(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】樹脂製容器、及び樹脂製容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 35/04 20060101AFI20240408BHJP
B65D 23/02 20060101ALI20240408BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B65D35/04
B65D23/02 Z
B32B27/00 A
(21)【出願番号】P 2020080763
(22)【出願日】2020-04-30
【審査請求日】2022-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉野 慶
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-149484(JP,A)
【文献】特開2008-308561(JP,A)
【文献】特開2015-091722(JP,A)
【文献】特開2015-110444(JP,A)
【文献】特開2017-165455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/04
B65D 23/02
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の口部と、該口部に連なりマヨネーズを含む内容物の収容空間を形成する胴部と、該胴部の下端部を閉塞する底部とを
、基体として備えた樹脂製容器であって、
少なくとも前記胴部の一部における
前記基体の内面には、最内層としてロジン樹脂を含む撥液樹脂層が設けられていることを特徴とする樹脂製容器。
【請求項2】
前記ロジン樹脂は、単位面積あたり、0.08g/m
2以上設けられている、請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項3】
前記ロジン樹脂は、単位面積あたり、0.08g/m
2以上17.0g/m
2以下設けられている、請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項4】
前記ロジン樹脂は、単位面積あたり、0.08g/m
2以上8.3g/m
2以下設けられている、請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項5】
筒状の口部と、該口部に連なりマヨネーズを含む内容物の収容空間を形成する胴部と、該胴部の下端部を閉塞する底部とを備えた樹脂製容器の製造方法であって、
ロジン樹脂を溶媒に溶解させて溶解液を生成するステップと、
前記溶解液を少なくとも前記胴部の一部における内面に最内層として塗布するステップと、
前記胴部に塗布した前記溶解液を乾燥させるステップと
を含むことを特徴とする樹脂製容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製容器、及び樹脂製容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マヨネーズなどの食品調味料を収容する容器としては、内容物を収容する容器本体と、内容物を注出させる注出口を有する容器用キャップとを備えた容器が知られている。ところで、このような容器では、容器本体の内壁に内容物が付着し、内容物の一部が注出口から注出させることができずに容器内に残ってしまうという問題があった。
【0003】
このような問題に対して、例えば、特許文献1には、物品の液体含浸表面が、経時的に液体を放出するように構成され、それによって、経時的に潤滑を提供することが開示されている。従って、容器本体の内面を液体含侵表面とすることで容器に付着した内容物を滑落させ、容器内に付着し注出させることができない内容物の残量を減少させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の液体含侵表面を容器本体の内面に採用した場合、潤滑液を容器本体に固定できないため、容器本体の洗浄によって潤滑液が失われてしまったり、内容物と共に潤滑液が外部に流出してしまうことがあったため、改善の余地があった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、容器内に付着する内容物の残量を安定的に減少させることができる、樹脂製容器、及び樹脂製容器の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の樹脂製容器は、
筒状の口部と、該口部に連なりマヨネーズを含む内容物の収容空間を形成する胴部と、該胴部の下端部を閉塞する底部とを、基体として備えた樹脂製容器であって、
少なくとも前記胴部の一部における前記基体の内面には、最内層としてロジン樹脂を含む撥液樹脂層が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、本開示の樹脂製容器は、上記構成において、前記ロジン樹脂は、単位面積あたり、0.08g/m2以上設けられていることが好ましい。
【0009】
また、本開示の樹脂製容器は、上記構成において、前記ロジン樹脂は、単位面積あたり、0.08g/m2以上17.0g/m2以下設けられていることが好ましい。
【0010】
また、本開示の樹脂製容器は、上記構成において、前記ロジン樹脂は、単位面積あたり、0.08g/m2以上8.3g/m2以下設けられていることが好ましい。
【0011】
本開示の樹脂製容器の製造方法は、
筒状の口部と、該口部に連なりマヨネーズを含む内容物の収容空間を形成する胴部と、該胴部の下端部を閉塞する底部とを備えた樹脂製容器の製造方法であって、
ロジン樹脂を溶媒に溶解させて溶解液を生成するステップと、
前記溶解液を少なくとも前記胴部の一部における内面に最内層として塗布するステップと、
前記胴部に塗布した前記溶解液を乾燥させるステップと
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、容器内に付着する内容物の残量を安定的に減少させることができる、樹脂製容器、及び樹脂製容器の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る樹脂製容器の正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る樹脂製容器の製造方法の実施手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態である樹脂製容器100の正面図である。なお、本明細書、特許請求の範囲、要約書および図面では、口部10が位置する側を上方(
図1における上側)とし、底部30が位置する側を下方(
図1における下側)とする。また、径方向外側とは、
図1における樹脂製容器100の中心軸線Oを通り中心軸線Oに垂直な直線に沿って中心軸線Oとは反対側に向かう方向であり、径方向内側とは、当該直線に沿って中心軸線Oに向かう方向を意味するものとする。本実施形態に係る樹脂製容器100は、口部10と、口部10に連なり内容物を収容する収容空間S(
図2参照)を形成する胴部20と、胴部20の下端部を閉塞する底部30とを備えている。
【0016】
口部10は、本実施形態において、円筒形状を備えており、外周面には、キャップ又はポンプ等を装着するための雄ねじ部10aが設けられている。
【0017】
胴部20は、本実施形態において、下方に向けて緩やかに拡径する流線形を備えており、胴部20の内部は、マヨネーズを含む内容物を収容する収容空間S(
図2参照)を形成している。胴部20は、利用者が片手で把持して押圧することによって容易に凹ませて内容物を口部10から吐出させることができる程度の剛性を備えている。
【0018】
底部30は、上述の胴部20の下端部を閉塞する部位であり、胴部20と共に本実施形態に係る樹脂製容器100の収容空間Sを区画形成している。本実施形態に係る樹脂製容器100は、後述するように押出しブロー成形により形成されており、底部30には、押出しブロー成形の割り金型による食い切りによって形成された図示しない1本のピンチオフ部が設けられている。
【0019】
本実施形態に係る樹脂製容器100は、樹脂素材により形成されるパリソンに対し、押出しブロー成形を行うことによって形作ることができる。そして、本実施形態では、樹脂製容器100を構成する材料には、ポリプロピレン(PP)を用いている。しかし、この態様には限定されず、低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)等を用いてもよく、特にLDPEを用いた場合には高いスクイズ性を付与することができる。また、樹脂製容器100は、例えば二軸延伸ブロー成形を行うことによって形成してもよく、その場合には、樹脂製容器100を構成する材料にはポリエチレンテレフタレート(PET)等を用いてもよい。
【0020】
樹脂製容器100は、
図2に示すように、その内側に内容物を収容する収容空間Sを備えている。樹脂製容器100の胴部20は、ポリプロピレン製の基体21と、基体21の径方向内側(収容空間S側)に塗布工程により設けられた撥液樹脂層22とを備えている。本実施形態では、撥液樹脂層22には、ロジン樹脂を用いている。
【0021】
ロジン樹脂は、マツ科の植物の樹液である松脂(まつやに)等のバルサム類を集めてテレピン精油を蒸留した後に残る残留物であり、ロジン酸(アビエチン酸、パラストリン酸、イソピマール酸等)を主成分とする樹脂である。ロジン樹脂は、耐水性を備えている他、エタノールやエーテル等の有機溶媒に溶解する。
【0022】
マヨネーズは、樹脂容器の内壁と接触するとマヨネーズの油成分が表面に出て潤滑剤として機能するため、滑り性が向上する。しかし、油成分が拡散しすぎるとマヨネーズから油成分が離脱してしまい、マヨネーズを滑らせる効果が失われることになる。
【0023】
ロジン樹脂は、樹脂上に油を置いた時の接触角が比較的大きく油の拡散(濡れ広がり)が少ないという性質を有している。そのため、油を含むマヨネーズ等の内容物が樹脂製容器100の内面の撥液樹脂層22に付着しても、油成分がマヨネーズから拡散し過ぎて逃げてしまうことが抑制される。従って、撥液樹脂層22が設けられた樹脂製容器100の内面にマヨネーズを含む内容物が付着しても、内容物の油成分が保持されるため、付着した内容物の滑り性が向上する。
【0024】
本実施形態では、マヨネーズの滑り性の点から、撥液樹脂層22に含まれるロジン樹脂が1m2あたり0.08g以上であることが好ましい。また、ロジン樹脂を有機溶媒に溶解して塗布する観点からロジン樹脂が1m2あたり0.08g以上17g以下であることが好ましい。また、塗布性の観点からは、撥液樹脂層22に含まれるロジン樹脂は、1m2あたり0.08g以上8.3g以下であることが更に好ましい。マヨネーズが撥液樹脂層22上を滑る滑落速度の観点からは、撥液樹脂層22に含まれるロジン樹脂が1m2あたり1.9g以上4.3g以下で概ね最大となるため、この範囲が最も好ましい。
【0025】
本実施形態では、ロジン樹脂を含む撥液樹脂層22を樹脂製容器100の内面の全体に設けるように構成したが、この態様には限定されない。撥液樹脂層22は、内容物の収容空間Sを形成し、内容物が付着しやすい胴部20の少なくとも一部に設けられていればよい。
【0026】
次に、本実施形態に係る樹脂製容器100を製造する手順について、
図3等を用いて説明する。
【0027】
まず、製造者は、ポリプロピレンの押出しブロー成形によって形成された、未だ撥液樹脂層22が設けられていない初期状態の樹脂製容器100を準備する(
図3のステップS101)。なお、樹脂製容器100の成形方法や使用材料は上記の態様に限定されないことは既に述べたとおりである。
【0028】
また、ロジン樹脂を有機溶媒であるエタノールに入れて、5分から10分の間、超音波振動を加えることで迅速に溶解させると共に均質化して溶解液を生成する(
図3のステップS102)。なお、溶媒は、エタノールに限定されず、基体21を侵食せずにロジン樹脂を溶解させ、後工程において容易に気化して撥液樹脂層22を設けることができればよく、他の様々な溶媒を用いることができる。
【0029】
次に、ステップS102で生成したロジン樹脂の溶解液を、ステップS101で準備した樹脂製容器100の内面に塗布する(
図3のステップS103)。なお、本実施形態に係る樹脂製容器100の製造方法では、ロジン樹脂の溶解液を塗布する前に、基体21の内面に下塗り剤や表面処理等を行う必要がない。
【0030】
最後に、ステップS103において樹脂製容器100の内面に塗布したロジン樹脂の溶解液を、約80℃の温度で2~3分間加熱させる(
図3のステップS104)。これによって、溶解液内の有機溶媒が気化し、ロジン樹脂を含む撥液樹脂層22が樹脂製容器100の内面に形成される。
【0031】
以上述べたように、本実施形態に係る樹脂製容器100は、筒状の口部10と、口部10に連なりマヨネーズを含む内容物の収容空間Sを形成する胴部20と、胴部20の下端部を閉塞する底部30とを備えた樹脂製容器100であって、少なくとも胴部20の一部における内面には、ロジン樹脂を含む撥液樹脂層22が設けられるように構成した。このような構成の採用によって、マヨネーズを含む内容物が胴部20の内面に付着することを抑制することができるので、容器内に付着し注出させることができない内容物の残量を安定的に減少させることができる。
【0032】
また、本実施形態では、ロジン樹脂は、単位面積あたり、0.08g/m2以上設けられているように構成した。このような構成の採用によって、マヨネーズが撥液樹脂層22の表面を安定して滑落するので、撥液樹脂層22の表面にマヨネーズが更に付着しにくくすることができる。
【0033】
また、本実施形態では、ロジン樹脂は、単位面積あたり、0.08g/m2以上17.0g/m2以下設けられているように構成した。このような構成の採用によって、撥液樹脂層22をロジン樹脂の溶解液塗布によって容易に形成することができる。
【0034】
また、本実施形態では、ロジン樹脂は、単位面積あたり、0.08g/m2以上8.3g/m2以下設けられているように構成した。このような構成の採用によって、撥液樹脂層22をロジン樹脂の溶解液塗布によって形成する際に、良好な塗布性を得ることができる。
【0035】
また、本実施形態に係る樹脂製容器100の製造方法は、筒状の口部10と、口部10に連なりマヨネーズを含む内容物の収容空間Sを形成する胴部20と、胴部20の下端部を閉塞する底部30とを備えた樹脂製容器100の製造方法であって、ロジン樹脂を溶媒に溶解させて溶解液を生成するステップと、溶解液を少なくとも胴部20の一部における内面に塗布するステップと、胴部20に塗布した溶解液を乾燥させるステップとを含むように構成した。このような構成の採用によって、マヨネーズを含む内容物が胴部20の内面に付着することを抑制することができるので、容器内に付着し注出させることができない内容物の残量を安定的に減少させることができる。
【0036】
本開示を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0037】
例えば、本実施形態では、口部10にキャップやポンプ等をねじ係合により装着するための雄ねじ部10aを設けた構成としたが、この態様には限定されず、口部10に王冠等をアンダーカット係合(打栓係合)によって装着するための膨隆部が一体に設けられていてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、樹脂製容器100の内面にロジン樹脂を主成分とする撥液樹脂層22を形成するように構成したが、この態様には限定されず、撥液樹脂層22がロジン樹脂を含んでいればよい。
【0039】
また、本実施形態では、内容物としてマヨネーズを用いた場合について説明したが、この態様には限定されず、内容物としてマヨネーズを含む混合調味料を用いてもよい。
【実施例】
【0040】
次に、本実施形態に係る、撥液樹脂層22を設けた樹脂製容器100における滑り性向上効果の検証を行った。ポリプロピレン製の平板の片面に撥液樹脂層22を設けたサンプル(実施例1)と撥液樹脂層22を設けないポリプロピレン単体の平板サンプル(比較例)について表面を鉛直方向に方向づけて固定し、しょうゆ、ソース、ケチャップ、マヨネーズ、及びラー油の5種類の食品調味料(約0.3gずつ)を各サンプルの上部から表面上を滑らせたときの滑り性を評価した。なお、撥液樹脂層22の形成に用いたロジン樹脂は、林純薬工業株式会社により製造されたものである。また、実施例1及び比較例の各サンプルは、80mm×80mmの大きさを有しており、鉛直方向の80mmのうちの約60mmにわたって表1に示す各食品調味料を滑らせて評価している。各サンプル評価結果を以下の表1に示す。
【0041】
【0042】
まず、撥液樹脂層22を設けないポリプロピレン単体の平板サンプル(比較例)では、しょうゆを除く4種類の食品調味料について、サンプル表面を滑る現象を観測することはできず、サンプルの表面に食品調味料を付着させながら下方まで直線状に垂れ流れる現象が確認された。また、しょうゆについては、しょうゆが垂れ流れた経路上の一部に付着が見られるものの、経路上の他の部分にはしょうゆの付着が観測されなかった。従って、比較例のサンプル表面にしょうゆを垂れ流した場合に、サンプルの表面上を滑らせる効果があると考えられる。
【0043】
次に、撥液樹脂層22を設けた実施例1の平板サンプルでは、マヨネーズをサンプルの上部から表面上を滑らせた場合に、マヨネーズが経路上に付着することなく下方まで滑り降りる現象を確認することができた。これは、撥液樹脂層22に含まれるロジン樹脂上に油を置いた時の接触角が比較的大きく油の拡散(濡れ広がり)が少ないため、マヨネーズ中の油成分がマヨネーズから拡散して逃げてしまうことが抑制され、マヨネーズの滑り性が向上するからであると考えられる。これに対して、マヨネーズ以外の4種類の食品調味料では、サンプル表面を滑る現象を観測することはできず、サンプルの表面に食品調味料を付着させながら下方まで直線状に垂れ流れる現象が確認された。
【0044】
次に、撥液樹脂層22中の単位面積あたりのロジン樹脂の塗布重量を下記の表2に示すように実施例1から実施例6までの6通りに変化させたサンプルを用意し、マヨネーズ(約0.3g)を各サンプルの上部から表面上を滑らせたときの滑り性を評価した。評価結果を以下の表2に示す。なお、表2において、実施例6(ロジン樹脂の重量%:40%)は、ロジン樹脂を溶解液に最大量溶解させたサンプルである。
【0045】
【0046】
ロジン樹脂の塗布重量が1m2あたり0.08g以上であれば、マヨネーズが撥液樹脂層22の表面を滑落する結果となり、このとき、撥液樹脂層22の表面にマヨネーズの付着が発生しない結果となった。
【0047】
また、実施例6(ロジン樹脂が1m2あたり17g)が、ロジン樹脂を溶解液に最大量溶解させたサンプルであることから、溶解液を塗布する手法により撥液樹脂層22を設ける場合、撥液樹脂層22に含まれるロジン樹脂は、1m2あたり0.08g以上17g以下であることが好ましい。また、良好な塗布性が得られるためには、撥液樹脂層22に含まれるロジン樹脂は、1m2あたり0.08g以上8.3g以下であることが更に好ましい。なお、発明者の更なる検討によれば、撥液樹脂層22に含まれるロジン樹脂は、1m2あたり0.1g以上17g以下であることが好ましく、1m2あたり0.1g以上9.0g以下であることが更に好ましい。また、発明者の更なる検討によれば、溶解液中のロジン樹脂の重量割合は、0.1重量%以上40重量%以下が好ましく、1.0重量%以上20重量%以下が更に好ましい。なお、マヨネーズが撥液樹脂層22上を滑る滑落速度は、撥液樹脂層22に含まれるロジン樹脂が1m2あたり1.9g以上4.3g以下で概ね最大となるため、この範囲が最も好ましい。
【0048】
次に、実施例1のサンプルについて、撥液樹脂層22の耐久性の確認を行った。ポリプロピレンの平板の表面に撥液樹脂層22を設けた後、JKワイパー(日本製紙クレシア株式会社製)に荷重268gをかけて撥液樹脂層22の表面を所定回数擦り、マヨネーズの滑り性を評価した。表3に評価結果を示す。
【0049】
【0050】
表3によれば、擦り回数:1回~10回のいずれにおいても、撥液樹脂層22の表面においてマヨネーズの滑り性が良好であるという結果になった。マヨネーズの滑り性向上効果が安定的に得られていることを示していると言える。
【符号の説明】
【0051】
10 口部
10a 雄ねじ部
20 胴部
21 基体
22 撥液樹脂層
30 底部
100 樹脂製容器
O 中心軸線
S 収容空間