(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】二次電池用電池ケースおよびガス排出部の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/30 20210101AFI20240408BHJP
H01M 50/392 20210101ALI20240408BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20240408BHJP
【FI】
H01M50/30
H01M50/392
H01M50/105
(21)【出願番号】P 2022507871
(86)(22)【出願日】2020-08-24
(86)【国際出願番号】 KR2020011270
(87)【国際公開番号】W WO2021040357
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-02-08
(31)【優先権主張番号】10-2019-0105417
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ス・ジ・ファン
(72)【発明者】
【氏名】サン・フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ス・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・キョン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ナ・ユン・キム
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-108433(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0042215(KR,A)
【文献】国際公開第2018/110067(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0034498(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0274416(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0011358(KR,A)
【文献】実開昭57-014367(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0135878(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/30
H01M 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウチ型の二次電池用電池ケースであって、
電極およびセパレータが積層されて形成される電極組立体を収容する収容空間が備えられたカップ部と、
前記カップ部の外側方向に延長形成されるシール部と、
ガスが透過するガス排出部であって、前記カップ部または前記シール部のうち少なくとも一方に穿孔されて形成されたホールの内側に付着されたガス排出部とを含み、
前記ガス排出部は、
ガスが透過するガス排出層と、
前記ガス排出層の外側面に形成され、疎水性を有する外部機能性層とを含み、
前記外部機能性層は、
外側面に複数の微細突起が分布して形成される、
パウチ型の二次電池用電池ケース。
【請求項2】
前記微細突起は、
直径が50nm~10μmである、請求項
1に記載のパウチ型の二次電池用電池ケース。
【請求項3】
前記微細突起は、
直径が100nm~1μmである、請求項
2に記載のパウチ型の二次電池用電池ケース。
【請求項4】
パウチ型の二次電池用電池ケースであって、
電極およびセパレータが積層されて形成される電極組立体を収容する収容空間が備えられたカップ部と、
前記カップ部の外側方向に延長形成されるシール部と、
ガスが透過するガス排出部であって、前記カップ部または前記シール部のうち少なくとも一方に穿孔されて形成されたホールの内側に付着されたガス排出部とを含み、
前記ガス排出部は、
ガスが透過するガス排出層と、
前記ガス排出層の外側面に形成され、疎水性を有する外部機能性層とを含み、
前記外部機能性層は、
オイルまたはワックス成分を含む、
パウチ型の二次電池用電池ケース。
【請求項5】
前記オイルは、
フッ化炭素オイル、シリコンオイル、炭素系オイル、脂肪酸アミドのうち少なくとも1つを含む、請求項
4に記載のパウチ型の二次電池用電池ケース。
【請求項6】
前記ガス排出層は、
ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のうち少なくとも1つを含む、請求項1
~5の何れか一項に記載のパウチ型の二次電池用電池ケース。
【請求項7】
前記ガス排出層の内側面に形成され、疎水性を有する内部機能性層をさらに含む、請求項1
~6の何れか一項に記載のパウチ型の二次電池用電池ケース。
【請求項8】
前記シール部は、
前記カップ部に隣接した内側領域と、
前記内側領域よりも外側に位置して縁となり、シールされることで前記カップ部を密閉する外側領域とを含み、
前記ホールは、
前記シール部において、前記内側領域に形成される、請求項1
~7の何れか一項に記載のパウチ型の二次電池用電池ケース。
【請求項9】
前記ガス排出部は、
複数で形成される、請求項1
~8の何れか一項に記載のパウチ型の二次電池用電池ケース。
【請求項10】
ガスが透過するガス排出層を備えるステップと、
微細粒子および高分子溶液を撹拌して混合物を製造するステップと、
前記ガス排出層の少なくとも一面に、前記混合物を噴射するステップと、
前記混合物を乾燥するステップとを含む、ガス排出部の製造方法。
【請求項11】
前記ガス排出層は、
ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のうち少なくとも1つを含む、請求項
10に記載のガス排出部の製造方法。
【請求項12】
前記高分子溶液は、
ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のうち少なくとも1つを含む、請求項
10または
11に記載のガス排出部の製造方法。
【請求項13】
前記微細粒子は、
シリカ粒子、カーボンナノチューブ(CNT)、アルミナ粒子のうち少なくとも1つを含む、請求項
10に記載のガス排出部の製造方法。
【請求項14】
前記シリカ粒子は、
0.1~2wt%の範囲内で含まれる、請求項
13に記載のガス排出部の製造方法。
【請求項15】
前記混合物を噴射するステップは、
前記ガス排出層から8~15cm離れた距離から、ノズルを用いて0.2~0.5MPaの圧力で前記混合物を噴射する、請求項
10に記載のガス排出部の製造方法。
【請求項16】
前記混合物を噴射するステップおよび前記混合物を乾燥するステップは、
2回~4回繰り返し行われる、請求項
10に記載のガス排出部の製造方法。
【請求項17】
電極およびセパレータが積層されて形成される電極組立体と、
前記電極組立体を内部に収容する電池ケースとを含み、
前記電池ケースは、
前記電極組立体を収容する収容空間が備えられたカップ部と、
前記カップ部の外側方向に延長形成されるシール部と、
ガスが透過するガス排出部であって、前記カップ部または前記シール部のうち少なくとも一方に穿孔されて形成されたホールの内側に付着されたガス排出部とを含み、
前記ガス排出部は、
ガスが透過するガス排出層と、
前記ガス排出層の外側面に形成され、疎水性を有する外部機能性層とを含
み、
前記外部機能性層が外側面に複数の微細突起が分布して形成されるか、またはオイルまたはワックス成分を有する、パウチ型二次電池。
【請求項18】
パウチフィルムをドローイング成形してカップ部を形成するステップと、
前記カップ部または前記カップ部の外側方向に延長形成されるシール部のうち少なくとも一方に、ホールを穿孔するステップと、
前記ホールに、ガスが透過するガス排出部を内側に付着するステップと、
前記カップ部に備えられた収容空間に、電極およびセパレータが積層されて形成される電極組立体が収容されるステップと、
前記シール部に熱圧着をするステップとを含
み、
前記ガス排出部は、
ガスが透過するガス排出層と、
前記ガス排出層の外側面に形成され、疎水性を有する外部機能性層とを含み、
前記外部機能性層が外側面に複数の微細突起が分布して形成されるか、またはオイルまたはワックス成分を有する、パウチ型二次電池の製造方法。
【請求項19】
前記パウチフィルムは、
ポリマーから製造され、最内層に位置するシーラント層を含み、
前記ガス排出部を付着するステップにおいて、
前記外部機能性層が、前記シーラント層に熱および圧力が印加されてシールされる、請求項
18に記載のパウチ型二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年08月27日付けの韓国特許出願第10-2019-0105417号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、二次電池用電池ケースおよびガス排出部の製造方法に関し、より詳しくは、パウチの内部圧力が増加すると、内部のガスを外部に排出して圧力を調節することができる、二次電池用電池ケースおよびガス排出部の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、二次電池の種類としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、およびリチウムイオンポリマー電池などが挙げられる。かかる二次電池は、デジタルカメラ、P-DVD、MP3P、携帯電話、PDA、携帯ゲーム機(Portable Game Device)、パワーツール(Power Tool)、およびE-バイク(E-bike)などの小型製品だけでなく、電気自動車やハイブリッド自動車のような高出力が求められる大型製品と、余剰の発電電力や再生可能エネルギーを貯蔵する電力貯蔵装置と、バックアップ用電力貯蔵装置にも適用されて用いられている。
【0004】
二次電池は、電極組立体を収容するケースの材質に応じて、パウチ型(Pouch Type)および缶型(Can Type)などに分類される。パウチ型(Pouch Type)は、軟性のポリマー材質から製造されたパウチに電極組立体を収容する。そして、缶型(Can Type)は、金属またはプラスチックなどの材質から製造されたケースに電極組立体を収容する。
【0005】
一方、二次電池は、外部衝撃による内部短絡、過充電、過放電などによりガスが発生し得る。または、高温で保管または貯蔵する場合、高い温度が電解質および電極活物質の電気化学的反応を速く促進してガスが発生し得る。
【0006】
この際、前記発生したガスは、二次電池の内部圧力を上昇させて部品間の結合力の弱化、二次電池のケース破損、保護回路の早期作動、電極の変形、内部短絡、爆発などの問題を生じさせる。これを防止するために、缶型(Can Type)二次電池の場合は、CIDフィルタおよび安全ベントのような保護部材が備えられている。よって、ケース内部の圧力が増加すると、電気的連結を物理的に遮断したのである。しかし、従来のパウチ型(Pouch Type)二次電池の場合は、かかる保護部材が十分に備えていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、パウチの内部圧力が増加すると、内部のガスを外部に排出して圧力を調節することができる、二次電池用電池ケースおよびガス排出部の製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及していない更なる他の課題は、下記の記載から当業者に明らかに理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための本発明の実施形態に係る二次電池用電池ケースは、二次電池用電池ケースであって、電極およびセパレータが積層されて形成される電極組立体を収容する収容空間が備えられたカップ部と、前記カップ部の外側方向に延長形成されるシール部と、前記カップ部または前記シール部のうち少なくとも一方に穿孔されて形成されたホールに、内側に付着され、ガスが透過するガス排出部とを含み、前記ガス排出部は、ガスが透過するガス排出層と、前記ガス排出層の外側面に形成され、疎水性を有する外部機能性層とを含む。
【0010】
また、前記外部機能性層は、外側面に複数の微細突起が分布して形成されてもよい。また、前記微細突起は、直径が50nm~10μmであってもよい。
また、前記微細突起は、直径が100nm~1μmであってもよい。
【0011】
また、前記外部機能性層は、オイルまたはワックス成分を含んでもよい。また、前記オイルは、フッ化炭素オイル、シリコンオイル、炭素系オイル、脂肪酸アミドのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0012】
また、前記ガス排出層は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のうち少なくとも1つを含んでもよい。また、前記ガス排出層の内側面に形成され、疎水性を有する内部機能性層をさらに含んでもよい。
【0013】
また、前記シール部は、前記カップ部に隣接した内側領域と、前記内側領域よりも外側に位置して縁となり、シールされることで前記カップ部を密閉する外側領域とを含み、前記ホールは、前記シール部において、前記内側領域に形成されてもよい。また、前記ガス排出部は、複数で形成されてもよい。
【0014】
上記の課題を解決するための本発明の実施形態に係るガス排出部の製造方法は、ガスが透過するガス排出層を備えるステップと、微細粒子および高分子溶液を撹拌して混合物を製造するステップと、前記ガス排出層の少なくとも一面に、前記混合物を噴射するステップと、前記混合物を乾燥するステップとを含む。
【0015】
また、前記ガス排出層は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0016】
また、前記高分子溶液は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0017】
また、前記微細粒子は、シリカ粒子、カーボンナノチューブ(CNT)、アルミナ粒子のうち少なくとも1つを含んでもよい。また、前記シリカ粒子は、0.1~2wt%以下で含まれてもよい。
【0018】
また、前記混合物を噴射するステップは、前記ガス排出層から8~15cm離れた距離から、ノズルを用いて0.2~0.5MPaの圧力で前記混合物を噴射してもよい。また、前記混合物を噴射するステップおよび前記混合物を乾燥するステップは、2回~4回繰り返し行われてもよい。
【0019】
上記の課題を解決するための本発明の実施形態に係るパウチ型二次電池は、電極およびセパレータが積層されて形成される電極組立体と、前記電極組立体を内部に収容する電池ケースとを含み、前記電池ケースは、前記電極組立体を収容する収容空間が備えられたカップ部と、前記カップ部の外側方向に延長形成されるシール部と、前記カップ部または前記シール部のうち少なくとも一方に穿孔されて形成されたホールに、内側に付着され、ガスが透過するガス排出部とを含み、前記ガス排出部は、ガスが透過するガス排出層と、前記ガス排出層の外側面に形成され、疎水性を有する外部機能性層とを含む。
【0020】
上記の課題を解決するための本発明の実施形態に係るパウチ型二次電池の製造方法は、パウチフィルムをドローイング成形してカップ部を形成するステップと、前記カップ部または前記カップ部の外側方向に延長形成されるシール部のうち少なくとも一方に、ホールを穿孔するステップと、前記ホールに、ガスが透過するガス排出部を内側に付着するステップと、前記カップ部に備えられた収容空間に、電極およびセパレータが積層されて形成される電極組立体が収容されるステップと、前記シール部に熱圧着をするステップとを含む。
【0021】
また、前記ガス排出部は、ガスが透過するガス排出層と、前記ガス排出層の外側面に形成され、疎水性を有する外部機能性層とを含み、前記パウチフィルムは、ポリマーから製造され、最内層に位置するシーラント層を含み、前記ガス排出部を付着するステップにおいて、前記外部機能性層が、前記シーラント層に熱および圧力が印加されてシールされてもよい。本発明のその他の具体的な事項は、詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施形態によると、少なくとも次のような効果を奏する。電池ケースにホールが穿孔され、かかるホールにガスが透過するガス排出部が付着されており、二次電池の内部圧力が増加すると、内部のガスを外部に排出して圧力を調節することができる。
【0023】
また、ガス排出部に外部機能性層または内部機能性層が形成されており、外部の水分浸透および内部の電解液漏れを防止することができる。また、ガス排出部がホールに内側に付着されており、ホールの内周面に露出されたガスバリア層の金属が、電解液により腐食するのを防止することができる。
【0024】
本発明に係る効果は以上で例示された内容により制限されず、さらに多様な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係るパウチ型二次電池の組み立て図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るパウチ型二次電池の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るガス排出部の断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るガス排出部を製造する方法を示したフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係るパウチフィルムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付図面とともに詳細に後述している実施形態を参照すれば明らかになるであろう。但し、本発明は、以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現できるものであり、本実施形態は、単に本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範囲によって定義されるのみである。明細書の全体にわたって、同一の参照符号は、同一の構成要素を指し示す。
【0027】
他の定義がなければ、本明細書で用いられる全ての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に共通に理解できる意味として用いられてもよい。また、一般的に用いられる辞書に定義されている用語は、明らかに特に定義していない限り、理想的にまたは過度に解釈されない。
【0028】
本明細書で用いられた用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は、語句において特に言及しない限り、複数形も含む。明細書で用いられる「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素の他に、1つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除するものではない。
【0029】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明することにする。
図1は、本発明の一実施形態に係るパウチ型二次電池1の組み立て図であり、
図2は、本発明の一実施形態に係るパウチ型二次電池1の斜視図である。
【0030】
本発明の一実施形態に係るパウチ型二次電池1は、
図1に示されたように、正極、負極などの電極およびセパレータが積層されて形成される電極組立体10と、前記電極組立体10を内部に収容するパウチ型の電池ケース13とを含む。
【0031】
パウチ型二次電池1を製造するために、先ず、電極活物質とバインダーおよび可塑剤を混合したスラリーを正極集電体および負極集電体に塗布し、正極および負極などの電極を製造する。それをセパレータ(Separator)の両側に積層することで所定形状の電極組立体10を形成した後、電極組立体10を電池ケース13に挿入し電解液の注入後にシールする。
【0032】
具体的に、電極組立体(Electrode Assembly)10は、正極および負極の2種類の電極と、電極を互いに絶縁させるために電極の間に介在されるかまたは何れか1つの電極の左側または右側に配置されるセパレータとを備えた積層構造体であってもよい。前記積層構造体は、所定規格の正極と負極がセパレータを間に置いて積層されてもよく、ゼリーロール(Jelly Roll)形態で巻取りできるなど、制限されずに多様な形態であってもよい。2種類の電極、すなわち、正極および負極は、それぞれアルミニウムおよび銅を含む金属箔または金属メッシュ状の電極集電体に活物質スラリーが塗布された構造である。スラリーは、通常、粒状の活物質、補助導体、バインダー、および可塑剤などが、溶媒が添加された状態で撹拌されて形成されてもよい。溶媒は、後続工程において除去される。
【0033】
電極組立体10は、
図1に示されたように、電極タブ(Electrode Tab)11を含む。電極タブ11は、電極組立体10の正極および負極とそれぞれ連結され、電極組立体10の外部に突出しており、電極組立体10の内部と外部との間に電子が移動可能な経路となる。電極組立体10の集電体は、電極活物質が塗布された部分と、電極活物質が塗布されていない末端部分、すなわち、無地部から構成される。そして、電極タブ11は、無地部を裁断して形成されるか、または無地部に別の導電部材を超音波溶接などにより連結して形成されてもよい。かかる電極タブ11は、
図1に示されたように、電極組立体10の一側から同じ方向に並んで突出してもよいが、これに制限されず、それぞれ異なる方向に突出してもよい。
【0034】
電極組立体10の電極タブ11には、電極リード(Electrode Lead)12がスポット(Spot)溶接などにより連結される。そして、電極リード12の一部は、絶縁部14により周りが囲まれる。絶縁部14は、電池ケース13の上部ケース131および下部ケース132が熱融着されるシール部134に限定されて位置し、電池ケース13に接着される。そして、電極組立体10から生成される電気が電極リード12を通して電池ケース13に流れるのを防止し、電池ケース13のシーリングを維持する。よって、かかる絶縁部14は、電気がよく通じない非導電性を有する不導体から製造される。一般的に、絶縁部14としては、電極リード12に付着しやすく、厚さが比較的に薄い絶縁テープを多く用いるが、これに制限されず、電極リード12を絶縁可能であれば多様な部材を用いてもよい。
【0035】
電極リード12は、正極タブ111に一端が連結され、正極タブ111が突出した方向に延びる正極リード121と、負極タブ112に一端が連結され、負極タブ112が突出した方向に延びる負極リード122とを含む。一方、正極リード121および負極リード122は、
図1に示されたように、何れも他端が電池ケース13の外部に突出する。それにより、電極組立体10の内部で生成された電気を外部に供給することができる。また、正極タブ111および負極タブ112がそれぞれ多様な方向に向かって突出形成されるため、正極リード121および負極リード122もそれぞれ多様な方向に向かって延びることができる。
【0036】
正極リード121および負極リード122は、その材質が互いに異なってもよい。すなわち、正極リード121は、正極集電体と同一のアルミニウム(Al)材質であり、負極リード122は、負極集電体と同一の銅(Cu)材質またはニッケル(Ni)がコーティングされた銅材質であってもよい。そして、電池ケース13の外部に突出した電極リード12の一部分は、端子部となり、外部端子と電気的に連結される。
【0037】
電池ケース13は、柔軟性を有する材質から製造されたパウチである。そして、電池ケース13は、電極リード12の一部、すなわち、端子部が露出されるように電極組立体10を収容しシールされる。かかる電池ケース13は、
図1に示されたように、上部ケース131および下部ケース132とを含む。下部ケース132には、カップ部133が形成されて電極組立体10を収容可能な収容空間1331が備えられ、上部ケース131は、前記電極組立体10が電池ケース13の外部に離脱しないように前記収容空間1331を上部からカバーする。この際、
図1に示されたように、上部ケース131にも収容空間1331が備えられたカップ部133が形成され、電極組立体10を上部から収容してもよい。但し、これに制限されず、カップ部133が下部ケース132にのみ形成されるなど、多様に形成されてもよい。また、上部ケース131および下部ケース132は、
図1に示されたように一側が互いに連結されて製造されてもよいが、これに制限されず、互いに分離されて別に製造されるなど、多様に製造されてもよい。
【0038】
電池ケース13は、ガスが透過するガス排出部136を含む。ガス排出部136は、カップ部133またはシール部134のうち少なくとも一方に穿孔されて形成されたホール137に、内側に付着される。
【0039】
ホール137は、上部ケース131または下部ケース132のうち少なくとも一方に形成される。すなわち、ホール137は、1つのみ形成されてもよいが、複数で形成されてもよい。そして、
図1に示されたように、カップ部133の外側方向に延長形成されたシール部134は、カップ部133に隣接した内側領域1341と、前記内側領域1341よりも外側に位置して縁となり、シールされることで前記カップ部133を密閉する外側領域1342とを含む。この際、ホール137は、シール部134において、外側領域1342よりは内側領域1341に形成されることが好ましい。そして、その後にシール部134をシールする際、ホール137が位置した内側領域1341はシールせず、外側領域1342のみをシールすることが好ましい。それにより、普段は、上部および下部ケース131、132の2つのシール部134が互いに接してホール137を閉鎖して、外部の水分浸透および内部の電解液漏れを防止することができる。そして、二次電池1の内部でガスが多く発生する際には、二次電池1の体積が膨張しつつ、互いに接していた2つのシール部134の内側領域1341が離隔する。すると、ホール137が開放され、ガスがガス排出部136を通して外部に排出されることができる。但し、これに制限されず、ホール137は、カップ部133の一面に形成されるなど、ガスを容易に排出可能であれば、多様な位置に形成されてもよい。
【0040】
ガス排出部136を通して、ガスは容易に透過することができるが、水、電解液などの液体は透過することが容易ではないことが好ましい。ガス排出部136に関する詳しい説明は後述する。
【0041】
電極組立体10の電極タブ11に電極リード12が連結され、電極リード12の一部分に絶縁部14が形成されると、下部ケース132のカップ部133に備えられた収容空間1331に電極組立体10が収容され、上部ケース131が前記空間を上部からカバーする。そして、内部に電解液を注入し、上部ケース131および下部ケース132の縁に形成されたシール部134をシールする。電解液は、二次電池1の充放電時、電極の電気化学的反応により生成されるリチウムイオンを移動させるためのものであり、リチウム塩と高純度の有機溶媒類との混合物である非水系有機電解液、または高分子電解質を用いたポリマーを含んでもよい。かかる方法により、
図2に示されたように、パウチ型二次電池1を製造することができる。
【0042】
図3は、本発明の一実施形態に係るガス排出部136の断面図である。ガス排出部136は、カップ部133またはシール部134のうち少なくとも一方に穿孔されて形成されたホール137に、内側に付着され、ガスが透過する。かかるガス排出部136は、
図3に示されたように、ガスが透過するガス排出層1362と、ガス排出層1362の外側面に形成され、疎水性を有する外部機能性層1361とを含む。また、ガス排出層1362の内側面に形成され、疎水性を有する内部機能性層1363をさらに含んでもよい。
【0043】
ガス排出層1362は、ガスは容易に透過することができるが、水、電解液などの液体は透過することが容易ではない半透膜(Semipermeable Membrane)からなることが好ましい。かかるガス排出層1362は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のうち少なくとも1つを含んでもよい。そして、かかるガス排出層1362を製造するために、二軸延伸方法を用いてもよい。すなわち、前記材質が含まれた元の素材を用いてフィルム状に押出した後、押出方向(MD、Mechanical Diraction)および垂直方向(Transverse Direction)にそれぞれ延伸を行ってガス排出層1362を製造してもよい。但し、これに制限されず、相分離方法を用いてもよい。すなわち、前記材質が含まれた元の素材をフィルム状にプレートに塗布し、温度を異にして溶媒を蒸発させた後、前記別の溶液が充填された水槽に浸漬させてガス排出層1362を製造してもよい。
【0044】
本発明の一実施形態によると、電池ケース13に形成されたホール137を開閉する別のカバーは存在しない。仮にカバーが存在するのであれば、カバーがホール137を開放した後に再びホール137を閉鎖することが容易ではない。そして、これを解決するためには、カバーがホール137を開閉するように別のヒンジを設けなければならないなど、構造が複雑となり、耐久性が低下し得る。ところで、カバーが存在しないのであれば、いくらガス排出層1362を通して液体が透過することが容易ではないとしても、ガス排出層1362を通して少量の水分が外部から浸透し得る。
【0045】
したがって、
図3に示されたように、ガス排出層1362の外側面に、疎水性を有する外部機能性層1361が形成される。ここで、ガス排出層1362の外側面とは、二次電池1が製造された際、二次電池1の外側、すなわち、電極組立体10の反対に向かう方向に形成された面をいう。
【0046】
本発明の一実施形態によると、かかる外部機能性層1361は、外側面に複数の微細突起が分布してもよい。すると、複数の微細突起が外部機能性層1361の外側面において水分の凝縮を妨害し、疎水性を有することができる。ここで、外部機能性層1361の外側面は、ガス排出層1362と接着された面の反対面をいう。微細突起の直径は50nm~10μm、好ましくは、直径が100nm~1μmであってもよい。仮に微細突起の直径が過度に小さいのであれば、疎水性が低下し得るし、直径が過度に大きいのであれば、その後にガス排出部136とパウチフィルム135との間の融着力が低下し得るためである。
【0047】
かかる微細突起が分布するために、外部機能性層1361には微細粒子が含まれ、微細粒子は、シリカ粒子、カーボンナノチューブ(CNT)、アルミナ粒子のうち少なくとも1つを含んでもよく、特にカーボンナノチューブ(CNT)を含むことが最も好ましい。ところで、外部機能性層1361は、疎水性を有しなければならないが、シリカ粒子は、親水性を有する。よって、仮に微細粒子がシリカ粒子を含むのであれば、約0.1~2wt%以下の非常に少ない量だけを含むことが好ましい。
【0048】
一方、本発明の他の実施形態によると、外部機能性層1361は、オイルまたはワックス成分を有してもよい。オイルまたはワックスは、水分と混合されない親油性を有するため、疎水性を有することができる。ここで、オイルは、フッ化炭素オイル、シリコンオイル、炭素系オイル、脂肪酸アミドのうち少なくとも1つを含んでもよく、ワックスは、パラフィンワックス、炭素系ワックスのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0049】
仮にホール137にカバーが存在しないのであれば、少量の水分だけが浸透するのではなく、ガス排出層1362を通して少量の電解液が内部から漏出し得る。よって、
図3に示されたように、ガス排出層1362の内側面に、疎水性を有する内部機能性層1363が形成されてもよい。ここで、ガス排出層1362の内側面とは、二次電池1が製造された際、二次電池1の内側、すなわち、電極組立体10に向かう方向に形成された面をいう。
【0050】
本発明の一実施形態によると、内部機能性層1363も、外側面に複数の微細突起が分布してもよい。このために、内部機能性層1363にも微細粒子が含まれ、微細粒子は、シリカ粒子、カーボンナノチューブ(CNT)、アルミナ粒子のうち少なくとも1つを含んでもよい。ここで、内部機能性層1363の外側面は、ガス排出層1362と接着された面の反対面をいう。
【0051】
一方、本発明の他の実施形態によると、内部機能性層1363は、オイルまたはワックス成分を有してもよい。ここで、オイルは、フッ化炭素オイル、シリコンオイル、炭素系オイル、脂肪酸アミドのうち少なくとも1つを含んでもよい。このように、外部機能性層1361および内部機能性層1363が形成されることで、外部の水分浸透および内部の電解液漏れをさらに効果的に防止することができる。
【0052】
図4は、本発明の一実施形態に係るガス排出部136を製造する方法を示したフローチャートである。
本発明の一実施形態に係るガス排出部136を製造する方法は、ガスが透過するガス排出層1362を備えるステップと、微細粒子および高分子溶液を撹拌して混合物を製造するステップと、前記ガス排出層1362の少なくとも一面に、前記混合物を噴射するステップと、前記混合物を乾燥するステップとを含む。
【0053】
具体的に、先ず、ガスが透過するガス排出層1362を備える(S401)。かかるガス排出層1362は、上記で記述したように、ガスは容易に透過することができるが、水、電解液などの液体は透過することが容易ではない半透膜(Semipermeable Membrane)からなることが好ましい。かかるガス排出層1362は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0054】
そして、微細粒子および高分子溶液を撹拌して混合物を製造する(S402)。ここで、微細粒子は、シリカ粒子、カーボンナノチューブ(CNT)、アルミナ粒子のうち少なくとも1つを含んでもよい。ところで、外部機能性層1361は、疎水性を有しなければならないが、シリカ粒子は、親水性を有する。よって、仮にシリカ粒子を含むのであれば、約0.1~2wt%以下の非常に少ない量だけを含むことが好ましい。そして、微細粒子の直径は50nm~10μm、好ましくは、直径が100nm~1μmであってもよい。仮に微細粒子の直径が過度に小さい場合は、疎水性が低下し得るし、直径が過度に大きい場合は、その後にガス排出部136とパウチフィルム135との間の融着力が低下し得るためである。
【0055】
高分子溶液は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のうち少なくとも1つを含んでもよい。すなわち、高分子溶液はガス排出層1362と同一または類似した材質を含むため、外部機能性層1361または内部機能性層1363がガス排出層1362に容易に積層されることができる。
【0056】
そして、ガス排出層1362の少なくとも一面に、前記混合物を噴射する(S403)。仮にガス排出層1362の外側面に噴射するのであれば、外部機能性層1361が形成され、ガス排出層1362の内側面に噴射するのであれば、内部機能性層1363が形成される。
【0057】
混合物を噴射する際には、スプレーコーティング方法を用いてもよい。例えば、ガス排出層1362から約8~15cm、特に10cm離れた距離から、ノズルを用いて約0.2~0.5MPaの圧力、特に0.4MPaの圧力で前記混合物を噴射してもよい。但し、これに制限されず、多様なコーティング方法を用いてもよい。
【0058】
その次、熱を印加して混合物を乾燥する(S404)。この際、印加する熱の温度が過度に低いと、混合物の乾燥に過度に多くの時間がかかり、温度が過度に高いと、ガス排出層1362の形状が変形し得る。よって、50~140℃、特に50~100℃の温度で熱を印加することが好ましい。
【0059】
それにより、外部機能性層1361または内部機能性層1363が形成されることができる。そして、前記S403~S404ステップは、2~4回繰り返し行われてもよい。
【0060】
図5は、本発明の一実施形態に係るパウチフィルム135の断面図である。本発明の一実施形態によると、電池ケース13にホール137が穿孔され、かかるホール137にガスが透過するガス排出部136が付着されており、二次電池1の内部圧力が増加すると、内部のガスを外部に排出して圧力を調節することができる。また、ガス排出部136に外部機能性層1361または内部機能性層1363が形成されており、外部の水分浸透および内部の電解液漏れを防止することができる。また、ガス排出部136がホール137に内側から付着されており、ホール137の内周面1371に露出されたガスバリア層1351の金属が、電解液により腐食するのを防止することができる。
【0061】
このために、本発明の一実施形態によると、二次電池1用の電池ケース13は、電極およびセパレータが積層されて形成される電極組立体10を収容する収容空間1331が備えられたカップ部133と、前記カップ部133の外側方向に延長形成されるシール部134と、前記カップ部133または前記シール部134のうち少なくとも一方に穿孔されて形成されたホール137に、内側に付着され、ガスが透過するガス排出部136とを含み、この際、前記ガス排出部136は、ガスが透過するガス排出層1362と、前記ガス排出層1362の外面に形成され、疎水性を有する外部機能性層1361とを含む。また、前記ガス排出層1362の内側面に形成され、疎水性を有する内部機能性層1363をさらに含んでもよい。
【0062】
電池ケース13を製造するために、先ず、パウチフィルム135をドローイング(Drawing)成形して延伸させ、カップ部133を形成する。かかるパウチフィルム135は、
図5に示されたように、ガスバリア層(Gas Barrier Layer)1351、表面保護層(Surface Protection Layer)1352、およびシーラント層(Sealant Layer)1353を含む。
【0063】
ガスバリア層1351は、電池ケース13の機械的強度を確保し、二次電池1外部のガスまたは水分などの出入りを遮断し、電解液の漏れを防止する。一般的に、ガスバリア層1351は、金属を含み、主にアルミニウム薄膜(Al Foil)が用いられることが好ましい。アルミニウムは、所定レベル以上の機械的強度を確保可能でありながらも、重さが軽く、電極組立体10と電解液による電気化学的性質に対する補完および放熱性などを確保することができる。但し、これに制限されず、多様な材質がガスバリア層1351に含まれてもよい。例えば、鉄(Fe)、炭素(C)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、およびアルミニウム(Al)からなる群から選択される1種以上の物質であってもよい。この際、前記ガスバリア層1351が、鉄を含む材質から製造される場合には機械的強度が向上し、アルミニウムを含む材質とする場合には柔軟性が向上するため、それぞれの特性を考慮して用いることができる。
【0064】
表面保護層1352は、ポリマーから製造され、最外層に位置して外部との摩擦および衝突から二次電池1を保護するとともに、電極組立体10を外部から電気的に絶縁させる。ここで、最外層とは、前記ガスバリア層1351を基準に電極組立体10が位置する方向の反対方向に、最も遠く位置した層をいう。かかる表面保護層1352を製造するポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アクリル系高分子、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、アラミド、ナイロン、ポリエステル、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリアリレート、テフロン(登録商標)、およびガラス繊維からなる群から選択された1種以上の物質であってもよい。特に、主に耐摩耗性および耐熱性を有するナイロン(Nylon)樹脂またはポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリマーが用いられることが好ましい。そして、表面保護層1352は、何れか1種の物質からなる単一膜構造を有するか、または2種以上の物質がそれぞれ層をなして形成された複合膜構造を有してもよい。
【0065】
シーラント層1353は、ポリマーから製造され、最内層に位置して電極組立体10と直接的に接触する。ここで、最内層とは、前記ガスバリア層1351を基準に電極組立体10が位置する方向に、最も遠く位置した層をいう。よって、ガスバリア層1351は、
図5に示されたように、表面保護層1352とシーラント層1353との間に積層される。シーラント層1353は、電極組立体10と直接的に接触するため絶縁性を有しなければならず、電解液とも接触するため耐食性を有しなければならない。また、内部を完全に密閉して内部と外部との間の物質移動を遮断しなければならないため、高いシール性を有しなければならない。すなわち、シーラント層1353同士が接着されたシール部134は、優れた熱接着強度を有しなければならない。一般的に、かかるシーラント層1353を製造するポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アクリル系高分子、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、アラミド、ナイロン、ポリエステル、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリアリレート、テフロン(登録商標)、およびガラス繊維からなる群から選択された1種以上の物質であってもよい。特に、主にポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系樹脂が用いられることが好ましい。ポリプロピレン(PP)は、引張強度、剛性、表面硬度、耐摩耗性、耐熱性などの機械的物性と、耐食性などの化学的物性に優れており、シーラント層1353を製造するのに主に用いられる。さらに、無延伸ポリプロピレン(Cated Polypropylene)またはポリプロピレン-ブチレン-エチレン三元共重合体から構成されてもよい。また、シーラント層1353は、何れか1種の物質からなる単一膜構造を有するか、または2種以上の物質がそれぞれ層をなして形成された複合膜構造を有してもよい。
【0066】
一方、ガスバリア層1351、表面保護層1352、およびシーラント層1353の間には、これらを互いに接着させる接着層1354がさらに形成されてもよい。上記のような積層構造のパウチフィルム135を、パンチなどを用いてドローイング(Drawing)成形すると、一部が延伸して袋状の収容空間1331を含むカップ部133が形成される。そして、カップ部133またはシール部134のうち少なくとも一方にホール137を穿孔する。
【0067】
ホール137が穿孔されると、
図5に示されたように、前記製造されたガスが透過するガス排出部136が前記ホール137に内側から付着される。ホール137は、1つのみ形成されてもよいが、複数で形成されてもよいため、ガス排出部136も、それに対応して、1つのみ形成されてもよいが、複数で形成されてもよい。
【0068】
この際、仮にガス排出部136が外側から付着されるのであれば、ホール137の内周面1371に露出されたガスバリア層1351の金属が、電解液により腐食し得る。よって、ガス排出部136は、前記ホール137に、内側から付着されることで、ホール137の内周面1371に露出されたガスバリア層1351の金属が、電解液により腐食するのを防止することができる。
【0069】
ガス排出部136がホール137に付着されると、ガス排出部136の外部機能性層1361がシーラント層1353の一面と接着され、特に電解液により容易に脱着されるのを防止するために、熱および圧力が印加されてシールされることが好ましい。よって、外部機能性層1361がシーラント層1353に容易にシールされるために、シーラント層1353と外部機能性層1361が同一または類似した材質を含むことが好ましい。
【0070】
カップ部133に備えられた収容空間1331に電極組立体10が内部に収容されると、電解液を注入する。その後、上部ケース131と下部ケース132を互いに接触させ、シール部134に熱圧着をすると、シーラント層1353同士が接着されることで、電池ケース13がシールされる。それにより、本発明の一実施形態に係る二次電池1を製造することができる。
【0071】
本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施可能であることを理解することができるであろう。よって、以上で記述された実施形態は、全ての面で例示的なものであって、限定的なものではないことを理解しなければならない。本発明の範囲は上記の詳細な説明よりは後述の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の意味および範囲、そしてその均等概念から導き出される多様な実施形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0072】
1 パウチ型二次電池
10 電極組立体
13 電池ケース
133 カップ部
134 シール部
135 パウチフィルム
136 ガス排出部
137 ホール
1331 収容空間
1341 内側領域
1342 外側領域
1353 シーラント層
1361 外部機能性層
1362 ガス排出層
1363 内部機能性層