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特許7466956ロックを備えた二段階式振動減衰建築接続部材
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】ロックを備えた二段階式振動減衰建築接続部材
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/02 20060101AFI20240408BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20240408BHJP
   F16F 15/04 20060101ALI20240408BHJP
   F16F 7/12 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
E04H9/02 351
E04H9/02 321B
F16F15/02 S
F16F15/02 Z
F16F15/04 A
F16F7/12
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022560489
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(86)【国際出願番号】 CA2021050441
(87)【国際公開番号】W WO2021195779
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】16/840,370
(32)【優先日】2020-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522390098
【氏名又は名称】キネティカ ダイナミクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】KINETICA DYNAMICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100207837
【弁理士】
【氏名又は名称】小松原 寿美
(72)【発明者】
【氏名】モンゴメリー、マイケル スチュワート
(72)【発明者】
【氏名】クリストポロス、コンスタンティン
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-507577(JP,A)
【文献】特開2012-225411(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0136667(KR,A)
【文献】中国実用新案第207659848(CN,U)
【文献】特表2009-513898(JP,A)
【文献】特表2013-506066(JP,A)
【文献】特開2018-131753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/02
F16F 15/00 -15/36
F16F 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面から延在する第1の要素および第2の要素を有している建築構造物であって、第1の要素が接続部材によって第2の要素に接続されており、
前記接続部材が、
前記第1の要素に接続される第1の接続要素、および、前記第2の要素に接続される第2の接続要素と、
前記建築構造物の振動を減衰させる制振要素と、を有し、
前記制振要素が、第1の組および第2の組の板を有し、前記制振要素の前記第1の組の板は前記第1の接続要素に接続されており、前記制振要素の前記第2の組の板は前記第2の接続要素に接続されており、
前記第1の組の板は、板と板との間に制振材料が配置されることにより、前記第2の組の板と相互嵌合しており
前記接続部材は前記第1の接続要素にある複数のスロットと、前記第2の接続要素に接続されたカバープレートにある複数のボルト穴とを有し、対応する前記ボルト穴および前記スロットをボルトが貫通しており、
前記各ボルトは、前記制振材料のせん断変形の増大に応じて対応するスロットの長さに沿って変位可能であり、最大変位において、前記制振材料のせん断変形のさらなる増大を防ぐために、前記ボルトが対応する前記スロットの内壁に係合して前記制振材料のせん断変形のさらなる増大を防止する、
建築構造物。
【請求項2】
前記制振材料が粘弾性材料を備え
請求項1に記載の建築構造物。
【請求項3】
前記制振要素の上面に取り付けられた静剛性増大構造部材をさらに備える
請求項1または2に記載の建築構造物。
【請求項4】
前記静剛性増大構造部材が鋼板を備える、
請求項に記載の建築構造物。
【請求項5】
第1のヒューズ部材および第2のヒューズ部材の少なくとも一方が、
前記制振要素の第1の端部および第2の端部の少なくとも一方にそれぞれ接合されており、かつ、
所定の限界荷重未満の荷重によって前記制振要素がせん断変形するときには半剛体の挙動をとり、荷重が前記所定の限界荷重に達したときには変形するように、前記ヒューズ部材の材料、他のサイズおよび寸法が設定されていることによって、前記所定の限界荷重を超える荷重によって前記制振要素が変形することが防止されている
請求項1~のうち何れか一項に記載の建築構造物。
【請求項6】
前記各スロットは、前記制振要素のせん断荷重の方向に平行に延びるとともに前記制振要素の長手方向軸に垂直に延びる直線部を含む、
請求項1~5のうち何れか一項に記載の建築構造物。
【請求項7】
建築構造物に加えられる横方向の荷重によって生じる振動を減衰させるために建築構造物に設置するための組立体であって、前記組立体は、
前記組立体を前記建築構造物の第1の要素に接続するための第1の接続要素と、
前記組立体を前記建築構造物の第2の要素に接続するための第2の接続要素と、
制振要素と、
を備え、
前記制振要素が、第1の組および第2の組の板を有し、前記制振要素の前記第1の組の板は前記第1の接続要素に接続されており、前記制振要素の前記第2の組の板は前記第2の接続要素に接続されており、
前記第1の組の板は、板と板との間に制振材料が配置されることにより、前記第2の組の板と相互嵌合しており、
前記組立体は、前記第1の接続要素にある複数のスロットと、前記第2の接続要素に接続されたカバープレートにある複数のボルト穴とを有し、対応する前記ボルト穴および前記スロットをボルトが貫通しており、
前記各ボルトは、前記制振材料のせん断変形の増大に応じて対応するスロットの長さに沿って変位可能であり、最大変位において、前記ボルトが対応する前記スロットの内壁に係合して前記制振材料のせん断変形のさらなる増大を防止する、
組立体。
【請求項8】
前記制振材料が粘弾性材料である
請求項に記載の組立体
【請求項9】
前記各スロットは、前記制振要素のせん断荷重の予想される方向に平行に延びるとともに前記制振要素の長手方向軸に垂直に延びる直線部を含む、
請求項7または8に記載の組立体。
【請求項10】
前記制振要素の上面に取り付けられた静剛性増大構造部材をさらに備える、
請求項7~9のうち何れか一項に記載の組立体。
【請求項11】
前記静剛性増大構造部材が鋼板を備える、
請求項10に記載の組立体。
【請求項12】
第1のヒューズ部材および第2のヒューズ部材の少なくとも一方が、
前記制振要素の第1の端部および第2の端部の少なくとも一方にそれぞれ接合されており、かつ、
所定の限界荷重未満の荷重によって前記制振要素がせん断変形するときには半剛体の挙動をとり、荷重が前記所定の限界荷重に達したときには変形するように、前記ヒューズ部材の材料、他のサイズおよび寸法が設定されていることによって、前記所定の限界荷重を超える荷重によって前記制振要素が変形することが防止されている、
請求項7~11のうち何れか一項に記載の組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、建築構造物の分野に関し、より詳細には、建築構造物で使用される振動減衰機構であって、好適には、損傷軽減ロックを備えた二段階制振機能を有する振動減衰機構に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート耐震壁、鉄骨ブレース架構、鉄骨もしくは鉄筋コンクリートのラーメン架構、またはそれらの組み合わせなど、典型的な構造物構成要素を使用する現代の建築物は、固有の制振特性が低い。こうした固有の制振特性は、建築物の高さが高くなると共に低くなる。固有の制振が低いので、特に高層建築物は、動荷重によって生じる過剰な振動に影響を受けやすい傾向がある。過剰な加速度およびねじれ速度により入居者を不快にさせる恐れがあり、過剰な変位により非構造要素および構造要素に損傷を与える恐れがある。そのため、こうした過剰な振動を制御し動荷重に対する建築物全体の反応を低減させる制振源をさらに設けることが有利である。これらの動荷重は、風荷重による動荷重も地震荷重による動荷重も含むことができる。
【0003】
こうした構造物の変位、速度、および加速度を制御するための、現在利用可能なシステムには、補助的ダンパおよび振動吸収装置などのパッシブシステム、ならびにアクティブシステムがある。
【0004】
ヒステリシスダンパ、粘性ダンパ、および粘弾性ダンパなどの補助的パッシブダンパが、現在、典型的なブレース構成で使用され、軸方向の変形下で作動する。こうしたパッシブダンパは、典型的なブレース構成下でブレース要素が軸方向の大きな変形を受ける一部の構造上の構成に制振を付加するのには効果的であるが、事実上こうしたダンパを作動させるために、横方向の一次変形モードが、典型的なブレース要素の軸方向の変形を引き起こさない高層建築物に通常使用される構造システムなど、他の構造システムにはあまり効果的ではない。ダンパを作動させるのに十分な程度に変形を増大させるために、変位を増幅するトグルブレースまたはシザーブレースを使用する特別な構成が使用されている。
【0005】
同調質量ダンパ(TMD)および同調液体ダンパ(TLD)などの振動吸収装置もまた、風荷重の間にこうした構造物の撓み、速度、および加速度を低減させるために使用される。そうした振動吸収装置は、典型的には、効果を最大限に高めるために建築物の最上階に挿入された機械式振動システムから構成される。これは、設計および構築が高価であることに加えて、建築物内で最も価値のある不動産の一部を使用するという欠点を有する。これらはまた、単一の振動モードに同調させなければならないので、限られた振動数範囲内で作用する。
【0006】
アクティブシステムには、外部動力源、作動力、ならびに大規模なハードウェア制御システムおよびソフトウェア制御システムが必要である。その結果、アクティブシステムは、設計および実装が高価であり、制御システムの電源異常または停電の影響を受けやすい。
【0007】
上記で特定した現行のシステムに関する問題に対する解決策の一つが、2006年6月16日出願の国際出願PCT/CA2006/000985号明細書「Fork Configuration Dampers and Method of Using Same」(特許文献1)で提案されている。その出願のシステムは、互いに対する相対移動を受ける構造物の2つの要素を相互接合する建築物の制振システムの構成を提示している。特許文献1の制振システムは、横方向の荷重に抵抗するように設けられた概して鉛直に延在する第1の構造要素に固定された第1の組の板と、横方向の荷重に抵抗するように設けられた概して鉛直に延在する第2の構造要素に固定された第2の組の板を開示している。その鉛直に延在する構造要素は、例えば、壁、柱、架構、または建築物内の他の鉛直要素でよい。第1の組および第2の組の板はそれぞれ、略平行に離間した複数の板要素を備え、その板要素は、第1の組の板の板要素が第2の組の板の板要素と相互嵌合するように配置されている。第1の組の板を第2の組の板に接続するために制振材料が設けられている。このようにして、建築物に横方向の荷重が加えられることで、鉛直に延在する構造要素が互いに対する相対移動を受け、第1の組および第2の組の板は、鉛直にせん断運動して変位し、互いに対する板の変位に抵抗するエネルギー分散材料によって構造物の振動を減衰させるように作用する。
【0008】
2012年1月11日出願の国際出願PCT/CA2012/050013号明細書「Coupling Member for Damping Vibrations in Building Structures」(特許文献2)には、特許文献1の改良技術が提案されている。本技術では、制振部材の損傷を避けるために、損傷軽減ヒューズ要素が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第2007/048217号
【文献】国際公開第2012/094756号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、ヒューズは構造要素自体に変更を加える必要があり、施工にはいくつかの制限がある。主要な構造部材自体以外の要素に損傷軽減機能を設けることが有益である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、地面から延在する複数の要素を有している建築構造物であって、要素のうちの少なくとも第1の要素が、接続部材によって要素のうちの第2の要素に接続されており、接続部材が、建築構造物の振動を減衰させる制振要素と、相対移動が、制振要素に損傷が生じる最大変位を超えたときに制振要素の変形を抑制する手段と、を備えている建築構造物が記載されている。
【0012】
本発明の一態様においては、制振要素が、2枚以上の板からなる第1の組と、2枚以上の板からなる第2の組とを有し、第1の組の板が第2の組の板と相互嵌合しており、地面に略平行または垂直な方向において互いから離間しており、各組の各板の間に制振材料が配設されており、変形を抑制する手段が、接続部材の接続要素にある複数のスロットと、カバープレートにある複数のボルト穴とを有し、対応するボルト穴およびスロットをボルトが貫通しており、通常動作においては、ボルトがスロット内を自由に移動し、相対移動が最大変位を超えると、制振材料がさらに変形することを防ぐためにボルトがスロットの壁と係合する。
【0013】
本発明の一態様においては、制振材料が粘弾性材料を備え、各組の各板が前記制振材料の抵抗下で鉛直方向に変位するにつれて前記制振要素にせん断変形が生じることによって制振要素が振動を減衰させる。
【0014】
本発明の一態様においては、スロットおよびボルトのサイズおよびその他の寸法が、最大変位に基づいて設定されている。
本発明の一態様においては、制振要素の上面に取り付けられた静剛性増大構造部材が設けられている。
【0015】
本発明の一態様においては、静剛性増大部材が鋼板から構成される。
本発明の一態様においては、第1のヒューズ部材および第2のヒューズ部材の少なくとも一方が、制振要素の第1の端部および第2の端部の少なくとも一方にそれぞれ接合されている。
【0016】
本発明の一態様においては、ヒューズ部材が、所定の限界荷重未満の荷重によって制振要素が変形するときには半剛体の挙動をとり、荷重が所定の限界荷重に達したときには変形するように、ヒューズ部材の材料、他のサイズおよび寸法が設定されていることによって、所定の限界荷重を超える荷重によって制振要素が変形することが防止されている。
【0017】
本発明の一態様においては、制振要素が、2枚以上の板からなる第1の組と、2枚以上の板からなる第2の組とを有し、第1の組の板が第2の組の板と相互嵌合しており、地面に略平行または垂直な方向において互いから離間しており、各組の各板の間に制振材料が配設されており、変形を抑制する手段が、制振材料がさらに変形することを防止する、接続鋼要素のフランジ突出部をさらに有している。
【0018】
本発明の一態様においては、制振要素が、2枚以上の板からなる第1の組と、2枚以上の板からなる第2の組とを有し、第1の組の板が第2の組の板と相互嵌合しており、地面に略平行または垂直な方向において互いから離間しており、各組の各板の間に制振材料が配設されており、変形を抑制する手段が、制振材料がさらに変形することを防止するひずみ抑制ストラップを有している。
【0019】
次に、添付の図を参照しながら一例としていくつかの実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】建築構造物で使用する従来技術の制振要素の斜視図である。
図2A従来技術の接続部材を示す正面図である。
図2B従来技術の接続部材を示す底面図である。
図2C図2Aおよび図2B従来技術の接続要素の斜視図である。
図2D】任意選択の静剛性増大部材を含む、図2Aおよび図2B従来技術の接続部材の正面図である。
図3A従来技術の接続部材を示す正面図である。
図3B従来技術の接続部材を示す底面図である。
図4A従来技術の接続部材を示す正面図である。
図4B従来技術の接続部材を示す底面図である。
図5A従来技術の接続部材を示す正面図である。
図5B従来技術の接続部材を示す底面図である。
図6ウトリガ建築物構成を示す。
図7】本発明の実施形態を適用できる建築構造物を示す。
図8発明の一実施形態による接続部材の正面図である。
図9】損傷事象に起因してロックが開始した状態における、本発明の一実施形態によるスロットおよびボルトを含む接続部材の正面図である。
図10】損傷事象に起因して両方の端部がロックされた状態における、本発明の一実施形態によるスロットおよびボルトを含む接続部材の正面図である。
図11】本発明の実施形態を適用可能な建築構造物を示す。
図12図11の1つの接続部材の詳細図である。
図13】本発明の実施形態を適用可能な別の建築構造物を示す。
図14図13の1つの接続部材の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
その内容が参照により本明細書に援用される、本出願人の先行の2006年6月16日出願の国際出願PCT/CA2006/000985号明細書「Fork Configuration Dampers and Method of Using Same」において、図1に示す制振要素を含む建築構造物で使用するための制振システムが開示されている。図示のように、制振要素10は、地面に略平行な方向に互いに離間した2枚以上の板20を2組14、16と、それらの組の板のうちの各板20の間に配設された制振材料30とを含む。実際には、その組の板は、互いに嵌合しており、建築構造物の鉛直要素50に剛接合された端部40を有する。鉛直要素50は、建築構造物に加えられる横方向の荷重に抵抗し、有意な荷重が加えられたときに互いに対して移動する。複数の板20、およびそれらの間に配設された制振材料30は、鉛直要素50が互いに対して移動するときにせん断変形を受け、したがって、鋼板20が互いに移動するときに、制振材料のおかげで、建築構造物の制振が行われる。制振材料は、好ましくは粘弾性材料である
【0022】
前述のPCT/CA2012/050013には、極度の負荷条件に対する追加のフェールセーフ機構が記載されている。当該文献では、減衰システムは、第2の制振段階として機能するとともに、制振要素に接合されたヒューズ部材を1つまたは複数提供する。以下により詳細に説明するように、ヒューズ部材の設計、サイズ設定、および別の寸法設定は、所定の限界荷重未満の横方向の荷重によって制振要素が変形を受けるときは、半剛体の挙動をとり、横方向の荷重が前記所定の限界荷重を超えるときは、ヒューズおよび制振要素によって担持される荷重を実質的に増大させずに変形を受けて、前記制振要素が事前に定義した変形限界を超えて変形するのを防止するようになっている。この説明では、横方向の荷重がこの文脈の所定の限界荷重を超えるときにヒューズが作動すると述べている。ヒューズは、構造の制振機能における第2の段階に相当する。
【0023】
所定の限界荷重は、好ましくは、それよりも低いと損傷事象が起こる限界荷重が選択される。実際には、建築構造物に加えられる横方向の荷重は、鉛直要素によって抵抗される。こうした横方向の荷重により、鉛直要素間で接続部材として作用する制振システムに変形、特にせん断変形が生じる。制振システムの所与の荷重において、制振システムのせん断変形または他の変形により損傷事象が起こる。本願においては、損傷事象は、現場で修理できない永続的な、またはほぼ永続的な、もしくは同様の損傷を制振要素に引き起こす事象か、あるいは構造物の制振を行う際に制振システムを非効率にする事象として定義される。好ましくは、損傷事象は、制振材料の裂損、制振材料がそれに接合される板からの制振材料の剥離、制振要素の一部を形成する板の不具合、制振要素の要素を接合する手段の不具合、制振要素もしくは柱要素の溶接接合の不具合、接続部材の接合手段の不具合、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数である。他の損傷事象または不具合モードも企図され、それには、ダンパがそれに取り付けられた鉛直要素の不具合が含まれるがそれに限定されるものではない。したがって、ヒューズ部材は、本明細書で説明するように、所定の作動荷重に達した後で、ヒューズ部材および/または制振要素によって担持される荷重を実質的に増加させずに変形を受け、それにより、予期される損傷事象の全てから接続部材が保護される。
【0024】
ヒューズ部材を実装するために、1つまたは複数の梁部材が平行に接合され、その梁部材は、協働して所定の限界荷重未満のレベルで負荷をかけられるときは半剛体の挙動をとる。任意選択で、梁部材はさらに、高い荷重条件の間に梁部材を安定させるスチフナを含む
【0025】
次に図2A図2B、および図2Cを参照すると、地面(図示せず)から鉛直に延在する複数の鉛直要素のうちの2つである第1の鉛直要素205および第2の鉛直要素210の断面が示された従来技術の一実施形態が示されている。本願においては、用語「鉛直の(vertical)」および「鉛直に(vertically)」が建築構造物に対して通常の意味で用いられ、すなわち、地面に概して垂直(perpendicular)の方向であることが理解されよう。さらに、用語「水平に(horizontally)」が用いられるときは、これは地面に概して平行な方向を指す。接続部材215が第1の鉛直要素205を第2の鉛直要素210に接続する。接続部材215は、本明細書で開示するように、建築構造物で従来から使用されている剛体の接続部材を交換するかまたはその代わりに使用するように動作可能である。
【0026】
接続部材215は、好ましくは、制振要素225を含み、その制振要素225は、建築構造物に加えられる横方向の荷重による第1の鉛直要素205と第2の鉛直要素210との間の相対移動に起因する建築構造物の振動を減衰させる。制振要素225の例示的な実施形態を次に説明する。制振要素の特定の実装形態に関わらず、制振要素は、設計の制約および動作中に典型的に予期される荷重に従って決定される損傷事象限界を有する。その荷重により、鉛直要素205と210との間の相対移動によって制振要素が変形する。建築構造物に加えられる荷重が増大することで制振要素の荷重レベルが所定の限界に達すると、制振要素は、以下に説明するようなヒューズ部材がないと、永久に変形するか、損傷するか、または使用に不適切な他の状態になる。それにより、後続の負荷サイクルにとって制振要素が効果的でなくなることになる。
【0027】
こうした問題に対処するために、制振要素225の第1の端部240および第2の端部250にそれぞれ任意選択の第1のヒューズ部材220および第2のヒューズ部材230が接合される。ヒューズ部材220、230の材料の選択、ならびに別のサイズ設定、および別の寸法設定は、所定の限界荷重未満の荷重によって制振要素225が変形を受けるときは、半剛体の挙動をとり、荷重が所定の限界荷重に達したときは、ヒューズおよび制振要素225によって担持される荷重を実質的に増大させずに作動し、したがって、変形を受け、それにより、所定の限界荷重を超える荷重によって制振要素225が変形することが防止されるようになっている。上記で説明したように、所定の限界荷重は、損傷事象がそのときに起こる荷重であり、その荷重により、いくつもの要因に基づいて制振要素225の継続使用が不適切になる。
【0028】
第1のヒューズ部材220を第1の鉛直要素205に接合するために第1の接合部材260が設けられ、同様に、第2のヒューズ部材230を第2の鉛直要素210に接合するために第2の接合部材270が設けられる。接合部材260、270は、好ましくは、鉛直要素205、210との半剛体に接合して、接合部材260、270における曲げモーメントによって生じる、ヒューズが作動する前の可能な移動が完全に妨げられる。
【0029】
ヒューズ部材220、230は、好ましくは、梁部分280、および任意選択で、スチフナ部分290を含む。スチフナ部分290の設計、サイズ設定、および別の寸法設定は、梁部分280に機能的に接合され、鉛直要素に加えられる荷重が所定の荷重に達するときは梁部分280に安定させるような支持を行うようになっている。したがって、ヒューズ部材220、230が作動しているときは、スチフナ部分290は、ヒューズ部材220、230自体がさらに変形できるように作用する。これは、ヒューズおよび制振要素によって担持される荷重を実質的に増大させることなしに起こる。
【0030】
図示の実施形態では、スチフナ部分290は、梁部分280に接合された補強部材290とすることができ、加えられる横方向の荷重が所定の荷重に達し、かつ/または、それを超えるときは、スチフナ部分290が屈曲しながら梁部分280の座屈に対する安定性をもたらすように、地面に平行に配置することができる。明確にすると、明細書および特許請求の範囲全体を通して、加えられる荷重が所定の荷重に達することを述べており、その所定の荷重は、その値未満の荷重では制振要素またはそれに関連する接合部には、制振要素を使用するのに不適切にする損傷事象が生じない荷重である。企図される損傷のタイプを上記で論じたが、それに限定されるものではない。
【0031】
制振要素225は、好ましくは、水平方向に離間した少なくとも2枚の、より好ましくは、複数枚の板を有する、2組の板212、213を含む。その組の板212、213は、相互嵌合しており、その組の板の半分が重なっている重なり領域214を有する。その重なり領域214では、図示のように板の各側で各板に固定された、制振材料216、好ましくは、粘弾性材料が設けられている。重なり領域214の各側では、接合手段218が、その組の板を一緒に保持し、制振材料216を重なり領域214において圧縮状態に保持する。図示のように、接合手段218は好ましくはボルトである。
【0032】
図2Dに示すように、任意選択の静剛性増大部材232を、それらの組の板212、213の上面234に取り付けることができる。好ましい実施形態では、剛性増加部材232はプレートであり、好ましくは鋼板である。他の静剛性増大部材232も企図され、それには、説明したような所望の機能を実行できる山形断面、「u」字形断面、および他の部材が含まれるがそれに限定されるものではない。動作の際には、板部材232は、制振要素215の静剛性を増大させるように働く。好ましい実施形態では、板232はダンパの静剛性を付加して、横方向の動荷重も一緒になって加えられる建築物への風圧によって生じる横方向の静荷重下では、構造物は剛性が高まり変形をあまり受けない。
【0033】
本明細書で説明する構造形態の静剛性増大部材232を、接続部材の上部および/または底部に接合することができる。部材232の一方の側は好ましくは接続要素の1つに接続され、構造要素の他方の側は他の接続要素に接続される。明確にすると、部材232は、粘弾性材料に接着した板の組212、213には接合されていない。別の実施形態では、部材232は、鉛直要素または壁に少しの距離だけ上および下にそれぞれ直接埋め込むことができるが、ダンパ要素には接合されない。動作の際には、これにより、やはり静荷重下での接続効果が向上する。さらに、静剛性増大部材232の設置によって構造物全体の剛性が増大すると、やはり構造物の振動周期が全体として短縮され、これにより、構造物への風荷重の動的な影響が減少する。
【0034】
次に、ヒューズ部材の他の様々な実装形態を説明する。図2に関して説明し図示してきた要素に直接対応する要素は、百の位にはそれぞれの図番号と同様に番号を付けたが、特定の態様、変形形態、または実施形態を説明する必要がある限りを除いてさらに詳細には説明しない。
【0035】
次に図3Aおよび図3Bを参照すると、梁部分380およびスチフナ部分390から構成されたヒューズ部材320および330が示されている。この実施形態では、スチフナ部分390は、少なくとも1つの、好ましくは、複数の補強部材390であり、その補強部材390は、ヒューズのフランジの間でウェブに接合されており、加えられる横方向の荷重が所定の荷重を超えるときにスチフナ部分390がヒューズ要素の座屈に対する安定性をもたらすように、鉛直要素305、310に平行に配置されている。
【0036】
次に図4Aおよび図4Bを参照すると、ヒューズ部材420および430が示されている。ヒューズ部材420および430は、ダンパ内の板の組から延在する板に接合手段490によってクランプ留めされた(または別法で取り付けられた)半剛体の板480から構成される。図示のように、接合手段490は、半剛体の板480に対して板が滑動するのを防止するボルトである。所定の摩擦力の限界に達すると、板は滑動し、半剛体の板は互いに対して移動する。したがって、この実施形態のヒューズは、ボルト接合部の滑動によって作動し、したがって、そのボルト接合部自体がこの実施形態のヒューズ機構を形成する。ボルトの水平移動または回転移動は、傾斜した接合部分による接合によって実現することができる。
【0037】
次に図5Aおよび図5Bを参照すると、ヒューズ部材520および530が鉛直要素505、510内に埋め込まれたダクト590中を通り端板コネクタ560に取り付けられた軸方向力制限部材595から構成されている、別従来技術の実施形態が示されている。動作の際には、軸方向力制限部材595は、事前に定義した限界荷重に達するときにダンパに伝達される軸方向力をする。部材595が軸方向に降伏すると、制振システムに与えられる荷重を制限することが可能になる。
【0038】
上記で説明した様々なヒューズ部材を鉛直要素に接合する様々な手段が企図される。好都合なことに、一部の実施形態では、以下のそれぞれの説明で明らかになるように、接合手段は、好ましくは、事前に定義した力の限界に達することによって力制限部材が作動する、上昇した荷重の後に接続部材の部分的または全体的な取り外し、修理、および/または交換を可能にするために設けられる。
【0039】
例えば、図6を参照すると、アウトリガ式建築物構成が示されており、その構成では、建築物の中心の鉛直面610が、離間した外側の鉛直要素605を複数有し、したがって、接続部材615によって外側の鉛直要素605それぞれが建築物の中心の鉛直面610に隣接している。その建築構造物の様々な床620も示す。接続部材615が概略的にのみ示されており、図2から図5に関して説明したような接続部材のいずれかとすることもできることが明らかになるであろう。さらに、鉛直面605、610を接続する接合手段は、本明細書で説明する通りでよい。図7に、接続部材725を用いて建築構造物の2つの鉛直面705、710を接合する、概略的な実装形態を示す。
【0040】
本出願に記載された改良は、前述のPCT国際特許出願(PCT/CA2006/000985および/またはPCT/CA2012/050013)に記載されたシステムに適用されるのが好ましいが、建築構造物で使用される他の制振システム、具体的には、横方向の荷重による振動が対象の建築構造物に加えられる高層建築構造物にも適用されることもできる。図8に、ヒューズ要素の有無を問わず上記従来技術の実施形態のいずれにも適用可能な、本発明の好適な実施形態800を示す。図8は、ロック前の状態における、本発明の一実施形態によるスロットおよびボルトを含む接続部材の正面図である。接続部材は、柱810のような鉛直要素に接続される接続要素880,882を含む。これらの接続要素880,882は、図2A図3Bに示される梁280,380または図4Aおよび図4Bに示される板480と同様の鋼製の梁または板であってもよく、図2A図3Bのスチフナ部分290,390と同様のスチフナ884を含んでもよい。明確にすると、制振要素(例えば、図2Aの制振要素225)は示されていないが、当業者であれば、図2A図2Dと同様に、これは、少なくとも2枚の板を有する2組の板を含む制振要素であってもよいことがわかるであろうし、より好適には複数の板は水平方向に離間していてもよい。各組の板は相互嵌合しており、各組の板の半分の部分が重なっている重なり領域を有している。重なり領域には、例えば図2B図示するように各板の両側において各板に固定された制振材料、好ましくは、粘弾性材料が設けられている。重なり領域の両側では、接合手段が、各組の板を一緒に保持し、制振材料を重なり領域において圧縮状態に保持する。図示のように、接合手段は、集合的に822および824として示されるボルト穴によってもたらされている
【0042】
本発明の例示的実施形態では、複数のスロット818およびスロット内を延びる複数のボルト820によって、損傷が制御されるか、または、ダンパが永久変形点を超えて変形することが防止される。図8から分かるように、複数のスロット818は複数の接続要素880のうちの1つに設けられている。図2A図5Bと比較すると、複数のスロット818は、概して、相互嵌合された複数の板と粘弾性材料と含む制振要素の重なり領域と同じ領域に設けられていることが分かる。ボルト820が通る穴が、接続要素880の前側および後側、したがってダンパの重なり領域の後のカバープレート816に設けられている。カバープレート816は、図示しないダンパを保持する接続手段824を有する板とも位置合わせされ、したがって、接続手段824によって第2の接続要素882に固定される。通常動作時には、ダンパの粘弾性部材は自由に変形し、本明細書および背景技術に記載した2つの国際出願に記載されているように振動を減衰させる。
【0043】
図9および10に、地震等によって極度の荷重が構造物にかかった状態の接続部材(それぞれ900,1000)の正面図および背面図を示す。ロック機能が見えるように、ここでもダンパは図示されていない。粘弾性部材には、複数のボルト820がそれぞれのスロット818の内壁と係合する位置に変位するまで最大変位が生じる。この時点で、ダンパおよび粘弾性材料がさらに変形することが防止され、力は複数のスロット818を有する鋼板からボルト820およびカバープレート816を介して接続部材自体に伝達される。このようにして、ダンパの致命的な損傷が抑制される。粘弾性接続ダンパが鉛直方向に配置された場合は、複数のスロット818はVCDに対して垂直に延び、複数のボルト820は鉛直方向に移動する(図1参照)。粘弾性接続ダンパが水平方向に配置された場合は、複数のスロット818はVCDに対して垂直に延び、複数のボルト820は水平方向に移動する。また、スロットのサイズは、建築構造物の要求事項に合わせて変更可能である。もし、建築構造物が、低振幅地震が発生する可能性のある地域(低リスク)に建てられる場合は、スロットのサイズを小さく抑えることができる。別の例では、建築構造物が、高振幅地震の発生確率の高い、地震リスクの高い地域に建てられる場合、スロットのサイズをより長くしてもよい。複数のボルト820が各スロット818内で(接続部材に対して)鉛直方向に移動することによって、構造の損傷を防止できる。隙間926,1026によって、ある程度の変形が生じたことが示されている。図10では、制振要素(図示略)は損傷事象限界に達しており、ロック状態にある。ヒューズも使用される実施形態においては、ロック状態に到達した後は、制振要素がさらに変形することを防ぐために、ヒューズ812および814が変形する。図において誇張して示されているように、カバープレート816は接続要素880に対して鉛直方向に最大量まで変位している。
【0044】
上記で説明したように、本発明は、建築構造物の2つの鉛直要素を接続する接続部材に関するものであるが、本明細書に記載の接続部材は、横方向の荷重に起因する振動を減衰させる必要がある様々な用途において使用または適用可能である。このため、本明細書で用いられる鉛直要素という用語は、建築構造物に加えられる横方向の荷重に対して支持をもたらすあらゆる種類の構造要素を含むと広く解釈されるものである。本明細書で開示する鉛直要素は、様々な種類の建築構造物において有益である。
実施例
地震時の建物の挙動は、剛性、適切な横方向の強度および延性、単純かつ規則的な構造等、複数の要因によって決まる。低層、高層、鉄筋コンクリート構造等の建築構造物の種類に応じて、建築構造物の異なる場所(鉛直方向または水平方向)に配置された粘弾性接続ダンパが使用される。また、異なる配置においてロック試験を行った。ロック試験は、アクチュエータによって1000kN~2000kNのせん断力を加えて行った。ロック試験において、建築構造物の粘弾性接続ダンパに50mm~150mmの変位が発生した。せん断力の増加に伴い、せん断変位が増加することがVCDヒステリシスグラフに示された。
実施例1
図11に、本発明の実施形態を鉛直方向の配置にて適用可能な建築構造物1110を示す。2つのフロアの間に粘弾性接続部材800が配置されている(ロック状態が見えるようにダンパは図示されていない)。この特定の配置は、低層の建築構造物または鉄筋コンクリートの建物のいずれにおいても有益である。地震が発生した場合や風が吹き付けた場合は、力と変位とは常に垂直位置に発生する。図11に示す配置では、力は地面と平行な方向に発生し、変位は力の方向に垂直に発生する。
【0045】
図12は、図11の2つのフロアの詳細図であり、符号は図8に関する上記記載と同様である。
実施例2
図13および14に示される本発明の別の実施形態では、粘弾性接続部材は、建築構造物に対して水平に配置される。ここでも、ダンパは図示されていない。この配置では、粘弾性接続部材は梁構造として配置可能であり、つまり、2つの梁部分の間に配置される。別の構成では、粘弾性接続部材は、建築構造物とアウトリガ式の柱(建築構造物を支持するために使用される)との間に配置されるアウトリガ構造として配置される。この特定の配置は、高層の建築構造物において有益である。力は地面と垂直な方向に発生し、変位は力の方向に垂直に発生する。つまり、建築構造物または粘弾性接続部材は水平方向に移動する。
【0046】
本発明はまた、本発明の様々な実施形態のいずれか一つによる接続部材を提供し建築構造物の2つの鉛直要素を接続部材で剛接合することによって、本明細書でここまでに説明したような建築構造物の鉛直要素を接合する方法も提供する。
【0047】
本発明を様々な制振部材を用いて実装できるが、好ましい実施形態に関して説明した制振部材の組み合わせに関して驚くべき結果を見出しており、高いせん断力またはモーメントによる制振部材の永続的な変形のリスクがあるため、損傷事象が発生するリスクがある。概して、損傷事象は、接続要素事態の不具合がそのときに壊滅的になる損傷事象も含むことになる。上記で述べたように、損傷事象は、制振要素を非効率にする永続的な、ほぼ永続的な、および同様の損傷を引き起こすことになる損傷事象である。こうした損傷事象には、制振要素の制振材料の裂損、制振材料がそれに接合される板からの制振材料の剥離、制振要素の一部を形成する板の不具合、制振要素の要素を接合する手段の不具合、制振要素もしくは柱要素の溶接接合の不具合、鉛直要素の不具合、および接続部材の接合手段の不具合、制振デバイスがそれに接合される鉛直要素の不具合、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数が含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0048】
当業者には理解されるように、ヒューズ要素は制振要素に加えられる力を制限するが、鋼のひずみ硬化に起因して、降伏する要素が最初に変形するので依然としてその力は少し増大する。これは非常に小さく、本発明の目的に関しては無視できると考えることができる。
【0049】
請求項の範囲は、好ましい実施形態の説明または実施例に記載の好ましい実施形態によって限定されるべきではないが、説明全体と矛盾しない最も広い解釈を与えられるべきである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14