(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】豚の活動量測定方法、豚の活動量測定プログラムが記憶された非一時的コンピュータ可読記憶媒体、および豚の活動量測定システム
(51)【国際特許分類】
A01K 29/00 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
A01K29/00 D
(21)【出願番号】P 2024003074
(22)【出願日】2024-01-12
【審査請求日】2024-01-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518329170
【氏名又は名称】株式会社Eco‐Pork
(74)【代理人】
【識別番号】110003937
【氏名又は名称】弁理士法人前川知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 尚一
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-120609(JP,A)
【文献】国際公開第2020/255742(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/138584(WO,A1)
【文献】特開2018-201350(JP,A)
【文献】古藤好美、千布流星、田村宏樹、淡野公一,学習機能をもつ物体追跡手法を用いた複数豚追跡に関する研究,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2019年02月21日,Vol. 118, No. 460,pp. 1 - 6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 29/00
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
畜体へのセンサの装着を必要としない、少なくとも、動画撮影可能なカメラユニットと、入力ユーザインターフェイス及び出力ユーザインターフェイスを備えたコンピュータデバイスを含む豚の活動量測定システムを用いて、ユーザが豚房で飼養されている複数の豚の活動量を算出する豚の活動量測定方法であって、
前記ユーザが前記入力ユーザインターフェイスを用いて、
前記コンピュータデバイスの撮影指示部に、豚の活動量測定開始を指示する
測定開始信号を送信する測定開始指示ステップと、
ユーザが豚房に飼養されている豚に対して誘導動作を行うことによって豚の運動を誘導する運動誘導ステップと、
前記カメラユニットが、
前記撮影指示部からの撮影指示信号に基づき、前記誘導動作に起因して運動する豚の動画を継続的に撮影する継続撮影ステップと、
前記コンピュータデバイスの豚識別部が、前記動画に含まれる豚個体を識別する豚識別ステップと、
前記コンピュータデバイスの豚追跡部が、前記豚識別ステップで識別された前記豚個体に仮IDを付与し追跡する豚追跡ステップと、
前記コンピュータデバイスの活動量算出部が、前記豚追跡ステップで追跡している豚の動画を用いて、前記追跡している豚の所定時間内の移動距離、移動速度、又は加速度である活動量を算出する活動量算出ステップと、
前記コンピュータデバイスの基準活動量算出部が、前記豚追跡ステップで追跡している複数の豚の、所定時間内の移動距離、移動速度、又は加速度である活動量を算出し、前記複数の豚の活動量を用いて、基準活動量を算出する基準活動量算出ステップと、
前記コンピュータデバイスの異常豚抽出部が、少なくとも前記豚追跡ステップで追跡している豚の前記活動量と前記基準活動量とを比較して、異常な活動量の異常豚を抽出する、異常豚抽出ステップと、
前記コンピュータデバイスの出力ユーザインターフェイスが、前記ユーザに前記異常豚を提示するステップと、
前記ユーザが抽出された前記異常豚の体表面に標識を付すステップと、
を含む豚の活動量測定方法。
【請求項2】
前記コンピュータデバイスの縦横比算出部が、前記豚追跡ステップで追跡している豚の動画を用いて、前記豚追跡ステップで追跡している豚の縦横比を算出する縦横比算出ステップと、
前記コンピュータデバイスの基準縦横比算出部が、前記豚追跡ステップで追跡している複数の豚の動画を用いて、前記豚追跡ステップで追跡している複数の豚の縦横比を算出し、前記複数の豚の縦横比を用いて、基準縦横比を算出する基準縦横比算出ステップと、をさらに含み、
前記異常豚抽出ステップにおいて、前記コンピュータデバイスの異常豚抽出部が、少なくとも前記豚追跡ステップで追跡している豚の活動量及び縦横比と、前記基準活動量及び前記基準縦横比とを比較して、異常な活動量及び縦横比の異常豚を抽出する、請求項1に記載の豚の活動量測定方法。
【請求項3】
前記コンピュータデバイスの体重推定部が、前記豚追跡ステップで追跡している豚の動画を用いて、前記豚追跡ステップで追跡している豚の体重を推定する体重推定ステップと、
前記コンピュータデバイスの基準体重算出部が、前記豚追跡ステップで追跡している複数の豚の動画を用いて、前記豚追跡ステップで追跡している複数の豚の体重を推定し、前記複数の豚の体重を用いて、基準体重を算出する基準体重算出ステップと、をさらに含み、
前記異常豚抽出ステップにおいて、前記コンピュータデバイスの異常豚抽出部が、少なくとも前記豚追跡ステップで追跡している豚の活動量及び体重と、前記基準活動量及び前記基準体重とを比較して、異常な活動量及び体重の異常豚を抽出する、請求項1に記載の豚の活動量測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、豚の活動量測定方法、豚の活動量測定プログラムが記憶された非一時的コンピュータ可読記憶媒体、および豚の活動量測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カメラ等を用いて飼養している動物を監視するシステムが知られている。下記の先行技術文献(特許文献1)には、豚の耳用タグに可読可能に付された二次元コード等を用いて豚を識別するシステムや、ディープニューラルネットワークを用いて、給餌の際の画像分析によって第1のフレームにおいてビデオストリームから検出された動物のまわりにバウンディングボックスが引かれること、第2のフレームで、動物の速度と加速度、バウンディングボックスの大きさを用いて、どの動物が前フレームの各動物バウンディングボックスに関連付けられる可能性が最も高いか決定すること、動物の部分群の平均速度を生成すること、重病がある動物については引き抜かれるべきこと、等が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
養豚業においては、複数の豚がグルーピングされ、同一の豚房で飼養されている。そのような複数の豚の中で、健康を害している等の育成に異常がある豚は、他の豚と隔離する等の対処を行う必要がある。
【0005】
特許文献1記載の発明においては、特定の飼養エリアから特定の飼養エリアへの移動の際に生じる、特定方向へ動物の移動の映像を用いて監視を行い、家畜を計数している。その際に、重病がある動物については引き抜かれるべきことが記載されているものの、具体的な手法について教示がなく、当業者が困難なく実施できるような開示は無かったといえる。
【0006】
そのため、本開示の課題の少なくとも一つの側面は、養豚業において、グルーピングされて同一の豚房で飼養されている複数の豚の中から、健康を害している等の育成に異常がある豚を検出して、他の豚と隔離する等の対処を、容易に行えるようにする点にある。なお、本開示の明細書、図面等に記載の、本開示に特徴のある実施形態やその説明から読み取ることができる当業者にとって自明な課題は、本開示を基礎とする分割出願を行った場合に、分割された発明が解決すべき課題ともなり得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するため、本開示の畜体へのセンサの装着を必要としない、少なくとも、動画撮影可能なカメラユニットと、入力ユーザインターフェイス及び出力ユーザインターフェイスを備えたコンピュータデバイスを含む豚の活動量測定システムを用いて、ユーザが豚房で飼養されている複数の豚の活動量を算出する豚の活動量測定方法は、ユーザが入力ユーザインターフェイスを用いて、豚の活動量測定開始を指示する測定開始指示ステップと、ユーザが豚房に飼養されている豚に対して誘導動作を行うことによって豚の運動を誘導する運動誘導ステップと、ユーザがカメラユニットを用いて、誘導動作に起因して運動する豚の動画を継続的に撮影する継続撮影ステップと、コンピュータデバイスの豚識別部が、動画に含まれる豚個体を識別する豚識別ステップと、コンピュータデバイスの豚追跡部が、豚識別ステップで識別された豚個体に仮IDを付与し追跡する豚追跡ステップと、コンピュータデバイスの活動量算出部が、豚追跡ステップで追跡している豚の動画を用いて、追跡している豚の所定時間内の移動距離、移動速度、又は加速度である活動量を算出する活動量算出ステップと、コンピュータデバイスの基準活動量算出部が、豚追跡ステップで追跡している複数の豚の、所定時間内の移動距離、移動速度、又は加速度である活動量を算出し、複数の豚の活動量を用いて、基準活動量を算出する基準活動量算出ステップと、コンピュータデバイスの異常豚抽出部が、少なくとも豚追跡ステップで追跡している豚の活動量と基準活動量とを比較して、異常な活動量の異常豚を抽出する、異常豚抽出ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、グルーピングされて同一の豚房で飼養されている複数の豚の中から、健康を害している等の育成に異常がある豚を、容易に検出して隔離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の豚の活動量測定システムのネットワーク構成および概要を示す図。
【
図3】豚の活動量測定プログラムの構成について説明する機能ブロック図。
【
図5】追跡している豚の活動量表示イメージを示す図。
【
図6】豚の活動量測定方法のについて示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
養豚業においては、複数の豚がグルーピングされ、同一の豚房で飼養されている。豚房とは、農場にある豚舎の内部において、柵などで区分けされた最小限の飼養エリアの単位を示すことが多い。一般的に、同一の豚房で群飼されている複数の豚は、同じ育成段階、近い日齢、同じ畜種、同じ家畜の種類(肥育豚、母豚など養豚における生産的役割)が同質、均質である集団であるようにまとめられている。そのような同一の豚房の中で、病気にかかるなど、健康を害している豚がいれば、早期に発見して隔離し、対処を行う必要がある。
【0011】
豚が疾病に罹患しているか否かの判断は、獣医による診察が必要である。しかし、獣医が常駐しているような農場ではない限り、迅速な対応は難しい。したがって、異変を最初に察知する者は、農場で常勤し働いている作業者となる。経験豊富な作業者は、複数飼養されている豚の中から、疾病に罹患している豚や、その予兆のある豚を発見し、その集団から隔離することができる。しかし、近年は特に農業全体、畜産業においても人で不足であり、特にそのような経験豊富な作業者の存在は希少である。また、そのような経験豊富な作業者が農場にいたとしても、高い頻度で農場全体を見て回ることは負担である。
【0012】
そこで、経験豊富な作業者に依存することなく、経験不要、かつなるべく定量的な方法により、健康を害している豚が求められている。以下では、そのようなグルーピングされて同一の豚房で飼養されている複数の豚の中から、健康を害している等の育成に異常がある豚を、容易に検出して隔離することができる、豚の活動量測定方法、豚の活動量測定プログラムが記憶された非一時的コンピュータ可読記憶媒体、および豚の活動量測定システムについて説明する。
【0013】
<構成>
図1は、本開示の豚の活動量測定システムの構成を示すネットワーク図である。豚の活動量測定システム1は、ネットワークNWに接続された、第1のコンピュータデバイス10、第2のコンピュータデバイス20、カメラユニット30を含んでいてよい。第1のコンピュータデバイス10、第2のコンピュータデバイス20は後述する
図2に説明するようなコンピュータデバイスであってよい。後述するが、第1のコンピュータデバイス10のみで演算能力が足りている場合は、第2のコンピュータデバイス20を備えていなくともよい。また、必要な演算能力に応じて、第3以上のコンピュータデバイスを備えていてもよい。
【0014】
図2は、第1のコンピュータデバイス10、第2のコンピュータデバイス20を構成しうるコンピュータデバイス10の一例を示す図である。コンピュータデバイス10は、通信インターフェイス11、入力ユーザインターフェイス12、出力ユーザインターフェイス13、プロセッサ14、ストレージデバイス15を備えている。
【0015】
コンピュータデバイス100は、ストレージデバイス15に記憶されているアプリケーションデータに基づくアプリケーションプログラムを、プロセッサ14により実行することで、ソフトウェアとハードウェア資源の協働により所定の処理を実行することができる。ストレージデバイス15には、コンピュータデバイス10が汎用的なコンピュータとして機能するために必要なオペレーティングシステムデータを記憶していてよく、当該オペレーティングシステムデータを用いてオペレーティングシステムが機能する。
【0016】
このようなコンピュータデバイス10は、例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ポータブルまたはモバイル機器、カメラ、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、テレビ、ウェアラブルデバイス(ディスプレイグラスまたはゴーグル、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、腕時計、ヘッドセット、アームバンドなど)、仮想現実(VR)および/または拡張現実(AR)対応デバイス、携帯情報端末などの任意の種類の電子機器であってもよい。
【0017】
コンピュータデバイス10は、ストレージデバイス15と同様のローカルデータベースまたは他のストレージデバイスと有線又は無線通信によりアクセス可能に接続されてもよい。ストレージデバイス15は、プロセッサ230によるアクセス可能に設けられる、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的に消去可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリなどのプロセッサにより実行される指示を記憶するのに適した任意のプロセッサ可読記憶媒体であってもよい。ストレージデバイス15は、プロセッサ14とは別に配置、および/またはプロセッサ14と一体化されてよい。
【0018】
また、任意のソフトウェアを、任意の適切な他の補助ストレージデバイス、二次的ストレージデバイス、または、一時的もしくは非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶してもよい。その他、任意の種類のストレージデバイス(磁気ディスク、光ディスク、磁気テープ、または他の有形媒体)をストレージデバイスと見なしてよい。
【0019】
入力ユーザインターフェイス12、出力ユーザインターフェイス13は、ユーザがコンピュータデバイス10および/または他のコンピュータデバイスとの関係で情報の入出力を行うためのハードウェアデバイスであってよい。具体的に入力ユーザインターフェイス12を構成しうる入力デバイスとしては、キーボード、マウス、1つまたは複数のタッチパネルセンサ、マイク等を含み得る。同様に、出力ユーザインターフェイス13を構成しうる出力デバイスとしては、ディスプレイ、モニタ、プリンタ、スピーカー等を含み得る。
【0020】
通信インターフェイス11は、有線接続および無線接続など、様々な方式の電気通信回線に対応して他の電子機器との通信が可能である。例えば、光ファイバーネットワークやデジタル電話回線を介した広域ネットワーク接続、ローカルでの無線接続、短距離の無線通信、衛星ベースの位置情報システムにより通信を行うことができる。
【0021】
プロセッサ14は、中央処理装置(CPU)等によりプロセッサ動作を実行する集積回路またはコントローラの形態など、任意のタイプのコンピュータ処理要素のうちの1つまたは複数とすることができる。例えばプロセッサ14は、1つまたは複数のシングルコアプロセッサであってもよい。また、プロセッサ14は、複数の独立した処理ユニットを有する1つまたは複数のマルチコアプロセッサであってもよい。プロセッサ14は実行されている命令および関連するデータを一時的に記憶するためのレジスタメモリ、ならびに最近使用された命令およびデータを一時的に記憶するためのキャッシュメモリも含んでいてもよい。複数のプロセッサを用いて処理を行う場合、同一のプロセッサが全ての処理を行う必要はない。
【0022】
コンピュータシステムは、複数のコンピュータをグループ化しネットワークで接続するクラスタ構成を採用することがある。その場合、同じコンピュータシステムが複数の場所に設置されることがある。これらのコンピュータデバイスの具体的な設置場所や接続方法は重要ではなく、ユーザ及び農場が存する国の外国にあってもよい。このようなコンピュータデバイス群は、さまざまなデータセンターに分散配置された、1つのクラウドコンピューティングリソースとして扱われてよい。
【0023】
また、ユーザが使用するスマートフォンなどの携帯端末が十分な処理能力を持っている場合、その端末を単独の小型コンピュータとして利用し、全ての計算処理を行わせることができる。また、他の複数のコンピュータと組み合わせてグループ化した「クラスタ」や「エッジコンピューティング」環境の一部として、この携帯端末に計算処理の一部を担当させることも可能である。
【0024】
再び
図1に戻り、以上のような構成を用いて、本開示の豚の体重測定システムの構成例を説明する。上記のように、第1のコンピュータデバイス10、第2のコンピュータデバイス20は、必要な計算資源に応じて選択され、計算能力が足りていれば1つのコンピュータデバイスを用いればよく、不足していればネットワークNWで接続された複数のコンピュータデバイスの計算資源を利用する。また、計算資源として用いるだけに限られず、データストレージとして用いてもよい。
【0025】
<プログラム>
図3は、本開示の豚の活動量測定方法に用いる、豚の活動量測定プログラムP100の構成について説明する機能ブロック図である。ここに説明する機能は上記したストレージデバイス15に記憶されているアプリケーションデータに基づくアプリケーションプログラムを、プロセッサ14により実行することで、ソフトウェアとハードウェア資源の協働により実現される。
【0026】
入力ユーザインターフェイス12を介したユーザからの指示により、活動力の測定開始信号が送信されると、撮影指示部P110が、カメラユニット30に対して、豚房内で飼養されている豚をカメラユニット30により継続的に撮影するように、撮影指示信号を送信する。このような指示を送信するユーザは、例えば農場で勤務する作業者であり、日課として定期的に豚の活動力測定を実行し得る。より具体的な例としては、特に図示しないが、タッチパネルを有するスマートフォンの画面に表示された測定開始ボタンを押下することで測定開始信号を送信することができる。
【0027】
ここで、豚の活動量測定プログラムP100による処理に依らない、人間である作業者の動作である、豚房に飼養されている豚に対して行う誘導動作についても説明する。
【0028】
例えば、作業者は後述する動画の撮影開始と同時に豚房の内部に入り、その外周に沿って歩くなどして、豚が運動をすることを促す。この際に、運動を避けてあまり動かない豚もいるので、近づいたり、直に触れたりするなどして運動を促してもよい。場合によっては、声を出す、手をたたくなどのより刺激的な行為を行ってもよいが、作業者に対して向かってくるなど攻撃を行われる危険性もある。
【0029】
そのような誘導行為についてはリスクもあり、また誘導行為によって、測定できる結果にばらつきが生じてしまう可能性も考慮し、
図3に示すように、撮影指示部P110は、誘導アシストデータをコンピュータデバイス10の出力ユーザインターフェイス13より教示するようにしてもよい。より具体的には、測定開始指示からの経過時間、「移動してください」などの指示、タイマー機能などの情報の表示である。これによって、定量的で均質な誘導行為を行うことができる。
【0030】
カメラユニット30は、撮影指示部P110から送信された撮影指示信号に基づいて、豚房内で飼養されている豚を継続的に撮影開始する。そして、撮影されている動画は、豚の活動量測定プログラムP100の処理に供されるように逐次、ストリーミング的にコンピュータデバイスに送信される。つまり、測定開始信号に連動して動画の撮影が開始され、当該動画データは豚の活動量測定に用いられることになる。
【0031】
豚識別部P120は、カメラユニット30から取得した動画を用いて、画像に含まれる画素又は点群から、豚領域座標群を識別する機能を有する。簡単に言えば、画像に含まれている豚を見つけることができる。
【0032】
ここで、画像に含まれる複数の画素又は点群のうち、豚の存在を示すものを豚領域座標群とする。豚領域座標群は、セマンティックセグメンテーションや、インスタンスセグメンテーションなど既知の画像分析技術を用いて識別することができる。豚房内にいる豚は画像上で重なり合って写っていることが多いため、1頭ずつ分けて識別するためにはインスタンスセグメンテーションを用いることが好適である。
【0033】
動画を用いて豚領域座標群を識別する際には、特徴抽出や分類などの機械学習や深層学習の技術を用いて行うことが一般的である。一般的なインスタンスセグメンテーションのモデルでも、物体の輪郭やテクスチャ、形状などの視覚的な特徴からオブジェクトの形状を認識し、セグメンテーションできる能力がある。しかし、誤認識を避けるために、豚の画像が含まれるデータセットを用いて、追加学習、強化学習を行ってもよい。また、豚に限られず四肢動物に特化したポーズモデル等を用いて豚を識別してもよい。
【0034】
図4は、豚領域座標群の識別の一例を示している。この図において、バウンディングボックスに囲まれた領域に豚が存在することが識別されている。この画像はあくまでイメージ図である。バウンディングボックスによって囲まれている豚以外にも、識別できる豚は全て識別される。つまり、出力ユーザインターフェイス13上に画像としてバウンディングボックスが示されていなくとも、内部的には識別は行われ得る。
【0035】
再び
図3に戻り、豚識別部P120によって識別された豚には仮IDが付与される。ICTを活用した農場で飼養されている豚には、個別IDが付与されて管理されている場合がある。このような豚の個別IDについては、例えば耳標に担持された二次元コードや標識を用いて個別に認証が行われる技術もあるが、ここでいう仮IDとは、そのような個別IDとは異なる暫定的なIDである。その理由としては、活動量測定においては、個別IDの識別にはより高度な技術が必要になり、その点がコスト増になることと、本開示では均質な集団から異常な豚を見つけることができれば十分であるからである。また、豚は動き回るために画角から外れて見切れる場合などに追跡が困難となり、再度画面内に現れた場合には新たにIDを付与することとなるため、仮IDの方が、効率的に運用できるためである。
【0036】
このようにして、識別された豚に仮IDが付与された動画には、仮ID付与被識別豚データが含まれることとなる。豚追跡部P130は、この仮ID付与被識別豚を継続して自動的に追尾する機能を有する。これによって、動画は、仮ID付与被追跡豚データを含むこととなる。
【0037】
仮ID付与被追跡豚データを含む動画は、均質な集団から異常な豚を抽出するための指標である、活動量、基準活動量、縦横比、基準縦横比、またこの図に図示していない豚の体重、を算出するためのデータとして、活動量算出部P140、基準活動量算出部P150、縦横比算出部P160、基準縦横比算出部P170、またこの図に図示していない体重推定部に対して入力されることとなる。
【0038】
活動量算出部P140は、仮ID付与被追跡豚データを含む動画を用いて、当該追跡している豚の所定時間内の移動距離、移動速度、又は加速度である活動量を算出する機能を有する。
【0039】
ここで、豚の移動距離については、バウンディングボックスの重心や中心等の代表的な座標(仮に中心座標という)が、画像上で移動した距離とする。つまり、距離の単位としては、画像上の座標間距離ということであり、2次元画像であれば、座標a1(x1,y1)と座標a2(x2,y2)との差分ということになる。このような座標の差分が移動距離となる。そして、移動速度は、移動距離をフレーム数や秒数等の時間で除算したものである。加速度は移動速度の時間に対する微分である。このようにして、活動量算出部P140は追跡している豚の個体の活動量を算出する。
【0040】
算出された個体の活動量は、出力ユーザインターフェイス13を介してユーザに伝達されてよい。
図5は、コンピュータデバイス10の出力ユーザインターフェイス13の一例としてのディスプレイに提示された豚の活動量の提示イメージを示している。この図において、識別され、追跡されている、仮IDが付与された豚とその活動量が示されている。具体的には、仮ID「pig:1」が付された豚は、活動量「Speed」が「0.3」であることがバウンディングボックスに隣接して表示され、また同様に、仮ID「pig:0」が付された豚は、活動量「Speed」が「0.0」であることが表示されている。
【0041】
こういった速度や加速度を疾病等の可能性のある異常な豚の候補を抽出するための指標とする理由としては、以下の点が挙げられる。
【0042】
一般的に肉食用となる豚は、成長とともに日齢に応じて体重が増していくことで、日常的な運動時の速度や加速度が低下していく傾向にある。一方で、体重が増えて出荷が近付くほど健康的には安定し、疾病を罹患しないようになる。つまり、相当程度の日齢や体重があれば、速度や加速度が絶対的に低いことには問題がない。
【0043】
しかしながら、離乳直後等の若い仔豚は、日常的な運動時の速度や加速度が高いが、疾病を罹患しやすい状態にある。疾病に罹患すると、活動量が低下し、速度や加速度も低下する。そうすると、日齢が若いにもかかわらず、活動量が低下している場合には、疾病に罹患している可能性がある。それは、同世代の日齢の近い豚たちと比較することで顕著となる。
【0044】
このように、離乳直後の豚と、出荷直前の豚とでは、体重も異なり、これらを同じ集団として比較することは適切ではない。そのために、農場では同じような性質の豚、基本的には日齢が近い豚はグループ化、ロット化され、同一豚房で飼養されるなどして管理がなされている。そのように一つの豚房は均質化された豚の集団という意味で、比較対象にすることに適している。
【0045】
以上のようなことから、同一の豚房で飼養されている豚と比較するために、同様に基準活動量算出部P150も、全ての追跡できている複数の豚の活動量を算出する。そして、これらの追跡できている複数の豚の活動量を用いて、基準活動量を算出する。
【0046】
基準活動量については、追跡できている複数の豚の活動量を用いて様々な値に任意に設定可能である。具体的には、同一の豚房内の複数の豚の活動量の平均値、中央値と比較することも可能である。しかし、平均値未満のものを全て異常としてしまうと、抽出される数が多すぎることから、活動量の第一四分位数以下または未満の個体を抽出することや、単純に、全体に対する任意の割合以下または未満の個体を抽出するように基準活動量を設定することが考えられる。具体的には、活動量が全体の10パーセンタイル、5パーセンタイル以下または未満ということや、正規分布における2標準偏差以下または未満、いわゆる2σ以下または未満、というようにも設定できる。
【0047】
上記のようにして算出された個体の活動量と、基準活動量とをデータとして入力することで、異常豚抽出部P180は、複数の仮付与ID被追跡豚の中から、異常な豚を抽出する機能を有する。具体的には、個体の活動量と、基準活動量とを比較し、個体の活動量が基準活動量よりも低ければ、またはそれ以下であれば、異常豚として抽出するようにしてもよい。
【0048】
抽出された異常豚は、出力ユーザインターフェイス13によりユーザに提示される。具体的には、特に図示しないが、ユーザが所持しているスマートフォン等のコンピュータデバイスの画面上に、追跡されている複数のバウンディングボックスに囲まれた豚の中から、ボックスの色を変えるなどして異常豚であることがわかる表示をすること、等が可能である。
【0049】
ユーザは、出力ユーザインターフェイス13を介して、どの豚が異常豚であることかを認識することができる。より具体的な利便性を提示すると、実際の豚房の中でスマートフォンの画面を見ながら、どの豚が異常豚であるかを確認しながら、その豚に異常豚候補としての標識を付することができる。異常豚候補としての標識を付す方法としては、カラースプレー等によって、その豚の体表面、皮膚等に目印をつけることが非侵襲的であり、アニマルウェルフェアの観点からも好ましい。
【0050】
このようにして異常豚候補としての標識が付された豚は、後日または当日に獣医等の専門家による診断を受けるために隔離することができる。診断を受けて病気であると判断されれば、隔離または治療などの対処を行うことができる。また、速やかな隔離が、他の豚に対する疾病の感染を防止することができる場合もあると考えられる。
【0051】
また、異常豚抽出部P180が、活動量のみならず、縦横比も用いて異常豚を抽出する場合についても説明する。
【0052】
縦横比とは、「縦」を豚の体の頭の先から尻尾までの長さ、「横」を「縦」に対して垂直な方向で胴体の幅一番大きい部分の長さ、としたときの比率をいう。このような縦横比は、正確には静止した状態の豚の画像より求められるが、あくまで参考情報として動画で追跡されている豚の画像を構成する画素や、バウンディングボックスの形状から縦、横を求めてもよい。例えば、豚領域座標群の横幅や縦幅の最大値を縦、横としてもよいし、バウンディングボックスの縦幅や横幅を縦、横としてもよい。
【0053】
このような縦横比は、豚の体型を表している。縦横比を、縦を横で除算した縦/横、横を縦で除算した横/縦、としたとしても、著しく大きい、又は小さい場合には、その豚は痩せているといえる。そのため、活動量と合わせて考慮することで、異常豚を抽出するために有効に活用される。つまり、痩せている豚は縦横比が基準値よりも大きい、又は小さい。そして、痩せているにもかかわらず、活動量が低い豚は、疾病などの何らかの異常が生じている可能性が高い、ということである。
【0054】
縦横比についても、活動量と同様に、基準縦横比算出部P170が、追跡している複数の豚の動画を用いて、複数の豚の縦横比を算出し、これを用いて、基準縦横比を算出する。その手法については、上記の基準活動量算出部P150が、基準活動量を算出する手法と同様であるから説明を省略する。
【0055】
また、豚の体型を示すものとして、推定された豚の体重を用いてもよい。具体的には、縦横比算出部に代えて、豚の活動量測定プログラムP100において、不図示の豚の体重推定部を設け、豚の体重を推定することができる。
【0056】
豚の体重の推定には、動画から導かれる、豚の長さL(mm)、幅W(mm)をパラメータとして、Weight(体重)を推定する体重推定モデルを用いてよい。この体重推定モデルは、例えばディープラーニング等の機械学習によって、事前に長さL(mm)、幅W(mm)とWeight(体重)との関係について学習させた学習済みモデルである。このようなモデルの学習は、例えば、長さL(mm)、幅W(mm)を入力する特徴量とし、Weight(体重)を出力するニューラルネットワークを構築し、構築したNNに対して、長さL(mm)、幅W(mm)とWeight(体重)がペアとなった学習データを用いて、体重の推定精度が高くなるように学習を行うことで、学習済みモデルを得ることができる。
【0057】
その他、豚の体重計算式は、例えば多変量解析に基づく回帰式を用いて、豚の横幅、縦幅、高さ等の複数の説明変数となるパラメータを入力することによって推定するものであってもよい。限定ではない一例を示すと、長さL(mm)、幅W(mm)である。例えば、Weight(体重)=AL+BW+C(A、Bは係数、Cは定数項)のような重回帰式を用いて体重を推定するとして、L、Wは長さL(mm)、幅W(mm)を表すものとしてよい。
【0058】
横幅、縦幅、高さ等の実数値は、画素数をもとに、カメラの焦点距離、1画素の視野角、ベースライン距離(左右カメラ間の視差)、イメージセンサーのサイズ等のカメラの内部パラメータを用いて導かれる、画素と実距離の換算比により算出することができる。これにより、体重推定部が、豚の動画を用いて、豚の推定体重を得ることができる。
【0059】
得られた推定体重は、縦横比と同様に、異常豚を抽出する際の指標として用いられてよい。同様に比較対象となる基準体重も推定されてよい。
【0060】
次に、本開示の豚の体重推定システムを用いた豚の体重推定方法のフローについて図*に示すフローチャートを参照しながら説明する。以下のステップS101~S108のうち、ステップS102については人間であるユーザによって実行され、ステップS103についてはカメラユニット30を用いて実行される。ステップS101、およびそれ以降のステップS104~S108については、いずれかのコンピュータデバイスのプログラムにより実行される。なお、カメラユニット30がコンピュータデバイスに内蔵される、または通信により、実質的に一体に命令を処理する部品として組み込まれている場合には、S101、S103~S108まで一貫したプログラムにより実行することも可能である。
【0061】
ステップS101では、ユーザが入力ユーザインターフェイス12を用いて、豚の活動量測定開始を指示する(測定開始指示ステップ)。
【0062】
ステップS102では、ユーザが豚房に飼養されている豚に対して誘導動作を行うことによって豚の運動を誘導する(運動誘導ステップ)。
【0063】
ステップS103では、カメラユニット30が、ユーザの誘導動作に起因して運動する豚の動画を継続的に撮影する(継続撮影ステップ)。
【0064】
ステップS104では、豚識別部P120が、動画に含まれる豚個体を識別する(豚識別ステップ)。
【0065】
ステップS105では、豚追跡部P130が、ステップS104で識別された豚個体に仮IDを付与し追跡する(豚追跡ステップ)。
【0066】
ステップS106では、少なくとも活動量算出部P140が、ステップS105で追跡している豚の動画を用いて、追跡している豚の所定時間内の移動距離、移動速度、又は加速度である活動量を算出する(活動量算出ステップ)。
【0067】
ステップS107では、少なくとも基準活動量算出部P150が、ステップS105で追跡している複数の豚の、所定時間内の移動距離、移動速度、又は加速度である活動量を算出し、複数の豚の活動量を用いて、基準活動量を算出する(基準活動量算出ステップ)。
【0068】
ステップS108では、異常豚抽出部P180が、S105で追跡している、すく案くともS106で算出した豚の活動量と、ステップS107で算出した基準活動量とを比較して、異常な活動量の異常豚を抽出する(異常豚抽出ステップ)。これにより、グルーピングされて同一の豚房で飼養されている複数の豚の中から、健康を害している等の育成に異常がある豚を検出して、他の豚と隔離する等の対処を、容易に行える。
【0069】
以上により、本開示の豚の活動量測定方法を実行することができる。本開示の1つの構成例として、カメラユニット30としての豚房内で運動する豚の動画を継続的に撮影可能なビデオカメラユニット、第1のコンピュータデバイス10としてのARデバイス、第2のコンピュータデバイス20としてのサーバコンピュータが挙げられる。例えば、ARデバイスはヘッドマウントディスプレイや眼鏡型ディスプレイを含み、カメラユニット30は、コンピュータデバイスと接続されたヘッドマウントディスプレイと一体的に取り付けられているカメラユニットである。
【0070】
図7は本開示の豚の活動量測定システムの一例である。
図7のように、カメラユニット30としての携帯型コンピュータデバイスまたはスマートフォンに内蔵されたビデオカメラコンポーネント、第1のコンピュータデバイス10としてのコンピュータデバイスまたはスマートフォンが挙げられる。
【0071】
図8も本開示の豚の活動量測定システムの一例である。カメラユニット30としての農場に、豚房内の全ての豚が撮像可能な位置に固定され固定配置されたビデオカメラ、第1のコンピュータデバイス10としてのラップトップコンピュータ、第2のコンピュータデバイス20としてのサーバコンピュータが挙げられる。カメラユニット30は、豚房内の全ての豚が撮像可能な位置に固定されている。ユーザは、農場内で異常豚の提示を受信可能に接続されたディスプレイから確認することができる。
【0072】
以上は一例であり、その他上記した各構成を組み合わせた全ての構成例について実施可能である。
【0073】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
(付記1)
畜体へのセンサの装着を必要としない、少なくとも、動画撮影可能なカメラユニットと、入力ユーザインターフェイス及び出力ユーザインターフェイスを備えたコンピュータデバイスを含む豚の活動量測定システムを用いて、ユーザが豚房で飼養されている複数の豚の活動量を算出する豚の活動量測定方法であって、
前記ユーザが前記入力ユーザインターフェイスを用いて、豚の活動量測定開始を指示する測定開始指示ステップと、
ユーザが豚房に飼養されている豚に対して誘導動作を行うことによって豚の運動を誘導する運動誘導ステップと、
前記カメラユニットが、前記誘導動作に起因して運動する豚の動画を継続的に撮影する継続撮影ステップと、
前記コンピュータデバイスの豚識別部が、前記動画に含まれる豚個体を識別する豚識別ステップと、
前記コンピュータデバイスの豚追跡部が、前記豚識別ステップで識別された前記豚個体に仮IDを付与し追跡する豚追跡ステップと、
前記コンピュータデバイスの活動量算出部が、前記豚追跡ステップで追跡している豚の動画を用いて、前記追跡している豚の所定時間内の移動距離、移動速度、又は加速度である活動量を算出する活動量算出ステップと、
前記コンピュータデバイスの基準活動量算出部が、前記豚追跡ステップで追跡している複数の豚の、所定時間内の移動距離、移動速度、又は加速度である活動量を算出し、前記複数の豚の活動量を用いて、基準活動量を算出する基準活動量算出ステップと、
前記コンピュータデバイスの異常豚抽出部が、少なくとも前記豚追跡ステップで追跡している豚の前記活動量と前記基準活動量とを比較して、異常な活動量の異常豚を抽出する、異常豚抽出ステップと、を含む豚の活動量測定方法。
(付記2)
前記コンピュータデバイスの縦横比算出部が、前記豚追跡ステップで追跡している豚の動画を用いて、前記豚追跡ステップで追跡している豚の縦横比を算出する縦横比算出ステップと、
前記コンピュータデバイスの基準縦横比算出部が、前記豚追跡ステップで追跡している複数の豚の動画を用いて、前記豚追跡ステップで追跡している複数の豚の縦横比を算出し、前記複数の豚の縦横比を用いて、基準縦横比を算出する基準縦横比算出ステップと、をさらに含み、
前記異常豚抽出ステップにおいて、前記コンピュータデバイスの異常豚抽出部が、少なくとも前記豚追跡ステップで追跡している豚の活動量及び縦横比と、前記基準活動量及び前記基準縦横比とを比較して、異常な活動量及び縦横比の異常豚を抽出する、付記1に記載の豚の活動量測定方法。
(付記3)
前記コンピュータデバイスの体重推定部が、前記豚追跡ステップで追跡している豚の動画を用いて、前記豚追跡ステップで追跡している豚の体重を推定する体重推定ステップと、
前記コンピュータデバイスの基準体重算出部が、前記豚追跡ステップで追跡している複数の豚の動画を用いて、前記豚追跡ステップで追跡している複数の豚の体重を推定し、前記複数の豚の体重を用いて、基準体重を算出する基準体重算出ステップと、をさらに含み、
前記異常豚抽出ステップにおいて、前記コンピュータデバイスの異常豚抽出部が、少なくとも前記豚追跡ステップで追跡している豚の活動量及び体重と、前記基準活動量及び前記基準体重とを比較して、異常な活動量及び体重の異常豚を抽出する、付記1に記載の豚の活動量測定方法。
(付記4)
畜体へのセンサの装着を必要としない、少なくとも、動画撮影可能なカメラユニットと、入力ユーザインターフェイス及び出力ユーザインターフェイスを備えたコンピュータデバイスを含む豚の活動量測定システムを用いて、豚房で飼養されている複数の豚の活動量を測定するための豚の活動量測定プログラムであって、
前記入力ユーザインターフェイスより、豚の活動量測定開始を指示する測定開始指示信号を受信すると、前記カメラユニットに豚の動画を継続的に撮影させる継続撮影ステップと、
前記コンピュータデバイスの豚識別部が、前記動画に含まれる豚個体を識別する豚識別ステップと、
前記コンピュータデバイスの豚追跡部が、前記豚識別ステップで識別された前記豚個体に仮IDを付与し追跡する豚追跡ステップと、
前記コンピュータデバイスの活動量算出部が、前記豚追跡ステップで追跡している豚の動画を用いて、前記追跡している豚の所定時間内の移動距離、移動速度、又は加速度である活動量を算出する活動量算出ステップと、
前記コンピュータデバイスの基準活動量算出部が、前記豚追跡ステップで追跡している複数の豚の、所定時間内の移動距離、移動速度、又は加速度である活動量を算出し、前記複数の豚の活動量を用いて、基準活動量を算出する基準活動量算出ステップと、
前記コンピュータデバイスの異常豚抽出部が、少なくとも前記豚追跡ステップで追跡している豚の前記活動量と前記基準活動量とを比較して、異常な活動量の異常豚を抽出する、異常豚抽出ステップと、をコンピュータデバイスに実行させるための豚の活動量測定プログラムが記憶された非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(付記5)
畜体へのセンサの装着を必要としない、豚の活動量測定システムであって、
少なくとも1つのコンピュータデバイスと、
豚房内で運動する豚の動画を継続的に撮影可能なカメラユニットと、
前記コンピュータデバイスに、豚の活動量測定開始を指示する測定開始信号を送信する前記コンピュータデバイスの入力ユーザインターフェイスと、
前記カメラユニットから取得した前記動画に含まれる豚個体を識別する前記コンピュータデバイスの豚識別部と、
前記識別された前記豚個体に仮IDを付与し追跡する前記コンピュータデバイスの豚追跡部と、
前記追跡している豚の動画を用いて、前記追跡している豚の所定時間内の移動距離、移動速度、又は加速度である活動量を算出するとともに、
前記追跡している複数の豚の、所定時間内の移動距離、移動速度、又は加速度である活動量を算出し、前記複数の豚の活動量を用いて、基準活動量を算出する活動量算出部と、
前記追跡している豚の中から、前記基準活動量と比較して、異常な活動量の異常豚を抽出する異常豚抽出部と、
前記異常豚抽出部が抽出した前記異常豚を提示する、前記コンピュータデバイスの出力ユーザインターフェイスと、を含む豚の活動量測定システム。
(付記6)
前記カメラユニットは、前記豚房内の全ての豚が撮像可能な位置に固定され、
前記出力ユーザインターフェイスは、農場内で前記異常豚の提示を受信可能に接続されたディスプレイである、付記5に記載の豚の活動量測定システム。
(付記7)
前記出力ユーザインターフェイスは、農場内で前記異常豚の提示を受信可能に接続されたディスプレイであり、
前記カメラユニットは、前記コンピュータデバイスと接続された前記ディスプレイと一体的に取り付けられているカメラユニットである、付記5に記載の豚の活動量測定システム。
【符号の説明】
【0074】
1 豚の活動量測定システム
10 第1のコンピュータデバイス
20 第2のコンピュータデバイス
30 カメラユニット
11 通信インターフェイス
12 入力ユーザインターフェイス
13 出力ユーザインターフェイス
14 プロセッサ
15 ストレージデバイス
P100 豚の活動量測定プログラム
P110 撮影指示部
P120 豚識別部
P130 豚追跡部
P140 活動量算出部
P150 基準活動量算出部
P160 縦横比算出部
P170 基準縦横比算出部
P180 異常豚抽出部
【要約】
【課題】グルーピングされて同一の豚房で飼養されている複数の豚の中から、健康を害している等の育成に異常がある豚を検出して、他の豚と隔離する等の対処を、容易に行えるようにする。
【解決手段】ユーザが入力ユーザインターフェイスを用いて、豚の活動量測定開始を指示し、豚房に飼養されている豚に対して誘導動作を行い、ユーザがカメラユニットを用いて、誘導動作に起因して運動する豚の動画を継続的に撮影し、コンピュータデバイスの豚識別部が、動画に含まれる豚個体を識別し、豚個体に仮IDを付与し追跡し、活動量算出部が、追跡している豚の所定時間内の移動距離、移動速度、又は加速度である活動量を算出し、基準活動量算出部が、基準活動量を算出し、異常豚抽出部が、少なくとも追跡している豚の活動量と基準活動量とを比較して、異常な活動量の異常豚を抽出する。
【選択図】
図3