(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】回転装置
(51)【国際特許分類】
F16H 31/00 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
F16H31/00 C
(21)【出願番号】P 2022188188
(22)【出願日】2022-11-25
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】522461686
【氏名又は名称】有限会社日本シーデックス
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100200621
【氏名又は名称】堀部 峰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【氏名又は名称】竹中 一宣
(72)【発明者】
【氏名】町田 和重
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】実公昭49-012507(JP,Y1)
【文献】特表2006-525915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の歯車を備える回転装置を、
正逆回転する第1の歯車本体と、
前記第1の歯車本体の外周面に斜設された第1の歯部と、
前記第1の歯車本体と同軸上に形成された第1円筒部と、
前記第1の歯車本体の正回転を停止させるための複数の第1ストッパ金具と、
前記第1円筒部に張架され、正逆回転方向へ回動する第1帯状部材と、
前記第1帯状部材に設けられ、前記第1帯状部材が正回転方向へ回動したとき前記第1の歯部と噛み合い、前記第1帯状部材が逆回転方向へ回動したとき空転する第1係止部材と、
で構成し、
前記斜設は、前記第1の歯車本体の正回転方向側に向かった下がり傾斜に設けることを特徴とする、回転装置。
【請求項2】
前記第1ストッパ金具の進路上に移動し、前記第1ストッパ金具に当接する第1ストッパを備える、請求項1に記載の回転装置。
【請求項3】
第1の歯車を備える回転装置を、
正逆回転する第1の歯車本体と、
前記第1の歯車本体の外周面に斜設された第1の歯部と、
前記第1の歯車本体の正回転を停止させるための複数の第1ストッパ金具と、
前記第1ストッパ金具の進路上に移動し、前記第1ストッパ金具に当接する第1ストッパと、
前記第1の歯車の外周面に設けられ、前記第1ストッパ金具が取り付けられる複数の取り付け部
と、
を備え、
前記斜設は、前記第1の歯車本体の正回転方向側に向かった下がり傾斜に設け、
前記
第1ストッパ金具を取り付ける前記取り付け部を選択することにより、前記第1の歯車の回転する角度を変更可能である
、回転装置。
【請求項4】
前記第1の歯車が設けられる甲板と、
前記甲板上に配置され、前記第1帯状部材を前記逆回転方向へ付勢する第1弾性体と、
前記甲板上に前記第1弾性体と離間して配置され、前記第1帯状部材を前記逆回転方向へ回動させることが可能な第1引張機構と、
を備える、請求項
1に記載の回転装置。
【請求項5】
前記第1の歯部は、前記第1の歯車本体の一方の面に沿って形成された第1歯と、他方の面に沿って形成された第2歯と、を有し、
前記
第1円筒部は、前記第1歯と、前記第2歯と、の間に形成され、
前記第1係止部材は、前記第1帯状部材の両側面にそれぞれ設けられ、前記第1歯と、
前記第2歯にそれぞれ噛み合う、請求項
1に記載の回転装置。
【請求項6】
前記第1帯状部材は、一端が前記第1弾性体に、他端が前記第1引張機構に、それぞれ連結し、前記第1引張機構が作動して引っ張られたとき、前記正回転方向へ回動し、前記第1引張機構が停止したとき、前記第1弾性体の弾性力により前記逆回転方向へ回動する、請求項
4に記載の回転装置。
【請求項7】
前記第1引張機構と連動して、回動する前記第1ストッパ金具の進路上に移動する
第1ストッパを備える、請求項
4に記載の回転装置。
【請求項8】
甲板上に配置され、一端が固定された第2弾性体と、
前記甲板上に前記第2弾性体と離間して設けられた第2引張機構と、
前記甲板上で回転する第2の歯車と、
一端が前記第2弾性体に連結され、他端が前記第2引張機構に連結され、前記第2の歯車に張架され、前記第2引張機構が作動して引っ張られたとき、逆回転方向へ回動し、前記第2引張機構が停止したとき、前記第2弾性体の弾性力により前記正回転方向へ回動する第2帯状部材と、
前記第2帯状部材に設けられた第2係止部材と、
前記第2の歯車に
、第2の歯車本体の逆回転方向側に向かった下がり傾斜になるように斜設され、前記逆回転方向へ回動した前記第2帯状部材の前記第2係止部材と噛み合い、前記正回転方向へ回動した前記第2帯状部材の前記第2係止部材を空転させる第2歯部と、
を備える、請求項
2に記載の回転装置。
【請求項9】
前記第1の歯車の軸に取り付けられ、前記第1の歯車とともに回転する回転盤と、
前記回転盤の回転面に押し当てられる、押さえ部材と、
前記回転盤の回転面に形成され、前記回転盤が逆回転方向へ回転したとき、前記押さえ部材と噛み合い前記回転盤及び
前記第
1の歯車の回転を止め、前記回転盤が正回転方向へ回転したとき、前記押さえ部材に対して空転する切欠き歯と、
を備える、請求項1から
8のいずれか一項に記載の回転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、チェーンと、ラチェットと、スプロケットとを組み合わせた回転装置を備える開閉装置が開示されている。特許文献1に開示された開閉装置においては、回転装置により帯状部材の一方方向への運動のみを回転運動に変換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された回転装置は、ラチェットと、スプロケットとを組み合わせるため構造が複雑になる。そのため、特許文献1に開示された回転装置では、負荷が大きな用途に対応するために、大型化することが困難であった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、大型化することができる回転装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る回転装置は、
第1の歯車を備える回転装置を、
正逆回転する第1の歯車本体と、
前記第1の歯車本体の外周面に斜設された第1の歯部と、
前記第1の歯車本体と同軸上に形成された第1円筒部と、
前記第1の歯車本体の正回転を停止させるための複数の第1ストッパ金具と、
前記第1円筒部に張架され、正逆回転方向へ回動する第1帯状部材と、
前記第1帯状部材に設けられ、前記第1帯状部材が正回転方向へ回動したとき前記第1の歯部と噛み合い、前記第1帯状部材が逆回転方向へ回動したとき空転する第1係止部材と、
で構成し、
前記斜設は、前記第1の歯車本体の正回転方向側に向かった下がり傾斜に設けることを特徴とする。
【0008】
前記第1ストッパ金具の進路上に移動し、前記第1ストッパ金具に当接する第1ストッパを備えてもよい。
【0009】
本発明の第2の観点に係る回転装置は、
第1の歯車を備える回転装置を、
正逆回転する第1の歯車本体と、
前記第1の歯車本体の外周面に斜設された第1の歯部と、
前記第1の歯車本体の正回転を停止させるための複数の第1ストッパ金具と、
前記第1ストッパ金具の進路上に移動し、前記第1ストッパ金具に当接する第1ストッパと、
前記第1の歯車の外周面に設けられ、前記第1ストッパ金具が取り付けられる複数の取り付け部と、
を備え、
前記斜設は、前記第1の歯車本体の正回転方向側に向かった下がり傾斜に設け、
前記第1ストッパ金具を取り付ける前記取り付け部を選択することにより、前記第1の歯車の回転する角度を変更可能である。
【0010】
前記第1の歯車が設けられる甲板と、
前記甲板上に配置され、前記第1帯状部材を前記逆回転方向へ付勢する第1弾性体と、
前記甲板上に前記第1弾性体と離間して配置され、前記第1帯状部材を前記逆回転方向へ回動させることが可能な第1引張機構と、
を備えてもよい。
【0011】
前記第1の歯部は、前記第1の歯車本体の一方の面に沿って形成された第1歯と、他方の面に沿って形成された第2歯と、を有し、
前記第1円筒部は、前記第1歯と、前記第2歯と、の間に形成され、
前記第1係止部材は、前記第1帯状部材の両側面にそれぞれ設けられ、前記第1歯と、
前記第2歯にそれぞれ噛み合ってもよい。
【0012】
前記第1帯状部材は、一端が前記第1弾性体に、他端が前記第1引張機構に、それぞれ連結し、前記第1引張機構が作動して引っ張られたとき、前記正回転方向へ回動し、前記第1引張機構が停止したとき、前記第1弾性体の弾性力により前記逆回転方向へ回動した、構成でもよい。
【0013】
前記第1引張機構と連動して、回動する前記第1ストッパ金具の進路上に移動する第1ストッパを備えてもよい。
【0014】
甲板上に配置され、一端が固定された第2弾性体と、
前記甲板上に前記第2弾性体と離間して設けられた第2引張機構と、
前記甲板上で回転する第2の歯車と、
一端が前記第2弾性体に連結され、他端が前記第2引張機構に連結され、前記第2の歯車に張架され、前記第2引張機構が作動して引っ張られたとき、逆回転方向へ回動し、前記第2引張機構が停止したとき、前記第2弾性体の弾性力により前記正回転方向へ回動する第2帯状部材と、
前記第2帯状部材に設けられた第2係止部材と、
前記第2の歯車に、第2の歯車本体の逆回転方向側に向かった下がり傾斜になるように斜設され、前記逆回転方向へ回動した前記第2帯状部材の前記第2係止部材と噛み合い、前記正回転方向へ回動した前記第2帯状部材の前記第2係止部材を空転させる第2歯部と、
を備えてもよい。
【0015】
前記第1の歯車の軸に取り付けられ、前記第1の歯車とともに回転する回転盤と、
前記回転盤の回転面に押し当てられる、押さえ部材と、
前記回転盤の回転面に形成され、前記回転盤が逆回転方向へ回転したとき、前記押さえ部材と噛み合い前記回転盤及び前記第1の歯車の回転を止め、前記回転盤が正回転方向へ回転したとき、前記押さえ部材に対して空転する切欠き歯と、
を備えてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る回転装置は、歯車がラチェットとしての機能を有するスプロケットとして動作し、複雑な構造に起因した故障の発生率を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a)は、本発明の実施の形態1に係る回転装置の正面図である。(b)は、実施の形態1に係る回転装置の回転が止められた状態を示す正面図である。
【
図2】実施の形態1に係る第1の歯車の斜視図である。
【
図3】(a)は、実施の形態1に係るストッパ金具の使用例を示す正面図である。(b)は、実施の形態1に係るストッパ金具の他の使用例を示す正面図である。
【
図4】実施の形態1に係る回転装置の平面図である。
【
図5】実施の形態1に係る回転装置の背面図である。
【
図6】実施の形態2に係る回転装置の正面図である。
【
図7】実施の形態3に係る回転装置の正面図である。
【
図8】実施の形態3に係る回転装置の背面図である。
【
図9】実施の形態3に係る回転装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る歯車、及び歯車を用いた回転装置を図に基づいて詳細に説明する。なお、理解を容易にするために、相互に直行するXYZ座標を設定し、適宜参照する。
【0019】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1に係る回転装置1を説明する。回転装置1は、歯車に架けられた往復運動する帯状部材の一方向への回動のみを回転運動に変換する装置である。
【0020】
図1及び
図2に示すように、回転装置1は、甲板10と、第1の歯車20と、第1伝動機構30と、第1ストッパ40と、を備える。回転装置1は、固定台Gの側面に固定するように配置される。
図1の固定台Gから回転装置1へ向かう方向を+X軸方向、手前から奥行きの方向を+Y軸方向、高さ方向を+Z軸方向とする。
【0021】
甲板10は、-X側の一端が固定台Gに固定される。甲板10は、XZ平面上に設けられている。
【0022】
第1の歯車20は、他の部品に従動して一方向に回転運動し、その回転運動をさらに他の部品に伝えるラチェットとしての機能を備えるスプロケット(ラチェッタブル・スプロケット)である。第1の歯車20は、甲板10上で回転する。第1の歯車20は、甲板10の-Y側に設けられる。第1の歯車20は、
図2から
図4に示すように、第1の歯車本体21と、軸22と、第1歯23と、第1ストッパ金具24と、第1円筒部25と、第2歯26と、を有する。
【0023】
第1の歯車本体21は、正逆回転する円盤状の部材である。第1の歯車本体21は、正回転するとき、-Y側から見て反時計回りである第1回転方向Aへ回転し、逆回転するとき、第1回転方向Aと逆方向の第2回転方向Bへ回転する。
【0024】
軸22は、第1の歯車20の回転軸である。軸22は、第1の歯車20の中心を通るように設けられている。軸22は、甲板10を貫通し、甲板10の+Y側に延伸している。軸22は、甲板10に回転自在に取り付けられている。
【0025】
第1歯23は、第1の歯車20を正回転方向である第1回転方向Aへ回転させるための傾斜した溝状の歯である。しかしながら、これに限らない。第1歯23は、突起状の歯であってもよい。第1歯23は、第1の歯車20の+Y側面の外周に形成されている。第1歯23は、第1回転方向A側に向かった下がり傾斜になるように斜設されている。第1歯23は、等間隔に12枚設けられている。しかしながら、これに限られない。第1歯23は、3枚、4枚、6枚設けられてもよい。第1歯23の割出角度は、30°から120°である。さらに、第1歯23は、第1の歯車20を不等分割するように、異なる間隔で設けられ、5枚、7枚、11枚、又は13枚以上設けられてもよい。第1歯23は、第1回転方向Aの側の緩やかに傾斜した第1傾斜部23aと、第1傾斜部23aの上端と連続する外周面となる第1上端部23bと、第1上端部23bと連続し、第1上端部23b及び第1回転方向Aに対して直角に形成された第1当接部23cと、を有する。
【0026】
第1ストッパ金具24は、第1の歯車20の回転を特定の角度で停止させるために設けられたボルト状の突起を形成する金具である。すなわち、第1ストッパ金具24は、第1の歯車20の回転角度を規定する。第1ストッパ金具24は、等間隔に4つ設けられている。加えて、第1ストッパ金具24は、第1歯23の第1上端部23bに設けられている。しかしながら、これに限られない。第1ストッパ金具24は、
図3(a)に示すように、等間隔に3つ、又は、
図3(b)に示すように、12設けられてもよい。さらに、第1ストッパ金具24は、
図3(c)に示すように、第1の歯車20を不等分割するように、異なる間隔で設けられてもよい。第1ストッパ金具24は、第1の歯車本体21の外周面に設けられたネジ穴状の取り付け部24aに取り付けることにより、他の第1ストッパ金具24との間隔を調整することができる。しかしながら、これに限られない。第1ストッパ金具24は、例えば、取付金具により第1の歯車本体21に取り付けられてもよい。
【0027】
第1円筒部25は、第1歯23よりも-Y側に形成された円筒状の部位である。第1円筒部25は、軸22が中心軸になるように形成されている。
【0028】
第2歯26は、第1の歯車20を第1回転方向Aへ回転させるための傾斜した歯である。第2歯26は、第1の歯車20の-Y側面の外周に形成されている。第2歯26は、第1回転方向A側に向かった下がり傾斜になるように斜設されている。第2歯26は、第1回転方向Aの側の緩やかに傾斜した第2傾斜部26aと、第2傾斜部26aの上端と連続する第2上端部26bと、第2上端部26bと連続し、第2上端部26b及び第1回転方向Aに対して直角に形成された第2当接部26cと、を有する。第2歯26は、X軸方向から見て、第1歯23と同じ位置になるように設けられている。第1歯23と第2歯26は、第1歯部を構成する。
【0029】
第1伝動機構30は、
図1に示すように、第1の歯車20を回転させるための機構である。第1伝動機構30は、第1帯状部材31と、第1弾性体32と、第1引張機構33と、を有する。
【0030】
第1帯状部材31は、第1の歯車20を回転させる。第1帯状部材31は、
図4に示すように、第1の歯車20の第1円筒部25に架けられる。第1帯状部材31は、ローラーチェーンである。しかしながらこれに限られない。第1帯状部材31は、第1の歯車20の第1円筒部25に架けられる帯状の部材であればよい。例えば、第1帯状部材31は、サイレント帯状部材、伝導用ベルトであってもよい。第1帯状部材31は、円筒状のローラー及びブシュと、円筒形のピンと、ブシュ及びピンが挿入する穴が形成された内プレート及び外プレートと、を有する複数のリンクを有する。第1帯状部材31のピンは、リンクの側方(Y軸方向)に突出し、第1係止部材31aを構成する。
【0031】
第1係止部材31aは、第1帯状部材31の運動を第1の歯車20に伝達するための係止部材である。第1係止部材31aは、第1帯状部材31の側方に突出し、第1の歯車20の第1歯23及び第2歯26とかみ合って、第1帯状部材31の運動を伝達する。
【0032】
第1弾性体32は、
図1に示すように、固定台Gに一端を固定されている。第1弾性体32は、第1帯状部材31の一端である端部に取り付けられる。第1弾性体32は、第1弾性体32に取り付けられた第1帯状部材31が+X軸方向に伸びて、第1の歯車20の下側(-Z側)から掛けられるように設けられている。第1弾性体32は、第1帯状部材31が第1の歯車20に張架するように弾性力により第1帯状部材31の端部を-X軸方向に付勢する。そして、第1弾性体32は、第1帯状部材31を逆回転方向である第2回転方向Bに付勢する。
【0033】
第1引張機構33は、固定台Gに固定された油圧シリンダである。しかしながら、これに限られない。第1引張機構33は、他の部材を引っ張ることができればよい。第1引張機構33は、例えば、電動シリンダであってもよい。第1引張機構33は、第1弾性体32の上方(+Z軸方向)に設けられる。第1引張機構33には、第1帯状部材31の他端である端部31bが取り付けられる。第1引張機構33は、第1弾性体32に取り付けられた第1帯状部材31が+X軸方向に伸びて、第1の歯車20の上側(+Z側)に掛けられるように設けられている。第1引張機構33は、所定の時間間隔で、第1帯状部材31の端部31bを-X軸方向に引っ張る。そして、第1引張機構33は、第1帯状部材31を第1回転方向Aに回動させる。第1引張機構33は、第1先端部33aと、第1ロッド33bと、第1ピストン33cと、を有する。
【0034】
第1先端部33aは、第1帯状部材31の端部31bと連結される。
【0035】
第1ロッド33bは、先端に第1先端部33aが設けられた棒状の部材である。第1ロッド33bは、第1ロッド33bの先端が+X側の端部に位置するように配置されている。
【0036】
第1ピストン33cは、第1ロッド33bの一部を収納可能な円筒状の部材である。第1ピストン33cは、第1引張機構33が作動したとき、第1ロッド33bを収納し、第1ロッド33bの先端に設けられた第1先端部33aを-X軸方向に移動させる。
【0037】
第1ストッパ40は、第1の歯車20の第1回転方向Aへの回転を止めるためのストッパである。第1ストッパ40は、第1伝動機構30の第1引張機構33と連動し、第1ストッパ金具24を押し止めて第1の歯車20の回転運動を止める。第1ストッパ40は、第1押さえ部材41と、第1バー42と、第1連動機構43と、を有する。
【0038】
第1押さえ部材41は、円筒状の先端が平坦な部材である。第1押さえ部材41は、第1の歯車20の回転運動を止めるとき、回転する第1ストッパ金具24の進路上に移動し、第1ストッパ金具24に当接して押し止める。第1押さえ部材41は、第1バー42との間に弾性体を有し、弾性体により第1ストッパ金具24に当接した際の衝撃を吸収される。
【0039】
第1バー42は、+X側の一端部の先端に第1押さえ部材41が設けられた棒状の部材である。第1バー42は、-X側の他端部に第1支点42aが設けられ、第1支点42aを軸として回動する。第1バー42は、下端部に第1接触部42bが形成されている。第1バー42は、第1の歯車20の回転運動を止めるとき、第3回転方向Cへ回動し、第1バー42の先端に設けられた第1押さえ部材41を第1ストッパ金具24に当接させる。
【0040】
第1支点42aは、第1バー42を回動させるための軸である。第1支点42aは、甲板10に回転自在に取り付けられる。
【0041】
第1接触部42bは、第1バー42を押し上げる第1連動機構43と接触する。第1接触部42bは、第1バー42の本体から下方(-Y軸方向)へと延設されている。第1接触部42bは、-X側の下端の角に設けられた切欠き溝42b-1と、切欠き溝42b-1と連続した平坦な平面部42b-2と、が形成された直方体状に形成されている。
【0042】
第1連動機構43は、第1バー42を回動させる。第1連動機構43は、第1アーム43aと、第1ローラー43bと、を有する。
【0043】
第1アーム43aは、第1引張機構33の第1先端部33aに取り付けられた矩形の板材である。第1アーム43aは、第1引張機構33の伸縮に伴って、X軸方向に往復運動する。
【0044】
第1ローラー43bは、第1アーム43aの+X側の端部に設けられた回転体である。第1ローラー43bは、第1アーム43aの往復運動に伴って、X軸方向に往復運動する。第1ローラー43bは、-X軸方向に移動したとき、切欠き溝42b-1に嵌まり、第1バー42が第4回転方向Dへ回動する。そして、第1ローラー43bは、+X軸方向に移動したとき、平面部42b-2を押し上げ、第1バー42を第3回転方向Cへ回動させる。
【0045】
次に、回転装置1の動作について説明する。
【0046】
回転装置1は、第1引張機構33が伸び、第1弾性体32が縮んだ状態で設置される。そして、第1引張機構33に取り付けられた第1アーム43aの第1ローラー43bは、第1接触部42bの平面部42b-2が乗り上げた状態である。そのため、第1ストッパ40の第1バー42は、第3回転方向Cへ回動した状態である。
【0047】
最初に、回転装置1の第1引張機構33を作動させる。第1ロッド33bの一部が第1ピストン33c内に収納され、第1先端部33aが-X軸方向に移動する。第1先端部33aに取り付けられた第1ストッパ40の第1アーム43a及び第1ローラー43bが-X軸方向に引っ張られる。そして、第1ローラー43bが、第1バー42の本体から下方へと延設される第1接触部42bの平面部42b-2から切欠き溝42b-1へと移動する。その結果、第1バー42が、自重により、第1支点42aを回転軸として、第4回転方向Dへ回動し、X軸と平行になる。
【0048】
さらに、第1引張機構33が縮むと、第1引張機構33に取り付けられた第1帯状部材31に張力が加えられ、第1帯状部材31の端部が、-X軸方向に引っ張られる。そして、第1の歯車20の第1円筒部25にかけられた第1帯状部材31が第1回転方向Aに向かって回動する。さらに、第1帯状部材31の端部31bに取り付けられた第1弾性体32により、第1帯状部材31の端部31bに対して、-X軸方向に弾性力が加えられる。
【0049】
第1帯状部材31が第1回転方向Aに向かって回動すると、第1の歯車20と第1帯状部材31とが接する部分において、第1帯状部材31の第1係止部材31aは、第1の歯車20の第1歯23の第1当接部23c、及び、第2歯26の第2当接部26cに当接し、第1歯23及び第2歯26とかみ合う。そして、第1の歯車20の第1歯23及び第2歯26もまた、第1係止部材31aにより、第1回転方向Aに向かって回転する。そのため、第1の歯車20は、第1帯状部材31に従動して、第1回転方向Aに向かって回転する。
【0050】
第1の歯車20が第1回転方向Aに向かって回転すると、軸22により連動して、軸22が第1回転方向Aに向かって回転する。
【0051】
さらに、第1の歯車20が第1回転方向Aに向かって回転すると、第1の歯車20の第1ストッパ金具24もまた、第1回転方向Aに向かって回転する。
【0052】
第1回転方向Aに向かって回転した第1ストッパ金具24は、第1ストッパ40の第1バー42の+X側の端部に設けられた第1押さえ部材41に当接する。そして、第1の歯車20の第1回転方向Aへの回転は、第1ストッパ40により止まる。
【0053】
最後に、第1引張機構33が、第1ピストン33c内に収納された第1ロッド33bの一部を開放する。そして、第1ロッド33b及び第1先端部33aは、第1帯状部材31を介して、第1弾性体32の弾性力により+X軸方向に引っ張られて移動する。そのため、第1帯状部材31が第2回転方向Bに向かって回転する。さらに、第1先端部33aに取り付けられた第1連動機構43の第1アーム43a及び第1ローラー43bが、+X軸方向に移動する。そして、第1接触部42bの切欠き溝42b-1に嵌まっていた第1ローラー43bが、+X軸方向に移動することにより平面部42b-2を押し上げ、第1バー42を第3回転方向Cへ回動させる。
【0054】
第1帯状部材31が第2回転方向Bに向かって回転するとき、第1帯状部材31の第1係止部材31aは、第1の歯車20を回転させない。具体的には、第1係止部材31aは、第1帯状部材31が第2回転方向Bに向かって回転するとき、第1の歯車20の第1歯23の第1傾斜部23a及び第1上端部23b上と、第1の歯車20の第2歯26の第2傾斜部26a及び第2上端部26b上と、を滑り、第1当接部23c、及び、第2当接部26cに当接しない。そのため、第1係止部材31aは、第1歯23及び第2歯26とかみ合わず空転し、第1の歯車20を回転させない。
【0055】
回転装置1は、例えば、軸22に取り付けられたインデックステーブルを回転させるために用いられる。回転装置1は、インデックステーブルを第1回転方向Aに回転させる。しかしながら、これに限られない。回転装置1は、例えば、順送りするベルトコンベアを回転させるために用いられてもよい。
【0056】
以上、説明したように、本実施の形態に係る回転装置1では、第1の歯車20が、第1帯状部材31の第1回転方向Aへの回動のみに従動し、第1回転方向Aへと回転する。この回転装置1では、従来、一方方向への運動のみを回転運動に変換するために用いられるラチェットを用いることなく、一方方向への運動のみを回転運動に変換する。そのため、回転装置1は、スプロケットがラチェットとしても動作し、複雑な構造に起因した故障の発生率を抑制することができる。
【0057】
従来、スプロケットなどの歯車は、回転を止めるとき、慣性を即座にカットするため、運動エネルギーが即座に反転し、正確に等分された位置決めが困難であった。回転装置1では、回転を止めるとき、第1ストッパ40の第1押さえ部材41の弾性体により衝撃を吸収するため、運動エネルギーが即座に反転しないため、正確に等分された位置決めを容易にすることができる。
【0058】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、第1の歯車20が、1列のみ設けられている。これに限らず、歯車は複数列設けられていてもよい。歯車は、2列設けられていてもよい。
【0059】
実施の形態2に係る回転装置2は、
図6に示すように、第2の歯車60と、第2伝動機構70と、第2ストッパ80と、をさらに備える。
【0060】
第2の歯車60は、他の部品に従動して一方向に回転運動し、その回転運動をさらに他の部品に伝えるラチェットとしての機能を備えるスプロケット(ラチェッタブル・スプロケット)である。第2の歯車60は、第1の歯車20の-Y側に設けられる。第2の歯車60は、第2の歯車本体61と、第3歯62と、第2ストッパ金具63と、第2円筒部64と、第4歯65と、を有する。第2の歯車60は、第1の歯車20の軸22を回転軸として回転する。
【0061】
第2の歯車本体61は、回転する円盤状の部材である。
【0062】
第3歯62は、第2の歯車60を第2回転方向Bへ回転させるための傾斜した溝状の歯である。しかしながら、これに限らない。第3歯62は、突起状の歯であってもよい。第3歯62は、第2の歯車60の+Y側面の外周に形成されている。第3歯62は、第2回転方向B側に向かった下がり傾斜になるように斜設されている。第3歯62は、第2回転方向Bの側の緩やかに傾斜した第3傾斜部62aと、第3傾斜部62aの上端と連続する外周面となる第3上端部62bと、第3上端部62bと連続し、第3上端部62b及び第2回転方向Bに対して直角に形成された第3当接部62cと、を有する。
【0063】
第2ストッパ金具63は、第2の歯車60の回転を特定の角度で停止させるために設けられたボルト状の突起を形成する金具である。第2ストッパ金具63は、等間隔に4つ設けられている。加えて、第2ストッパ金具63は、第3歯62の第3上端部62bに設けられている。
【0064】
第2円筒部64は、第3歯62よりも-Y側に形成された円筒状の部位である。第2円筒部64は、軸22が中心軸になるように形成されている。
【0065】
第4歯65は、第2の歯車60の-Y側面の外周に形成された傾斜した歯である。第4歯65は、第2回転方向B側に向かった下がり傾斜になるように斜設されている。第4歯65は、第2回転方向Bの側の緩やかに傾斜した第4傾斜部65aと、第4傾斜部65aと連続する第4上端部65bと、第4上端部65b及び及びに対して直角に形成された第4当接部65cと、を有する。第4歯65は、Y軸方向から見て、第3歯62と同じ位置になるように設けられている。第3歯62と第4歯65は、第2歯部を構成する。
【0066】
第2伝動機構70は、第2の歯車60を回転運動させるための機構である。第2伝動機構70は、第2帯状部材本体71と、第2弾性体72と、第2引張機構73と、を有する。
【0067】
第2帯状部材本体71は、第2の歯車60の第2円筒部64に架けられる。第2帯状部材本体71は、第2係止部材71aを有する。
【0068】
第2係止部材71aは、第2の歯車60の第3歯62及び第4歯65とかみ合って、第2帯状部材本体71の運動を伝達する。
【0069】
第2弾性体72は、固定台Gに一端を固定されている。第2弾性体72は、第2帯状部材本体71の一端である端部に取り付けられている。第2弾性体72は、第2弾性体72に取り付けられた第2帯状部材本体71が+X軸方向に伸びて、第2の歯車60の上側(+Z側)に掛けられるように設けられている。第2弾性体72は、第2帯状部材本体71の端部が、+X軸方向に移動したとき、弾性力により第2帯状部材本体71の端部を-X軸方向に付勢する。
【0070】
第2引張機構73は、固定台Gに固定された油圧シリンダである。しかしながら、これに限られない。第1引張機構33は、他の部材を引っ張ることができればよい。第2引張機構73は、例えば、電動シリンダであってもよい。第2引張機構73は、第2弾性体72の下方(-Z軸方向)に設けられる。第2引張機構73は、第2帯状部材本体71の他端である端部に取り付けられる。第2引張機構73は、所定の時間間隔で、第2帯状部材本体71の端部を-Y軸方向に引っ張る。第2引張機構73は、第2先端部73aと、第2ロッド73bと、第2ピストン73cと、を有する。
【0071】
第2先端部73aは、第2帯状部材本体71の端部と連結される。
【0072】
第2ロッド73bは、先端に第2先端部73aが設けられた棒状の部材である。第2ロッド73bは、第2ロッド73bの先端が+X軸方向の端部に位置するように配置されている。
【0073】
第2ピストン73cは、第2ロッド73bの一部を収納可能な円筒状の部材である。第2ピストン73cは、第2引張機構73が作動したとき、第2ロッド73bを収納し、第2ロッド73bの先端に設けられた第2先端部73aを-X軸方向に移動させる。
【0074】
第2ストッパ80は、第2の歯車60の第2回転方向Bへの回転を止めるためのストッパである。第2ストッパ80は、第2押さえ部材81と、第2バー82と、第2連動機構83と、を有する。
【0075】
第2押さえ部材81は、円筒状の先端が平坦な部材である。第2押さえ部材81は、第2の歯車60の回転運動を止めるとき、回転する第2ストッパ金具63の進路上に移動し、第2ストッパ金具63に当接して押し止める。
【0076】
第2バー82は、+X側の一端部の先端に第2押さえ部材81が設けられた棒状の部材である。第2バー82は、-X側の他端部に第2支点82aが設けられ、第2支点82aを軸として回動する。第2バー82は、支持弾性体82bが設けられ、第3回転方向Cへ付勢される。第2バー82は、下端部に第2接触部82cが形成されている。第2バー82は、第2の歯車60の回転運動を止めるとき、第4回転方向Dへ回動し、第2バー82の先端に設けられた第2押さえ部材81を第2ストッパ金具63に当接させる。そして、第2バー82は、第2の歯車60が回転運動するとき、第2押さえ部材81と、第2ストッパ金具63と、が当接しないように、第4回転方向Dへ回動した位置に固定される。
【0077】
第2支点82aは、第2バー82を回動させるための軸である。第2支点82aは、甲板10に回転自在に取り付けられる。
【0078】
支持弾性体82bは、第2バー82に対し、第3回転方向Cへ付勢するための弾性体である。支持弾性体82bは、一端が第2バー82に取り付けられ、他端が甲板10に取り付けられている。
【0079】
第2接触部82cは、第2バー82を押し上げる第1連動機構43と接触する。第2接触部82cは、第2バー82の本体から上方(+Y軸方向)へと延設されている。第2接触部82cは、-X側の上端の角に設けられた切欠き溝82c-1と、切欠き溝82c-1と連続した平坦な平面部82c-2と、が形成された直方体状に形成されている。
【0080】
第2連動機構83は、第2バー82を回動させる。第2連動機構83は、第2アーム83aと、第2ローラー83bと、支持バネ83cと、を有する。
【0081】
第2アーム83aは、第2引張機構73の第2先端部73aに取り付けられた矩形の板材である。第2アーム83aは、第2引張機構73の伸縮に伴って、X軸方向に往復運動する。
【0082】
第2ローラー83bは、第2アーム83aの+X側の端部に設けられた回転体である。第2ローラー83bは、第2アーム83aの往復運動に伴って、X軸方向に往復運動する。第2ローラー83bは、-X軸方向に移動したとき、切欠き溝82c-1に嵌まり、第2バー82が第3回転方向Cへ回動する。そして、第2ローラー83bは、+X軸方向に移動したとき、平面部82c-2を押し下げ、第2バー82を第4回転方向Dへ回動させる。
【0083】
以上、説明したように、本実施の形態に係る回転装置2では、第2の歯車60が、第2帯状部材本体71の第2回転方向Bへの回動のみに従動し、第2回転方向Bへと回転する。さらに、回転装置2では、第1引張機構33を作動させ、第2の歯車60を第2帯状部材本体71の第1回転方向Aへの回動のみに従動させ、第2回転方向Bへと回転させることができる。この回転装置2では、従来、一方方向への運動のみを回転運動に変換するために用いられるラチェットを用いることなく、一方方向への運動のみを回転運動に変換する。そのため、回転装置2は、スプロケットがラチェットとしても動作し、複雑な構造に起因した故障の発生率を抑制することができる。
【0084】
実施の形態3.
上記実施の形態1では、回転装置1は、ターンテーブルを回転させるために軸22を回転させる。さらに、回転装置は、軸22により回転し、第1の歯車20の回転が止まる停止位置を位置出しする回転盤50を備えてもよい。
【0085】
実施の形態3に係る回転装置3の回転盤50は、回転対象を取り付けられる円盤状の台である。回転盤50には、例えば、ターンテーブルが取り付けられている。しかしながら、これに限られない。回転盤50には、例えば、他の部品を従動させるための歯車が取り付けられてもよい。回転盤50は、甲板10の+Y側に延伸した軸22が中心を通るように設けられている。回転盤50は、第1の歯車20と同時に回転する。回転盤50は、第1の歯車20の回転が止まる停止位置を位置出しする。回転盤50の回転面には、
図7から
図9に示すように、切欠き歯51が形成されている。
【0086】
切欠き歯51は、第1の歯車20及び回転盤50が第2回転方向Bに回転することを止める。切欠き歯51は、第1回転方向Aの側の緩やかに傾斜した第5傾斜部51aと、第5傾斜部51aの上端と連続する第5上端部51bと、第5上端部51bと連続し、第5上端部51b及び第1回転方向Aに対して直角に形成された第5当接部51cと、を有する。
【0087】
第3ストッパ90は、第1の歯車20及び回転盤50が第2回転方向Bに回転することを止める。第3ストッパ90は、第3押さえ部材91を有する。
【0088】
第3押さえ部材91は、角柱状の先端が平坦な部材である。第3押さえ部材91は、第1の歯車20が第2回転方向Bへ回転しようとしたとき、回転盤50の切欠き歯51の第5当接部51cに当接して回転盤50の回転を止める。第3押さえ部材91は、弾性体により、回転盤50へと付勢される。第3押さえ部材91は、X軸方向から見て、第3押さえ部材91と第1ストッパ金具24との間のピッチが第5当接部51cと第1ストッパ金具24との間のピッチよりも僅かに小さくなる位置に設けられる。
【0089】
回転盤50が第1回転方向Aに向かって回転したとき、回転盤50へと付勢された第2ストッパ80の第2押さえ部材81は、回転盤50の回転面を滑って空転し、回転盤50の回転を停止させない。具体的には、第2押さえ部材81は、回転盤50が第1回転方向Aに向かって回転するとき、回転盤50の切欠き歯51の第5傾斜部51a及び第5上端部51b上を滑り、第5当接部51cに当接しない。そのため、第2押さえ部材81は、切欠き歯51と噛み合わず空転し、回転盤50の回転を停止させない。
【0090】
第3押さえ部材91は、第3押さえ部材91と第1ストッパ金具24との間のピッチが第5当接部51cと第1ストッパ金具24との間のピッチよりも僅かに小さいため、第1ストッパ金具24が第1ストッパ40に当たったとき、第5当接部51cを通り過ぎた位置にある。
【0091】
第1ストッパ40に当たった第1の歯車20は、反動で第2回転方向Bへ回転する。そして、第1の歯車20が第2回転方向Bに向かって回転すると、軸22が連動し、回転盤50が第2回転方向Bに向かって回転する。回転盤50が第2回転方向Bに向かって回転すると、第3ストッパ90の第3押さえ部材91が、回転盤50の切欠き歯51の第5当接部51cに当接し、切欠き歯51と噛み合う。そして、第1の歯車20及び回転盤50の第2回転方向Bへの回転が止められる。そのため、回転装置3では、第1ストッパ40に当たった第1の歯車20の反動による第2回転方向Bへの回転が抑制され、第1の歯車20及び回転盤50の位置出しをすることができる。
【0092】
以上、説明したように、本実施の形態に係る回転装置3では、回転した第1の歯車20の停止位置が、回転盤50の切欠き歯51により位置出しされるため、第1の歯車20は、第2回転方向Bへ回転しない。そのため、第1の歯車20は、第1帯状部材31の第1回転方向Aへの回動のみに従動し、第1回転方向Aへと回転する。この回転装置3では、従来、一方方向への運動のみを回転運動に変換するために用いられるラチェットを用いることなく、一方方向への運動のみを回転運動に変換する。そのため、回転装置2は、スプロケットがラチェットとしても動作し、複雑な構造に起因した故障の発生率を抑制することができる。
【0093】
上記実施の形態では、第1ストッパ40は、第1引張機構33の伸縮と連動して回動する。これに限らず、第1ストッパ40は、第1の歯車20の回転を止めるために、回動ことができればよい。例えば、第1ストッパ40は、モータにより回動してもよい。
【0094】
上記実施の形態では、第1帯状部材31の第1係止部材31aが、第1ストッパ40の第1歯23及び第2歯26とかみ合う。これに限らず、第1帯状部材31が、第1ストッパ40の第1歯23及び第2歯26とかみ合う係止部材を有していればよい。例えば、第1帯状部材31に外付けの爪を取り付け、外付けの爪が第1歯23及び第2歯26とかみ合ってもよい。
【0095】
上記実施の形態2では、第2の歯車60が、第2回転方向へ回転するように設けられている。これに限らず、第2の歯車60が、第1回転方向へ回転するように設けられていてもよい。第2の歯車60が、第1の歯車20と同じ第1回転方向へ回転することにより、回転盤50をより強いトルクで回転させることができる。
【0096】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0097】
1,2,3 回転装置
10 甲板
20 第1の歯車
21 第1の歯車本体
22 軸
23 第1歯
23a 第1傾斜部
23b 第1上端部
23c 第1当接部
24 第1ストッパ金具
24a 取り付け部
25 第1円筒部
26 第2歯
26a 第2傾斜部
26b 第2上端部
26c 第2当接部
30 第1伝動機構
31 第1帯状部材
31a 第1係止部材
31b 端部
32 第1弾性体
33 第1引張機構
33a 第1先端部
33b 第1ロッド
33c 第1ピストン
40 第1ストッパ
41 第1押さえ部材
42 第1バー
42a 第1支点
42b 第1接触部
42b-1 切欠き溝
42b-2 平面部
43 第1連動機構
43a 第1アーム
43b 第1ローラー
50 回転盤
51 切欠き歯
51a 第5傾斜部
51b 第5上端部
51c 第5当接部
60 第2の歯車
61 第2の歯車本体
62 第3歯
62a 第3傾斜部
62b 第3上端部
62c 第3当接部
63 第2ストッパ金具
64 第2円筒部
65 第4歯
65a 第4傾斜部
65b 第4上端部
65c 第4当接部
70 第2伝動機構
71 第2帯状部材本体
71a 第2係止部材
72 第2弾性体
73 第2引張機構
73a 第2先端部
73b 第2ロッド
73c 第2ピストン
80 第2ストッパ
81 第2押さえ部材
82 第2バー
82a 第2支点
82b 支持弾性体
82c 第2接触部
82c-1 切欠き溝
82c-2 平面部
83 第2連動機構
83a 第2アーム
83b 第2ローラー
83c 支持バネ
90 第3ストッパ
91 第3押さえ部材
A 第1回転方向
B 第2回転方向
C 第3回転方向
D 第4回転方向
G 固定台
【要約】
【課題】 故障の発生率を抑制することができる回転装置を提供する。
【解決手段】 第1の歯車20を備える回転装置1を、正逆回転する第1の歯車本体21と、第1の歯車本体21の外周面に斜設された第1の歯部と、前記第1の歯車本体の正逆回転を停止させる複数の第1ストッパ金具と、で構成し、前記斜設は、前記第1の歯車本体の正回転方向側に向かった下がり傾斜に設けることを特徴とする。
【選択図】
図2