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特許7466980負極、前記負極の製造方法、二次電池、および前記二次電池の製造方法
<図1>
  • 特許-負極、前記負極の製造方法、二次電池、および前記二次電池の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】負極、前記負極の製造方法、二次電池、および前記二次電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20240408BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20240408BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240408BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240408BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20240408BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20240408BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/139
H01M4/62 Z
H01M10/052
H01M10/0569
H01M10/058
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022550997
(86)(22)【出願日】2021-05-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 KR2021005534
(87)【国際公開番号】W WO2021225339
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0055339
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジ・フン・リュ
(72)【発明者】
【氏名】ジュ・リ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・ミン・キム
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-081881(JP,A)
【文献】特開2018-120706(JP,A)
【文献】国際公開第2019/208959(WO,A1)
【文献】特開平11-144711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/13
H01M 4/62
H01M 4/139
H01M 10/052
H01M 10/0569
H01M 10/0567
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極集電体と、
前記負極集電体上に配置される第1負極活物質層、および前記第1負極活物質層上に配置される第2負極活物質層を含む負極活物質層と、を含み、
前記第1負極活物質層は、エチレンカーボネートを含
前記エチレンカーボネートは、前記第1負極活物質層内に0.5重量%~15重量%で含まれる、負極。
【請求項2】
前記エチレンカーボネートは、前記第1負極活物質層内に3重量%~6重量%で含まれる、請求項1に記載の負極。
【請求項3】
前記第1負極活物質層のローディング量は、50mg/25~400mg/25である、請求項1または2に記載の負極。
【請求項4】
前記負極活物質層のローディング量は、50mg/25~600mg/25である、請求項1からの何れか一項に記載の負極。
【請求項5】
エチレンカーボネートを含む第1負極スラリーにより負極集電体上に第1負極活物質層を形成すること、および第2負極スラリーにより第2負極活物質層を形成することを含むステップを含み、
前記第2負極活物質層は、前記第1負極活物質層上に配置されている、負極の製造方法。
【請求項6】
前記エチレンカーボネートは、前記第1負極スラリーの固形分中に0.5重量%~15重量%で含まれる、請求項に記載の負極の製造方法。
【請求項7】
前記エチレンカーボネートは固相である、請求項またはに記載の負極の製造方法。
【請求項8】
負極、正極、セパレータ、および電解液を含み、
前記負極は、
負極集電体と、
前記負極集電体上に配置される第1負極活物質層と、
前記第1負極活物質層上に配置される第2負極活物質層と、を含み、
前記第1負極活物質層は、エチレンカーボネートを含
前記エチレンカーボネートは、前記第1負極活物質層内に0.5重量%~15重量%で含まれる、二次電池。
【請求項9】
前記第1負極活物質層は、孔隙を含み、
前記第1負極活物質層の孔隙率は、前記第2負極活物質層の孔隙率よりも1%~5%さらに大きい、請求項に記載の二次電池。
【請求項10】
前記電解液は、有機溶媒を含み、
前記有機溶媒は、エチレンカーボネートを含む、請求項8または9に記載の二次電池。
【請求項11】
請求項1からの何れか一項に記載の負極、正極、およびセパレータを含む電極組立体を製造するステップと、
前記電極組立体を電解液に含浸させるステップと、を含む、二次電池の製造方法。
【請求項12】
前記電解液は、有機溶媒を含み、
前記有機溶媒は、エチレンカーボネートを含む、請求項11に記載の二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年05月08日付けの韓国特許出願第10-2020-0055339号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、第1負極活物質層および第2負極活物質層を有し、集電体に近い前記第1負極活物質層がエチレンカーボネートを含む負極、その製造方法、それと関連した二次電池、および前記二次電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、モバイル機器に対する技術開発および需要が増加するにつれて、エネルギー源としての電池の需要が急激に増加し、そのため、多様な要求に応じ得る電池に対する研究が多様に行われている。特に、このような装置の電源として、高いエネルギー密度を有しながらも、優れた寿命およびサイクル特性を有するリチウム二次電池に対する研究が活発に行われている。
【0004】
リチウム二次電池は、リチウムイオンの挿入/脱離が可能な正極活物質を含む正極、リチウムイオンの挿入/脱離が可能な負極活物質を含む負極、および前記正極と負極との間に介在された微多孔性セパレータを含む電極組立体にリチウムイオンを含有した電解液が含まれている電池を意味する。
【0005】
前記電極組立体が形成されると、前記電極組立体をケースに入れた後、前記ケースに前記電解液を注入して前記電極組立体を電解液に含浸させる。この際、前記電解液は、前記負極が濡れるようにし、前記負極内でリチウムイオンの移動性を高めるのに寄与する。
【0006】
ただし、前記負極のエネルギー密度を高めるために、前記負極内の負極活物質層のローディング量を高く設定すると、前記電解液が前記負極の内部に容易に移動することが難しくなるため、前記負極の電解液濡れ性(wetting)が顕著に低くなることになる。電解液濡れ性が低くなると、前記負極の表面にSEI層が均一に生成されることができず、負極内の性能不均一が発生するため、二次電池の寿命および安定性が劣化する。また、低い電解液濡れ性は、生産工程の効率性を低下させる。
【0007】
従来は、電解液濡れ性を改善させるために負極活物質層を2つの層に形成させたが、このような方法だけでは、集電体に近い負極活物質層の電解液濡れ性を改善するには限界があった。
【0008】
したがって、本明細書においては、電解液濡れ性を飛躍的に増加させることができる負極、前記負極の製造方法、二次電池、および前記二次電池の製造方法に関して説明することにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする1つの課題は、電解液濡れ性を向上させることができる負極およびその製造方法を提供することにある。
本発明が解決しようとする他の課題は、電解液濡れ性が改善された二次電池およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によると、負極集電体と、前記負極集電体上に配置される第1負極活物質層、および前記第1負極活物質層上に配置される第2負極活物質層を含む負極活物質層と、を含み、前記第1負極活物質層は、エチレンカーボネートを含む、負極が提供される。
【0011】
本発明の他の実施形態によると、エチレンカーボネートを含む第1負極スラリーにより負極集電体上に第1負極活物質層を形成すること、および第2負極スラリーにより第2負極活物質層を形成することを含むステップを含み、前記第2負極活物質層は、前記第1負極活物質層上に配置されている、負極の製造方法が提供される。
【0012】
本発明のまた他の実施形態によると、負極、正極、セパレータ、および電解液を含み、前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体上に配置される第1負極活物質層と、前記第1負極活物質層上に配置される第2負極活物質層と、を含み、前記第1負極活物質層は、エチレンカーボネートを含む、二次電池が提供される。
【0013】
本発明のさらに他の実施形態によると、前記実施形態の負極、正極、およびセパレータを含む電極組立体を製造するステップと、前記電極組立体を電解液に含浸させるステップと、を含む、二次電池の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る負極は、第1負極活物質層および第2負極活物質層を含み、集電体に近い第1負極活物質層がエチレンカーボネートを含む。これにより、二次電池内で前記負極に電解液が浸透すると、前記エチレンカーボネートが液相に変わり、液相に変わったエチレンカーボネートは、その周辺に隣接した他のエチレンカーボネートも液相に変化させる。エチレンカーボネートのこのような連鎖的な変化により、前記電解液が負極の内部に容易に浸透可能な濡れ性の経路が形成できるため、電解液濡れ性を飛躍的に改善することができる。また、前記エチレンカーボネートは、イオン伝導性が高いため、負極内のリチウムイオンの移動性を向上させ、負極表面のSEI層が均一に形成されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態の負極の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書および請求の範囲で用いられている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈すべきである。
【0017】
本明細書で用いられている用語は、単に例示的な実施形態を説明するために用いられたものであって、本発明を限定しようとするものではない。単数の表現は、文脈上、明らかに他を意味しない限り、複数の表現を含む。
【0018】
本明細書において、「含む」、「備える」、または「有する」などの用語は、実施された特徴、数字、ステップ、構成要素、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除するものではないことを理解しなければならない。
【0019】
本明細書において、「%」は、明らかに他の表示がない限り、重量%を意味する。
本明細書において、「比表面積」は、BET法により測定したものであって、具体的には、BEL Japan社のBELSORP-mini IIを用いて、液体窒素温度下(77K)での窒素ガス吸着量から算出することができる。
【0020】
本明細書において、平均粒径(D50)は、粒子の粒径分布曲線において、体積累積量の50%に該当する粒径に定義することができる。前記平均粒径(D50)は、例えば、レーザ回折法(laser diffraction method)を用いて測定することができる。前記レーザ回折法は、一般にサブミクロン(submicron)領域から数mm程度の粒径の測定が可能であり、高再現性および高分解性の結果を得ることができる。
【0021】
本明細書において、孔隙率は、次のような方法により確認することができる。製造された二次電池を分解した後、負極に対してイオンミリング(ion-milling)を適用して第1負極活物質層および第2負極活物質層の断面厚さをそれぞれSEMで確認し、前記厚さから第1負極活物質層および前記第2負極活物質層それぞれのバルク体積(bulk volume)を導出する。その後、第2負極活物質層を引っかいて除去して第1負極活物質層の重さおよび第2負極活物質層の重さを測定した後、それぞれのローディング量(質量/面積)を計算する。その後、各層の重さを各層の負極活物質の密度で割って真の体積(true volume)を求める。その後、[(バルク体積-真の体積)/バルク体積]×100により、各層の孔隙率を計算する。
【0022】
以下、本発明について具体的に説明する。
1.負極
本発明の一実施形態に係る負極は、負極集電体と、前記負極集電体上に配置される第1負極活物質層、および前記第1負極活物質層上に配置される第2負極活物質層を含む負極活物質層と、を含み、前記第1負極活物質層は、エチレンカーボネートを含んでもよい。
【0023】
前記負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せず、且つ、導電性を有するものであればよく、特に制限されるものではない。例えば、前記負極集電体としては、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものが用いられてもよい。具体的には、銅、ニッケルのような炭素をよく吸着する遷移金属を負極集電体として用いてもよい。
【0024】
前記負極は、負極活物質層を含んでもよい。前記負極活物質層は、前記負極集電体の一面または両面上に配置されてもよい。前記負極活物質層のローディング量は、50mg/25m~600mg/25mであってもよく、具体的には、400mg/25cm~600mg/25cmであってもよい。このようなローディング量は、一般的な負極活物質層のローディング量よりも高いレベルを意味する。
【0025】
図1を参照すると、前記負極活物質層は、第1負極活物質層210および第2負極活物質層220を含んでもよい。前記第1負極活物質層210は、前記負極集電体100上に配置されてもよく、具体的には、前記負極集電体100と接してもよい。前記第2負極活物質層220は、前記第1負極活物質層210上に配置されてもよく、前記第1負極活物質層210は、前記第2負極活物質層220と前記負極集電体100との間に配置されてもよい。前記第1負極活物質層210および前記第2負極活物質層220は、それぞれ準備したスラリーにより形成されるため、前記第1負極活物質層210と前記第2負極活物質層220との間には境界面が形成されることができる。
【0026】
前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層は、それぞれ負極活物質を含んでもよい。前記負極活物質は、当該技術分野で一般的に用いられる負極活物質であってもよく、その種類は特に限定されない。前記第1負極活物質層の負極活物質と前記第2負極活物質層の負極活物質は、同じでも異なってもよい。
【0027】
前記負極活物質は、炭素系活物質およびシリコン系活物質のうち少なくともいずれか1つであってもよい。前記炭素系活物質粒子としては、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化炭素繊維、および黒鉛化メソカーボンマイクロビーズからなる群から選択される1種以上を用いてもよく、特に人造黒鉛を用いる場合にレート特性を改善することができる。前記シリコン系活物質としては、SiO(0≦X<2)、Si-C複合体、およびSi-Y合金(ここで、Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、13族元素、14族元素、希土類元素、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される元素である)からなる群から選択される1種以上を用いてもよい。
【0028】
前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層は、それぞれバインダーをさらに含んでもよい。前記第1負極活物質層のバインダーと前記第2負極活物質層のバインダーは、同じでも異なってもよい。前記バインダーは、負極活物質の間または負極活物質と集電体との接着力を確保するためのものであって、当該技術分野で用いられる一般的なバインダーが用いられてもよく、その種類は特に限定されない。
【0029】
前記バインダーとしては、例えば、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose:CMC)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはこれらの多様な共重合体などが挙げられ、この中の1種の単独または2種以上の混合物が用いられてもよい。
【0030】
前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層は、それぞれ導電材をさらに含んでもよい。前記導電材は、当該技術分野で一般的に用いられる導電材であってもよく、その種類は特に限定されない。前記第1負極活物質層の導電材と前記第2負極活物質層の導電材は、同じでも異なってもよい。
【0031】
前記導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せず、且つ、導電性を有するものであれば、特に制限されず、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;カーボンナノチューブなどの導電性チューブ;フルオロカーボン;アルミニウム、ニッケルなどの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが用いられてもよい。
【0032】
前記第1負極活物質層のローディング量は、50mg/25cm~400mg/25cmであってもよく、具体的には、100mg/25cm~300mg/25cmであってもよく、より具体的には、150mg/25cm~250mg/25cmであってもよい。このようなローディング量は、一般的な負極活物質層全体のローディング量と類似したレベルであり、第2負極活物質層まで追加されると、一般的な負極活物質層よりも高いローディング量の負極活物質層が形成される。本発明においては、第1負極活物質層がエチレンカーボネートを含むため、前記電解液濡れ性の低下問題を解決することができるため、全体負極活物質層のローディング量は高いレベルであってもよい。
【0033】
前記第1負極活物質層は、エチレンカーボネートを含んでもよい。前記エチレンカーボネートは、常温で固相であるため、第1負極活物質層に含ませるのに有利である。また、前記固相のエチレンカーボネートは、負極が電解液に含浸される際に液相に変わるが、前記液相のエチレンカーボネートは、電解液の濡れ性の経路の役割をし、前記第1負極活物質層に孔隙を形成させ、前記負極の電解液濡れ性を飛躍的に向上させる。また、前記エチレンカーボネートは、高いイオン伝導性を有するため、負極内のリチウムイオンの移動性を向上させ、負極上にSEI層が均一に形成されることができる。これは、二次電池の寿命および安定性の向上につながる。
【0034】
前記エチレンカーボネートは、前記第1負極活物質層内に0.5重量%~15重量%で含まれてもよく、具体的には、2重量%~10重量%で含まれてもよく、より具体的には、3重量%~6重量%で含まれてもよい。前記範囲を満たす場合、電解液濡れ性の改善効果が極大化されることができる。
【0035】
前記第2負極活物質層は、エチレンカーボネートを含まなくてもよい。その場合、第2負極活物質層内の負極活物質の割合が増加し得るし、第2負極活物質層の厚さを減らすことができるため、エネルギー密度が改善されることができる。
【0036】
2.負極の製造方法
本発明の他の実施形態に係る負極の製造方法は、エチレンカーボネートを含む第1負極スラリーにより負極集電体上に第1負極活物質層を形成すること、および第2負極スラリーにより第2負極活物質層を形成することを含むステップを含み、前記第2負極活物質層は、前記第1負極活物質層上に配置されてもよい。これにより製造される負極は、上述した実施形態の負極と同一であってもよい。前記エチレンカーボネート、前記負極集電体、前記第1負極活物質層、前記第2負極活物質層は、負極に関する上述した実施形態にて説明したエチレンカーボネート、負極集電体、第1負極活物質層、第2負極活物質層と同様であるため、その説明は省略する。
【0037】
前記第1負極スラリーおよび前記第2負極スラリーは、それぞれ負極活物質および溶媒を含んでもよい。また、前記第1負極スラリーおよび前記第2負極スラリーは、それぞれバインダーおよび導電材をさらに含んでもよい。前記負極活物質、前記バインダー、および前記導電材は、上述した実施形態にて説明した負極活物質、バインダー、および導電材と同様であるため、その説明は省略する。
【0038】
前記溶媒としては、例えば、水、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチルピロリドン(NMP)などのアミド系極性有機溶媒;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)、1-ブタノール(n-ブタノール)、2-メチル-1-プロパノール(イソブタノール)、2-ブタノール(sec-ブタノール)、1-メチル-2-プロパノール(tert-ブタノール)、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、またはオクタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、またはヘキシレングリコールなどのグリコール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、またはソルビトールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、またはテトラエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、またはシクロペンタノンなどのケトン類;酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、およびε-プロピオラクトンなどのエステル類などが挙げられ、これらのいずれか1つまたは2つ以上の混合物が用いられてもよい。
【0039】
前記第1負極スラリーは、エチレンカーボネートを含んでもよい。前記第1負極スラリーは、負極活物質およびエチレンカーボネートを溶媒に混合および撹拌して形成されてもよく、場合によっては、負極活物質およびエチレンカーボネートに加え、バインダーおよび/または導電材をさらに混合および撹拌してもよい。一方、前記第2負極スラリーは、エチレンカーボネートを含まなくてもよい。具体的に、前記第2負極スラリーは、前記負極活物質を溶媒に混合および撹拌して形成されてもよく、場合によっては、負極活物質に加え、バインダーおよび/または導電材をさらに混合および撹拌してもよい。
【0040】
前記第1負極スラリーの製造時にエチレンカーボネートが含まれ、前記エチレンカーボネートは、固相(solid phase)であってもよい。液相ではなく固相としてエチレンカーボネートが第1負極スラリーに含まれるため、工程を簡便にすることができる。具体的に、前記エチレンカーボネートが液相であると、前記エチレンカーボネートの計量およびスラリー製造工程が難しいところ、製造時に固相として存在するエチレンカーボネートを用いることが好ましい。
【0041】
前記エチレンカーボネートは、前記第1負極スラリーの固形分中に0.5重量%~15重量%で含まれてもよく、具体的には、2重量%~10重量%で含まれてもよく、より具体的には、3重量%~6重量%で含まれてもよい。前記範囲を満たす場合、電解液濡れ性の改善効果が極大化されることができる。
【0042】
前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層は、次のような方法で製造されてもよいが、これに限定されない。
第1方法として、前記第1負極スラリーを前記負極集電体上に塗布および乾燥させて前記第1負極活物質層を形成した後、前記第1負極活物質層上に前記第2負極スラリーを塗布および乾燥させて前記第2負極活物質層を形成してもよい。圧延工程は、前記第1負極スラリーの乾燥直後と第2負極スラリーの乾燥直後に行われてもよく、第2負極スラリーの乾燥後にのみ行われてもよい。
【0043】
第2方法として、前記第1負極スラリーおよび前記第2負極スラリーを前記負極集電体上に順次塗布した後に乾燥して圧延し、第1負極活物質層および第2負極活物質層を形成してもよい。
【0044】
3.二次電池
本発明のまた他の実施形態に係る二次電池は、負極および電解液を含み、
前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体上に配置される第1負極活物質層と、前記第1負極活物質層上に配置される第2負極活物質層と、を含み、前記第1負極活物質層は、エチレンカーボネートを含んでもよい。前記負極集電体および前記第2負極活物質層は、負極に関して上述した実施形態の負極集電体および第2負極活物質層と同様であるため、その説明は省略する。
【0045】
前記負極は、上述した実施形態の負極と同様に、負極集電体、第1負極活物質層、および第2負極活物質層を含む。ただし、前記第1負極活物質層に含まれた前記エチレンカーボネートが液相(solid phase)であるという点で、上述した実施形態の負極とは相違がある。
【0046】
前記電解液に前記負極が含浸される前に、前記負極に含まれたエチレンカーボネートは固相である。前記負極が二次電池の製造時に前記電解液により含浸されると、前記エチレンカーボネートは、前記電解液により溶けて液相となる。液相となった前記エチレンカーボネートは、隣接した他の固相のエチレンカーボネートを溶かし、このような反応が連鎖的に発生することになる。結局、製造された二次電池内に含まれる負極に含まれたエチレンカーボネートは、液相として存在することになる。これにより、液相の前記エチレンカーボネートは、電解液の濡れ性の経路の役割をし、前記第1負極活物質層に孔隙を形成させ、前記負極の電解液の濡れ性を飛躍的に向上させる。また、前記エチレンカーボネートは、高いイオン伝導性を有するため、負極内のリチウムイオンの移動性を向上させ、負極上にSEI層が均一に形成されることができる。これは、二次電池の寿命および安定性の向上につながる。
【0047】
前記第1負極活物質層および第2負極活物質層は、いずれも孔隙を含む。前記第1負極活物質層の孔隙率は、前記第2負極活物質層の孔隙率よりも1%~5%さらに大きくてもよく、具体的には、2%~3%さらに大きくてもよい。前記孔隙の内部は、電解液および前記液相のエチレンカーボネートを含んでもよい。前記第1負極活物質層の製造時に固相のエチレンカーボネートが存在し、前記エチレンカーボネートが液相に変わるにつれて生じた第1負極活物質層の多量の孔隙により前記孔隙率の差が現れ得る。
【0048】
前記正極は、正極活物質を含んでもよい。前記正極活物質は、通常用いられる正極活物質であってもよい。具体的に、前記正極活物質は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物や、1またはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;LiFeなどのリチウム鉄酸化物;化学式Li1+c1Mn2-c1(0≦c1≦0.33)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(LiCuO);LiV、V、Cuなどのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-c2c2(ここで、Mは、Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BおよびGaからなる群から選択された少なくともいずれか1つであり、0.01≦c2≦0.3を満たす。)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-c3c3(ここで、Mは、Co、Ni、Fe、Cr、ZnおよびTaからなる群から選択された少なくともいずれか1つであり、0.01≦c3≦0.1を満たす。)、またはLiMnMO(ここで、Mは、Fe、Co、Ni、CuおよびZnからなる群から選択された少なくともいずれか1つである。)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMnなどが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。前記正極は、Li金属(Li-metal)であってもよい。
【0049】
セパレータとしては、負極と正極を分離しリチウムイオンの移動通路を提供するものであって、通常、二次電池においてセパレータとして用いられるものであれば特に制限されずに使用可能であり、特に電解質のイオン移動に対して低抵抗であり、且つ、電解液含湿能力に優れることが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、およびエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子から製造した多孔性高分子フィルム、またはこれらの2層以上の積層構造体が用いられてもよい。また、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が用いられてもよい。また、耐熱性または機械的強度を確保するためにセラミック成分または高分子物質含みのコーティングされたセパレータが用いられてもよく、選択的に単層または多層構造として用いられてもよい。
【0050】
前記電解液は、非水系有機溶媒および金属塩を含んでもよい。
前記非水系有機溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が用いられてもよい。
【0051】
特に、前記カーボネート系有機溶媒のうち環状カーボネートであるエチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートは、高粘度の有機溶媒として誘電率が高くてリチウム塩をよく解離させるため好ましく用いることができ、このような環状カーボネートにジメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートのような低粘度、低誘電率の直鎖状カーボネートを適した割合で混合して用いると、高い電気伝導率を有する電解質を作製することができるためさらに好ましく用いることができる。
【0052】
より好ましくは、前記有機溶媒は、エチレンカーボネートを含んでもよい。電解液がエチレンカーボネートを含む場合、第1負極活物質層に存在するエチレンカーボネートが濃度差により電解液に過度に拡散する現象を抑制することができるので、第1負極活物質層におけるエチレンカーボネートの残留量を高めることができるため、上述した効果がさらに改善されることができる。
【0053】
前記金属塩としては、リチウム塩を用いてもよく、前記リチウム塩は、前記非水電解液に溶解されやすい物質であって、例えば、前記リチウム塩のアニオンとしては、F、Cl、I、NO 、N(CN) 、BF 、ClO 、PF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF、(CF、CFSO 、CFCFSO 、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO 、CFCO 、CHCO 、SCN、および(CFCFSOからなる群から選択される1種以上を用いてもよい。
【0054】
前記電解液には、前記電解液の構成成分の他にも電池の寿命特性の向上、電池容量の減少抑制、電池の放電容量の向上などを目的に、例えば、ジフルオロエチレンカーボネートなどのようなハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グリム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、または三塩化アルミニウムなどの添加剤が1種以上さらに含まれてもよい。
【0055】
4.二次電池の製造方法
本発明のさらに他の実施形態に係る二次電池の製造方法は、負極、正極、およびセパレータを含む電極組立体を製造するステップと、前記電極組立体を電解液に含浸させるステップと、を含んでもよい。前記負極は、負極に関して上述した実施形態の負極と同様である。また、前記正極、前記セパレータ、前記電解液は、二次電池に関して上述した実施形態の正極およびセパレータと同様であるため、その説明は省略する。
【0056】
前記電極組立体内で前記セパレータは、前記負極と前記正極との間に配置され、前記負極と前記正極を電気的に断線させる役割をする。前記負極と前記正極が複数である場合にも、前記負極と前記正極は、セパレータを間に置いて交互に積層され、互いに絶縁されている。
【0057】
前記電極組立体が製造されると、前記電極組立体をケースに入れた後、電解液を注入して前記電極組立体を前記電解液に含浸させる。これにより、前記負極に含まれていた固相のエチレンカーボネートが液相に変わることになる。前記液相のエチレンカーボネートおよび前記固相のエチレンカーボネートが液相に変わるにつれて形成された孔隙は、前記電解液が前記負極の内部にさらに容易に浸透するようにすることができる。
【0058】
前記電解液は、上述した実施形態の電解液と同様である。具体的に、前記電解液は、有機溶媒を含み、前記有機溶媒は、エチレンカーボネートを含んでもよい。
【0059】
本発明のさらに他の実施形態によると、前記二次電池を単位セルとして含む電池モジュールおよびそれを含む電池パックを提供する。前記電池モジュールおよび電池パックは、高容量、高いレート特性、およびサイクル特性を有する前記二次電池を含むため、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグ-インハイブリッド電気自動車、および電力貯蔵用システムからなる群から選択される中大型デバイスの電源として用いられることができる。
【0060】
以下、具体的な実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。
実施例および比較例
実施例1:負極および二次電池の製造
(1)負極の製造
負極活物質として人造黒鉛、バインダーとしてカルボキシメチルセルロース(CMC)とスチレンブタジエンゴム(SBR)、導電材としてスーパーP(Super P)、および固相のエチレンカーボネートを溶媒である水に混合および撹拌し、第1負極スラリーを製造した。前記第1負極スラリー中の前記負極活物質、バインダー、導電材、およびエチレンカーボネートの重量比は91:4:1:4であった。
【0061】
一方、負極活物質として人造黒鉛、バインダーとしてCMCとSBR、および導電材としてスーパーPを溶媒である水に混合および撹拌し、第2負極スラリーを製造した。前記第2負極スラリー中の前記負極活物質、バインダー、および導電材の重量比は95:4:1であった。
【0062】
前記第1負極スラリーを厚さが8μmの銅集電体の両面に塗布および乾燥させた。この際、循環する空気の温度は80℃~110℃であった。その後、乾燥された前記第1負極スラリー上に前記第2負極スラリーを塗布および乾燥させた。この際、循環する空気の温度は80℃~110℃であった。
【0063】
その後、前記第1負極スラリーおよび前記第2負極スラリーが乾燥された状態で存在する銅集電体を圧延(roll press)し、60℃の真空オーブンで24時間乾燥させ、負極を製造した。
【0064】
前記負極内で前記第1負極活物質層のローディング量は200mg/25cmであり、前記第1負極活物質層内に前記エチレンカーボネートは4重量%で含まれた。前記第2負極活物質層のローディング量は250mg/25cm~300mg/25cmレベルであり、そこで、全体負極活物質層のローディング量は450mg/25cm~500mg/25cmであった。
【0065】
(2)二次電池の製造
非水溶媒にLi[Ni0.8Co0.1Mn0.1]O、カーボンブラック、およびPVDFを混合して正極スラリーを製造した後、前記正極スラリーを集電体の両面に塗布した後に乾燥して圧延し、正極活物質層を含む正極を製造した。前記正極活物質層において、Li[Ni0.8Co0.1Mn0.1]Oは95重量%、カーボンブラック(導電材)は2.5重量%、PVDFは2.5重量%で含まれた。
【0066】
セパレータとしては、PVDFコーティング層を含む多孔性ポリエチレンを用いた。
前記セパレータの一面に正極を、他面に負極を位置させた後、貼り合わせて電極組立体を製造した。この際、電極組立体を80℃、5kgf/cmの条件でロール(roll)ラミネート(laminate)した。
【0067】
電解液は、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートが3:7の体積比で含まれた有機溶媒に、1.0M濃度のリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF)を溶解させて製造された。
前記製造された電極組立体をパウチ型電池ケースに収納し、前記電解液を注入して二次電池を製造した。
【0068】
前記二次電池内で前記第1負極活物質層の孔隙率は30%であり、前記第2負極活物質層の孔隙率は28%であった。また、負極内のエチレンカーボネートは、液相として存在していた。
【0069】
実施例2:負極の製造
第1負極スラリーに投入されるエチレンカーボネートの含量を異にし、前記第1負極活物質層内にエチレンカーボネートが6重量%で含まれるようにしたことを除いては、実施例1と同様の方法で負極および二次電池を製造した。
【0070】
実施例3:負極の製造
第1負極スラリーに投入されるエチレンカーボネートの含量を異にし、前記第1負極活物質層内にエチレンカーボネートが2重量%で含まれるようにしたことを除いては、実施例1と同様の方法で負極および二次電池を製造した。
【0071】
比較例1:負極の製造
第1負極スラリーの製造時にエチレンカーボネートを投入していないことを除いては、実施例1と同様の方法で負極および二次電池を製造した。
【0072】
実験例1:二次電池の寿命特性(容量維持率)および抵抗の評価
実施例および比較例の二次電池に対して、SOC 0%からSOC 95%まで充電範囲を定めた後(2.5V~4.2V)、1番目のサイクルは、0.2Cの電流速度で充電および放電させつつ放電容量を測定した。2番目のサイクルは、0.5Cの電流速度でSOC 50%まで充電した後、2.5Cで10秒間瞬間放電させ、3番目から100番目のサイクルまで0.5Cの電流速度で充電および放電させた後、容量維持率を確認した。容量維持率は、3番目のサイクル放電容量を100%としたときを基準とし、100番目のサイクルの放電容量から容量維持率を評価し、それを表1に示した。また、100番目のサイクル以後に発生する電圧の減少を印加電流で割って抵抗を計算(DCIR測定法)した後、表1に示した。
【0073】
容量維持率=(100番目のサイクル後の放電容量/3番目のサイクル後の放電容量)×100
【0074】
【表1】
【符号の説明】
【0075】
100:集電体
210:第1負極活物質層
220:第2負極活物質層
図1