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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】周辺監視システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019218018
(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公開番号】P2021089470
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩美
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-251287(JP,A)
【文献】特開2012-022589(JP,A)
【文献】特開2008-082822(JP,A)
【文献】特開2018-148530(JP,A)
【文献】特開2001-175992(JP,A)
【文献】特開2008-013070(JP,A)
【文献】特開2013-225226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車周辺の他車の情報を提示する周辺監視システムであって、
前記自動車周辺の他車を認識する他車認識手段と、
前記自動車のドライバーの前記自動車周辺の他車の注視状況を検出する注視状況検出手段と、
前記他車認識手段が認識した他車の情報を前記ドライバーに提示する他車情報提示手段とを有し、
前記他車情報提示手段は、前記他車認識手段が認識した各他車の注視程度を、過去所定期間中に当該他車を注視した回数が大きくなるほど大きくなり、過去所定期間中に当該他車を注視した期間の時間長の合計が大きくなるほど大きくなるように、前記注視状況検出手段が検出した注視状況に基づいて算定し、算定した注視程度が所定のレベルより大きい他車を監視対象他車に設定し、継続的に前記監視対象他車の情報を提示することを特徴とする周辺監視システム。
【請求項2】
請求項1記載の周辺監視システムであって、
前記他車情報提示手段は、監視対象他車の情報の提示を当該情報を表す音声出力により行うと共に、前記他車認識手段が認識した他車のうちの監視対象他車でない他車の情報の音声出力による提示は行わないことを特徴とする周辺監視システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の周辺監視システムであって、
前記他車認識手段は、前記自動車周辺の他車の挙動を検出し、
前記他車情報提示手段は、前記他車認識手段が検出している前記監視対象他車の所定の挙動が発生したときに、当該挙動の発生を当該監視対象他車の情報として提示することを特徴とする周辺監視システム。
【請求項4】
請求項1または2記載の周辺監視システムであって、
前記他車情報提示手段は、前記算定した注視程度が、前記所定のレベルより大きいレベルである第1レベルより大きい前記監視対象他車の情報を、前記算定した注視程度が、前記所定のレベルより大きく前記第1レベルより大きくない前記監視対象他車の情報よりも、よりきめ細かく提示することを特徴とする周辺監視システム。
【請求項5】
請求項4記載の周辺監視システムであって、
前記他車認識手段は、前記自動車周辺の他車の挙動を検出し、
前記他車情報提示手段は、前記注視程度が前記所定のレベルより大きく前記第1レベルより大きくない前記監視対象他車の予め第1グループに分類した挙動が発生したときに、当該挙動の発生を当該監視対象他車の情報として音声出力により提示し、前記注視程度が前記第1レベルより大きい前記監視対象他車の前記第1グループに分類した挙動と予め第2グループに分類した挙動のいずれかが発生したときに、当該挙動の発生を当該監視対象他車の情報として音声出力により提示し、
前記第1グループに分類された挙動と、前記第2グループに分類された挙動とは異なることを特徴とする周辺監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車周辺の他車の情報を提示する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車周辺の他車の情報を提示する技術としては、自動車周辺の他車の監視を行うシステムにおいて、ユーザが指定した他車や危険走行している他車を危険車両に設定して、危険車両の識別情報を記憶しておき、その後、危険車両の情報をドライバーに対して通知する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-76030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した技術によれば、ユーザが指定した他車を危険車両として設定する場合には、一々、危険車両として設定する他車をドライバーが指定する操作を行う必要があるため煩雑であり、危険走行している他車を自動的に危険車両に設定する場合には、危険車両に自動設定された他車以外の他車にドライバーが関心を持っていても、その他車の情報は提示されないこととなる。
【0005】
また、他車毎に、ドライバーが他車に持つ関心の強さは異なり、関心を強さに応じて、ドライバーが知得することを望む他車の情報の内容も異なる。しかし、上述した技術では、他車の情報として、ドライバーの関心の強さに応じた適切な内容の情報を提示することはできない。
【0006】
そこで、本発明は、ドライバーに煩雑な作業を課すことなく、ドライバーに当該ドライバーが真に関心をもっている他車の情報を提示することを課題とする。
また、併せて本発明は、ドライバーが関心をもっている他車の情報として、当該関心の強さに適した内容の情報をドライバーに提示することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題達成のために、本発明は、自動車周辺の他車の情報を提示する周辺監視システムに、前記自動車周辺の他車を認識する他車認識手段と、前記自動車のドライバーの前記自動車周辺の他車の注視状況を検出する注視状況検出手段と、前記他車認識手段が認識した他車の情報を前記ドライバーに提示する他車情報提示手段とを備えたものである。ただし、前記他車情報提示手段は、前記他車認識手段が認識した他車のうち、前記注視状況検出手段が検出している注視状況が表すドライバーが注視している程度である注視程度が所定のレベルより大きい他車を監視対象他車に設定し、継続的に前記監視対象他車の情報を提示するものである。
【0008】
ここで、このような周辺監視システムは、前記他車情報提示手段において、監視対象他車の情報の提示を当該情報を表す音声出力により行うと共に、前記他車認識手段が認識した他車のうちの監視対象他車でない他車の情報の音声出力による提示は行わないように構成してもよい。
【0009】
また、このような周辺監視システムは、前記他車認識手段において、前記自動車周辺の他車の挙動を検出し、前記他車情報提示手段において、前記他車認識手段が検出している前記監視対象他車の所定の挙動が発生したときに、当該挙動の発生を当該監視対象他車の情報として提示するように構成してもよい。
【0010】
このような周辺監視システムによれば、ドライバーが注視している程度が大きい他車を自動的に監視対象他車に設定して、その情報を提示する。ここで、ドライバーが注視している程度が大きい他車は、ドライバーが関心を示している他車であるので、本周辺監視システムによれば、ドライバーの煩雑な操作を必要とすることなく、ドライバーが真に関心をもっている他車の情報をドライバーに提示することができる。
【0011】
また、本発明は、前記課題達成のために、自動車周辺の他車の情報を提示する周辺監視システムに、前記自動車周辺の他車を認識する他車認識手段と、前記自動車のドライバーの前記自動車周辺の他車の注視状況を検出する注視状況検出手段と、前記他車認識手段が認識した他車の情報を前記ドライバーに提示する他車情報提示手段とを備えたものである。ただし、前記他車情報提示手段は、前記他車認識手段が認識した他車のうち、前記注視状況検出手段が検出している注視状況が表すドライバーが注視している程度である注視程度が所定のレベルである第1レベルより大きい他車の情報を、前記注視程度が前記第1レベルより大きくない他車の情報よりも、よりきめ細かく提示するものである。
【0012】
ここで、このような周辺監視システムは、前記他車情報提示手段において、前記他車認識手段が認識した他車のうち、前記注視程度が前記第1レベルより小さいレベルである第2レベルより大きい他車の情報を提示すると共に、前記注視程度が前記第1レベルより大きい他車の情報を、前記注視程度が前記第2レベルより大きく前記第1レベルより大きくない他車の情報よりも、よりきめ細かく提示するように構成してもよい。
【0013】
また、この場合には、前記他車情報提示手段において、他車の情報の提示を当該情報を表す音声出力により行うと共に、前記注視程度が前記第2レベルより大きくない他車の情報の音声出力による提示は行わないようにしてもよい。
【0014】
また、さらに、前記他車認識手段において、前記自動車周辺の他車の挙動を検出し、前記他車情報提示手段において、前記他車認識手段が認識した他車のうち、前記注視程度が前記第2レベルより大きく前記第1レベルより大きくない他車の予め第1グループに分類した挙動が発生したときに、当該挙動の発生を当該他車の情報として音声出力により提示し、前記注視程度が前記第1レベルより大きい他車の前記第1グループに分類した挙動と予め第2グループに分類した挙動のいずれかが発生したときに、当該挙動の発生を当該他車の情報として音声出力により提示するようにしてもよい。ただし、前記第1グループに分類された挙動と、前記第2グループに分類された挙動とは異なるものである。
【0015】
ここで、以上の周辺監視システムにおいて、前記他車情報提示手段は、前記注視程度を、注視した回数が大きくなるほど大きくなり、注視した期間の時間長が大きくなるほど大きくなるように算定してもよい。
【0016】
このような周辺監視システムによれば、ドライバーが注視している程度が大きい他車を自動的に抽出して、その情報を提示する。ここで、ドライバーが注視している程度が大きい他車は、ドライバーが関心を示している他車であるので、本周辺監視システムによれば、ドライバーの煩雑な操作を必要とすることなく、ドライバーが真に関心をもっている他車の情報を、ドライバーに提示することができる。また、注視している程度が大きい他車、すなわち、ドライバーが関心を示している程度が大きい他車ほど、よりきめ細かく、その情報を提示するので、ドライバーの関心の強さに適した内容の情報をドライバーに提示することができる。
【0017】
また、前記課題達成のために、本発明は、自動車周辺の他車の情報を提示する周辺監視システムに、前記自動車周辺の他車を認識する他車認識手段と、前記自動車のドライバーの前記自動車周辺の他車に関心を払う行動の発生を検出する行動検出手段と、前記他車認識手段が認識した他車の情報を前記ドライバーに提示する他車情報提示手段とを設けたものである。ただし、前記他車情報提示手段は、前記他車認識手段が認識した他車のうち、前記行動検出手段が当該他車に対する関心を払う行動の発生を検出した他車を監視対象他車に設定し、継続的に前記監視対象他車の情報を提示するものである。
【0018】
ここで、こような周辺監視システムにおいて、前記行動検出手段が検出する他車に関心を払う行動は、少なくとも他車を指さす行動を含むことが好ましい。
このような周辺監視システムによっても、ドライバーの煩雑な操作を必要とすることなく、ドライバーが真に関心をもっている他車の情報をドライバーに提示することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、ドライバーに煩雑な作業を課すことなく、ドライバーに当該ドライバーが真に関心をもっている他車の情報を提示することができる。
また、本発明によれば、ドライバーが関心をもっている他車の情報として、当該関心の強さに適した内容の情報をドライバーに提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る周辺監視システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る周辺監視システムの配置を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る他車管理テーブルを示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る関心度設定処理を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係る他車提示画像の表示例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る他車情報提示のルールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る周辺監視システムの構成を示す。
周辺監視システムは自動車に搭載されるシステムであり、複数のカメラ1と、複数のレーダ2と、他車認識装置3と、制御装置4と、ディスプレイ5と、スピーカを用いて音声を出力する音声出力装置6と、音声認識を行って音声入力を受け付ける音声入力装置7と、DMS8(ドライバーモニタリングシステム8)と、他車管理テーブル9とを備えている。
【0022】
ここで、ディスプレイ5は、たとえば、図2aに示すように、ドライバーから視認可能なように、自動車のダッシュボードに配置されている。
また、DMS8は、図2bに示すように、自動車室内に配置された、運転席に着座したドライバーの頭部をドライバーの前方より撮影する赤外線カメラ81で撮影した映像等から、ドライバーの視点の位置や注視方向(見ている方向)や、その他のドライバーの挙動を検出する。
【0023】
また、複数のカメラ1とレーダ2は、たとえば、図2cに示すように、各カメラ1によって全方位の自動車の周辺を撮影でき、各レーダ2によって全方位の自動車の周辺の物体の位置を検出できるように配置されている。
【0024】
そして、他車認識装置3は、カメラ1で撮影した周辺の映像やレーダ2で検出した周辺の物体の位置を解析して、自動車の周辺の他車の位置や車種や色や登録番号などを識別し、他車情報として制御装置4に出力する。
【0025】
次に、他車管理テーブル9には、図3に示すように、他車認識装置3が認識した他車毎に設けた他車データが登録される。
各他車データには、他車の識別を表す他車ID、他車の色、他車の車種、他車の登録番号(他車のナンバープレートの番号)、ドライバーの他車に対する関心の度合いを表す関心度、他車の位置の履歴を表す位置履歴、ドライバーが他車を注視した履歴を表す注視履歴、他車のその他の属性が登録される。
【0026】
制御装置4は、他車認識装置3から他車情報を受け取ったならば、他車管理テーブル更新処理を行う。
他車管理テーブル更新処理では、受け取った他車情報と整合する他車データを対象他車データとして、受け取った他車情報が表す位置を現時刻と共に対象他車データの位置履歴に追加登録する。他車情報と整合する他車データとは、他車情報の色や車種や登録番号や位置と、登録されている色や車種や登録番号や位置履歴が、同一車両の情報として矛盾せずに整合する他車データである。
【0027】
また、他車管理テーブル更新処理では、他車認識装置3から受け取った他車情報に整合する他車データが存在しない場合には、新たな他車データを作成し、作成した他車データに、固有の他車ID、受け取った他車情報の色、車種、登録番号を登録する。そして、作成した他車データを対象他車データとして、受け取った他車情報が表す位置を現時刻と共に対象他車データの位置履歴に登録する。また、作成した他車データの関心度に初期値として小を設定する。
【0028】
また、制御装置4は、図4に示す関心度設定処理を行って、他車管理テーブル9の各他車データに関心度を設定する。
図示するように、関心度設定処理では、DMS8が検出しているドライバーの視点と注視方向から、ドライバーがいずれかの他車を注視しているかどうかを、各他車データの位置履歴を参照して監視する(ステップ402)。
【0029】
ここで、ステップ402では、他車データの位置履歴中の最新の位置の時刻が、現時点から過去所定時間長(たとえば、0.5秒)内の時刻であるときに、当該最新の位置、もしくは、位置履歴から推定される現在の他車の位置を、当該他車データの他車の現在位置とする。一方、他車データの位置履歴が示す最新の位置の時刻が、現時点から所定期間内でないときには、当該他車データの現在位置は不明とする。
【0030】
そして、DMS8が検出しているドライバーの視点と注視方向から求まるドライバが見ている方向に、現在位置がある他車が存在するときに、ドライバーが他車を注視していると判定する。また、当該ドライバが見ている方向に現在位置がある他車をドライバーが注視している他車とする。
【0031】
ここで、他車の注視には、ルームミラーやサイドミラー越しの他車の注視も含む。また、この場合、ドライバーがルームミラーやサイドミラー越しに見ている方向は、DMS8が検出しているドライバーの視点とルームミラーやサイドミラーとの位置関係と、ルームミラーやサイドミラーの特性と、DMS8が検出しているドライバーの注視方向とから求める。
【0032】
そして、他車の注視が発生したならば(ステップ402)、他車の注視が終了するのを待って(ステップ404)、他車の注視を継続していた時間である注視時間を算定し(ステップ406)、算定した注視時間を現時刻と共に、注視していた他車データの注視履歴に追加登録する(ステップ408)。
【0033】
そして、注視していた他車データの注視履歴から、注目度DAを算定する(ステップ410)。
ステップ410では、注視していた他車データの注視履歴が示す過去所定期間中に、当該他車を注視した回数をN、注視していた他車データの注視履歴が示す、過去所定期間中に当該他車を注視した時間の合計をTとして、Nが大きくなるほど大きくなり、Tが大きくなるほど大きくなるように注目度DAを算出する。すなわち、たとえば、DA=N×Tや、k1、k2を所定の係数として、DA=k1×N+k2×TによりDAを算定する。
【0034】
そして、注目度DAが、所定のしきい値ThHより大きいかどうかを調べ(ステップ412)、大きければ、注視していた他車の他車データの関心度を大に設定し(ステップ414)、ステップ402からの処理に戻る。
【0035】
ただし、ステップ414は、注視していた他車の他車データの関心度として小が登録されている場合には、注視していた他車のモニタの要否をドライバーに問い合わせ、モニタ要を指示された場合に他車データの関心度を大に設定して(ステップ414)、ステップ402からの処理に戻り、モニタ不要を指示された場合には、そのままステップ402からの処理に戻り、注視していた他車の他車データの関心度として中が登録されている場合には、他車データの関心度を大に設定して(ステップ414)、ステップ402からの処理に戻り、注視していた他車の他車データの関心度として大が登録されている場合にはそのままステップ402からの処理に戻るステップとしてもよい。
【0036】
ここで、注視していた他車のモニタの要否の問い合わせは、注視していた他車の他車データの色や車種の情報を用いて、たとえば、「赤い、AA(AAは車種名)をモニタしますか」といった音声による問い合わせを音声出力装置6から出力することにより行う。
【0037】
次に、注目度DAが、所定のしきい値ThHより大きくなければ(ステップ412)、注目度DAが、所定のしきい値ThLより大きいかどうかを調べる(ステップ416)。ただし、ThL<ThHである。
【0038】
そして、注目度DAが、しきい値ThLより大きければ(ステップ416)、注視していた他車データの関心度を中に設定し(ステップ418)、ステップ402からの処理に戻る。
【0039】
ただし、ステップ418は、注視していた他車の他車データの関心度として小が登録されている場合には、注視していた他車のモニタの要否をドライバーに問い合わせ、モニタ要を指示された場合に他車データの関心度を中に設定して(ステップ418)、ステップ402からの処理に戻り、モニタ不要を指示された場合には、そのままステップ402からの処理に戻り、(ステップ414)、注視していた他車の他車データの関心度として中が登録されている場合には、そのままステップ402からの処理に戻り、注視していた他車の他車データの関心度として大が登録されている場合には、他車データの関心度を中に設定してステップ402からの処理に戻るステップとしてもよい。
【0040】
また、注目度DAが、しきい値ThLより大きくなければ(ステップ416)、注視していた他車データの関心度を小に設定し(ステップ420)、ステップ402からの処理に戻る。
【0041】
以上、制御装置4が行う関心度設定処理について説明した。
このような関心度設定処理によれば、ドライバーが大きな関心をもっている他車であるために高い頻度で目視確認した他車の他車データの関心度が大に設定され、ドライバーが中程度の関心をもっている他車であるために中程度の頻度で目視確認した他車の他車データの関心度が中に設定され、ドライバーが関心がないために低い頻度でした目視確認していない他車の他車データの関心度が小に設定される。
【0042】
なお、以上の関心度設定処理では、ステップ410において、注視していた他車データの注視履歴が示す過去所定期間中に、当該他車を注視した回数Nを、注目度DAとして算出するようにしてもよい。または、ステップ410において、注視していた他車データの注視履歴が示す、過去所定期間中に当該他車を注視した時間の合計Tを注目度DAとして算出するようにしてもよい。
【0043】
以下、制御装置4が行う他車情報の提示動作について説明する。
制御装置4は、他車情報の提示として、ディスプレイ5への他車の位置表示と、音声出力装置6からの他車情報の音声による出力を行う。
まず、ディスプレイ5への他車の位置表示の動作について説明する。
制御装置4は、ディスプレイ5に、たとえば、図5に示すような、自車と他車の位置関係を示す他車提示画像を表示すると共に、一定時間周期で他車提示画像を更新する。
他車提示画像には、自車を表す自車マーク501と、前回の他車提示画像の更新後に位置履歴が更新された他車データに対応する他車を表す他車マーク511、512、513、514を表示する。各他車マーク511/512/513/514は、他車データの位置履歴の最新の位置が表す、他車データに対応する他車と自車との位置関係を、当該他車マーク511/512/513/514と自車マーク501との位置関係によって表すように表示する。
【0044】
また、各他車マーク511/512/513/514は、対応する他車データの関心度に応じた形態で表示する。
すなわち、図6に示すルールに従って、他車提示画像による他車の位置表示では、関心度が小の他車データに対応する他車マーク511、512は通常の形態で表示し、関心度が中の他車データに対応する他車マーク513は通常の形態よりも少し強調した形態で表示し、関心度が大の他車データに対応する他車マーク514は、関心度が中の他車マーク513よりも、さらに強く強調した形態で表示する。
【0045】
次に、制御装置4が行う、音声出力装置6からの他車情報の音声による出力の動作について説明する。
制御装置4は、他車管理テーブル9の、関心度として中、大が登録されている他車データに対応する他車の挙動を、当該他車データの位置履歴に基づいて継続的に監視する処理を行う。
【0046】
そして、関心度として中または大が登録されている他車データに対応する他車の挙動が変化し、当該他車が車線変更や自車への接近などの自車に関連する挙動を行ったならば、「赤い、AA(AAは車種名)が右車線に移動しました」、「黒いBB(BBは車種名)が左車線から接近してきます」、「シルバーのCC(CCは車種名)が前に入ろうとしています」といったような、その他車の特徴と当該他車が行った挙動を示す音声メッセージを音声出力装置6から出力する。
【0047】
なお、当該音声メッセージで用いる他車の色や車種は他車データから取得することができる。
また、関心度として大が登録されている他車データに対応する他車については、当該他車の挙動が変化し、分岐点での自車走行道路外の他の道路への進行などの、当該他車が直接自車に関連しない挙動を行った場合にも、「赤い、AA(AAは車種名)が分岐していきました」といったような、その他車の特徴と当該他車が行った挙動を示す音声メッセージを音声出力装置6から出力する。
【0048】
ここで、制御装置4は、他車の位置が検出できなくなったことも自車に関連しない挙動の一つとし、関心度として大が登録されている他車データの位置履歴が一定期間更新されなくなったならば、「赤い、AA(AAは車種名)がモニタできなくなりました」といった音声メッセージを音声出力装置6から出力する。また、制御装置4は、一旦、位置が検出できなくなった他車の位置が再度検出できるようになったことも自車に関連しない挙動の一つとし、関心度として大が登録されている他車データの位置履歴が一定期間更新されなくなった後に再度更新されるようになったならば、「赤い、AA(AAは車種名)は後方を走行中です」といった音声メッセージを音声出力装置6から出力する。
【0049】
また、制御装置4は、図6に示すルールに従って、関心度として大が登録されている他車データに対応する他車については、挙動の変化がなくても、定期的に、「黒いBB(BBは車種名)は、まだ後ろを走行しています」といったような、他車の現在の挙動を示す音声メッセージを音声出力装置6から出力する。
【0050】
以上の制御装置4の動作によれば、関心度が小に設定された他車データの他車については音声出力による他車情報の提示は行われず、関心度が中に設定された他車データの他車については自車に関連する挙動の発生の通知が音声出力による他車情報の提示として行われる。そして、関心度が大に設定された他車データの他車については、挙動変化によって発生した全ての挙動の通知が音声出力による他車情報の提示として行われる他、定期的に当該他車の現在の挙動の通知が音声出力による他車情報の提示として行われる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明した。
このように本実施形態に係る周辺監視システムは、ドライバーが注視している程度が大きい他車を自動的に抽出して、その情報を提示する。ここで、ドライバーが注視している程度が大きい他車は、ドライバーが関心を示している他車であるので、本周辺監視システムによれば、ドライバーの煩雑な操作を必要とすることなく、ドライバーが真に関心をもっている他車の情報をドライバーに提示することができる。また、注視している程度が大きい他車、すなわち、ドライバーが関心を示している程度が大きい他車ほど、よりきめ細かく、その情報を提示するので、ドライバーの関心の強さに適した内容の情報を、ドライバーに提示することができる。
【0052】
ところで、以上の実施形態では、ドライバーが他車を注視した程度にのみ応じて他車の関心度を設定したが、これは、DMS8で助手席の搭乗者の視点と注視方向も検出し、ドライバーが他車を注視した程度に加え、助手席の搭乗者が他車を注視した程度も考慮して他車の他車データの関心度を設定するようにしてもよい。
【0053】
また、ドライバーが他車を注視していた期間中における、他車の挙動や他車と自車の関係を考慮して関心度を設定するようにしてもよい。すなわち、たとえば、後方にいる他車の車線変更前の所定時間長さ(たとえば、5秒)前の時点から車線変更後の所定時間(たとえば、5秒)長さ後の時点まで継続して、当該他車を注視し続けている場合には、当該他車の他車データの関心度を大や中に設定するようにするなどしてよい。
【0054】
また、DMS8でドライバーや助手席の搭乗者の動作を検出し、他車を指さす動作や、他車の方向に首を振ったり、他車の方向に振り返る動作など、他車を指示する動作が発生した場合に、当該他車の他車データの関心度を大きくするようにしてもよい。
【0055】
また、音声入力装置7で音声認識した音声が「後ろの車」などの他車を指示する音声であった場合に、当該音声で指示された他車の他車データの関心度を大きくするようにしてもよい。
また、以上の実施形態は、他車データの属性に、他車データに対応する他車が、自車と同行している自動車であるかどうかを登録し、他車データの属性に応じて、他車情報の提示の形態を行うようにしてもよい。
【0056】
すなわち、たとえば、登録されている関心度が大や中で他車データの属性が同行している自動車であることを表している他車データの他車については、上述した関心度が大や中である他車データの他車についての音声メッセージの出力に加えて、当該他車が自車から所定距離以上離れたならば、その旨を通知する音声メッセージを出力するようにしてよい。
【0057】
また、この場合において、他車が自車と同行している自動車であるかどうか属性の設定は、図5に示した他車提示画像上でのドライバーの他車の選択と、選択した他車に対する属性設定操作に応じて行うようにしてもよいし、DMS8でドライバーが他車を注視していたときのドライバーの表情を検出し、検出した表情がにこやかであった場合などに自動的に行うようにしてもよい。
以上の実施形態は、他車提示画像の表示は行わないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…カメラ、2…レーダ、3…他車認識装置、4…制御装置、5…ディスプレイ、6…音声出力装置、7…音声入力装置、8…DMS、9…他車管理テーブル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6