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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】会議群分析装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20240408BHJP
   G06F 40/274 20200101ALI20240408BHJP
   G10L 15/00 20130101ALI20240408BHJP
【FI】
G06Q10/10
G06F40/274
G10L15/00 200U
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019237703
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021105907
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(73)【特許権者】
【識別番号】503017482
【氏名又は名称】学校法人国際大学
(74)【代理人】
【識別番号】100172502
【弁理士】
【氏名又は名称】黒瀧 眞輔
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】田中 勇一
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 豊
(72)【発明者】
【氏名】中西 崇文
(72)【発明者】
【氏名】岡田 龍太郎
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/173252(WO,A1)
【文献】特開2000-010986(JP,A)
【文献】特開2018-073332(JP,A)
【文献】特開2016-170652(JP,A)
【文献】特開2013-161328(JP,A)
【文献】特開2013-003880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二以上の会議からなる会議群を分析する会議群分析装置であって、
前記二以上の会議のそれぞれについて分析を行う会議分析部と、
前記二以上の会議間の関連性について分析を行う会議間分析部と、
前記会議分析部が前記会議のそれぞれについて抽出したトピック語同士の関連性を表示するトピック関連表示部と、
を備え、
前記会議分析部は、前記会議における参加者の発言にもとづいて、前記発言の前記トピック語を抽出するトピック抽出部
を備え、
前記会議間分析部は、前記二以上の会議における、前記トピック語同士の関連性を特定するトピック関連性特定部を備え、
前記トピック関連表示部は、
前記会議群において抽出されたすべての前記トピック語を円周に沿って環状に表示すると共に、
前記トピック語の各々について、該トピック語と関連する他の前記トピック語を結ぶトピック関連線を表示し、
前記トピック語同士の関連性の強さに基づいて前記トピック関連線の線幅、線の種類、濃度又は色彩を決定する、
会議群分析装置。
【請求項2】
二以上の会議からなる会議群を分析する会議群分析装置であって、
前記二以上の会議のそれぞれについて分析を行う会議分析部と、
前記二以上の会議間の関連性について分析を行う会議間分析部と、
前記会議分析部が前記会議のそれぞれについて抽出したトピック語同士の関連性を時系列に沿って表示するトピック遷移表示部と、
を備え、
前記会議分析部は、前記会議における参加者の発言にもとづいて、前記発言の前記トピック語を抽出するトピック抽出部を備え、
前記会議間分析部は、前記二以上の会議における、前記トピック語同士の関連性を特定するトピック関連性特定部を備え、
前記トピック遷移表示部は、
前記トピック語を該トピック語が抽出された前記会議毎に時系列順に表示すると共に、
前記トピック語の各々について、該トピック語と関連する他の前記トピック語を結ぶトピック関連線を表示し、
前記トピック語同士の関連性の強さに基づいて前記トピック関連線の線幅、線の種類、濃度又は色彩を決定する
議群分析装置。
【請求項3】
前記会議分析部が、さらに、
前記参加者の発言を所定の基準に基づいて複数のフェーズに分割するフェーズ分割部と、
前記フェーズのそれぞれをクラスタに分類するクラスタ分類部と、
を備え、
前記トピック抽出部は、前記分類したクラスタのそれぞれについて、所定の基準により前記クラスタのトピック語を抽出する、
請求項1又は2に記載の会議群分析装置。
【請求項4】
前記会議分析部が、さらに、前記フェーズのそれぞれにおいて前記参加者の発言に含まれる単語の重みを算出する単語重み付け部をそなえる、
請求項記載の会議群分析装置。
【請求項5】
前記会議分析部が、さらに、
前記算出した前記単語の重みに基づいて、前記フェーズのベクトルを算出するベクトル算出部と、
前記算出したベクトルに基づいて、前記フェーズ間の類似度を算出するフェーズ類似度算出部を
備える請求項記載の会議群分析装置。
【請求項6】
前記クラスタ分類部が、前記算出した前記フェーズ間の類似度に基づいて、前記フェーズを二以上の前記クラスタに分類する、
請求項記載の会議群分析装置。
【請求項7】
コンピュータを請求項1~のいずれかに記載の会議群分析装置として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は会議群分析装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
会議における参加者の発言の遷移を分析する情報システムとして、例えば特許文献1の会議分析装置が知られている。この会議分析装置は、会議中の参加者の発言から、当該会議におけるトピック語を抽出すると共に、当該会議の中でトピック語がどのような変遷をたどったのかを解析する装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-73332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、一の会議を分析対象とするものであり、当該対象となる一の会議においてどのように議論が進んでいったのかを分析することができる。
【0005】
一方で、打合せやミーティングその他の会議は、一度の会議のみで完結しないことも多いのが実情である。長期間に及ぶプロジェクトを進行する場合には週次や月次等で定例の会議が設けられることも通常行われており、このような場合では、一の会議は、それ以前に行われた会議における議論の内容を受けると共に、以降に行われる会議の内容に影響を与えることが通常であるが、従来の一の会議を分析対象とする技術では、会議間の関連性を分析することができないという問題があった。
【0006】
本発明は前述の問題に鑑み、会議間の関連性を分析することができる会議群分析装置及びプログラムを提供することを、その目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る会議群分析装置は、二以上の会議からなる会議群を分析する会議群分析装置であって、前記二以上の会議のそれぞれについて分析を行う会議分析部と、前記二以上の会議間の関連性について分析を行う会議間分析部と、前記会議分析部が前記会議のそれぞれについて抽出したトピック語同士の関連性を表示するトピック関連表示部と、を備え、 前記会議分析部は、前記会議における参加者の発言にもとづいて、前記発言の前記トピック語を抽出するトピック抽出部を備え、前記会議間分析部は、前記二以上の会議における、前記トピック語同士の関連性を特定するトピック関連性特定部を備え、前記トピック関連表示部は、前記会議群において抽出されたすべての前記トピック語を円周に沿って環状に表示すると共に、前記トピック語の各々について、該トピック語と関連する他の前記トピック語を結ぶトピック関連線を表示し、前記トピック語同士の関連性の強さに基づいて前記トピック関連線の線幅、線の種類、濃度又は色彩を決定することを特徴としている。
【0008】
本発明に係る会議群分析装置は、二以上の会議からなる会議群を分析する会議群分析装置であって、前記二以上の会議のそれぞれについて分析を行う会議分析部と、前記二以上の会議間の関連性について分析を行う会議間分析部と、前記会議分析部が前記会議のそれぞれについて抽出したトピック語同士の関連性を時系列に沿って表示するトピック遷移表示部と、を備え、前記会議分析部は、前記会議における参加者の発言にもとづいて、前記発言の前記トピック語を抽出するトピック抽出部を備え、前記会議間分析部は、前記二以上の会議における、前記トピック語同士の関連性を特定するトピック関連性特定部を備え、前記トピック遷移表示部は、前記トピック語を該トピック語が抽出された前記会議毎に時系列順に表示すると共に、前記トピック語の各々について、該トピック語と関連する他の前記トピック語を結ぶトピック関連線を表示し、前記トピック語同士の関連性の強さに基づいて前記トピック関連線の線幅、線の種類、濃度又は色彩を決定するようにしてもよい。
【0009】
本発明に係る会議群分析装置は、前記会議分析部が、さらに、前記参加者の発言を所定の基準に基づいて複数のフェーズに分割するフェーズ分割部と、前記フェーズのそれぞれをクラスタに分類するクラスタ分類部と、を備え、前記トピック抽出部は、前記分類したクラスタのそれぞれについて、所定の基準により前記クラスタのトピック語を抽出するようにしてもよい。
【0010】
本発明に係る会議群分析装置は、前記会議分析部が、さらに、前記フェーズのそれぞれにおいて前記参加者の発言に含まれる単語の重みを算出する単語重み付け部をそなえるようにしてもよい。
【0011】
本発明に係る会議群分析装置は、前記会議分析部が、さらに、前記算出した前記単語の重みに基づいて、前記フェーズのベクトルを算出するベクトル算出部と、前記算出したベクトルに基づいて、前記フェーズ間の類似度を算出するフェーズ類似度算出部を備えるようにしてもよい。
【0012】
本発明に係る会議群分析装置は、前記クラスタ分類部が、前記算出した前記フェーズ間の類似度に基づいて、前記フェーズを二以上の前記クラスタに分類するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の構成によれば、会議群分析装置が会議分析部と会議間分析部を備え、会議分析部が一の会議の発言からトピック語を抽出すると共に、会議間分析部が会議間におけるトピック語同士の関連性を特定するので、二以上の会議からなる会議群において会議間の関連性を分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態の一例における、会議群分析装置の構成を示す図である。
図2】同実施形態の一例における、会議群における発言を分析する処理の流れを示すフロー図である。
図3】同実施形態の一例における、一の会議における発言を分析する処理の流れを示すフロー図である。
図4】同実施形態の一例における、トピック関連図の構成を示す図である。
図5】同実施形態の一例における、トピック遷移図の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態の一例における、会議群分析装置の構成を模式的に示した図である。図1で示すように、本実施形態の会議群分析装置100は、会議分析部110と、会議間分析部120と、トピック関連表示部130と、トピック遷移表示部140を備えている。
【0016】
会議分析部110は、会議群分析装置100が分析を行う会議群すなわち二以上の会議のそれぞれについての分析を行う。本実施形態では、後述するように、各会議について、当該会議における参加者の発言をテキスト化して分析を行うが、当該分析を行う構成として、テキスト化した発言を複数のフェーズに分割するフェーズ分割部111、各フェーズにおける発言に含まれる単語の重みを算出する単語重み付け部112、算出した単語の重みに基づいて各フェーズのベクトルを算出するベクトル算出部113、算出したフェーズのベクトルからフェーズ間の類似度を算出するフェーズ類似度算出部114、算出したフェーズ間の類似度から上記複数のフェーズを二以上のクラスタに分類するクラスタ分類部115、分類した二以上のクラスタのそれぞれについて、所定の基準により、クラスタのそれぞれを特徴づける語であるトピック語を抽出するトピック抽出部116を備えている。
【0017】
会議間分析部120は、会議群分析装置100が分析する会議群において、二以上の会議間の関連性について分析を行う。本実施形態の会議間分析部120は、前述のトピック抽出部116により抽出されたトピック語同士の関連性を特定するトピック関連性特定部121を備えている。
【0018】
トピック関連表示部130は、前述の会議間分析部120が分析したトピック語同士の関連性を表示する。
【0019】
トピック遷移表示部140は、前述の会議間分析部120が分析したトピック語の関連性を時系列に沿って表示する。
【0020】
本実施形態において、会議群分析装置100は周知のコンピュータを用いて構成されている。前述の会議分析部110、会議間分析部120、トピック関連表示部130、トピック遷移表示部140はソフトウェアとして構成されており、上記コンピュータのHDD(ハードディスクドライブ)等の二次記憶装置にプログラムとして予め記録されている。当該記録されたプログラムをメモリ等の一次記憶装置にロードし、CPU(中央演算装置)が実行することにより、コンピュータを会議群分析装置100として機能させるものである。
【0021】
会議群分析装置100のハードウェア上の構成は任意に選択してよく、例えば、会議群分析装置100として用いるコンピュータは、会議群分析装置100に求められる性能、耐久性、信頼性に応じて任意に選択可能であり、サーバ用コンピュータを使用してもよいし、一般的なパーソナルコンピュータを使用してもよい。また、本実施形態の会議群分析装置100は単一のコンピュータを用いて構成されているが、複数のコンピュータを用いて会議群分析装置100を構成してもよく、また、この場合には、会議群分析装置100を構成するコンピュータ群が同一の場所に配置されている必要はなく、例えばコンピュータ群の一部を遠隔地に配置して、周知のネットワークにより通信する構成としてもよい。
【0022】
本実施形態の会議群分析装置100の構成の説明は以上である。次いで、本実施形態における会議群分析装置100の処理の流れについて説明する。図2は、本実施形態の会議群分析装置100による会議群を分析する処理の流れを示すフロー図である。
【0023】
本実施形態における会議群の分析は、会議群を構成する二以上の会議の各々についての分析(ステップS101)と、二以上の会議間の関連性についての分析(ステップS102)と、分析結果の表示(ステップS103)の三行程から構成される。
【0024】
図3は、会議群分析装置100の会議分析部110による、前述のステップS101、すなわち、一の会議における発言を分析する流れを示したフロー図である。図3で示すように、本実施形態では、分析のフローが発言解析(ステップS201~S206)と、トピック抽出(ステップS301~S303)の行程から構成されている。以下、各行程ごとに説明する。
【0025】
発言解析行程(ステップS201~S206)は、会議における発言を解析し、遷移を分析するための指標を算出する行程である。一の会議における各参加者の発言内容は、会議分析部110により録音され、テキストデータ化される(ステップS201)。テキストデータの形式は任意の形式を採用してよく、単に発言内容を音声からテキスト形式に変換したのみでもよいし、発言者と発言内容を紐付けたデータとしてもよい。また、録音とテキストデータ化は同時に行ってもよいし、同時に行わなくてもよい。例えば、会議中の発言内容をリアルタイムに録音・テキスト化してもよいし、或は、会議中は録音のみしておき、会議終了後等の任意のタイミングでこれをテキストデータ化してもよい。
【0026】
テキストデータ化された会議の発言内容は、フェーズ分割部11により所定の基準に基づいて複数のフェーズに分割される(ステップS202)。本実施形態の会議分析部110は、一の会議中の発言内容を複数のフェーズに分割した上で、クラスタに分類し、各クラスタにおけるトピック語を抽出するが、上記所定の基準として、本実施形態では各フェーズの発言量が等しくなるようにテキストデータ化した会議中の発言を20のフェーズに分割する。なお、本実施形態では、上記発言量としてテキストデータ化した発言の文字数を用いている。本実施形態では一の会議の発言内容を20のフェーズに分割しているが、分割するフェーズの数は任意に変更してよい。
【0027】
会議分析部110は、次いで、各フェーズにおけるテキストデータ化された発言から所定の品詞に該当する単語を抽出する(ステップS203)。本実施形態では、各フェーズにおける各発言のそれぞれを形態素解析し、当該解析した結果から名詞を上記単語として抽出する。なお、本実施形態では名詞を抽出しているが、他の品詞を抽出してもよく、例えば形容詞を抽出してよい。また、単一種類の品詞だけでなく、複数の品詞を抽出対象としてもよい。例えば、名詞と形容詞を抽出するようにしてもよい。
【0028】
また、本実施形態ではフェーズ分割(ステップS202)の後に単語抽出(ステップS203)を行っているが、当該ステップS202,S203の順序を逆にして、単語抽出の後にフェーズ分割を行うようにしてもよい。この場合、フェーズ分割を行う前に所定の基準による単語の抽出が完了しているので、例えば抽出した単語の数等をフェーズ分割の基準として用いる等してもよい。
【0029】
各フェーズにおいて単語の抽出が完了すると、会議分析部110の単語重み付け部112による単語の重み付けが行われる(ステップS204)。重み付けの方法は任意に選択してよいが、本実施形態の一例では、一のフェーズにおける発言全体を一の文書としてTF-IDFによる重み付けを行う。
【0030】
次いで、会議分析部110のベクトル算出部113により、各フェーズのベクトルを算出する(ステップS205)。前述の通り、本実施形態の一例では各フェーズにおける発言から名詞を単語として抽出し、当該抽出した単語の重み付けを行っており、全フェーズの出現単語数を次元数とするベクトルとして、各フェーズのベクトルを算出する。
【0031】
本実施形態体において、抽出した単語を行要素、各フェーズを列とする単語・フェーズ行列をA、各フェーズのベクトルをdj、各単語の重みをaij、出現単語数をm、フェーズ数をnとすると、単語フェーズ行列Aは下記の数式1により表すことができる。
【0032】
【数1】
【0033】
上記の数式1において、各フェーズのベクトルdjは下記の数式2により表される。
【0034】
【数2】
【0035】
全フェーズについてベクトルを算出すると、会議分析部110のフェーズ類似度算出部114により各フェーズ同士の類似度を算出する(ステップS206)。本実施形態では各フェーズを出現単語の重みによるベクトルとして算出しており、ベクトル同士の類似度としてコサイン尺度を算出している。
【0036】
以上がステップS201~S206による発言解析行程である。
【0037】
次に、トピック抽出行程(ステップS301~S303)について説明する。トピック抽出行程は、発言解析行程において解析した各フェーズの発言内容にもとづいて、各フェーズにおけるトピック語を抽出する行程である。
【0038】
前述のステップS201~S206による発言解析構成では、一の会議の発言を複数のフェーズに分割した上で、各フェーズ間の類似度を算出している。この類似度に基づいて、会議分析部110のクラスタ分割部115が、各フェーズをクラスタリングする(ステップS301)。本実施形態では、各フェーズ間の類似度が所定のしきい値εを上回った場合に、両者のフェーズを同一クラスタに属するものとして、クラスタ数が最大になるしきい値εを算出する。他のフェーズとの類似度がしきい値εを上回らないフェーズについては、クラスタに属さないフェーズとして分類する。
【0039】
全フェーズについてクラスタ分類が完了すると、会議分析部110のトピック語抽出部116が各クラスタのトピック語を抽出する(ステップS302、S303)。トピック語は各クラスタの発言内容を特徴づける単語であり、本実施形態では、各クラスタのトピック語を抽出し(ステップS302)、次いで、各フェーズにおいて、当該フェーズが属するクラスタのトピック語の内、当該フェーズで出現したトピック語を抽出する(ステップS303)。トピック語の抽出には、クラスタに分類されたフェーズにおいて前述のステップS204により算出した各単語の重みを用いる。トピック語の抽出数は最大20であり、一のクラスタ、すなわち、一のクラスタに属するフェーズすべてにおける出現単語のうち、上記重みの値が大きい順に最大20語の単語を抽出する。各クラスタのトピック語が抽出された後は、各フェーズにおいて、当該フェーズで出現したトピック語を抽出する。なお、本実施形態ではトピック語を最大20語抽出しているが、抽出する語の数は任意に変更してよい。
【0040】
前述のステップS201~S206及びステップS301~303の処理は、分析対象となる会議群を構成する全ての会議について行われる。すべての会議について上記処理が完了すると、本実施形態の会議群分析装置100は、会議間分析部120による会議間の関連性の分析を実行する(ステップS102)。なお、会議群分析装置100が分析する会議群は、二以上の会議から構成されていればよく、予定されたすべての会議が終了している必要はない。定期的に会議を行うことが予定されているプロジェクト等においては、当該プロジェクトの完了を待たずに、随時会議群分析装置100による分析を行ってよい。
【0041】
本実施形態では、トピック語同士の関連性を特定するにあたって、単語同士の関連性を定めたデータベースをあらかじめ会議群分析装置100の二次記憶装置等に備えている。会議間分析部120のトピック関連性特定部121は、前述の会議分析部110の分析により抽出されたトピック語の各々について、当該トピック語以外の他のトピック語が当該トピック語と関連性を有する単語として登録されているか否かを上記データベースから検索することにより、トピック語同士の関連性を特定する。特定されたトピック語同士の関連性は、後述するトピック関連表示部130及びトピック遷移表示部140により使用される。
【0042】
会議間分析部120によりトピック語同士の関連性が特定されると、会議群分析装置100は、当該特定した関連性をトピック関連図、及び、トピック遷移図として会議群分析装置100が備える表示装置に出力する(ステップS103)。
【0043】
図4は、本実施形態において、ステップS103により会議群分析装置100の表示装置に表示されるトピック関連図F100の構成を示す図であり、図5は、本実施形態においてステップS103により会議群分析装置100の表示装置に表示されるトピック遷移図F200の構成を示す図である。
【0044】
図4で示すように、本実施形態のトピック関連図F100は、環状に配置したトピック語F101と、当該トピック語F101同士を繋ぐトピック関連線F102から構成されている。本実施形態におけるトピック関連図F100は、トピック関連表示部130により、会議群分析装置100が分析を行った二以上の会議からなる会議群において会議分析部110のトピック語抽出部116が抽出したすべてのトピック語について、会議間分析部120のトピック関連性特定部121が特定したトピック間の関連性を表示したものである。
【0045】
トピック語F101は、二以上の会議群を構成する会議のすべてについて会議分析部110のトピック語抽出部116が抽出したトピック語が環状に配置されており、当該環状に配置されたトピック語F101のそれぞれと、関連性を有する他のトピック語F101がトピック関連線F102によりつながれている。トピック関連線F102は、会議間分析部120のトピック関連性特定部120が特定したトピック語同士の関連性に基づいて表示されており、関連性の強さに応じてトピック線F102の線幅、線の種類、濃度又は色彩が決定されている。なお、本実施形態では、トピック関連性特定部120により検索が行われたデータベースにおいて、あらかじめ単語間の関連性の強さが登録されている。なお、本実施形態におけるトピック語F101は、当該トピック語F101が抽出された会議ごとに並べて配置されており、また、トピック語F101が抽出された会議において、前述の単語重み付け部112により算出した重みに基づいて、トピック語F101を表すアイコンの大きさを決定している。
【0046】
図5で示すように、本実施形態のトピック遷移図F200は、左右方向を時系列として配置した会議F201と、それぞれの会議F201において抽出されたトピック語F202と、トピック語F202同士を繋ぐトピック関連線F203から構成されており、トピック遷移表示部140により表示される図である。
【0047】
トピック遷移図F200のトピック語F202は、トピック関連図F100のトピック語F101と同様に、会議分析部110のトピック語抽出部116が抽出したトピック語であり、また、トピック関連線F203もトピック関連図F100のトピック関連線F102と同様に、会議間分析部120のトピック関連性特定部120が特定したトピック語同士の関連性に基づいて表示されている。トピック語F202同士の関連性の強さに基づいてトピック関連線F203の線幅、線の種類、濃度又は色彩が決定されている点もトピック関連図F100と同様である。
【0048】
本実施形態の説明は以上である。なお、本発明の実施形態は前述の例に限られない。例えば、本実施形態のトピック関連図F100及びトピック遷移図F200は、トピック語F101又はF202をトピック関連線F102又はF203でつないだ図でるが、例えば表示されたトピック語F101又はF202を閲覧者が押下した際に、当該トピック語F101又はF202に言及した会議参加者を表示するようにしてもよい。
【0049】
また、トピック関連線F102及びF203はトピック語同士の関連性の強さに基づいて線幅、線の種類、濃度又は色彩が決定されているが、トピック語同士の関連性の強さをどのように表現するかは任意に選択してよく、例えば、線幅と線の種類を組み合わせて表現するようにしてもよい。
【0050】
その他の構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
100 会議群分析装置
110 会議分析部
111 フェーズ分割部
112 単語重み付け部
113 ベクトル算出部
114 フェーズ類似度算出部
115 クラスタ分類部
116 トピック抽出部
120 会議間分析部
121 トピック関連性特定部
130 トピック関連表示部
140 トピック遷移表示部
図1
図2
図3
図4
図5