ振り下ろされる向きと、ノズルが下方側から上方側へ振り上げられる向きとに揺動させるものであったが、本発明はこれに限られず、例えば、他の実施形態においては、揺動機構により、ノズルが上方側から下方側へ斜めに傾きつつ振り下ろされる向きと、ノズルが下方側から上方側へ斜めに傾きつつ振り上げられる向きとに揺動させるものであってもよい。また、更に、他の実施形態においては、回転機構側を支点として、ノズルが水平方向において、円弧を描くように左右で往復するように揺動させてもよい。
【0102】
(2)実施形態1等の液体噴射装置は、ノズルから対象物に向けて、洗浄水等の洗浄液を噴射して、対象物を洗浄するものであったが、本発明はこれに限られず、例えば、他の実施形態においては、ノズルから対象物に向けて、液体として消毒液を噴射して、対象物の消毒を行うものであってもよい。
【0103】
(3)液体噴射装置により、液体が噴射される対象物は、本発明の目的を損なわない限り、鶏舎等の畜舎に限られず、例えば、屠畜設備、工場設備、倉庫、店舗等であってもよい。
【0104】
(4)実施形態1等の液体噴射装置は、1つの第1支持部に対して、1つのノズルが設けられていたが、本発明の目的を損なわない限り、他の実施形態においては、例えば、1つの第1支持部に対して、複数のノズルが設けられてもよい。
【0105】
(5)実施形態1等における液体噴射装置の制御装置は、通信部(通信インターフェース)を備えもよい。通信部は、他の装置に情報を送信する機能や、他の装置から情報を受信する機能を備えている。通信部は、無線通信機能を有していてもよいし、有線通信機能を有していてもよい。通信部は、無線通信又は有線通信を利用することで、通信経路を介して他の装置と通信してもよい(例えば、WiFi(登録商標)等)。通信経路は、例えば、LAN(Local Area Network)等のネットワークやインターネット等である。通信部は、近距離無線通信等を利用することで、通信経路を介さずに他の装置と通信してもよい。近距離無線通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)、RFID(Radio Frequency Identifier)、NFC等である。他の実施形態において、作業者は、例えば、液体噴射装置1とは別体の端末装置(例えば、タブレット端末等)を操作し、その端末装置と制御装置との間の通信機能を利用して、作業者からの指示を液体噴射装置1に対して行ってもよい。
【符号の説明】
【0106】
1…液体噴射装置、2…ノズル、3…回転機構、4…支持装置、41…第1支持部、42…第2支持部、5…自走ユニット、6…揺動機構、7…制御装置、100…対象物(多段式ケージ鶏舎)
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